JPH09508359A - 抗グラム陽性細菌学的方法および物質 - Google Patents

抗グラム陽性細菌学的方法および物質

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JPH09508359A JP7519190A JP51919095A JPH09508359A JP H09508359 A JPH09508359 A JP H09508359A JP 7519190 A JP7519190 A JP 7519190A JP 51919095 A JP51919095 A JP 51919095A JP H09508359 A JPH09508359 A JP H09508359A
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ルイス, エイチ., ジュニア ランバート,
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、BPIタンパク質生成物を、単独あるいは抗生物質と共に投与することでグラム陽性細菌感染を治療する方法に関する。BPIタンパク質生成物は、単独で選択されたグラム陽性生物に関して殺菌あるいは成長阻害効果を呈する。また、BPIタンパク質生成物は、抗生物質に対するグラム陽性生物の感受性を高め、また、抗生物質に対するグラム陽性生物の耐性さえも転換できる。

Description

【発明の詳細な説明】 抗グラム陽性細菌学的方法および物質 本願は、いずれも本明細書に参考までに取り入れた、1994年1月14日に出願さ れた米国特許出願No.08/183,222の一部継続出願である、1994年3月11日に出願 された米国特許出願No.08/209,762の一部継続出願である、1994年7月11日に出 願された米国特許出願No.08/274,299の一部継続出願である。 発明の背景 本願発明は、一般に、殺菌性/浸透性が向上した(BPI)タンパク質生成物の単 独投与あるいは抗生物質との同時投与によるグラム陽性細菌感染の治療のための 方法と組成物に関する。また、リポ多糖結合性タンパク質(LBP)誘導体の使用 に関連する同様の方法および物質も開示されている。 BPIとは、侵入してきた微生物を防御する上で必須の血液細胞である哺乳類多 形核白血球(PMNsあるいは好中球)の顆粒から単離されたタンパク質である。ヒ トBPIタンパク質は、酸抽出とイオン交換クロマトグラフィー〔Elsbach,J.Bio l.Chem.,254: 11000(1979)〕あるいはE.coliアフィニティークロマトグラフ ィー〔Weiss,Blood,69; 652(1987)〕との組み合わせによってPMNsから単離さ れている。かような方法によって取得されたBPIは、本明細書では天然BPIと称し 、多様なグラム陰性細菌に対して強力な殺菌活性を呈する。ヒトBPIの分子量は 、約55,000ダルトン(55kD)である。ヒトBPIの全アミノ酸配列ならびにそのタン パク質をコードするDNAの核酸配列は、本明細書にて参照のために取り入れた、G ray et al., J.Biol.Chem.,264:9505(1989)の図1にて報告されている。Gray et alのア ミノ酸配列は、本明細書の配列番号:69にも示した。 BPIは強力なカチオン性タンパク質である。BPIのN末端の半分は高い正荷電を 帯び、その分子のC末端の半分は-3の荷電を帯びているとの説明はされている〔前出の ElsbachとWeiss(1981)〕。約25kDの分子量を有するBPIのタンパク質分解 N末端断片は、親水性ならびに疎水性領域を含んだ両親媒性であった。ヒトBPI の末端断片は、自然に誘導された55kDのヒトBPIホロタンパク質の抗細菌活性を 有している。〔Ooi et al.,J.Biol.Chem.,262:14891-14894(1987)〕。N末 端部分とは対照的に、単離したヒトBPIタンパク質のC末端領域は、グラム陰性 微生物の対してわずかに検出できるだけの抗細菌活性を有していた。〔Ooi et a l.,J.Exp.Med.,174:649(1991)〕。「rBPI23」と称する約23kDのN末端BPI断 片が組換法によって生成され、グラム陰性微生物の対する抗細菌活性を有してい た。Gazzano-Santoro et al.,Infect.Immun.60: 4754-4761(1992)。 BPIの殺菌効果が、グラム陰性種に対して特異的であることは、例えば、Elsba chとWeiss,Inflammation: Basic Principles and Clinical Correlates,eds. Gallin et al.,Chapter 30,Ravan Press Ltd.(1992)で報告されている。BP Iは、酵母を含めた他の微生物や高等真核細胞に対して非毒性であると考えられ ていた。前出のElsbachとWeiss(1992)は、10-8から10-9Mという低濃度のBPI が、多様なグラム陰性細菌に対して抗菌活性を示すが、100から1000倍の濃度のB PIが、同時に試験を行ったグラム陽性細菌、酵母および高等真核細胞に対して非 毒性であると報告した。そして、10-6Mある いは160μg/mlの濃度のBPIを、pH7.0もしくは5.5で、グラム陽性細菌Staphlococ cus aureus(4種)、Staphylococcus epidermidis、Streptococcus faecalis、 B acillus subtilis、Micrococcus lysodeikticus、およびListeria monocytogene sに関して試験を行った場合、毒性が認められなかった旨を報告している。報告 された10-6Mの濃度のBPIは、pH7.0もしくは5.5で、真菌のCandida albicansお よびCandida Parapsilosisに関して非毒性であり、また、ヒト、ウサギおよびヒ ツジの赤血球細胞および数種のヒト腫瘍細胞系などの高等真核細胞に対して非毒 性であった。ElsbachとWeiss、Advances in Inflammation Research,ed.G.We issmann,Vol.2,pp.95-113 Raven Press(1981)も参照のこと。この文献は、標 的細胞への特異性は、グラム陰性微生物の外膜(エピトープ)に独特のリポ多糖 (LPS)へのBPIの強力な引きつけによる結果であると考えられていた。 BPIがグラム陰性細菌を殺傷する詳細なメカニズムは未だ完全に解明されてい ないが、BPIがまず最初に、カチオン性BPIタンパク質とLPSの負に帯電部位との 間の静電気力と疎水性相互作用を介して細菌の表面に結合するものと考えられて いる。LPSは、不可逆性の内毒素ショックの結果による宿主炎症細胞による媒介 体の放出を促す刺激、すなわち、炎症反応のために、「内毒素」と称されてきた 。BPIは、LPSにて最も高い毒性と生物学的活性を有すると報告されたリピドAに 結合する。 感受性グラム陰性細菌では、BPI結合はLPS構造を崩壊せしめ、リン脂質とペプ チドグリカンを分解する細菌性酵素の活性化を招き、細胞の外膜への浸透性に変 化をもたらし、そして、細胞の死に至る過程を歩み始めるものと考えられている 。〔前出のElsbachとWeiss(1981)〕。BPIは、二段階で作用する ものと考えられている。第一段階は、迅速な成長抑制、外膜の浸透、リン脂質と ペプチドグリカンを加水分解する細菌性酵素の選択的活性化により特徴付けられ る仮死段階である。この段階における細菌は、血清アルブミンを補充した培地で 成長させることで救命することができる〔Mannion et al.,J.Clin.Invest., 85:853-860(1990)〕。血清アルブミンで復元できない成長阻止によって定義され る第二段階に、長時間にわたって細菌をBPIに曝すことで至り、内部細胞質膜の 明らかな損傷を含めた生理学的および構造的変化によって特徴付けられる。 LPSへの最初のBPIの結合は、通常はMg2+とCa2+の結合を介して外膜を安定なら しめている、LPSのKDO領域中のアニオン基への結合によるものと考えられる組織 の変化をもたらす。グラム陰性細菌の外膜へのBPIの結合は、アクチノマイシン Dのような疎水化剤の外膜への急速な浸透をもたらす。BPIの結合と、それに続 きグラム陰性細菌の死滅は、少なくとも一部は、LPS多糖鎖の長さならびに保有 する長いO-鎖、短いO-鎖を有する生物以上にBPI殺菌効果に対して耐性を有する 「スムース」生物、「ラフ」生物に依る〔Weiss et al.,J.Clin.Invest.,65 : 619-628(1980)〕。グラム陰性エンベロープへの浸透である、BPI作用の第一 段階は、BPIの解離、二価カチオンの存在を必要とするプロセス、新たなLPSの合 成により可逆化できる〔Weiss et al.,J.Immunol.132: 3109-3115(1984)〕。 しかしながら、グラム陰性細菌の生存力の損失は、エンベロープの一体性を復元 するプロセスによって可逆化されず、このことは、殺菌活性が標的生物にて誘発 される他の病変部位によって媒介され、細胞質膜にて刺激を受けることを示唆し ている〔Mannion et al.,J.Clin.Invest.,86: 631-641 (1990)〕。この可能性に関する具体的な調査では、モルベースにて、少なくとも ポリミキシンBとして細胞質膜水疱機能の阻止を示したが〔In't Veld et al., Infection and Immunity 56: 1203-1208(1988)〕、正確な作用機構ならびに無傷 器官へのかような水疱の関連は未だ解明されていない。 BPIは、BPIが結合したLPSの内毒性を中和することもできる。グラム陰性生物 の殺菌活性ならびにLPSを中和する能力から、BPIは、菌血症あるいは敗血症のよ うなグラム陰性細菌によって引き起こされる疾患を患った哺乳類の治療のために 利用することができる。 米国特許第5,198,541号は、BPIホロタンパク質とBPIの断片を含むBPIタンパク 質をコードする組換え遺伝子ならびにその発現の方法を開示している。ある抗生 物質、特に、ペニシリン、セファロスポリン、リファムピシンおよびアクチノマ イシンDを併用した、グラム陰性細菌による疾患の治療のためのBPIタンパク質 のN末端断片を使用も記載されている。 抗生物質とは、他の微生物の成長を阻害あるいは死滅せしめる細菌(Bacillus 属を含む)、放線菌(Streptomyces属を含む)および真菌のような様々な種の微 生物によって産生された比較的低分子量の天然化学物質である。同様の構造の物 質および作用形態は化学的に合成されたり、あるいは半合成の抗生物質を得るた めに天然化合物を修飾する。これら生合成および半合成誘導体も、抗生物質とし て有効である。抗生物質の主要なクラスとしては、(1)ペニシリン、セファロ スポリンおよびモノバクタムを含むβ−ラクタム;(2)アミノグリコシド、例 えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシンおよびアミカシン;( 3)テトラサイクリン;(4)スルホンアミドおよびトリメトプリム;(5)フル オロキノロン、例えば、シプロ フロキサシン、ノルフロキサシンおよびオフロキサシン;(6)バンコマイシン ;(7)マクロライド、例えば、エリスロマイシン、アジスロマイシンおよびク ラリスロマイシン、および;(8)他の抗生物質、例えば、ポリミキシン、クロ ラムフェニコールおよびリンコサミドなどがある。 抗生物質は、以下に分類されるいくつかの作用機構を介してその抗菌効果を発 揮している。すなわち、(1)バシラシン、セファロスポリン、シクロセリン、 ホスフォマイシン、ペニシリン、リストセチンおよびバンコマイシンのような、 細菌の細胞壁に作用する薬剤、(2)コリスチン、ノボバイオシンおよびポリミ キシンなどの細胞膜に作用したり、あるいは崩壊効果を呈する薬剤、(3)アミ ノグリコシド、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、 サイクロヘキシミド、フシディン、リンコマイシン、プロマイシン、リファンピ シン、他のストレプトマイシン、およびエリスロマイシンならびにオレアンドロ マイシンのようなマクロライド抗生物質などの、複製、情報伝達およびタンパク 質合成のリボソームに関する細胞本来の機能に作用を及ぼす薬剤、(4)フルオ ロキノロン、アクチノマイシン、エタムブトール、5-フルオロシトシン、グリセ オフルビン、リファマイシンなどの核酸代謝に影響を及ぼす薬剤、および(5) スルホンアミドおよびトリメトプリム、結核治療薬イソニアジド、およびパラア ミノサリチル酸のような中間代謝に影響を及ぼす薬剤がある。いくつかの薬剤で は、特に高い濃度において、一つ以上の第一の作用機構を有する。加えて、構造 あるいは細菌細胞での代謝における二番目の変化は、抗微生物薬剤の第一効果が 現れた後によく生じる。 ペニシリンは、抗菌活性を呈するβ−ラクタム環とチアゾール環からなる特徴 的な二環構成を有している。ペニシリンは、 各ペニシリンに独特の単一の側鎖によって差別化されている。これら化合物は殺 菌活性と、細菌の細胞壁の合成に関与する酵素である細菌性トランスペプチダー ゼの阻害作用を有している。その作用機序のため、一般に、ペニシリンは成長細 胞に対しては活性であるが、休止細胞に対しては不活性である。ペニシリン、特 にペニシリンGは、大きなグラム陽性活性を有しており;ペニシリンGならびに 他のいくつかのペニシリンとのグラム陰性桿菌との相対的無関連性は、おそらく グラム陰性細菌の外膜への浸透防御によるものと考えられる。アンピシリン、カ ルベニシリン、ティカルシリン、および他のいくつかのペニシリンは、細菌の外 膜を通過できるため、グラム陰性細菌に対して活性である。ペニシリンはほとん ど副作用を呈さず、その最大のものとして、超過敏(アレルギー)反応がある。 これら化合物は、体内に広く分布しているが、細胞には侵入せず、また、CSFに も通常は蓄積しない。 ペニシリンに対する細菌の耐性は、β−ラクタム環の加水分解を触媒する酵素 である、β−ラクタマーゼの生成によるものである。ペニシリンに対する細菌の 耐性率は、約80%にまで改善された。メチシリン、オキサシリン、クロキサシリ ン、ジクロキサシリン、およびナフシリンを含むいくつかのペニシリンは、ブド ウ球菌のβ−ラクタマーゼによる影響を受けない。これら抗生物質は、Staphylo coccus属の最もβ−ラクタマーゼを産生する種に対して有効である。しかしなが ら、少数の種は、これらペニシリンに対してもさえ耐性を有している。ペニシリ ン、アモキシリン、およびチカルシリンの一部は、酵素に共有結合し、抗生物質 の加水分解を防ぐβ−ラクタマーゼ阻害剤であるクラブラン酸と併用する恰好で 市場に流通している。他の阻害剤、スルバクタムは、アンピシリンと併用する恰 好で 市場に流通している。 セファロスポリンは、ペニシリンと同様に、β−ラクタム環によって特徴付け られているが、チアゾール環の代わりに、隣接するジヒドロチアジン環を有して いる。便宜のために、これら化合物は、一般にその世代に基づいて分類される。 第一世代は、セファロティン、セファピリン、セファゾリン、セファレキシン、 セファラジン、およびセファドロキシルを含む。一般に、これら薬剤は、腸球菌 とメチシリン耐性ブドウ球菌以外には優れたグラム陽性活性を示すが、グラム陰 性活性は適度のものに過ぎない。第二世代は、セファマンドール、セフォキシチ ン、セフォラニド、セフロキシム、セフロキシムアクセチル、セファクロー、セ フォニシド、およびセフォテタンを含む。一般に、この世代は重量当たりのグラ ム陽性活性を若干失っており、限られた値のグラム陰性活性を新たに獲得してい る。第三世代は、セフォタキシム、モキサラクタム、セフィチゾキシム、セフト リアキソン、セフォペラゾン、およびセフタジミドを含む。一般に、これら化合 物は、重量当たりのグラム陽性活性をさらに失っている反面、Enterobacterに対 する実質的なグラム陰性活性を有しており、時にはPseudomonasに対しても活性 である。セファロスポリンは、様々な親和度でもって、ペニシリンが結合してい るタンパク質に結合する。一旦結合してしまうと、タンパク質の合成は阻害され る。通常、セファロスポリンは耐性と、超過敏反応と胃腸効果を含めた副作用を 有している。セファロスポリンは、毒性を高めるために、腎毒性薬剤、特にアミ ノグリコシドと相互作用する。β−ラクタマーゼを産生しない株の一部も耐性で あるにもかかわらず、セファロスポリンの耐性は、β−ラクタマーゼの産生を含 むいくつかの機序によって媒介されている。 イミペネムは、鋳型生成物チエナマイシンのN−フォルミミドイル誘導体であ る。これは、β−ラクタム環を含み、二番目の環が相違する以外はペニシリンと 同様である。それは、グラム陰性ならびにグラム陽性生物の双方に対して活性を 有しており、Pseudomonas由来のものでないにもかかわらず、大抵のβ−ラクタ マーゼに対して耐性を有している。腎臓ジヒドロペプチダーゼI酵素による腎臓 でのイミペネムの不活性化を阻害する化合物であるシラスチンとの併用の恰好で 、イミペネムは市場に流通している。シラスチンは、血中ではなく、尿中のイミ ペネムの濃度を増大せしめる。 アズトレオナムは、モノバクタムと称する抗生物質の新規集団の最初の物質で ある。これら物質は、β−ラクタム環を含むが、ペニシリンとセファロスポリン に特有の二番目の環は有していない。この物質は、ペニシリン結合タンパク質に 結合し、最終的には溶解する長い、フィラメント様の細菌形状を呈する。アズス レオナムは、好気性グラム陰性細菌に対してのみ活性があり、一部のβ−ラクタ マーゼによる不活性化に対して感受性があり、ほとんど副作用がない。 アミノグリコシドは、グリコシド結合によって、アミノサイクリトール環に結 合したアミノ糖を有する。これらは、作用および特性において同様の機序を有す るが、作用、毒性、および細菌耐性への感受性のスペクトルにおいて若干の相違 がある。これら化合物は、殺菌活性ならびにグラム陽性およびグラム陰性生物双 方に対する活性を有し、そして、細菌のリボソーム30Sのタンパク質に結合し、 そしてタンパク質合成を阻害する。アミノグリコシドは単離したLPSにも結合し 、また、非常に弱い外膜浸透効果を有する。〔Taber et al.,Microbiological Reviews 53: 439-457(1987); Kadurugamuwa et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy,37: 715-721(1993); Vaara,Microbi ological Reviews 56: 395-411(1992)〕このクラスの抗生物質としては、アミ カシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロ モマイシン、およびトブラマイシンがある。アミノグリシドは、耳毒性ならびに 腎毒性を含む重大な副作用のため、通常は、重篤な疾患に対する適用は控える。 治療効果が得られる濃度、例えば、8μg/mlのゲンタマイシンと、毒性効果が得 られる濃度、例えば、12μg/mlのゲンタマイシンとの間には狭小な治療用途の濃 度しか存在しない。特に、ネオマイシンは高毒性であり、決して非経口投与でき ない。 テトラサイクリンは共通する4つの環構造を有しており、ポリサイクリックナ フタセンカルボキサミドと同属の誘導体と非常に似通っている。これら化合物は 、殺菌活性を有しており、微生物リボソームの30Sサブユニットへ結合し、およ びアミノアシルtRNAへの結合に作用することでタンパク質合成を阻害する。これ ら化合物は、グラム陽性およびグラム陰性細菌双方に対して活性を有するものの 、多くの生物種において耐性があるため、その用途範囲は制限されている。副作 用として、胃腸効果、高用量服用による肝細胞毒性、および一部の患者での腎毒 性がある。このクラスの抗生物質としては、テトラサイクリン、クロロテトラサ イクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイ クリン、およびオキシテトラサイクリンがある。 スルホンアミドは、葉酸の細菌合成のための必須前駆体である、パラアミノ安 息香酸(PABA)と同様の構造を有する化合物である、スルファニルアミドの誘導体 である。この化合物は一般に殺菌活性を有しており、チミジン、プリンおよびD NAの 合成のための補因子であるテトラヒドロ葉酸へのPABAの取り込みを拮抗的に阻害 する。スルホンアミドは、グラム陽性およびグラム陰性細菌双方に対して広範囲 の活性を有するものの、細菌耐性の普及によりその有用性は無くなりつつある。 抗生物質のスルホンアミドのクラスとしては、スルファサイティン、スルファジ アジン、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、スルファメソキサゾール 、スルファベンザミド、およびスルファセタミドがある。副作用としては、超過 敏反応、そして時には血液毒性がある。 トリメソプリムは、DNA合成の必須因子であり、ジヒドロ葉酸をテトラヒド ロ葉酸に転化する、ジヒドロホレートレダクターゼ酵素の阻害剤である。副作用 としては、胃腸障害、そしてまれに血液毒性がある。トリメソプリムは、スルフ ァメソキサゾールとの併用の形態でも(共トリモキサゾールとしても知られてい る)入手することができる。各構成薬剤は普段は静菌的でしかないものの、この 併用剤は通常では殺菌活性を有している。この併用剤は、Salmonella感染、一部 のShigella感染、E.coli旅行者下痢、およびPneumocystis carinii肺炎のため の薬剤の一つである。 フルオロキノロンおよびキノロンは、ナリジキシン酸の誘導体、ナフチリジン 誘導体である。これら化合物は殺菌活性があり、DNAへ結合し、DNAの負のスーパ ーコイル化を触媒する酵素であるDNAジャイレースの作用により損傷のあるDNAの 複製、転写および修復が進む。ノルフロキサシン、シプロフロキサシンおよびオ フロキサシンを含むフルオロキノロン、ならびにシノキサシンを含むキノロンは 、グラム陰性ならびにグラム陽性生物に対する広範な抗微生物活性のスペクトル を有する。これら化合物は、血管外組織部位を通じて広く分布し、血清半 減期を有し、また副作用はほとんど無い。DNAに及ぼす効果から、妊婦や骨の成 長が完全でない子供にはこれら化合物は投与できない。 バンコマイシンは、真菌によって生成される約1500の分子量を有するグリコペ プチドである。主に、グラム陽性細菌に対して活性がある。この薬剤は、細菌の 細胞壁の合成の最終工程の一つを阻害するものであり、よって、成長器官に対し てのみ効果がある。細菌耐性や患者のアレルギーのためにペニシリンGの使用が 有効でない場合に、グラム陽性球菌による重大な感染症の治療のために用いる。 バンコマイシンは、耳毒性と腎毒性の二つの大きな副作用を有している。このよ うな毒性は、アミノグリコシドのような同様の副作用を呈する他の薬剤を同時に 投与することで増大される。 マクロライドは静菌剤であり、70Sリボソームの50Sサブユニットへ結合し、 タンパク質合成の阻害をもたらす。グラム陽性ならびにグラム陰性細菌に対する 広範な活性スペクトルを有し、感染部位で用いる濃度によって静菌あるいは殺菌 効果を呈する。これら化合物は、体液中に広く分布する。副作用としては、胃腸 障害と、まれに超過敏反応がある。最も汎用されているマクロライドはエリスロ マイシンであるが、このクラスには、クラリスロマイシンとアジスロマイシンの ような他の化合物が含まれている。 ポリミキシンは、Bacillus polymyxaの株によって産生された抗生物質に密接 に関係したグループに属する。カチオン性洗浄剤であるこれら薬剤は、約1000の 分子量を有する単純基本ペプチドである。グラム陰性細菌に対する抗菌活性には 限りがある。また、リン脂質と強く作用し、細胞膜に浸透して分布する。ポリミ キシンBも、内毒素のリピドA部分に結合し、 この分子の毒性を中和する。ポリミキシンBは、腎毒性と神経毒性を含めた重篤 な副作用を呈するものであり、他の腎毒性あるいは神経毒性薬剤と同時に投与す べきではない。よって、高い全身毒性が故に、治療薬剤としての用途にも制限が 加えられるが、他の抗生物質にはほとんど応答しない、Pseudomans aeruginosa 髄膜炎のような重大な感染症に対して適用される。 クロラムフェニコールは、50Sリボソームサブユニットに結合し、アミノアシ ルtRNAの結合を防ぐことでタンパク質合成を阻害する。抗微生物活性にスペクト ルは非常に大きいが、重篤で致命的な血液学的副作用が故に、髄膜炎、発疹チフ ス、腸チフス、およびロッキー山斑点熱のような重大な感染症のみに適用される 。クロラムフェニコールは、特定の種に対しては殺菌活性を示すが、基本的には 静菌的である。 リコマイシンとクリンダマイシンは、リンコサミド抗微生物剤である。これら は、アミノ糖に結合したアミノ酸から構成されている。双方共に、50Sリボソー ムサブユニットに結合することで、タンパク質合成を阻害する。これらは、同じ 結合部位でエリスロマイシンとクロラムフェニコールと拮抗するが、重複はしな い。相対濃度と感受性によって、これらは静菌的であったり、殺菌的になったり する。胃腸障害が、最も一般的な副作用である。他の副作用としては、皮膚過敏 症、一過性の血液学的異常、および肝酵素値のわずかな上昇がある。クリンダマ イシンは、嫌気性細菌による感染症あるいは嫌気性/好気性混合細菌による感染 症のための薬剤の一つであり、感受性好気性グラム陽性球菌に対して使用するこ ともできる。 ある薬剤、例えば、アミノグリコシドの治療用量は、狭小な範囲である。例え ば、細菌の成長阻害のためには、2〜4μg/mlのゲンタマイシンあるいはトブラ マイシンが必要とされるが、 血漿中のピーク濃度である6〜10μg/ml以上になると、耳毒性や腎毒性をもたら すことになる。これら薬剤は、治療濃度に対する毒性濃度の比率が非常に小さい ので、その投与は困難を極める。アミノグリコシドやバンコマイシンのように腎 臓に毒性を与え、また腎臓から排出される抗微生物薬剤は、排出力の低下により 血漿濃度が大きくなり、一方で毒性も大きくなるため、特に注意を要する。腎臓 から排出される抗微生物薬剤の用量は、腎臓機能の障害を持つ患者に対しては減 量しなければならない。同様に、肝臓によって代謝あるいは排出されるエリスロ マイシン、クロラムフェニコール、あるいはクリンダマイシンのような薬剤の用 量は、肝機能が低下した患者に対しては減量しなければならない。 細菌の抗菌活性は、様々な問題を包含している。家畜用抗生物質の普及および 医師による抗生物質の過剰処方もあって、異なる作用形態を伴う新規の抗生物質 の研究が追いつかない状態で、抗菌耐性細菌が急速に広まった。〔Science,264 : 360-374(1994)〕一旦、抗菌活性を獲得すると、異なる種の細菌を含めて、ま たたく間に他の菌に伝播する。一つの抗生物質の除くすべての抗生物質に耐性を 有する一部の細菌があり、すべての抗生物質に耐性を有する細菌の出現はもはや 時間の問題である。 細菌はいくつかの機構を介して耐性を獲得する。(1)抗生物質を破壊あるい は不活性化する酵素の産生〔Davies,Science,264: 375-381(1994)〕、(2) 抗生物質によって認識されない細胞上あるいは細胞内の新規あるいは改変した標 的部位の合成〔Spratt,Science,264; 388-393(1994)〕、(3)細胞壁タンパ ク質をさらに改変することで還元でき、それにより、細菌細胞質組織への抗生物 質の接近を制限することを意味する抗生物 質の低浸透性、(4)薬剤の細胞間輸送能力の低下、および(5)膜関連ポンプを 介した細胞からの抗生物質除去の促進〔Nikaido,Science,264: 382-387(1994 )〕である。 抗生物質に対する細菌の感受性は、一般には、二つの微生物学的方法によって 決定される。迅速ではあるが精度のやや落ちる方法では、所定量の抗生物質が含 浸された市販の濾紙ディスクを用いる。これらディスクは、試験される生物の培 養液が筋状に塗布された寒天プレートの表面に置かれ、成長阻止の大きさに関し てそのプレートは観察される。より正確な方法である、希釈培地感受性試験は、 濃度が異なるように希釈した薬剤を含む液体培地を入れた一連の試験管を用意し 、その試験管内で試験しようとする生物を接種する。インキュベートして一定時 間を経た後に、細菌の成長を阻害した最低濃度を、最小阻害濃度として報告する 。 抗生物質に対する耐性あるいは感受性は、臨床結果、すなわち、感染患者への 抗生物質の投与により投与された生物が順調に治癒するかどうかによって決定さ れる。患者が高濃度の抗生物質に対してin vitroにて感受的であっても、実際の ところ、その患者は生理学的に適切な濃度の抗生物質に対しても感受的である。 生物の成長阻害あるいは殺傷に至るに必要な薬剤濃度が、生物に毒性を付与しな い濃度より大きい場合、その微生物は当該抗生物質に対して耐性があると考えら れる。In vitro試験結果を用いて抗生物質への耐性あるいは感受性を容易に定め るために、臨床実験基準の国家委員会(NCCLS)は、in vitroでの抗生物質の最小 阻止濃度の決定値を臨床結果と相関せしめた、抗生物質への感受性のための基準 を設けた。 このように、当該技術分野では、新規の抗生物質、特に、抗グラム陽性細菌用 抗生物質、抗グラム陽性細菌的方法および物 質が依然として切望されているのである。この要望を満たす生成物と方法は、合 成あるいは組換え手法によって大量に供給できる実質的に無毒の化合物が理想的 である。理想的な化合物とは、抗微生物薬剤として単独に投与あるいは適用した 際に、殺菌性あるいは静菌性を有するものである。かような化合物は、特に治療 効果が向上する場合には、他の抗微生物薬剤と併用して治療に用いることもでき る。 発明の要約 本発明は、BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質との併用による、グラ ム陽性細菌感染、グラム陽性細菌感染に関連する病状あるいはグラム陽性細菌感 染による病状(例えば、敗血症あるいは菌血症)の治療のための方法と組成物を 提供する。本発明は、あるグラム陽性微生物に関してBPIタンパク質生成物が驚 異的な殺菌効果と成長阻止効果を呈したこと、および、BPIタンパク質生成物が 、グラム陽性細菌の抗生物質耐性の転換した多くの事例を含めて、グラム陽性細 菌の抗生物質感受性を増大するという予期せぬ効果の発見に基づくものである。 本発明はまた、BPIタンパク質生成物と抗生物質を同時に投与した際に、付加的 ならびに相乗的な殺菌/成長阻害効果が得られるとの知見にも基づくものである 。 本発明のある態様によれば、グラム陽性細菌に感染した患者に、単一治療効果 を得るに十分な量のBPIタンパク質生成物を投与する工程を含むグラム陽性細菌 感染を治療するための方法が提供される。この方法は、感染症状にBPI感受性グ ラム陽性細菌が関与している場合に利用される。 本発明の第二の態様によれば、グラム陽性細菌に感染した患者に、並行治療効 果を得るに十分な量のBPIタンパク質生成物 と並行治療効果を得るに十分な量の一つ以上の抗生物質を同時に投与することに よるグラム陽性細菌感染を治療するための方法が提供される。この方法は、グラ ム陽性微生物がBPIの殺菌/成長阻害効果に直接的な感受性を有さない場合でも 効果的である。 抗生物質との同時投与のために、BPIタンパク質生成物は、感染に関与するグ ラム陽性細菌の抗生物質感受性を向上、あるいは抗生物質の効果を高めるに十分 な量を投与する。また、BPIタンパク質生成物は、感染に関与するグラム陽性細 菌の抗生物質耐性を変換せしめるに十分な量を投与する。BPIタンパク質生成物 と抗生物質の各々は、単独投与した場合の単一治療効果を得るに十分な量、ある いは単一治療用量に満たない用量を投与する。 本発明の他の態様によれば、グラム陽性細菌に感染した患者に、相乗的効果を 得るに十分な量のBPIタンパク質生成物と一つ以上の抗生物質を同時に投与する ことによるグラム陽性細菌感染を治療するための方法が提供される。 加えて、本発明は、細菌をBPIタンパク質生成物のみ、あるいは他の抗生物質 と共に接触させることを含むグラム陽性細菌を殺菌あるいはその成長を阻害する 方法を提供する。この方法は、食物の製造、液体および表面の除菌、外科器具あ るいは他の医療器具および人工関節を含む移植器具の殺菌などの用途に、in viv oあるいは様々なin vitroの態様にて利用できる。これら方法は、しばしば感染 問題を引き起こす静脈チューブやカテーテルなどの内侵性器具のin situ殺菌、 またはin vitroでの組織培養培地の殺菌のために臨機応変に使用できる。 本発明はさらに、BPIタンパク質生成物単独あるいは他の抗生物質との組み合 わせを細菌に接触させることで、対数増殖期 の変異体を含めた細胞壁を欠いたグラム陽性細菌を殺菌あるいはその成長を阻害 する方法を提供する。この方法は、MycoplasmaあるいはUreaplasmaのような細胞 壁を欠いた微生物に関しても使用できる。 本発明はさらに、グラム陽性細菌感染の治療のための薬剤の製造のためのBPI タンパク質生成物の使用、およびグラム陽性細菌感染の治療のための薬剤の製造 のための抗生物質を併用したBPIタンパク質生成物の使用も提供する。 本発明の無数の態様や利点は、好適な態様を述べた以下の詳細な説明を考慮す れば、当業者からすれば明白である。 図面の簡単な説明 図1は、Bacillus subtilisに関するrBPI23の殺菌効果のプレート分析に関す る。 図2は、ペニシリンの有無による、Staphylococcus aureusに関するrBPI21の 成長阻害効果を見るための放射拡散分析の結果を示している。 図3は、ペニシリン処置したS.aureusと対数増殖期変異体に関するrBPI21の 効果を見るための放射拡散分析の結果を示している。 図4は、放射拡散分析における、ペニシリン処置したS.aureusに関する様々 なBPIタンパク質生成物の効果を示している。 図5、6、7および8は、放射拡散分析における、S.aureusと対数増殖期変 異体に関するBPI誘導ペプチドを含む様々なBPIタンパク質生成物の効果を示して いる。 図9は、培地でのS.aureusの対数増殖期変異体の成長に関する塩化カルシウ ム濃度の効果に関する。 図10は、S.aureusに関するrBPI21の効果を見るための培地成長阻害分析の結 果を示している。 図11、12および13は、塩化カルシウム濃度がそれぞれ2.5mM、5mMおよび10mM である培地でのS.aureusの対数増殖期変異体に関するrBPI21の効果を見るため の培地成長阻害分析の結果を示している。 図14は、E.coli培地成長阻害分析でのrBPI21の効果を示している。 図15は、放射拡散分析における、S.pneumoniaeの対数増殖期変異体に関する 様々なBPIタンパク質生成物の効果を示している。 図16および17は、放射拡散分析における、S.pneumoniaeと対数増殖期変異体 に関するBPI誘導ペプチドを含む様々なBPIタンパク質生成物の効果を示している 。 図18および19は、放射拡散分析における、S.pyogenesと対数増殖期変異体に 関するBPI誘導ペプチドを含む様々なBPIタンパク質生成物の効果を示している。 図20は、放射拡散分析における、E.faeclisの対数増殖期変異体に関する様々 なBPIタンパク質生成物の効果を示している。 図21および22は、放射拡散分析における、マイコプラズマAcholeplasma laidl awiiに関するBPI誘導ペプチドを含むBPIタンパク質生成物の効果を示している。 図23、24および25は、放射拡散分析における、S.aureusと対数増殖期変異体 、およびS.pneumoniaeと対数増殖期変異体に関するBPIタンパク質生成物とLBP 誘導体の効果を示している。 図26〜32は、S.pneumoniae、S.aureusおよびE.faecalis に関する様々な抗生物質の初期殺菌効果に関与するrBPI21の強度を示している。 詳細な説明 本発明は、グラム陽性細菌感染にかかった患者の治療のための方法と物質に関 する。本明細書で使用する「グラム陽性細菌感染」とは、グラム陽性細菌感染に 関連する疾患、あるいはその結果によって導かれた状態(例えば、後遺症)をも 含む。これら状態には、グラム陽性敗血症、および敗血症、発熱、低血圧症、シ ョック、代謝性酸毒症、多発性血管内凝固ならびに関連する凝血疾患、貧血、血 小板減少症、白血球減少症、成人呼吸困難症候群ならびに関連する肺疾患、腎不 全ならびに関連する腎疾患、肝胆汁性疾患、および中枢神経系疾患を含む一つ以 上の疾患に関連する状態を含む。これら状態は、腸からのグラム陽性細菌の移動 ならびに内毒素の放出に伴う状態も含む。グラム陽性細菌としては、Staphyloco ccus,Streptococcus,Micrococcus,Peptococcus,Peptostreptococcus,Enter ococcus,Bacillus,Clostridium,Lactobacillus,Listeria,Erysipelothrix ,Propionibacterium,Eubacterium,およびCorynebacteriumからなるグループ から選択された細菌が含まれる。 様々なグラム陽性微生物が、敗血症を引き起こすことができる。敗血症に最も 関連している微生物は、Staphylococcus aureus,Streptococcus pneumoniae, 凝固陰性ブドウ球菌、β溶血性連鎖球菌、および腸球菌であるが、どのようなグ ラム陽性微生物でも敗血症に関与していると考えられる。[Bone,J.Critical C are,8:51-59(1993)]。 本発明のある態様によれば、単一治療効果を得るに十分な量 のBPIタンパク質生成物を、BPI感受性グラム陽性細菌に関与する感染症の患者に 投与する。BPIタンパク質生成物のみを投与する時に使用する、「単一治療効果 を得るに十分な量」という用語は、単一療法として投与した場合に殺菌効果ある いは成長阻害効果を呈するBPIタンパク質生成物の量を意味する。本発明は、当 該技術分野で公知の天然BPIタンパク質、組換えBPIタンパク質、BPI断片、BPI類 似体、BPI変異体、およびBPI誘導ペプチドを含む多種多様のBPIタンパク質生成 物を利用する。 本発明のこの態様は、BPIタンパク質生成物があるグラム陽性生物に対して直 接的な殺菌効果あるいは成長阻止効果を呈するとの発見に基づくものである。本 発明にて、BPIタンパク質生成物が、通常の細胞が有している細胞壁を欠いた、 様々なグラム陽性細菌の対数増殖期変異体に対して直接的な殺菌効果あるいは成 長阻止効果を呈することが認めらた。また、BPIタンパク質生成物は、呼吸器お よび尿生殖器感染に臨床的に関与する、細胞壁を持たないMycoplasmaおよびUrea plasmaに対して直接的な殺菌効果あるいは成長阻止効果を呈するものと考えられ る。Mycoplasmaは、in vitro組織培養での主要汚染源でもある。 本発明の第二の態様によれば、グラム陽性細菌感染症の患者は、併用療法効果 を得るに十分な量のBPIタンパク質生成物と併用療法効果を得るに十分な量の一 種以上の抗生物質を同時に投与されて処置される。本発明のこの態様では、BPI タンパク質生成物と、βラクタマーゼ阻害剤の有無に係わらないβラクタム、ア ミノグリコシド、テトラサイクリン、スルフォナミドならびにトリメトプリム、 バンコマイシン、マクロライド、フルオロキノロンならびにキノロン、ポリミキ シン、および他 の抗生物質を含めた抗生物質あるいはこれら抗生物質の組み合わせとを同時に投 与することを意図している。 本発明のこの態様は、BPIタンパク質生成物の投与によって、例えば、抗生物 質の用量が小さくできるまでにグラム陽性細菌の抗生物質感受性を高めることで 、抗生物質治療に要する費用の低減、および/または抗生物質に起因する毒性の 低下など、抗生物質の治療効果を改善するとの発見に基づくものである。本発明 にて、BPIタンパク質生成物は、グラム陽性生物の24時間のin vitroでの成長を 阻害するに必要な抗生物質の最小濃度を低減することが認められた。BPIタンパ ク質生成物が、24時間時点での成長に影響を与えない場合、BPIタンパク質生成 物は、0〜7時間でのin vitroでの抗生物質の初期殺菌効果を高めていることが 認められた。BPIタンパク質生成物単独による直接的な殺菌効果あるいは成長阻 止効果に対して感受的でないグラム陽性生物にさえも、BPIタンパク質生成物は 上述した効果を呈した。 本発明のこの態様は、BPIタンパク質生成物の投与が、グラム陽性生物の抗生 物質耐性を効果的に転換できるとの新たな知見に基づくものである。BPIタンパ ク質生成物は、抗生物質の最小阻止濃度を、臨床耐性領域から臨床感受性領域に 至るレベルにまで低減することが認められた。このように、BPIタンパク質生成 物は、通常の抗生物質耐性生物を抗生物質感受性生物に転換できる。 本発明の第二態様によれば、BPIタンパク質生成物と抗生物質は、併用治療効 果を得るに十分な量を同時に投与される。BPIタンパク質生成物が抗生物質と共 に投与する場合に使用されるBPIタンパク質生成物に関する「併用治療効果を得 るに十分な量」とは、少なくとも抗生物質に対する感受性を向上せし めるに足る量を意味し、また、抗生物質に関する「併用治療効果を得るに十分な 量」とは、BPIタンパク質生成物と共に投与した場合に少なくとも殺菌効果ある いは成長阻止効果を呈するに足る量を意味する。BPIタンパク質生成物あるいは 抗生物質、またはその双方は、グラム陽性細菌感染に対する単一治療効果を得る に必要な量に満たない量が投与される。BPIタンパク質生成物は、単一治療効果 を得るに不十分な量であるが、抗生物質感受性を高め、あるいは抗生物質の効果 を高め、あるいは抗生物質に対するグラム陽性細菌の耐性を変換する量が投与さ れる。 本発明の他の態様は、BPIタンパク質生成物と抗生物質との同時投与が、BPIタ ンパク質生成物あるいは抗生物質個々の殺菌効果あるいは成長阻止効果以上の殺 菌効果あるいは成長阻止効果を相乗的に奏するとの知見に基づくものである。抗 菌剤の組み合わせによる効果を評価するいくつかの方法が、Eliopoulos and Moe llering,Anlibiotics in Laboratory Medicine,3rd ed.(Lorian,V.,Ed.) pp.432-492,Williams and Wilkins,ボルティモア、メリーランド州(1991)に 記載されている。相乗効果に関する一般的に認められた定義がある。すなわち、 検査している薬剤の組み合わせによる効果が、それら薬剤を個別に使用して得ら れる個別の効果に基づいて予期できない非常に大きな効果を呈することをいう。 チェッカーボード分析にて、BPIタンパク質生成物と抗生物質との組み合わせは 、「相乗的」部分的阻害濃度指数(FIC)での結果として表現される。チェッカー ボード法とは、複数の薬剤による結果が試験した薬剤個別の効果の合計であると みなす足し算の考えに基づくものであり、この方法によれば、0.5未満のFICは相 乗的、1のスコアでは付加的、1を超え2に満たないスコ アでは無関係であると判断される。一方、拮抗分析とは、唯一の代謝経路は、あ る時点での生物の成長速度を律するとの考えに基づくものであり、この方法によ れば、互いに相互作用しない(自律性あるいは無関係の)薬剤の組み合わせによ る効果は、最も効果のある薬剤単独による効果であるとされる。 本発明のこの態様によれば、BPIタンパク質生成物と一つ以上の抗生物質の同 時投与による「効果的相乗性」あるいは効力増大効果は、様々な方法で獲得する ことができる。BPIタンパク質生成物は、抗生物質耐性生物を抗生物質感受性生 物に変換するか、あるいは生物の抗生物質感受性を改善する。換言すれば、細菌 の細胞壁あるいは細胞膜に作用する抗生物質など、BPIの効果を高める抗生物質 は、BPI耐性生物をBPI感受性生物に変換する。あるいは、BPIタンパク質生成物 と抗生物質は、互いの活性を共に高め合うかもしれない。BPIタンパク質生成物 と抗生物質は、単一治療効果を得るに十分な量に満たない量をそれぞれ用いるこ とで、治療効果を得るに至る。 BPIタンパク質生成物あるいは抗生物質は、全身的あるいは局所的に投与され る。全身的投与の経路には、経口、静脈注射、筋肉注射あるいは皮下注射(長時 間かけて投与する方法を含む)、眼内あるいは眼球後方、胸郭内、腹膜内(例え ば、腹膜洗浄による)、気化あるいは霧化した薬剤を用いた肺への投与、あるい は皮膚への適用がある。局所的投与の経路には、軟膏、点眼、点耳、あるいは( 例えば、傷の洗浄のための)灌注法の形態がある。 本明細書で使用する「同時投与」あるいは同時治療なる用語は、薬剤を同時、 あるいは相前後して、連続あるいは組み合わせて投与することを含む。BPIタン パク質生成物と抗生物質は、異なる経路で投与できる。例えば、BPIタンパク質 生成 物を静脈に、一方で、抗生物質を筋肉、静脈、皮下、経口あるいは腹膜に投与す る。あるいは、BPIタンパク質生成物を腹膜に、一方で、抗生物質を腹膜あるい は静脈に投与するか、または、BPIタンパク質生成物を気化あるいは霧化した形 態とし、一方で、抗生物質を例えば静脈に投与する。BPIタンパク質生成物と抗 生物質は、好ましくは、共に静脈に投与する。BPIタンパク質生成物と抗生物質 は、途中の洗浄を介して、同じ静脈に連続して投与するか、あるいは相異なる静 脈の投与する。BPIタンパク質生成物と抗生物質は、感染部位に効果的な濃度の 両薬剤が作用するに十分な方法で、同時あるいは連続的に投与される。 BPIタンパク質生成物と抗生物質の同時投与は、グラム陽性細菌感染の予期せ ぬ治療効果をもたらす。これら二つの薬剤の同時投与は、いずれかの薬剤のみを 投与した場合に比べ、in vivoにて優れた治療効果を示す。同様の効果を得るに は、一方あるいは双方の薬剤の用量を減少することができる。さらに、この同時 投与は、いずれかの薬剤のみを投与した場合に比べ、より迅速あるいは完全に、 殺菌/静菌効果を奏するものと考えられる。 治療効果は臨床結果に基づくものであり、感染に関与する生物を100%死滅せ しめる抗菌剤あるいは薬剤を必要としない。治療効果の成否は、宿主に好都合な 方法で細菌を阻害するに充分なレベルにまで、感染部位の抗菌活性レベルを引き 上げることにかかっている。宿主の防御機構が最も効力がある場合、必要とされ る抗菌活性は最小ですむ。生物の負荷を1の対数だけ(1/10)減じることで、宿 主の防御機構は感染を制御できるようになる。加えて、初期の殺菌/静菌効果を 増大せしめることは、長期の殺菌/静菌効果を得ること以上に重要である。 これら初期効果は、宿主の防御機構を活性化する時間を確保することができるの で、治療の成功を考える上で重要かつ重大事項でもある。殺菌率を増大すること は、髄膜炎、骨あるいは関節の感染症のような感染症については特に重要である 。〔Stratton,Antibiotics in Laboratory Medicine,3rd ed.,(Lorian,V., Ed.)pp.849-879,Williams and Wilkins,Baltimore Maryland(1991)〕。 In vivoでの抗生物質の治療効果を改善するためのBPIタンパク質生成物の効果 は、in vivoでの動物モデルによって実証されるであろうし、また、(1)24時間 にわたるグラム陰性生物の成長を阻害するに必要な抗生物質の最小阻害濃度(MI C)の決定、(2)グラム陰性生物の運動成長曲線に関する抗生物質の効果の決定 、および(3)抗生物質単独あるいはBPIタンパク質生成物との組み合わせの連続 希釈による最小阻害濃度のチェッカーボード検定、を含む様々なin vitro試験に 基づいて予測できる。例示的なモデルあるいは試験は、Eliopoulos and Moeller ing,Antibiotics in Laboratory Medicine,3rd ed.,(Lorian,V.,Ed.)pp.43 9-492,Williams and Wilkins,Baltimore Maryland(1991)に記載されている 。 24時間での抗生物質のMICに関するin vitro決定法を用いて、BPIタンパク質生 成物が抗生物質のMICを減少することを実証できる。この結果によれば、in vivo でのBPIタンパク質生成物の同時投与が、抗生物質に対するグラム陰性生物の感 受性を向上することが考えられる。BPIタンパク質生成物は、臨床的に生物が耐 性であると考えられる範囲から、臨床的に生物が感受性であると考えられる範囲 に至る間において、抗生物質のMICを減少せしめるものと思われる。この結果に よれば、in vivoでのBPIタンパク質生成物と抗生物質との同時投与が、 耐性を転換せしめて、抗生物質耐性生物を効果的に抗生物質感受性生物に変換す ることが考えられる。 グラム陰性生物のin vitroでの成長曲線に関する抗生物質の効果を測定するこ とで、BPIタンパク質生成物の存在あるいは欠如した中で、0〜24時間において 、BPIタンパク質生成物が抗生物質の初期の抗菌効果を高めることが示される。 初期の殺菌/成長阻止効果の向上は、治療結果を決定する上で重要である。 BPIタンパク質生成物は、補体、p15ならにびLBP、および免疫系の他の細胞な らびに要素を含む全血あるいは血清に存在する様々な宿主防御要素と相互作用す ると考えられていた。かような相互作用は、BPIタンパク質生成物の活性化の強 化に繋がると考えられる。これら相互作用が故に、BPIタンパク質生成物は、in vitroよりもむしろin vivoにて大きな効果を奏するものと期待されている。よっ て、in vitro試験結果はin vivoでの有用性を予測せしめるものであるが、in vi troでの活性の欠如が、in vivoでの活性の欠如を必ずしも示唆するものではない 。例えば、BPIは、グラム陰性細菌に関する殺菌効果に関して、通常の培地を用 いた検定よりも、全血あるいは血漿検定においてより大きな効果が認められてい る。〔Weiss et al.,J.Clin.Invest.90: 1122-1130(1992)〕このことは、 従来のin vitro系が、in vivoでのBPIの機能を促進あるいは強化する血液要素を 欠いていること、あるいは、従来の培地が、BPIタンパク質生成物の抗菌活性の 典型的な阻害剤である血清マグネシウムやカルシウムを生理学的成分として含む Mueller-Hiltonの生理学的濃度が高いことによるものと考えられる。さらに、宿 主において、BPIタンパク質生成物は、in vitro試験結果では認められず、ある いは当該試験結果 から予測できなかった臨床上の利点である、グラム陰性細菌の転座およびそれに 伴う内毒素の放出を中和するためにも使用できる。 BPIタンパク質生成物を、BPIタンパク質生成物の殺菌活性を強化する他の生成 物と共に投与することも意図されている。例えば、血清補体は、BPIタンパク質 生成物のグラム陰性殺菌活性を強化し、BPIタンパク質生成物と血清補体の組み 合わせは、相乗的な殺菌/成長阻害効果を示す。例えば、天然の15kDタンパク質 がBPI抗菌活性を強化することを述べた、Ooi et al.J.Biol.Chem.,265: 159 56(1990)およびLevy et al.,J.Biol.Chem.,268: 6038-6083(1990)を参 照のこと。また、1993年7月14日出願の米国特許出願No.08/093,201の一部継続 出願として1994年7月13日に出願された米国特許出願No.08/274,303に対応する 、共同所有に係る、係属中の1994年7月13日に出願された国際出願No.US94/078 34も参照のこと。本明細書に参考文献として取り入れたこれら出願は、リポ多糖 結合性タンパク質(LBP)およびLBPタンパク生成物を投与することにより、BPIタ ンパク質生成物のグラム陰性殺菌活性を高めるための方法が記載されている。CD 14免疫刺激特性を欠いたLBPタンパク質誘導体ならびに誘導ハイブリッドが記載 されている。 一般に、多くのタイプのグラム陽性細菌に対してBPIは非細胞毒性であると考 えられている。この毒性の欠如は、第一に、BPIのグラム陽性細菌の細胞壁に対 する小さい親和性と、BPIへの長い期間の暴露とそれに続くBPIによる損傷から細 胞質膜を保護しようとする細胞壁の役割によるものと考えられる。グラム陽性お よびグラム陰性細菌双方の原核細胞質膜は互いに、真核細胞質膜とは異なる同様 の構造を有しているので、細胞壁 が除去あるいは損傷していたり、あるいはBPIタンパク質生成物が高度の親和性 をもってして細胞表面を標的にすることができれば、BPIタンパク質生成物もグ ラム陽性細菌に対して細胞毒性になりうる。 本発明に理論に拘束されなければ、BPIタンパク質生成物は幾つかの作用機構 を有していると考えられる。BPIタンパク質生成物は、細胞壁ペプチドグリカン およびテイコ酸のようなLPS-様分子に結合することで、グラム陽性細菌の細胞壁 に直接作用するであろう。BPIが細胞質膜内部にまで到達すれば、BPIの療親媒性 は、BPIを細胞質膜にまで浸透せしめ、殺菌効果を呈することを許容するであろ う。よって、抗生物質、洗浄剤あるいは界面活性剤、抗ペプチドグリカン抗体、 抗リポテイコ酸抗体、およびリゾチームのような細菌の細胞壁に作用し、あるい は細胞壁を破壊する薬剤は、BPIの細胞質膜内部への到達を可能とすることでBPI の活性を強化ならしめるであろう。 同様に、細菌の細胞質膜内部でのBPIの作用も、細胞膜を介して抗生物質の浸 透を許容し、そして、細菌の生化学機能の影響を及ぼすことで、抗生物質の作用 を強化することになる。さらに、グラム陽性細菌感染は、腸内細菌叢および/ま たはLPSのストレス誘発による転座を引き起こすので、BPIはグラム陽性細菌を殺 菌し、LPSを中和して効果的に作用するであろう。 ヘパリン結合性を介して、BPIタンパク質生成物は、グラム陽性細菌の細胞外 マトリックス(ECM)および宿主細胞への結合にも干渉するであろう。グラム陽 性細菌、Staphylococcus aureus、Streptococcus mutans、およびStreptococcus pyogenes(グループA連鎖球菌)を含む多くの生物が、ヘパリン結合受容体を 発現することは先に示されている。これらヘパリン結合受容体は、ECM中のヘパ リン様分子および宿主細胞 、例えば、内皮細胞への生物の結合を媒介するものと考えられている。ヘパリン は、ヘパリン受容体を有する宿主細胞への生物の接着を媒介する橋としての機能 も果たす。 最後に、BPIタンパク質生成物は、ペプチドグリカンおよびテイコ酸のような グラム陽性細菌細胞壁成分に結合し、それにより、グラム陽性敗血症を誘発する これら細胞壁成分の作用を中和する。これら細胞壁成分は、グラム陽性敗血症お よび敗血症ショックにおいて重要な役割を果たすと考えられている。ペプチドグ リカンおよびテイコ酸の双方は、他の補体経路を活性化できる。グラム陽性細菌 の細胞壁成分は、TNF、IL-1およびIL-6を含む敗血症に関与するサイトカインの 生成を誘発する。[Bone,J.Critical Care,8:51-59(1993); Bone,Arch.Inte rn.Med.,154 :26-34(1994)]。高度に精製したグラム陽性細菌の細胞壁調製物 (ペプチドグリカンおよびテイコ酸鎖の共有結合と構造は改変されずに残ってい る)は、ヒトの単球によるTNF-αとIL-6の生成を刺激することが認められている 。[Heumann et al.,Infect.Immun.,62: 2715-2721(1994)]。 本発明による利点は、グラム陽性生物に対する抗生物質の治療効果を改善する ことで、グラム陽性細菌感染の優れた治療方法を提供できることにある。これに より、アミノグリコシド、バンコマイシン、リファンピン、リンコマイシン、ク ロラムフェニコール、およびフルオロキノロンのような非常に毒性が高く、ある いは非常に高価な抗生物質が低濃度の使用でも事足りるようになった。全身に及 ぶ毒性あるいは非常に大きな費用を理由に、いくつかの抗生物質の使用には制限 が課されていたが、治療効果を得るに必要な抗生物質の濃度が低減されたことで 、毒性および/または治療に要する費用が低減され、よって、 抗生物質のより広範な使用が可能となった。他の利点は、一つ以上の抗生物質に 対して通常は耐性を有しているグラム陽性細菌を治療できることにある。本発明 はまた、例えば、重大な(院内)感染の危険性の低減を伴う、治療期間の短縮、 集中治療室での看護期間の短縮、あるいは入院期間の短縮などの生命の安全性を も確保するものである。 本発明は、BPIタンパク質生成物単独、あるいは一つ以上の抗生物質との組み 合わせを接触せしめることで、グラム陽性細菌に汚染された液体あるいは表面の in vitroでの改善された除染方法も提供する。使用されるBPIタンパク質生成物 および抗生物質の量は、個々の物質は、殺菌/成長阻止効果を得るに十分な量あ るいは付加的または相乗的殺菌/成長阻止効果を得るに十分な量とする。これら 方法は、外科用器具および他の医療用具および人工関節を含む移植部材の殺菌な どの、様々なin vitroでの使用態様に適用できる。これら方法は、しばしば感染 問題を引き起こす静脈チューブやカテーテルなどの内侵性器具のin situ殺菌に も使用できる。 さらに、本発明は、BPIタンパク質生成物と、リンコマイシンやバンコマイシ ンなどのグラム陰性細菌の殺菌活性を有していない抗生物質を含むグラム陽性細 菌感染の治療のための薬学的組成物も提供する。この薬学的組成物は、薬学的に 許容可能な希釈剤、補体あるいは担体を任意に含むことができる。本発明の他の 態様として、BPIタンパク質生成物単独、あるいは一つ以上の抗生物質との組み 合わせを含む防腐性殺菌剤も提供される。 「LBPタンパク質誘導体」には、LBPには結合するが、LBPホロタンパク質独特 のカルボキシ末端に関連する免疫刺激活性要素ならびにLBPホロタンパク質独特 のCD14−媒介した免疫刺 激活性を欠いたことを特徴とする、リポ多糖結合性タンパク質(LBP)ホロタンパ ク質のアミノ酸配列の一部を有する、天然、合成および組換え的に生成したポリ ペプチドを含む。LBP誘導タンパク質は、いずれも本明細書に参考までに取り入 れた、1993年6月17日に出願された米国特許出願No.08/079,510の一部継続出願 として1994年6月17日に出願された共同所有に係る係属中の米国特許出願No.08 /261,660に対応する、1994年6月17日に出願されたPCT出願No.US94/06931に詳 細に記載されている。好ましいLBP誘導タンパク質は、約25kD以下の分子量を有 するN-末端LBP断片を含む。あるLBP N-末端断片は、配列番号:97および98に記 載のLBPのアミノ末端の最初の197個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を特徴とし 、LBP25と命名した。LBPタンパク質誘導体は、(アミノ酸の相同性から)BPIのL PS結合領域(アミノ酸配列17〜45、65〜99および142〜169を含む)に対応する( LBPアミノ酸配列17〜45、65〜99および141〜167によって定義した)三つの領域 の一つ以上の一部あるいは全部を有するポリペプチドも含む。LBPタンパク質誘 導体は、アミノ酸が追加、削除あるいは置換されたLBPホロタンパク質のアミノ 酸配列の一部を含み、そのLBPタンパク質誘導体は、LPS-結合活性を有している ものの、CD14が媒介した免疫刺激活性を欠いていることを特徴とする。あるLBP 誘導体は、LBP25ポリペプチド断片の第131位のアラニン残基がシステイン残基と 置換されている。 LBP誘導体は、LBPのアミノ酸配列の一部と、BPIタンパク質あるいは免疫グロ ブリン鎖のような少なくとも一つの他のポリペプチドの一部を有するLBP誘導ハ イブリッドタンパク質を含む。かような誘導体の一つに、BPIのアミノ酸残基1 −199の配列が続くLBPのアミノ酸残基1−197を含むLBP/BPIハイ ブリッドタンパク質(LBP(1-197)/BPI(200-456))がある。他のLBPハイブリッドタ ンパク質は、(BPIのような)他のLPS結合タンパク質のLPS結合ドメインの全部あ るいは一部が挿入あるは置換されたLBPアミノ酸配列を含む。 本明細書で使用する「BPIタンパク質生成物」とは、天然および組換え生成し たBPIタンパク質;BPIタンパク質の天然、合成、および組換えの生物学的に活性 なポリペプチド断片;ハイブリッド融合タンパク質および二量体を含む、BPIタ ンパク質の生物学的に活性なポリペプチド変異体あるいはその断片;および、シ ステイン置換した類似体を含む、BPIタンパク質の生物学的に活性なポリペプチ ド類似体あるいはその断片あるいはその変異体を包含する。本発明に従って投与 したBPIタンパク質生成物は、当該技術分野いかなる手段によっても生成および /または単離される。本明細書に参考文献として取り入れた、米国特許第5,198, 541号は、rBPI50と称する組換えBPIホロタンパク質とBPIの組換え断片を含むBPI タンパク質の発現のための方法とそれをコードする組換え遺伝子を開示している 。いずれも本明細書に参考文献として取り入れた、1993年5月19日に出願された 国際出願No.93/04752に対応し、共同所有に係る、係属中の米国特許出願No.07 /885,501の一部継続出願である1993年5月19日出願の米国特許出願No.08/072,0 63は、培地中の遺伝子的に形質転換した哺乳類宿主細胞にて発現し、そこから分 泌した組換えBPIタンパク質生成物の新規の精製方法、および安定で、均質な薬 剤調製物への導入に好適な組換えBPI生成物の大量調製の方法を開示している。 生物学的に活性なBPIの断片(BPI断片)は、断片分子が、ホロタンパク質のアミ ノ末端アミノ酸、中間アミノ酸、および/またはカルボキシ末端アミノ酸を欠い ていることを除けば、天 然ヒトBPIホロタンパク質と同じあるいは同様のアミノ酸配列を有する生物学的 に活性な分子を含む。かような断片の例として、Ooi et al.,J.Exp.Med.,17 4:649(1991)に記載の約25kDの天然ヒトBPIのN末端断片、およびGazzano-Santor o et al.,Infect.Immun.60: 4754-4761(1992)に記載の、rBPI23と称する、天 然ヒトBPIのN末端アミノ酸の1位から約193あるいは199位をコードするDNA の組換え発現生成物がある。その文献にて、発現ベクターを、第151位のバリン がGTCではなくGTGでコードされ、そして、第185位が(AAGで特定された)リジンで なく(GAGで特定された)グルタミン酸であることを除けば、前出のGray et al., の図1に記載された成熟したヒトBPIのN末端の31残基のシグナル配列および最 初の199個のアミノ酸を有する組換え発現生成物(rBPI23)をコードするDNAの 源として使用している。組換えホロタンパク質(rBPI)は、rBPI23に関して述べた 例外点ならびに第417位が(GTTで特定された)バリンでなく(GCTで特定された)ア ラニンであることを除けば、前出のGray et al.,の図1に記載された配列(配列 番号:145および146)を有する状態で生成する。他の例としては、本明細書に参 考文献として取り入れた、1995年3月11日に出願された国際出願No. に対応する、共同所有に係る、係属中の1994年3月11日に出願された米国特許出 願No.08/212,132に記載されたBPI断片の二量体がある。好ましい二量体生成物に は、単量体がBPIホロタンパク質の約1〜175あるいは約1〜199のN末端残基を 有するアミノ末端BPIタンパク質である二量体のBPIタンパク質生成物がある。特 に好ましい二量体生成物には、rBPI42二量体と称する、1〜193位のN末端残基 を有するBPI断片の二量体がある。 BPIの生物学的に活性な変異体(BPI変異体)は、組換えハイ ブリッド融合タンパク質に限定するものではないが、BPIホロタンパク質あるい はその生物学的に活性な断片、および少なくとも一つの他のポリペプチドの一部 、およびBPI変異体の二量体を含む。かようなハイブリッド融合タンパク質およ び二量体の例は、本明細書に参考文献として取り入れた、セオファンらによる、 共同所有に係る、係属中の米国特許出願No.07/885,911、その一部継続出願とし て1993年5月19日に出願された米国特許出願No.08/064,693、および対応する19 93年5月19日に出願された国際出願No.US93/04754に記載されており、アミノ末 端にBPIタンパク質あるいはその生物学的に活性な断片、そして、カルボキシ末 端に少なくとも一つの免疫グロブリンH鎖とその対立変異体を含むハイブリッド 融合タンパク質を含む。かようなハイブリッド融合タンパク質の他の例として、 BPI(1-199)-LBP(198-456)ハイブリッドと命名された、LBPの198から456位のアミ ノ酸をコードするDNAに接合した、BPIの1から199位のアミノ酸をコードするDNA の組換え発現生成物であり、これは、それぞれ本明細書に参考文献として取り入 れた、1993年6月17日出願の米国特許出願No.08/079,510の一部継続出願として 1994年6月17日に出願された共同所有に係る、係属中の米国特許出願No.08/261 ,660に対応する1994年6月17日に出願された国際出願No.US94/06931に記載され ている。 BPIの生物学的に活性な類似体(BPI類似体)は、BPIタンパク質生成物に限定す るものではないが、一つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸で置換されたものを 含む。例えば、本明細書に参考文献として取り入れた、共同所有に係る、係属中 の1993年2月2日に出願された米国特許出願No.08/013,801および対応する1994 年2月2日に出願された国際出願No.US94/01235は、システイン残基が異なるア ミノ酸で置換されたBPI とBPI断片のポリペプチド類似体を開示している。この出願に記載されている好 ましいBPIタンパク質生成物は、BPIホロタンパク質のN末端アミノ酸の第1位か ら約193あるいは199位のアミノ酸であり、第132位のシステイン残基がアラニン で置換され、rBPI21ΔcysあるいはrBPI21と称するアミノ酸をコードするDNA の発現生成物である。他の例として、例えば、本明細書に参考文献として取り入 れた、共同所有に係る、係属中の1994年3月11日に出願された米国特許出願No.0 8/212,132および対応する国際出願No. に記載されたBPI類似体の二量体 がある。 本発明の方法において有用な他のBPIタンパク質は、組換えあるいは合成手段 で生成したBPIから誘導したペプチド(BPI誘導ペプチド)あるいは当該BPIに基づ くペプチドであり、かようなペプチドとして、本明細書に参考文献として取り入 れた、1994年9月15日に出願された米国特許出願No.08/306,473に対応する、共 同所有に係る、係属中の1994年9月15日に出願された国際出願No.US94/10427、 および1993年3月12日に出願された米国特許出願No.08/030,644の一部継続出願 である、(1994年3月11日に出願された国際出願No.US94/02401に対応する)19 93年7月15日に出願された米国特許出願No.08/093,202の一部継続出願である、 1994年1月14日に出願された米国特許出願No.08/183,222の一部継続出願である 、1994年3月11日に出願された米国特許出願No.08/209,762に対応する1994年3 月11日に出願された国際出願No.US94/02465に記載されたものがある。 目下のところ好ましいBPIタンパク質生成物には、組換え的に生成したBPIのN 末端断片、特に、rBPI23あるいはrBPI21のような約21〜25kDの分子量を有するも の、あるいはこれらN末 端断片の二量体(例えば、rBPI42二量体)がある。さらに、好ましいBPIタンパ ク質生成物としては、rBPI50およびBPI誘導ペプチドがある。 BPIタンパク質生成物の投与は、好ましくは、BPIタンパク質生成物、および薬 学的に許容される希釈剤、賦形剤あるいは担体を含む薬学的組成物として投与さ れる。BPIタンパク質生成物は、BPIタンパク質生成物単独、あるいは公知の界面 活性剤、他の化学療法薬、あるいは他の公知の抗微生物薬剤と組み合わせて投与 される。BPIタンパク質生成物(例えば、rBPI50、rBPI23)を含む好ましい薬学 的組成物は、0.1重量%のポロキサマー188(Pluronic F-68、BASF Wyandotte、 パルシパニー、ニュージャージー州)および0.002重量%のポリソルベート80(T ween 80、ICI Americas Inc.、ウィルミントン、デラウェア州)を含んだクエ ン酸緩衝化した生理食塩水(5あるいは20mMクエン酸、150mM塩化ナトリウム、p H5.0)中での1mg/mlの濃度のBPIタンパク質生成物を含む。他のBPIタンパク質 生成物(例えば、rBPI21)を含む好ましい薬学的組成物は、5mMクエン酸、150m M塩化ナトリウム、0.2%ポロキサマー188および0.002%ポリソルベート80中での 2mg/mlの濃度のBPIタンパク質生成物を含む。かような好ましい組み合わせは、 本明細書に参考文献として取り入れた、1993年2月2日に出願された米国特許出 願No.08/012,360および1994年2月2日に出願された米国特許出願No.08/190,8 69に対応する、共同所有に係る、係属中の1994年2月2日に出願された国際出願 No.US94/01239に記載されている。 好適な抗生物質と、BPIタンパク質生成物と共に投与した時に治療効果を得る ための抗生物質濃度は、in vivoモデル、あるいはin vivo試験、例えば、in vit ro最小阻止濃度(MIC)と in vivoマウス腹膜炎あるいは本明細書で述べるウサギ菌血症分析によって決定 される。好適な抗生物質とは、細菌の細胞壁、細胞膜、タンパク質代謝系、ある いは核酸代謝系に作用する抗生物質である。これら抗生物質としては、β−ラク タマーゼ阻害剤の有無に関係しないβ−ラクタム、アミノグリコシド、テトラサ イクリン、スルホンアミドならびにトリメトプリム、バンコマイシン、マクロラ イド、フルオロキノロンならびにキノロン類、ポリミキシン、および他の抗生物 質を含む抗生物質あるいはこれらの組み合わせがある。好適な抗生物質の用量と 投与法は当該技術分野では公知のことであり、以下にその内容をまとめた。 ペニシリン グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をペニシリンと共 に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/ml〜100mg/kg の範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経口的に 投与される。ペニシリンは、一般に、日量で1μg/ml〜750mg/kgの範囲の用量、 好ましくは、成人の場合、日量で24g(あるいは、小児の場合、600mg/kg)を超 えない用量で、好ましくは以下の態様にて投与される。 ペニシリンGは、好ましくは、1日当たり600,000〜1,000,000単位の範囲の用 量を、非経口的に、成人に対して投与する。従来の投与方法では、大抵のグラム 陽性生物に対しては効果を示していた。肺炎球菌性髄膜炎の治療のために、ペニ シリンGは、2あるいは3時間の間隔を開けて、1日当たり20,000,000〜24,000 ,000単位の用量を投与していた。小児に対する、好ましいペニシリンGの非経口 投与量は、1日当た り300,000〜1,000,000単位である。1単位のペニシリンGは、0.6μgの純粋なナ トリウムペニシリンG(すなわち、1mgは1667単位に相当する)を含む。 アモキシシリンは、好ましくは、3回に等分して、1日当たり750mg〜1.5gの 範囲の用量を、非経口的に、成人に対して投与する。小児に対するアモキシシリ ンの好ましい非経口投与の量は、3回に等分して、1日当たり20〜40mg/kgの範 囲の用量である。アモキシシリンは、β−ラクタマーゼ阻害剤である、クラブラ ン酸と組み合わせても使用できる。アモキシシリン/クラブラン酸塩の組み合わ せの250mgの用量は、250mgのアモキシシリンと、125あるいは62.5mgのいずれか のクラブラン酸を含む。この組み合わせは、成人に対しては好ましくは、8時間 間隔で、3回に等分して、1日当たり750mgの用量で、また、重篤な感染症につ いては、3回に等分して、1日当たり1.5gの用量で経口的に投与する。小児に 対しては、3回に等分して、1日当たり20〜40mg/kgの用量を経口的に投与する 。 アンピシシリンは、好ましくは、3回もしくは4回に等分して、1日当たり6 〜12gの範囲の用量を、非経口的に、成人に対して投与する。小児に対するアモ キシシリンの好ましい非経口投与の量は、3回もしくは4回に等分して、1日当 たり50〜200mg/kgの範囲の用量である。小児での1日当たり400mg/kgに至る用量 、あるいは成人での1日当たり12gを、髄膜炎の治療のために非経口的に投与す る。アンピシリンは、β−ラクタマーゼ阻害剤である、スルバクタムと組み合わ せても使用できる。アンピシリン/スルバクタムとの組み合わせの1.5gの用量は 、1gのアンピシリンと、0.5gのスルバクタムを含む。この組み合わせは、成人 に対しては好ましくは、6時間間隔で、 4回に等分して、1日当たり12gの用量を超えないように、1日当たり6〜12g の用量で非経口的に投与する。 アズロシリンは、好ましくは、4回〜6回に等分して、1日当たり8〜18gの 範囲の用量を、非経口的に、成人に対して投与する。 カルベニシリンは、好ましくは、4回〜6回に等分して、あるいは連続注入に より、1日当たり30〜40gの範囲の用量を、非経口的に、成人に対して投与する 。生命にかかわる感染症を患った小児を治療するために、1日当たり600mg/kgに 至る用量が使用される。 メズロシリンは、好ましくは、4回〜6回に等分して、1日当たり100〜300mg /kgの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。通常の用量は、1日当たり1 6〜18g/kgであり、生命にかかわる感染症を患った患者を治療するために、4時 間間隔で、6回に等分して、1日当たり24gの用量を超えないように、1日当た り350mg/kgに至る用量が投与される。小児に対する好ましいメズロシリンの非経 口投与量は、1日当たり150〜300mg/kgの用量である。 ナフシリンは、好ましくは、4時間間隔で、6回に等分して、1日当たり3g の用量、重篤な患者にはその倍量を、静脈から成人に対して投与する。従来の投 与方法では、大抵のグラム陽性生物に対して効果を示していた。小児に対する、 好ましい非経口投与量は、12時間間隔で、2回に等分して、1日当たり20〜50mg /kgである。ナフシリンの好ましい経口投与量は、4〜6回に等分して、1日当 たり1〜6gの用量の範囲である。 オキサシリンは、好ましくは、4〜6回に等分して、1日当たり2〜12gの用 量を、非経口的に成人に対して投与する。従来の投与方法では、大抵のグラム陽 性生物に対して効果を示 していた。小児に対して、オキサシリンは、1日当たり100〜300mg/kgの用量が 投与される。 ピペラシリンは、好ましくは、2〜4回に等分して、100mg/kgあるいは1日当 たり6gの用量から、4〜6回に等分して、1日当たり24gの用量に至る用量を 、非経口的に成人に対して投与する。さらに高用量が副作用を呈すること無く、 使用されている。 ティカルシリンは、好ましくは、4〜6回に等分して、1日当たり4〜18gの 用量を、非経口的に成人に対して投与する。通常の用量は、1日当たり200〜300 mg/kgである。小児に対するティカルシリンの好ましい非経口投与量は、3、4 もしくは6回に等分して、1日当たり50〜300mg/kgである。ティカルシリン/ク ラブラン酸塩との組み合わせは、4〜6回に等分して、1日当たり200〜300mg/k g(ティカルシリン含量に基づく)の用量を、非経口的に成人に対して投与する 。成人に対する通常の用量は、4〜6回時間間隔にて(3gのティカルシリンと1 00mgのクラブラン酸を含む)3.1gを投与する。3gのティカルシリンと200mgの クラブラン酸を含む3.2gの組み合わせも使用できる。 一般に、ペニシリンあるいはセファロスポリン各々の筋内注射は2gまでが限 度であり、より大きい用量は、大きな体積を有する異なる筋肉に複数の注射を行 うことで投与すべきである。 セファロスポリン グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をセファロスポリ ンと共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg〜100 mg/kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経 口的に 投与される。セファロスポリンは、一般に、日量で1μg/kg〜500mg/kgの範囲の 用量、好ましくは、日量で16gを超えない用量で、好ましくは以下の態様にて投 与される。 セファマンドールは、好ましくは、3回に等分して、8時間間隔で、1日当た り1.5gから、生命にかかわる感染症に対しては、6回に等分して、4時間間隔 で、1日当たり12gに至る範囲の用量を、非経口的に、成人に対して投与する。 小児に対するセファマンドールの好ましい非経口投与の量は、3〜6回に等分し て、1日当たり12gを超えない範囲で、1日当たり50〜150mg/kgの範囲の用量で ある。 セファゾリンは、好ましくは、3回に等分して、8時間間隔で、1日当たり75 0mgの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。生命にかかわる感染症を患 った患者に関しては、4回に等分して、6時間間隔で、1日当たり6gの用量を 、また、稀な症例の場合には、1日当たり12gまでの用量が投与される。小児に 対するセファゾリンの好ましい非経口投与の量は、3もしくは4回に等分して、 1日当たり20〜50mg/kg、重篤な感染症に対しては1日当たり100mg/kgである。 セフォニシドは、好ましくは、1日当たり1回、500mgの用量から、生命にか かわる感染症を患った患者に対する1日当たり1回、2gの用量を成人に対して 投与する。筋内投与は、1gの注射を二回に分けて2gを投与する。 セフォペラゾンは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、1日当たり 2gから、生命にかかわる感染症に対しては、2、3もしくは4回に等分して、 1日当たり12gに至る範囲の用量を、非経口的に、成人に対して投与する。1日 当たり16gまでは、合併症を引き起こさずに投与できる。 セフォテタンは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔 で、1日当たり1〜4gの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。1日当 たり6gを超えない範囲であれば、生命にかかわる感染症に対しては、より高用 量のセフォテタンを投与することができる。 セフォタキシムは、好ましくは、1日当たり1〜12gの用量を、生命にかかわ る感染症に対しては1日当たり12g(4時間間隔で2g)の用量を超えない範囲 で、非経口的に、成人に対して投与する。小児に対するセフォタキシムの好まし い非経口投与量は、4〜6回に等分して、1日当たり50〜180mg/kgである。 セフォキシチンは、好ましくは、3、4もしくは6回に等分して、1日当たり 3〜12gの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。小児に対するセフォキ シチンの好ましい非経口投与量は、4〜6回に等分して、1日当たり12gの用量 を超えない範囲で、1日当たり80〜160mg/kgである。 セフタジダイムは、好ましくは、2〜3回に等分して(8あるいは12時間間隔 で)、1日当たり500mgの用量から、1日当たり最高6gの用量に至る範囲の用 量を、非経口的に、成人に対して投与する。小児に対するセフタジダイムの好ま しい静脈からの投与量は、1日当たり30〜50mg/kgから1日当たり最高6gの用 量である。 セフティゾキシムは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、1日当た り1gの用量から、生命にかかわる感染症に対しては、3回に等分して、8時間 間隔で、1日当たり12gの用量に至る範囲の用量を、非経口的に、成人に対して 投与する。通常の成人に対する用量は、8〜12時間間隔で、1〜2gである。小 児に対する好ましい非経口投与の量は、日量として200mg/kgの、6あるいは8時 間間隔で50mg/kgである。 セフトリアキソンは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、1日当た り1〜2gの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。1日当たり4gを超 えない用量の高用量が投与できる。小児に対するセフトリアキソンの好ましい非 経口投与の量は、1日当たり2gを超えない範囲で、1日当たり50〜75mg/kgで ある。髄膜炎に対しては、1日当たり4gを超えない範囲で、1日当たり100mg/ kgセフトリアキソンが投与される。 セフロキシムは、好ましくは、3回に等分して、8時間間隔で、1日当たり2. 25〜4.5gの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。生命にかかわる感染 症に対しては、4回に等分して、6時間間隔で、1日当たり6gの用量を、また 、髄膜炎に対しては、3回に等分して、8時間間隔で、1日当たり9gの用量を 投与する。小児に対するセフロキシムの好ましい非経口投与の量は、3〜4回に 等分して、1日当たり50〜150mg/kgであり、髄膜炎の場合には、1日当たり240m g/kgである。 セファレキシンは、経口投与のために製剤化され、好ましくは、2〜4回に等 分して、1日当たり1〜4gの用量を、経口的に、成人に対して投与する。小児 に対する好ましい投与の量は、等分して、1日当たり20〜50mg/kgであり、重症 の感染症の場合には用量を倍量にする。 セファロシンは、通常は、1日当たり8〜12gの用量を、非経口的に、成人に 対して投与する。 他のβ−ラクタム グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をイミペネム抗生 物質と共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg〜1 00mg/kgの範囲の用量、好 ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経口的に投与される。イミ ペネムは、一般に、日量で1μg/kg〜100mg/kgの範囲の用量で、好ましくは以下 の態様にて投与される。 イミペネムは、イミペネムを迅速に不活性化する腎臓のジペプチダーゼ酵素の 阻害剤であるシラスティンとの組み合わせの形態にて入手できる。この組み合わ せは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、1日当たり1〜1.5gの用 量を、筋内投与にて、成人に対して投与する。1日当たり1.5gを超える量の筋 内投与は避けるべきである。この組み合わせは、好ましくは、4回に等分して、 6時間間隔で、1日当たり1〜4gの用量を、静脈投与にて、成人に対して投与 するが、1日当たり50mg/kgあるいは4gを超える用量の投与は避けるべきであ る。 グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をモノバクタム抗 生物質と共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg 〜100mg/kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で 非経口的に投与される。モノバクタムは、一般に、日量で1μg/kg〜200mg/kgの 範囲の用量で、好ましくは以下の態様にて投与される。 アズトレオナムは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、1日当たり 1gの用量から、生命にかかわる感染症に対しては、3〜4回に等分して、1日 当たり8gの推奨された最高用量までの用量を投与する。 アミノグルコシド グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物 をアミノグルコシドと共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日 量で1μg/kg〜100mg/kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの 範囲の用量で非経口的に投与される。アミノグルコシドは、一般に、日量で15mg /kgを超えず、日量で1μg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で、好ましくは以下の態様 にて投与される。 アミノグルコシドを投与する場合、用量の適合性と安全性を確保するために、 血清ピークと通しの濃度を測定するのが望ましい。毒性ピークと通しの濃度を避 けるために、一般に、用量は調整される。アミカシンは、好ましくは、1日当た り1.5gの用量を超えない範囲にて、2〜3回に等分して、8もしくは12時間間 隔で、1日当たり15mg/kgの用量を、非経口的に、成人および小児に対して投与 する。不完全な感染症に対しては、2回に等分して、1日当たり500mgのアミカ シンを投与する。35μg/mlを超えるアミカシンの長い血清ピーク濃度および10μ g/mlを超える長い通し濃度を避けるために、用量は調整すべきである。 ゲンタマイシンは、好ましくは、3回に等分して、8時間間隔で、1日当たり 3mg/kgの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。生命にかかわる感染症 に対しては、3〜4回に等分して、1日当たり5mg/kgまでのゲンタマイシンを 投与し、臨床状態に応じ可能な限り速やかに1日当たり3mg/kgの用量まで濃度 を落とす。小児に対するゲンタマイシンの好ましい非経口投与の量は、1日当た り6〜7.5mg/kgである。12μg/mlを超えるゲンタマイシンの長い血清ピーク濃度 および2μg/mlを超える長い通し濃度を避けるために、用量は調整すべきである 。 ネチルマイシンは、好ましくは、2回に等分して、12時間間 隔で、1日当たり3mg/kgの用量から、重大な全身感染に対しては、2もしくは 3回に等分して、1日当たり6.5mg/kgの用量までの範囲の用量を、非経口的に、 成人に対して投与する。小児に対する好ましい非経口投与の量は、2もしくは3 回に等分して投与する、1日当たり5.5〜8mg/kgである。16μg/mlを超えるネチ ルマイシンの長い血清ピーク濃度および4μg/mlを超える長い通し濃度を避ける ために、用量は調整すべきである。 トブラマイシンは、好ましくは、3回に等分して、8時間間隔で、1日当たり 3mg/kgの用量を、非経口的に、成人に対して投与する。生命にかかわる感染症 に対しては、3〜4回に等分して、1日当たり5mg/kgまでのトブラマイシンを 投与し、臨床状態に応じ可能な限り速やかに1日当たり3mg/kgの用量まで濃度 を落とす。小児に対するトブラマイシンの好ましい非経口投与の量は、1日当た り6〜7.5mg/kgである。12μg/mlを超えるトブラマイシンの長い血清ピーク濃度 は避けるべきであり、また、毒性に関与する2μg/mlを超える長い通しレベルは 、組織での蓄積として現れる。 BPIタンパク質生成物と、アミカシン、ゲンタマイシン、ネチルマイシンおよ びトブラマイシンを含むアミノグリコシドとの同時投与は、治療効果を得るに必 要なこれら毒性の抗生物質の用量の低下を可能ならしめる。 テトラサイクリン グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をテトラサイクリ ンと共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg〜100 mg/kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経 口的に 投与される。テトラサイクリンは、一般に、日量で1μg/kg〜50mg/kgの範囲の 用量で、好ましくは以下の態様にて投与される。 テトラサイクリン抗生物質は、一般に、1日当たり1〜2gの用量を、成人に 対して投与する。例外はドキシサイクリンであって、これは1日当たり100〜200 mgの用量を成人に対して投与し、また、1日当たり2mg/lbの用量を小児に対し て投与する。テトラサイクリンは、2回に等分して、1日当たり0.5〜2gの用 量を、非経口的に、成人に対して、また、1日当たり10〜20mg/kgの用量を、非 経口的に、小児に対して投与する。 スルホンアミド グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をスルホンアミド あるいはトリメトプリムと共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に 、日量で1μg/kg〜100mg/kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/ kgの範囲の用量で非経口的に投与される。スルホンアミドあるいはトリメトプリ ムは、好ましくは、日量で960mgのトリメトプリムと4.8gのスルファメソキサゾ ールの合計用量を超えない範囲で、一般に、日量で1μg/kg〜150mg/kgの範囲の 用量で、好ましくは以下の態様にて投与される。 トリメトプリム/スルファメソキサゾールの組み合わせは、トリメトプリムと スルファメソキサゾールが1:5の比(例えば、16mgのトリメトプリムと80mgの スルファメソキサゾール)で含有された製剤の形態で入手できる。この組み合わ せは、好ましくは、2〜4回に等分して、日量で(トリメトプリム成分の重量に 基づいた)8mg/kg〜10mg/kgの範囲の用量を成人 あるいは小児に静脈より投与する。Pneumocystis cariniiによる感染に対して、 この組み合わせを、3〜4回等分して、1日当たり(トリメトプリム成分の重量 に基づいた)20mg/kgの用量から、1日当たり900mgのトリメトプリムと4.8gのス ルファメソキサゾールからなる推奨された最高用量に至る用量を投与できる。ト リメトプリム単独で、好ましくは、1日当たり200mgの用量を成人に対して経口 的に投与する。スルファメソキサゾール単独では、好ましくは、1日当たり2〜 3gの用量を成人に対して、また、1日当たり50〜60mg/kgの用量を小児に対し て経口的に投与する。 フルオロキノロン グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をフルオロキノロ ンあるいはキノロンと共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日 量で1μg/kg〜100mg/kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの 範囲の用量で非経口的に投与される。フルオロキノロンあるいはキノロンは、好 ましくは、日量で1gを超えない範囲で、一般に、日量で1μg/kg〜50mg/kgの 範囲の用量で、好ましくは以下の態様にて投与される。 ノルフロキサシンは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、日量で40 0〜800mgの用量を、経口的に、成人に対して投与する。シノキサシンは、好まし くは、2もしくは4回に等分して、1日当たり1gの用量を、経口的に、成人に 対して投与する。シプロフロキサシンは、好ましくは、日量で400〜800mgの用量 を、成人に対して静脈から、あるいは、2回に等分して、12時間間隔で、日量で 500〜1500mgの用量を、経口的に投与する。オフロキサシンは、好ましくは、日 量で 400〜800mgの用量を、成人に対して静脈から、あるいは、2回に等分して、12時 間間隔で、日量で400〜800mgの用量を、経口的に投与する。 バンコマイシン グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をバンコマイシン と共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg〜100mg /kgの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経口 的に投与される。バンコマイシンは、一般には、日量で1mg/kg〜50mg/kgの範囲 の用量で投与され、好ましくは、2もしくは4回に等分して、6もしくは12時間 間隔で、1日当たり2gの用量を非経口的に成人に対して投与する。小児に対す る好ましい投与量は、4回に等分して、6時間間隔で投与する、40mg/kgの用量 である。従来の投与方法において、バンコマイシンは大抵のグラム陽性生物に対 しては効果を示していた。 マクロライド グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物をマクロライドと 共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg〜100mg/k gの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経口的 に投与される。マクロライドは、一般には、日量で1μg/kg〜100mg/kgの用量で 、好ましくは、以下の態様にて投与される。 エリスロマイシンは、好ましくは、4回に等分して、6時間間隔で、あるいは 連続注入により、1日当たり15〜20mg/kgの用量を、静脈から成人および小児に 対して投与する。非常に重篤な感染症の症例の場合、1日当たり4gに至る用量 が使用 される。 クラリスロマイシンは、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、日量50 0mg〜1gの用量を、経口的に、成人に対して投与する。 アジスロマイシンは、好ましくは、治療初日に500mgの用量を成体に、経口的 に投与し、全投与量が1.5gになるように、その後4日間にわたって、1日1回 、250mgの用量を投与する。 その他 グラム陰性細菌感染の治療のために、BPIタンパク質生成物を他の抗生物質と 共に投与する場合、BPIタンパク質生成物は、一般に、日量で1μg/kg〜100mg/k gの範囲の用量、好ましくは、日量で1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で非経口的 に投与される。 ポリミキシンBは、一般には、日量で1単位/kg〜45,000単位/kgの範囲の用量 で投与され、好ましくは、2回に等分して、12時間間隔で、1日当たり15,000〜 25,000単位/kgの範囲の用量で、成人および小児に対して、静脈から投与する。 これら抗生物質の注射投与は大きな痛みを伴うものであるが、1日当たり25,000 〜30,000単位/kgの範囲の用量で、筋内に投与される。1日当たり45,000単位/kg というポリミキシンBの用量が、新生児のPseudomonas aeruginosa敗血症の治療 のための臨界臨床試験にて使用されている。ポリミキシンBは、Pseudomonas ae ruginosa髄膜炎の治療手段の一つであり、成人および若年者に対しては、3〜4 日間、1日1回、50,000単位の用量を、次いで、1日おきに50,000単位の用量を 、好ましくは、包膜内に投与し;また、2歳以下の小児に対しては、3〜4日間 、20,000単位の用量を、次いで、1日おきに25,000単 位の用量を、包膜内に投与する。 クロラムフェニコールは、好ましくは、4回に等分して、1日当たり50mg/kg の用量を、静脈から成人に対して投与するものであり、症例によっては、1日当 たり100mg/kgの用量まで投与できる。小児の場合、非常に重篤な感染症の症例に おいては1日当たり100mg/kgの用量まで投与できるが、好ましくは、1日当たり 25mg/kgの用量を、静脈から投与する。 クリンダマイシンは、好ましくは、2、3あるいは4回に等分して、1日当た り600mg〜4.8gの範囲の用量を、非経口的に成人に対して投与する。各筋内注射 において、600mgの用量を超えない用量とするのが望ましい。小児の場合、クリ ンダマイシンは、好ましくは、3あるいは4回に等分して、1日当たり15〜40mg /kgの範囲の用量を、非経口的に投与する。 代謝機能の低下および/またはかような機能低下状態の患者の薬剤排出機能が 故に、腎障害あるいは肝不全の患者に対するすべての抗微生物薬剤の用量は調整 すべきである。一般に体重の関係から、小児に対する用量は減じるべきである。 最適の効果用量、およびBPIタンパク質生成物と抗生物質の同時投与のための投 与方法を、当業者であれば容易に調整できる。 本発明の他の態様ならびに利点は、以下の実施例を考慮すれば理解されるであ ろう。実施例1は、グラム陽性生物Bacillus subtilisに関するBPIタンパク質生 成物のin vitroでの殺菌効果のプレート分析に関して述べている。実施例2は、 グラム陽性生物Staphylococcus aureusおよびその対数増殖期変異体に関するBPI タンパク質生成物のin vitroでの成長阻害に関する。実施例3では、Staphyloco ccus aureus、ペニシリン処理したS.aureus、およびその対数増殖期変異体につ いて、放射拡散分析、プレート分析、タンパク質合成分析、 および培地合成阻害分析での測定による、様々なBPIタンパク質生成物のin vitr oでの殺菌効果および成長阻害効果が評価されている。実施例4および5は、Str eptococcus PneumoniaeとEnterococcus faecalisそれぞれの対数増殖期変異体に 関する様々なBPIタンパク質生成物のin vitroでの成長阻害の評価について述べ ている。実施例6では、マイコプラスマAcholeplasma laidlawiiに関する様々な BPIタンパク質生成物の効果を検定している。実施例7では、様々なグラム陽性 対数増殖期変異体に関するLBP-BPIハイブリッドのin vitroでの成長阻害の評価 について述べている。実施例8は、S.aureusに関する様々なBPI合成ペプチドの 成長阻害効果を測定する放射拡散分析に関する。実施例9〜17では、様々なグラ ム陽性生物、すなわち、S.pnemoniae(実施例9)、Streptococcus pyogenes( グループA連鎖球菌)(実施例10)、streptococcus agalactia(グループB連鎖球 菌)(実施例11)、Streptococcus bovis(実施例12)、E.faecalis(実施例13)、Ent erococcus faecium(実施例14)、様々なEnterococcus種細菌(実施例15)、S.au reus(実施例16)、Staphylococcus epidermidis(実施例17)、および様々なコア グラーゼ陰性Staphylococcus種細菌(実施例18)に関するBPIタンパク質生成物 の殺菌/成長阻害効果および抗生物質感受性増大効果の大規模なスクリーニング について述べている。実施例19では、Streptococcus pneumoniae、Staphylococc us aureusおよびEnterococcus faecalisに関するBPIおよび選択された抗生物質 のin vitroでの初期殺菌効果を検定する。実施例20では、Streptococcus pneumo niae(特にペニシリン耐性株)、Staphylococcus aureus(特にメチシリン耐性 株)、Enterococcus(特に複数の薬剤耐性を有する株)、およびCorynebacteria に関するBPIタンパク 質生成物単独あるいは抗生物質との併用による効果を評価する。実施例22では、 動物モデルでのBPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質との併用による効果 を評価する。 実施例1 Bacillus subtilisに関する BPIタンパク質生成物のin vitro殺菌効果 グラム陽性生物Bacillus subtilis(ATCC受託No.6633)に関するBPIタンパク 質生成物の効果を決定するためにプレート分析を行った。Brain Heart Infusion (BHI)培地(Difco、デトロイト、ミシガン州)にて、37℃で一晩、細胞をインキュ ベートした後、BHI培地を用いて細胞懸濁液の光学濃度をA600=〜1.0(約5×108 CFU/mlに相当)に調整した。0.9%の塩化ナトリウムで細胞を2度洗浄し、約1〜 2×104CFU/mlの細胞濃度になるように、D-PBS、pH7.4にて再懸濁した。EarlのM EM培地(GIBCO、グランドアイランド、ニューヨーク州)で細胞を1:10に希釈し 、希釈した細胞(ウェル当たり200〜400個の細胞)190μlを低タンパクを結合す る96ウェルプレート(corning、ニューヨーク州)に注いだ。様々な濃度のrBPI23 を、各ウェルにて総体積200μl当たり200〜1000nMの範囲の最終濃度となるよう にウェルに添加し、プレートを37℃で30分もしくは60分間インキュベートした。 インキュベートした後、各ウェルの100μlをBrain Heart Infusion寒天培地に移 した。37℃で24時間インキュベートした後、各プレートへのコロニーの数を計測 した。 多くの実験にて、rBPI23は200nM(約4.5μl/ml)の低濃度でも明瞭かつ再現性 のある殺菌活性を呈した。代表的な実験の結果を図1に示し、図中、rBPI23によ る殺菌効果は用量依存 性であると認められる。rBPI23による殺菌効果は、インキュベートして30分後よ りもむしろ、60分後において顕著であった。 実施例2 Staphylococcus aureusおよびその対数増殖期変異体に関する プレート分析でのBPIタンパク質生成物のin viLro殺菌効果 グラム陽性生物Staphylococcus aureus(ATCC受託No.19636)およびその対数増 殖期変異体(ATCC受託No.19640)に関するBPIタンパク質生成物の効果を試験する ためにプレート分析を行った。対数増殖期変異体は、細胞壁を欠いており、血清 (通常、5〜10%ウマ血清)を含む浸透性保護培地の存在下で成長させる必要が ある。 S.aureusあるいは対照としてのEscherichia coli J5を、それぞれ、Heart In fusion(HI)培地およびトリプトン酵母抽出物(TYE)培地(共にDifco社製、デト ロイト、ミシガン州)にて一晩成長せしめ、同じ培地で1:100に希釈し、そして 、中間対数増殖期(A600=〜0.5)まで成長せしめた。S.aureusの対数増殖期変異 体細胞を、3.5%塩化ナトリウムと10%ウマ血清を添加したHI培地を含む寒天培 地にて成長せしめ、そして、コロニーを、約0.2〜0.6のA600になるまで、3.5% 塩化ナトリウムを添加したHI培地の4mlで再懸濁した。細胞懸濁液を、3.5%塩 化ナトリウムと5%ウマ血清を添加したHI培地を含む寒天培地に播いた。rBPI21 を、2μl当たり0.75〜3μgの量をプレートの表面にスポットした。S.aureus のプレートでは成長阻害は認められなかったが、対数増殖期変異体に関しては、 3μgのrBPI21で明瞭な成長阻害が、また、1.5および0.75μgのrBPI21では部分 的な成長阻害が認められた。 対照のE.coliプレートでは、1.0および0.5μgのrBPI21 で明瞭な成長阻害が認められた。緩衝液のみがスポットされたプレートでは、成 長阻害は認められなかった。これらの結果は、細胞壁を欠いた状態では、グラム 陽性細菌S.aureusの成長はBPIタンパク質生成物の影響を受けることを示唆して いる。 実施例3 Staphylococcus aureus、ペニシリン処理したS.aureus、 およびS.aureusの対数増殖期変異体に関する様々な BPIタンパク質生成物のin vitro効果 A.放射拡散分析での評価 S.aureus(ATCC受託No.19636)およびペニシリン処理したS.aureus、あるいは 浸透性保護培地で成長させた天然の対数増殖期変異体(ATCC受託No.19640)に関す る様々なBPIタンパク質生成物の効果を決定するために放射拡散分析を行った。 ペニシリンはペプチドグリカン合成を阻害するので、ペニシリンに接触した細胞 はその成長が一旦始まれば細胞壁を喪失する。浸透性保護がなされれば、細胞は ある程度生存し、対数増殖期変異体として成長する。この実施例は、ペニシリン 処理した細胞あるいは対数増殖期変異体が、細胞壁という保護壁が欠如したこと で、BPIタンパク質生成物に感受的であるか否かを決定するものである。 S.aureusの細胞を、HI培地にて一晩中間対数増殖期にまで成長せしめ、同じ 培地を用いて光学濃度をA600=〜0.25(約2.5×108細胞/mlに相当)あるいは2.5( 約2.5×109細胞/mlに相当)に調整した。80μlの細胞懸濁液を、0.8%アガロース 、3.5%塩化ナトリウムを添加したHI培地、および1000単位/mlのペニシリンG(S igma、セントルイス、ミズーリー州) を含んだ8mlの融解した寒天培地に添加した。この寒天を90mmプレートに注ぎ、 固化せしめた。対照として、同じS.aureusの細胞を、光学濃度をA600=0.25、0 .025、0.0025あるいは0.00025に調整し、ペニシリンを含まない同じ培地に添加 した。直径3mmの穴もしくはウェルを90mmプレート上に作り、rBPI21の2倍連続 希釈液を各ウェルに添加した。ペニシリン処理した細胞に関して、240、120、60 、30、15および7.5pmol/ウェルのrBPI21を試験し、これらプレートを二酸化炭素 インキュベーターにて、37℃で、48時間インキュベートした。(ペニシリンGを 含まないプレートで成長した)対照細胞に関して、400、200、100および50pmol/ ウェルのrBPI21を試験し、これらプレートを24時間インキュベートした。そして 、これらプレートを阻害面積に関して検定した。図2に示した結果から、BPIタ ンパク質生成物が用量依存態様で細菌の成長を阻害しており、30pmol/ウェルと いう低濃度のrBPI21でもペニシリン処理したS.aureus細胞の成長を阻害してい ることが伺える。対照的に、最高濃度(400pmol)のrBPI21でも、ペニシリンを用 いない対照のS.aureus細胞に関しては効果が認められなかった。 これら結果は、通常のS.aureusがBPIタンパク質生成物に感受的でないにもか かわらず、細胞壁合成を阻害して細胞壁を喪失せしめるペニシリンでの処理によ り感受性が付与できることを実証するものである。このことは、細胞壁が除去さ れ、細胞質膜が露出すれば、グラム陽性細菌はBPIタンパク質生成物に対して感 受的になることを示唆している。 上記結果を確認するために、天然のS.aureusの対数増殖期変異体に関して放 射拡散分析を行った。3.5%塩化ナトリウム、10mM塩化カルシウム、および1000 単位/mlのペニシリンG を添加したHI培地にて細胞を、A600=〜0.3に至るまで一晩成長せしめた。これ ら細胞は希釈せずに、あるいは1:10に希釈して用いた。80μlの細胞懸濁液を、 0.8%アガロース、3.5%塩化ナトリウムを添加したHI培地を含んだ8mlの融解し たHI寒天培地に添加した。この寒天を90mmプレートに注ぎ、固化せしめた。対照 として、3.5%塩化ナトリウム、10mM塩化カルシウム、および1000単位/mlのペニ シリンGを添加したHI培地でA600=2.5に調整した80μlの通常のS.aureus細胞 を用いて、同じ培地を用いたプレートも調製した。直径3mmの穴もしくはウェル を90mmプレート上に作り、5μg/μl(あるいは240pmol/5μl)から始まる、rBPI21 の2倍連続希釈液5μlを各ウェルに添加した。これらプレートを48時間イン キュベートし、阻害面積に関して検定した。図3に示したこの実験の結果は、対 数増殖期変異体もBPIタンパク質生成物に感受的であることを実証している。 ペニシリン処理したS.aureusに関する様々なBPIタンパク質生成物、rBPI23、 rBPI21、rBPI50、BPI-免疫グロブリン融合体(Theofan et alによる1992年5月1 9日出願の米国出願No.07/885,911および1993年5月19日出願の米国出願No.08/0 64,693に記載のl.c."p"ING4512の発現生成物)およびrBPI42二量体(Amons et a lによる1994年3月11日出願の米国出願No.08/212,131に記載のN-末端(1-193)BP Iの二量体態様)の効果そ評価するために、さらに放射拡散分析を行った。3.5% 塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、および1000単位/mlのペニシリンGを添 加したHI培地でS.aureusを対数増殖期まで成長せしめ、そして、A600=〜0.002 5にまで調整した。そして、3.5%塩化ナトリウム、0.8%アガロース、および100 0単位/mlのペニシリンGを添加したHI培地を含む融解したHI寒 天培地に、1:100の希釈液になるように細胞懸濁液を添加し、次いで寒天培地を 固化せしめた。各BPIタンパク質生成物の連続2倍希釈液5μlを、プレートに設 けた3mmウェルに添加した。24時間インキュベートした後、成長阻害に関してプ レートを検定した。図4に示したこれら分析の結果は、これらBPIタンパク質生 成物はすべて、BPI-免疫グロブリン融合体およびrBPI42二量体において最も顕著 に、ペニシリン処理したS.aureusの成長を効果的に阻害したことを実証してい る。 BPIタンパク質生成物rBPI23(5μg/ウェル)、rBPI21(10μg/ウェル)、rBP I42二量体(5μg/ウェル)、rBPI50(20μg/ウェル)およびrBPI-Ig融合体(5 μg/ウェル)を用いて、他の細菌種Staphylococcus epidermidis(ATCC受託No.3 5983)、Enterococcus faecalis(ATCC受託No.4200)、およびStreptococcus pneu moniae(ATCC受託No.35088)に関して、これら実験を繰り返したところ、これ らBPIタンパク質生成物のいずれについても成長阻害は認められなかった。これ ら結果は、この分析では、通常の形態にあるこれら細菌種は、実験で用いた濃度 のBPIタンパク質生成物には感受性を有していないことを示すものである。これ らBPIタンパク質生成物の濃度をさらに大きくすれば、ことなる感受性の結果が 得られるかもしれない。 細菌の形態のS.aureus(ATCC No.19636)とその対数増殖期変異体(ATCC No .19640)に関する他のBPIタンパク質生成物、BPI-誘導体ペプチドによる効果も 、この放射拡散分析にて評価した。細胞を、HI培地(細菌形態用)あるいは3.5 %塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、および1000単位/mlのペニシリンGを 添加したHI培地(対数増殖期変異体用)にて、対数増殖期まで成長せしめた。rB PI42二量体およびBPI-誘導体 ペプチド、(後出の実施例8および表1に記載の)XMP.13、XMP.30、XMP.48およ びXMP.102を、(カルシウムとマグネシウムを含まない)PBSに〜2mg/mlにまで 溶解し、そして、吸光度係数から予想される吸光度と280nMでの吸光度を比較し て決定した濃度を補正する。細菌をアガロース中に入れ、様々な濃度のペプチド またはrBPI42二量体の5μl画分を各ウェルに入れ、これらプレートを37℃で24 時間(細菌形態)あるいは48時間(対数増殖期変異体)インキュベートした。図 5および6に示した結果は、XMP.48は細菌形態に対して活性があり、試験したペ プチドすべてが対数増殖期変異体に対して活性があったことを示している。rBPI42 二量体は、いずれのペプチドに対してもモルベースにて約10倍以上の活性を呈 した反面、XMP.13の活性は最も小さかった。 S.aureusの対数増殖期変異体およびペニシリン処理株に関して、BPI-誘導体 ペプチド、XMP.14、XMP.2、XMP.13、XMP.30、XMP.48、およびXMP.102を用いた 試験を繰り返した。図7および8に示した結果は、XMP.14は対数増殖期変異体に 対して全く不活性であり、またXMP.2は対数増殖期変異体およびペニシリン処理 株のいずれにもXMP.13よりも小さい活性しか呈さなかったことを示している。 B.S.aureus対数増殖期変異体を用いたプレート分析 およびタンパク質合成分析における評価 rBPI42二量体お相対強度を確認すべくプレート分析を行い、殺菌効果の経時変 化を調べた。0.4Mまでの塩化ナトリウムと5mM塩化カルシウムを添加したHI培地 にて細胞をA600=0.3(〜3×108細胞/ml)にまで成長せしめ、塩化ナトリウムを 添加したPBSで1:100に希釈し、rBPI21、rBPI50、rBPI42二量体およ び緩衝液と共にインキュベートし、そして塩化ナトリウムと1%ウマ血清を含む HI寒天に播種した。その結果、2時間の時点で、rBPI42二量体は、緩衝液処理し た細胞と比較してコロニー形成単位(CFUs)を75%減少せしめていた。播種前に緩 衝液あるいは50μg/mlのrBPI42二量体と共に5時間までの細胞のインキュベーシ ョンを行ったところ、3時間にて二量体による至適殺菌状態に至った。これらの 分析にて、rBPI42二量体が、rBPI50あるいはrBPI21のいずれの単量体よりも一貫 した相当の殺菌強度を示した。これら実験をさらに進めるべく、S.aureusの対 数増殖期変異体のタンパク質合成に関するこれらBPIタンパク質生成物の効果を 検定した。これら実験にて、0.4Mまでの塩化ナトリウムと5mM塩化カルシウムを 添加したHI培地にて細胞をA600=0.5(〜5×108細胞/ml)にまで成長せしめ、塩 化ナトリウムを添加したHI培地で1:100に希釈し、BPIタンパク質生成物と共にイ ンキュベートした。37℃でのインキュベーションに続いて、0.4μlの14Cアミノ 酸を添加し、37℃でのインキュベーションを30分間継続した。少なくとも30分間 、14Cアミノ酸の添加を一定して行った。タンパク質合成を停止するために3ml の冷10%TCAで細胞を処理し、そして、細胞から遊離した14Cアミノ酸を放出せ しめた。そして、細胞を0.45μmの孔径のHAミリポアフィルター(Milipore、ベッ ドフォード、マサチューセッツ州)に適用し、3mlの10%TCAで、そして5mlの水 で洗浄を行った。フィルターを乾燥および計測し、対照試料に対する取り込まれ た14Cアミノ酸の率を算出した。50μg/mlのrBPI42二量体を用いた至適インキュ ベーション時間を決定するための最初の実験では、タンパク質合成の最大阻害( 〜90%)が2時間で達成された。様々な濃度のBPIタンパク質生成物と14Cアミ ノ酸を用いた2時間にわた るインキュベーションは、他の分析において、rBPI42二量体が他のBPIタンパク 質生成物よりもはるかに大きい殺菌強度を有することを示した。タンパク質合成 の阻害に関するrBPI21の強度は、rBPI23あるいはrBPI50よりも小さいものであっ た。よって、成長阻害のパターンは、タンパク質合成阻害の強度に比例するもの であり、rBPI42二量体による成長阻害とタンパク質合成阻害が最大であった。 C.S.aureus対数増殖期変異体を用いた 培地成長阻害分析における評価 S.aureusの対数増殖期変異体細胞(ATCC受託No.19640)の成長に関するBPIタ ンパク質生成物の効果を決定するために、培地成長阻害分析を行った。ウマ血清 を添加したHI培地にて対数増殖期変異体細胞を成長せしめる最初の試みは、わず かな成長と細胞の凝集を招く結果に終わった。対数増殖期変異体細胞に関する塩 化カルシウムの効果を決定するために、ウマ血清の代わりに塩化カルシウムを添 加した培地で細胞が速やかに成長するか否かを試験した。一晩培養を行った対数 増殖期変異体細胞を、3.5%塩化ナトリウム、1000単位/mlのペニシリンG、およ び様々な濃度の塩化カルシウムを含む2mlのHI培地に播いた。ロータリーシェー カーに装着して細胞を37℃でインキュベートし、所定時間にて、至適密度(A600) を計測した。図9に示した結果から、5〜10mMの塩化カルシウムが細胞の至適成 長率を維持していることが認められる。これら結果は、培地にて対数増殖期変異 体を成長せいめる際に血清に代えて塩化カルシウムを用いることができることを 示している。 S.aureusの対数増殖期変異体細胞を、3.5%塩化ナトリウム、10mM塩化カルシ ウム、および1000単位/mlのペニシリンG を含むHI培地で一晩培養した。同じ培地にて、A600=〜0.025(〜2.5×107細胞/m lに相当)の至適濃度になるよう細胞の濃度を調整し、150μlの細胞を96ウェルプ レートの各ウェルに添加した。5mMクエン酸および150mM塩化ナトリウムを含む 緩衝液で希釈した2.5μlの様々な濃度のrBPI21を各ウェルに添加した。対照のウ ェルには、希釈緩衝液(BPIタンパク質生成物は含まない)あるいは16μg/mlの リポ多糖結合タンパク質(LBP)と細胞のみを置いた。ロータリーシェーカーに装 着して細胞を37℃でインキュベートし、細胞の成長(A600)を7時間にわたってモ ニターした。rBPI21、LBPあるいはBPIタンパク質生成物は含まない対照の濃度と 時間経過におけるA600の変化を示した図10にその結果を示した。白四角は対照を 、白菱形は20μg/mlのrBPI21を、白丸は10μg/mlのrBPI21を、白三角は5μg/ml のrBPI21を、影入りの菱形は1μg/mlのrBPI21を、そして、影入りの白丸は16μ g/mlのLBPを示す。これら結果は、7時間の細胞成長に関する用量依存型の阻害 効果を示唆しており、20μg/mlのrBPI21での濁度の減少は細胞の溶解が生じてい ることを暗示している。 この結果を確認し、そしてBPIタンパク質生成物によるS.aureusの対数増殖期 変異体の成長阻害に関する塩化カルシウムの効果を検定するために、さらに実験 を行った。対数増殖期変異体細胞を、3.5%塩化ナトリウム、10mM塩化カルシウ ム、および1000単位/mlのペニシリンGを含むHI培地で一晩培養し、そして、2.5 、5もしくは10mM塩化カルシウムを含む同じ培地100μlにてA600=〜0.02になる ように96ウェルプレートに播いた。対照として、BPI-感受性グラム陰性細菌E.c oli J5を一晩培養したものを、TYE培地(Difco、デトロイト、ミシガン州)に接種 した。5mMクエン酸および150mM塩化ナトリウ ムにて2.5μlに希釈されたrBPI21の連続2倍希釈液を、50〜0.77μg/mlの最終rB PI21濃度になるように各ウェルに添加した。ロータリーシェーカーに装着して細 胞を37℃でインキュベートし、細胞の成長をA600にてモニターした。これら実験 の結果は図11、12および13に記載された通りであり、約4時間の時点からBPIタ ンパク質生成物が対数増殖期変異体の阻害をしていることが認められる。2.5mM 塩化カルシウムが添加された培地での細胞の成長において最大の阻害効果が認め られた。かような状況から、3.12μg/mlという低濃度のrBPI21が成長を阻害し、 そして吸光度の低下を招いている。高濃度の塩化カルシウム(5および10mM)に て、細胞に関するrBPI21の作用に対する阻害は見られる。E.coli J5を用いた対 照実験の結果を、図14に示した。すなわち、E.coli J5はrBPI21によって即座に 阻害されるが、それは3つの高濃度(50、25ならびに12.5μg/ml)の時に限られ ている。 実施例4 放射拡散分析でのStreptococcus種に関する BPIタンパク質生成物のin vitro効果 実施例3で試験したのと同じBPIタンパク質生成物、rBPI23、rBPI21、rBPI50 、BPI-免疫グロブリン融合体およびrBPI42二量体のS.pneumoniaeとS.pyogenes に関する効果を評価するために、放射拡散分析を行った。S.pneumoniaeの対数 増殖期変異体(ATCC受託No.35088)をまず、対数増殖期変異体用培地(3.5%塩化 ナトリウム、10%ウマ血清、および1000単位/mlのペニシリンGを含むHI培地)に 対数増殖期の細胞を接種することで単離した。1.3%Bacto-寒天(Difco社、デト ロイト、ミシガン州)と2%塩化ナトリウムおよび10%不活性化ウマ血 清を含むBHI培地からなる寒天プレートにて細胞は良好に成長した。次に、ウマ 血清を欠いたこのBHI培地に対数増殖期変異体を適用した。寒天プレートから得 た対数増殖期変異体のコロニーを、2%塩化ナトリウムを含むBHI培地で再懸濁 し、A600=〜0.025にまで調整した。この細胞懸濁液を1:100に希釈したものを、 0.8%アガロースと、2%塩化ナトリウムおよび1000単位/mlのペニシリンGを含 むBHI培地からなる融解したBHI寒天培地に添加し、そのBHI寒天培地を固化せし めた。不完全クエン酸緩衝液あるいは完全クエン酸緩衝液中の各BPIタンパク質 生成物の連続2倍希釈液の5μlを、プレートに設けた3mmのウェルに添加した 。不完全クエン酸緩衝液として、rBPI23については、20mMクエン酸、pH5.0、150 mM塩化ナトリウムとし、他のBPIタンパク質生成物については、5mMクエン酸、p H5.0、150mM塩化ナトリウムとした。完全クエン酸緩衝液として、rBPI23につい ては、20mMクエン酸、pH5.0、150mM塩化ナトリウムに、0.1%ポロキサマー188お よび0.002%ポリソルベート80を加えたものとし、rBPI21については、5mMクエ ン酸、pH5.0、150mM塩化ナトリウムに、0.2%ポロキサマー188および0.002%ポ リソルベート80を加えたものとし、そして、他のBPIタンパク質生成物について は、5mMクエン酸、pH5.0、150mM塩化ナトリウムに、0.1%ポロキサマー188およ び0.002%ポリソルベート80を加えたものとした。対応する不完全クエン酸緩衝 液あるいは完全クエン酸緩衝液を、対照としてウェルに添加した。37℃で24時間 のインキュベーションの後、成長阻害に関してプレートを検定した。不完全クエ ン酸緩衝液あるいは完全クエン酸緩衝液の間におけるBPIタンパク質生成物の活 性には差異は認められなかった。 図15に記載のある代表的な分析結果は、S.pneumoniaeの対 数増殖期変異体がこれらBPIタンパク質生成物のすべてに感受的であったが、( 上記実施例3に記載の通り)通常の細胞形態については感受性を示さなかった。 この図において、黒四角はrBPI21を、白丸はrBPI23を、白三角はrBPI50を、黒逆 三角は非グリコシル化rBPI50を、影入りの白四角はBPI-免疫グロブリン融合体を 、そして白四角はrBPI42二量体を示す。これらデータは、rBPI50が最も強力な成 長阻害剤であり、rBPI42二量体とBPI-免疫グロブリン融合体がこれに続くことを 示している。 浸透性保護剤の存在下で成長したペニシリン処理したS.pneumoniaeの細菌形 態に対してこの実験を行った場合でも、同様の結果が得られた。BHI培地で成長 している対数増殖期細胞はA600=〜5.0にまで濃縮され、上記したようにしてペ ニシリンを含む同じBHIアガロース培地に添加され、上記したようにして同じBPI タンパク質生成物の連続希釈液で処置し、そして48〜72時間インキュベートした 。これらペニシリン処理した細菌も、試験したすべてのBPIタンパク質生成物に 対して感受的であった。 S.pyogensの細菌形態(ATCC No.25663)と対数増殖期変異体(ATCC No.27080) に関するBPIタンパク質生成物の効果を、この放射拡散分析にて評価した。細菌 形態をBHI培地にて、そして、対数増殖期変異体はまずATCC培地No.608にて、後 に、ペニシリンGと10%熱不活化ウマ血清を含む培地No.608にて成長せしめた 。細胞を、融解したBHIアガロース(細菌形態用)あるいはペニシリンGと1% 熱不活化ウマ血清を含む培地(対数増殖期変異体用)に播き、そして、様々な濃 度のrBPI21、rBPI23、rBPI50およびrBPI42二量体を試験した。試験に用いた他の 細菌種において先に認められたように、細菌形態のS.pyogensに関する試験に用 いたBPIタンパク質生成物の濃度で は阻害活性は認められなかった。対数増殖期変異体は試験に用いたすべてのBPI タンパク質生成物、rBPI21、rBPI23、rBPI50およびrBPI42二量体に対して感受的 であり、rBPI42二量体とrBPI23で最大の感受強度を、そしてrBPI50にて最小の感 受強度が認められた(rBPI50でのこのような低い強度は、他の細菌種では認めら れなかった)。 S.pneumoniae(ATCC No.35088)とS.pyogens(細菌形態はATCC No.25663、 対数増殖期変異体はATCC No.27080)の細菌および対数増殖期変異体に関するBP Iタンパク質生成物、BPI-誘導したペプチドの効果も、この放射拡散分析にて評 価した。図16および17(それぞれS.pneumoniaeの対数増殖期変異体と細菌形態 )および図18および19(それぞれS.pyogensの対数増殖期変異体と細菌形態)に 示した結果は、一般に、S.aureusの対数増殖期変異体の場合と同様、これらペ プチドは対数増殖期変異体の成長を阻害した。S.aureusとは異なり、S.pyogen sの細菌形態は、XMP.2、XMP.13、XMP.30およびXMP.102ならびにXMP.48に感受的 であるが、S.pneumoniaeの細菌形態も、高濃度のXMP.2、XMP.13、XMP.48およ びXMP.102に対してはわずかに感受的であったが、XMP.30に対しては感受的では なかった。しかしながら、XMP.13とXMP.30を用いて実験を繰り返したところ、S .pneumoniaeの細菌形態もXMP.30に対して感受性を示した。先に示したように、 対数増殖期変異体のみがrBPI42二量体に対して感受性を示した。 実施例5 放射拡散分析でのEnterococcus faecalis対数増殖期 変異体に関するBPIタンパク質生成物のin vitro効果 実施例3で試験したのと同じBPIタンパク質生成物、rBPI23、 rBPI21、rBPI50、BPI-免疫グロブリン融合体およびrBPI42二量体のE.faecalis の対数増殖期変異体に関する効果を評価するために、放射拡散分析を行った。E .faecalisの対数増殖期変異体(ATCC受託No.4200)をまず、1.3%Bacto-寒天(Di fco社、デトロイト、ミシガン州)と0.5%酵母抽出物、0.93%塩化ナトリウム、9 .73%ショ糖、0.025%硫化マグネシウム、10%熱不活化ウマ血清、および1000単 位/mlのペニシリンGを含むBHI培地(培地607、ATCC、ロックヴィル、メリーラ ンド州)からなる培地に対数増殖期にある細胞を播いて単離したが、塩化ナトリ ウム、ショ糖およびウマ血清のみを添加したBHI培地でも良好に成長した。次に 、ウマ血清を欠いた培地607に対数増殖期変異細胞を適用した。寒天プレートか ら得た対数増殖期変異体のコロニーを、培地607で再懸濁し、A600=〜0.025にま で調整した。この細胞懸濁液を1:100に希釈したものを、0.93%塩化ナトリウム 、9.73%ショ糖、および1000単位/mlのペニシリンGを含むBHI培地からなる融解 したBHI寒天培地に添加し、そのBHI寒天培地を固化せしめた。各BPIタンパク質 生成物の連続2倍希釈液の5μlを、プレートに設けた3mmのウェルに添加した 。24時間のインキュベーションの後、成長阻害に関してプレートを検定した。図 20に記載のある代表的な分析結果は、E.faecalisの対数増殖期変異体がこれらB PIタンパク質生成物のすべてに感受的であったが、(上記実施例3に記載の通り )通常の細胞形態については感受性を示さなかった。この図において、黒四角は rBPI21を、白丸はrBPI23を、白三角はrBPI42二量体を、影入りの白四角はBPI-免 疫グロブリン融合体を、そして白菱形はrBPI50を示す。非グリコシル化rBPI50は 、rBPI50と同様の挙動を示した。 これらデータは、rBPI42二量体とrBPI50が最も強力な成長阻 害剤であることを示している。 浸透性保護剤の存在下で成長したペニシリン処理したE.faecalisの細菌形態 に対してこの実験を行った場合でも、同様の結果が得られた。BHI培地で成長し ている対数増殖期細胞はA600=〜5.0にまで濃縮され、(上記放射拡散分析の場 合と同様、ペニシリンGを含むが、ウマ血清を含まない)同じBHIアガロース培 地に添加され、rBPI21、rBPI23、BPI-免疫グロブリン融合体およびrBPI42二量体 の連続希釈液で処置し、そして48〜72時間インキュベートした。これらペニシリ ン処理した細菌も、試験したすべてのBPIタンパク質生成物に対して感受的であ った。この実験にて、活性について大きな差異があり、rBPI42二量体とBPI-免疫 グロブリン融合体が最も強力な成長阻害剤であった。 実施例6 放射拡散分析でのMycoplasmaに関する BPIタンパク質生成物のin vitro効果 マイコプラスマは細胞壁を欠いた原核細胞である。このグループの多くが、自 然界に存在するヒトに対して非病原性の生物である。しかしながら、Mycoplasma pneumoniaeは、非定型肺炎の主要原因となっている。BPIタンパク質生成物に対 する対数増殖期変異体の感受性は、マイコプラスマも感受性を有していることを 示唆するものである。 培養が比較的容易で、成長のために二酸化炭素が豊富な環境を必要としないマ イコプラスマMycoplasma laidlawiiに関するBPIタンパク質生成物の効果を評価 するための実験を行った。細胞を、1%PPLO血清画分(Difco、デトロイト、ミシ ガン州)を添加したHI培地で一晩成長せしめ、アガロースを含む同じ培 地に接種し、そして、対数増殖期変異体について先に述べた放射拡散分析法に用 いた。BPIタンパク質生成物(rBPI23、rBPI21、rBPI50、rBPI42二量体および精 製したXMP.30)をウェルに添加し、そしてプレートを、37℃で2日間インキュベ ートした。図21に示した結果から、試験に用いたすべてのBPIは、Acholeplasma に対して効果的であった。rBPI23とrBPI21については、拮抗阻害領域の外側に成 長抑制された第二の領域が認められた。 同じBPIタンパク質生成物、XMP.13、XMP.2およびXMP.14を用いて同じ実験を 繰り返した。図22に示した結果は、XMP.13とXMP.30は阻害領域を形成したが、XM P.2とXMP.14は使用した濃度では活性が認められなかった。このAcholeplasma種 ならびに他のマイコプラスマ種についても、さらに実験を行うことができる。 実施例7 放射拡散分析でのS.aureus、S.pneumoniae およびE.faecalisの対数増殖期変異体に 関するLBP誘導体のin vitro効果 S.aureus、S.pneumoniaeおよびE.faecalisを含む様々な細菌種の対数増殖 期変異体に関する、BPIタンパク質生成物ならびにLBPタンパク質誘導体の効果に ついて、上記した放射拡散分析にて評価した。評価に用いた化合物は、rBPI50、 rBPI23、rBPI21、成熟したLBPタンパク質(LBP50)、LBP25、LBP(1-197)/BPI(200- 456)ハイブリッド、およびBPI(1-199)/LBP(198-456)ハイブリッドである。 LBP(1-197)/BPI(200-456)ハイブリッドをコードするプラスミドを、二つの分 子をコードするDNAの相同位置に設けられた ClaI制限部位を介して二つの分子の適切な箇所を連結することで構築した。哺乳 類発現ベクターpING4160の構築のために必要な最初の工程は、(プラスミドpML1 27を生成するための)LBPの第197−198位のIle-Aspおよび(プラスミドpML126を 生成するための)BPIの第199-200位のIle-Aspでの重複伸長PCR変異によりClaI制 限部位へ導入するための二つの中間プラスミドの構築である。そこではアミノ酸 配列の変換を伴わないヌクレオチド配列のみの変換が認められた。そして、次の 工程では、中間プラスミドpML128を生成するために相同のClaI部位にて、pML127 からLBPのアミノ末端部分とpML126からBPIのカルボキシ末端とを結合する。次に 、最終工程で、pING4160を生成するために、哺乳類発現ベクターにpML126からの LBP-BPI挿入体をサブクローニングした。 プラスミドpML127(197-198位にClaI部位を有するLBP)を構築するために、所望 の位置にClaI制限部位をコードするのに必要な変化をもたらすように重複してい るプライマーを作成した。全長のLBPをコードする挿入体を含むプラスミドであ るpML125を鋳型とした。下流向きのLBP-10、配列番号:228のプライマー、そして 、上流向きのLBP-11、配列番号:229のプライマーを用いた。389bpの断片を生成 するためにStuIとClaIで消化される600bpの断片を得るための下流向きのLBP-Bsm 、配列番号:230、そして、上流向きのLBP-11の一対のプライマーを用いて、また 、148bpの断片を生成するためにClaIとBsu36Iで消化される328bpの断片を得るた めの上流向きのLBP-10とLBP-8、配列番号:231の一対のプライマーを用いて別 個のPCR反応を実施した。得られた二つの断片は、プラスミドpML127を生成する ために、pML125からBsu36I-StuIベクター断片に連結された。 プラスミドpML126(199-200位にClaI部位を有するBPI)を構築 するために、所望の位置にClaI制限部位をコードするのに必要な変化をもたらす ように重複しているプライマーを作成した。全長のBPIタンパク質をコードする 挿入体を含むプラスミドであるpML124を鋳型とした。下流向きのBPI-63、配列番 号:232のプライマー、そして、上流向きのBPI-64、配列番号:233のプライマーを 用いた。170bpの断片を生成するためにPmlIとClaIで消化される260bpの断片を得 るための下流向きのBPI-40、配列番号:234、そして、BPI-64の一対のプライマ ーを用いて、また、215bpの断片を生成するためにClaIとBstXIで消化される296b pの断片を得るための上流向きのBPI-7、配列番号:235とBPI-63の一対のプライ マーを用いて別個のPCR反応を実施した。得られた二つの断片は、プラスミドpML 126を生成するために、pML124からBstXI-PmlIベクター断片に連結された。 プラスミドpML128を構築するために、プラスミドpML126でのBPIのアミノ末端 領域をコードする620bp HindIII-ClaI断片である、LBP(1-197)BPI(200-456)をコ ードする中間プラスミドを、LBPのアミノ末端領域をコードするpML127からの対 応するHindIII-ClaI断片で置換した。哺乳類発現ベクターp1NG4160を構築するた めに、pML128の623bpのFspI-Bsu36I断片を、(1994年6月17日に出願された、Ga zzano-Santoro et alによる米国出願No.08/261,660に記載の)LBPシグナル配列 を含むpING4539からの361bpのSalI-FspI断片、およびpING4321からの約8630bpの Bsu36I-SalI断片に連結した。後者の断片は、CMVプロモーターと(1994年3月11 日に出願された、Ammons et alによる米国出願No.08/212,132に記載の)軽鎖3' 転写終止配列を有する、BPIのカルボキシ末端の一部をコードする配列とすべて のベクター配列を含む。 BPI(1-199)LBP(198-456)ハイブリッドをコードするプラス ミドを、二つの分子をコードするDNAの相同位置に設けられたClaI制限部位を介 して二つの分子の適切な箇所を連結することで構築した。BPI(1-199)LBP(198-45 6)ハイブリッドをコードする中間プラスミドpML129は、プラスミドpML127でのLB Pのアミノ末端領域をコードする620bpのHindIII-ClaI断片を、BPIタンパク質の アミノ末端領域をコードするpML126からの対応するHindIII-ClaI断片で置換する ことで構築した。 哺乳類発現ベクターpING4161を構築するために、BPIの一部とLBP挿入体配列の すべてを含むpML129の881bpのBstBI-SstII/T4断片を、(1994年6月17日に出願 された、Gazzano-Santoro et alによる米国出願No.08/261,660に記載の)pING4 147の約8755bpのXhoI/T4-BsLBI断片に連結した。後者の断片は、CMVプロモータ ーと軽鎖3'転写終止配列を有する、シグナル配列とBPIのカルボキシ末端の一部 をコードする配列とすべてのベクター配列を含む。 所望のハイブリッドタンパクを得るために、1993年5月19日に出願された米国 出願No.08/072,063に記載されたpING4160あるいはpING4161で形質変換したCHO- K1細胞で共培養したビーズを、約600mlの20mM酢酸ナトリウム、pH4.0と塩化ナト リウム、そして、600mM塩化ナトリウムを含む600mlの同じ緩衝液で洗浄した。20 mM酢酸ナトリウムを用いて二段階にてタンパク質を溶出した、すなわち、一段階 目を1.0M塩化ナトリウムで、そして二段階目を1.5M塩化ナトリウムで溶出せしめ 、所望のタンパク質の大半が1.0Mの濃度にてS-セファロースから溶出した。タン パク質を含む画分をプールし、pH5.0、20mM MESの最終濃度になるようにMES緩衝 液を加えることで、塩化ナトリウムの最終濃度を300mMになるように希釈した。 得られたすべての細胞から得た希釈物質を回収したところ、約6.5 lの最終体積となった。このプールした溶出物を、一段目を100mlのQ-セファロ ースカラム、二段目を12mlのCM-セフェロデクスカラムとした直列に結合した二 段カラムに適用した。所望のタンパク質を含む物質は、pH4.0に調整され、15ml のS-セファロースカラムの上の3つのバッチに装填された。カラムに適用した後 、カラムを20mM酢酸ナトリウム、pH4.0と200mM塩化ナトリウムで洗浄し、20mM M ES、pH5.5、1.2M塩化ナトリウムの溶出液で結合したタンパク質を遊離させた。 回収できたタンパク質の体積は、約40mlであった。このタンパク質を、5mMクエ ン酸ナトリウム、pH5.0、150mM塩化ナトリウムを用いたS-100サイズ分別カラム に適用した。カラムの画分を、クーマシー染色したSDS-PAGEおよび抗LBP-一次抗 体を用いたWestern分析を用いて分析し、所望のタンパク質を含む画分をプール した。 S.pneumoniaeの対数増殖期変異体(ATCC 受託No.35088)およびE.feacalisの 対数増殖期変異体(ATCC 受託No.4200)およびS.aureusの天然の対数増殖期変異 体(ATCC 受託No.19640)の関する放射拡散分析を、様々な濃度のrBPI50、LBP50 、LBP-BPIハイブリッド、および対照としてのタウマチンを用いて上記実施例3 、5および6の記載に従って実施した。LBP-BPIハイブリッドは、S.aureusとS .pneumoniaeの対数増殖期変異体の成長を阻害したが、E.feacalisの対数増殖 期変異体の成長は阻害しなかった。LBP-BPIハイブリッドは、S.pneumoniaeに対 して、rBPI50と同様の活性を呈した。rBPI29、rBPI50、rBPI21、rLBP25、rLBP50 、LBP-BPIハイブリッドおよびBPI-LBPハイブリッドを用いたS.aureusの対数増 殖期変異体に関する代表的な結果を、図23に示した。LBP-BPIハイブリッドは殺 菌活性を示したが、rLBP50とrLBP25はほとん どあるいは全く活性を示さなかった。BPI-LBPハイブリッドは、対数増殖期変異 体にも活性を示したが、LBP-BPIハイブリッドの活性には及ばなかった。通常、r BPI42二量体は対数増殖期変異体に対する最も強力な分子である。これら結果は 、BPIカルボキシ末端の存在が、原核細胞膜に作用するrLBP25の活性を高めてい ることを示唆するものである。 LBP誘導体、LBP-ペプチド1-2、配列番号:236、およびLBP-ペプチド2-1、配列 番号:237、そして他のBPIタンパク質生成物、rBPI42二量体、XMP.2、XMP.13、 XMP.14、XMP.3およびXMP.5を用いて、これら3つの微生物に関する放射拡散分 析をさらに行った。S.aureusの細菌形態と対数増殖期変異体に関する分析結果 を、図24および25に示した。高濃度の際に、LBP-ペプチド1-2は細菌形態にて殺 菌活性を有していた。対数増殖期変異体については、LBP-ペプチド2-1(LBPのド メインIIからのアミノ酸73-99)は、XMP.3(BPIタンパク質のドメインIIからのア ミノ酸73-99)と同等の強度を示した。XMP.5、XMP.13およびrBPI42二量体も、対 数増殖期変異体に対して殺菌活性を呈し、試験したすべての分子の中でrBPI42二 量体が最も強度が高かった。E.feacalisの細菌形態、実施例4に記載のS.pyog enesの対数増殖期変異体、およびS.pneumoniaeの細胞形態ならびに対数増殖期 変異体に関する、LBP-ペプチド1-2およびLBP-ペプチド2-1および他のBPIタンパ ク質生成物の活性を評価するためにさらに分析を行った。LBP-ペプチド1-2は、 高濃度(300pmol/ウェル以上)にて二つの細菌形態に対して殺菌活性を呈した。 LBP-ペプチド1-2は、S.pneumoniaeの対数増殖期変異体に対してrBPI42二量体と 同等の活性を、また、S.pyogenesの対数増殖期変異体に対してはrBPI42二量体 とXMP.13の中間の活性を示した。LBP-ペプチド 2-1は、試験した細菌形態株あるいは対数増殖期変異体のいずれにも殺菌活性を 呈さなかった。 実施例8 放射拡散分析でのS.aureusに関する BPI誘導ペプチドのin vitro効果 この実施例は、BPIタンパク質生成物のin vitroでのスクリーニング、特に、 放射拡散分析での抗真菌殺菌活性にかかるBPI誘導ペプチドのスクリーニングに 関する。試験に用いたペプチドは、親出願である米国出願Nos.08/209,762およ び08/183,222に記載の方法に従って調製した。要約すれば、Applied Biosystems 社のModel 432ペプチド合成機を用いて、Merrifield,J.Am Chem.Soc.85: 21 49(1963)ならびにMerrifield et al.,Anal.Chem.,38: 1905-1914(1966)の方 法に従った固相ペプチド合成法によってペプチドを合成した。ペプチドのデザイ ンは、原則として、約17位〜約45位(配列番号:1)のBPIアミノ酸を含むドメ インI;約65位〜約99位(配列番号:6)のBPIアミノ酸を含むドメインII;お よび約142位〜約169位(配列番号:12)のBPIアミノ酸を含むドメインIIIのBPI ホロタンパク質のNH2-末端領域に存在する3つの機能領域の存在の発見に一部基 づく。これらペプチドとしては、ドメイン配列およびそのサブ配列、そして、単 一もしくは複数の(不定型アミノ酸を含む)アミノ酸置換ならびに環状化ペプチ ドおよびドメイン間配列のペプチドの有無に関係しない直鎖状および分枝状の組 み合わせを含むドメイン配列の変異体を含むペプチドがある。以下の表1には、 BPI配列から誘導されたペプチドあるいはBPI配列に基づくペプチドが、XMPある いはBPI(例えば、XMP.1、XMP.2あるいはBPI.2など)の接 頭辞、配列番号、BPI中の位置表示を伴ったアミノ酸配列、およびアミノ酸置換 ならびに追加の表示によって特定されている。また、表1には、ペプチドのペプ チドの質量スペクトルおよびHPLCによる見かけの純度も記載されている。 S.aureusの一晩培養物を、新鮮なトリプシン処理した大豆培地で1:50に希 釈し、37℃で3時間インキュベートして、対数増殖期に導いた。Beckman J-6M遠 心分離機で、3,000rpm(1500×g)で5分間遠心することで細胞をペレット化し た。10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4の5mlを添加し、懸濁液を再度遠心分離し た。上清を除き、OD570での測定のために5mlの新鮮な緩衝液を足した。OD570測 定での1.0の測定値は、5×108CFU/mlに相当すると考えられる。3%のトリプシ ン処理した大豆培地、1%アガロース(Pharmacia、ピスカタウェイ、ニュージャ ージー州)、0.02%Tween20、および10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4を含む溶解 した下層のアガロース10mlを、ポリスチレン製のチューブに加え、細菌を播くま で56℃の水浴に置いた。チューブを約45℃にまで冷却し、最終濃度が1×106CFU /mlになるように細菌を播き、チューブを再度振った。内容物を平底ペトリ皿に 注ぎ、均一に延ばした。寒天は30秒以内に固化し、約1mmの均一厚みになった。 真空装置を接続した無菌の3mm穴開け機を用いて、固化したアガロースに一連の ウェルを設けた。 スクリーニングされるペプチドに、約1mg/mlの濃度から、DuibeccoのPBS(D-P BS)にて連続的に2倍希釈を行った。各希釈液の5μlを各ウェルに添加し、そし て、プレートを37℃で3時間インキュベートした。そして、6%のトリプシン処 理した大豆培地、1%アガロース、および10mMのリン酸ナトリウム、pH 7.4(約 45℃)を含む10mlの融解したアガロースからな る上層を添加し、そして、プレートを37℃で一晩インキュベートした。この終夜 インキュベーションに続いて、希釈したクーマシー溶液をプレートに注ぎ、24時 間染色を行った。 各ウェル周辺の明確な成長阻害領域を、測径器で測定した。実際の成長阻害面 積(mm2)を、ウェルの面積を差し引くことで算出した。以下の表1には、30mm2の 成長阻害面積を得るに必要なペプチドのμgあるいはpmolの数字が、試験した各 ペプチドの放射拡散分析における結果として示されている。 ペプチドXMP.221〜XMP.281(配列番号:166〜226)は、後述する抗真菌活性を検 定するために調製され、そして試験に用いられた。 実施例9 Streptococcus pneumoniae株に関する様々なBPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質との併用によるin vitroでの効果 本実施例では、Streptococcus pneumoniae(Baxter Microscan(登録商標)ライ ブラリー、サクラメント、カリフォルニア州)の臨床分離株に関する、様々なBP Iタンパク質生成物単独あるいは抗生物質との併用によるin vitroでの成長阻害 を評価した。BPIタンパク質生成物の直接的な成長阻害効果および生物の抗生物 質感受性に関する効果を、異なる抗生物質の最小阻止濃度を同時に決定できるMi croscan(登録商標)パネルプレート(Baxter Diagnostids社、ディアーフィール ド、イリノイ州)を用いて決定した。Pasco(DIFCO、デトロイト、ミシガン州) およびAlamar(Alamar、サクラメント、カリフォルニア州)システムのような当 該技術分野で公知の他の抗生物質パネルシステムも、活性の分析のためにMicros can(登録商標)システムの代わりに使用することができる。Microscan(登録商 標)パネルシステムを用いて実施した対照分析にて、S.pneumoniae(Microscan ライブラリーNo.31573)、S.pyogenes(グループA)(30403)、S.bovis(008- 010)、S.aureus(052-106)およびE.feacatis(011-066)のような生物に対する 抗生物質感受性に対しては何ら効果を呈さなかった。 Microscan(登録商標)パネルシステムに関して実施した抗微生物感受性試験と は、培地希釈感受性試験を簡略化したものである。抗微生物薬剤は、臨床的に使 用できる濃度範囲にまで(カルシウムおよびマグネシウム、あるいはオキサシリ ンのための塩化ナトリウム、あるいはトリメトプリム、スルファメトキサゾール 、およびトリメトプリム/スルファメトキサゾールのためのチミジンホスフォリ ラーゼを添加した)Mueller- Hinton培地で連続的に希釈した。96−ウェルMicroscan(登録商標)プレートのあ るウェルを、脱水した培地のみを含む成長対照ウェルとした。他のウェルには、 試験する生物の標準懸濁液をインキュベーションして所望の濃度にまで再水和し た、脱水した培地と抗生物質(あるいは培地と生化学的指示薬)を含ませた。発 色性の生化学的指示薬を、pHの変化と基質利用性の検出に基づいた細菌種の同定 および特徴付けのために用いた。一晩インキュベートした後、試験微生物に対す る最小阻止濃度(MIC)を、成長阻止を示した抗生物質の最低濃度を観察して決定 した。これらグラム陽性生物を試験するために、Pos Combo Panel Type 6とPos MIC Panel Type 6(共にBaxter Diagnostics社、ディアーフィールド、イリノイ 州から入手できる)の二つのパネルタイプを用いた。各パネル試験で用いた抗生 物質の濃度を、以下の表2と3に示した。 各実験において、以下の手順を踏んだ。試料生物を、5%ヒツジ血液寒天プレ ート(Remel、レネクサ、カンサス州)に接種し、18〜24時間にわたって一晩イン キュベートした。プレートから十分に単離されたコロニーを、最終濁度が0.5Mの 標準ファーランド硫化バリウムと等しくなるまで、3mlの無菌接種用水(カタロ グNo.B1015-2、Microscan(登録商標)システム、Baxter Diagnostics社、ディア ーフィールド、イリノイ州)で乳化せしめた。この細胞懸濁液を2〜3秒間振り 、その100μlを、Pluronic-D(カタログNo.B1015-7、Microscan(登録商標)シス テム、Baxter Diagnostics社、ディアーフィールド、イリノイ州)(以下、「Plur onic接種用水」と称する)を含む25mlの接種用水、あるいは、通常は0から64μg /mlの間の所望の濃度に希釈した(調製用緩衝液中の)BPIタンパク質生成物が添 加された25mlの接種用水を含むガラス試験管に移した。 BPIタンパク質生成物を含むこの接種物の25mlを、振盪して混合し、そしてト レイに注いだ。Microscan(登録商標)パネルプレートでの使用のために作成され た96−ウェルのピペットシステム(RENOK(登録商標)再水和−接種システム、Bax ter Care社、ウェストサクラメント、カリフォルニア州)に接種物を適用し、そ して110μlの接種物は、Microscan(登録商標)Pos Combo Panel Type 6あるいはP os MIC Panel Type 6プレートの各ウェルに加えた。ウェルに添加する際、この 接種物の最終細菌濃度を4×105〜7×105CFU/mlになるようにした。そして、パ ネルプレートを35℃で、15〜24時間インキュベートし、細胞の成長を目視により 計測した。 ウェルでのわずかな白化あるいは透明な培地を、成長が無いものと定義した。 ウェル全体の白濁、ウェル中心部の白塊、あるいはウェル全体の微細な粒の形成 が認められる程度の濁度 を成長があると認定した。すべてのウェルを、黒の背景を介して光を充てて計測 した。生化学反応による目視による結果は、細菌の同定のためにデータベースに 入力した。試験した各抗生物質のMICを、成長阻害が目視で確認できた抗生物質 の最低濃度によって同定した。 以下の表4は、各株に関する様々な濃度のrBPI21での抗生物質のMICに関して 報告した、抗生物質スクリーニングパネルの結果をまとめたものである。rBPI21 が感受性を改変させた結果のみを記載した。試験した生物に適用可能な抗生物質 感受性標準(NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの 解釈)を、表4Aに示した。「試験した抗生物質」の欄の抗生物質の名前の後の星 印は、rBPI21が抗生物質に対する生物の耐性を変換せしめた場合(二つ星)と、 関連性の無かったMICを感受性MICに転換せしめた場合(一つ星)を意味する。こ れらデータは、rBPI21がS.pneumoniaeのアンピシリン耐性株をアンピシリン感 受性株に変換し(試験した他の株はアンピシリンに対してすでに感受的であった )、他のS.pneumoniae株のアミカシン、アンピシリン、ゲンタマイシンおよび ペニシリンに対する感受性を増大せしめたことを示している。 また、表4は、抗生物質を伴わない様々な濃度のrBPI21のみを含んだ対照ウェ ルでの細胞成長の有無も示している。「G」の符号は、試験した濃度では成長が 認められたことを、また「NG」の符号は、成長がなっかたことを示している。 これら結果は、S.pneumoniaeがBPI-感受性生物であり、tBPI21は2μg/mlの濃 度にて試験したすべての単離したS.pneumoniaeに直接的な殺菌/成長阻害活性 があることを示している。 様々なBPIタンパク質生成物、rBPI21、rBPI23、rBPI50、 rBPI42二量体を用いて、S.pneumoniae株のスクリーニングをさらに行った。以 下の表4Xは、各株に関する様々な濃度のBPIタンパク質生成物での抗生物質のMIC に関して報告した、抗生物質スクリーニングパネルの結果をまとめたものである 。抗生物質感受性が改変させた結果のみを記載した。 実施例10 グラム陽性生物Streptococcus pyogenes(グループA)株 に関するBPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 グループA連鎖球菌としても知られているStreptococcus pyogenesの様々な株 に関する、BPIタンパク質生成物、rBPI21による成長阻害効果を、実施例9のMic roscan(登録商標)スクリーニング分析を用いて評価した。これら株の抗生物質感 受性に関するrBPI21による効果も、同じ分析によって評価した。S.pyogenes(Ba xter Microscan(登録商標)ライブラリー、サクラメント、カリフォルニア州) の臨床分離株に関して分析を行った。 以下の表5は、様々な濃度のrBPI21での試験した抗生物質のMIC(μg/ml)に関 して報告した、BPIタンパク質生成物と抗生物質スクリーニングパネルの結果を まとめたものである。rBPI21が抗生物質感受性あるいは成長を改変させた結果の みを記載した。試験した生物に適用可能な抗生物質感受性標準(NCCLS基準に従 った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの解釈)を、表5Aに示した。 また、表5は、抗生物質を伴わない様々な濃度のrBPI21のみを含んだ対照ウェル での細胞成長の有無(「G」あるいは「NG」)も示している。 これら結果は、rBPI21単独では、2μg/mlの低濃度にてS.pyogenes(グルー プA)の一つの株に、8μg/mlの濃度にて三つの株に、そして、32μg/mlの濃度 にて残りの株に対して直接的な殺菌/成長阻害活性があることを示している。ま た、このデータは、BPIタンパク質生成物は、S.pyogenes(グループA)のノル フロキサシンとゲンタマイシンに対する抗生物質感受性を増大せしめたことも示 している。 実施例11 グラム陽性生物Streptococcus agalactiae(グループB) 株に関するBPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 グループB連鎖球菌としても知られているStreptococcus agalactiaeの様々な 株に関する、BPIタンパク質生成物、rBPI21による効果を、実施例9のMicroscan (登録商標)抗生物質感受性スクリーニング分析を用いて評価した。これら株の抗 生物質感受性に関するrBPI21による成長阻害効果も、同じ分析によって評価した 。S.agalactiae(Baxter Microscan(登録商標)ライブラリー、サクラメント、 カリフォルニア州)の臨床分離株に関して分析を行った。 以下の表6は、試験した抗生物質のMIC(μg/ml)に関して報告した、抗生物質 スクリーニングパネルの結果をまとめたものである。rBPI21が抗生物質感受性を 改変させた結果のみを記載した。試験した生物に適用可能な抗生物質感受性標準 (NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの解釈)を、 表6Aに示した。これら結果は、BPIタンパク質生成物が一つ株のゲンタマイシン に対する耐性を変換せしめ、他の株のシプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ノ ルフロキサシンへの感受性を高めたことを示している。これらの株は、抗生物質 を伴わないBPIタンパク質生成物単独の場合には感受性を示さなかった。 実施例12 グラム陽性生物Streptococcus bovis株に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 Streptococcus bovisの様々な株に関する、BPIタンパク質生成物、rBPI21によ る効果を、実施例9のMicroscan(登録商標)抗生物質感受性スクリーニング分析 を用いて評価した。これら株の抗生物質感受性に関するrBPI21による成長阻害効 果も、同じ分析によって評価した。S.bovis(Baxter Microscan(登録商標)ラ イブラリー、サクラメント、カリフォルニア州)の臨床分離株に関して分析を行 った。 以下の表7は、試験した抗生物質のMIC(μg/ml)に関して報告した、抗生物質 スクリーニングパネルの結果をまとめたものである。rBPI21が抗生物質感受性を 改変させた結果のみを記載した。試験した生物に適用可能な抗生物質感受性標準 (NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの解釈)を、 表7Aに示した。これら結果は、BPIタンパク質生成物が一つの株のシプロフロキ サシンに対する耐性を、三つの株のノルフロキサシンに対する耐性を、そして、 二つの株のテトラサイクリンに対する耐性を変換したことを示している。また、 これら結果は、BPIタンパク質生成物が、いくつかの株のシプロフロキサシン、 ゲンタマイシン、ノルフロキサシンおよびテトラサイクリンへの感受性を高めた ことを示している。これらの株は、抗生物質を伴わないBPIタンパク質生成物単 独の場合には感受性を示さなかった。 実施例13 グラム陽性生物Enterococcus faecalis株に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 Enterococcus faecalisの様々な株に関する、BPIタンパク質生成物、rBPI21に よる効果を、実施例9のMicroscan(登録商標)抗生物質感受性スクリーニング分 析を用いて評価した。これら株に関するrBPI21による成長阻害効果も、同じ分析 によって評価した。E.faecalis(Baxter Microscan(登録商標)ライブラリー、 サクラメント、カリフォルニア州)の臨床分離株に関して分析を行った。 以下の表8は、試験した抗生物質のMIC(μg/ml)に関して報告した、抗生物質 スクリーニングパネルの結果をまとめたものである。rBPI21が抗生物質感受性を 改変させた結果のみを記載した。試験した生物に適用可能な抗生物質感受性標準 (NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの解釈)を、 表8Aに示した。これら結果は、BPIタンパク質生成物が三つの株のシプロフロキ サシンに対する耐性と、そして、二つの株のノルフロキサシンに対する耐性を変 換したことを示している。また、BPIタンパク質生成物は、いくつかのE.faecal is株のアンピシリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ノルフロキサシ ン、ペニシリン、リファンピンおよびテトラサイクリンへの感受性を高めた。こ れらの株は、抗生物質を伴わないBPIタンパク質生成物単独の場合には感受性を 示さなかった。 実施例14 グラム陽性生物Enterococcus faecium株に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 Enlerococcus faeciumの様々な株に関する、BPIタンパク質生成物による効果 を、実施例9のMicroscan(登録商標)抗生物質感受性スクリーニング分析を用い て評価した。これら株に関するBPIタンパク質生成物による成長阻害効果も、同 じ分析によって評価した。E.faeczum(Baxter Microscan(登録商標)ライブラ リー、サクラメント、カリフォルニア州)の臨床分離株に関して分析を行った。 以下の表9は、様々な濃度でのrBPI21にて試験した抗生物質のMIC(μg/ml)に 関して報告した、抗生物質スクリーニングパネルの結果をまとめたものである。 rBPI21が抗生物質感受性を改変させた結果のみを記載した。試験した生物に適用 可能な抗生物質感受性標準(NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受 性としてのMICの解釈)を、表9Aに示した。これら結果は、rBPI21が5つの株の アモキシシリン/Kクラブラン酸塩に対する耐性、2つの株のセファゾリンに対 する耐性、2つの株のシプロフロキサシンに対する耐性、2つの株のエリスロマ イシンに対する耐性、1つの株のノルフロキサシンに対する耐性、2つの株のオ キサシリンに対する耐性、2つの株のリファンピンに対する耐性、1つの株のテ トラサイクリンに対する耐性、そして、1つの株のバンコマイシンに対する耐性 を変換したことを示している。また、rBPI21は、いくつかのE.faeciums株のア モキシシリン/Kクラブラン酸塩、セフォタキシム、シプロフロキサシン、エリ スロマイシン、ペニシリン、リファンピン、およびバンコマイシンへの感受性を 高めた。 これらの株は、抗生物質を伴わないBPIタンパク質生成物単独の場合には感受性 を示さなかった。 様々なBPIタンパク質生成物、rBPI21、rBP123、rBPI50、rBPI42二量体を用い て、E.faeciums株(Microscan(登録商標)no.15773)のスクリーニングをさら に行った。以下の表9Xは、様々な濃度でのBPIタンパク質生成物にて試験した抗 生物質のMICに関して報告した、抗生物質スクリーニングパネルの結果をまとめ たものである。抗生物質感受性が改変した結果のみを記載した。 実施例15 他のグラム陽性生物Enterococcus種に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 Enterococcus種の様々な株に関する、BPIタンパク質生成物、rBPI21による効 果を、実施例9のMicroscan(登録商標)抗生物質感受性スクリーニング分析を用 いて評価した。これら株に関するrBPI21による成長阻害効果も、同じ分析によっ て評価した。Enterococcus種(Baxter Microscan(登録商標)ライブラリー、サ クラメント、カリフォルニア州)の臨床分離株に関して分析を行った。 以下の表10は、試験した抗生物質のMIC(μg/ml)に関して報告した、抗生物質 スクリーニングパネルの結果をまとめたものである。rBPI21が抗生物質感受性を 改変させた結果のみを記載した。試験した生物に適用可能な抗生物質感受性標準 (NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの解釈)を、 表10Aに示した。これら結果は、E.gallinarumに関して、BPIタンパク質生成物 がセファロティン、セファゾリン、シプロフロキサシンおよびノルフロキサシン に対する耐性を変換し、そして、アンピシリン、ペニシリンおよびリファンピン に対する感受性を増大せしめたことを示している。また、E.casseliflavusに関 して、BPIタンパク質生成物がアンピシリン、ペニシリン、オキサシリン、セフ ァロティンおよびセファゾリンに対する感受性を増大せしめたことを示している 。また、E.duransに関して、BPIタンパク質生成物がアンピシリンおよびリファ ンピンに対する感受性を増大せしめたことを示している。そして、E.aviumに関 して、BPIタンパク質生成物がアンピシリン、ペニシリン、セフォタキシ ムならびにシプロフロキサシン、およびオキサシリンに対する感受性を増大せし めたことを示している。これらEnterococcus種は、抗生物質を伴わないBPIタン パク質生成物単独の場合には感受性を示さなかった。 実施例16 グラム陽性生物Staphylococcus aureus株に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 S.aureusの様々な株に関する、BPIタンパク質生成物による効果を、実施例9 のMicroscan(登録商標)抗生物質感受性スクリーニング分析を用いて評価した。 これら株に関するBPIタンパク質生成物による成長阻害効果も、同じ分析によっ て評価した。S.aureus(Baxter Microscan(登録商標)ライブラリー、サクラメ ント、カリフォルニア州)の臨床分離株、052-066、052-106、052-107、052-108 、052-184、052-219、052-230、14288、20720、29213(ATCC No.)、32075および3 2073に関して分析を行った。 これらS.aureusの株を、様々な濃度のrBPI21を用いたパネル試験にて、MIC90 を決定するために試験した。MIC90とは、試験に用いる単離したすべてのS.aure usの成長を90%阻害するに必要な抗生物質の最低濃度である。表11に結果を示し 、適用可能な抗生物質感受性標準(NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるい は感受性としてのMICの解釈)を、表11Aに示した。 この結果は、rBPI21が評価した25個の抗生物質の内、8つの抗生物質、アモキ シシリン/Kクラブラン酸塩(オウメンティン)、セフォタキシム、セファゾリ ン、セフロキシム、セファロティン、クロラムフェニコール、イミペネムおよび スルファメトキサゾールでのS.aureusのMIC90値を低減したことを示している。 また、表11での横線(−)は、試験した抗生物質の濃度では、試験した株すべて において90%の成長阻害に至らなかったことを示している。試験したS.aureus 株は、抗生 物質を伴わないrBPI21単独の場合には感受性を示さなかった。 Pasco SystemでのS.aureus(Microscan(登録商標)ID no.052-106)に関するB PIタンパク質生成物、rBPI21を用いた比較試験の結果は、グラム陽性生物の抗生 物質感受性に関するBPIタンパク質生成物の効果を確認するものであった。 様々なBPIタンパク質生成物、rBPI21、rBPI23、rBPI50、rBPI42二量体を用い て、S.aureus株(Microscan(登録商標)ID no.052-106)のスクリーニングをさ らに行った。以下の表11Xは、様々な濃度でのBPIタンパク質生成物にて試験し た抗生物質のMICに関して報告した、抗生物質スクリーニングパネルの結果をま とめたものである。抗生物質感受性が改変した結果のみを記載した。 実施例17 グラム陽性生物Staphylococcus epidermidis株に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 Staphylococccus epidermidisの様々な株に関する、BPIタンパク質生成物、rB PI21による効果を、実施例9のMicroscan(登録商標)抗生物質感受性スクリー ニング分析を用いて評価した。これら株に関するrBPI21による成長阻害効果も、 同じ分析によって評価した。S.epidermidis(Baxter Microscan(登録商標)ラ イブラリー、サクラメント、カリフォルニア州)の臨床分離株、055051、055155 、19776、20778、20959、055125、055129、055126、32086および32085に関して 分析を行った。S.epidermidisは、腫瘍学ぶおよび新生児における疾病性(院内 感染)敗血症の主要原因である、コアグラーゼ陰性ブドウ状球菌であり、人工関 節での炎症原因の40%に関与している。 これらS.epidermidisの株を、様々な濃度のrBPI21を用いたパネル試験にて、 MIC90を決定するために試験した。以下の表12に結果を示し、適用可能な抗生物 質感受性標準(NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMIC の解釈)を、表12Aに示した。 この結果は、BPIタンパク質生成物が評価した25個の抗生物質の内、13の抗生 物質、アミカシン、アモキシシリン/Kクラブラン酸塩(オウメンティン)、ア ンピシリン、セファゾリン、セフォタキシム、セフトリアゾン、セフトリアキソ ン、セフロキシム、クロラムフェニコール、ペニシリン、スルファメトキサゾー ル、テトラサイクリン、ティカルシリン/Kクラブラン酸塩およびトリメトプリ ム/スルファメトキサゾールでのS. epidermidisのMIC90値を低減したことを示している。試験したS.epidermidis株 は、抗生物質を伴わないrBPI21単独の場合には感受性を示さなかった。 実施例18 グラム陽性生物Staphylococcus種に関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの効果 他のコアグラーゼ陰性Staphylococcus種の様々な株に関する、BPIタンパク質 生成物、rBPI21による効果を、実施例9のMicroscan(登録商標)抗生物質感受 性スクリーニング分析を用いて評価した。これら株に関するrBPI21による成長阻 害効果も、同じ分析によって評価した。Staphylococcus種の臨床分離株(Baxter Microscan(登録商標)ライブラリー、サクラメント、カリフォルニア州)に関 して分析を行った。この10年間で、コアグラーゼ陰性ブドウ状球菌による感染が 注目されている。また、これら生物は、重要な日和見病原体でもある。 試験した抗生物質のMIC(μg/ml)として報告された、抗生物質スクリーニング パネルでの結果を以下の表13にまとめた。この生物に適用可能な抗生物質感受性 標準(NCCLS基準に従った臨床耐性、媒介性あるいは感受性としてのMICの解釈) を、表13Aに示した。 これら結果は、BPIタンパク質生成物が、S.hominisのある株のペニシリン耐 性を変換し、そして、S.haemolyticus株およびS.intermedius株のある株のト リメトプリム/スルファメトキサゾール耐性を変換したことを示している。BPI タンパク質生成物は、S.hominis株のアンピシリンとペニシリンへの感受性、S .sciuri株のクリンダマイシンとペニシリンへの感受性、S.saprophyticus株の エリスロマイシンへの感受性、S.haemolyticus株のエリスロマイシンへの感受 性、S.hycus株のクリンダマイシンとペニシリンへの感受性、S.intermedius株 のエリスロマイシンへの感受性、およびS.simulans株のエリ スロマイシンへの感受性を高めたことを示している。試験したいずれの株も、rB PI21単独の場合、試験に用いたいずれの濃度でも感受性は認められなかった。 実施例19 S.aureus、S.pneumoniaeおよびE.faeciumに関する BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vitroでの初期効果 選択した生物について、選択された抗生物質の殺菌曲線に関するBPIタンパク 質生成物、rBPI21による効果を決定した。実施例9に従って、メチシリン耐性S .aureus(MicroscanライブラリーID no.052-106)、S.pneumoniae(Microscanラ イブラリーID no.31573)、およびE.faecium(MicroscanライブラリーID no.15 773)のためのMicroscan(登録商標)パネルプレートを調製した。そして、細胞 懸濁液に、0もしくは16μg/mlのrBPI21を含む25mlのPluronicの接種用水を添加 した。インキュベーションした後、パネルプレートを、35℃で24時間インキュベ ートした。インキュベーションの後、0、4、7および24時間の時点で、対照ウ ェル(培地のみで抗生物質を含まない)、および8μg/mlのペニシリン、2μg/ mlのシプロフロキサシン、256μg/mlのスルファメトキサゾール、32μg/mlのセ フォタキシム、16μg/mlのクロラムフェニコール、あるいは16μg/mlのバンコマ イシンのいずれかを含む各ウェルから5μlの試料を採取した。これら5μlの試 料を無菌水で希釈し、そして、S.pneumoniaeのためのトリプシン処理した大豆 寒天プレート(Remel、レネクサ、カンサス州)あるいは血液寒天プレート(Rem el、レネクサ、カンサス州)に接種した。35℃で48時間インキュベートした後、 プレートの計測を行い、ウェルに残存している細菌のコロニー形成単位を算出し た。 その結果を以下の図26〜32に示した。すべての図面において、抗生物質のみの 存在下(rBPI21を含まない)での、S.aureus(黒四角)、S.pneumoniae(黒菱 形)、およびE. faecium(黒三角)の結果を示している。また、すべての図面において、抗生物 質とrBPI21の存在下での、S.aureus(白四角)、S.pneumoniae(白菱形)、お よびE.faecium(白三角)の結果も示している。 図26は、rBPI21(抗生物質無し)を用いた場合と、rBPI21(抗生物質無し)を 用いない場合での生物の増殖曲線を示している。図26において、S.aureusとrBP I21(白四角)およびrBPI21を伴わないE.faecium(黒三角)の増殖曲線は、7 および24時間にて重複している。この結果は、24時間にわたってBPIタンパク質 生成物が、S.pneumoniaeに関する劇的な殺菌効果を有しており、また、E.faec iumの成長に関する適度の初期阻害効果が、10時間経過する頃には維持されなく なることを示唆している。 図27において、S.pneumoniaeとrBPI21(白菱形)およびrBPI21を伴わないS. pneumoniae(黒菱形)の増殖曲線は、7および24時間にて重複している。図27は 、BPIタンパク質生成物が、0〜10時間においては、三つのすべての生物に関し て、ペニシリンによる初期の殺菌効果を高めることを示唆している。 図28において、S.pneumoniaeとrBPI21(白菱形)およびrBPI21を伴わないS. pneumoniae(黒菱形)の増殖曲線は、完全に重複している。図28は、BPIタンパ ク質生成物が、0〜10時間においては、S.aureusとE.faeciumのセフォタキシ ムによる初期の殺菌効果を高めることを示唆している。 図29は、BPIタンパク質生成物が、0〜10時間においては、三つのすべての生 物に関して、クロラムフェニコールによる初期の殺菌効果を高めることを示唆し ている。 図30は、BPIタンパク質生成物が、0〜10時間においては、三つのすべての生 物に関して、スルファメトキサゾールによる初 期の殺菌効果を高めることを示唆している。 図31において、S.aureusとrBPI21(白四角)、rBP121を伴わないS.aureus( 黒四角)、およびrBPI21を伴わないS.pneumoniae(黒菱形)の増殖曲線は、大 方重複している。図31は、BPIタンパク質生成物が、0〜10時間においては、S. pneumoniaeとE.faeciumのシプロフロキサシンによる初期の殺菌効果を高めるこ とを示唆している。 図32において、S.pneumoniaeとrBPI21(白菱形)とrBPI21を伴わないS.pneu moniae(黒菱形)の増殖曲線は、完全に重複している。図32は、BPIタンパク質 生成物が、0〜10時間においては、s.aureusとE.faeciumのバンコマイシンに よる初期の殺菌効果を高めることを示唆している。 BPIタンパク質生成物の初期殺菌効果の経時変化を、三つの臨床分離株(メチ シリン耐性S.aureus、S.pneumoniae、およびE.faecium)について試験した。 トリプシン処理した大豆寒天プレート(S.aureusとE.faecium用)あるいは5 %ヒツジ血液寒天プレート(S.pneumoniae用)(Remel、レネクサ、カンサス州 )のいずれかで18〜24時間成長せしめた、各細菌種について約4〜10のコロニー を、0.5Mのファーランド標準液と同等の密度にまで無菌水で乳化し、この細菌接 種物の100μlを、〜4から7×105細胞/mlの最終濃度になるように25mlのMicros can(登録商標)Pluronic接種用水を含んだガラス製試験管に写し、そして、rBP I21を最終濃度が16μg/mlになるように添加した。この試験管を振盪して混合し 、そして、対照試料とBPI試料を直ちに除去して、コロニー計測のために無菌水 で1:100に希釈した。同様にて試料を、7.5、15、30、60、90および120分の時点 で採取した。これらプレートを、35〜37℃で、15〜24時間インキュベートし、CF Us/mlを直接計 測によって測定した。 室温で15分間インキュベートしたすべての単離株について、殺菌活性が認めら れた。しかしながら、BPIタンパク質生成物の殺菌効果に対して感受的であると 考えられていた株(S.pneumoniae)は7.5分で即座に0 CFUにまで減少した一方 で、「耐性」株(S.aureusとE.faecium)の殺菌曲線はさらに伸びていた。BPI 処理した後に細菌の数が少なくとも3の対数だけ減少したが、0 CFUにまでは決 して至らなかった。CFUに関するデータを、以下の表14にまとめた。 最初のBPI処理を経てもS.aureusが生存している理由が、BPIタンパク質生成 物に対する耐性によるものであるか否かを決定するために、16μg/mlのrBPI21で 90分間インキュベーションした後に得たコロニーを24時間成長せしめ、先に記載 したようにして調製を行い、さらに16μg/mlのrBPI21と共にインキュベーション を行った。BPIタンパク質生成物に事前に曝さなかった対照のS.aureusも、16μ g/mlのrBPI21と共にインキュベーションを行った。30分のインキュベーションの 後、生存コロニーと対照コロニーをプレートに置き、計数を行った。以下の表15 に示すように、rBPI21の前処理を行った生存コロニーは、BPIタンパク質生成物 への耐性を欠いていた。 他の実験において、S.aureusを16μg/mlのrBPI21と共に30分間インキュベー トし、画分を採取してプレートに置き、計数を行った。BPI-処理した細胞懸濁液 の半分を、別の16μg/mlのrBPI21と共にインキュベートした。双方の細胞懸濁液 について、さらに30分間インキュベートを継続した。さらにrBPI21で処理したと ころ、未処理対照との相対生存数は減少した(84%減少/30分に対して対照での 34%減少/30分)。 Mueller-Hinton培地でのインキュベーションによって、0〜7.5分の間にS.pn eumoniaeの殺菌が完全に阻害されたことを 留意すべきである。この現象を探究するために行った他の実験から、インキュベ ーション培地への塩化カルシウムの添加が、CFUsの増大によって判断されるrBPI21 の効果を低減せしめるものと思われる。塩化ナトリウムもrBPI21の効果を低減 する(すなわち、CFUsは増大した)ことを示した予備実験の結果は、浸透性がこ の現象の因子の一つであることを示唆している。 実施例20 グラム陽性細菌に関するBPIタンパク質生成物単独 あるいは抗生物質との併用によるin vitroの効果 マルチウェル抗生物質感受性分析を用いて、Streptococcus pneumoniae(特に 、ペニシリン耐性株)に関するBPIタンパク質生成物単独、あるいはペニシリン 、アンピシリンあるいはシプロフロキサシンとの併用による効果について評価を 行った。また、Staphylococcus aureus(特に、メチシリン耐性株)に関するBPI タンパク質生成物単独、あるいは抗生物質バンコマイシン、リファンピン、シプ ロフロキサシン、セファゾリン、バンコマイシン/ゲンタマイシン、およびシプ ロフロキサシン/ピペラシリンとの併用による効果についても評価を行った。En terococcus種(多重耐性株)に関するBPIタンパク質生成物単独、あるいはペニ シリン、アンピシリン、バンコマイシン、シプロフロキサシン、ペニシリン/ゲ ンタマイシン、あるいはアジスロマイシンとの併用による効果について評価を行 った。Enterococcus種(多重耐性株)に関するBPIタンパク質生成物単独、ある いはペニシリン、アンピシリン、バンコマイシン、シプロフロキサシン、ペニシ リン/ゲンタマイシン、あるいはアジスロマイシンとの併用による効果について 評価を行った。Corynebacteriaに関するBPIタンパク質生成物単独、あるいは バンコマイシンあるいはクリンダマイシンとの併用による効果について評価を行 った。 実施例21 選択されたポロキサマーによるBPIタンパク質 生成物の殺菌活性のin vitroでの増大効果 BPIタンパク質生成物と様々な異なるポロキサマー界面活性剤を含む治療薬剤 の抗菌活性を、本明細書に参考までに取り込んだ、本願と同時に出願された共同 所有に係る、係属中の米国特許出願No. (代理人事件整理No.27129 /32424)に記載に従って評価した。 要約すれば、BPIタンパク質生成物と、0.005〜0.1%(重量/体積)の範囲の 濃度のポロキサマー界面活性剤を含む治療薬剤を調製し、37℃で、グラム陽性生 物と共に水中、培地中、あるいは血清濃度を加減しながらインキュベートした。 インキュベーショした後、残存している細菌のコロニー形成単位(CFU)を、抗 菌活性の増大を確認するために決定した。加熱処理したポロキサマー界面活性剤 を用いて試験を行い、その試験手順は以下の通りであった。すなわち、(1)脱 イオン水を用いてポロキサマーの溶液を調製し、(2)沸騰するまでその溶液を 加熱し、(3)加熱をやめ、(4)室温にまで冷却せしめ、そして、(5)ポロキ サマーが完全に可溶化するまで攪拌する、手順による。あるいは、加熱工程(2 )において、溶液を30分以上加熱することができる。 ポロキサマー333(加熱済あるいは非加熱)、ポロキサマー403(加熱済あるい は非加熱)、ポロキサマー335、および加熱処理したポロキサマー334は、細菌に 対するBPIタンパク質生成物の抗菌活性を増大せしめた。 実施例22 BPIタンパク質生成物単独あるいは抗生物質 との併用によるin vivoでの効果 上記実施例3に記載の5×108CFUの細菌形態のS.aureusを静脈投与したマウ スに、BPIタンパク質生成物のみ、あるいはBPIタンパク質生成物とペニシリンを 同時に投与する予備試験では、死亡率に関する影響は認められなかった。この結 果は、実施例2、3および16に記載のin vitro分析での細菌形態に関するBPIタ ンパク質生成物による効果の欠如を考慮すれば予期しうるものであった。予備実 験でのMicroscan(登録商標)システムにてrBPI21のみに感受性を示した、1×105 CFUの細菌形態のS.pneumoniaeを投与したマウスを用いた予備試験では、死亡率 に関する影響は認められなかった。様々な動物モデル、様々な異なるBPIタンパ ク質生成物単独、および様々な異なる抗生物質との組み合わせを用いたin vivo 実験をさらに行った。 A.マウス肺炎モデルでの評価 BPIタンパク質生成物のみ、あるいは抗生物質を併用した投与によるグラム陽 性感染に関する効果を、マウス肺炎モデルにて評価した。5%ヤギ血清を含むト リプシン処理した大豆培地にて一晩培養した未希釈のS.pneumoniaeを、マウス にその3滴を点鼻することで肺炎を誘発した。1mlのツベルクリン注射器および 22ゲージの注射針を用いて、メトファンで軽く麻酔した状況下にて所定用量の投 与を行った。感染して24時間後に、BPIタンパク質生成物単独、抗生物質単独、 あるいは両薬剤の併用による所定用量の静脈投与によって、感染したマウスの処 置を行った。感染して48時間後に、マウスを屠殺した。 肺を無菌的に摘出し、肺の切除麺を血液寒天プレートに接触するようにして微生 物の存在下で培養した。これら条件下で、感染して48時間後に、未処理の対照試 料は肺組織の硬化が起こり、高い陽性度を示した。さらに、このモデルにて、未 処理のの対照試料のほとんどは、感染して96時間後に死滅した。 B.ウサギ心内膜炎モデルでの評価 BPIタンパク質生成物のみ、あるいは抗生物質を併用した投与によるグラム陽 性感染に関する効果を、ウサギ心内膜炎モデルにて評価した。1〜2kgの若齢の ニュージーランド白ウサギを、40〜60mgのペントバルビトンの静脈投与によって 麻酔をかけた。長さ約4cm、中心線から1cm右側の位置に、気管と並行して切開 を行った。右側に心内膜炎を誘発するために、頸静脈を露出させ、結紮糸による 結紮部間で切開した。下端の結紮糸を緩め、無菌生理食塩水を含む、外径0.8mm 、内径0.4mmのポリエチレン製カテーテルを、右心房にカテーテルが到達したこ とを示す抵抗性と脈拍が得られるまで挿入を続ける。そして、このカテーテルを 双方の結紮糸で所定位置に保持し、余分なカテーテル部分を除去し、次に、カテ ーテルを挿入した状態で縫合糸で切開部を縫合する前に、カテーテルの遠端を加 熱したスパチュラで封をした。左側の心内膜炎について、結紮糸による結紮部間 を切開する同様の切開方法によって頸動脈を露出させ、カテーテルが大動脈弁に 到達するか、あるいは左心室に導入したことを示す、脈拍および動脈血の還流が 認められるまでカテーテルを心臓に向けて挿入した。そして、上記したのと同様 にてカテーテルを保持した。 心臓中にカテーテルを置くことで、通常は、カテーテルと心内膜との接触箇所 に、大きさ1〜2mmの小さな、ラフ白色の小 瘤からなる無菌の瘤が形成される。この無菌の瘤は、耳の静脈に細菌を注射する ことで感染する。Streptococcus viridansによる感染の場合、グルコース培養培 地での終夜培養物を希釈し、1ml中に約108個の微生物を注射することで感染用 接種物を調製することができる。他のグラム陽性微生物も使用でき、例えば、Mi crococcus albus、S.aureus、S.epidermidis、およびその他の株が含まれる。 これら微生物感染のための接種物は、グルコース培養培地での終夜培養物を1: 10に希釈し、その約1mlを静脈注射することによって調製できる。BPIタンパク 質生成物単独、抗生物質単独、あるいは両薬剤の併用による所定用量を静脈投与 する。数日してから、ウサギを屠殺し、形成されていた瘤を無菌的に摘出した。 この瘤を計量し、グルコース培地中に均質化した。グルコース培地の連続希釈液 を調製し、この希釈液を血液寒天プレートに注ぐことで細菌数を決定した。そし て、乾燥重量(g)当たりの微生物のCFUを算出した。 C.マウス腹膜内膿瘍モデルでの評価 BPIタンパク質生成物のみ、あるいは抗生物質を併用した投与によるグラム陽 性感染に関する効果を、マウス腹膜内膿瘍モデルにて評価した。S.aureusをト リプシン処理した大豆培地で定常振盪しながら24時間成長せしめた。α−溶血素 の生成を最大限抑制するために、100%の酸素を連続的に培養基に供給した。遠 心分離によって微生物を回収し、1%(v/v)のトリプシン処理した大豆培地を含 む生理食塩水で洗浄し、そして、同じ希釈液にて約1×1010〜5×1010個の細菌 /mlにまで再懸濁した。プレート計測によって細菌の数を確認した。 20〜30gの体重の雌の白系スイスマウスのグループに対して、 1〜2×109個の細菌を含む懸濁液0.5mlを腹膜内に接種した。接種後3時間およ びさらに様々な時間間隔を開けてから、任意に選択したサブグループの感染動物 を屠殺し、そして、凝集した微生物あるいは膿瘍を腹腔内から無菌的に除去した 。単一動物から得たすべての凝集物あるいは膿瘍を粉砕し、1%トリプシン処理 した大豆培地を含む5mlの生理食塩水中で均質化せしめた。この懸濁液を連続的 に希釈し、細菌数をプレート計測によって決定した。 D.マウス大腿膿瘍モデルでの評価 BPIタンパク質生成物のみ、あるいは抗生物質を併用した投与によるグラム陽 性感染に関する効果を、マウス大腿膿瘍モデルにて評価した。 抗菌剤の効果を評価し、感染宿主での薬剤−病原体相互作用ならびに薬物動力 学の測定を可能ならしめるために、実験に用いる大腿病変モデルは、非致死的感 染の形態とした。動物が好中球減少症であれば、その大腿モデルは、宿主防御機 構の大半を喪失した薬剤−微生物相互作用に関する好適なシステムになる。 異種交配したスイスマウス、好ましくは、23〜27gのICRマウスを用いる。0 日目と3日目それぞれに、シクロホスファミド(150および100mg/kgの腹膜投与) をして好中球減少症を誘発した。4日目までに重篤な好中球減少症が誘発され( <100好中球/mm3)、この症状は2〜3日間続いた。感染した微生物を培地にて 対数増殖期まで成長せしめ、580nmでのODを0.30(〜106から107CFU/ml)にまで 調整した。4日目に、軽く麻酔をかけたマウスの大腿にこの調製物の0.1mlを注 射することで、マウスを感染せしめた。2時間にわたってこの感染症 の症状を進行せしめた。そして、感染したマウスをグループ分けし、グループご とに異なる用量の抗菌剤を皮下投与した。感染した未処置動物を対照として扱っ た。最初の4時間までは毎時間ごとに、そして、処置後16時間に至るまでは2〜 4時間ごとに、各グループの2〜4匹のマウスを屠殺した。感染した未処置動物 も同様の時間にて屠殺した。 各採取時において大腿部の筋肉を採取し、Polytronの組織均質化装置を用いて 、9mlの0.85%塩化ナトリウム中にて即座に均質化した。適切な培地に、この均 質物の一対の連続10倍希釈液10μlを置いた後に生菌数を計数した。処置動物お よび未処置動物のグループに関する、各測定点での対数値CFU/大腿の数値を決定 した。 E.ウサギ眼内感染モデルでの評価 BPIタンパク質生成物のみ、あるいは抗生物質を併用した投与によるグラム陽 性感染に関する効果を、ウサギ眼内感染モデルにて評価した。0.5%の塩酸テト ラカインで局所的に麻酔をかけたウサギの眼をメタフェン(1:4000)で無菌処理し 、標準生理食塩水で洗浄した。26ゲージの針を用いて、300,000あるいは5,000CF UのS.aureusを含む約0.2ml、または700CFUのS.aureusを含む約0.02mlを、眼球 の前方に位置するウサギの角膜の中心、あるいは眼球のガラス体に接種した。接 種が行われたウサギの眼の角膜および眼球の前方部から、24、48および72時間の 時点にて試料採取を行った。表面汚染物を除去するために、培養に先行して、す べての角膜をメタフェン(1:4000)および生理食塩水で洗浄した。 接種が行われたウサギの眼球の前方部およびガラス体からも同じ時間間隔で試 料採取を行った。ガラス体房水を19ゲージ の針で除去した。虹彩も培養した。 ガラス体内への接種が行われた眼球も、24、48および72時間にわたって培養し た。ガラス体房水および前房ならびに網膜の試料を、感染の進行の程度を決定す るために用いた。 0.2ml中に300,000 CFUを含む試料を、ウサギの眼の角膜、前房およびガラス体 に接種する場合、一般に、24〜48時間以内に毒性を伴う全眼球炎を発症し、接種 箇所を問わずに72時間以内に失明に至る。0.2ml中に5,000 CFUを含む試料を、角 膜、前房およびガラス体に接種する場合、一般に、72時間にて全眼球炎を発症し 、ガラス体内への接種において最も重篤な感染が、また、接種箇所が前房の場合 にはやや程度の弱い感染を伴う。0.02ml中に700 CFUを含む試料を用いた場合、2 4時間以内に角膜と前房での感染は消失するが、ガラス体での感染は消失しなか った。 当該技術分野で公知の他の眼球感染および疾患のモデル〔例えば、Sugar et a l.,Arch.Opthamol.,104; 1230-1232(1986)およびMoon et al.,Investigativ e Opthalmol.Visual Science,29: 1277-1284(1988)を参照のこと〕も、BPIタ ンパク質生成物単独投与あるいは抗生物質と併用して投与した際の、細菌感染に 関連した眼球でのBPIタンパク質生成物の効果を評価するために用いることがで きる。 本発明の好適な態様を述べた先の開示を考慮すれば、当業者であれば無数の修 正と変更を想到するものと思われる。従って、本明細書に添付した請求の範囲に 記載の限定のみが本発明の範疇に付加されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI // C07K 14/47 9356−4H C07K 14/47 C12N 15/09 ZNA 9637−4B C12P 21/02 C C12P 21/02 9282−4B C12N 15/00 ZNAA (31)優先権主張番号 08/274,299 (32)優先日 1994年7月11日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE ,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK, LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,M X,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 リトル, ロジャー, ジー. ザ セカ ンド アメリカ合衆国 94510 カリフォルニア ベニシア ローズ ドライブ 620

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.単一治療効果を得るに十分な量のBPIタンパク質生成物を、感受性グラム 陽性細菌感染に罹患した患者に投与する工程を含む、感受性グラム陽性細菌感染 を治療する方法。 2.前記BPIタンパク質生成物が、BPIのN末端断片あるいはその二量体形 態である請求の範囲第1項に記載の方法。 3.前記N末端断片が、約21〜25kDの分子量を有する請求の範囲第2項に記載の 方法。 4.前記BPIタンパク質生成物が、rBPI23、BPIホロタンパク質あるい はrBPI21である請求の範囲第1項に記載の方法。 5.前記BPIタンパク質生成物が、BPI誘導ペプチドである請求の範囲第1 項に記載の方法。 6.前記感染に関与する感受性グラム陽性細菌が、Bacillus subilis、Streptoc occus pneumoniae、およびStreptococcus pyogenes(グループA)からなるグル ープから選択される請求の範囲第1項に記載の方法。 7.併用治療効果を得るに十分な量のBPIタンパク質生成物を、感受性グラム 陽性細菌感染に罹患した患者に投与し、および、併用治療効果を得るに十分な量 の一つ以上の抗生物質を前記患者に投与する工程を含む、感受性グラム陽性細菌 感 染を治療する方法。 8.前記BPIタンパク質生成物が、感染に関与する感受性グラム陽性細菌種の 抗生物質感受性を増大するに十分な量だけ投与される請求の範囲第7項に記載の 方法。 9.前記BPIタンパク質生成物が、感染に関与する感受性グラム陽性細菌種の 抗生物質耐性を変換するに十分な量だけ投与される請求の範囲第7項に記載の方 法。 10.前記BPIタンパク質生成物が、BPIのN末端断片あるいはその二量体形 態である請求の範囲第7項に記載の方法。 11.前記N末端断片が、約21〜25kDの分子量を有する請求の範囲第10項に記載の 方法。 12.前記BPIタンパク質生成物が、rBPI23、BPIホロタンパク質あるい はrBPI21である請求の範囲第7項に記載の方法。 13.前記BPIタンパク質生成物と抗生物質が、それぞれが単独で投与された場 合に殺菌あるいは静菌効果を得るに十分な量だけ投与される請求の範囲第7項に 記載の方法。 14.相乗効果を得るに十分な量のBPIタンパク質生成物と一つ以上の抗生物質 を、感受性グラム陽性細菌感染に罹患した患者に投与する工程を含む、感受性グ ラム陽性細菌感染を治療する方法。 15.前記BPIタンパク質生成物が、BPIのN末端断片あるいはその二量体形 態である請求の範囲第14項に記載の方法。 16.前記N末端断片が、約21〜25kDの分子量を有する請求の範囲第15項に記載の 方法。 17.前記BPIタンパク質生成物が、rBPI23、BPIホロタンパク質あるい はrBPI21である請求の範囲第14項に記載の方法。 18.前記BPIタンパク質生成物と抗生物質が、それぞれが単独で投与された場 合に殺菌あるいは静菌効果を得るに十分な量だけ投与される請求の範囲第14項に 記載の方法。 19.細菌とBPIタンパク質生成物を接触せしめる工程を含む感受性グラム陽性 細菌を殺菌あるいはその成長を阻害する方法。 20.細菌とBPIタンパク質生成物および一つ以上の抗生物質を接触せしめる工 程を含む感受性グラム陽性細菌を殺菌あるいはその成長を阻害する方法。 21.前記感受性グラム陽性細菌の細胞壁が粉砕されている請求の範囲第19項もし くは第20項に記載の方法。 22.前記感受性グラム陽性細菌が、Staphylococcus aureus、Streptococcus pne umoniae、およびEnnterococcus faecalisの対数増殖期変異体からなるグループ から選択される請求の 範囲第21項に記載の方法。 23.MycoplasmaとBPIタンパク質生成物を接触せしめる工程を含むMycoplasma を殺菌あるいはその成長を阻害する方法。 24.Mycoplasmaと抗生物質を接触せしめる工程をさらに含む請求の範囲第23項に 記載の方法。 25.感受性グラム陽性細菌感染を治療する薬剤を製造するためのBPIタンパク 質生成物の使用。 26.抗生物質を用いて感受性グラム陽性細菌感染を治療する薬剤を製造するため のBPIタンパク質生成物の使用。
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