JPH09507770A - 骨締着用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 拡張部材（１０）と、軸線方向通路（１８）と、該軸線方向通路に挿入自在の細長の挿入要素（３４）とを有する骨締着用具に於て、拡張部材（１０）が骨開口部に挿入する構成とされ、拡張部材の遠方端部（１４）が、拡張部材（１０）を骨開口部に配設する配設装置から軸線方向に釈放させるための構造部をも有し、１具体例では該構造部が、拡張部材を骨開口部に配設する間に拡張部材から切断される脆性膜を有している。挿入要素（３４）の遠方端部（１４）には、骨に連結するべき物体と接触するワッシャ（６２）と係合するように適合された半径方向突出部が形成される。ワッシャ（６２）は、上方表面及び下方表面と、これら表面間に形成される中央孔とを有し、軸の一部分の周囲に配設される。挿入要素（３４）は、その半径方向突出部がワッシャと異なる曲率半径を有することから、ワッシャとは無関係に移動するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】 骨締着用具 〔発明の背景〕 骨に、例えば柔組織のような物体を固定するための様々な方法がある。最も古 くは、組織と骨とに通した糸で組織を骨に縫合する方法があり、この方法での縫 合のための多くの寸法形状及び形式の縫合糸と縫合糸針とが用意されている。糸 を骨に通すのが一般的に難しくしかも時間を要するとは言え、老年の骨関節炎患 者の腱及び靱帯を治療するために今日でも用いられている。 金属ねじ或は金属ステープルを使用して柔組織を骨に付着させる柔組織治療も 行われるが、金属ねじ及び或は金属ステープルは腐蝕しやすく、腐蝕すると構造 的欠損部を生じる。しかも、或る解剖学的部位に金属があるとその金属が当該部 位付近での画像処理及び診断或は治療処置上邪魔になることがある。金属製の移 植片は、例えば磁気共鳴による画像処理に先立ち、手術して除去する必要がある 。ニチノールのようなニッケル−チタン合金を含むニッケルを大量に含有する材 料を患者に使用する件に関し、患者がニッケルイオンやステンレス製の移植片に 敏感であることから論争が巻き起こされた。ねじやステープルでは、それらが柔 組織に加える圧力を調節することも出来ない。かくして、ねじ及びステープルも 柔 組織治療のために十分なものとはいえない。 その他のものでは、縫合糸アンカーをワイヤ弧状部に付着したもの或は縫合糸 アンカーの胴部外面上に複数の“返し”を設けたものがある。返し或はワイヤ弧 状部は縫合糸を牽引することによりセットする。残念なことに、縫合糸に加えら れる張力で縫合糸アンカーが骨開口部内で引き上げられるようであると、縫合糸 アンカーを骨の内部に正確に位置決めするのは難しい。更には、大抵の締着用具 は、これを然るべくセットするための何らかの衝撃或は刺激を必要とする。衝撃 による骨／縫合糸アンカーの配設或は取り付けは患者を傷付けるのみならず、骨 締着用具それ自体に不要な応力を与える。 〔発明の概要〕 本発明は、従来の骨締着用具に於ける問題を排除する新規な骨締着用具に関す るものである。 広い意味では本発明の骨締着用具は、軸線方向通路を有する拡張部材と、この 軸線方向通路に挿通される細長の挿入要素とを有する。拡張部材は、骨にドリル で穿孔した骨開口部に挿入され得る形状を有し、連続的な圧縮力（即ち刺激或は 衝撃を伴わない圧力）により拡張される。拡張部材は骨締着手順を通じて、骨締 着用具のための保持手段によりその遠方端部を把持され、次いで軸線方向に於て 保持手段から釈放される。 １具体例に於て、物体を骨に連結させるための骨締着 用具が、骨開口部に挿入される略円筒形状の拡張部材を有し、この拡張部材が拡 張性材料から形成されている。拡張部材は外面を有し、この外面は、拡張時に骨 開口部の内面と係合する構造を有している。拡張部材は、その近接端部と遠方端 部との間を伸延する軸線方向通路を有し、遠方端部には、この拡張部材を保持手 段から軸線方向に釈放するための釈放手段が設けられる。拡張部材には細長の挿 入要素が挿入される。挿入要素は、近接端部と遠方端部と、これら各端部間に形 成され縫合糸と係合する軸線方向通路とを有する。挿入要素の遠方端部には挿入 要素の近接端部が拡張部材の軸線方向通路と係合する際に拡張部材の軸線方向通 路を拡張させるための半径方向突出部が設けられる。挿入要素を拡張部材に挿入 すると拡張部材は拡張して骨開口部に圧力嵌めされ、骨から抜けなくなる。 別の具体例は、物体を骨に連結するための骨締着用具であって、骨開口部に挿 入するための拡張部材を有している。拡張部材は、拡張することによって骨開口 部の内面と係合する外面を有している。拡張部材の近接端部と遠方端部との間の 少なくとも一部分を軸線方向通路が伸延する。拡張部材の遠方端部には、拡張部 材を保持手段から軸線方向に釈放させるための釈放手段が設けられる。拡張部材 には細長の挿入要素が挿入される。挿入要素は近接端部及び遠方端部を有し、こ れらの各端部間の少なくとも一部分に、縫合糸の中間部分を受けるための 軸線方向通路が形成される。拡張部材を軸線方向に釈放するための釈放手段は、 脆性部材の少なくとも一部分を含んでいるのが好ましい。更に別の具体例は、中 心穴を有するワッシャを有し、挿入要素の一部分がこのワッシャの中心穴内に配 設される。ワッシャは、挿入要素の軸上で移動するようになっているのが好まし い。ワッシャと、挿入要素の半径方向突出部分とが各々、相対する表面を有し且 つそれら各表面が、前記ワッシャが挿入要素に関して移動出来るようにするため の、異なる曲率半径を有している。 別の具体例は、骨開口部に挿入することの出来る拡張部材と共に使用するため の、物体を骨に連結するためのリベットである。リベットは、拡張部材の遠方端 部からこの拡張部材に挿入するための細長の挿入要素を有する。挿入要素は近接 端部と遠方端部とを有する軸を有し、遠方端部には半径方向突出部が設けられ、 軸の外面には、拡張部材を拡張させるようになっている半径方向外側突出部が形 成される。本具体例では上方表面及び下方表面を有するワッシャが含まれ、上方 表面及び下方表面間には中央孔を有している。この中央孔は挿入要素の軸の一部 分の周囲に配設され、またワッシャは挿入要素とは無関係に移動出来るようにな っている。ワッシャは、その下方表面に、挿入要素の近接端部に向けて伸延する 複数の、離間した突起を有するのが好ましい。ワッシャは、リベットに於ける組 織の増殖を助長するための 手段、例えば、ワッシャの周囲部分での上方表面及び下方表面間に形成した複数 の孔或は、ワッシャの少なくとも上方表面に形成した少なくとも１つの粗化部分 を有するのも好ましい。ワッシャの上方表面と挿入要素の半径方向突出部との各 々が異なる曲率半径を有しそれにより、ワッシャが半径方向突出部に関して移動 出来るようになっているのが最も好ましい。 別の具体例は、骨締着用具で使用するための拡張部材である。拡張部材は、骨 開口部内面と係合する実質的に円筒形状の外面を有し、近接端部及び遠方端部と 、これら各端部間を少なくとも部分的に伸延して内面を形成する軸線方向通路と を有する。軸線方向通路は、この内面と実質的に直交する方向から作用する圧縮 力により拡張されやすい。前記外面からは半径方向外側に複数の突出体が伸延す る。これらの突出体は、軸線方向通路と係合するに際し、骨開口部内部で骨と接 触する。拡張部材の遠方端部には、この拡張部材を細長の保持手段から軸線方向 に釈放させるための釈放装置が係合される。釈放装置は、拡張部材が骨開口部内 に配置された状態で拡張部材から分離することが出来るよう折れやすい部材を含 んでいることが好ましい。拡張部材の軸線方向通路中には細長の挿入要素が挿入 される。挿入要素は近接端部と遠方端部とを有し、近接端部には、拡張部材の軸 線方向通路の内面と係合する突出部が形成される。この突出部は、挿入要素を拡 張部材の遠方端部に挿入する際に拡張 部材を拡張するように配設される。 また本発明によれば、柔組織を骨に締着させるための方法が提供される。本方 法には、骨開口部に挿入するための拡張部材を提供する段階が含まれる。拡張部 材には所定直径を有する軸線方向通路が形成される。拡張部材には、この拡張部 材を保持手段から軸線方向に釈放させるための釈放装置も設けられる。次の段階 では拡張部材の遠方端部が保持手段に係合され、次いで拡張部材が、その遠方端 部を保持手段に係合させた状態で、柔組織及び骨に挿入される。次いで拡張部材 に連続的な圧縮力が加えられて軸線方向通路を拡開させ、拡張部材の外縁を骨と 係合させる。拡張部材を軸線方向に釈放させるための釈放装置は、連続的な圧縮 力を停止した時に拡張部材を保持手段から釈放させる。連続的な圧縮力を加える 段階には、細長の挿入要素を拡張部材の軸線方向通路内に挿入する段階を含むの が好ましい。挿入要素は、その外面位置に突出部を有するのが好ましい。挿入要 素の突出部は、軸線方向通路内に近接した状態で移動し、この移動に際し拡張部 材の軸線方向通路の内面と係合して軸線方向通路に、軸線方向通路と実質的に直 交する方向からの力を行使して拡張部材を拡張させ、拡張部材の直径を骨開口部 内で拡開させる。釈放装置は、保持手段の近接端部及び拡張部材の遠方端部と一 体の脆性部材を含むことが最も好ましい。釈放装置を作動させる段階には、この 脆性部材を分離させることが含まれる。 骨開口部に締着用具を配設するための別の方法には、骨開口部に挿入する近接 端部と、脆性部材を介して保持手段と一体化された遠方端部を有する拡張部材と を提供することが含まれる。拡張部材は所定直径の軸線方向通路を有する。拡張 部材は保持手段によって骨開口部に挿入される。挿入要素の近接端部が、この拡 張部材の軸線方向通路の遠方端部から挿入される。挿入要素はその遠方端部位置 に半径方向突出部を有する。挿入要素は軸線方向通路に連続的に挿入され、その 半径方向突出部が、軸線方向通路と実質的に直交する方向からの力を拡張部材に 行使し、軸線方向通路を骨開口部に対して拡張させる。次で、脆性部材が断裂さ れ拡張部材が保持手段から分離される。 〔発明の目的〕 構造及びデザインの簡潔な骨締着用具を提供することであり、 １つ以上の生体同化性の構成要素を有する骨締着用具を提供することであり、 縫合を必要とせずに骨開口部内に配置することの出来る骨締着用具を提供する ことであり、 締着用具を展開させるための刺激や衝撃を伴うことなく、組織を骨に付着させ るための力を施術者が調節することの出来る骨締着用具を配置するための装置を 提供することであり、 ニチノールバーブ（ｂａｒｂ）その他類似の装置の使用が排除された、骨締着 用具を配置するための方法を提供することであり、 関節鏡的に使用することの出来る、骨締着用具を挿入するための装置を提供す ることである。 〔図面の簡単な説明〕 図１は本発明の拡張部材の長手方向の断面図である。 図２は遠方端部に半径方向突出部を形成してなる本発明の拡張部材の長手方向 断面図である。 図３は別態様の本発明の挿入要素の長手方向断面図である。 図４は別態様の本発明の挿入要素の長手方向断面図である。 図５は別態様の本発明の挿入要素及びワッシャの斜視図である。 図６は近接端部側の突出部が拡張部材の近接端部から延出した状態を示す骨締 着用具の断面図である。 図７は図６の別態様の断面図である。 図８は骨開口部内の拡張部材内に位置付けた状態での、摺動する縫合糸を有す る図４の挿入要素の断面図である。 図９は骨開口部内に、図５の挿入要素とワッシャとを有する拡張部材を配設し た状態を示す断面図である。 図１０は好ましい保持手段を使用しての骨開口部内へ の拡張部材の配設状態を例示するダイヤグラムである。 図１１は本発明の拡張部材及び保持手段の断面図である。 図１２は別態様の本発明の拡張部材及び保持手段の断面図である。 図１３は拡張部材が骨開口部に位置付けられ、挿入要素が保持手段から釈放さ れた直後の最前方位置にある状態を例示する断面図である。 図１４はリベット形態の挿入要素と共に使用するようにした保持手段の１形式 を例示する断面図である。 図１５は本発明の配設装置の１具体例の断面図である。 図１６は別態様の本発明の配設装置の分解図である。 図１７は別態様の本発明の拡張部材及び保持手段の断面図である。 図１８は別態様の本発明の拡張部材及び保持手段の断面図である。 〔実施例の説明〕 本発明に従う骨締着用具は、一般に、細長の挿入要素と、この挿入要素を受け るための軸線方向通路を有する、略円筒形状の拡張部材とを有している。拡張部 材はその拡張状態に於て、骨に予め穿孔した骨開口部内に配置される。挿入要素 の直径は軸線方向通路の少なくとも一部分の直径よりも部分的に大きくそれによ り、この挿 入要素を軸線方向通路に挿入すると、挿入要素の部分的に直径の大きい部分が軸 線方向通路を外側に押し出す。軸線方向通路はこうした、軸線方向通路と直交す る方向から作用する力により拡張し易くされる。挿入要素の加える力により拡張 部材は骨開口部の壁に対して不可逆的に拡張せしめられそれにより、挿入要素を この拡張部材内部に固定させると共に、この拡張部材自身が骨開口部内にしっか りと圧力嵌めされる。以下に詳しく説明するが、挿入要素或いは拡張部材或いは それらの両方が、柔組織への、縫合糸を使用する取り付け或いは縫合糸を使用し ないリベット付着を提供するように適合させることが出来る。 本発明の拡張部材の具体例が全体を番号１０で示されている。拡張部材１０は 実質的に円筒形状の胴部を有し、胴部は近接端部１２と遠方端部１４とを有して いる。近接端部１２は骨開口部に最初に入る端部であり、遠方端部１４はこの近 接端部から最も遠い位置にある。拡張部材は生体相溶性の材料から好ましく形成 され、骨開口部内で拡張した場合に開口部内壁の凹凸と実質的に合致するに十分 な変形性を有していることが好ましい。“生体相溶性”とは、拡張部材の材料が 化学的及び生物学的に不活性であることを意味する。拡張部材の材料として好適 なものには、例えばインプラント等級の高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ ン（ＰＥ６０１０及びＰＥ２０３０）や、ポリプロピレン（１３Ｒ９Ａ及び２ ３ＭＳ：全てテキサス州ダラスのＲｅｘｅｎｅ社製）がある。ＰＥ６０１０及び １３Ｒ９Ａがクラス６材料としてＦＤＡに記載されているものであることは勿論 である。 拡張部材は“生体同化性”の材料製でもあり得る。“生体同化性”材料とは、 例えば血液やリンパ液等の体液により分解或いは減成される材料を意味する。拡 張部材は所望の減成時間に従い選択した、生体同化性の高分子或いはコポリマー から好ましく作製する。減成時間は外科的処置上の予想組織癒着時間に基づく。 既知の生体同化性の高分子及びコポリマーの減成時間は、ポリグリコライド（ｐ ｏｌｙｇｌｙｃｏｌｉｄｅ）で約３か月、ポリグルタミク−コレウシン（ｐｏｌ ｙｇｌｕｔａｍｉｃ−ｃｏ−ｌｅｕｃｉｎｅ）では約４８時間である。生体同化 性の縫合糸に使用する一般的な生体同化性高分子は、減成時間が約１２乃至１８ か月であるｐｏｌｙ（Ｌｌａｃｔｉｄｅ）である。好ましい拡張部材は、グリコ ール酸及び乳酸から誘導した同化性コポリマー、例えば、その他市販入手し得る グリコリド（ｇｌｙｃｏｌｉｄｅ）コポリマー及びラクチド（ｌａｃｔｉｄｅ） コポリマーと化学的に類似の剛性ポリエステルから成るものである。 以下の表に、拡張部材並びに骨締着用具のその他部材のために使用する生体同 化性材料として有用な高分子を列挙する。これらの高分子は全て、生体的に減成 して水 溶性の、非毒性の物質となり体外に排出され得るものである。これらの高分子材 料の安全性は実証済であり、米国食品及び薬品局のリストに認可済み材料として 掲載されている。 ＊拡張部材 図１を参照するに、拡張部材１０が、骨開口部の内面 と固着状態で係合するための外面１３を有している。外面１３は円滑化し或いは 図示の如き複数の***部１６を設けることが出来る。詳しく説明すると、好まし い形状に於て外面１３は環状の複数の***部１６を有し、これらの***部１６は 、拡張部材１０が骨開口部の内壁に係合して拡張するに際し、内壁の凹凸部分と 接触して変形し、また拡張後に変形してそうした凹凸部分に合致する。***部１ ６の長手方向軸線を、拡張部材の長手方向軸線（図１では矢印Ａで示す）方向に 整合させることも出来る。***部１６の外面の形状及びデザインは本発明を限定 するものではない。 拡張部材の外面に、拡張部材の近接端部及び遠方端部間を伸延する１つ以上の 長孔（図示せず）を設け、この長孔の各端部を拡張部材の近接及び遠方の各端部 からある程度離して位置付けることにより、拡張部材の外面が骨開口部の内壁の 寸法形状にかなり良く合致するようになる。つまり、長孔の各端部が拡張部材の 各端部と接触しないようにすれば良く、この長孔が拡張部材に柔軟性を与え、斯 くして外面は骨開口部の凹凸に合致出来るようになる。長孔を、拡張部材の外面 の軸線方向に、或いは円周方向に沿って形成しても良い。 拡張部材１０の近接端部１２と遠方端部１４との間に軸線方向通路１８を形成 し、好ましくは、拡張部材全体を貫いて伸延させる。軸線方向通路１８は、図１ で記号Ｄで示す所定の内径を有する。この内径は、軸線方向通 路の長手方向の１か所以上の部分に沿って変化するとは言え、軸線方向通路１８ の長手方向軸線（Ａ）に沿って実質的に一定とする。１具体例に於て（図７参照 ）軸線方向通路１８の内面１９には１つ以上の段部２０を形成する。これらの段 部２０は、以下に説明する挿入要素の外面上の相当する***部と合致する設計と する。 図１を参照するに、拡張部材の一方の端部（即ち近接端部１２）が、骨開口部 に挿入するように特に適合されている。近接端部１２の直径は骨開口部の内径よ りも常に小さい。近接端部１２には図６に示す挿入要素の外面と係合する実質的 に平坦な平坦部分２１を設ける。 拡張部材１０を、柔組織或いは骨プレートのような物体を骨の一定部位に直接 固定するためのリベット形態のものとしても良い。図２にはそうしたリベット２ ２を設けた拡張部材例を示す。この拡張部材の遠方端部１４には半径方向突出部 ２３を形成する。図２の具体例では半径方向突出部２３はフランジ２４として形 成されている。フランジ２４の近接表面２５は全体的に平坦であり且つ拡張部材 １０の長手方向軸線（Ａ）に対し直交しており、フランジ２４の遠方表面２６は 円滑で全体的にドーム形状のヘッドを提供する輪郭を有し、縁辺部付近の方が中 心部よりも肉薄である。 別態様のリベット形態の拡張部材（図示せず）を骨開口部に配置することも出 来る。この場合、拡張部材の遠方端部には半径方向突出部と、この半径方向突出 部に近 接した控えとを設ける。控えは半径方向突出部と骨表面との間に配設する。拡張 部材の外面の、骨開口部の内壁と接触する領域全体に一連の***部を設け、これ ら***部と半径方向突出部との間の領域全体を円滑部分とする。拡張部材の外面 に、この外面と実質的に直交する方向に伸延するストッパを設けても良い。スト ッパは、拡張部材の外面の、骨開口部内面と接触する部分と控えとが交差する位 置に設けられ、骨開口部へのリベットの挿入深さを精密に制限する。ストッパは 実質的に一対の矩形の突出部として形成し、骨開口部の縁部位置で骨表面と接触 することにより拡張部材の進行を停止させるよう、拡張部材の外面から十分に伸 延させる。オペレーターは、ストッパが骨の表面と接触した時点で挿入要素を挿 入させるための機構を作動させ、拡張部材を予め決定した深さ位置に固定する。 控え付きの締着用具は、特定の外科的セッティングに従い、種々の深さを提供し また種々の控えを提供する寸法形状のものとすることが出来る。 図１及び図２には、拡張部材の多くの具体例に対し本発明の共通の特徴部分も 例示される。即ち、保持手段（図示せず）から拡張部材を軸線方向に釈放するた めの釈放手段１５が例示される。釈放手段１５は、以下に詳しく説明するが、骨 締着用具を骨開口部に配設するに際し破壊される膜であるのが好ましい。膜は、 拡張部材の長手方向軸線と平行方向の（即ち軸線方向の）、実質的 に連続する衝撃を伴わない力により破壊される。釈放手段１５は拡張部材１０の 遠方端部に配設され、図１では拡張部材１０のぎざぎざ部分を有する遠方縁部と して表わされている。これにより、骨開口部３３内に完全に配設された状態でも 、拡張部材はこの釈放手段１５を保持している。 図示しない別の具体例では、拡張部材の外面には骨開口部の内面と係合するセ ルフタッピング式のねじ条が設けられる。ねじ条は、骨開口部内で拡張部材を所 望の深さで位置決めする。即ち、ねじ条は、挿入要素を拡張部材の軸線方向通路 に押し込んで固定するに先立ち、拡張部材の半径方向突出部と骨表面との間の位 置に所望の力を付与する。ねじ条を設けた拡張部材を使用する場合、拡張部材を 、ねじ条の外径よりも幾分小径の骨開口部にねじ込み、ねじ条がこの骨開口部内 を進行するに際しある程度のセルフタッピングを実行させるようにすることも出 来る。ねじ条は、それ自体で拡張部材を固定させるに十分なタッピング通路を骨 開口部に形成する程ではないが、ねじ条の表面は骨開口部内壁を切断或いは削る に十分な硬さに硬化させることが出来る。そうした硬化は例えば、熱或いは放射 線照射により硬化する比較的変形性を有する高分子材料によりセルフタッピング 部材を形成し、次でこのセルフタッピング部材の外側表面の選択部分に放射線を 照射して照射部分を硬化させ、最後に、セルフタッピング部材の柔軟部分の表面 の選択部分に硬 質の、高耐久性の材料を薄くコーティングする。このセルフタッピング部材を骨 開口部の所定深さにねじ込んだ後、挿入要素を拡張部材の軸線方向通路に押し込 むと拡張部材は拡張し、その外面が先に説明したように変形する。 拡張部材は従来の成型或いは押し出し技法で作製することが可能であり、その 大きさは、特定の外科的処置に基き広範囲に変更することが出来る。ある例では 拡張部材の長さは約０．４０インチ（約１０．１ｍｍ）、外径は約０．１４０イ ンチ（約３．５ｍｍ）、軸線方向通路の近接側開口部の傾斜長さは約０．０７イ ンチ（約１．７ｍｍ）であった。 ＊挿入要素 図３は本発明の挿入要素３４の断面図である。挿入要素３４は実質的に細長形 状であり、遠方端部３５と近接端部３６と、外面３７とを有する。外面３７はそ の一端に於て、拡張部材１０（図１）の軸線方向通路１８の内面１９と係合する 突出部３８を有するのが最も好ましい。挿入要素３４は、その突出部３８により 拡張部材の長手方向軸線と実質的に直交する方向に於てこの拡張部材を拡張させ るべく、比較的硬質の生体相容性材料から形成する。挿入要素３４の外面３７の 突出部３８は様々な構造及び設計形状のものとすることが出来る。それらの構造 及び設計形状は本発明の範囲を限定するものでは ない。 挿入要素の遠方及び近接の各端部間には通路４０が形成される。通路４０は縫 合糸と係合するようになっており、例示具体例では挿入要素３４の遠方及び近接 の各端部３５、３６間全体を伸延している。挿入要素の一端部、好ましくは近接 端部には、縫合糸を付着するための構造部分が形成される。この構造部分は最も 好ましくは、挿入要素３４の外側周囲の平坦な周囲壁４３である。周囲壁４３は 切り欠き４４（図６参照）と係合するに十分な幅を有する。縫合糸を付着するた めの別の手段として例えば、挿入要素の端部に配設した長孔にして、切り込みに 挟んだ縫合糸の端部をその顎部内にトラッピングする１つ以上の長孔を形成する 。更に、縫合糸付着手段として、色々のクリップその他装置を設け得る。 図４の具体例では挿入要素３４には、縫合糸の中央部分（即ち自由端間の部分 ）を受けて所謂“摺動”する縫合糸を形成する通路を設けている。挿入要素３４ は、拡張遠方端部４８を設けた、全体的に円筒形状の軸５２を有する。この軸５ ２の長手方向軸線（Ａ）を直角に貫いて通路５０が形成される。通路５０は軸に 沿った任意の位置に形成することが出来る。通路５０は軸５２の遠方端部３５の 位置に或いはこの遠方端部３５に隣り合わせて形成するのが好ましい。拡張部材 の軸線方向通路１８（図１）の内面１９と係合するための１つ以上の突出部３８ を形成する。縫合糸をその中間位置で通路５０の内 部に係合させる。拡張遠方端部４８の、軸５２の遠方端部３５には、図示しない が複数の通路を設ける。これらの通路は縫合糸を受容するに十分な直径を有し斯 くして、縫合糸はこれらの通路内に挿入要素の長手方向軸線と実質的に平行且つ 平坦な状態で配設され、通路からはみ出すことがない。 図８には、図４の縫合糸を摺動自在に受ける挿入要素を、骨開口部３３内での 拡張部材１０内部に配設した状態を例示する。図８には、骨の表面２９も示され る。全ての参照番号は先に参照した図面のそれと同じである。図８に示す特定の 骨締着用具は、縫合糸４６の中間部分４７と係合する設計形状を有している。 本発明の挿入要素の別の具体例を図５に示す。ここでは挿入要素３４はリベッ ト５８の形態とされている。リベット５８は本発明の拡張部材と共に使用して物 体を骨に連結するものであって、拡張部材１０（図１）の軸線方向通路１８に挿 入される細長の要素としての軸５２を有し、また遠方端部３５と近接端部３６と を有している。リベット５８の前記遠方及び近接の各端部間には通路４０が形成 され、遠方端部３５の位置には半径方向突出部６０が形成される。 環状孔６４を有するワッシャ６２が、この半径方向突出部６０の下方表面６６ と、この下方表面と対面する関係に於て係合する。ワッシャの下方表面６５には 、前記半径方向突出部６０から離間する方向に且つリベット５ ８の近接端部３６に向けて伸延する一連の突出体６７を図５の如く間隔を置いて 形成するのが好ましい。突出体６７は色々の長さを有し得るものであるが、骨に 直接挿入され或いは骨から離れた組織中に挿入されることにより、ワッシャの把 持面を提供する。突出体６７の高さが、ワッシャ或いはリベットの半径方向突出 部６０の圧迫が強過ぎて組織が壊死するのを防ぐに十分な隙間をワッシャと組織 との間に提供する。 リベットの半径方向突出部６０の外径はワッシャ６２の環状孔６４の内径より も大きく、またこの環状孔６４の内径はリベットに軸５２の外径よりも大きいの が最も好ましい。斯くして、ワッシャの環状孔の内径は、リベット５８が、半径 突出部６０で制約される状態下で環状孔を摺動するに十分な大きさを有している 。このことはまた、組織の壊死（図９参照）を無くす或いは実質的に抑制するに 十分な距離を組織とリベットとの間に提供することにもなる。更に、ワッシャ６ ２の上方（遠方）表面６３と半径方向突出部６０の下方（近接）表面６６とは異 なる曲率半径を有している。曲率半径が異なることにより、リベットは組織とワ ッシャとの間で“浮揚”した状態となるので、リベットは異なる方向及び角度で の骨表面に対処するべく移動出来るようになる。 図９には図５のリベット５８とワッシャ６２とが例示される。ここではリベッ トが骨開口部３３の内に位置付けた拡張部材１０内に配置されている。図９には 、突出 体６７が組織６８と骨６９とに挿入されてワッシャ６２のための把持面を提供す る様子も示される。その他全ての参照番号は先の説明に於けると同じである。図 ９は、リベット５８がワッシャ６２内部で浮揚状態とされ、組織及び或いは骨表 面に対して直交する以外の状況での骨への挿入が可能な特定状況を例示している 。 別の具体例ではワッシャの上方表面６３及び下方表面６５の一方或いは両方に 、ワッシャを組織及び骨開口部に挿入した後に組織の増殖を助成するための組織 増殖促進手段を形成することが出来る。この組織増殖促進手段は、ワッシャ６２ の上方表面６３と下方表面６５との間に形成される複数の小孔（図５には示さず ）とすることが出来、その場合これらの小孔は前記上方表面６３及び下方表面６ ５の周囲部分に配設する。更に、組織の増殖は、ワッシャの上方表面６３及び下 方表面６５の何れか或いは両方に１か所以上の粗化部分（図示せず）を設けるこ とによっても増長される。ワッシャ及び或いは挿入要素に組織の成長を促す因子 、例えばヒドロキシアパタイト、カルシウムフォスフェートその他をコーティン グし或いは含浸させても良い。ワッシャを、先に説明したと同じ生体同化性の材 料から作製するのが好ましい。ワッシャの化学的成分は、リベットにより固定し た組織が骨に再付着した後に完全に吸収されるようなものを選択する。更には、 挿入要素も、拡張部材に関して説明したような生体同化性の材料を含み得るもの である。 本発明がリベット形態を有していることからオペレーターは、組織締着時に組 織に対するリベットの圧力を手動で調節することにより、組織と、骨締着用具と 、骨との間に於ける圧縮力を設定することが出来ると言う大きな利益がある。 図６には、突出部３８が拡張部材１０の近接端部１２から延出するように配置 した具体例が示される。この構成上、突出部３８の肩部６８は拡張部材１２の近 接端部１２の位置で平坦部２１と係合する。肩部６８と平坦部２１との係合が、 挿入要素が拡張部材から後退して出てしまわないようにするための追加的な固定 力を骨締着用具に提供する。図７は軸線方向通路１８の内面１９内に段部２０が 形成された具体例を例示する。この段部は挿入要素３４の外面上の相当する峯部 ３９と合致するようになっている。別の具体例では複数の段部と複数の峯部とを 設けることが出来る。 挿入要素は拡張部材の軸線方向通路と合致するので、その寸法形状もまた広範 囲に於て変更され得る。先に説明した拡張部材と合致する設計形状の挿入要素は 、一例では長さ約０．４４インチ（１１．１ｍｍ）、通路直径は約０．０６イン チ（１．５ｍｍ）である。リベット形態の挿入要素（図５参照）は、幅約０．１ ８０インチ（４．６ｍｍ）、全長約０．５インチ（１２．７ｍｍ）の半径方向突 出部を遠方端に有する。縫合糸を摺動要素化する挿入要素（図４参照）は長さが 約０．４７インチ （１１．９ｍｍ）であり、遠方端部の通路は横断方向での幅が０．０５インチ（ １．３ｍｍ）深さが０．０４インチ（１．０ｍｍ）である。図５のリベット形態 の挿入要素と合致する設計形状のワッシャは、一例では幅約０．２９インチ（７ ．４ｍｍ）、中央孔は直径が約０．１４インチ（３．５ｍｍ）である。合計で６ つの突出部をワッシャの下方表面に沿って等間隔で形成することが出来る。各々 の突起の長さは約０．０６５インチ（１．６ｍｍ）である。 ＊保持手段 図１０には、拡張部材１０を、好ましい保持手段７０を使用して骨開口部３３ 内部に配置した具体例を示す。保持手段７０は、骨に向う方向或は離れる方向で の実質的な力を骨自体に加えることなく、骨締着用具を確実に拡張させるように なっている。図１０の具体例では拡張部材１０は軸線方向通路１８を有し、軸線 方向通路１８の外面１３が未使用状態で示され、軸線方向通路１８の直径が記号 ａで、最も幅広の位置での外面１３の直径がｂで表されている。直径ｂは、未使 用状態での拡張部材が骨開口部を軽い押し嵌め状態で通過するよう、骨開口部の 内径ｃと等しくすることが出来る。保持手段７０は細長の、実質的には中空のチ ューブであり、拡張部材１０の遠方端部１４の外径ｅよりも大きな内径ｄを有し ている。 保持手段７０の近接端部７２は拡張部材１０の遠方端部１４と一体である。こ こで“一体”とは、保持手段の近接端部が拡張部材の遠方端部と物理的に連結す る様々な構造に対して参照されるものであり、また、ワンピース構造のユニット 並びに、最初は別々であるが連結されて完全な装置となる部品構成に対しても参 照される。図１０の具体例ではこの物理的連結は、保持手段７０と拡張部材１０ との間を連続する、継ぎ目の無い表面７３を介して達成される。 保持手段７０と拡張部材１０との間の表面が単一の、連続する表面である必要 は無い。拡張部材１０は様々な機構を使用して保持手段７０の近接端部位置にス ナップ係合或は押し嵌めして位置決めすることも出来る。図１１を参照するに、 拡張部材１０の近接端部が保持手段７０の近接端部７２位置に形成した孔７１に 押し嵌めされている。拡張部材１０には、保持手段７０の相当する表面７６と係 合するようにした１つ以上の突出部７４を設けることが出来る。 図１２は、一連のねじ条７５を形成した中間端部７２を有する２部材構成の保 持手段７０を例示する。ねじ条７５に対応する一連のねじ条７８が、第２の中間 端部７３に形成される。 図１７には、保持手段７０を拡張部材１０と一体化する別の方法が例示される 。図示の如く、保持手段７０の近接端部７２には孔７１が形成される。孔７１は 、拡張 部材１０に於ける対応する戻り止め７３と、拡張部材１０が保持手段７０に回し 込むか或は押し込むことの出来る態様に於て合致する設計形状を有する。かくし て、図１０から図１２そして図１７では拡張部材１０は、骨開口部内への配設段 階時に保持手段７０を拡張部材と係合し続けさせる構成を有している。 更に、図１０乃至１２、図１７での各具体例は、拡張部材１０を保持手段７０ から軸線方向に於て釈放するための構造部を有している。この構造部は実質的に 環状のリング或は実質的に環状の材料の膜として配列され得るものであり、図１ ０から図１２及び図１７では脆性膜８４である。ここで“脆性”とは、壊れやす い或は脆いことを意味する。特に図１０に於て、脆性膜８４は、保持手段７０と 拡張部材１０とを繋ぐ環状の付設部分として例示される。図１１では脆性膜８４ は拡張部材１０の遠方端部を突出部７４に連結し、以下に説明する骨締着用具の 配設時には切断される。図１２は、脆性膜８４を拡張部材１０の遠方端部１４と 保持手段７０のねじ条部分７５との間に配設した状態を例示する。 しかしながら、拡張部材１０を保持手段７０から軸線方向に於て釈放するため のこの構造部は、脆性材料による完全な環状部材以外のものとしても良い。膜は 一連のスポーク或はウエッビングであり得る。この場合、スポークのみを破壊す る必要がある。或はまた、前記構造部は極めて弱化された複数の膜である。 保持手段は１例では、約０．０７乃至０．１４インチ（１．７乃至３．５ｍｍ ）の間の直径を有し、厚さ約０．０１乃至０．０２インチ（０．２５乃至０．５ ０ｍｍ）の脆い環状膜により、拡張部材（図１２）と一体化され得る。 ＊方法 これに限定するものではないが、柔組織を骨に付着させるための１方法を、本 発明のリベット形態の骨締着用具を参照して以下に説明する。骨に柔組織を付着 させるためには、Ｋ−ワイヤ（例えばＫｉｒｓｃｈｎｅｒ Ｍｅｄｉｃａｌ社の 製造する如き）の先鋭化した近接端部に、骨締着用具に付着させるべき柔組織を 刺し通す。次いでＫワイヤの近接端部を、柔組織付着部位の近くで骨表面上に配 置し、Ｋワイヤを骨に穿入させる。Ｋワイヤを外科医の所望する場所に突入した 後、外科医はカニューレ挿通した好適な寸法のドリルをＫワイヤ全体に通し、次 いで、このカニューレ挿通したドリルを使用して骨に孔開けする。骨に孔開けし 終えたらドリルを取り除き、Ｋワイヤを然るべき位置に残す。次いで本発明のリ ベット形態の挿入要素を、図１５及び１６を参照して以下に説明する配設装置内 部に収納した拡張部材に装填する。リベット形態の挿入要素はＫワイヤ全体を移 動し、拡張部材は柔組織を貫いて下方に押送され、骨開口部に入る。これにより 拡張部材は骨開口部内に配置される。外科医は、骨締着用具と柔組織との配向が 正しいと判断した時点で配設装置を起動させ、骨締着用具を骨開口部内にセット する。次いで配設装置、Ｋワイヤを順に取り除く。この技法の変更例には、先ず 骨開口部を穿孔し、次いで柔組織を貫く孔をパンチングすることが含まれる。こ の場合、柔組織を、例えばＫワイヤ或は把持装置 を使用して骨開口部の上方を移動させる。そして柔組織を貫く孔と骨とにＫワイ ヤを挿通した後、本発明の配設装置をＫワイヤ全体に通す。好ましい方法には、 骨開口部に拡張部材を挿通させる段階が含まれる。拡張部材はその内部に、以下 に説明する如き特定直径の軸線方向通路を有する。拡張部材は、この拡張部材を 保持手段から軸線方向に釈放させるための釈放手段を有する。拡張部材は、先に 説明した保持手段によりその遠方端部を把持される。拡張部材は、この保持部材 と共に骨開口部に挿入され、その間、拡張部材の遠方端部との接触を維持し続け る。連続的な圧縮力を拡張部材に加えることにより軸線方向通路の直径を拡張さ せ、拡張部材の外面を骨と係合させる。この圧縮力は、細長の挿入要素を圧縮す ることにより加えられ、挿入要素は拡張部材の軸線方向通路に押入される。挿入 要素の外面の突出部分が拡張部材の軸線方向通路の内面と係合し、この軸線方向 通路の内面に対し、軸線方向通路と実質的に直交する方向の力を加える。骨開口 部内部での軸線方向通路の直径は、この軸線方向通路内部を突出部分が近接状態 で移動するに際し拡大する。次いで拡張部材を軸線方向に切断するための手段が 起動されそれにより、連続する圧縮力が停止されると挿入要素により骨開口部内 で完全に拡張された拡張部材が、保持手段から釈放される。詳しく言うと、脆性 膜が軸線方向に切断される時、拡張部材がその保持手段から分離される。 本発明に於ては、拡張部材を拡張させるために必要な力が実質的に連続的であ り且つ時間と共に分散し、従って従来方法に於けるような衝撃を伴う力ではない ことが重要である。拡張部材は、挿入要素を、この挿入要素の長手方向軸線と実 質的に平行な方向での軸線方向に向けて押送することにより拡張される。かくし て、骨締着用具を挿入するための配設装置は、刺激或は衝撃を生じることの無い 前進駆動機構を必要とする。物理的意味に於て、（ｉ）骨；（ｉｉ）ドリルで骨 に孔開けする際のガイドとして使用するＫワイヤ；（ｉｉｉ）骨開口部内でＫワ イヤを覆って配設される骨締着用具；（ｉｖ）骨締着用具を配設するための配設 装置は、例えばハンマー或はインパクタの如きによるような外力がシステムに加 えられることがない、閉じた、連続する境界部分を含んでいる。 本発明の装置を使用して骨開口部内部に骨締着用具を配設するには、一般的に 以下に説明する如き手順を使用する。挿入要素は、この挿入要素の軸線方向通路 の内面に沿って形成される傾斜部分と相対する少なくとも１つの突出部分を有す る。釈放要素により包囲したプランジャーを、挿入要素から離れた第１の位置か ら、挿入要素の遠方端部と係合する第２の位置に持ち来す。プランジャーと釈放 要素とを中空の保持手段の内部で同軸方向に整列させる。次いでプランジャーを 更に前方に押送し、挿入要素を、この挿入要素が拡張部材の軸線方向通路に 入るに先立って押圧する。挿入要素の近接端部位置の突出部分が拡張部材の軸線 方向通路の内面を外側に押圧する。釈放要素は、傾斜したブレードであり得ると ころの剪断用の近接表面を有し得るが、この近接表面は脆性膜を剪断することの 出来る任意のもので良い。縫合糸を、挿入要素の近接端部位置での縫合糸取り付 け手段に、縫合糸の結び目を介して係合させる。 挿入要素を前方（即ち近接端部方向）に向けて最大限押送する。挿入要素が最 前方位置に接近するに従い、釈放要素の傾斜表面が脆性膜に接近し、到達し、次 いでこれを貫き、拡張部材を中空の保持手段から切断しそれにより、完全に拡張 され且つしっかりと固定された骨締着用具を保持手段から釈放する。釈放要素が 、脆性膜の環状釈放手段と一致する完全に環状の遠方表面を有することを認識さ れたい。仮に脆性膜が一連の不連続部分を有していると釈放要素もまた、不連続 な切断用表面を有することになる。次いで保持手段をこの部位から引抜き、骨の 然るべき固定部位に骨締着用具を残留させる。 或はまた脆性膜を、釈放要素を使用せずに切断させることが出来る。本発明の １具体例ではこの切断を、脆性膜の固有の弾性と、引張による脆性膜の破壊とに 依存している。図１３を参照するに、拡張部材が骨開口部内に配設され、挿入要 素３４が、保持手段７０から軸線方向に釈放された直後の、最前方位置に位置付 けられている。骨開口部３３の深さ（Ｅ）が拡張部材１０の長さと 実質的に同一であれば、矢印Ｘで示す力は、拡張部材の長手方向軸線と実質的に 平行な（両向き矢印Ｙ）、しかし保持手段７０内部を同軸方向に移動するプラン ジャー９０の行使する圧縮力（実践矢印Ｚ）とは逆方向に於て脆性膜８４に行使 される。力Ｚの大きさが逆方向の力Ｘのそれと実質的に等しいことを認識されよ う。力ＸとＺとは釈放手段（例えば脆性膜８４）に作用しこの釈放手段を１つの 方向に引き伸ばす。力Ｘの大きさが脆性膜８４の強度を上回った時点で脆性膜８ ４は破壊され、かくして拡張部材と挿入要素とが保持手段から釈放される。図１ ３には縫合糸４６とその結び目４４も例示される。この形式の釈放手段は、脆性 膜の物理的性質と剪断速度とに依存している。 図５に例示するようなリベット５８形式の挿入要素を提供することにより同じ 力を入手することが出来る。その場合、プランジャー９０がリベット５８の、骨 表面に当接して停止した半径方向突出部分６０と係合する。この係合が、脆性膜 を破壊点にまで引張するに必要な力を提供する。 脆性膜８４が一連の弱化膜を有する具体例に関しては、各脆性膜の膜前部から 膜後部に至る厚さは、挿入要素を拡張部材の軸線方向通路に押し込む力と均衡さ せるために必要な抗力に耐え得るように十分なものとする。しかし、この場合の 脆性膜と拡張部材との連結部の厚さは、挿入要素を完全に挿入し且つ拡張部材を 骨開口部に 固定した状態で、配設装置をその長手方向軸線を中心として廻動してこの連結部 を切断し、拡張部材を保持手段から釈放させるには十分な薄さとする。 図１４はリベット形態の挿入要素５８と共に使用するようになっている保持手 段７０の１形式に於ける断面図である。こうした挿入要素や保持手段は図５及び １２を参照して先に説明されている。リベット５８は軸線方向通路４０を有し、 全体的に円筒形状の保持手段７０は、拡張部材１０の遠方端部１４の外径よりも 大きい内径（ｄ）を有し、且つ図４を参照して先に説明したように挿入要素３４ の突出部分３８の直径を収受するに十分な大きさを有している。拡張部材１０は 脆性膜８４を有し、また、先に一般的に説明したように、骨開口部内を抵抗を受 けずに通過する。拡張部材はまた、骨開口部内に位置決めされると、外側の円滑 なネック部分３１が骨表面の上方に突出し、この突出部分が挿入要素の半径方向 突出部分６０と骨表面との間の“控え”を提供する。ネック部分３１の環状突起 ９５が、リベット５８の図示しないワッシャを保持し、拡張部材を骨開口部に挿 入する際にワッシャが紛失するのを防止する。ワッシャの中央孔は、本発明の骨 締着用具の配設に先立ち拡張部材を受けるような設計形状のものとする。 リベット５８の外径（ｂ）は、拡張部材のネック部分３１の内径と概略同じか 或はやや小さくする。前記外径（ｂ）は、拡張部材１０の軸線方向通路１８の内 径 （ａ）よりも大きくしそれにより、リベットの軸を軸線方向通路１８に押入させ た時、軸がネック部分３１を抵抗を受けずに通過するが、しかし拡張部材の外面 １３と係合してこの外面１３を骨開口部の内壁に抗して外側に拡張せしめるよう にする。つまり、リベットを前方に押送するに従い、挿入要素の突出部分３８の 近接端部３６が軸線方向通路の内面１９に当接して内面１９を外側に押圧するよ うにする。 更に、突出部分３８の外径（ｃ）が、釈放手段（例えば脆性膜８４）と干渉す る大きさとされる。この干渉が起きると拡張部材１０内部でのリベットの前進は 瞬間的に停止する。リベット５８が前方に更に押送されると、リベットの半径方 向突出部分６０が脆性膜８４を貫き、脆性膜を破壊し、斯くしてリベットは拡張 部材に完全に組み込まれた状態に於て保持手段７０から分離される。次で、保持 手段７０をこの部位から引き抜く。半径方向突出部分６０の下方表面６６に分離 用の近接縁部を設けることにより剪断作用を得るのが好ましい。脆性膜の円形の アンダーカット９６が分離精度を更に向上させる。分離されたリベットは、拡張 部材の外面が骨開口部と密着することで骨開口部内の然るべき位置に確実に係止 される。そして、このリベットにより締着するべき材料は、拡張部材のネック部 分の、骨表面とリベットのワッシャとの間で支持された部分の周囲に係止される 。図６を参照して説明したように、リベットのワッシャ６２の 突出体６７が、この骨締着用具に組織を一層強く係合させる。 リベット形態の拡張部材（図２の如き）を骨開口部に挿入する方法は、リベッ ト形態の挿入要素に関して先に説明した方法と実質的には同一である。斯くして 、拡張部材１０の近接端部１２は組織を容易に貫いて通過する輪郭形状とされる 。拡張部材に於ける半径方向突出部２３を、先に説明したような脆性膜により保 持手段に付設する。この脆性膜を先に説明した方法で破壊することにより、完全 に拡張し且つしっかりと固定された状態のリベット形態の拡張部材を保持手段か ら釈放させることが出来る。次で保持手段を引き抜き、リベット形態の拡張部材 を骨の締着部位に然るべく残留させ、付着した組織を半径方向突出部２３の近接 端部と骨表面との間で圧迫する。説明したリベット形態の拡張部材で使用するた めの別態様の構成では、半径方向突出部２３の内面にアンダーカットが設けられ る。このアンダーカットは脆性膜のすぐ近くに位置付けられ、この脆性膜が切断 され或いはそうでない場合には分離された時、半径方向突出部２３と図示しない 拡張部材の両方から環状の断片が切り離され、また半径方向突出部分と拡張部材 との間に残された接合部分の厚さが、固定状態の骨締着用具から引っ張るだけで 保持手段を除去することが出来る程に抵抗が小さくなるよう、半径方向突出部２ ３の材料内部に十分な深さに形成する。 ＊装置 本発明の好ましい配設装置は、配設に先立ち保持手段と拡張部材とを保持する 。配設装置は、挿入要素を拡張部材内に押入し、次で拡張部材を配設装置から分 離させるための手段を有する。骨締着用具アセンブリーが、使い捨て形式のカー トリッジを有する。カートリッジは拡張部材と、挿入要素と、保持手段と、この カートリッジを配設装置に付設するための手段とを有する。 図１５は本発明の配設装置の１具体例を例示する。配設装置９９は、軸線方向 に釈放するための脆性膜８４により拡張部材１０に付設された保持手段７０を包 納するカートリッジ１００を有する。カートリッジはプランジャー９０と挿入要 素３４とにより前負荷されている。釈放手段（例えば脆性膜８４を切断させるた めの）釈放要素９２（図１５には示さず）がプランジャー９０の周囲に同軸的に 配列される。挿入要素３４はその近接端部３６を拡張部材１０の遠方端部１４と 相対する状態で位置決めされる。挿入部材３４には縫合糸４６が配置される。縫 合糸４６の自由端部は軸線方向通路４０を貫き、プランジャー９０の通路１０６ を貫き、挿入要素３４の近接端部３６に当接した状態で結び目が形成される。結 び目４４は、拡張部材１０を骨開口部内に配設するに先立ってこの拡張部材１０ 内部に完全に収納されるので、拡張部材を骨開口部に挿入するに際しての干渉は 生じな い。 カートリッジ１００は、縫合糸４６の自由端部を収納するための巻取りスプー ル１１２を追加的に有し得る。配設装置に取り付けた縫合糸４６は、挿入要素３ ４の近接端部３６位置に於ける結び目から、軸線方向通路４０を貫き、プランジ ャーの軸線方向通路１０６の孔を貫いた後、巻取りスプール１１２の周囲に巻付 けられる。配設装置を引き抜くと、先に説明したように、縫合糸４６の巻き付い た骨締着用具が骨開口部の然るべき位置に固定した状態で残されるので、縫合糸 ４６の自由端部が巻取りスプール１１２から繰り出される。 カートリッジ１００は、プランジャー９０をカートリッジに関して（即ち骨に 向けて）付勢するための手持ち手段に取り外し自在に取り付けられる。図１５に 示す構成では、手持ち手段１２０は２つのハンドル要素１２２、１２４から成り 立つ。これらのハンドル要素は摺動自在に係合することにより、握り易いピスト ルグリップ１２６を提供する。ピストルグリップ１２６を握り締めるとハンドル 要素１２４がハンドル要素１２２に関して移動する。ハンドル要素１２２の端部 １２３はカートリッジ１００の遠方端部１０１に取外自在に取り付けられるよう になっており、ハンドル要素１２４の端部１２５にはプッシュロッド１２９が取 り付けられる。このプッシュロッド１２９の近接端部１２７は、２つのハンドル 要素を組み立て、カートリッジ１００をハンドル要素１ ２２の端部１２３に取り付けた時、プランジャー９０の遠方端部９１と衝接する 。或はまた、軸線方向穿孔１３０をプッシュロッド１２９及びハンドル要素１２ ４を後方に向けて貫通させ、縫合糸をこの軸線方向穿孔１３０内に通し、拡張部 材の近接端部位置での結び目から外側に導出させても良い。 外科医は、組み立て状態の配設装置をピストルグリップ位置で握り、予め骨に 穿孔しておいた開口部内の所望の深さに拡張部材を差し込む。次いで、配設装置 を然るべき位置に保持する間、ピストルグリップ１２６を握り締め、ハンドル要 素１２４をハンドル要素１２２に関して矢印１３１で示す如く前方に摺動させる 。プッシュロッド１２９がプランジャー９０の遠方端部９１を押圧し、衝撃を伴 わずにプランジャーを保持手段７０に向けて付勢する。これにより、（ｉ）挿入 要素３４を拡張部材１０の軸線方向通路１８内部に押入させ、（ｉｉ）拡張部材 １０を骨開口部３３内部で拡張せしめ、（ｉｉｉ）釈放要素９２をして拡張部材 １０と保持手段７０との間の位置で脆性膜８４を切断せしめ、骨締着用具を固定 状態に於て骨内部に残留させる。 図１６には別態様の具体例の分解斜視図が例示される。全ての参照番号は特に 注釈の無い限り図１５に於けると同じである。保持手段７０が急速結合用のイン ターロック５００により、この保持手段の遠方端部位置で手持ち手段１２０に連 結され、プランジャー９０を拡張部 材１０に関して前方に付勢している。図１６の装置では保持手段７０の遠方端部 １４４を把持するための一連の長孔或は歯１４３を有する錠止機構１４２が設け られる。長孔１４３と同軸的に係合するキャップ１４６及びキャップインサート １４８も取り付けられる。アクチュエーター駆動ロッド１５０が手持ち手段の内 部に配列され、ばね１５２と同軸に位置決めされる。アクチュエーター駆動ロッ ド１５０はハンドル１２２に結合され、先に説明したようにプランジャー９０に 対して押圧される。 スナップオン式のインターロックを、ばね負荷された挿入自在のコネクタとし て形成し、保持手段の遠方端部をこのコネクタの“雄”部分として構成し、手持 ち手段の一部分を“雌”部分として構成するのが好ましい。図１６に関して言え ばフランジ５１０は、その後面５１２から脆性膜８４までの距離が一定である状 態に位置付けられる。フランジ５１０から離れた位置には、保持手段の長手方向 軸線と全体的に直交する前側表面５１６を有した通路５１４が形成される。保持 手段はこの前側表面５１６の外縁部から離れる方向に傾斜した傾斜部分５１８を 有する。手持ち手段には、フランジ５１０から離して位置付けられた、この傾斜 部分５１８を受けるための、全体的に円筒形状の穿孔が形成される。 手持ち手段１２０には１つ以上のキーパー（図示せず）が設けられる。これら のキーパーは傾斜部分５１８ により、自らの長手方向軸線から離間される。長手方向軸線から離間されたキー パーは通路５１４に弾発的に係入し、保持手段７０の遠方部分が手持ち手段１２ ０の穿孔内に正しく位置決めされた時点で前側表面５１６に当接し錠止される。 フランジ５１０の後側表面５１２は、手持ち手段の前記保持手段を受ける穿孔に 隣り合う部分と接触し、手持ち手段内での保持手段の正しい後方位置を確立する ストッパを提供する。 手持ち手段１２０にはプランジャー９０が設けられる。プランジャー９０は、 保持手段の長手方向軸線に沿ってこの保持手段を受ける穿孔に接近する方向に連 続的に付勢される。連続的に且つ衝撃を伴わない状態で、挿入要素は拡張部材の 軸線方向通路に向けて押送され、この軸線方向通路に入る。プランジャー９０の 近接端部には肩部５２０が形成される。この肩部の縁部が、脆性膜８４を切断さ せることにより釈放手段を起動させるために十分に鋭い表面を提供する。 プランジャー９０は、後面５１２と脆性膜との間で、の前方から後方までの距 離を一定とする状態で固定するのが好ましい。手持ち手段内で付勢されるプラン ジャーの前方移動を制限し、プランジャーが接近限界位置に来た時、拡張部材が 保持手段からの脱係合を完了させるためのストッパを設ける。これにより、骨開 口部内への骨締着用具の正しい配設が保証される。直、この保証を得るには、保 持手段がハンドルに正しく取り付けられしか もユーザーがプランジャーを押せる限りに於て前方に付勢することが条件となる 。 本発明の骨締着用具を構成する部品には、外科用の締着キットが含まれ得る。 締着キットの１例には本発明の拡張部材と、本発明の挿入要素と、拡張部材と係 合するホルダーとが含まれ得る。ホルダーは拡張部材を骨開口部内での然るべき 位置に維持することが出来る。締着キットの別の例には、縫合糸の自由端を把持 し、縫合糸を柔組織に通すための把持体／マニピュレーターを有する。この、縫 合糸−把持装置の如きは１９９３年７月２６日付けの部分継続出願に於て説明さ れている。Ｋ−ワイヤ、ドリル、ドリルガイドも含まれ得る。締着キットはオペ レータが現場で使用するために無菌トレーその他容器に収納するのが好ましい。 以下に、本発明を例を挙げて説明する。 ＊例 拡張部材は、ダウケミカル社の天然の高密度ポリエチレン（“ＰＥ”）タイプ ＰＤＣ９１２２（Ｄｏｗ ＨＤ８３５４Ｎ）から形成し、直径０．１３８インチ （３．５ｍｍ）の骨開口部を容易に摺動する寸法形状のものとする。拡張部材の 外面には６−３２ねじ条を成形し、ねじ条とする。この６−３２ねじ条が０．１ ３８インチ（３．５ｍｍ）の最大外径を提供し、かくして拡張部材は直径３．５ ｍｍの骨開口部に抵抗なく挿入される。拡 張部材の軸線方向通路は直径が０．０７インチ（１．８ｍｍ）と一様であり、長 さは０．４２２インチ（１０．３ｍｍ）である。 挿入要素はデュポンデルリンII５００から形成し、図３に示すような全体形状 を有するように成形し、最大外径は０．１０７インチ（２．７ｍｍ）とする。デ ルリンは拡張部材を形成するポリエチレンよりも変形性はずっと小さい。挿入要 素の近接側の前縁部が、比較的圧縮性の無いこの挿入要素が、拡張部材の０．０ ７インチ（１．８ｍｍ）直径の軸線方向通路中に押入し、この拡張部材を拡張さ せることを可能とする。挿入要素が拡張部材内部に完全に挿入されると、拡張部 材の最大外径は約０．１６０インチ（４．１ｍｍ）となり、拡張部材の外面は実 質的に変形して骨開口部表面の凹凸に入り込み、拡張部材と挿入要素に対するし っかりとした締着体を構成する。挿入要素は直径０．０４６インチ（１．１ｍｍ ）の軸線方向通路を有し、この軸線方向通路が一対の縫合糸を受ける。これら一 対の縫合糸は後で柔組織を骨表面に付着させるために使用する。挿入要素を挿入 するに先立ち、前記一対の縫合糸を挿入要素の軸線方向通路に通し、各縫合糸の 近接端どうしを結び、この結び目が挿入要素の近接端部に当接して停止するよう にする。 拡張部材の外側には６−３２ねじ条を形成する。これらのねじ条は、拡張部材 を直径０．１３８インチ（３．５ｍｍ）の骨開口部に押し込むに際しての、骨開 口部内 での拡張部材の変形と、拡張部材の外面の骨開口部内への整合とを助成する。こ の試作品に於て、ねじ条は拡張部材を骨開口部に螺入させるために使用するので は無く、拡張部材が骨開口部内にある時にこの拡張部材の外側部分を変形させ易 くするために使用される。挿入要素を拡張部材の軸線方向通路に挿入した時、前 記ねじ条が骨開口部の海綿状内壁の凹凸により変形し、挿入要素は然るべき位置 に圧入される。 拡張部材には脆性を有する一体的な結合部を形成し、この結合部が、先に説明 したようにカートリッジ内部に包納された円筒形状の保持手段に拡張部材を結合 する。また拡張部材には、以下に述べる構成及び寸法形状の、先に説明したよう な保持手段を設ける。 例えば図１６に示すような保持手段は円筒形状に形成され、内径が０．１４５ インチ（３．７ｍｍ）、外径が０．２３０インチ（５．８ｍｍ）、全長が６．０ インチ（１５２ｍｍ）である。保持手段と拡張部材との間の脆性膜は厚さ０．０ １２インチ（０．３０ｍｍ）の環状体として形成する。 プランジャーと釈放手段とは、ステンレス鋼製のロッドを旋削して形成し、外 径０．１４５インチ（３．７ｍｍ）のパンチ−アンド−ダイ（全体的には図１６ に示すような）構造体とする。釈放手段は、前記ロッドの端部を加工し、プラン ジャーの、鋭くはない近接側先端部まで約０．０６インチ（１．５ｍｍ）のとこ ろに形成した 鋭い段部とする。 プランジャーが前方に押送されると、押送されたプランジャーが挿入要素を拡 張部材の軸線方向通路に押入させ、この拡張部材を拡張させ且つ拡張部材を、骨 開口部に抗して拡張させる。挿入要素が、拡張要素内部に完全に押し込まれる位 置に接近すると、鋭利な段部が、厚さ０．０１２インチ（０．３０ｍｍ）の環状 体に達する。そしてこの環状体を通過してこれを切断し、かくして拡張部材を保 持手段から切り離す。次いでカートリッジをプランジャー及び保持手段と共に引 抜き、予め孔開けした骨開口部内に骨締着用具を固定状態に於て残留させる。 骨開口部は直径３．５ｍｍ（０．１３８インチ）、深さは１４ｍｍとする。１ ４ｍｍの深さの穴は、深さ制限用のストッパを使用してドリルで開ける。装置試 作品は、豚の死体から取り出した大腿骨に先に説明した如く配設した。 豚の大腿骨の表面と概略直交して、深さ約１４．２５ｍｍの穴をステップドリ ルを使用して穿孔した。次いで骨締着用具に、先に説明した如く骨開口部内に位 置決めし固定した手持ち手段に連結した、未殺菌の、編まない一対の＃２ポリエ ステル縫合糸を装填した。この縫合糸に骨締着用具から或る距離の位置で結び目 を形成し、Ａｍｅｔｅｋ Ａｃｃｕｆｏｒｃｅ Ｃａｄｅｔ社のデジタル式フォ ースゲージでの０〜５０１ｂ（０〜２２．７ Ｋｇ）の範囲（Ｍａｎｓｆｉｅｌｄ＆Ｇｒｅｅｎ）の力で輪結びした。このフォ ースゲージを手で引っ張り、骨表面から直交する方向に引き離すことにより、縫 合糸の弛みを取り除いた。次いで、フォースゲージを骨表面に対して直交する方 向に手で強く引っ張り保持力をテストした。こうした予備試験に於て、骨締着用 具は保持され縫合糸は切れた。この結果から、現在市販される既知の装置を使用 しての類似のテストに於て示されたと同等の保持能力があることが実証された。 本発明に従う骨締着用具は、緻密な骨に錠止されることから、縫合糸を固定す るためのプラットフォームを提供するしまた、拡張部材の表面が骨開口部内面の 凹凸となじむことから固定効率も高い。更には、骨締着用具には縫合糸を切断す るための鋭い縁部がない。 本発明に従う骨締着用具は、例えば、靭帯或は腱を含む組織や骨プレートのよ うな人工装具を含む任意の様々な物体を骨に締着させるために使用することが出 来る。本発明の骨締着用具及び配設装置を、広範囲の整形外科的な手順及びセッ ティングに於て使用することが出来る。骨締着用具は優れた保持能力を提供する と共に寸法は比較的小さいので、衝撃や刺激或はハンマー効果を伴わずに、また 骨表面に向かう或は離れる任意の実質的な正味の力を与えることなく組み込むこ とが出来るので、本発明によれば骨アンカーを使用しない状態での、或はそれ程 有効には使用しない状態での、外科的なセッティ ングに於ける骨締着を提供する。 本発明に従う骨締着用具は孔開けが容易であり、骨に組み込んだ状態では骨表 面の近くに位置付けられる。かくして、後で骨からこの骨締着用具を外科的手順 によって除去するのも簡単である。骨締着用具を除去するに際しては、外科医は 、例えば、好ましくは元の骨開口部よりも直径の幾分小さいドリルビットから成 る回収装置を使用するのみである。ドリルビットは、挿入要素に穴開けするため にのみ使用し、次いでアンカー及び屑をこの穴から取り出す。 以上本発明を具体例を参照して説明したが、本発明の内で多くの変更を成し得 ることを理解されたい。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ライス，ジョン アメリカ合衆国 01773 マサチューセッ ツ，リンカン，レッド レイル ファーム レイン 31

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．物体を骨に連結するための骨締着用具であって、 骨開口部内に挿入するための、拡張自在の材料からなる実質的に円筒形状の拡 張部材にして、骨開口部の内面と拡張自在に係合するための構造部分を有する外 面を有し、該拡張部材の近接端部と遠方端部との間を少なくとも部分的に伸延す る軸線方向通路が内部に形成されてなる拡張部材と、 拡張部材に挿入するための細長の挿入要素にして、縫合糸と係合するための通 路を有し、該挿入要素の少なくとも一部分には、拡張部材と係合する際に拡張部 材を拡張させるために拡張部材の軸線方向通路の内径よりも大きい外径を有しそ れにより、挿入部材を拡張部材に挿入することにより、拡張部材が不可逆的に拡 張され骨開口部に押し嵌めされるようにしてなる骨締着用具。 ２．拡張部材の外面には、骨開口部の内面と係合するための複数の突出部が形 成されている請求の範囲１に記載の骨締着用具。 ３．物体を骨に連結するための骨締着用具であって、 骨開口部に挿入するための拡張部材にして、骨開口部の内面と拡張自在に係合 するための外面を有し、該拡張部材の近接端部と遠方端部との間を少なくとも部 分的に伸延する軸方向通路が内部に形成され、該拡張部材を保持手段から軸線方 向に於て釈放させるための構造部分を 有している拡張部材と、 拡張部材に挿入するための細長の挿入要素にして、拡張部材との係合時に該拡 張部材を拡張させるために、その外径が拡張部材の軸線方向通路の内径よりも大 きくそれにより、挿入要素を拡張部材に挿入することにより、拡張部材が不可逆 的に拡張され骨開口部に押し嵌めされる骨締着用具。 ４．構造部分が脆性膜の少なくとも一部分を含んでいる請求の範囲３に記載の 骨締着用具。 ５．拡張部材の近接端部と遠方端部との間を少なくとも部分的に伸延し、縫合 糸と係合するための軸方向通路が挿入要素の遠方端部に隣り合って位置付けられ ている請求の範囲４に記載の骨締着用具。 ６．挿入要素の端部と係合した縫合糸を含んでいる請求の範囲４に記載の骨締 着用具。 ７．中央開口が形成されたワッシャを有し、挿入要素の一部分が該中央開口内 に配設されている請求の範囲１に記載の骨締着用具。 ８．ワッシャは挿入要素上を移動するようになっている請求の範囲７に記載の 骨締着用具。 ９．ワッシャと、拡張部材の外面の突出部とが、ワッシャが挿入要素に関して 移動出来るように夫々異なる曲率半径を有している請求の範囲８に記載の骨締着 用具。 １０．骨開口部に挿入することの出来る拡張部材と共に使用して物体を骨に連 結するためのリベットであっ て、 拡張部材の遠方端部内に挿入するための細長の挿入要素にして、近接端部と遠 方端部とを有する軸を有し、遠方端部が半径方向突出部を有し、軸の外面が、拡 張部材を拡張するように適合された半径方向外側に突出する突出部を有する挿入 要素と、 上方表面と下方表面とを有するワッシャにして、前記上方表面と下方表面とが これら上方表面及び下方表面間に孔を画定し、該孔が、挿入要素の軸の一部分の 周囲に配設されそれにより、挿入要素が前記ワッシャとは独立して運動するよう にしてなるリベット。 １１．ワッシャの下方表面が、挿入要素の近接端部に向けて伸延する複数の、 離間した突出部を含んでいる請求の範囲１０に記載のリベット。 １２．ワッシャが、リベット上での組織の増殖を増進させるための手段を含ん でいる請求の範囲１０に記載のリベット。 １３．ワッシャの上方表面と下方表面との間に複数の孔が形成されている請求 の範囲１２に記載のリベット。 １４．リベット上での組織の増殖を増進させるための手段が、ワッシャの上方 表面位置の少なくとも１つの粗化部分を含んでいる請求の範囲１２に記載のリベ ット。 １５．ワッシャの上方表面と挿入要素の突出部とが、挿入要素がその突出部に 関して移動することが出来るように夫々異なる曲率半径を有している請求の範囲 １３に 記載のリベット。 １６．骨締着用具に於て使用するための拡張部材であって、骨開口部と係合す るための実質的に円筒形状の外面を有し、近接端部と遠方端部とを有し、該近接 端部及び遠方端部間を少なくとも部分的に伸延して該拡張部材の内面を形成する 軸線方向通路が内部に形成され、軸線方向通路が、前記内面に実質的に直交する 方向から作用する圧縮力により拡開し易くなっており、 拡張部材の外面から半径方向外側に伸延し、拡張部材の軸線方向通路との係合 時に骨開口部内で骨と接触するための複数の突出部と、 拡張部材を細長の保持手段から軸線方向に釈放するための、拡張部材の遠方端 部と係合する構造部分と、 を有する拡張部材。 １７．拡張部材を細長の保持手段から軸線方向に釈放するための構造部分が、 骨開口部内に拡張部材を配設する間に拡張部材から切断され得る脆性膜である請 求の範囲１６に記載の拡張部材。 １８．拡張部材の軸線方向通路に挿入する細長の挿入要素を更に有し、該挿入 要素が近接端部及び遠方端部を有し、前記近接端部が、拡張部材の軸線方向通路 の内面と係合する突出部を有し、該突出部が、拡張部材の遠方端部に挿入される に際して拡張部材を拡張させるように配列されてなる請求の範囲１６に記載の拡 張部材。 １９．骨開口部に挿入するための拡張部材にして、所 定直径を有する軸線方向通路をその内部に形成し、且つ拡張部材を配設手段から 軸線方向に於て釈放するための構造部をも有してなる拡張部材を準備すること、 拡張部材の遠方端部を配設手段に係合させること、 拡張部材の遠方端部を配設手段との係合状態に維持しつつ、拡張部材を柔組織 と骨とに挿入すること、 拡張部材に連続する圧縮力を加えることにより軸線方向通路の直径を拡張させ 、拡張部材の外面を骨と係合させること、 連続する圧縮力が停止した時、拡張部材を配設手段から軸線方向に於て釈放す るための構造部を起動させ、拡張部材を配設手段から釈放させること、 を含んでなる柔組織を骨に付着させるための方法。 ２０．外面位置に突出部を有する細長の挿入要素を拡張部材の軸線方向通路に 挿入すること、 挿入要素の突出部を軸線方向通路の内面と係合させることにより、軸線方向に 実質的に直交する方向に於て軸線方向通路に力を加えること、 挿入要素の突出部を軸線方向通路内部を近接端部に向けて移動させることによ り拡張部材を拡張させ、骨開口部内部での直径を拡張させること、 を更に含んでなる請求の範囲１９に記載の柔組織を骨に付着させるための方法 。 ２１．配設手段から軸線方向に釈放するための構造部分が、拡張部材の遠方端 部及び配設手段の近接端部と一 体の脆性膜である請求の範囲１９に記載の柔組織を骨に付着させるための方法。 ２２．配設手段から軸線方向に釈放するための構造部分により脆性膜を切断す ることを含んでいる請求の範囲１９に記載の柔組織を骨に付着させるための方法 。 ２３．骨開口部内に骨締着用具を確立するための方法であって、 骨開口部に挿入するための近接端部と、脆性膜により保持手段と一体化された 遠方端部と、所定直径の軸線方向通路とを有する拡張部材を提供すること、 拡張部材を保持手段により骨開口部に挿入すること、 突出部を有する細長の挿入要素を準備しこの挿入要素の近接端部を拡張部材の 遠方端部の位置で軸線方向通路に挿入すること、 挿入要素を軸線方向に連続的に前進させることにより、挿入要素の突出部によ り、軸線方向通路と実質的に直交する方向からの力を軸線方向通路に行使しそれ により、軸線方向通路の直径を骨開口部内へと拡張させること、 脆性膜を切断することにより保持手段から拡張部材を分離させること、 を含んでなる骨開口部内に骨締着用具を確立するための方法。 ２４．物体を骨に連結させるための骨締着用具であって、 骨開口部に挿入するための、拡張自在の材料から成る実質的に円筒形状の拡張 部材にして、骨間口部の内面と拡張自在に係合するための構造部を有する外面を 有し、また、拡張部材の近接端部と遠方端部との間を少なくとも部分的に伸延す る軸線方向通路を有してなる拡張部材と、 拡張部材に挿入するための細長の挿入要素にして、該挿入要素の長手方向軸線 と実質的に直交する方向に於て縫合糸の中間部分と係合するための通路が形成さ れた挿入要素とを有し、 挿入要素の少なくとも一部分が、拡張部材との係合時に該拡張部材を拡張させ るための、該拡張部材の軸線方向通路の内径よりも大きい外径部分を有しそれに より、挿入要素を拡張部材に挿入することにより、拡張部材が不可逆的に拡張し て骨開口部内に押し嵌めされるようにしてなる骨締着用具。 ２５．拡張部材の遠方端部が、拡張部材を保持手段から軸線方向に釈放させる ための構造部を有している請求の範囲２４に記載の骨締着用具。 ２６．構造部分が、脆性膜の少なくとも一部分である請求の範囲２５に記載の 骨締着用具。 ２７．物体を骨に付設させるための装置であって、 骨に固定するための骨締着用具と、 骨締着用具を骨に然るべく配置するに際して使用するための、該骨締着用具に 切断自在に付設される保持手段 ーと、 を有してなる装置。 ２８．縫合糸を骨に付設するための装置であって、 骨開口部に固定するための骨締着用具と、 前端部に於て骨締着用具に付設される保持手段と、を含み、 骨締着用具が該骨締着用具を貫く軸線方向通路を有し、 縫合糸が骨締着用具に付設され、該骨締着用具を通過してその後方部分から出 るようになっており、 保持手段が骨締着用具に切断自在に付設され且つ保持手段に選択的な力を加え ることにより骨締着用具から分離される配列構成とされてなる装置。 ２９．保持手段が、該保持手段を骨締着用具に関して廻動させることにより骨 締着用具から分離される配列構成とされている請求の範囲２７或いは２８の何れ かに記載の装置。 ３０．保持手段が、保持手段をその長手方向軸線を中心として廻動させること により骨締着用具から分離されるような配列構成とされてなる請求の範囲２９に 記載の装置。 ３１．保持手段が、ウエブ及びスポークの少なくとも一方により骨締着用具に 切断自在に付設されている請求の範囲２７或いは２８の何れかに記載の装置。 ３２．ウエブ及びスポークの少なくとも一方に於て は、保持手段を骨締着用具に関して前方或いは後方に付勢する力による切断に対 する抵抗力の方が、保持手段と直交する方向に於て保持手段に加えられる力によ る切断に対する抵抗力よりも大きい請求の範囲３０に記載の装置。 ３３．ウエブ及びスポークの少なくとも一方が、保持手段の前端部を骨締着用 具の後端部に切断自在に付設してなる請求の範囲３０に記載の装置。 ３４．物体が縫合糸である請求の範囲２７に記載の装置。 ３５．骨締着用具の後方部分が、物体を骨に付設するためのフランジを有して いる請求の範囲２７に記載の装置。 ３６．骨締着用具の外面が少なくとも１つの突出部を有している請求の範囲２ ７に記載の装置。 ３７．骨締着用具の外面が環状の峰部を有している請求の範囲２７に記載の装 置。 ３８．骨締着用具の外面にねじ条が形成されている請求の範囲２７或いは２８ に記載の装置。 ３９．骨締着用具が生体同化性の材料を含んでいる請求の範囲２７或いは２８ に記載の装置。 ４０．骨締着用具及び保持手段の少なくとも一方が全体的に円筒形状を有して いる請求の範囲２７に記載の装置。