JPH09503266A - 後置接続された酸化触媒によるディーゼル機関の有害物質の放出減少方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ディーゼル機関（１）の低温始動、部分負荷および／又は無負荷運転における有害物質の放出を後置接続された酸化触媒コンバータ（４）によって減少する方法において、酸化触媒（４）が上流側に少なくとも一つの電気加熱可能な部分（３）を有し、この電気加熱可能な部分（３）がディーゼル機関（１）の始動前および／又は始動後に付着したすすが発火する温度まで特に約６００℃以上の温度に加熱される方法に関する。その加熱は非常に迅速に特に１０秒以内で行われ、続いて酸化触媒（４）の下流側に位置する表面にあるすすも発熱反応で燃焼させるために、補助的に燃料（５）および／又は空気（６）がディーゼル機関（１）の排気ガス系統（２）に供給される。このようにしてディーゼル機関の不利な運転条件においても排気ガスの解毒が保証される。

Description

【発明の詳細な説明】 後置接続された酸化触媒によるディーゼル機関の有害物質の放出減少方法 本発明は、ディーゼル機関の低温始動、部分負荷および／又は無負荷運転にお ける有害物質の放出を後置接続された酸化触媒によって減少する方法に関する。 ディーゼル機関の有害物質の放出を減少するために従来技術においては多くの 方法が存在している。その場合有害物質を二つの種類に、即ちガス状有害物質と 粒子に区別しなければならない。ディーゼル機関式自動車においては長期にわた りすす粒子が有害成分と見なされ、従ってこのすす粒子を排気ガスから除去する ために多数の装置が開発された。例えば米国特許第４４０４７９５号明細書から ガスは透過するがすす粒子は引き留めるフィルタが知られている。このフィルタ はすすが過剰に集まって閉塞することを防止するために、時々その前方部分が電 気ヒータによって集積したすす層が発火して燃焼するまで加熱される。この状態 においてその過程を助成するためにフィルタの前に補助空気が供給される。 ディーゼル機関の有害物質を減少する他の構想は、ディーゼル機関の排気ガス 内に含まれる炭化水素および一酸化炭素が有害物質におけるそれらの成分を除去 するために酸化される必要があるということから出発している。この目的のため にディーゼル機関においてオットー機関の場合と類似した酸化触媒、即ち炭化水 素および一酸化炭素の酸化を助成する触媒活性被膜を備えた排気ガスを透過する 多数の通路を有するハニカム体が使用されている。ハニカム体を貫流して飛ぶす す粒子が発火して燃焼によって排気ガスから除去されることも部分的にはあるが 、これはこの種の酸化触媒の主目的ではない。 更に排気ガス中に高温で発生する窒素酸化物を減少するための構想があり、こ れは例えば排気ガス系統に炭化水素を補助的に供給することによって達成される 。上述の三つの方式を組み合わせることは原理的には考えられるが、その実現は 技術的および経済的に非常に難しい。 オットー機関の場合、例えばヨーロッパ特許第Ｂ−０４１２１０３号明細書か ら、有害物質の放出が特に大きい低温始動過程中において触媒転換を既に達成す るために、排気ガス触媒の前方部分を内燃機関の始動前および／又は始動後に加 熱することが知られている。このような前方部分に使用される電気加熱可能なハ ニカム体は従来技術において多数の形態が知られている。 ディーゼル機関式自動車においてすす放出が燃焼室における構造的処置および エンジン管理の改良によって減少できることにより、不可避の炭化水素成分を減 少するための酸化触媒は有害物質の放出を減少するための有利な構想である。し かしこの場合今まであまり注目されずまた解決されていない問題がある。即ち原 理的にフィルタとして構成されておらず自由に貫流される通路を有する酸化触媒 は、比較的低い温度においてその表面に比較的迅速にすす層が付着してしまい、 このすす層が孔を塞ぎ、触媒活性表面を減少するかまたはこれを完全に覆ってし まうという問題である。その結果そのような薄いすす層が付着した酸化触媒は実 質的に触媒活動をもはや行うことができなくなる。 触媒はすすが付着していない状態で約３００〜３５０℃において触媒作用を開 始するが、この温度ではすす層は全く変化しない。このすす層は約６００℃から 初めて燃焼し始める。この結果、一旦すすが付着した酸化触媒はそれが３５０℃ 以上の温度になっても活動しない。ディーゼル機関式自動車では、触媒の範囲に おける排気ガス温度が６００℃よりかなり低い運転状態、例えば低温始動、部分 負荷および／又は無負荷運転が頻繁に生ずるので、まさにこのような過程で酸化 触媒の機能が保証できないおそれがある。 本発明の課題は、ディーゼル機関の低温始動、部分負荷および／又は無負荷運 転における有害物質の放出を後置接続された酸化触媒によって減少するため、早 期の触媒転換を保証するような方法を提供することにある。 この課題を解決するために、本発明によれば、ディーゼル機関の排気ガス系統 に上流側に少なくとも一つの電気加熱可能な部分を有する酸化触媒が配置され、 この電気加熱可能な部分がディーゼル機関の始動前および／又は始動後に付着し たすすが点火する温度まで加熱される。電気加熱可能な部分は別個の小形のハニ カム体であるかまたは大形のハニカム体に一体化されている部分である。一般に この電気加熱可能な部分は１０〜５０ｍｍの軸方向長さを有し、酸化触媒の半径 と全径との間の大きさの直径を有し、一平方インチ当たり約５０〜２００個のセ ルを有している。その需要電力は例えば５００〜２０００Ｗであるが、もっと小 さなあるいは大きな値にすることもできる。 特に酸化触媒が軸方向に有利に配置され順次電気加熱される二つあるいはそれ 以上の電気加熱可能な部分を有していることも有利であり、これにより最大電力 を超過せずに、触媒全体の表面のすすを徐々に除去することができる。これに適 したハニカム装置は例えばヨーロッパ特許第Ｂ−０４１２１０３号明細書に記載 されている。 特にオットー機関の低温始動の際に有害物質の放出を減少しようとする公知の 加熱触媒とは異なって、本発明は、電気加熱可能な部分が付着したすすが発火す る温度にできるだけ速く加熱されることを問題としている。この温度は、すすが 付着していないきれいな触媒表面において炭化水素の触媒転換が始まる温度より もかなり高い。例えば電気加熱可能な部分は特に約６００℃以上の温度に加熱さ れる必要がある。有害物質の放出をまさに低温始動の際に減少しなくてはならな いので、電気加熱可能な部分はできるだけ速く、例えば２０秒以内特に１０秒以 内に加熱される。 電気加熱可能な部分に付着したすすが発火すると直ちに発熱反応が進行するが 、この反応はすすが一般に非常に薄いすす層であるので絶対値として大きなエネ ルギーの放出を生じさせるものではない。従ってすすの燃焼が後続のハニカム体 の全表面にわたって伝播することは、特に電気加熱可能な部分が別個に配置され ているときには保証されない。しかしできるだけ速く全表面を炭化水素の酸化の ために用いなければならないので、本発明の他の実施態様においては、ディーゼ ル機関の排気ガス系統に補助的に燃料および／又は空気を供給し、これを既に非 常に高温の電気加熱可能な部分で転換し、これによって生ずる絶対値として非常 に高温の発熱エネルギーで後続のハニカム体の表面のすすを完全燃焼して除去す ることが提案されている。この時点でディーゼル機関が余剰空気で運転されてい るときには、燃料を補助的に供給するだけでよく、そうでない場合には補助的に 空気を供給しなければならない。すす層が厚い場合あるいは排気ガスが燃料で豊 富化されている場合には空気を供給するだけでも十分である。酸化触媒における 圧力降下を測定するかあるいは他の測定量から求めることによって、場合によっ て は加熱、燃料ないし空気の導入の必要性に関する情報を得ることができる。 ディーゼル機関においてその加熱方式は一連の方式の選択が考えられる。ディ ーゼル機関が予熱されている場合、ディーゼル機関の予熱中に電気エネルギーが 電気加熱可能な部分の加熱のために十分に利用できるならばそれで電気加熱可能 な部分が加熱される。自動車のバッテリーによるエネルギー供給が限られている 場合には、点灯用発電機からのエネルギーを補助的に利用できるとき、ディーゼ ル機関の始動直後にこれで電気加熱を開始することが有利である。その場合加熱 は比較的高い電流で非常に迅速に行うことができる。 方法全体を制御あるいは調整するためには特に、電気加熱可能な部分内あるい はその近くの温度を測定し、その測定値から加熱の終了および／又は燃料および ／又は空気の補助的な供給の開始および終了を決定すると有利である。加熱可能 な部分に一体化されるかその外側に取り付けられる温度センサがこのような役割 を果たす。この温度センサで測定された温度曲線の経過から、炭化水素の触媒転 換が３５０℃で既に開始しているかどうかを確認できる。この場合有害なすす層 は存在せず、酸化触媒をそれ以上に加熱する必要はない。この温度で反応がまだ 始まらないとき、加熱可能な部分はもっと加熱されなければならないが、その場 合約６００℃においてすす層が燃えはじめたときに飛躍的な温度上昇が確認され なければならない。このような信号によって補助的な燃料および／又は空気の導 入を制御することができる。温度測定結果を評価することにより、少なくとも電 気加熱可能な部分およびその触媒活性被膜の機能を推察することもできる。 本発明はディーゼル機関において有害物質の放出を減少するための他の方法お よび装置、特にすすフィルタと組み合わせることもできる。その場合、酸化触媒 における発熱反応によって発生されるエネルギーは例えば後続のすすフィルタに おいてすす層を発火するために利用される。またすすフィルタに後置接続された 本発明に基づく酸化触媒は、すすフィルタの周期的な燃焼の際に生じ得る有害物 質がほぼ完全に触媒転換されることを助成する働きもする。 本発明の実施例を図面を参照して以下に概略的に説明する。 ディーゼル機関１の排気ガスは上流側に電気加熱可能な部分３を備えた酸化触 媒４を有する排気ガス系統２に到達する。電気加熱可能な部分はオットー機関用 の公知の加熱触媒のように形成することができ、電源７から例えば５０〜２００ アンペアの電流が供給される。温度センサ８は電気加熱可能な部分３内あるいは その近くの温度を測定し、これによって工程を意図的に調節し監視することが可 能となる。しかしこの方法は原理的には温度センサを使用せずに純粋な時間制御 でも実施できる。ディーゼル機関１と加熱可能な部分３との間に燃料５を噴射す る装置あるいは補助空気６を導入する装置を設けて、電気加熱可能な部分３の加 熱後にそこに燃料と空気との発熱反応を引き起こし、この発熱反応で酸化触媒４ 全体のすすを燃焼して除去することができる。この燃焼の際に酸化触媒は非常に 迅速に触媒酸化にとって必要な温度よりはるかに高い温度になるので、その直後 において炭化水素を酸化するのに完全に有効な状態となる。 本発明に基づく方法によれば、ディーゼル機関の始動後の１０〜２０秒後にお いて早くも酸化触媒の全触媒作用が有効となり、従ってディーゼル機関の低温始 動、部分負荷および／又は無負荷運転時の運転条件自体が酸化触媒の十分に高い 温度を保証しないときでも、解毒された排気ガスだけしか環境に排出されないこ とが達成される。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ディーゼル機関（１）の低温始動、部分負荷および／又は無負荷運転におけ る有害物質の放出を後置接続された酸化触媒（４）によって減少する方法におい て、酸化触媒（４）が上流側に少なくとも一つの電気加熱可能な部分（３）を有 し、この電気加熱可能な部分（３）がディーゼル機関（１）の始動前および／又 は始動後に付着したすすが発火する温度まで加熱されることを特徴とする後置接 続された酸化触媒によるディーゼル機関の有害物質の放出減少方法。 ２．電気加熱可能な部分（３）が約６００℃以上の温度に加熱されることを特徴 とする請求項１記載の方法。 ３．電気加熱可能な部分（３）が少なくとも２０秒以内特に１０秒以内で加熱さ れることを特徴とする請求項１又は２記載の方法。 ４．電気加熱可能な部分（３）の温度が付着したすすが発火する温度に到達した 際あるいはその温度において、酸化触媒（４）の下流側に位置する表面にあるす すも発熱反応で燃焼するように、ディーゼル機関（１）の排気ガス系統（２）に 補助的に燃料（５）および／又は空気（６）が供給されることを特徴とする請求 項１ないし３の１つに記載の方法。 ５．電気加熱可能な部分（３）がディーゼル機関（１）の予熱中に加熱されるこ とを特徴とする請求項１ないし４の１つに記載の方法。 ６．電気加熱可能な部分（３）がディーゼル機関（１）の始動直後に加熱される ことを特徴とする請求項１ないし４の１つに記載の方法。 ７．酸化触媒（４）が流れ方向に直列に順次電気加熱される複数の電気加熱可能 な部分を有していることを特徴とする請求項１ないし６の１つに記載の方法。 ８．電気加熱可能な部分（３）内あるいはその近くの温度が測定され（温度セン サ８）、その測定値から加熱の終了および／又は燃料（５）および／又は空気（ ６）の補助的な供給の開始および／又は終了が決定されることを特徴とする請求 項１ないし７の１つに記載の方法。 ９．酸化触媒上の圧力損失が直接あるいは間接的に検出され、そこから追加的な 加熱および／又は補助的な燃料ないし空気の供給の必要性が求められることを特 徴とする請求項１ないし８の１つに記載の方法。 １０．すすフィルタに直接接続され特にすすフィルタに前置接続されている酸化 触媒に適用されることを特徴とする請求項１ないし９の１つに記載の方法。