JPH0947768A - 重金属イオンの除去方法及び重金属イオン除去装置 - Google Patents

重金属イオンの除去方法及び重金属イオン除去装置

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JPH0947768A
JPH0947768A JP22277795A JP22277795A JPH0947768A JP H0947768 A JPH0947768 A JP H0947768A JP 22277795 A JP22277795 A JP 22277795A JP 22277795 A JP22277795 A JP 22277795A JP H0947768 A JPH0947768 A JP H0947768A
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heavy metal
solution
solid phase
silver
metal ions
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Application number
JP22277795A
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English (en)
Inventor
Takashi Nakamura
敬 中村
Haruhiko Iwano
治彦 岩野
Tatsuya Sakurai
達也 桜井
Koji Kusabe
光司 草部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Kawasaki Kasei Chemicals Ltd
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レドックス固相体の重金属イオン除去能力を
十分発揮させ、目詰まりが少なく、長時間一定の処理速
度で、効率的且つ選択的に重金属イオンを除去でき、処
理のコストダウン、処理設備の簡素化及び操作の簡便性
を実現できる重金属イオン除去方法、及び重金属イオン
除去装置を得る。 【解決手段】 特定のレドックス固相体を充填された充
填層に、重金属イオン含有溶液を上向流で通液するか、
中空部を有する充填層の中空部から外方に通液するか、
脱酸素気体を曝気しつつ下向流で通液するか、あるいは
予め特定の処理で処理された重金属イオン含有溶液を下
向流で通液して、該溶液から重金属イオンを選択的に除
去することを特徴とする重金属イオンの除去方法、及び
重金属イオン除去装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属イオンを含
有する溶液から重金属イオンを除去する方法及びその装
置に関し、詳しくは、レドックス固相体の重金属イオン
除去能力を十分発揮させ、目詰まりが少なく、長時間一
定の除去速度で、効率的且つ選択的に重金属イオンを除
去でき、除去操作のコストダウン、除去装置の簡素化及
び操作の簡便性を実現できる重金属イオンの除去方法及
び重金属イオン除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】重金属イオンを含有する溶液は、種々の
産業において排水として多量に発生している。特に電子
部品、自動車、工業排ガスの酸化処理に使用される工業
用酸化触媒及び還元触媒等の工業用触媒、並びに写真工
業等の分野において、多量の貴重な金属資源を含む排水
が排出される。資源回収、環境保全の観点からは、これ
らの貴重な金属資源を回収、再利用することは、最近重
要視されてきている。これらの金属の殆どが重金属イオ
ンまたは重金属錯イオン(以下、この両者を合わせて単
に重金属イオンという)として水溶液等の水性媒体に含
まれる。
【0003】これらの重金属イオンを回収する方法とし
ては、例えば、(1)水溶液中から不溶性塩又は還元等
によって沈殿物を生成させて、夾雑物と金属とを分離し
精製する方法、(2)イオン交換樹脂またはキレート樹
脂に吸着させて回収する方法、及び(3)酸化還元樹脂
によって吸着回収する方法等がある。上記(1)の方法
では、金属の回収率が悪かった。(2)の方法では、い
ずれも数種類の重金属イオンが共存する場合には選択率
が余り高くなく、重金属イオンが錯体となっている場合
には除去しにくいという欠点があった。(3)の方法で
は、酸化還元樹脂を製造するための原料となるモノマ
ー、例えばモノビニルアントラキノン等を製造する場合
においても、アントラキノン等のキノン類を直接アルキ
ル化やアルケニル化する実用的な方法がなく、多くの工
程を必要とし非常に高価になる。更に、そのモノマーを
使用して、例えばジビニルベンゼンと重合させた場合に
はビーズ状になりにくい等の欠点があり、実用的なもの
が製造されていない。
【0004】一方、写真工業等の分野においては、銀等
の貴重な重金属資源を含む排水が多量に排出される。従
来、ハロゲン化銀感光材料(以降、感材ともいう)の現
像処理液としては、発色現像液、白黒現像液、漂白液、
漂白定着液、定着液、安定液、リンス液、場合によって
はこれらの液が水で希釈された水洗水等がある。
【0005】また、排出される、感材の使用済み処理液
は、感光体がハロゲン化銀でできているために、必ず銀
を含有している。そのような使用済み処理液としては、
銀塩を含有する使用済み定着液や漂白定着液、及び銀塩
を含む水洗水、安定液などである。ところが、特定の地
域では銀の排出規制が厳しく、この場合には使用済み処
理液から銀を除去することが要望されている。
【0006】産業廃水中の銀規制については、多くの国
の水質環境基準に銀が記載されており、これに基づいて
河川への排出基準、更には下水への排水基準などに銀が
規制の対象として記載されている。したがって感材を水
洗したときに生じる使用済み処理水からの銀除去は、当
業界の大きな関心事である。多くの地域の銀の下水への
排出規制は、1〜5mg/L程度であるが、地域によって
は、廃水からの銀除去技術の現在レベルを考慮すること
なく、0.1〜1.0mg/Lレベルの規制が敷いてお
り、さらには0.01〜0.1mg/Lという極端な規制
値の条例すら施行され始めているのが実情である。
【0007】従って、銀含有使用済み処理液から銀を効
率的に回収し、さらには銀を除去した液を再利用し、写
真現像処理廃液の量を低減することは、経済的に有利な
だけでなく、欧米の一部の国では銀の環境への排出規制
にも対応できるので検討されてもいる。
【0008】写真現像処理における使用済み処理液から
の銀の除去方法に関しては、種々の方法が研究開発され
ている。そのような方法としては、経済性の観点から、
電解回収法と金属置換法が行われ、さらに最終廃液処理
段階では硫化ソーダによる沈澱除去法が行われていた。
これらによる除銀能力は、電解法では、100mg/L、
金属置換法では、50mg/Lが限度であり、硫化ソーダ
法は、0.1mg/Lまで除銀は可能である。しかし、こ
の技術は、現像所では実施困難であり、まして銀除去後
の液は再使用可能ではなかった。
【0009】更に、法令による規制が強化される新たな
除銀技術が必要となり、イオン交換樹脂法を代表とする
吸着法(硫化ソーダではなく)と小規模の現像所でも扱
えるような化学沈降剤を用いる沈降法も規制の厳しい地
域用として提案されている。イオン交換樹脂法は、理論
的には、十分に0.1mg/L以下まで低減できる。更
に、煩雑な操作をいとわず、充分に管理すると0.5〜
1.0mg/Lの除銀レベルに達することができる。しか
し、この除銀レベルにおいては、段数を増やし、チャネ
リング防止のために頻繁な逆洗浄を施し、水垢防止のた
めの薬洗を行うなど作業が煩雑となり、技術的、経済的
な負担が大きい。また、沈降法の中でもっとも新しく提
案されているトリメルカプトトリアジンを化学沈降剤と
して用いる方法も、0.5mg/Lレベルの除銀が可能と
されている(L. Hannen and A. Szembrot “A Practica
l Application of a Silver Recovery Method”IS &
T International Symposium on Photofinishing Techno
logy, February 1994, at Atlanta, USA)。しかし、適
用性の点で最も進んでいるこの方法ですら、長時間にわ
たる熟成沈降、滞留時間に見合う大型の装置などを必要
とし、解決を要する欠点をかかえている。
【0010】従って、既存の除銀方法では,特に銀規制
の厳しい地域に対しては除銀能力が不十分で、除銀処理
後の処理液の再利用が困難である上、設備・操作の上で
問題点が多い。したがって、いずれの地域の規制にも対
応できる高度の除銀能力を有し、且つ廃液量も軽減でき
る簡易で経済的な方法の開発が望まれている。更に、写
真現像処理は、カラー現像所、それを小型化して小地域
を対象にして店頭で現像処理サービスを行うミニラボ、
写真製版印刷等を行う印刷・製版工場、レントゲンフィ
ルムなどの医療用写真感材を現像する病院・診療所など
都市域の各所に広く分散して行われており、規模も小規
模の事業所が多い。それだけに除銀技術は、現像作業者
の負担にならない省力、簡易でかつ低コストのものが望
まれている。上記詳述した銀を含む写真処理液に限ら
ず、従来技術では重金属イオンを含む溶液からの有効な
重金属イオンの除去方法がなかった。
【0011】欧州特許第647721A号公報におい
て、重金属イオンを含有する水溶液中の重金属イオンを
0価に還元できるヒドロキノン骨格を有する化合物を固
体の多孔質担体に担持したレドックス固相体を用いて、
重金属イオンを含有する水溶液中の重金属イオンを除去
する方法、製造法が容易で貴金属イオン等の重金属イオ
ン及びその錯イオンを選択的に水溶液から分離すること
ができる金属イオン処理剤並びにその製造方法を開示し
た。また、特願平7−47558号においては、ハロゲ
ン化銀感光材料の現像処理における使用済み処理液を、
レドックス固相体で処理することにより、液中の銀を効
率的且つ選択的に除去できることを示した。
【0012】上記還元性化合物を固体の多孔質担体に担
持したレドックス固相体は、重金属イオン回収法として
は、有効なものである。しかし、該レドックス固相体上
に析出した重金属は、酸化されやすく、そのため該レド
ックス固相体と重金属イオン含有溶液と接触させる際
に、溶存酸素により該重金属が酸化されて重金属イオン
として再び溶けだしてしまうこともあり、上記レドック
ス固相体の処理能力が十分に発揮されていないこともあ
った。更に、該レドックス固相体は重金属イオンを多量
に捕捉するため、カラム等に充填して重金属イオン含有
溶液を処理すると処理早期にカラムが閉塞してしまい、
それによりレドックス固相体を頻繁に交換しなければな
らなくなった。そのため、コストが大幅に増え、交換作
業も煩雑になる。従って、上記金属除去方法より更に、
金属回収効率が高く、長期間安定して処理できる優れた
重金属イオンの除去方法が望まれている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、レドックス固相体の重金属イオン除去能力を十分発
揮させ、充填層の目詰まりが少なく、長時間一定の処理
速度で、効率的且つ選択的に重金属イオンを除去でき、
処理のコストダウン、処理設備の簡素化及び操作の簡便
性を実現できる重金属イオンの除去方法を提供すること
である。本発明の他の目的は、前処理によって共存する
種々の金属の影響を排除し、目的とする重金属を効果的
に除去できる重金属イオンの除去方法を提供することで
ある。本発明の他の目的は、長時間一定の処理速度で、
安定して金属除去処理が可能で、且つ高度に重金属イオ
ンを除去できる重金属イオン除去装置を提供することで
ある。本発明の更なる目的は、ハロゲン化銀感光材料を
現像処理したときに多量に生じる使用済み処理液等の写
真処理液から、充填層の目詰まりが少なく、長時間一定
の処理速度で、効率的且つ選択的に銀イオンを除去で
き、処理のコストダウン、処理設備の簡素化及び操作の
簡便性を実現できる重金属イオンの除去方法を提供する
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、下記本発明の構成により達成することができる。 (1) ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多孔
質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填された充
填層を有し、該充填層に上向流で通液できる重金属イオ
ン除去装置を用いて、重金属イオンを含有する溶液を上
向流で通液して該溶液から重金属イオンを選択的に除去
することを特徴とする重金属イオンの除去方法。 (2) ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多孔
質担体に吸着固定したレドックス固相体を中空部を有す
るように充填された充填層を有し、該充填層の中空部側
と外周側に透水性隔壁を設け、且つ該中空部側から外周
側に向かって通液できる重金属イオン除去装置を用い
て、重金属イオンを含有する溶液を該充填層の中空部側
から外周側に向かって通液して、該溶液から重金属イオ
ンを選択的に除去することを特徴とする重金属イオンの
除去方法。
【0015】(3) ヒドロキノン骨格を有する化合物
を固体の多孔質担体に吸着固定したレドックス固相体を
充填された充填層、及び脱酸素気体の曝気手段を有し、
下向流で通液できる重金属イオン除去装置を用いて、該
充填層の下部から上方へ脱酸素気体を曝気しつつ、重金
属イオンを含有する溶液を該充填層に下向流で通液して
該溶液から重金属イオンを選択的に除去することを特徴
とする重金属イオンの除去方法。 (4) ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多孔
質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填された充
填層を有し、下向流で通液できる重金属イオン除去装置
を用いて、予め還元性化合物による処理、金属置換処理
及び電解処理のうち少なくとも1つの処理で処理された
重金属イオンを含有する溶液を該充填層に下向流で通液
して該溶液から重金属イオンを選択的に除去することを
特徴とする重金属イオンの除去方法。
【0016】(5) 前記レドックス固相体が粒子形状
であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか
1つに記載の重金属イオンの除去方法。 (6) 重金属イオンを含有する溶液が予め還元性化合
物による処理、金属置換処理及び電解処理のうち少なく
とも1つの処理で処理されていることを特徴とする上記
(1)〜(3)のいずれか1つに記載の重金属イオンの
除去方法。 (7) 重金属イオンを含有する溶液が、銀イオンを含
有する写真処理液であることを特徴とする上記(1)〜
(4)のいずれか1つに記載の重金属イオンの除去方
法。 (8) 写真処理液が定着能を有する処理液を少なくと
も含む写真処理液であることを特徴とする上記(7)に
記載の重金属イオンの除去方法。 (9) ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多孔
質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填された充
填層を有し、該充填層に上向流で通液できる重金属イオ
ン除去装置、前記レドックス固相体を中空部を有するよ
うに充填された充填層を有し、該充填層の中空部側と外
周側に透水性隔壁を設け、且つ該中空部側から外周側に
向かって通液できる重金属イオン除去装置、並びに前記
レドックス固相体を充填された充填層、及び脱酸素気体
の曝気手段を有し、下向流で通液できる重金属イオン除
去装置のうち2つ以上を多連直列または多連並列に接続
してなることを特徴とする重金属イオン除去装置。
【0017】本発明者らは、前記レドックス固相体を有
効に使用することを鋭意検討した。その結果、本発明に
用いるレドックス固相体を実用レベルで重金属除去に適
用する場合に種々の問題点があり、本発明はそれらを見
事に解決する手段を見出した。レドックス固相体は、重
金属イオンを強力に還元し、その金属還元物をレドック
ス固相体表面に析出させる(捕捉する)ため、極めて効
率的に重金属を還元除去できる。しかし、レドックス
固相体により還元析出された重金属が、溶存酸素により
再酸化されるため、再び溶けだしてしまい、見掛け上レ
ドックス固相体の能力が低下してしまう。更に酸化還
元を容易に行うような不純物、具体的には本発明に係わ
る重金属よりも還元されやすい金属錯体、例えばエチレ
ンジアミン四酢酸の鉄塩やコバルト錯体が共存すると、
これらが還元されてしまい、目的のより貴重な重金属の
還元が行われなくなる。
【0018】上記について、通常のカラム処理法(ポ
ンプ等が必要でないので、カラムに対して被処理水を上
から下へ流す場合)では、カラム上方から被処理水の溢
水を防止するため、及びダウンサイジングのために、カ
ラム中の被処理水とレドックス固相体の上部界面が、カ
ラムの上端部よりある程度低く設定される。そのため、
被処理水をカラム上部から供給した場合、被処理水がカ
ラム中の被処理水またはレドックス固相体の上部界面に
到達した際に、被処理水に空気が巻きこまれて気泡を伴
ってしまい、析出重金属が再酸化されて、再び溶けだし
てしまう問題があった。これにより、充填したレドック
ス固相体全てが、金属除去性能を発揮できず、非効率と
なった。更に、カラム中の被処理水の水面がレドックス
固相体の上部界面と同等以下になるとレドックス固相体
が直接空気と接触し、せっかく還元析出された重金属が
空気により酸化されて下方へ流れてしまう。また、カラ
ム中の被処理水の水面をレドックス固相体の上部界面よ
りも高く維持するように調節すればよいが、この場合、
その調節のために、監視が必要で人手あるいは調節手段
が必要になってしまう。
【0019】上記に関しては、もっと深刻な問題であ
る。例えば写真処理液中には、特にカラー写真処理液に
は、現像銀を酸化漂白することにより、現像銀の黒色を
取り除かないとカラー像が得られないため、必ず漂白液
が存在する。この漂白液は、現像銀を酸化漂白するため
に酸化剤としてEDTA−Fe塩等が用いられている。
また、白黒処理でも現像を一部酸化漂白して画像を修正
するために、減力液が用いられており、この減力液は赤
血塩や重クロム酸塩などの所謂酸化剤である。従って、
特に写真処理液に適用する場合には、これら共存する金
属によりレドックス固相体が消費されてしまう。これら
の理由から、充填したレドックス固相体が理想的に全部
重金属(特に、貴金属)除去に使われず非効率であっ
た。一方、レドックス固相体の強力な還元性とその還元
の結果重金属イオンがレドックス固相体表面に金属とし
て析出するため、下向流の処理では処理初期に充填層の
上部で重金属イオンが還元され、上部のレドックス固相
体上に重金属が析出し、且つ重量も増えるため(レドッ
クス固相体の比重は約1.0に対して、重金属が還元析
出されると約1.2〜1.6になる)、サイズ増と圧力
増により充填層上部で充填層が閉塞してしまった。これ
により、充填層の下部のレドックス固相体が充分に作用
しないまま充填層を交換せねばならず、極めて非効率と
なった。
【0020】本発明においては、前記レドックス固相体
を充填された充填層に、重金属イオン含有溶液を上向流
で通液するか、中空部を有する充填層の中空部から外方
に通液するか、脱酸素気体を曝気しつつ下向流で通液す
るか、あるいは予め特定の処理で処理された重金属イオ
ン含有溶液を下向流で通液することにより、レドックス
固相体の重金属イオン除去能力を十分発揮させることが
できる。更に、本発明により、処理中にレドックス固相
体がその表面に多量に金属を捕捉した場合でも、充填層
が目詰まりを起こしにくくなり、長時間一定の処理速度
で、安定して金属除去処理が可能となる。
【0021】本発明においては、選択的に重金属イオン
を除去でき、更に充填層に充填されたレドックス固相体
全てを無駄なく金属の還元に供することができるため、
頻繁に充填層の交換を行う必要がなく、処理のコストダ
ウンが可能となり、処理設備の簡素化及び操作の簡便性
を実現できたものである。本発明において、「重金属イ
オンを選択的に除去する」とは、対象となる溶液中に含
有されている種々のイオン(例えば、Ag、Fe、P
t、Ni、Na、Mg、Ca)などの中から重金属イオ
ンを除去することである。
【0022】本発明において、レドックス固相体を充填
された充填層に、重金属イオン含有溶液を上向流で通液
するか、該充填層の中空部から外方向に通液するか、あ
るいは予め特定の処理で処理された重金属イオン含有溶
液を下向流で通液する場合においても、充填層の下部、
好ましくは底部から脱酸素気体を曝気することが好まし
い。これにより、レドックス固相体表面への重金属の析
出によるサイズアップ及び重量の増加により充填層が閉
塞するのを一層防止でき、長時間一定の処理速度で、安
定して金属除去処理が可能となる。
【0023】本発明において、レドックス固相体は粒子
形状であることが好ましい。粒子形状のレドックス固相
体が充填された充填層は、特に重金属捕捉による充填層
の閉塞及び空気による酸化が著しいため、本発明の上記
の効果がより顕著に発現される。
【0024】本発明において、本発明の重金属イオンの
除去方法に供する重金属イオンを含有する溶液が、予め
還元性化合物による処理、金属置換処理及び電解処理の
うち少なくとも1つの処理で処理されていることが好ま
しい。これにより、ある程度溶液中のより酸化還元電位
の高い金属イオン(例えば、銀に対しての鉄の3価のイ
オンなど)が除去されるため、高濃度の重金属イオンを
含む溶液でも適用できたり、あるいはレドックス固相体
を充填した充填層の処理寿命が伸び、より一層長時間一
定の処理速度で、安定して金属除去処理が可能となる。
更に、共存する目的以外の種々の重金属(例えば、鉄、
コバルト、クロム)イオンを前処理により低原子価とし
て、レドックス固相体で還元できない状態にすることに
より、目的とする貴重な重金属(銀、金、白金等)を効
果的に除去でき、コスト低減を実現できる。更に、ある
程度溶液中の重金属イオン濃度が低下しているため、処
理後の溶液中の重金属イオン濃度を著しく低下させるこ
とができる。更に、重金属イオンを含有する溶液は、予
め還元性化合物による処理、金属置換処理及び電解処理
のうち少なくとも1つの処理で処理後、空気に触れるこ
となく、本発明の重金属イオンの除去方法に供すること
が好ましい。また、重金属イオンを含有する溶液が、本
発明の重金属イオンの除去方法に供する直前に、還元性
化合物による処理、金属置換処理及び電解処理のうち少
なくとも1つの処理で処理されることが好ましい。
【0025】本発明に係わるレドックス固相体を充填し
た充填層によって重金属イオンを除去する方法におい
て、鉄錯塩、コバルト錯塩等と銀錯塩を含む混合溶液
(例えば、写真処理液)から、前記還元性化合物による
処理、金属置換処理及び電解処理のうち少なくとも1つ
の処理により鉄錯塩、コバルト錯塩等を低原子価とし、
レドックス固相体を充填した充填層による処理で銀を還
元分離することで、目的とする重金属の除去効率を著し
くアップでき、コスト低減をはかることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】上記還元性化合物による処理にお
ける還元性化合物とは、該重金属含有溶液中から溶存酸
素を除去する為の還元性化合物、例えば亜硫酸塩、ヒド
ロキシルアミンなどと、該重金属含有溶液中に混入する
鉄などの卑な金属を還元体にしておき、それよりも貴な
金属の還元析出を効果的に行わせる還元性化合物、例え
ばハイドロサルファイトやボロハライド等を意味する。
金属置換処理としては、銀等の重金属イオンよりも卑な
金属を用いてイオン置換する方法で、例えば鉄ウール、
アルミウール、スチールウールのように金属表面を大き
くした金属を用いて置換する方法である。電解処理とし
ては、銀等の重金属よりも低い電位下で電極に還元析出
させる方法である。これらの具体的方法としては、D.A.
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l.; Denki Kogaku oyobi Kogyo Butsuri Kagaku,53
(7), 466-71 、Cooley, Austin C. J. ; Imaging Techn
ol., 12 (6), 316-22 等の文献に記載の方法を挙げるこ
とができる。
【0027】本発明において、析出させる重金属イオン
としては、固体の多孔質担体に担持されているヒドロキ
ノン骨格を有する化合物の平衡酸化還元電位(ここで、
平衡酸化還元電位とは、操作条件下において酸化体と対
応する還元体が平衡状態を維持している時の酸化還元電
位をいう)よりも高い金属イオン−金属の平衡酸化還元
電位を有する重金属イオンである。即ち、これは担持さ
れているヒドロキノン骨格を有する化合物により重金属
イオンが0価の重金属に還元されるような重金属イオン
に相当する。本発明においては、重金属イオンとしては
錯体を形成している重金属イオンであってもよい。
【0028】本発明において該重金属として好ましく
は、銅よりもイオン化傾向が小さいものであり、より好
ましくは貴金属、即ち、金、銀及び白金族元素であり、
白金族元素としてはルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウム、イリジウム及び白金等が挙げられ、更
に金、銀、白金、パラジウム、ルテニウムが好ましい。
特に、銀が好ましい。
【0029】本発明において、重金属イオンを含有する
溶液は、銀イオンを含有する写真処理液が好ましい。こ
こで、銀イオンを含有する写真処理液とは、ハロゲン化
銀感光材料の処理によって溶出した銀塩が含まれる処理
液またはその処理液を含む液のことを示す。重金属イオ
ンを含有する溶液はより好ましくは該写真処理液が定着
能を有する処理液を少なくとも含む写真処理液である。
ここで、定着能を有する処理液とは、漂白処理及び定着
処理、又は漂白定着処理した後の処理工程からの使用済
み処理液、あるいは漂白剤を含有する定着能を有する処
理槽からの使用済み処理液並びにそれらの混合液のこと
をいう。場合によっては、上述したいずれかの処理液が
水で薄められた場合も含む。また、多くの水で薄められ
た水洗水も含んでもよい(例えば、水で50倍以上)。
【0030】本発明において、ハロゲン化銀感光材料
(以下、感材ともいう)を現像処理したときに生じる使
用済み処理液をレドックス固相体に接触させて銀イオン
を選択的に除去することにより、使用済み処理液中の銀
イオンを還元して銀イオンを選択的且つ効率的に捕捉で
き、更に銀除去された該使用済み処理液を再生使用可能
にもできるし、また高度に銀除去されているため、その
まま下水等に排出できる。本発明の方法は、特にカラー
感材を現像処理したときに生じる使用済み処理液に対し
て有効であり、とりわけ漂白剤を含有した使用済み処理
液に対して有効である。本発明は、現像処理工程から出
る使用済み処理液に直接的に適用してもよいし、複数の
現像処理工程から出る使用済み処理液を収集した後、そ
の収集処理液に適用してもよい。
【0031】本発明に用いるレドックス固相体は、チオ
硫酸銀錯イオン(チオスルファト銀錯イオン)を還元し
て金属銀とチオ硫酸イオンを生成するが、チオ硫酸イオ
ンを還元しない。従って、除銀処理によりチオ硫酸塩の
消耗が少なく定着活性が維持され、除銀処理により得ら
れた処理液の再生使用が可能になる。特に、レドックス
固相体がアントラヒドロキノン/アントラキノンレドッ
クス化合物を担持した活性炭である場合にこの効果が顕
著である。
【0032】本発明におけるチオ硫酸銀錯イオン(チオ
スルファト銀錯イオンともいう。)は、下記に示した化
学式の化合物で示される。 〔Ag(S2 3 2 3-、又は〔Ag(S
2 3 3 5-
【0033】本発明においては、上述のようなレドック
ス固相体を充填した充填層の2つ以上を多連直列または
多連並列に接続し、場合によりポンプ等の加圧手段、脱
酸素気体の曝気手段等を有する重金属イオン除去装置に
より、長時間一定の処理速度で、安定して金属除去処理
が可能となるばかりでなく、高度に重金属イオンを除去
することができる。ここで、充填層は、複数の層を上下
に並べてもよいし、複数の層を水平方向に並べても、い
ずれでもよい。また、複数用いる充填層は、同じ構成で
もよいし、異なる構成でもよい。例えば、同じレドック
ス固相体を充填した充填層でもよいし、異なるレドック
ス固相体を充填した充填層でもよい。更には、並列に設
置して順次切替え方式でしても同様な効果が得られる。
【0034】この重金属イオン除去装置の効果を、重金
属として好ましい銀を例にとり説明する。1つの充填層
のみを用いると、処理後の液を分取して銀濃度を監視し
て、銀濃度が高くなったら、処理を中断してレドックス
固相体を交換して処理を再開するという、バッチ処理と
なる。上記のように、2つ以上を多連直列または多連並
列に接続した重金属イオン除去装置を用いると連続処理
が可能となる。 即ち、i)多連直列に接続した重金属イオン除去装置の
少なくとも1つを内部のレドックス固相体が観察できる
ように容器を透明にしておき、内部のレドックス固相体
が(例えば黒色)から灰色(銀色)に変化したら、接続
された第2の重金属イオン除去装置に切り換える。 ii)銀検出器を重金属イオン除去装置と直列又は並列に
設けて、目視観察によりセンサーが変化したら、接続さ
れた第2の重金属イオン除去装置に切り換える。 iii)銀検出器により、重金属イオン除去装置の交換時期
を自動的に検出するように構成し、この検出による情報
により第2の重金属イオン除去装置に切り換える。 これらにより、処理を中断することなく、連続処理が可
能となる。また、上記iii)になると人手が必要でなくな
り、簡便となる。
【0035】ここで、銀検出器としては、特開平6−1
86222号公報に記載のジチゾン法やその他、分析法
で使用するハロゲン滴定法、原子吸光法、蛍光X線法等
の従来公知のものでもよいし、本発明に係わるレドック
ス固相体を充填した小型の容器に、被処理液の流入口と
流出口を有する検出器を用い、銀等の重金属の析出によ
るレドックス固相体の色変化を検出するものでもよい。
実際上、銀除去装置に装着して使用できることを考える
と、レドックス固相体を用いた検出器が好ましい。この
レドックス固相体を用いた検出器は、該充填層に並列に
接続したり、該充填層の液流出口に直列に接続して用い
ることができる。
【0036】更に、上記少なくとも1つのレドックス固
相体を充填した充填層、必要により加圧手段(廃液をポ
ンプ等で加圧して上向流を作るための手段)、脱酸素気
体の曝気手段を有する重金属イオン除去装置を、定着能
を有する処理液を少なくとも含む写真処理廃液部に設置
されたハロゲン化銀感光材料の自動現像機により、感材
を連続的に処理した場合に定着能を有する処理液に溶出
する銀イオンを、連続的に除去できるようになる。ここ
で、定着能を有する処理液を少なくとも含む写真処理廃
液部に設置するとは、定着能を有する処理液を含有する
処理浴からの液排出口(オーバーフロー孔)に直列に設
置することをいう。これにより、銀が除去された後の液
は、排出規制をクリヤーして下水へ放流させることがで
きる。また、この処理済み廃液は、他の成分の劣化を起
こすことなく銀が除去されることにより、再度処理液と
して再利用も可能である。
【0037】本発明の方法は、基本的にレドックス固
相体を充填した充填層に、重金属イオンを含有する溶液
を加圧ポンプ等を使用して上向流で通液する、レドッ
クス固相体を中空部を有するように充填した充填層の中
空部から該充填層の外方に重金属イオンを含有する溶液
を通液する、レドックス固相体を充填した充填層に、
重金属イオンを含有する溶液を、充填層の下部から脱酸
素気体で曝気しつつ下向流で通液する、予め特定の処
理で処理された重金属イオン含有溶液を下向流で通液す
る、予め特定の処理で処理された重金属イオン含有溶
液を上記からの方法で通液するという5つの態様で
行う。本発明において、上向流とは、重力の方向に対し
てほぼ逆向きの流れを示し、具体的には、水平に対して
30度以上の角度で上方に向かって液を流すことであ
り、好ましくは該角度が45度以上、更に好ましくは6
0度以上である。下向流とは、重力の方向に対してほぼ
同じ向きの流れを示し、具体的には水平に対して30度
以上の角度で下方に向かって液を流すことであり、好ま
しくは該角度が45度以上、更に好ましくは60度以上
である。
【0038】上記充填層としては、上記条件を満たし、
充填されたレドックス固相体が溶液中の重金属イオンを
還元して捕捉できれば、いずれの構成でもよい。充填層
としては、具体的には、容器に種々の形態のレドックス
固相体を充填したものが挙げられる。ここで容器として
は、レドックス固相体の移動を防止でき、且つ容易に重
金属イオン含有溶液に接触できるような構成のものが挙
げられ、具体的には、少なくとも一部が多孔性の隔壁を
有するカラム、カートリッジ等が挙げられる(カラムは
少なくとも上下または同心円の内外が多孔性の隔壁を有
するものである)。その他特殊な形態も考えられるが、
実用的な観点からは上記2つが好ましい。より好ましく
は、容易な交換が可能なカートリッジが好ましい。充填
層の形態としては、円柱状、角柱状等の柱状、球状、板
状、すり鉢状、中空円筒状等のいずれでもよい。好まし
くは柱状、中空円筒状の形態である。
【0039】レドックス固相体を充填層に充填する方法
としては、緻密に充填しても、ある程度間隙を設けて充
填してもよい。上記の態様の中空部を有する充填層と
しては、上記の充填層の形態の内部に、重金属含有溶液
が供給できるようにレドックス固相体が充填されていな
い中空部を有し、該充填層の中空部側と外周側に透水性
隔壁を設けられたものであればいずれでも用いることが
できる。例えば、円柱、角柱状、球状等の形態の充填層
の内部に、該重金属イオン含有溶液を供給するための供
給路としての中空部が設けられているものである。好ま
しくは、処理される重金属イオン含有溶液すべてが均等
にレドックス固相体に接触するように中空部が設けられ
ている充填層が好ましく、具体的には、柱状の充填層で
あれば、その長軸に沿って、供給路である中空部が設け
られているものが挙げられる。例えば、後述する図3に
示すものが挙げられる。
【0040】上記充填層の大きさとしては、被処理液の
種類、用途、条件等によって適宜設定することができ
る。例えば、銀を含有する写真処理液を処理する場合に
は、コンパクトなものが好ましい。充填層の体積(V)
は、被処理水が通液される方向の断面積を(S)、充填
層の長さを(L)とするとき、V=S×Lとなる。ここ
で、L/S≧1が好ましく、より好ましくはL/S≧
3、特に好ましくはチャネリング防止を考えるとL/S
≧5である。この場合、実質上L/S≧1が得られれば
よいので、充填層が被処理液の流れ方向と平行に仕切り
板で区切られていて、仕切られた各室がL/S≧1が満
たされる場合を含む。
【0041】具体的には、ミニラボ用、印刷用、X線用
としては、L/S≧5で且つS=50cm2 〜500c
2 が好ましい(L=20〜150cm)。大ラボ、中
ラボ、小ラボ用としては、仕切り板なしのときでL/S
≧1、仕切り板を付けた時でL/S≧5のものが好まし
い。形態によって、L/S≧1または≧3を満たさない
時は仕切り板を設けたほうがよい。その他電子基板作成
用廃液の場合にはL/S≧1である。こうすることによ
り、レドックス固相体の能力を100%発揮することが
できる。また充填層に対してのレドックス固相体を充填
量としては、適宜設定することができるが、上記S、L
から容易に求めることができる。即ち、ミニラボ等の極
小のラボでは、1リットル〜75リットル、大〜小ラボ
用では50〜2500リットルである。その他電子基板
作成用廃液の場合には、100〜5000リットルであ
る。
【0042】本発明において、充填層に対する重金属イ
オン含有溶液の処理速度としては、充填層の大きさ、重
金属イオンの濃度、処理温度、重金属イオンの種類等に
より適宜設定できる。具体的には、SV値(充填層の体
積に対して1時間当たり何倍量処理するかという尺度
で、Space Velocityの略)で1〜30が好ましく、より
好ましくは3〜15である。
【0043】本発明においては、上記充填層がそのまま
処理槽となり、該充填層に重金属イオン含有溶液を通液
して処理してもよいし、該充填層の少なくとも1つを有
し、更にその容器、配管等も設けられた処理槽に重金属
イオン含有溶液を通液して処理してもよい。
【0044】本発明において、上向流で通液するための
加圧手段としては、ヘッド差0.5〜3mに対して作動
するポンプならいずれも使用できる。例えば、写真の現
像所で常時使用しているケミカルポンプ(例えば、イワ
キ(株)製MOポンプシリーズ;日機装(株)製ポンプ
など)が使用できる。その他ダイヤフラムポンプ、プラ
ンジャーポンプなども使用できる。
【0045】本発明において、充填層の下部、好ましく
は充填層の底部から脱酸素気体を曝気する方法として
は、充填層の体積(V)に対し、1分間にV/30〜1
00Vさせるのが好ましく、より好ましくはV/10〜
3Vである。この場合、処理は連続でもよいし、間欠で
もよい。その手段は、各種ポンプで上記条件が満たされ
るように行う。曝気手段は、ヘッド差0.5〜3mに対
して作動するエアー送りポンプならいずれも使用でき
る。例えば、写真の現像所で常時使用しているダイヤフ
ラムポンプやミニコンプレッサーポンプなどが使用でき
る。脱酸素気体としては、窒素ガス、脱酸素処理された
空気等が挙げられる。好ましくは現像液または使用済み
現像液中を通過させた脱酸素空気である。
【0046】本発明におけるレドックス固相体として
は、ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多孔質担
体に吸着固定した担持物をいう。これは、重金属イオン
を0価の金属に還元する能力がある化合物であり、多孔
質担体に安定に吸着等によって固定される化合物であれ
ば、いずれも使用することができる。ヒドロキノン骨格
を有する化合物としては広義には公知のキノン化合物の
還元された化合物をも含む。その他インジゴ等を還元し
た化合物も挙げられる。
【0047】ヒドロキノン骨格を有する化合物として
は、例えばヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼ
ン)、ナフトヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシナフ
タレン)及びアントラヒドロキノン(9,10−ジヒド
ロキシアントラセン)並びにその水素化化合物及びこれ
らの置換体から選ばれるヒドロキノン化合物が挙げられ
る。
【0048】上記のヒドロキノン化合物の置換体におけ
る置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル
基、アルコキシル基、フェニル基、アルキルアミノ基、
ハロゲン基等の比較的疎水性の置換基が挙げられる。ア
ルキル基、アルケニル基及びアルコキシル基の炭素数
は、1〜60、実用的には24以下であり、アルキル基
は直鎖又は分岐したもののいずれでもよい。又、本発明
の目的に障害にならない限り、これらヒドロキノン化合
物の置換基としてスルホン酸基、スルホン酸アミド基、
カルボキシル基を含有する置換基を採用することができ
るが、本発明のレドックス固相体は水溶液中で使用され
るので、一般的には水溶液に溶出しないような疎水性の
置換基を有する還元性化合物が好ましい。
【0049】これらの置換基を有する化合物としては、
例えば2−メチルヒドロキノン、2ーエチルヒドロキノ
ン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2−メチル
ナフトヒドロキノン、2−エチルナフトヒドロキノン、
2−プロピルナフトヒドロキノン、2−メチルアントラ
ヒドロキノン、2−エチルアントラヒドロキノン、2−
アミルアントラヒドロキノン、2−t−ブチルアントラ
ヒドロキノン、2−(4−メチル−ペンチル)アントラ
ヒドロキノン等のアルキル化ヒドロキノン化合物;2−
(4−メチル−ペンテニル)アントラヒドロキノン等の
アルケニル化ヒドロキノン化合物;1−メトキシアント
ラヒドロキノン、1,5−ジメトキシアントラヒドロキ
ノン等のアルコキシル化ヒドロキノン化合物;2−フェ
ニルヒドロキノン等のフェニル置換ヒドロキノン化合
物;2−N,N−ジメチルアミノ−アントラヒドロキノ
ン等のアルキルアミノ化ヒドロキノン化合物;2−クロ
ロヒドロキノン、2,3−ジクロロナフトヒドロキノ
ン、1−クロロアントラヒドロキノン、2−クロロアン
トラヒドロキノン等のハロゲン化ヒドロキノン化合物が
挙げられる。
【0050】ヒドロキノン化合物の水素化化合物として
は、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアント
ラセン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラヒドロ
キノン、1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒド
ロアントラヒドロキノン等が挙げられる。又、カテコー
ル、4,4′−ジヒドロキシビフェニル(ジフェノキノ
ンの還元体)及び1,4−ジヒドロキシアントラセン、
9,10−ジヒドロキシフェナンスレン、アントアント
ロンの還元体等の多環式芳香族キノンに対応する還元性
化合物も挙げることができる。
【0051】これらヒドロキノン骨格を有する化合物と
しては、酸化還元電位の関係においてアントラヒドロキ
ノン化合物が好ましい。
【0052】本発明において、アントラヒドロキノン化
合物としては、例えばアントラヒドロキノン(9,10
−ジヒドロキシアントラセン)並びにその水素化化合物
及びこれらの置換体が挙げられる。
【0053】上記のアントラヒドロキノン化合物の置換
体における置換基としては、例えば、アルキル基、アル
ケニル基、アルコキシル基、フェニル基、アルキルアミ
ノ基、ハロゲン基等の比較的疎水性の置換基が挙げられ
る。アルキル基、アルケニル基及びアルコキシル基にお
ける炭素数は1〜60、実用的には24以下であり、ア
ルキル基は直鎖又は分岐したもののいずれでもよい。
【0054】又、本発明の目的に障害にならない限り、
これらアントラヒドロキノン化合物の置換基としてスル
ホン酸基、スルホン酸アミド基、カルボキシル基を含有
する置換基を採用することができるが、本発明のレドッ
クス固相体は水溶液中で使用されるので、一般に水溶液
に溶出しないような疎水性の置換基を有する還元性化合
物が好ましい。
【0055】これらの置換基を有するアントラヒドロキ
ノン化合物としては、例えば2−メチルアントラヒドロ
キノン、2−エチルアントラヒドロキノン、2−アミル
アントラヒドロキノン、2−t−ブチルアントラヒドロ
キノン、2−(4−メチルペンチル)アントラヒドロキ
ノン等のアルキル化アントラヒドロキノン化合物;2−
(4−メチル−ペンテニル)アントラヒドロキノン等の
アルケニル化アントラヒドロキノン化合物;1−メトキ
シアントラヒドロキノン、1,5−ジメトキシアントラ
ヒドロキノン等のアルコキシル化アントラヒドロキノン
化合物;2−フェニルアントラヒドロキノン等のフェニ
ル置換アントラヒドロキノン化合物;2−N,N−ジメ
チルアミノアントラヒドロキノン等のアルキルアミノ化
アントラヒドロキノン化合物;1−クロロアントラヒド
ロキノン、2−クロロアントラヒドロキノン等のハロゲ
ン化アントラヒドロキノン化合物が挙げられる。
【0056】アントラヒドロキノン化合物の水素化化合
物としては、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキ
シアントラセン、1,2,3,4−テトラヒドロアント
ラヒドロキノン等が挙げられる。これらの化合物は単独
でも、又複数の化合物を併用することもできる。
【0057】本発明において、アントラヒドロキノン化
合物としては、アントラヒドロキノン若しくは前記のア
ルキル置換アントラヒドロキノン又は1,4−ジヒドロ
−9,10−ジヒドロキシアントラセン(1,4−ジヒ
ドロアントラヒドロキノン)若しくはそのアルキル置換
化合物が好ましく、特に1,4−ジヒドロ−9,10−
ジヒドロキシアントラセンが好ましい。
【0058】本発明において固体の多孔質担体として
は、二酸化珪素、活性炭、活性炭繊維等の炭素製品、そ
の他、疎水性に調製した二酸化珪素、活性炭等の炭素粒
子、例えば、ポリテトラフルオロエチレンの水性エマル
ジョン加工品(特開昭53−92981)、有機質系の
合成ポリマー粒子、例えばいわゆる有機合成吸着剤であ
るスチレンジビニルベンゼン共重合体又はその成型品が
挙げられるが、特に、活性炭が安価で入手し易く好まし
い。この多孔質担体に好適に使用されるには、細孔径が
5オングストローム以上、好ましくは10オングストロ
ーム以上、1グラム当たりの比表面積は、二酸化珪素及
び合成ポリマーの粒子等では300〜1000平方メー
トル、炭素製品では1グラム当たりの比表面積1000
平方メートルが標準となる。活性炭は粉体又はペレット
状、球状若しくは破砕炭状等のいずれの形態をも採用す
ることができる。本発明においては、レドックス固相体
の形状としては、粒子状、プレート状、容器形状等のい
ずれのものでも用いることができる。炭素繊維等による
板状のものが用いることができるが、本発明において
は、前述の如く、粒子状のものが好ましい。炭素繊維
は、高価なものであるので、コストアップにつながり、
好ましくない。
【0059】この多孔質担体のペレット状、球状又は破
砕炭等の粒径は、小さければ小さい程接触効率は良い
が、上記充填層に充填して連続的に重金属イオンを含む
水溶液を処理する場合には通液抵抗が大きくなるので、
一般に、多孔性担体の粒径は0.3〜10ミリメートル
が適当であり、より好ましくは0.4〜3ミリメートル
である。
【0060】本発明の方法に用いられる多孔質担体とし
ては、特に、粒子状の活性炭が安価で取り扱いやすく、
かつ担持率も高く好ましい。
【0061】本発明において、レドックス固相体の調製
する方法としては、通常は、ヒドロキノン骨格を有する
化合物を担持する操作過程において比較的安定な化合物
(例えばヒドロキノン化合物等)の場合にはそのヒドロ
キノン骨格を有する化合物をそのまま使用することがで
きる。しかしながら、ヒドロキノン骨格を有する化合物
が、担持する操作過程において、酸化され易い等の不安
定な化合物、例えばナフトヒドロキノン化合物又はアン
トラヒドロキノン化合物の場合には、上記のヒドロキノ
ン骨格を有する化合物に対応する酸化物、例えばナフト
キノン化合物又はアントラキノン化合物を使用して担持
する方法が好ましい。この場合の酸化物としては、例え
ばヒドロキノン、ナフトヒドロキノン及びアントラヒド
ロキノンに対応する化合物としてはそれぞれベンゾキノ
ン、ナフトキノン(1,4−ナフトキノン)及びアント
ラキノン(9,10−アントラキノン)並びにその水素
化化合物及び前記の置換基を有するキノン化合物であ
る。
【0062】本発明において、レドックス固相体の調製
方法としては、一般的には次のように行う。例えば、回
分式方法としては、ヒドロキノン骨格を有する化合物又
はその酸化物を可溶な有機溶媒に溶解した溶液中に、使
用する化合物の種類及び溶媒によっても異なるが一般的
には常温以上で、この多孔質担体を加えて、撹拌しなが
らこの多孔質担体にヒドロキノン骨格を有する化合物又
はその酸化物を含浸、吸着させて、有機溶媒を留去、乾
燥することにより、ヒドロキノン骨格を有する化合物又
はその酸化物の担持物を容易に製造することができる。
さらに、必要ならばこの乾燥した担持物に、溶媒を加え
て含浸させた後、脱塩した水を加えて撹拌しながら、こ
の担体に吸着されなかった浮上するヒドロキノン骨格を
有する化合物又はその酸化物を除去、洗浄し、ヒドロキ
ノン骨格を有する化合物の担持物はそのまま湿潤状態で
保持することにより水溶液中のレドックス固相体を調製
することができる。又、溶媒で湿潤した固体の多孔質担
体を予めカラムに充填し、ヒドロキノン骨格を有する化
合物又はその酸化物を溶解した溶液を通液し、担持し、
洗浄する方法でも実施できる。一方、ヒドロキノン骨格
を有する化合物に対応する酸化物を使用した場合の担持
物は、還元処理することにより、同様のレドックス固相
体として調製することができる。
【0063】ヒドロキノン骨格を有する化合物に対応す
る酸化物を原料として使用した担持物の還元処理法とし
ては、通常のキノン化合物をヒドロキノン化合物等に還
元する方法を採用することができる。例えば、亜二チオ
ン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)、
亜二チオン酸カリウム(ハイドロサルファイトカリウ
ム)等のハイドロサルファイ卜の水溶液が好適に使用さ
れ、その他キノン化合物の種類に応じて、亜硫酸塩又は
亜鉛−酸(又はアルカリ)系の還元剤を使用することが
できる。ハイドロサルファイトナトリウムによるキノン
化合物を還元する場合には、例えば、化学量論量以上の
ハイドロサルファイトナトリウム溶液を、pH10以下
の条件下にキノン化合物を担持した担持物を回分式に、
又は担持物を充填した塔に通液し、接触させることによ
り実施することができる。
【0064】なお、アントラキノン化合物からハイドロ
サルファイトナトリウムを使用して、アントラヒドロキ
ノン化合物へ還元する反応の反応式は、下記式に示した
通りである。
【0065】
【化1】
【0066】上記有機溶媒としては、ヒドロキノン骨格
を有する化合物又はその酸化物の必要量を溶解すること
ができるものであれば採用することができるが、ヒドロ
キノン骨格を有する化合物又はその酸化物に対する溶解
度及び使用する担体に担持し易い溶媒を選択するのが好
ましい。この有機溶媒としては、一般的にはメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の
アルコールが挙げられる。
【0067】ヒドロキノン骨格を有する化合物又はその
酸化物の溶液の濃度は、一般にその溶解度以下、飽和濃
度に近い濃度が好ましい。ヒドロキノン骨格を有する化
合物又はその酸化物の担持量は、特に限定されず、使用
する固体の多孔質担体の種類によっても異なり、適宜選
択されるが、一般的に0.01〜2モル/リットル−担
体、好ましくは0.3〜1.0モル/リットル−担体で
ある。担持量が少ないと、回収金属に対してコスト高に
なり、多過ぎても重金属イオンに作用しない量が増加す
るので原料が無駄になる。
【0068】本発明のレドックス固相体を製造する方法
としては、前述の有機溶媒を使用して担体に担持させる
方法とは別に、ヒドロキノン骨格を有する化合物の水溶
性塩、例えばアントラヒドロキノン化合物の水溶性塩水
溶液に、多孔質担体を加え、アントラヒドロキノン化合
物を該多孔質担体に吸着させた後、該多孔質担体を分離
し、次いで洗浄処理することからなる方法が挙げられ
る。本発明におけるアントラヒドロキノン化合物の水溶
性塩としては、例えば、アルカリ金属塩又はアンモニウ
ム塩から選ばれる。アルカリ金属塩としては、ナトリウ
ム塩、カリウム塩、リチウム塩等が挙げられる。アンモ
ニウム塩としては、通常のアンモニウム(NH4 +)塩、
又はテトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモ
ニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩若しくはテト
ラブチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙
げられる。しかしながら、通常は安価なナトリウム塩が
用いられる。
【0069】特に、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒ
ドロキシアントラセン化合物のジナトリウム塩水溶液
は、ナフトキノンと対応する1,3−ブタジエン化合物
とのディールス・アルダー反応によって得られる1,
4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン化合物に
当量(キノン化合物に対して2倍モル)以上、好ましく
は2〜2.4倍モルの水酸化アルカリ金属の水溶液を作
用させることによって容易に、その水溶液が得られるの
で工業的に有利に得ることができる。本発明の方法に使
用するヒドロキノン骨格を有する化合物のアルカリ金属
塩水溶液の濃度(濃度はアントラキノン等のキノン化合
物換算の重量%で表す。)は、1〜23%(本明細書に
おいて、「%」は断らない限り「重量%」を示す。)、
好ましくは2〜22%であり、吸着処理の温度は、通常
は常温でよく、吸着時間は5分〜5時間、好ましくは1
〜4時間である。
【0070】これらのアントラヒドロキノン化合物の使
用量は、多孔質担体の種類によっても異なるが、その化
合物の溶解度以下であれば、特に制限を受けることはな
く、吸着処理した後に得られる母液を再度濃度調整する
ことによって、吸着処理に使用することができる。
【0071】上記吸着処理は、通常バッチ(回分式)で
は多孔質担体とアントラヒドロキノン化合物のアルカリ
金属塩水溶液を入れた容器を緩やかに回転又は静置して
吸着させる方法、又は充填塔等に多孔質担体を予め充填
し、アントラヒドロキノン化合物の水溶性塩水溶液を循
環して、浸漬させながら、吸着させるような連続的な接
触方法も採用することができる。本発明に用いられるア
ントラヒドロキノン化合物は、一般に極めて弱い一種の
酸であるので、該アントラヒドロキノン化合物のアルカ
リ金属塩を担持した担持物を水等の水性媒体で洗浄処理
する程度でもその塩は加水分解してそのアルカリ重金属
イオンは水素イオンと置換することができる。この水性
媒体としては、溶存酸素を除去した脱塩水、脱イオン水
等の水性媒体が好ましい。この洗浄処理においては洗浄
水量を少なくし、又は水素イオンとの置換を確実にする
には酸水溶液による処理が有効である。この酸水溶液に
よる洗浄処理に用いられる酸としては、アルカリ金属塩
を遊離させる能力がある酸ならば、有機又は無機の酸で
よい。例えば、無機の酸としては硫酸、塩酸等が、有機
の酸としては酢酸等のカルボン酸、ナフタレンスルホン
酸等のスルホン酸が挙げられる。この酸の使用量は、得
られる担持物中のアルカリ重金属イオンが十分に水素イ
オンと置換される量があればよく、一般に、吸着した化
合物の当量以上、20当量以下であり、その濃度は0.
1〜20%の水溶液が用いられる。
【0072】この方法を実施するには、一般的に次のよ
うに行う。例えば、容器に、所定量の多孔質担体、例え
ば粒状の活性炭を入れ、減圧下で脱気し、さらに窒素置
換処理を十分行った後、窒素雰囲気下で所定濃度のアン
トラヒドロキノン化合物のアルカリ金属塩、例えば所定
濃度の1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアン
トラセンのジナトリウム塩水溶液の所定量に多孔質担体
を加え、減圧下で接触させ、所定時間吸着させる。この
混合物を窒素雰囲気下で遠心分離機等の分離装置で、該
担体を分離し、脱酸素した脱イオン水等の水性媒体で洗
浄処理し、又は希酸、例えば5〜10%の硫酸で洗浄
し、得られたアントラヒドロキノン化合物を担持した担
体(担持物)を十分に脱酸素処理した脱塩水中で保存す
る。得られる担持物の担持量は、アントラヒドロキノン
化合物の種類、その塩の水溶液の濃度及び固体の多孔質
担体の種類によっても異なるが、例えば1,4−ジヒド
ロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウ
ム塩と粒状活性炭を使用した場合、約0.3〜1.0モ
ル/リットル−担体である。
【0073】このようにして得られた1,4−ジヒドロ
−9,10−ジヒドロキシアントラセン/活性炭からな
る担持物は、例えばチオ硫酸銀錯イオンに使用すると第
1回目において、他のアントラヒドロキノン化合物に比
べて、2〜5倍の銀イオンの捕捉効率を示す点で特に好
ましい。
【0074】本発明のレドックス固相体は、重金属イオ
ン含有溶液中に含まれる重金属イオンをレドックス反応
によって0価の金属に変え、該レドックス固相体上に捕
捉し、回収することができる。
【0075】本発明に用いることができるレドックス固
相体に関しては、詳しくは、特願平5−323045、
特願平6−280769及び特願平6−295221号
の各公報に記載してある。
【0076】本発明における被処理液の処理条件として
は、被処理液のpHは共存する陰イオンによっても影響
されるが、重金属イオンが溶液中に安定に存在するなら
ば特に限定されない。しかしながら、通常0〜12、好
ましくは0〜11の広い範囲が採用される。
【0077】溶液中の重金属イオンの濃度は溶解してい
る限り特に限定されず、低濃度でも、高濃度でもよい。
一般的には0.1〜30000ppm、好ましくは5〜2
0000ppmであり、処理温度は一般的に10〜70
℃、通常20℃〜60℃で行われる。
【0078】本発明に用いるレドックス固相体は、重金
属イオンを含有する溶液を処理する場合において、還元
する能力が失われた、即ち破過したレドックス固相体
を、前記したようなアントラキノン化合物をアントラヒ
ドロキノン化合物に還元する方法、例えばハイドロサル
ファイトナトリウム水溶液等による還元、その他発生期
の水素(例えば、亜鉛と塩酸又はアルカリ水溶液)等の
本発明におけるアントラキノン化合物をアントラヒドロ
キノン化合物に還元できる種々の還元方法によって再度
還元処理させた後、再び重金属イオンを含有する溶液を
処理することによって、担持したヒドロキノン骨格化合
物の種類によって多少の差はあるものの、かなりの回数
にわたって繰り返し、該重金属イオンを還元し析出捕捉
することができる。
【0079】破過した酸化型(キノン型)を呈したレド
ックス固相体の一般的な還元方法は、この破過したレド
ックス固相体を、通常脱塩水等で洗浄した後、前記した
ような還元処理を行うことによって、このレドックス固
相体によって繰り返し重金属イオン含有水溶液を処理す
ることができる。この洗浄処理は、残留する重金属イオ
ンを含む溶液を置換できる量でよく、一般にレドックス
固相体の2容量倍以上で十分である。
【0080】さらに本発明においては、平衡酸化還元電
位の異なるヒドロキノン骨格を有する化合物を固体の多
孔質担体に担持してなるレドックス固相体を2種類以上
使用して、回収すべき少なくともチオ硫酸銀錯イオンを
含有する使用済み処理液を処理し、該処理液に含まれる
鉄等の他の金属イオンから分離する方法を採用すること
ができる。例えば、前半で鉄の3価等を除去し、後半で
銀を還元析出除去することである。即ち、平衡酸化還元
電位が異なるヒドロキノン骨格を有する化合物の2種以
上をそれぞれに固体の多孔質担体に担持してなるレドッ
クス固相体を充填した複数の充填層を平衡酸化還元電位
の高い順に直列に配列し、その充填層に少なくともチオ
硫酸銀錯イオンを含有する使用済み処理液を接触させ
て、その還元力の違いを利用して、共存する鉄の3価の
イオンを2価に予め還元することにより、効果的にチオ
硫酸銀錯イオンを0価の金属として捕捉することからな
る処理方法も用いることができる。レドックス固相体の
充填層は、例えば上下に二つの層を形成する単一の容器
(カラム)になるような装置でも、別々の容器を直列に
形成するような装置でも実施することができる。
【0081】本発明において、ヒドロキノン骨格を有す
る化合物と重金属イオンとの組み合わせは、それぞれの
平衡酸化還元電位によって決定することができる。例え
ば、該化合物がヒドロキノンである場合には、重金属イ
オンとして貴金属イオン、パラジウムイオンを捕捉する
が、銅イオンは捕捉しない。該化合物が2−エチルアン
トラヒドロキノンである場合には、重金属イオンとして
貴金属イオン及び銅イオンも捕捉する。前者の化合物を
使用した充填層を先に使用し、後者の化合物を使用した
充填層を組み合わせることによって、貴金属イオンと銅
イオンを選択的に分離捕捉することができる。この方法
によって、単一の充填層で起こる複数の重金属イオンの
析出を、夾雑物なく回収することができる。複数の充填
層を実施する場合の条件は、複数の充填層を使用する以
外は、前記と同様である。
【0082】金属を捕捉したレドックス固相体は、有機
合成吸着剤、活性炭等の燃焼できるような担体を使用
し、貴金属等の高価な金属の場合には、金属を捕捉した
レドックス固相体を、例えば焼却することによって貴金
属として容易に回収することができる。この焼却法は、
特に限定されるものではなく、ロータリーキルンのよう
な回転焼却炉、るつぼ型の焼却炉等の焼却残渣から貴金
属を回収することができるものであれば、どのような形
式のものでもよい。また、捕捉された金属が硝酸等の酸
によって溶解され、回収されるならば、この回収法も採
用することができる。
【0083】本発明において、適用される重金属イオン
を含有する溶液としては、各種の工業から排出される重
金属イオン水溶液、特に貴金属を取り扱う工業からの貴
金属含有排水に好適に適用することができる。例えば、
電子部品処理工場から排出される金、銀のイオン又は錯
イオン等を含有する排水、触媒製造工業から排出される
パラジウム、ルテニウム及び白金等のイオン又は錯イオ
ンを含有する排水、写真感材の処理から発生する銀イオ
ンまたは銀錯イオンを含有する写真処理液等が挙げられ
る。特に本発明においては、銀イオンまたは銀錯イオン
を含有する写真処理液に好適に用いられる。
【0084】本発明の方法を、銀イオンまたは銀錯イオ
ンを含有する写真処理液に用いる場合、漂白液を含有す
る定着能を有する使用済み処理液、あるいは漂白処理お
よび定着処理、又は漂白定着処理した後の処理工程から
の使用済み処理液をレドックス固相体で処理することに
より、その処理液または水洗水中に含まれる銀塩を還元
体としてレドックス固相体に濃縮させ、そのレドックス
固相体から銀を分離除去して銀を回収することが好まし
い。レドックス固相体中に還元状態つまり金属銀の形で
回収される。本発明において、上記のように銀を回収す
ることにより以下のような利点を有する。
【0085】まず、本発明のレドックス固相体は、銀捕
獲容量が究めて大きい(たとえば300g/リットル)
上に、担体、レドックス系担持物質、還元銀以外の副生
物が取り込まれないので、銀を極めて純粋な金属として
回収することができる。硫化銀として沈降させる場合に
は、硫黄や鉄化合物などの副生物が取り込まれて銀濃度
をさげてしまい、銀回収効率をさげる。更に、上記に関
連してレドックス固相体からの銀の回収は、硫黄等不純
物の分離・除去の負荷が少ない利点を持つ。また、銀塩
からの焼却と異なり、強加熱したときの大気への銀の流
出が少ない。銀回収サイトへの輸送では、レドックス固
相体へ濃縮した状態で運びやすい。上記のような銀が析
出したレドックス固相体から銀を回収する場合には、担
体としては、活性炭が好ましい。
【0086】上記担体として活性炭を用いたレドックス
固相体から銀を回収する具体的方法としては、下記の
〜の方法が好ましい。 銀を濃縮した状態で含有する活性炭を焼却して、活性
炭を酸化して気化させることにより銀を活性炭から分離
する。一般に、銀を含有する残渣を焼却炉で処理する場
合は、銀が比較的低沸点の金属であるために、大気中に
飛散消失しやすい。とくに一般産業廃棄物焼却炉では、
空気の供給を充分(出口酸素濃度6〜8%)、火炎部温
度900〜1000℃としており、銀の飛散は著しい。
上記の方法の場合、レドックス固相体に濃縮された銀
は、金属上に沈積しているためか、比較的飛散消失が少
ない。 銀を濃縮した状態で含有する活性炭を乾留して、銀を
熱融解させて活性炭から分離する。レドックス固相体に
濃縮された銀を、たとえば米国特許第5095829及
び5128002に記載されているような乾留装置によ
って銀を回収する場合、銀が溶融して活性炭から分離し
て炉底にたまり、好都合な銀回収ができる。
【0087】銀を濃縮した状態で含有する活性炭を溶
銀炉に入れて600℃以上に加熱溶融し、活性炭は酸化
・気化させて分離する。この方法では、レドックス固相
体への銀の濃縮度が高く、しかも共存するのが純度の高
い炭素である活性炭のため直接溶銀炉へ投入して銀を溶
融状態で炉底から取り出すことができることが判った。
この方法では、銀回収工程における銀の沈降濃縮、脱水
などの前工程を省略できて、経済的なメリットが大き
い。 銀を濃縮した状態で含有する活性炭を、酸化性の酸水
溶液、例えば硝酸水溶液で処理して、銀を銀イオンとし
て酸化抽出して分離する。これは、本発明のレドックス
固相体へ濃縮された銀の非破壊型の銀回収方法であり、
銀を含んだレドックス固相体に酸化性の液体、例えば希
硝酸で処理すると銀が硝酸銀となって溶解して、活性炭
から遊離してくるので、この溶液を電解精製して銀塩を
回収する。活性炭には、酸化型のレドックス固相体が担
持されたままなので、これを前述の方法で還元賦活させ
て再使用することができる。
【0088】本発明において、処理液中の銀濃度を銀検
出手段によって測定し、その濃度の積に従って、レドッ
クス固相体の交換時期を決めてもよい。この銀検出手段
としては硫化銀電極による電位の値から銀濃度の目安を
つけるのが好ましい。例えば、特開平6−27623号
公報に記載されているものが挙げられる。これにより、
該廃液中の銀濃度が変動しても、常に良好な銀除去処理
を可能にでき、連続処理が可能となる。本発明において
は、カラー感材を処理した処理済み処理液とレドックス
固相体とを接触させて処理すると、処理水の銀濃度は1
0ppm以下、通常0.001〜1ppmにすることができ
る。その他、電子部品処理工場から出る廃水に対しても
同様に、金濃度は1ppm以下、通常0.001〜0.
1ppm、銀は10ppm以下、通常は0.001〜1
ppmとなる。触媒工場から出る廃水に対しても同様に
パラジウム、白金であれば1ppm以下となる。本発明
の方法を漂白処理及び定着処理後、又は漂白定着処理後
の処理工程からの使用済み処理液に利用する場合には、
除銀処理後の除銀処理水は、例えば定着剤または定着漂
白剤の溶解のための水として再利用してもよい。
【0089】本発明の方法は、黒白感光材料、カラー感
光材料の現像処理の際に生じる銀イオン又は銀錯イオン
を含有する写真処理液に好ましく用いられる。以下カラ
ー感光材料を中心に説明する。漂白処理及び定着処理、
又は漂白定着処理した後の処理工程からの使用済み処理
液は、従来は上記のイオン交換樹脂技術、逆浸透膜や超
濾過膜による膜技術に頼っており、それらと比較すれ
ば、上述のように設備コスト、ランニングコスト上のメ
リットはいうまでもない。
【0090】本発明の方法は、漂白処理及び定着処理、
又は漂白定着処理した後の処理浴からの使用済み処理液
のような比較的希薄な塩濃度の使用済み処理液、漂白剤
を含有する定着能を有する処理槽からの使用済み処理液
のような高濃度(前者と比べて100倍以上)の塩濃度
を持ち、表面腐食作用や表面被覆作用が著しく異なる銀
含有写真処理液にも適用できる。
【0091】本発明におけるレドックス固相体を用い
て、定着能を有する処理液の銀を除去して、再生使用可
能にし、その再生処理された液を再び該定着能を有する
処理液に戻す方法は、次のような点で優れた特徴を有す
る。本発明の方法は、上述のように、定着能を有する化
合物を分解せずに、効率的に銀を除去でき、再生使用で
きることから、再生液の寿命は長く液の保恒性が良好に
なる。また、電解回収法に比べ、電力消費が不要で、電
力コストがかからない。
【0092】更に、本発明の方法により処理された使用
済み処理液を再生使用した場合、処理される写真材料に
ステインの生成や残色などがない。おそらく再生処理の
過程で、塩類の蓄積が少ないことがこのような効果をも
たらすものと考えられる。使用済み処理液に含まれる銀
塩を除去し、それを再生使用することによって、補充量
を低減でき、更に廃液量を減量することができる。低補
充と再使用は、廃液量を減量する手段であって現像処理
の場所の条件によって、どちらを選んでもよいし、同時
に両方を選んでもよい。
【0093】本発明においては、前記脱銀処理された液
を該定着能を有する処理液に、その再生液の量以下の量
の新しい補充液とともに戻すことにより、更に補充量を
低減でき、且つ廃液量を著しく減量できる低補充方式を
達成できる。本発明において、除銀後の使用済み処理液
を定着能を有する処理槽に戻す際には、該処理液を全量
戻してもよいし、一部戻してもよい。ここで、一部戻す
場合に、残りの処理液は、銀が殆ど含まれていないの
で、そのまま下水等に排出させることができる。
【0094】本発明に用いられる対象の重金属イオンを
含有する溶液としては、代表的には写真工業(例えば、
現像所)から排出される液がある。この液としては、例
えば、定着液、漂白定着液、水洗水、リンス液、安定液
などである。また、これらの液は、単独でも混合された
ものでもよく、更に現像液や漂白液などと混合されたも
のでもよい。これらの写真用処理液には、種々の成分が
含まれている。
【0095】使用済み処理液中の銀塩は、一般にチオ硫
酸錯塩の形で溶解している。上記使用済み処理液は、こ
のほか、錯化していないチオ硫酸イオン、アンモニウム
イオン、炭酸イオン、アルカリ金属イオン、硫酸イオ
ン、アルミニウムイオン、ほう酸やその塩、EDTAや
その類縁のキレート剤、それらのキレート剤と鉄イオン
との錯塩、ハライドなどが含まれている。また、感光材
料中のハロゲン化銀は、定着液により溶解し、銀イオン
はS23 2-、SO3 2-等のアニオンと錯塩を形成してい
る。
【0096】本発明の方法で鉄錯塩を含有する使用済み
処理液を処理する場合でも、一部のレドックス固相体が
鉄錯塩により消耗される可能性があり、相対的に不利で
はあるが、それでも従来の銀除去方法よりは効果が大き
い。例えば、電解回収する場合には、還元を受けた鉄錯
塩が空気接触によって酸化状態に戻り、酸化還元サイク
ルが働くので非効率化の程度は大きく、且つ処理液成分
の分解なども伴い、実用性はかなりの制約を受ける。ス
チールウールによる金属置換法は、電解法よりは、再酸
化による非効率化は起こりにくいが、それでもその防止
のために空気接触を防ぐように操作を行うよう注意が必
要である。本発明の方法を定着液や漂白定着液等の使用
済み処理液に適用する場合は、前述の如く、再生時に起
こる空気酸化及び好ましくない蓄積物の増加などによる
液の劣化が少ないので、再生利用率を高く維持すること
ができる。
【0097】漂白能を有する処理液に用いられる漂白剤
としては、アミノポリカルボン酸鉄(III)錯体、過硫酸
塩、臭素酸塩、過酸化水素、及び赤血塩等が用いられる
が、アミノポリカルボン酸鉄(III) 錯体を最も好ましく
用いることができきる。使用される第二鉄錯塩は、予め
錯形成された鉄錯塩として添加して溶解してもよく、ま
た、錯形成化合物と第二鉄塩(例えば、硫酸第二鉄、塩
化第二鉄、臭化第二鉄、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)ア
ンモニウムなど)とを共存させて漂白能を有する液中で
錯塩を形成させてもよい。
【0098】なお、漂白能を有する液中の第二鉄錯塩を
形成する化合物としては、エチレンジアミン四酢酸(E
DTA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(1,3−
PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、1,2−シ
クロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、メチルイ
ミノ二酢酸、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸、
ニトリロ三酢酸、N−(2−カルボキシエチル)イミノ
二酢酸、N−(2−カルボキシメチル)イミノジプロピ
オン酸、β−アラニンジ酢酸、1,4−ジアミノブタン
四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、N−(2
−カルボキシフェニル)イミノジ酢酸、エチレンジアミ
ン−N−(2−カルボキシフェニル)−N,N’,N’
−三酢酸、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、
1,3−ジアミノプロパン−N,N’−ジコハク酸、エ
チレンジアミン−N,N’−ジマロン酸、1,3−ジア
ミノプロパン−N,N’−ジマロン酸等が挙げられる
が、特にこれらに限定されるものではない。
【0099】漂白定着液中や定着液中の定着剤成分は、
公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アン
モニウムなどのチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、
チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩;エチ
レンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−
オクタンジオールなどのチオエーテル化合物、メソイオ
ン化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀
溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して
使用することができる。また、特開昭55−155354号に記
載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化
物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用い
ることができる。チオ硫酸塩、特にチオ硫酸アンモニウ
ム塩及びチオ硫酸ナトリウム塩の使用が好ましい。本発
明の漂白定着液や定着液には保恒剤として、亜硫酸塩
(或いは重亜硫酸塩やメタ重亜硫酸塩類)を含有するの
が望ましい。
【0100】漂白定着液や定着液は、保恒剤として前述
した亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリ
ウム、亜硫酸アンモニウム)、重亜硫酸塩(例えば、重
亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カ
リウム)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリ
ウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニ
ウム)等の亜硫酸イオン放出化合物を含有する以外に、
アルデヒド類(ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド
等)、ケトン類(アセトン等)、アスコルビン酸類、ヒ
ドロキシルアミン類等を必要に応じて添加することがで
きる。
【0101】更には漂白液、漂白定着液、定着液は緩衝
剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必
要に応じて添加しても良い。
【0102】本発明において、除銀処理後の使用済み処
理液を再使用してもよい。水洗水及び/又は安定液には
処理後の感光材料の乾燥時の水滴ムラを防止するため、
種々の界面活性剤を含有することができる。中でもノニ
オン性界面活性剤を用いるのが好ましく、特にアルキル
フェノールエチレンオキサイド付加物が好ましい。アル
キルフェノールとしては特にオクチル、ノニル、ドデシ
ル、ジノニルフェノールが好ましく、またエチレンオキ
サイドの付加モル数としては特に8〜14が好ましい。
さらに消泡効果の高いシリコン系界面活性剤を用いるこ
とも好ましい。
【0103】水洗水及び/又は安定液中には、各種キレ
ート剤を含有させることができる。好ましいキレート剤
としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリア
ミン五酢酸などのアミノポリカルボン酸や1−ヒドロキ
シエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N,N′−
トリメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミン−N,
N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸などの有機
ホスホン酸、あるいは、欧州特許345,172A1号
に記載の無水マレイン酸ポリマーの加水分解物などをあ
げることができる。
【0104】本発明に用いられ得るハロゲン化銀感光材
料の自動現像機は、定着能を有する処理浴の排出口に直
列に、上述した本発明における単独、あるいは複数の重
金属除去装置を設置されたものが好ましい。定着能を有
する処理浴の排出口とは、カラー、場合によっては白黒
の自動現像機において少なくとも定着液成分の1部を含
有する処理浴または前浴からの持ち込みによって少なく
とも定着成分の1部を含有する処理浴の排出口を意味す
る。通常、この排出口は床面から50〜150cmの所
にあるため、充填層に上向流で通液する場合には、この
排出口の高さを利用して、該処理浴の中の液界面より
も、設置する装置内の充填槽の最上部の高さを低く設け
ることが好ましい。これにより、加圧手段を設けなくと
も通液できる。
【0105】定着能を有する処理液を連続的に上記充填
層に供給して、銀イオン等の重金属イオンを析出させる
ことができる。好ましくは、充填層をカートリッジ形態
として複数直列に設置し、被処理液を第1の充填層に通
液して、それで得られた液を更に第2の充填層に通液
し、更に他の充填層も同様に順次通液する。更に第1の
充填層が交換時期になると、その充填層を新しいものと
交換し、且つその新充填層を最終の充填層とする。交換
後の第1の充填層は、前の第2の充填層がなり、交換後
の第2の充填層は前の第3の充填層がなるという具合
に、各々の充填層の順序が繰り上がるような形式にする
ことが好ましい。具体的には、図5及び図6に示すもの
が挙げられる。これにより、銀イオン等の重金属イオン
の除去効率が著しく上がり、且つ安定処理ができ、使用
するレドックス固相体に無駄がなくなる。
【0106】本発明の方法において用いることができる
自動現像機(自現機ともいう)は、ローラ搬送型自動現
像機、タイミングベルトとリーダーによる搬送型自動現
像機、スプロケットとリーダーによる搬送型自動現像機
が好ましく、その中でも、特開昭 60-191257号、同 60-
191258号、同 60-191259号に記載の感光材料搬送手段を
有していることが好ましい。前記の特開昭 60-191257号
に記載のとおり、このような搬送手段は前浴から後浴へ
の処理液の持込みを著しく削減でき、処理液の性能劣化
を防止する効果が高い。このような効果は各工程におけ
る処理時間の短縮や、処理液補充量の低減に特に有効で
ある。
【0107】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 特開平6−347964号公報に記載の実施例1に従っ
て作成したカラーネガ感材を、富士写真フイルム(株)
製のカラーネガ用処理剤CN−16Xを用いて処理を行
い、その第3番目の処理剤N3Xのオーバーフロー液の
100倍希釈液(銀イオン濃度50ppm;概略の水洗
廃液中のN3Xの濃さに対応した疑似水洗)を用いて、
下記レドックス固相体を充填したカラムによる銀除去法
による銀除去試験を0〜3000BVまで行った。但
し、該希釈液をカラムの上方から供給する下向流方式で
通液する場合と該希釈液をカラム下方からポンプにより
加圧して供給する上向流方式で通液する場合の両方の方
式で比較した。
【0108】〔1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロ
キシアントラセン(以下、DDAという。)を活性炭に
担持したレドックス固相体の調製〕 (DDAの担持)3リットルナス型フラスコに、粒状活
性炭(三菱化学社製の石炭系活性炭、粒径0.4〜0.
8mm)700ml(400g)を採取し、脱塩水90
0mlを加え、減圧下、窒素置換処理を繰り返し、活性
炭細孔内の酸素を窒素で置換した後、窒素雰囲気下で2
2重量%(以下、「%」は断らない限り「重量%」を表
す。)濃度のDDAのジナトリウム塩(以下、DDAの
ジナトリウム塩を、「DDAN」という。又、このDD
ANの濃度は、アントラキノンに換算した濃度として表
す。)の水溶液の約1000mlを加え、減圧下で4時
間吸着させた。この混合物を、窒素雰囲気下で吸引濾過
し、得られた濾過ケーキを窒素置換処理した脱塩水50
0mlで洗浄し、10%硫酸水溶液700mlで洗浄
し、再び窒素置換処理した脱塩水500mlで洗浄し
た。得られたDDAを活性炭に担持したレドックス固相
体をサンプル瓶に移し、窒素置換処理した脱塩水で満た
して保存した。しかして、同様の方法により、以下の実
施例に必要な量のレドックス固相体を調製した。
【0109】(レドックス固相体の吸着量の測定)上記
で得られたレドックス固相体の10mlを採取し、ソッ
クスレー抽出器を使用して、アセトン・メタノール混合
溶媒で抽出したのち、次いでトルエン溶媒にて抽出し、
活性炭に吸着されたアントラヒドロキノン化合物を溶出
させた後、これらの溶媒を留去し、残留したこの化合物
の重量を測定し、アントラキノン換算で吸着量を算出し
た。この吸着量は、活性炭1リットル当たり0.85モ
ルであった。上記で調製したレドックス固相体(粒径
0.35〜1.15mm)30mlを径30mm、高さ300
mmのカラムに充填し、そこに上記オーバーフロー液を溶
存酸素を除いた水で100倍に希釈した液10リットル
を空間速度(SV)10(1/hr)で通液し、除銀処
理を行った。その時の処理量(BV)と空間速度(S
V)の関係を評価した。
【0110】その結果を図1に示す。図1に示すよう
に、下向流で通液した場合は、1500BV処理したと
ころから、SVが低下しはじめ、3000BV処理した
ころには殆どカラムが詰まってしまった。それに対し
て、上向流で通液した場合は、少なくとも3000BV
まではSV値は変化せずに処理でき、充填層中のレドッ
クス固相体全体に銀が一様に析出していた。従って、上
向流で通液したことにより、安定した処理が可能である
ことが判る。また、下向流で通液したカラムを観察する
と、カラム上部(最上部から約60%の部分)に充填さ
れたレドックス固相体は、銀が析出して灰色になり、且
つサイズが著しく大きくなっていた。カラムが閉塞した
のは、これが原因であると考えられる。
【0111】また、上記上向流で通液した方法の除銀処
理後の液中の銀濃度を原子吸光法を用いて測定した。銀
除去後の銀濃度は0.02ppmであった。しかも、処理
した液では成分の分解がなく銀濃度がほとんど0なので
キットの希釈液として再利用することができた。
【0112】即ち、上記の結果から、銀イオンを含有す
る液を上向流で通液することにより、カラムの閉塞を防
止でき、充填したレドックス固相体を有効に利用でき、
有効に除銀できることが判る。
【0113】実施例2 上記実施例1の感材を以下の処理液組成の液を用いて、
以下の処理工程で処理して各液ともランニング平衡にさ
せた。
【0114】 (処理工程) 工 程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 37.6℃ 15ミリリットル 17リットル 漂 白 50秒 38.0℃ 5ミリリットル 5リットル 定着(1) 50秒 38.0℃ − 5リットル 定着(2) 50秒 38.0℃ 5ミリリットル 5リットル 安定(1) 30秒 38.0℃ − 3.5リットル 安定(2) 20秒 38.0℃ − 3リットル 安定(3) 20秒 38.0℃ 15ミリリットル 3リットル 乾 燥 1分30秒 60℃ *補充量は感光材料35mm巾1.1m当たり(24Ex.1本相当)
【0115】安定液は(3)から(2)さらに(1)へ
及び定着液は(2)から(1)への向流方式であり、漂
白液のオーバーフロー液は定着浴(1)へ導入し、安定
液のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導入した。
尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の漂白定
着(定着(1))工程への持ち込み量、漂白定着(定着
(1))液の定着(2)工程への持ち込み量及び定着
(2)液の水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm巾
1.1m当たりそれぞれ2.5ミリリットル、2.0ミリリットル、
2.0ミリリットル、2.0ミリリットルであった。また、クロスオ
ーバーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程
の処理時間に包含される。上記処理機の開口面積は発色
現像液で120cm2、漂白液で120cm2、その他の処理
液は約100cm2であった。
【0116】以下に処理液の組成を示す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 2.2 2.2 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 1−ヒドロキシエチリデン−1,1 −ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.5 炭酸カリウム 37.5 39.0 N,N−ビス(2−スルホエチル) ヒドロキシルアミン・二ナトリウム 2.0 2.0 臭化カリウム 1.4 − 沃化カリウム 1.3mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.6 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.8 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.21
【0117】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム−水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 グルタル酸 93 140 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH〔アンモニア水で調製〕 4.6 4.2
【0118】(定着(1)タンク液)上記漂白タンク液
と下記定着(2)タンク液の15対85(容量比)混合
液。(pH7.0)
【0119】 (定着(2)液) タンク液(g) 補充液(g) 亜硫酸アンモニウム 19 57 チオ硫酸アンモニウム水溶液 (700g/リットル) 280ミリリットル 840ミリリットル イミダゾール 15 45 エチレンジアミン四酢酸 15 45 水を加えて 1.0リットル 1.0リットル pH〔アンモニア水、酢酸で調製〕 7.4 7.45
【0120】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.05 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメ チル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0リットル pH 8.5
【0121】実施例1のオーバーフロー液の100倍希
釈液の代わりに、上記ランニング平衡に達している定着
槽(2)の部分の使用済み処理液であるオーバーフロー
液の100倍希釈液(銀濃度は及び希釈手順は、実施例
1と略同じ)を用いて、実施例1と同様に銀除去処理を
上向流で行った。3000BVまで処理できたが、18
00BVのあたりから処理済み液の銀濃度が0.7pp
mレベルとなり、銀規制の厳しい地域では銀除去処理済
み液を下水に放流できなかった。この時、オーバーフロ
ー液の100倍希釈液1リットルに対して、N2 (窒
素)雰囲気下でハイドロサルファイトを1mM加えて、
同様に処理したところ、2800BVまで除銀処理済み
液の銀濃度が0.02ppmであった。従って、除銀処
理済み液を下水へ放流できた。
【0122】実施例3 上記実施例1で使用したカラムの代わりに、図2に示す
重金属イオン除去装置を用いた他は、実施例1と同様に
銀イオン除去処理を行った。図2の装置において、図2
中の矢印で示すように、ポンプにより加圧しつつ実施例
1でのオーバーフロー液の100倍希釈液がオーバーフ
ロー液の流入口1から処理槽8内部のレドックス固相体
の充填層4の上部表面に接する上部空隙部5に供給され
る。該液は、充填層4の上部表面から下方に向かって充
填層4の内部を通り、目皿7を通過して銀スラッジ溜ま
り3に到達する。その後、処理槽8の縦方向の中心に位
置する導管2を通り、出口6に導かれ、ホールディング
タンクに供給される。この従来の下向流による方式
(A)と、上記とは全く逆方向にオーバーフロー液を通
液する方式、即ち上向流方式(B)の2種の実験を行っ
た。但し、充填層4の容量25リットルで断面積は70
0cm2 で、レドックス固相体の充填量は20リットル
で、SV=2で行った。
【0123】(A)と(B)の方式で、実施例1と同様
に、処理量(BV)と空間速度(SV)の関係を評価し
た。その結果、実施例1と同様に、(A)の方式では、
充填層4が450BV処理したところで詰まり始め、2
500BVの処理のところで処理不能となってしまっ
た。一方、(B)の方式では、3500BV処理しても
全く一定の流速で通液でき、充填層中のレドックス固相
体全体に銀が一様に析出していた。従って、上向流で通
液したことにより、安定した処理が可能であることが判
る。また、下向流で通液したカラムを観察すると、カラ
ム上部(最上部から約30%の部分)に充填されたレド
ックス固相体は、銀が析出して灰色になり、且つサイズ
が著しく大きくなっていた。カラムが閉塞したのは、こ
れが原因であると考えられる。また、充填層の上部10
%位が灰色から黒色に変化しており、上部10%のレド
ックス固相体は銀除去に寄与していなかった。そのた
め、レドックス固相体の銀イオンの還元析出能力が90
%しか発揮されなかった。また、上記上向流で通液した
方法では、充填層の上部10%位の灰色−黒色の変化が
生じなく、レドックス固相体のすべてが有効に働いた。
従って、上向流では100%有効に利用されたが、下向
流ではその能力の90%しか利用できないことが判っ
た。また、上記実施例1のオーバーフロー液の100倍
希釈液の代わりに、実施例2のオーバーフロー液を被処
理液として用いた。上記実施例2と同様に前処理として
ハイドロサルファイトを加えて処理し、銀除去処理後は
処理後液中の銀を原子吸光法で調べると0.02ppm
であり、下水へ放流できた。
【0124】即ち、上記の結果から、銀イオンを含有す
る液を上向流で通液することにより、カラムの閉塞を防
止でき、充填したレドックス固相体を有効に利用でき、
有効に除銀できることが判る。
【0125】実施例4 上記実施例1で使用したカラムの代わりに、図3に示す
重金属イオン除去装置を用いた他は、実施例1と同様に
銀イオン析出を行った。図3の装置において、図3中の
矢印で示すように、ポンプ等により加圧しつつ実施例1
でのCN−16XのN3Xのオーバーフロー液の100
倍希釈液がオーバーフロー液の流入口1から充填層内部
の空隙部5に供給される。該液は、レドックス固相体の
充填層4の側面から多孔膜7を介して充填層4の中心に
向かって充填層4の内部を通り、中空部としての通液孔
を有する導管部2’に到達する。その後、充填層の縦方
向の中心に位置する導管2’を通り、出口6に導かれ、
ホールディングタンクに供給される。この従来の外側か
ら内側方向による方式(A)と、上記とは全く逆方向に
オーバーフロー液を通液する方式、即ち中空部から充填
層の外方による通液方式(B)の2種の実験を行った。
但し、充填層4の内径15mm(導管部2’)、外径は2
00mm、長軸の長さは200mmで、レドックス固相体の
充填量は6リットルで、SV=3で行った。
【0126】(A)と(B)の方式で、実施例1と同様
に、処理量(BV)と空間速度(SV)の関係を評価し
た。その結果、実施例1と同様に、(A)の方式では、
充填層4が1500BV処理したところで詰まって、殆
ど処理できなくなった。一方、(B)の方式では、32
00BV処理しても全く一定の流速で通液できた。従っ
て、(B)の方式で通液したことにより、安定した処理
が可能であることが判る。また、(A)の方式で通液し
たカラムを観察すると、充填層両側面部(最も外側から
約20%の部分)に充填されたレドックス固相体は、銀
が析出して灰色となり、且つサイズが著しく大きくなっ
ていた。カラムが閉塞したのは、これが原因であると考
えられる。
【0127】また、上記(B)の方式で通液した方法の
除銀処理後の液中の銀濃度を原子吸光法を用いて測定し
た。銀除去後の銀濃度は0.07ppmであった。しか
も、処理した液では成分の分解がなく銀濃度がほとんど
0なので再利用することができた。
【0128】即ち、上記の結果から、銀イオンを含有す
る液を充填層内部から外方に向かって通液することによ
り、カラムの閉塞を防止でき、充填したレドックス固相
体を有効に利用でき、有効に除銀できることが判る。
【0129】実施例5 実施例1と同様の感材を用い、処理液、処理方法は下記
のものを用い、図4に示す重金属イオン除去装置を設置
した自動現像機、富士写真フイルム(株)製FNCP4
0Bを改造したカラーネガ用自動現像機を用い、富士写
真フイルム(株)製カラーネガ用処理剤CN−16を用
いて処理を行った。この処理においてランニング平衡に
達している定着液のオーバーフロー液(銀イオン濃度;
4600ppm)の100倍希釈液を連続的に図4に示
す装置に送液した。図4において、処理槽8は充填層1
4と充填層15からなる。まず、上部から上記定着液の
オーバーフロー液の100倍希釈液をレドックス固相体
の充填層14に供給し、下向流で充填層14に通液さ
せ、充填層14の下部の通路を通って充填層15に導入
する。充填層14には、脱酸素空気13が充填層14の
底部から曝気された。エアポンプ10により空気を、脱
酸素槽16内に満たされた、自動現像機の現像浴からの
オーバーフロー液である現像液の廃液11の10リット
ル中に通過させて脱酸素空気13が得られる。得られた
脱酸素空気13は、エアー供給路12を介して充填層1
4に供給される。充填層15に達した定着液のオーバー
フロー液は、矢印に示すように、上向流で充填層15を
通過して、充填層15上部から排出される。ここで、充
填層14及び15の容量は各々7リットルで断面積は2
00cm2で、レドックス固相体の充填量は6リットル
で、SV=3.5で行った。脱酸素空気の曝気速度は2
リットル/分であった。
【0130】実施例1と同様に、処理量(BV)と空間
速度(SV)の関係を評価した。その結果、実施例1と
同様に、この方式では、5000BV処理しても全く一
定の流速で通液できた。従って、下向流で通液し、且つ
脱酸素空気で曝気したことにより、安定した処理が可能
であることが判る。但し、廃液中の銀濃度が高いため、
800BVを過ぎると処理済み液中の銀濃度は0.6p
pmになってしまった。従って、充填層の閉塞はなかっ
たが、750BV毎にレドックス固相体を交換する必要
があった。この条件を満たして処理すれば、銀濃度0.
1ppm以下をクリヤーでき、下水への放流が可能であ
った。
【0131】即ち、上記の結果から、銀イオンを含有す
る液を下向流で通液し、且つ脱酸素空気で曝気すること
により、カラムの閉塞を防止でき、充填したレドックス
固相体を有効に利用でき、有効に除銀できることが判
る。
【0132】実施例6 富士写真フイルム(株)製カラーネガ用現像機FNCP
−300を改造した自動現像機(現像機のカラー現像槽
からのオーバーフロー液が図4に示す脱酸素槽16に流
入し、図示していないが、適宜脱酸素槽16よりオーバ
ーフローする。更に現像機の最終水洗槽からのオーバー
フロー液が図4の充填層14の上方から入るように構造
を改造した)に、富士写真フイルム(株)製のカラーネ
ガ用現像液CN−16処理剤を入れ、実施例1と同様の
感材を処理しつつ、実施例5と同様に図4に従って、上
記のオーバーフロー液を処理した。尚、上記水洗槽のオ
ーバーフロー液中の銀イオン濃度は46ppmであっ
た。2000BVまで処理液中の銀濃度は0.02pp
mであったが、オーバーフロー液中に含まれるFeイオ
ン(EDTA−Fe(III) 、Feとして40ppm)の
ため、レドックス固相体の能力(300g/L捕捉可
能、46ppmで6000BVまで規制値以下)の約1
/3しか機能しなかった。
【0133】そこで、図4において、脱酸素空気を供給
する装置(エアー導入路12〜脱酸素槽16)を除去し
て、脱酸素空気を曝気せず、その代わりに先ず最終水洗
槽のオーバーフロー液を、イーストマンコダック社製の
スチールウールカラム(850g)に予め通液して、存
在するEDTA−Fe(III) を二価に還元したのち、そ
の液を空気に触れることなく図4の充填層14の上方に
供給して下向流で処理した。すると、6000BVまで
処理液中の銀濃度は0.02ppmであり、これは、充
分銀廃水規制をクリアしているので、そのまま排水する
ことができた。
【0134】また、上記スチールウールに通さず、脱酸
素処理をせずに処理した場合には、閉塞は起こらない
が、水洗水約100トン処理したあたりから、処理液の
銀濃度が0.3ppmとなり、規制をクリヤーできなか
った。更に水洗水約150トンまで処理すると該濃度が
0.7ppmとなり能力が著しく低下した。この結果、
EDTA−Fe塩を含む定着水洗廃水を予めスチールウ
ールで処理し、Fe(III) をFe(II)に還元した後、
レドックス固相体の充填槽に下向流で通液することによ
り、充填したレドックス固相体を廃水中に存在する鉄(I
II)イオンで消費することなく有効に利用でき、有効に
除銀できる。
【0135】実施例7 実施例5における自動現像機に設置された図4に示す重
金属イオン除去装置の代わりに図5及び図6に示す4つ
のカートリッジ式の充填層(カラム)を有する重金属イ
オン除去装置を用いて処理を行った以外は、実施例5と
同様に、金属除去実験を行った。この処理においてラン
ニング平衡に達している定着液のオーバーフロー液を連
続的に図5に示す装置に送液した。図5は、オーバーフ
ロー液の通液方向を表す概念図であり、図6は自動現像
機内に設置される充填層の相互位置関係を示す概念図で
ある。図5に示すように、カラム21の下部から上記定
着液のオーバーフロー液をレドックス固相体のカラム2
1にポンプによる加圧下で供給し、上向流でカラム21
を通液させ、その透過液はカラム21の上部から流出さ
せた。次に、その流出液をカラム22にポンプによる加
圧下で供給し、同様に上向流でカラム22を通液させ
た。以下、カラム23、24においても上記と同様に上
向流で液を通液させた。ここで、上記各カラム21〜2
4には、オーバーフロー液を通液するとともに、カラー
現像液のオーバーフロー液を図4に示す脱酸素槽13の
形で脱酸素することにより得られた脱酸素空気を3リッ
トル/分の量で曝気した。
【0136】図6に示すように、各カラム21〜24は
回転台25上に同心円上に配置され、回転台25の中心
を回転軸として回転台を90度ずつ図5の右方向に回転
させることにより、各々のカラムの位置が回転方向に1
つずつ正確にずれるように設置されている。また、各々
のカラムはカートリッジとなっており、且つ配管は着脱
可能となっている。それにより、交換時期になったカラ
ムは、随時取り外され、新しいカラムに交換できるよう
になっている。本実施例では、第1のカラム21が最初
に交換時期になり、新しいカラムと交換され、且つ交換
された新しいカラムは、回転台25を右回転させて第4
のカラムとし、同様に第1のカラムとしてカラム22、
第2のカラムとしてカラム23、第3のカラムとしてカ
ラム24をそれぞれ配置した。以降、同様にカラムの交
換、カラムの配置転換を行った。ここで、カラム21〜
24の径は50mmで高さ80cmで、レドックス固相体
の充填量は1.5リットルで、SV=4で行った。
【0137】カラムの交換時期は、銀除去装置の先端に
取り付けた銀検出器26により決定された。ここで、銀
検出器26は、上記レドックス固相体を透明容器に充填
し、液流入口と液流出口を有している。容器の容積20
mlで充填量は19mlであった。該銀検出器26を外から
目視で評価した。レドックス固相体の色が黒色から銀灰
色に変化したときに交換した。第1のカラム21は、5
時間処理後に交換時期となったので、カラムの交換、カ
ラムの配置転換を行った。この処理を20時間連続して
行い、除銀効果、SV値、カラム中のレドックス固相体
の銀析出レベルを評価した。
【0138】また、上記の方式で通液した方法の除銀処
理後の排水中の銀濃度を原子吸光法を用いて測定した。
銀除去後の銀濃度は、処理中安定して40ppm以下で
あった(平均値として0.03ppm)。しかも、処理
した液では成分の分解がなく銀濃度が100分の1以下
になるので再利用することができた。また、SV値は処
理中殆ど変化せず安定していた。交換されたカラム中の
レドックス固相体は、全体的に銀が多量に析出し、灰色
に変色していた。
【0139】即ち、上記の結果から、銀イオンを含有す
る液を、本発明の装置を多連直列に接続することによ
り、高い除銀レベルで、且つ長期間安定して処理するこ
とができる。
【0140】
【発明の効果】本発明により、レドックス固相体の重金
属イオン除去能力を十分発揮させ、目詰まりが少なく、
長時間一定の処理速度で、効率的且つ選択的に重金属イ
オンを除去でき、処理のコストダウン、処理設備の簡素
化及び操作の簡便性を実現できる重金属イオン除去方法
を提供することができ、更に、ハロゲン化銀感光材料を
現像処理したときに多量に生じる使用済み処理液等の写
真処理液から、目詰まりが少なく、長時間一定の処理速
度で、効率的且つ選択的に銀イオンを除去でき、処理の
コストダウン、処理設備の簡素化及び操作の簡便性を実
現できる重金属イオン除去方法を提供することである。
一方、長時間一定の処理速度で、安定して金属除去処理
が可能で、且つ高度に重金属イオンを除去できる重金属
イオン除去装置を提供することができる。更に、ハロゲ
ン化銀感光材料を現像処理したときに多量に生じる定着
能を有する処理液から、連続的且つ容易に銀イオン等の
重金属イオンを除去できる自動現像機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法における流速と処理量の関係を
示す図である。
【図2】 本発明の方法に関わる重金属イオン除去装置
の一態様を示す図である。
【図3】 本発明の方法に関わる重金属イオン除去装置
の一態様を示す図である。
【図4】 本発明の方法に関わる重金属イオン除去装置
の一態様を示す図である。
【図5】 本発明の装置の一態様を示す概念図である。
【図6】 本発明の装置の一態様を示す概念図である。
【符号の説明】
1 オーバーフロー液の流入口 2 導管 2’通液孔を有する導管 3 銀スラッジ溜まり 4 レドックス固相体の充填層 5 上部間隙 6 処理済み液の出口 7 多孔膜 8 処理槽 10 エアーポンプ 11 現像液の廃液 12 エアー導入路 13 脱酸素空気 14 充填層 15 充填層 16 脱酸素槽 21〜24 カラム 25 回転台 26 銀検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜井 達也 神奈川県川崎市川崎区千鳥町1番2号 川 崎化成工業株式会社内 (72)発明者 草部 光司 神奈川県川崎市川崎区千鳥町1番2号 川 崎化成工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体
    の多孔質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填さ
    れた充填層を有し、該充填層に上向流で通液できる重金
    属イオン除去装置を用いて、重金属イオンを含有する溶
    液を上向流で通液して該溶液から重金属イオンを選択的
    に除去することを特徴とする重金属イオンの除去方法。
  2. 【請求項2】 ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体
    の多孔質担体に吸着固定したレドックス固相体を中空部
    を有するように充填された充填層を有し、該充填層の中
    空部側と外周側に透水性隔壁を設け、且つ該中空部側か
    ら外周側に向かって通液できる重金属イオン除去装置を
    用いて、重金属イオンを含有する溶液を該充填層の中空
    部側から外周側に向かって通液して、該溶液から重金属
    イオンを選択的に除去することを特徴とする重金属イオ
    ンの除去方法。
  3. 【請求項3】 ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体
    の多孔質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填さ
    れた充填層、及び脱酸素気体の曝気手段を有し、下向流
    で通液できる重金属イオン除去装置を用いて、該充填層
    の下部から上方へ脱酸素気体を曝気しつつ、重金属イオ
    ンを含有する溶液を該充填層に下向流で通液して該溶液
    から重金属イオンを選択的に除去することを特徴とする
    重金属イオンの除去方法。
  4. 【請求項4】 ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体
    の多孔質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填さ
    れた充填層を有し、下向流で通液できる重金属イオン除
    去装置を用いて、予め還元性化合物による処理、金属置
    換処理及び電解処理のうち少なくとも1つの処理で処理
    された重金属イオンを含有する溶液を該充填層に下向流
    で通液して該溶液から重金属イオンを選択的に除去する
    ことを特徴とする重金属イオンの除去方法。
  5. 【請求項5】 前記レドックス固相体が粒子形状である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    重金属イオンの除去方法。
  6. 【請求項6】 重金属イオンを含有する溶液が予め還元
    性化合物による処理、金属置換処理及び電解処理のうち
    少なくとも1つの処理で処理されていることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の重金属イオンの
    除去方法。
  7. 【請求項7】 重金属イオンを含有する溶液が、銀イオ
    ンを含有する写真処理液であることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の重金属イオンの除去方
    法。
  8. 【請求項8】 写真処理液が定着能を有する処理液を少
    なくとも含む写真処理液であることを特徴とする請求項
    7に記載の重金属イオンの除去方法。
  9. 【請求項9】 ヒドロキノン骨格を有する化合物を固体
    の多孔質担体に吸着固定したレドックス固相体を充填さ
    れた充填層を有し、該充填層に上向流で通液できる重金
    属イオン除去装置、前記レドックス固相体を中空部を有
    するように充填された充填層を有し、該充填層の中空部
    側と外周側に透水性隔壁を設け、且つ該中空部側から外
    周側に向かって通液できる重金属イオン除去装置、並び
    に前記レドックス固相体を充填された充填層、及び脱酸
    素気体の曝気手段を有し、下向流で通液できる重金属イ
    オン除去装置のうち2つ以上を多連直列または多連並列
    に接続してなることを特徴とする重金属イオン除去装
    置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8702838B2 (en) 2011-04-04 2014-04-22 Arkray, Inc. Method for recovering metal, and reagent and kit for recovery of metal for use in the same
US8765480B2 (en) 2011-04-04 2014-07-01 Arkray, Inc. Method for recovering metal and kit for recovery of metal for use in the same
US9873925B2 (en) 2011-09-22 2018-01-23 Arkray, Inc. Method of recovering heavy metal and reagent for recovery of heavy metal for use in the same
JP2020066802A (ja) * 2018-10-18 2020-04-30 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 白金族金属イオンの分離回収システム及び分離回収方法
CN114345007A (zh) * 2021-12-24 2022-04-15 湖南金雕能源科技有限公司 一种硬质合金回收生产线用废水循环***

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