JPH0943230A - 鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食液およびそれを用いた現出方法 - Google Patents
鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食液およびそれを用いた現出方法Info
- Publication number
- JPH0943230A JPH0943230A JP7194768A JP19476895A JPH0943230A JP H0943230 A JPH0943230 A JP H0943230A JP 7194768 A JP7194768 A JP 7194768A JP 19476895 A JP19476895 A JP 19476895A JP H0943230 A JPH0943230 A JP H0943230A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鉄鋼の旧オーステナイト粒界を明瞭に現出す
るための腐食液およびそれを用いた現出方法の提供。 【構成】 ピクリン酸飽和水溶液に塩酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、塩化鉄、塩化カルシウム、
エチルアルコールを添加した鉄鋼の旧オーステナイト粒
界現出用腐食液、および焼き入れ処理した鉄鋼試料の断
面を鏡面仕上げ研磨した後、この鉄鋼試料を加熱条件下
の腐食液中に浸漬して鉄鋼の旧オーステナイト粒界を現
出する方法。
るための腐食液およびそれを用いた現出方法の提供。 【構成】 ピクリン酸飽和水溶液に塩酸、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、塩化鉄、塩化カルシウム、
エチルアルコールを添加した鉄鋼の旧オーステナイト粒
界現出用腐食液、および焼き入れ処理した鉄鋼試料の断
面を鏡面仕上げ研磨した後、この鉄鋼試料を加熱条件下
の腐食液中に浸漬して鉄鋼の旧オーステナイト粒界を現
出する方法。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、焼き入れ処理を行った
マルテンサイト組織またはベイナイト組織、およびそれ
らに加えて焼き戻し処理を施した鉄鋼の旧オーステナイ
ト粒界を現出する腐食液およびそれを用いた鉄鋼の旧オ
ーステナイト粒界を現出する方法に関するものである。
マルテンサイト組織またはベイナイト組織、およびそれ
らに加えて焼き戻し処理を施した鉄鋼の旧オーステナイ
ト粒界を現出する腐食液およびそれを用いた鉄鋼の旧オ
ーステナイト粒界を現出する方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、腐食液を用いた鉄鋼の旧オーステ
ナイト粒界の現出方法としては、現出すべき面を鏡面仕
上げ研磨し、腐食液中に浸漬して旧オーステナイト粒界
を現出する方法が一般的に用いられている。この方法
は、腐食液としてピクリン酸飽和水溶液にドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を加えた成
分を主とする腐食液を用いており、常温で５〜60分間腐
食液に浸漬する方法、または腐食液の温度を30〜70℃に
調整して行う方法である。
ナイト粒界の現出方法としては、現出すべき面を鏡面仕
上げ研磨し、腐食液中に浸漬して旧オーステナイト粒界
を現出する方法が一般的に用いられている。この方法
は、腐食液としてピクリン酸飽和水溶液にドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を加えた成
分を主とする腐食液を用いており、常温で５〜60分間腐
食液に浸漬する方法、または腐食液の温度を30〜70℃に
調整して行う方法である。
【０００３】しかし、最近の鉄鋼には多種の合金元素が
混在しているため、旧オーステナイト粒界の現出が明瞭
に行えない試料が多いのが現状である。
混在しているため、旧オーステナイト粒界の現出が明瞭
に行えない試料が多いのが現状である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解決し、鉄鋼の旧オーステナイト粒界を明
瞭に現出するための腐食液およびそれを用いた現出方法
を提供することを目的とする。
術の問題点を解決し、鉄鋼の旧オーステナイト粒界を明
瞭に現出するための腐食液およびそれを用いた現出方法
を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】第１の発明は、ピクリン
酸飽和水溶液に塩酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム、塩化鉄、塩化カルシウム、およびエチルアルコ
ールを添加した鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食
液である。また、第２の発明は、焼き入れ処理した鉄鋼
試料の断面を鏡面仕上げ研磨した後、ピクリン酸飽和水
溶液に塩酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
塩化鉄、塩化カルシウム、およびエチルアルコールを添
加した加熱条件下の腐食液中に、前記鉄鋼試料を浸漬し
て鉄鋼の旧オーステナイト粒界を現出する方法である。
酸飽和水溶液に塩酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム、塩化鉄、塩化カルシウム、およびエチルアルコ
ールを添加した鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食
液である。また、第２の発明は、焼き入れ処理した鉄鋼
試料の断面を鏡面仕上げ研磨した後、ピクリン酸飽和水
溶液に塩酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
塩化鉄、塩化カルシウム、およびエチルアルコールを添
加した加熱条件下の腐食液中に、前記鉄鋼試料を浸漬し
て鉄鋼の旧オーステナイト粒界を現出する方法である。
【０００６】そして本発明で用いる腐食液は、ピクリン
酸飽和水溶液 100ccに対して塩酸 0.5〜2.0cc 、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.3〜1.0g、塩化鉄
0.1〜0.3g、塩化カルシウム 0.1〜0.3g、エチルアルコ
ール 0.5〜2.0cc の割合で添加した鉄鋼の旧オーステナ
イト粒界現出用腐食液であることが好ましく、さらに40
〜60℃に加熱するのが好ましい。
酸飽和水溶液 100ccに対して塩酸 0.5〜2.0cc 、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.3〜1.0g、塩化鉄
0.1〜0.3g、塩化カルシウム 0.1〜0.3g、エチルアルコ
ール 0.5〜2.0cc の割合で添加した鉄鋼の旧オーステナ
イト粒界現出用腐食液であることが好ましく、さらに40
〜60℃に加熱するのが好ましい。
【０００７】本発明で用いる塩化鉄としては、塩化第１
鉄または塩化第２鉄、またはそれらの混合物を用いるこ
とができるが、より好ましくは塩化第１鉄を用いること
が好ましい。
鉄または塩化第２鉄、またはそれらの混合物を用いるこ
とができるが、より好ましくは塩化第１鉄を用いること
が好ましい。
【０００８】
【作用】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明
者らは、従来の腐食液では観察困難であった旧オーステ
ナイト粒界を現出する方法について鋭意実験検討を重ね
た結果、高ニッケル含有鋼、機械構造用炭素鋼、パイプ
用鋼など幅広い鋼種にわたって旧オーステナイト粒界を
現出しうる腐食液を見出した。
者らは、従来の腐食液では観察困難であった旧オーステ
ナイト粒界を現出する方法について鋭意実験検討を重ね
た結果、高ニッケル含有鋼、機械構造用炭素鋼、パイプ
用鋼など幅広い鋼種にわたって旧オーステナイト粒界を
現出しうる腐食液を見出した。
【０００９】本発明において、好ましい腐食液の構成を
前記のように規定した理由を、以下に述べる。ピクリン
酸飽和水溶液は旧オーステナイト粒界を現出させる腐食
液の代表的なものであり、界面活性剤であるドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムを適量添加して使用する。
前記のように規定した理由を、以下に述べる。ピクリン
酸飽和水溶液は旧オーステナイト粒界を現出させる腐食
液の代表的なものであり、界面活性剤であるドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウムを適量添加して使用する。
【００１０】従来は、これに還元剤として塩化第１鉄を
添加しているが、本発明では、さらに塩化カルシウムを
添加することにより、従来、旧オーステナイト粒界が現
出不可能であった高ニッケル含有鋼、Ｓ５３Ｃをはじめ
とする機械構造用炭素鋼、パイプ用鋼についても飛躍的
に明瞭に現出することが可能となった。すなわち、還元
剤として塩化第１鉄のほかに塩化カルシウムを加えるこ
とにより、旧オーステナイト粒界（以下粒界と略記す
る）の明瞭な現出を可能にしたものである。
添加しているが、本発明では、さらに塩化カルシウムを
添加することにより、従来、旧オーステナイト粒界が現
出不可能であった高ニッケル含有鋼、Ｓ５３Ｃをはじめ
とする機械構造用炭素鋼、パイプ用鋼についても飛躍的
に明瞭に現出することが可能となった。すなわち、還元
剤として塩化第１鉄のほかに塩化カルシウムを加えるこ
とにより、旧オーステナイト粒界（以下粒界と略記す
る）の明瞭な現出を可能にしたものである。
【００１１】塩酸は、ピクリン酸飽和水溶液 100ccに対
して0.5 〜2.0cc 添加することが好ましい。0.5cc 未満
では腐食が活性化されず、2.0cc 超えの場合オーバーエ
ッチングになるためである。ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウムは、ピクリン酸飽和水溶液 100ccに対して
0.3〜1.0g添加することが好ましい。 0.3g 未満の場合
粒界部分の優先腐食が生じにくく、1.0g超えの場合、全
体的に肌荒れし、浸食されて粒界が不明瞭になる。
して0.5 〜2.0cc 添加することが好ましい。0.5cc 未満
では腐食が活性化されず、2.0cc 超えの場合オーバーエ
ッチングになるためである。ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウムは、ピクリン酸飽和水溶液 100ccに対して
0.3〜1.0g添加することが好ましい。 0.3g 未満の場合
粒界部分の優先腐食が生じにくく、1.0g超えの場合、全
体的に肌荒れし、浸食されて粒界が不明瞭になる。
【００１２】塩化鉄は、負偏析部の粒界を明瞭に現出さ
せるために添加する。塩化鉄の添加量は、ピクリン酸飽
和水溶液 100ccに対して 0.1〜0.3g添加することが好ま
しい。 0.1g 未満の場合、負偏析部が明瞭に現出しにく
く、0.3g超えの場合試料全体が茶色になり観察が困難と
なる。塩化カルシウムの添加量は、ピクリン酸飽和水溶
液 100ccに対して 0.1〜0.3g添加することが好ましい。
0.1g 未満の場合、粒界より粒内の腐食が優先され、0.
3g超えの場合、腐食が活性化されない。
せるために添加する。塩化鉄の添加量は、ピクリン酸飽
和水溶液 100ccに対して 0.1〜0.3g添加することが好ま
しい。 0.1g 未満の場合、負偏析部が明瞭に現出しにく
く、0.3g超えの場合試料全体が茶色になり観察が困難と
なる。塩化カルシウムの添加量は、ピクリン酸飽和水溶
液 100ccに対して 0.1〜0.3g添加することが好ましい。
0.1g 未満の場合、粒界より粒内の腐食が優先され、0.
3g超えの場合、腐食が活性化されない。
【００１３】エチルアルコールの添加量は、ピクリン酸
飽和水溶液 100ccに対して 0.5〜2.0cc であることが好
ましい。 0.5cc未満の場合、全体が腐食されて粒界が不
鮮明となり、2.0cc 超えの場合、腐食が活性化されな
い。前記の理由により、各成分共、好適範囲を外れる
と、旧オーステナイト粒界の明瞭な現出が困難となるた
め、本発明で用いる腐食液は、前記好適組成範囲内であ
ることが好ましい。
飽和水溶液 100ccに対して 0.5〜2.0cc であることが好
ましい。 0.5cc未満の場合、全体が腐食されて粒界が不
鮮明となり、2.0cc 超えの場合、腐食が活性化されな
い。前記の理由により、各成分共、好適範囲を外れる
と、旧オーステナイト粒界の明瞭な現出が困難となるた
め、本発明で用いる腐食液は、前記好適組成範囲内であ
ることが好ましい。
【００１４】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 （実施例）鉄鋼のＳ５３Ｃ材を高周波焼き入れしたもの
を試料として、鏡面仕上げ研磨した断面を下記に示す条
件の本発明法により、旧オーステナイト粒界を現出し
た。
明する。 （実施例）鉄鋼のＳ５３Ｃ材を高周波焼き入れしたもの
を試料として、鏡面仕上げ研磨した断面を下記に示す条
件の本発明法により、旧オーステナイト粒界を現出し
た。
【００１５】〔腐食液Ａの組成〕 ピクリン酸飽和水溶液：200ml 、塩酸：2.2ml 、エチル
アルコール：1.9cc 、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム：1.0g、塩化第１鉄：0.5g、塩化カルシウム：0.
2g 腐食液の液温：58℃ 腐食時間 ：120 秒 本発明により現出された旧オーステナイト粒界を 400倍
に拡大した光学顕微鏡写真を図１に示す。
アルコール：1.9cc 、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム：1.0g、塩化第１鉄：0.5g、塩化カルシウム：0.
2g 腐食液の液温：58℃ 腐食時間 ：120 秒 本発明により現出された旧オーステナイト粒界を 400倍
に拡大した光学顕微鏡写真を図１に示す。
【００１６】（比較例）塩化カルシウムを添加しなかっ
た以外は他の組成は腐食液Ａと同じ従来の腐食液Ｂを用
いて、実施例と同様の腐食液の液温、腐食時間で旧オー
ステナイト粒界を腐食した。比較例により腐食した旧オ
ーステナイト粒界を 400倍に拡大した光学顕微鏡写真を
図２に示す。
た以外は他の組成は腐食液Ａと同じ従来の腐食液Ｂを用
いて、実施例と同様の腐食液の液温、腐食時間で旧オー
ステナイト粒界を腐食した。比較例により腐食した旧オ
ーステナイト粒界を 400倍に拡大した光学顕微鏡写真を
図２に示す。
【００１７】図１の光学顕微鏡写真から、本発明の腐食
液Ａにより腐食した鋼材のミクロ組織は、旧オーステナ
イト粒界のみが腐食されていることが分かる。これに対
して、図２の光学顕微鏡写真から、塩化カルシウムを添
加していない腐食液Ｂで腐食した場合、旧オーステナイ
ト粒界が腐食されているが、粒界内部のマトリックス組
織も腐食されており、旧オーステナイト粒径の測定を行
う上においては腐食液Ａによる腐食法が極めて有利であ
るといえる。
液Ａにより腐食した鋼材のミクロ組織は、旧オーステナ
イト粒界のみが腐食されていることが分かる。これに対
して、図２の光学顕微鏡写真から、塩化カルシウムを添
加していない腐食液Ｂで腐食した場合、旧オーステナイ
ト粒界が腐食されているが、粒界内部のマトリックス組
織も腐食されており、旧オーステナイト粒径の測定を行
う上においては腐食液Ａによる腐食法が極めて有利であ
るといえる。
【００１８】
【発明の効果】本発明の腐食液、腐食方法によれば、旧
オーステナイト粒径の測定に耐えうる腐食が可能であ
る。
オーステナイト粒径の測定に耐えうる腐食が可能であ
る。
【図１】本発明の方法を用いて観察された旧オーステナ
イト粒界を示す金属組織の光学顕微鏡写真である。
イト粒界を示す金属組織の光学顕微鏡写真である。
【図２】従来の方法を用いて観察された旧オーステナイ
ト粒界を示す金属組織の光学顕微鏡写真である。
ト粒界を示す金属組織の光学顕微鏡写真である。
Claims (2)
- 【請求項１】 ピクリン酸飽和水溶液に塩酸、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化鉄、塩化カルシウ
ム、およびエチルアルコールを添加した鉄鋼の旧オース
テナイト粒界現出用腐食液。 - 【請求項２】 焼き入れ処理した鉄鋼試料の断面を鏡面
仕上げ研磨した後、ピクリン酸飽和水溶液に塩酸、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化鉄、塩化カル
シウム、およびエチルアルコールを添加した加熱条件下
の腐食液中に、前記鉄鋼試料を浸漬して鉄鋼の旧オース
テナイト粒界を現出する方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7194768A JPH0943230A (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食液およびそれを用いた現出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7194768A JPH0943230A (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食液およびそれを用いた現出方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0943230A true JPH0943230A (ja) | 1997-02-14 |
Family
ID=16329925
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7194768A Pending JPH0943230A (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 鉄鋼の旧オーステナイト粒界現出用腐食液およびそれを用いた現出方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0943230A (ja) |
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1995
- 1995-07-31 JP JP7194768A patent/JPH0943230A/ja active Pending
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