JPH0942331A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

ディスクブレーキ装置

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JPH0942331A
JPH0942331A JP7199610A JP19961095A JPH0942331A JP H0942331 A JPH0942331 A JP H0942331A JP 7199610 A JP7199610 A JP 7199610A JP 19961095 A JP19961095 A JP 19961095A JP H0942331 A JPH0942331 A JP H0942331A
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JP
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pad
piston
disc
links
brake
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JP7199610A
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Inventor
Mamoru Saito
衛 斉藤
Hidetoshi Shimizu
英敏 志水
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は車両用ブレーキ装置として好適なデ
ィスクブレーキ装置に関し、ブレーキの引きずり防止
と、アイドルストロークの一定化とを両立することを目
的とする。 【解決手段】 インナパッド14及びアウタパッド16
をディスクロータ12の両側でインナピストン18又は
アウタピストン20に固定する。インナピストン18及
びアウタピストン20をシール部材26,28を介して
インナシリンダ22又はアウタシリンダ24内に挿入す
る。インナシリンダ22及びアウタシリンダ24をイン
ナリンク30,32及びアウタリンク38,40を介し
てマウンティング58に固定する。インナリンク30,
32及びアウタリンク38,40に、ジョイント34,
36,42,44,46,48回りの回動を許容する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスクブレーキ
装置に係り、特に、車両用ブレーキ装置として好適なデ
ィスクブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば車両用のブレーキ装置
として、ディスクブレーキ装置が広く知られている。か
かるディスクブレーキ装置として、例えば、実開平3−
124032号には、いわゆるブレーキの引きずりを防
止する機能を備えたディスクブレーキ装置が開示されて
いる。
【0003】上記公報に開示されるディスクブレーキ装
置は、車輪等の回転体と一体に回転するディスクロー
タ、ディスクロータの両側に配設されるパッド、それら
のパッドをディスクロータに向けて押圧する油圧ピスト
ンと共に、2つのパッドを離間方向に付勢するスプリン
グを備えている。
【0004】かかる構成によれば、油圧ピストンにブレ
ーキ油圧が作用すると、油圧ピストンに変位が生ずるに
従って、2つのパッドが共にディスクロータ側に変位
し、遂にはディスクロータが2つのパッド間に挟持され
た状態となる。この場合、ディスクロータには、ブレー
キ油圧に応じた制動力が作用する。また、かかる状態か
らブレーキ油圧が解除されると、2つのパッドはスプリ
ングの付勢力により離間方向に変位する。その結果、油
圧ピストンが原位置に復帰すると共に、2つのパッドと
ディスクロータとの間に所定のクリアランスが形成され
る。
【0005】このように、上記公報に開示されるディス
クブレーキによれば、ブレーキ操作中に、ブレーキ油圧
に応じた制動力をディスクロータに作用させることがで
きると共に、非ブレーキ操作中において、確実にブレー
キの引きずりを防止することができる。
【0006】ところで、ディスクブレーキ装置のパッド
は、ディスクロータと摺動することにより磨耗する消耗
品である。従って、ディスクブレーキ装置が使用される
に連れてパッドは徐々に薄くなる。このため、非ブレー
キ操作中におけるパッドの位置、すなわちパッドの原位
置が常に一定であるとすれば、非ブレーキ操作中におけ
るパッドとロータディスクとのクリアランスは経時的に
徐々に大きくなる。パッドとロータディスクとのクリア
ランスが徐々に大きくなるとすれば、ブレーキ操作を開
始した後、パッドとロータディスクとを接触させるまで
に要するブレーキ操作量、すなわち、ブレーキ操作にお
けるアイドルストロークが徐々に大きくなり、ブレーキ
操作の感覚を一定に維持することが困難となる。
【0007】これに対して、上記の如くディスクブレー
キ装置は、2つのパッドそれぞれに所定の大きさのスプ
リング挿通孔を設け、かつ、スプリングの両側に、各パ
ッドの挿通孔と係合する爪を複数設けて、スプリングの
有効長を可変とする構造を採用している。かかる構造に
よれば、パッドの磨耗が進行するに従ってブレーキ操作
中におけるスプリングの弾性変形量が増加し、パッドの
挿通孔とスプリングの爪との係合部に作用する力が徐々
に大きくなる。そして、その力が所定値を超えると、挿
通孔とその爪との係合が解除され、挿通孔が、その爪の
一段内側に形成された爪に係合する状態となる。
【0008】挿通孔と係合する爪が上記の如く変更され
る結果、上記公報記載のディスクブレーキ装置において
は、パッドの磨耗の進行に伴ってスプリングの有効長が
段階的に短縮されることになる。この場合、パッドの磨
耗に伴うパッドとディスクロータとのクリアランスの増
加が、スプリングの有効長の変化により吸収され、パッ
ドとディスクロータとのクリアランスの大幅な変動が防
止される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アイドルスト
ロークとは、ピストンとパッドとのクリアランス及びパ
ッドとディスクロータとのクリアランスによって決定さ
れるのもである。これに対して、上記従来のディスクブ
レーキ装置にあっては、パッドとディスクロータとのク
リアランスの大幅な変動を防止するのみであり、非ブレ
ーキ操作時にピストンが原位置に戻された場合には、パ
ッドがディスクロータ側に前進している分、ピストンと
パッドとのクリアランスが増加してしまい、その結果、
アイドルストロークはパッドの磨耗に連れて徐々に大き
くなるものとなっていた。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、ブレーキの引きずりを防止しつつ、パッドの磨
耗に対して安定した操作感覚を実現し得るディスクブレ
ーキ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、パッドを
押圧するピストンを原位置に復帰させる機構を有するデ
ィスクブレーキ装置において、前記ピストンの原位置
を、前記パッドの磨耗量分だけ前記パッド側に前進させ
る原位置変更手段を備えるディスクブレーキ装置により
達成される。
【0012】本発明において、ブレーキ操作がなされる
と、パッドがピストンに押圧されることにより制動力が
発生される。ブレーキ操作が停止されると、ピストンが
原位置に復帰されることによりパッドの引きずりが防止
される。ブレーキ操作がなされるに連れてパッドに磨耗
が生ずると、原位置変更手段によって、ピストンの原位
置がパッドの磨耗量分だけパッド側に前進される。この
ため、パッドの磨耗に関わらず、制動力が発揮されるま
でに必要とされるアイドルストロークが一定に維持され
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3を参照して、
本発明の一実施例であるディスクブレーキ装置の構成に
ついて説明する。図1は本実施例のディスクブレーキ装
置10の平面図を示す。また、図2はディスクブレーキ
装置10の正面図、図3はディスクブレーキ装置10の
右側面図をそれぞれ示す。尚、ディスクブレーキ装置1
0は、車両用ブレーキ装置の構成要素であり、図1にお
ける右方が車両内側、左方が車両外側となるように車両
に組み付けられる。
【0014】図1乃至図3において、ディスクロータ1
2は、その中心軸を回転中心として車輪と一体に回転す
る円板状の剛性部材である。ディスクロータ12の車両
内側には、インナパッド14が配設されている。また、
ディスクロータ12の車両外側には、アウタパッド16
が配設されている。インナパッド14及びアウタパッド
16は、それぞれ摩擦材14a,16aの裏面に裏金1
4b,16bを貼付することにより構成されている。
【0015】図1に示す如く、アウタパッド16の裏金
16bには複数のサポートスプリング16cが固定され
ている。同様にインナパッド14の裏金14bにも、複
数のサポートスプリング(図示せず)が固定されてい
る。サポートスプリング16c等は所定の弾性を有して
おり、インナパッド14及びアウタパッド16が、それ
ぞれインナピストン18又はアウタシリンダ20に組み
付けられた際に、インナパッド14及びアウタパッド1
6を支持する部材として機能する。
【0016】インナピストン18、及びアウタピストン
20は、一方が閉口端とされた円筒状の部材である。上
記したインナパッド14は、インナピストン18の開口
端側から、サポートスプリングがインナピストン18の
内壁に当接するように組み付けられる。また、上記した
アウタパッド16は、アウタピストン20の開口端側か
ら、サポートスプリング16cがアウタピストン20の
内壁に当接するように組み付けられる。
【0017】インナピストン18は、インナシリンダ2
2内に摺動可能に嵌挿される。また、アウタピストン2
0は、アウタシリンダ24内に摺動可能に嵌挿される。
インナシリンダ22及びアウタシリンダ24には、共に
図示しないブレーキ油圧回路が連通している。このブレ
ーキ油圧回路は、運転車によりブレーキ操作がなされた
際に、ブレーキ操作力に応じた油圧を発生させる。
【0018】ブレーキ油圧回路からインナシリンダ22
に導かれるブレーキ油圧は、インナピストン18の閉口
端とインナシリンダ22の内壁との間に浸入する。ま
た、ブレーキ油圧回路からアウタシリンダ24に導かれ
るブレーキ油圧は、アウタピストン20の閉口端とアウ
タシリンダ24の内壁との間に浸入する。
【0019】インナシリンダ22内部には、インナピス
トン18の外周を取り巻いて、インナシリンダ22の内
周面とインナピストン18の外周面との間に形成される
間隙を密封する環状のシール部材26が配設されてい
る。同様に、アウタシリンダ24内部には、アウタピス
トン20の外周を取り巻いて、アウタシリンダ24の内
周面とアウタピストン20の外周面との間に形成される
間隙を密封する環状のシール部材28が配設されてい
る。
【0020】これらのシール部材26,28は、インナ
ピストン18及びアウタピストン20の外周側を液密に
保つと共に、インナシリンダ22及びアウタシリンダ2
4内にブレーキ油圧が導かれていない場合に、インナピ
ストン18及びアウタピストン20の軸方向変位を抑制
する機能を果たしている。
【0021】図1に示す如く、インナシリンダ22の両
端にはインナリンク30,32が連結されている。これ
らのインナリンク30,32は、それぞれインナリンク
30,32を貫通するインナジョイント34,36を介
して(図2参照)インナシリンダ22に連結されてお
り、インナジョイント34,36の軸回りを回転するこ
とができる。
【0022】同様に図1に示す如く、アウタシリンダ2
4の両端にはアウタリンク38,40が連結されてい
る。アウタリンク38,40は、それぞれアウタリンク
38,40を貫通して固定されるアウタジョイント4
2,44を介して(図2参照)アウタシリンダ24に連
結されており、アウタジョイント42,44の軸回りを
回転することができる。
【0023】また、アウタリンク38,40はクランク
状に形成されており(図2参照)、そのクランク部分に
おいて、インナリンク32,34の端部と連結されてい
る。インナリンク32,34とアウタリンク38,40
とは、両者を貫通して配設されるセンタジョイント4
6,48を介して(図2参照)連結されており、互いに
センタジョイント46,48の軸回りを回転することが
できる。
【0024】インナリンク30及びアウタリンク38に
は、戻しバネ50,52が係合している。戻しバネ5
0,52は、共にインナリンク30の側面と、アウタリ
ンク38の側面とに当接するように構成されている。ま
た、これらの戻しバネ50,52は、上下にオフセット
された状態で配設されることにより(図2参照)、イン
ナリンク30上で交差するように構成されている。
【0025】同様に、インナリンク32及びアウタリン
ク40には、戻しバネ54,56が係合している。戻し
バネ54,56は、共にインナリンク32の側面と、ア
ウタリンク40の側面とに当接するように、また、上下
にオフセットされた状態で配設されることにより(図2
参照)、インナリンク32上で交差するように構成され
ている。
【0026】インナリンク30,32及びアウタリンク
38,40の下方には、マウンティング58が配設され
ている。マウンティング58は、インナリンク30及び
アウタリンク38に沿って延在する水平部58a、イン
ナリンク32及びアウタリンク40に沿って延在する水
平部58b、及び水平部58a,58b間に架設される
連結部58cを備えている。
【0027】マウンティング58の水平部58a,58
bには、それぞれ上述したセンタジョイント46,48
が固定されている。これにより、マウンティング58
と、インナリンク30,32及びアウタリンク38,4
0等との連結が図られている。また、図3に示す如く、
マウンティング58の連結部58cには、ボルト穴58
-1,58c-2が設けられている。ディスクブレーキ装
置10は、これらのボルト穴58c-1,58c-2を用い
てマウンティング58を車体にボルト固定することによ
り車両に組み付けられる。
【0028】また、図1に示す如く、マウンティング5
8の水平部58a,58bには、インナパッド14の側
面に対抗する位置に凸部58a-1,58b-1が、アウタ
パッド16の側面に対抗する位置に凸部58a-2,58
-2がそれぞれ形成されている。これらの凸部58
-1,58b-1,58a-2,58b-2は、後述の如くイ
ンナパッド14及びアウタパッド16とマウンティング
58とに相対変位が生じた際に、インナパッド14の裏
金14bの側面、又はアウタパッド16の裏金16bの
側面に当接する部位である。
【0029】尚、本実施例においては、インナパッド1
4及びアウタパッド16とマウンティング58とに相対
変位が生じていない場合に、図1に示す如くインナパッ
ド14の裏金14bの側面と凸部58a-1,58b-1
の間、及びアウタパッド16の裏金16bの側面と凸部
58a-2,58b-2との間に、共に所定長δの間隙が生
ずるように、各部の諸元を決定している。
【0030】以下、図1と共に図4乃至図6を参照し
て、本実施例のディスクブレーキ装置10の動作につい
て説明する。図4は、ブレーキ操作中のディスクブレー
キ装置10の平面図を示す。尚、図4において、ディス
クロータ12は、その周縁部が紙面表面側を下方から上
方に向けて移動するように回転している。以下、説明の
便宜上、ディスクロータ12の周縁部の進行方向(図4
において上方)をトレーリング側、非進行方向(図4に
おいて下方)をリーディング側と称す。
【0031】図1に示す状態からブレーキ操作が開始さ
れ、インナシリンダ22及びアウタシリンダ24にブレ
ーキ油圧が供給されると、インナピストン18及びアウ
タピストン20は、共にディスクロータ12側に押圧さ
れる。インナピストン18及びアウタピストン20の変
位は、インナパッド14及びアウタパッド16に伝達さ
れる。その変位量が所定量に達すると、インナパッド1
4及びアウタパッド16がディスクロータ12に当接
し、両者間に摩擦力が発生する。
【0032】インナパッド14及びアウタパッド16と
ディスクロータ12との間に作用する摩擦力は、ディス
クロータ12の回転を制動する力として作用すると共
に、インナパッド14及びアウタパッド16をトレーリ
ング側に変位させる力として作用する。また、インナパ
ッド14を支持するインナピストン18、及びアウタパ
ッド16を支持するアウタピストン20は、インナリン
ク30,32、及びアウタリンク38,40を介してマ
ウンティング58に連結されており、トレーリング方向
に平行移動することができる。
【0033】このため、ブレーキ操作が開始された後、
インナパッド14及びアウタパッド16とディスクロー
タ12とが接触状態となると、ディスクブレーキ装置1
0は、図4に示す如く、センタジョイント46,48を
中心軸としてインナリンク30,32及びアウタリンク
38,40を回動させながら、インナパッド14の裏金
14bがマウンティング58の凸部58a-1に、また、
アウタパッド16の裏金16bがマウンティング58の
凸部58a-2当接する状態に変形する。
【0034】上述の如く、図1に示す状態では、インナ
パッド14の裏金14bと凸部58a-1との間、及びア
ウタパッド16の裏金16bと凸部58a-2との間にδ
の間隙が設けられている。このため、図1に示す状態か
ら図4に示す状態に移行する過程で、インナパッド14
及びアウタパッド16は、トレーリング側へδだけ変位
したことになる。
【0035】インナパッド14のトレーリング側への変
位量はインナシリンダ22のトレーリング側への変位量
に等しく、アウタパッド16のトレーリング側への変位
量はアウタシリンダ24のトレーリング側への変位量に
等しい。また、それらの変位量は、それぞれインナジョ
イント34,36のトレーリング側への変位量、又はア
ウタジョイント42,44のトレーリング側への変位量
に等しい。
【0036】インナジョイント34,36及びアウタジ
ョイント42,44のトレーリング側への変位量は、セ
ンタジョイント46,48とインナジョイント34,3
6との距離、及びセンタジョイント46,48とアウタ
ジョイント38,40との距離をL、図1に示す状態か
ら図4に示す状態に移行する過程でインナリンク30,
32及びアウタリンク38,40に生じた回転角をθと
すると、“L・ sinθ”で表すことができる。この変位
量は、上述の如くインナパッド14及びアウタパッド1
6の変位量δに等しい。このため、ディスクブレーキ装
置10においては、ブレーキ操作中に、“L・ sinθ=
δ”なる関係が成立することになる。
【0037】図4に示す状態から、ブレーキ操作が停止
され、インナシリンダ22及びアウタシリンダ24内の
ブレーキ油圧が大気圧に開放されると、インナパッド1
4とディスクロータ12との間の摩擦力、及びアウタパ
ッド16とディスクロータ12との間の摩擦力が共に消
失し、インナシリンダ22及びアウタシリンダ24をト
レーリング側に変位させようとする力が消失する。
【0038】一方、インナリンク30とアウタリンク3
8とには、それらを回転角が“0”となる位置に向けて
付勢する戻しバネ50,52が、また、インナリンク3
2とアウタリンク40とには、それらを回転角が“0”
となる位置に向けて付勢する戻しバネ54,56がそれ
ぞれ係合されている。このため、ブレーキ操作が停止さ
れると、ディスクブレーキ装置10は、速やかにインナ
リンク30,32及びアウタリンク38,40の回転角
が“0”となる状態に復帰する。
【0039】この際、インナシリンダ22は、リーディ
ング方向にδだけ変位すると共に、その軸方向に図4中
右方に向かって、“L(1− cosθ)”、すなわち“L
−√(L2 −δ2 )”だけ変位する。また、同様にアウ
タシリンダ24は、リーディング方向にδだけ変位する
と共に、その軸方向に図4中左方に向かって、“L−√
(L2 −δ2 )”だけ変位する。
【0040】ところで、ディスクブレーキ装置10によ
れば、インナシリンダ22及びアウタシリンダ24内に
高圧のブレーキ油圧が導かれた場合には、インナピスト
ン18及びアウタピストン20にはディスクロータ12
に向かう推力が作用するが、インナシリンダ22及びア
ウタシリンダ24内のブレーキ油圧が大気圧に開放され
る過程では、インナピストン18及びアウタピストン2
0に何らの推力も作用しない。
【0041】このため、ブレーキ操作中に例えば図4に
示す状態が形成され、シール部材26,28によって、
インナピストン18とインナシリンダ22との相対位
置、及びアウタピストン20とアウタシリンダ24との
相対位置が同図に示す状態とされた場合、それらの相対
位置関係は、ブレーキ操作が停止された後に変化するこ
とはない。
【0042】従って、ブレーキ操作が停止され、インナ
リンク30,32及びアウタリンク38,40が原位置
に復帰する過程でインナシリンダ22及びアウタシリン
ダ24に生ずる軸方向変位は、そのままインナパッド1
4及びアウタパッド16に伝達されることになる。この
ため、ディスクブレーキ装置10においては、ブレーキ
操作が停止され、インナリンク30,32及びアウタリ
ンク38,40が原位置に復帰した状態では、必ずイン
ナパッド14とディスクロータ12との間、及びアウタ
パッド16とディスクロータ12との間に、“L−√
(L2 −δ2 )”で表される間隙が形成されることにな
る。
【0043】ところで、インナパッド14及びアウタパ
ッド16が備える摩擦材14a,16aは、ブレーキ操
作中にディスクロータ12の表面を摺動する際に、適当
に磨耗するように製造されている。図5は、摩擦材14
a,16aの磨耗がある程度進行した状態でブレーキ操
作がなされた場合におけるディスクブレーキ10の状態
を平面視で表した図を示す。また、図6は、摩擦材14
a,16aの磨耗がある程度進行した状態でブレーキ操
作がなされていない場合のディスクブレーキ10の状態
を平面視で表した図を示す。
【0044】摩擦材14a,16aに磨耗が生ずると、
インナパッド14及びアウタパッド16の板圧が薄くな
る。従って、かかる状態で制動力を発揮させるために
は、図5に示すように、インナピストン18及びアウタ
ピストン20を、摩擦材14a,14bが磨耗していな
い場合に比して大きくディスクロータ12側に変位させ
ることが必要である。
【0045】この場合において、ブレーキ操作が開始さ
れた後、図5に示す状態が形成される過程でインナパッ
ド14及びアウタパッド16に生ずるトレーリング側へ
の変位は、摩擦材14a,16bに変位が生じていない
場合と同様にδである。従って、インナリンク30,3
2及びアウタリンク38,40に生ずる回転角も、摩擦
材14a,16bに変位が生じていない場合と同様にθ
となる。このため、図5に示す状態においても、“L・
sinθ=δ”なる関係が成立していることになる。
【0046】ブレーキ油圧がほぼ大気圧である場合、す
なわち、非ブレーキ操作時には、シール部材26,28
により、インナピストン18の軸方向変位、及びアウタ
ピストンの軸方向変位が規制される。従って、図5に示
す状況からブレーキ操作が停止されると、インナリンク
30,32およびアウタリンク38,40は、インナシ
リンダ22に対するインナピストン18の相対位置、及
びアウタシリンダ24に対するアウタピストン20の相
対位置を保持したまた原位置に復帰する。このため、イ
ンナピストン18とインナシリンダ22との相対位置、
及びアウタピストン20とアウタシリンダ24との相対
位置は、摩擦材14a,16aに磨耗が生じていると否
とに関わらず、ブレーキ操作中とブレーキ操作の停止後
とで変化することはない。
【0047】このため、図5に示す状態において、“L
・ sinθ=δ”なる関係が成立するとすれば、ブレーキ
操作が停止され、図6に示す如くインナリンク30,3
2及びアウタリンク38,40の回転角が“0”に復帰
した場合、インナパッド14とディスクロータ12との
間、及びアウタパッド16とディスクロータ12との間
には共に、摩擦材14a,16bに変位が生じていない
場合と同様に、“L−√(L2 −δ2 )”で表される間
隙が形成されることになる。
【0048】このように、本実施例のディスクブレーキ
装置10によれば、ブレーキ操作が停止された後速やか
に、インナパッド14とディスクロータ12との間、及
びアウタパッド16とディスクロータ12との間に所定
の間隙を形成することができると共に、その間隙を、摩
擦材14a,16aの磨耗状態に関わらず、常に一定値
“L−√(L2 −δ2 )”に調整することができる。
【0049】非ブレーキ操作中にインナパッド14とデ
ィスクロータ12との間、及びアウタパッド16とディ
スクロータ12との間に所定の間隙が形成される場合、
確実にブレーキの引きずりが防止される。また、それら
の間隙が常に一定値“L−√(L2 −δ2 )”に調整さ
れれば、制動力が生ずる以前にインナパッド14及びア
ウタパッド16に付与すべき変位量が一定となり、ブレ
ーキ操作におけるアイドルストロークが一定となる。
【0050】このため、本実施例のディスクブレーキ装
置10によれば、ブレーキの引きずりを確実に防止しつ
つ、インナパッド14の摩擦材14a、アウタパッド1
6の摩擦材16aの磨耗状態に関わらず常に一定のブレ
ーキ操作感覚を実現することができる。
【0051】ところで、上述したディスクブレーキ10
の動作についての説明は、ディスクロータ12が一方向
(図4又は図5において、ディスクロータ12の周縁部
が紙面表面側を下方から上方に向けて移動する方向)に
回転している場合についての説明である。
【0052】ディスクロータ12が、逆方向(図4又は
図5において、ディスクロータ12の周縁部が紙面表面
側を下方から上方に向けて移動する方向)に回転する場
合には、インナパッド14及びアウタパッド16等は、
図4又は図5において下方側に変位し、インナパッド1
4の裏金14bと凸部58b-1とが接触し、また、アウ
タパッド16の裏金16bと凸部58b-2とが接触する
状態となる。
【0053】この際、インナパッド14及びアウタパッ
ド16は所定長δだけ軸直方向に変位することになる。
また、インナピストン18の軸方向位置及びアウタピス
トン20の軸方向位置は、かかる状況下でインナパッド
14とディスクロータ12とが接触するように、かつ、
アウタパッド16とディスクロータ12とが接触するよ
うに、それぞれ調整される。このため、ブレーキ操作が
停止された後は、ディスクロータ12が図4又は図5中
に矢線で示す方向に回転する場合と全く同様に、インナ
パッド14及びアウタパッド16とディスクロータ12
との間に、所定値“L−√(L2 −δ2 )”の間隙が形
成されることになる。
【0054】従って、本実施例のディスブレーキ10に
よれば、ディスクロータ12の回転方向とは無関係に、
すなわち、車両の進行方向とは無関係に、ブレーキの引
きずりを防止し、かつ、ブレーキ操作感覚を一定に維持
することができる。また、上記従来のディスクブレーキ
装置10は、摩擦材14a,16aの磨耗量に応じてイ
ンナピストン18の原位置、及びアウタピストン20の
原位置を、徐々にディスクロータ12側に前進させる機
構を、機械的構造により実現しているが、本発明はこれ
に限定されるものではない。例えば、摩擦材14a,1
6aの磨耗量を電気的に検出し、かつ、インナピストン
18の原位置、及びアウタピストン20の原位置を、電
気的に作動するアクチュエータを用いて前進させること
も可能である。
【0055】ところで、上述した実施例においては、イ
ンナピストン18とインナパッド14とのクリアラン
ス、及びアウタピストン20とアウタパッド16とのク
リアランスを共に“0”としているが、本発明はこれに
限定されるものではなく、ピストンとパッドとの間に所
定のクリアランスが形成される構成とすることも可能で
ある。
【0056】すなわち、パッドがピストンから独立して
シリンダに保持されている場合には、パッドとピストン
との間にクリアランスが形成される。かかるディスクブ
レーキ装置では、ブレーキ操作が開始されると、先ずパ
ッドとピストンとの間のクリアランスが消滅され、次い
でパッドがディスクブレーキ側へ押圧されることにより
制動力が発生される。ブレーキ操作が停止されると、パ
ッドおよびピストンが共に各々の原位置方向に向けて変
位し、先ずパッドが原位置に到達する。ピストンはその
後更に変位して原位置に到達する。
【0057】かかる構成のディスクブレーキにおいて、
パッドの磨耗が進行すると、パッドをディスクロータに
当接させるためにピストンに与えるべきストロークが増
加する。本発明においては、ピストンのストロークが増
加すると、原位置変更手段によってピストンの原位置が
パッドの磨耗量分だけパッド側に前進される。従って、
パッドの磨耗が進行し、非制動時におけるパッドとディ
スクロータとのクリアランスが増加するに連れて、パッ
ドとピストンとのクリアランスが短縮される。この際、
パッドとディスクロータとのクリアランス、及びパッド
とピストンとのクリアランスは、互いに相殺しあうた
め、アイドルストロークはほぼ一定に保たれることにな
る。
【0058】上記構成のディスクブレーキにおいて、パ
ッドの磨耗が更に進行し、ピストンの原位置が、パッド
とピストンとの間に確保されていた初期のクリアランス
を超えて変位した場合には、ピストンに押圧されてパッ
ドの原位置も前進されることになる。従って、かかる状
況においても、アイドルストロークはほぼ一定に維持さ
れることになる。
【0059】なお、上記の実施例においては、インナパ
ッド14及びアウタパッド16が前記したパッドに、イ
ンナピストン18及びアウタピストン20が前記したピ
ストンに、非ブレーキ操作中におけるインナピストン1
8及びアウタピストン20の位置が前記した原位置に、
それぞれ相当している。更に、上記の実施例において
は、インナリンク30,32、アウタリンク38,4
0、及び戻りバネにより、ピストンを原位置に復帰させ
る機構が実現されており、また、インナリンク30,3
2及びアウタリンク38,40からなるリンク機構、お
よびシール部材26,28により前記した原位置変更手
段が実現されている。
【0060】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、非ブレー
キ操作中においてピストンを原位置に復帰させることが
できると共に、パッドの磨耗状態に応じてピストンの原
位置を変更することができる。このため、本発明に係る
ディスクブレーキ装置によれば、非ブレーキ操作中にお
けるブレーキの引きずりを防止し得ると共に、パッドの
磨耗状態に関わらず、常にアイドルストロークを一定に
維持して安定したブレーキ操作感覚を実現することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるディスクブレーキ装置
の平面図である。
【図2】本実施例のディスクブレーキ装置の正面図であ
る。
【図3】本実施例のディスクブレーキ装置の右側面図で
ある。
【図4】本実施例のディスクブレーキ装置のブレーキ操
作中の状態(パッドの磨耗が進行していない状態)を表
す平面図である。
【図5】本実施例のディスクブレーキ装置のブレーキ操
作中の状態(パッドの磨耗が進行した状態)を表す平面
図である。
【図6】本実施例のディスクブレーキ装置の非ブレーキ
操作中の状態(パッドの磨耗が進行した状態)を表す平
面図である。
【符号の説明】
10 ディスクブレーキ装置 12 ディスクロータ 14 インナパッド 14a,16a 摩擦材 14b,16b 裏金 16 アウタパッド 18 インナピストン 20 アウタピストン 22 インナシリンダ 24 アウタシリンダ 26,28 シール部材 30,32 インナリンク 38,40 アウタリンク 58 マウンティング 58a-1,58b-1,58a-2,58b-2 凸部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パッドを押圧するピストンを原位置に復
    帰させる機構を有するディスクブレーキ装置において、 前記ピストンの原位置を、前記パッドの磨耗量分だけ前
    記パッド側に前進させる原位置変更手段を備えることを
    特徴とするディスクブレーキ装置。
JP7199610A 1995-08-04 1995-08-04 ディスクブレーキ装置 Pending JPH0942331A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7086505B2 (en) * 2004-12-10 2006-08-08 Robert Bosch Gmbh Disc brake
CN109058330A (zh) * 2018-09-25 2018-12-21 鲍灵杰 一种汽车用刹车盘组件
CN112041583A (zh) * 2018-04-25 2020-12-04 Ve维也纳工程研究和发展有限公司 浮动钳式制动器

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