JPH0941088A - 高靱性低温用鋼板の製造方法 - Google Patents
高靱性低温用鋼板の製造方法Info
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- JPH0941088A JPH0941088A JP19545195A JP19545195A JPH0941088A JP H0941088 A JPH0941088 A JP H0941088A JP 19545195 A JP19545195 A JP 19545195A JP 19545195 A JP19545195 A JP 19545195A JP H0941088 A JPH0941088 A JP H0941088A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 低温靱性を改善するとともに、焼き入れ温度
範囲を広範囲に許容しうる製造技術を提案する。 【構成】C:0.04〜0.12wt%、 Si:0.02〜0.80wt%、
Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、S:0.005
wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、Al:0.01〜0.10wt%
およびN:0.0035wt%以下を含有し、残部は実質的にFe
からなるスラブを、1200〜1350℃で24hr以上保持する拡
散熱処理を施して室温まで空冷し、次いで所定板厚まで
熱間圧延し、その後Ac3変態点〜(Ac3変態点+200
℃)の温度に加熱後冷却し、次いで 450℃〜(Ac1変態
点+70℃)の温度で焼もどす。
範囲を広範囲に許容しうる製造技術を提案する。 【構成】C:0.04〜0.12wt%、 Si:0.02〜0.80wt%、
Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、S:0.005
wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、Al:0.01〜0.10wt%
およびN:0.0035wt%以下を含有し、残部は実質的にFe
からなるスラブを、1200〜1350℃で24hr以上保持する拡
散熱処理を施して室温まで空冷し、次いで所定板厚まで
熱間圧延し、その後Ac3変態点〜(Ac3変態点+200
℃)の温度に加熱後冷却し、次いで 450℃〜(Ac1変態
点+70℃)の温度で焼もどす。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、靱性に優れる低
温用鋼板の製造方法に関わり、特に液化天然ガス(LN
G)用鋼板など−160 ℃以下の極低温度域で使用して好
適な、低温用Ni含有鋼板の製造方法に関するものであ
る。
温用鋼板の製造方法に関わり、特に液化天然ガス(LN
G)用鋼板など−160 ℃以下の極低温度域で使用して好
適な、低温用Ni含有鋼板の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】LNGタンクなどに用いられる低温用鋼
材として、9%Ni鋼などのNi含有鋼板が古くから知られ
ている。低温用鋼材はいずれも、低温における高靱性が
要求されており、例えば9%Ni鋼では、ASTM A5
53や同A844に規格化されているように、再加熱焼
入れ−焼もどし処理(RQ−T)や直接焼入れ−焼もど
し処理(DQ−T)によって製造されるのが一般的であ
る。このほかに、再加熱焼きならし−焼もどし処理(R
N−T)も多用されている製造方法である。これら処理
法の中でも、特にRQ−T処理やRN−T処理などの再
加熱工程を含む熱処理は靱性向上の観点から好ましい製
造方法である。この他に、上記再加熱工程を含む製造法
においても、従来から、靱性向上のための努力が続けら
れてきた。例えば、特開昭58−73717号公報に
は、0.5〜10.0wt%のNiを含有する鋼を、Ac3点以上の
温度領域からの焼入れ処理(1次焼入れ)後、Ac1点以
上Ac3点以下の二相域から焼入れ(2次焼入れ)して、
焼もどし処理する方法が、また、特開平2−19412
1号公報には、低Si−低Mn化した鋼を、1次焼きならし
の後、2次焼きならしを行い、焼もどし処理する方法が
それぞれ提案されている。
材として、9%Ni鋼などのNi含有鋼板が古くから知られ
ている。低温用鋼材はいずれも、低温における高靱性が
要求されており、例えば9%Ni鋼では、ASTM A5
53や同A844に規格化されているように、再加熱焼
入れ−焼もどし処理(RQ−T)や直接焼入れ−焼もど
し処理(DQ−T)によって製造されるのが一般的であ
る。このほかに、再加熱焼きならし−焼もどし処理(R
N−T)も多用されている製造方法である。これら処理
法の中でも、特にRQ−T処理やRN−T処理などの再
加熱工程を含む熱処理は靱性向上の観点から好ましい製
造方法である。この他に、上記再加熱工程を含む製造法
においても、従来から、靱性向上のための努力が続けら
れてきた。例えば、特開昭58−73717号公報に
は、0.5〜10.0wt%のNiを含有する鋼を、Ac3点以上の
温度領域からの焼入れ処理(1次焼入れ)後、Ac1点以
上Ac3点以下の二相域から焼入れ(2次焼入れ)して、
焼もどし処理する方法が、また、特開平2−19412
1号公報には、低Si−低Mn化した鋼を、1次焼きならし
の後、2次焼きならしを行い、焼もどし処理する方法が
それぞれ提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
低温靱性に対する要求はますます高まってきており、上
記既知技術によっては要求に見合う靱性(現在の要求特
性は、 vE-196=25 kgf・m級)を満足することが難し
くなってきた。また、従来の製造方法によって、例えば
20 kgf・m級以上の高靱性を得るためには、ある限られ
た熱処理温度範囲、具体的には焼入れ温度をAc3〜(A
c3+50℃)といった極めて狭い温度範囲に制御しないけ
れば達成できないという問題があった。
低温靱性に対する要求はますます高まってきており、上
記既知技術によっては要求に見合う靱性(現在の要求特
性は、 vE-196=25 kgf・m級)を満足することが難し
くなってきた。また、従来の製造方法によって、例えば
20 kgf・m級以上の高靱性を得るためには、ある限られ
た熱処理温度範囲、具体的には焼入れ温度をAc3〜(A
c3+50℃)といった極めて狭い温度範囲に制御しないけ
れば達成できないという問題があった。
【0004】この発明の目的は、再加熱工程を含む熱処
理をによる9%Ni鋼の製造にあたり、低温靱性を改善す
るとともに、焼入れ、焼きならし等の熱処理温度範囲を
広範囲に許容しうる製造技術を提案するものである。
理をによる9%Ni鋼の製造にあたり、低温靱性を改善す
るとともに、焼入れ、焼きならし等の熱処理温度範囲を
広範囲に許容しうる製造技術を提案するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、まず、
従来の方法で製造した9%Ni鋼では、高い低温靱性が得
難く、また所望の低温靱性を得るための焼き入れ条件が
極めて狭い温度範囲に制限される原因について追求した
結果、鋼板中の成分偏析に因るものであることをつきと
めた。すなわち、造塊時にデンドライト組織が形成さ
れ、Ni, Mnなどの偏析がおこり、これらの偏析は圧延、
熱処理後も厚さ方向に層状となって残る。この偏析の程
度は、例えば、Niを 9.0wt%含有する鋼であれば、厚さ
方向で8.0 〜10.8wt%ものNi量の差を生ずる。このよう
なNi濃度の違いから、厚さ方向の変態点の差が生じ、最
終組織も不均一となる。このために、鋼板の最終組織を
均一にし、高靱性を得るためには、焼入れ温度は狭い範
囲に限定されていたのである。そこで、発明者らは、上
記原因の解消のための製造条件について鋭意検討した結
果、特に、Ni, Mnなどの成分偏析を拡散熱処理により低
減し、鋼組織の均一化を図ることによって、靱性の向上
と、熱処理( 焼入れまたは焼きならし) 温度条件の緩和
を図ることが可能であるとの結論に達し、この発明を完
成するに到った。その要旨構成は以下のとおりである。
従来の方法で製造した9%Ni鋼では、高い低温靱性が得
難く、また所望の低温靱性を得るための焼き入れ条件が
極めて狭い温度範囲に制限される原因について追求した
結果、鋼板中の成分偏析に因るものであることをつきと
めた。すなわち、造塊時にデンドライト組織が形成さ
れ、Ni, Mnなどの偏析がおこり、これらの偏析は圧延、
熱処理後も厚さ方向に層状となって残る。この偏析の程
度は、例えば、Niを 9.0wt%含有する鋼であれば、厚さ
方向で8.0 〜10.8wt%ものNi量の差を生ずる。このよう
なNi濃度の違いから、厚さ方向の変態点の差が生じ、最
終組織も不均一となる。このために、鋼板の最終組織を
均一にし、高靱性を得るためには、焼入れ温度は狭い範
囲に限定されていたのである。そこで、発明者らは、上
記原因の解消のための製造条件について鋭意検討した結
果、特に、Ni, Mnなどの成分偏析を拡散熱処理により低
減し、鋼組織の均一化を図ることによって、靱性の向上
と、熱処理( 焼入れまたは焼きならし) 温度条件の緩和
を図ることが可能であるとの結論に達し、この発明を完
成するに到った。その要旨構成は以下のとおりである。
【0006】(1) C:0.04〜0.12wt%、 Si:0.02〜0.
80wt%、Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、
S:0.005 wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、Al:0.01
〜0.10wt%およびN:0.0035wt%以下を含有し、残部は
実質的にFeからなるスラブを、1200〜1350℃で24hr以上
保持する拡散熱処理を施して室温まで冷却し、次いで所
定板厚まで熱間圧延し、その後Ac3変態点〜(Ac3変態
点+200 ℃)の温度範囲に加熱後冷却し、次いで 450℃
〜(Ac1変態点+70℃)の温度範囲で焼もどすことを特
徴とする高靱性低温用鋼板の製造方法。
80wt%、Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、
S:0.005 wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、Al:0.01
〜0.10wt%およびN:0.0035wt%以下を含有し、残部は
実質的にFeからなるスラブを、1200〜1350℃で24hr以上
保持する拡散熱処理を施して室温まで冷却し、次いで所
定板厚まで熱間圧延し、その後Ac3変態点〜(Ac3変態
点+200 ℃)の温度範囲に加熱後冷却し、次いで 450℃
〜(Ac1変態点+70℃)の温度範囲で焼もどすことを特
徴とする高靱性低温用鋼板の製造方法。
【0007】(2) C:0.04〜0.12wt%、 Si:0.02〜0.
80wt%、Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、
S:0.005 wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、Al:0.01
〜0.10wt%およびN:0.0035wt%以下を含み、さらにN
b:0.005 〜0.06wt%、V:0.005 〜0.07wt%およびC
u:0.05〜0.50wt%のうちから選ばれる1種または2種
以上を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブを、12
00〜1350℃で24hr以上保持する拡散熱処理を施して室温
まで冷却し、次いで所定板厚まで熱間圧延し、その後A
c3変態点〜(Ac3変態点+200 ℃)の温度範囲に加熱後
冷却し、次いで 450℃〜(Ac1変態点+70℃)の温度範
囲で焼もどすことを特徴とする高靱性低温用鋼板の製造
方法。
80wt%、Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、
S:0.005 wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、Al:0.01
〜0.10wt%およびN:0.0035wt%以下を含み、さらにN
b:0.005 〜0.06wt%、V:0.005 〜0.07wt%およびC
u:0.05〜0.50wt%のうちから選ばれる1種または2種
以上を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブを、12
00〜1350℃で24hr以上保持する拡散熱処理を施して室温
まで冷却し、次いで所定板厚まで熱間圧延し、その後A
c3変態点〜(Ac3変態点+200 ℃)の温度範囲に加熱後
冷却し、次いで 450℃〜(Ac1変態点+70℃)の温度範
囲で焼もどすことを特徴とする高靱性低温用鋼板の製造
方法。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、この発明における鋼の成分
組成の限定理由について説明する。 C:0.04〜0.12wt% Cは、十分な高張力を得るために有用な元素である。C
含有量が0.04wt%未満では、強度確保の上からSi, Mnを
増加する必要が生じて、前述したとおり 700〜900 ℃に
加熱された部分の靱性が低くなるという問題があり、一
方、0.12wt%を超えても靱性が低下するので、0.04〜0.
12wt%の範囲とする。なお、C含有量の好ましい範囲は
0.05〜0.09wt%である。
組成の限定理由について説明する。 C:0.04〜0.12wt% Cは、十分な高張力を得るために有用な元素である。C
含有量が0.04wt%未満では、強度確保の上からSi, Mnを
増加する必要が生じて、前述したとおり 700〜900 ℃に
加熱された部分の靱性が低くなるという問題があり、一
方、0.12wt%を超えても靱性が低下するので、0.04〜0.
12wt%の範囲とする。なお、C含有量の好ましい範囲は
0.05〜0.09wt%である。
【0009】Si:0.02〜0.80wt% Siは、溶接部靱性に悪影響を及ぼすので減少させるのが
好ましいが、0.02wt%未満にしても漸進的効果は認めら
れないので下限を0.02wt%とした。一方、0.80wt%を超
えると、かえって靱性の劣化を招くだけでなく、強度を
過剰に上昇させるので、0.80wt%を上限とする。なお、
Si含有量の好ましい範囲は0.1 〜0.5 wt%である。
好ましいが、0.02wt%未満にしても漸進的効果は認めら
れないので下限を0.02wt%とした。一方、0.80wt%を超
えると、かえって靱性の劣化を招くだけでなく、強度を
過剰に上昇させるので、0.80wt%を上限とする。なお、
Si含有量の好ましい範囲は0.1 〜0.5 wt%である。
【0010】Mn:0.05〜0.8 wt% Mnは、Siと同様に溶接部靱性に悪影響を及ぼすので減少
させるのが好ましいが、0.05wt%未満に低減しても漸進
的効果を示さないので、下限を0.05wt%とした。一方、
0.8 wt%を超えて添加すると靱性を劣化させるだけでな
く、強度を過剰に上昇させるため、0.8 wt%を上限とし
た。Mnはこの範囲で低減すれば漸進的に溶接部靱性を改
善し、特に0.3 wt%以下の範囲でその効果が顕著であ
る。
させるのが好ましいが、0.05wt%未満に低減しても漸進
的効果を示さないので、下限を0.05wt%とした。一方、
0.8 wt%を超えて添加すると靱性を劣化させるだけでな
く、強度を過剰に上昇させるため、0.8 wt%を上限とし
た。Mnはこの範囲で低減すれば漸進的に溶接部靱性を改
善し、特に0.3 wt%以下の範囲でその効果が顕著であ
る。
【0011】P:0.01wt%以下、S:0.005 wt%以下 P, Sは、いずれも母材および溶接部の靱性を害するの
で極力低減することが望ましいが、それぞれ0.01wt%以
下、0.005 wt%以下の範囲で許容できる。好ましくは、
それぞれ0.005 wt%以下、0.002 wt%以下に制限するの
がよい。
で極力低減することが望ましいが、それぞれ0.01wt%以
下、0.005 wt%以下の範囲で許容できる。好ましくは、
それぞれ0.005 wt%以下、0.002 wt%以下に制限するの
がよい。
【0012】Ni:6.5 〜12.0wt% Niは、この発明の低温用鋼には必須の元素であり、低温
における靱性の確保に著効を有するが、6.5 wt%未満で
はその効果は乏しく、一方12.0wt%を超えて添加しても
その効果は飽和し、不経済でもあるので、6.5 〜12.0wt
%の範囲に限定する。なお、Ni含有量の好ましい範囲は
7.5 〜10.0wt%である。
における靱性の確保に著効を有するが、6.5 wt%未満で
はその効果は乏しく、一方12.0wt%を超えて添加しても
その効果は飽和し、不経済でもあるので、6.5 〜12.0wt
%の範囲に限定する。なお、Ni含有量の好ましい範囲は
7.5 〜10.0wt%である。
【0013】Al:0.01〜0.10wt% Alは、鋼の脱酸に必要な元素である。Alの添加量が、0.
01wt%未満ではその効果に乏しく、一方0.10wt%を超え
ると清浄性を損なうので、0.01〜0.10wt%の範囲とす
る。
01wt%未満ではその効果に乏しく、一方0.10wt%を超え
ると清浄性を損なうので、0.01〜0.10wt%の範囲とす
る。
【0014】N:0.0035wt%以下 Nは、可動転位を増加させ、また、島状マルテンサイト
を増加させて靱性を劣化させる元素である。N含有量が
0.0035wt%を超えると、とくに 700〜900 ℃の温度範囲
に加熱される熱影響部の靱性を低下させるので、上限を
0.0035wt%とする。
を増加させて靱性を劣化させる元素である。N含有量が
0.0035wt%を超えると、とくに 700〜900 ℃の温度範囲
に加熱される熱影響部の靱性を低下させるので、上限を
0.0035wt%とする。
【0015】上記C, Si,Mn,P, S, Ni, Al, Nをこ
の発明における鋼の基本成分とするが、さらに、Nb、V
およびCuのうち少なくとも1種を含有させることもでき
る。これらの限定理由について次に説明する。
の発明における鋼の基本成分とするが、さらに、Nb、V
およびCuのうち少なくとも1種を含有させることもでき
る。これらの限定理由について次に説明する。
【0016】Nb:0.0055〜0.06wt% Nbは、析出強化により強度を向上させるのに有効に寄与
するが、0.005 wt%未満では添加効果が少なく、一方0.
06wt%を超えるとかえって靱性を損なうので、0.0055〜
0.06wt%、好ましくは0.008 〜0.03wt%とする。
するが、0.005 wt%未満では添加効果が少なく、一方0.
06wt%を超えるとかえって靱性を損なうので、0.0055〜
0.06wt%、好ましくは0.008 〜0.03wt%とする。
【0017】V:0.005 〜0.07wt% Vは、析出強化により強度を向上させるのに有効な元素
である。Vの添加量が0.005 wt%未満ではその効果が少
なく、一方0.07wt%を超えるとかえって靱性を損なうの
で、0.005 〜0.07wt%、好ましくは0.008 〜0.03wt%と
する。
である。Vの添加量が0.005 wt%未満ではその効果が少
なく、一方0.07wt%を超えるとかえって靱性を損なうの
で、0.005 〜0.07wt%、好ましくは0.008 〜0.03wt%と
する。
【0018】Cu:0.05〜0.50wt% Cuは、焼入れ性向上により強度を改善するのに有効な元
素であるが、0.05wt%未満ではその添加効果に乏しく、
一方0.50wt%を超えるとかえって靱性を損なうので、0.
05〜0.50wt%、好ましくは0.05〜0.10wt%とする。
素であるが、0.05wt%未満ではその添加効果に乏しく、
一方0.50wt%を超えるとかえって靱性を損なうので、0.
05〜0.50wt%、好ましくは0.05〜0.10wt%とする。
【0019】以上述べた成分範囲になる鋼を、拡散熱処
理ののち、再加熱熱処理を行うことによって目指した目
的が達成される。以下にこれらの製造条件について説明
する。 ・拡散熱処理 この発明法における重要なポイントは、再加熱熱処理に
先立って、拡散熱処理を施すところにある。拡散熱処理
条件は、1200〜1350℃の温度範囲に加熱して24hr以上保
持した後室温まで空冷する。加熱温度が1200℃未満で
は、Niの拡散速度が急激に低下するために成分の均一化
が困難となる。一方、1350℃を超えて加熱すると長時間
の加熱に対して鋼塊自体が溶解してしまう可能性をはら
んでいるので、拡散焼鈍処理は1200〜1350℃の温度範
囲、好ましくは1300〜1350℃の温度範囲とする。また、
保持時間が24hr未満ではNiの拡散が十分ではなく、成分
が均一化されないため、保持時間は24hr以上、好ましく
は36〜48hrとする。なお、拡散焼鈍後一旦室温まで
冷却するのは、焼鈍後に粗大化した結晶粒を圧延前の再
加熱により細粒化するためである。
理ののち、再加熱熱処理を行うことによって目指した目
的が達成される。以下にこれらの製造条件について説明
する。 ・拡散熱処理 この発明法における重要なポイントは、再加熱熱処理に
先立って、拡散熱処理を施すところにある。拡散熱処理
条件は、1200〜1350℃の温度範囲に加熱して24hr以上保
持した後室温まで空冷する。加熱温度が1200℃未満で
は、Niの拡散速度が急激に低下するために成分の均一化
が困難となる。一方、1350℃を超えて加熱すると長時間
の加熱に対して鋼塊自体が溶解してしまう可能性をはら
んでいるので、拡散焼鈍処理は1200〜1350℃の温度範
囲、好ましくは1300〜1350℃の温度範囲とする。また、
保持時間が24hr未満ではNiの拡散が十分ではなく、成分
が均一化されないため、保持時間は24hr以上、好ましく
は36〜48hrとする。なお、拡散焼鈍後一旦室温まで
冷却するのは、焼鈍後に粗大化した結晶粒を圧延前の再
加熱により細粒化するためである。
【0020】・熱間圧延後の再加熱熱処理 上記拡散熱処理ののち、引き続いて通常の熱間圧延を施
し、鋼板とする。この鋼板を、まずAc3変態点〜(Ac3
変態点+200 ℃)の温度範囲に加熱後冷却(水冷、空冷
など)する再加熱熱処理を施す。加熱温度がAc3変態点
未満では、鋼のオーステナイト化が不完全となり、最終
的に粗大な炭化物を有する高温焼もどしマルテンサイト
を含んだ組織となり、靱性および強度に悪影響を及ぼ
す。また、(Ac3変態点+200 ℃)を超えて加熱する
と、オーステナイト粒が粗大化して低温靱性に悪影響を
およぼす。このため、加熱温度範囲はAc3変態点〜(A
c3変態点+200 ℃)、好ましくはAc3変態点〜(Ac3変
態点+100 ℃)とする。
し、鋼板とする。この鋼板を、まずAc3変態点〜(Ac3
変態点+200 ℃)の温度範囲に加熱後冷却(水冷、空冷
など)する再加熱熱処理を施す。加熱温度がAc3変態点
未満では、鋼のオーステナイト化が不完全となり、最終
的に粗大な炭化物を有する高温焼もどしマルテンサイト
を含んだ組織となり、靱性および強度に悪影響を及ぼ
す。また、(Ac3変態点+200 ℃)を超えて加熱する
と、オーステナイト粒が粗大化して低温靱性に悪影響を
およぼす。このため、加熱温度範囲はAc3変態点〜(A
c3変態点+200 ℃)、好ましくはAc3変態点〜(Ac3変
態点+100 ℃)とする。
【0021】・焼もどし 上記再加熱熱処理の後、 450℃以上(Ac1点変態点+70
℃)以下の条件で焼もどし処理を施す。焼もどし処理温
度が450 ℃未満では十分な靱性が確保できず、一方、
(Ac1点変態点+70℃)を超えると強度が低下してしま
う。
℃)以下の条件で焼もどし処理を施す。焼もどし処理温
度が450 ℃未満では十分な靱性が確保できず、一方、
(Ac1点変態点+70℃)を超えると強度が低下してしま
う。
【0022】
【実施例】表1に示す化学組成になる鋼を、表2に示す
条件で拡散焼鈍熱処理して室温まで冷却し, 加熱、圧延
して鋼板とし、再加熱熱処理を行い、その後焼もどし処
理を施した。なお、上記熱処理時の保持時間は70min で
冷却は水冷とし、焼もどし時の保持時間は70min で冷却
は空冷とした。
条件で拡散焼鈍熱処理して室温まで冷却し, 加熱、圧延
して鋼板とし、再加熱熱処理を行い、その後焼もどし処
理を施した。なお、上記熱処理時の保持時間は70min で
冷却は水冷とし、焼もどし時の保持時間は70min で冷却
は空冷とした。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】得られた各鋼板について、母材の引張特性
およびシャルピー衝撃特性を調査した。結果を表2に合
わせて示す。表2において、発明法を適用し拡散焼鈍熱
処理を施したNo. 1〜9の場合には、 vE-196はすべて
25 kgf・mを超える値を示している。また、拡散焼鈍に
より組織が均一化されているから、示されるように熱処
理の温度が広い範囲で許容される。これに対し、No.10
〜13、に代表される比較法及び従来法の vE-196は、す
べて18〜20 kgf・mとなっている。また、許容される熱
処理温度範囲も狭い。なお、比較法は、拡散焼鈍処理時
の加熱温度が低過ぎたか、あるいは保持時間が短過ぎた
ものである。従来法は拡散焼鈍処理を施さなかったもの
である。
およびシャルピー衝撃特性を調査した。結果を表2に合
わせて示す。表2において、発明法を適用し拡散焼鈍熱
処理を施したNo. 1〜9の場合には、 vE-196はすべて
25 kgf・mを超える値を示している。また、拡散焼鈍に
より組織が均一化されているから、示されるように熱処
理の温度が広い範囲で許容される。これに対し、No.10
〜13、に代表される比較法及び従来法の vE-196は、す
べて18〜20 kgf・mとなっている。また、許容される熱
処理温度範囲も狭い。なお、比較法は、拡散焼鈍処理時
の加熱温度が低過ぎたか、あるいは保持時間が短過ぎた
ものである。従来法は拡散焼鈍処理を施さなかったもの
である。
【0026】
【発明の効果】かくしてこの発明に従う製造方法によれ
ば、低温靱性に優れた鋼板が再加熱熱処理法により製造
することが可能となる。しかも、熱処理(焼き入れまた
は焼きならし)温度範囲を広範囲に許容できるので、焼
き入れ処理等の再加熱熱処理がしやすく、製造性が改善
されるので、産業上の寄与は極めて大きい。
ば、低温靱性に優れた鋼板が再加熱熱処理法により製造
することが可能となる。しかも、熱処理(焼き入れまた
は焼きならし)温度範囲を広範囲に許容できるので、焼
き入れ処理等の再加熱熱処理がしやすく、製造性が改善
されるので、産業上の寄与は極めて大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.04〜0.12wt%、 Si:0.02〜0.80wt
%、 Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、 S:0.005 wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、 Al:0.01〜0.10wt%およびN:0.0035wt%以下を含有
し、残部は実質的にFeからなるスラブを、1200〜1350℃
で24hr以上保持する拡散熱処理を施して室温まで冷却
し、次いで所定板厚まで熱間圧延し、その後Ac3変態点
〜(Ac3変態点+200 ℃)の温度範囲に加熱後冷却し、
次いで 450℃〜(Ac1変態点+70℃)の温度範囲で焼も
どすことを特徴とする高靱性低温用鋼板の製造方法。 - 【請求項2】C:0.04〜0.12wt%、 Si:0.02〜0.80wt
%、 Mn:0.05〜0.8 wt%、 P:0.01wt%以下、 S:0.005 wt%以下、 Ni:6.5 〜12.0wt%、 Al:0.01〜0.10wt%およびN:0.0035wt%以下を含み、
さらにNb:0.005 〜0.06wt%、V:0.005 〜0.07wt%お
よびCu:0.05〜0.50wt%のうちから選ばれる1種または
2種以上を含有し、残部は実質的にFeからなるスラブ
を、1200〜1350℃で24hr以上保持する拡散熱処理を施し
て室温まで冷却し、次いで所定板厚まで熱間圧延し、そ
の後Ac3変態点〜(Ac3変態点+200 ℃)の温度範囲に
加熱後冷却し、次いで 450℃〜(Ac1変態点+70℃)の
温度範囲で焼もどすことを特徴とする高靱性低温用鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19545195A JPH0941088A (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 高靱性低温用鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19545195A JPH0941088A (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 高靱性低温用鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0941088A true JPH0941088A (ja) | 1997-02-10 |
Family
ID=16341292
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19545195A Pending JPH0941088A (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 高靱性低温用鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0941088A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2012005330A1 (ja) | 2010-07-09 | 2012-01-12 | 新日本製鐵株式会社 | Ni添加鋼板およびその製造方法 |
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JP2017197793A (ja) * | 2016-04-25 | 2017-11-02 | 新日鐵住金株式会社 | 液体水素用Ni鋼 |
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-
1995
- 1995-07-31 JP JP19545195A patent/JPH0941088A/ja active Pending
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