JPH09330103A - プロセス適応制御方法及びプロセス適応制御システム - Google Patents

プロセス適応制御方法及びプロセス適応制御システム

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JPH09330103A
JPH09330103A JP8148896A JP14889696A JPH09330103A JP H09330103 A JPH09330103 A JP H09330103A JP 8148896 A JP8148896 A JP 8148896A JP 14889696 A JP14889696 A JP 14889696A JP H09330103 A JPH09330103 A JP H09330103A
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sub
steam temperature
physical
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JP8148896A
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English (en)
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Masahide Nomura
政英 野村
Yukinori Katagiri
幸徳 片桐
Kazunori Ouchi
和紀 大内
Yoshio Sato
美雄 佐藤
Eiji Toyama
栄二 遠山
Akira Sugano
彰 菅野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複数のサブプロセスからなり、各サブプロセス
が分布定数系であるプロセスの特性をモデルを用いて精
度よく制御する。 【解決手段】プロセスのモデルを、少なくとも1つの物
理式に基づく集中定数化モデルを含むモデル(物理モデ
ルと称する)により構成し、更に当該物理モデルの特性
とプロセスの特性との差の特性を同定する統計モデルを
設け、これによりプロセスの特性を模擬して該プロセス
の状態量を求め、該状態量を用いてプロセスの操作量を
決定する。 【効果】モデルの調整期間を短縮できる。高精度な予測
値が得られ、さらに制御性の向上も達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロセスに対する
目標値及びプロセスの状態量に基づいて当該プロセスに
対する操作量を決定するプロセス適応制御方法及びプロ
セス適応制御システムに係わり、特に、負荷帯による非
線形性,経年変化などによりプロセスの特性が変化する
場合でも、プロセスの特性に適応して、良好な制御特性
を得るのに好適なプロセス適応制御方法およびプロセス
適応制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明が適用されるプロセスとして、例
えば、火力プラントがある。火力プラントの制御上の特
徴は、蒸気温度の応答の遅れが大きいことであり、例え
ば、燃料量の操作に対して、主蒸気温度の時定数は、1
0分から20分程度である。従って、通常のフィードバ
ック制御では、負荷指令が大きく変化すると、主蒸気温
度が大きく変動し、タービンの熱ストレスを増大させ、
寿命が減少するという問題がある。このため、火力プラ
ントは、制御が難しいとされている。
【0003】これに対処するため、火力プラントのモデ
ルを制御システムに内蔵し、このモデルを用いてプラン
トの近い将来の動きを予測して、この予測結果に基づい
て操作量を決定することが提案されており、下記の刊行
物等に記載されている。
【0004】(1)Y.Sato,et al.,“Steam Temperatur
e Prediction Contorol for ThermalPower Plant”,IEE
E/PES 1984 Winter Meeting,Dallas,Texas,U.S.A.
January 29 - February 3,1984 (2)「カルマン・フィルタによるボイラ蒸気温度予測
制御」,第18回SISE(計測自動制御学会)学術講演
会,1201,昭和54年8月29日〜9月1日 (3)“Steam Temperature Prediction Contorol for
Thermal Power Plant”,IEEE Trans.on Power Apparatu
s and Systems,Vol.PAS−103,No.9,September
(1984),pp.2382−2387 (4)「火力プラント蒸気温度予測制御方式」,平成5
年度電気学会全国大会,727,平成5年3月30日〜
4月1日 (5)特開平6−266408 号公報 (1)〜(3)で用いられている予測モデルは、最終段
過熱器の特性を物理式で表した集中定数化モデルであ
る。この予測モデルは、前段過熱器の出口蒸気温度ある
いは最終段過熱器の入口蒸気温度、および最終段過熱器
の入口ガス温度の変化を外乱として、最終段過熱器の出
口蒸気温度すなわち主蒸気温度を予測し、この予測結果
に基づいて操作量を決定している。
【0005】また、(4)と(5)で用いられている予
測モデルは、初段過熱器から最終段過熱器までの各過熱
器の特性をむだ時間と物理式で表した集中定数化モデル
を複数組み合わせて構成している。この予測モデルは、
前段過熱器の出口蒸気温度あるいは各過熱器の入口蒸気
温度、および各過熱器の入口ガス温度の変化を考慮し
て、各過熱器の出口蒸気温度を予測し、この予測結果に
基づいて操作量を決定している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、火力
プラント制御システムの試運転調整期間あるいは定期検
査後の調整期間の短縮が求められている。しかしなが
ら、火力プラント制御システムの調整は、調整員の経験
とノウハウに基づいて手動で行われると共に、熟練調整
員が少なくなってきている。このため、火力プラント制
御システムの調整期間を短縮するのは非常に難しい。特
に、従来の予測モデルは、1つあるいは複数の過熱器を
物理式で表した集中定数化モデルで近似しているので、
このモデルの特性を火力プラントの特性に合わせて精度
よく調整するのは難しく、熟練調整員と言えども調整に
多大な時間が掛かっていた。そのため、予測モデルの調
整時間を短縮する技術の開発が求められている。
【0007】本発明の目的は、火力プラントのように制
御量の応答遅れが大きいプロセスの特性を模擬できるモ
デルを短期間に精度よく調整して、プロセスを制御する
プロセス適応制御方法およびプロセス適応制御システム
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の一態様によれば、複数のサブプロセスから
構成されたプロセスの操作量を当該プロセスのモデルを
使用して決定するプロセス適応制御方法において、前記
サブプロセスを模擬するサブプロセスモデルを、少なく
とも1つ物理式に基づく集中定数化モデルを含むモデル
(物理モデルと称する)により構成して、当該物理モデ
ルの特性とプロセスの特性との差の特性を過去のデータ
を統計処理して構築した統計モデルにより同定し、これ
により当該プロセスの状態量を求め、当該状態量を用い
て当該プロセスにおける操作量を決定することを特徴と
するプロセス適応制御方法が提供される。
【0009】また、本発明の他の態様によれば、複数の
サブプロセスからなるプロセスのモデルを内蔵し、この
モデルを使用してプロセスの状態量を求めて操作量を決
定するプロセス適応制御システムにおいて、前記サブプ
ロセスのうちの少なくとも1つを模擬するサブプロセス
モデルと統計モデルとを備え、該サブプロセスモデルを
物理式に基づく少なくとも1つの集中定数化モデルから
なる物理モデルにより構成し、該統計モデルを過去のデ
ータを統計処理して構築し、該物理モデルの特性とプロ
セスの特性との差の特性を該統計モデルにより同定し、
これにより当該サブプロセスの状態量を求め、当該状態
量を用いてプロセスにおける操作量を決定するようにし
たことを特徴とするプロセス適応制御システムが提供さ
れる。
【0010】本発明を要約すれば、火力プラントの各熱
交換器のモデルを少なくとも1つの物理式に基づく集中
定数化モデルを含むモデル(物理モデル)により構成
し、当該物理モデルの特性とプロセスの特性の差の特性
を統計モデルにより同定し、当該物理モデルと当該統計
モデルを組み合わせて複合モデルを構成し、これらの各
熱交換器のモデルを統合して使用し、この推定値に基づ
いて火力プラントの近い将来の動きを予測し、この予測
結果に基づいて操作量を決定するようにしたものであ
る。
【0011】本発明が適用されるプロセスとして、例え
ば、火力プラントを想定することができる。火力プラン
トの各熱交換器のモデルを、少なくとも1つの物理式に
基づく集中定数化モデルを含むモデル(物理モデル)に
より構成し、当該物理モデルの特性とプロセスの特性の
差の特性を統計モデルにより同定し、当該物理モデルと
当該統計モデルを組み合わせて複合モデルを構成するの
で、モデルの調整が短期間に達成できる。また、複合モ
デルを統合して使用し、火力プラントの近い将来の動き
を予測するので、高精度な予測値が得られる。さらに、
この予測結果に基づいて操作量を決定するので、制御性
の向上も達成できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を石炭焚き火力プラ
ントに適用した実施例について、図面を参照して説明す
る。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0013】先ず、本実施例における制御対象である火
力プラントの概要について説明する。図2は、石炭焚き
火力プラントの全体構成を示している。
【0014】押込みファン101からの空気は、空気予
熱器102を通って予熱され、1次空気ファン103に
よって加速されて石炭ミル107内に送風される。一
方、石炭バンカ104内の石炭は、給炭機モータ105
により駆動される給炭機106により前記石炭ミル10
7内に運搬される。石炭ミル107によって微粉状とな
った石炭は、空気流と共にボイラ126内のバーナ12
7に送られ、ここで燃焼する。
【0015】節炭器(ECO)130及び火炉水冷壁
(WW)108を通った水は、この燃焼ガスにより蒸気
となる。この蒸気は、1次過熱器(1SH)109で過
熱され、1次スプレ116を通り、2次過熱器(2S
H)110でも過熱され、2次スプレ120を通り、3
次過熱器(3SH)111で更に過熱されて、主蒸気配
管及び主蒸気加減弁121を通って、高圧タービン12
2に入る。高圧タービン122を出た蒸気は、1次再熱
器112及び2次再熱器113により再過熱され、中・
低圧タービン123に送られる。
【0016】発電機124は、高圧タービン122と中
・低圧タービン123により駆動され発電する。中・低
圧タービン123を出た蒸気は、復水器125により復
水される。この復水は、給水ポンプ117により再びボ
イラ126の節炭器130に送られる。また、給水ポン
プ117を出た給水は、1次スプレ制御弁115及び2
次スプレ制御弁119を介して、1次スプレ116及び
2次スプレ120に送られる。また、給水ポンプ117
を出た給水は、再熱スプレ制御弁131を介して再熱ス
プレ132に送られる。なお、ボイラ126には、燃焼
ガスを再循環させるガス再循環ファン114及び排ガス
を制御するための誘引ファン118が設けられている。
【0017】また、この火力プラントには、プラントの
状態を検出するための各種センサが設けられている。す
なわち、図2に示すように、主蒸気圧力(PMS)を測定
するセンサS1と、1次過熱器出口温度(T1SH)を測定
するセンサS2と、排ガス中の酸素量(O2)を測定する
センサS3と、火炉圧力(PWW)を測定するセンサS4
と、2次過熱器出口蒸気温度(T2SH)を測定するセンサ
S5と、主蒸気温度(TMS)を測定するセンサS6と、
再熱蒸気温度(TRS)を測定するセンサS7及び1次再
熱器出口蒸気温度(T1RH)を測定するセンサS9と、発
電機124の発電量(MW)を検出するセンサS8とが
設けられている。
【0018】また、図示していないが、1次過熱器10
9,2次過熱器110及び3次過熱器111には、それ
ぞれ入口または出口に、蒸気流量,圧力及び温度を測定
する流量,圧力及び温度センサが設けられている。同様
に、1次再熱器112及び2次再熱器113について
も、それぞれ入口または出口に、蒸気流量,圧力及び温
度を測定する流量,圧力及び温度センサが設けられてい
る。
【0019】前記各センサS1〜S9と、これらの流
量,圧力及び温度センサの出力信号は、後述するマスタ
制御部及びローカル制御部に送られる。前記再熱スプレ
132は、非常用のものであり、温度が制限値を超えた
ときのみスプレを使用する。
【0020】本実施例では、これらのセンサ情報に基づ
いて、火力プラントの制御を行う。本実施例における制
御は、機能的には、マスタ制御部と、それに基づくサブ
ループ制御部とで構成される。図3にその概要を示す。
【0021】図3に示すように、マスタ制御部1000
では、主蒸気圧力等の応答が速い部分の制御を行う通常
制御部(1100番台の符号で示す系、1100系)
と、主蒸気温度等の応答が遅い部分についての予測制御
を行う予測制御部(1200番台の符号で示す系、12
00系)とを有する。
【0022】通常制御部(1100系)には、主蒸気圧
力制御部1101,ガスO2 制御部(酸素制御部)11
02及び火炉圧力制御部1103と、負荷指令の入力を
受け付けて、それに対応してタービン制御及びボイラ制
御のためのデマンド操作指令を出力するユニットマスタ
1104とが設けられている。予測制御部(1200
系)は、1次過熱器出口蒸気温度制御部1201,2次
過熱器出口蒸気温度制御部1202,主蒸気温度制御部
1203及び再熱蒸気温度制御部1204の各制御処理
機能部が設けられている。
【0023】また、通常制御部には、前記ユニットマス
タ1104のデマンド操作指令について、前記主蒸気圧
力制御部1101からの操作量により補正して、給水制
御のための操作指令を出力する補正部1105と、前記
補正部1105の出力について、1次過熱器出口蒸気温
度制御部1201からの操作量により補正して、燃料制
御のための操作指令を出力する補正部1106と、前記
補正部1106の出力について、ガスO2 制御部110
2からの操作量により補正して、空気制御のための操作
指令を出力する補正部1107と、前記補正部1107
の出力について、火炉圧力制御部1103からの操作量
により補正して、排ガス制御のための操作指令を出力す
る補正部1108と、前記補正部1105の出力につい
て、2次過熱器出口蒸気温度制御部1202からの操作
量により補正して、1次スプレ制御のための操作指令を
出力する補正部1109と、前記補正部1105の出力
について、主蒸気温度制御部1203からの操作量によ
り補正して、2次スプレのための操作指令を出力する補
正部1110と、前記補正部1105の出力について、
再熱蒸気温度制御部1204からの操作量により補正し
て、再循環ガス制御のための操作指令を出力する補正部
1111とが設けられている。
【0024】前記ユニットマスタ1104は、発電量に
関する経済負荷配分制御(ELD:Economic Load Disp
atching Control)に関する指令と、周波数の自動調整制
御(AFC:Automatic Frequency Control)に関する指
令とを受けて、当該火力プラントにおける負荷変化率,
負荷変化幅の制限、及び周波数についての補正を行っ
て、それらに対応する操作指令を演算して出力する。
【0025】1次過熱器出口蒸気温度制御部1201,
2次過熱器出口蒸気温度制御部1202,主蒸気温度制御部
1203及び再熱蒸気温度制御部1204の各制御処理
機能部は、それぞれ対応するセンサからの情報に基づい
て、それぞれの目標値についての操作量を演算して出力
する。同図3において、二重線で示すブロック内の制御
処理部は、操作量の決定に際して予測制御を行う。
【0026】サブループ制御部2000には、前記ユニ
ットマスタ1104の出力信号とセンサS8からの発電
量を示す信号とを受けて、主蒸気加減弁121を制御す
るタービン制御部2001と、前記補正部1105の出
力信号を受けて給水ポンプ117を制御する給水制御部
2002と、前記補正部1106の出力信号を受けて給
炭機モータ105を制御する燃料制御部2003と、前
記補正部1107の出力信号を受けて押込みファン10
3を制御する空気制御部2004と、前記補正部110
8の出力信号を受けて誘引ファン118を制御する排ガ
ス制御部2005と、前記補正部1109の出力信号を受け
て1次スプレ制御弁115を制御する1次スプレ制御部
2006と、前記補正部1110の出力信号を受けて2
次スプレ制御弁119を制御する2次スプレ制御部20
07と、前記補正部1111の出力信号を受けてガス再
循環ファン114を制御する再循環ガス制御部2008
とが設けられている。
【0027】これらは、例えば、図4に示すようなハー
ドウエアシステム構成となる。
【0028】すなわち、前記マスタ制御部1000の通
常制御部の機能を分担して処理する第1のマスタ制御コ
ントローラ1100と、予測制御部の機能を分担して処
理する第2のマスタ制御コントローラ1200と、サブ
ループ制御部2000の各制御処理部を構成する、ター
ビン制御コントローラ2010,給水制御コントローラ
2020,燃料制御コントローラ2030,空気制御コ
ントローラ2040,排ガス制御コントローラ205
0,1次スプレ制御コントローラ2060,2次スプレ
制御コントローラ2070及び再循環ガス制御コントロ
ーラ2080とが設けられている。
【0029】これらの各コントローラは、伝送ネットワ
ーク1500で接続され、互いに信号を授受する。これ
らのコントローラは、それぞれコンピュータシステムで
構成される。
【0030】それらのコンピュータシステムには、図示
していないが、例えば、中央処理ユニット,メモリ,イ
ンタフェース等を有する構成のものが用いられる。
【0031】なお、図4のマスタ制御コントローラ12
00を、蒸気温度予測専用の制御コントローラと、予測
された結果に基づいて操作量を決定する制御コントロー
ラとに分けても良い。この構成にすれば、予測及び制御
に必要な計算速度をより向上させることが可能となる。
【0032】火力プラントの制御量のうち制御が難しい
のは蒸気温度である。例えば、1次過熱器出口蒸気温度
1SH,2次過熱器出口蒸気温度T2SH,主蒸気温度TMS
及び再熱蒸気温度TRSの4つがそれである。また、これ
らの蒸気温度の制御のために、燃料流量FF ,1次スプ
レ流量FSP1,2次スプレ流量FSP2及び再循環ガス流量
GRFの4つの操作量がある。
【0033】本発明は、これらを予測制御により制御す
るようにしたものである。そして、その際に調整が容易
で、調整期間が短縮できる予測モデルを用いたことに特
徴がある。
【0034】本出願人は、先に、下記2件の出願をして
いる。
【0035】特開平6−266408 号:分布定数系のプロセ
スに対する予測モデルとして、無駄時間要素と物理式に
基づく集中定数化モデルとから構成された予測モデルを
用いたプロセスの適応制御方法及びプロセスの適応制御
システムに関する発明。
【0036】特開平7−295606 号:無駄時間要素を用い
ずに、物理式に基づく複数の集中定数化モデルを用い
て、プロセスをモデル化することで、より一層の予測性
能及び制御性の向上を図ったプロセスの適応制御方法及
びプロセスの適応制御システムに関する発明。
【0037】本発明は、少なくとも1つの物理式に基づ
く集中定数化モデルを含むモデルによりプロセスをモデ
ル化(物理モデル)し、物理モデルの特性とプロセスの
特性の差の特性を統計モデルにより同定し、物理モデル
と同定が容易な統計モデルを組み合わせて複合モデルを
構成することで、モデルの調整期間の短縮及び予測性能
と制御性の向上を図ったものである。
【0038】次に、本発明の予測制御を、前記の火力プ
ラントの蒸気温度制御に適用した予測制御システムの第
1の実施例について説明する。ここで、モデル化するプ
ロセスとして、過熱器や再熱器等の熱交換器を想定する
ものである。図1に、本実施例の構成の概要を示す。
【0039】本実施例は、火力プラント1の蒸気温度y
の目標値の予測値rp を求める目標値予測システム2,
蒸気温度の基準予測値ypBを求める物理モデル蒸気温度
予測システム3,蒸気温度の補正予測値δyp を求める
統計モデル蒸気温度予測システム4,蒸気温度の基準予
測値ypBと補正予測値δyp に基づいて蒸気温度の予測
値ypを求める蒸気温度予測システム5、及び、目標値
の予測値rpと蒸気温度の予測値yp とに基づいて操作
量uを決定する操作量決定システム6と、予測システム
の予測値yp を用いるか、制御量yを直接用いるかの選
択を行うスイッチ7とを備えて構成される。
【0040】目標値予測システム2,物理モデル蒸気温
度予測システム3,統計モデル蒸気温度予測システム
4,蒸気温度予測システム5,操作量決定システム6及
びスイッチ7は、前記予測制御部の処理を実行する第2
のマスタ制御コントローラ1200において実現される。
【0041】目標値予測システム2は、蒸気温度の目標
値rP の近い将来値を(1)式により予測する。ここで
は、1次過熱器出口蒸気温度T1SH ,2次過熱器出口蒸
気温度T2SH,主蒸気温度TMS及び再熱蒸気温度TRS
それぞれの目標値r1P,r2P,r3P及びr4Pを算出す
る。
【0042】
【数1】 r1P(k,N)=r1(k)+a1(k)・N・ΔT r2P(k,N)=r2(k)+a2(k)・N・ΔT r3P(k,N)=r3(k)+a3(k)・N・ΔT r4P(k,N)=r4(k)+a4(k)・N・ΔT …(数1) ここで、 r1P(k,N):現在時点kにおいて、1次過熱器出口
蒸気温度T1SHの目標値r1のNサンプリング先の予測値 r2P(k,N):現在時点kにおいて、2次過熱器出口
蒸気温度T2SHの目標値r2のNサンプリング先の予測値 r3P(k,N):現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
の目標値r3のNサンプリング先の予測値 r4P(k,N):現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSの目標値r4のNサンプリング先の予測値 ri(k) :蒸気温度の目標値riの現在時点kに
おける値(i=1〜4) ai(k) :蒸気温度の目標値riの現在時点kに
おける変化率(i=1〜4) ΔT :サンプリング周期 なお、本実施例では、目標値を近い将来の予測により決
定しているが、本発明はこれに限定されない。
【0043】物理モデル蒸気温度予測システム3は、蒸
気温度系の物理モデルを使用して、蒸気温度の近い将来
値の基準値を予測する。
【0044】蒸気温度系の物理モデルは、図5に示すよ
うに、火力プラント1の、本来は分布定数系である各熱
交換器のモデルを、無駄時間要素を用いずに、各熱交換
器におけるエネルギ保存則に基づく、複数の集中定数化
熱交換器モデル304により構成している。
【0045】すなわち、分布定数系の特徴であるむだ時
間特性を、物理式に基づく複数の集中定数化モデルによ
り模擬するものである。
【0046】また、これらの各熱交換器のモデルは、水
・蒸気系で、上流側から下流側に順次接続され、水・蒸
気の状態変化が上流側から下流側に伝達される構成とな
っている。予測時には、これらの各熱交換器のモデルを
統合して使用し、蒸気温度の近い将来値の基準値が求め
られる。
【0047】集中定数化熱交換器モデル304は、各熱
交換器の水・蒸気系及び管メタルに対するエネルギ保存
則から導かれる数式により表される。また、ガス温度に
ついては、ガス温度計算モデル306が用いられる。こ
のガス温度計算モデル306は、燃料流量、空気流量及
びガス再循環流量に基づいて、ガス系に対するエネルギ
保存則からガス温度を計算する。
【0048】さらに、各熱交換器の複数の集中定数化モ
デルに対して、観測器(オブザーバ)であるカルマン・フ
ィルタ305が構成される。このカルマン・フィルタ3
05により複数の集中定数化熱交換器モデル304の状
態変数の値及びガス温度計算モデル306のガス温度補
正値を推定し、この推定値に基づいて各熱交換器のモデ
ルを統合して使用し、蒸気温度の近い将来値の基準値を
予測する。
【0049】ここで、図5中における集中定数化モデル
(i)は、i番目の熱交換器に対応するモデルであり、複
数の集中定数化モデル304a,304b,304c・
・・から構成されるものである。以下の説明では、集中
定数化モデルが、3分割されている場合について説明す
るが、本発明においては、その分割数は限定されない。
【0050】本実施例において、図5に示す前段過熱器
(i番目)の集中定数化熱交換器モデル(i)304に
は、蒸気流量FSi,蒸気温度θSi-1(=θSINi)及びガス
温度θGi-1(=θGINi)が入力され、蒸気温度θSiを出
力する。また、後段過熱器((i+1)番目)の集中定
数化モデル(i+1)には、蒸気流量FSi+1,前段過熱
器から出力された蒸気温度θSi(=θSINi+1)及びガス温
度θGi(=θGINi+1)が入力され、蒸気温度θSi+1を出力
する。
【0051】各熱交換器における集中定数化モデル式お
よびガス温度計算モデル式は、図6に示されるような、
熱交換モデルを想定して、そこでのエネルギ保存則によ
り導かれる。
【0052】本実施例では、各熱交換器が3分割された
状態を想定して、各分割領域において、その管壁を構成
するメタルの一方側に蒸気が、他方側にガスが流れ、ガ
スから蒸気へメタル(図6において、斜線で示す部分)
を介して熱が伝達される状態を想定している。
【0053】また、本実施例では、出口ガス温度θ
Giは、以下の式で示されるように、当該熱交換器を含
む、ガス側上流にある火炉水壁以外のすべての熱交換器
での、定常状態における総熱吸収量QHEXiにより計算さ
れる。
【0054】さらに、本実施例では、各サンプリング時
点での予測計算中、当該熱交換器の各分割領域におい
て、ガス温度θGINi,ガス流量FGi、および、蒸気流量
Siは変化しないが、ガスからの伝熱によってそれぞれ
の領域におけるメタル温度が変化して、その結果として
各領域における蒸気温度が変化するものとする。
【0055】すなわち、第1分割領域では、入口ガス温
度θGINi,ガス流量FGiのガスが当該領域のメタルと接
触して、メタルに伝熱量QGM1iの熱を与える。一方、入
口蒸気温度θSINi,蒸気流量FSiの蒸気が当該領域のメ
タルと接触して、メタルから伝熱量QMS1iの熱を受け
て、蒸気温度θS1iとなって第2分割領域へ流出する。
同様に、第2および第3分割領域では、入口ガス温度θ
GINi,ガス流量FGiのガスが当該領域のメタルと接触し
て、それぞれのメタルに、伝熱量QGM2i,QGM3iの熱を
与える一方、入ってきた蒸気温度θS1i,θS2iの蒸気
が、これらのメタルと接触して、メタルから伝熱量Q
MS2i,QMS3iの熱を受けて、蒸気温度θS2i,θS3i(=
θSi)となって流出する。このとき、ガス流量FGiのガ
スは、入口ガス温度θGINiから出口ガス温度θGi(本実
施例のモデルでは、ガス側上流の熱交換器の出口ガス温
度の計算値を利用しないで、入口ガス温度を計算する)
に変化して流出する。
【0056】また、ガス流量FGi、すなわち、ボイラ・
ガス流量FGBF は、後述するように、空気流量FA,燃
料流量FF及び再循環ガス流量FGRF の合計である。
【0057】各熱交換器の複数の集中定数化熱交換器モ
デル304は、上記で述べたようにエネルギ保存則から
導かれる数式により表される。また、各熱交換器は、3
つの連続して接続される、同じ構成の集中定数化モデル
により表現される。このモデル式について以下で説明す
る。なお、以下の数式で使用される記号は、下記のよう
に定義される。
【0058】V:容積 γ:比重量 H:エンタルピ F:流量 Q:伝熱量 M:重量 C:比熱 θ:温度 P:圧力 A:伝熱面積 α:対流熱伝達率 β:輻射熱伝達率 また、サフィックスは、下記の通りである。
【0059】S :水・蒸気G :ガスM :メタルGM :ガスからメタルMS :メタルから水・蒸気i :i番目の熱交換器 各熱交換器の水・蒸気系、すなわち、管内部流体のエネ
ルギ保存式は、(2-1),(2-3),(2-5)式で表される。
また、管メタルのエネルギ保存式は、(2-2),(2-4),
(2-6)式で与えられる。
【0060】
【数2】 VS1i・γS1i・dHS1i/dt=(HSINi−HS1i)・FSi +AMS1i・αMS1i・(θM1i−θS1i) (2-1) MM1i・CM1i・dθM1i/dt=AGM1i・αGM1i・(θGINi−θM1i) −AMS1i・αMS1i・(θM1i−θS1i) (2-2) VS2i・γS2i・dHS2i/dt=(HS1i−HS2i)・FSi +AMS2i・αMS2i・(θM2i−θS2i) (2-3) MM2i・CM2i・dθM2i/dt=AGM2i・αGM2i・(θGINi−θM2i) −AMS2i・αMS2i・(θM2i−θS2i) (2-4) VS3i・γS3i・dHS3i/dt=(HS2i−HS3i)・FSi +AMS3i・αMS3i・(θM3i−θS3i) (2-5) MM3i・CM3i・dθM3i/dt=AGM3i・αGM3i・(θGINi−θM3i) −AMS3i・αMS3i・(θM3i−θS3i) (2-6) …(数2) ここで、 VSki :熱交換器の管内部流体(水・蒸気)の容積(m
3) γSki :管内部流体(水・蒸気)の比重量(kg/m3) HSki :管内部流体(水・蒸気)の出口エンタルピ(kc
al/kg) HSINi:管内部流体(水・蒸気)の入口エンタルピ(kc
al/kg) FSi :管内部流体(水・蒸気)の流量(kg/s) AMSki:管メタルから管内部流体(水・蒸気)への伝熱
面積(m2) AGMki:管外部流体(ガス)から管メタルへの伝熱面積
(m2) αMSki:管メタルから管内部流体(水・蒸気)への対流
熱伝達率(kcal/(m2・s・℃)) αGMki:管外部流体(ガス)から管メタルへの対流熱伝
達率(kcal/(m2・s・℃)) MMki :熱交換器の管メタルの重量(kg) CMki :管メタルの比熱(kcal/(kg・℃)) θMki :管メタルの温度(℃) θSki :管内部流体(水・蒸気)の出口温度(℃) θGINi:管外部流体(ガス)の入口温度(℃) i :i番目の熱交換器 k :熱交換器のk分割目の集中定数化モデル また、各熱交換器の管外部流体(ガス)は、管内部流体
及び管メタル部の応答に比べると、その応答が極めて速
い。従って、ここでは、ガス系は、準静的にエネルギ保
存式が成り立つとして考える。このため、熱交換器入口
ガス温度θGINiは、基準値θGINBi及び補正値ΔθGINi
の和により与えられ、次式で表される。
【0061】
【数3】 θGINi=θGINBi+ΔθGINi (2-7) θGINBi=(η・HU・FF+HA・FA+HGRF・FGRF−QWW−QHEXi) /(CPG・FGBF) (2-8) dΔθGINi/dt=0 (2-9) QWW=βWW・[{(η・HU・FF+HA・FA+HGRF・FGRF) /(CPG・FGBF)+273}/100]4 (2-10) QHEXi=fi(FF) (2-11) η=f(FF) (2-12) βWW=f(FF) (2-13) CPG=f(FF) (2-14) …(数3) ここで、θGINi :管外部流体(ガス)の入口温度
(℃) θGINBi :管外部流体(ガス)の入口温度基準値(℃) ΔθGINi:管外部流体(ガス)の入口温度補正値(℃) η :燃料発熱効率(−) HU :燃料発熱量(kcal/kg) FF :燃料流量(kg/s) HA :空気エンタルピ(kcal/kg) FA :空気流量(kg/s) HGRF :再循環ガスエンタルピ(kcal/kg) FGRF :再循環ガス流量(kg/s) CPG :ガス比熱(kcal/(kg・℃)) βWW :火炉輻射熱伝達係数(−) FGBF :ボイラガス流量(kg/s) QWW :火炉水壁熱吸収量(kcal/s) QHEXi :火炉水壁以外のガス側で、i番目を除いて、
それよりも上流にある熱交換器の総熱吸収量(kcal/s) なお、熱交換器入口ガス温度補正値ΔθGINiは、モデル
誤差の補正値でもあり、定常状態ではバイアスとして機
能する。
【0062】また、前記空気エンタルピHAは、次式で
与えられる。
【0063】
【数4】 HA≒CPA・θA (2-15) …(数4) ここで、HA :空気エンタルピ(kcal/kg) CPA:空気の比熱(kcal/(kg・℃)) θA :空気の温度(℃) また、再循環ガスのエンタルピHGRFは、次式で与えら
れる。
【0064】
【数5】 HGRF≒CPG・θGECO (2-16) …(数5) ここで、HGRF :再循環ガスのエンタルピ(kcal/kg) CPG :ガスの比熱(kcal/(kg・℃)) θGECO:節炭器付近でのガス温度(℃) 熱交換器の水・蒸気系の伝熱を定圧過程と近似すると、
次式が成り立つ。
【0065】
【数6】 dHSki/dt≒(∂HS/∂θS)Pki・dθSki/dt=CPSki・dθSki /dt (2-17) HSki≒(∂HS/∂θS)Pki・θSki+HSBki=CPSki・θSki+HSBki(2-18) CPSki=(∂HS/∂θS)Pki (2-19) …(数6) ここで、CPSki:定圧比熱(kcal/(kg・℃)) HSBki:基準エンタルピ(kcal/kg) なお、ここでは、(2-19)式を、次式で近似する。
【0066】
【数7】 CPSki=(ΔHS/ΔθS)Pki (2-20) …(数7) (2-17),(2-18)式を(2-1),(2-3),(2-5)式に代入
して、整理すると共に、(2-2),(2-4),(2-6)式を変
形すると、次式が得られる。
【0067】
【数8】 dθS1i/dt=−(CPS1i・FSi+AMS1i・αMS1i) /(VS1i・γS1i・CPS1i)・θS1i+AMS1i・αMS1i /(VS1i・γS1i・CPS1i)・θM1i+FSi /(VS1i・γS1i・CPS1i)・(HSINi−HSB1i) (2-21) dθM1i/dt=AMS1i・αMS1i/(MM1i・CM1i)・θS1i −(AGM1i・αGM1i+AMS1i・αMS1i)/(MM1i・CM1i) ・θM1i+AGM1i・αGM1i/(MM1i・CM1i)・θGINBi +AGM1i・αGM1i/(MM1i・CM1i)・ΔθGINi (2-22) dθS2i/dt=FSi・CPS1i/(VS2i・γS2i・CPS2i)・θS1i −(CPS2i・FSi+AMS2i・αMS2i) /(VS2i・γS2i・CPS2i)・θS2i+AMS2i・αMS2i /(VS2i・γS2i・CPS2i)・θM2i+FSi /(VS2i・γS2i・CPS2i)・(HSB1i−HSB2i) (2-23) dθM2i/dt=AMS2i・αMS2i/(MM2i・CM2i)・θS2i −(AGM2i・αGM2i+AMS2i・αMS2i)/(MM2i・CM2i) ・θM2i+AGM2i・αGM2i/(MM2i・CM2i)・θGINBi +AGM2i・αGM2i/(MM2i・CM2i)・ΔθGINi (2-24) dθS3i/dt=FSi・CPS2i/(VS3i・γS3i・CPS3i)・θS2i −(CPS3i・FSi+AMS3i・αMS3i) /(VS3i・γS3i・CPS3i)・θS3i+AMS3i・αMS3i /(VS3i・γS3i・CPS3i)・θM3i+FSi /(VS3i・γS3i・CPS3i)・(HSB2i−HSB3i) (2-25) dθM3i/dt=AMS3i・αMS3i/(MM3i・CM3i)・θS3i −(AGM3i・αGM3i+AMS3i・αMS3i)/(MM3i・CM3i) ・θM3i+AGM3i・αGM3i/(MM3i・CM3i)・θGINBi +AGM3i・αGM3i/(MM3i・CM3i)・ΔθGINi (2-26) dΔθGINi/dt=0 (2-27) …(数8) (2-21)〜(2-27)式をまとめると、次式が得られる。
【0068】
【数9】 dx1i/dt=A11i・x1i+A12i・x2i+B11i・u1i (2-28) dx2i/dt=A21i・x1i+A22i・x2i+A27i・x7i+B22i・u2i (2-29) dx3i/dt=A31i・x1i+A33i・x3i+A34i・x4i+B33i・u3i (2-30) dx4i/dt=A43i・x3i+A44i・x4i+A47i・x7i+B42i・u2i (2-31) dx5i/dt=A53i・x3i+A55i・x5i+A56i・x6i+B54i・u4i (2-32) dx6i/dt=A65i・x5i+A66i・x6i+A67i・x7i+B62i・u2i (2-33) dx7i/dt=0 (2-34) …(数9) ここで、
【0069】
【数10】 A11i=−(CPS1i・FSi+AMS1i・αMS1i)/(VS1i・γS1i・CPS1i) (2-35) A12i=AMS1i・αMS1i/(VS1i・γS1i・CPS1i) (2-36) A21i=AMS1i・αMS1i/(MM1i・CM1i) (2-37) A22i=−(AGM1i・αGM1i+AMS1i・αMS1i)/(MM1i・CM1i) (2-38) A27i=AGM1i・αGM1i/(MM1i・CM1i) (2-39) A31i=FSi・CPS1i/(VS2i・γS2i・CPS2i) (2-40) A33i=−(CPS2i・FSi+AMS2i・αMS2i)/(VS2i・γS2i・CPS2i) (2-41) A34i=AMS2i・αMS2i/(VS2i・γS2i・CPS2i) (2-42) A43i=AMS2i・αMS2i/(MM2i・CM2i) (2-43) A44i=−(AGM2i・αGM2i+AMS2i・αMS2i)/(MM2i・CM2i) (2-44) A47i=AGM2i・αGM2i/(MM2i・CM2i) (2-45) A53i=FSi・CPS2i/(VS3i・γS3i・CPS3i) (2-46) A55i=−(CPS3i・FSi+AMS3i・αMS3i)/(VS3i・γS3i・CPS3i) (2-47) A56i=AMS3i・αMS3i/(VS3i・γS3i・CPS3i) (2-48) A65i=AMS3i・αMS3i/(MM3i・CM3i) (2-49) A66i=−(AGM3i・αGM3i+AMS3i・αMS3i)/(MM3i・CM3i) (2-50) A67i=AGM3i・αGM3i/(MM3i・CM3i) (2-51) B11i=FSi/(VS1i・γS1i・CPS1i) (2-52) B22i=AGM1i・αGM1i/(MM1i・CM1i) (2-53) B33i=FSi/(VS2i・γS2i・CPS2i) (2-54) B42i=AGM2i・αGM2i/(MM2i・CM2i) (2-55) B54i=FSi/(VS3i・γS3i・CPS3i) (2-56) B62i=AGM3i・αGM3i/(MM3i・CM3i) (2-57) x1i=θS1i (2-58) x2i=θM1i (2-59) x3i=θS2i (2-60) x4i=θM2i (2-61) x5i=θS3i (2-62) x6i=θM3i (2-63) x7i=ΔθGINi (2-64) u1i=HSINi−HSB1i (2-65) u2i=θGINBi (2-66) u3i=HSB1i−HSB2i (2-67) u4i=HSB2i−HSB3i (2-68) …(数10) ここで、 Almi:状態遷移行列の要素 Blmi:駆動行列の要素 xli :状態変数 uli :入力変数 なお、(2-28)〜(2-34)式のx5i及びu1iは、測定可能な
量であり、x1i〜x4i及びx6i,x7iは、測定できない
量である。また、u2i〜u4iも、測定できないが、u2i
は静特性に基づいて(2-8) 式により求め、u3i及びu4i
は、(2-18)式により求める。
【0070】また、管メタルからの水・蒸気への熱伝達
率αMSki及び管外部流体(ガス)から管メタルへの熱伝
達率αGMkiは、次式で近似する。
【0071】
【数11】 αMSki=f(FSi) (2-69) αGMki=f(FGBFi) (2-70) …(数11) 以上で説明したモデル式を用いて、各熱交換器単体のモ
デルをブロック線図で表すと、図7に示すようになる。
【0072】すなわち、各熱交換器単体のモデルは、燃
料流量FF,空気流量FA,ガス再循環流量FGRF ,火炉
水壁熱吸収量QWW及び火炉水壁以外のi番目を含まずそ
れよりもガス側上流熱交換器の総熱吸収量QHEXiに基づ
いて、入口ガス温度基準値θGINBi 及び補正値ΔθGINi
を計算するガス温度計算モデル306と、熱交換器の入
口蒸気温度θSINiを管内部流体(水・蒸気)の入口エン
タルピHSINiに変換する変換部307と、複数の集中定
数化熱交換器モデル304と、カルマン・フィルタ30
5とから構成される。
【0073】次に、本実施例におけるカルマン・フィル
タ305による状態変数及び入口ガス温度補正値の推定
について説明する。
【0074】熱伝達式モデルである(2-28)〜(2-34)式を
用いて、蒸気温度を予測するには、状態変数である蒸気
温度θSkiと管メタル温度θMki、及び入口ガス温度補正
値ΔθGINiの予測開始時点の値が必要である。しかしな
がら、上記で述べたように、出口蒸気温度θS3i は、計
測できるが、中間の蒸気温度θS1i,θS2i,管メタル温
度θMki 及び入口ガス温度補正値ΔθGINiは、計測でき
ないので、推定値を用いることになる。これら中間の蒸
気温度θS1i,θS2i,管メタル温度θMki 及び入口ガス
温度補正値ΔθGINiの推定に観測器(オブザーバ)の1
種であるカルマン・フィルタを適用する。
【0075】先ず、エネルギ保存則から導かれる熱伝達
式モデル(2-28)〜(2-34)式を離散時間表現すると共に、
システム・ノイズv1〜v5に対する項を加えて、マトリ
クスの要素で示すと、次式が得られる。なお、システム
・ノイズの内、v1〜v4は、入力変数u1〜u4に対応す
るノイズであり、v5 は、入口ガス温度補正値ΔθGINi
を駆動するノイズである。また、熱交換器の番号iは、
省略している。
【0076】
【数12】
【0077】(2-71)式は、次式で表される。
【0078】
【数13】
【0079】ここで、X(k) :kサンプリング時点
の状態変数ベクトル U(k−1):(k−1)サンプリング時点の入力変数ベ
クトル v(k−1):(k−1)サンプリング時点のシステム・
ノイズ・ベクトル Φ(k−1):(k−1)サンプリング時点の状態遷移行
列 H(k−1):(k−1)サンプリング時点の駆動行列 G(k−1):(k−1)サンプリング時点のシステム・
ノイズの駆動行列 また、(2-72)式で表されるシステムの観測過程は、次式
で与えられるものとする。
【0080】
【数14】 Y(k)=C(k)・X(k)+w(k) (2-79) C(k)=| 0 0 0 0 1 0 0 | =|c1(k) c2(k) c3(k) c4(k) c5(k) c6(k) c7(k)| (2-80) …(数14) ここで、Y(k):kサンプリング時点における観測ベク
トル X(k):kサンプリング時点における状態変数ベクトル w(k):kサンプリング時点における観測ノイズベクト
ル C(k):kサンプリング時点における観測行列 (2-72)及び(2-79)式で表されるシステムに対するカルマ
ン・フィルタは、次式により構成される。なお、ここで
は、′は、転置マトリクスを意味する。
【0081】
【数15】 ^X(k)=〜X(k) +P(k)・C′(k)・W~1(k)・{Y(k)−C(k)・〜X(k)} (2-81) 〜X(k)=Φ(k−1)・^X(k−1)+H(k−1)・U(k−1) (2-82) P(k)={M~1(k)+C′(k)・W~1(k)・C(k)}~1 =M(k) −M(k)・C′(k){C(k)・M(k)・C′(k)+W(k)}~1 ・C(k)・M(k) (2-83) M(k)=Φ(k−1)・P(k−1)・Φ′(k−1)+G(k−1)・V(k−1) ・G′(k−1) (2-84) …(数15) ここで、^X(k) :kサンプリング時点の状態変数X
(k)の最ゆう推定値 〜X(k) :kサンプリング時点の状態変数X(k)の推
定値 W(k) :kサンプリング時点の観測ノイズw(k)の
共分散行列 V(k−1):(k−1)サンプリング時点のシステム・ノ
イズv(k−1)の共分散行列 (2-81)〜(2-84)により、状態変数である蒸気温度θSki
と管メタル温度θMki、及び入口ガス温度補正値Δθ
GINiの予測開始時点の推定値が求められる。この予測開
始時点の状態変数の推定値を用いて、(2-81),(2-82)式
により、近い将来の蒸気温度の基準予測値を求める。こ
れについて説明する。先ず、(2-81),(2-82)式を新たに
予測式として次式で表す。
【0082】
【数16】 ^X(k)=Φ(k−1)・^X(k−1)+H(k−1)・U(k−1)+ε(k) (2-85) ε(k)=P(k)・C′(k)・W~1(k)・{Y(k)−C(k)・〜X(k)}(2-86) 〜X(k)=Φ(k−1)・^X(k−1)+H(k−1)・U(k−1) (2-87) …(数16) 予測は、この(2-85)式を用いて、kサンプリング時点
で、Nサンプリング先の状態量^X(k,N)を次式に
より求める。
【0083】
【数17】 ^X(k,1)=Φ(k−1)・^X(k)+H(k−1)・U(k−1)+ε(k) (2-88) ^X(k,2)=Φ(k−1)・^X(k,1)+H(k−1)・U(k−1)+ε(k) (2-89) ・ ・ ・ ^X(k,N)=Φ(k−1)・^X(k,N−1)+H(k−1)・U(k−1) +ε(k) (2-90) …(数17) 次に、本実施例における予測モデルの全体構成の一例を
図8に示す。
【0084】この予測モデルでは、図8に示すように、
給水ポンプ117から送られてくる水が節炭器(EC
O)130を経て火炉水壁(WW)108で加熱されて
蒸発し、1次過熱器(1SH)109,1次スプレ11
6,2次過熱器(2SH)110,2次スプレ120,3
次過熱器(3SH)111及び主蒸気加減弁121を経
て、高圧タービン122に送られる。また、高圧タービ
ン122を出た蒸気は、1次再熱器(1RH)112,
再熱スプレ132及び2次再熱器(2RH)113を経
て、中低圧タービン123に送られる。
【0085】このモデルにおいて、3つの過熱器10
9,110及び111には、図7で示される熱交換器モ
デルがそれぞれ適用されて、ガス温度計算モデル306
により入口ガス温度基準値θGINBi(θGINB1SH,θ
GINB2SH,θGINB3SH)及び補正値ΔθGINi(Δ
θGIN1SH,ΔθGIN2SH,ΔθGIN3SH)の和として求めら
れるガス温度θGINi(θGIN1SH,θGIN2SH,θGIN3SH
が与えられて、前記物理式により、それぞれの出口蒸気
温度が算出される。また、同様に、1次再熱器112及
び2次再熱器113では、上記過熱器と同様に、図7の
熱交換器モデルが各再熱器に適用されて、ガス温度計算
モデル306により入口ガス温度基準値θGINBi
GINB1RH,θGINB2RH)及び補正値ΔθGINi
θGIN1RH,ΔθGIN2RH)の和として求められるガス温度
θGINi(θGIN1RH,θGIN2RH)が与えられて、前記物理
式により、それぞれの出口蒸気温度が算出される。
【0086】本実施例では、これらの算出された蒸気温
度に基づいて、図7で示される熱交換器の物理モデルに
より先に説明した方法で近い将来の蒸気温度の基準予測
値を求める。また、以下で説明する統計モデルにより近
い将来の蒸気温度の補正予測値を求めて、次式によりこ
れら近い将来の蒸気温度の基準予測値と補正予測値を加
算して蒸気温度の予測値を求める。
【0087】
【数18】 y1P(k,N)=y1PB(k,N)+δy1P(k,N) y2P(k,N)=y2PB(k,N)+δy2P(k,N) y3P(k,N)=y3PB(k,N)+δy3P(k,N) y4P(k,N)=y4PB(k,N)+δy4P(k,N) (2-91) …(数18) ここで、y1P(k,N) :現在時点kにおいて、1次過
熱器出口蒸気温度T1SHのNサンプリング先の予測値 y2P(k,N) :現在時点kにおいて、2次過熱器出口
蒸気温度T2SHのNサンプリング先の予測値 y3P(k,N) :現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
のNサンプリング先の予測値 y4P(k,N) :現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSのNサンプリング先の予測値 y1PB(k,N) :現在時点kにおいて、1次過熱器出口
蒸気温度T1SHのNサンプリング先の基準予測値 y2PB(k,N) :現在時点kにおいて、2次過熱器出口
蒸気温度T2SHのNサンプリング先の基準予測値 y3PB(k,N) :現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
のNサンプリング先の基準予測値 y4PB(k,N) :現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSのNサンプリング先の基準予測値 δy1P(k,N):現在時点kにおいて、1次過熱器出口
蒸気温度T1SHのNサンプリング先の補正予測値 δy2P(k,N):現在時点kにおいて、2次過熱器出口
蒸気温度T2SH のNサンプリング先の補正予測値 δy3P(k,N):現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
のNサンプリング先の補正予測値 δy4P(k,N):現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSのNサンプリング先の補正予測値 本実施例では、統計モデルとして自己回帰移動平均(A
RMA:Auto Regressive Moving Average)モデ
ルを使用する場合について説明する。先ず、ARMAモ
デルは、次式で表される。
【0088】
【数19】
【0089】 ここで、x(k−N1−l):(k−N1−l)サンプリング時点における出力変数 ベクトル (l=1〜M) u(k−N2−l):(k−N2−l)サンプリング時点における入力変数 ベクトル(l=1〜M) ξ(k) :kサンプリング時点における観測ノイズベクトル A(l) :ARモデル係数マトリクス(l=1〜M) B(l) :MAモデル係数マトリクス(l=1〜M) N1 :出力変数の遅れ N2 :入力変数の遅れ M :遅れ次数 (2-91)式は、次式のように変形できる。
【0090】
【数20】
【0091】(2-93)式のモデル係数φの状態遷移式と観
測式は、次式で表される。
【0092】
【数21】 φ(k)=φ(k−1) (状態遷移式) (2-100) x(k)=H(k)φ(k)+ξ(k) (観測式) (2-101) …(数21) (2-100),(2-101)式のカルマン・フィルタは次式で与
えられ、これらの(2-102),(2-103)式によりモデル係
数φの推定値が求められる。
【0093】
【数22】 ^φ(k)=^φ(k−1)+P(k)H′(k)W~1(k){x(k) −H(k)^φ(k−1)} (2-102) P(k)={P~1(k−1)+H′(k)W~1(k)H(k)}~1 (2-103) …(数22) ここで、W(k):kサンプリング時点における観測ノイ
ズベクトルξ(k)の共分散マトリクス P(k):kサンプリング時点におけるモデル係数φ(k)
の推定誤差の共分散マトリクス 次に、(2-92)式で表されるARMAモデルにより、現在
時点kにおいてNサンプリング先の蒸気温度の補正予測
値δyiP(k,N)(i=〜4)を求める方法について説明
する。先ず、物理モデルにより求めた予測値の誤差は次
式で表される。すなわち、予測値の誤差は、物理モデル
により(k−N)サンプリング時点において予測したNサ
ンプリング先の蒸気温度の基準予測値yiP(k−N,N)
(i=1〜4)とkサンプリング時点における蒸気温度
i(k)(i=1〜4)との誤差δyiP(k)(i=1〜
4)と考えられる。
【0094】
【数23】 δy1P(k)=y1(k)−y1PB(k−N,N) δy2P(k)=y2(k)−y2PB(k−N,N) δy3P(k)=y3(k)−y3PB(k−N,N) δy4P(k)=y4(k)−y4PB(k−N,N) (2-104) …(数23) (2-104)式で定義された誤差δyiP(k)(i=1〜4)
は、(k−N−l)(l=0〜M−1)サンプリング時点
において予測したNサンプリング先の蒸気温度の基準予
測値yiP(k−N−l,N)(i=1〜4),(k−N−l)
(l=0〜M−1)サンプリング時点における蒸気温度
i(k−N−l)(i=1〜4)及び(k−N−l)
(l=0〜M−1)サンプリング時点における発電量目
標値z1(k−N−l)と相関があり、次式に示すARM
Aモデルにより表される。
【0095】
【数24】
【0096】次に、現在時点kにおいて、蒸気温度のN
サンプリング先の補正予測値δy1P(k,N)(i=1〜
4)は、(2-105),(2-106),(2-107)式から導かれ、次式
により求められる。
【0097】
【数25】
【0098】これら(2-108),(2-109),(2-110)式によ
り求められた近い将来の蒸気温度の補正予測値は、(2-9
1)式に示すように近い将来の蒸気温度の基準予測値に加
算され、蒸気温度の予測値が求められる。なお、(2-10
5),(2-108)式のモデル係数マトリクスB(l)(l=1〜
M)は、(2-102),(2-103)式で示すカルマン・フィルタ
により求められる。
【0099】本実施例では、以上で説明した蒸気温度の
予測値に基づいて、以下でさらに説明する本実施例の予
測制御システムにより、操作量が決定されるものであ
る。
【0100】次に、操作量決定システム4について説明
する。
【0101】操作量決定システム4は、目標値の近い将
来の予測値rP と蒸気温度の近い将来の予測値yp に基
づいて、操作量uを決定する。本実施例では、PI制御
により操作量uを決定している。そのアルゴリズムを次
式に示す。
【0102】
【数26】 Δuj(k)=uj(k)−uj(k−1) =KPj・[{rjP(k,N)−yjP(k,N)} −{rjP(k−1,N)−yjP(k−1,N)}] +KIj・{rjP(k,N)−yjP(k,N)} (j=1〜4) (2-111) …(数26) ここで、KPj:比例ゲイン KIj:積分ゲイン Δuj(k):現在時点kにおける操作量ujの変化分 次に、本実施例における予測特性について検討する。こ
こでは、最終段の過熱器について、物理式に基づいた複
数の集中定数化モデル及びガス温度計算モデルによりモ
デル化する場合(物理モデルのみの場合)と、当該物理
モデルの特性とプロセスの特性の差の特性を統計モデル
により同定し、当該物理モデルと当該統計モデルを組み
合わせて複合モデルを構成する場合と、を比較する。
【0103】先ず、物理式に基づいた複数の集中定数化
モデル及びガス温度計算モデルによりモデル化する場合
(物理モデルのみの場合)、実蒸気温度とその蒸気温度
の予測値を示すと図9のようになる。
【0104】同図から明らかなように、物理モデルのみ
により蒸気温度の予測値を求める場合には、物理モデル
のパラメータ調整が不完全なとき、蒸気温度の予測精度
が悪化する。
【0105】一方、物理モデルの特性とプロセスの特性
の差の特性を統計モデルにより同定し、物理モデルと統
計モデルを組み合わせて複合モデルを構成して、蒸気温
度の予測値を求める場合には、図9と同じ操作量に対し
て、実蒸気温度とその蒸気温度の予測値を示すと図10
のようになる。
【0106】この図から分かるように、物理モデルの特
性とプロセスの特性の差の特性を統計モデルにより同定
し、物理モデルと統計モデルを組み合わせて複合モデル
を構成して、蒸気温度の予測値を求める場合には、物理
モデルのパラメータ調整が不完全なときでも、統計モデ
ルにより物理モデルの予測値を補正するので、蒸気温度
の予測精度が悪化することなく、かつ、動特性を精度良
く模擬でき、予測精度が向上する。
【0107】なお、本実施例においては、予測制御と通
常制御を並置し、推定値あるいは予測値の誤差が予め定
めた範囲に入るときのみ予測制御を行うようにしてい
る。図1のスイッチ7は、この目的のために設けられて
いる。推定値あるいは予測値の誤差が大きい場合には、
通常のPI(比例積分)制御を行い、推定値あるいは予
測値の誤差が小さくなったら、予測制御に切り替える。
【0108】本実施例においては、物理モデルのモデル
化にあたり、本来は分布定数系である火力プラントの各
熱交換器(プロセス)のそれぞれを、当該熱交換器で成
り立つ物理式に基づいた複数の集中定数化モデル及びガ
ス温度計算モデルによりモデル化し、ガス温度計算モデ
ルでは、当該熱交換器の入口ガス温度を入口ガス温度基
準値と入口ガス温度補正値の和として求めるようにし、
この入口ガス温度補正値をカルマン・フィルタにより推
定しているが、分布定数系の特性の模擬は、当該熱交換
器で成り立つ物理式に基づいた複数の集中定数化モデル
及びガス温度計算モデルによるモデル化に限定されるも
のではない。むだ時間と熱交換器で成り立つ物理式に基
づいた集中定数化モデル及びガス温度計算モデルにより
モデル化してもよい。
【0109】本実施例では、ハードウエア構成として、
図4等に示されたようなものを有しているが、本発明
は、これに限定されない。例えば、図11に示すよう
に、各熱交換器の各分割領域毎に、コントローラを割り
当てて、物理モデルと統計モデルを組み合わせて蒸気温
度を予測及び制御してもよい。
【0110】また、図12に示すように、各熱交換器の
各分割領域毎に物理モデルと統計モデルを組み合わせて
蒸気温度を予測するコントローラ1230a,1230
b,1230c,…,1241cと、それらの予測され
た蒸気温度に基づいて操作量を決定するコントローラ1
250とを備える構成としても良い。
【0111】また、本実施例では、複数の熱交換器によ
り構成される火力プラントにおいて、各熱交換器のモデ
ルとして、物理式に基づいた複数の集中定数化モデルと
統計モデルを組み合わせたものを用いている。本発明
は、同様に、1つの熱交換器、すなわち、1つの分布定
数系だけからなるシステムについても適用できることは
言うまでもない。
【0112】また、本実施例は、火力プラントの例であ
るが、本発明は、これに限定されないことは言うまでも
ない。原子力プラント,化学プラント等にも適用でき
る。
【0113】次に、本発明を適用した第2の実施例を説
明する。
【0114】図13に、その予測制御システムの構成を
示す。
【0115】本実施例は、上記第一の実施例を石炭焚き
定圧貫流プラントの代わりに、ガス焚き変圧貫流プラン
ト(プロセス)600に適用したものである。本実施例
において、各熱交換器に対する予測モデル、及び、それ
らを用いた予測制御システムは、上記第1の実施例と同
じであるので、詳細な説明は省略する。
【0116】本実施例は、1次過熱器,2次過熱器及び
3次過熱器をそれぞれサブプロセスとして、各サブプロ
セスを、上記第1の実施例と同じように、物理式に基づ
く複数の集中定数化モデルで構成して、これらのサブプ
ロセスのモデルをカスケードに接続して組み込んだ物理
モデル蒸気温度予測システムと統計モデル蒸気温度予測
システムを組み合わせた蒸気温度予測システム601を
有するものである。
【0117】この予測システム601により、1次過熱
器出口蒸気温度,2次過熱器出口蒸気温度及び主蒸気温
度の近い将来値を予測して、この予測結果を用いて、P
I制御により、それぞれ燃料流量,1次スプレ流量及び
2次スプレ流量を操作する。本実施例では、1次,2
次,3次過熱器の出口蒸気温度に基づいて予測制御を行
っているが、本発明は、過熱器だけでなく、1次,2次
再熱器にも、同様に適用することができる。
【0118】また、本実施例では、第1の実施例と同様
に、予測と操作量決定を1つのコントローラで行うよう
な構成(図4参照)、または、それぞれ別のコントロー
ラで行う構成(図14参照)にしても良いが、図15の
ように、各過熱器,各再熱器毎にコントローラを設ける
構成にしても良い。
【0119】すなわち、各過熱器の蒸気温度予測及び制
御を行うコントローラ1210,1211,1212、
及び、各再熱器の蒸気温度予測及び制御を行うコントロ
ーラ1220,1221を、それぞれ設けることで、予
測制御計算の高速化を可能とすることができる。ここ
で、3次過熱器の出口蒸気温度は、図3に示される主蒸
気温度であり、2次再熱器の出口蒸気温度は、図3に示
される再熱蒸気温度である。
【0120】また、図16に示すように、各熱交換器の
蒸気温度予測と、その予測に基づく操作量の決定とを、
それぞれ別のコントローラで行うようにすることもでき
る。なお、図中において、2重枠で囲まれている各コン
トローラは、マイクロコンピュータ搭載のデジタルコン
トローラである。
【0121】本実施例では、(2-104)式で定義された誤
差δyiP(k)(i=1〜4)を(2-105)式で表すようにし
たが、別のARMAモデルにより表してもよい。すなわ
ち、誤差δyiP(k)(i=1〜4)は、(k−N−l)(l
=0〜M−1)サンプリング時点における誤差δy
iP(k)(i=1〜4)及び(k−N−l)(l=0〜M−1)
サンプリング時点における発電量目標値z1(k−N−
l)と相関があり、次式に示すARMAモデルにより表
してもよい。
【0122】
【数27】
【0123】このとき現在時点kにおいて、蒸気温度の
Nサンプリング先の補正予測値δy1P(k,N)(i=1〜
4)は、(2-112)〜(2-115)式から導かれ、次式により求
められる。
【0124】
【数28】
【0125】これら(2-116)〜(2-119)式により求められ
た近い将来の蒸気温度の補正予測値は、(2-91)式に示す
ように近い将来の蒸気温度の基準予測値に加算され、蒸
気温度の予測値が求められる。また、(2-112),(2-116)
式のモデル係数マトリクスA(l),B(l)(l=0〜M
−1)は、(2-102),(2-103)式で示すカルマン・フィル
タにより求められる。
【0126】また、本実施例では、(2-104)式で定義さ
れた誤差δyiP(k)(i=1〜4)を(2-105)式で表す
ようにしたが、さらに別のARMAモデルにより表して
もよい。すなわち、誤差δyiP(k)(i=1〜4)は、
(k−N−l)(l=0〜M−1)サンプリング時点におけ
る発電量目標値z1(k−N−l),(k−N−l)(l=0
〜M−1)サンプリング時点における燃料流量z2(k−
N−l)及び(k−N−l)(l=0〜M−1)サンプリン
グ時点における給水流量z3(k−N−l)と相関があ
り、次式に示すARMAモデルにより表してもよい。
【0127】
【数29】
【0128】このとき現在時点kにおいて、蒸気温度の
Nサンプリング先の補正予測値δy1P(k,N)(i=1〜
4)は、(2-120)〜(2-122)式から導かれ、次式により求
められる。
【0129】
【数30】
【0130】これら(2-123)〜(2-125)式により求められ
た近い将来の蒸気温度の補正予測値は、(2-91)式に示す
ように近い将来の蒸気温度の基準予測値に加算され、蒸
気温度の予測値が求められる。また、(2-120),(2-123)
式のモデル係数マトリクスB(l)(l=0〜M−1)は、
(2-102),(2-103)式で示すカルマン・フィルタにより求
められる。
【0131】これまで、(2-104)式で定義された誤差δ
iP(k)(i=1〜4)を(2-105)式,(2-112)式,(2-12
0)式で表すようにしたが、さらに別のARMAモデルに
より表してもよい。すなわち、誤差δyiP(k)(i=1
〜4)は、種々のプロセス量と相関があり、これらに対
応して種々のARMAモデルが考えられる。
【0132】また、(2-104)式で定義された誤差δy
iP(k)(i=1〜4)を(2-105)式,(2-112)式,(2-120)
式に示したように一組のモデル式で一括して求めるよう
にしたが、個々の誤差を別々のモデル式で求めるように
しても良い。
【0133】また、(2-105)式,(2-112)式,(2-120)式
のモデル係数マトリクスA(l),B(l)(l=0〜M−
1)は、(2-102),(2-103)式で示すカルマン・フィルタ
により求めるようにしたが、カルマン・フィルタに限る
必要は無い。例えば、逐次最小二乗法,UD分解フィル
タ,平方根フィルタ等の逐次同定法であれば利用でき
る。さらに、逐次同定法に限らず、ARMAモデルの同
定法であれば、最小二乗法等どのような手法でも利用で
きる。
【0134】また、本実施例では、統計モデルとして、
(2-105)式,(2-112)式,(2-120)式に示す線形ARMA
モデルを使用するようにしたが、非線形ARMAモデル
を使用するようにしてもよい。さらに、過去から現時点
までのデータを種々利用するモデルであれば、どのよう
な統計モデルでも使用できる。例えば、神経回路網(ニ
ューラルネットワーク)モデルも過去から現時点までの
データを種々利用する方法であり、使用できる。
【0135】また、本実施例では、熱交換器の物理モデ
ルにより近い将来の蒸気温度の基準予測値を求め、統計
モデルにより近い将来の蒸気温度の補正予測値を求め
て、これら近い将来の蒸気温度の基準予測値と補正予測
値を加算して、蒸気温度の予測値を求めているが、熱交
換器の物理モデルにより近い将来の蒸気温度の予測値I
を求め、統計モデルにより近い将来の蒸気温度の予測値
IIを求めて、次式に示すようにこれら近い将来の蒸気温
度の予測値Iと予測値IIを加算して、蒸気温度の予測値
を求めるようにしてもよい。
【0136】
【数31】 y1P(k,N)=K1I・y1PI(k,N)+K1II・y1PII(k,N) y2P(k,N)=K2I・y2PI(k,N)+K2II・y2PII(k,N) y3P(k,N)=K3I・y3PI(k,N)+K3II・y3PII(k,N) y4P(k,N)=K4I・y4PI(k,N)+K4II・y4PII(k,N) (2-126) …(数31) ここで、y1P(k,N) :現在時点kにおいて、1次過
熱器出口蒸気温度T1SHのNサンプリング先の予測値 y2P(k,N) :現在時点kにおいて、2次過熱器出口
蒸気温度T2SHのNサンプリング先の予測値 y3P(k,N) :現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
のNサンプリング先の予測値 y4P(k,N) :現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSのNサンプリング先の予測値 y1PI(k,N) :現在時点kにおいて、1次過熱器出口
蒸気温度T1SHのNサンプリング先の予測値I y2PI(k,N) :現在時点kにおいて、2次過熱器出口
蒸気温度T2SHのNサンプリング先の予測値I y3PI(k,N) :現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
のNサンプリング先の予測値I y4PI(k,N) :現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSのNサンプリング先の予測値I y1PII(k,N):現在時点kにおいて、1次過熱器出口
蒸気温度T1SHのNサンプリング先の予測値II y2PII(k,N):現在時点kにおいて、2次過熱器出口蒸
気温度T2SHのNサンプリング先の予測値II y3PII(k,N):現在時点kにおいて、主蒸気温度TMS
のNサンプリング先の予測値II y4PII(k,N):現在時点kにおいて、再熱蒸気温度T
RSのNサンプリング先の予測値II KiI :予測値Iに対する重み(i=1〜4) KiII :予測値IIに対する重み(i=1〜4) 予測値IIyiPII(k)(i=1〜4)を求める方法について
説明する。先ず、現時点kにおける蒸気温度yi(k)(i
=1〜4)は、(k−N−l)(l=0〜M−1)サンプリ
ング時点における蒸気温度yi(k−N−l)(i=1〜
4),(k−N−l)(l=0〜M−1)サンプリング時点に
おける発電量目標値z1(k−N−l),(k−N−l)(l
=0〜M−1)サンプリング時点における燃料流量z
2(k−N−l)及び(k−N−l)(l=0〜M−1)サン
プリング時点における給水流量z3(k−N−l)と相関
があり、次式に示すARMAモデルにより表される。
【0137】
【数32】
【0138】次に、現在時点kにおいて、蒸気温度のN
サンプリング先の予測値IIyiPII(k,N)(i=1〜4)
は、(2-127)〜(2-130)式から導かれ、次式により求めら
れる。
【0139】
【数33】
【0140】これら(2-131)〜(2-134)式により求められ
た近い将来の蒸気温度の予測値IIは、(2-126)式に示す
ように近い将来の蒸気温度の予測値Iに加算され、蒸気
温度の予測値が求められる。なお、(2-127),(2-131)式
のモデル係数マトリクスA(l),B(l)(l=1〜M)
は、(2-102),(2-103)式で示すカルマン・フィルタによ
り求められる。
【0141】また、予測値IIyiPII(k)(i=1〜4)を
求める他の方法について説明する。この方法は、繰返し
計算により予測値を求める方法である。先ず、現時点k
における蒸気温度yi(k)(i=1〜4)は、(k−l)
(l=1〜M)サンプリング時点における蒸気温度yi(k
−l)(i=1〜4),(k−l)(l=1〜M)サンプリン
グ時点における発電量目標値z1(k−l),(k−l)(l
=1〜M)サンプリング時点における燃料流量z2(k−
l)及び(k−l)(l=1〜M)サンプリング時点におけ
る給水流量z3(k−l)と相関があり、次式に示すAR
MAモデルにより表される。
【0142】
【数34】
【0143】次に、現在時点kにおいて、蒸気温度のN
サンプリング先の予測値IIyiPII(k,N)(i=1〜4)
は、(2-135)〜(2-138)式から導かれ、次式に示すように
繰返し計算により求められる。
【0144】
【数35】
【0145】これら(2-139)〜(2-142)式により求められ
た近い将来の蒸気温度の予測値IIは、(2-126)式に示す
ように近い将来の蒸気温度の予測値Iに加算され、蒸気
温度の予測値が求められる。なお、(2-135),(2-139)式
のモデル係数マトリクスA(l),B(l)(l=1〜M)
は、(2-102),(2-103)式で示すカルマン・フィルタによ
り求められる。
【0146】
【発明の効果】本発明によれば、プロセスのモデルを、
少なくとも1つの物理式に基づく集中定数化モデルを含
むモデル(物理モデル)により構成し、当該物理モデル
の特性とプロセスの特性の差の特性を統計モデルにより
同定し、当該物理モデルと当該統計モデルを組み合わせ
て複合モデルを構成するので、モデルの調整が短期間に
達成できる。また、当該物理モデルと当該統計モデルを
組み合わせた複合モデルを使用し、プロセスの近い将来
の動きを予測するので、高精度な予測値が得られる。さ
らに、この予測結果に基づいて操作量を決定するので、
制御性の向上も達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施例における予測制
御システムの全体構成を示すブロック線図。
【図2】本発明を適用する火力プラントの構成概要を示
す説明図。
【図3】本発明の第1の実施例を構成する火力プラント
制御システムの機能構成を示すブロック図。
【図4】前記図3に示すシステムのハードウエア構成の
一例を示すブロック図。
【図5】本発明の第1の実施例の蒸気温度予測モデル
(物理モデル)を示すブロック線図。
【図6】本発明の第1の実施例の集中定数化モデル(物
理モデル)における、熱交換器の熱伝達原理を示す説明
図。
【図7】本発明の第1の実施例の蒸気温度予測モデル
(物理モデル)の詳細を示すブロック線図。
【図8】本発明の第1の実施例の蒸気温度予測モデル
(物理モデル)の全体構成、および、水・蒸気とガス温
度との関係を示す説明図。
【図9】本発明の第1の実施例による予測特性(物理モ
デル)の比較を示すグラフ。
【図10】本発明の第1の実施例による予測特性(物理
モデル+統計モデル)の比較を示すグラフ。
【図11】本発明の制御システムのハードウエア構成の
他の例を示すブロック図。
【図12】本発明の制御システムのハードウエア構成の
他の例を示すブロック図。
【図13】本発明の第2の実施例の構成を示すブロック
線図。
【図14】前記図3に示すシステムのハードウエア構成
の他の例を示すブロック図。
【図15】前記図3に示すシステムのハードウエア構成
の他の例を示すブロック図。
【図16】前記図3に示すシステムのハードウエア構成
の他の例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…火力プラント、2…目標値予測システム、3…物理
モデル蒸気温度予測システム、4…統計モデル蒸気温度
予測システム、5…蒸気温度予測システム、6…操作量
決定システム、7…スイッチ、304…集中定数化熱交
換器モデル、304a,304b,304c…分割単位
ごとの熱交換器モデル、305…カルマン・フィルタ、
306…ガス温度計算モデル、307…エンタルピ変換
部、1100,1200…マスタ制御コントローラ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 美雄 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 遠山 栄二 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内 (72)発明者 菅野 彰 茨城県日立市大みか町五丁目2番1号 株 式会社日立製作所大みか工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のサブプロセスから構成されたプロセ
    スの操作量を、当該プロセスのモデルを使用して決定す
    るプロセス適応制御方法において、前記サブプロセスの
    うちの少なくとも1つを模擬するサブプロセスモデルを
    有し、該サブプロセスモデルを物理式に基づく少なくと
    も1つの集中定数化モデルからなる物理モデルにより構
    成し、該物理モデルの特性とプロセスの特性との差の特
    性を過去のデータを統計処理して構築した統計モデルに
    より同定し、これにより当該サブプロセスの状態量を求
    めて、当該状態量を用いてプロセスにおける操作量を決
    定することを特徴とするプロセス適応制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記サブプロセスに対
    応してサブプロセスの物理モデルを含み、このサブプロ
    セスの物理モデルの状態量を求め、これにより各サブプ
    ロセスの状態量の基準予測値を求め、また、前記サブプ
    ロセスに対応してサブプロセスの統計モデルを含み、該
    サブプロセスの統計モデルにより各サブプロセスの状態
    量の補正予測値を求め、物理モデルによるこれらの基準
    予測値と統計モデルによるこれらの補正予測値を組み合
    わせて各サブプロセスの状態量の予測値を求め、これら
    の予測値を用いて前記プロセスにおける操作量を決定す
    ることを特徴とするプロセス適応制御方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記サブプロセスに対
    応してサブプロセスの物理モデルを含み、複数の該サブ
    プロセスの物理モデルを前記サブプロセスが接続されて
    いる順に接続して、上流側のサブプロセスの物理モデル
    で求めた状態量を下流側のサブプロセスの物理モデルの
    入力変数として下流側のサブプロセスの物理モデルの状
    態量を求め、これにより各サブプロセスの状態量の基準
    予測値を求め、また、サブプロセスに対応してサブプロ
    セスの統計モデルを含み、複数の該サブプロセスの統計
    モデルにより各サブプロセスの状態量の補正予測値を求
    め、物理モデルによるこれらの基準予測値と統計モデル
    によるこれらの補正予測値を組み合わせて各サブプロセ
    スの状態量の予測値を求め、これらの予測値を用いて前
    記プロセスにおける操作量を決定することを特徴とする
    プロセス適応制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1つにおい
    て、前記状態量の一部または全部が制御量である、1つ
    または2つ以上のサブプロセスからなる前記プロセスに
    対して、各サブプロセスの物理モデルを、物理式に基づ
    く複数の集中定数化モデルの組み合わせ、あるいはむだ
    時間と物理式に基づく集中定数化モデルの組み合わせに
    より構成することを特徴とするプロセス適応制御方法。
  5. 【請求項5】複数のサブプロセスからなるプロセスのモ
    デルを内蔵し、このモデルを使用してプロセスの状態量
    を求めて操作量を決定するプロセス適応制御システムに
    おいて、前記サブプロセスのうちの少なくとも1つを模
    擬するサブプロセスモデルと統計モデルとを備え、該サ
    ブプロセスモデルを物理式に基づく少なくとも1つの集
    中定数化モデルからなる物理モデルにより構成し、該統
    計モデルを過去のデータを統計処理して構築し、該物理
    モデルの特性とプロセスの特性との差の特性を該統計モ
    デルにより同定し、これにより当該サブプロセスの状態
    量を求め、当該状態量を用いてプロセスにおける操作量
    を決定するようにしたことを特徴とするプロセス適応制
    御システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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