JPH09327292A - プロテインキナーゼnの改変タンパク質 - Google Patents

プロテインキナーゼnの改変タンパク質

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JPH09327292A
JPH09327292A JP8213245A JP21324596A JPH09327292A JP H09327292 A JPH09327292 A JP H09327292A JP 8213245 A JP8213245 A JP 8213245A JP 21324596 A JP21324596 A JP 21324596A JP H09327292 A JPH09327292 A JP H09327292A
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JP
Japan
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protein
protein kinase
amino acid
peptide
pkn
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JP8213245A
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Kozo Kaibuchi
淵 弘 三 貝
Isataka Ono
野 功 貴 小
Akihiko Iwamatsu
松 明 彦 岩
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Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腫瘍形成または転移を抑制するペプチド等の
提供。 【解決手段】 活性型Rhoタンパク質結合能を有し、
かつプロテインキナーゼ活性を有さないプロテインキナ
ーゼNの改変アミノ酸配列を有するペプチドまたはその
誘導体、およびプロテインキナーゼNのプロテインキナ
ーゼの活性または活性の亢進を阻害し、かつプロテイン
キナーゼ活性を有さないプロテインキナーゼNの改変ア
ミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体であるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、プロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列に
関し、更に詳細には、活性型Rhoタンパク質結合能を
有するPKNの改変アミノ酸配列に関する。
【0002】背景技術 生体内には、サブユニット構造を有さない分子量2〜3
万の一群の低分子量GTP結合タンパク質(Gタンパク
質)が存在している。現在、低分子量Gタンパク質のス
ーパーファミリーには酵母から哺乳動物に至るまですで
に50種類以上のメンバーが見出されている。低分子量
Gタンパク質は、アミノ酸配列の類似性からRas、R
ho、Rab、その他の4つのファミリーに大別するこ
とができる。この低分子量Gタンパク質は種々の細胞機
能を制御していることが明らかになってきており、例え
ば、Rasタンパク質は細胞の増殖や分化等を、Rho
タンパク質は細胞の形態変化や細胞接着、細胞運動等を
それぞれ制御していると考えられている。
【0003】このうちRhoタンパク質は、GDP/G
TP結合能および内在性GTPase活性を示し、リゾ
ホスファチジン酸(LPA)およびある種の成長因子等
のような細胞外シグナルに対する細胞骨格応答に関係し
ているとされている。不活性型であるGDP結合Rho
タンパク質にある刺激が与えられると、Smg GD
S、DblやOstのようなGDP/GTP変換タンパ
ク質の働きによって活性型であるGTP結合Rhoタン
パク質(以下、「活性型Rhoタンパク質」という)に
変換される。そして、この活性型Rhoタンパク質が標
的タンパク質に作用することによってストレス繊維およ
び接着斑が形成され、細胞接着および細胞運動等が誘導
されると考えられている(実験医学 vol.12,No.8,97-10
2(1994) 、Takai, Y. et al. Trends Biochem. Sci., 2
0, 227-231 (1995) )。一方、Rhoタンパク質内在性
GTPaseにより活性型Rhoタンパク質はGDP結
合Rhoタンパク質に変換される。この内在性GTPa
seの活性を亢進するタンパク質はGTPase活性化
タンパク質(GAP)(Lamarche, N. & Hall,A. eta
l.,TIG, 10, 436-440 (1994) )と呼ばれている。
【0004】RhoAタンパク質、RhoBタンパク
質、RhoCタンパク質、Rac1タンパク質、Rac
2タンパク質、Cdc42タンパク質のようなRhoフ
ァミリーのタンパク質のアミノ酸配列は、お互いに50
%以上の類似性がある。このRhoファミリーのタンパ
ク質は、リゾフォスファチジル酸(LPA)や増殖因子
のような細胞外シグナルに応答して、ストレス繊維(st
ress fiber)やフォーカルコンタクト(focal contact)
の形成を引き起こす反応に関与していると考えられてい
る(A. J. Ridley & A. Hall、Cell,70,389-399 (1992)
,A. J. Ridley &A. Hall, EMBO J.,1353,2600-2610(19
94))。また、サブファミリーであるRhoタンパク質
は、細胞の形態変化(H.F.Parterson et al., J.Cell B
iol.,111,1001-1007 (1990) )、細胞接着(Morii,N. e
t al.,J. Biol.Chem. 267, 20921-20926 (1992) 、T. T
ominaga et al.,J.Cell Biol., 120, 1529-1537(1993)
、Nusrat, A. et al.,Proc, Natl. Acad. Sci. USA, 9
2, 10629-10633 (1995)、Landanna, C. et al., Scie
nce 271, 981-983 (1996))、細胞運動(K. Takaishi
et al.,Oncogene,9,273-279 (1994))、細胞質***(c
ytokinesis )(K. Kishi et al.,J. Cell Biol.,120,1
187-1195(1993) 、I. Mabuchi et al.,Zygote,1,325-33
1(1993))のような細胞骨格の再編成をともなった生理
機能にも関連があると考えられている(本願の優先権主
張の基礎となる最初の出願の後に発行された刊行物に
印を付した。以下同じ。)。更に、Rhoタンパク質
は、平滑筋収縮(K. Hirata et al.,J. Biol. Chem.,26
7,8719-8722(1992) 、M. Noda et al., FEBS Lett., 36
7, 246-250(1995)、M. Gong et al.,Proc. Natl. Acad.
Sci.USA, 93,1340〜1345 (1996) .K. Kimura et a
l., Science 273, 245-248(1996))フォスファチジル
イノシトール 3−キナーゼ(PI3−キナーゼ)(J.
Zhang et al.,J. Biol. Chem.,268,22251-22254 (1993)
)、フォスファチジルイノシトール 4−リン酸 5
−キナーゼ(PI 4,5−キナーゼ)(L.D. Chong et
al.,Cell,79,507-513(1994))やc−fosの発現(C.
S. Hill et al.,Cell,81,1159-1170(1995) )の制御に
も関与していることが示唆されている。
【0005】また、最近では、アミノ酸配列を一部置換
したRhoタンパク質が細胞内に導入されるとRas依
存的な腫瘍形成が抑制されること等が見出され、Rho
タンパク質がRasによる細胞の形質転換、すなわち腫
瘍形成、において重要な役割を果たしていることが明ら
かにされている(G.C.Prendergast et al.,Oncogene,1
0,2289-2296(1995)、Khosravi-Far,R.,et al.,Mol.Cel
l.Biol.,15,6443-6453(1995)およびR.Qiu et al.、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA,92,11781-11785(1995) 、Lebo
witz,P.et al.,Mol.Cell.Biol.,15,6613-6622(1995)
)。
【0006】また、Rhoタンパク質のGDP/GTP
変換タンパク質が変異すると、細胞が形質転換すること
が明らかにされている(Collard,J.,Int.J.Oncol.,8,13
1 〜138(1996)、Hart,M. et al.,J.Biol Chem.,269,
62-65 (1994)、Horii,Y. etal., EMBO J., 13,4776-478
6 (1994) )。
【0007】さらに、Rhoタンパク質はガン細胞の浸
潤、すなわちガン転移に関与していることが明らかにさ
れている(Yoshioka,K.et al.,FEBS Lett.,372,25 〜28
(1995) )。ガン細胞の浸潤には、ガン細胞の細胞接着
能の変化が密接に関連しているが、Rhoタンパク質は
細胞接着に関与することが明らかにされている(前掲Mo
rii,N.et al.(1992)、Tominaga,T. et al.(1993)、Nusr
at,A.et al.(1995) 、Landanna,C.et al.(1996) )。
【0008】一方、最近、分子量約120kDaの新し
いプロテインキナーゼ(以下、「PKN」または「プロ
テインキナーゼN」という)が単離され、その全アミノ
酸配列が決定された。また、PKNは、プロテインキナ
ーゼCのプロテインキナーゼ触媒領域と高い相同性を有
する触媒領域を有していることが明らかとなり、実際に
セリン/スレオニン・キナーゼ活性を有する(Mukai,H.
& Ono,Y,Biochem.Biophys.Res.Commun.199,897-904(19
94) 、Mukai,H.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.20
4,348-356(1994) およびMukai,H.et al.,Biochem.Bioph
ys.Acta 1261,296-300(1995))。また、PKNの644
番目のLysをArgで置換するとプロテインキナーゼ
活性が失われる(前掲 Mukai, H. et al. )。
【0009】このプロテインキナーゼ活性はアラキドン
酸等の不飽和脂肪酸によって亢進する(Mukai, H. et a
l., Biochem. Biophys. Res. Commun., 204, 348-356
(1994); Kitagawa, M. et al., Biochem. J., 310, 65
7-664 (1994) )。ヒト、ラットおよびアフリカツメガ
エルのPKNのcDNAがクローニングされ、これらの
アミノ酸配列が決定されている(Mukai, H. & Ono, Y.,
Biochem. Biophys. Res. Commun., 199, 897-904 (199
4); Mukai, H. et al., Biochim. Biophys. Acta., 12
61, 296-300 (1995) )。ヒトPKNは942アミノ酸
残基からなるタンパク質で、そのカルボキシル末端の触
媒領域のアミノ酸配列はプロテインキナーゼCの触媒領
域のアミノ酸配列と高いホモロジーを示す。このことか
らPKNはプロテインキナーゼC関連キナーゼ1と呼ば
れることがある(Palmer, R. H. &Parker,P.J.,FEBS Le
tt.,356,5-8(1994)) 。
【0010】PKNのアミノ末端の調節領域には、複数
のロイシン・ジッパー配列が存在し、最もアミノ末端側
に存在するロイシン・ジッパー配列のアミノ末端側には
ポリベーシック領域が存在する。また、PKNには少な
くとも2種類のアイソザイム(プロテインキナーゼC関
連キナーゼ2および3)が存在することが報告されてい
る(Palmer, R. H. & Parker, P. J., FEBS Lett. 356,
5-8 (1994) )。
【0011】ごく最近(本願の優先権主張の基礎となる
最初の出願の後において)、PKNとは異なる哺乳類の
Rho標的タンパク質として、シトロン(Madaule, P.
et al., FEBS Lett. 377, 243-248 (1995))、ローフ
ィリン(Watanabe, G. et al., Nature 271, 645-648
(1996) )、p160ROCK(Ishizaki, T. et a
l., EMBO J. 15, 1885-1893 (1996) )、Rho結合
キナーゼ(Matsui, T. etal., EMBO J. 15, 2208-2216
(1996) )、ROKα(Leung, T. et al., J. Biol.
Chem. 270, 29051-29054 (1995))、ローテキン(Rei
d, T. et al., J.Biol. Chem. 271, 13556-13560 (199
6) )、ミオシン結合サブユニット(K. Kimura et a
l., Science 273, 245-248(1996))が同定された。ま
た、酵母(Saccharomyces serevisiae)のRho標的タ
ンパク質として、プロテイン・キナーゼC1(PKC
1)(Nonaka, H. et al., EMBO J. 14, 5931-5938 (19
95) )、1,3−β−グルカン合成酵素(Drgonova,
J. et al., Scinece 272, 277-279 (1996); Qadota,
H. et al., Scinece 272, 279-281 (1996))が同定さ
れた。
【0012】また、細胞骨格を構成する主な繊維成分と
しては微小管、アクチンフィラメント、および中間径フ
ィラメントが挙げられるが、これらがリン酸化等される
こと等により細胞骨格が制御されていることが知られて
いる( N. Inagaki et al.,Trend. Biochem. Sci., 19,
448-452(1994) )。また、中間径フィラメントに関し
てはその構造がアミノ酸配列レベルで解明されている
(Julien, J. et al., Biochim. Biophys. Acta 909, 1
0-20 (1987)(ヒト−ニューロフィラメント−L)、Myer
s, M. et al., EMBO J., 6, 1617-1626 (1987) (ヒト−
ニューロフィラメント−M)、Lees, J., et al., EMBO
J., 7, 1947-1955 (1988)( ヒト−ニューロフィラメン
ト−H)、Honore', B., et al., Nucl. Acid.Res., 1
8, 6692 (1990) (ヒト−ビメンチン))。しかし、中
間径フィラメントとPKNとの相互作用は、本発明者が
知る限り報告されていない。
【0013】また、種々の細胞および組織由来の骨格
筋、平滑筋、および非筋肉のα−アクチニンを包む、細
胞骨格タンパク質α−アクチニンの多数の異なったアイ
ソフォームが特徴づけられている。ヒトにおいては、骨
格筋型α−アクチニン( Beggs, A., et al., J. Biol.
Chem. 267, 9281-9288 (1992)においてHuActSk
1と呼ばれている)およびHuActSk1と強い配列
相同性(89%の相同性および80%の同一性)を有す
る非筋肉細胞骨格α−アクチニン( Beggs, A.,et al.,
J. Biol. Chem. 267, 9281-9288 (1992)においてHu
ActNmと呼ばれている)のクローンだけが単離され
ている( Millake, D. B., et al., Nucleic Acids Re
s. 17, 6725 (1989) 、および Youssoufian, H., et a
l., Am. J. Hum. Genet. 47,62-71 (1990))。種々のα
−アクチニン間で報告されている機能的な差異は、F−
アクチンへの筋肉アイソフォームの結合はCa2+によ
り阻害されるが、非筋肉アイソフォームの結合はCa
2+非感受性であることである(Burridge, K. & Feram
iscoo, J. R. Nature 294, 565-567 (1981)、Bennett,
J. P., et al., Biochemistry 23, 5081-5086 (1984)
、 Duhaiman, A. S. & Bamburg, J. R. Biochemistry
23, 1600-1608 (1984) 、および Landon, F., et al.,
Eur. J. Biochem. 153, 231-237 (1985) )。
【0014】α−アクチニンは、スペクトリン、ジスト
ロフィンなどを包含むスペクトリンのスーパーファミリ
ーの1メンバーである( Blanchard, A., et al., J. M
uscle Res. Cell Motil.10,280-289 (1989) 、Dubreui
l, R. R. Bioessays 13, 219-226 (1991)、および Benn
ett, V, Physiol. Rev. 70, 1029-1065 (1990) )。フ
ァミリーのメンバーは、N−末端のアクチン結合ドメイ
ン、中央のロッド形スペクトリン様リピート、およびC
−末端のEF−ハンド様ドメインにより特徴づけられ
る。α−スペクトリンはEF−ハンド様ドメインの代わ
りにN−末端に21個のロッド形リピートを含んでい
る。α−スペクトリンのC−末端はα−アクチニンに明
らかに一致しており、特にα−スペクトリンのリピート
20はα−アクチニンのリピート3に対して非常に高い
相同性を示し( Wasenius, V. M., et al., J. Cell Bi
ol. 108, 79-93 (1989) 、および Hong, W. J. & Doyl
e, D. J.Biol. Chem. 264, 12758-12764 (1989))、各
タンパク質間でのリピートの位置は互いにほぼ一致して
いる。
【0015】α−アクチニンは次の3つのドメインから
構成される:N−末端のアクチン結合ドメイン、内部に
4つの122アミノ酸のリピート(スペクトリン様リピ
ート)をもつ伸長ロッド形ドメイン、および1対の推定
上のらせん−ループ−らせんCa2+結合モチーフを含
有するC−末端領域(しばしばEF−ハンドと呼ばれ
る)((Blanchard, A., et al., J. Muscle Res. Cell
Motil.10,280-289 (1989))。しかし、α−アクチニン
とPKNとの相互作用は、本発明者らが知る限り報告さ
れていない。
【0016】更に、また、最近、増殖因子によって誘導
されるシグナル経路とストレスによって誘導されるシグ
ナル伝達経路が重複していることが多くのデータにより
示されている。Rhoファミリーの低分子量GTPas
eの他のメンバーであるRacおよびCdc42は、増
殖因子だけでなく、前炎症性サイトカインおよび紫外線
のようなストレスにより活性化され、ストレスにより活
性化されるMAPキナーゼの活性化に関与している(Mi
nden, A. Cell 81, 1147-1157(1995) 、Coso,O. et a
l., Cell 81, 1137-1146(1995) 、およびZhang, S. et
al., J. Biol. Chem. 270, 23934-23936(1995) )。最
近、リゾホスファチジル酸(LPA)、血清、およびス
トレス(例えば、亜ヒ酸塩および浸透圧ショック)は、
血清応答因子(SRF)による血清応答エレメント(S
RE)の活性化を介してc−fos転写を調節するが、
この際に機能的なRhoを必要とすることが報告されて
いる(Hill, C. S. et al., Cell 81. 1159-1170(199
5))。SRF活性化は、他のRhoファミリータンパク
質(RacやCdc42)では媒介されない(Hill, C.
S. et al., Cell 81. 1159-1170(1995))。以上の知見
より、Rhoタンパク質下流に、細胞核へのシグナル伝
達を担う未知の経路の存在が示唆されている(Vojtek,
A. & Cooper, J., Cell 82, 527-529 (1995))。
【0017】なお、本願の優先権主張の基礎となる最初
の出願の後に発行された刊行物に*を付した。
【0018】
【発明の概要】今般、本発明者らは、活性型RhoAタ
ンパク質が、PKNのアミノ末端領域に結合すること、
PKNのプロテインキナーゼ活性が活性型Rhoタンパ
ク質依存的に亢進されることを見い出した。また、PK
Nのアミノ末端の特定領域が、PKNと活性型Rhoタ
ンパク質との結合を阻害すること等を見い出した。
【0019】また、本発明者らは、PKNが、細胞の形
態を制御する細胞骨格タンパク質類(中間系フィラメン
トおよびα−アクチニン)と結合する、および/または
これらをリン酸化すること等を見い出した。ニューロン
特異的中間径フィラメントの1つのサブユニットである
ニューロフィラメント(以下「NF」ということがあ
る)LがPKNと結合すること、PKNのN末端調節領
域は、NFLだけでなく他の中間径フィラメントタンパ
ク質(NFの他のサブユニット(MおよびH)およびビ
メンチン)のヘッド・ロッドドメインまたはα−アクチ
ニンのスペクトリン様リピートおよびEFモチーフハン
ドと結合すること、精製したラットPKNはウシ脊髄か
ら抽出した天然のNF、およびバクテリアで合成した中
間径フィラメントタンパク質(NFの各サブユニットお
よびビメンチン)のヘッド・ロッドドメインをリン酸化
すること、PKNによるNFLのリン酸化がインビトロ
でNFLの重合を阻止すること等を見い出した。
【0020】また、PKNのアミノ末端領域がPKNの
カルボキシル末端領域と結合すること、およびPKNの
アミノ末端の特定領域がPKNのプロテインキナーゼの
擬似基質として働いている(PKNのプロテインキナー
ゼ活性を阻害する)こと等を見い出した。また、本発明
者らは、細胞をヒートショック、亜ヒ酸ナトリウム、ま
たは血清飢餓のようなストレスに曝すとPKNが可逆的
に細胞質から核内に移行すること、等を見出した。
【0021】本発明は以上の知見に基づくものである。
即ち、本発明は、活性型Rhoタンパク質結合能を有し
かつプロテインキナーゼ活性を有さないプロテインキナ
ーゼNの改変アミノ酸配列を有するペプチド、およびP
KNとRhoタンパク質との結合を阻害するペプチドの
提供をその目的とする。
【0022】また、本発明は、細胞骨格タンパク質(中
間径フィラメントおよび/またはα−アクチニン)結合
能を有するペプチド、PKNのプロテインキナーゼ触媒
領域結合能を有するペプチド、PKNのプロテインキナ
ーゼの活性を阻害するペプチド、PKNの細胞質から核
への移行を阻害するペプチドおよびPKNによりリン酸
化されるペプチドの提供をその目的とする。
【0023】更に、本発明は、該ペプチドをコードする
塩基配列、該塩基配列を含んでなるベクター、該ベクタ
ーによって形質転換された宿主細胞、該ペプチドまたは
タンパク質の製造法、該タンパク質等を含んでなる腫瘍
形成または転移抑制剤、および活性型Rhoタンパク質
とPKNとの結合を阻害する物質等のスクリーニング法
の提供をその目的とする。
【0024】なお、本発明者らは、本発明によるタンパ
ク質が、前記したRhoタンパク質結合性タンパク質
(シトロン、ローフィリン、p160ROCK、Rho
結合キナーゼ、ROKα、ローテキン、ミオシン結合サ
ブユニット、プロテイン・キナーゼC1(PKC1)、
および1,3−β−グルカン合成酵素)とは構造におい
て異なるものであることを確認している。尚、これらの
Rhoタンパク結合タンパク質は全て、本願の優先権主
張の基礎となる最初の出願の後において、同定されたも
のである。
【0025】
【発明の具体的説明】定義 本発明において、「アミノ酸」とは、光学異性体、すな
わちL体およびD体、のいずれをも含む意味で用いられ
るものとする。従って、本発明において「ペプチド」と
は、L体のアミノ酸のみによって構成されているペプチ
ドだけでなく、D体のアミノ酸を一部または全部含むペ
プチドをも意味するものとする。
【0026】また、本発明において、「アミノ酸」と
は、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸
のみならず、それら以外のα−アミノ酸、並びにβ−、
γ−、δ−アミノ酸および非天然のアミノ酸等を含む意
味で用いられるものとする。従って、下記のようにペプ
チドにおいて置換されるかまたはペプチド中に挿入され
るアミノ酸としては、天然のタンパク質を構成する20
種のα−アミノ酸だけに限定されることはなく、それら
以外のα−アミノ酸並びにβ−、γ−、δ−アミノ酸お
よび非天然のアミノ酸等であってもよい。このようなβ
−、γ−またはδ−アミノ酸としては、β−アラニン、
γ−アミノ酪酸あるいはオルニチンが挙げられ、また天
然タンパク質を構成するもの以外のアミノ酸あるいは非
天然のアミノ酸としては、3,4−ジヒドロキシフェニ
ルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルグリシ
ン、1,2,3,4−テトラハイドロイソキノリン−3
−カルボン酸あるいは二ペコチン酸等が挙げられる。
【0027】活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質 本発明による活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質
は、活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテ
インキナーゼ活性を有さないプロテインキナーゼNの改
変アミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体であ
る。ここで、「改変アミノ酸配列」とは、1以上のアミ
ノ酸配列が付加および/または挿入され、および/また
は1以上のアミノ酸が置換および/または欠失されるこ
とによって改変されたアミノ酸配列をいう。従って、活
性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロテインキ
ナーゼ活性を有さないPKNの部分アミノ酸配列(PK
Nの全アミノ酸配列の一部の配列から構成される)も改
変アミノ酸配列の一態様である。また、本明細書におい
て「タンパク質」とは、ペプチドを含む意味で用いられ
るものとする。更にまた、本明細書において「ペプチ
ド」というときは、ペプチドの誘導体を含む意味で用い
られることがある。
【0028】PKNの全アミノ酸配列は、例えば、ヒト
をその起源とするものは公知であり、その配列は配列番
号1に記載される通りである。ヒトのPKNの配列と相
同性を有するヒト以外の種(例えば、ラット、ウシ、ア
フリカツメガエル等)のPKNの全アミノ酸配列もここ
にいうPKNの全アミノ酸配列に含まれるものとする。
【0029】PKNは、例えば、そのcDNA配列を細
菌等において常法に従って発現させることによって得る
ことができる。cDNA配列は前記アミノ酸配列の一部
をコードする塩基配列をプローブとして用い、市販のc
DNAライブラリーをスクリーニングすることによって
得ることができる。ヒト由来のPKNの配列の単離は、
Mukai, H. & Ono, Y. Biochem. Biophys. Res. Commu
n. 199. 897-904 (1994) に記載の方法に従って行うこ
とができる。
【0030】PKNには、アイソザイムが存在する。こ
のようなアイソザイムとしては、プロテインキナーゼC
関連キナーゼ2およびプロテインキナーゼC関連キナー
ゼ3が挙げられる(前掲Palmer,R. et al.)。本明細書
において「プロテインキナーゼN」というときにはPK
Nのアイソザイムを含む意味で用いられるものとする。
【0031】PKNの起源は特に限定されず、ヒトを含
むホ乳類由来のものであっても、それ以外を由来とする
ものであってもよい。PKNは例えば H. Mukai et a
l., Biochem. Biophys. Res. Commun., 204, 348-356
(1994) または実施例1に記載の方法に従って得ること
ができる。
【0032】Rhoタンパク質としては、RhoAタン
パク質、RhoBタンパク質、RhoCタンパク質、ま
たはRhoGタンパク質が挙げられる。また、本明細書
においてRhoタンパク質は、Rhoタンパク質とPK
Nとの結合が実質的に損われないように改変されたRh
oタンパク質をも含むものとする。このような改変Rh
oタンパク質としては、14番目のアミノ酸をバリンに
置換したRhoA変異体(RhoAVal14 )、そのC末
端の脂質修飾部位を欠失したRhoA変異体(CLVL
- )、および14番目のアミノ酸をバリンに置換し、か
つそのC末端の脂質修飾部位を欠失したRhoA変異体
(RhoAVal14CLVL- )等が挙げられる。
【0033】本発明において、「活性型Rhoタンパク
質結合能を有するアミノ酸配列」とは、当業者により活
性型Rhoタンパク質との結合が認められたと評価され
るアミノ酸配列をいい、例えば、実施例1、4、5、お
よび16〜18と同様の条件において実験した場合に、
活性型Rhoタンパク質との結合が認められたと評価さ
れるアミノ酸配列を意味するものとする。
【0034】活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質
は、プロテインキナーゼ活性を有さない。本発明におい
て、「プロテインキナーゼ活性を有さない」とは、PK
Nのセリン/スレオニン・プロテインキナーゼ触媒能を
有さないことをいい、より具体的には配列番号1に記載
されるアミノ酸配列の541番または112番以降の配
列であって、1以上のアミノ酸配列が付加および/また
は挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換お
よび/または欠失されることによってセリン/スレオニ
ン・プロテインキナーゼ触媒能を有さない配列を、更に
ヒト以外の配列においてはこれらに相当する配列を、意
味するものとする。活性型Rhoタンパク質結合性タン
パク質は、また、細胞骨格タンパク質(中間径フィラメ
ントおよび/またはα−アクチニン)に結合するペプチ
ド、またはストレス条件下このPKNの細胞質から核へ
の移行を阻害するペプチドであることができる(後記実
施例参照)。
【0035】本明細書において、「ペプチドの誘導体」
とは、ペプチドのアミノ末端(N末端)のアミノ基また
は各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全部、お
よび/またはペプチドのカルボキシル末端(C末端)の
カルボキシル基または各アミノ酸の側鎖のカルボキシル
基の一部もしくは全部、および/または、ペプチドの各
アミノ酸の側鎖のアミノ基およびカルボキシル基以外の
官能基(例えば、水素基、チオール基、アミド基等)の
一部もしくは全部が、適当な他の置換基によって修飾を
受けたものをいう。適当な他の置換基による修飾は、例
えば、ペプチド中に存在する官能基の保護、安全性なら
びに組織移行性の向上、あるいは活性の増強等を目的と
して行われる。
【0036】ペプチドの誘導体としては、具体的には、
(1)ペプチドのアミノ末端(N末端)のアミノ基また
は各アミノ酸の側鎖のアミノ基の一部もしくは全部の水
素原子が、置換または非置換のアルキル基(直鎖、分岐
鎖または環状であってもよい)(例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、
ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロヘ
キシル基、ベンジル基)、置換または非置換のアシル基
(例えば、ホルミル基、アセチル基、カプロイル基、シ
クロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、フタロイル
基、トシル基、ニコチノイル基、ピペリジンカルボニル
基)、ウレタン型保護基(例えば、p−ニトロベンジル
オキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカル
ボニル基、p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニ
ル基、t−ブトキシカルボニル基)またはウレア型置換
基(例えば、メチルアミノカルボニル基、フェニルカル
ボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基)等によ
って置換されたもの、並びに
【0037】(2)ペプチドのカルボキシル末端(C末
端)のカルボキシル基または各アミノ酸の側鎖のカルボ
キシル基の一部もしくは全部が、エステル型の修飾を受
けているもの(例えば、その水素原子がメチル、エチ
ル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジ
ル、t−ブチル、4−ピコリルにより置換されたも
の)、アミド型の修飾を受けているもの(例えば、非置
換アミド、C1−C6アルキルアミド(例えば、メチル
アミド、エチルアミド、イソプロピルアミド)を形成し
ているもの、並びに
【0038】(3)ペプチドの各アミノ酸の側鎖のアミ
ノ基およびカルボキシル基以外の官能基(例えば、水素
基、チオール基、アミノ基等)の一部もしくは全部が、
上述のアミノ基と同様の置換基あるいはトリチル基など
で修飾されたもの等が挙げられる。活性型Rhoタンパ
ク質結合性タンパク質の具体例としては、活性型Rho
Aタンパク質結合能を有しかつセリン/スレオニン・プ
ロテインキナーゼ活性を有さない、ヒト−PKNの改変
アミノ酸配列を有するものが挙げられる。より具体的に
は、配列番号1の7〜540番のアミノ酸配列からなる
もの、7〜155番のアミノ酸配列からなるもの、1〜
538番のアミノ酸配列からなるもの、3〜135番の
アミノ酸配列からなるもの、および33〜111番のア
ミノ酸配列からなるもの、並びに活性型Rhoタンパク
質結合能を有するこれらの改変アミノ酸配列(例えば、
部分配列)からなるものが挙げられる。
【0039】活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質
としては、更に、配列番号1の74〜93番のアミノ酸
配列からなるもの、94〜113番のアミノ酸配列から
なるもの、および82〜103番のアミノ酸配列からな
るもの、並びに活性型Rhoタンパク質結合能を有する
これらの改変アミノ酸配列(例えば、部分配列)からな
るものが挙げられる。配列番号1の82〜103番のア
ミノ酸配列からなるペプチドは、後記実施例において示
されるように、Rhoタンパク質とPKNとの結合阻害
能(すなわち、活性型Rhoタンパク質結合能)におい
て優れたものである。
【0040】細胞骨格タンパク質(例えば、中間径フィ
ラメントおよびα−アクチニン)に結合する活性型Rh
oタンパク質結合性タンパク質としては、例えば配列番
号1の1〜474番および136〜189番のアミノ酸
配列が挙げられる。
【0041】細胞質から核へのプロテインキナーゼNの
移行を阻害する活性型Rhoタンパク質結合性タンパク
質としては、例えば配列番号1のアミノ酸配列であっ
て、644番目のLysをArgで置換したもの(PK
N−PK- )が挙げられる。
【0042】活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質
は、活性型Rhoタンパク質と結合することができる。
また、Rhoタンパク質は腫瘍の形成、転移をはじめと
して細胞形態、細胞運動、細胞接着、細胞質***、遺伝
子転写活性化等の細胞の機能発現に密接にかかわってい
る(前掲Takai, Y., et al. 、前掲G.C.Prendergast.et
al.、Khosravi-Far, R., et al .、R. Qiu et al. 、
Lebowitz 、P., et al., およびYoshioka,K.et al.
)。従って、活性型Rhoタンパク質結合性タンパク
質は、腫瘍の形成および転移の機構解明に有用であると
考えられる。また、活性型Rhoタンパク質結合性タン
パク質は、細胞の機能解明に有用であると考えられる。
【0043】活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻害
タンパク質 本発明による活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻害
タンパク質は、活性型Rhoタンパク質とプロテインキ
ナーゼNとの結合を阻害するプロテインキナーゼNの改
変アミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体から
なる。ここで、「改変アミノ酸配列」とは、前記と同様
の意味を表す。従って、活性型Rhoタンパク質とプロ
テインキナーゼNとの結合を阻害するPKNの部分アミ
ノ酸配列(PKNの全アミノ酸配列の一部の配列から構
成される)も改変アミノ酸配列の一態様である。
【0044】本発明において、「活性型Rhoタンパク
質とプロテインキナーゼNとの結合を阻害するアミノ酸
配列」とは、当業者により活性型Rhoタンパク質とP
KNとの結合の阻害が認められたと評価されるアミノ酸
配列をいい、例えば、実施例17と同様の条件において
実験した場合に、活性型Rhoタンパク質とPKNとの
結合の阻害が認められたと評価されるアミノ酸配列を意
味するものとする。
【0045】活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻害
タンパク質の具体例としては、配列番号1の7〜540
番のアミノ酸配列からなるもの、7〜155番のアミノ
酸配列からなるもの、1〜540番のアミノ酸配列から
なるもの、3〜135番のアミノ酸配列からなるもの、
および33〜111番のアミノ酸配列からなるもの、並
びに活性型Rhoタンパク質とPKNとの結合阻害能を
有するこれらの改変アミノ酸配列(例えば、部分配列)
からなるものが挙げられる。
【0046】活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻害
タンパク質としては、更に、配列番号1の74〜93番
のアミノ酸配列からなるもの、94〜113番のアミノ
酸配列からなるもの、および82〜103番のアミノ酸
配列からなるもの、並びに活性型Rhoタンパク質とP
KNとの結合阻害能を有するこれらの改変アミノ酸配列
(例えば、部分配列)からなるが挙げられる。配列番号
1の82〜103番のアミノ酸配列からなるペプチド
は、後記実施例において示されるように、活性型Rho
タンパク質とPKNとの結合阻害能において優れたもの
である。
【0047】本発明による活性型Rhoタンパク質−P
KN結合阻害タンパク質は、活性型Rhoタンパク質結
合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有さないプ
ロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列からなることが
できる。
【0048】また、活性型Rhoタンパク質結合性タン
パク質は、活性型Rhoタンパク質とプロテインキナー
ゼNとの結合を阻害するとの性質を有していてもよい。
【0049】従って、本発明によれば、活性型Rhoタ
ンパク質結合能を有し、プロテインキナーゼ活性を有さ
ず、そしてプロテインキナーゼNと活性型Rhoタンパ
ク質との結合を阻害するプロテインキナーゼNの改変ア
ミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体が提供さ
れる。
【0050】活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻害
タンパク質は、活性型Rhoタンパク質とPKNとの結
合を阻害することができる。また、Rhoタンパク質は
腫瘍の形成、転移をはじめとして細胞形態、細胞接着、
細胞運動、細胞質***遺伝子転写活性化等の細胞の機能
発現に密接にかかわっている(前掲Takai, Y., et al.
、前掲G.C.Prendergast.et al.、Khosravi-Far, R., e
t al .R. Qiu et al.および Lebowitz 、P., et al
)。従って、活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻
害タンパク質は、腫瘍の形成および転移の機構解明に有
用であると考えられる。また、活性型Rhoタンパク質
−PKN結合阻害タンパク質は、細胞の機能解明に有用
であると考えられる。
【0051】中間径フィラメント結合性タンパク質 本発明による中間径フィラメント結合性タンパク質は、
中間径フィラメント結合能を有し、かつプロテインキナ
ーゼ活性を有さないプロテインキナーゼNの改変アミノ
酸配列を有するペプチドまたはその誘導体からなる。こ
こで、「改変アミノ酸配列」とは、前記と同様の意味を
表す。従って、中間径フィラメント結合能を有し、かつ
プロテインキナーゼ活性を有さないPKNの部分アミノ
酸配列(PKNの全アミノ酸配列の一部の配列から構成
される)も改変アミノ酸配列の一態様である。
【0052】本発明において「中間径フィラメント」と
しては、ビメンチン、ニューロフィラメント−L(NF
L)、ニューロフィラメント−M(NFM)、ニューロ
フィラメント−H(NFH)、酸性ケラチン、中性ケラ
チン、塩基性ケラチン、デスミン、グリア線維酸性タン
パク質(GFAP)、ラミン、およびネスチンが挙げら
れる。
【0053】本発明において、「中間径フィラメント結
合能を有するアミノ酸配列」とは、当業者により中間径
フィラメントや中間径フィラメントのヘッド・ロッドド
メインとの結合が認められたと評価されるアミノ酸配列
をいい、例えば、中間径フィラメント、ヒトNFLの1
〜349番のアミノ酸配列、またはヒトNFMの1〜4
11番のアミノ酸配列との結合が認められたと評価され
るアミノ酸配列を意味するものとする。
【0054】中間径フィラメント結合性タンパク質は、
プロテインキナーゼ活性を有さない。本発明において、
「プロテインキナーゼ活性を有さない」とは、PKNの
セリン/スレオニン・プロテインキナーゼ触媒能を有さ
ないことをいい、より具体的には配列番号1の475番
または541番以降のアミノ酸配列であって、1以上の
アミノ酸配列が付加および/または挿入され、および/
または1以上のアミノ酸が置換および/または欠失され
ることによってセリン/スレオニン・プロテインキナー
ゼ触媒能を有さない配列を、更にヒト以外の配列におい
てはこれらに相当する配列を、意味するものとする。
【0055】中間径フィラメント結合性タンパク質の具
体例としては、中間径フィラメント結合能を有しかつセ
リン/スレオニン・プロテインキナーゼ活性を有さな
い、ヒト−PKNの改変アミノ酸配列を有するものが挙
げられる。より具体的には、配列番号1の1〜474番
のアミノ酸配列、1〜540番のアミノ酸配列、1〜3
2番のアミノ酸配列、112〜540番のアミノ酸配列
または112〜474番のアミノ酸配列からなるもの、
並びに中間径フィラメント結合能を有するこれらの改変
アミノ酸配列(例えば、部分配列)からなるものが挙げ
られる。
【0056】中間径フィラメント結合性タンパク質は、
中間径フィラメント結合能を有する。また、中間径フィ
ラメントは細胞骨格の情報伝達に関し重要な役割を担っ
ていることが知られている( N. Inagaki et al., Tren
d. Biochem. Sci., 19, 448-452 (1994))。従って、中
間径フィラメント結合性タンパク質は、腫瘍の形成およ
び転移の機構の解明に有用であると考えられる。また、
中間径フィラメント結合性タンパク質は、かかる情報伝
達機構の解明に有用であると考えられる。
【0057】α−アクチニン結合性タンパク質 本発明によるα−アクチニン結合性タンパク質は、α−
アクチニン結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性
を有さないプロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列を
有するペプチドまたはその誘導体からなる。ここで、
「改変アミノ酸配列」とは、前記と同様の意味を表す。
従って、α−アクチニン結合能を有し、かつプロテイン
キナーゼ活性を有さないPKNの部分アミノ酸配列(P
KNの全アミノ酸配列の一部の配列から構成される)も
改変アミノ酸配列の一態様である。
【0058】本発明において「α−アクチニン」として
は、骨格筋型α−アクチニンおよび非骨格筋型α−アク
チニンが挙げられる。
【0059】本発明において、「α−アクチニン結合能
を有するアミノ酸配列」とは、当業者によりα−アクチ
ニンやα−アクチニンの中間部(例えば、α−アクチニ
ンのスペクトリン様リピートおよびEFモチーフハン
ド、並びにヒト骨格筋型α−アクチニンの423〜65
3番、653〜837番、486〜607番、333〜
894番のアミノ酸配列またはヒト非骨格筋型α−アク
チニンの479〜600番、712〜843番のアミノ
酸配列)との結合が認められたと評価されるアミノ酸配
列をいう。
【0060】α−アクチニン結合性タンパク質は、プロ
テインキナーゼ活性を有さない。本発明において、「プ
ロテインキナーゼ活性を有さない」とは、PKNのセリ
ン/スレオニン・プロテインキナーゼ触媒能を有さない
ことをいい、より具体的には配列番号1の475番また
は541番以降のアミノ酸配列であって、1以上のアミ
ノ酸配列が付加および/または挿入され、および/また
は1以上のアミノ酸が置換および/または欠失されるこ
とによってセリン/スレオニン・プロテインキナーゼ触
媒能を有さない配列を、更にヒト以外の配列においては
これらに相当する配列を、意味するものとする。
【0061】α−アクチニン結合性タンパク質の具体例
としては、α−アクチニン結合能を有しかつセリン/ス
レオニン・プロテインキナーゼ活性を有さない、ヒト−
PKNの改変アミノ酸配列を有するものが挙げられる。
より具体的には、配列番号1の1〜540番、3〜13
5番、136〜540番、または136〜189番のア
ミノ酸配列からなるもの、並びにα−アクチニン結合能
を有するこれらの改変アミノ酸配列(例えば、部分配
列)からなるものが挙げられる。
【0062】α−アクチニン結合性タンパク質は、α−
アクチニン結合能を有する。また、α−アクチニンはア
クチン・フィラメント同志あるいはアクチン・フィラメ
ントと細胞接着装置等とをクロスリンクする細胞骨格タ
ンパク質であり、細胞形態、細胞接着、細胞運動等に関
し重要な役割を担っていることが知られている(前記従
来技術参照)。従って、α−アクチニン結合性タンパク
質は、RhoやPKNによる細胞形態や細胞接着の制御
の機構の解明に有用であると考えられる。また、α−ア
クチニン結合性タンパク質は、かかる情報伝達機構の解
明に有用であると考えられる。
【0063】PKN触媒領域結合性タンパク質 本発明によるPKN触媒領域結合性タンパク質は、PK
N触媒領域結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性
を有さないPKNの改変アミノ酸配列を有するペプチド
またはその誘導体からなる。ここで、「改変アミノ酸配
列」とは、前記と同様の意味を表す。従って、PKN触
媒領域結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有
さないPKNの部分アミノ酸配列(PKNの全アミノ酸
配列の一部の配列から構成される)も改変アミノ酸配列
の一態様である。
【0064】本発明において、「プロテインキナーゼN
のプロテインキナーゼ触媒領域結合能を有するアミノ酸
配列」とは、当業者によりPKNのプロテインキナーゼ
触媒領域との結合が認められたと評価されるアミノ酸配
列をいい、例えば、実施例11または12と同様の条件
において実験した場合に、PKNのプロテインキナーゼ
触媒領域との結合が認められたと評価されるアミノ酸配
列を意味するものとする。
【0065】ここで、本発明によるPKN触媒領域結合
性タンパク質が結合するプロテインキナーゼNのプロテ
インキナーゼ触媒領域としては、例えば、配列番号1の
511〜942番のアミノ酸配列、614〜942番の
アミノ酸配列、および634〜942番のアミノ酸配列
が挙げられる。
【0066】PKN触媒領域結合性タンパク質は、プロ
テインキナーゼ活性を有さない。本発明において、「プ
ロテインキナーゼ活性を有さない」とは、PKNのセリ
ン/スレオニン・プロテインキナーゼ触媒能を有さない
ことをいい、より具体的には配列番号1の541番また
は475番以降のアミノ酸配列であって、1以上のアミ
ノ酸配列が付加および/または挿入され、および/また
は1以上のアミノ酸が置換および/または欠失されるこ
とによってセリン/スレオニン・プロテインキナーゼ触
媒能を有さない配列を、更にヒト以外の配列においては
これらに相当する配列を、意味するものとする。
【0067】PKN触媒領域結合性タンパク質の具体例
としては、PKN触媒領域結合能を有しかつセリン/ス
レオニン・プロテインキナーゼ活性を有さない、ヒト−
PKNの改変アミノ酸配列を有するものが挙げられる。
より具体的には、配列番号1に記載の1〜540番のア
ミノ酸配列からなるものおよび1〜474番のアミノ酸
配列からなるもの、並びにPKN触媒領域結合能を有す
るこれらの改変アミノ酸配列(例えば、部分配列)から
なるものが挙げられる。
【0068】PKN触媒領域結合性タンパク質は、PK
Nのプロテインキナーゼ触媒領域結合能を有する。従っ
て、PKN触媒領域結合性タンパク質は、腫瘍の形成お
よび転移の機構の解明に有用であると考えられる。ま
た、PKNによる細胞情報伝達の解明に有用であると考
えられる。
【0069】PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチ
本発明によるPKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチ
ドは、プロテインキナーゼNのプロテインキナーゼの活
性を阻害し、かつプロテインキナーゼ活性を有さないプ
ロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列を有するペプチ
ドまたはその誘導体である。ここで、「改変アミノ酸配
列」とは、前記と同様の意味を表す。従って、PKNの
プロテインキナーゼの活性を阻害し、かつプロテインキ
ナーゼ活性を有さないPKNの部分アミノ酸配列(PK
Nの全アミノ酸配列の一部の配列から構成される)も改
変アミノ酸配列の一態様である。
【0070】本発明において、「プロテインキナーゼN
のプロテインキナーゼの活性を阻害する」とは、当業者
によりPKNのプロテインキナーゼの活性の阻害が認め
られたと評価されるアミノ酸配列をいい、例えば、実施
例14または15と同様の条件において実験した場合
に、PKNのプロテインキナーゼの活性の阻害が認めら
れたと評価されるアミノ酸配列を意味するものとする。
【0071】PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチ
ドは、プロテインキナーゼ活性を有さない。本発明にお
いて、「プロテインキナーゼ活性を有さない」とは、P
KNのセリン/スレオニン・プロテインキナーゼ触媒能
を有さないことをいい、より具体的には配列番号1の5
41番または475番以降のアミノ酸配列であって、1
以上のアミノ酸配列が付加および/または挿入され、お
よび/または1以上のアミノ酸が置換および/または欠
失されることによってセリン/スレオニン・プロテイン
キナーゼ触媒能を有さない配列を、更にヒト以外の配列
においてはこれらに相当する配列を、意味するものとす
る。
【0072】PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチ
ドの具体例としては、プロテインキナーゼNのプロテイ
ンキナーゼの活性を阻害し、かつセリン/スレオニン・
プロテインキナーゼ活性を有さない、ヒト−PKNの改
変アミノ酸配列を有するものが挙げられる。より具体的
には、配列番号1の39〜53番のアミノ酸配列からな
るもの、およびプロテインキナーゼの活性阻害能を有す
るこの改変アミノ酸配列(例えば、部分配列)からなる
ものが挙げられる。
【0073】PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチ
ドは、PKNのプロテインキナーゼの活性を阻害する。
従って、PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチド
は、腫瘍の形成および転移の機構の解明に有用であると
考えられる。また、PKNによる細胞情報伝達の解明に
有用であると考えられる。
【0074】本発明によるPKN触媒領域結合性タンパ
ク質は、PKNのプロテインキナーゼ活性阻害能を有し
ていても良い。また、PKNプロテインキナーゼ活性阻
害ペプチドは、PKNのプロテインキナーゼ触媒領域結
合能を有していても良い。
【0075】従って、本発明によれば、プロテインキナ
ーゼNのプロテインキナーゼ触媒領域結合能を有し、プ
ロテインキナーゼNのプロテインキナーゼ活性を阻害
し、そしてプロテインキナーゼ活性を有さないプロテイ
ンキナーゼNの改変アミノ酸配列を有するペプチドまた
はその誘導体が提供される。前記改変アミノ酸配列は、
配列番号1の1〜540番のアミノ酸配列、1〜474
番のアミノ酸配列もしくは39〜53番のアミノ酸配
列、またはPKNのプロテインキナーゼ触媒領域結合能
を有し、かつPKNのプロテインキナーゼ活性阻害能を
有するその部分配列であることができる。従って、PK
Nプロテインキナーゼ活性阻害ペプチドは、腫瘍の形成
および転移の機構の解明に有用であると考えられる。ま
た、PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチドは、P
KNによる細胞情報伝達の解明に有用であると考えられ
る。
【0076】被リン酸化ペプチド 本発明による被リン酸化ペプチドは、プロテインキナー
ゼNによりリン酸化されるプロテインキナーゼNの改変
アミノ酸配列を有するペプチドまたは誘導体である。こ
こで、「改変アミノ酸配列」とは、前記と同様の意味を
表す。従って、プロテインキナーゼNによりリン酸化さ
れるPKNの部分アミノ酸配列(PKNの全アミノ酸配
列の一部の配列から構成される)も改変アミノ酸配列の
一態様である。
【0077】本発明において、「プロテインキナーゼN
によりリン酸化されるアミノ酸配列」とは、当業者によ
りPKNによるリン酸化が認められたと評価されるアミ
ノ酸配列をいい、例えば、実施例9、10または13と
同様の条件において実験した場合に、PKNによるリン
酸化が認められたと評価されるアミノ酸配列を意味する
ものとする。
【0078】被リン酸化ペプチドは、プロテインキナー
ゼ活性を有さない。本発明において、「プロテインキナ
ーゼ活性を有さない」とは、PKNのセリン/スレオニ
ン・プロテインキナーゼ触媒能を有さないことをいい、
より具体的には配列番号1の541番以降のアミノ酸配
列であって、1以上のアミノ酸配列が付加および/また
は挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換お
よび/または欠失されることによってセリン/スレオニ
ン・プロテインキナーゼ触媒能を有さない配列を、更に
ヒト以外の配列においてはこれらに相当する配列を、意
味するものとする。
【0079】本発明による被リン酸化ペプチドの具体例
としては、PKNによりリン酸化されかつプロテインキ
ナーゼ活性を有さない、ヒト−PKNの改変アミノ酸配
列を有するものが挙げられる。より具体的には、配列番
号1の39〜53番のアミノ酸配列であって、46番の
IleがSerに置換されたもの、および配列番号2の
アミノ酸配列、並びにPKNによりリン酸化されるこれ
らの改変アミノ酸配列(例えば、部分配列)が挙げられ
る。
【0080】本発明による被リン酸化ペプチドは、ま
た、プロテインキナーゼNによりリン酸化される中間径
フィラメントおよびそれらの改変アミノ酸配列を有する
ペプチドまたはその誘導体である。
【0081】中間径フィラメントとしては、ビメンチ
ン、ニューロフィラメント−L、ニューロフィラメント
−M、ニューロフィラメント−H、酸性ケラチン、中性
ケラチン、塩基性ケラチン、デスミン、グリア線維酸性
タンパク質(GFAP)、ラミン、およびネスチン等が
挙げられる。
【0082】ここで、「改変アミノ酸配列」とは、前記
と同様の意味を表す。従って、PKNによりリン酸化さ
れる中間径フィラメントの部分アミノ酸配列(中間径フ
ィラメントの全アミノ酸配列の一部の配列から構成され
る)も改変アミノ酸配列の一態様である。
【0083】中間径フィラメントの部分アミノ酸配列と
しては、ビメンチンのヘッド・ロッドドメイン、ニュー
ロフィラメント−Lのヘッド・ロッドドメイン、ニュー
ロフィラメント−Mのヘッド・ロッドドメイン、ニュー
ロフィラメント−Hのヘッド・ロッドドメインが挙げら
れる。
【0084】上記において例示される中間径フィラメン
トの全アミノ酸配列は、例えば、ヒトをその起源とする
ものは公知であり、その配列はJulien, J. et al., Bio
chim. Biophys. Acta 909, 10-20 (1987)(ニューロフィ
ラメント−L) 、Myers, M.et al., EMBO J., 6, 1617-
1626 (1987) (ニューロフィラメント−M)、Lees,J.,
et al., EMBO J., 7, 1947-1955 (1988)( ニューロフィ
ラメント−H)、Honore', B., et al., Nucl. Acid.Re
s., 18, 6692 (1990) (ビメンチン)に記載される。
【0085】ヒトの中間径フィラメントの配列と相同性
を有するヒト以外の種(例えば、ラット、ウシ、アフリ
カツメガエル等)の中間径フィラメントの全アミノ酸配
列も、ここにいう中間径フィラメントの全アミノ酸配列
に含まれるものとする。
【0086】本発明による被リン酸化ペプチドは、ま
た、中間径フィラメント以外の細胞骨格タンパク質(例
えばG−アクチンおよびカルデスモン)およびそれらの
改変アミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体で
ある。
【0087】中間径フィラメント、G−アクチンおよび
カルデスモンの起源は特に限定されず、ヒトを含むホ乳
類由来のものであっても、それ以外を由来とするもので
あってもよい。
【0088】本発明による被リン酸化ペプチドは、腫瘍
の形成および転移の機構の解明に有用であると考えられ
る。また、PKNによる細胞情報伝達の解明に有用であ
ると考えられる。
【0089】PKN結合性細胞骨格タンパク質 本発明によるPKN結合性タンパク質は、PKN結合能
を有する細胞骨格タンパク質(例えば、中間系フィラメ
ントおよびα−アクチニン)の改変アミノ酸配列を有す
るペプチドまたはその誘導体からなる。ここで、「改変
アミノ酸配列」とは、前記と同様の意味を表す。従っ
て、PKN結合能を有する細胞骨格タンパク質の部分ア
ミノ酸配列(中間系フィラメントまたはα−アクチニン
の全アミノ酸配列の一部の配列から構成される)も改変
アミノ酸配列の一態様である。
【0090】本発明において「中間径フィラメント」と
しては、ビメンチン、ニューロフィラメント−L(NF
L)、ニューロフィラメント−M(NFM)、ニューロ
フィラメント−H(NFH)、酸性ケラチン、中性ケラ
チン、塩基性ケラチン、デスミン、グリア線維酸性タン
パク質(GFAP)、ラミン、およびネスチンが挙げら
れる。
【0091】本発明において「α−アクチニン」として
は骨格筋型と非骨格筋型とが挙げられる。本発明におい
て、「PKN結合能を有するアミノ酸配列」とは、当業
者によりPKNの結合が認められたと評価されるアミノ
酸配列をいう。
【0092】PKN結合性細胞骨格タンパク質の例とし
ては、中間径フィラメントのヘッド・ロッド・ドメイ
ン、α−アクチニンのスペクトリン様リピートおよびE
Fモチーフハンドが挙げられる。より具体的には、ヒト
−ニューロフィラメントLの1〜349番のアミノ酸配
列、ヒト−ニューロフィラメント−Mの1〜411番の
アミノ酸配列、ヒト骨格筋型α−アクチニンの423〜
653番、653〜837番、486〜607番のアミ
ノ酸配列からなるもの、ヒト非骨格筋型α−アクチニン
の479〜600番および712〜843番のアミノ酸
配列からなるもの、並びにPKN結合能を有するこれら
の改変アミノ酸配列(例えば、部分配列)からなるもの
が挙げられる。
【0093】PKN結合性細胞骨格タンパク質は、PK
N結合能を有する。従って、PKN結合性タンパク質
は、腫瘍の形成および転移の機構の解明に有用であると
考えられる。また、PKN結合性細胞骨格タンパク質
は、細胞情報伝達機構の解明に有用であると考えられ
る。
【0094】塩基配列 本発明によれば、前記ペプチドをコードする塩基配列が
提供される。PKNに関する塩基配列の典型的配列は、
配列番号1のDNA配列の一部または全部を有するもの
である。なお、本明細書において塩基配列とは、DNA
配列およびRNA配列のいずれをも意味するものとす
る。
【0095】前記改変アミノ酸配列が与えられれば、そ
れをコードする塩基配列は容易に定まり、配列番号1ま
たは2に記載されるアミノ酸配列をコードする種々の塩
基配列を選択することができる。従って、本発明による
ペプチドをコードする塩基配列とは、配列番号1または
2に記載される一部または全部のDNA配列に加え、同
一のアミノ酸をコードするDNA配列であって縮重関係
にあるコドンをDNA配列として有する配列をも意味す
るものとし、更にこれらに対応するRNA配列も含まれ
る。
【0096】本発明による塩基配列は、天然由来のもの
であっても、全合成したものであってもよい。また、天
然由来のものの一部を利用して合成を行ったものであっ
てもよい。DNAの典型的な取得方法としては、染色体
ライブラリーまたはcDNAライブラリーから遺伝子工
学の分野で慣用されている方法、例えば部分アミノ酸配
列の情報を基にして作製した適当なDNAプローブを用
いてスクリーニングを行う方法、等が挙げられる。
【0097】活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質
および活性型Rhoタンパク質−PKN結合阻害タンパ
ク質をコードする塩基配列としては、例えば、配列番号
1の55〜1656番、55〜501番、37〜165
0番、43〜441番、133〜369番、256〜3
15番、316〜375番、280〜345番のDNA
配列が挙げられる。
【0098】中間径フィラメント結合性タンパク質をコ
ードする塩基配列としては、例えば、配列番号1の37
〜1656番、373〜1656番、および373〜1
458番のDNA配列が挙げられる。
【0099】α−アクチニン月号性タンパク質をコード
する塩基配列としては、例えば、配列飯盒1の37〜1
656番、43〜441番、442〜1656番、およ
び442〜603番のDNA配列が挙げられる。
【0100】PKN触媒領域結合性タンパク質をコード
する塩基配列としては、例えば、配列番号1の37〜1
656番および37〜1458番のDNA配列が挙げら
れる。PKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチドをコ
ードする塩基配列としては、例えば、配列番号1の15
1〜195番のDNA配列が挙げられる。
【0101】ベクターおよび形質転換された宿主細胞 本発明によれば、前記の本発明による塩基配列を、宿主
細胞内で複製可能でかつその塩基配列がコードするタン
パク質を発現可能な状態で含んでなるベクターが提供さ
れる。更に、本発明によれば、このベクターによって形
質転換された宿主細胞が提供される。この宿主−ベクタ
ー系は特に限定されず、また、他のタンパク質との融合
タンパク質発現系などを用いることができる。融合タン
パク質発現系としては、MBP(マルトース結合タンパ
ク質)、GST(グルタチオンSトランスフェラー
ゼ)、HA(ヘマグルチニン)、ヒスチジン(His)
・リピート、myc、Fas等を用いたものが挙げられ
る。
【0102】ベクターとしては、プラスミドベクター
(例えば、原核細胞、酵母、昆虫細胞動物細胞等での発
現ベクター)、ウイルスベクター(例えば、レトロウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウ
イルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、センダイ
ウイルスベクター、HIVベクター)、リポソームベク
ター(例えば、カチオニックリポソームベクター)等が
挙げられる。
【0103】本発明によるベクターは、これを実際に宿
主細胞に導入して所望のアミノ酸配列を発現させるため
には、前記の本発明による塩基配列の他に、その発現を
制御する配列や微生物または動物培養細胞等を選択する
ための遺伝子マーカー等を含んでいてもよい。また、こ
のベクターは、本発明による塩基配列を反復した形(例
えば、タンデム)で含んでいてもよい。これらは常法に
従いベクターに存在させてよく、このベクターによる微
生物または動物培養細胞等の形質転換の方法も、この分
野で慣用されているものを用いることができる。
【0104】本発明によるベクター構築の手順および方
法は、遺伝子工学の分野で慣用されているものを用いる
ことができる。また、宿主細胞としては、例えば、大腸
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞(例えば、COS細胞、
リンパ球、繊維芽細胞、CHO細胞、血液系細胞、腫瘍
細胞等)が挙げられる。
【0105】上記形質転換された宿主細胞を適当な培地
で培養し、その培養物から上記本発明によるタンパク質
またはペプチドを得ることができる。従って、本発明の
別の面によれば、本発明によるタンパク質またはペプチ
ドの製造法が提供される。形質転換された宿主細胞の培
養およびその条件は、使用する細胞についてのそれと本
質的に同様であってよい。また、培養液からの本発明に
よるタンパク質等の回収、精製も常法に従って行うこと
ができる。
【0106】形質転換される細胞が例えばガン患者体内
のガン細胞(例えば、白血病細胞、消化器ガン細胞、肺
ガン細胞、スイ臓ガン細胞、卵巣ガン細胞、子宮ガン細
胞、メラノーマ細胞、脳腫腸細胞等)であるときは、そ
の前記の本発明による塩基配列を含むベクターをヒトを
含む生体内のガン細胞に適当な方法によって導入するこ
とによって、本発明によるタンパク質またはペプチドを
発現させることにより、悪性腫瘍等について遺伝子治療
を行うことができる。
【0107】例えば、本発明による活性型Rhoタンパ
ク質結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有さ
ないPKNの改変アミノ酸配列、あるいはPKNと活性
型Rhoタンパク質との結合を阻害するPKNの改変ア
ミノ酸配列がヒトを含む生体内で発現されることによ
り、活性型Rhoタンパク質がこれに結合(PKNと活
性型Rhoタンパク質との結合を阻害)し、その結果と
して活性型Rhoタンパク質からPKNへのシグナル伝
達が遮断され、Rhoタンパク質が関与する腫瘍の形成
または転移を抑制できると考えられる。
【0108】また、細胞骨格タンパク質結合性タンパク
質、すなわち中間径フィラメント結合性タンパク質およ
びα−アクチニン結合性タンパク質は、それぞれ、PK
Nから中間径フィラメントおよびα−アクチニンへのシ
グナル伝達を遮断することができ、プロテインキナーゼ
N触媒領域結合性タンパク質またはPKNプロテインキ
ナーゼ活性阻害ペプチドはPKNのリン酸化反応を阻害
することができる。後述するようにRhoタンパク質は
腫瘍形成または転移に密接に関わっていることから、そ
の下流のシグナル伝達を司るPKN、さらにその下流の
シグナル伝達を司る細胞骨格タンパク質も腫瘍形成また
は転移に密接に関わっていると考えられる。従って、こ
れらのタンパク質をヒトを含む生体内で発現させること
によりRhoタンパク質が関与する腫瘍の形成または転
移を抑制できると考えられる。遺伝子治療用のベクター
については、高久史磨監修の実験医学(増刊号)第12
巻、第15号「遺伝子治療の最前線」(1994年)を
参照できる。
【0109】用途/医薬組成物 前記のように本発明による活性型Rhoタンパク質結合
性タンパク質は、活性型Rhoタンパク質と結合するこ
とにより(PKNと活性型Rhoタンパク質との結合を
阻害することにより)、活性型Rhoタンパク質からP
KNへのシグナル伝達を遮断できると考えられる。ま
た、中間フィラメント結合性タンパク質およびα−アク
チニン結合性タンパク質は、PKNの調節領域と結合す
ることにより、それぞれPKNから中間径フィラメント
およびα−アクチニンへのシグナル伝達を遮断できると
考えられる。更に、PKN触媒領域結合性タンパク質お
よびPKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチドは、P
KNの触媒領域と結合することにより、PKNのリン酸
化反応を阻害できる。
【0110】一方、本発明による活性型Rhoタンパク
質結合性タンパク質は、PKNの細胞質から核への移行
を阻害する(後記実施例参照)ことからRhoタンパク
質によるガン遺伝子転写活性を抑制し、従って腫瘍形成
を阻害できると考えられる。具体的には、以下の通りで
ある。
【0111】まず、前掲 Hill, C. S. et al. によれ
ば、リゾホスファチジル酸、血清、およびストレス(例
えば、亜ヒ酸塩および浸透圧ショック)により、SRF
によるSRE活性化を介してc−fos転写が調節され
るが、この際に機能的なRhoタンパク質が必要とされ
る。このことより、Rhoタンパク質の下流に位置し、
細胞核へのシグナル伝達を担う未知の経路が示唆され
た。
【0112】一方、本発明者らによって、PKNはRh
oタンパク質の標的タンパク質であること(例えば、実
施例1および2)、およびヒートショック、亜ヒ酸ナト
リウムまたは血清飢餓によってPKNの細胞内分布が細
胞質から核へシフトすることが明らかとなった(実施例
19〜21)。また、PKN−PK- が過剰に発現され
た場合は、内在性の野生型PKNさえも核移行しなくな
る(実施例22)。
【0113】従って、キナーゼが不活性化された活性型
Rhoタンパク質結合性タンパク質またはPKNプロテ
インキナーゼ阻害ペプチドを、PKNの「ドミナント・
ネガティブ・インヒビター」として使用できる。即ち、
キナーゼ活性またはキナーゼドメインが不活性化された
または欠失した活性型Rhoタンパク質結合性タンパク
質またはPKNプロテインキナーゼ阻害ペプチドを細胞
内に過剰発現させることによって、PKN上流で働くシ
グナル伝達分子を中和させることができ、その結果、内
在性の野生型PKNが関与するシグナル伝達(細胞骨格
や核内へのシグナル伝達)を遮断できる。この結果、R
hoによるガン遺伝子の転写活性化が抑制できると考え
られる。
【0114】従って、本発明によるタンパク質は、腫瘍
の形成または転移を抑制するのに有効であると考えられ
る。従って、活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質
およびPKNプロテインキナーゼ活性阻害ペプチドは、
Rhoタンパク質が関与する(すなわち、Rhoタンパ
ク質を経由するシグナルの伝達による)腫瘍形成または
転移の抑制剤(以下「腫瘍形成等抑制剤」という)とし
て用いることができる。
【0115】ここで、腫瘍形成および転移としては、R
hoが関与する腫瘍の形成、他の低分子量Gタンパク質
(例えば、Ras、Rac、Cdc42、Ral等)が
関与する腫瘍の形成、低分子量Gタンパク質のGDP/
GTP交換タンパク質(例えば、Dbl、Ost等)が
関与する腫瘍の形成、リソフォスファチジン酸(LP
A)が関与する腫瘍の形成、受容体型チロシンキナーゼ
(例えば、PDGF受容体、EGF受容体等)、転写制
御タンパク質(myc、p53等)または種々のヒト腫
瘍ウイルスが関与する腫瘍の形成等が挙げられる。
【0116】本発明による腫瘍形成等抑制剤は、また、
経口または非経口投与(例えば、筋注、静注、皮下投
与、直腸投与、経皮投与、経鼻投与など)、好ましくは
経口投与することができ、薬剤として経口または非経口
投与に適した種々の剤型で、ヒトおよびヒト以外の動物
に使用される。
【0117】腫瘍形成等抑制剤は、例えばその用途に応
じて、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒
剤、トローチ錠などの経口剤、静注および筋注などの注
射剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤などのいず
れかの製剤形態に調製することができる。これらの各種
製剤は、通常用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、
湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝
剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化
剤、安定化剤などを用いて常法により製造することがで
きる。使用可能な無毒性の上記添加剤としては、例えば
乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネ
シウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン
酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエチレン
グリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノ
ール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウ
ム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどが挙げられ
る。
【0118】薬剤中における本発明のペプチド等の含有
量はその剤形に応じて異なるが、通常全組成物中約0.
1〜約50重量%、好ましくは約1〜約20重量%濃度
である。腫瘍形成および転移の治療のための投与量は、
用法、患者の年齢、性別、症状の程度などを考慮して適
宜決定されるが、通常成人1日当り約0.1〜約500
mg、好ましくは約0.5〜約50mg程度とするのが
よく、これを1日1回または数回に分けて投与すること
ができる。
【0119】本発明によれば、本発明によるタンパク質
またはペプチドを、腫瘍が形成されている細胞、または
その腫瘍が転移する恐れのある細胞に存在させることを
含んでなる、腫瘍形成または転移の抑制方法が提供され
る。この場合の有効投与量、投与方法、および投与形態
等は前記腫瘍形成等抑制剤に準ずることができる。
【0120】本発明によるタンパク質またはペプチドを
コードする塩基配列は、これを有する前記ベクターを用
いて標的細胞を形質転換し、腫瘍の形成または転移を抑
制する様な態様で用いることができる。すなわち該塩基
配列は腫瘍形成または転移抑制用遺伝子治療剤として用
いることができる。
【0121】スクリーニング法 本発明によれば、(1)スクリーニングの対象となる物
質を、活性型Rhoタンパク質とプロテインキナーゼN
または活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質とを含
むスクリーニング系に存在させ、そして
【0122】(2)活性型Rhoタンパク質と、プロテ
インキナーゼNまたは活性型Rhoタンパク質結合性タ
ンパク質との結合の阻害の程度を測定することを含む、
活性型Rhoタンパク質とプロテインキナーゼNとの結
合を阻害する物質のスクリーニ9グ法が提供される。
【0123】ここで、「結合の阻害の程度を測定する」
方法としては、無細胞系での組換え型PKNとGTPγ
S・GST−RhoAタンパク質との結合をグルタチオ
ンセファロースビーズを用いて測定する方法、動物細胞
(細胞系)内でのPKNとRhoタンパク質との結合を
免疫沈降とイムノブロットとを用いて測定する方法、ツ
ー・ハイブリッド・システム(two hybrid system )
(M.Kawabata 実験医学13,2111-2120(1995)、 A.B.Voj
etk et al.Cell 74,205-214(1993) )、後記のようにR
hoタンパク質GTPaseの活性または活性の亢進の
阻害の程度を測定する方法が挙げられ、例えば、実施例
1、実施例4の(1)および(2)、実施例5、並びに
実施例16〜18に記載される方法に準じて結合の阻害
の程度を測定できる。また、本明細書において「結合の
阻害の程度を測定する」とは結合の有無の測定を含む意
味で用いられるものとする。
【0124】スクリーニング系は細胞系または無細胞系
のいずれであってもよく、細胞系としては、例えば、酵
母細胞、COS細胞、大腸菌、昆虫細胞、線虫細胞、リ
ンパ細胞、繊維芽細胞(NIH3T3細胞、Balb/
c3T3細胞、Rat−1細胞等)、CHO細胞、血液
系細胞、および腫瘍細胞が挙げられる。スクリーニング
の対象となるものは、特に限定されないが、例えばペプ
チド、ペプチドのアナログ、微生物培養液、有機化合物
等が挙げられる。
【0125】本明細書において「スクリーニング」とは
「アッセイ」を含む意味で用いられるものとする。
【0126】本発明によれば、(1)スクリーニングの
対象となる物質を、活性型Rhoタンパク質と活性型R
hoタンパク質結合性タンパク質とを含むスクリーニン
グ系に存在させ、そして(2)Rhoタンパク質GTP
aseの活性の阻害の程度を測定することを含む、Rh
oタンパク質GTPaseの活性を阻害する物質のスク
リーニング法が提供される。
【0127】本発明によれば、また、(1)スクリーニ
ングの対象となる物質を、活性型Rhoタンパク質と、
活性型Rhoタンパク質結合性タンパク質と、そしてR
hoタンパク質GTPase活性化タンパク質(GA
P)とを含むスクリーニング系に存在させ、そして
(2)活性型Rhoタンパク質GTPaseの活性また
は活性の亢進の阻害の程度を測定することを含む、Rh
oタンパク質GTPaseの活性または活性の亢進を阻
害する物質のスクリーニング法が提供される。
【0128】「Rhoタンパク質GTPaseの活性ま
たは活性の亢進の阻害の程度」を測定する方法として
は、無細胞系で、MBP−PKN(実施例4参照)存在
下で、[γ−32P]GTP・GST−Rhoの放射能活
性の減少を測定する方法等が挙げられ、例えば、実施例
18に記載される方法に準じてRhoタンパク質GTP
aseの活性またはその活性の亢進の阻害の程度を測定
できる。スクリーニング系およびスクリーニング系の対
象は、前記スクリーニング法と同様のものが挙げられ
る。
【0129】本発明によれば、また、(1)スクリーニ
ングの対象となる物質を、中間径フィラメントとプロテ
インキナーゼNまたは中間径フィラメント結合性タンパ
ク質とを含むスクリーニング系に存在させ、そして
(2)中間径フィラメントと、プロテインキナーゼNま
たは中間径フィラメント結合性タンパク質との結合の阻
害の程度を測定することを含む、中間径フィラメントと
プロテインキナーゼNとの結合を阻害する物質のスクリ
ーニング法が提供される。
【0130】ここで、「結合の阻害の程度を測定する」
方法としては、無細胞系での組換え型プロテインキナー
ゼNと組換え型中間径フィラメントとの結合をグルタチ
オンセファロースビーズを用いて測定する方法、酵母ツ
ー・ハイブリッド・システムを用いて測定する方法、お
よび動物細胞内での中間径フィラメントとPKNとの結
合を免疫沈降とイムノブロットとを用いて測定する方法
等が挙げられ、例えば、実施例6〜8に記載される方法
に準じて結合の阻害の程度を測定できる。スクリーニン
グ系およびスクリーニングの対象は前記と同様のものが
挙げられる。
【0131】本発明によれば、更に、(1)スクリーニ
ングの対象となる物質を、中間径フィラメントとプロテ
インキナーゼNまたはプロテインキナーゼ活性を有する
その改変アミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導
体とを含むスクリーニング系に存在させ、そして(2)
中間径フィラメントの重合の阻害の程度を測定すること
を含む、中間径フィラメントの重合を阻害する物質のス
クリーニング法が提供される。
【0132】ここで、「重合の阻害の程度を測定する」
方法としては、無細胞系において組換え中間径フィラメ
ントのヘッド・ロッド ドメイン同士の結合をグルタチ
オンセファロースビーズ(G-Beads )を用いて測定する
方法等が挙げられ、例えば、実施例10に記載される方
法に準じて重合の阻害の程度を測定できる。また、本明
細書において「重合の阻害の程度を測定する」とは、重
合の有無の測定を含む意味で用いられる。スクリーニン
グ系およびスクリーニングの対象は前記と同様のものが
挙げられる。
【0133】本発明によれば、(1)スクリーニングの
対象となる物質を、骨格筋型α−アクチニンとプロテイ
ンキナーゼNまたはα−アクチニン結合性タンパク質と
を含むスクリーニング系に存在させ、そして(2)骨格
筋型α−アクチニンと、プロテインキナーゼNまたはα
−アクチニン結合性タンパク質との結合の阻害の程度を
測定することを含む、骨格筋型α−アクチニンとプロテ
インキナーゼNとの結合を阻害する物質のスクリーニン
グ法が提供される。
【0134】本発明によれば、また、(1)スクリーニ
ングの対象となる物質を、非骨格筋型α−アクチニン
と、プロテインキナーゼNまたはα−アクチニン結合性
タンパク質と、カルシウムイオン(Ca2+)とを含むス
クリーニング系に存在させ、そして(2)非骨格筋型α
−アクチニンと、プロテインキナーゼNまたはα−アク
チニン結合性タンパク質との結合の阻害の程度を測定す
ることを含む、非骨格筋型α−アクチニンとプロテイン
キナーゼNとの結合を阻害する物質のスクリーニング法
が提供される。
【0135】ここで、「結合の阻害の程度を測定する」
方法としては、無細胞系での組換え型プロテインキナー
ゼNと組換え型α−アクチニンとの結合をグルタチオン
セファロースビーズを用いて測定する方法、酵母ツー・
ハイブリッド・システムを用いて測定する方法、および
動物細胞内でのα−アクチニンとPKNとの結合を免疫
沈降とイムノブロットとを用いて測定する方法等が挙げ
られ、例えば、実施例24〜29に記載される方法に準
じて結合の阻害の程度を測定できる。スクリーニング系
およびスクリーニングの対象は前記と同様のものが挙げ
られる。
【0136】後記実施例によれば、スクリーニング系に
更にPI4,5P2を存在させるとPKNとα−アクチ
ニンとの結合が強固となる。従って、スクリーニングの
明確化の観点から、スクリーニング系にPI4,5P2
を存在させることが好ましい。
【0137】本発明によれば、(1)スクリーニングの
対象となる物質を、プロテインキナーゼNまたはプロテ
インキナーゼ活性を有するその改変アミノ酸配列を有す
るペプチドまたはその誘導体を含むスクリーニング系に
存在させ、そして(2)上記プロテインキナーゼNのプ
ロテインキナーゼの活性の阻害の程度を測定することを
含む、プロテインキナーゼNの活性を阻害する物質のス
クリーニング法が提供される。
【0138】本発明によれば、また、(1)スクリーニ
ングの対象となる物質を、活性型Rhoタンパク質と、
プロテインキナーゼNまたは活性型Rhoタンパク質結
合能を有し、かつプロテインキナーゼ活性を有するその
改変アミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体と
を含むスクリーニング系に存在させ、そして(2)上記
プロテインキナーゼNのプロテインキナーゼの活性また
はその活性の亢進の阻害の程度を測定することを含む、
プロテインキナーゼNの活性型Rhoタンパク質依存的
プロテインキナーゼの活性またはその活性の亢進を阻害
する物質のスクリーニング法が提供される。
【0139】「プロテインキナーゼの活性の阻害の程
度」または「プロテインキナーゼ活性の亢進の阻害の程
度」を測定する方法としては、プロテインキナーゼNの
自己リン酸化活性、またはリン酸化により活性が変化す
る酵素の活性を測定する方法が挙げられ、例えば、実施
例3、実施例4の(3)、実施例9、実施例10および
実施例13〜15に記載される方法に準じてプロテイン
キナーゼの活性またはその活性の亢進の阻害の程度を測
定できる。また、本明細書において「プロテインキナー
ゼの活性の阻害の程度」または「プロテインキナーゼの
活性亢進の阻害の程度」を測定するとは、プロテインキ
ナーゼの活性または活性亢進の阻害の有無の測定を含む
意味で用いられるものとする。
【0140】プロテインキナーゼの活性またはその活性
の亢進の阻害の程度は、ビメンチン、ニューロフィラメ
ント−L、ニューロフィラメント−M、ニューロフィラ
メント−H、ニューロフィラメントのトリプレットタン
パク質(NFL、NFMおよびNFHからなる複合
体)、αPKCペプチド、δPKCペプチド、配列番号
2に記載されるペプチド、カルデスモン、およびG−ア
クチンからなる群から選択される基質を用いて測定でき
る。スクリーニング系およびスクリーニングの対象は、
前記スクリーニング法と同様のものが挙げられる。
【0141】「プロテインキナーゼの活性の阻害の程
度」または「プロテインキナーゼ活性の亢進の阻害の程
度」を測定する方法としては、また、PKNの核移行を
免疫蛍光等によって測定する方法が挙げられ、実施例1
9〜21に記載される方法に準じてプロテインキナーゼ
の活性の阻害の程度またはプロテインキナーゼ活性の亢
進の阻害の程度を測定できる。この場合、スクリーニン
グ系は細胞系(例えば、NIH3T3細胞、Rat−1
細胞、Balb/c3T3細胞)を用いることができ
る。
【0142】活性型Rhoタンパク質は、前記のよう
に、腫瘍の形成、転移に密接に関わっていることが確認
されている。また、本発明により、PKNは活性型Rh
oタンパク質からのシグナル伝達を受け取ることが示さ
れたことにより、PKNもまた腫瘍の形成または転移に
密接にかかわっていると考えられる。従って、上記スク
リーニング法は、腫瘍形成または転移抑制物質のスクリ
ーニング法としても用いることができる。
【0143】
【実施例】下記例によって本発明を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。以下、Rhoタン
パク質を単に「Rho」と、RhoAタンパク質を単に
「RhoA」ということがある。
【0144】実施例1 活性型Rhoタンパク質結合タ
ンパク質の精製 200gのウシ脳灰白質より粗膜画分を調製した。膜画
分のタンパク質を、4M NaClを含む等量のホモジ
ェナイズ用バッファー(25mM Tris/HCl
(pH7.5)、5mM EGTA、1mM ジチオス
レイトール、10mM MgCl、10%シュークロ
ース)(100ml)を添加することにより抽出した
後、抽出液をバッファーA(20mM Tris/HC
l(pH7.5)、1mM EDTA、1mM ジチオ
スレイトール、5mM MgCl)に対して透析し
た。その後、固形硫安を最終濃度が40%飽和濃度とな
るように添加した。0−40%硫安での沈澱物を16m
lのバッファーAに溶解し、バッファーAに対して透析
した後、1mlのグルタチオン−セファロース・カラム
にかけた。素通り画分の8分の1量(2ml)を、予め
グアニン・ヌクレオチドで処理した相当するGST−低
分子量Gタンパク質6nmoleを含むグルタチオン−
セファロース・カラム0.25mlにかけた。2.5m
lのバッファーAで洗浄した後、10mMグルタチオン
を含むバッファーA(0.825ml)の添加により、
相当するGST−低分子量Gタンパク質とともに結合タ
ンパク質を溶出した。分子量128kDのタンパク質
(以下「p128」という)を精製するため、素通り画
分を24nMのGTPγS・GST−RhoAタンパク
質を含むグルタチオン−セファロース・カラム1mlに
かけた。p128は、0.2MNaClを含むバッファ
ーAの添加により溶出した。
【0145】この試料をバッファーAに対して透析し、
バッファーAで平衡化した0.3mlのDEAEセファ
ロース・カラムにかけた。50mM NaClを含むバ
ッファーA(1.5ml)で洗浄した後、タンパク質を
75mM NaClを含むバッファーA(1.5ml)
で溶出し、0.3mlずつの画分を集めた。各画分の3
0 μlずつをSDS−PAGEにかけ、銀染色によっ
て分析した。結果は図1に示される通りであった。示し
た結果は3回の独立した実験の代表例である。p128
は分画1−3に単一のピークとして現れた。
【0146】ここで用いたGST−RhoAタンパク質
およびGST−Rac1は、Shimizu, K. et al., J.Bi
ol. Chem. 269, 22917-22920 (1994) に記載の方法に従
って精製し、グアニンヌクレオチドをロードした。
【0147】実施例2 活性型Rhoタンパク質に結合
するタンパク質がPKNと同一であることの証明 精製p128をSDS−PAGEにかけ、ポリビニリデ
ン・ジフルオライド・メンブレンにトランスファーし
た。p128に相当するバンドをリジル−エンドペプチ
ダーゼ(アクロモバクター・プロテアーゼI)で消化し
た。結果として得られたペプチドをC18カラム・クロ
マトグラフィーにより分画し、アミノ酸配列分析にかけ
て同定した。ペプチドに由来する5つの内部配列が得ら
れ、これらは配列番号1に記載のPKNの配列の一部と
一致した。
【0148】また、抗PKN抗体(Mukai,H.et al.,Bio
chem.Biophys.Res.Commun.204,348-356(1994) )を用い
て、p128のイムノブロット解析を実施したところ、
p128と交差反応を示した。結果は図2に示される通
りであった。
【0149】実施例3 活性型Rhoタンパク質に依存
的なPKNキナーゼ活性 2μM[γ−32P]ATP(600−800MBq/
mmol)および精製PKN(10ngのタンパク質
量)を含むキナーゼ・バッファー(50mM Tris
/HCl(pH7.5)、1 mM EDTA、5 m
M MgCl、0.06%CHAPS)50μl中
で、40μM αPKC存在下または非存在下で、キナ
ーゼ反応を実施した。30℃で10分間インキュベーシ
ョンした後、反応液をSDS−サンプル・バッファー中
で煮沸し、自己リン酸化反応を測定するためにSDS−
PAGEにかけた。放射能で標識されたバンドをオート
ラジオグラフィーによって見ることができるようにし
た。キナーゼ活性を測定するために、反応液をワットマ
ンp81ペーパー上にスポットした。αPKCペプチド
への32Pの取り込みは、シンチレーション・カウンテ
ィングにより測定した。
【0150】(1)PKNの自己リン酸化 様々な低分子量Gタンパク質(各50pmolずつ)の
存在下でPKNの自己リン酸化反応を測定した。結果は
図3に示される通りであった。
【0151】(2)αPKCペプチドに対するPKNキ
ナーゼ活性の活性型RhoAタンパク質による容量依存
的な活性化 様々な容量のGDP・GST−RhoAタンパク質また
はGTPγS・GST−RhoAタンパク質の存在下
に、40μMのαPKCペプチドを用いてキナーゼ反応
を実施した。結果は図4に示される通りであった。
【0152】(3)PKNのキナーゼ活性における様々
な低分子量Gタンパク質の効果 様々な低分子量Gタンパク質(50pmolずつ)また
はアラキドン酸(2nmol)の存在下に、40μMの
αPKCペプチドを用いてキナーゼ反応を実施した。結
果は図5に示される通りであった。示した結果は3回の
独立した実験の代表例である。
【0153】実施例4 PKNと活性型Rhoタンパク
質との結合、およびインビボでRhoタンパク質によっ
て誘導されるPKNの自己リン酸化反応 (1)無細胞系での組換え型PKNとGTPγS・GS
T−RhoAタンパク質との結合 PKNのN末端領域は、PKN全長cDNA(H.Mukai
& Y.Ono,Biochem.Biophys.Res,Commun.199,897-904(199
4))を鋳型として、プライマー(5′−AATTTGG
ATCCTTGCAGAGTGAGCCTCGCA−
3′および5′−TATATGGATCCTCAGCC
ATTGCTGTAGGTCTGGAT−3′)を用い
て常法に従って、PCR法により増幅することにより調
製した。PKNのN末端領域(配列番号1の7〜155
番のアミノ酸配列)をMBP融合タンパク質(以下、
「MBP−PKN」という)として発現させ、アミロー
ス樹脂(ニュー・イングランド・バイオラボ社製)によ
って精製した。
【0154】MBP−PKN(0.2nmol)を、
0.75 nmolのGST、GDP・GST−Rho
A、GTPγS・GST−RhoA、GTPγS・GS
T−RhoAAsp38、GDP・GST−Rac、G
TPγS・GST−Rac、GDP・GST−H−Ra
sまたはGTPγS・GST−H−Rasを含む30μ
lのグルタチオン−セファロース・ビーズと、1mg/
mlのウシ血清アルブミンを含むバッファーA(0.7
5ml)中で混合した。0.2M NaClを含む0.
1mlのバッファーAを三回添加した後、10mMグル
タチオンを含む0.1mlのバッファーAを三回添加す
ることにより、MBP−PKNを溶出した。グルタチオ
ンで溶出された最初の各画分30μlをSDS−PAG
Eにかけ、銀染色した。結果は図6に示される通りであ
った。また、配列番号1の7〜540番のアミノ酸配列
からなるPKNのN末端領域をMBP融合タンパク質と
して発現させ、上記と同様の実験を行ったところ、同様
の結果が得られた。
【0155】(2)COS7細胞内におけるPKNと活
性型RhoAタンパク質との結合 COS7細胞(ATCC CRL 1651)内での複
合体形成アッセイのために、Mukai,H. & Ono.Y,Bioche
m.Biophys.Res.Commun.199,897-904(1994) に記載され
るように、pMh−PKN7およびpTB701−HA
−RhoAまたはpTB701−HA−RhoA
Val14をCOS7細胞へトランスフェクションし
た。48時間後、細胞を回収し、ホモジェナイズ用のバ
ッファー(30mMTris/HCl(pH7.5)、
0.5mM NaVO、5mM NaF、2.5μ
g/ml ロイペプチン、0.05% NP−40、
0.05MNaCl)にけん濁した後、ダウンス・ホモ
ジェナイザーを用いてホモジェナイズした。各細胞質抽
出液より抗HA抗体を用いて免疫沈降した。
【0156】免疫沈降物中に、PKNまたはRhoAタ
ンパク質が存在をしているかどうかを調べるために、洗
浄した免疫沈降物および細胞質抽出液をSDS−PAG
Eにかけ、抗PKN抗体または抗HA抗体を用いて、イ
ムノブロットした。結果は図7に示される通りであっ
た。
【0157】(3)LPAによるPKN自己リン酸化反
応の促進 スイス3T3細胞を35mmディッシュで培養し、0.
5mCiの32Pまたはチオフォスフェートで2時間標
識した。32Pで標識したスイス3T3細胞をLPA
(200ng/ml)によって10分間刺激した。Rh
oタンパク質の選択的な阻害剤であるボツリヌス菌C3
酵素の影響を検討するために、Kumagai,K.et al.J.Bio
l.Chem.268,24535-24538(1993) に記載されるようにボ
ツリヌス菌C3酵素(10μg/ml)で処理した。そ
の後細胞を溶解し、抗PKN抗体を用いて免疫沈降し
た。洗浄した免疫沈降物をSDS−PAGEにかけオー
トラジオグラフィーした。結果は図8に示される通りで
あった。すなわち、LAPはスイス3T3細胞内でPK
Nの自己リン酸化を約2倍に促進し、一方、この自己リ
ン酸化はボツリヌス菌C3酵素によって抑制された。示
した結果は3回の独立した実験の代表例である。
【0158】実施例5 酵母ツー・ハイブリッド・シス
テムによるRhoタンパク質とPKNとの結合の測定 A.B.Vojetk et al.Cell 74,205-214(1993)に記載の方
法に準じて、野生型H−Ras、C末端のCAAX構造
(S.Ando et al. 実験医学11,1973-1980(1993))を除去
した野生型RhoA、および変異型RhoAVal14
cDNA断片を、pBTM116ベクター(前掲A.B.Vo
jetk et al)内に導入することにより、これらとLex
Aを融合タンパク質として酵母細胞中で発現させるため
のベクター(それぞれ、pBTM116−RasWT、
pBTM116−RhoWT、pBTM116−Rho
Val14とする)を構築し、これらを用いて酵母(L
40株)を形質転換した。
【0159】また、PKNのN末端領域(配列番号1に
記載のアミノ酸配列の7〜155番の配列)のcDNA
をpACTベクター(クロンテック社製、MATCHMAKERラ
イブラリーキット)のBamHI部位内に導入すること
により、これとGAL4を融合タンパク質として酵母細
胞中で発現させるためのベクター(pACTIIHK−
PKN−Nとする)を構築した。この際に用いたPKN
のN末端領域に相当するcDNA断片は実施例4の
(1)に記載される方法に従って得た。
【0160】pBTM116−RasWT、pBTM1
16−RhoWT、pBTM116−RhoVal14
で形質転換した酵母を、さらにpACTIIHK−PK
N−Nを用いて形質転換した。形質転換体はヒスチジン
要求性で選択した(A.B.Vojetk et al Cell 74,205-214
(1993))。
【0161】その結果、図9に示したように、PKNの
N末端領域(アミノ酸配列の7〜155番)は、野生型
RhoAおよび変異型RhoAVal14の両方に結合
することがわかった。
【0162】実施例6 酵母ツー・ハイブリッド・シス
テムを使用したPKN結合タンパク質の単離 ヒトPKNのN末端領域と結合するタンパク質を同定す
るために、酵母ツー・ハイブリッド・システムを使用し
た。キメラタンパク質としては、ヒトPKNのN末端領
域に融合したGAL4タンパク質のDNA結合ドメイン
を含んでいるものを用いた。即ち、配列番号1の1〜5
40番のアミノ酸配列(この領域を以下「PKNN1」
という)をコードするEcoRI/BamHIフラグメ
ントをベクターpGBT9(Clontech Laboratories
社)に挿入した。このベクターはGal4のDNA結合
ドメイン(アミノ酸番号1〜147)とPKNのN末端
調節領域の融合タンパク質をcrippledしたAD
Hプロモーターにより発現される。TRP1マーカーを
持つこのプラスミドを、ヒト脳cDNAライブラリー
(Clontech Laboratories 社; 各プラスミドはLEU2
マーカーを有している)と共に酵母株YGH1(a、ur
a3-52 、his3-200、ade2-101、lys2-801、trp1-901、le
u2-3、 Canr 、gal4-542、gal80-538 、LYS2::galIuas
- galItata-HIS3、URA3::galI-lacZ )中にコトランス
フェクションした。形質転換体は、ロイシン、トリプト
ファンおよびヒスチジンを含まず10mMの3−アミノ
−1,2,4,トリアゾール(3−AT)を添加した酵
母ドロップアウト培地に播種した。
【0163】約1×10個の形質転換体を分析した。
増殖7〜14日後に、HIS+コロニーについて、以下
のようにしてβ−ガラクトシダーゼ活性を調べた。コロ
ニー(または陽性コロニーに由来するパッチ)を直接プ
レートからHybond−Nナイロン膜(Amersh
am社)上に取り出し、液体窒素中で素早く凍結し(約
40秒)、そして直ちに、β−ガラクトシダーゼアッセ
イ緩衝液(60mMNaHPO、60mM NaH
PO、10mM KCl、1mM MgSO、5m
M DTT、0.01% 5−ブロモ−4−クロロ−3
−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−ga
l))中にあらかじめ浸漬しておいたWhatman
3MMフィルター上に置いた。フィルターをディッシュ
に入れ、30℃でインキュベートした。プラスミドDN
Aを陽性コロニーから回収し、エレクトロポーレーショ
ンによって大腸菌HB101株中に導入した。主要な陽
性クローンは、Gal4 DNA結合ドメイン−PKN
またはGal4 DNA結合ドメイン−p53腫瘍抑制
タンパク質と組み合わせて元の酵母宿主株に再度トラン
スフェクションした。PKNの存在下でのみマーカーを
発現したライブラリープラスミドを更に分析した。DN
A配列分析により判定した結果、16種の異なるcDN
Aを含む82個のプラスミドを単離した。塩基配列分析
の結果、これらのcDNAの1つはNFLタンパク質の
ヘッド・ロッドドメインをコードしてることがわかっ
た。
【0164】実施例7 酵母ツー・ハイブリッド・シス
テムを使用したPKNと各種NF断片との結合の測定 PKNと各種NF間の結合の特異性を、ツー・ハイブリ
ッドコンストラクトであるpBTM116(Vojtek, A.
B. et al., Cell, 74, 205-214 (1993))(pGBT9
の代わりに)−PKNおよびpVP16(Vojtek, A.
B. et al., Cell, 74, 205-214 (1993))(pGAD1
0の代わりに)−NF、またはその逆の組み合せで、L
40細胞中でlacZ発現能を測定することによって調
べた。その結果、下記に記載するように、PKNのN末
領域は、NFの各サブユニット(NFL、NFM、NF
H)のヘッド・ロッドドメイン領域に結合することが明
かとなった。本発明者らが使用したNFの各サブユニッ
トの融合遺伝子の構造は図10に示される通りであっ
た。
【0165】酵母発現ベクターは下記のようにして調製
した。VP16転写活性化ドメイン−ヒトNFLヘッド
・ロッドドメイン酵母発現用ベクターpVP/NFL#
21は、ツー・ハイブリッドスクリーニングによって最
初に単離されたライブラリープラスミド#21のEco
RIインサート(アミノ酸番号1〜349)をpVP1
6(Vojtek, A. B. et al., Cell, 74, 205-214 (199
3))中にサブクローニングすることによって作製した。
VP16転写活性化ドメイン−NFLおよびNFHのテ
イルドメイン、またはVP16転写活性化ドメイン−N
FMのヘッド・ロッドおよびテイルドメインの酵母発現
用ベクターは、それぞれpGST/NFLt、pGST
/NFHt、pGST/NFMhrあるいはpGST/
NFMt(実施例8に記載)のBamHI/NotIイ
ンサートをpVP16中にインフレームでサブクローニ
ングすることによって構築した(それぞれpVP/NF
Lt、pVP/NFHt、pVP/NFMhr、pVP
/NFMtと呼ぶ)。VP16−全長NFH融合タンパ
ク質の発現用ベクターpVP/NFHfは、pBlue
script II SKベクター(Stratagene社)中
にNFHの全長コード領域を含むプラスミド、pBHを
BglIIで分解し、全長cDNAインサートをpVP
16にサブクローンした。VP16−NFHヘッド・ロ
ッドドメイン融合タンパク質の発現用ベクターpVP/
NFHhrは、pVP/NFHfをTth111IとE
coRIで消化後末端をT4 DNAポリメラーゼでフ
ィル・インし、T4 DNAリガーゼでこれらを結合さ
せて作製した。この操作によって、NFHのテイルドメ
インをコードするTth111I部位のDNA配列C末
端が除去された。LexA DNA結合ドメイン−NF
Lヘッド・ロッドドメイン、またはLexA DNA結
合ドメイン−NFLテイルドメインの酵母発現用ベクタ
ー pBTM/NFL#21またはpBTM/NFLt
は、pVP16の代わりにpBTM116(Vojtek, A.
B. et al., Cell, 74, 205-214 (1993))を使用したこ
とを除いて上記と同様に作製した。LexA−、または
VP16−PKNN1発現用ベクターであるpBTM/ま
たはpVP/PKNN1は、ヒトPKNのEcoRI/
BamHIフラグメント(配列番号1の1〜540番の
アミノ酸配列に相当)をpBTM116またはpVP1
6にサブクローニングして構築した。LexA−または
VP16−PKNC末端領域(配列番号1の511〜9
42番のアミノ酸配列、この領域は、以下「PKNC
1」という)発現用ベクターpBTM/またはpVP/
PKNC1は、ヒトPKNのClaI/EcoRIフラ
グメントをpBTM116またはpVP16にサブクロ
ーニングすることによって構築した。
【0166】図11(A)は、PKNのN末端領域とN
FLのヘッド・ロッドドメイン間の特異的結合を示して
いる。PKNのN末端領域が、NFLと同様にNFMや
NFHと結合するかどうかを調べるために、NFMおよ
びNFHのヘッド・ロッドドメインに相当する領域をp
VP16にライゲートさせ、lacZ発現をツー・ハイ
ブリッド・システムで測定した。その結果、PKNのN
末端領域はNFサブユニットの各ヘッド・ロッドドメイ
ンに結合した(図11(B))。更にツー・ハイブリッ
ド・システムでは、様々な組織に普遍的に発現している
中間径フィラメントのメンバーであるビメンチンのヘッ
ド・ロッドドメインとも結合した(データ省略)。
【0167】実施例8 インビトロで翻訳されたPKN
とGST−NFの各サブユニット融合タンパク質との結
合の測定 本発明者らはまた、PKNとNF間の結合を更に調べる
ために、下記に記載の方法に従って、インビトロ・トラ
ンスレーションにより作製したPKNがGST−NF
L、GST−NFM、GST−NFH、またはGSTと
結合するかどうかについてインビトロ結合アッセイでテ
ストした。
【0168】(1)インビトロ翻訳によるPKNの調製 インビトロ転写用部分ヒトPKNを次のようにして作製
した; PKNのN末端領域(配列番号1の1〜474番
のアミノ酸配列、この領域は、以下「PKNN2」とい
う)発現用ベクターpPKNN2は、phPKN−H4
(pBluescript II SK中にヒトPKN
cDNAを含むプラスミド(Mukai, H. & Ono, Y., B
iochem. Biophys. Res. Commun. 199 、897 〜904 (199
4))をBstEIIで消化し、末端をT4 DNAポリ
メラーゼでフィル・イン後セルフライゲートして作製し
た。こうすることによって、BstEII部位(開始A
TGコドンから1425ヌクレオチド)より下流のC末
端アミノ酸配列を除去し、停止コドンをプラスミド配列
内に入れた。ヒトPKNの触媒ドメインが保持されてい
る配列番号1の614〜942番のアミノ酸配列(この
領域を以下「PKNC2」という)をコードするフラグ
メントは、PCR増幅によって作製した。発現ベクター
pPKNC2は、PCR増幅フラグメントをpRc/C
MV(Invitrogen社)中にサブクローニングすることに
よって作製した。これらのプラスミドはXbaIで切断
して線状化し、T7 RNAポリメラーゼを使用してc
RNAを転写させた。NFL用には、pBL(Nakagaw
a, T. et al., J. Cell. Biol.129 、411 〜429 (199
5))をHindIIIで切断して線状化し、T3 RN
Aポリメラーゼを使用してcRNAを転写させた。イン
ビトロ翻訳用には、これらのcRNAを[35S]メチ
オニンの存在下でウサギ赤芽球ライセート(Promega
社)中で翻訳させた。
【0169】(2)GST融合タンパク質の調製 GST−NFL#21(ヒトNFLの1〜349番のア
ミノ酸配列)発現用ベクターpGST/NFL#21
は、プラスミド#21中のEcoRIインサートをpG
EX4Tベクター(Pharmacia Biotec
h社)中にサブクローニングすることによって作製し
た。GST−NFLdelA(ヒトNFLの1〜175
番および335〜349番のアミノ酸配列)発現用ベク
ターpGST/NFLdelAは、pGST/NFL#
21をPstIで消化して480bpフラグメントを除
去し、T4 DNAリガーゼでセルフライゲートさせて
作製した。GST−NFLdelB(ヒトNFLの24
5〜349番のアミノ酸配列)発現用ベクターpGST
/NFLdelBは、pGST/NFL#21のBgl
II/EcoRIフラグメントをpGEX4Tベクター
中にサブクローニングすることによって作製した。GS
T−NFLテイルドメイン融合タンパク質発現用ベクタ
ーpGST/NFLtは、pBLの約700bpのKp
nI−EcoRIフラグメントをpGEX4Tベクター
中にサブクローニングすることによって作製した。GS
T−NFMヘッド・ロッドドメイン(ヒトNFMの1〜
411アミノ酸)融合タンパク質発現用ベクターpGS
T/NFMhrは、ヒト海馬cDNAライブラリーから
PCR増幅し、これをpGEX4Tベクター中にサブク
ローニングすることによって作製した。GST−全長N
FL発現用ベクターpGST/NFLfは、pBLのB
amHI/EcoRIインサートを、pGEX4Tベク
ター中にサブクローニングすることによって構築した。
GST−NFMテイルドメイン融合タンパク質発現用ベ
クター pGST/NFMt は、pBM(Nakagawa, T.
et al., J. Cell. Biol. 129 、411 〜429 (1995))の
約1.0kbpのXhoI−NotIフラグメントを、
pGEX4Tベクターにサブクローニングすることによ
って構築した。GST−全長NFH融合タンパク質発現
用ベクター pGST/NFHfは、pBH(Nakagaw
a, T. et al., J. Cell. Biol. 129 、411 〜429 (199
5))をBglIIで消化後挿入フラグメントをpGEX
4TのBamHI制限部位中にサブクローニングした。
GST−NFHヘッド・ロッドドメイン融合タンパク質
発現用ベクターpGST/NFHhrは、pGST/N
FHfを、Tth111IとEcoRIで消化し、末端
をT4 DNAポリメラーゼでフィル・インした後、T
4 DNAリガーゼでそれらを一緒にライゲートするこ
とによって構築した。このようにして、NFHのテイル
ドメインにあるTth111I部位以後のC末端DNA
配列を除去した。GST−NFHテイルドメイン融合タ
ンパク質発現用ベクターpGST/NFHtは、pBH
をTth111IとBglIIで消化した後、その末端
をフィル・インした約2kbpのフラグメントをpGE
X4T中にサブクローニングすることによって作製し
た。
【0170】GSTまたはGST融合タンパク質の発現
は0.1mMのIPTGを用いて誘導した。細胞を5,
000×gで5分間遠心し、得られたペレットを、1%
のトリトンX−100を含み1M尿素を含むかまたは含
まないGST溶解緩衝液(50mM トリス/HCl、
pH8.0、1mM EDTA、1μg/ml ロイペ
プチン、1mM DTT、1mM PMSF)中に再懸
濁した。細胞は超音波処理で溶解した。細胞破片を遠心
(30,000×gで10分間)除去し、上清をグルタ
チオン−セファロース 4B(Pharmacia B
iotech社)に加えた。セファロース 4Bは、4
0倍のカラム容量のGST溶解緩衝液で洗浄した。GS
TおよびGST融合タンパク質は、1M尿素を含むまた
は含まないGST溶出緩衝液(100mM トリス/H
Cl、pH8.0、20mM グルタチオン、120m
M NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、1
μg/ml ロイペプチン)で溶出した。溶出物は、1
mM EDTA、1mMDTTおよび0.1μg/ml
ロイペプチンを含む10mMのトリス/HCl(pH
8.8)で一晩透析した。
【0171】(3)インビトロ結合実験 インビトロNF結合実験用に、インビトロ・トランスレ
ーションにより作製した2.5μlのPKNN2または
PKNC2を、400μlのGST結合緩衝液(20m
M トリス/HCl、pH7.5、0.5mM DT
T、150mMNaCl、0.05%トリトン−X10
0、1mM EDTA、1μg/mlロイペプチン)中
でGST−NF融合タンパク質(各5μg)、またはG
ST(25μg)と混合し、4℃で1時間インキュベー
トした。次に、非特異的な結合を阻害するために、10
mg/mlの大腸菌抽出物で予め処理した25μlのグ
ルタチオン−セファロース 4Bを加え、その後4℃で
更に30分間回転しながら結合反応を行った。次にグル
タチオン−セファロース 4Bを、0.5M NaCl
および0.5%トリトン−X100を含むGST洗浄緩
衝液(20mMトリス/HCl、pH7.5、0.5m
M DTT、1mM EDTA、1μg/ml ロイペ
プチン)中で3回洗浄後GST洗浄緩衝液で更に洗浄し
た。結合タンパク質をGST溶出緩衝液で溶出して、1
0%SDS−PAGE電気泳動を行った。結合反応は、
FUJI BAS1000バイオイメージングアナライ
ザーで定量した。
【0172】その結果は図12で示すように、インビト
ロ結合アッセイでは、PKNのN末端領域はNFLのヘ
ッド・ロッドドメインと結合するがPKNのC末端触媒
ドメインとNFLのヘッド・ロッドドメインとの結合は
殆ど観察されなかった。また、インビトロで翻訳された
PKNとGST−NFの各サブユニット融合タンパク質
との結合能も調べた。その結果、PKNがインビトロで
NFの各サブユニットとヘッド・ロッドドメインで直接
結合することを見いだした(図13)。
【0173】実施例4および5に示したように、Rho
タンパク質はPKNのN末端領域(配列番号1の7〜1
55番のアミノ酸配列)と結合する。一方NFのヘッド
・ロッドメインはPKNのN末端調節領域(配列番号1
〜540または1〜474)とが結合する。そこで、N
Fのヘッド・ロッドドメインはPKNのRhoタンパク
質結合ドメインとの結合に関して、Rhoタンパク質と
競合するという可能性が考えられる。このことを調べる
ために、インビトロ結合アッセイで、PKNのN末端領
域(配列番号1の1〜540番のアミノ酸配列)との結
合に関してRhoAタンパク質とNFLが競合するかど
うかを検討した。その結果、PKNのN末端領域との結
合に関して、バクテリアで合成したNFLはバクテリア
で合成されたRhoAタンパク質と競合しなかった(デ
ータは省略)。このことから、PKNのN末端調節領域
内のNF結合領域は、Rhoタンパク質結合領域(配列
番号1の33〜111番のアミノ酸配列)(実施例1
6)とは異なる領域に存在することが明かとなった。即
ち、NF結合領域は配列番号1の1〜32番または11
2〜540番のアミノ酸配列に含まれると推定された。
更に前述のよう配列番号1〜474番のアミノ酸配列も
NFと結合することから、NF結合領域は配列番号1の
1〜32番または112〜474番のアミノ酸配列に含
まれると推定された。
【0174】実施例9 PKNによるNFのリン酸化 (1)PKNによる天然NFのリン酸化 PKNによるNFの各サブユニットのリン酸化能を調べ
るために、脊髄からNFを精製し、PKNによるインビ
トロでのリン酸化反応に供した。ウシ脊髄からの天然の
NFの調製は、Hisanaga, S. & Hirokawa, N., J. Mol.
Biol. 202、297 〜305 (1988)に記載の方法に従って実
施した。キナ−ゼアッセイは以下に記載の方法に従って
実施した。
【0175】脊髄の可溶性細胞質抽出物または精製NF
タンパク質を5分間沸騰して、内在性プロテインキナー
ゼ活性を不活化した後、被リン酸化基質として使用し
た。NFのリン酸化反応は、20mM トリス/HC
l、pH7.5、8mM MgCl、100μM A
TP、185kBqの[γ−32P]ATP、NF各サ
ブユニット、ラット精巣から得た20ng/mlの精製
PKN、40μMのアラキドン酸を含むかまたは含まな
いアッセイ混合物中で、30℃にて各実験で示したよう
にして実施した。反応は、等量のLaemliのサンプ
ル・バッファーを添加して種々の反応時間で終了させ、
7%のSDS−PAGEで分離した。ゲルは真空下で乾
燥後、BAS1000バイオイメージングアナライザー
にかけた。NFタンパク質の脱リン酸化反応は、子ウシ
腸アルカリホスファターゼを用いて、Carden, M.J. et
al., J. Biol. Chem. 260 、9805〜9817 (1985) に記載
された方法に従って実施し、5分間沸騰して酵素反応を
停止した。結果は図14〜18に示されるとおりであっ
た。PKNは3つのNFサブユニットを全て効率的にリ
ン酸化した。
【0176】PKNによる各サブユニットのリン酸化の
初速度は、アラキドン酸の存在下では非存在下よりも約
5〜10倍高かった(図14)。また、アラキドン酸の
存在下では、NFサブユニットへのリン酸の取り込みは
反応開始後約60分で最大値に達し、その後120分ま
でプラトー状態で持続した(図15および図16)。精
製したPKNは希釈状態で不安定であるが、アラキドン
酸の非存在下でリン酸化レベルが60分から120分ま
ででそれ程減少しなかった(データは省略)ので、リン
酸化速度の低下がPKNの不活性化によるとは思われな
かった。本実験でイメージクオントによって予測する
と、タンパク質のサブユニット1mol当たりのPKN
による最大リン酸化の程度は、それぞれ約2mol/N
FH1mol、約6mol/NFM1molおよび約1
mol/NFL1molであった。インビボで最も強く
放射標識されるサブユニットであることが報告されてい
るNFHは(Sihag, R.K. & Nixon, R.A., J. Biol. Ch
em. 264 、457 〜464 (1989))、インビトロではNFM
より基質としては劣っていた。
【0177】このアッセイでは、NFHとNFMは既に
一部がリン酸化されていたので、PKNによる被リン酸
化部位がマスクされている可能性もある。そこで、酵素
的に脱リン酸化したNFを使用して、他の被リン酸化部
位が存在するかを調べた。図15に示したように、NF
HとNFMの脱リン酸化に伴って電気泳動移動度が変化
した(Carden, M.J. et al., J. Biol. Chem. 260 、98
05〜9817 (1985) )。アルカリホスファターゼでウシN
Fを脱リン酸化してもPKNによるNFHやNFMサブ
ユニットのリン酸化に有意の差が見られなかったことか
ら、天然NFがPKNによるリン酸化を受け易い部位を
含んでいることが示唆された(図15および16)。
【0178】(2)PKNによる組換え型NFのリン酸
化 PKNによるNFの被リン酸化部位が含まれる領域を同
定するために、バクテリアで合成したGST−NFの各
サブユニットのヘッド・ロッドドメインおよびテールド
メインを調製(実施例8)し、上記に記載の方法に従っ
て、インビトロでのリン酸化アッセイに供した。その結
果、図17に示したように、32Pは各GST−NFの
ヘッド・ロッドドメインに、NFH:NFM:NFLに
対して3:10:2の割合で取り込まれた。GST−各
サブユニットのテイルドメインは全く標識されなかっ
た。PKNはGST−ビメンチンのヘッド・ロッドドメ
インもリン酸化した(データ省略)。この結果は、被リ
ン酸化部位が専らこれら中間径フィラメントのヘッド・
ロッドドメインに存在していることを示している。
【0179】実施例10 インビトロでのNFLのフィ
ラメント構造(重合)に与えるリン酸化の影響 NFLサブユニットがNFの「中核」を形成しているこ
とは広く受け入れられており、NFLが最初に会合しそ
して、その後NFMおよびNFHサブユニットが共会合
あるいは重合の骨格やシグナルを供給することが示唆さ
れている。PKAやPKCによるNFLのリン酸化は、
NFLの重合を阻害し、フィラメントを脱重合すること
がインビトロで示されている(Gonda, Y. et al., Bioc
hem. Biophys. Res. Commun. 167、1316〜1325 (1990);
Nakamura, Y. et al., Biochem.Biophys. Res. Commu
n. 169、744 〜750 (1990); Hisanaga, S. & Hirokawa,
N., J. Mol. Biol. 211、871 〜882 (1990))。そこ
で、NFLが重合するかどうかをインビトロ結合解析で
確認した。
【0180】バクテリアで産生したGST−NFLのヘ
ッド・ロッドドメイン、またはGST−全長NFL融合
タンパク質をインビトロ・トランスレーションにより作
製した[35S]標識NFLと共に、1mMのMgCl
を含んだpH8.5の緩衝液中で混合し、次いで反応
混合液のpHを7.2に調整して35℃で1時間インキ
ュベートした。十分に洗浄した後、ビーズに結合したタ
ンパク質をオートラジオグラフィーで分析した。その結
果、図18に示されるように、NFLの重合が検出され
た(レーン6および8)。
【0181】次に、このアッセイ系でPKNによるNF
Lのリン酸化がNFLの重合を阻害するかどうかを調べ
た。GST−NFLのヘッド・ロッドドメインまたはG
ST−全長NFLをPKNでリン酸化した後、反応混合
液に加え、インビトロ・トランスレーションにより作製
したNFLと混合した。より具体的な方法は下記に記載
される通りである。
【0182】インビトロNF重合実験用には、バクテリ
アで合成したGST−NFL、GST−NFL#21の
リン酸化または非リン酸化タンパク質各5μgを1mM
MgCl、60ngPKN、100μMのATP存
在下または非存在下で30℃で2時間インキュベーショ
ンして調製した。インビトロ・トランスレーションによ
り作製したNFLは、1mM MgClを含む脱重合
緩衝液(20mM トリス/HCl、pH8.5、1m
M DTT、1μg/ml ロイペプチン)中で上記混
合物または25μgのGSTと共にインキュベートし、
次いで適量の1M PIPES(pH6.8)を加えて
反応混合物のpHを7.2に調整後、35℃で1時間イ
ンキュベートした。次に、非特異的な結合を阻害するた
めに、10mg/mlの大腸菌抽出物で予め処理した2
5μlのグルタチオン−セファロース 4Bを加え、そ
の後結合反応を30分間回転しながら4℃で行った。次
にグルタチオン−セファロース 4Bを、0.5%のト
リトン−X100を含む脱重合緩衝液中で2回洗浄し、
更に脱重合緩衝液で洗浄した。結合タンパク質をGST
溶出緩衝液で溶出し、10%SDS−PAGEにかけ
た。結合反応物はFUJI BAS1000バイオイメ
ージングアナライザーで定量した。図18に示されるよ
うに、PKNによるリン酸化の結果、GST−NFLの
ヘッド・ロッドドメインまたはGST−全長NFLとイ
ンビトロ翻訳NFLとの結合はほとんど検出されなかっ
た(レーン7および9)。このことにより、PKNによ
るNFLのリン酸化がNFLの重合を阻害したことが示
された。
【0183】実施例11 酵母ツー・ハイブリッド・シ
ステムによるPKNのアミノ末端領域とカルボキシル末
端領域との結合の検出 触媒領域が調節領域によってマスクされている(触媒領
域と調節領域が結合する)可能性を調べるために、酵母
ツー・ハイブリッド・アッセイを実施した。このための
ツー・ハイブリッド・システムの構築は下記に記載した
様に実施した。
【0184】LexAのDNA結合領域とPKNのアミ
ノ末端領域(配列番号1の1〜540番のアミノ酸配
列)との融合タンパク質を発現させるためのプラスミド
pBTM/PKN−Nは、ヒトPKN cDNAのEc
oR1/BamH1フラグメントをpBTM116(Wa
tanabe, G. et al., Science 271, 645-648 (1996))中
にサブクローニングすることにより構築した。VP16
の転写活性化領域とPKNのアミノ末端領域(配列番号
1の1〜540番のアミノ酸配列)との融合タンパク質
を発現するためのプラスミドpVP/PKN−Nは、ヒ
トPKNのEcoR1/BamH1フラグメントをpV
P16(Vojetk, A. B. et al., Cell, 74, 205-214 (1
993))中にサブクローニングすることにより構築した。
pBTM/PKN−CおよびpVP/PKN−Cは、ヒ
トPKNのカルボキシル末端領域(配列番号1の511
〜942番のアミノ酸配列)をコードするヒトPKN
cDNAのClaI/EcoRIフラグメントを、それ
ぞれpBTM116およびpVP16中にサブクローニ
ングすることにより構築した。酵母L40細胞にLex
A DNA結合ドメインとPKN部分断片との融合タン
パク質をコードするプラスミド(pBTM/PKN−N
またはpBTM/PKN−C)とVP16転写活性化ド
メインとPKN部分断片との融合タンパク質をコードす
る発現プラスミド(pVP/PKN−NまたはpVP/
PKN−C)をコトランスフェクションした。結合はフ
ィルター・リフト・アッセイによってβ−ガラクトシド
活性を測定することにより検出した(Fields, S. & Son
g, O., Nature 340, 245-246 (1989) )。
【0185】その結果、図19に示す様に、PKNのア
ミノ末端領域を発現するベクター(pBTM/PKN−
NまたはpVP/PKN−N)とカルボキシル末端領域
を発現するベクター(pVP/PKN−CまたはpBT
M/PKN−C)をコトランスフェクトした酵母細胞で
は、βーグルコシダーゼが発現することが確認された
(図19の4)および5))。即ち、PKNの調節領域
(アミノ末端領域)と触媒領域(カルボキシル末端領
域)が結合することが示された。
【0186】実施例12 インビトロでのPKNの調節
領域(アミノ末端領域)と触媒領域(カルボキシル末端
領域)の結合の検出 PKNの調節領域(アミノ末端領域)と触媒領域(カル
ボキシル末端領域)が結合することを確認するために、
下記に記載した方法に従って、GST融合タンパク質と
インビトロで翻訳した35Sで標識されたタンパク質を
用いたインビトロ結合アッセイを実施した。
【0187】(1)インビトロでの転写と翻訳 ヒトPKN部分断片は以下のように作製した。アミノ末
端領域に相当する発現ベクターpPKN−Nを、phP
KN−H4(pBluescript IISKに挿入
されたヒトPKN cDNA)(Mukai, H. & Ono, Y.,
Biochem. Biophys. Res. Commun., 199, 897-904 (199
4))をBstEIIで消化、T4 DNAポリメラーゼ
を用いて両末端をフィル・インし、セルフライゲーショ
ンすることにより作製した。得られたプラスミドは配列
番号1の1〜474までのアミノ酸残基をコードする。
このプラスミドよりcDNA挿入断片を切り出し、pR
c/CMV(インビトロジェン社)中にクローニングし
た。ヒトPKNの触媒領域を含む配列番号1の614〜
942番のアミノ酸配列をコードする断片はPCR増幅
法によって作製した。PKNのカルボキシル末端領域を
含む発現ベクターpPKN−Cは、この断片をpRc/
CMV中にサブクローニングすることにより作製した。
これらのプラスミドを、XbaIで切断することにより
直鎖状にし、cRNAをT7 RNAポリメラーゼを用
いて転写した。cRNAは、ニワトリ赤芽球ライゼート
(プロメガ社)中で、[35S]メチオニン存在下で翻
訳した。
【0188】(2)GST融合タンパク質の調製 GSTとPKNのアミノ末端領域(配列番号1の1〜5
40番のアミノ酸配列)との融合タンパク質を発現させ
るためのpGST/PKN−Nは、phPKN−H4の
BamH1挿入断片をpGEX4T(ファルマシア・バ
イオテク社)中にサブクローニングすることにより作製
した。GSTとPKNのカルボキシル末端領域(配列番
号1の634〜942番のアミノ酸配列)との融合タン
パク質を発現させるためのpGST/PKN−Cは、p
hPKN−H4のEcoRI挿入断片をpGEX4Tベ
クター中にサブクローニングすることにより作製した。
GSTまたはGST融合タンパク質の発現は0.1mM
IPTGで誘導した。細胞を5,000×gで5分間
遠心分離し、得られたペレットを1%トリトンX−10
0を含むGSTリシス・バッファー[50mM Tri
s/HCl(pH8.0)、1mM EDTA、1μg
/ml ロイペプチン、1mM DTT、1mM PM
SF]中にリサスペンドした。細胞は音波処理によって
溶菌させた。細胞の残骸を30,000×gで10分間
遠心分離することにより除去し、上清にグルタチオン−
セファロース4B(ファルマシア・バイオテク社)を加
えた。樹脂をカラム・ボリュームの40倍量のGSTリ
シス・バッファーで洗浄した。GSTおよびGST融合
タンパク質をGST溶出バッファー[100mM Tr
is/HCl(pH8.0)、20mM グルタチオ
ン、120mM NaCl、1mM EDTA、1μg
/ml ロイペプチン、1mM DTT]で溶出した。
溶出液を1mM EDTA、1mM DTTおよび0.
1μg/ml ロイペプチンを含む10mM Tris
/HCl(pH8.0)に対して一晩かけて透析した。
【0189】(3)インビトロ結合アッセイ 2.5μlのインビトロ翻訳したPKN−NまたはPK
N−Cを、5μgのGST−PKN−NまたはGST−
PKN−C融合タンパク質または25μgのGST単独
と、400μlのGST結合バッファー[20mM T
ris/HCl(pH7.5)、0.5mM DTT、
150mM NaCl、0.05% トリトンX−10
0、1mM EDTA、1μg/ml ロイペプチン]
中で混合し、4℃で1時間インキュベートした。その
後、非特異的な結合を阻害するために10mg/mlの
大腸菌抽出液で前処理したグルタチオン−セファロース
4B(25μl)を添加し、結合混合液を4℃で更に3
0分間ローテーションした。グルタチオン−セファロー
ス4Bをその後、0.5M NaClおよび0.5%ト
リトンX−100を含むGST洗浄バッファー[20m
M Tris/HCl(pH7.5)、0.5mM D
TT、1mM EDTA、1μg/ml ロイペプチ
ン]で3回洗浄した。その後、結合したタンパク質をG
ST溶出バッファーで溶出し、10%SDSにかけた。
結合反応の定量は、BAS1000バイオ・イメージン
グ・アナライザー(FUJI)を用いて実施した。
【0190】その結果、PKNの調節領域(アミノ末端
領域)と触媒領域(カルボキシル末端領域)の結合は、
GST融合タンパク質とインビトロで翻訳した35Sで
標識されたタンパク質を用いたインビトロ結合アッセイ
によっても確認された(図20、レーン6および8)。
以上の結果より、PKNのアミノ末端の制御領域がカル
ボキシル末端の触媒領域と直接結合することが示され
た。
【0191】実施例13 PKNによる[Ser46
PKN(39−53)ペプチドのリン酸化 自動ペプチド合成機(アプライド・バイオシステムス
社、モデル403A)を用いて、[Ser46]PKN
(39−53)ペプチド(配列番号1の39〜53番の
アミノ酸配列に相当するが、IleがSerに置換され
たもの;RERLRRESRKELKLK)を合成し、
PKNによりこのペプチドがリン酸化されるかどうかに
ついて検討した。
【0192】キナーゼ・アッセイは下記に記載する方法
により実施した。ラット睾丸細胞質由来の精製PKN
(Kitagawa, M. et al., Biochem. J., 310, 657-664
(1995))1ngを、50mM Tris/HCl(pH
7.5)、8mM MgCl、20μM ATP、1
8.5kBqの[γ−32P]ATP、40μM アラ
キドン酸、実験毎に示したリン酸受容体および阻害剤を
含む反応液(最終容量25μl)中で30℃で5分間イ
ンキュベートした。反応は酵素標品の添加によって開始
し、反応液を75mM リン酸塩に浸したワットマンP
81ろ紙にスポットすることにより停止した。リン酸受
容体中への32Pの取り込みは液体シンチレーション・
カウンティングにより測定した。結果は図21に示され
る通りであった。
【0193】[Ser46]PKN(39−53)ペプ
チドはPKNの基質として機能し、そのKm値は約25
μM、Vmaxが400nmoles/分/mgタンパ
ク質であることが明らかになった。図21では、測定さ
れたデータのダブル・レシプロカル・プロットが示され
ている。結果は、デュプリケートして行った3回の独立
した実験からのmean±S.E.である。
【0194】実施例14 合成ペプチドを用いたPKN
のプロテインキナーゼ活性の阻害 実施例11および12に記載した様に、PKNのアミノ
末端領域(配列番号1の1〜540番または1〜474
番のアミノ酸配列、以下「調節領域」ということがあ
る)とカルボキシル末端領域(配列番号1の511〜9
42番、614〜942番または634〜942番のア
ミノ酸配列、以下「触媒領域」ということがある)は結
合するので、PKNの調節領域内に触媒領域と結合する
配列が含まれていることが示された。本実施例では、こ
の擬似基質様配列を合成し、このペプチドのプロテイン
キナーゼ阻害活性を検討した。
【0195】まず、以下に示すPKNの基質ペプチドお
よび擬似基質様ペプチドをそれぞれ、ラットのδPKC
(Ono, Y. et al., J. Biol. Chem. 263, 6927-6932 (1
988))およびヒトPKN(Mukai, H. & Ono, Y., Bioch
em. Biophys. Res. Commun.,199, 897-904 (1994))の
アミノ酸配列に従って、自動ペプチド合成機(アプライ
ド・バイオシステムス社、モデル403A)を用いて合
成した:δPKCペプチド(δPKCのアミノ酸137
〜153に相当するが、AlaがSerに置換されたも
の;AMFPTMNRRGSIKQAKI);PKN
(39−53)ペプチド(配列番号1の39〜53番の
アミノ酸配列に相当;RERLRREIRKELKL
K);PKN(54−73)ペプチド(配列番号1の5
4〜73番のアミノ酸配列に相当;EGAENLKKA
TTDLGKSLGPV)。
【0196】プロテインキナーゼ・アッセイは、実施例
13に記載の方法に従って実施した。ただし、PKNは
δPKCペプチドを基質として、PKN(39−53)
ペプチド(図22;黒丸)またはPKN(54−73)
ペプチド(図22;白丸)をインヒビターとして用いて
測定した。δPKCペプチドの濃度は、δPKCペプチ
ドのKm濃度(10μM)とした。プロテインキナーゼ
反応は、様々な濃度のPKN(39−53)ペプチドま
たはPKN(54−73)ペプチドの存在下で実施し
た。
【0197】また、インヒビター・ペプチドの作用の特
異性を判定するために、PKAを酵素標品としてプロテ
インキナーゼ・アッセイを実施した。実験に用いたウシ
心臓PKAの触媒サブユニットはBechtel, P. J. et a
l., J. Biol. Chem.,252,2691-2697 (1977)に記載の方
法に従って精製した。PKAのプロテインキナーゼ活性
は、Kemptide(Kemp, B. E. et al., J. Biol. Chem.,
252, 4888-4894 (1977))を基質として使用しアラキドン
酸を含まないこと以外は実施例13に記載の条件と同一
の条件で測定した。Kemptideの濃度はKemptideのKm濃
度(16μM)とし、PKN(39−53)ペプチドを
インヒビターとして用いて測定した(図22;白四角
形)。キナーゼ活性は実施例13に記載された方法に従
って決定した。
【0198】その結果、PKN(39−53)ペプチド
はδPKCペプチドのリン酸化を濃度依存的に阻害し、
そのIC50(Km濃度の基質ペプチドのリン酸化を5
0%阻害するのに必要なインヒビター・ペプチド濃度)
は約80μMであった(図22;黒丸)。
【0199】対照的に、PKN(54−73)ペプチド
にはほとんど阻害効果が認められなかった(図22;白
丸)。ぺプチドの特異性は、もうひとつの塩基性アミノ
酸要求性プロテインキナーゼ(PKA)を用いて確認さ
れた。即ち、PKN(39−53)ぺプチドは、PKA
に対して弱い阻害活性しか示さず、そのIC50は1,
000μM以上であった(図22;白四角形)。以上の
結果から、PKN(39−53)ぺプチドがPKNのプ
ロテインキナーゼ活性を特異的に阻害することが示され
た。PKN(39−53)ペプチドがPKNの擬似基質
として作用することが示唆された。
【0200】実施例15 PKNのプロテインキナーゼ
活性におけるPKN(39−53)ペプチドの効果 PKN(39−53)がPKNの擬似基質として作用す
ることを確認するために、精製PKNを用いて、ATP
濃度を100μMに固定し、様々な濃度(10−80μ
M)のδPKCぺプチドを用いて、カイネティック・ア
ッセイを実施した。PKNのタンパク質キナーゼ反応は
実施例13および14に準じて行った。40−80μM
のPKN(39−53)ぺプチド存在下での結果は、図
23(A)にダブル・レシプロカル・プロットで示され
ている。阻害は競合−非競合的に起こり、Km/Vma
x(half-maximal velocity/maximal velocityを与える
のに必要な濃度)は阻害ぺプチド濃度に対して直線的な
セカンダリー・プロットになった(図23(B))。み
かけ上の阻害定数(Ki)がダブル・レシプロカル・プ
ロットおよびインヒビター・ぺプチド濃度に対するKm
/Vmaxの直線的なセカンダリー・プロットから得ら
れ、41μMであった(図23(B))。一方、阻害ぺ
プチドにより種々のATP濃度で非競合的な阻害プロッ
トが得られたことから、阻害はATP結合部位で起きる
のではないことが示された(データ省略)。
【0201】以上の結果から、PKN(39−53)ペ
プチドは、この酵素の自己阻害配列として働き、その阻
害はATPと非競合的であることが示された。
【0202】実施例16 酵母ツー・ハイブリッド・シ
ステムを用いたPKNのRhoタンパク質結合領域の検
PKNとRhoAタンパク質の結合をさらに詳細に特徴
づけるために、酵母ツー・ハイブリッド・システムを用
いて検討した。LexA DNA結合領域に融合させた
ヒトPKNのN末端調節領域を、VP16活性化領域に
融合させたRhoAタンパク質またはRhoAタンパク
質変異体とともに、酵母L40株中に発現させた。
【0203】本発明に用いた部分PKNcDNAの融合
遺伝子の構築のスキームは図25に示した通りである。
様々な長さのヒトPKNをコードするcDNA断片を、
上流のLexA DNA結合領域の配列とともにpBT
M116ベクター(実施例7)中に、あるいは上流のV
P16転写活性化領域の配列とともにpVP16ベクタ
ー(実施例7)中に、それぞれイン・フレームで挿入し
た。ヒトRhoA、RhoAVal14およびRhoA
Ala37をコードするcDNA断片をそれぞれ、pG
EX−RhoA、pGEX−RhoAVal14および
pGEX−RhoAAla37(実施例1)を制限酵素
で消化することによって調製し、pBTM116および
pVP16中にクローニングした。
【0204】発現用プラスミドを酵母L40細胞にトラ
ンスフェクトし、トリプトファンおよびロイシンを欠い
た半固相培地に播いた。結合は、実施例6に記載の方法
に従って、β−ガラクトシダーゼ活性を指標としたフィ
ルター・リフト・アッセイを用いて検出した。その結
果、図24に示すように、β−ガラクトシダーゼ活性が
PKNとRhoAVal14(GTPase活性を示さ
ない変異体)(Ridley, A. J. & Hall,A., Cell 70, 38
9-399 (1992))を発現した形質転換体に誘導された。
しかしながら、PKNと野生型RhoAを発現する形質
転換体や、PKNとRhoAAla37(エフェクター
領域変異体)(実施例3および4、Paterson, H. F. et
al., J. Cell. Biol., 111, 1001-1007 (1990) )を発
現する形質転換体では検出されなかった。
【0205】Rhoファミリーのメンバーは、C末端領
域にCAAXモチーフ(Cはシステイン、Aは脂肪族ア
ミノ酸、Xは任意のアミノ酸)を有し、この領域はゲラ
ニルゲラニル化、プロテオリシスおよびカルボキシルメ
チル化というような一連の翻訳後修飾を受けることが知
られており、この修飾はRhoタンパク質が細胞膜にタ
ーゲッティングされ、活性化されるのに重要であると考
えられている(Katayama, M. et al., J. Biol. Chem.,
266, 12639-12 645 (1991) 、Adamson, P. etal., J.
Biol. Chem., 267, 20033-20038 (1992) )。従って、
RhoA融合タンパク質にCAAXモチーフが存在する
と、RhoA融合タンパク質が核内に効率的に移行しな
いと予想され、そのためツー・ハイブリッド・システム
でRhoA融合タンパク質とPKN融合タンパク質の結
合が検出されにくいという可能性が考えられた。そこ
で、RhoA融合タンパク質と細胞膜との結合を抑制
し、RhoA融合タンパク質の核内への移行を効率化さ
せるために、C末端の脂質修飾部位を欠失させたRho
A変異体(以下「CLVL」と表わす)を用いてツー
・ハイブリッド・システムを実施した。C末端の脂質修
飾部位を欠いたヒトRhoA(「RhoA CLV
」と呼ぶ)に相当するcDNAは、PCR法によっ
て調製し、pBTM116およびpVP16中に挿入し
た。
【0206】その結果、PKNはRhoA CLVL
およびRhoAVal14CLVLとは結合したが、
RhoAAla37CLVLとは結合しなかった。同
様の結果はLexAと融合したRhoAとVP16に結
合したPKNとの組み合わせでも認められた(図2
4)。このように、活性型RhoAタンパク質とPKN
との間の特異的な結合が、ツー・ハイブリッド・システ
ムによって再確認された。また、RhoAタンパク質の
CAAXモチーフは、PKNとの結合に必要ないことが
示された。
【0207】PKNのRhoAタンパク質結合領域を同
定するために、様々な部分PKN断片を発現するプラス
ミドをRhoAVal14CLVLとともに酵母細胞
にトランスフェクションさせた。図25に示した様に、
ツー・ハイブリッド・システムでは、RhoA
Val14CLVLは、配列番号1の1〜538番、
3〜135番および33〜111番のアミノ酸配列に相
当する領域と結合した。この結果より、Rhoタンパク
質結合領域は配列番号1の33〜111番のアミノ酸配
列に存在することが示された。
【0208】この領域は、PKNの最初のロイシン・ジ
ッパー様モチーフ(Mukai , H. etal., Biochem. Bioph
ys. Res. Commun., 204, 348-356 (1994)、Mukai, H. &
Ono , Y., Biochem. Biophys. Res. Commun., 199, 89
7-904 (1994) )を含む。従って、このモチーフがPK
NとRhoA間の結合に何らかの役割を果たすことが推
測される。
【0209】実施例17 合成ペプチドを用いたRho
タンパク質とPKNの結合の阻害 次に、インビトロ・トランスレーションによって作製し
たPKNとGTPγS・GST−RhoA(実施例1)
との結合を、以下に記載した方法に従って、PKNの様
々なN末端領域に相当する合成ペプチドの存在下で測定
した。
【0210】実施例8に記載されている方法に従って、
配列番号1の1〜474番のアミノ酸配列に相当するタ
ンパク質をインビトロ・トランスレーションによって作
製した。GTPγSまたはGDP・GST−RhoA
(15nM)を、インビトロ・トランスレーションで作
製したPKN(1.5μl)とともに、トータル量20
0μlの結合バッファー(20mM Tris/HCl
(pH7.5)、1mMEDTA、0.5mM DT
T、5mM MgCl、1μg/ml ロイペプチ
ン)中で60分間、4℃でインキュベーションした。そ
の後、非特異的な結合を阻害するために大腸菌抽出液
(10mg/ml)を含む結合バッファー中で予めイン
キュベーションしたグルタチオン・セファロース4B
(PharmaciaB iotech 社)(40μl)を加え、30分
間、4℃でローテーションした。結合しなかったタンパ
ク質を、0.2% Nonidet P−40と50m
M NaClを含む結合バッファーで4回洗浄すること
により除去し、さらに結合バッファーで2回洗浄した。
特異的に結合したタンパク質は、10mM還元グルタチ
オンを含む結合バッファーで溶出し、SDS−PAGE
にかけ、ゲルをオートラジオグラフィーした。
【0211】PKNのRhoAタンパク質結合領域とし
て期待される合成ペプチド断片は、自動ペプチド合成機
(Applied Biosystems社モデル431)を用いて合成し
た。合成ペプチドを用いた実験は、様々な濃度のペプチ
ドを用いて、200μlの結合バッファー中で実施し
た。
【0212】その結果、図26に示されるように、合成
ペプチドの非存在下では、インビトロ・トランスレーシ
ョンによって作製したPKNはGTPγS・GST−R
hoAに特異的に結合した。配列番号1の74〜93番
および94〜113番のアミノ酸配列に相当する合成ペ
プチド断片は、PKNのGTPγS・RhoAへの結合
を濃度依存的な様式で阻害した(図27)。阻害はそれ
ぞれ30μMおよび100μM以上の濃度のペプチドで
認められた(図27)。
【0213】更に、配列番号1の82〜103番のアミ
ノ酸配列に相当する合成ペプチド断片もPKNのGTP
γS・GST−RhoAへの結合を濃度依存的な様式で
阻害した(図28)。阻害は3μM以上の濃度で認めら
れた(図28)。以上の結果より、配列番号1の74〜
113番のアミノ酸配列に相当する領域、特に82〜1
03番のアミノ酸配列に相当する領域は、結合に重要な
役割を果たすことが示された。
【0214】実施例18 Rhoタンパク質のGTPa
se活性に及ぼすPKNのN末端領域の影響 活性化されたCdc42Hs関連キナーゼp120
ACKやp21−(Cdc42/Rac)活性化キナー
ゼp65PAKのような低分子量Gタンパク質の活性型
に結合するタンパク質キナーゼは、これらの低分子量G
タンパク質に内在的に存在し、GAPに刺激されて亢進
するGTPase活性を阻害することが知られている
(Manser, E. et al., Nature, 367, 40-46 (1994)、 M
anser, E. et al., Nature, 363, 364-367 (1993) )。
RhoAのGTPase活性がPKNとの結合によって
影響を受けるか否かについて検討するために、予め[γ
32P]GTP(1.11TBq/mmol、DuPont
-New England Nuclear 社)をロードしたGST−Rh
oAまたはGST−RhoAVal14の結合放射能活
性を、PKNの存在下または非存在下で測定した。
【0215】GSTに融合したヒトPKNのN末端領域
(GST−PKN)を発現させるためのベクターは、配
列番号1の1〜538番のアミノ酸配列をコードするc
DNA断片をpGEXベクター(Pharmacia Biotech
社)中にサブクローニングすることによって作製した。
GST融合タンパク質は、実施例8に記載されている方
法に従って大腸菌において発現させ、グルタチオン・セ
ファロース4Bを用いたアフィニティー・クロマトグラ
フィーによって精製した。MBP−PKNは、実施例4
に記載の方法に従って調製した。
【0216】内因性のGTPase活性を測定するため
のアッセイは、下記に記載した方法に従って実施した。
2μMの精製したGST−RhoAを5μMの[γ−
32P]GTP(1.11TBq/mmol)とともに
50mM Tris/HCl(pH7.5)、10mM
EDTA、1mM MgCl、50mM NaC
l、1mM DTT、0.3% CHAPS中で、30
℃でインキュベーションした。交換反応は、反応液を氷
上に移した後、最終濃度が10mMになるようにMgC
を添加することにより停止した。[γ−32P]G
TPをロードしたGST−RhoAまたはGST−Rh
oAVal14(0.2μM)を、10nMのGST−
PKN(アミノ酸残基1−540)の存在下または非存
在下で、60μlの加水分解用バッファー(50mM
Tris/HCl(pH7.5)、5mM MgC
、1mM DTT、1mM GTP、0.1mg/
ml ウシ血清アルブミン)中で30℃でインキュベー
トした。反応は約2mlの氷冷したバッファー(20m
M Tris/HCl(pH7.5)、100mM N
aCl、25mM MgCl)を添加した後、ニトロ
セルロース・フィルター( Schleicher & Schuell 社
BA−85、0.45μmポアサイズ)を用いて迅速に
ろ過することによって停止した。フィルターを同じ氷冷
バッファーでさらに3回洗浄した後、フィルター上に集
まった放射能活性を測定した。
【0217】GAPに刺激されたRhoAのGTPas
e活性は、50nMのGSTに融合させたp122 R
hoGAP(GST−RhoGAP)および様々な濃度
のMBP−PKNの存在下で、100μlの反応混合液
(20mM Tris/HCl(pH7.5)、10m
M EDTA、1mM DTT、10mM MgC
、1mM GTP、0.075% CHAPS、
0.25mM L−α−ジミリストイルホスファチジル
コリン、100nM [γ−32P]GTP結合型GS
T−RhoA )中で2分間、25℃で、[γ−
32P]GTP・GST−RhoAの放射能活性の減少
を測定することによってアッセイした(Homma, Y. &Emo
ri, Y., EMBO J. 14, 286-291 (1995) )。
【0218】その結果、RhoAに結合したGTPの半
減期は12分であり(図29)、RhoAVal14
それは100分であった(データ省略)。配列番号1の
1〜538番のアミノ酸配列とGSTとの融合タンパク
質を添加したところ、RhoAに結合したGTPの半減
期は15分以上に上昇したが、GSTの添加ではGTP
加水分解速度への影響は認められなかった。これらの結
果より、PKNのN末端領域にはRhoAの内在性のG
TPase活性を阻害する活性が存在することが示され
た。また、阻害はPKN濃度に依存的であった(図3
0)。
【0219】図31に示されるように、MBP−PKN
は、GST−RhoGAPによって刺激されたGST−
RhoAのGTPase活性を濃度依存的に阻害した。
このことから、PKNのN末端領域がRhoAと結合す
ることによって、GAPとRhoAの結合を阻害するこ
とが示された。
【0220】以上の結果から、PKNのN末端領域がR
hoAと結合することによって、RhoAタンパク質に
内在するGTPase活性を阻害することが示された。
また、このことにより、Rhoタンパク質のGTPas
e活性を測定することによって、PKNとRhoタンパ
ク質の結合の程度を測定することができることが明らか
となった。さらに、Rhoタンパク質のGAPをスクリ
ーニング系に加えることにより、GTPase活性の測
定をより明確に実施できることが示された。
【0221】実施例19 PKNの細胞内分布に対する
ヒートショックの効果(1):イムノブロッティングを
用いた生化学的な解析 PKNと特異的に反応するポリクローナル抗血清(αN
2、αC6、およびαF1)を使用したイムノブロッテ
ィングを実施することにより、NIH3T3、Rat−
1、およびBalb/c3T3の細胞ライゼート中のP
KNの量を決定した。具体的には、下記に記載の方法に
従って実施した。
【0222】NIH3T3細胞は、10%ウシ血清を含
有するダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中で増
殖させた。Balb/c3T3細胞およびRat−1細
胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)を含有するDME
M中で増殖させた。5%CO 2 を含有する加湿した37
℃のチャンバー中で細胞をインキュベートし、サブコン
フルエント成長期の細胞を使用して実験を実施した。こ
れらの細胞よりタンパク質を抽出し、 Kitagawa, M. et
al., Biochem. J. 310, 657-664(1995)に記載された方
法に従って、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳導
(PAGE)(Laemmli, U. K. Nature 227, 680-685(1
970))およびイムノブロットを実施した。
【0223】イムノブロットに用いたポリクローナル抗
血清は、下記の方法に従って調製した。αN2は、大腸
菌内に発現させることによって得たラットPKNの1〜
391番に相当する断片でウサギを免疫することによっ
て調製した(Mukai, H. et al., Biochem. Biophys. Re
s. Commun. 204, 348-356(1994) )。αC6は、大腸菌
内に発現させることによって得たラットPKNのアミノ
酸863−946に相当する断片で、前掲Mukai, H. et
al.(1994)に記載された方法に従って、ウサギを免疫す
ることによって調製した。αF1は、Sf9細胞に発現
させることによって得たラットPKNの全コーディング
領域を抗原として使用して調製した(Mukai, H. & Ono,
Y., Biochem. Biophys. Res. Commun. 199, 897-904(1
994))。αN2、αC6、およびαF1のエピトープ特
異的反応は、PKNのアミノ末端およびカルボキシル末
端の抗原性領域を使用したイムノブロッティング(前掲
Mukai, H. et al. (1994) )により確認した。ブロット
はenhanced chemiluminescence法によって検出した。
【0224】結果は図32に示した通りであった。即
ち、抗血清(αN2、αC6、およびαF1)は、37
℃で培養したNIH3T3、Balb/c3T3および
Rat−1細胞由来のPKNを特異的に認識した。細胞
をヒートショック処理(42℃で90分間の処理)した
場合でも、NIH3T3、Balb/c3T3、および
Rat−1細胞中のPKNの全量には影響が認められな
かった(データ省略)。因みに、ヒートショックは、培
養細胞のレプリカディッシュを、5%CO2 を含有する
37℃のインキュベーターから42℃のインキュベータ
ーへ移すことによって実施した。移した後の培養時間を
ヒート処理時間とした。
【0225】次に、サイトゾル、原形質膜、および核の
それぞれの画分中のPKNの分布に及ぼすヒートショッ
クの効果を検討した。各細胞画分の調製は、下記に記載
の方法に従って実施した。まず、細胞を採取し、これを
1ml バッファーA(10mM Tris−HCl
(pH7.5)、1mM EGTA、1mM EDT
A、5mM MgCl2 、1mM フェニルメチルスル
ホニルフルオライド(PMSF)、1μg/ml ロイ
ペプチン)の中に懸濁し、ダウンス(Dounce)ホ
モジェナイザー中で30ストロークしてホモジェナイズ
した。トータルの細胞ホモジェネートのタンパク質量を
Petersonの方法(Peterson, G. L. Anal. Bioc
hem. 83,346-356(1977))により決定し、等量のタンパ
ク質を500×gで7分間4℃において遠心して、核ペ
レットおよびpostnuclear 画分を得た。核ペレットをバ
ッファーAで1回洗浄した。postnuclear 画分をさらに
100,000×gで1時間、4℃で遠心分離すること
により、サイトゾル(上清)および原形質膜(ペレッ
ト)を得た。これらの上清およびペレット画分を上記に
記載された方法に従って、SDS−PAGEおよびイム
ノブロットにかけた。
【0226】結果は図33に示した通りであった。即
ち、ヒートショック未処理細胞ではサイトゾル画分に大
部分のPKNが検出されたが、ヒート処理した細胞では
核画分中に検出されるPKNが増加するとともに、サイ
トゾル画分中に検出されるPKNは減少した。また、原
形質膜画分中に検出されるPKN量には、ヒート処理に
よっても有意な変化は観察されなかった。
【0227】実施例20 PKNの細胞内分布に対する
ヒートショックの効果(2):免疫蛍光染色を用いた細
胞生物学的な解析 次に、抗血清(αN2、αC6、およびαF1)を使用
することによって、NIH3T3細胞におけるPKNの
免疫蛍光の分布を調べた。免疫蛍光は下記に記載の方法
に従って実施した。
【0228】カバーガラス上で増殖した細胞をリン酸塩
緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、4% パラホ
ルムアルデヒドにより4℃で1時間固定し、PBSです
すぎ、次いで5%正常ヤギ血清を含有するPBS−T
(0.05%トリトンX−100を含有するPBS)中
において1時間ブロックした。PBSで洗浄した後、約
10μg/mlの各抗血清濃度となるようにPBSで希
釈した抗血清溶液で、細胞を4℃で一晩インキュベート
した。その後、カバーガラスをPBS−Tですすぎ、フ
ルオレセインイソチオシアネート異性体I(FITC)
を結合させたヤギ抗ウサギIgG(Medical and biolog
ical laboratories 社)と60分間インキュベートし
た。カバーガラスをPBS−T、次いでPBSですす
ぎ、0.1%1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オ
クタン(DABCO)を含有するグリセロールでマウン
トし、Zeissレーザー走査顕微鏡で観察した。
【0229】結果は、図34に示した通りであった。即
ち、未処理細胞では、細胞質領域にPKNが検出され
た。イムノブロッティングの結果と一致して、ヒートシ
ョック細胞ではPKNの免疫蛍光の顕著な増加が核に認
められた。因みに、一次抗血清を使用しないインキュベ
ーションにより測定した非特異的蛍光は無視しうる程度
であった(データ省略)。
【0230】核移行がPKNに特異的か否かを検討する
ために、タンパク質ホスファターゼ2A(αPP2A)
に対する抗血清を用いて免疫蛍光を観察した。その結
果、ヒートショック細胞と未処理細胞との間で、αPP
2Aの免疫反応性の細胞内分布に差は認められなかっ
た。従って、PKNの核移行はヒートショック処理によ
る非特異的な効果のためではないことが明らかとなっ
た。図35に、これらの現象が、Rat−1細胞とBa
lb/c3T3細胞においても同様に観察されたことが
示されている。
【0231】次に、ヒートショックによるPKNの核へ
の移行が可逆的かどうかについて検討した。細胞にヒー
トショックを与えた後、37℃で4時間培養したとこ
ろ、核周囲および細胞質領域へPKNの免疫蛍光が再分
布した(図34および図35)。このことより、PKN
の移行は可逆的であることがわかった。また、ヒートシ
ョック処理した細胞では、PKNの免疫蛍光は核膜より
むしろ核内に存在することが、共焦点顕微鏡を用いて観
察された(図36)。
【0232】実施例21 PKNの細胞内分布への亜ヒ
酸ナトリウム、血清飢餓および紫外線照射の効果:細胞
生物学的な検討 (1)亜ヒ酸ナトリウム処理によるPKNの核移行 PKNの細胞内分布が化学的ショックによっても影響を
受けるかどうかについて検討した。有毒化合物および有
毒重金属もまた、実験系においてヒートショックタンパ
ク質およびストレス応答を誘導することがわかっている
(Maytin, E. V. & Young, D. A., J. Biol. Chem. 25
8, 12718-12722(1983) )。ヒートショックにより誘導
されるストレスと類似する細胞応答が、亜ヒ酸ナトリウ
ム処理によっても生ずることが知られている(Welch,
W. J. & Suhan, J. P., J. Cell Biol. 103, 2035-2052
(1986) )。そこで、亜ヒ酸ナトリウムを培地に添加し
てRat−1細胞を培養し、その影響を検討した。その
結果、50μM 亜ヒ酸ナトリウムによる処理によって
もPKNの核移行の誘導が、顕微鏡試験で観察された
(図37)。NIH3T3細胞およびBalb/c3T
3細胞を80μM 亜ヒ酸ナトリウムで処理した場合で
も、同様な結果が得られた(データ省略)。
【0233】(2)血清飢餓によるPKNの核移行 さらに、血清飢餓のような他のストレスによってもPK
Nの核移行が誘導されるか否かについて検討した。血清
飢餓は、培地を1mg/mlのウシ血清アルブミン(脂
質フリー)を含有する無血清培地と交換することによっ
て実施した。
【0234】その結果、NIH3T3細胞を血清飢餓状
態とした場合でも、核へのPKNの移行が観察され(図
38)、その後10% ウシ胎児血清を添加したとこ
ろ、PKNは細胞質領域に徐々に移行した。PKNが非
ストレス状態で観察される細胞内分布に戻るまでに、少
なくとも4時間を要した(図38)。
【0235】(3)紫外線照射によるPKNの細胞内分
布 紫外線照射は実験でストレスを誘導する別の手段であ
り、哺乳動物細胞の紫外線応答はAP−1およびNF−
κBにより媒介される遺伝子発現の急速かつ選択的な増
加により特徴づけられている(Devary, Y. et al., Sci
ence 261, 1442-1445(1993) 、およびDevary, Y. et a
l., Mol. Cell Biol. 11, 2804-2811(1991))。紫外線
照射に対するストレス応答の少なくとも一部は、JNK
/SAPKサブファミリーおよびp38/RKによって
媒介されることがわかっている(Davis, R. et al., TI
BS 19, 470-473 (1994) 、およびCano, E. & Mahadeva
n, C.,TIBS 20, 117-122 (1995) )。そこで、PKNの
核移行が、紫外線照射によっても観察されるか否かにつ
いて検討した。紫外線照射は、細胞をUV−Cで処理す
ることにより実施し、その後37℃において1時間イン
キュベートした(Adler,V. et al., J. Biol. Chem. 27
0, 26071-26077(1995) )。その結果、JNKの活性化
のために充分な40J/m2のUV−C(Derijard, B.
et al., Cell 76, 1025-1037(1994) )でNIH3T3
細胞を照射したが、PKNの移行は観察されなかった
(データ省略)。
【0236】実施例22 PKNのキナーゼネガティブ
変異体タンパク質の過剰発現の効果 ストレスに誘導されるPKNの細胞内分布の変化をさら
に解析するために、PKN変異体を過剰発現させた場合
の効果について検討した。ヒトPKNのキナーゼドメイ
ンにおける単一の点突然変異(K644R;PKN−P
- )をプロテインキナーゼ・ネガティブ突然変異体と
して利用した。
【0237】まず、PKN−PK- を安定に過剰発現す
るNIH3T3細胞を下記に記載の方法に従って構築し
た。ATP結合部位と推定されているリジンを、インビ
トロ部位特異的突然変異法によりアルギニンに変換する
ことによって、ベクターphPKNH4−PK- を構築
した(Mukai, H. & Ono, Y., Biochem. Biophys. Res.
Commun. 199, 897-904(1994))。哺乳動物細胞における
PKN−PK- の発現用ベクターpMhPKN−PK-
は、phPKNH4−PK- をEcoRIで部分消化し
て得られる2.9kbのcDNAをpTB701(Ono,
Y. et al., J.Biol. Chem. 263, 6927-6932 (1988))
のEcoR1部位に挿入することによって構築した。ネ
オマイシン耐性遺伝子を有するpWLneo(ストラタ
ジーン社)とともにpMhPKN−PK- をNIH3T
3細胞に導入(50:1のモル比で)し、400μg/
m1のG418に対して耐性のクローンを単離した。前
述(実施例19)の方法に準じて、イムノブロッティン
グによりこれらのクローンから、最もPKN−PK-
高発現しているクローン(PK- /neo#5)を選択
し、本実験に使用した。
【0238】次に、PKN−PK- がキナーゼ活性を示
すか否かについて調べるために、細胞より免疫沈降させ
たPKN−PK- のキナーゼ活性を検討した。具体的に
は、下記に記載の方法に従って実施した。免疫沈降の実
験は0〜4℃において実施した。野生型NIH3T3細
胞およびPK- /neo#5細胞を、0.5ml バッ
ファーB(20mM Tris−HCl(pH7.
5)、1% Nonidet P−40、137mM
NaCl、10% グリセロール、1mM PMSF、
20μg/ml アプロチニン、10μg/ml ロイ
ペプチン、2.5mM フッ化ナトリウム、0.25m
M バナジン酸ナトリウム)中で1時間かけて溶解し
た。15,000×gで10分間遠心分離することによ
って不溶性物質を除去し、上清を1μlの10倍希釈の
抗血清αN2(実施例19)と2時間インキュベートし
た。40μlの50%プロテインAセファロースを添加
した後、混合物をさらに1時間インキュベートした。プ
ロテインAセファロースに吸着された免疫沈降物をバッ
ファーC(100mM Tris−HCl(pH7.
5)、0.5M LiCl、2.5mMフッ化ナトリウ
ム、0.25mM バナジン酸ナトリウム)で2回洗浄
し、バッファーD(10mM Tris−HCl(pH
7.5)、2.5mM フッ化ナトリウム、0.25m
M バナジン酸ナトリウム)で2回洗浄した。各免疫沈
降物を、30℃において、25μlの混合液(20mM
Tris−HCl(pH7.5)、4mM MgCl
2 、40μM ATP、185kBqの[ γ−32P] A
TPを含有し、外因性基質を含有しない)と5分間イン
キュベートした。5μlの6×レムリ(Laemml
i)試料バッファー(Laemmli, U. K. Nature 227, 680
-685(1970))を添加し、煮沸した後、混合液各20μl
を7%SDS−PAGEにかけた。リン酸化は、イメー
ジアナライザ一(Fuji BAS1000)を用いて
可視化し、定量した。
【0239】その結果、PKN−PK- は、酵素活性が
不活性化されていることが確認された(図39)。さら
に、PK- /neo#5細胞は、内在性の野生型PKN
より約20倍過剰にPKN−PK- 変異体タンパク質を
発現することが、イムノブロッティングにより示された
(図39)。
【0240】図40に示されるように、顕微鏡観察の結
果、PKN−PK- を発現した細胞では、PKNの免疫
蛍光は細胞質領域に分布し、42℃のヒート処理細胞と
未処理細胞との間に差異は認められなかった。ヒート処
理温度を44℃にさらに上げたときでも、明らかな変化
は観察されなかった(図40)。これらの結果より、P
KN−PK- 変異体タンパク質は核に移行しないことが
示された。共焦点顕微鏡による測定では、核の免疫蛍光
/細胞質の免疫蛍光の比は、未処理細胞とヒート処理細
胞間で有意な差がなかったので、PKN−PK- タンパ
ク質が過剰に発現された場合は、内在性の野生型PKN
さえも核移行しなくなると考えられた。
【0241】このように、PKN−PK- を細胞内にお
いて過剰発現させると内在性のPKNの細胞質から核へ
の移行が阻害される。従って、プロテインキナーゼ活性
またはプロテインキナーゼ領域を有しないPKN改変ア
ミノ酸配列を有するペプチドまたはその誘導体を細胞内
に発現させることにより、あるいはプロテインキナーゼ
活性またはプロテインキナーゼ活性の亢進を阻害する物
質で細胞を処理することによりPKNの細胞質から核へ
の移行を妨げることできると考えられる。
【0242】実施例23 酵母ツー・ハイブリッド・シ
ステムを用いた活性型Rhoタンパク質とPKNとの結
合を阻害する物質の探索法 酵母(S. cerevisiae )L40株(Mat a trp1 leu2 hi
s3 ade2 LYS2::(LexAop)4-HIS3 URA3::(LexAop)8-LacZ
)に、PKN(1−540)をコードするcDNA断
片が挿入されたpVP16ベクターおよびヒトRhoA
Val14 をコードするcDNA断片が挿入されたpBTM
116ベクターをコトランスフェクションすることによ
り形質転換体を得た(実施例16)。形質転換体を、2
0mlのアデニン(Ade)およびヒスチジン(Hi
s)含有BMM(BMM/Ade/His)培地に植菌
し、30℃で静置培養し、3×10細胞/mlまで増
殖させた後、形質転換体を集菌した。ここで用いたAd
eおよびHis含有BMM培地は、1リットル中に、デ
キストロース 20g、アスパラギン 2g、ビオチン
2μg、パントテン酸カルシウム 200μg、イノシ
トール 10mg、ナイアシン 200μg、ピリドキ
シン塩酸塩 200μg、チアミン塩酸塩 200μ
g,ほう酸 30μg、硫酸銅 20μg、ヨウ化カリ
ウム 100μg、塩化第二鉄 125μg、硫酸マグ
ネシウム 50μg、モリブデンナトリウム 100μ
g、硫酸亜鉛 150μg、リン酸カリウム(monobasi
c ) 1.5μg、硫酸マグネシウム 500mg、塩
化カルシウム 330mg、アデニン 20mg、ヒス
チジン 20mgを含むように調製した。
【0243】集菌した形質転換体の1/2量を、48℃
に保温した300mlの2%精製寒天末(ナカライテス
ク社)および0.002% SDSを含むBMM/Ad
e/His培地(His+ 培地)に、1×106 細胞/
mlになるように懸濁した後、懸濁液を30mlずつ角
シャーレにプレーティングした。残りの1/2量の形質
転換体を同様に、300mlの2%精製寒天末および
0.002% SDSを含むBMM/Ade培地(Hi
- 培地)に懸濁し、懸濁液を30mlずつ角シャーレ
(230×80×15mm)にプレーティングした。
【0244】様々な放線菌やかびの培養ブロスに直径6
mmのペーパー・ディスク(ADVANTEC Thi
n PAPER DISK(東洋ろ紙社)を2組ずつ浸
し、ろ紙上で乾燥させた。乾燥後、2組のペーパー・デ
ィスクの内、一方をHis+培地の形質転換体培養プレ
ートに、もう一方をHis- 培地の形質転換体培養プレ
ートにのせ、30℃で2〜3日間培養した。その後、各
ペーパー・ディスクの周りに出現した増殖阻止円の直径
を計測し、His+ 培地の形質転換体培養プレートとH
is- 培地の形質転換体培養プレートに出現した阻止円
の大きさの差を測定した。
【0245】その結果、ほとんどの培養ブロスでは両方
のプレートで同程度の阻止円を出現させた。一方、ごく
まれにHis+ 培地での阻止円に比べてHis- 培地の
プレートで顕著に大きい阻止円を出現させた培養ブロス
が見出された(データ省略)。これらの培養ブロスはH
is+ 培地では阻止円をほとんど出現させなかったの
で、酵母の増殖を妨げるのに充分な物質は含まれていな
いと考えられる。一方、His- 培地では阻止円を顕著
に出現させることから、この培養ブロス中には、Rho
Val14 とPKN(1−540)との結合を阻害する物
質が含まれていると推測された。以上に記載の通り、酵
母ツー・ハイブリッド・システムによって、Rhoタン
パク質とPKNとの結合を阻害する物質をスクリーニン
グすることが可能であることが明らかになった。
【0246】実施例24 酵母のツー・ハイブリッド・
システムによるα−アクチニンとPKNとの結合の検出 Gal4転写活性化ドメインに融合したヒト脳cDNA
ライブラリーおよびGal4DNA結合ドメインに融合
したPKNN1をコードするバイト構築物の双方で形質
転換された10の酵母コロニーをスクリーニングし
た。具体的には下記に記載の方法に従って実施した。
【0247】使用したヒトPKN、ヒト骨格筋型α−ア
クチニン( Beggs, A., et al., J.Biol. Chem. 267, 9
281-9288 (1992)においてHuActSk1と呼ばれて
いる)および非骨格筋型α−アクチニン( Beggs, A.,
et al., J. Biol. Chem. 267, 9281-9288 (1992)におい
てHuActNmと呼ばれている)の融合コンストラク
トのスキームを図41および図42に示した。ヒトPK
NのN−末端領域(アミノ酸1−540、この領域を
「PKNN1」と表示する)と結合するタンパク質のス
クリーニングは、実施例6に記載された方法に従って実
施した。一次陽性クローンを回収し、Gal4bd−P
KNまたはGal4bd−p53腫瘍サプレッサーと組
み合わせて元の酵母宿主株YGH1(a、ura3−5
2、his3−200、ade2−101、lys2−
801、trp1−901、leu2−3、Can
gal4−542、gal80−538、LYS2::
galluas −galltat a−HIS3、URA
3::gal1−lacZ)中にトランスフェクション
した。PKNの存在下においてのみマーカーの発現を活
性化したプラスミドをさらに分析した。
【0248】cDNAの塩基配列を決定したところ、1
6種の異なるcDNAを示す82個のプラスミドが単離
された(実施例6)。この内、3個の陽性クローン(ク
ローン#4、#10、および#25)は、骨格筋型α−
アクチニン(HuActSk1)(Beggs, A., et al.,
J. Biol. Chem. 267, 9281-9288 (1992) )をコードし
ていた。クローン#4はアミノ酸333からC−末端の
HuActSk1をコードし、クローン#10およびク
ローン#25の双方はアミノ酸344からC−末端のH
uActSk1をコードしていた。これらの3つのクロ
ーンは完全なC−末端を含んでいたが、N−末端のアク
チン結合ドメイン(Fukami, K.,et al.,J. Biol. Chcm.
271, 2646-2650 (1996) )を欠如していた(図4
2)。これらのクローンは、もとの酵母宿主株YGH1
にPKNバイト構築物とともに共形質転換すると、高い
β−ガラクトシダーゼ活性を示した。
【0249】L40細胞(MATa trp1 leu
2 his3 LYS2::lexA−HIS3 UR
A3::lexA−lacZ)においてlacZの発現
を誘導する他の組み合わせのツー・ハイブリッド構築物
であるLexAbd(Gal4bdの代わりに)−PK
N、およびGal4ad−α−アクチニンの結合能力を
測定することによって、この結合の特異性を試験した。
その結果、図43に示すように、高いβ−ガラクトシダ
ーゼ活性がこの系においても検出されたことから、PK
Nのアミノ末端領域とα−アクチニンとの特異的結合が
示唆された。
【0250】ツー・ハイブリッド法を使用して、HuA
ctSk1と結合するPKN上の領域を同定し、この領
域をインビトロおよびインビボでPKNと結合するRh
oAの結合部位と比較した。RhoA結合部位はPKN
の第1ロイシンジッパー様配列に相当するPKNのアミ
ノ酸33−111上にマッピングされている(実施例1
6)が、α−アクチニンはPKNのこの領域とほとんど
結合しなかった(図42)。対照的に、α−アクチニン
はPKNのアミノ酸136−189と強く結合したが、
RhoAとPKNのこの領域では結合は検出されなかっ
た(データ省略)。この領域は第2ロイシンジッパー様
配列およびこれに隣接するN−末端領域に相当し、後者
のN−末端領域は脊椎動物の進化を通じて保存される
(Mukai, H., et al., Biochim. Biophys. Acta 1261,
296-300 (1995))。従って、α−アクチニンは、Rho
結合領域とは異なる領域に結合することが明らかになっ
た。これらの結果より、PKNがRhoAおよびα−ア
クチニンに同時に結合する可能性が示された。
【0251】実施例25 インビトロにおけるHuAc
tSk1へのPKNの結合の検出 α−アクチニンは次の3つのドメインから構成される:
N−末端のアクチン結合ドメイン、内部に4つの122
アミノ酸のリピート(スペクトリン様リピート)をもつ
伸長ロッド形ドメイン、および1対の推定上のらせん−
ループ−らせんCa2+結合モチーフを含有するC−末
端領域(しばしばEF−ハンドと呼ばれる)((Blanch
ard, A., et al., J. Muscle Res. Cell Motil.10,280-
289 (1989))。
【0252】PKNがα−アクチニンに直接結合するか
どうか、またα−アクチニンのどの領域がPKNとの結
合に必要であるかを明らかにするために、HuActS
k1の種々のトランケート構築物を大腸菌(E.col
i)においてGST融合タンパク質として生産させ(図
42)、インビトロ転写させたPKNのN−末端領域と
の結合を解析した。具体的には下記に記載の方法に従っ
て実施した。
【0253】HuActSk1の全長のコーディング領
域のインビトロ転写のためのプラスミドを下記のように
して構築した:アクチン結合ドメインを含むHuAct
Sk1のN−末端領域(アミノ酸1−422)をコード
するcDNAを、ヒト脳cDNAライブラリーからPC
Rにより増幅し、ツー・ハイブリッドのスクリーニング
において単離されたクローン#4のC−末端部分(アミ
ノ酸423−894)に連結した。HuActSk1の
全長コーディング領域を含むcDNAをpBluesc
ript IISK+(Stratagene社)中に
サブクローニングした。プラスミドをXhoIで切断す
ることによって線状化し、T3RNAポリメラーゼを使
用してcRNAを転写した。
【0254】PKNのN−末端領域(アミノ酸1−47
4、以下この領域を「PKNN2」という(実施例
8))のインビトロ転写は、実施例8に記載された方法
に従って実施した。インビトロ翻訳のために、実施例8
に記載された方法に従って、[35S]メチオニンの存
在下においてウサギ網状赤血球ライゼート(プロメガ
社)によりcRNAを翻訳した。
【0255】インビトロ結合実験のために、2μlのイ
ンビトロ翻訳PKNN2を、400μl GST結合バ
ッファー(20mM Tris/HCl、pH7.5、
0.5mM DTT、150mM NaCl、0.05
% トリトン−X100、1mM EDTA、1μg/
ml ロイペプチン)の中で、5μgの各GST−α−
アクチニン−融合タンパク質と、または25μgのGS
T単独と混合し、4℃で1時間インキュベートした。1
0mg/mlの大腸菌(E.coli)抽出物で前処理
して非特異的結合をブロックしたグルタチオン−セファ
ロース4Bの25μlを添加した後、結合反応を4℃で
さらに30分間続けた。次いで、グルタチオン−セファ
ロース4Bを0.5M NaClおよび0.5% トリ
トンX−100を含有するGST洗浄バッファー(20
mM Tris/HCl、pH7.5、0.5mM D
TT、1mM EDTA、1μg/ml ロイペプチ
ン)で4回洗浄し、GST洗浄バッファーでさらに洗浄
した。結合したタンパク質をGST溶出バッファー(1
00mM Tris/HCl、pH7.5、10mMグ
ルタチオン、120mM NaCl、1mM EDT
A、0.5mM DTT、1μg/ml ロイペプチ
ン)で溶出し、SDS−PAGEにかけた。画像形成分
析装置(FUJI BAS1000)により可視化し、
結合を定量した。
【0256】その結果、図44に示すように、インビト
ロ翻訳されたPKNN2は各ヒト骨格筋型α−アクチニ
ン断片(アミノ酸423−653、アミノ酸653−8
37、およびアミノ酸486−607)に強く結合した
が、断片(アミノ酸837−894、およびアミノ酸6
04−719)には結合しなかった。複合体は0.5%
トリトンX−100/0.5M NaClによる洗浄
に対して抵抗性であったので、この結合が非特異的な結
合でないことが示された。
【0257】以上の結果が示唆するように、組換えα−
アクチニンは組換えPKNと直接結合し、スペクトリン
様リピート3およびEF−ハンド様モチーフを含有する
領域に相当する、HuActSk1の2つの異なった領
域が、PKNとの結合において重要な役割を果たす。一
方、ツー・ハイブリッドのデータ(実施例24)から期
待されるように、RhoA結合領域(アミノ酸33〜1
11)を欠如するインビトロ翻訳されたPKNのN−末
端領域(アミノ酸136−474)は、α−アクチニン
に対する直接結合に十分であった(図44、レーン18
−20)。
【0258】実施例26 インビトロでのPKNと非骨
格筋型α−アクチニン(HuActNm)の結合の検出
およびその結合のCa2+依存性の証明 種々の細胞および組織由来の骨格筋、平滑筋、および非
筋肉のα−アクチニンを含む、α−アクチニンの多数の
異なったアイソフォームが特徴づけられている。これら
のα−アクチニン間で報告されている機能的な差異は、
F−アクチンへの非筋肉アイソフォームの結合はCa
2+により阻害されるが、非筋肉アイソフォームの結合
はCa2+非感受性であることである( Burridge, K.
& Feramiscoo, J. R. Nature 294, 565-567 (1981)、Be
nnett, J. P., et al., Biochemistry 23, 5081-5086
(1984) 、 Duhaiman, A. S. & Bamburg, J. R. Biochem
istry23, 1600-1608 (1984) 、および Landon, F., et
al., Eur. J. Biochem. 153,231-237 (1985) )。ヒト
においては、HuActSk1と強い配列相同性(89
%の相同性および80%の同一性)を有する、非筋肉細
胞骨格アイソフォーム(HuActNm( Beggs, A.,
et al., J. Biol. Chem. 267, 9281-9288 (1992))のク
ローンだけが単離されている( Millake, D. B., et a
l., Nucleic Acids Res. 17, 6725 (1989) 、および Yo
ussoufian, H., et al., Am. J. Hum. Genet. 47,62-71
(1990))。
【0259】そこで、本発明者らはインビトロ翻訳され
たPKNN2がHuActSk1のPKN結合部位に相
当するHuActNmの領域に結合できるかどうかを、
実施例25に記載の方法に準じて検討した。実験に用い
たHuActNm断片の調製は、下記に記載の方法に従
って実施した。
【0260】HuActNmのスペクトリン様リピート
3(アミノ酸479−600)およびEF−ハンド様領
域(アミノ酸712−843)をコードするcDNAを
ヒト脳cDNAライブラリーからPCRにより増幅し、
pGEX4Tベクターに連結した。α−アクチニンのス
ペクトリンリピート20およびEF−ハンド様領域をコ
ードするcDNAをラット脳cDNAライブラリーから
PCRにより増幅し、pGEX4Tベクターに連結し
た。GSTまたはGST融合タンパク質の発現および精
製は製造業者(ファルマシア・バイオテク社)のインス
トラクションに従い実施した。グルタチオン−セファロ
ース4B(ファルマシア・バイオテク社)からの溶出液
を、1mM EDTA、1mM DTT、および0.1
μg/mlロイペプチンを含有する10mM Tris
/HCl、pH7.5に対して一晩透析した。
【0261】その結果、図45に示すように、PKNN
2は、HuActNmのスペクトリン様リピート3ドメ
インには結合することができたが、HuActNmのE
F−ハンド様ドメインへの結合はCa2+非存在下にお
いて検出されなかった。しかしながら、PKNN2は1
mMのCa2+存在下においてHuActNmのEF−
ハンド様領域に効果的に結合することができた(図4
5)。
【0262】実施例27 PKNとα−アクチニンとの
間の結合の特異性の検討 α−アクチニンは、スペクトリン、ジストロフィンなど
を包含むスペクトリンのスーパーファミリーの1メンバ
ーである( Blanchard, A., et al., J. Muscle Res. C
ell Motil.10,280-289 (1989) 、Dubreuil, R. R. Bioe
ssays 13, 219-226 (1991)、および Bennett, V, Physi
ol. Rev. 70, 1029-1065 (1990) )。ファミリーのメン
バーは、N−末端のアクチン結合ドメイン、中央のロッ
ド形スペクトリン様リピート、およびC−末端のEF−
ハンド様ドメインにより特徴づけられる。α−スペクト
リンはEF−ハンド様ドメインに対してN−末端に21
個のロッド形リピートを含んでいる。α−スペクトリン
のC−末端はα−アクチニンに明らかに一致しており、
特にα−スペクトリンのリピート20はα−アクチニン
のリピート3に対して非常に高い相同性を示し( Wasen
ius, V. M., et al., J. Cell Biol. 108, 79-93 (198
9) 、および Hong, W. J. & Doyle, D. J. Biol. Che
m. 264, 12758-12764 (1989))、各タンパク質間でのリ
ピートの位置は互いに一致しているように思われる。
【0263】PKNがα−アクチニンのリピート3に結
合したので、PKNがα−スペクトリンのリピート20
に結合できるかどうかを検討した。図46に示すよう
に、PKNとラットα−スペクトリンのリピート20と
のインビトロの結合は、PKNがα−アクチニンのリピ
ート3に結合した同一の条件下においては検出されなか
った。これらの結果は、PKNがα−アクチニンのスペ
クトリン様リピートに特異的に結合することを示す。
【0264】実施例28 α−アクチニンへのPKNの
インビボ結合 インビボにおけるα−アクチニンとPKNとの結合をC
OS7細胞を用いたコトランスフェクション実験により
試験した。クローン#4タンパク質のアミノ末端へ、イ
ンフルエンザHA由来の9アミノ酸のエピトープを融合
することにより、エピトープ標識化α−アクチニンを作
製し、抗HAモノクローナル抗体12CA5を使用して
標識化α−アクチニンポリペプチドを選択的に免疫沈降
することを可能にした( Field, J., et al., Mol. Cel
l Biol. 8, 2159-2165 (1988) )。このHA標識化α−
アクチニンは、α−アクチニンの完全なC−末端領域は
含むが、N−末端のアクチン結合ドメインは欠如してい
る。具体的には、下記の方法に従って実験を実施した。
【0265】インフルエンザHAからの9アミノ酸のエ
ピトープをコードするcDNAをクローン#4のアミノ
末端に融合することによって、HAで標識したHuAc
tSk1 cDNA(アミノ酸333−894)を作製
した。このcDNAをpTB701の中にサブクローニ
ングすることによって、ベクターpHA−Actを構築
した( Ono. Y., et al., J. Biol. Chem. 263, 6927-6
932 (1988))。HAエピトープのみをコードするcDN
AをpTB701の中にサブクローニングすることによ
って、HuActSk1を含まないコントロールpHA
ベクターを構築した。ベクターpHA−Actまたはコ
ントロールpHAベクターを、全長のヒトPKNをコー
ドする発現ベクターpMhPKN3( Mukai, H. & On
o, Y. Biochem. Biophys. Res. Commun. 199, 897-904
(1994))とともに、COS7細胞の中にコトランスフェ
クションした。48時間後、細胞を溶解バッファー(2
0mM Tris/HCl、pH7.5、1% Non
idet P−40、137mM NaCl、10%
グリセロール、1mM フェニルメチルスルホニルフル
オライド、20μg/ml アプロチニン、10μg/
ml ロイペプチン)の中で1時間溶解した。不溶性物
質を15,000×gにおいて10分間遠心することに
よって除去し、上清を12CA5と2時間インキュベー
トした。20μlの50%プロテインAセファロースを
添加した後、この混合物をさらに1時間インキュベート
した。プロテインAセファロースに吸着された免疫沈降
物をHA洗浄バッファー(100mM Tris/HC
l、pH7.5、0.5M LiCl)で2回洗浄し、
10mM Tris/HCl、pH7.5で2回洗浄し
た。得られた免疫沈降物をαC6および12CA5を使
用してイムノブロッティングにより検出した。
【0266】実験に用いた抗ヘマグルチニン(HA)モ
ノクローナル抗体12CA5はベーリンガー・マンハイ
ム社から購入した。PKNに対する特異的抗血清αC6
は、大腸菌で作製したラットPKN断片(アミノ酸86
3−946)でウサギを免疫した後、常法に従って調製
した。
【0267】結果は図47に示した通りであった。CO
S7細胞においてHA標識化α−アクチニンと完全長P
KNの共発現後、抗HA免疫沈降物は免疫反応性のPK
Nをかなり含んでいた。これらの結果は、α−アクチニ
ンのC−末端領域がインビボでPKNと結合することが
できることを示している。
【0268】実施例29 PKNとα−アクチニンとの
間のPI4,5P2依存的結合 α−アクチニンは種々の量の内在性PI4,5P2とイ
ンビボで結合し、α−アクチニンとPI4,5P2との
間の特異的結合はα−アクチニンのF−アクチンゲル化
活性を調節する( Fukami, K., et al., Nature 359, 1
50-152 (1992))。これはPI4,5P2がα−アクチ
ニンのコンフォメーションの変化を引き起こすことを示
している。外から添加されたPI4,5P2はα−アク
チニンに強く結合することができ、この結合は堅固かつ
安定である( Fukami, K., et al., Nature 359, 150-1
52 (1992) )。
【0269】そこで、本発明者らはPI4,5P2の存
在下または非存在下におけるα−アクチニンとPKNの
結合活性を検討した。PI4,5P2の結合領域はα−
アクチニンのアクチン結合ドメインに存在する( Fukam
i, K.,et al., J. Biol. Chcm. 271, 2646-2650 (199
6))ので、インビトロ翻訳したアクチン結合ドメインを
含む全長のα−アクチニン(図42)をこのインビトロ
結合試験において使用した。具体的には下記に記載の方
法に従って実施した。
【0270】α−アクチニンとPKNとの間の結合に対
するホスファチジルイノシトール4,5ビスホスフェー
ト(PI4,5P2)(ベーリンガー・マンハイム社)
の効果を分析するために、2μlのインビトロ翻訳され
た全長のHuActSk1を、400μlのバッファー
P(20mM Tris/HCl、pH7.5、0.5
mM DTT、120mM NaCl、1mM EDT
A)の中で、5μgのGST−PKNN1融合タンパク
質と、または25μgのGST単独と混合し、PI4,
5P2の存在下または非存在下で室温において1時間イ
ンキュベートした。大腸菌(E.coli)抽出液で前
処理したグルタチオン−セファロース4Bの25μlを
添加した後、結合反応を4℃においてさらに30分間続
けた。次いで、グルタチオン−セファロース4Bを0.
01%のトリトンX−100を含有するバッファーP中
で4回洗浄した。結合したタンパク質をGST溶出バッ
ファーで溶出し、SDS−PAGEにかけた。結合を画
像形成分析装置(FUJIBAS1000)により可視
化し、定量した。
【0271】結果は図48に示した通りであった。全長
のα−アクチニンはPI4,5P2の非存在下におい
て、非常に弱いが、特異的にPKNに結合した。しかし
ながら、10μM PI4,5P2を添加すると、PK
Nと全長のα−アクチニンの結合が促進された(図48
A)。従って、PI4,5P2はα−アクチニンのコン
フォメーションに影響を及ぼし、PKNの結合領域を露
出させると考えられる。
【0272】この結合活性は2.5〜10μMまではP
I4,5P2濃度の増加とともに増大したが、この濃度
以上では100μMまでは低下した(図48B)。PI
4,5P2濃度依存性のこの二相性のパターンは、α−
アクチニンとPI3−キナーゼとの結合においても報告
されている( Shibasaki, F., et al., Biochem. J.30
2, 551-557 (1994) )。Fukami et al. は、α−アクチ
ニンのゲル化活性に対するPI4,5P2の効果がPI
4,5P2の濃度が5〜10μMまでは増加するが、P
I4,5P2の濃度がそれ以上に増加するとPI4,5
P2ミセルの形成のためにゲル化活性が元のレベルに減
少してしまうことを報告した( Fukami,K., et al., Na
ture 359, 150-152 (1992) )。PKNとのα−アクチ
ニンの結合に関するPI4,5P2濃度依存的な二相性
の結合パターンも、同一の理由により説明することがで
きる。
【0273】実施例30 PKNキナーゼ活性に対する
α−アクチニンの効果 PKNへのα−アクチニンの結合が、PKNの触媒機能
を調節または直接変化させるかどうかを検討した。具体
的には下記に記載の方法にしたがって実施した。実験に
用いたα−アクチニンはFeramisco et al.の方法により
ウシ大動脈から精製した(Feramisco, J. R. & Burridg
e, K. J. Biol. Chem. 255, 1194-1199(1980))。PK
Nによるリン酸化実験は、30℃において、20mM
Tris/HCl、pH7.5、4mM MgCl
、100μM ATP、185kBq [γ−32
P]ATP、被リン酸化のための基質(phosphate acce
ptor)、20ng/mlのラット睾丸から精製したPK
N( Abe, M., et al., J. Biochem. Tokyo 107, 507-5
09 (1990) )を含むアッセイ混合液中で、各実験に示さ
れているように40μM アラキドン酸の存在下または
非存在下で実施した。部分精製されたタンパク質を、被
リン酸化のための基質として使用する前に、3分間煮沸
して内因性キナーゼ活性を不活性化した。5分間インキ
ュベートした後、反応を等量のレムリ試料バッファー
( Laemmli, U. K. Nature 2Z7, 680-685 (1970))を添
加することにより停止させ、SDS−PAGE上で分離
した。ゲルを真空下で乾燥させ、リン酸化を可視化し、
イメージアナライザー(FUJI BAS1000)に
より定量した。δPKCペプチド( Mukai, H., et al.
Biochem, Biophys. Res. Commun. 204,348-356 (l99
4))を被リン酸化のための基質として使用した場合に
は、混合液をワットマン(Whatman社)P81上
にスポッティングし、75mMのリン酸の中に浸すこと
によって反応を停止させ、次いで10分間洗浄を3回実
施した。ペプチドの中への32Pの取り込みを、シンチレ
ーションカウンティングにより評価した。
【0274】その結果、ウシ大動脈から精製されたα−
アクチニンは、PKNに対して>1000モル過剰量で
添加したとき、PKNの自己リン酸化を阻害せず、また
PKNによるPKC擬似基質ペプチドのリン酸化にも影
響を与えなかった(データ省略)。従って、α−アクチ
ニンはラット睾丸の可溶性画分から精製されたPKNの
インビトロにおける直接のモジュレーターではないこと
が明らかになった。
【0275】実施例31 α−アクチニンおよび他のア
クチン−細胞骨格関連タンパク質のPKNによるリン酸
PKNがα−アクチニンに結合したので、本発明者らは
α−アクチニンそれ自体がPKNの基質であるかどうか
を検討した。ラット睾丸から精製されたPKNは、ウシ
大動脈から精製されたα−アクチニン(実施例30)お
よび大腸菌で発現した組換えα−アクチニンをリン酸化
しなかった(データ省略)。
【0276】本発明者らは、フィラミン、メタ−ビンキ
ュリン、ビンキュリン、タリン、カルデスモン、および
アクチンを含む、他のアクチン−細胞骨格タンパク質の
中からPKN基質を探索した。アクチンは、 Mommaert
s, W.らの方法に従ってウサギ骨格筋から精製した( Mo
mmaerts, W. F. H. M. J.Biol. Chem. 559, 559 (1951)
)。ビンキュリンは、Kobayashi et al.の方法により
ウシ大動脈から精製した( Kobayashi, R. & Tashima,
Y. J. Muscle Res. Cell Motil. 11, 465-470 (199
0))。カルデスモンは、Abe et al.の方法によりウシ大
動脈から部分精製した( Abe, M., et al., J. Bioche
m. Tokyo 107, 507-509 (1990) )。フィラミン、メタ
−ビンキュリン、およびタリンは Feramisco, J. R. &
Burridge, K. J.Biol. Chem. 255, 1194-1199 (1980)
に記載されている方法に従ってウシ大動脈から部分精製
した。
【0277】その結果、これらの中で、カルデスモンお
よびG−アクチンはPKNのための好ましい基質である
ことが明らかとなった。図49に示すように、G−アク
チンおよびカルデスモンのリン酸化は、アラキドン酸の
存在下において、それぞれ約2倍まで、および6倍以上
促進された。
【0278】アクチンやカルデスモンのようなアクチン
を基礎とした細胞骨格タンパク質のいくつかがよいPK
N基質として機能したので、PKNは、Rhoタンパク
質およびホスホイノシチドの効果をこれらのタンパク質
をリン酸化することによって伝達すると推測された。
【0279】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:942および2968 配列の型:アミノ酸および核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチドおよび cDNA 起源: 生物名:ヒト 配列 GAATTCCCGC GCAGAGACTC CAGGTCGCAG GTCGAC ATG GCC AGC GAC GCC GTG 54 Met Ala Ser Asp Ala Val 1 5 CAG AGT GAG CCT CGC AGC TGG TCC CTG CTA GAG CAG CTG GGC CTG GCC 102 Gln Ser Glu Pro Arg Ser Trp Ser Leu Leu Glu Gln Leu Gly Leu Ala 10 15 20 GGG GCA GAC CTG GCG GCC CCC GGG GTA CAG CAG CAG CTG GAG CTG GAG 150 Gly Ala Asp Leu Ala Ala Pro Gly Val Gln Gln Gln Leu Glu Leu Glu 25 30 35 CGG GAG CGG CTG CGG CGG GAA ATC CGC AAG GAG CTG AAG CTG AAG GAG 198 Arg Glu Arg Leu Arg Arg Glu Ile Arg Lys Glu Leu Lys Leu Lys Glu 40 45 50 GGT GCT GAG AAC CTG CGG CGG GCC ACC ACT GAC CTG GGC CGC AGC CTG 246 Gly Ala Glu Asn Leu Arg Arg Ala Thr Thr Asp Leu Gly Arg Ser Leu 55 60 65 70 GGC CCC GTA GAG CTG CTG CTG CGG GGC TCC TCG CGC CGC CTC GAC CTG 294 Gly Pro Val Glu Leu Leu Leu Arg Gly Ser Ser Arg Arg Leu Asp Leu 75 80 85 CTG CAC CAG CAG CTG CAG GAG CTG CAC GCC CAC GTG GTG CTT CCC GAC 342 Leu His Gln Gln Leu Gln Glu Leu His Ala His Val Val Leu Pro Asp 90 95 100 CCG GCG GCC ACC CAC GAT GGC CCC CAG TCC CCT GGT GCG GGT GGC CCC 390 Pro Ala Ala Thr His Asp Gly Pro Gln Ser Pro Gly Ala Gly Gly Pro 105 110 115 ACC TGC TCG GCC ACC AAC CTG AGC CGC GTG GCG GGC CTG GAG AAG CAG 438 Thr Cys Ser Ala Thr Asn Leu Ser Arg Val Ala Gly Leu Glu Lys Gln 120 125 130 TTG GCC ATT GAG CTG AAG GTG AAG CAG GGG GCG GAG AAC ATG ATC CAG 486 Leu Ala Ile Glu Leu Lys Val Lys Gln Gly Ala Glu Asn Met Ile Gln 135 140 145 150 ACC TAC AGC AAT GGC AGC ACC AAG GAC CGG AAG CTG CTG CTG ACA GCC 534 Thr Tyr Ser Asn Gly Ser Thr Lys Asp Arg Lys Leu Leu Leu Thr Ala 155 160 165 CAG CAG ATG TTG CAG GAC AGT AAG ACC AAG ATT GAC ATC ATC CGC ATG 582 Gln Gln Met Leu Gln Asp Ser Lys Thr Lys Ile Asp Ile Ile Arg Met 170 175 180 CAA CTC CGC CGG GCG CTG CAG GCC GGC CAG CTG GAG AAC CAG GCA GCC 630 Gln Leu Arg Arg Ala Leu Gln Ala Gly Gln Leu Glu Asn Gln Ala Ala 185 190 195 CCG GAT GAC ACC CAA GGG AGT CCT GAC CTG GGG GCT GTG GAG CTG CGC 678 Pro Asp Asp Thr Gln Gly Ser Pro Asp Leu Gly Ala Val Glu Leu Arg 200 205 210 ATC GAA GAG CTG CGG CAC CAC TTC CGA GTG GAG CAC GCG GTG GCC GAG 726 Ile Glu Glu Leu Arg His His Phe Arg Val Glu His Ala Val Ala Glu 215 220 225 230 GGT GCC AAG AAC GTA CTG CGC CTG CTC AGC GCT GCC AAG GCC CCG GAC 774 Gly Ala Lys Asn Val Leu Arg Leu Leu Ser Ala Ala Lys Ala Pro Asp 235 240 245 CGC AAG GCA GTC AGC GAG GCC CAG GAG AAA TTG ACA GAA TCC AAC CAG 822 Arg Lys Ala Val Ser Glu Ala Gln Glu Lys Leu Thr Glu Ser Asn Gln 250 255 260 AAG CTG GGG CTG CTG CGG GAG GCT CTG GAG CGG AGA CTT GGG GAG CTG 870 Lys Leu Gly Leu Leu Arg Glu Ala Leu Glu Arg Arg Leu Gly Glu Leu 265 270 275 CCC GCC GAC CAC CCC AAG GGG CGG CTG CTG CGA GAA GAG CTC GCT GCG 918 Pro Ala Asp His Pro Lys Gly Arg Leu Leu Arg Glu Glu Leu Ala Ala 280 285 290 GCC TCC TCC GCT GCC TTC AGC ACC CGC CTG GCC GGG CCC TTT CCC GCC 966 Ala Ser Ser Ala Ala Phe Ser Thr Arg Leu Ala Gly Pro Phe Pro Ala 295 300 305 310 ACG CAC TAC AGC ACC CTG TGC AAG CCC GCG CCG CTC ACA GGG ACC CTG 1014 Thr His Tyr Ser Thr Leu Cys Lys Pro Ala Pro Leu Thr Gly Thr Leu 315 320 325 GAG GTA CGA GTG GTG GGC TGC AGA GAC CTC CCA GAG ACC ATC CCG TGG 1062 Glu Val Arg Val Val Gly Cys Arg Asp Leu Pro Glu Thr Ile Pro Trp 330 335 340 AAC CCT ACC CCC TCA ATG GGG GGA CCT GGG ACC CCA GAC AGC CGC CCC 1110 Asn Pro Thr Pro Ser Met Gly Gly Pro Gly Thr Pro Asp Ser Arg Pro 345 350 355 CCC TTC CTG AGC CGC CCA GCC CGG GGC CTT TAC AGC CGA AGC GGA AGC 1158 Pro Phe Leu Ser Arg Pro Ala Arg Gly Leu Tyr Ser Arg Ser Gly Ser 360 365 370 CTC AGT GGC CGG AGC AGC CTC AAA GCA GAA GCC GAG AAC ACC AGT GAA 1206 Leu Ser Gly Arg Ser Ser Leu Lys Ala Glu Ala Glu Asn Thr Ser Glu 375 380 385 390 GTC AGC ACT GTG CTT AAG CTG GAT AAC ACA GTG GTG GGG CAG ACG TCT 1254 Val Ser Thr Val Leu Lys Leu Asp Asn Thr Val Val Gly Gln Thr Ser 395 400 405 TGG AAG CCA TGT GGC CCC AAT GCC TGG GAC CAG AGC TTC ACT CTG GAG 1302 Trp Lys Pro Cys Gly Pro Asn Ala Trp Asp Gln Ser Phe Thr Leu Glu 410 415 420 CTG GAA AGG GCA CGG GAA CTG GAG TTG GCT GTG TTC TGG CGG GAC CAG 1350 Leu Glu Arg Ala Arg Glu Leu Glu Leu Ala Val Phe Trp Arg Asp Gln 425 430 435 CGG GGC CTG TGT GCC CTC AAA TTC CTG AAG TTG GAG GAT TTC TTG GAC 1398 Arg Gly Leu Cys Ala Leu Lys Phe Leu Lys Leu Glu Asp Phe Leu Asp 440 445 450 AAT GAG AGG CAT GAG GTG CAG CTG GAC ATG GAA CCC CAG GGC TGC CTG 1446 Asn Glu Arg His Glu Val Gln Leu Asp Met Glu Pro Gln Gly Cys Leu 455 460 465 470 GTG GCT GAG GTC ACC TTC CGC AAC CCT GTC ATT GAG AGG ATT CCT CGG 1494 Val Ala Glu Val Thr Phe Arg Asn Pro Val Ile Glu Arg Ile Pro Arg 475 480 485 CTC CGA CGG CAG AAG AAA ATT TTC TCC AAG CAG CAA GGG AAG GCG TTC 1542 Leu Arg Arg Gln Lys Lys Ile Phe Ser Lys Gln Gln Gly Lys Ala Phe 490 495 500 CAG CGT GCT AGG CAG ATG AAC ATC GAT GTC GCC ACG TGG GTG CGG CTG 1590 Gln Arg Ala Arg Gln Met Asn Ile Asp Val Ala Thr Trp Val Arg Leu 505 510 515 CTC CGG AGG CTC ATC CCC AAT GCC ACG GGC ACA GGC ACC TTT AGC CCT 1638 Leu Arg Arg Leu Ile Pro Asn Ala Thr Gly Thr Gly Thr Phe Ser Pro 520 525 530 GGG GCT TCT CCA GGA TCC GAG GCC CGG ACC ACG GGT GAC ATA TCG GTG 1686 Gly Ala Ser Pro Gly Ser Glu Ala Arg Thr Thr Gly Asp Ile Ser Val 535 540 545 550 GAG AAG CTG AAC CTC GGC ACT GAC TCG GAC AGC TCA CCT CAG AAG AGC 1734 Glu Lys Leu Asn Leu Gly Thr Asp Ser Asp Ser Ser Pro Gln Lys Ser 555 560 565 TCG CGG GAT CCT CCT TCC AGC CCA TCG AGC CTG AGC TCC CCC ATC CAG 1782 Ser Arg Asp Pro Pro Ser Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ser Pro Ile Gln 570 575 580 GAA TCC ACT GCT CCC GAG CTG CCT TCG GAG ACC CAG GAG ACC CCA GGC 1830 Glu Ser Thr Ala Pro Glu Leu Pro Ser Glu Thr Gln Glu Thr Pro Gly 585 590 595 CCC GCC CTG TGC AGC CCT CTG AGG AAG TCA CCT CTG ACC CTC GAA GAT 1878 Pro Ala Leu Cys Ser Pro Leu Arg Lys Ser Pro Leu Thr Leu Glu Asp 600 605 610 TTC AAG TTC CTG GCG GTG CTG GGC CGG GGT CAT TTT GGG AAG GTG CTC 1926 Phe Lys Phe Leu Ala Val Leu Gly Arg Gly His Phe Gly Lys Val Leu 615 620 625 630 CTC TCC GAA TTC CGG CCC AGT GGG GAG CTG TTC GCC ATC AAG GCT CTG 1974 Leu Ser Glu Phe Arg Pro Ser Gly Glu Leu Phe Ala Ile Lys Ala Leu 635 640 645 AAG AAA GGG GAC ATT GTG GCC CGA GAC GAG GTG GAG AGC CTG ATG TGT 2022 Lys Lys Gly Asp Ile Val Ala Arg Asp Glu Val Glu Ser Leu Met Cys 650 655 660 GAG AAG CGG ATA TTG GCG GCA GTG ACC AGT GCG GGA CAC CCC TTC CTG 2070 Glu Lys Arg Ile Leu Ala Ala Val Thr Ser Ala Gly His Pro Phe Leu 665 670 675 GTG AAC CTC TTC GGC TGT TTC CAG ACA CCG GAG CAC GTG TGC TTC GTG 2118 Val Asn Leu Phe Gly Cys Phe Gln Thr Pro Glu His Val Cys Phe Val 680 685 690 ATG GAG TAC TCG GCC GGT GGG GAC CTG ATG CTG CAC ATC CAC AGC GAC 2166 Met Glu Tyr Ser Ala Gly Gly Asp Leu Met Leu His Ile His Ser Asp 695 700 705 710 GTG TTC TCT GAG CCC CGT GCC ATC TTT TAT TCC GCC TGC GTG GTG CTG 2214 Val Phe Ser Glu Pro Arg Ala Ile Phe Tyr Ser Ala Cys Val Val Leu 715 720 725 GGC CTA CAG TTT CTT CAC GAA CAC AAG ATC GTC TAC AGG GAC CTG AAG 2262 Gly Leu Gln Phe Leu His Glu His Lys Ile Val Tyr Arg Asp Leu Lys 730 735 740 TTG GAC AAT TTG CTC CTG GAC ACC GAG GGC TAC GTC AAG ATC GCA GAC 2310 Leu Asp Asn Leu Leu Leu Asp Thr Glu Gly Tyr Val Lys Ile Ala Asp 745 750 755 TTT GGC CTC TGC AAG GAG GGG ATG GGC TAT GGG GAC CGG ACC AGC ACA 2358 Phe Gly Leu Cys Lys Glu Gly Met Gly Tyr Gly Asp Arg Thr Ser Thr 760 765 770 TTC TGT GGG ACC CCG GAG TTC CTG GCC CCT GAG GTG CTG ACG GAC ACG 2406 Phe Cys Gly Thr Pro Glu Phe Leu Ala Pro Glu Val Leu Thr Asp Thr 775 780 785 790 TCG TAC ACG CGA GCT GTG GAC TGG TGG GGA CTG GGT GTG CTG CTC TAC 2454 Ser Tyr Thr Arg Ala Val Asp Trp Trp Gly Leu Gly Val Leu Leu Tyr 795 800 805 GAG ATG CTG GTT GGC GAG TCC CCA TTC CCA GGG GAT GAT GAG GAG GAG 2502 Glu Met Leu Val Gly Glu Ser Pro Phe Pro Gly Asp Asp Glu Glu Glu 810 815 820 GTC TTC GAC AGC ATC GTC AAC GAC GAG GTT CGC TAC CCC CGC TTC CTG 2550 Val Phe Asp Ser Ile Val Asn Asp Glu Val Arg Tyr Pro Arg Phe Leu 825 830 835 TCG GCC GAA GCC ATC GGC ATC ATG AGA AGG CTG CTT CGG AGG AAC CCA 2598 Ser Ala Glu Ala Ile Gly Ile Met Arg Arg Leu Leu Arg Arg Asn Pro 840 845 850 GAG CGG AGG CTG GGA TCT AGC GAG AGA GAT GCA GAA GAT GTG AAG AAA 2646 Glu Arg Arg Leu Gly Ser Ser Glu Arg Asp Ala Glu Asp Val Lys Lys 855 860 865 870 CAG CCC TTC TTC AGG ACT CTG GGC TGG GAA GCC CTG TTG GCC CGG CGC 2694 Gln Pro Phe Phe Arg Thr Leu Gly Trp Glu Ala Leu Leu Ala Arg Arg 875 880 885 CTG CCA CCG CCC TTT GTG CCC ACG CTG TCC GGC CGC ACC GAC GTC AGC 2742 Leu Pro Pro Pro Phe Val Pro Thr Leu Ser Gly Arg Thr Asp Val Ser 890 895 900 AAC TTC GAC GAG GAG TTC ACC GGG GAG GCC CCC ACA CTG AGC CCG CCC 2790 Asn Phe Asp Glu Glu Phe Thr Gly Glu Ala Pro Thr Leu Ser Pro Pro 905 910 915 CGC GAC GCG CGG CCC CTT ACA GCC GCG GAG CAG GCA GCC TTC CTG GAC 2838 Arg Asp Ala Arg Pro Leu Thr Ala Ala Glu Gln Ala Ala Phe Leu Asp 920 925 930 TTC GAC TTC GTG GCC GGG GGC TGC TAGCCCCCTC CCCTGCCCCT GCCCCTGCCC 2892 Phe Asp Phe Val Ala Gly Gly Cys 935 940 CTGCCCGAGA GCTCTTAGTT TTTAAAAAGG CCTTTGGGAT TTGCCGGAAA AAAAAAAAAA 2952 AAAAAAAAAG GAATTC 2968
【0280】配列番号:2 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:ヒト 配列 Arg Glu Arg Leu Arg Arg Glu Ser Arg Lys Glu Leu Lys Leu Lys 1 5 10 15
【図面の簡単な説明】
【図1】DEAEセファロース・カラム・クロマトグラ
フィーによるp128の精製の結果を示した電気泳動写
真である。 レーン1:GST−RhoAタンパク質アフィニティー
・カラムからの0.2M NaCl溶出画分、レーン
2:DEAEセファロース・カラムからの75mM N
aCl溶出画分。
【図2】抗PKN抗体を用いて、p128のイムノブロ
ット解析を実施した結果を示した電気泳動写真である。 レーン1:免疫前(プレイミュン)血清、レーン2:抗
PKN抗体。
【図3】PKNの自己リン酸化反応を示した電気泳動写
真である。 レーン1:GST、レーン2:GDP・GST−Rho
A、レーン3:GTPγS・GST−RhoA、レーン
4:GTPγS・GST−RhoAAsp38、レーン
5:GDP・GST−Rac、レーン6:GTPγS・
GST−Rac、レーン7:GDP・GST−H−Ra
s、レーン8:GTPγS・GST−H−Ras。
【図4】αPKCペプチドに対するPKNキナーゼ活性
のRhoAタンパク質による容量依存的な活性化を示し
た図である。
【図5】PKNのキナーゼ活性における様々な低分子量
Gタンパク質の効果を示した図である。
【図6】無細胞系での組換え型PKNとGTPγS・G
ST−RhoA間の複合体形成を示した電気泳動写真で
ある。 レーン1:GST、レーン2:GDP・GST−Rho
A、レーン3:GTPγS・GST−RhoA、レーン
4:GTPγS・GST−RhoAAsp38、レーン
5:GDP・GST−Rac、レーン6:GTPγS・
GST−Rac、レーン7:GDP・GST−H−Ra
s、レーン8:GTPγS・GST−H−Ras。
【図7】COS7細胞内におけるPKNとRhoAタン
パク質間の複合体形成を示した電気泳動写真である。
「blot」はブロット、「IP」は免疫沈降、「cy
tosol」サイトゾルをそれぞれ表す。
【図8】LPAによるPKN自己リン酸化反応の促進を
示した電気泳動写真である。 レーン1:無添加、レーン2:C3、レーン3:LP
A、レーン4:C3+LPA。
【図9】酵母ツー・ハイブリッド・システム(two hybr
id system )によるPKNとRhoAタンパク質との結
合を示した写真(生物の形態の写真)である。
【図10】NFの各サブユニットの融合構築物の構造を
模式的に示した図である。NFの各サブユニットの全長
配列は薄黒色のボックスで示してある。太いボックスは
NFの各サブユニットのロッドドメインの位置を示して
いる。VP16トランスアクチベーションドメイン(網
目状のボックス)、LexA DNA結合ドメイン(斜
線を付けたボックス)、またはグルタチオンSトランス
フェラーゼ(黒色のボックス)をNFの種々の欠失変異
(白色のボックス)と融合させた。ライブラリーから単
離したpGAD10−NFL#21は図の最下部に示し
た。破線で示したボックスは欠失した配列部分を示して
いる。TはTth111Iを、XはXhoIを、PはP
stIを、BはBglIIを、KはKpnIを、それぞ
れ示す。
【図11】ツー・ハイブリッド・システムによるPKN
とNFの結合の測定を示した写真(生物の形態の写真)
である。 (A)VP16転写活性化ドメインプラスミド(pVP
16;ライン7および10)、またはNFLのヘッド・ロ
ッドドメイン(pVP−NFL#21;ライン1〜
3)、NFLのテールドメイン(pVP−NFLt;ラ
イン4〜6)、PKNN1(pVP−PKNN1;ライ
ン8および11)およびPKNC1(pVP−PKNC
1;ライン9および12)をコードする融合プラスミド
を、DNA結合ドメインプラスミド(pBTM116;
ライン1および4)、あるいはNFLのヘッド・ロッド
ドメイン(pBTM−NFL#21;ライン7〜9)、
NFLのテールドメイン(pBTM−NFLt;ライン
10〜12)、PKNN1(pBTM−PKNN1;ラ
イン2および5)およびPKNN1(pBTM−PKN
C1;ライン3および6)をコードする融合プラスミド
と共に酵母中に形質転換した。 (B)NFL(pVP−NFL#21;ライン1)、N
FM(pVP−NFMhr;ライン2)、およびNFH
(pVP−NFHhr;ライン3)のヘッド・ロッドド
メイン、並びにNFL(pVP−NFLt;ライン
4)、NFM(pVP−NFMt;ライン5)、および
NFH(pVP−NFHt;ライン6)のテールドメイ
ンをコードするVP16転写活性化融合プラスミドをP
KNN1をコードするDNA結合ドメイン融合プラスミ
ド(pBTM−PKNN1;ライン1〜6)と共に酵母
中に形質転換した。各形質転換では、非選択(His
+)プレートから5つの独立したコロニーを単離し、寒
天プレート上にこすりつけ、3週間増殖させた後β−ガ
ラクトシダーゼの産生を調べた。データは独立した3回
の形質転換体の代表例である。
【図12】インビトロでのPKNとNFの結合を示した
電気泳動写真である。インビトロ・トランスレーション
により作製した35S標識PKNのN末端領域(PKN
N2)、あるいはC末端領域(PKNC2)を、バクテ
リアで合成したGST(レーン4、6、10、および1
2)またはGST−NFLの種々の欠失フラグメント
(GST−NFL#21、レーン1、5、7および1
1;GST−NFLdelA、レーン2および8;GS
T−NFLdelB、レーン3および9)と共にインキ
ュベートした。タンパク質をグルタチオン−セファロー
スビーズ(G−Beads)で集め、SDS−PAG
E、オートラジオグラフィーにより実施例7に記載した
方法で分析した。図中、「Input」は、G−Bea
ds処理前の結合反応液の10μlを示している。「G
−Beads」はG−Beads処理後の沈殿物を示
す。図は3回の独立した実験の典型的な結果である。
【図13】インビトロでのPKNとNFの結合を示した
電気泳動写真である。インビトロ・トランスレーション
により作製した35S標識PKNN2を、バクテリアで
合成したGST(レーン4および8)、またはGSTと
融合したNFL(GST−NFL#21、レーン1およ
び5)、NFM(GST−NFMhr、レーン2および
6)およびNFH(GST−NFHhr、レーン3およ
び7)のヘッド・ロッドドメインと共にインキュベート
した。グルタチオン−セファロースビーズ(G−Bea
ds)を加えた後、試料を図12と同様に処理した。図
中、「Input」は、G−Beads処理する前の結
合反応液の10μlを示している。「+G−Bead
s」はG−Beadsで処理した後の沈殿物を示す。標
識されたタンパク質の位置は矢印で示してある。タンパ
ク質分子量マーカーの位置は図の左側に示した。図は3
回の独立した実験の典型的な結果である。
【図14】PKNによるNFのリン酸化を示した電気泳
動写真である。aおよびbは、40μMのアラキドン酸存
在下(レーン2)、非存在下(レーン1)で精製ラット
PKNと共に30℃で5分間インキュベートした精製ウシ
NFのSDS−PAGEの銀染色およびオートラジオグ
ラフをそれぞれ示す。NFH、NFMおよびNFLはそ
れぞれレーン2の左側にH、MおよびLで示される。
【図15】PKNによるNFのリン酸化を示した電気泳
動写真である。PKNによるトリプレットタンパク質
(NFL、NFMおよびNFHから成る複合体)を含む
精製したウシNFのリン酸化の経時変化を示す。ラット
精製PKNおよび40μMのアラキドン酸と共に30℃で0
分間(レーン1および6)、10分間(レーン2および
7)、30分間(レーン3および8)、60分間(レーン4
および9)および120 分間(レーン5および10)イン
キュベートした脱リン酸化(レーン1〜5)およびリン
酸化(レーン6〜10)されたNFを示すSDS−PA
GEのオートラジオグラフ。NFL、NFMおよびNF
Hはそれぞれレーン5および10の右側にL、Mおよび
Hで示した。PKNの自己リン酸化の位置は白矢印で示
した。分子量サイズマーカーの位置は左側に示した。
【図16】PKNによるNFのリン酸化を示した図であ
る。各NFタンパク質中に取り込まれた放射能標識の量
を示す。白丸:アルカリホスファターゼで予め処理した
NFL(dLで示す)、黒丸:アルカリホスファターゼ
で処理してないNFL(Lで示す)、白三角形:アルカ
リホスファターゼで予め処理したNFH(dHで示
す)、黒三角形:アルカリホスファターゼで処理してな
いNFH(Hで示す)、白四角形:アルカリホスファタ
ーゼで予め処理したNFM(dMで示す)、黒四角形:
アルカリホスファターゼで処理してないNFM(Mで示
す)。データは独立した3回の実験の代表例である。
【図17】NFの各サブユニットのヘッド・ロッドドメ
インが被リン酸化されることを示した電気泳動写真であ
る。(A)および(B)はそれぞれ、PKNでリン酸化
されたGSTとNF融合タンパク質のSDS−PAGE
のタンパク質染色およびオートラジオグラフを示す。G
ST−NFL(GST−NFL#21;レーン1)、G
ST−NFM(GST−NFMhr;レーン3)および
GST−NFH(GST−NFHhr;レーン5)のヘ
ッド・ロッドドメイン、並びにGST−NFL(GST
−NFLt;レーン2)、GST−NFM(GST−N
FMt;レーン4)およびGST−NFH(GST−N
FHt;レーン6)のテールドメインを、ラット精製P
KNおよび40μMのアラキドン酸と共に実施例9に記載
したようにして30℃で10分間インキュベートした。GS
T−NFL、NFMおよびNFHのテールドメインの位
置は(A)のレーン6の右側にそれぞれL、MおよびH
で示した。PKNの自己リン酸化の位置は(B)の白矢
印で示した。GST−NFサブユニットのヘッド・ロッ
ドドメインの位置は黒矢印で示した。
【図18】NFLの重合に与えるリン酸化の影響を示し
た電気泳動写真である。インビトロ・トランスレーショ
ンにより作製した35S標識NFLとラット精製PKN
を、バクテリアで合成したGST(レーン5および1
0)、GST−NFLのヘッド・ロッドドメイン(GS
T−NFL#21;レーン1、2、6および7)または
GST−全長NFL(GST−NFLf;レーン3、
4、8および9)と共に、100 μMのATP存在下(レ
ーン2、4、7および9)および非存在下で(レーン
1、3、5、6、8、10)インキュベートした。GS
TまたはGST融合タンパク質をグルタチオン・セファ
ロース−ビーズ(G−Beads)と共に集め、SDS
−PAGE、そして続いてオートラジオグラフィーで実
施例10に記載したようにして分析した。「Inpu
t」はG−Beadsで処理する前の反応液、「+G−
Beads」はG−Beads処理した後の沈殿物を示
す。図は独立した3回の実験の典型的な結果である。
【図19】ツー・ハイブリッド・システムによるPKN
のアミノ末端領域とカルボキシル末端領域との結合を示
した写真(生物の形態の写真)である。
【図20】PKNの各部分のインビトロでの結合を示し
た電気泳動写真である。インビトロ翻訳し、35Sで標
識したアミノ末端領域(レーン1、2、5、6)または
カルボキシル末端領域(レーン3、4、7、8)をバク
テリアで合成したGST(レーン1、3、5、7)また
はPKNのアミノ末端領域に融合したGST(レーン
4、8)またはPKNのカルボキシル末端領域に融合し
たGST(レーン2、6)とともにインキュベートし
た。実施例2に記載の方法に従って、タンパク質をグル
タチオン・セファロースビーズ(G−Beads)で集
め、SDS−PAGEの後、オートラジオグラフィーに
より分析した。インプットは沈降前に回収した10μl
のイニシャル結合反応液を示している。標識したタンパ
ク質の位置は矢印で示した。「Input」はG−Be
adsで処理する前の反応液、「+G−Beads」は
G−Beads処理した後の沈殿物を示す。タンパク質
マーカーの位置を右側に示した(kDa)。図は3回の
独立した実験からの代表例である。
【図21】PKNによる[Ser46]PKN(39−
53)のリン酸化を示した図である。実施例13に記載
された方法に従って、[Ser46]PKN(39−5
3)ペプチドを精製PKNによってリン酸化した。デー
タのダブル・レシプロカル・プロットが示されている。
結果は、デュプリケートして行った独立した実験からの
mean±S.E.である。
【図22】合成ペプチドを用いたPKNのプロテインキ
ナーゼ活性の阻害を示した図である。リン酸化されたペ
プチド基質を、相当するKm濃度(δPKCペプチドは
10μM、Kemptideは16μM)で、様々な濃度のPK
N(39−53)ペプチドまたはPKN(54−73)
ペプチドの存在下で使用した。PKNはδPKCペプチ
ドを基質として、PKN(39−53)ペプチド(黒
丸)またはPKN(54−73)ペプチド(白丸)をイ
ンヒビターとして用いて測定した。PKAはKemptideを
基質とし、PKN(39−53)ペプチドをインヒビタ
ーとして用いて測定した(白四角形)。プロテインキナ
ーゼ活性は実施例13および14に記載された方法に従
って決定した。結果は、デュプリケートして行った独立
した実験からのmean±S.E.である。
【図23】PKNのプロテインキナーゼ活性におけるP
KN(39−53)ペプチドの効果を示した図である。 (A)様々なPKN(39−53)濃度でのダブル・レ
シプロカル・プロット。PKN(39−53)の濃度は
それぞれ、0(黒四角形)、40(白四角形)、80
(黒三角形)および120(白三角形)μMである。δ
PKCペプチドの濃度はそれぞれ、10、20、40、
80μMである。プロテインキナーゼ活性は実施例13
および14に記載された方法にしたがって決定した。 (B)阻害剤に対する見かけのKm/Vmaxのセカン
ダリー・プロット。結果は、デュプリケートして行った
独立した実験からのmean±S.E.である。
【図24】酵母ツー・ハイブリッド・システムを用いた
PKNとRhoタンパク質との結合を示した写真(生物
の形態の写真)である。「PKN」はPKNのN末端調
節領域を示す。「CLVL」はC末端の脂質修飾部位
を欠失したRhoAタンパク質の欠失変異体を示す。結
果は3回の独立した実験からの代表例である。
【図25】酵母ツー・ハイブリッド・システムを用いた
PKNとRhoタンパク質との結合を示した図である。
結合の程度は、β−ガラクトシダーゼ活性として示され
ている。PKNの全構造の模式図が図の最上段に、その
欠失変異体の構造がその下に、それぞれ描かれている。
「LZ」はロイシン・ジッパー様モチーフを示す。「+
++」や「++」はそれぞれアッセイの開始から20お
よび60分以内での強い発色を意味する。「−」は24
時間以内に発色しなかったことを意味する。
【図26】Rhoタンパク質とPKNのN末端調節領域
との結合を示した電気泳動写真である。結果は3回の独
立した実験からの代表例である。「Input」はG−
Beadsで処理する前の反応液、「+G−Bead
s」はG−Beads処理した後の沈殿物を示す。
【図27】PKNの部分ペプチドによるRhoタンパク
質とPKNのN末端調節領域との結合阻害を示した電気
泳動写真である。図に示した濃度のPKNの部分ペプチ
ドの存在下で、GTPγS・GST−RhoAをインビ
トロ翻訳したPKNとともにインキュベーションした。
結果は3回の独立した実験からの代表例である。
【図28】PKNの部分ペプチドによるRhoタンパク
質とPKNのN末端調節領域との結合阻害を示した電気
泳動写真である。写真に示した濃度のPKNの部分ペプ
チドの存在下で、GTPγS・GST−RhoAをイン
ビトロ翻訳したPKNとともにインキュベーションし
た。結果は3回の独立した実験からの代表例である。
【図29】RhoAタンパク質内在性GTPase活性
に対するPKNのN末端領域の影響を示した図である。
[γ−32P]GTP・GST−RhoA(黒丸、白
丸、バツ印)またはGST−RhoAVal14(白三
角形)を、GST−PKNの存在下(黒丸)または非存
在下(白丸)またはGST(バツ印)とともに、記載の
時間インキュベートし、結合している放射能活性をフィ
ルター結合アッセイによって測定した。各々のタンパク
質に結合している残存[γ−32P]GTPが、インキ
ュベーションの0分時点で測定した残存[γ−32P]
GTPのパーセントとして表現されている。結果は3回
の独立した実験からの代表例である。
【図30】Rhoタンパク質GTPase活性に対する
PKNのN末端領域の影響を示した図である。GTPa
seに対するPKNの用量依存的な効果が示されてい
る。[γ−32P]GTP・GST−RhoAを10分
間、様々な濃度のPKNのN末端領域のGST融合タン
パク質とともにインキュベーションした。結果は3回の
独立した実験からの代表例である。
【図31】GAPによって刺激されたRhoタンパク質
内在性GTPase活性に対するPKNの効果を示した
図である。100nMの[γ−32P]GTP・GST
−RhoAをGST−RhoGAPおよびMBP−PK
Nの存在下でインキュベーションした。結果は3回の独
立した実験からの代表例である。
【図32】PKNのイムノブロッティングを示した電気
泳動写真である。NIH3T3細胞(レーン1、4、
7、8)、Rat−1細胞(レーン2、5)、およびB
alb/c3T3細胞(レーン3、6)からの細胞ライ
ゼート(50μgのタンパク質)をSDS−PAGE、
次いでイムノブロットにかけた。タンパク質をクマジー
・ブリリアント・ブルー(CBB)で染色した(レーン
1〜3)。αC6(レーン4〜6)、αN2(レーン
7)、およびαF1(レーン8)を使用して、免疫染色
を実施した。マーカータンパク質の位置をkDaで、P
KNの位置を矢印で示す。
【図33】PKNの細胞内分布へのヒートショックの効
果を示した電気泳動写真である。細胞を42℃において
90分間処理し、ホモジェナイズし、サイトゾル
(C)、原形質膜(M)および核(N)の画分に分画し
た。αC6を使用するイムノブロッティングにより、P
KNを検出した。対照未処理細胞(a)およびヒートシ
ョック細胞(b)におけるPKNの位置を矢印で示す。
NIH3T3細胞:各レーンは全部で19μgのタンパ
ク質を含有する。Rat−1細胞:各レーンは全部で1
1μgのタンパク質を含有する。Balb/c3T3細
胞:各レーンは全部で11μgのタンパク質を含有す
る。
【図34】NIH3T3細胞へのヒートショックの効果
をPKN免疫染色によって示した写真(生物の形態の写
真)である。対照となる未処理細胞(a〜d)、42℃
において90分間処理した細胞(e〜h)、およびヒー
トショック後90分に37℃において240分間インキ
ュベートした細胞(i〜1)を各抗血清で免疫染色し
た。1次抗血清はαC6(a、e、i)、αN2(b、
f、j)、αF1(c、g、k)、およびαPP2A
(d、h、1)であった。
【図35】Rat−1およびBalb/c3T3細胞に
対するヒートショックの効果をPKN免疫染色によって
示した写真(生物の形態の写真)である。Rat−1
(a、c、e)およびBalb/c3T3(b、d、
f)細胞を42℃のヒートショックに曝した。1次抗血
清はαC6であった。対照未処理細胞(a、b);ヒー
トショック後90分の細胞(c、d);ヒートショック
(90分間)後に37℃において240分間インキュベ
ートした細胞(e、f)。
【図36】NIH3T3細胞へのヒートショックの効果
を示した写真(生物の形態の写真)である。対照未処理
細胞(a)および42℃において90分間処理した細胞
(b)をαC6で免疫染色し、共焦点レーザー走査顕微
鏡で観察した。細胞の下部からの光学的切断を、図示し
た深度において実施した。
【図37】PKNの免疫蛍光染色に対する亜ヒ酸ナトリ
ウムの効果を示した写真(生物の形態の写真)である。
対照未処理細胞(a)および50μMの亜ヒ酸ナトリウ
ムで37℃、2時問処理した細胞(b)をαC6で免疫
染色した。
【図38】PKNの免疫蛍光染色に対する血清飢餓の効
果を示した写真(生物の形態の写真)である。対照とな
る未処理細胞(a)、37℃において24時間血清飢餓
とした細胞(b)、および血清飢餓の後37℃において
10% FCSと4時間インキュベートした細胞(c)
をαC6で免疫染色した。
【図39】PKN−PK- 変異体タンパク質を過剰に発
現するPK- /neo#5細胞でのヒートショックの効
果をPKNのイムノブロッティングおよび自己リン酸化
によって示した電気泳動写真である。野生型NIH3T
3細胞(レーン1、3、5)およびPK- /neo#5
細胞(レーン2、4、6)のライゼートをSDS−PA
GEにかけ、そしてタンパク質をクマジー・ブリリアン
ト・ブルー(CBB)を用いて染色し(レーン1、
2)、その後イムノブロッティングをαC6で実施した
(レーン3、4)。αN2を使用してこれらの細胞から
免疫沈降を実施した。免疫沈降物を自己リン酸化し、そ
してSDS−PAGEにかけ、次いでオートラジオグラ
フィーにかけた(レーン5、6)。マーカータンパク質
の位置をkDaで示し、そしてPKNの位置を矢印で示
す。
【図40】PKN−PK- 変異体タンパク質を過剰に発
現するPK- /neo#5細胞でのヒートショックの効
果をPKNの免疫蛍光によって示した写真(生物の形態
の写真)である。対照となる未処理細胞(a)、42℃
において90分間処理した細胞(b)、および44℃に
おいて90分間処理した細胞(c)を抗血清αC6で免
疫染色した。核の中心における光学的切断を共焦点レー
ザ一顕微鏡を使用して細胞の下部から2.5μmにおい
て実施した。
【図41】ヒトPKNの発現構築物、およびツー・ハイ
ブリッド・システムによるそれらの結合の結果を概略的
に表示した図である。タンパク質の全構造の概略は各図
面の上部に示されており、タンパク質の欠失突然変異体
をその下に整列させた。各ラインの前および後の数字
は、黒塗りのボックスまたは白抜きボックスにより示さ
れている各クローンの両末端のアミノ酸残基の位置を示
す。ツー・ハイブリッド・システムによる結合は、β−
ガラクトシダーゼ活性についてのフィルターアッセイに
より試験した。「+++」および「+」は、それぞれ、
アッセイの開始後から20分および24時間以内の青色
の発色を示す。「±」はアッセイの開始から24時間後
の淡い青色の発色を示し、「−」は24時間以内の発色
がないことを示している。Gal4bdおよびLexA
bdは、それぞれ、Gal4およびLexAのDNA結
合ドメインを示す。Gal4adおよびVP16ad
は、それぞれ、Gal4およびVP16の転写活性化ド
メインを示す。「LZ」はロイシンジッパー様モチーフ
を示す。「BR」は塩基性アミノ酸に富んだ領域を示
す。黒塗りボックスはバイト構築物を示す。
【図42】HuActSk1(骨格筋型α−アクチニ
ン)およびHuActNm(非骨格筋型α−アクチニ
ン)の発現構築物、およびツー・ハイブリッド・システ
ムによるそれらの結合の結果を概略的に表示した図であ
る。図中の略号は図41と同義である。「SR」はスペ
クトリン様リピートを示す。
【図43】ツー・ハイブリッド・システムにおけるPK
NとHuActSk1との結合を示した写真である。P
KNN1(レーン1〜4)またはネズミ腫瘍サプレッサ
ーp53(アミノ酸72−390)(レーン5〜8)を
LexA DNA結合ドメインとの融合タンパク質とし
て発現させ、Gal4活性化ドメインをもつ融合タンパ
ク質として発現したSV40のlarge T抗原(アミノ酸
84−708)(レーン1および5)、クローン#21
タンパク質(2および6)、クローン#4タンパク質
(3および7)、およびクローン#10タンパク質(4
および8)との結合をβ−ガラクトシダーゼ活性につい
てのフィルターアッセイにより試験した。クローン#2
1はニューロフィラメントLタンパク質のヘッド−ロッ
ドドメインをコードする(Mukai, H. et al., J. Biol.
Chem., 271, 9816-9822 (1996) )。TrpおよびLe
uを欠如する選択したプレートから分離した独立のコロ
ニーのフィルターアッセイ開始後1時間における、青色
の発色が示されている。
【図44】PKNとHuActSk1との間のインビト
ロ結合分析を示した電気泳動写真である。35S標識し
たインビトロ翻訳PKNのN−末端領域(アミノ酸1−
474、この領域はPKNN2と表示した;レーン1〜
7および11〜17)またはPKN△Balのそれ(ア
ミノ酸136−474;レーン8〜10および18〜2
0)を、大腸菌で合成したGSTまたはGSTと図42
に示すようなHuActSk1の種々の欠失突然変異体
と融合タンパク質とをインキュベートした。初期の結合
反応混合液のアリコート(10μl)を沈降の前に取り
出し、電気泳動にかけた(これらの電気泳動は上図に
「Input」と表示した)。GSTまたはGST融合
タンパク質をグルタチオン−セファロースビーズで集
め、10%のSDS−PAGE、次いでオートラジオグ
ラフィーにより分析した(これらは下図に「G−bea
ds」と表示した)。レーン1および11、GST−H
uActSk1(333−423);レーン2、8、1
2、および18、GST−HuActSk1(423−
653);レーン3、9、13、および19、GST−
HuActSk1(653−837);レーン4および
14、GST−HuActSk1(837−894);
レーン5および15、GST−HuActSk1(48
6−607);レーン6および16、GST−HuAc
tSk1(604−719);レーン7、10、17、
および20、GST。白色の矢じり印は標識化PKNN
2の位置を示し、黒色の矢じり印は標識化PKN△Ba
lの位置を示す。分子量マーカーはkDaで示されてい
る。
【図45】PKNとHuActNmとの結合を示した電
気泳動写真である。35S標識化インビトロ翻訳PKN
N2を、大腸菌で合成したGSTまたは第42図に示す
ようなHuActNmのGST融合された種々の欠失突
然変異体とインキュベートした。初期の結合反応混合液
のアリコート(10μl)を沈降の前に取り出し、電気
泳動にかけた(これらを「Input」と表示した)。
GSTまたはGST融合タンパク質をグルタチオン−セ
ファロースビーズで集め、10%のSDS−PAGE、
次いでオートラジオグラフィーにより分析した。白色の
矢じり印は標識化タンパク質の位置を示す。分子量マー
カーはkDaで示されている。 A:PKNとHuActNmの欠失突然変異体との特異
的結合。レーン1および4、GST−HuActNm
(アミノ酸479−600);レーン2および5、GS
T−HuActNm(アミノ酸712−834);レー
ン3および6、GST。 B:HuActNmのEF−ハンド様領域との結合に対
するCa2+の効果。GST−HuActNm(アミノ
酸712−834)を、Ca2+の非存在下(レーン1
および3)または1mMのCa2+の存在下(レーン2
および4)において、インビトロ翻訳PKNとインキュ
ベートした。
【図46】α−アクチニンのスペクトリン様リピートと
PKNとの特異的結合を示した電気泳動写真である。
35S標識化インビトロ翻訳PKNN2を、大腸菌で合
成したGSTまたはGSTと融合したα−アクチニンの
スペクトリン様リピートまたはα−スペクトリンのスペ
クトリンリピートとインキュベートした。初期の結合反
応混合物のアリコート(10μl)を沈降の前に取り出
し、電気泳動にかけた(これらを「Input」と表示
した)。GSTまたはGST融合タンパク質をグルタチ
オン−セファロースビーズで集め、10%のSDS−P
AGE、次いでオートラジオグラフィーにより分析し
た。白色の矢じり印は標識化タンパク質の位置を示す。
分子量マーカーはkDaで示されている。レーン1およ
び5、GST−HuActSk1のスペクトリン様リピ
ート3(アミノ酸486−607);レーン2および
6、GST−HuActNmのスペクトリン様リピート
3(アミノ酸479−600);レーン3および7、G
ST−α−スペクトリンのスペクトリンリピート20;
レーン4および8、GST。
【図47】PKNとHuActSk1とのインビボ結合
を示した電気泳動写真である。HuActSk1のアミ
ノ酸333−894に融合したHAエピトープをコード
するベクターpHA−Act(レーン1、3、5)、ま
たはpHAベクター(2、4、6)を、全長のヒトPK
Nをコードする発現ベクターpMhPKN3(Mukai,
H. & Ono, Y., Biochem. Biopys. Res. Commun. 199, 8
97-904 (1994))とともにCOS7細胞の中に共トラン
スフェクションした。細胞を抽出し、組換えポリペプチ
ドを抗HA抗体12CA5を使用して免疫沈降させた。
各抽出物(レーン3〜6)および各免疫沈降物(レーン
1〜2)の中のPKNおよびHuActSk1を、それ
ぞれ、抗PKN抗血清αC6(レーン1〜4)および1
2CA5(レーン5および6)を使用して免疫沈降によ
り検出した。白色の矢印はPKNの位置を示す。黒色の
矢印はHA−HuActSk1の位置を示す。
【図48】PKNとα−アクチニンとの結合に対するP
I4,5P2の効果を示した電気泳動写真である。35
Sで標識したインビトロ翻訳されたHuActSk1の
全長のコーディング領域を、大腸菌で合成したGSTま
たはGST融合PKNN1とインキュベートした。初期
の結合反応混合液のアリコート(10μl)を沈降の前
に取り出し、電気泳動にかけた(これらを「Inpu
t」と表示した)。GSTまたはGST融合タンパク質
をグルタチオン−セファロースビーズで集め、8%のS
DS−PAGE、次いでオートラジオグラフィーにより
分析した。矢印は標識化HuActSk1の位置を示
す。 A:10μMのPI4,5P2の非存在下(レーン1、
2、5、および6)または存在下(レーン3、4、7、
および8)における全長のα−アクチニンとPKNとの
特異的結合。レーン1、3、5、および7、GST−P
KNN1;レーン2、4、6、および8、GST。 B:全長のα−アクチニンとPKNとの結合活性に対す
るPI4,5P2の濃度の効果。レーン1および6、0
μMのPI4,5P2;レーン2および7、2.5μM
のPI4,5P2;レーン3および8、10μMのPI
4,5P2;レーン4および9、30μMのPI4,5
P2;レーン5および10、100μMのPI4,5P
2。
【図49】PKNによるアクチンおよびアクチン結合タ
ンパク質のリン酸化を示した電気泳動写真である。10
0ngの精製G−アクチン(レーン1〜3)またはカル
デスモン(レーン4〜6)を、ラット睾丸から精製され
たPKN非存在下(レーン1および4)か、または存在
下(レーン2、3、5、および6)のアッセイ混合液の
中で、40μMのアラキドン酸の非存在下(レーン2お
よび5)または存在下(レーン3および6)においてイ
ンキュベートした。10%のSDS−PAGEのオート
ラジオグラフィーにより、リン酸化を検出した。白色の
矢じり印はPKNの自己リン酸化の位置を示す。黒色の
矢印はカルデスモンの位置を示し、黒色の矢じり印はG
−アクチンの位置を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 9452−4B C12Q 1/48 Z C12P 21/02 C12N 9/12 C12Q 1/48 A61K 37/52 ADU // C12N 9/12 C12N 5/00 B (C12N 1/19 C12R 1:85) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:85) (C12P 21/02 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 特願平8−114226 (32)優先日 平8(1996)4月11日 (33)優先権主張国 日本(JP) 特許法第30条第1項適用申請有り 1995年Vol.67, No.7 発行の「生化学Vol.67,No.7」に発 表

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性型Rhoタンパク質結合能を有し、か
    つプロテインキナーゼ活性を有さないプロテインキナー
    ゼNの改変アミノ酸配列を有する、ペプチドまたはその
    誘導体。
  2. 【請求項2】活性型Rhoタンパク質とプロテインキナ
    ーゼNとの結合を阻害するプロテインキナーゼNの改変
    アミノ酸配列を有する、ペプチドまたはその誘導体。
  3. 【請求項3】活性型Rhoタンパク質結合能を有し、プ
    ロテインキナーゼ活性を有さず、そして活性型Rhoタ
    ンパク質とプロテインキナーゼNとの結合を阻害するプ
    ロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列を有する、ペプ
    チドまたはその誘導体。
  4. 【請求項4】Rhoタンパク質が、RhoAタンパク
    質、RhoBタンパク質、RhoCタンパク質、および
    RhoGタンパク質からなる群から選択されるものであ
    る、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドまた
    はその誘導体。
  5. 【請求項5】活性型RhoAタンパク質結合能を有し、
    かつセリン/スレオニン・プロテインキナーゼ活性を有
    さないヒト−プロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列
    を有する、ペプチドまたはその誘導体。
  6. 【請求項6】活性型RhoAタンパク質結合能を有し、
    セリン/スレオニン・プロテインキナーゼ活性を有さ
    ず、そして活性型RhoAタンパク質とプロテインキナ
    ーゼNとの結合を阻害するヒト−プロテインキナーゼN
    の改変アミノ酸配列を有する、ペプチドまたはその誘導
    体。
  7. 【請求項7】改変アミノ酸配列が配列番号1の7〜54
    0番、7〜155番、1〜540番、3〜135番、も
    しくは33〜111番のアミノ酸配列、または活性型R
    hoタンパク質結合能および/または活性型Rhoタン
    パク質とプロテインキナーゼNとの結合阻害能を有する
    これらの改変アミノ酸配列からなる、請求項1〜6のい
    ずれか一項に記載のペプチドまたはその誘導体。
  8. 【請求項8】改変アミノ酸配列が配列番号1の74〜9
    3番、94〜113番、もしくは82〜103番のアミ
    ノ酸配列、または活性型Rhoタンパク質結合能および
    /または活性型Rhoタンパク質とプロテインキナーゼ
    Nとの結合阻害能を有するこれらの改変アミノ酸配列か
    らなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチド
    またはその誘導体。
  9. 【請求項9】中間径フィラメント結合能を有し、かつプ
    ロテインキナーゼ活性を有さないプロテインキナーゼN
    の改変アミノ酸配列を有する、ペプチドまたはその誘導
    体。
  10. 【請求項10】中間径フィラメントが、ビメンチン、ニ
    ューロフィラメント−L、ニューロフィラメント−M、
    ニューロフィラメント−H、酸性ケラチン、中性ケラチ
    ン、塩基性ケラチン、デスミン、グリア線維酸性蛋白質
    (GFAP)、ラミン、およびネスチンからなる群から
    選択されるものである、請求項9に記載のペプチドまた
    はその誘導体。
  11. 【請求項11】前記改変アミノ酸配列が、配列番号1の
    1〜540番、1〜32番、112〜540番もしくは
    112〜474番のアミノ酸配列または中間径フィラメ
    ント結合能を有するこれらの改変アミノ酸配列である、
    請求項9または10に記載のペプチドまたはその誘導
    体。
  12. 【請求項12】α−アクチニン結合能を有し、かつプロ
    テインキナーゼ活性を有さないプロテインキナーゼNの
    改変アミノ酸配列を有する、ペプチドまたはその誘導
    体。
  13. 【請求項13】α−アクチニンが、骨格筋型または非骨
    格筋型である、請求項12に記載のペプチドまたはその
    誘導体。
  14. 【請求項14】前記改変アミノ酸配列が、配列番号1の
    1〜540番、3〜135番、136〜540番、もし
    くは136〜189番のアミノ酸配列またはα−アクチ
    ニン結合能を有するこれらの改変アミノ酸配列である、
    請求項12または13に記載のペプチドまたはその誘導
    体。
  15. 【請求項15】プロテインキナーゼNのプロテインキナ
    ーゼ触媒領域結合能を有し、かつプロテインキナーゼ活
    性を有さないプロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列
    を有する、ペプチドまたはその誘導体。
  16. 【請求項16】前記改変アミノ酸配列が、配列番号1の
    1〜540番もしくは1〜474番のアミノ酸配列また
    はプロテインキナーゼNのプロテインキナーゼ触媒領域
    結合能を有するこれらの改変アミノ酸配列である、請求
    項15に記載のペプチドまたはその誘導体。
  17. 【請求項17】プロテインキナーゼNのプロテインキナ
    ーゼの活性を阻害し、かつプロテインキナーゼ活性を有
    さないプロテインキナーゼNの改変アミノ酸配列を有す
    る、ペプチドまたはその誘導体。
  18. 【請求項18】前記改変アミノ酸配列が、配列番号1の
    39〜53番のアミノ酸配列またはプロテインキナーゼ
    の活性阻害能を有するその改変アミノ酸配列である、請
    求項17に記載のペプチドまたはその誘導体。
  19. 【請求項19】プロテインキナーゼNのプロテインキナ
    ーゼ触媒領域結合能を有し、プロテインキナーゼNのプ
    ロテインキナーゼ活性を阻害し、かつプロテインキナー
    ゼ活性を有さないプロテインキナーゼNの改変アミノ酸
    配列を有する、ペプチドまたはその誘導体。
  20. 【請求項20】前記改変アミノ酸配列が、配列番号1の
    1〜540番、1〜474番もしくは39〜53番のア
    ミノ酸配列、またはプロテインキナーゼNのプロテイン
    キナーゼ触媒領域結合能を有し、かつプロテインキナー
    ゼNのプロテインキナーゼ活性阻害能を有するこれらの
    改変アミノ酸配列である、請求項19に記載のペプチド
    またはその誘導体。
  21. 【請求項21】細胞質から核へのプロテインキナーゼN
    の移行を阻害する、請求項1〜20のいずれか一項に記
    載のペプチドまたはその誘導体。
  22. 【請求項22】プロテインキナーゼNによりリン酸化さ
    れ、かつプロテインキナーゼ活性を有さないプロテイン
    キナーゼNの改変アミノ酸配列を有する、ペプチドまた
    はその誘導体。
  23. 【請求項23】前記改変アミノ酸配列が、配列番号2に
    記載される配列またはプロテインキナーゼNによりリン
    酸化されるその改変アミノ酸配列である、請求項22に
    記載のペプチドまたはその誘導体。
  24. 【請求項24】プロテインキナーゼNによりリン酸化さ
    れる中間径フィラメントの改変アミノ酸配列を有する、
    ペプチドまたはその誘導体。
  25. 【請求項25】中間径フィラメントが、ビメンチン、ニ
    ューロフィラメント−L、ニューロフィラメント−M、
    ニューロフィラメント−H、酸性ケラチン、中性ケラチ
    ン、塩基性ケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパ
    ク質(GFAP)、ラミン、およびネスチンからなる群
    から選択されるものである、請求項24に記載のペプチ
    ドまたはその誘導体。
  26. 【請求項26】前記中間径フィラメントの改変アミノ酸
    配列が、ビメンチンのヘッド・ロッドドメイン、ニュー
    ロフィラメント−Lのヘッド・ロッドドメイン、ニュー
    ロフィラメント−Mのヘッド・ロッドドメイン、および
    ニューロフィラメント−Hのヘッド・ロッドドメインか
    らなる群から選択されるものである、請求項24に記載
    のペプチドまたはその誘導体。
  27. 【請求項27】前記中間径フィラメントの改変アミノ酸
    配列が、ヒト−ニューロフィラメント−Lの1〜349
    番のアミノ酸配列またはヒト−ニューロフィラメント−
    Mの1〜411番のアミノ酸配列である、請求項26に
    記載のペプチドまたはその誘導体。
  28. 【請求項28】プロテインキナーゼNまたは中間フィラ
    メントがホ乳類由来のものである、請求項1〜27のい
    ずれか一項に記載のペプチドまたはその誘導体。
  29. 【請求項29】プロテインキナーゼNまたは中間フィラ
    メントがヒト由来のものである、請求項28に記載のペ
    プチドまたはその誘導体。
  30. 【請求項30】プロテインキナーゼN結合能を有する細
    胞骨格タンパク質の改変アミノ酸配列を有する、ペプチ
    ドまたはその誘導体。
  31. 【請求項31】細胞骨格タンパク質が、α−アクチニン
    または中間径フィラメントである、請求項30に記載の
    ペプチドまたはその誘導体。
  32. 【請求項32】前記α−アクチニンの改変アミノ酸配列
    が、ヒト骨格筋型α−アクチニンの423〜653番、
    653〜837番、486〜607番、または333〜
    894番のアミノ酸配列、またはヒト非骨格筋型α−ア
    クチニンの479〜600番または719〜843番の
    アミノ酸配列である、請求項31に記載のペプチドまた
    はその誘導体。
  33. 【請求項33】前記中間径フィラメントの改変アミノ酸
    配列が、ヒト−ニューロフィラメント−Lの1〜349
    番のアミノ酸配列またはヒト−ニューロフィラメント−
    Mの1〜411番のアミノ酸配列である、請求項31に
    記載のペプチドまたはその誘導体。
  34. 【請求項34】請求項1〜33のいずれか一項に記載の
    ペプチドまたはその誘導体をコードする、塩基配列。
  35. 【請求項35】請求項34に記載の塩基配列を含んでな
    る、ベクター。
  36. 【請求項36】プラスミドベクター、ウイルスベクタ
    ー、およびリポソームベクターからなる群から選択され
    るものである、請求項35に記載のベクター。
  37. 【請求項37】請求項35または36に記載のベクター
    によって形質転換された、宿主細胞(ただし、ヒト細胞
    にあってはヒトから単離された細胞に限る)。
  38. 【請求項38】大腸菌、酵母、昆虫細胞、線虫細胞、C
    OS細胞、リンパ細胞、繊維芽細胞、CHO細胞、血液
    系細胞、および腫瘍細胞からなる群から選択されるもの
    である、請求項37に記載の宿主細胞。
  39. 【請求項39】請求項37または38に記載の宿主細胞
    を培養し、そして培養物から請求項1〜33のいずれか
    一項に記載のペプチドまたはその誘導体を単離すること
    を含んでなる、請求項1〜33のいずれか一項に記載の
    ペプチドまたはその誘導体の製造法。
  40. 【請求項40】請求項1〜33のいずれか一項に記載の
    ペプチドまたはその誘導体を含んでなる、腫瘍形成また
    は転移抑制剤。
  41. 【請求項41】活性型Rhoタンパク質が関与する腫瘍
    形成または転移を抑制する、請求項40に記載の腫瘍形
    成または転移抑制剤。
  42. 【請求項42】請求項1〜20のいずれか一項に記載の
    ペプチドをコードする塩基配列を含んでなる、腫瘍形成
    または転移抑制用遺伝子治療剤。
  43. 【請求項43】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、活性型Rhoタンパク質とプロテインキナーゼNま
    たは請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチドまた
    はその誘導体とを含むスクリーニング系に存在させ、そ
    して(2)活性型Rhoタンパク質と、プロテインキナ
    ーゼNまたは請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプ
    チドまたはその誘導体との結合の阻害の程度を測定する
    ことを含む、活性型Rhoタンパク質とプロテインキナ
    ーゼNとの結合を阻害する物質のスクリーニング法。
  44. 【請求項44】スクリーニング系が細胞系または無細胞
    系である、請求項43に記載のスクリーニング法。
  45. 【請求項45】スクリーニング系がツー・ハイブリッド
    ・システムである、請求項43または44に記載のスク
    リーニング法。
  46. 【請求項46】細胞系が酵母細胞系である請求項43〜
    45のいずれか一項に記載のスクリーニング法。
  47. 【請求項47】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、活性型Rhoタンパク質と請求項1〜8のいずれか
    一項に記載のペプチドまたはその誘導体とを含むスクリ
    ーニング系に存在させ、そして(2)Rhoタンパク質
    GTPaseの活性の阻害の程度を測定することを含
    む、Rhoタンパク質GTPaseの活性を阻害する物
    質のスクリーニング法。
  48. 【請求項48】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、活性型Rhoタンパク質と、請求項1〜8のいずれ
    か一項に記載のペプチドまたはその誘導体と、そしてR
    hoタンパク質GTPase活性化タンパク質(GA
    P)とを含むスクリーニング系に存在させ、そして
    (2)活性型Rhoタンパク質GTPaseの活性また
    は活性の亢進の阻害の程度を測定することを含む、Rh
    oタンパク質GTPaseの活性または活性の亢進を阻
    害する物質のスクリーニング法。
  49. 【請求項49】スクリーニングの系が細胞系または無細
    胞系である、請求項47または48に記載のスクリーニ
    ング法。
  50. 【請求項50】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、中間径フィラメントとプロテインキナーゼNまたは
    請求項9〜11のいずれか一項に記載のペプチドまたは
    その誘導体とを含むスクリーニング系に存在させ、そし
    て(2)中間径フィラメントと、プロテインキナーゼN
    または請求項9〜11のいずれか一項に記載のペプチド
    またはその誘導体との結合の阻害の程度を測定すること
    を含む、中間径フィラメントとプロテインキナーゼNと
    の結合を阻害する物質のスクリーニング法。
  51. 【請求項51】スクリーニング系が細胞系または無細胞
    系である、請求項50に記載のスクリーニング法。
  52. 【請求項52】スクリーニング系がツー・ハイブリッド
    ・システムである、請求項50または51に記載のスク
    リーニング法。
  53. 【請求項53】細胞系が酵母細胞系である請求項50〜
    52のいずれか一項に記載のスクリーニング法。
  54. 【請求項54】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、中間径フィラメントとプロテインキナーゼNまたは
    プロテインキナーゼ活性を有するその改変アミノ酸配列
    を有するペプチドまたはその誘導体とを含むスクリーニ
    ング系に存在させ、そして(2)中間径フィラメントの
    重合の阻害の程度を測定することを含む、中間径フィラ
    メントの重合を阻害する物質のスクリーニング法。
  55. 【請求項55】スクリーニング系が細胞系または無細胞
    系である、請求項54に記載のスクリーニング法。
  56. 【請求項56】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、骨格筋型α−アクチニンとプロテインキナーゼNま
    たは請求項12〜14のいずれか一項に記載のペプチド
    またはその誘導体とを含むスクリーニング系に存在さ
    せ、そして(2)骨格筋型α−アクチニンと、プロテイ
    ンキナーゼNまたは請求項12〜14のいずれか一項に
    記載のペプチドまたはその誘導体との結合の阻害の程度
    を測定することを含む、骨格筋型α−アクチニンとプロ
    テインキナーゼNとの結合を阻害する物質のスクリーニ
    ング法。
  57. 【請求項57】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、非骨格筋型α−アクチニンと、プロテインキナーゼ
    Nまたは請求項12〜14のいずれか一項に記載のペプ
    チドまたはその誘導体と、カルシウムイオン(Ca2+
    とを含むスクリーニング系に存在させ、そして(2)非
    骨格筋型α−アクチニンと、プロテインキナーゼNまた
    は請求項12〜14のいずれか一項に記載のペプチドま
    たはその誘導体との結合の阻害の程度を測定することを
    含む、非骨格筋型α−アクチニンとプロテインキナーゼ
    Nとの結合を阻害する物質のスクリーニング法。
  58. 【請求項58】前記スクリーニング系に更にPI4,5
    P2を存在させる、請求項56または57に記載のスク
    リーニング法。
  59. 【請求項59】スクリーニング系が細胞系または無細胞
    系である、請求項56〜58のいずれか一項に記載のス
    クリーニング法。
  60. 【請求項60】スクリーニング系がツー・ハイブリッド
    ・システムである、請求項56〜59のいずれか一項に
    記載のスクリーニング法。
  61. 【請求項61】細胞系が酵母細胞またはCOS7細胞で
    ある、請求項56〜60のいずれか一項に記載のスクリ
    ーニング法。
  62. 【請求項62】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、プロテインキナーゼNまたはプロテインキナーゼ活
    性を有するその改変アミノ酸配列を有するペプチドまた
    はその誘導体を含むスクリーニング系に存在させ、そし
    て(2)上記プロテインキナーゼNのプロテインキナー
    ゼの活性の阻害の程度を測定することを含む、プロテイ
    ンキナーゼNの活性を阻害する物質のスクリーニング
    法。
  63. 【請求項63】(1)スクリーニングの対象となる物質
    を、活性型Rhoタンパク質と、プロテインキナーゼN
    または活性型Rhoタンパク質結合能を有し、かつプロ
    テインキナーゼ活性を有するその改変アミノ酸配列を有
    するペプチドまたはその誘導体とを含むスクリーニング
    系に存在させ、そして(2)上記プロテインキナーゼN
    のプロテインキナーゼの活性またはその活性の亢進の阻
    害の程度を測定することを含む、プロテインキナーゼN
    の活性型Rhoタンパク質依存的プロテインキナーゼの
    活性またはその活性の亢進を阻害する物質のスクリーニ
    ング法。
  64. 【請求項64】プロテインキナーゼの活性またはその活
    性の亢進の阻害の程度を、ビメンチン、ニューロフィラ
    メント−L、ニューロフィラメント−M、ニューロフィ
    ラメント−H、ニューロフィラメント(NF)のトリプ
    レット(NF−L、NF−MおよびNF−Hからなる複
    合体)、αPKCペプチド、δPKCペプチド、配列番
    号2に記載されるペプチド、カルデスモン、およびG−
    アクチンからなる群から選択される基質を用いて測定す
    る、請求項62または63に記載のスクリーニング法。
  65. 【請求項65】スクリーニング系が細胞系または無細胞
    系である、請求項62〜64のいずれか一項に記載のス
    クリーニング法。
  66. 【請求項66】腫瘍形成または転移抑制物質のスクリー
    ニング法である、請求項43〜65のいずれか一項に記
    載のスクリーニング法。
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JP (1) JPH09327292A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011026333A (ja) * 2002-08-14 2011-02-10 Silence Therapeutics Ag プロテインキナーゼnベータの更なる使用
JP4810095B2 (ja) * 2002-08-14 2011-11-09 サイレンス・セラピューティクス・アーゲー プロテインキナーゼnベータの更なる使用

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JP2011026333A (ja) * 2002-08-14 2011-02-10 Silence Therapeutics Ag プロテインキナーゼnベータの更なる使用
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