JPH09326681A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JPH09326681A
JPH09326681A JP8140005A JP14000596A JPH09326681A JP H09326681 A JPH09326681 A JP H09326681A JP 8140005 A JP8140005 A JP 8140005A JP 14000596 A JP14000596 A JP 14000596A JP H09326681 A JPH09326681 A JP H09326681A
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JP
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power transistor
current
transistor
electrode
power
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JP8140005A
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Inventor
Yoshinori Murakami
善則 村上
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比較的小規模の制御電流源で、同じ定格電流値
を持ちながら、低電流駆動時には電力損失の少ない半導
体装置を実現する。 【解決手段】限られた制御電流源の容量で、外部から大
電流を流すことが求められている場合は、バイパス用ト
ランジスタKをオフにし、パワートランジスタQ1、Q
2をすべて作動させて、ダーリントン接続の段数を増や
して対応し、外部から求められている電流値が小さくな
ったなら、バイパス用トランジスタKをオンにしてパワ
ートランジスタQ2を休止させ、ダーリントン接続の段
数を減じて、より低オン抵抗で主電流を流すことによ
り、構成全体の消費電力を低減した半導体装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電流制御型の電力
用半導体スイッチング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術として図15のようなダーリン
トン形式に接続されたバイポーラトランジスタを紹介す
る。ここではシリコン半導体によるnpn型バイポーラ
トランジスタを例にして説明する。図15中、Q1は主
電流を流す主段のトランジスタ、Q2は前段のトランジ
スタである。Cは共通のコレクタ電極、e1、e2はそ
れぞれトランジスタQ1、Q2のエミッタ電極、b1、
b2はそれぞれトランジスタQ1、Q2のベース電極
で、図のようにb1とe2は接続されている。
【0003】このような構成によれば、トランジスタQ
1のベース電流をコレクタ電流の一部で賄うことがで
き、そのベース電流値をトランジスタQ2で制御するこ
とになる。よって構成全体として単体トランジスタより
も大きな電流増幅率を確保することができる。一般に図
15の構成は、全体をひと言で「ダーリントン・トラン
ジスタ」と呼ばれている。
【0004】上記のようなダーリントン・トランジスタ
は広く使われているが、次のような問題があった。すな
わち、スイッチング素子として使った場合、導通時のト
ランジスタ自身から出る損失が大きいのである。図16
はバイポーラトランジスタのベース電流を一定としたと
きのコレクタ・エミッタ間電圧に対するコレクタ電流を
示す、所謂「I−V特性グラフ」である。図中、曲線1
は図15のようなダーリントン・トランジスタの電流曲
線、曲線2はトランジスタ単体で駆動した時の電流曲線
である。なお、曲線上の点は、後述する動作点である。
【0005】単体トランジスタの電流曲線2は、グラフ
の原点付近でコレクタ・エミッタ間電位差に比例して急
峻にコレクタ電流が増加するが、コレクタ・エミッタ間
電位差が上昇すると比較的低いコレクタ電流値で飽和す
る。一方、ダーリントン・トランジスタの電流曲線1は
飽和電流値は高いがコレクタ・エミッタ間電圧が約0.
7V以上にならないと満足なコレクタ電流が流れない。
すなわち、単体トランジスタと同じ電流値を流す場合、
ダーリントン・トランジスタの方が単体トランジスタの
場合より、素子からの導通損失が大きいのである。図1
6から判るように、この損失の比はコレクタ電流値が低
くなるほど大きくなる。
【0006】これまでは上記のような性質がありながら
も、ダーリントン・トランジスタは電流増幅率が大きい
という利点に着目されて、発熱に関しては充分な冷却設
備を取り付けることで広く用いられてきた。しかし、た
とえば電気自動車の走行モータを駆動する装置の構成要
素としてダーリントン・トランジスタを利用するような
場合には、状況が違ってくる。すなわち、電気自動車は
搭載できる電力量すなわち電池の量が限られており、ま
た水道水など外部からの冷媒の供給による放熱機構が採
用できず、放熱量も限られている。さらには全車重も軽
量化しなければならないため、大きな放熱フィンを搭載
することもままならない。また、単体のバイポーラトラ
ンジスタで駆動しようとすると、現実的でないほど大規
模なベース電流源が必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のダ
ーリントン形式のトランジスタではベース電流源が小規
模ですむものの、トランジスタ自身からの導通損失が大
きく、とくに低電流時の損失が大きいという問題点があ
った。また、単体トランジスタのみでは、導通損失は少
ないものの、大きなベース電流源を用意しなければなら
なかった。
【0008】本発明は上記のような問題点を解決し、比
較的小規模の制御電流源で、同じ定格電流値を持ちなが
ら、低電流駆動時には電力損失の少ない半導体装置を実
現することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては特許請求の範囲に記載するような
構成をとる。すなわち、請求項1に記載の発明において
は、主電極たるエミッタ電極ならびにコレクタ電極と、
制御電極たるベース電極を有する電流制御型のパワート
ランジスタを複数有し、前記パワートランジスタの全て
のコレクタ電極はひとつに接続されていて、前記パワー
トランジスタのうち第1のパワートランジスタ以外は、
各々の前記エミッタ電極は別のパワートランジスタのベ
ース電極と接続している。ここで、一つのエミッタ電極
は複数のベース電極に接続していてもよいし、複数のエ
ミッタ電極がひとつのベース電極に接続していてもよ
い。前記第1のパワートランジスタのベース電極は、他
の少なくとも一つのパワートランジスタのエミッタ電極
と接続している構成とする。すなわち、所謂ダーリント
ン式接続のトランジスタはこの範疇に内包される。本発
明では、さらに、外部から供給される制御電流値に対す
る、前記第1のパワートランジスタのエミッタ電極を流
れる電流値の電流増幅率を可変とすべく、任意の前記パ
ワートランジスタの個々のベース電極への供給電流値が
個別に可変である構成とする。
【0010】このような構成による作用について説明す
る。一般に電流制御型パワートランジスタでは、出来る
だけ少ない制御電流で多くの主電流を流せるに越したこ
とはない。その目的のために、たとえば前述したような
ダーリントン式に接続されたトランジスタ群(以下、簡
単に「ダーリントン・トランジスタ」という)が考案さ
れ、使われている。このような従来のダーリントン式の
接続構成は、確かに少ない制御電流で大きな主電流を駆
動できるが、接続段数が多くなるにしたがって導通損失
が大きくなり、エネルギー効率の点から鑑みると、いか
なる使用条件でもこれが効率的であるとは言い難い。ま
た、構成中の各トランジスタへのベース電流の供給のさ
れ方は一意的である。一方、単体トランジスタのみで大
電流を駆動しようとすれば、導通損失は低いが大きな制
御電流値が要求されるので駆動回路の規模が大きくなっ
てしまい、場合によっては制御電流を流すために生じる
エネルギー損失が主電流の導通損失を上回ってしまうこ
とさえある。
【0011】本発明の構成では、主トランジスタたる前
記第1のパワートランジスタ以外のパワートランジスタ
は、コレクタ電流の一部を使って、外部から入力された
制御電流値を増幅して第1のパワートランジスタのベー
ス電極へ供給する働きを担っていると言える。そこで、
たとえば要求されている主電流値に応じて、前記第1以
外の各パワートランジスタへ供給するベース電流値、す
なわちパワートランジスタの各々の動作状態を可変とす
ることで、たとえば第1のパワートランジスタが大電流
を流すことが要求されていれば、他のパワートランジス
タの全てを効率的に作動させることで、比較的電流容量
の小さい電流源を用いて大電流を駆動することができ
る。また、要求されている主電流値が少ない時は、特定
のパワートランジスタのベース電極への電流供給を絞っ
たり、あるいは止めたりすることで、たとえばその構成
がダーリントン・トランジスタであるなら、その段数を
実効的に減らして導通損失を軽減することが出来る。な
お、これは後記図1〜図5に示す実施の形態に相当す
る。
【0012】さらに、請求項2に記載の発明において
は、前記パワートランジスタの各ベース電極への供給電
流を可変とする手段として、少なくとも2つの主電極と
1つの制御電極を有するバイパス用トランジスタを用
い、前記複数のパワートランジスタのうちの何れか2つ
のパワートランジスタのそれぞれのベース電極に前記2
つの主電極をそれぞれ接続した構成とする。
【0013】このように構成することによる作用につい
て説明する。前記バイパス用トランジスタの2つの主端
子は、それぞれ別個のパワートランジスタのベース電極
に接続していて、かつ、前記第1以外のパワートランジ
スタのエミッタ電極は必ず他のパワートランジスタのベ
ース電極と接続している。よって、前記バイパス用トラ
ンジスタはいくつかのパワートランジスタをその主端子
間に挟み込んでいることになる。従ってこのバイパス用
トランジスタが導通状態であれば、その2つの主電極が
挟んでいるいくつかのパワートランジスタは、ベース・
エミッタ間に十分な電位差を持つことが出来ず、作動し
ない。そして挟み込まれたパワートランジスタに供給さ
れる筈の電流は、導通状態となっているこのバイパス用
トランジスタを流れて、他のパワートランジスタへとバ
イパスされる。これによって、実効的なダーリントン接
続の段数は削減されることになる。なお、これは後記、
図6に示す実施の形態に対応する。
【0014】さらに、請求項3に記載の発明において
は、前記請求項2における前記バイパス用トランジスタ
として、前記パワートランジスタのベース電極に印加し
て前記パワートランジスタのコレクタ・エミッタ間の導
電率が向上するような極性の電位を前記制御電極に印加
すると、前記2つの主電極間の導電率が低下する特性を
持つものを用いる。たとえば、前記パワートランジスタ
がnpnバイポーラトランジスタであれば、前記バイパ
ス用トランジスタはノーマリ・オン型pチャネルJFE
Tなどがこれに該当する。
【0015】さらに、外部から供給される制御電流の大
きさが増すにつれ、前記バイパス用トランジスタの導電
率が低下するように、前記制御電極が所定の前記ベース
電極に接続している構成とする。すなわち、上記の例に
よれば、前記バイパス用トランジスタの2つの主電極の
電位よりも低くない電位をもつ前記ベース電極に接続さ
れている構成とする。
【0016】このような構成の作用であるが、外部から
供給される制御電流値が低い場合は、いずれのベース電
極も電位が(ここでは)低く、従って前記バイパス用ト
ランジスタは十分な導電率を持っており、この2つの主
電極が挟み込んでいるパワートランジスタは十分なベー
ス・エミッタ間電位差を持つことができず、動作できな
い。よって、制御電流はバイパス用トランジスタを通っ
て他のパワートランジスタへとバイパスされる。外部か
ら供給される制御電流が増えるにつれ、前記バイパス用
トランジスタの制御電極の電位も高くなるので(そのよ
うなパワートランジスタのベース電極に接続されている
ので)、バイパス用トランジスタは遮断状態へと移行
し、それにより前記バイパス用トランジスタがその2つ
の主電極で挟み込んでいるパワートランジスタはオン状
態へと移行し、主トランジスタたる前記第1のパワート
ランジスタへのベース電流を増幅する。このようにし
て、外部から印加される制御電流値の大小によってパワ
ートランジスタの電流増幅率が自動的に変更され、制御
電流値が大きい時は電流増幅率も大きくなる。なお、こ
れは後記、図7〜図9に示す実施の形態に相当する。
【0017】次に、前記請求項4に記載の発明において
は、前記請求項1に記載の構成に加え、導通状態の前記
パワートランジスタのうち、他のパワートランジスタの
エミッタ電極から電流の供給を受けていない状態にある
パワートランジスタの、コレクタ・エミッタ間電位差が
所定値より大きくなった場合は、このパワートランジス
タのベース電極へ供給する電流値を増やし、前記所定値
より小さくなった場合は前記ベース電流を減らすことで
前記半導体装置への制御電流を所定範囲に保つように制
御する機能を有する構成とする。
【0018】このような構成の作用について説明する。
ここで制御の対象となっているパワートランジスタ、す
なわち「他のパワートランジスタのエミッタ電極から電
流の供給を受けていない、導通状態の前記パワートラン
ジスタ」とは、この構成がスイッチング素子として使わ
れる際、唯一、各パワートランジスタの中で飽和領域も
しくは疑似飽和領域で動作しうるパワートランジスタ
(例えば図10のQ1)である。よって、そのコレクタ
・エミッタ間電位差はコレクタ電流値と比例的関係にあ
り、コレクタ・エミッタ間電位差を見ながら上記のよう
な制御電流の調節を行なうことにより、本発明のトラン
ジスタ構成に外部から要求されるコレクタ電流値に併せ
て、制御電流を所定範囲に保つように(例えば過飽和状
態にしないように)最適の制御をすることができ、制御
電力が節約できるとともにターンオフ速度も安定させ、
かつ、速めることができる。なお、これは後記図10に
示す実施の形態に相当する。
【0019】さらに前記請求項5に記載の発明において
は、前記請求項1の構成において、導通状態の前記パワ
ートランジスタのうち、他のパワートランジスタのエミ
ッタ電極から電流の供給を受けていない状態にあるパワ
ートランジスタ(この場合には、例えば図11のQ1)
の、コレクタ・エミッタ間電位差が所定値より大きくな
った場合、このパワートランジスタのベース電極がエミ
ッタ電極に接続されている別のパワートランジスタを導
通状態とする機能と、導通状態の前記パワートランジス
タのうち、他のパワートランジスタのエミッタ電極から
電流の供給を受けていない状態にあるパワートランジス
タ(この場合には、例えば図11のQ2)の、コレクタ
・エミッタ間電位差が所定値より小さくなった場合、こ
のパワートランジスタのベース電極に供給されていた電
流を、このパワートランジスタのエミッタ電極が接続し
ている別のパワートランジスタ(この場合には、例えば
図11のQ1)のベース電極へ振り替える機能と、を有
する構成とする。
【0020】このような構成の作用について説明する。
ここで制御の対象となっているパワートランジスタは前
記請求項4と同じもので、構成中唯一、各パワートラン
ジスタの中で飽和領域もしくは疑似飽和領域で動作して
いるパワートランジスタである。よって、そのコレクタ
・エミッタ間電位差はコレクタ電流値と比例的関係にあ
り、コレクタ・エミッタ間電位差を見ることで、そのパ
ワートランジスタのコレクタ電流値を知ることが出来
る。そのコレクタ・エミッタ間電位差が大きくなってき
たということは、外部から要求されているコレクタ電流
値が増えてきたことを意味する。外部から供給されてい
る制御電流が一定な条件下では、構成全体の電流駆動能
力を増すためにはダーリントン接続の段数を増やす必要
がある。そこで、「このパワートランジスタのベース電
極がエミッタ電極に接続されている別のパワートランジ
スタを導通状態とする」。例えば図11のQ1が上記ト
ランジスタに相当する場合には、パワートランジスタQ
2を導通状態とする。すなわち、このパワートランジス
タの前段のパワートランジスタを起動し、ダーリントン
段数を増やす。その変化の契機となるコレクタ・エミッ
タ間電位差の所定値とは、ダーリントン接続の段数をひ
とつ増やしたなら構成全体のオン電圧がその分だけ増え
るであろう電位差、すなわちpn接合が順方向に電流を
流すのに必要な、たとえば0.7V以上のある値であ
る。
【0021】逆に、モニタしているパワートランジスタ
(例えば図11のQ2)のコレクタ・エミッタ間電位差
が小さくなってきた場合は、外部から要求されているコ
レクタ電流値が減ってきたことを意味する。よって、そ
のパワートランジスタが起動していなくてもよい状態を
検知したなら、そのパワートランジスタのベース電極に
供給されていた電流を、そのパワートランジスタのエミ
ッタ電極が接続している別のパワートランジスタ(例え
ば図11のQ1)のベース電極へ振り替える。この操作
によって「他のパワートランジスタのエミッタ電極から
電流の供給を受けていなかった状態にある」もとのパワ
ートランジスタは休止状態となり、ダーリントン段数は
減る。この変化の契機となるコレクタ・エミッタ間電位
差の所定値とは、飽和状態になっているそのパワートラ
ンジスタのコレクタ電流が、ベース電流より充分低くな
り、コレクタ・エミッタ間電位差も0Vに近い値であ
る。なお、これは後記、図11に相当する。
【0022】次ぎに、前記請求項6に記載の発明におい
ては、前記請求項1に記載の半導体装置において、さら
に、導通時に前記パワートランジスタを流れる電流のう
ち、外部から供給される前記制御電流以外の電流の値に
よって、任意の前記パワートランジスタの個々のベース
電極への制御電流の供給値が個別に可変である構成とす
る。外部から供給される前記制御電流以外の電流の値と
は、各パワートランジスタのコレクタ・エミッタ間を流
れる電流もしくは、その一部または全部の合計であり、
一言でいえば主電流もしくはその一部である。
【0023】このような構成の作用について説明する。
各パワートランジスタの特性と接続関係が固定されてい
れば、たとえば前記第1のパワートランジスタのコレク
タ電流を検知し、これが変化したとき構成中のどのパワ
ートランジスタにどのようなベース電流を供給したら構
成全体の効率が最も高くなるかは設計可能であるし、あ
らかじめ実験によって知ることが出来る。そこで主電流
もしくはその一部を検知することで、自動的にこれを切
り替えれば、構成のパワートランジスタを最も効率的に
駆動することができる。なお、これは後記図12〜図1
4に示す実施の形態に相当する。
【0024】次ぎに前記請求項7の発明においては、前
記請求項1の構成の機能に加え、前回のターンオフ直前
の各トランジスタの状態を、次回のターンオン時に再現
する機能をさらに有する構成とする。このような構成に
よる作用を説明する。本発明の構成の装置がターンオン
したとき、制御電流値や内部状態が適性な状態に落ち着
くにはいくらかの時間を要する。そして、たとえば本構
成がモータ制御のためのPWM制御装置の一部として使
われる場合などでは、今回のオン状態における予想主電
流値は、直前のオン状態の最後における主電流値と大差
がない。よって、前回の導通状態の時の内部状態を次の
ターンオン時まで記憶し、ターンオン時の内部状態の初
期値としてこれを採用すれば、安定した動作をより迅速
に確保できる。
【0025】さらに請求項8の発明においては、前記請
求項1の構成に加え、ターンオフに臨んで迅速なターン
オフのために、少なくとも前記第1のパワートランジス
タのベース領域から過剰少数キャリアを迅速に排除すべ
く、前記ベース電極に導通時とは逆方向の電流を流す機
能を有する構成とする。
【0026】このような構成による作用を説明する。タ
ーンオフ時に本構成の装置に対する制御電流の供給が止
むと、通常は、直接に制御信号入力端子に接続している
パワートランジスタのみが、まず遮断状態となる。そし
て、その他のパワートランジスタは、内部に溜っている
少数キャリアがその場で自然消滅するまで遮断状態にな
らず、結果として主電流が遮断される時間は長くなって
しまう。そこで、上記のように少なくとも主電流を流す
前記第一のパワートランジスタのベース電極からベース
電流を引き抜くような機能を付加することにより、構成
全体のターンオフを速くすることが出来る。もちろん、
ターンオフ時は全ての動作中のパワートランジスタのベ
ース電極を前記制御信号入力端子に連結すれば、なお効
果的である。
【0027】次ぎに、前記請求項9に記載の発明におい
ては、前記請求項1に記載の半導体装置において、さら
に外部から与えられた制御電流を増幅して前記第一のパ
ワートランジスタのベース電極へ供給すべく存在する、
他の前記パワートランジスタが全て動作状態になって
も、なお前記第一のパワートランジスタのコレクタ・エ
ミッタ間電圧が所定値より低くならない場合には、全て
のベース電極への制御電流の供給を停止させる機能を有
する構成とする。
【0028】このような構成の作用は、パワートランジ
スタの故障あるいは破壊を防止することができる。
【0029】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
限られた制御電流源の容量で、外部から大電流を流すこ
とが求められている場合は、構成中のパワートランジス
タのいくつか若しくはすべてを作動させて、ダーリント
ン接続の段数を増やして対応し、外部から求められてい
る電流値が小さくなったなら、ダーリントン接続の段数
を減じて、より低オン抵抗で主電流を流すことにより、
構成全体の消費電力を低減できる。
【0030】さらに、請求項2に記載の発明よれば、バ
イパス用トランジスタによって各パワートランジスタの
ベース電流の状況を制御することが出来、各パワートラ
ンジスタを個別に制御する構成よりも少ない部品点数で
目的が実現できる。
【0031】さらに、請求項3に記載の発明よれば、前
記請求項2の構成におけるバイパス用トランジスタの制
御電極を、外部と制御電流を授受する電極に接続するこ
とにより、この電極を制御電流が流れることによる電位
変化によって、内部状態を切り替えることができ、簡便
な構成で3端子素子を実現できる。
【0032】さらに、請求項4に記載の発明よれば、や
はり外部から与えられる制御信号がオン・オフの2値し
かない場合でも、外部から要求される主電流値によっ
て、制御電流値を適正に調節することができる。
【0033】さらに、請求項5に記載の発明よれば、外
部から与えられる制御信号が、オン・オフの2値しかな
い場合でも、外部から要求される主電流値によって構成
の内部状態を切り替えられるので、電流容量が小さい制
御電流源を使って、適正な内部状態を自動的に実現する
ことができる。
【0034】さらに、請求項6に記載の発明よれば、主
電流の大きさによって内部状態の切り替えを行うこと
で、スイッチング過渡期に迅速に内部状態を最適値に安
定させることが出来る。
【0035】さらに、請求項7に記載の発明よれば、前
回のターンオフ時の内部状態を次回のターンオン時に再
現することで、素早く内部状態が安定し、高速スイッチ
ングが可能になる。
【0036】さらに、請求項8に記載の発明よれば、タ
ーンオフを迅速に行なわせることができる。
【0037】さらに、請求項9に記載の発明よれば、主
電流値が定格値を越えた場合、自動的に素子が遮断状態
になることで、素子の故障もしくは破壊を回避すること
が出来る。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
を用いて詳しく説明する。 (第1の実施の形態)まず、図1〜図4を使って本発明
の第1の実施の形態を説明する。なお、これは前記請求
項1に対応するものである。図1は本発明の概念を最も
広く説明するブロック図である。図中、Q1は主トラン
ジスタたる第1のパワートランジスタであり、E、Cは
それぞれQ1のエミッタ電極とコレクタ電極であるが、
本構成全体のエミッタ電極とコレクタ電極でもある。こ
の第1のパワートランジスタQ1は、全体構成中のこの
位置に接続されていれば、複数のパワートランジスタが
並列に接続されたものでもよい。b1はパワートランジ
スタQ1のベース電極である。
【0039】また、破線で囲んだ部分1はその他のパワ
ートランジスタ群を意味し、これを構成する各パワート
ランジスタのエミッタ電極は他のパワートランジスタの
ベース電極と接続していて、かつ、各パワートランジス
タのコレクタ電極は全て前記コレクタ電極Cに接続され
ている。Bは外部から制御電流を受け入れる電極で、本
構成全体のベース電極といえる。ベース電極Bに供給さ
れた制御電流は、パワートランジスタ群1の中で、コレ
クタ電極Cを通る主電流の一部を使って増幅され、第1
のパワートランジスタのベース電極b1へと供給され
る。ここまでの説明では、従来のダーリントン式接続の
トランジスタがこの範疇に内包されるが、本発明ではこ
れらパワートランジスタ群1の内部の接続関係は任意
で、「前記パワートランジスタの全てのコレクタ電極は
ひとつに接続されていて、各々の前記エミッタ電極は別
のパワートランジスタのベース電極と接続している」と
いう前記請求項1に記載の要件を満たしていればよい。
【0040】前記図15に示したような従来のダーリン
トン・トランジスタにおいては、接続が固定されていた
ので、コレクタ・エミッタ間電位差と外部から供給され
るベース電流値が一定な条件下では、各トランジスタへ
のベース電流値は一意的で、電流増幅率は固定されてい
た。本発明では、上記パワートランジスタ群1の中の各
パワートランジスタのベース電極へ供給される電流値
を、外部信号もしくは内部状態によって調節することが
できるようにしている。これにより、たとえば主電流値
すなわちコレクタ電極Cを流れる電流値として大きな値
が要求されたときは、パワートランジスタ群1の内部で
実効的なダーリントン接続の段数が最大になるようにし
て実効的な電流増幅率を高めて対応し、比較的小規模の
外部の制御電流源でもその要求に応えるようにできる。
また、要求されている主電流値が比較的小さい場合は、
上記のままでは導通損失が大きくなってしまうので、実
効的なダーリントン接続の段数を少なくするなどして導
通損失を抑えることができる。最も極端な条件では、パ
ワートランジスタQ1のみを作動させて、構成全体を単
体トランジスタとして駆動できる。
【0041】図2は、上記図1の構成を最小規模で実現
した回路構成図で、これを使って本発明の効果を説明す
る。図2中、Q1は主トランジスタたる第1のパワート
ランジスタ、Q2は別のパワートランジスタであり、C
は本構成のコレクタ電極で、2つのパワートランジスタ
のコレクタ電極c1、c2はこのようにひとつに接続さ
れている。また、e1、e2はそれぞれQ1、Q2のエ
ミッタ電極、b1、b2は同じく各々のベース電極であ
り、パワートランジスタQ2のエミッタ電極e2はパワ
ートランジスタQ1のベース電極b1と接続している。
また、e1はそのまま本構成全体のエミッタ電極Eとな
っている。ベース電極b1、b2は、さらにスイッチ2
に接続されていて、スイッチ2はベース電極Bから供給
された電流をb1、b2に分配する機能を有する。
【0042】電極Bを通った外部からの制御電流がスイ
ッチ2を介してベース電極b1のみに供給されると、パ
ワートランジスタQ2は作動しないので、図2の構成は
単体のパワートランジスタQ1のみが作動する状態とな
る。その場合のI−V特性を模式的に示すと、前記図1
6中の曲線2のようになり、コレクタ・エミッタ間電圧
が低い領域では電流曲線は原点から直線的に立ち上がっ
ている。
【0043】また、外部からの制御電流がスイッチ2を
介して仮にベース電極b2のみに供給されると、図2の
構成全体はダーリントン式接続のトランジスタ(以下、
簡単に「ダーリントン・トランジスタ」という)にな
る。この状態において、外部からの制御電流値を一定と
した時のコレクタ・エミッタ間電圧に対するコレクタ電
流値の変化(以下、「I−V特性」という)を模式的に
示すと、前記図16中の曲線1のようになる。外部から
の制御電流がb2に供給されるとパワートランジスタQ
2が作動し、電流増幅率に従った値の電流をコレクタ電
極c2からe2へと流す。この電流はパワートランジス
タQ1のベース電極b1へと供給されるので、パワート
ランジスタQ1のコレクタ電極c1には、さらに増幅さ
れた電流が流れる。このようにして、この構成は単体ト
ランジスタの電流増幅率の自乗に近い増幅率を獲得す
る。
【0044】しかし、この構成においては、コレクタ電
流はコレクタ・エミッタ間電圧が約0.7V以上ならな
いと満足な量が流れない。その理由は以下のとおりであ
る。まず、パワートランジスタQ2が導通状態になって
いれば、コレクタ電極c2とエミッタ電極e2との間は
低抵抗で電流が流れるが、パワートランジスタQ1が導
通状態となるためには、エミッタ電極e1とベース電極
b1との間のpn接合が順バイアス状態にならなければ
ならない。そのためにはベース電極b1すなわちトラン
ジスタQ2のエミッタ電極e2は約0.7Vになってい
なければならない。よってパワートランジスタQ2が低
抵抗で電流を流したとしても、コレクタ電極c2の電位
はどうしても0.7V以上でなくてはならず、コレクタ
電極c1とc2は連結しているので、結局コレクタ電極
c1とエミッタ電極e1との間に電流が流れるために
は、この間に0.7V以上の電位差が必要ということに
なる。これは従来のダーリントン式接続のトランジスタ
構成の場合と同じ仕組みである。このような構成では主
電流値が低い時も、そのままコレクタ・エミッタ間には
0.7Vのオフセットが生じてしまい、この場合は単体
トランジスタの方が導通損失が少ないことになる。
【0045】ここで、具体的な導通損失を計算する。パ
ワートランジスタQ1とQ2は面積は異なるが同じ特性
をもつトランジスタとする。図3はこのパワートランジ
スタの電流増幅率を示したグラフである。グラフの横軸
はコレクタ電流密度の対数、縦軸は電流増幅率の対数で
ある。パワートランジスタであるから、主な動作領域は
図3中の数A/cm2以上の大電流領域である。この領
域では、注入した少数キャリアの増加とともにバルク中
での再結合が盛んになることから、電流増幅率はコレク
タ電流密度の増加にほぼ反比例する。代表値として電流
密度が100A/cm2の時、電流増幅率は10である
とする。すなわち図3に見るように電流密度が10A/
cm2であれば、電流増幅率は100ということにな
る。よって、パワートランジスタQ1の電流増幅率h
FE1は下記(数1)式のようになる。
【0046】 hFE1 = JC1/JB1 = 1000/JC1 …(数1) ここで、IC1はパワートランジスタQ1のコレクタ電流
密度、IB1は同じくQ1のベース電流密度とする。さら
に、図2の構成が、主段のパワートランジスタQ1の面
積を1cm2、副段であるパワートランジスタQ2の面
積を0.1cm2とする。そしてパワートランジスタQ1
のコレクタ電極Cには100Aが流れるとすると、この
とき必要なベース電流値は10Aである。すなわち、図
2全体の構成では、110Aのコレクタ電流が流せるこ
とになる。また、パワートランジスタQ2にとってこの
電流値は100A/cm2に相当するから、パワートラ
ンジスタQ2のベース電極に必要な電流値は1Aという
ことになる。すなわち、単体で1cm2のトランジスタ
チップで100Aを流そうとすれば10Aのベース電流
が必要なところを、図2の構成においてダーリントン・
トランジスタ式の使い方をすると、その1/10の制御
電流1Aで100Aの電流が駆動できるわけである。
【0047】ところで、この1Aのベース電流を直接パ
ワートランジスタQ1に供給すると、上記(数1)式よ
り、31.6Aのコレクタ電流が低抵抗で流せることに
なる。すなわち、仮に要求されるコレクタ電流が30A
であるとき、まずパワートランジスタQ1のみ駆動して
いる場合の導通損失すなわちトランジスタチップ全体か
らの発熱量は、このパワートランジスタのオン抵抗とし
て、たとえば数百V耐圧のパワートランジスタの典型的
な値として3mΩ・cm2とすると、パワートランジスタ
Q1の面積も考慮して、下記(数2)式、(数3)式に
示すようになる。
【0048】 3[mΩ・cm2]÷1[cm2]×30[A]=0.09[V]…(数2) 0.09[V]×30[A]=2.7[W] …(数3) 一方、ダーリントン・トランジスタとして駆動した場合
は、必要なベース電流はmAのオーダーなので無視して
概算すると、下記(数4)式のようになる。
【0049】 30×0.7=21[W] …(数4) 上記(数3)式と(数4)式から判るように、単体駆動
時の導通損失はダーリントン・トランジスタ駆動時に比
べて1/7倍以下になる。
【0050】さらに単体トランジスタモードでベース電
流を供給することによる損失は、制御電流用の電圧源の
電圧を5Vとすれば、下記(数5)式のようになる。
【0051】 1[A]×5[V]=5[W] …(数5) この分を足し合わせても単体トランジスタモードにおけ
る全消費電力は7.7Wで、ダーリントン・トランジス
タとして駆動した場合の1/3以下である。
【0052】また、単体トランジスタモードに移行して
有利なコレクタ電流値は、トランジスタの特性や面積を
調節することで適宜設計できる。すなわち、上記の設定
に従う図2の構成のトランジスタが、100Aのコレク
タ電流を流さなければならない状況になればダーリント
ン・トランジスタ形式にするしかないが、コレクタ電流
値が30A以下になった場合は、単体トランジスタとし
て駆動した方が断然効率がよいわけである。
【0053】本発明は、たとえばトランジスタに定格電
流値を流すことが求められる機会が少なく、もっぱら低
電流領域で駆動されるような環境に使われた場合、全体
の損失を軽減させる効果がある。たとえば、誘導モータ
を駆動するPWMインバータに使われるパワートランジ
スタなどがその一例である。誘導モータは始動する時に
まず固定子のコイルを励磁しなければならず、俊敏な始
動のためには最初に大電流を必要とする。しかし、始動
した後は電流値はそれよりはるかに少ない値でよい。こ
のように、定常運転時なら単体トランジスタで十分まか
なえるが、瞬時にはどうしても高い電流値を必要とする
から、という理由で多段のダーリントン・トランジスタ
が使われていたような場合、本発明を利用すればエネル
ギー損失を軽減できる。
【0054】たとえば、電気自動車の走行用モータの駆
動にバイポーラトランジスタを用いた場合、電気自動車
はその走行モードからしてトランジスタに最大電流が要
求される場面、すなわちアクセルペダルを床まで踏み切
るような最大トルクを要求される場面とは、たとえば急
な登り坂での加速、もしくは危険回避のための急発進・
急加速など、限られた僅かの場合のみである。通常の平
地走行ではせいぜい加速時でも定格電流の半分、定速走
行時には数分の一の電流しか流れない。また、電気自動
車は搭載できるバッテリーの量も限られているし、放熱
手段も限られている。このような状況においては、本発
明は特に有効で、パワートランジスタの冷却装置など、
付帯設備を軽減することが可能になる。
【0055】また、図2の例では2個のパワートランジ
スタを使った構成を紹介したが、パワートランジスタの
個数はさらに多くてもよい。その場合、主トランジスタ
Q1以外のパワートランジスタにおいて、コレクタ電極
は共通に接続され、エミッタ電極が他のパワートランジ
スタのベース電極に接続しているという条件を満たせ
ば、接続方式は従来の多段ダーリントン接続にこだわる
事なく、いかなる接続構成であってもよい。
【0056】さらに、これまでの説明では、外部から供
給された制御電流を2つのベース電極のどちらか一方に
のみ振り分けていたが、両方のベース電極にしかるべき
割合で分配しても構わない。たとえば、通常のパワート
ランジスタは主電流値の大きい領域では、電流値の増加
とともに電流増幅率が低下する傾向にあるが、これを図
2の構成を使って所定の範囲でほぼ一定とすることもで
きる。
【0057】図4はパワートランジスタの電流増幅率を
示す図である。図中、曲線1は単体のパワートランジス
タの電流増幅率曲線であり、前記図3のものと同じであ
る。さらに、曲線2は、図2の構成をダーリントン・ト
ランジスタとして駆動した時の電流増幅率曲線である。
点Mと点Nは、ぞれぞれ曲線1、2において電流増幅率
が100となる点を例としてとった。コレクタ電極Cを
流れる電流がこの2点の間の値である時、電流増幅率が
一定となるようなベース電流の分配方法は一意的に決定
できる。よって、外部から供給される制御電流値、もし
くは図2のパワートランジスタQ2のベース・エミッタ
間電位差、もしくはコレクタ電極Cを流れる電流値など
をもとに、あらかじめ定めた規則で制御電流を分配する
機能をスイッチ2に持たせて置けばよい。これは特殊な
非線形抵抗装置、もしくは非線形特性を実現するオペア
ンプ回路などによって実現できる。このような特性の構
成は、大電流信号のアナログ増幅に適している。
【0058】ちなみに、上記図2のスイッチ2の部分を
具体的に実現した構成としては、図5のようなものがあ
る。ここでは前記スイッチ2として、ベース電極Bから
2つのパワートランジスタのベース電極b1、b2に分
岐した線路に、それぞれ調整用トランジスタL1、L2
が介在している。L1、L2はMOSトランジスタの表
記を用いたが、もちろん他の形式のトランジスタでもよ
い。また、パワートランジスタの個数が増えた場合は、
その個数だけ調整用トランジスタを取り付ければよい。
【0059】(第2の実施の形態)この実施の形態は、
請求項2に相当する。図6は図2の構成を図5とは別の
方式で具体化した回路構成図である。図6中のバイパス
用トランジスタKは前記図2におけるスイッチ2を具現
化したもので、ここではMOSトランジスタの記号を用
いたが、もちろん他の形式のトランジスタでもかまわな
い。その2つの主電極はBとb1とに接続されていて、
構成全体のベース電極Bはそのままパワートランジスタ
Q2のベース電極b2と直結している。
【0060】動作を説明すると、トランジスタKが遮断
状態であれば、構成全体のベース電極Bに供給された制
御電流はパワートランジスタQ2のみに供給され、構成
全体はダーリントン・トランジスタとなる。逆にトラン
ジスタKが導通状態となると、パワートランジスタQ2
のベース電極b2とエミッタ電極e2とは殆ど同電位と
なってしまうのでパワートランジスタQ2は動作するこ
とができず、ベース電極Bに供給された制御電流はパワ
ートランジスタQ1へバイパスされることになり、パワ
ートランジスタQ1のみの回路と同等になる。
【0061】また、パワートランジスタの数が多くなれ
ば、それに連れてこのトランジスタKのようなバイパス
用トランジスタも、より多く必要となり、また、その接
続方法もさまざまな構成が考えられる。本発明において
は、この接続構成は前述の請求項2の範囲において任意
である。このような構成では、ベース電極の分配を司る
トランジスタの数が前記図5の場合より少なくて済み、
操作も簡単になる。
【0062】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態を説明する。これは前記請求項3に対応す
るものである。上記図6の例で説明したような内部状態
の切り替えは、別途の外部信号によることもできるが、
しかるべき内部状態を自ら検知して切り替える仕組みに
することもできる。そのようにすると、本構成はエミッ
タ電極E、コレクタ電極C、ベース電極Bからなる従来
の3端子素子と同様に扱うことが出来る。
【0063】図7は本発明の第3の実施の形態を示す回
路構成図であり、上記のような仕組みを実現する。図7
では、パワートランジスタQ1、Q2はnpn型バイポ
ーラトランジスタとする。バイパス用トランジスタKの
制御電極GはパワートランジスタQ2のベース電極b2
と接続し、さらに抵抗Rを介して本構成のベース電極B
(外部信号入力端子)と接続されている。
【0064】動作を説明する。まず、本構成では、バイ
パス用トランジスタKとして下記のごとき特性のトラン
ジスタを用いる。図8は横軸に図7の2つのベース電極
間の電位差、縦軸はバイパス用トランジスタKの導電率
を示したグラフである。電位差が0付近では、バイパス
用トランジスタKの導電率は高いが、電位差が増してく
るとバイパス用トランジスタKの制御電極Gの、ベース
電極b1に対する電位差はさらに高くなり、チャネルが
絞られて導電率はどんどん低下してくる。このような特
性のトランジスタとしては、ノーマリ・オン型のpチャ
ネル型FETなどがこれにあたる。この電位差すなわち
図7の回路におけるパワートランジスタQ2のベース・
エミッタ間が0.7Vを越えるあたりになると、パワー
トランジスタQ2のベース・エミッタ間の導電率が増加
し、パワートランジスタQ2は導通状態へと移行する。
すると、図7の構成のI−V特性曲線は、図16中の曲
線2から曲線1へ、すなわち単体トランジスタの動作か
らダーリントン・トランジスタの動作へと移行する。こ
のような構成を使えば、ベース電極Bに供給する制御電
流値に応じて自動的に内部状態を変更することができ
る。モードの移行点となる制御電流値は、バイパス用ト
ランジスタKの相互コンダクタンスや、しきい値、電位
差が低い領域でのオン抵抗などによって決まる。また、
図8中の抵抗Rによってもこれを調節することができ
る。なお、バイパス用トランジスタKが最適なものであ
れば、抵抗Rは0でもよい。
【0065】上記のような構成は、さらに複数のパワー
トランジスタを含む構成において、複数のバイパス用ト
ランジスタを用いて構成されていてもよい。たとえば、
図9は別の実施の形態である。この回路図では、3つの
パワートランジスタQ1、Q2、Q3がダーリントン式
に接続されており、2つのバイパス用トランジスタK
1、K2を有する。バイパス用トランジスタK1の制御
電極G1はパワートランジスタQ3のベース電極b3に
接続されており、もう一方のバイパス用トランジスタK
2の制御電極G2は、図のようにベース電極B3とベー
ス電極Bとに接続されている。このように接続すれば、
全体の構成は外部から与えられる制御電流値に随って、
3段階の電流レンジをもつことになり、要求されるコレ
クタ電流値に併せて供給する制御電流値を変えること
で、効率的な制御電流の運用が可能となる。
【0066】(第4の実施の形態)図10は本発明の第
4の実施の形態の構成図であり、請求項4に対応する。
【0067】これまでの実施の形態では、外部から供給
される制御電流の電流値の大小に意味があるような、ア
ナログ的な実施の形態について述べた。ここからはスイ
ッチング用途、すなわち供給する制御電流の値はオン/
オフ2値のみで、その電流値の変化に制御情報はない場
合についての実施の形態である。
【0068】たとえば、前記図5のようにベース電極B
と実際のパワートランジスタのベース電極b1、b2と
の間にそれぞれ調整用トランジスタを介する構成では、
外部から供給される制御電流を、それぞれのパワートラ
ンジスタに振り分けたり、適切な供給量にすることがで
きる。これによって、たとえば各パワートランジスタを
過飽和状態にしないように調節することができ、動作中
の本構成全体をさらに効率のよい状態に保つことが可能
となる。もちろん、その調節を外部信号によって操作し
ても構わないが、本実施の形態ではこれを内部状態を検
知して自動的に行なうものである。また、本実施の形態
は、図5のような調整用トランジスタLと図6のような
バイパス用トランジスタKが混在していても構わない。
このような構成を図10に示す。
【0069】図10に示す構成では、バイパス用トラン
ジスタKはパワートランジスタQ1のベース電極b1
と、パワートランジスタQ2のベース電極b2とを接続
する。調整用トランジスタLは本構成のベース電極Bと
パワートランジスタQ2のベース電極b2とを接続す
る。これらは内部演算装置3によって制御される。
【0070】ここで制御の対象となるパワートランジス
タは、他のパワートランジスタのエミッタ電極を経ずに
制御電流の供給を受けている状態にあるパワートランジ
スタである。説明を明確にするため、ここでのみ、この
パワートランジスタを「パワートランジスタA」と呼ぶ
ことにする。構成全体の中では唯一、このパワートラン
ジスタAのみが、それ自身のコレクタ・エミッタ間電位
差とそれ自身のコレクタ電流値が、図16中の曲線2の
ような挙動を示す。そして本構成がスイッチング装置と
して用いられる場合には、トランジスタAの動作点は図
16中の点A2のような活性領域で使用されることはな
く、必ず点B2のようなコレクタ・エミッタ間電位差が
自身のコレクタ電流値にほぼ比例するような領域が動作
点として選ばれることになる。よって、このパワートラ
ンジスタAのコレクタ・エミッタ間電位差を検知するこ
とで、コレクタ電流値を知ることが出来、ひいては構成
全体のパワートランジスタの状態を知ることが出来る。
パワートランジスタAとは、すなわち図10の構成にお
いてパワートランジスタパワートランジスタQ2が作動
している場合はパワートランジスタQ2のことであり、
パワートランジスタQ2が休止している場合はパワート
ランジスタQ1のことである。
【0071】動作を説明する。まず、図10中のバイパ
ス用トランジスタKが遮断状態で、パワートランジスタ
Q2が導通状態である場合、制御されるべきパワートラ
ンジスタはパワートランジスタQ2である。パワートラ
ンジスタQ2はI−V特性曲線上で、前記図16中の曲
線2上の点B2のような動作点にある。この領域ではパ
ワートランジスタQ2のコレクタ電流は、コレクタ・エ
ミッタ間電位差と比例的関係にある。よって、内部演算
装置3はコレクタ電極Cの電位とパワートランジスタQ
2のエミッタ電極e2の電位との差を検知することで、
パワートランジスタQ2を流れる主電流値を知ることが
出来る。
【0072】ここで、コレクタ・エミッタ間電位差が大
きくなってきたということは、外部から要求されている
主電流が大きくなってきて、制御電流が供給不足になっ
てきていることを意味している。このままでは素子が過
熱してしまうので、このような場合は調整用トランジス
タLを開き気味にする。また、逆にコレクタ・エミッタ
間電位差が小さくなってきた時は、外部から要求されて
いる主電流が小さくなってきて、パワートランジスタQ
2が飽和状態に移行しつつあることを意味している。こ
のままでは制御電力が無駄であるばかりか、ターンオフ
時にストレージ時間を長くしてしまうので、調整用トラ
ンジスタLを絞り気味にする。このようにして、パワー
トランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間電位差は自動
的に一定値に収束するようになる。この一定値を、たと
えばこの状態におけるパワートランジスタQ2が飽和領
域から活性領域に移行する境界領域にあたる点に設定す
ると、導通損失も低く、またターンオフ時のストレージ
時間も短くなる。
【0073】また、バイパス用トランジスタKが導通状
態にあり、パワートランジスタQ2が休止状態であると
きは、内部演算装置3は同様の制御をパワートランジス
タQ1に対して行なうようにする。その際、パワートラ
ンジスタQ1に流れる電流値を知るためには、e2の電
位の代わりにパワートランジスタQ1のエミッタ電極E
の電位を検知し、コレクタ電極Cの電位との差を知るこ
とで、同様の仕組みでパワートランジスタの状態を制御
することが可能である。
【0074】(第5の実施の形態)さて、前記請求項4
に記載した機能(図10の実施の形態において、バイパ
ス用トランジスタKが導通状態で、パワートランジスタ
Q2が休止状態になる部分を除いた範囲)では、構成全
体の内部状態は変化させずに、すなわちダーリントン段
数などは変えずに、パワートランジスタの状態を最適に
する機能であった。次に説明する実施の形態は、外部か
ら要求されるコレクタ電流駆動能力に応じて、ダーリン
トン段数を変化させる機能である。なお、これは前記請
求項5に対応するものである。ここでも外部から供給さ
れる制御電流はオン/オフの2値であり、電流値の変化
に制御情報はないものとする。
【0075】この構成の動作について、図11を用いて
説明する。これは一例として図6に内部演算装置3を付
加したものである。まず、前記請求項5の前半の機能に
ついてであるが、図中のバイパス用トランジスタKが導
通状態であるとき、パワートランジスタQ2のベース・
エミッタ間は充分な電位差を持つことができず、パワー
トランジスタQ2は休止状態となる。そして外部から供
給された制御電流はパワートランジスタQ1のベース電
極へ供給され、構成全体は単体トランジスタとなる。こ
の時、パワートランジスタQ1の動作点はそれ自身のコ
レクタ・エミッタ間電位差に従って図16中の曲線2上
の点B2のような動作点にある。
【0076】ここで外部から要求されるコレクタ電流の
大きさが増して来ると、この状態ではベース電流が不十
分で、パワートランジスタQ1の動作点は点A2へと移
行する。するとパワートランジスタが過熱してしまうの
で、たとえばコレクタ・エミッタ間電位差が1Vを上回
ったことを検出して、内部演算装置3はバイパス用トラ
ンジスタKを遮断状態とする。するとパワートランジス
タQ2が作動し、外部から供給される制御電流は増幅さ
れ、図11の動作点は図16の曲線1上の点B1へ移行
する。状態が移行したら、モニタするパワートランジス
タは、この状態で「そのパワートランジスタ(この場合
はQ1)のベース電極にエミッタ電極が接続されている
別のパワートランジスタ」すなわちパワートランジスタ
Q2へと移行する。
【0077】次に、このバイパス用トランジスタKが遮
断されている状態で、外部から要求されているコレクタ
電流値が減ってきたとする。するとパワートランジスタ
Q2に供給される制御電流は一定のままであるから、パ
ワートランジスタQ2は強い飽和状態へと移行する。パ
ワートランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電位差
は、パワートランジスタQ1のベース・エミッタ間接合
が導通状態となるために必要な約0.7Vより低くなる
ことはない。しかし、パワートランジスタQ2のコレク
タ・エミッタ間電位差は強い飽和状態へ移行しうる。そ
して、或る程度コレクタ電流値が低くなると、外部から
供給されるベース電流を増幅せずともそのままパワート
ランジスタQ1へ供給しても、パワートランジスタが活
性領域に移行しないで済む条件になる。そこで内部演算
回路3がその条件を検知したら、バイパス用トランジス
タKを導通状態とする。すると、全体の構成は単体トラ
ンジスタ駆動になり、外部から供給される一定の制御電
流でもって、さらに低オン抵抗で主電流を流すことが出
来るようになる。
【0078】また、この実施の形態は前記第4の実施の
形態と共存することが出来る。すなわち、上記の実施の
形態では、内部演算装置3はダーリントン接続の段数を
変更することはできたが、最終段のトランジスタが飽和
状態で駆動しているか、活性状態で駆動しているかは関
知していない。そこで、前記図10に内部演算装置3を
付加した構成とすれば、前記第4の実施の形態と本実施
の形態を共存させることができ、如何なる状況でも構成
中の各パワートランジスタを最適な状態で駆動できる。
なお、この実施の形態はパワートランジスタの個数が増
えても問題なく実現できる。また、上記の内部演算装置
3は、パワートランジスタの状態全てを集中管理する必
要はなく、それぞれのバイパス用トランジスタについて
個別に演算装置を持つことも可能である。
【0079】(第6の実施の形態)次に、図12〜図1
4を用いて、本発明の第6の実施の形態について説明す
る。なお、これは前記請求項6に対応するものである。
前記請求項5ではパワートランジスタのコレクタ・エミ
ッタ間電位差をモニタすることでコレクタ電流を検知し
て各パワートランジスタのベース電流値を可変としてい
た。ここでは、たとえば図6のコレクタ電極Cを流れる
電流値を電流センサなどによって検知し、あらかじめ設
定しておいた電流値で構成の内部状態を変更する回路構
成である。図12は、前記図6のコレクタ電極Cの近傍
に、コレクタ電流値を検知する電流センサSを付加し、
さらにこの情報によってバイパス用トランジスタKを操
作する内部演算装置3を付加したものである。
【0080】動作を説明する。ここでは前記図2におい
て用いた条件をそのまま引用する。もし内部演算装置3
が、電流センサSによってコレクタ電極Cを流れる電流
値が30Aを上回っている事を検知したら、図中のパワ
ートランジスタQ2をオン状態にする。すると全体の構
成はダーリントン・トランジスタとなり、少ない制御電
流で多くの主電流を流すことが出来る。また、逆に30
Aを下回っていることを検出したなら、パワートランジ
スタQ1のみを駆動させて単体トランジスタの構成とす
れば、低いオン抵抗で主電流を流すことができる。
【0081】前記図11の構成では、各パワートランジ
スタ毎にそのコレクタ・エミッタ間電位差を検知しなけ
ればならなかった。しかし、本実施の形態では、検知す
るのは主電流値のみなので、内部演算装置3の規模は小
さくて済む。パワートランジスタの個数が多くなった場
合は、この効果はさらに顕著になる。なお、電流センサ
Sの位置は図中のエミッタ電極E付近でもよい。また、
パワートランジスタQ1のコレクタ電流のみを検知でき
る位置でもよい。
【0082】また、本実施の形態に派生して、本発明の
構成がモータのような誘導負荷を駆動するPWM制御装
置もしくはチョッパ制御装置に使われた場合、図13の
ような位置で電流を検知してもよい。図13中のWは誘
導負荷で、モータなどを等価的に示している。Dは還流
ダイオードで、これとパワートランジスタQ1でPWM
制御装置もしくはチョッパ制御装置を等価的に示してい
る。
【0083】図14は、上記のパワートランジスタQ1
が外部からの制御電流によってオン/オフを繰り返した
ときの各要素を流れる電流の様子を示す図である。図1
4において、曲線1は誘導負荷Wを流れる電流、曲線2
はパワートランジスタQ1を流れる電流、曲線3は還流
ダイオードDを流れる電流である。
【0084】図14に示すごとく、図13の回路では、
パワートランジスタQ1がオン状態の時は、誘導負荷W
にはパワートランジスタのコレクタ電流と同じ電流が流
れ、オフ状態では誘導負荷Wには還流ダイオードを経由
して電流が流れ続ける。よって、この誘導負荷Wを流れ
る電流値を検知していれば、パワートランジスタのスイ
ッチングのタイミングに関係なく、適切なパワートラン
ジスタの内部状態を決定することができる。
【0085】(第7の実施の形態)次に、本発明の第7
の実施の形態を説明する。なお、これは前記請求項7に
対応するものである。本発明がスイッチング素子として
用いられる場合、ターンオン時に、これからどの程度の
主電流を要求されるかは、前記図13の構成を除いて不
明であった。よって、最初は構成の全てのパワートラン
ジスタを駆動する状態から始めることになり、状態が安
定するまでにいくらかの時間がかかる。しかし、図13
のように誘導負荷をスイッチングするような形態の場合
は、図14に見るようにパルス状に動作するパワートラ
ンジスタの前回導通時の主電流値と今回導通時の主電流
値の間にはそれほど大差がなく、大抵は数%程度の差異
に留まる。そこでこのような場合、前回のターンオフ直
前の内部状態、すなわち各バイパス用トランジスタや調
整用トランジスタの状態を記憶しておき、次回のターン
オン時にこれを再現する機能を、たとえば前記図10〜
図12の内部演算装置3に持たせるように構成すれば、
ターンオン時に動作が安定するまでの時間を飛躍的に短
縮することが出来る。
【0086】(第8の実施の形態)次に、本発明の第8
の実施の形態を説明する。なお、これは前記請求項8に
対応するものである。これはターンオフ時間の短縮を狙
ったものである。まず背景から説明する。前記図15に
示した従来例のような回路をターンオフさせようと、ベ
ース電極b2に流れる電流を逆転させると、パワートラ
ンジスタQ2のコレクタ電極とエミッタ電極との間は遮
断状態となる。しかし、そうするとパワートランジスタ
Q1のベース電極の電位は浮いた状態となり、パワート
ランジスタQ1のベース領域中の少数キャリアが自然消
滅するまで、主電流は終息しない。一般には、これを回
避するために、ベース電極b1とb2との間に、b1か
らb2へ電流が流れる方向が順バイアスとなるようなダ
イオードを挿入して、ターンオフと共にベース電極b1
からも過剰少数キャリアを引き抜けるようにしている。
しかし、本発明においては各々のパワートランジスタの
ベース電流をコントロールできるのであるから、改めて
構成要素を追加する必要はない。このような制御は、前
記図2のようなスイッチ2を持つ構成であれば、前記ま
でのどのような形態でも実施可能である。もちろん、上
記のようなダイオードが構成に付加されていても、本発
明の効果を損ねるものではないが、これまでに述べたバ
イパス用トランジスタや調整用トランジスタは、ダイオ
ードの順方向のダイナミック抵抗よりも低抵抗で逆方向
のベース電流を流すことが可能なので、本実施の形態の
方が過剰少数キャリアを排出する速度は速い。
【0087】また、本実施の形態は前記第7の実施の形
態と共存できる。すなわち、ターンオフ直前の内部状態
を記憶して置くことは、ターンオフ時に内部状態を固定
してしまうことではない。ターンオフ時にそれまでの内
部状態を記憶しながら、バイパス用トランジスタあるい
は調整用トランジスタを、各パワートランジスタ内の過
剰少数キャリアを排出するために全開状態とすることも
できる。そして次のターンオン時に、記憶していた前回
の内部状態から始めるのである。
【0088】(第9の実施の形態)次に、本発明の第9
の実施の形態について説明する。なお、これは前記請求
項9に対応するものである。これまでに様々な制御機能
について言及してきたが、ここではたとえば外部から与
えられた制御電流を増幅して前記第一のパワートランジ
スタQ1のベース電極へ供給すべく存在する他のパワー
トランジスタが全て動作状態になっても、なお、前記第
一のパワートランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧が
然るべき値より低くならない場合に、前記図10〜図1
2の内部演算装置3が、全てのベース電極への制御電流
の供給を停止させる機能を有するものとする。
【0089】パワートランジスタの駆動能力以上に主電
流値が流れようとした場合、そのままだとコレクタ・エ
ミッタ間電圧が上昇してトランジスタが加熱し、故障も
しくは破壊することになるが、上記のような機能を付加
することにより、それを回避することができる。
【0090】また、さらに上記のような状態に突入した
場合には、次回のターンオン信号が来たときにも同様の
ケースになる可能性が高いので、一定期間は外部信号を
受け付けず素子の遮断状態を継続するようにしておいて
もよい。さらにこのような場合は外部回路の故障である
場合が多いので、外部に対して積極的に信号を発信し、
外部からターンオフ信号を入れてもらって迅速にパワー
トランジスタ内の過剰少数キャリアを引き抜くとか、次
のオン信号の発信を停止させるなどの機能を持たせるこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施の形態のより詳細な回路構
成図。
【図3】パワートランジスタの電流増幅率を示すグラ
フ。
【図4】本発明の第1の実施の形態における別の形態を
説明するための電流増幅率のグラフ。
【図5】本発明の第1の実施の形態の具体的な回路構成
図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の回路構成図。
【図7】本発明の第3の実施の形態の回路構成図。
【図8】上記図7のバイパス用トランジスタの制御端子
電位に対する主端子間の導電率を示すグラフ。
【図9】本発明の第3の実施の形態の他の回路構成図。
【図10】本発明の第4の実施の形態の回路構成図。
【図11】本発明の第5の実施の形態の回路構成図。
【図12】本発明の第6の実施の形態の回路構成図。
【図13】本発明の第6の実施の形態の別の回路構成
図。
【図14】図13の回路をスイッチングした時における
各素子を流れる電流の波形図。
【図15】従来の実施の形態の一例を示す回路構成図。
【図16】従来のトランジスタのI−V特性を示すグラ
フ。
【符号の説明】
E…構成全体のエミッタ電極 C…構成全体のコレクタ電極 B…構成全体のベース電極 Qn…第nのパワートランジスタ(n=1,2,・・
・) en…Qnのパワートランジスタに属するベース電極 bn…Qnのパワートランジスタに属するベース電極 cn…Qnのパワートランジスタに属するベース電極 K…バイパス用トランジスタ L…調整用トランジスタ 1…第1のパワートランジスタ以外のパワートランジス
タ群 2…スイッチ 3…内部演算装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主電極たるエミッタ電極ならびにコレクタ
    電極と、制御電極たるベース電極を有する電流制御型の
    パワートランジスタを複数有し、 前記パワートランジスタの全てのコレクタ電極はひとつ
    に接続されていて、 前記パワートランジスタのうち第1のパワートランジス
    タ以外は、各々の前記エミッタ電極は別のパワートラン
    ジスタのベース電極と接続していて、 前記第1のパワートランジスタのベース電極は、上記他
    の少なくとも一つのパワートランジスタのエミッタ電極
    と接続している半導体装置であって、 外部から供給される制御電流値に対する、前記第1のパ
    ワートランジスタのエミッタ電極を流れる電流値の電流
    増幅率を可変とすべく、任意の前記パワートランジスタ
    の個々のベース電極への制御電流の供給値が個別に可変
    であるように構成した、ことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】前記パワートランジスタの各ベース電極へ
    の供給電流を可変とする手段として、少なくとも2つの
    主電極と1つの制御電極を有するバイパス用トランジス
    タを用い、前記複数のパワートランジスタのうちの何れ
    か2つのパワートランジスタのそれぞれのベース電極に
    前記2つの主電極をそれぞれ接続した、ことを特徴とす
    る請求項1に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】前記バイパス用トランジスタは、前記ベー
    ス電極に印加して前記パワートランジスタのコレクタ・
    エミッタ間の導電率が向上するような極性の電位を前記
    制御電極に印加すると、前記2つの主電極間の導電率が
    低下する特性を有し、 外部から供給される制御電流の大きさが増すにつれ、前
    記バイパス用トランジスタの導電率が低下するように、
    前記制御電極が所定の前記ベース電極に接続されてい
    る、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】導通状態の前記パワートランジスタのう
    ち、他のパワートランジスタのエミッタ電極から電流の
    供給を受けていない状態にあるパワートランジスタの、
    コレクタ・エミッタ間電位差が所定値より大きくなった
    場合は、このパワートランジスタのベース電極へ供給す
    る電流値を増やし、前記所定値より小さくなった場合は
    前記ベース電流を減らすことで前記半導体装置への制御
    電流を所定範囲に保つように制御する機能を有する、こ
    とを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】導通状態の前記パワートランジスタのう
    ち、他のパワートランジスタのエミッタ電極から電流の
    供給を受けていない状態にあるパワートランジスタの、
    コレクタ・エミッタ間電位差が所定値より大きくなった
    場合には、このパワートランジスタのベース電極がエミ
    ッタ電極に接続されている別のパワートランジスタを導
    通状態とする機能と、 導通状態の前記パワートランジスタのうち、他のパワー
    トランジスタのエミッタ電極から電流の供給を受けてい
    ない状態にあるパワートランジスタの、コレクタ・エミ
    ッタ間電位差が所定値より小さくなった場合には、この
    パワートランジスタのベース電極に供給されていた電流
    を、このパワートランジスタのエミッタ電極が接続して
    いる別のパワートランジスタのベース電極へ振り替える
    機能と、を有することを特徴とする請求項1に記載の半
    導体装置。
  6. 【請求項6】導通時に前記パワートランジスタを流れる
    電流のうち、外部から供給される前記制御電流以外の電
    流の値によって、任意の前記パワートランジスタの個々
    のベース電極への制御電流の供給値が個別に可変であ
    る、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  7. 【請求項7】前回のターンオフ直前の各トランジスタの
    状態を、次回のターンオン時に再現する機能を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】ターンオフに臨んで迅速なターンオフのた
    めに、少なくとも前記第1のパワートランジスタのベー
    ス領域から過剰少数キャリアを迅速に排除すべく、前記
    ベース電極に導通時とは逆方向の電流を流す機能を有す
    る、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】外部から与えられた制御電流を増幅して前
    記第一のパワートランジスタのベース電極へ供給すべく
    存在する、他の前記パワートランジスタが全て動作状態
    になっても、なお、前記第一のパワートランジスタのコ
    レクタ・エミッタ間電圧が所定値より低くならない場合
    には、全てのベース電極への制御電流の供給を停止させ
    る機能を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の半
    導体装置。
JP8140005A 1996-06-03 1996-06-03 半導体装置 Pending JPH09326681A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012129978A (ja) * 2010-11-22 2012-07-05 Denso Corp 負荷駆動装置

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JP2012129978A (ja) * 2010-11-22 2012-07-05 Denso Corp 負荷駆動装置

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