JPH09313841A - フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

フィルタ及びその製造方法

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JPH09313841A
JPH09313841A JP16234696A JP16234696A JPH09313841A JP H09313841 A JPH09313841 A JP H09313841A JP 16234696 A JP16234696 A JP 16234696A JP 16234696 A JP16234696 A JP 16234696A JP H09313841 A JPH09313841 A JP H09313841A
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JP
Japan
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layer
alumina
fiber
silicon nitride
chopped
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JP16234696A
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Inventor
Kazuhisa Matsumoto
和久 松本
Naoki Fujioka
尚起 藤岡
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 集塵出口ダスト濃度を10mg/m3N以下
にまで低下できるフィルタを得る。 【解決手段】 炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、アルミ
ナ・シリカ及び炭素の1種又は2種以上の繊維の織布の
層又はチョップドヤーンの集合層に樹脂類を含浸させ繊
維成形体を形成する。この繊維成形体の除塵表面空孔内
に、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、アルミナ・シリ
カ、炭素及び黒鉛の1種又は2種以上のチョップド単繊
維を分散剤によりスラリ状にして含浸乾燥させた後に樹
脂類の炭化処理をなし、チョップド単繊維凝集層が形成
された表面に炭化珪素、窒化珪素、及びアルミナの1種
又は2種以上のコーティング層を気相蒸着させ、単繊維
凝集層の除塵表面に炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、炭
素及び黒鉛の1種又は2種以上のウィスカスラリを含浸
乾燥させ、ウィスカ凝集層の表面に炭化珪素、窒化珪素
及びアルミナの1種又は2種以上のコーティング層を気
相蒸着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミ焼却炉の出口
排ガスやボイラ出口排ガス、製鉄用高炉の炉頂圧タービ
ン流入ガス又は高炉排ガスなどの高温ガス中のダスト除
去に利用するのに好適であるとともに、特に石炭利用複
合発電システムの集塵に用いるのに好適な除塵用フィル
タに関する。
【0002】
【従来の技術】ゴミ焼却炉出口排ガス等の除塵処理にお
いて、該排ガスを冷却することなく高温のまま除塵を行
なえるならば、排ガスを除塵後、熱交換を行なってボイ
ラで高温、高圧の蒸気を得、これを発電に用いることに
より熱エネルギーを電気エネルギーとして有効に回収す
ることができる。また、化石燃料の燃焼においてエネル
ギーの有効利用を促進させるために加圧流動層複合発電
や石炭ガス化複合発電などの複合発電システムの開発が
行われているが、この場合も、燃焼排ガスや還元性ガス
によりガスタービンを駆動させる際に、摩耗、腐食防止
のためにタービン入口までに石炭ガス中の硫黄化合物や
粒子状物質などを除去する必要があり、高温集塵が極め
て重要となっている。
【0003】従って、排熱回収・有効利用の観点から
は、排ガスを冷却することなく除塵する必要があり、こ
のため除塵用フィルタとしては、耐熱温度が高く、10
00℃以上での使用が可能であることが望まれる。ま
た、ゴミ焼却炉の排ガス中には腐食性のHClやCl2
が含まれており、また、石炭利用複合発電システムにお
いてもダストによる摩耗や、腐食性ガスによるタービン
腐食の問題を生じるため、除塵用フィルタとしては、耐
熱温度が高いことに加えて、高温での耐食性に優れるこ
とが望まれる。更に、処理効率の向上、除塵器の小型化
のためには、圧力損失が小さいこと及びフィルタの厚さ
が薄いことなどが望まれる。即ち、圧力損失が大きい場
合には、圧力損失を小さくして除塵効率を高めるため
に、排ガスの通過流速を低くする必要があるが、通過流
速を小さくするためには、除塵器を大型化せざるを得な
い。また、肉厚のフィルタは、それ自体が嵩高くなるた
め、除塵器の大型化につながる。
【0004】従来、各種排ガスのダスト除去用フィルタ
としては、ガラス繊維製バッグフィルタ、金属製バッグ
フィルタ、ハニカム構造セラミックフィルタ、セラミッ
クチューブフィルタなどが提供されている。また、化学
蒸着法(CVD法)によるセラミック製フィルタも開発
されつつある。
【0005】しかし、従来のフィルタのうち、ガラス繊
維製バッグフィルタは、最高使用温度が250〜300
℃程度であり、このバッグフィルタを高温排ガスの除塵
に用いるためには、高温排ガスを冷却する必要があるこ
とから、排熱回収・有効利用の面で不利である。
【0006】金属(インコネル)製バッグフィルタで
は、最高使用温度が870℃と、ガラス繊維製バッグフ
ィルタよりも高いものの、耐食性の面で問題があり、腐
食性ガスの除塵には使用し得ないという欠点がある。
【0007】ハニカム構造セラミックフィルタでは、最
高使用温度は600℃とさほど高くない上に、焼結セラ
ミック製であるために、肉厚で、しかも、気孔率が小さ
いために圧力損失が大きいという欠点がある。
【0008】セラミックチューブフィルタは、最高使用
温度が900〜1000℃と高いが、焼結セラミック製
であるため、上記と同様に、肉厚で圧力損失が大きいと
いう欠点がある。
【0009】しかも、既存のセラミックフィルタはSi
2やAl23製とされており、高温で腐食の激しい排
ガスの除塵には対応できず、熱衝撃により割れやすいと
いう欠点がある。
【0010】また、現在開発中のCVD法によるセラミ
ック製フィルタでは、肉厚で、圧力損失が大きく、しか
も高コストであるという欠点がある。
【0011】このような観点から、出願人は、l000
℃以上の高温でも使用でき、Cl2やHClを含有する
腐食性雰囲気において、かつ、高温において使用でき、
かつ薄肉で、圧力損失が小さく、除塵器の小型化が可能
であるといった条件を満たし、ゴミ焼却排ガスの除塵用
フィルタとして用いることのできるフィルタを提供した
(特開平7−116433号公報)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記フィルタ
でも、最大除塵効率は上述した石炭利用複合発電システ
ムで要求されるダスト濃度以下にはできない欠点があっ
た。
【0013】本発明は上記フィルタを更に進めて、高温
の腐食性雰囲気においても使用可能な高い耐熱性と耐食
性を有し、しかも、圧力損失が小さく薄肉の除塵用フィ
ルタとしつつ、特に石炭利用複合発電システム等におい
て要求される細かいダストの捕集効率を向上させ、集塵
出口ダスト濃度を10mg/m3N以下にまで低下でき
るフィルタとしつつ、より安価なフィルタを提供するこ
とを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るフィルタ及びその製造方法を次のよう
に構成した。
【0015】すなわち、本発明に係るフィルタは、炭化
珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)、アルミナ(A
23)、アルミナ・シリカ(Al23・SiO2)及
び炭素(C)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上
の繊維の織布層又はチョップドヤーンの集合層として構
成される繊維成形体と、この繊維成形体の除塵表面部に
形成され、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si
34)、アルミナ(Al23)、アルミナ・シリカ(A
23・SiO2)、炭素(C)及び黒鉛よりなる群か
ら選ばれる1種又は2種以上のチョップド単繊維から構
成されるチョップド単繊維凝集層と、このチョップド単
繊維凝集層の除塵表面空孔内に形成され、炭化珪素(S
iC)、窒化珪素(Si34)、アルミナ(Al
23)、炭素(C)及び黒鉛よりなる群から選ばれる1
種又は2種以上のウィスカ凝集層とから形成され、前記
繊維成形体、チョップド単繊維凝集層、及びウィスカ凝
集層の繊維・ウィスカ表面には炭化珪素(SiC)、窒
化珪素(Si34)、及びアルミナ(Al23)よりな
る群から選ばれる1種又は2種以上の気相蒸着コーティ
ング層を形成してなることを特徴としている。
【0016】これは、炭化珪素(SiC)、窒化珪素
(Si34)、アルミナ(Al23)、アルミナ・シリ
カ(Al23・SiO2)及び炭素(C)よりなる群か
ら選ばれる1種又は2種以上の繊維の織布の層又はチョ
ップドヤーンの集合層に対して樹脂類の含浸により繊維
成形体を形成しておき、前記繊維成形体の除塵表面空孔
内に、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)、ア
ルミナ(Al23)、アルミナ・シリカ(Al23・S
iO2)、炭素(C)及び黒鉛よりなる群から選ばれる
1種又は2種以上のチョップド単繊維を分散剤によりス
ラリ状にして含浸乾燥させ、前記スラリの乾燥後に樹脂
類の炭化処理をなし、チョップド単繊維凝集層が形成さ
れた繊維成形体の繊維表面に炭化珪素(SiC)、窒化
珪素(Si 3N4)、及びアルミナ(Al23)よりなる
群から選ばれる1種又は2種以上のコーティング層を気
相蒸着させ、前記チョップド単繊維凝集層の除塵表面に
炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)、アルミナ
(Al23)、炭素(C)及び黒鉛よりなる群から選ば
れる1種又は2種以上のウィスカスラリを含浸乾燥さ
せ、これにより形成されたウィスカ凝集層のウィスカ表
面に炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)及びア
ルミナ(Al23)よりなる群から選ばれる1種又は2
種以上のコーティング層を気相蒸着させて製造すること
ができる。
【0017】また、他の方法として、炭化珪素(Si
C)、窒化珪素(Si34)、アルミナ(Al23)、
アルミナ・シリカ(Al23・SiO2)及び炭素
(C)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の繊維
の織布の層又はチョップドヤーンの集合層として構成さ
れる繊維成形体を形成しておき、前記繊維成形体の樹脂
類の炭化処理をなし、この繊維成形体の繊維表面に炭化
珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)、及びアルミナ
(Al23)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上
のコーティング層を気相蒸着させ、前記繊維成形体の除
塵表面空孔内に、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si
34)、アルミナ(Al23)、アルミナ・シリカ(A
23・SiO2)、炭素(C)及び黒鉛よりなる群か
ら選ばれる1種又は2種以上のチョップド単繊維を分散
剤によりスラリ状にして含浸乾燥させ、前記チョップド
単繊維凝集層の樹脂類の炭化処理をなし、この単繊維凝
集層の繊維表面に炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si
34)、及びアルミナ(Al23)よりなる群から選ば
れる1種又は2種以上のコーティング層を気相蒸着さ
せ、前記チョップド単繊維凝集層の除塵表面に炭化珪素
(SiC)、窒化珪素(Si 3N4)、アルミナ(Al2
3)、炭素(C)及び黒鉛よりなる群から選ばれる1
種又は2種以上のウィスカスラリを含浸乾燥させ、これ
により形成されたウィスカ凝集層のウィスカ表面に炭化
珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)、及びアルミナ
(Al23)よりなる群から選ばれる1種又は2種以上
のコーティング層を気相蒸着させることにより製造する
ことも可能である。
【0018】
【作用】本発明のフィルタは、SiC繊維、Si34
維、Al23繊維、Al23・SiO2繊維又はC繊維
から構成される織布、ヤーンの集合体の不織布を成形し
て、所定のフィルタ形状としておき、この成形体の除塵
表面部にチョップド単繊維スラリを含浸して単繊維凝集
層を形成し、樹脂の炭化処理を行い、この単繊維凝集層
を表面層に備えた繊維成形体の繊維表面にSiC、Si
34、又はAl23のCVDコーティング層を形成した
フィルタ構造としてなるものであり、特にフィルタ表面
層に除塵表面側から順次SiC、Si34、又はAl2
3のCVDコーティング層を形成したウィスカ凝集層
及びチョップド単繊維凝集層を形成したフィルタ構造と
してなるものであり、特にフィルタ表面層のウィスカ凝
集体における微細な孔と、これに引き続くチョップド単
繊維凝集層による初期捕集をなす構成であるため、細か
いダストの集塵機能に優れている。
【0019】すなわち、フィルタ本体は高耐熱性材料の
みで構成されることから、1000℃以上の高温でも使
用可能な優れた耐熱性を備えるとともに、ヤーンを束ね
た織布あるいは不織布繊維成形体を基体とするため、薄
肉でも十分な機械的強度を備え、空孔率が大きく、圧力
損失の小さいフィルタ機能があり、更に、繊維成形体の
繊維表面及び表層部チョップド単繊維凝集層の繊維、並
びに最上表層面ウィスカ凝集層のウィスカにCVD法に
よる高純度で高耐食性、高耐熱性のコーティング層が形
成されているため、高温におけるHCl等の腐食性雰囲
気においても十分に使用可能である。
【0020】本発明は、上記繊維成形体からなる基体に
CVDコーティング層を形成した上に、更に除塵表面側
にチョップド単繊維凝集層とこの表層部にウィスカ凝集
層を形成し、単繊維表面、ウィスカ表面にセラミックス
コーティング層を形成しているため、表層面でのウィス
カ凝集層による一次ダスト捕集、その内層側でのチョッ
プド単繊維凝集層による二次ダスト捕集が行われ、引き
続き内層側での三次ダスト捕集が行われる。したがって
ウィスカ凝集層、チョップド単繊維凝集層では微細な孔
による捕集機能により段階的に細かいダストが効率的に
捕集され、初期の集塵効率が高くなり、ウィスカ凝集層
とチョップド単繊維凝集層を設けないフィルタでの捕集
効率が99.5%であったのに対し、ウィスカ凝集層を
表層部に設けた本発明では初期の集塵効率が99.99
%にも達した。また、圧損に関しては、上記フィルタ本
体のみよりはウィスカ凝集層とチョップド単繊維凝集層
の存在により圧損がやや大きいものの、集塵運転に伴う
圧損の上昇は少ないものとなる。これはウィスカ凝集層
の内部にダストが入り込むことが極力阻止されて基本的
に表面捕集作用をなし、更にチョップド単繊維凝集層に
よるダスト侵入の防止機能も相俟ってフィルタ基体の内
部へのダスト侵入が防止されるからである。また、ウィ
スカ凝集層では微細な孔による捕集であるため、ダスト
粒が除塵表面にて堆積されるだけであり、目詰まりし難
いものとなっており、これによりパルスジェットによる
ダスト払い落としを繰り返した後も、圧損上昇を低く抑
えることができ、経時的圧損上昇が小さいものとなって
いる。このため、特に石炭利用複合発電システム等のよ
うに、排気ガスをタービンに導くような経路に上記フィ
ルタを配置することにより、従来のセラミックフィルタ
で最大効率と称されている限度以上の捕集効率を実現で
きるようになった。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の具体的実施の形態
を、本発明のフィルタの製造方法に従って詳細に説明す
る。
【0022】本発明のフィルタを製造するには次のよう
にして行う。 (第1工程/繊維成形工程)SiC繊維、Si34
維、Al23繊維、Al23・SiO2繊維又はC繊維
を用いて繊維成形体を製造する。すなわち、 (a)上記繊維の織布を1枚あるいは複数枚積層した層 又は (b)長さ1mm以上、好ましくは5〜25mmのチョ
ップドヤーンの集合層
【0023】なお、これらの(a)、(b)の単繊維径
は5〜20μm程度であることが好ましい。長さ1mm
以下では、繊維と繊維の交差により形成される空隙率が
小さくなり、フィルタの圧力損失が増大してしまう。ま
た、繊維径が5μmより小さいと繊維と繊維の交差によ
り形成される空隙率が小さくなり、フィルタの圧力損失
が増大してしまう。20μmより大きいと繊維と繊維の
交差により形成される空隙が大きくなり、ウィスカ凝集
層の形成が困難となる。これは空孔が大であるとウィス
カ凝集層が乾燥や蒸着処理工程で脱落し易くなり、脱落
により大きな空孔が残存するフィルタとなって、この孔
からダストが通過しフィルタ機能を果たさなくなるから
である。また、(b)において、チョップドヤーンはこ
のような単繊維を500〜2000本程度収束したもの
が好ましい。
【0024】このような繊維成形体は、例えば、繊維の
織布を積層して樹脂を含浸させ、これを型に入れて真空
成形することによって所望の形状に成形する。
【0025】また、チョップドヤーンの集合体に樹脂を
含浸させたものを成形型に巻き付けた後、硬化成形させ
てもよい。
【0026】この場合、樹脂としてはフェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール等を用いることが
でき、なお、樹脂の使用に当っては必要に応じて更に有
機溶媒又は水を用いる。
【0027】なお、成形体としての基層の厚さは1〜1
0mmとすることが望ましい。基層の厚さが1mm以下
では、製作工程でのハンドリングにより破損しやすくな
り、歩留りが悪化して製品価格が高くなってしまい、基
層の厚さが10mmを越えると、圧力損失が大きくな
り、石炭利用複合発電システムに利用できない除塵フィ
ルタとなってしまうのである。
【0028】(第2工程/チョップド単繊維含浸工程)
上記繊維成形体の除塵表面となる面の空孔内にセラミッ
クスのチョップド単繊維を含浸し、上記繊維成形体表面
の余分な樹脂を拭き取って除去する。このチョップド単
繊維はSiC繊維、Si34繊維、Al23繊維、Al
23・SiO2繊維、C繊維又は黒鉛繊維とし、これら
の繊維直径が0.5〜20μmの繊維を0.1〜5mm
の長さに切断処理した単繊維を用いるのが好ましい。繊
維径<0.5μmでは、繊維と繊維の交差により形成さ
れる除塵表面層の空隙率が小さくなり、フィルタの圧力
損失が増大し、逆に繊維径>20μmでは、第1工程で
形成された繊維成形体の空孔内へチョップド単繊維が含
浸しにくくなる。また、繊維長さ<0.1mmでは、繊
維と繊維の交差により形成される除塵表面層の空隙率が
小さくなり、フィルタの圧力損失が増大し、逆に繊維長
さ>5mmでは、第1工程で形成された繊維成形体の空
孔内へチョップド単繊維が含浸しにくくなるからであ
る。
【0029】このようなチョップド単繊維を繊維成形体
に含浸させるが、これは次のような方法を採ることがで
きる。 (a)分散剤等でチョップド単繊維をスラリ状にし、繊
維成形体表面に刷毛等で塗布、乾燥する。 (b)分散剤等でチョップド単繊維をスラリ状にし、こ
のスラリ中に繊維成形体を漬け、空孔に浸透させた後に
乾燥する。この場合は、除塵表面以外の部分に廻り込ま
ないように、例えば成形体が円筒形の場合には開口部に
蓋をする等の処置をして漬け込むようにすればよい。
【0030】スラリ原料並びに配合割合は次のようにし
ている。 (1)SiC、Si34繊維 繊維 =40重量%、 水 =59.7重量%、 ジエチルアミン=0.3% を混合し、ボールミルにより1時間混練する。 (2)Al23繊維 繊維 =70重量%、 水 =29.5重量%、 解膠剤(アクリル系オリゴマー酸型)=0.5% を混合し、ボールミルにより1時間混練する。 (3)C、黒鉛繊維 繊維 =60重量%、 エタノール =40重量%、 を混合し、ボールミルにより1時間混練する。
【0031】スラリの乾燥によって含浸されたチョップ
ド単繊維が飛散しないように、適当なバインダーを使用
することができる。あるいは、乾燥後に適当なバインダ
ーを塗布し、硬化させるようにしてもよい。このバイン
ダーとしては、例えば、エポキシ樹脂、ポリビニールア
ルコール樹脂のようなものを用いればよい。
【0032】上記チョップド単繊維の含浸深さは次のよ
うに設定する。 (チョップド単繊維平均径×10)<チョップド単繊維
含浸深さ<1mm チョップド単繊維平均径の10倍以下では大きな気孔が
残存し、除塵効率を低下させてしまい、1mm以上に含
浸させるとセラミックコーティングしたチョップド単繊
維層中に微細気孔が有って1mm以上では圧力損失が大
きくなり、石炭利用複合発電システムの除塵装置に適さ
なくなるからである。
【0033】(第3工程/炭化処理工程)繊維成形体の
除塵表面にチョップド単繊維を含浸させたフィルタ素材
の樹脂類を炭化(あるいは黒鉛化)して繊維結合処理を
行う。これは成形体を不活性ガス中において加熱処理
し、結合樹脂を炭化させることで行えばよい。このよう
にして得られる繊維成形体は、樹脂の炭化又は黒鉛化に
より生成した炭素又は黒鉛が繊維同志の接点を接合して
なる繊維成形体となる。
【0034】また、前記繊維成形体は表面にCVD法に
より炭素を析出させることにより、析出させた炭素で繊
維同志の接点を接合して製造することもできる。次工程
のCVDコーティングに到るまでのハンドリングに十分
に耐え、しかも空孔率の大きい多孔質繊維成形体を容易
に製造することができる。
【0035】(第4工程/CVDコーティング工程)上
述のチョップド単繊維凝集層が形成された繊維成形体に
対し、当該繊維成形体を構成している繊維表面に、所定
割合の空孔が残存するようにSiC、Si34、又はA
23CVDコーティング層を形成することにより、繊
維表面の耐熱強度が向上されるとともに繊維同志の結合
性が増したフィルタが製造される。
【0036】チョップド単繊維の表面コーティング層の
膜厚は 0.5μm<tm<5μm の範囲で蒸着させるのである。0.5μm以下では強
度、耐熱性、耐食性が弱く、5μm以上では空孔率が小
さくなり圧損が増大するからである。
【0037】(第5工程/ウィスカ含浸工程)本発明に
係るフィルタは、繊維成形体の表面にチョップド単繊維
凝集層を形成した後、更にそのチョップド単繊維凝集層
の除塵表面側の領域の空孔にセラミックスウィスカを含
浸して乾燥させるのである。このウィスカの材質として
は、SiC、Si34、Al23、C、又は黒鉛が好適
であり、この中から1種または2種以上のウィスカをス
ラリ化し、これをフィルタ除塵表面部に吹き付け法や刷
毛による塗布方法で、除塵表面にウィスカスラリ層を形
成し、表面に付着した余分のスラリを拭き取りや刷毛で
除去する。
【0038】セラミックスウィスカのスラリ化は次のよ
うにして行えばよい。 (1)SiC、Si34ウィスカ ウィスカ =40重量%、 水 =59.7重量%、 ジエチルアミン=0.3% を混合し、ボールミルにより1時間混練する。 (2)Al23ウィスカ ウィスカ =70重量%、 水 =29.5重量%、 解膠剤(アクリル系オリゴマー酸型)=0.5% を混合し、ボールミルにより1時間混練する。 (3)Cウィスカ ウィスカ =60重量%、 エタノール =40重量%、 を混合し、ボールミルにより1時間混練する。
【0039】このようにして得られたウィスカスラリ
は、フィルタ本体の除塵表面部の空孔内に含浸される。
含浸の程度としては、圧損増大の影響を回避するために
表層部分のみに含浸させればよいが、含浸の程度は、 (ウィスカ平均径×10)<(ウィスカ含浸深さ)<1
mm が望ましい。ウィスカ平均径の10倍以下では大きな気
孔が残存し易く、除塵効率が低下するからである。ま
た、セラミックスをコーティングしたウィスカ層には微
細な孔が開いているので、この層が厚くなり過ぎると圧
力損失が大きくなる。この層の厚さが1mm以上では、
石炭利用複合発電システムの除塵装置に要求される圧力
損失値を上回るので、上限は1mm未満であることが望
ましい。
【0040】ウィスカスラリの含浸後、水や有機溶媒が
沸騰しない温度、圧力条件で乾燥させ、セラミックスウ
ィスカのみを残留させればよい(バインダを使用する場
合はバインダ成分も残留させる)。これによって、フィ
ルタ本体の除塵表面層にセラミックスウィスカ凝集層が
形成され、この部分での空孔率は基体部分よりも低い
が、細かいダストの捕集が可能となる。
【0041】(第6工程/ウィスカCVDコーティング
工程)次いで、上記セラミックスウィスカ凝集層のウィ
スカ表面にSiC、Si34、又はAl23のCVDコ
ーティング層を形成するのである。これはウィスカ相互
の結合性を補強するためのもので、CVD処理により含
浸したウィスカ凝集体表面の平均膜厚tm、すなわち、
ウィスカ表面に被覆されたセラミックス膜の平均厚さ
が、 0.5μm<tm<5μm の範囲で蒸着させるのである。0.5μm以下では強
度、耐熱性、耐食性が弱く、5μm以上では空孔率が小
さくなり圧損が増大するからである。
【0042】このようなフィルタでは、繊維成形体を構
成する繊維、この繊維の接合のための炭素又は黒鉛、上
記CVDコーティング層及び空孔の体積合有率は、その
除塵効率、圧力損失、耐熱性、機械的特性、耐久性等の
面から、下記の範囲であることが好ましい。 繊維:1〜15% 炭素又は黒鉛:2〜20% CVDコーティング層:2〜15% 空孔:50〜95% すなわち、繊維<1%では、フィルタの強度が低くなり
すぎ、逆洗時のガスの風圧により損傷しやすくなる。ま
た、繊維>15%では、圧力損失の小さなフィルタとす
るためにCVDコーティング層を少なくする必要が生
じ、これによって繊維と繊維の結合力が低下し、逆洗の
圧力に耐えられなくなる。更に、炭素又は黒鉛<2%で
はCVDコーティング前のハンドリングに耐えられる結
合強度が得られず、炭素又は黒鉛>20%では、圧力損
失の小さなフィルタとするためにCVDコーティング層
を少なくする必要が生じ、これによって繊維と繊維の結
合力が低下し、逆洗の圧力に耐えられなくなるからであ
る。CVDコーティング層<2%では繊維と繊維の結合
力が弱く、逆洗時の風圧に耐えられない。また、CVD
コーティング層>20%では脆くなって熱衝撃に耐えら
れなくなる。加えて、空孔<50%では圧力損失が大と
なり、空孔>95%では強度が低下し、逆洗に耐えられ
ず、ウィスカ凝集層の形成が困難となり、凝集層が脱落
し、大きな空孔が残存するフィルタになりやすいからで
ある。
【0043】このようなフィルタ本体の形状としては特
に制限はないが、圧力損失を小さくし、かつ、フィルタ
の逆洗(堆積ダストの除去)時の圧力に対する耐久性を
高めるために、次の(A)〜(C)の形状とするのが好
ましい。 (A) 有底又は無底円筒形状 (B) 有底又は無底角筒形状 (C) 上記(A)又は(B)で長さ方向にテーパがつ
いたもの(一端側と他端側で横断面の大ささが異なるも
の)
【0044】なお、フィルタの肉厚tは、圧力損失、耐
逆洗圧力の面から、フィルタの半径Rに対して、√(R
/30)<t<15mmであることが好ましい。t<√
(R/30)では圧力損失は小さいものの逆洗圧力によ
り破損し易く、t>15mmでは耐逆洗圧力性は良好で
あるものの、圧力損失が大きくなるからである。
【0045】ここで、フィルタの半径Rとは、円筒形フ
ィルタ(A)ではその内半径(真円でない場合には平均
内半径)、角筒形フィルタ(B)では内壁の外接円半
径、テーパ付フィルタ(C)では上記(A)、(B)に
おける半径において、大きい方の半径をさす。
【0046】上記フィルタにおいて、繊維成形体を構成
する繊維材質(織布繊維、チョップド単繊維)、並びに
ウィスカと、CVDコーティング層の材質とは同一であ
っても異なっていても良いが、両者を同一材質とした場
合には、熱膨張差による応力の発生が防止され、より高
温での使用に有利である。
【0047】このように構成された本発明のフィルタ
は、ゴミ焼却炉の出口排ガスやボイラ出口排ガスのダス
ト除去、製鉄用高炉の炉頂圧タービン流入ガスのダスト
除去、高炉排ガスのダスト除去等に有効であるが、特に
高温、腐食性ガスの除塵とともに、ダスト濃度を大幅に
低減させる必要のある加圧流動層複合発電や石炭ガス化
複合発電などの石炭利用複合発電システムにおける高温
集塵に極めて有効に使用することができる。
【0048】なお、本発明のフィルタ製造工程は、
(1)第1工程/繊維成形工程→第3工程/炭化処理工
程→第4工程/CVDコーティング工程→第2工程/チ
ョップド単繊維含浸工程→第3工程/炭化処理工程→第
4工程/CVDコーティング工程→第5工程/ウィスカ
含浸工程→第6工程(ウィスカCVDコーティング工
程)の順位、(2)第1工程/繊維成形工程→第3工程
/炭化処理工程→第2工程/チョップド単繊維含浸工程
→第3工程/炭化処理工程→第4工程/CVDコーティ
ング工程→第5工程/ウィスカ含浸工程→第6工程(ウ
ィスカCVDコーティング工程)の順位、(3)第1工
程/繊維成形工程→第3工程/炭化処理工程→第4工程
/CVDコーティング工程→第2工程/チョップド単繊
維含浸工程→第3工程/炭化処理工程→第5工程/ウィ
スカ含浸工程→第4工程/CVDコーティング工程→第
6工程(ウィスカCVDコーティング工程)の順位、
(4)第1工程/繊維成形工程→第3工程/炭化処理工
程→第4工程/CVDコーティング工程→第2工程/チ
ョップド単繊維含浸工程→第5工程/ウィスカ含浸工程
→第3工程/炭化処理工程→第4工程/CVDコーティ
ング工程→第6工程(ウィスカCVDコーティング工
程)の順位、で行うこともできる。
【0049】このようにすることで、織布等により形成
されている繊維成形体の繊維炭化処理とCVDコーティ
ングにより基体強度が予め確保され、得られた繊維成形
体は、樹脂の炭化又は黒鉛化により生成した炭素又は黒
鉛が繊維同志の接点を接合した繊維成形体となる。この
結合強度が高い繊維成形体に対してチョップド単繊維が
含浸され、除塵表面に単繊維集合体の凝集層が形成さ
れ、更に最終的に行われるセラミックス表面蒸着により
単繊維同志の結合性を強化安定させることができるとと
もに、チョップド単繊維凝集層の表層部にウィスカ凝集
層が形成され、このウィスカ凝集体における微細な孔に
よる初期捕集をなす構成であるため、細かいダストの集
塵機能に優れている。
【0050】
【実施例】
(実施例1)長さ2mm、直径15μmのSiC繊維を
アセトン:フェノール樹脂:2:1(重量比)の混合液
中に分散させ、これを型に流し込んでオートクレーブ処
理により硬化させ、その後、窒素ガス雰囲気中にて90
0℃で加熱して樹脂を炭化させた。次いで、上記フィル
タ本体1に対して、除塵表面となる円筒1B及び底面部
1Cの外表面に、長さ0.5mm、直径8.5μmのS
iC単繊維をつぎの組成のスラリにして刷毛で塗布し、
フィルタ本体表面に付着した余分のスラリを拭き取った
のち、90℃の大気中で乾燥させた。含浸深さは0.9
mmであった。 繊維:水:ジエチルアミン=40:59.7:0.3
(重量比)
【0051】このようにして得られたSiC繊維成型体
の繊維表面にCVD法によりSiCコーティング層を形
成して、図1に示す断面形状及び寸法の、フランジ部1
A、円筒部1B、底面部lCよりなる円筒形フィルタ本
体1を製造した。得られたフィルタ本体の各構成要素の
体積含有率は次の通りである。 SiC繊維:7% 炭素:2% SiCコティング層:10% 空孔:81%
【0052】次いで、上記フィルタ本体に対して、除塵
表面となる円筒部1B及び底面部1Cの外面にSiCウ
ィスカのスラリを塗布した後、余分のスラリを拭き取り
除去し、これを乾燥加熱させた。ウィスカ含浸深さは
0.7mmであった。乾燥後に、CVD法によりウィス
カの表面に対してSiCコーティング層を形成して、セ
ラミックスコーティングウィスカ凝集層を形成した。こ
のとき、含浸したウィスカ表面に被覆されたセラミック
スの平均膜厚tmは2μmであった。
【0053】(比較例1)上記フィルタ本体、すなわ
ち、CVDコーティングの単繊維凝集層及びウィスカ凝
集層を形成しないフィルタと以下の除塵条件のもとで、
除塵効果の比較を行った。除塵条件 排ガス量:1200m3N/hr 排ガス温度:1000〜1050℃ ダスト種類:カーボン粒子(平均粒子径1μm) ダスト濃度:4g/m3N 濾過速度:3.9m/min(1025℃において) フィルタ本数:28本(濾過面積約5.1m2) 再生方法:パルスエア(タイマ制御:約3分間隔)
【0054】図2及び図3より、本発明のフィルタによ
れば、長期にわたり、小さい圧力損失にて、また、高い
補集効率にて安定に除塵処理できることが明らかであ
る。補集効率は、比較例1が96.5%以下であったの
に対し、実施例1のフィルタでは99.99%であっ
た。
【0055】(実施例2)直径11μmのSiC連続繊
維よりなる不織布を固形分6重量%のポリビニールアル
コール水溶液中に分散させ、これを型に流し込んで硬化
させ、次いで、この成形体に対して、除塵表面となる円
筒1B及び底面部1Cの外表面に、長さ1mm、直径
8.5μmのSiC単繊維をつぎの組成のスラリにして
刷毛で塗布し、フィルタ本体表面に付着した余分のスラ
リを拭き取ったのち、90℃の大気中で乾燥させた。含
浸深さは0.7mmであった。 繊維:水:ジエチルアミン=40:59.7:0.3
(重量比)
【0056】その後、窒素ガス雰囲気中にて900℃で
加熱して樹脂を炭化させた。このようにして得られたS
iC繊維成型体の繊維表面にCVD法によりSiCコー
ティング層を形成して、第1図に示す断面形状及び寸法
の、フランジ部1A、円筒部1B、底面部1Cよりなる
円筒形フィルタ本体1を製造した。得られたフィルタ本
体の各構成要素の体積含有率は次の通りである。 SiC繊維:12% 炭素:1.5% SiCコーティング層:6.5% 空孔:80%
【0057】次いで、上記フィルタ本体に対して、除塵
表面となる円筒部1B及び底面部1Cの外面にSiCウ
ィスカのスラリを塗布した後、余分のスラリを拭き取り
除去し、これを乾燥加熱させた。ウィスカ含浸深さは
0.5mmであった。乾燥後に、CVD法によりウィス
カの表面に対してSiCコーティング層を形成して、セ
ラミックスコーティングウィスカ凝集層を形成した。こ
のとき、含浸したウィスカ表面に被覆されたセラミック
スの平均膜厚tmは3.5μmであった。
【0058】(比較例2)上記フィルタ本体、すなわ
ち、CVDコーティングの単繊維凝集層及びウィスカ凝
集層を形成しないフィルタと以下の除塵条件のもとで、
除塵効果の比較を行った。除塵条件 排ガス量:1200m3N/hr 排ガス温度:1000〜1050℃ ダスト種類:カーボン粒子(平均粒子径1μm) ダスト濃度:4g/m3N 濾過速度:3.9m/min(1025℃において) フィルタ本数:28本(濾過面積約5.1m2) 再生方法:パルスエア(タイマ制御:約3分間隔)
【0059】図4及び図5より、本発明のフィルタによ
れば、長期にわたり、小さい圧力損失にて、また、高い
補集効率にて安定に除塵処理できることが明らかであ
る。補集効率は、比較例2が98%以下であったのに対
し、実施例2のフィルタでは99.99%であった。
【0060】(実施例3)実施例1と同様の方法により
製造した有底角筒形フィルタを使用して、外形寸法2.
2m×1.5m×1.0m高さで総濾過面積が17.4
2の除塵器を製造し、一般都市ゴミを焼却して発生し
た排ガスを下記除塵条件にて処理した。
【0061】(比較例3)上記フィルタ本体、すなわ
ち、CVDコーティングのウィスカ凝集層を形成しない
フィルタと下記の除塵条件のもとで、除塵効果の比較を
行った。除塵条件 排ガス量:970m3N/hr 排ガス温度:900℃ 除塵器入口ダスト濃度:7g/m3
【0062】本発明のフィルタによれば、比較例3と比
較して圧力損失はわずかに増大するが、長期にわたり高
い補集効率にて安定に除塵処理できることが明らかであ
る。1000時間稼働後の補集効率は99.99%であ
り、比較例3の1000時間稼働後の補集効率99.5
%と比較して、長期にわたり高効率で安定して除塵処理
できることが明らかである。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、アルミナ・シリカ及び
炭素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の繊維の
織布の層又はチョップドヤーンの集合層により形成され
る繊維成形体の表層部に炭化珪素、窒化珪素、アルミ
ナ、アルミナ・シリカ、炭素及び黒鉛よりなる群から選
ばれる1種又は2種以上のチョップド単繊維を含浸させ
て形成される単繊維凝集層を設け、繊維表面には炭化珪
素、窒化珪素、アルミナ及び炭素よりなる群から選ばれ
る1種又は2種以上のコーティング層を気相蒸着させた
CVDコーティング層を形成し、更にこのチョップド単
繊維凝集層の除塵表面側にウィスカ凝集層を形成し、こ
のウィスカ表面にも炭化珪素、窒化珪素、アルミナ及び
炭素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のコーテ
ィング層を気相蒸着させたCVDコーティング層を形成
するようにしてあるので、耐熱性、高温での耐腐食性、
耐久性に優れるとともに、圧力損失の上昇を抑制しつ
つ、除塵表面部におけるウィスカ凝集層、チョップド単
繊維凝集層の微細な孔による。細かいダストの捕集と、
これに続く内部のCVD処理された繊維成形体による捕
集作用によって捕集効率が大幅に向上され、かつ小型薄
肉化が可能で、石炭利用複合発電システム等で要求され
る高効率ダスト捕集処理に有効な高精度フィルタが提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のフィルタ断面図及び部分拡大図であ
る。
【図2】実施例1と比較例1の圧力損失の経時的変化を
求めた除塵試験結果を示すグラフである。
【図3】実施例1と比較例1の粉塵捕集効率の経時的変
化を求めた除塵試験結果を示すグラフである。
【図4】実施例2と比較例2の圧力損失の経時的変化を
求めた除塵試験結果を示すグラフである。
【図5】実施例2と比較例2の粉塵捕集効率の経時的変
化を求めた除塵試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 円筒形フィルタ本体 1A フランジ部 1B 円筒部 1C 底面部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、アルミ
    ナ・シリカ及び炭素よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の繊維の織布層又はチョップドヤーンの集合層と
    して構成される繊維成形体と、 この繊維成形体の除塵表面空孔内に形成され、炭化珪
    素、窒化珪素、アルミナ、アルミナ・シリカ、炭素及び
    黒鉛よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のチョッ
    プド単繊維から構成される単繊維凝集層と、 このチョップド単繊維凝集層の除塵表面側に形成され、
    炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、炭素及び黒炭よりなる
    群から選ばれる1種又は2種以上のウィスカ凝集層と、
    から形成され、 前記繊維成形体、チョップド単繊維凝集層、及びウィス
    カ凝集層の繊維・ウィスカ表面には炭化珪素、窒化珪
    素、及びアルミナよりなる群から選ばれる1種又は2種
    以上の気相蒸着コーティング層を形成してなることを特
    徴とするフィルタ。
  2. 【請求項2】 炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、アルミ
    ナ・シリカ及び炭素よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の繊維の織布の層又はチョップドヤーンの集合層
    に対して樹脂類の含浸により繊維成形体を形成してお
    き、 前記繊維成形体の除塵表面空孔内に、炭化珪素、窒化珪
    素、アルミナ、アルミナ・シリカ、炭素及び黒鉛よりな
    る群から選ばれる1種又は2種以上のチョップド単繊維
    を分散剤によりスラリ状にして含浸乾燥させ、 前記スラリの乾燥後に樹脂類の炭化処理をなし、 チョップド単繊維凝集層が形成された繊維成形体の繊維
    表面に炭化珪素、窒化珪素、及びアルミナよりなる群か
    ら選ばれる1種又は2種以上のコーティング層を気相蒸
    着させ、 前記チョップド単繊維凝集層の除塵表面に炭化珪素、窒
    化珪素、アルミナ、炭素及び黒鉛よりなる群から選ばれ
    る1種又は2種以上のウィスカスラリを含浸乾燥させ、 これにより形成されたウィスカ凝集層のウィスカ表面に
    炭化珪素、窒化珪素及びアルミナよりなる群から選ばれ
    る1種又は2種以上のコーティング層を気相蒸着させる
    ことを特徴とするフィルタ製造方法。
  3. 【請求項3】 炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、アルミ
    ナ・シリカ及び炭素よりなる群から選ばれる1種又は2
    種以上の繊維の織布の層又はチョップドヤーンの集合層
    として構成される繊維成形体を形成しておき、 前記繊維成形体の樹脂類の炭化処理をなし、 この繊維成形体の繊維表面に炭化珪素、窒化珪素、及び
    アルミナよりなる群から選ばれる1種又は2種以上のコ
    ーティング層を気相蒸着させ、 前記繊維成形体の除塵表面空孔内に、炭化珪素、窒化珪
    素、アルミナ、アルミナ・シリカ、炭素及び黒鉛よりな
    る群から選ばれる1種又は2種以上のチョップド単繊維
    を分散剤によりスラリ状にして含浸させ、 前記単繊維凝集層の樹脂類の炭化処理をなし、 この単繊維凝集層の繊維表面に炭化珪素、窒化珪素、及
    びアルミナよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の
    コーティング層を気相蒸着させ、 前記チョップド単繊維凝集層の除塵表面に炭化珪素、窒
    化珪素、アルミナ、炭素及び黒鉛よりなる群から選ばれ
    る1種又は2種以上のウィスカスラリを含浸乾燥させ、 これにより形成されたウィスカ凝集層のウィスカ表面に
    炭化珪素、窒化珪素及びアルミナよりなる群から選ばれ
    る1種又は2種以上のコーティング層を気相蒸着させる
    ことを特徴とするフィルタの製造方法。
JP16234696A 1996-06-03 1996-06-03 フィルタ及びその製造方法 Withdrawn JPH09313841A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111099919A (zh) * 2020-01-14 2020-05-05 中国人民解放军国防科技大学 一种具有多级孔结构的氮化硅陶瓷及其制备方法

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