JPH09313195A - S−フェニル−l−システインの製造法 - Google Patents
S−フェニル−l−システインの製造法Info
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- JPH09313195A JPH09313195A JP13842396A JP13842396A JPH09313195A JP H09313195 A JPH09313195 A JP H09313195A JP 13842396 A JP13842396 A JP 13842396A JP 13842396 A JP13842396 A JP 13842396A JP H09313195 A JPH09313195 A JP H09313195A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 酵素反応で合成して得られるS−フェニル−
L−システイン溶液からS−フェニル−L−システイン
を高純度に精製する。 【解決手段】 酵素反応によって得られるS−フェニル
−L−システイン溶液から、S−フェニル−L−システ
インを製造する際、(1)酵素反応終了液のpHを1.
5以下の強酸性にして、反応液中に析出した結晶を溶解
させる工程、(2)結晶を強酸性で溶解した溶液に活性
炭を添加して、空気あるいは酸素を通気しながら20〜
60℃に保つ工程、(3)活性炭を添加した溶液から、
活性炭および不溶物を分離除去する工程、(4)活性炭
濾過濾液にアルカリを添加してpHを2.5〜6.0に
調整し、S−フェニル−L−システインを析出させ、結
晶を分離する工程からなる製造法。
L−システイン溶液からS−フェニル−L−システイン
を高純度に精製する。 【解決手段】 酵素反応によって得られるS−フェニル
−L−システイン溶液から、S−フェニル−L−システ
インを製造する際、(1)酵素反応終了液のpHを1.
5以下の強酸性にして、反応液中に析出した結晶を溶解
させる工程、(2)結晶を強酸性で溶解した溶液に活性
炭を添加して、空気あるいは酸素を通気しながら20〜
60℃に保つ工程、(3)活性炭を添加した溶液から、
活性炭および不溶物を分離除去する工程、(4)活性炭
濾過濾液にアルカリを添加してpHを2.5〜6.0に
調整し、S−フェニル−L−システインを析出させ、結
晶を分離する工程からなる製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はS−フェニル−L−
システインの製造法に関し、詳しくは、酵素反応によっ
て得られるS−フェニル−L−システイン溶液から、S
−フェニル−L−システインを高純度で製造する方法に
関する。
システインの製造法に関し、詳しくは、酵素反応によっ
て得られるS−フェニル−L−システイン溶液から、S
−フェニル−L−システインを高純度で製造する方法に
関する。
【0002】S−置換システイン誘導体は、医薬、農薬
の中間体としての用途が期待され、その合成法も検討さ
れているが、工業化された例はなく、安価な製造法が望
まれている。
の中間体としての用途が期待され、その合成法も検討さ
れているが、工業化された例はなく、安価な製造法が望
まれている。
【0003】中でも、S−フェニル−L−システイン
は、アスパラテックプロテアーゼのペプチドアイソスタ
ーの構成要素のアミノ酸として、最近、抗エイズ薬であ
るHIVプロテアーゼ・インヒビターの部分構造として
の用途が見い出され、その安価で純度の高い製造法が望
まれている。
は、アスパラテックプロテアーゼのペプチドアイソスタ
ーの構成要素のアミノ酸として、最近、抗エイズ薬であ
るHIVプロテアーゼ・インヒビターの部分構造として
の用途が見い出され、その安価で純度の高い製造法が望
まれている。
【0004】
【従来の技術】S−フェニル−L−システインは、酵素
反応によって合成できることが知られている。
反応によって合成できることが知られている。
【0005】例えば、S−フェニル−L−システイン
は、トリプトファンシンターゼまたはシステインデスル
フヒドラーゼまたはメチオニン−γ−リアーゼ(メチオ
ニナーゼ)の触媒する酵素反応によってチオフェノール
と一般式[1]
は、トリプトファンシンターゼまたはシステインデスル
フヒドラーゼまたはメチオニン−γ−リアーゼ(メチオ
ニナーゼ)の触媒する酵素反応によってチオフェノール
と一般式[1]
【0006】
【化2】 (式中、Xは−OR基または−SR基またはハロゲン原
子を示す。なお、−OR基、−SR基のRは水素原子、
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基を示
す。)で表されるβ−置換−L−アラニンとから合成で
きることが知られている(特公平2−054077号公
報、特公昭57−21312号公報、特公昭58−13
154号公報、特公昭58−13155号公報、特開昭
51−151391号公報)。
子を示す。なお、−OR基、−SR基のRは水素原子、
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基を示
す。)で表されるβ−置換−L−アラニンとから合成で
きることが知られている(特公平2−054077号公
報、特公昭57−21312号公報、特公昭58−13
154号公報、特公昭58−13155号公報、特開昭
51−151391号公報)。
【0007】またS−フェニル−L−システインは、シ
ステインデスルフヒドラーゼの触媒する酵素反応によっ
て(1)ピルビン酸、オキサロ酢酸、乳酸、フマル酸ま
たはそれらの塩(2)アンモニアまたはアンモニウム塩
(3)チオフェノール、の3つの原料から合成すること
もできる(特公昭56−24515号公報、特公昭57
−1991号公報)。
ステインデスルフヒドラーゼの触媒する酵素反応によっ
て(1)ピルビン酸、オキサロ酢酸、乳酸、フマル酸ま
たはそれらの塩(2)アンモニアまたはアンモニウム塩
(3)チオフェノール、の3つの原料から合成すること
もできる(特公昭56−24515号公報、特公昭57
−1991号公報)。
【0008】しかし、このような酵素反応による方法で
合成して得られるS−フェニル−L−システイン溶液か
らS−フェニル−L−システインを高純度に精製する方
法は知られていない。
合成して得られるS−フェニル−L−システイン溶液か
らS−フェニル−L−システインを高純度に精製する方
法は知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、酵素反
応で合成して得られるS−フェニル−L−システイン溶
液からS−フェニル−L−システインを高純度に精製す
る技術は確立されていないのが現状である。
応で合成して得られるS−フェニル−L−システイン溶
液からS−フェニル−L−システインを高純度に精製す
る技術は確立されていないのが現状である。
【0010】本発明の目的は、酵素反応で合成して得ら
れるS−フェニル−L−システイン溶液から高純度のS
−フェニル−L−システインの製造が可能な方法を提供
することである。
れるS−フェニル−L−システイン溶液から高純度のS
−フェニル−L−システインの製造が可能な方法を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酵素反応
によって得られるS−フェニル−L−システイン溶液か
ら、S−フェニル−L−システインを製造する際、
(1)S−フェニル−L−システインの生成した酵素反
応終了液を強酸性にして、反応液中に析出したS−フェ
ニル−L−システイン結晶を溶解させ、次に(2)活性
炭を添加して特定の温度に保ちながら、空気あるいは酸
素を通気した後、(3)活性炭および不溶物を分離除去
し、(4)活性炭濾過濾液にアルカリを添加してS−フ
ェニル−L−システインを析出させ、結晶を分離するこ
とにより、高純度のS−フェニル−L−システイン結晶
が得られることを見出し、発明を完成するに至った。
によって得られるS−フェニル−L−システイン溶液か
ら、S−フェニル−L−システインを製造する際、
(1)S−フェニル−L−システインの生成した酵素反
応終了液を強酸性にして、反応液中に析出したS−フェ
ニル−L−システイン結晶を溶解させ、次に(2)活性
炭を添加して特定の温度に保ちながら、空気あるいは酸
素を通気した後、(3)活性炭および不溶物を分離除去
し、(4)活性炭濾過濾液にアルカリを添加してS−フ
ェニル−L−システインを析出させ、結晶を分離するこ
とにより、高純度のS−フェニル−L−システイン結晶
が得られることを見出し、発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、酵素反応によって得
られるS−フェニル−L−システイン溶液から、S−フ
ェニル−L−システインを製造する際、製造工程が以下
の工程からなることを特徴とするS−フェニル−L−シ
ステインの製造法である。 (1)S−フェニル−L−システインの生成した酵素反
応終了液のpHを1.5以下の強酸性にして、反応液中
に析出したS−フェニル−L−システイン結晶を溶解さ
せる工程、(2)反応液中に析出したS−フェニル−L
−システイン結晶を強酸性で溶解した溶液に活性炭を添
加して、空気あるいは酸素を通気しながら20〜60℃
に保つ工程、(3)活性炭を添加した溶液から、活性炭
および不溶物を分離除去する工程、(4)活性炭濾過濾
液にアルカリを添加してpHを2.5〜6.0に調整
し、S−フェニル−L−システインを析出させ、結晶を
分離する工程。
られるS−フェニル−L−システイン溶液から、S−フ
ェニル−L−システインを製造する際、製造工程が以下
の工程からなることを特徴とするS−フェニル−L−シ
ステインの製造法である。 (1)S−フェニル−L−システインの生成した酵素反
応終了液のpHを1.5以下の強酸性にして、反応液中
に析出したS−フェニル−L−システイン結晶を溶解さ
せる工程、(2)反応液中に析出したS−フェニル−L
−システイン結晶を強酸性で溶解した溶液に活性炭を添
加して、空気あるいは酸素を通気しながら20〜60℃
に保つ工程、(3)活性炭を添加した溶液から、活性炭
および不溶物を分離除去する工程、(4)活性炭濾過濾
液にアルカリを添加してpHを2.5〜6.0に調整
し、S−フェニル−L−システインを析出させ、結晶を
分離する工程。
【0013】チオフェノールを原料として、酵素反応に
よってS−フェニル−L−システインを合成して得られ
る反応液からS−フェニル−L−システインを精製する
には、まず第一に酵素または微生物細胞あるいは微生物
細胞由来成分を除去する必要がある。
よってS−フェニル−L−システインを合成して得られ
る反応液からS−フェニル−L−システインを精製する
には、まず第一に酵素または微生物細胞あるいは微生物
細胞由来成分を除去する必要がある。
【0014】酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞
由来成分を除去するためには、例えば活性炭吸着処理を
行うが、高温で処理するとS−フェニル−L−システイ
ンのラセミ化が生じるという問題がある。
由来成分を除去するためには、例えば活性炭吸着処理を
行うが、高温で処理するとS−フェニル−L−システイ
ンのラセミ化が生じるという問題がある。
【0015】また、通常、反応液には未反応のチオフェ
ノールが残存するが、チオフェノールを除去せずにS−
フェニル−L−システインの精製を進めると、チオフェ
ノールあるいはその酸化物が不純物となるので、未反応
チオフェノールを何らかの方法で除去することが必要で
ある。
ノールが残存するが、チオフェノールを除去せずにS−
フェニル−L−システインの精製を進めると、チオフェ
ノールあるいはその酸化物が不純物となるので、未反応
チオフェノールを何らかの方法で除去することが必要で
ある。
【0016】未反応チオフェノールを充分に活性炭吸着
により除去しようとすれば活性炭添加量を充分に行えば
よいが、S−フェニル−L−システインも活性炭に吸着
されることからS−フェニル−L−システインの収率が
悪くなる。酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞由
来成分を除去するに充分な活性炭量で、活性炭へのS−
フェニル−L−システイン吸着ロスが許容される程度の
活性炭量では、チオフェノールの除去は活性炭処理だけ
では不充分である。
により除去しようとすれば活性炭添加量を充分に行えば
よいが、S−フェニル−L−システインも活性炭に吸着
されることからS−フェニル−L−システインの収率が
悪くなる。酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞由
来成分を除去するに充分な活性炭量で、活性炭へのS−
フェニル−L−システイン吸着ロスが許容される程度の
活性炭量では、チオフェノールの除去は活性炭処理だけ
では不充分である。
【0017】本発明の特徴は、酵素反応で得られたS−
フェニル−L−システイン溶液に活性炭を添加して、空
気あるいは酸素を通気しながら20〜60℃に保つと、
酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞由来成分およ
び未反応のチオフェノールを吸着させると同時に、活性
炭に吸着されない一部のチオフェノールを酸化して不溶
化することができ、活性炭を添加した溶液から、活性炭
と、不溶化したチオフェノール酸化物を濾過などの方法
により除去すれば、S−フェニル−L−システインのラ
セミ化を起こすことなく、酵素または微生物細胞あるい
は微生物細胞由来成分を除去すると同時に未反応のチオ
フェノールも除去することができ、そのような処理を行
ったS−フェニル−L−システイン溶液に、適当なアル
カリを添加してpHを2.5〜6.0に調整し、S−フ
ェニル−L−システインを析出させれば、高度にS−フ
ェニル−L−システインを精製できることである。
フェニル−L−システイン溶液に活性炭を添加して、空
気あるいは酸素を通気しながら20〜60℃に保つと、
酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞由来成分およ
び未反応のチオフェノールを吸着させると同時に、活性
炭に吸着されない一部のチオフェノールを酸化して不溶
化することができ、活性炭を添加した溶液から、活性炭
と、不溶化したチオフェノール酸化物を濾過などの方法
により除去すれば、S−フェニル−L−システインのラ
セミ化を起こすことなく、酵素または微生物細胞あるい
は微生物細胞由来成分を除去すると同時に未反応のチオ
フェノールも除去することができ、そのような処理を行
ったS−フェニル−L−システイン溶液に、適当なアル
カリを添加してpHを2.5〜6.0に調整し、S−フ
ェニル−L−システインを析出させれば、高度にS−フ
ェニル−L−システインを精製できることである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明方法に用いられるS−フェ
ニル−L−システイン溶液は酵素反応によって得られる
ものであればよい。
ニル−L−システイン溶液は酵素反応によって得られる
ものであればよい。
【0019】酵素反応としては、トリプトファンシンタ
ーゼまたはシステインデスルフヒドラーゼまたはメチオ
ニン−γ−リアーゼによってチオフェノールと一般式
[1]
ーゼまたはシステインデスルフヒドラーゼまたはメチオ
ニン−γ−リアーゼによってチオフェノールと一般式
[1]
【化3】 (式中、Xは−OR基または−SR基またはハロゲン原
子を示す。なお、−OR基、−SR基のRは水素原子、
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基を示
す。)で表されるβ−置換−L−アラニンとからS−フ
ェニル−L−システインを合成する反応が利用できる。
子を示す。なお、−OR基、−SR基のRは水素原子、
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基を示
す。)で表されるβ−置換−L−アラニンとからS−フ
ェニル−L−システインを合成する反応が利用できる。
【0020】β−置換−L−アラニンとしては、L−セ
リン、L−システイン、β−クロロ−L−アラニンが好
ましいが、S−メチル−L−システイン、S−エチル−
L−システイン等のS−アルキル−L−システイン、S
−ベンジル−L−システインなどのS−アラルキル−L
−システイン、O−メチル−L−セリン、O−エチル−
L−セリン等のO−アルキル−L−セリン、O−フェニ
ル−L−セリン等のO−アリール−L−セリン、O−ベ
ンジル−L−セリン等のO−アラルキル−L−セリン、
β−ブロモ−L−アラニン、β−ヨード−L−アラニン
等も用いることが可能である。
リン、L−システイン、β−クロロ−L−アラニンが好
ましいが、S−メチル−L−システイン、S−エチル−
L−システイン等のS−アルキル−L−システイン、S
−ベンジル−L−システインなどのS−アラルキル−L
−システイン、O−メチル−L−セリン、O−エチル−
L−セリン等のO−アルキル−L−セリン、O−フェニ
ル−L−セリン等のO−アリール−L−セリン、O−ベ
ンジル−L−セリン等のO−アラルキル−L−セリン、
β−ブロモ−L−アラニン、β−ヨード−L−アラニン
等も用いることが可能である。
【0021】また、酵素反応としては、システインデス
ルフヒドラーゼによって(1)チオフェノール(2)ピ
ルビン酸、オキサロ酢酸、乳酸、フマル酸またはそれら
の塩(3)アンモニアまたはアンモニウム塩、の3つの
原料から S−フェニル−L−システインを合成する反
応も利用できる。
ルフヒドラーゼによって(1)チオフェノール(2)ピ
ルビン酸、オキサロ酢酸、乳酸、フマル酸またはそれら
の塩(3)アンモニアまたはアンモニウム塩、の3つの
原料から S−フェニル−L−システインを合成する反
応も利用できる。
【0022】ピルビン酸、オキサロ酢酸、乳酸、フマル
酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等
のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が挙げられる。
(3)のアンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、
塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、(2)の有機酸
のアンモニウム塩等が挙げられるが、反応系中でアンモ
ニアを生成するものであればいずれでもよい。
酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等
のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が挙げられる。
(3)のアンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、
塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、(2)の有機酸
のアンモニウム塩等が挙げられるが、反応系中でアンモ
ニアを生成するものであればいずれでもよい。
【0023】トリプトファンシンターゼ、システインデ
スルフヒドラーゼ、メチオニン−γ−リアーゼの生産菌
としては、エシェリヒア・コリなど原核細胞の微生物あ
るいは該酵素の生産性を高めたDNA組み替え技術の応
用により創成された形質転換微生物が用いられる。ま
た、カビなど真核細胞の微生物でもよく、それら真核細
胞微生物の該酵素の生産性を高めるためDNA組み替え
技術の応用により創成された形質転換微生物であっても
良い。
スルフヒドラーゼ、メチオニン−γ−リアーゼの生産菌
としては、エシェリヒア・コリなど原核細胞の微生物あ
るいは該酵素の生産性を高めたDNA組み替え技術の応
用により創成された形質転換微生物が用いられる。ま
た、カビなど真核細胞の微生物でもよく、それら真核細
胞微生物の該酵素の生産性を高めるためDNA組み替え
技術の応用により創成された形質転換微生物であっても
良い。
【0024】本発明に使用されるトリプトファンシンタ
ーゼ、システインデスルフヒドラーゼ、メチオニン−γ
−リアーゼは、必ずしも純粋である必要はない。すなわ
ち、各酵素生産菌の培養物、培養物から遠心分離などの
方法によって採取した生菌体、その乾燥菌体、あるいは
菌体を破砕、自己消化、超音波処理などによって得られ
た菌体処理物、さらにはこれらの菌体よりの抽出物なら
びに該抽出物より得られる酵素の粗精製物であっても利
用可能である。
ーゼ、システインデスルフヒドラーゼ、メチオニン−γ
−リアーゼは、必ずしも純粋である必要はない。すなわ
ち、各酵素生産菌の培養物、培養物から遠心分離などの
方法によって採取した生菌体、その乾燥菌体、あるいは
菌体を破砕、自己消化、超音波処理などによって得られ
た菌体処理物、さらにはこれらの菌体よりの抽出物なら
びに該抽出物より得られる酵素の粗精製物であっても利
用可能である。
【0025】S−フェニル−L−システインを酵素反応
で合成すると、S−フェニル−L−システインは水に対
する溶解度が低いため、通常、酵素反応の進行にともな
い、S−フェニル−L−システインが反応液中で結晶と
なって析出する。
で合成すると、S−フェニル−L−システインは水に対
する溶解度が低いため、通常、酵素反応の進行にともな
い、S−フェニル−L−システインが反応液中で結晶と
なって析出する。
【0026】酵素反応の終了した反応液からS−フェニ
ル−L−システインを精製するには、反応液のpHを塩
酸または硫酸などの適当な酸によって酸性に調整し、反
応液中に析出した結晶を溶解させた後、活性炭吸着処理
などにより微生物細胞もしくは酵素と未反応のチオフェ
ノールを除去し、その後、適当なアルカリで中和すれ
ば、S−フェニル−L−システインの結晶が析出するの
で、濾過等の手段で容易に単離できる。
ル−L−システインを精製するには、反応液のpHを塩
酸または硫酸などの適当な酸によって酸性に調整し、反
応液中に析出した結晶を溶解させた後、活性炭吸着処理
などにより微生物細胞もしくは酵素と未反応のチオフェ
ノールを除去し、その後、適当なアルカリで中和すれ
ば、S−フェニル−L−システインの結晶が析出するの
で、濾過等の手段で容易に単離できる。
【0027】反応終了液を酸性にしてS−フェニル−L
−システイン結晶を溶解させる場合、pHは1.5以下
に調整することが好ましい。S−フェニル−L−システ
インは、水溶液のpHが1.5以下でないと1重量%以
上の濃度で溶解させることができず、容積効率が悪くな
る。
−システイン結晶を溶解させる場合、pHは1.5以下
に調整することが好ましい。S−フェニル−L−システ
インは、水溶液のpHが1.5以下でないと1重量%以
上の濃度で溶解させることができず、容積効率が悪くな
る。
【0028】反応液中に析出したS−フェニル−L−シ
ステイン結晶を強酸性で溶解した後、酵素または微生物
細胞あるいは微生物細胞由来成分と未反応チオフェノー
ルを除去するためには、例えば活性炭吸着処理を行う
が、この場合は、S−フェニル−L−システインを強酸
性で溶解させた溶液に活性炭を添加して20〜60℃に
加熱し、酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞由来
成分と未反応チオフェノールを活性炭に吸着させて濾過
等の手段で固液を分離すれば、S−フェニル−L−シス
テイン溶液から、酵素または微生物細胞あるいは微生物
細胞由来成分および未反応のチオフェノールを除去でき
る。
ステイン結晶を強酸性で溶解した後、酵素または微生物
細胞あるいは微生物細胞由来成分と未反応チオフェノー
ルを除去するためには、例えば活性炭吸着処理を行う
が、この場合は、S−フェニル−L−システインを強酸
性で溶解させた溶液に活性炭を添加して20〜60℃に
加熱し、酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞由来
成分と未反応チオフェノールを活性炭に吸着させて濾過
等の手段で固液を分離すれば、S−フェニル−L−シス
テイン溶液から、酵素または微生物細胞あるいは微生物
細胞由来成分および未反応のチオフェノールを除去でき
る。
【0029】活性炭としては、PM−SX、PM−P
A、PM−KI、PM−KS、PM−AA(以上、三井
製薬製)、WPH、PCB−G、ADP(以上、東洋カ
ルゴン製)、白鷺A、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン
(以上、武田薬品工業製)、太閤Sタイプ、太閤Kタイ
プ(以上、二村化学製)などを挙げることができる。
A、PM−KI、PM−KS、PM−AA(以上、三井
製薬製)、WPH、PCB−G、ADP(以上、東洋カ
ルゴン製)、白鷺A、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン
(以上、武田薬品工業製)、太閤Sタイプ、太閤Kタイ
プ(以上、二村化学製)などを挙げることができる。
【0030】活性炭の添加量は、通常、溶液の質量に対
して0.5〜6%の量を添加するが、酵素反応に用いた
酵素または微生物細胞の量および未反応チオフェノール
の量によって、活性炭の添加量は変更し得るが、活性炭
量は溶液中のS−フェニル−L−システイン含有量(質
量)の3倍量を超えない範囲で添加する事が好ましい。
溶液中のS−フェニル−L−システイン含有量(質量)
の3倍量を超える量の活性炭を添加すると、活性炭によ
るS−フェニル−L−システインの吸着ロスが著しく大
きくなる。
して0.5〜6%の量を添加するが、酵素反応に用いた
酵素または微生物細胞の量および未反応チオフェノール
の量によって、活性炭の添加量は変更し得るが、活性炭
量は溶液中のS−フェニル−L−システイン含有量(質
量)の3倍量を超えない範囲で添加する事が好ましい。
溶液中のS−フェニル−L−システイン含有量(質量)
の3倍量を超える量の活性炭を添加すると、活性炭によ
るS−フェニル−L−システインの吸着ロスが著しく大
きくなる。
【0031】酵素反応液中に析出したS−フェニル−L
−システイン結晶を強酸性で溶解した溶液中には、未反
応のチオフェノールが残存するが、未反応チオフェノー
ルの一部は活性炭処理の際、活性炭に吸着されるが、充
分には吸着除去されない。しかしながら、活性炭処理を
行う際、同時に、20〜60℃に保ちながら、溶液に空
気あるいは酸素を通気すると、残存する未反応チオフェ
ノールを除去することが可能である。活性炭未吸着のチ
オフェノールは酸化され、不溶性の固体となって濾過除
去される。20℃よりも低い温度での通気処理は、チオ
フェノールを酸化するには効果が少なく望ましくない。
空気あるいは酸素の通気は、溶液1lに対し0.01〜
60l/hの流量で0.5時間〜20時間で十分であ
る。
−システイン結晶を強酸性で溶解した溶液中には、未反
応のチオフェノールが残存するが、未反応チオフェノー
ルの一部は活性炭処理の際、活性炭に吸着されるが、充
分には吸着除去されない。しかしながら、活性炭処理を
行う際、同時に、20〜60℃に保ちながら、溶液に空
気あるいは酸素を通気すると、残存する未反応チオフェ
ノールを除去することが可能である。活性炭未吸着のチ
オフェノールは酸化され、不溶性の固体となって濾過除
去される。20℃よりも低い温度での通気処理は、チオ
フェノールを酸化するには効果が少なく望ましくない。
空気あるいは酸素の通気は、溶液1lに対し0.01〜
60l/hの流量で0.5時間〜20時間で十分であ
る。
【0032】このように活性炭存在下に酸性溶液に通気
を行うことによりチオフェノールの酸化による不溶化を
促進し、活性炭吸着処理に用いる活性炭の量を削減出
来、S−フェニル−L−システインの活性炭への吸着ロ
スを低減できる。
を行うことによりチオフェノールの酸化による不溶化を
促進し、活性炭吸着処理に用いる活性炭の量を削減出
来、S−フェニル−L−システインの活性炭への吸着ロ
スを低減できる。
【0033】また活性炭処理を行う際の温度は、60℃
を超えるとS−フェニル−L−システインのラセミ化が
顕著になるので、活性炭処理は20〜60℃で行うこと
が望ましい。特に、活性炭存在下での加熱によってラセ
ミ化が促進されるので、加熱下での活性炭との接触時間
は不必要に長くしないことが必要である。以上の理由か
ら活性炭との接触時間は12時間以内が好ましい。
を超えるとS−フェニル−L−システインのラセミ化が
顕著になるので、活性炭処理は20〜60℃で行うこと
が望ましい。特に、活性炭存在下での加熱によってラセ
ミ化が促進されるので、加熱下での活性炭との接触時間
は不必要に長くしないことが必要である。以上の理由か
ら活性炭との接触時間は12時間以内が好ましい。
【0034】酵素または微生物細胞あるいは微生物細胞
由来成分と、未反応チオフェノールが除去されたS−フ
ェニル−L−システインの酸性溶液から、S−フェニル
−L−システインを結晶として得るためには、適当なア
ルカリを加えて中和晶析を行えばよい。
由来成分と、未反応チオフェノールが除去されたS−フ
ェニル−L−システインの酸性溶液から、S−フェニル
−L−システインを結晶として得るためには、適当なア
ルカリを加えて中和晶析を行えばよい。
【0035】中和晶析を行う際、pHは2.5〜6に調
整すると、純白の結晶が得られる。pH6を超えるpH
で晶析を行うと結晶の色が灰色から黄色味がかったもの
となる。
整すると、純白の結晶が得られる。pH6を超えるpH
で晶析を行うと結晶の色が灰色から黄色味がかったもの
となる。
【0036】中和に用いるアルカリとしては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニ
ア、炭酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン
酸カリウムなどが使用可能である。
トリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニ
ア、炭酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン
酸カリウムなどが使用可能である。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。なお、S−フェニル−L−システインの定量は高
速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略する)に
よって行った。S−フェニル−L−システインのHPLC分析条件 カラム;Inertsil ODS−2 (GL サイ
エンス製) 移動相;8.6mM KH2PO4(pH4リン酸で調
整):MeOH= 7 : 3 温度 ;40℃ 流速 ;1.0ml/min 検出 ;UV 254nm
する。なお、S−フェニル−L−システインの定量は高
速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略する)に
よって行った。S−フェニル−L−システインのHPLC分析条件 カラム;Inertsil ODS−2 (GL サイ
エンス製) 移動相;8.6mM KH2PO4(pH4リン酸で調
整):MeOH= 7 : 3 温度 ;40℃ 流速 ;1.0ml/min 検出 ;UV 254nm
【0038】実験例1 S−フェニル−L−システイン4.5gを3%塩酸10
0mlに溶解したS−フェニル−L−システインの酸性
溶液に活性炭PMSX(三井製薬製)を濃度1.7%に
なるように添加し、50℃、70℃、80℃の各温度で
それぞれ20時間加熱した。また、活性炭を加えずに8
0℃で20時間、同様に加熱した。適時、溶液の一部を
サンプリングし、S−フェニル−L−システインの光学
純度を測定した。光学純度の経時変化を図1に示した。
0mlに溶解したS−フェニル−L−システインの酸性
溶液に活性炭PMSX(三井製薬製)を濃度1.7%に
なるように添加し、50℃、70℃、80℃の各温度で
それぞれ20時間加熱した。また、活性炭を加えずに8
0℃で20時間、同様に加熱した。適時、溶液の一部を
サンプリングし、S−フェニル−L−システインの光学
純度を測定した。光学純度の経時変化を図1に示した。
【0039】S−フェニル−L−システインの光学純度
分析法 光学分割クロマトグラフィー用カラム TSKgel
Enantio L1(東ソー製)を用いたHPLC分
析におけるS−フェニルシステインのD−体ピークとL
−体ピークのエリアから光学純度を次式によって求め
た。
分析法 光学分割クロマトグラフィー用カラム TSKgel
Enantio L1(東ソー製)を用いたHPLC分
析におけるS−フェニルシステインのD−体ピークとL
−体ピークのエリアから光学純度を次式によって求め
た。
【0040】
【数1】 光学分割HPLC条件 カラム;TSKgel Enantio L1(東ソ
ー) 移動相;0.5mM CuSO4/アセトニトリル=8
0/20 温度 ;40℃ 流速 ;0.7ml/min 検出 ;UV254nm
ー) 移動相;0.5mM CuSO4/アセトニトリル=8
0/20 温度 ;40℃ 流速 ;0.7ml/min 検出 ;UV254nm
【0041】実施例1 トリプトファンシンターゼ生産菌であるエシェリヒア・
コリ MT−10242(FERM BP−20)を、
第1表に示す組成の培地150mlが入った500ml
容の坂口フラスコに接種し、30℃で24時間振とう培
養した。この培養液600ml(フラスコ4本分)を第
2表に示す組成の培地 10lを仕込んだ20lのジャ
ーファーメンターに接種し、30℃、pH6.8(濃ア
ンモニア水でコントロール)で、グルコースを逐時添加
しながら40時間通気培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を集菌し、得られた湿菌体をトリプトファン
シンターゼ源とした。
コリ MT−10242(FERM BP−20)を、
第1表に示す組成の培地150mlが入った500ml
容の坂口フラスコに接種し、30℃で24時間振とう培
養した。この培養液600ml(フラスコ4本分)を第
2表に示す組成の培地 10lを仕込んだ20lのジャ
ーファーメンターに接種し、30℃、pH6.8(濃ア
ンモニア水でコントロール)で、グルコースを逐時添加
しながら40時間通気培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を集菌し、得られた湿菌体をトリプトファン
シンターゼ源とした。
【0042】L−セリン3%、チオフェノール3.1
%、塩化アンモニウム1%、ピリドキサルリン酸25p
pmを含むpH9.0(NaOHで調整)の水溶液50
0gに上記遠心菌体を乾燥菌体換算で0.7%濃度とな
るように加えた。35℃で15時間、窒素雰囲気下で撹
拌したところ、22gのS−フェニル−L−システイン
が生成した。反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて50℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を0.1l/hの流量で通気しながら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をNaOHでpH3に調整し、1
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、20gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。
%、塩化アンモニウム1%、ピリドキサルリン酸25p
pmを含むpH9.0(NaOHで調整)の水溶液50
0gに上記遠心菌体を乾燥菌体換算で0.7%濃度とな
るように加えた。35℃で15時間、窒素雰囲気下で撹
拌したところ、22gのS−フェニル−L−システイン
が生成した。反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて50℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を0.1l/hの流量で通気しながら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をNaOHでpH3に調整し、1
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、20gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。
【0043】得られた結晶の元素分析を行ったところ
C;54.48%、H;5.69%、N;7.64%、
S;15.57%であった(理論値 C;54.80
%、H;5.62%、N;7.10%、S;16.25
%)。
C;54.48%、H;5.69%、N;7.64%、
S;15.57%であった(理論値 C;54.80
%、H;5.62%、N;7.10%、S;16.25
%)。
【0044】MSスペクトル分析の結果、親イオンピー
クとしてm/z=197が検出された。
クとしてm/z=197が検出された。
【0045】IRスペクトル分析では、2900cm-1
以上にNH+ 3、COOHの伸縮振動が見られた。162
0〜1200cm-1付近にアミノ酸特有のNH+ 3、CO
O-、アルキルの伸縮および変角振動が見られた。73
5、689cm-1にモノ置換ベンゼンの面外変角振動が
見られた。
以上にNH+ 3、COOHの伸縮振動が見られた。162
0〜1200cm-1付近にアミノ酸特有のNH+ 3、CO
O-、アルキルの伸縮および変角振動が見られた。73
5、689cm-1にモノ置換ベンゼンの面外変角振動が
見られた。
【0046】NMRスペクトルのシグナル帰属結果は、
S−フェニル−L−システインの構造を満足した。
S−フェニル−L−システインの構造を満足した。
【0047】また、Ramanスペクトル分析により、
C−S結合の存在を確認した。さらに、光学分割クロマ
トグラフィー用カラム TSKgel Enantio
L1(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶
の立体構造はL−体であり、光学純度は100%である
ことを確認した。
C−S結合の存在を確認した。さらに、光学分割クロマ
トグラフィー用カラム TSKgel Enantio
L1(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶
の立体構造はL−体であり、光学純度は100%である
ことを確認した。
【0048】以上の機器分析結果から、得られた結晶は
S−フェニル−L−システインであることを確認した。
結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は検出されな
かった。
S−フェニル−L−システインであることを確認した。
結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は検出されな
かった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】実施例2 L−システイン0.2%、酵母エキス0.5%、肉エキ
ス0.5%、ポリペプトン0.5%、グリセリン0.1
%、CaCl20.2%およびNaCl0.2%、pH
7.5の培地でエンテロバクター・エーロゲネス(IF
O3320)を30℃で16時間、好気的に培養した。
培養終了後、遠心分離により菌体を集菌し、得られた湿
菌体をシステインデスルフヒドラーゼ源とした。
ス0.5%、ポリペプトン0.5%、グリセリン0.1
%、CaCl20.2%およびNaCl0.2%、pH
7.5の培地でエンテロバクター・エーロゲネス(IF
O3320)を30℃で16時間、好気的に培養した。
培養終了後、遠心分離により菌体を集菌し、得られた湿
菌体をシステインデスルフヒドラーゼ源とした。
【0052】L−セリン10.5g、チオフェノール1
1.0g、ピリドキサルリン酸50mgを含むpH9.
5(NaOHで調整)の水溶液500gに上記遠心菌体
を乾燥菌体換算で3gになるように加えた。35℃で2
0時間、窒素雰囲気下で撹拌したところ、15gのS−
フェニル−L−システインが生成した。
1.0g、ピリドキサルリン酸50mgを含むpH9.
5(NaOHで調整)の水溶液500gに上記遠心菌体
を乾燥菌体換算で3gになるように加えた。35℃で2
0時間、窒素雰囲気下で撹拌したところ、15gのS−
フェニル−L−システインが生成した。
【0053】反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
1.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて40℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を0.15l/hの流量で通気しながら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をNaOHでpH5に調整し、1
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、14gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。光学分割クロマトグラ
フィー用カラム TSKgel Enantio L1
(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶の立体
構造はL−体であり、光学純度は100%であることを
確認した。結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は
検出されなかった。
1.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて40℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を0.15l/hの流量で通気しながら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をNaOHでpH5に調整し、1
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、14gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。光学分割クロマトグラ
フィー用カラム TSKgel Enantio L1
(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶の立体
構造はL−体であり、光学純度は100%であることを
確認した。結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は
検出されなかった。
【0054】実施例3 実施例2と同様の方法でエンテロバクター・エーロゲネ
ス(IFO3320)の集菌体を得た。L−システイン
12.1g、チオフェノール11.0g、ピリドキサル
リン酸50mgを含むpH9.5(NaOHで調整)の
水溶液500gに上記遠心菌体を乾燥菌体換算で3gに
なるように加えた。35℃で20時間、窒素雰囲気下で
撹拌したところ、15gのS−フェニル−L−システイ
ンが生成した。
ス(IFO3320)の集菌体を得た。L−システイン
12.1g、チオフェノール11.0g、ピリドキサル
リン酸50mgを含むpH9.5(NaOHで調整)の
水溶液500gに上記遠心菌体を乾燥菌体換算で3gに
なるように加えた。35℃で20時間、窒素雰囲気下で
撹拌したところ、15gのS−フェニル−L−システイ
ンが生成した。
【0055】反応終了後、反応液に濃硫酸を加えてpH
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて40℃にて12時間加熱した。この際、液中に空
気を0.05l/hの流量で通気しながら攪拌した。そ
の後、濾過を行い、濾液をKOHでpH5に調整し、1
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、12gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。光学分割クロマトグラ
フィー用カラム TSKgel Enantio L1
(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶の立体
構造はL−体であり、光学純度は100%であることを
確認した。結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は
検出されなかった。
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて40℃にて12時間加熱した。この際、液中に空
気を0.05l/hの流量で通気しながら攪拌した。そ
の後、濾過を行い、濾液をKOHでpH5に調整し、1
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、12gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。光学分割クロマトグラ
フィー用カラム TSKgel Enantio L1
(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶の立体
構造はL−体であり、光学純度は100%であることを
確認した。結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は
検出されなかった。
【0056】実施例4 実施例2と同様の方法でエンテロバクター・エーロゲネ
ス(IFO3320)の集菌体を得た。ピルビン酸ナト
リウム11.0g、硫酸アンモニウム6.6g、チオフ
ェノール11.0gを含むpH10.0(NaOHで調
整)の水溶液500gに上記遠心菌体を乾燥菌体換算で
3gになるように加えた。35℃で20時間、窒素雰囲
気下で撹拌したところ、14gのS−フェニル−L−シ
ステインが生成した。
ス(IFO3320)の集菌体を得た。ピルビン酸ナト
リウム11.0g、硫酸アンモニウム6.6g、チオフ
ェノール11.0gを含むpH10.0(NaOHで調
整)の水溶液500gに上記遠心菌体を乾燥菌体換算で
3gになるように加えた。35℃で20時間、窒素雰囲
気下で撹拌したところ、14gのS−フェニル−L−シ
ステインが生成した。
【0057】反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて40℃にて3時間加熱した。この際、液中に酸素
を0.05l/hの流量で通気しながら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をNaOHでpH6に調整し、3
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、13gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。光学分割クロマトグラ
フィー用カラム TSKgel Enantio L1
(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶の立体
構造はL−体であり、光学純度は100%であることを
確認した。結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は
検出されなかった。
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて40℃にて3時間加熱した。この際、液中に酸素
を0.05l/hの流量で通気しながら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をNaOHでpH6に調整し、3
0℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L−システ
インの結晶を分離した。結晶を乾燥後、13gのS−フ
ェニル−L−システインを得た。光学分割クロマトグラ
フィー用カラム TSKgel Enantio L1
(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結晶の立体
構造はL−体であり、光学純度は100%であることを
確認した。結晶中にチオフェノールおよびその酸化物は
検出されなかった。
【0058】実施例5 L−メチオニン0.2%、ペプトン0.1%、グリセリ
ン0.2%、KH2PO40.1%、K2HPO40.1
%、MgSO4・7H2O 0.01%、酵母エキス0.
025%、pH8.0(NaOHで調整)の液体培地で
シュードモナス・オバリス(IFO3738)を27℃
で24時間、好気的に培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を集菌し、得られた湿菌体をメチオニン−γ
−リアーゼ源とした。
ン0.2%、KH2PO40.1%、K2HPO40.1
%、MgSO4・7H2O 0.01%、酵母エキス0.
025%、pH8.0(NaOHで調整)の液体培地で
シュードモナス・オバリス(IFO3738)を27℃
で24時間、好気的に培養した。培養終了後、遠心分離
により菌体を集菌し、得られた湿菌体をメチオニン−γ
−リアーゼ源とした。
【0059】L−システイン12.1g、チオフェノー
ル11.0g、ピリドキサルリン酸50mgを含むpH
8.0(NaOHで調整)の水溶液500gに上記遠心
菌体を乾燥菌体換算で3gになるように加えた。35℃
で20時間、窒素雰囲気下で撹拌したところ、15gの
S−フェニル−L−システインが生成した。
ル11.0g、ピリドキサルリン酸50mgを含むpH
8.0(NaOHで調整)の水溶液500gに上記遠心
菌体を乾燥菌体換算で3gになるように加えた。35℃
で20時間、窒素雰囲気下で撹拌したところ、15gの
S−フェニル−L−システインが生成した。
【0060】反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて60℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を0.25l/hの流量で通気しなら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をアンモニア水でpH2.5に調
整し、10℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L
−システインの結晶を分離した。結晶を乾燥後、14g
のS−フェニル−L−システインを得た。光学分割クロ
マトグラフィー用カラム TSKgel Enanti
o L1(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結
晶の立体構造はL−体であり、光学純度は100%であ
ることを確認した。結晶中にチオフェノールおよびその
酸化物は検出されなかった。
0.5とし、活性炭(PM−SX三井製薬製)を10g
加えて60℃にて3時間加熱した。この際、液中に空気
を0.25l/hの流量で通気しなら攪拌した。その
後、濾過を行い、濾液をアンモニア水でpH2.5に調
整し、10℃に冷却後、濾過を行ってS−フェニル−L
−システインの結晶を分離した。結晶を乾燥後、14g
のS−フェニル−L−システインを得た。光学分割クロ
マトグラフィー用カラム TSKgel Enanti
o L1(東ソー製)を用いたHPLC分析により、結
晶の立体構造はL−体であり、光学純度は100%であ
ることを確認した。結晶中にチオフェノールおよびその
酸化物は検出されなかった。
【0061】
【発明の効果】本発明方法によれば酵素反応により得ら
れたS−フェニル−L−システイン反応液からS−フェ
ニル−L−システインを高度に精製することができる。
れたS−フェニル−L−システイン反応液からS−フェ
ニル−L−システインを高度に精製することができる。
【図1】S−フェニル−L−システインの活性炭の有無
及び温度による光学純度の経時変化を示したグラフであ
る。
及び温度による光学純度の経時変化を示したグラフであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 坂口 昭夫 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 福原 信裕 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】酵素反応によって得られるS−フェニル−
L−システイン溶液から、S−フェニル−L−システイ
ンを製造する際、製造工程が以下の工程からなることを
特徴とするS−フェニル−L−システインの製造法。 (1)S−フェニル−L−システインの生成した酵素反
応終了液のpHを1.5以下の強酸性にして、反応液中
に析出したS−フェニル−L−システイン結晶を溶解さ
せる工程、(2)反応液中に析出したS−フェニル−L
−システイン結晶を強酸性で溶解した溶液に活性炭を添
加して、空気あるいは酸素を通気しながら20〜60℃
に保つ工程、(3)活性炭を添加した溶液から、活性炭
および不溶物を分離除去する工程、(4)活性炭濾過濾
液にアルカリを添加してpHを2.5〜6.0に調整
し、S−フェニル−L−システインを析出させ、結晶を
分離する工程。 - 【請求項2】酵素反応によって得られるS−フェニル−
L−システイン溶液が、トリプトファンシンターゼまた
はシステインデスルフヒドラーゼまたはメチオニン−γ
−リアーゼ(メチオニナーゼ)の触媒する酵素反応によ
って、チオフェノールと一般式[1] 【化1】 (式中、Xは−OR基または−SR基またはハロゲン原
子を示す。なお、−OR基、−SR基のRは水素原子、
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アリル基を示
す。)で表されるβ−置換−L−アラニンとからS−フ
ェニル−L−システインを合成して得られるS−フェニ
ル−L−システイン溶液であることを特徴とする請求項
1記載の製造法。 - 【請求項3】酵素反応によって得られるS−フェニル−
L−システイン溶液が、システインデスルフヒドラーゼ
の触媒する酵素反応により、チオフェノールと(1)ア
ンモニアまたはアンモニウム塩(2)ピルビン酸、オキ
サロ酢酸、乳酸、フマル酸の内から選ばれた有機酸また
はそれらの塩、の3つの原料からS−フェニル−L−シ
ステインを合成して得られるS−フェニル−L−システ
イン溶液であることを特徴とする請求項1記載の製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13842396A JPH09313195A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | S−フェニル−l−システインの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13842396A JPH09313195A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | S−フェニル−l−システインの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09313195A true JPH09313195A (ja) | 1997-12-09 |
Family
ID=15221625
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13842396A Pending JPH09313195A (ja) | 1996-05-31 | 1996-05-31 | S−フェニル−l−システインの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09313195A (ja) |
-
1996
- 1996-05-31 JP JP13842396A patent/JPH09313195A/ja active Pending
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