JPH0931304A - 導電性樹脂 - Google Patents

導電性樹脂

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JPH0931304A
JPH0931304A JP7183111A JP18311195A JPH0931304A JP H0931304 A JPH0931304 A JP H0931304A JP 7183111 A JP7183111 A JP 7183111A JP 18311195 A JP18311195 A JP 18311195A JP H0931304 A JPH0931304 A JP H0931304A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バインダー樹脂に導電体が混入された導電性
樹脂において、湿度変化における抵抗値変化率を低下さ
せる。 【構成】 バインダー樹脂として、フェノールとキシレ
ンとホルムアルデヒドを縮合重合させたキシレン変性フ
ェノール樹脂と、キシレン樹脂またはメシチレン樹脂と
を混合させたものを用いる。キシレンまたはメシチレン
は疎水性を発揮するものであるため、バインダー樹脂の
吸湿率が低下し、湿度変化に対する抵抗値変化率が小さ
くなる。特にメシチレン樹脂が混合されたものでは、抵
抗変化率が低くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボンブラッ
ク、グラファイトなどの導電体(導電性粒子)が混入さ
れて抵抗材料として使用されまたは導電材料として使用
される導電性樹脂に係り、特に湿度変化による電気的抵
抗値の変動の少ない導電性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】導電性樹脂は、例えば抵抗材料または、
接点材料などの導電材料として使用される。一般的に
は、フェノール樹脂またはクレゾール樹脂などの熱硬化
性樹脂をバインダー樹脂とし、これに導電性粒子(フィ
ラー)としてカーボンブラック、グラファイトなどのカ
ーボン系材料が混入される。硬化して形成された樹脂層
は、混入された導電性粒子の量により電気的抵抗値が決
まる。また導電性粒子としてスズ、銀、金などの粒子ま
たは小片が混入されて使用される場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種の導電性樹脂
は、使用環境の雰囲気内で抵抗値が安定したものである
ことが望まれる。特に半固定抵抗器の抵抗材料として使
用される場合や、感歪みセンサの抵抗材料として使用さ
れる場合には、使用環境の雰囲気の変化により抵抗値が
変動しないものが好ましい。また最近ではスイッチの接
点を被覆する導電材料として上記導電性樹脂が使用され
ることがある。通常のスイッチは単にONとOFFの検
出が可能であれば接点抵抗はあまり重要視されないが、
例えば複数のスイッチと複数種の抵抗値を有する抵抗体
とが組み合わされ、スイッチがONとなった回路の抵抗
値を検出して入力を判断するような回路では、使用環境
の雰囲気の変化によりスイッチの抵抗値が変化すること
は望ましくない。
【0004】上記の使用環境の雰囲気のうち湿度が導電
性樹脂の抵抗値の変動に最も大きな影響を与える。湿度
変化による導電性樹脂の抵抗値の変動は、バインダー樹
脂の吸湿性に依存しており、一般に吸湿率の高い樹脂を
バインダー樹脂として使用していると、雰囲気の湿度変
化に対する抵抗値の変動幅が大きくなる。
【0005】特に前記従来例のうち、バインダー樹脂と
してフェノール樹脂を使用したものでは、雰囲気の湿度
変化に対する抵抗値の変動幅が比較的大きくなる。周知
のようにフェノール樹脂は、化1に示すフェノールとホ
ルムアルデヒド(HCHO)とを縮合重合させたもので
あるが、フェノールの置換基となっている水酸基が親水
性の官能基であるため、吸湿性が高いものとなり、よっ
て湿度変化による抵抗値の変動幅の大きいものとなる。
【0006】
【化1】
【0007】これに対し、クレゾール樹脂の例えばm−
クレゾール樹脂は、化2に示すm−クレゾールとホルム
アルデヒドを縮合重合させたものであるが、クレゾール
は、疎水性の官能基であるメチル基を置換基として有し
ているため、前記フェノール樹脂に比べて吸湿率が低い
ものとなっている。ただし、親水性の水酸基をも有して
いるため、フェノール樹脂ほどではないがやはり吸湿性
を有し、導電性樹脂のバインダー樹脂として使用した場
合に、湿度変化による抵抗値の変動幅がやや大きいもの
となる。
【0008】
【化2】
【0009】このようにフェノール樹脂やクレゾール樹
脂をバインダー樹脂として使用した導電性樹脂では、湿
度の変化による抵抗値の変動が大きく、前記のように抵
抗値の変動を好まない抵抗器やその他の電子要素への使
用に適しないものとなっている。さらにまた、バインダ
ー樹脂にカーボンなどの導電体が混入されている導電性
樹脂において、前記バインダー樹脂を、フェノールとメ
チルベンゼンとホルムアルデヒドとを縮合重合させた変
性フェノール樹脂としたもの、あるいはフェノールとキ
シレン(ジメチルベンゼン)とホルムアルデヒドとを縮
合重合させたキシレン変性フェノール樹脂としたものが
ある。
【0010】比較例(1)として後に説明するように、
フェノールとキシレンとが7対3の比率とされたキシレ
ン変性フェノール樹脂は、従来のバインダー樹脂として
使用されていたフェノール樹脂やm−クレゾール樹脂に
比べ吸湿率がかなり低くなる。測定によるとキシレン変
性フェノール樹脂の飽和吸水率は2.22(重量%)で
あった。これに対し、フェノール樹脂の飽和吸水率は
3.90(重量%)、2種類のm−クレゾール樹脂にて
測定された飽和吸水率は2.96(重量%)および2.
84(重量%)である。しかしながら、これらの樹脂を
バインダとして使用した導電性樹脂は、図1の比較例
(1)に示すように、湿度による抵抗値の変動が4〜1
0数%と大きなものとなるので、例えば抵抗値の変動を
好まない抵抗器やその他の電子素子への使用に適さない
ものとなる。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、熱硬化性の樹脂をバインダー樹脂として使用し、
しかも吸湿性が低く、環境湿度の変化による抵抗値の変
動を少なくした導電性樹脂を提供することを目的として
いる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、バインダー樹
脂に、カーボンなどの導電体が混入されている導電性樹
脂において、前記バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂と、
メチルベンゼンを含む樹脂との混合体により形成されて
いることを特徴とするものである。
【0013】この発明は、熱硬化性樹脂に、メチル基の
みをベンゼン環の置換基とするメチルベンゼンを含む樹
脂を混合(ブレンド)することにより疎水性を高め、湿
度変化による抵抗値の変動を抑制できるようにしたもの
である。熱硬化性樹脂は、例えばフェノールを含むもの
であり、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、レゾルシノ
ール樹脂などである。
【0014】熱硬化性樹脂は、フェノールとメチルベン
ゼンとホルムアルデヒドとを縮合重合させてなる変性フ
ェノール樹脂、例えばフェノールとキシレンとホルムア
ルデヒドとを縮合重合させてなるキシレン変性フェノー
ル樹脂を例示できる。このキシレン変性フェノール樹脂
は、キシレンを含むことにより疎水性を有している。こ
の変性フェノール樹脂は、それ自体が疎水性が高く、し
たがってこの変性フェノール樹脂とメチルベンゼンを含
む樹脂を混合(ブレンド)させることにより、さらに疎
水性を高くすることができ、湿度変化による抵抗値の変
動の小さい導電性樹脂を得ることができる。
【0015】また、熱硬化性樹脂として、m−クレゾー
ルとホルムアルデヒドを縮合重合させてなるm−クレゾ
ール樹脂を例示できる。化2に示したように、クレゾー
ルは、ベンゼン環の置換基としてメチル基を有しており
フェノール樹脂よりも疎水性の高いものとなっている。
このm−クレゾール樹脂と、メチルベンゼンを含む樹脂
とを混合(ブレンド)することにより、疎水性が高く、
湿度変化による抵抗値の変動の小さい導電性樹脂を得る
ことができる。
【0016】メチルベンゼンを含む樹脂は、例えばトル
エン、キシレン、メシチレンのいずれかとホルムアルデ
ヒドとを縮合重合させたものである。化3は、キシレン
(ジメチルベンゼン)とホルムアルデヒドとを縮合重合
させたストレート型キシレン樹脂の構造の一例を示して
いる。また化4は、メシチレン(トリメチルベンゼン)
とホルムアルデヒドとを縮合重合させたストレート型メ
シチレン樹脂の構造の一例を示している。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】上記において、バインダー樹脂内でのメチ
ルベンゼンの量があまり多くなると、架橋密度が低下し
て機械的強度が低下するとともに、水分の吸収による膨
張量(体積増加量)が大きくなり、導電体の配置密度が
低下する。すなわち湿度変化による抵抗値の変動幅が大
きくなる。また、バインダー樹脂内のメチルベンゼンの
量が過度に多くなると、バインダー樹脂内に固溶しきれ
ないメチルベンゼンが樹脂表面ににじみでてべとつくよ
うになる。
【0020】このように、バインダー樹脂のメチルベン
ゼンの量が適正範囲を越えると、機械的強度が低下した
り、湿度変化により抵抗値の変動巾が大きくなったり、
あるいは樹脂表面にべとつきが生じたりする。したがっ
て、バインダー樹脂内のメチルベンゼンの量を多くする
ことには限界がある。例えば、実施例に示すように、バ
インダー樹脂が、7対3のフェノールとキシレン、およ
びホルムアルデヒドとを縮合重合させたキシレン変性フ
ェノール樹脂である場合、図2に示すように、キシレン
樹脂またはメシチレン樹脂の混合比率(重量比)を10
〜50%の範囲とすると、温度40℃で相対湿度を1%
から95%に変化させたときの抵抗変化率を小さく抑え
ることができる。したがって、バインダー樹脂での、ベ
ンゼン環の総核体数100に対し、フェノールの水酸基
数を63〜35の範囲とすることが好ましい。
【0021】さらに、前記バインダー樹脂のメチルベン
ゼンとしてメチレン樹脂を用いると、その混合物が未硬
化の状態では、撹拌力が与えられない状態では粘性が高
く、かつ撹拌時に複素粘性係数が低下するという特性を
付与できることから、印刷用インクのバインダー樹脂を
変性フェノール樹脂とメシチレン樹脂とを主成分とする
ことにより、ポットライフの長い印刷用インクを提供で
きるという顕著な効果を奏する。
【0022】
【実施例】表1に示す、比較例(1)および実施例
(1)〜(9)は、樹脂溶液の配合比を示している。キ
シレン変性フェノール樹脂は、キシレンとフェノールと
ホルムアルデヒドを縮合重合させたものであり、キシレ
ンとフェノールの比は重量比で7対3とした。キシレン
樹脂は、m−キシレンとホルムアルデヒドとを強酸性触
媒下で反応させ縮合重合させたものであり、例えば化3
に示す構造のストレート型キシレン樹脂である。メシチ
レン樹脂は、メシチレンとホルムアルデヒドとを強酸性
触媒下で反応させ縮合重合させたものであり、例えば化
4に示す構造のストレート型メシチレン樹脂である。表
1では、キシレン樹脂(イ)とキシレン樹脂(ロ)と示
されているが、このキシレン樹脂(イ)と(ロ)は、分
子量および含酸素量の異なるものである。
【0023】
【表1】
【0024】比較例(1)および各実施例では、各樹脂
を秤量して、表1に示す重量部にて混合し、溶剤を加え
撹拌した。溶解の遅いものは100℃以下の加熱を行い
ながら撹拌した。各樹脂溶液に導電体としてカーボンブ
ラックを固形分比21(体積%)になるように加えた。
さらに希釈剤を加え、湿潤させた後、3本ロールで混練
しペースト状とした。前記固形分比は、(樹脂の体積+
カーボンブラックの体積)に対する(カーボンブラック
の体積)の比を百分率で表わしたものである。
【0025】比較例(1)および各実施例ごとに上記ペ
ースト状のものを形成し、これをテトロン200メッシ
ュのマスクを用いてセラミック基板上にスクリーン印刷
し、200℃で20分間加熱して硬化させ、抵抗体を作
製した。比較例(1)および各実施例ごとに作製した抵
抗体に対し、温度40℃相対湿度1%の環境下に24時
間放置した後に抵抗値を測定し、次に温度40℃相対湿
度95%の環境下に24時間放置し、その後に抵抗値を
測定した。相対湿度1%のときの抵抗値に対する相対湿
度95%のときの抵抗値の比を百分率で表わしたもの
を、湿度変化に対する抵抗値変化率とした。表2は、表
1に示した比較例(1)および各実施例の樹脂溶液を用
いたそれぞれの抵抗体に対する、上記抵抗値変化率を示
している。
【0026】
【表2】
【0027】カーボンブラックの固定分比が21(体積
%)の場合、上記比較例(1)のように、キシレン変性
フェノール樹脂をバインダー樹脂として使用した抵抗体
では、抵抗値変化率を3.53%という低い比率に抑え
ることができるが、後述の図1に示すように、カーボン
ブラックの量が約5〜18vol%及び約20%以上の
範囲では、抵抗変化率が5%を超えさらに12%をも超
えるものとなる。
【0028】これに対して、キシレン変性フェノール樹
脂に、キシレン樹脂(イ)またはキシレン樹脂(ロ)を
25重量部から50重量部にて混合させた各実施例
(1)〜(6)、およびメシチレン樹脂を25重量部か
ら50重量部にて混合させた実施例(7)〜(9)で
は、抵抗値変化率が、比較例(1)のキシレン変性フェ
ノール樹脂のみで形成された抵抗体の抵抗値変化と同等
あるいはそれ以下になるとともに、後述の図1に示すよ
うに、カーボンブラックの量が5〜35vol%の広い
範囲で抵抗値変化率が5%以下となり、さらにカーボン
ブラックの量が約6vol%以上では抵抗値変化率が4
%以下となり、特に13〜21vol%では抵抗値変化
率が2%以下と極めて小さくなることが解る。
【0029】ところで実施例(6)では、抵抗値変化率
が比較例(1)と同等であり、キシレン樹脂またはメシ
チレン樹脂が混合された他の実施例(1)〜(5)およ
び(7)〜(9)では、比較例(1)よりも抵抗値変化
率が低くなっている。実施例(6)の抵抗値変化率が、
比較例(1)と同等になっている理由は次の通りと考え
られる。キシレン変性フェノール樹脂に対するキシレン
樹脂の混合比率を高くしていくと、フェノールの水酸基
の数が減り逆にメチル基が増えて疎水性が高くなって吸
湿性が低下するものとなるが、キシレン樹脂の量が多く
なると、熱硬化性が低下し架橋密度が低下する。その結
果、少ない水分の吸収によって体積増加量が多くなり、
カーボンブラックの距離が長くなり、抵抗値が低下する
ものと思われる。
【0030】ところで、実施例(3)のキシレン変性フ
ェノール樹脂に対するキシレン樹脂の混合割合が実施例
(6)と同じであるにもかかわらず、その抵抗値変化率
が3.18%と、実施例(6)のそれと異なっている
が、この相違はメチルベンゼンの分子構造の相違による
影響があるものと考えられる。
【0031】表2の結果から、フェノールとキシレンと
の比が7対3のキシレン変性フェノール樹脂を使用した
もの、およびこのキシレン変性フェノール樹脂とキシレ
ン樹脂またはメシチレン樹脂を重量比で75対25ない
し50対50としたものでは、いずれもフェノールとキ
シレンとの比が7:3のキシレン変性フェノール樹脂の
抵抗変化率と同等以下、すなわち3.53%以下の低い
範囲に抑えることができることが解る。以上から、樹脂
バインダーのベンゼン環の総核体数を100としたとき
に、フェノールの水酸基の数が、70〜35の間のもの
が、抵抗値変化率を抑制できる点で好ましいものとな
る。
【0032】次に、バインダー樹脂内での導電体である
カーボンブラックの量と、温度40℃で相対湿度を1%
から95%に変化させたときの抵抗値変化率との関係を
調べた。この測定では、表1に示した比較例(1)と実
施例(8)に示した樹脂溶液に対しカーボンブラックを
含有させる固定分比を変化させ、これを混練したペース
トをセラミック基板上にスクリーン印刷し200℃で2
0分間加熱して硬化させた抵抗体を用いた。図1では横
軸にカーボンブラックの固形分比(体積%)をとり、縦
軸に抵抗値変化率を示している。
【0033】図1から、キシレン変性フェノール樹脂に
メシチレン樹脂が混合されたもの(実施例(8)の樹脂
溶液)を用いた場合、カーボンブラックの固形分比と無
関係に、抵抗値変化率をきわめて低いほぼ1〜5%の範
囲内に抑えることができ、特にカーボンブラックが約1
3〜20%の範囲では2%以下の抵抗変化率に抑えるこ
とができることが解った。したがって、キシレン変性フ
ェノール樹脂にメシチレン樹脂またはキシレン樹脂が混
合されたものがバインダー樹脂として使用された抵抗体
(導電性樹脂)では、カーボンの含有量を変えて広い範
囲で抵抗値を設定した場合に、いずれの抵抗値設定のも
のでも湿度変化に対する抵抗値変化率が低いものとな
る。
【0034】上記のように、キシレン変性フェノール樹
脂および、これにキシレン樹脂またはメシチレン樹脂が
混合されたバインダー樹脂を使用した抵抗体(導電性樹
脂)では、湿度変化に対する抵抗値変化率が小さくなる
ことが解ったが、その理由は前述のようにこれらの樹脂
の吸湿率が低いためである。そこで、各樹脂の飽和吸湿
率について調べた。この測定では、表3に示すように、
m−クレゾールとホルムアルデヒドを縮合重合したm−
クレゾール樹脂(イ)と(ロ)を比較例として用いた。
この(イ)と(ロ)では、分子量および含酸素量が相違
している。
【0035】また、m−クレゾール樹脂(イ)が75重
量部に対し、キシレン樹脂(ロ)を25重量部にて混合
した樹脂溶液を実施例(10)としている。比較例
(3)と(4)はそれぞれm−クレゾール樹脂(イ)と
(ロ)である。さらにフェノールとホルムアルデヒドを
縮合重合させたフェノール樹脂を比較例(2)としてい
る。
【0036】
【表3】
【0037】上記比較例(1)(2)(3)および
(4)と、各実施例(1)〜(10)のそれぞれの樹脂
溶液を、カーボンブラックを混入させることなく加熱硬
化させた。加熱硬化の条件は以下の通りである。 各樹脂溶液を96時間かけて室温から130℃に昇温
させ、130℃で24時間保持した。 その後に、10時間かけて室温まで徐冷した。 150℃の恒温槽で1時間加熱し、さらに200℃の
恒温槽で1時間加熱し、その後に室温にて保管した。
【0038】上記の各サンプルを120℃にて3時間加
熱乾燥させた後に、重量を測定した。その後に温度70
℃相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れて吸湿させた。吸
湿が飽和した状態で各サンプルの重量を測定し、乾燥直
後の重量と吸湿飽和後の重量とで、樹脂の飽和吸湿率を
計算した。その結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4から比較例(1)(2)(3)および
(4)の樹脂溶液を加熱硬化させた樹脂では、飽和吸湿
率が2.22%、3.90%、2.96%および2.8
4%と高い値であるのに対し、キシレン変性フェノール
樹脂にキシレン樹脂またはメシチレン樹脂が混合された
実施例(1)〜(9)の各樹脂溶液を加熱硬化させた樹
脂では、飽和吸湿率が1.64%以下のきわめて低いも
のとなる。さらにm−クレゾール樹脂にキシレン樹脂が
混入された実施例(10)の樹脂溶液を加熱硬化させた
樹脂も、飽和吸湿率が1.89%と低いものとなってい
る。
【0041】以上から、表2に示したように実施例
(1)〜(9)を用いた抵抗体において、湿度変化に対
する抵抗値変化率が低くなった理由は、飽和吸湿率が低
いためであることが解る。さらにm−クレゾールとホル
ムアルデヒドとを縮合重合させたm−クレゾール樹脂
(イ)75部に対しキシレン樹脂(ロ)を25部混合し
た実施例(10)の樹脂は、飽和吸湿率が実施例(1)
とほぼ同等に低くなっているため、これをバインダー樹
脂として使用した抵抗体(導電性樹脂)では、実施例
(1)などと同様に湿度変化に対する抵抗値変化率を低
くできることが容易に予測される。なおm−クレゾール
樹脂75重量部とキシレン樹脂25重量部を混合させた
樹脂では、ベンゼン環の総核体数100に対してフェノ
ールの水酸基の数が75である。
【0042】次に、キシレン変性フェノール樹脂に、キ
シレン樹脂またはメシチレン樹脂が混合されたものにお
いて、キシレン樹脂またはメシチレン樹脂の重量比の変
化と、相対湿度1%と相対湿度95%での抵抗値変化率
との関係を調べた。表5には、キシレン変性フェノール
樹脂に対するメシチレン樹脂の混合比(重量比)を変え
た樹脂溶液を実施例(11)から実施例(14)で示し
ている。
【0043】
【表5】
【0044】実施例(11)と実施例(12)の樹脂溶
液、さらに実施例(1)(2)(3)(7)(8)
(9)のそれぞれの樹脂溶液に対し、表2に示したのと
同じ抵抗体を形成した。すなわち各樹脂溶液に導電体と
してカーボンブラックを固形分比21(体積%)になる
ように加えた。さらに希釈剤を加え、湿潤させた後、3
本ロールで混練しペースト状とし、これをテトロン20
0メッシュのマスクを用いてセラミック基板上にスクリ
ーン印刷し、200℃で20分間加熱して硬化させ、抵
抗体を作製した。それぞれの抵抗体に対し、温度40℃
相対湿度1%の環境下に24時間放置した後に抵抗値を
測定し、さらに温度40℃相対湿度95%の環境下に2
4時間放置し、その後に抵抗値を測定し、両湿度での抵
抗値変化率を調べた。
【0045】図2は横軸にキシレン樹脂またはメシチレ
ン樹脂の混合割合(重量比)をとり、縦軸に抵抗値変化
率を示している。図2では、キシレン樹脂を混合した樹
脂(実施例(1)〜(3))をバインダーとした抵抗体
よりも、メシチレン樹脂(実施例(7)(8)(9)
(11)(12))を混合した樹脂をバインダーとした
抵抗体の方が湿度変化による抵抗値変化率が小さいこと
が解る。これは、メシチレンの方がキシレンよりも疎水
性の官能基であるメチル基の数が多いからであると予測
される。
【0046】またメシチレン樹脂が混合されたもので
は、その混合比が10重量%程度でも抵抗値変化率が非
常に低くなっている。またキシレン樹脂を混合したもの
であってもその混合比を10重量%程度にしたときに抵
抗値変化率を十分に小さくできるものと予測される。図
2からメシチレン樹脂またはキシレン樹脂の混合比が1
0〜50重量%の範囲であることが好ましい。なお、こ
れらの実施例でのキシレン変性フェノール樹脂はフェノ
ールとキシレンの比が7対3である。よって混合樹脂の
ベンゼン環の総核体数を100としたときに、水酸基の
数は63〜35の範囲が好ましいことが解る。
【0047】さらにメシチレン樹脂を混合したときに
は、メシチレン樹脂の混合比が15%〜33%の間で抵
抗変化率が低く、25%で極小となっている。よってキ
シレン変性フェノール樹脂に対するメシチレン樹脂の混
合比を15〜33%の範囲とすることが最も好ましい。
すなわちメシチレン樹脂を混合した樹脂のベンゼン環の
総核体数を100としたときに、水酸基の数は60〜4
7の範囲が最も好ましい。
【0048】ところで実施例(3)および実施例(6)
では、キシレン変性フェノール樹脂に対するキシレン樹
脂またはメシチレン樹脂等のメチルベンゼンの重量部が
50重量部を超えると、その硬化物において、硬化物に
固溶しきれないメチルベンゼンが硬化物の表面ににじみ
出て、べとつきが生じるという問題が生じることから、
本発明では、キシレン変性フェノール樹脂に混入するメ
チルベンゼンの量を50重量部以内とするのが好まし
く、機械的特性の点からみて33重量部以内とするのが
より好ましい。
【0049】次に、比較例(1)および実施例(9)
(11)(12)(13)(14)の各樹脂溶液を用
い、各樹脂溶液に導電体としてカーボンブラックを固形
分比6(体積%)になるように加えた。さらに希釈剤を
加え、湿潤させた後、3本ロールで混練しペースト状と
した。この各ペーストに対し、レオメトリックス社製の
フルードスペクトロメータRFSIIを用いて動的粘弾
性を測定した。その結果を図3に示す。測定は25℃の
環境温度にて行った。図3の横軸は各ペーストに与えた
0.2%の正弦波歪の角速度ω(rad/s)を示し、
縦軸に複素粘性係数η*(P:ポアズ)を示している。
【0050】図3の結果では、キシレン変性フェノール
樹脂のみの比較例(1)では、正弦波歪の角速度に依存
せず複素粘性係数はほぼ一定である。これに対しメシチ
レン樹脂を混合した実施例(9)(11)(12)(1
3)(14)では、角速度の対数的な急上昇とともに複
素粘性係数は低下していく。すなわちメシチレン樹脂が
混合されたものでは、撹拌力が与えられない保存状態で
は、粘性が高く、カーボンブラックやグラファイトなど
の導電体の沈降が生じにくく安定であり、撹拌すると比
較例(1)と同様の粘性率まで低下でき、スクリーン印
刷を適度な粘性状態で行なえるものとなる。このような
粘性変化の点で、キシレン変性フェノール樹脂にメシチ
レン樹脂が混合されたものを使用することが好ましい。
【0051】なお、上記の実施例では、バインダー樹脂
にカーボンを混入した抵抗体を導電性樹脂の一例として
いるが、バインダー樹脂に導電性フィラーとして、ス
ズ、金、銀などの導電性粒子または小片が使用された導
電性樹脂に対して本発明を実施することが可能である。
【0052】
【発明の効果】以上のように本発明では、熱硬化性樹脂
に導電体が混入された導電性樹脂において、バインダー
樹脂を変性フェノール樹脂とメチルベンゼンとの混合体
としたので、その水分の吸湿性を低く抑えることができ
るため、環境湿度の変化による抵抗値の変動をより小さ
くした導電性樹脂並びにスイッチなどの電子素子を提供
することができる。また、変性フェノール樹脂に対する
メチルベンゼンの混合割合を約15〜33重量%とする
と、抵抗値変化率を2%以下に抑えることができ、かつ
固体表面にべとつきのない機械的特性に優れた導電性樹
脂並びに電子素子を提供することができる。
【0053】さらに、前記バインダー樹脂のメチルベン
ゼンとしてメチレン樹脂を用いると、その混合物が未硬
化の状態では、撹拌力が与えられない状態では粘性が高
く、かつ撹拌時に複素粘性係数が低下するという特性を
付与できることから、印刷用インクのバインダー樹脂を
変性フェノール樹脂とメシチレン樹脂とを主成分とする
ことにより、ポットライフの長い印刷用インクを提供で
きるという顕著な硬化を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】キシレン変性フェノール樹脂、またはこれにメ
シチレン樹脂が配合されたものをバインダー樹脂とする
抵抗体において、カーボンブラックの量と、湿度変化に
よる抵抗値変化率との関係を示す線図、
【図2】キシレン変性フェノール樹脂にキシレン樹脂ま
たはメシチレン樹脂が配合されたものをバインダー樹脂
とする抵抗体において、キシレン樹脂またはメシチレン
樹脂の割合と、湿度変化による抵抗値変化率との関係を
示す線図、
【図3】各実施例の樹脂溶液にカーボンブラックが混入
されたペーストの正弦波歪の角速度と複素粘性係数との
関係を示す線図、

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダー樹脂に導電体が混入されてい
    る導電性樹脂において、前記バインダー樹脂が、熱硬化
    性樹脂と、メチルベンゼンを含む樹脂との混合体により
    形成されていることを特徴とする導電性樹脂。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂は、フェノールとメチルベ
    ンゼンとホルムアルデヒドとを縮合重合させてなる変性
    フェノール樹脂である請求項1記載の導電性樹脂。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂は、m−クレゾールとホル
    ムアルデヒドを縮合重合させてなるm−クレゾール樹脂
    である請求項1記載の導電性樹脂。
  4. 【請求項4】 メチルベンゼンを含む樹脂は、キシレン
    (ジメチルベンゼン)とホルムアルデヒドとを縮合重合
    させたキシレン樹脂である請求項1ないし3のいずれか
    に記載の導電性樹脂。
  5. 【請求項5】 メチルベンゼンを含む樹脂は、メシチレ
    ン(トリメチルベンゼン)とホルムアルデヒドとを縮合
    重合させたメシチレン樹脂である請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の導電性樹脂。
  6. 【請求項6】 ベンゼン環の総核体数100に対し、フ
    ェノールの水酸基数が63〜35である請求項2ないし
    5のいずれかに記載の導電性樹脂。
  7. 【請求項7】 導電体はカーボンであり、バインダー樹
    脂とカーボンとの体積の和に対するカーボンの体積の比
    率が15〜35%である請求項6記載の導電性樹脂。
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