JPH09301921A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法及び製造装置 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステルの製造方法及び製造装置

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JPH09301921A
JPH09301921A JP14096696A JP14096696A JPH09301921A JP H09301921 A JPH09301921 A JP H09301921A JP 14096696 A JP14096696 A JP 14096696A JP 14096696 A JP14096696 A JP 14096696A JP H09301921 A JPH09301921 A JP H09301921A
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acid ester
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孝雄 村上
Hiroya Mishina
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗(メタ)アクリル酸エステル液中に含まれ
る低沸不純物を留去する場合において、この重合し易い
(メタ)アクリル酸エステルの重合を簡易且つ容易に防
止して(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法及び
その装置を提供する。 【解決手段】 触媒の存在下、(メタ)アクリル酸とア
ルコールとをエステル化反応させ、該反応で得た低沸不
純物を含む粗(メタ)アクリル酸エステル液を低沸不純
物留去工程に移送し該工程において、該低沸不純物を加
熱しつつ留去する(メタ)アクリル酸エステルの製造方
法において、上記(メタ)アクリル酸エステルと上記ア
ルコール及び上記(メタ)アクリル酸との各ミカエル付
加物のうちの少なくとも1種を、該低沸不純物留去工程
の釜残液における濃度が3〜30重量%となるように上
記粗エステル液に添加する。本装置は、エステル精留塔
の釜残液を低沸不純物除去用精留塔内に還流させるため
の還流用配管を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
酸エステルの製造方法及びその製造装置に関し、更に詳
しくは、粗(メタ)アクリル酸エステル液中に含まれる
アルコール等の低沸不純物を留去する場合において、
(メタ)アクリル酸エステルの重合を簡易且つ容易に防
止できる製造方法及びその製造装置に関する。尚、「ア
クリル」及び/又は「メタクリル」の両方を意味する場
合には、「(メタ)アクリル」と、上記の如く及び以下
に表記する。
【0002】
【従来の技術】従来、(メタ)アクリル酸エステルは、
以下に示すようにして製造される。即ち、まずアクリル
酸とアルコール(例えばアルキルアルコール)とを、触
媒(通常、酸である。)及び共沸剤の存在下でエステル
化(縮合)反応をさせ、この反応液から、未反応原料及
び共沸剤等の低沸不純物を未だ含有する粗(メタ)アク
リル酸エステル液を得る。この粗(メタ)アクリル酸エ
ステル液を精留して、更に不純物(低沸物)を除去し、
その後、この不純物除去液を精留して目的の(メタ)ア
クリル酸エステルを留出させて得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、(メタ)アク
リル酸エステルは分子内に二重結合を有し、重合性のも
のであるとともに、各工程においては各缶液を加熱し
て、各目的の留分等を精留により得ている。従って、各
工程においては、(メタ)アクリル酸エステルが高温で
加熱され非常に重合し易くなる。この重合が生じると、
収率の低下、重合物の生成に起因する粘度上昇による操
業の不安定等の不具合が生じるという問題があった。
【0004】本発明は、粗(メタ)アクリル酸エステル
液中に含まれる低沸不純物を留去する場合において、こ
の重合し易い(メタ)アクリル酸エステルの重合を簡易
且つ容易に防止して(メタ)アクリル酸エステルを製造
する方法及びその製造装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、どの工程において(メタ)アクリル
酸エステルが最も多く重合するか、更にどのような重合
防止方法があるかについて、鋭意検討した。その結果、
重合が最も多く生じるのは、粗アクリル酸エステル液
からの低沸不純物除去工程であること、(メタ)アク
リル酸エステル精留釜残液を還流させることが好ましい
こと、及び(メタ)アクリル酸エステル精留釜残液中
の有効成分は、(メタ)アクリル酸エステルのミカエル
付加物であることを見出して、本発明を完成するに至っ
たのである。
【0006】本第1発明の、触媒の存在下、アクリル酸
若しくはメタクリル酸とアルコールとをエステル化反応
させ、該反応で得た低沸不純物を含む粗(メタ)アクリ
ル酸エステル液を低沸不純物留去工程に移送し該工程に
おいて、該低沸不純物を加熱しつつ留去する(メタ)ア
クリル酸エステルの製造方法〔以下、単に、(メタ)ア
クリル酸エステルの製造方法又は本製造方法という。〕
は、上記(メタ)アクリル酸エステルと上記アルコー
ル、及び上記アクリル酸若しくは上記メタクリル酸との
各ミカエル付加物のうちの少なくとも1種を、該低沸不
純物留去工程の釜残液における濃度が3〜30重量%
(以下、単に%という。)となるように、上記粗(メ
タ)アクリル酸エステル液に添加することを特徴とす
る。
【0007】本発明におけるミカエル付加物は、(メ
タ)アクリル酸エステルへのアルコール又は(メタ)ア
クリル酸のミカエル付加物であり、ミカエル付加するア
ルコールは、特に制限がなく、好ましくは、炭素数が1
〜20(より好ましくは1〜10)の脂肪族、脂環族又
は芳香族アルコールであり、特に好ましくは、反応原料
として用いるアルコールである。
【0008】このミカエル付加物の濃度が3%未満で
は、重合防止効果が十分でなくなり、30%を越える
と、(メタ)アクリル酸エステルの製造効率が低下する
とともに、分解による(メタ)アクリル酸又はアルコー
ルの生成が増えることとなるので、好ましくない。この
ミカエル付加物の濃度は、(メタ)アクリル酸メチルの
場合には3〜30重量%(より好ましくは5〜20重量
%)、(メタ)アクリル酸エチルの場合には5〜30重
量%(より好ましくは8〜20重量%)、(メタ)アク
リル酸ブチルの場合には3〜30重量%(より好ましく
は5〜20重量%)、(メタ)アクリル酸2−エチルヘ
キシルの場合には3〜30重量%(より好ましくは5〜
20重量%)が好ましい。
【0009】このミカエル付加物の供給源としては、通
常、後工程における精留をした場合の釜残液であるが、
高沸物留出工程を設けた場合にはこの工程にて留出させ
たミカエル付加物を使用してもよい。更に、このミカエ
ル付加物は、通常、本製造工程において得たものを用い
てリサイクルするが、これに限らず、同種の他系統にお
いて得たものでもよいし、リサイクルせずにバッチ処理
をして得たものでもよい。このようにリサイクルするよ
うなミカエル付加物は加熱されているので、これを利用
することにより、熱源を有効活用できる。
【0010】上記「触媒」としては、硫酸、塩酸等の
酸や、パラトルエンスルホン酸、メタスルホン酸等の有
機酸等の様に、通常、エステル化触媒として用いられて
いるものが例示できる。上記「アルコール」は、脂肪族
アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコールのい
ずれであってもよい。そして、脂肪族アルコールとして
は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルア
ルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、イソブチルアルコール、n−ヘプチルアルコー
ル、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアル
コール、イソオクチルアルコール、n−ノニルアルコー
ル、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等を
例示できる。また、脂環式アルコールとしては、シクロ
ヘキシルアルコール、メチルヘキシルアルコール等が例
示できる。更に、芳香族アルコールとしては、ベンジル
アルコール、メチルベンジルアルコール等を例示でき
る。上記「不純物」とは、アルコール、共沸剤、水等を
意味し、(メタ)アクリル酸エステルと比べると、より
沸点のもの等をいう。
【0011】一方、本発明において適用される粗(メ
タ)アクリル酸エステル液の製造では、通常、系内には
酸素を含有する気体の雰囲気下で重合防止剤が含有され
ている。例えば、不純物除去のための精留の釜残液中に
は、重合防止剤(ハイドロキノン、フェノチアジン等)
が約50〜1000ppm程度含有されている。しか
し、本発明においては、第2発明に示すように、上記粗
(メタ)アクリル酸エステル液に上記ミカエル付加物を
流入させる場合、この流入させる液に重合防止剤を添加
するのが更に好ましい。これにより、ミカエル付加物を
流入(添加)させる効果と重合防止剤による効果との相
乗効果が得られるからである。
【0012】本第3発明の製造装置は、アクリル酸若し
くはメタクリル酸とアルコールとのエステル化反応器
と、該反応器において生成される低沸不純物を含む粗
(メタ)アクリル酸エステル液が供給されるとともに、
該粗(メタ)アクリル酸エステル液中に含まれる該低沸
不純物を、加熱しつつ留去する低沸不純物除去用精留塔
と、該低沸不純物除去用精留塔と配管をもって接続され
るエステル精留塔と、該エステル精留塔の釜残液を上記
低沸不純物除去用精留塔内に還流させるための還流用配
管と、を備えることを特徴とする。ここで、上記「酸触
媒」、「アルコール」及び「不純物」の意味は、前記と
同じである。これらの各精留塔は、通常用いられるもの
を使用でき、この精留塔内には、気液の接触を効率よく
行わせるための蒸留塔内構造物が、多数、配置若しくは
充填される。この蒸留塔内構造物としては、多数の貫通
孔を有する多孔板、棚段又はスリットを有するスリット
状棚段、又はビーズ状若しくは管状等の充填剤及びヘリ
パック型、ヘリグリッド型、ヘンスケ型、ステットマン
型、ディクソン型、マクマホン型、回転バンド型、同芯
管型、オルダーショウ型、キャップ型等の充填剤が用い
られる。目的により所定の段数(例えば、10〜70段
程度)を備える。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例により本
発明を具体的に説明する。 比較例〔アクリル酸2−エチルヘキシルエステル(H
A)の製造について〕 精留塔、凝縮器を備えた5リットルの反応器にアクリル
酸100容量部、2−エチルヘキシルアルコール152
容量部、トルエン50容量部、0.5重量%フェノチア
ジン(PZ)/2−エチルヘキシルアルコール溶液75
容量部、濃硫酸0.6容量部を連続供給し、反応温度1
20℃で連続合成を実施した。反応液はアルカリ水溶液
で、未反応アクリル酸及び触媒である硫酸を中和し、遠
心分離して有機液層を分離し粗エステルを得る。得られ
た粗エステルを連続で不純分カット工程に供給し、トル
エン及び低沸分を留去し残渣は製品塔に供給する。製品
塔で製品を留出し、HAを得て残渣は有効成分回収工程
に送るか若しくは廃棄する。
【0014】上記において、不純分カット塔底温度は1
35〜145℃、PZ濃度は200ppm、〔HHP
(β−2エチルヘトキシプロピオン酸2−エチルヘキシ
ルエステル)+HAP(β−アクリロキシプロピオン酸
2−エチルヘキシルエステル)〕濃度は2.0%、5%
酸素含有窒素(以下、ONという。)を連続300容量
部供給、プロセス液平均滞留時間は30分、製品カット
塔底温度は130〜140℃である。この操業方法で
は、不純物カット塔底液中ポリマー量は約10%であっ
た。そのため、運転開始1週間後製品塔残渣抜き出し工
程で配管のつまりが発生し運転不能となった。尚、原液
中ポリマー濃度は0%である。また、各成分の分析はガ
スクロマトグラフィー法、ポリマー分析はGPC分析法
によった(以下においても同じである。)。
【0015】実施例1(HAの製造について) 精留塔、凝縮器を備えた5リットルの反応器に、アク
リル酸100容量部、2−エチルヘキシルアルコール1
52容量部、トルエン50容量部、0.5重量%フェノ
チアジン/2エチルヘキシルアルコール溶液75容量
部、濃硫酸0.6容量部を連続供給し、反応温度120
℃で連続合成を実施した。反応液はアルカリ水溶液で、
未反応アクリル酸及び触媒である硫酸を中和し、遠心分
離して有機液層を分離し粗エステルを得る。得られた粗
エステルを連続で不純分カット工程に供給し、トルエン
及び低沸分を留去し残渣は製品塔に供給する。製品塔で
製品を留出し、HAを得て、残渣は有効成分回収工程に
送るか若しくは廃棄する。また、他の系列より、HHP
を不純分カット塔底液中の(HHP+HAP濃度)が
5.0%になるように供給した。上記において、不純分
カット塔底温度は135〜145℃、PZ濃度は200
ppm、(HHP+HAP)濃度は5.0%、5%ON
を連続300容量部供給、プロセス液平均滞留時間は3
0分、製品カット塔底温度は130〜140℃である。
この操業方法では、不純物カット塔底液中ポリマー量は
1.2%となり、大幅に重合が抑制された。製品塔残渣
抜き出し工程での配管つまりトラブルも皆無となった。
【0016】また、製品塔缶液(HA74%、HAP
5%、HHP17%、その他4%)を、同様に、不純分
カット塔底液中の(HHP+HAP)濃度が5.0%に
なるように供給した。この操業において、不純分カット
塔底温度は135〜145℃、PZ濃度は500pp
m、(HHP+HAP)濃度は5.0%、5%ONを連
続300容量部供給、プロセス液平均滞留時間は25分
である。この操業方法では、不純物カット塔底液中ポリ
マー量は0.9%となり、大幅に重合が抑制された。製
品塔残渣抜き出し工程での配管つまりトラブルも皆無と
なった。上記HHPを単独で供給する場合と、ほぼ同じ
効果が得られた。
【0017】実施例2〔アクリル酸ブチルエステル(B
A)の製造について〕 アルコールの種類を、上記実施例1における2−エチル
ヘキシルアルコールの代わりに、ノルマルブチルアルコ
ールを用いて、実施例1と同様のプロセスでBAを製造
した。BAの場合、〔BAP(β−アクリロキシプロピ
オン酸ブチルエステル)+BBP(β−ブトキシプロピ
オン酸ブチルエステル)〕濃度で管理し、ミカエル付加
物を添加しない場合、不純分カット塔底液中の(BBP
+BAP)濃度が2.0%で、ポリマー量は8%であ
り、製品塔缶液を還流後は(BBP+BAP)濃度が
5.0%で、ポリマー量は2%であり、HAの場合と略
同様の結果が得られた。
【0018】実施例3(HA熱安定試験について) カセイソーダ水溶液による中和及び有機液層/水層との
分離工程を経て得られた不純物除去工程に供給される有
機層液に、表1に示すように、Pzの200ppm又は
500ppmの添加及びHA精留時釜残液の添加(下記
実施例4にて示した還流量が5.3%又は11%であ
る。)について、種々の組合せについて試験した。尚、
この試験方法は、50mlのガラスアンプルに、表1に
示す所定量の有機層液、釜残液及びPzが配合されたサ
ンプルを調整し、150℃にて6、12及び24時間加
熱し、上記と同様の方法にて分析した。この結果を表1
及び図1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】尚、この有機層(上層)の組成は、HA;
78.0重量%、HHP;0.87重量%である。この
釜残液の組成は、HA;55.4重量%、HHP;1
7.4重量%である。これらの結果によれば、釜残液の
添加による効果は著しく大きい。更に、釜残液の11%
の還流及び重合防止剤200ppmの添加の場合には、
ブランクの場合と比べると、1/4という極めて少量の
ポリマーしか生成していない。重合防止剤500ppm
の場合よりも、釜残液の5.3%及び11%の添加の方
が優れた効果を示した。
【0021】実施例4〔アクリル酸メチルエステル(M
A)の製造について〕 以下に示す試験的実機条件下において、MA精留時の釜
残液の還流量を0%、2.4%、4.9%、7.5%及
び23%とした場合の不純物(低沸物)除去工程におけ
る重合防止効果について試験した。この還流量(%)は
下式により計算される。 還流量(%)=〔上記釜残液の不純物除去用精留塔への
還流量(V2 )〕/〔不純物除去用精留塔へ供給される
エステル液(有機液)(V1 )〕×100
【0022】また、この不純物除去工程に供給されるエ
ステル液の組成は、アルコール:7.5%、MA:85
%、MMP(ミカエル付加物):1.0%、水:3.0
%、MAP(ミカエル付加物):0.5%、その他:
3.0%である。エステル精留塔の釜残液の組成は、M
A:40%、MMP:30%、MAP:15%、その
他:15%である。更に、重合の程度は、不純物除去用
精留塔のリボイラーの総括伝熱係数を毎日測定し、この
低下程度により判断した。この結果を図2及び図3に示
す。そして、この総括伝熱係数が500Kcal/m2 ・℃・
h 前後となった時点で運転を中止した。尚、上記「MM
P」は3−メトキシプロピオン酸メチル(MAへのメタ
ノールのミカエル付加物)、「MAP」は3−アクリロ
キシプロピオン酸メチル(MAへのアクリル酸のミカエ
ル付加物)である。このリボイラーは、多管式サーモサ
イホン型リボイラーである。
【0023】〔主な試験的実機テスト条件等〕 アルコールとしてメチルアルコール、触媒として硫酸
を用いた。 反応工程における温度は105〜125℃、不純物除
去用精留塔の塔底温度は80〜90℃程度、エステル精
留塔の塔底温度は50〜60℃程度である。 重合防止剤としてハイドロキノン(HQともいう。)
を用い、重合防止剤濃度は、例えば不純物除去工程にお
ける第1釜残液中の濃度が約150〜220ppm、エ
ステル精留工程における第2釜残液中の濃度が約150
〜220ppmに調整されている。尚、この濃度は、1
00〜300ppm範囲内の他の濃度とすることもでき
る。また、系内は5%酸素含有窒素雰囲気とした。 不純物除去工程に供給されるエステル液の流量を10
0L/Hrとする場合、エステル精留塔釜残液から不純
物除去工程に還流される流量が2.4L/Hr、4.9
L/Hr、7.5L/Hr及び23L/Hr、不純物除
去工程から不純物(主に水)が留去される流量が9.5
〜10.5L/Hr、不純物(低沸物)が除去された第
1釜残液がエステル精留工程に供給される流量が92〜
114L/Hrである。
【0024】図2の結果によれば、不純物除去工程残渣
中(MMP+MAP)濃度(イナート量ともいう。)が
4%から5%になると、即ちエステル精留塔釜残液の還
流が4.9〜7.5%になると、著しく重合を防止でき
る。そして、このイナート量が10%になると、即ちエ
ステル精留塔釜残液の還流が23%になると、その重合
防止効果も飽和する傾向にある。図2及び図3の結果に
よれば、このイナート量が5%以上になると、運転停止
に至るまでの運転日数が、非還流の21日と比べると、
各々90日及び91日となり、約4.3倍延長され、著
しく重合が防止されていることを示している。尚、この
イナート量が4%であっても、この停止までの運転日数
は37日であり、非還流の場合の1.8倍を示した。ま
た、(メタ)アクリル酸エステル精留時缶残液の代わり
に、系外からMMPを加えた場合にも同様の効果が得ら
れた。
【0025】更に、アルコールの種類をメタノールの代
わりに、エタノールを用いたこと以外は、上記MAの製
造と同様にしてアクリル酸エチルエステル(EA)を製
造した。この際、エステル精留時釜残液の還流量は、不
純物除去工程残渣中(EEP+EAP)量が5%、8%
及び15%〕となるように、同様に運転をして、同様に
重合程度を評価した。この結果によれば、運転停止に至
るまでの日数が、非還流の22日と比べると、各々39
日、89日及び95日となり、各々、1.8倍、4.0
倍、4.3倍延長され、著しく重合が防止されているこ
とを示している。ここで、「EEP」は3−エトキシプ
ロピオン酸エチル(EAへのエタノールのミカエル付加
物)、「EAP」は3−アクリロキシプロピオン酸エチ
ル(EAへのアクリル酸のミカエル付加物)である。
【0026】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
上記実施例にて記載した、試験的実機における製造条件
は、あくまで、一例であり、目的、用途により種々変更
した流量、精留塔加熱温度等を設定できる。また、重合
防止剤の種類もPz及び上記ハイドロキノン以外のもの
をも適用できる。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、(メタ)ア
クリル酸エステルのミカエル付加物を不純物除去工程に
流入させる(添加する)のみで、容易に、簡便に且つ効
率的に(メタ)アクリル酸エステルの重合を防止しつ
つ、効率的に(メタ)アクリル酸エステルを製造でき
る。更に重合防止剤を併用すれば、更に重合防止効率を
向上させることができる。本発明の製造装置を用いれ
ば、(メタ)アクリル酸エステル精留塔の釜残液の還流
用配管を設けるのみという、極めて簡便で且つ従来の装
置を変更することなく、重合防止を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において、アクリル酸2−エチルヘキシ
ルエステルの熱安定試験の結果を示すグラフである。
【図2】実施例において、アクリル酸メチルエステルの
製造において不純物除去用精留塔の運転21日後の総括
伝熱係数又は運転停止に至るまでの日数と、イナート量
又はMA精留塔釜残液の還流量との各関係を示すグラフ
である。
【図3】実施例において、アクリル酸メチルエステルの
製造において不純物除去用精留塔のリボイラーの総括伝
熱係数と、イナート量及び運転日数との各関係を示すグ
ラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒の存在下、アクリル酸若しくはメタ
    クリル酸とアルコールとをエステル化反応させ、該反応
    で得た低沸不純物を含む粗アクリル酸エステル液又は粗
    メタクリル酸エステル液を低沸不純物留去工程に移送し
    該工程において、該低沸不純物を加熱しつつ留去するア
    クリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの製造方法
    において、 上記アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル
    と上記アルコール、及び上記アクリル酸若しくは上記メ
    タクリル酸との各ミカエル付加物のうちの少なくとも1
    種を、該低沸不純物留去工程の釜残液における濃度が3
    〜30重量%となるように、上記粗アクリル酸エステル
    液又は上記粗メタクリル酸エステル液に添加することを
    特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記粗アクリル酸エステル液若しくは上
    記粗メタクリル酸エステル液に、上記ミカエル付加物及
    び重合防止剤を添加することを特徴とする請求項1記載
    の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 アクリル酸若しくはメタクリル酸とアル
    コールとのエステル化反応器と、該反応器において生成
    される低沸不純物を含む粗アクリル酸エステル液又は粗
    メタクリル酸エステル液が供給されるとともに、該粗ア
    クリル酸エステル液又は粗メタクリル酸エステル液中に
    含まれる該低沸不純物を、加熱しつつ留去する低沸不純
    物除去用精留塔と、該低沸不純物除去用精留塔と配管を
    もって接続されるエステル精留塔と、該エステル精留塔
    の釜残液を上記低沸不純物除去用精留塔内に還流させる
    ための還流用配管と、を備えることを特徴とする、(メ
    タ)アクリル酸エステルの製造装置。
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