JPH0929572A - 治具の位置調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンベア上に固定されたパレット上のワーク
保持用治具を、コンベアの短時間停止時に自動的に位置
調整する。 【解決手段】 パレット上に固定したレールに対する治
具の固定手段としてボルトを用いず、強力なばねを利用
して固定するようにすると共に、ばねによる固定の解除
は昇降ロッドの下降によりカムを介して行い、かつ、こ
の昇降ロッドの下降時の水平移動により所定位置へ治具
を移動できるようにし、昇降ロッドの上昇により自動的
に治具をレールに固定できるようにしたことを特徴とす
る治具の位置調整装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はコンベア上に固定さ
れたパレット上に、治具によりワーク（被加工物）を所
定位置に保持し、このワークを順次移動させながら作業
を行う際、ワークを保持しているパレット上の治具をワ
ークのサイズに合わせて容易に移動可能とした治具の位
置調整装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ワークを保持するパレットの上面
には、例えば複数のレールを直交方向に配置し、このレ
ール上に治具（ワークを安定的に所定位置に保持するた
めのガイド部材）を摺動可能、かつ、ボルトにて任意の
位置に固定可能に設けられていた。

【０００３】従って、ワークのサイズ変更に際して治具
の位置を移動させる際には、治具固定用のボルトを緩め
て治具を所定位置に移動させ、その位置でまたボルトを
締めるという作業を各治具において行うものであった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の治具にあっ
ては、通常、１個の治具に最低２つのボルトが設けられ
ており、また、１つのパレットには４〜８個の治具が配
置されており、さらに、コンベアには何十という多数の
パレットが設けられているため、これらパレット上の全
ての治具を新規なサイズのワークに適合する位置に移動
させるには長時間コンベアを止める必要があった。

【０００５】特に、作業の合理化が叫ばれている昨今、
作業時間中にコンベアを止めることは許されず、パレッ
ト上の治具の移動は、自ずと工場の休日に行わねばなら
ないことになる。

【０００６】また、人手によるボルトの緩めや締め込み
には強い力を必要とし、特に所定位置での治具の締め付
けに際しては、ボルト締めの際に治具の位置がずれない
ように片手で治具をしっかりと支えながら、他方の手で
強くボルトを締め付ける必要があり、この作業は熟練を
要するものであった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記のような
従来の問題点を解決したものであって、レールに対する
治具の固定手段としてボルトを用いず、強力なばねを利
用して固定するようにすると共に、ばねによる固定の解
除は昇降ロッドの下降によりカムを介して行い、かつ、
この昇降ロッドの下降時の水平移動により所定位置へ治
具を移動できるようにし、昇降ロッドの上昇により自動
的に治具をレールに固定できるようにしたことを特徴と
するものである。

【０００８】すなわち、本発明は、パレットＰの上面に
Ｃ型チャンネル状のレール２５をその開口縁部２６を上
にして固定し、外側部にワークガイド２を有する治具１
を前記レール２５の上面に沿って摺動可能に配置し、上
端部にフランジ１１を備えたロックピン１０の該フラン
ジ１１と治具１の底壁４との間に圧縮コイルばね１２を
介在させてロックピン１０の下端部を治具１の底壁４よ
り下方に上下動可能に貫通させると共に該下端部を前記
レール２５の内部に摺動可能に設けたロックプレート１
５に固定し、治具１内の前記ロックピン１０の上方に、
水平ピン２２を中心にして前記ロックピン１０の上端と
接離する偏心カム１８を回動可能に配置すると共に該偏
心カム１８にＣ型レバー２１を斜め上方に張り出すよう
に設け、治具１の上方に配置した昇降ロッド３０の下降
によりＣ型レバー２１を介して偏心カム１８を回動さ
せ、前記圧縮コイルばね１２の作用にてレール２５を治
具１の底壁４との間に挟圧固定していたロックプレート
１５をロックピン１０を介して押し下げて昇降ロッド３
０のレール２５に沿った移動に追従して治具１の移動を
自由とし、昇降ロッド３０の上昇により前記圧縮コイル
ばね１２の圧力にて治具１をレール２５に固定できるよ
うにした治具の位置調整装置である。

【０００９】本発明に係る治具の位置調整装置において
は、図１に示す治具１の固定状態において、昇降ロッド
３０を降下させるとＣ型レバー２１を介して偏心カム１
８が右回転し、ばね１２の圧力に抗してロックピン１０
を図２のように押し下げることにより、ロックピン１０
の下端に固定されているレール２５内のロックプレート
１５も少し下る。

【００１０】これにより治具１とレール２５との挟圧固
定が解除されるため、昇降ロッド３０をレール２５に沿
ってそのまま目的位置まで移動させると治具１も容易に
追従する。

【００１１】次いで、所定位置において昇降ロッド３０
を上昇させるとＣ型レバー２１を介して偏心カム１８が
逆に左回転し、図１のように偏心カム１８によるロック
ピン１０の押圧を解くため、ばね１２の作用にてレール
２５内のロックプレート１５が上昇して治具１の底壁４
との間でレール２５を挟圧することになり、治具１がば
ね１２の作用にて自動的にレール２５に固定される。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は本発明に係る治具の位置調
整装置の縦断側面図で、治具１は、合成樹脂製パレット
Ｐ上に保持するワークＷの形状に対応したワークガイド
２を外側部に備えた合成樹脂製又は金属製のボックス状
のもので、中心部には図２、図３に示すように上部に垂
直状の丸穴３を形成すると共にその底壁４にピン穴５を
設け、該丸穴３の側部にも垂直状の角穴６を設け、この
角穴６と前記丸穴３の間をスリット７により連通させた
ものであり、底壁４の下面にはレール２５の開口縁部２
６に摺動可能に嵌るガイド突起８を有するものである。
なお、９は前記スリット７の下部に立設されたばねガイ
ドである。

【００１３】１０は、上端部にフランジ１１を備えたロ
ックピンで、該フランジ１１と治具１の底壁４との間に
強力な圧縮コイルばね１２を介在させてその下端部を前
記ピン穴５に貫通させ、レール２５の内部に摺動可能に
設けたロックプレート１５と固定されている。なお、１
３はロックピン１０の上端中心部に回転可能に設けられ
たボールで、偏心カムの回動をスムーズに行うためのも
のである。

【００１４】ロックプレート１５は図２のように、上面
にレール２５の開口縁部２６に摺動可能に嵌る凸部１６
を備えたもので、レール２５の内部の高さ寸法より少し
薄い厚さのものであり、常時は圧縮コイルばね１２の作
用により、図１のようにこのロックプレート１５と治具
１の底壁４にてレール２５を挟圧固定している状態にあ
る。

【００１５】１８は前記ロックピン１０の上方に設けら
れた板状の偏心カムで、斜め上方に張り出すように上部
レバー１９と下部レバー２０とからなるＣ型レバー２１
が一体的に設けられ、水平ピン２２を支点として約４５
°回動するようになっている。

【００１６】この偏心カム１８は、図１の状態、すなわ
ち、Ｃ型レバー２１の上部レバー１９が角穴６に臨んで
いない状態においては、水平ピン２２の中心と偏心カム
１８の下端（ａ）間の寸法が、水平ピン２２の中心とボ
ール１３の上面間の寸法より短くなっており、偏心カム
１８とボール１３の上面とは接しておらず、圧縮コイル
ばね１２はロックピン１０のフランジ１１に作用してレ
ール２５内のロックプレート１５を上方に引き上げて治
具１をレール２５に固定している。

【００１７】一方、偏心カム１８の右斜め下方の（ｂ）
点においては、水平ピン２２の中心とこの（ｂ）点間の
寸法が、水平ピン２２の中心とボール１３の上面間の寸
法より大きくなっており、偏心カム１８のＣ型レバー２
１が図１の二点鎖線のように下方に下ると（ｂ）点にて
ボール１３の上端を押し下げることになり、これに伴い
ロックピン１０を介してロックプレート１５がレール２
５内において図２のようにレール２５の開口縁部２６の
下面から離れ、治具１のロックが解かれて治具１はレー
ル２５上を自由に摺動可能な状態となる。

【００１８】偏心カム１８の斜め上方に張り出すように
設けられたＣ型レバー２１は、上部レバー１９と下部レ
バー２０により斜め上向きのＣ型を形成しているもの
で、このＣ型の開口部が図１のように斜め上方に向いて
いる場合には、上部レバー１９は角穴６内に臨まず、下
部レバー２０のみが水平ピン２２の側部において角穴６
を横切るように張り出している。

【００１９】３０は治具１の角穴６に挿脱可能な昇降ロ
ッドで、図１、図２に示すように、先端とその上部に配
置した３つのローラ３１、３２、３３を２枚の板状ロッ
ド３４にて回転可能に両側から挟持したものである。

【００２０】上記３つのローラのうち先端部のローラ３
１は板状ロッド３４の幅より狭い外径で、下端と右方に
その外周部が板状ロッド３４より少し張り出すように設
けられ、中間部のローラ３２は先端のローラ３１と同径
で板状ロッド３４より少し左方に張り出すように設けら
れ、前記両ローラ３１と３２の間隔は図１の二点鎖線に
て示すようにＣ型レバー２１の内部に収まる間隔に設け
られている。また、最上部のローラ３３は板状ロッド３
４の幅より少し大きな外径のもので、図１の二点鎖線に
て示すように昇降ロッド３０が下降した際治具１の角穴
６内に収まる位置に設けられている。

【００２１】この昇降ロッド３０は、図４、図５に示す
治具の移動機構３５の昇降可能なロッド４０の下端部に
固定されている。すなわち、この移動機構３５は、サー
ボモータ３６の回転により水平配置されたねじ軸３７を
介して水平移動する移動体３８の側部に垂直状に設けら
れたシリンダー３９内にロッド４０が昇降可能に設けら
れているもので、各部の動きはコンピュータ制御により
駆動されるものである。

【００２２】前記の移動機構３５は、図４に示すように
コンベアＣを跨いでパレットＰの上方に配置したフレー
ム４１の下面に、パレットＰ上の各治具１と対応させて
設けられ、移動機構３５のロッド４０の中心と治具１の
角穴６の中心とが合致するように位置決めされている。

【００２３】治具の位置調整方法は次の通りである。コ
ンベアＣを停止させてパレットＰ上に治具１にて保持し
たワークＷに対し作業を行っている時、図６のように１
つのパレットＰ１が、コンベアＣを跨いで設置され下面
に複数の移動機構３５を備えたフレーム４１の下部に位
置するようにしておく。

【００２４】このコンベアＣの停止位置において、移動
機構３５のロッド４０を油圧にて降下させると、ロッド
４０の下端に固定された昇降ロッド３０が下降し、図１
のように治具１の角穴６に挿入される。

【００２５】昇降ロッド３０の下降により角穴６内を横
切っているＣ型レバー２１の下部レバー２０を図１の二
点鎖線にて示すように下方に押し下げる。このＣ型レバ
ー２１の押し下げにより水平ピン２２に支持されている
偏心カム１８が約４５°回転し、図２のようにボール１
３の上面を偏心カム１８の（ｂ）点にて少し押し下げる
ことになり、この押し下げによりロックプレート１５も
押し下げられるためレール２５と治具１との挟圧固定が
解除され、治具１はレール２５に沿って自由に摺動し得
る状態となる。

【００２６】この状態において、移動機構３５のサーボ
モータ３６を駆動し、移動体３８を介して昇降ロッド３
０を所定の位置に移動させると治具１は昇降ロッド３０
の移動に追従してレール２５上を移動する。

【００２７】治具１を次のワークＷに対応する所定の位
置に移動させた後、その場で昇降ロッド３０を油圧にて
引き上げると、中間のローラ３２によりＣ型レバー２１
の上部レバー１９を押し上げて偏心カム１８を約４５°
左方に回転し、（ｂ）点によるボール１３の押し下げを
解除する。

【００２８】これにより圧縮コイルばね１２がフランジ
１１の下面を上方に押し上げ、ロックピン１０を介して
その下端のロックプレート１５も強力な力で引き上げら
れるため、図１のように治具１の底壁４とロックプレー
ト１５との間でレール２５を挟圧し、治具１をレール２
５に固定する。

【００２９】上記のコンベアＣが停止してから、昇降ロ
ッド３０が降下し、所定の位置に移動させた後、昇降ロ
ッド３０を引き上げて治具１を再度固定するまでに要す
る時間は約１５秒程度で、この時間はコンベアＣを停止
させてパレットＰ上のワークＷに対し各種の作業を行う
最小時間の範囲内である。

【００３０】

【発明の効果】本発明においては、治具の固定解除、移
動及び再固定という一連の工程が十数秒という短時間に
行えるため、流れ作業において間欠送りされているコン
ベアの停止中に順次行える。

【００３１】また、前記治具の固定解除、移動及び再固
定という一連の作業は、治具の上方に対応させて配置さ
れたコンピュータ制御による移動機構の昇降ロッドの下
降、移動及び上昇という一連の操作により、治具がずれ
ることなく自動的に正確かつ確実に行える。

【００３２】そして、治具の移動調整が終了したパレッ
ト上には、直ちに次の異なるサイズのワークを設置し保
持できるので時間待ちの無駄がない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の治具固定状態における縦断側面図。

【図２】本発明の治具解除状態における縦断正面図。

【図３】本発明の治具をパレット上に設置した状態の平
面図。

【図４】パレット上方に治具と対応させて配置した移動
機構の底面図。

【図５】移動機構の側面図。

【図６】コンベア上に固定されたパレットの平面図。

【符号の説明】

１ 治具 ３ 丸穴 ４
底壁 ６ 角穴 ７ スリット ８
ガイド突起 １０ ロックピン １１ フランジ １２
圧縮コイルばね １３ ボール １５ ロックプレート
１６ 凸部 １８ 偏心カム １９ 上部レバー
２０ 下部レバー ２１ Ｃ型レバー ２２ 水平ピン
２５ レール ３０ 昇降ロッド ３１．３２．３３．ローラー
３５ 移動機構

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パレットＰの上面にＣ型チャンネル状の
   レール２５をその開口縁部２６を上にして固定し、外側
   部にワークガイド２を有する治具１を前記レール２５の
   上面に沿って摺動可能に配置し、上端部にフランジ１１
   を備えたロックピン１０の該フランジ１１と治具１の底
   壁４との間に圧縮コイルばね１２を介在させてロックピ
   ン１０の下端部を治具１の底壁４より下方に上下動可能
   に貫通させると共に該下端部を前記レール２５の内部に
   摺動可能に設けたロックプレート１５に固定し、治具１
   内の前記ロックピン１０の上方に、水平ピン２２を中心
   にして前記ロックピン１０の上端と接離する偏心カム１
   ８を回動可能に配置すると共に該偏心カム１８にＣ型レ
   バー２１を斜め上方に張り出すように設け、治具１の上
   方に配置した昇降ロッド３０の下降によりＣ型レバー２
   １を介して偏心カム１８を回動させ、前記圧縮コイルば
   ね１２の作用にてレール２５を治具１の底壁４との間に
   挟圧固定していたロックプレート１５をロックピン１０
   を介して押し下げて昇降ロッド３０のレール２５に沿っ
   た移動に追従して治具１の移動を自由とし、昇降ロッド
   ３０の上昇により前記圧縮コイルばね１２の圧力にて治
   具１をレール２５に固定できるようにした治具の位置調
   整装置。
2. 【請求項２】 ロックピン１０の中央上端部にボール１
   ３を回転可能に備えた請求項１記載の治具の位置調整装
   置。