JPH09291900A - 組立型消音装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低周波領域に対しても遮音性能の高い軽量な
消音パネルを用いて簡易且つ経済的に組立または解体作
業を行うことができる組立型消音装置を提供すること。 【解決手段】 この消音装置１は、複数の吸音材が重合
された消音パネル５を、軸流ファン４の周囲を取り囲む
ようにして箱形に組み立てられ、天井スラブ下面に吊り
下げられた状態で設置されており、断面中央に配された
２層の石膏ボード６と、その石膏ボード６の両側に配さ
れたグラスウール７と、そのグラスウール７の外側の消
音装置１の外壁をなす側に配された亜鉛鉄板８ａと、消
音装置１の内壁をなす側に配され、消音装置１内部の騒
音の反射を抑えるために多数の小孔を有する亜鉛鉄板８
ｂとから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、特に、建物内に
設置される空気調和設備の排気用の大型送風機（軸流フ
ァン）等を消音するために用いられる組立型消音装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、一般的に、ダクトに連結された排
気用の軸流ファンの消音方法は、建物の内部あるいは外
部の所定位置に仮設の小屋を設置してその内部に軸流フ
ァンを収納しており、小屋の内壁部分に、グラスウー
ル，フェルト，吸音ボード等の吸音材料を貼付すること
により消音を行っている。

【０００３】また、特に低周波領域の騒音を消音するた
めに、比較的重量の大きな軽量気泡コンクリート（ＡＬ
Ｃ）版等の吸音材料を内張りしている。さらに、これ以
外に、機械室内部に送風機を収納設置して各居室とダク
トを介して連結する方法もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の軸流送風機の消音方法にあっては、特に、
低周波領域の騒音を遮断するためには、送風機の周囲に
設置される吸音材料が大重量となり、このため、装置が
大規模になって施工効率が悪くなるとともに設置スペー
スを充分に確保しなければならないという問題があっ
た。

【０００５】また、軸流送風機と、居室上側の空調機と
の距離が遠距離になって、これらを連結するダクトが長
くなるために、エネルギー効率が悪くなるという問題も
あった。

【０００６】そこで、この発明は、上記、従来の未解決
の課題に着目してなされたものであり、低周波領域に対
しても遮音性能の高い軽量な消音パネルを用いて簡易且
つ経済的に組立または解体作業を行うことができる組立
型消音装置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の諸問題を解決する
ために、この発明は、建物内に設置される空気調和設備
の送風機から発生する騒音を消音するための消音装置で
あって、前記送風機を複数の吸音材が重合された消音パ
ネルで包囲してなることを特徴とする組立型消音装置を
提供する。

【０００８】これにより、組立型消音装置の内部に設置
される空調用の送風機の個々の形状に応じて、適宜、そ
の機器類の周囲近傍を消音パネルによって包囲すること
により、天井内部等の狭いスペースを有効に利用して設
置することができ、内部の機器類を修理，点検する場合
にも組立型消音装置を容易に解体することができる。

【０００９】また、複数の異なる吸音材を重合して消音
パネルが構成されることによって、例えば、低周波数領
域に対して充分な遮音性を備えた吸音プラスタ等からな
る吸音材と、比較的、中高周波数領域に遮音性の高いグ
ラスウール，フェルト等の綿状からなる異なる吸音材に
よって構成して、組立型消音装置内部に設置された送風
機から発生する風切り音等の騒音を低周波数帯域から高
周波数帯域に至る広い範囲で遮断する。

【００１０】また、前記消音パネルは断面中央に配され
た石膏ボードと、その石膏ボードの両側に配されたグラ
スウールと、そのグラスウールの両側に配され、前記組
立型消音装置の内壁をなす側に多数の孔を備えた亜鉛鉄
板とからなる場合には送風機の最適な遮音性能を備えた
消音パネルが具現化され、断面中央の吸音プラスタから
なる軽量な石膏ボードによって低周波領域の騒音が遮断
され、その両側の綿状のグラスウールによって中高周波
数領域の騒音を遮断し、さらに、その両側に配された亜
鉛鉄板によって比較的強度の低い石膏ボードを防護する
ことにより消音パネルの剛性強度を向上する。

【００１１】さらに、前記消音パネルの接合面に凹凸部
を形成し、その凹凸部を相互に嵌め合わせることにより
前記消音パネルを組み立ててあることにより、組立型消
音装置を構成する消音パネルの接合部の形態が具現化さ
れ、各接合面がラビリンス状になることにより騒音が接
合面で反射し装置外部への漏洩が防止される。

【００１２】また、前記消音パネルを箱形に組立てて前
記送風機を包囲したことにより、一種類の平らな板状体
からなる消音パネルを所定の大きさに形成して各消音パ
ネルを適宜接合して組立てるパネル構造として、組立型
消音パネルの製作工期の短縮と品質の安定化を図る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、この発明の組立型消音装置
の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１中、１は
組立型消音装置（以下、消音装置と略称する。）であ
り、ここでは、居室上側の天井２内部に配された空調設
備３内の排気用の軸流ファン４から発生する風切り音等
の騒音を消音するためのものである。

【００１４】この消音装置１は、複数の吸音材が重合さ
れた消音パネル５を、軸流ファン４の周囲を取り囲むよ
うにして天井内の柱２ａ，梁２ｂとの取合いを考慮して
現場または工場において、予め、箱形に組み立てられ、
天井スラブ２０の下面に吊り下げられた状態で設置され
ている。

【００１５】この消音パネル５は、図２に示すように、
ここでは、断面中央に配された２層の厚さ１２ｍｍから
なる石膏ボード６と、その石膏ボード６の両側に配さ
れ、密度が２４ｋｇ／ｍ³ で厚さが３５ｍｍのグラスウ
ール７と、そのグラスウール７の外側の消音装置１の外
壁をなす側に配された１．６ｍｍの亜鉛鉄板８ａと、消
音装置１の内壁をなす側に配され、消音装置１内部の騒
音の反射を抑えるために多数の小孔を有する厚さ０．８
ｍｍの亜鉛鉄板８ｂとから構成されている。

【００１６】さらに、各消音パネル５の接合構造のう
ち、図３（ａ）に示すように、消音パネル５の継手部の
構造は、上側の消音パネル５を天井スラブ２０と接着
し、各消音パネル５の接合面を、その中央の２層の石膏
ボード６を突出または窪ませて、その周囲を亜鉛鉄板８
ａで覆ってあり、これら凹凸部１０を嵌め合わせて接合
面にゴムスポンジ製のパッキン９を介在することにより
隙間なく密着してある。

【００１７】また、図３（ｂ）に示すような消音パネル
５の仕口部の構造は、接合される各消音パネル５のう
ち、端面が接合面となる消音パネル５の石膏ボード６を
窪ませて、その周囲を亜鉛鉄板８で覆うことにより凹部
を形成しており、さらに相手側の消音パネル５側面に凸
部を形成してこれら凹凸部１０を嵌め合わせてパッキン
９を介在することにより、隙間なく密着してある。

【００１８】一方、図１に示すように、消音装置１は、
ここでは、内部を仕切り用のパネル１１によって３つの
消音室１２に仕切っており、各仕切り用のパネル１１に
は連通口１３を備えている。

【００１９】ここで、中央の消音室１２には軸流ファン
４を配し、その給気側および排気側の両端にはフレキシ
ブル伸縮継手１４の一端が接続され、その他端が前記仕
切り用のパネル１１の連通口１３に取り付けれている。

【００２０】また、前記中央の消音室１２の給気側の消
音室１２内部には管状の吸音ダクト１６が配されてお
り、その周囲の空間内にはグラスウール，フェルト等の
綿状の吸音材１７が詰め込まれている。

【００２１】さらに、この消音室１２の給気側の開口部
にはダクト１８が接続され、このダクト１８はＴ管であ
り、二又に分岐するダクト１８のうち、一方が各居室の
天井に設けられた図示しない給気口に接続され、他方は
吸音ダクトを介して天井内の吸込み口１９に接続されて
いる。

【００２２】このように構成された消音装置１の遮音性
能を検証するために、消音装置１内部の軸流ファン４を
作動して騒音を発生させ、この騒音を消音装置１内部の
軸流ファン４近傍と、消音装置１外部の消音装置１の上
側および両側位置にマイクロフォンを設置して各周波数
ごとの遮音量を測定し、設計段階で計画された遮音量と
比較して評価し、その結果を以下の表１に示した。

【００２３】

【表１】 これにより、計画段階における遮音量が充分に確保さ
れ、図４に示すように、室内騒音のＮＣ換算値で４０以
下をすべての周波数帯域において達成することができ
た。また、特に、遮音することが困難な低周波領域（６
３Hz及び１２５Hz帯）での音響透過損失において好適な
結果が得られた。

【００２４】このように、軽量な消音パネル５によって
低周波数帯域から高周波数帯域に至る広い範囲の騒音に
充分な遮音性能を確保することができるので、居室近傍
の天井内等の狭いスペースを有効利用して簡易且つ経済
的に設置することができる。

【００２５】また、消音装置１１内部の軸流ファン４を
点検する際にも容易に解体することができ、メンテナン
ス性を向上することができる。なお、上記実施の形態に
おいては、各消音パネル５の接合面に各々形成された１
つの凹凸面を相互に嵌め込むことにより、接合するよう
にしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、複
数の凹凸部によって相互に嵌め込むことにより密封性を
向上することもできる。

【００２６】また、これ以外の消音パネル５の接合構造
は、図５（ａ）に示すように、予め消音装置１の設置さ
れるべき位置の天井スラブにインサート２１を埋設して
その位置に設置される消音パネル５の下端に形成された
凹部から基礎ボルト２２を貫通して前記インサート内部
に螺合し、さらに、消音パネル５の下端の凹部２３から
突出する基礎ボルト２２に長ナット２４を半分程度螺合
することにより、消音パネル５を天井スラブ２０に固設
する。

【００２７】また、この消音パネル５と接続される消音
パネル５も同様にして断面中央に基礎ボルト２２を貫通
し、上端から突出する基礎ボルト２２を前記長ナット２
４内部に螺合して、消音パネル５の下端の凹部２３から
突出する基礎ボルト２２に長ナット２４を螺合して締め
付けることにより固定する。

【００２８】さらに、消音パネル５の下端から消音パネ
ル５を横向きにして接続する場合には、前記消音パネル
５との当接面となる側面を基礎ボルト２２によって貫通
し、消音パネル５下端の凹部２３に取り付けられた長ナ
ット２４内部に、基礎ボルト２２を螺合固定し、消音パ
ネル５下端から突出する基礎ボルト２２をナット２５に
よって固定することもできる。

【００２９】さらに、上記実施の形態においては、天井
スラブ２０内部にインサート２１を埋設し、このインサ
ート２１内部に基礎ボルト２２を螺合することにより、
消音装置１と天井スラブ２０とを固定するようにした
が、これ以外に、図５（ｂ）に示すように、消音パネル
５が配される位置の両側上部の天井スラブ２０内に貫通
孔２６を設けて基礎ボルト２２を貫通し、天井スラブ２
０から突出する基礎ボルト２２の上下端部をナット２５
によって固定し、天井スラブ２０下面から突出する基礎
ボルト２２を消音パネル５の両側に取り付けられた山形
鋼からなる取付金具２７を介してナット２５で固定する
こともできる。

【００３０】また、消音装置１の各消音パネル５の接合
方法は、上記実施の形態に限ることなく亜鉛鉄板どうし
を溶接接合することも可能である。なお、上記実施の形
態における消音パネル５を構成する材料は必ずしもこれ
に限るものではなく、石膏ボード６に代えて、例えば、
吸音プラスタ等の多孔質型吸音材料で構成してもよい。

【００３１】また、グラスウールに代えてフェルト，軟
質繊維板，布等の綿状材料で構成してもよい。さらに、
亜鉛鉄板に代えて、ステンレス，アルミ等の各種鋼板で
構成することもできる。

【００３２】さらに、上記実施の形態においては、消音
装置１を空調用の軸流ファンに適用した場合について説
明したが、これに限ることはなく、あらゆる騒音発生源
となる機器類に適用することができるのは勿論である。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の組立型
消音装置は、送風機の周囲を、複数の吸音材が重合され
た消音パネルで包囲してなることにより、現場または工
場において、所望の形状に簡易且つ経済的に製作するこ
とができ、建物の天井内等の小スペースを有効利用でき
るとともに、内部の機器類の修理，点検等のメンテナン
ス性も向上することができる。

【００３４】そして、請求項２に記載したように、この
消音パネルを、断面中央に配された２層の石膏ボード
と、その石膏ボードの両側に配されたグラスウールと、
そのグラスウールの両側に配され、一側に多数の孔を有
する亜鉛鉄板とから構成することにより、装置全体を軽
量化することができ、なおかつ、天井下側の居室スペー
スへの遮音性能を充分に確保することができる。

【００３５】さらに、請求項３に記載したように、消音
パネルの接合面に凹凸部を形成し、その凹凸部を相互に
嵌め合わせて組み立てることにより、騒音が接合面で反
射し装置外部への漏洩が防止される。

【００３６】さらに、請求項４に記載したように、消音
パネルを箱形に組立てて前記送風機を包囲して形成され
ることにより、組立型消音装置をパネル構造として、施
工性の向上と品質の安定化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態にかかる組立型消音装置
を示す平面断面図である。

【図２】図１で示した組立型消音装置の消音パネルを示
す側部断面図である。

【図３】図２の消音パネル接合部の詳細を示す側部断面
図である。

【図４】この発明の実施の形態にかかる組立型消音装置
の遮音試験の結果を示す折れ線グラフである。

【図５】組立型消音装置の消音パネルの接合部の変形例
を示す側部断面図である。

【符号の説明】 １……消音装置 ２……天井 ３……空調設備 ４……軸流ファン ５……消音パネル ６……石膏ボード ７……グラスウール ８……亜鉛鉄板 ９……パッキン １０……凹凸部 １１……パネル １２……消音室 １３……連通口 １４……フレキシブル伸縮継手 １７……吸音材 １８……ダクト １９……吸込口 ２０……天井スラブ ２２……基礎ボルト ２７……取付金具

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物内に設置される空気調和設備の送風
   機から発生する騒音を消音するための消音装置であっ
   て、前記送風機の周囲を、複数の吸音材が重合された消
   音パネルで包囲してなることを特徴とする組立型消音装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の組立型消音装置におい
   て、前記消音パネルは断面中央に配された石膏ボード
   と、その石膏ボードの両側に配されたグラスウールと、
   そのグラスウールの両側に配され、前記組立型消音装置
   の内壁をなす側に多数の孔を備えた亜鉛鉄板とからなる
   ことを特徴とする組立型消音装置。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の組立型消音装置におい
   て、前記消音パネルの接合面に凹凸部を形成し、その凹
   凸部を相互に嵌め合わせることにより前記消音パネルを
   組み立ててあることを特徴とする組立型消音装置。
4. 【請求項４】 請求項１に記載の組立型消音装置におい
   て、前記消音パネルを箱形に組立てて前記送風機を包囲
   したことを特徴とする組立型消音装置。