JPH0929020A - エアフィルターの使用方法および製造方法 - Google Patents

エアフィルターの使用方法および製造方法

Info

Publication number
JPH0929020A
JPH0929020A JP12005896A JP12005896A JPH0929020A JP H0929020 A JPH0929020 A JP H0929020A JP 12005896 A JP12005896 A JP 12005896A JP 12005896 A JP12005896 A JP 12005896A JP H0929020 A JPH0929020 A JP H0929020A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
filter
air filter
treatment
clean room
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12005896A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadao Kobayashi
貞雄 小林
Yoshihide Wakayama
恵英 若山
Masayuki Imafuku
正幸 今福
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taisei Corp
Original Assignee
Taisei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taisei Corp filed Critical Taisei Corp
Priority to JP12005896A priority Critical patent/JPH0929020A/ja
Publication of JPH0929020A publication Critical patent/JPH0929020A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Filtering Materials (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】クリーンルーム内の空気中に有機物が存在しな
いようにする。 【解決手段】クリーンルームの空気導入経路に配設され
るエアフィルター6に対して、以下のような有機物除去
処理を行う。すなわち、エアフィルター6をステンレス
製のオートクレーブ1内に入れて蓋をし、オートクレー
ブ1の内部の温度を100℃に保持しながら、ボンベ2
から高純度空気を導入してオートクレーブ1内を通過さ
せる。このような処理がなされたエアフィルター6を、
クリーンルームの空気導入経路に配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体、食品、医
薬品、バイオテクノロジー関連の工場や研究所等で使用
されているクリーンルームに使用されるエアフィルター
の使用方法と製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体、食品、医薬品、バイ
オテクノロジー関連の工場や研究所等において使用され
ているクリーンルームにおいては、空気中の浮遊粒状物
質を捕集する乾式エアフィルターを空気導入経路に設置
し、これを通過した空気を室内に導入している。
【0003】このようなクリーンルームにおいて、内装
にシリコーンシーリング材を用いている場合には、これ
から揮発する低分子量のシロキサン類がクリーンルーム
内の空気中に拡散するため、当該クリーンルーム内で製
造する製品が汚染される可能性があることが指摘されて
いる(藤本、福井;「クリーンルーム空気中の不純物の
分析技術」空気清浄、Vol.32,No.3,P.1
6〜25(1994))。特に、半導体製造工場におい
てはクリーンルーム内の空気中にシロキサン類が存在す
ると製品の歩留りが低下するとされている。
【0004】そのため、本出願人等は、クリーンルーム
の内装を無機系材料で構築する方法について提案してお
り(特開昭62−86248号公報、実開昭62−56
614号公報、実開昭62−124102号公報等参
照)、例えば壁材は無機系の不燃材料で形成された嵌め
込み式のパーティションとし、シリコーンシーリング材
を使用しないようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにクリーンルームの内装を工夫しても、クリーンルー
ム内の空気中には低分子量のシロキサン類を含む各種の
有機系ガスが存在しており、これをなくするための効果
的な対策は施されていなかった。
【0006】本発明は、このような従来技術の問題点を
解決するためになされたものであり、クリーンルーム内
の空気中に低分子量のシロキサン類等の有機物を存在さ
せないようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、鋭意検討を重ねた結果、クリーンルーム内の空気中
に低分子量のシロキサン類が存在する原因は、空気導入
経路に設置されるエアフィルターにあることを見い出し
て、本発明を完成させた。
【0008】すなわち、クリーンルームに使用されてい
るエアフィルターは清浄なものであるという先入観のた
めか、今までは、エアフィルターの構成材料から有機物
が発生する可能性についての検討がなされていなかっ
た。
【0009】これに対して、本発明者等は、このような
エアフィルターをオートクレーブに入れてその中に高純
度の空気を導入し、オートクレーブから出てきた空気を
活性炭に通過させ、活性炭に吸着された物質を溶剤に溶
出した試料をガスクロマトグラフ(GC)装置で分析し
たところ、予想に反して大量の有機物が検出された。ま
た、この試料をガスクロマト/マススペクトル(GC/
MS)装置で分析したところ、この試料には、低分子量
のシロキサン類、炭化水素類、芳香族カルボン酸エステ
ル類、リン酸エステル類、フェノール類等が含まれてい
ることが分かった。
【0010】そこで、請求項1に係る発明は、空気中の
浮遊粒状物質を捕集する乾式エアフィルターに対して有
機物を除去する処理を施した後に、当該エアフィルター
をクリーンルームの空気導入経路に配設することを特徴
とするエアフィルターの使用方法を提供する。
【0011】また、請求項2に係る発明は、請求項1記
載のエアフィルターの使用方法において、前記有機物を
除去する処理が、前記エアフィルターを、少なくとも内
面が無機系材料からなる密閉容器内に入れ、当該エアフ
ィルターの温度を所定範囲に保持した状態で、この容器
内に清浄な気体を通過させる処理であることを特徴とす
るものである。
【0012】また、請求項3に係る発明は、クリーンル
ームで使用される空気中の浮遊粒状物質を捕集する乾式
エアフィルターの製造方法において、仕上げ処理とし
て、前記エアフィルターを、少なくとも内面が無機系材
料からなる密閉容器内に入れ、当該エアフィルターの温
度を所定値に保持した状態で、当該容器内に清浄な気体
を通過させて、当該エアフィルターから有機物を除去す
る処理を行うことを特徴とするエアフィルターの製造方
法を提供する。
【0013】前記温度は、エアフィルターの種類やクリ
ーンルーム内に存在させたくない有機系ガスの種類に応
じて設定されるが、好ましくは70℃以上180℃以下
であり、より好ましくは90℃以上140℃以下であ
る。そして、前記容器内に入っているエアフィルターの
温度を所定範囲に保持するためには、当該容器自体を加
熱して内部の空気を上昇させてもよいし、当該容器内を
通過させる気体の温度を前記所定範囲に応じた範囲に制
御してもよい。
【0014】容器内を通過させる清浄な気体としては、
有機物を含まない空気や窒素であって高純度(純度98
%以上)のものが挙げられ、不純物として二酸化炭素や
水蒸気が含まれるものは使用することができる。このよ
うな気体は、高純度の空気または窒素の入ったボンベか
ら前記容器に清浄な配管を介して導入してもよいし、室
内の空気を予め清浄化処理されたフィルターを通して導
入してもよい。後者の場合には、使用するフィルターの
清浄化処理を高純度空気(または窒素)を用いて行う必
要がある。
【0015】また、前記気体の通過速度は特に限定され
ないが、処理されるエアフィルター一台当たり5〜20
l/minであることが好ましい。請求項1のエアフィ
ルターの使用方法によれば、有機物の除去処理が施され
たエアフィルターを通った空気が、空気導入経路からク
リーンルーム内に導入されるため、クリーンルーム内の
有機系ガス濃度が低減される。
【0016】また、請求項2のエアフィルターの使用方
法によれば、前記請求項1の作用に加えて、当該エアフ
ィルターの構成部材に含まれている有機物が揮発しやす
く、揮発してガス状となった有機物が容器内を通過する
清浄な気体に同伴されて容器外に効率的に除去される。
【0017】また、請求項3のエアフィルターの製造方
法によれば、エアフィルターの構成部材に含まれている
有機物が揮発しやすく、揮発してガス状となった有機物
が容器内を通過する清浄な気体に同伴されて容器外に効
率的に除去されるため、得られるエアフィルターは有機
物の汚染源となり難い。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を具体的
な実施例により詳細に説明する。図1は、この実施例で
使用したエアフィルターから有機物を除去するための処
理装置を示す概要図である。
【0019】この装置は、ステンレス製のオートクレー
ブ(密閉容器)1と、高純度(99.99%以上)の空
気が詰められたボンベ2とを有し、図1はオートクレー
ブ1の蓋を開けた状態を示している。
【0020】このオートクレーブ1の円筒状の周壁の下
部にはガス導入口11が設けてあり、ガス導入口11の
反対側の周壁上部にはガス導出口12が設けてある。そ
して、オートクレーブ1のガス導入口11とボンベ2と
は清浄な配管3で接続されており、ガス導出口12に接
続された配管4には、活性炭が40g充填してある活性
炭チューブ5が接続されている。
【0021】この活性炭チューブ5は、オートクレーブ
1内で発生してガス導出口12から排出された気体中の
有機物を捕集するためのものであり、予め高純度(9
9.9999%以上)の窒素を通しながら250℃で2
時間加熱する処理がなされ、GC/MS装置で内部の活
性炭に有機物の吸着がないことが確認されたものを使用
している。
【0022】オートクレーブ1内にはステンレス製の網
状の底板13があり、この底板13は、処理されるエア
フィルター6の大きさに応じて、その空気通過面をほぼ
水平に置くことのできる大きさになっている。前記ガス
導入口11はこの底板より下側にあり、導入されたガス
はこの底板13を通って下側からエアフィルター6を通
過するようになっている。また、オートクレーブ1の周
壁内には、特に図示はしないが、従来より公知であるコ
イル状の電熱線などからなるヒータが配設されており、
このヒータによりオートクレーブ1内部が加熱されるよ
うになっている。 <同一条件による各種フィルターの処理:No. 1〜9>
上記装置を用いて、従来よりクリーンルームの空気導入
経路に配設されている乾式エアフィルターとして、UL
PAフィルター(Ultra Low Penetra
tion Air Filter)、HEPAフィルタ
ー(HighEfficiency Particle
Air Filter)、プレフィルター、および海
塩粒子除去用フィルターを用い、これらのフィルターか
ら有機物を除去する処理を行った。
【0023】すなわち、オートクレーブ1内の底板13
の上に、エアフィルター6を一枚水平に置いて蓋をして
密閉した後、ヒーターの加熱により、オートクレーブ1
内のの温度を100℃に保持しながら、流速10(l/
min)でボンベ2からの高純度空気をオートクレーブ
1内に導入することを8時間続けた。なお、前記温度
は、エアフィルター6が置かれる直ぐ上の位置に配置さ
れた図示されない熱電対によって測定する。
【0024】その後、この処理によるフィルターからの
有機物除去状態を調べるために、処理中に活性炭チュー
ブ5内の活性炭が捕集した有機物の量をGC装置によ
り、その種類をGC/MS装置により分析した。分析試
料としては、前記処理後の活性炭チューブ5内の活性炭
を50mlの二硫化炭素が入った共栓付きフラスコに入
れて2時間以上放置することにより、活性炭が吸着した
有機物を二硫化炭素中に溶出させた液体を用いた。
【0025】そして、有機物捕集量については、(株)
日立製作所製のGC装置「G−5000(FID)」に
より、ポリシロキサンがコートされた内径0.52mm
長さ30mmのガラスキャピラリーカラムを用い、トル
エンを基準物質にして定量分析を行うことによって測定
した。すなわち、予めトルエンの検量線を作成して、ト
ルエン換算で有機物の合計重量を測定した。
【0026】また、捕集された有機物の種類について
は、(株)日立製作所製のGC/MS装置「M−200
0」により、前記と同じカラムを用い、各ピーク成分の
定性分析を行うことによって同定した。
【0027】一方、前記処理後に、ヒーターの加熱を止
めて内部の温度を常温に戻してからオートクレーブ1の
蓋を開け、処理後のフィルターの状態を点検した。特
に、高温で処理した場合には、シール材の変質等により
濾材が外枠から剥がれていないかどうかをよく調べる。
そして、このような不具合が生じていた場合には処理後
のフィルター外観を「×」、そうでない場合には「○」
と評価した。
【0028】さらに、前記処理の評価のために、この処
理がなされた後のフィルターを前記と同様のオートクレ
ーブ1内に入れて、オートクレーブ1内のフィルター設
置位置付近の温度を100℃に保持しながら、流速10
(l/min)でボンベ2からの高純度空気をオートク
レーブ1内に導入することを5時間続け(通過通気の全
流量3.0m3 )、前記と同様にして有機物捕集量と捕
集された有機物の種類とを分析した。これにより、前記
有機物除去処理によってもフィルター内に残存している
有機物の量とその種類が分かる。
【0029】なお、有機物除去処理に一度使用したオー
トクレーブを再び使用する際には、前回の処理で発生し
た有機物がオートクレーブ1や配管4内に残っていない
ようにする必要がある。そのために、オートクレーブ1
内から処理されたフィルターを取り出した後に、オート
クレーブ1の内面を先ず清浄な布で拭き取り、次にエタ
ノールをしみ込ませた布で拭き、さらに乾燥した清浄な
布で拭き取る。また、オートクレーブ1の空気導出口1
2に接続されている配管4は取り外して、内部をエタノ
ールで洗浄後、清浄な空気を吹き込んで乾燥させる。ま
た、活性炭チューブ5は一回の処理毎に新しいものに取
り替えて使用する。
【0030】さらに、洗浄後のオートクレーブ1および
配管4を用い、活性炭チューブ5を接続しないで装置を
組み立て、フィルターを入れない状態で、オートクレー
ブ1内部の温度を120℃に保持しながらボンベ2から
高純度空気を供給することを5時間以上続ける。その
後、配管4に活性炭チューブ5を接続して前記と同様に
高純度空気をオートクレーブ1内に導入することを4時
間続け、オートクレーブ1内を通過した気体を活性炭チ
ューブ5に導入する。その後、この活性炭チューブ5内
の活性炭が吸着した有機物を前記と同様に分析し、この
活性炭が有機物を吸着していないことが確認されたら、
この装置を次の処理に使用する。
【0031】各サンプル毎のフィルターの種類、処理条
件、有機物の除去状態および残存状態、処理後のフィル
ター外観の結果を下記の表1および2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表1および2におけるサンプルNo. 2〜7
は、各種類のフィルターについて前述の有機物除去処理
を行ったものであるが、サンプルNo. 1は、前述の有機
物除去処理がなされていないULPA−1であり、他と
比べて有機物残存量が著しく高く、低分子量のシロキサ
ン類、炭化水素類、芳香族カルボン酸エステル類、リン
酸エステル類が含まれていた。
【0035】また、サンプルNo. 8は、ボンベ2を外し
て、実験室内の送風機の空気吹き出し口とオトクレーブ
1の空気導入口11とを接続し、オートクレーブ1内に
実験室内の空気を導入して前記処理を行った例である。
この場合には、前記処理後のフィルターに塵埃が付着し
ていたため、クリーンルームへの使用は不適切であると
判断し、評価のための処理は行わなかった。
【0036】表1および2の「捕集された有機物の種
類」の項に示すように、フィルターの種類によって含ま
れている有機物の種類および含有量が異なり、ここで使
用した全てのフィルターに共通して、下記の(1)式で
表されるn=4〜11の環状ジメチルポリシロキサン
(D4〜D11)と、炭素数10〜16の脂肪族炭化水
素(デカンからヘキサデカンまで)が含まれていた。
【0037】 −〔(CH3 2 SiO〕n − ……(1) HEPA−1、ULPA−1、およびファンフィルター
には、この他に、ジオクチルフタレート(DOP)、リ
ン酸エステル等が含まれていた。また、HEPA−2、
ULPA−2、および海塩除去用フィルターには、この
他に、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素と、フ
ェノール類等が含まれていた。
【0038】そして、各サンプルとも、前述の有機物除
去処理によって、環状ジメチルポリシロキサンのうちn
=4〜8のもの(D4〜D8)は、ほとんどが除去され
るが、n=9以上のもの(D9〜D11)は除去されて
いなかった。D8(ヘキサデカメチルシクロオクタシロ
キサン)の分子量は592であり、これより分子量の低
いものは前記処理によってほとんどが除去されたと考え
られる。
【0039】ここで、環状ジメチルポリシロキサンは半
導体製造雰囲気に存在すると不具合のある物質として前
述の文献等で指摘されているものである。また、分子量
が600を超える環状ジメチルポリシロキサンは蒸気圧
が高いため揮発し難く、常温(20℃前後)に保持され
ているクリーンルーム内の空気中に含まれている可能性
も低いため、フィルターからは分子量が600以下の有
機物が除去されていればよい。
【0040】したがって、前記処理によれば、フィルタ
ーからnが8以下の環状ジメチルポリシロキサンのほと
んどが除去されるため、前記処理後のフィルターをクリ
ーンルームの空気導入経路に設置すれば、当該クリーン
ルーム内を、半導体製造上問題となる有機物を含まない
雰囲気とすることができる。
【0041】また、脂肪族炭化水素については、各サン
プルとも、炭素数10〜13のデカンからトリデカンま
では除去されたが、炭素数14以上のテトラデカンから
ヘキサデカンまでは除去されなかった。ここで、通常の
使用温度において、クリーンルーム内には炭素数13の
トリデカン(分子量184)より炭素数の多い脂肪族炭
化水素は存在し難いため、脂肪族炭化水素については、
前記処理により除去すべきものはほとんどが除去され
る。したがって、前記処理後のフィルターをクリーンル
ームの空気導入経路に設置すれば、当該クリーンルーム
内を、脂肪族炭化水素を含まない雰囲気とすることがで
きる。
【0042】また、芳香族炭化水素については、No. 3
および5では除去されたが、No. 7では処理前のフィル
ターに含まれている有機物の約90%がトルエンとキシ
レンであり、そのほとんどは除去されたがわずかに検出
された。
【0043】また、フェノール類およびエステル類は前
記処理でほとんどが除去された。さらに、処理前後のフ
ィルターに含まれている有機物の量を比較すると、前記
処理によって大量の有機物が除去されていることが分か
る。 <処理条件による有機物除去状態の調査:No. 9〜17
>前述の有機物除去処理を、各サンプル毎に処理温度と
処理時間を変化させて行った。また、前記処理後のフィ
ルターに対して前述の評価のための処理を、No.2〜7
と同じ条件で行った。
【0044】各サンプル毎のフィルターの種類、処理条
件、有機物の除去状態および残存状態、処理後のフィル
ター外観の結果を下記の表3および4に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表3はULPA−1についてまとめてある
が、No. 9は処理温度が23℃と常温であるため、12
時間処理を行ってもD4〜D8およびデカン〜トリデカ
ンの脂肪族炭化水素が除去されない。また、No. 110
は処理温度が70℃であるため、No. 9よりは有機物の
除去度合いが高いが、D8およびDOPが残存してい
る。
【0048】No. 11〜13は処理温度が130〜19
0℃と高いため、No. 2と比較して高純度空気の全流量
が低くても同等以上の有機物除去効果がある。しかし、
No.13については、処理後のフィルターを点検する
と、アルミニウム枠と濾布とを接着している接着剤が変
質しており、190℃では処理温度が高すぎたことが分
かった。
【0049】表4はULPA−2についてまとめてある
が、No. 14は処理温度が50℃と低いため、除去すべ
き成分であるD4〜D8および脂肪族炭化水素のデカン
〜トリデカンも、芳香族炭化水素も除去されていなかっ
た。また、No. 15は処理温度が70℃と比較的低いた
め、除去すべき成分のうち脂肪族炭化水素のトリデカン
が残存していた。No. 16および17は、処理温度が1
30℃,160℃と高いため、トリデカンもD4〜D8
も除去されていた。また、ULPA−2に含まれている
フェノール類は130℃以下での処理では除去されず、
160℃での処理によって除去されることが分かった。 <処理されたフィルターを設置したクリーンルームの評
価試験:No.18 〜26>クリーンルームの壁と床を無機材
料または有機材料で構成し、大気採取口に設置される四
種類のフィルターと、クリーンエアの吹き出し口に設置
されるフィルターとして、前記表1に示す条件で有機物
除去処理がなされたフィルター(処理済フィルター)ま
たは前記処理がなされていないフィルター(未処理フィ
ルター)を使用して、室温23℃湿度40%とし、吹き
出し口からの空気吹き出し流速が0.5m/sとなるよ
うにファンを稼働して、24時間経過後の当該クリーン
ルーム内の空気中に含まれている有機物を分析した。
【0050】このクリーンルーム内の空気中に含まれて
いる有機物の分析方法としては、クリーンルーム内の吹
き出し口から離れた位置の床から1.5mの高さの所の
空気を約10リットル、テナックス捕集管に採取し、このテ
ナックス捕集管を前述のGC/MS装置の付属装置であ
るTCT(Thermal DesorptionCo
ld Trap Injector)に装着して、ここ
から有機物を脱着させ濃縮処理をした後にGC/MS装
置に導入して、有機物含有量と含有している有機物の種
類を分析する方法を採った。
【0051】クリーンルームを構成する無機材料からな
る壁としては、無機系の不燃材料からなる嵌め込み式の
パネル(無機パーティション)を用い、これを有機系シ
ーリング材を使用しないで組み立てた。また、無機材料
からなる床としては、床表面にステンレス板を貼り付け
たものを用いた。さらに、大気採取口とクリーンエア吹
き出し口とを接続するダクトとしては、内面がアルミ被
覆されたものを使用した。
【0052】また、これらは実質的に有機物が発生しな
い材料からなることを、以下の方法で確認した。すなわ
ち、数mm角に切断した材料をバイアル瓶に入れて密封
し、これを150℃に加熱したときに発生したガスをG
C/MS装置に注入して分析する。そして、得られるト
ータルイオンクロマトグラムおよび質量分析のデータか
ら、発生した有機物を定量し、それぞれのピークの化合
物名を定性分析して確認する。その結果、試料1g当た
りに発生する有機物量がトルエン換算で10μg以下で
あれば、実質的に有機物が発生しない材料であるとされ
る。
【0053】この方法により、前記無機パーティション
を分析した結果、試料1g当たりトルエン換算で0.1
μgであった。したがって、前記無機パーティションか
らなる壁とステンレス表面床とで構成されるクリーンル
ームでは、内部の空気中に有機物が含まれていた場合に
は、その有機物は、大気採取口と吹き出し口とに設置さ
れたフィルターに起因して発生したものと判断できる。
【0054】なお、No. 18〜21では、吹き出し口に
ULPA−1を組み込んだファンフィルターが設置して
あり、No. 22〜26では、ファンフィルタを用いず
に、循環ファンにULPA−2を組み込んである。
【0055】各サンプルのクリーンルームにおけるフィ
ルター構成、内装材料構成、および有機物の分析結果
を、表5および6に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】表5から分かるように、No. 18では、す
べてのフィルターに、効果的な有機物除去処理を施した
ものを使用しているため、クリーンルーム内の空気中に
含有している有機物量は263ng/m3 と低い値にな
った。これは、すべてのフィルターが前記処理をしてい
ないものである以外はNo. 19と同じであるNo. 21の
場合の値25800ng/m3 と比較して1/100と
著しく低い値であり、フィルターを前記処理を行ってか
ら使用することによって、クリーンルーム内の空気中の
有機物濃度が著しく低減されることが分かる。また、こ
のクリーンルーム内の空気中からは、半導体製造雰囲気
に存在すると不具合のある物質である環状ジメチルポリ
シロキサンは検出されなかった。
【0059】また、No. 21は、フィルター構成はNo.
18と同じであるが、クリーンルームの壁と床が有機材
料であるため、クリーンルーム内の空気中に含有してい
る有機物量は823000ng/m3 と異常に高いとと
もに、これらの材料、特に樹脂建材の可塑剤に起因する
ジオクチルフタレート(DOP)とジブチルフタレート
(DBP)が検出された。
【0060】また、No. 19は、プレフィルターと中性
能フィルターが未処理のものであるため、No. 18と比
較して有機物含有量が2倍程度に増加したが、No. 20
との比較では桁違いに有機物含有量が低かった。したが
って、全てのフィルターに対して前述の有機物除去処理
がなされていなくてもよく、特に、ULPAフィルター
やHEPAフィルター等の高性能フィルターに前記処理
がなされていることが効果的であると言える。
【0061】一方、表6に示すNo. 22〜26は、クリ
ーンルーム内の空気を循環ファンにより循環する場合の
例であり、No. 22はすべてのフィルターを有機物除去
処理されたものとしているため、当該クリーンルーム内
の空気中の有機物濃度が最も低く、No. 23はおよびN
o. 24は一部が未処理であるが高性能フィルターは前
記処理がなされているため前記有機物濃度は比較的低い
ものとなった。これに対してNo. 25および26は、表
5のNo. 20および21と同様に、有機物濃度が高いも
のとなった。
【0062】なお、この実施例で使用した有機物除去処
理用の装置では、オートクレーブ1内に導入された高純
度空気が、エアフィルター6の空気通過面を下側から上
側に向けて通過するようになっているが、導入された空
気の流路はこのようにエアフィルター6を必ず通るもの
でなくてもよい。しかしながら、導入された空気の流路
がこのようにエアフィルター6を通るようになっている
と、揮発した有機物が導入された空気に同伴して最も効
率良くオートクレーブ1外に除去されるため好ましい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1および2
のエアフィルターの使用方法によれば、クリーンルーム
内の有機系ガス濃度が低減されるため、クリーンルーム
内における有機物汚染を低減することができる。
【0064】特に、請求項2の方法によれば、有機物の
除去効率が高いため、有機物除去処理にかかる時間を短
縮することができる。また、請求項3のエアフィルター
の製造方法によれば、有機物の汚染源となり難いエアフ
ィルターが得られるため、得られたエアフィルターをク
リーンルームに使用すれば、クリーンルーム内における
有機物汚染を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エアフィルターの有機物除去処理のために実施
例で使用した装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 オートクレーブ(密閉容器) 2 ボンベ(清浄な気体) 6 エアフィルター

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気中の浮遊粒状物質を捕集する乾式エ
    アフィルターに対して有機物を除去する処理を施した後
    に、当該エアフィルターをクリーンルームの空気導入経
    路に配設することを特徴とするエアフィルターの使用方
    法。
  2. 【請求項2】 前記有機物を除去する処理は、前記エア
    フィルターを、少なくとも内面が無機系材料からなる密
    閉容器内に入れ、当該エアフィルターの温度を所定範囲
    に保持した状態で、この容器内に清浄な気体を通過させ
    る処理であることを特徴とする請求項1記載のエアフィ
    ルターの使用方法。
  3. 【請求項3】 クリーンルームで使用される空気中の浮
    遊粒状物質を捕集する乾式エアフィルターの製造方法に
    おいて、仕上げ処理として、前記エアフィルターを、少
    なくとも内面が無機系材料からなる密閉容器内に入れ、
    当該エアフィルターの温度を所定値に保持した状態で、
    当該容器内に清浄な気体を通過させて、当該エアフィル
    ターから有機物を除去する処理を行うことを特徴とする
    エアフィルターの製造方法。
JP12005896A 1995-05-18 1996-05-15 エアフィルターの使用方法および製造方法 Pending JPH0929020A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12005896A JPH0929020A (ja) 1995-05-18 1996-05-15 エアフィルターの使用方法および製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-119827 1995-05-18
JP11982795 1995-05-18
JP12005896A JPH0929020A (ja) 1995-05-18 1996-05-15 エアフィルターの使用方法および製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0929020A true JPH0929020A (ja) 1997-02-04

Family

ID=26457494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12005896A Pending JPH0929020A (ja) 1995-05-18 1996-05-15 エアフィルターの使用方法および製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0929020A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000037160A1 (fr) * 1998-12-22 2000-06-29 Taisei Corporation Milieu filtrant pour filtre a air et procede de fabrication correspondant
WO2002047152A1 (fr) * 2000-12-04 2002-06-13 Ebara Corporation Dispositif, conteneur et procede pour transferer un substrat
JP2002292222A (ja) * 2001-03-30 2002-10-08 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造方法、並びにその包装体
JP2002292221A (ja) * 2001-03-30 2002-10-08 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造方法、並びにその包装体
JP2003024731A (ja) * 2001-07-11 2003-01-28 Hitachi Plant Eng & Constr Co Ltd 有機化合物の脱着方法
KR100424968B1 (ko) * 1997-09-02 2004-06-05 닛토덴코 가부시키가이샤 에어필터 및 이의 제조방법
JP2007190501A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Nippon Muki Co Ltd エアフィルタ用ろ材及びその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100424968B1 (ko) * 1997-09-02 2004-06-05 닛토덴코 가부시키가이샤 에어필터 및 이의 제조방법
WO2000037160A1 (fr) * 1998-12-22 2000-06-29 Taisei Corporation Milieu filtrant pour filtre a air et procede de fabrication correspondant
US6929672B1 (en) 1998-12-22 2005-08-16 Taisei Corporation Filter medium for air filter and process for producing the same
WO2002047152A1 (fr) * 2000-12-04 2002-06-13 Ebara Corporation Dispositif, conteneur et procede pour transferer un substrat
US6758876B2 (en) 2000-12-04 2004-07-06 Ebara Corporation Substrate transport apparatus, pod and method
JP2002292222A (ja) * 2001-03-30 2002-10-08 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造方法、並びにその包装体
JP2002292221A (ja) * 2001-03-30 2002-10-08 Japan Vilene Co Ltd エアフィルタ用濾材、エアフィルタユニット、及びその製造方法、並びにその包装体
JP2003024731A (ja) * 2001-07-11 2003-01-28 Hitachi Plant Eng & Constr Co Ltd 有機化合物の脱着方法
JP2007190501A (ja) * 2006-01-19 2007-08-02 Nippon Muki Co Ltd エアフィルタ用ろ材及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6878177B2 (en) Incubator having combined HEPA and VOC filter
WO2014022460A1 (en) Filtration system
EP1005525B1 (en) Incubator with improved filtering system and method
US20050199040A1 (en) Air quality sampler using solid phase coated material
JPH0929020A (ja) エアフィルターの使用方法および製造方法
CN113002937A (zh) 一种可新风采集的食品检测用样品盛放装置
CN111921296A (zh) 一种人体呼出气处理***及其处理方法
US4276819A (en) Adsorbent enclosure for automatic tissue processors
CN208115490U (zh) 实验室废气过滤***
GB2348826A (en) Vacuum enhanced evaporation of liquids.
CN103760004B (zh) 一种溶剂解吸装置及方法
JP2007187532A (ja) 揮発性有機物の分析方法及び博物館用収蔵庫の清浄化方法
CN209296406U (zh) 一种环保型大气采样装置
CN217766212U (zh) 自动进样设备
JP4044851B2 (ja) 揮発有機物の測定方法および測定用サンプリング器具
CN203745274U (zh) 一种溶剂解吸装置
JP4089646B2 (ja) 有機揮発物測定用捕集管及び有機揮発物測定方法
JPS61164609A (ja) 真空ポンプ廃オイルの再生方法
JP2003315219A (ja) 揮発性物質の放散速度スクリーニング装置
JP3896539B2 (ja) フィルタとこれを用いたクリーンルーム
US20230168163A1 (en) System and Method for Diffusive Gas Sampling for Collection of VOCs, SVOCs and/or PFAS Chemicals in Air
US3453081A (en) Method and apparatus for determining the presence of volatile organic lead compounds in the atmosphere
JP4953283B2 (ja) 分子状汚染物質の解析方法
CN210071753U (zh) 一种带废气处理装置的气相色谱仪
JPH11242020A (ja) 大気分析装置