JPH09283041A - 陰極線管の内部磁気シールドの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部磁気シールド（ＩＭＳ）の色選別機構体
への取付けに際し、ＩＭＳの長辺側の押さえも必要とす
る比較的に大型の陰極線管（ＣＲＴ）において、溶接を
不要とする。 【解決手段】 色選別機構体３２をＣＲＴのパネル内側
に支持させるために、この色選別機構体３２のフレーム
３０を構成する長辺構成部材３８に固定してある弾性支
持部材４６を介して、クリップ６０でＩＭＳ５０が色選
別機構体３２に止めてある。具体的には、弾性支持部材
４６側とＩＭＳ５０側とに、通し穴４６ｂ，５４ｂを設
け、これらを介してクリップ止めがしてある。このよう
に溶接を不要としたことで、工程を簡略化し、溶接時の
フラッシュごみによる耐圧低下を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラーテレビなど
の陰極線管（ＣＲＴ）の組立に際し、色選別マスクをフ
レーム内に組み込んで構成した色選別機構体に、内部磁
気シールドを取り付ける取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】カラーテレビなどの陰極線管（ＣＲＴ）
の組立では、通常、色選別マスクをフレーム内に組付た
色選別機構体に内部磁気シールドを取り付け、これをパ
ネルの内側に装着した後、パネルとファンネルとを、フ
リットガラス等を介して接合（陽極接合）する。

【０００３】この内部磁気シールドの色選別機構体への
取付方法としては、従来、有効画面サイズに応じた２つ
の方法がある。図７は、有効画面サイズが１４インチ或
いは１５インチといった比較的に小型のＣＲＴで採用さ
れることが多い取付方法を示す。色選別マスク１を保持
した色選別機構体２には、そのフレーム５を構成する短
辺構成部材４に取付金具６が固定されている。この取付
金具６及び内部磁気シールド７側には、それぞれ角穴６
ａ，７ａが設けられており、この角穴６ａ，７ａを介し
て内部磁気シールド７のクリップ止めがなされる。

【０００４】これに対し、１５インチより大きな比較的
に大型のＣＲＴでは、図８に示す取付方法が採用される
ことが多い。上記した短辺構成部材４側のクリップ止め
だけでは内部磁気シールド７の押さえが不十分なことか
ら、この方法では、フレーム５を構成する長辺構成部材
３の外側面に、内部磁気シールド７が溶接（溶接箇所：
７ｂ）により固定することとしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の図
８に示す内部磁気シールドの取付方法では、クリップ止
めと溶接との併用により、取付工程が複雑となる他、溶
接中にスプラッシュごみが発生し、陰極線管（ＣＲＴ）
の耐圧が低下するといった課題を有していた。

【０００６】本発明は、このような実情に鑑みてなさ
れ、長辺構成部材側の押さえも必要とする比較的に大型
の陰極線管においても、溶接を不要とした内部磁気シー
ルドの色選別機構体への取付構造を新たに提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述した従来技術の問題
点を解決し、上記目的を達成するために、本発明の陰極
線管の内部磁気シールドの取付構造は、例えば通し穴を
介して、色選別機構体のフレームを構成する長辺構成部
材側をクリップ止めする具体的な方法を提供するもので
ある。

【０００８】すなわち、本発明では、色選別機構体を陰
極線管のパネル内側に支持させるために、この色選別機
構体のフレームを構成する長辺構成部材に固定してある
弾性支持部材、又は、そのホルダを介して、このクリッ
プ止めを行うこととした。

【０００９】

【本発明の実施の形態】本発明の陰極線管（ＣＲＴ）の
内部磁気シールドの取付構造を説明するのに先立ち、ま
ず、本発明の実施に係わるＣＲＴ全体の構成について、
図面に例示し、簡単に説明しておく。

【００１０】図６は、このＣＲＴの概略断面図である。
この図示例のＣＲＴ１０は、パネル１２とファンネル１
４とネック管１６とで真空容器が構成され、パネル１２
とファンネル１４とは、フリットガラス等により接合
（陽極接合）してある。パネル１２の外周には、防爆の
ためのテンションバンド１８が巻回してある。テンショ
ンバンド１８の外周には、取付耳部２０が形成してあ
り、この取付耳部２０を介して、ＣＲＴ１０は、表示装
置としてテレビ内部に装着される。このテンションバン
ド１８及び取付耳部２０は、金属等の導電性物質で構成
され、アース線１８ａを介して接地される。

【００１１】パネル１２の表面には、紫外線硬化樹脂層
２２等により機能フィルムシート２４が貼着してある。
機能フィルムシート２４は、表面保護のほか外光反射低
減や帯電防止等のため、所定の機能膜を積層させて構成
してある。機能フィルムシート２４の周回部分には、帯
電防止用に機能フィルムシート２４をアースに落とすた
めの導電テープ２５が貼ってある。

【００１２】パネル１２の内面には、青，緑，赤発光の
蛍光体が塗布された蛍光面２６が形成されており、この
蛍光面２６に近接して色選別マスク２８が配置されてい
る。ここで、色選別マスクとは、シャドウマスク或いは
アパチャーグリルと一般に称され、穴状又は格子状のス
リットを多数有した導電性の板状のもので、入射角によ
って色選別を行う働きがある。この図示例の色選別マス
ク２８は、フレーム３０に保持され、このフレーム３０
を介してパネル１２の内側壁に取付けてある。このよう
な構成の色選別マスク２８とフレーム３０とにより、本
発明の色選別機構体３２を構成する。色選別機構体３２
の詳細は、後述する。

【００１３】一方、ネック管１６には、電子銃３４が収
納されている。この電子銃３４からの電子ビーム３４ａ
は、色選別マスク２８を通過することで色選別され、パ
ネル１２内側の蛍光面２６に達し、所定の蛍光体を励起
し発光させる。この電子ビーム３４ａの通過を阻害しな
いように、かつ、地磁気などの外部磁界の影響をシール
ドする目的で、上記色選別機構体３２には、内部磁気シ
ールド５０（ＩＭＳ:Inner Magnetic Shield）が取付け
られている。このＩＭＳ５０の取付けについては、次の
実施形態の中で詳述する。

【００１４】第１実施形態 図１は、本発明の第１実施形態に係わるＩＭＳの取付図
である。この図に示し先に説明したように、この色選別
機構体３２は、フレーム３０と、このフレーム３０の下
面（図６のパネル１２側の面）に保持してある色選別マ
スク２８とから構成してある。

【００１５】フレーム３０は、長辺をなす２つの長辺構
成部材３８と、短辺をなす２つの短辺構成部材４０とで
構成される。この図示例における各長辺構成部材３８
は、図６のパネル１２面に合わせて凸状に湾曲した断面
Ｌ字材で構成されている。また、図示例における各短辺
構成部材４０は、各長辺構成部材３８の端部から反色選
別マスク２８側（図では上方）に突出したアーチ状の角
材で構成されている。

【００１６】このアーチ状の各短辺構成部材４０上に
は、それぞれクリップ止め用の通し穴４２ａを有する平
板状の取付金具４２が固定されている。この図示例で
は、取付金具４２の両端部が幅広に形成され、その幅広
部分の内側突出箇所に、取付金具４２の表裏面を貫通し
て角穴（通し穴４２ａ）が形成してある。

【００１７】一方、短辺構成部材４０及び長辺構成部材
３８の外側面の略中央付近には、それぞれホルダ４３を
介して一方側が支持された板バネ状の弾性支持部材４
５，４６が設けられている。各弾性支持部材４５，４６
の板バネ突出方向は、フレーム３０の周回で見ると一方
方向に揃えてあり、各弾性支持部材４５，４６の突出先
端付近には、その表裏面を貫通して丸穴４５ａ，４６ａ
が各々形成されている。この丸穴４５ａ，４６ａは、後
で詳述するように、当該色選別機構体３２のパネル１２
への組付け時に、その保持のために設けられている。各
弾性支持部材４５，４６の突出方向を一方に揃えたの
は、この組付け後の色選別機構体３２において、保持し
た色選別マスク２８にかかる力を四方に均等に配分させ
るためである。

【００１８】図３は、本発明に用いることができる弾性
支持部材の一例を、従来のものと比較して示す。すなわ
ち、同図（ａ）には、図７，８に図示した従来の弾性支
持部材９と同形の弾性支持部材４５を、同図（ｂ）に
は、本発明の第１実施形態を示す図１において、フレー
ム３０の長辺構成部材３８に設けた弾性支持部材４６
を、それぞれ拡大して示す。

【００１９】この図から判るように、本発明では、上記
構成の弾性支持部材４６側にもクリップ止め用の通し穴
４６ｂが形成してある。すなわち、この図示例では、弾
性支持部材４６の保持側端上部から、内側にＬ字状に突
出する突片４６ｃが形成してあり、この突片４６ｃにク
リップ止め用の通し穴４６ｂが設けてある。なお、本実
施形態では、短辺構成部材４０に設けた弾性支持部材４
５としては、図７に示す従来の弾性支持部材９と同形の
ものを用いることとしている。

【００２０】以上のように構成した色選別機構体３２に
対して取り付けられる内部磁気シールド（ＩＭＳ）とし
ては、例えば図１に示す構成とすることができる。図１
に示すＩＭＳ５０は、一枚の薄板を切り折りして形成し
たピース５２，５４を接合部５３において溶接又はカシ
メなどによって接合して製造されている。

【００２１】各ピース５２，５４の下縁は、その全辺
（部分的でも可）にわたって外側に折り曲げることで、
外折部５２ａ，５４ａが形成してある。この外折部５２
ａ，５４ａそれぞれには、先に説明した色選別機構体３
２側の通し穴４２ａ，４６ｂに対応した位置に、同形の
通し穴５２ｂ，５４ｂが設けてある。

【００２２】そして、これら通し穴４２ａ，４６ｂ，５
２ｂ，５４ｂを介して、クリップ６０で止めることによ
り、ＩＭＳ５０が色選別機構体３２に取付けられる。ク
リップ６０の形状は、図示のものに限定されないが、本
実施形態においては一枚の板バネを折り曲げて形成され
ている。すなわち、このクリップ６０には、中央の通し
穴への挿入部と、その両側に羽根状の摘み部とが形成さ
れている。摘み部を手でつまむと、挿入部が通し穴へ挿
入可能な幅まで縮み、手を離すと弾性的に復元して通し
穴の幅より大きくなることで、ＩＭＳ５０を色選別機構
体３２に固定される。

【００２３】このような本発明の取付構造では、ＣＲＴ
１０の有効画面サイズが比較的に大きい場合であって
も、従来のように溶接を用いずに簡単に、ＩＭＳ５０の
色選別機構体３２への取付けができる。最後に、このよ
うにしてＩＭＳ５０を取り付けた色選別機構体３２の、
ＣＲＴ内部への装着について、簡単に述べておく。

【００２４】図２は、図６に示すＣＲＴ１０の組立図で
ある。まず、内部に蛍光面２６が形成されたパネル１２
を用意する。このパネル１２の内側壁面には、各面ごと
に突起１２ａが予め形成してある。このパネル１２内
に、ＩＭＳ５０を取り付けた後の色選別機構体３２を、
その各弾性支持部材４５，４６の丸穴４５ａ，４６ａが
パネル１２の突起１２ａと係合するようにして収納す
る。そして、電子銃３４を収納したネック管１６を固定
後のファンネル１４を用意し、このパネル１２との突合
せ縁同士でフリットガラス等を介して接合して、ＣＲＴ
１０を組付ける。その後は、前記テンションバンド１８
の装着，機能フィルムシート２４及び導電テープ２５の
貼着を経て、当該ＣＲＴ１０の組立が完了する。

【００２５】第２実施形態 上記第１実施形態では、フレーム３０の長辺側の通し穴
として、弾性変形部材４６に設けた通し穴４６ｂを用い
た。これに対し、本実施形態は、弾性変形部材４５を長
辺構成部材３８に固定するための前記ホルダ４４に、同
様な通し穴を設けたものである。ここで使用する図４
は、本実施形態に係るＩＭＳの色選別機構体への取付図
であり、図５は、本実施形態に使用可能なホルダを、従
来のものと比較して示す図である。なお、ここでの説明
においては、上記第１実施形態と重複する構成及び取付
方法等は、同一符号を付して、その説明を省略する。

【００２６】本実施形態におけるホルダ４４は、図５に
示すように、板材を折り曲げて形成したもので、その上
部がパネル内側にＬ字状に折り曲げられている。このＬ
字状の突片４４ａには、これに対応する図４のＩＭＳ側
の通し穴５４ｂと同形な通し穴４４ｂが設けてある。

【００２７】図４に示すように、このような構成のホル
ダ４４に設けた通し穴４４ｂを介して、第１実施形態と
同様に、ＩＭＳ５０を色選別機構体３２に、クリップ６
０で簡単に取り付けることができる。なお、上記説明で
特に言及した以外の事項については、特に限定はない。

【００２８】たとえば、ＩＭＳ５０側及び色選別機構体
３２側の一方側のみ通し穴を設け、他方側には、この通
し穴に係合可能な凸部を設け、クリップは凸部の抜け防
止用に用いてもよい。通し穴を設けずとも、互いに係合
可能な凸部を双方に設け、その外れ防止用にクリップを
用いることもできる。

【００２９】また、フレーム３０の長辺側のみならず、
短辺側、即ち短辺構成部材４０側の弾性支持部材４５や
ホルダ４３に、同様の通し穴（或いは上記凸部）を設
け、これを介して短辺側をクリップ止めしてもよい。も
ちろん、弾性変形部材，ホルダ，クリップの形状、或い
はフレームやＩＭＳ等の構造等は、図示のものに限定さ
れず、その他、本発明の範囲内で種々に改変することが
できる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
陰極線管（ＣＲＴ）の内部磁気シールド（ＩＭＳ）の取
付構造によれば、大型のＣＲＴ等でＩＭＳの長辺側の押
さえを必要とする場合であっても、従来のような溶接工
程を無くすことができる。

【００３１】このため、この取付工程が簡略化でき、ま
た、溶接時のスプラッシュごみによりＣＲＴの耐圧が低
下するようなこともない。かといって、フレームの長辺
側にＩＭＳをクリップ止めするために、取付け用の金具
等を何ら新たに設ける必要がなく、弾性支持部材、又
は、そのホルダに通し穴等を予め設けておくだけで、Ｉ
ＭＳを色選別機構体に、簡単に取り付けることができ
る。

【００３２】このため、益々大型化が進むＣＲＴの製造
において、その低コスト化・高品質化に本発明が今後、
大きく寄与するものと期待される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係わる陰極線管（ＣＲ
Ｔ）の内部磁気シールド（ＩＭＳ）の色選別機構体への
取付図である。

【図２】ＩＭＳを取付けた後の色選別機構体の組付けを
示すＣＲＴの組立図である。

【図３】本発明の第１実施形態に係わる弾性変形部材
（図３（ｂ））を、従来の弾性変形部材（同図（ａ））
と比較して示す斜視図である。

【図４】本発明の第２実施形態に係わるＣＲＴのＩＭＳ
の色選別機構体への取付図である。

【図５】本発明の第２実施形態に係わるホルダ（図５
（ｂ））を、従来のホルダ（同図（ａ））と比較して示
す斜視図である。

【図６】本発明を用いて製造されるＣＲＴの概略断面構
造図である。

【図７】従来のＩＭＳの色選別機構体への取付方法のう
ち、特に比較的に小型のＣＲＴの製造で用いられること
が多い取付方法を示す図である。

【図８】従来の同方法のうち、特に比較的に大型のＣＲ
Ｔの製造で用いられることが多い他の取付方法を示す図
である。

【符号の説明】

１０…ＣＲＴ（陰極線管）、１２…パネル、１４…ファ
ンネル、１６…ネック管、１８…テンションバンド、２
０…取付耳部、２２…紫外線硬化樹脂層、２４…機能フ
ィルムシート、２５…導電テープ、２６…蛍光面、２８
…色選別マスク、３０…フレーム、３２…色選別機構
体、３４…電子銃、３４ａ…電子ビーム、３８…長辺構
成部材、４０…短辺構成部材、４２…取付金具、４２ａ
…通し穴、４３…従来と同形のホルダ、４４…ホルダ、
４４ａ…突片、４４b …通し穴、４５…従来と同形のホ
ルダ、４５ａ…丸穴、４６…弾性支持部材、４６ａ…丸
穴、４６ｂ…通し穴、４６ｃ…突片、５０…ＩＭＳ（内
部磁気シールド）、５２，５４…ピース、５２ａ，５４
ａ…外折部、５２ｂ，５４ｂ…通し穴、５３…接合部、
６０…クリップ。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 色選別マスクをフレーム内に組み込んで
   構成した色選別機構体と、 該色選別機構体を陰極線管のパネル内側に支持させるた
   めに、色選別機構体のフレームに固定してある複数の弾
   性支持部材と、 外部磁界が陰極線管内部に与える影響を低減するための
   内部磁気シールドとを有し、 該内部磁気シールドが、少なくともフレームの長辺側
   で、上記弾性支持部材を介して色選別機構体にクリップ
   で止めてある、陰極線管の内部磁気シールドの取付構
   造。
2. 【請求項２】 色選別マスクをフレーム内に組み込んで
   構成した色選別機構体と、 該色選別機構体を陰極線管のパネル内側に支持させるた
   めに、色選別機構体のフレームに、それぞれホルダを介
   して固定してある複数の弾性支持部材と、 外部磁界が陰極線管内部に与える影響を低減するための
   内部磁気シールドとを有し、 該内部磁気シールドが、少なくともフレームの長辺側
   で、上記ホルダを介して色選別機構体にクリップで止め
   てある、陰極線管の内部磁気シールドの取付構造。
3. 【請求項３】 前記内部磁気シールドと前記弾性支持部
   材とには、それぞれ通し孔が設けてあり、これら通し孔
   を介して、内部磁気シールドが前記色選別機構体にクリ
   ップで止めてある請求項１に記載の陰極線管の内部磁気
   シールドの取付構造。
4. 【請求項４】 前記内部磁気シールドと前記ホルダとに
   は、それぞれ通し孔が設けてあり、これら通し孔を介し
   て、内部磁気シールドが前記色選別機構体にクリップで
   止めてある請求項２に記載の陰極線管の内部磁気シール
   ドの取付構造。