JPH09278834A - グラフト変性ポリマーの製造方法 - Google Patents
グラフト変性ポリマーの製造方法Info
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- JPH09278834A JPH09278834A JP9430596A JP9430596A JPH09278834A JP H09278834 A JPH09278834 A JP H09278834A JP 9430596 A JP9430596 A JP 9430596A JP 9430596 A JP9430596 A JP 9430596A JP H09278834 A JPH09278834 A JP H09278834A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 幹ポリマ−をN−ビニルカルボン酸アミドで
グラフト重合する新規な方法と、特にポリマーフィルム
やポリマーシートなどの成形品の特定の表面を容易にN
−ビニルカルボン酸アミドでグラフト変性したポリマー
を製造することを課題とする。 【解決手段】 ポリマーフィルムまたはポリマーシート
の片面をN−ビニルカルボン酸アミドの溶液に接触させ
た状態でもう一方の片面からフィルムまたはシートを通
して電子線照射する事により、N−ビニルカルボン酸ア
ミドをポリマーフィルムまたはポリマーシートの該溶液
に接触させた片側表面にグラフト共重合する事を特徴と
するグラフト変性ポリマーの製造方法。
グラフト重合する新規な方法と、特にポリマーフィルム
やポリマーシートなどの成形品の特定の表面を容易にN
−ビニルカルボン酸アミドでグラフト変性したポリマー
を製造することを課題とする。 【解決手段】 ポリマーフィルムまたはポリマーシート
の片面をN−ビニルカルボン酸アミドの溶液に接触させ
た状態でもう一方の片面からフィルムまたはシートを通
して電子線照射する事により、N−ビニルカルボン酸ア
ミドをポリマーフィルムまたはポリマーシートの該溶液
に接触させた片側表面にグラフト共重合する事を特徴と
するグラフト変性ポリマーの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はグラフト変性ポリマ
ーの常温での製造方法に関し、さらに詳しくは電子線照
射することによりN−ビニルカルボン酸アミドをポリマ
ーにグラフト共重合することにより親水性が付与された
優れた物性、特に二種類以上のポリマーとの相溶性や接
着性、ヒートシール性、染色性、塗装性、印刷性、防曇
性、血液和合性などの物性が優れたグラフト変性ポリマ
ーの製造方法に関する。よりさらに詳しくは、ポリマー
フィルムまたはポリマーシートの片側表面にのみ常温で
電子線光照射することによりN−ビニルカルボン酸アミ
ドをグラフト共重合させることにより、表面のみ親水性
が付与された、優れた物性のグラフト変性ポリマーの製
造方法に関する。
ーの常温での製造方法に関し、さらに詳しくは電子線照
射することによりN−ビニルカルボン酸アミドをポリマ
ーにグラフト共重合することにより親水性が付与された
優れた物性、特に二種類以上のポリマーとの相溶性や接
着性、ヒートシール性、染色性、塗装性、印刷性、防曇
性、血液和合性などの物性が優れたグラフト変性ポリマ
ーの製造方法に関する。よりさらに詳しくは、ポリマー
フィルムまたはポリマーシートの片側表面にのみ常温で
電子線光照射することによりN−ビニルカルボン酸アミ
ドをグラフト共重合させることにより、表面のみ親水性
が付与された、優れた物性のグラフト変性ポリマーの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−ビニルカルボン酸アミドから誘導さ
れるポリマーは、例えばポリビニルアセトアミドは、親
水性を示すことが知られている。また、N−ビニルカル
ボン酸アミドでグラフト変性したポリマーは、幹ポリマ
ーに親水性が付与されることにより物性、特に二種類以
上のポリマーとの相溶性や接着性、ヒートシール性、染
色性が優れていることが知られている(特開昭54−7
2294,特開昭61−78810,特開昭61−14
1720,特公昭62−27087)。N−ビニルカル
ボン酸アミドでグラフト変性したポリマーの製造方法と
して、工業的に最も一般的なものは熱分解型反応開始剤
を用いる方法である。しかし、この方法は、熱分解型反
応開始剤である過酸化物の取扱いが危険であり、グラフ
ト共重合する方法がバンバリーミキサーや押出機中での
加熱混合による場合には、特に、フィルム、シート等の
成形品の表面にのみグラフト共重合する事は不可能であ
る。また、N−ビニルカルボン酸アミドのラジカル重合
に際して、有機過酸化物を使用するとモノマ−であるN
−ビニルカルボン酸アミドに多様の副反応がおこるた
め、正味のグラフト効率は低くなる。開始剤としてアゾ
系のものを使用すれば、副反応は抑えられるものの、幹
ポリマーからの水素引き抜き能力が小さいので殆どグラ
フト重合が起こらないという欠点がある。次に空気およ
びオゾン酸化による方法は基材である幹ポリマーを酸化
劣化させるために、機械的強度等の物性を低下させると
いう欠点がある。
れるポリマーは、例えばポリビニルアセトアミドは、親
水性を示すことが知られている。また、N−ビニルカル
ボン酸アミドでグラフト変性したポリマーは、幹ポリマ
ーに親水性が付与されることにより物性、特に二種類以
上のポリマーとの相溶性や接着性、ヒートシール性、染
色性が優れていることが知られている(特開昭54−7
2294,特開昭61−78810,特開昭61−14
1720,特公昭62−27087)。N−ビニルカル
ボン酸アミドでグラフト変性したポリマーの製造方法と
して、工業的に最も一般的なものは熱分解型反応開始剤
を用いる方法である。しかし、この方法は、熱分解型反
応開始剤である過酸化物の取扱いが危険であり、グラフ
ト共重合する方法がバンバリーミキサーや押出機中での
加熱混合による場合には、特に、フィルム、シート等の
成形品の表面にのみグラフト共重合する事は不可能であ
る。また、N−ビニルカルボン酸アミドのラジカル重合
に際して、有機過酸化物を使用するとモノマ−であるN
−ビニルカルボン酸アミドに多様の副反応がおこるた
め、正味のグラフト効率は低くなる。開始剤としてアゾ
系のものを使用すれば、副反応は抑えられるものの、幹
ポリマーからの水素引き抜き能力が小さいので殆どグラ
フト重合が起こらないという欠点がある。次に空気およ
びオゾン酸化による方法は基材である幹ポリマーを酸化
劣化させるために、機械的強度等の物性を低下させると
いう欠点がある。
【0003】光照射によってグラフト反応を行わせる方
法については、特開平07ー159531公報に記載さ
れているが、この場合、十分なグラフト量を得るには数
十分以上の時間を要するために効率的ではない。この様
にポリマーフィルムやポリマーシート等の成形品の表面
のみを比較的容易に常温で、効率よく短時間でN−ビニ
ルカルボン酸アミドでグラフト変性したポリマーを製造
する方法が求められている。
法については、特開平07ー159531公報に記載さ
れているが、この場合、十分なグラフト量を得るには数
十分以上の時間を要するために効率的ではない。この様
にポリマーフィルムやポリマーシート等の成形品の表面
のみを比較的容易に常温で、効率よく短時間でN−ビニ
ルカルボン酸アミドでグラフト変性したポリマーを製造
する方法が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、幹ポリマー
をN−ビニルカルボン酸アミドでグラフト重合する新規
な方法を提供することを課題とする。特に、ポリマーフ
ィルムやポリマーシートなどの成形品の特定の表面を容
易にN−ビニルカルボン酸アミドでグラフト変性したポ
リマーを製造する方法を提供することを課題とする。
をN−ビニルカルボン酸アミドでグラフト重合する新規
な方法を提供することを課題とする。特に、ポリマーフ
ィルムやポリマーシートなどの成形品の特定の表面を容
易にN−ビニルカルボン酸アミドでグラフト変性したポ
リマーを製造する方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記従来技
術の有する問題点を解決するために鋭意検討し、本発明
を完成した。すなわち、(1)電子線照射することによ
りN−ビニルカルボン酸アミドをポリマーにグラフト共
重合することを特徴とするグラフト変性ポリマーの製造
方法、(2)電子線照射することによりN−ビニルカル
ボン酸アミドを固相状態のポリマーにグラフト共重合す
ることを特徴とするグラフト変性ポリマーの製造方法、
(3)ポリマーがポリオレフィンである(1)または
(2)のグラフト変性ポリマーの製造方法、(4)ポリ
マーフィルムまたはポリマーシートの片面をN−ビニル
カルボン酸アミド溶液に接触させた状態で、もう一方の
片面から該フィルムまたは該シートを通して電子線照射
することにより、N−ビニルカルボン酸アミドをポリマ
ーフィルムまたはポリマーシートにおいて該溶液に接触
させた片側表面にグラフト共重合することを特徴とする
グラフト変性ポリマーの製造方法、および(5)N−ビ
ニルカルボン酸アミドがN−ビニルアセトアミドである
(1)〜(4)の製造方法を提供するものである。
術の有する問題点を解決するために鋭意検討し、本発明
を完成した。すなわち、(1)電子線照射することによ
りN−ビニルカルボン酸アミドをポリマーにグラフト共
重合することを特徴とするグラフト変性ポリマーの製造
方法、(2)電子線照射することによりN−ビニルカル
ボン酸アミドを固相状態のポリマーにグラフト共重合す
ることを特徴とするグラフト変性ポリマーの製造方法、
(3)ポリマーがポリオレフィンである(1)または
(2)のグラフト変性ポリマーの製造方法、(4)ポリ
マーフィルムまたはポリマーシートの片面をN−ビニル
カルボン酸アミド溶液に接触させた状態で、もう一方の
片面から該フィルムまたは該シートを通して電子線照射
することにより、N−ビニルカルボン酸アミドをポリマ
ーフィルムまたはポリマーシートにおいて該溶液に接触
させた片側表面にグラフト共重合することを特徴とする
グラフト変性ポリマーの製造方法、および(5)N−ビ
ニルカルボン酸アミドがN−ビニルアセトアミドである
(1)〜(4)の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下さらに詳しく本発明を説明す
る。本発明で用いる幹ポリマーとしては、種々のポリマ
ーが使用できる。例えば、ポリオレフィンとしては、高
圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポ
リ4−メチルペンテン−1、エチレン−α−オレフィン
共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。ま
た、エラストマーとしては天然ゴム、ポリブタジエン、
ポリイソプレン、共役ジエン類とスチレン、アクリロニ
トリルなどとの共重合ゴムなどが挙げられる。さらに、
ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタ
クリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、
ポリ塩化ビニルやポリアミド−6、ボリアミド−6,6
またはそのコポリアミドなどの熱可塑性ポリアミド、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げ
られる。その中でも、ポリプロピレンやポリエチレンな
どポリオレフィンが好ましい。これらのポリマーはそれ
ぞれ単独で、あるいは二種類以上を組み合わせて用いて
もよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の
成分、例えば滑剤、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤等
の各種添加剤などを含んでもよい。
る。本発明で用いる幹ポリマーとしては、種々のポリマ
ーが使用できる。例えば、ポリオレフィンとしては、高
圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポ
リ4−メチルペンテン−1、エチレン−α−オレフィン
共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチ
レン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。ま
た、エラストマーとしては天然ゴム、ポリブタジエン、
ポリイソプレン、共役ジエン類とスチレン、アクリロニ
トリルなどとの共重合ゴムなどが挙げられる。さらに、
ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタ
クリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、
ポリ塩化ビニルやポリアミド−6、ボリアミド−6,6
またはそのコポリアミドなどの熱可塑性ポリアミド、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリイミドなどが挙げ
られる。その中でも、ポリプロピレンやポリエチレンな
どポリオレフィンが好ましい。これらのポリマーはそれ
ぞれ単独で、あるいは二種類以上を組み合わせて用いて
もよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、他の
成分、例えば滑剤、帯電防止剤、可塑剤、酸化防止剤等
の各種添加剤などを含んでもよい。
【0007】本発明で用いるN−ビニルカルボン酸アミ
ド化合物は下記一般式で示される。
ド化合物は下記一般式で示される。
【化2】 (式中、R1 、R2 は互いに独立して水素原子またはメ
チル基を表す。) 具体的には、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−
メチル−N−ビニルホルムアミドなどが挙げられ、特に
N−ビニルアセトアミドが好ましい。これらのN−ビニ
ルカルボン酸アミドはそれぞれ単独で、あるいは二種以
上を組み合わせて用いてもよい。さらに本発明の表面改
質の損なわない限りにおいて共重合可能な他のモノマ
ー、例えば、アクリルアミド誘導体やアクリル酸エステ
ル、酢酸ビニルなどと併せて用いてもよい。これらのN
‐ビニルカルボン酸アミドの使用割合は、変性ポリマー
の種類、用途、目的に応じて適宜定めることができる
が、通常、グラフト共重合すべきモノマーと幹ポリマー
が共に溶液で均一系な状態の場合では、幹ポリマー10
0重量部当り、N−ビニルカルボン酸アミド10〜20
00重量部、好ましくは30〜500重量部である。ま
た、幹ポリマーが固相の状態でグラフト共重合される不
均一系での場合では、幹ポリマーの重量に無関係にN−
ビニルカルボン酸アミドの濃度が0.2mol/l以上
の溶液が、好ましくは、1.0mol/l以上の溶液
が、グラフトさせるポリマーを浸漬させることができる
量、あるいはポリマー表面と充分接触できる容量が必要
である。N−ビニルカルボン酸アミドの使用割合が少な
すぎるとグラフト変性による改質効果が見られず、逆に
多すぎると末反応N−ビニルカルボン酸アミドの残存量
が多く、N−ビニルカルボン酸アミドの単独重合体が多
く生成して好ましくない。
チル基を表す。) 具体的には、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−
メチル−N−ビニルホルムアミドなどが挙げられ、特に
N−ビニルアセトアミドが好ましい。これらのN−ビニ
ルカルボン酸アミドはそれぞれ単独で、あるいは二種以
上を組み合わせて用いてもよい。さらに本発明の表面改
質の損なわない限りにおいて共重合可能な他のモノマ
ー、例えば、アクリルアミド誘導体やアクリル酸エステ
ル、酢酸ビニルなどと併せて用いてもよい。これらのN
‐ビニルカルボン酸アミドの使用割合は、変性ポリマー
の種類、用途、目的に応じて適宜定めることができる
が、通常、グラフト共重合すべきモノマーと幹ポリマー
が共に溶液で均一系な状態の場合では、幹ポリマー10
0重量部当り、N−ビニルカルボン酸アミド10〜20
00重量部、好ましくは30〜500重量部である。ま
た、幹ポリマーが固相の状態でグラフト共重合される不
均一系での場合では、幹ポリマーの重量に無関係にN−
ビニルカルボン酸アミドの濃度が0.2mol/l以上
の溶液が、好ましくは、1.0mol/l以上の溶液
が、グラフトさせるポリマーを浸漬させることができる
量、あるいはポリマー表面と充分接触できる容量が必要
である。N−ビニルカルボン酸アミドの使用割合が少な
すぎるとグラフト変性による改質効果が見られず、逆に
多すぎると末反応N−ビニルカルボン酸アミドの残存量
が多く、N−ビニルカルボン酸アミドの単独重合体が多
く生成して好ましくない。
【0008】本発明で用いる電子線の加速電圧は、用い
る基材ポリマーの種類などに応じて適宜変えることがで
きるが、通常150〜300kvの間で照射するのが好
ましい。また照射量も基材ポリマーの種類やフィルム、
シートの場合にはその厚さに応じて適宜、調製する必要
があるが、通常30〜150Mradが好ましい。30
Mrad未満では十分なグラフト量が得られない。ま
た、150Mradを越える場合には、基材ポリマーの
架橋反応や劣化反応が進行しすぎてしまう恐れがある。
る基材ポリマーの種類などに応じて適宜変えることがで
きるが、通常150〜300kvの間で照射するのが好
ましい。また照射量も基材ポリマーの種類やフィルム、
シートの場合にはその厚さに応じて適宜、調製する必要
があるが、通常30〜150Mradが好ましい。30
Mrad未満では十分なグラフト量が得られない。ま
た、150Mradを越える場合には、基材ポリマーの
架橋反応や劣化反応が進行しすぎてしまう恐れがある。
【0009】本発明において電子線照射を行う方法につ
いては、本発明の要旨を越えない限り、特に制限はな
い。例えば、幹ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミド
を適当な溶媒に溶かして均一溶液として、これに電子線
照射してN−ビニルカルボン酸アミドグラフト変性ポリ
マーを得ることもできる。また、フィルムや繊維などの
成形品を、N−ビニルカルボン酸アミドの溶液中で、電
子線照射してもよいし、これらの成形品に電子線を照射
した後にN−ビニルカルボン酸アミドの溶液と接触させ
てもよい。この時、N−ビニルカルボン酸アミドを溶か
す溶媒としては、N−ビニルカルボン酸アミドの重合を
阻害しないものが望ましい。具体的には、水、酢酸エチ
ル、シクロヘキサン等である。但し、N−ビニルカルボ
ン酸アミドの単独重合体は酢酸エチル等の有機溶媒には
溶けない場合があるため、水が最も好ましい。さらに重
合時にはN−ビニルカルボン酸アミドの溶液中の溶存酸
素を除去しておく必要がある。具体的には窒素等の不活
性気体でN−ビニルカルボン酸アミド溶液を十分バブリ
ングする。本発明において特に好ましい製造方法は、ポ
リマーフィルムまたはポリマーシートの片面をN−ビニ
ルカルボン酸アミド溶液と接触させた状態に保ち、反対
側からフィルムまたはシートを通して常温で電子線照射
することにより、溶液と接触している側の表面にのみN
−ビニルカルボン酸アミドをグラフト共重合させるグラ
フト変性ポリマーの製造方法である。なお、表面とは約
3μmの深さまでの範囲とする。
いては、本発明の要旨を越えない限り、特に制限はな
い。例えば、幹ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミド
を適当な溶媒に溶かして均一溶液として、これに電子線
照射してN−ビニルカルボン酸アミドグラフト変性ポリ
マーを得ることもできる。また、フィルムや繊維などの
成形品を、N−ビニルカルボン酸アミドの溶液中で、電
子線照射してもよいし、これらの成形品に電子線を照射
した後にN−ビニルカルボン酸アミドの溶液と接触させ
てもよい。この時、N−ビニルカルボン酸アミドを溶か
す溶媒としては、N−ビニルカルボン酸アミドの重合を
阻害しないものが望ましい。具体的には、水、酢酸エチ
ル、シクロヘキサン等である。但し、N−ビニルカルボ
ン酸アミドの単独重合体は酢酸エチル等の有機溶媒には
溶けない場合があるため、水が最も好ましい。さらに重
合時にはN−ビニルカルボン酸アミドの溶液中の溶存酸
素を除去しておく必要がある。具体的には窒素等の不活
性気体でN−ビニルカルボン酸アミド溶液を十分バブリ
ングする。本発明において特に好ましい製造方法は、ポ
リマーフィルムまたはポリマーシートの片面をN−ビニ
ルカルボン酸アミド溶液と接触させた状態に保ち、反対
側からフィルムまたはシートを通して常温で電子線照射
することにより、溶液と接触している側の表面にのみN
−ビニルカルボン酸アミドをグラフト共重合させるグラ
フト変性ポリマーの製造方法である。なお、表面とは約
3μmの深さまでの範囲とする。
【0010】ポリマーフィルムまたはポリマーシートを
両面とも溶液に接触させ、同様に電子線照射を行うこと
によって、両面ともグラフト変性されたポリマーを製造
することができる。本発明において、電子線照射を行
う、温度、時間については特に制限はないが、常温から
N−ビニルカルボン酸アミドが熱分解や熱により単独重
合しない温度で行えばよい。時間は加速電圧等により数
秒から数分で所望とするグラフト重合量となるように設
定することができる。短時間でグラフト変性できること
は工業上有意義である。本発明で製造されるグラフト変
性ポリマーのグラフト量はポリマーフィルムおよび/ま
たはポリマーシート1cm2 当り5〜5000μgの範
囲であることが好ましい。1cm2 当り5μg未満だと
充分な改質効果は見られず、5000μgを越えると基
材ポリマーが変形する可能性があるため好ましくない。
このようにして得られたグラフト共重合体の特徴は、グ
ラフト共重合してないポリマーと比較して、親水性が付
与され、その結果として例えば、ウレタン塗装による塗
装性が極めて改善された。
両面とも溶液に接触させ、同様に電子線照射を行うこと
によって、両面ともグラフト変性されたポリマーを製造
することができる。本発明において、電子線照射を行
う、温度、時間については特に制限はないが、常温から
N−ビニルカルボン酸アミドが熱分解や熱により単独重
合しない温度で行えばよい。時間は加速電圧等により数
秒から数分で所望とするグラフト重合量となるように設
定することができる。短時間でグラフト変性できること
は工業上有意義である。本発明で製造されるグラフト変
性ポリマーのグラフト量はポリマーフィルムおよび/ま
たはポリマーシート1cm2 当り5〜5000μgの範
囲であることが好ましい。1cm2 当り5μg未満だと
充分な改質効果は見られず、5000μgを越えると基
材ポリマーが変形する可能性があるため好ましくない。
このようにして得られたグラフト共重合体の特徴は、グ
ラフト共重合してないポリマーと比較して、親水性が付
与され、その結果として例えば、ウレタン塗装による塗
装性が極めて改善された。
【0011】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するために実
施例をあげるが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。本発明におけるグラフト変性ポリマーの評
価方法を次に示す。 (1)グラフト量 a. 赤外吸収スペクトル 日本分光(株)製赤外分光光度計FT/IR−8000
型によりN−ビニルカルボン酸アミドのカルボニル基の
吸収(1650cm-1付近)に基づくピークの吸光度を
指標とした。表面のみグラフトしたポリマーフィルム
は、表面をイオン交換水で十分に洗浄し乾燥した後、透
過法にて赤外吸収スペクトルを測定した。 b. 接触角 協和界面科学(株)製自動接触角計CA‐Z型により室
温(25℃)で蒸留水との接触角を求めた。 (2)塗装密着強度 フィルムをイソプロピルアルコールで拭った後、日本ビ
ーケミカル製2液ウレタン塗料(主剤(R−271)/
硬化剤(R−271)/シンナー(T−701)=4/
1/2.5)によリ塗装し、風乾15分、90℃で30
分焼付して、放冷した。これを80mm×10mmに切
断し、剥離速度(クロスヘッドスピード)50mm/分
で180°剥離強度を測定し、これを塗装密着強度とし
た。本発明における電子線照射装置としては日新ハイボ
ルテージ(株)製キュアトロンEBC−200−20−
15型を使用し、窒素雰囲気下で電子線を照射した。略
語は次の意味を持つ。
施例をあげるが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。本発明におけるグラフト変性ポリマーの評
価方法を次に示す。 (1)グラフト量 a. 赤外吸収スペクトル 日本分光(株)製赤外分光光度計FT/IR−8000
型によりN−ビニルカルボン酸アミドのカルボニル基の
吸収(1650cm-1付近)に基づくピークの吸光度を
指標とした。表面のみグラフトしたポリマーフィルム
は、表面をイオン交換水で十分に洗浄し乾燥した後、透
過法にて赤外吸収スペクトルを測定した。 b. 接触角 協和界面科学(株)製自動接触角計CA‐Z型により室
温(25℃)で蒸留水との接触角を求めた。 (2)塗装密着強度 フィルムをイソプロピルアルコールで拭った後、日本ビ
ーケミカル製2液ウレタン塗料(主剤(R−271)/
硬化剤(R−271)/シンナー(T−701)=4/
1/2.5)によリ塗装し、風乾15分、90℃で30
分焼付して、放冷した。これを80mm×10mmに切
断し、剥離速度(クロスヘッドスピード)50mm/分
で180°剥離強度を測定し、これを塗装密着強度とし
た。本発明における電子線照射装置としては日新ハイボ
ルテージ(株)製キュアトロンEBC−200−20−
15型を使用し、窒素雰囲気下で電子線を照射した。略
語は次の意味を持つ。
【0012】PP;ポリプロピレン LDPE;低密度ポリエチレン NVA;N−ビニルアセトアミド NVF;N−ビニルホルムアミド
【0013】実施例1〜3 表1に示した条件のモノマー水溶液を調製し、この溶液
を十分に窒素でバブリングした後、約10gを厚さ30
μmの低密度ポリエチレン製の袋にいれた。次に気泡が
残らないようにして開口端をヒートシールし、大きさ約
10cm四方のサンプル袋を得た(図1参照)。このサ
ンプル袋の上面(照射面)から電子線を表1の条件で照
射した。加速電圧は200kvに固定した。照射に要し
た時間は100Mradの場合で約1分であった。次に
この袋を開口し内容液を取り出した後、上面の内側面
(内容液と接していた面)をイオン交換水で十分に洗浄
し、常温で乾燥して表面がグラフト変性されたN−ビニ
ルカルボン酸アミド変性低密度ポリエチレンフィルムを
得た。これらのグラフト変性ポリマーのグラフト量、水
との接触角、塗装密着強度を表1に示した。全てのフィ
ルムでN−ビニルカルボン酸アミドのグラフトが確認さ
れ、表面性質が大きく改質された。
を十分に窒素でバブリングした後、約10gを厚さ30
μmの低密度ポリエチレン製の袋にいれた。次に気泡が
残らないようにして開口端をヒートシールし、大きさ約
10cm四方のサンプル袋を得た(図1参照)。このサ
ンプル袋の上面(照射面)から電子線を表1の条件で照
射した。加速電圧は200kvに固定した。照射に要し
た時間は100Mradの場合で約1分であった。次に
この袋を開口し内容液を取り出した後、上面の内側面
(内容液と接していた面)をイオン交換水で十分に洗浄
し、常温で乾燥して表面がグラフト変性されたN−ビニ
ルカルボン酸アミド変性低密度ポリエチレンフィルムを
得た。これらのグラフト変性ポリマーのグラフト量、水
との接触角、塗装密着強度を表1に示した。全てのフィ
ルムでN−ビニルカルボン酸アミドのグラフトが確認さ
れ、表面性質が大きく改質された。
【0014】実施例4 厚さ20μmのポリプロピレンフィルムを用いた以外
は、実施例1と同様に行った。結果は表1に示した。
は、実施例1と同様に行った。結果は表1に示した。
【0015】比較例1 実施例1〜2と同様の手順で作製した低密度ポリエチレ
ンのサンプルで電子線を照射しなかったものを実施例1
〜3と同じ後処理を行い、赤外吸収スペクトル、フィル
ムの接触角、塗装密着強度を測定した。結果は表1に示
した。N−ビニルアセトアミドポリマーのグラフトは認
められなかった。
ンのサンプルで電子線を照射しなかったものを実施例1
〜3と同じ後処理を行い、赤外吸収スペクトル、フィル
ムの接触角、塗装密着強度を測定した。結果は表1に示
した。N−ビニルアセトアミドポリマーのグラフトは認
められなかった。
【0016】比較例2 比較例1において実施例4のポリプロピレンを用いた以
外は同じである。結果は表1に示した。N−ビニルアセ
トアミドポリマーのグラフトは認められなかった。
外は同じである。結果は表1に示した。N−ビニルアセ
トアミドポリマーのグラフトは認められなかった。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、比較的容易に、効率良
く短時間、かつ穏和な条件で、N−ビニルカルボン酸ア
ミドでグラフト変性したポリマーを製造することができ
る。特に、フィルム等の片側表面にのみN−ビニルカル
ボン酸アミドを、常温で、しかもホモポリマーの生成が
少ない状態でグラフト共重合することができる。このよ
うにして得られたグラフト共重合体の特徴は、グラフト
共重合してないポリマーと比較して、親水性が付与され
る事があり、その結果としてウレタン塗装による塗装性
が極めて改善された。
く短時間、かつ穏和な条件で、N−ビニルカルボン酸ア
ミドでグラフト変性したポリマーを製造することができ
る。特に、フィルム等の片側表面にのみN−ビニルカル
ボン酸アミドを、常温で、しかもホモポリマーの生成が
少ない状態でグラフト共重合することができる。このよ
うにして得られたグラフト共重合体の特徴は、グラフト
共重合してないポリマーと比較して、親水性が付与され
る事があり、その結果としてウレタン塗装による塗装性
が極めて改善された。
【図1】実施例1〜4で用いた電子線グラフト重合装置
の模式図である。
の模式図である。
a 電子線 b 基材ポリマーフィルム c モノマー溶液 d トレイ e 窒素雰囲気で電子線を照射
Claims (5)
- 【請求項1】 電子線照射することにより下記一般式で
示されるN−ビニルカルボン酸アミドをポリマーにグラ
フト共重合することを特徴とするグラフト変性ポリマー
の製造方法。 【化1】 (但し、R1 、R2 は互いに独立して水素原子またはメ
チル基を表す。) - 【請求項2】 電子線照射することによりN−ビニルカ
ルボン酸アミドを固相状態のポリマーにグラフト共重合
することを特徴とするグラフト変性ポリマーの製造方
法。 - 【請求項3】 ポリマーがポリオレフィンである請求項
1または請求項2のグラフト変性ポリマーの製造方法。 - 【請求項4】 ポリマーフィルムまたはポリマーシート
の片面をN−ビニルカルボン酸アミド溶液に接触させた
状態で、もう一方の片面から該フィルムまたは該シート
を通して電子線照射することにより、N−ビニルカルボ
ン酸アミドをポリマーフィルムまたはポリマーシートに
おいて該溶液に接触させた片側表面にグラフト共重合す
ることを特徴とするグラフト変性ポリマーの製造方法。 - 【請求項5】 N−ビニルカルボン酸アミドがN−ビニ
ルアセトアミドである請求項1〜4記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9430596A JPH09278834A (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | グラフト変性ポリマーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9430596A JPH09278834A (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | グラフト変性ポリマーの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09278834A true JPH09278834A (ja) | 1997-10-28 |
Family
ID=14106571
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9430596A Pending JPH09278834A (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | グラフト変性ポリマーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09278834A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001085829A1 (en) * | 2000-05-12 | 2001-11-15 | Logstar Ror A/S | Coating composition for high density polyethylene tubing |
JP2001348449A (ja) * | 2000-06-08 | 2001-12-18 | Mitsubishi Chemicals Corp | N−ビニルホルムアミドのグラフト共重合体の製造方法 |
-
1996
- 1996-04-16 JP JP9430596A patent/JPH09278834A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001085829A1 (en) * | 2000-05-12 | 2001-11-15 | Logstar Ror A/S | Coating composition for high density polyethylene tubing |
JP2001348449A (ja) * | 2000-06-08 | 2001-12-18 | Mitsubishi Chemicals Corp | N−ビニルホルムアミドのグラフト共重合体の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040323 |