JPH09270563A - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子およびその製造方法

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JPH09270563A
JPH09270563A JP1170397A JP1170397A JPH09270563A JP H09270563 A JPH09270563 A JP H09270563A JP 1170397 A JP1170397 A JP 1170397A JP 1170397 A JP1170397 A JP 1170397A JP H09270563 A JPH09270563 A JP H09270563A
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JP
Japan
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layer
laser device
semiconductor laser
conductivity type
current blocking
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Application number
JP1170397A
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English (en)
Inventor
Naohiro Suyama
尚宏 須山
Takeshi Obayashi
健 大林
Akihiro Matsumoto
晃広 松本
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自励発振型半導体レーザ素子において、強い
自励発振を実現するために可飽和吸収効果を十分に大き
くすると、レンズとの結合効率の変化、高出力状態にお
ける信頼性の悪化、動作電流の増大など、半導体レーザ
素子の動作特性が劣化する。 【解決手段】 第1の導電型の半導体基板1と、該半導
体基板1の上に形成されて少なくとも該第1の導電型の
第1クラッド層3と活性層4と第2の導電型の第2クラ
ッド層5とを含む積層構造と、該積層構造の上に形成さ
れてストライプ状領域を有する電流ブロック機能体と、
該ストライプ部及び該電流ブロック機能体を埋めるよう
に形成されている該第2の導電型の第3クラッド層12
と、を含む半導体レーザ素子において、該電流ブロック
機能体が該活性層4の禁制帯幅と略等しい禁制帯幅を有
する可飽和吸収層9を含むように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録再生型光磁気
ディスク用の光源などに適する、出射レーザ光の戻り光
に対して強い耐性を有する低雑音で高出力の半導体レー
ザ素子に関し、特に、可飽和吸収体による自励発振現象
を利用した低雑音高出力半導体レーザ素子およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ素子を光ディスク装置の信
号読み取り用光源として用いる場合、出射レーザ光がデ
ィスク面で反射されて半導体レーザ素子自身へ戻ってく
ると、半導体レーザ素子が非常に大きな雑音、いわゆる
戻り光雑音を発生して、光ディスクからの信号が正しく
読みとれなくなることがある。
【0003】このような半導体レーザ素子の戻り光雑音
を低減する方法として、自励発振現象を利用する方法が
良く知られている。自励発振現象を利用している自励発
振型半導体レーザ素子では、自励発振によりレーザ光の
可干渉性が低下するので、レーザ光がディスク面で反射
されて半導体レーザ素子に戻ってきても、素子の内部で
の干渉作用を発生しない。その結果、低雑音特性が確保
される。半導体レーザ素子の活性層の内部に可飽和吸収
体を形成することによってこの自励発振現象が生じるこ
とが、理論的に示されている(M.Yamada:IE
EE J.Quantum Electron.、vo
l.QE−29、No.5、pp.1330−1336
(1993年5月)参照)。
【0004】図12は、自励発振による低雑音動作が実
現されている従来の半導体レーザ素子50の断面構造を
示している(第14回半導体レーザ国際会議ダイジェス
ト、Th4.1、pp.247−248(1994)参
照)。
【0005】この半導体レーザ素子50では、まずウエ
ハ状態のn−GaAs基板51の上に、有機金属気相成
長(MOCVD)法によって、n−GaAsバッファ層
52、n−AlxGa1-xAs(x=0.4)第1クラッ
ド層53、ノンドープ多重量子井戸活性層54、p−A
xGa1-xAs(x=0.4)第2クラッド層55、及
びn−AlxGa1-xAs(x=0.45)電流ブロック
層56を、順に成長させる。その後に、MOCVD装置
からウエハを取り出して、電流ブロック層56の表面か
ら第2クラッド層55に達するストライプ状の溝(以下
では、「ストライプ部」と称する)57を形成する。こ
のストライプ部57は、半導体レーザ素子50の動作時
の電流通路として機能する。
【0006】さらにその後に、ウエハを再びMOCVD
装置に導入し、MOCVD法によって、ストライプ部5
7を含めて電流ブロック層56を覆うように、p−Al
xGa1-xAs(x=0.4)第3クラッド層58及びp
−GaAsキャップ層59を順に成長する。成長終了後
に、p側電極60をキャップ層59の上に形成し、n側
電極61を基板51の裏面に形成する。さらに、ウエハ
をチップに分割することにより、個々の半導体レーザ素
子50が得られる。
【0007】さらに、高出力の半導体レーザ素子を得る
ためには、光出射側の端面に3%程度の反射率が得られ
るようなコーティングを施し、反対側の端面に94%程
度の反射率が得られるようなコーティングを行う。
【0008】このようにして形成された半導体レーザ素
子50の電極60及び61の間に電圧を印加すると、ス
トライプ部57を通して活性層54に電流が注入され
て、レーザ発振を生じる。このとき、ストライプ部57
の内部とその外側領域との間での実効屈折率の違いによ
り、発振したレーザ光は、ストライプ部57の直下に相
当する領域を導波される。
【0009】このような半導体レーザ素子50において
は、第2クラッド層55をある程度以上厚くするととも
に、ストライプ部57の内部とその外側との間の実効屈
折率差を小さくすると、ストライプ部57の内部への光
閉じ込めが弱くなる。その結果、活性層54への電流注
入幅に対して、レーザ光の拡がりの幅が大きくなるよう
な状態が実現される。このような状態では、活性層54
のうちでストライプ部57の外部に相当する部分が可飽
和吸収体として作用して、自励発振動作が達成される。
【0010】一方、図13は、自励発振現象を利用した
低雑音動作が実現されている従来の他の半導体レーザ素
子70の断面構造を示している。この半導体レーザ素子
70では、活性層74とは別に可飽和吸収層76が設け
られており、その可飽和吸収作用によって自励発振を生
じさせる(第12回半導体レーザシンポジウム予稿集、
p.ll(1995年3月)参照)。
【0011】具体的には、半導体レーザ素子70では、
n−GaAs基板71の上に、n−GaAsバッファ層
72、n−AlyGa1-yAs第1クラッド層73、Al
xGa1-xAs活性層74、及びp−AlyGa1-yAs第
2クラッド層75が、順に積層されている。また、第2
クラッド層75の上には、ストライプ状のp−AlGa
As可飽和吸収層76が積層されている。
【0012】さらに、p−AlGaAs可飽和吸収層7
6の上には、p−AlyGa1-yAs第3クラッド層77
とp−GaAsコンタクト層78とからなるストライプ
状のメサ領域79が形成される。また、第2クラッド層
75の上であってメサ領域79の両側には、n−AlG
aAs電流ブロック層80が積層されている。さらに、
ストライプ状メサ領域79及び電流ブロック層80を覆
うように、p−GaAsキャップ層81が積層されてい
る。また、キャップ層81の上にはp側電極82が形成
され、一方、基板71の裏面にはn側電極83が形成さ
れている。
【0013】この半導体レーザ素子70の場合は、可飽
和吸収層76のAl組成比(すなわち、可飽和吸収層7
6の禁制帯幅)を活性層74のAl組成比(活性層74
の禁制帯幅)と略等しくして、可飽和吸収特性を確保し
ている。先に述べた半導体レーザ素子50では、活性層
54のうちでストライプ部57の外部に相当する領域を
可飽和吸収体として動作させているが、この半導体レー
ザ素子70の場合の自励発振は、活性層74とは別に設
けられた可飽和吸収層76の吸収飽和特性を利用してい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上で説明した2つの
従来の半導体レーザ素子50及び70の構造のうち、前
者の半導体レーザ素子50において強い自励発振(すな
わち可干渉性の十分な低下)を実現するためには、可飽
和吸収効果を十分に大きくする必要がある。そのような
目的を達成するためには、具体的には、以下の2通りの
手法をとることができる。
【0015】(1)ストライプ部57の内部と外部との
間の実効屈折率差を小さくして、ストライプ部57の外
部における活性層54からなる可飽和吸収体への光のし
みだしを増大する。
【0016】(2)活性層54を厚くして、可飽和吸収
体の体積を大きくする。
【0017】しかし、これら(1)及び(2)の方法で
は、それぞれ以下のような問題点が生じる。
【0018】まず、前者(1)の方法では、活性層54
のうちでストライプ部57の外部に相当する部分への光
のしみだしが増大することによって、光スポットサイズ
が拡がる。そのため、活性層54に平行な方向の放射角
が狭くなる。その結果、自励発振の起こらない半導体レ
ーザ素子と比較した場合に、半導体レーザ素子とレンズ
との結合効率が変化するという光学特性上の問題が生じ
る。
【0019】一方、後者(2)の方法では、一般に活性
層54を厚くすると、高出力状態における信頼性が悪化
する。
【0020】また、従来の半導体レーザ素子70の構造
では、ストライプ部79の外部における活性層74を可
飽和吸収体として利用するのではなく、ストライプ部7
9の内部に相当する領域に活性層74とは別に形成され
ている可飽和吸収層76を、自励発振動作のために利用
する。従って、ストライプ部79の外部の活性層74へ
の光のしみだしを増大して光スポットサイズを拡大する
必要がないので、半導体レーザ素子50において生じる
先述の問題点は発生しない。
【0021】しかし、半導体レーザ素子70の構造にお
いて低雑音化のために強い自励発振特性を確保するに
は、可飽和吸収層76を比較的厚くする必要がある。こ
の場合、可飽和吸収層76が発振領域の中心部分の極く
近傍に形成されるため、可飽和吸収層76の未飽和状態
での光吸収が大きくなり、発振開始電流の増加や微分効
率の低下などを通じて動作電流が増大する。その結果、
半導体レーザ素子70の動作特性の悪化を生じる。
【0022】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、低雑音特性に優れた強い
自励発振特性を有するとともに、光学特性の悪化、信頼
性不良、或いは動作電流の増大など、動作特性上の問題
が生じない高出力の半導体レーザ素子およびその製造方
法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明のある局面によれ
ば、半導体レーザ素子が、第1の導電型の半導体基板
と、該半導体基板の上に形成され、第1の導電型の第1
クラッド層と活性層と第2の導電型の第2クラッド層と
を少なくとも含む積層構造と、該積層構造の上にストラ
イプ状領域を有して形成されている電流ブロック機能体
と、該ストライプ部及び該電流ブロック機能体を埋める
ように形成されている第2の導電型の第3クラッド層と
を含み、該電流ブロック機能体は、該活性層の禁制帯幅
と略等しい禁制帯幅を有する可飽和吸収層を少なくとも
含んでいて、そのことによって上記目的が達成される。
【0024】本発明の他の局面によれば、半導体レーザ
素子が、第1の導電型の半導体基板と、該半導体基板の
上に形成され、第1の導電型の第1クラッド層と活性層
と第2の導電型の第2クラッド層とを少なくとも含む積
層構造と、該積層構造の上に形成され、第2の導電型の
第3クラッド層と第2の導電型のコンタクト層とを少な
くとも含むストライプ状のメサ領域と、該積層構造の上
であって該ストライプ状メサ領域の両側に形成されてい
る電流ブロック機能体とを含み、該電流ブロック機能体
は、該活性層の禁制帯幅と略等しい禁制帯幅を有する可
飽和吸収層を少なくとも含み、該可飽和吸収層は該スト
ライプ状メサ領域の側面を覆っていて、そのことによっ
て上記目的が達成される。
【0025】上記のようないずれかの構造を有する半導
体レーザ素子について、ある実施形態では、前記電流ブ
ロック機能体が、積層構造側に設けたn型の半導体層を
有し、該n型の半導体層の前記基板とは反対側に前記可
飽和吸収層が配されると共にp型に形成されている構成
を一部に有している。
【0026】上記のようないずれかの構造を有する半導
体レーザ素子について、ある実施形態では、前記電流ブ
ロック機能体のうちで前記可飽和吸収層以外の部分の禁
制帯幅が前記第1及び第2クラッド層の禁制帯幅よりも
大きく、電流注入によって前記活性層で発生するレーザ
光に対する吸収作用がない。
【0027】他の実施形態では、前記活性層の実効的な
禁制帯幅を与えるAl組成比xと、前記可飽和吸収層の
実効的な禁制帯幅を与えるAl組成比yとが、 x−0.02≦y≦x+0.02 なる関係を満たす。
【0028】さらに他の実施形態では、前記活性層のう
ちで前記ストライプ状領域の外部に相当する領域が、さ
らに可飽和吸収体として機能する。
【0029】本発明のさらに他の局面によれば、半導体
レーザ素子の製造工程が、第1の導電型の半導体基板の
上に、第1の導電型の第1クラッド層と活性層と第2の
導電型の第2クラッド層とを少なくとも含む積層構造を
成長させる工程と、該積層構造の上に、該活性層の禁制
帯幅と略等しい禁制帯幅を有する可飽和吸収層を少なく
とも含んでなる電流ブロック機能体を成長させる工程
と、該電流ブロック機能体にストライプ状領域をエッチ
ングによって形成する工程と、該ストライプ部及び該電
流ブロック機能体を覆う第2の導電型の第3クラッド層
を成長させる工程とを包含し、そのことによって上記目
的が達成される。
【0030】本発明のさらに他の局面によれば、半導体
レーザ素子の製造方法が、第1の導電型の半導体基板の
上に、第1の導電型の第1クラッド層と活性層と第2の
導電型の第2クラッド層とを少なくとも含む積層構造を
成長させる工程と、該積層構造の上に、第2の導電型の
第3クラッド層と第2の導電型のコンタクト層とを順に
成長させる工程と、該第3クラッド層及び該コンタクト
層をエッチングしてストライプ状メサ領域を形成する工
程と、該積層構造の上であって該ストライプ状メサ領域
の両側に、該活性層の禁制帯幅と略等しい禁制帯幅を有
する可飽和吸収層を少なくとも含んでなる電流ブロック
機能体を、該可飽和吸収層が該ストライプ状メサ領域の
側面を覆うように成長させる工程とを包含し、そのこと
によって上記目的が達成される。
【0031】前記電流ブロック機能体を成長させる工程
において、n型の半導体層を形成した後に、p型の可飽
和吸収層を形成する工程を含むようにしてもよい。
【0032】以下作用について説明する。
【0033】本発明の半導体レーザ素子では、電流ブロ
ック機能体の内部に可飽和吸収層を形成する。そのよう
な電流ブロック機能体の内部の可飽和吸収層の可飽和吸
収作用を利用することによって、十分に強度の強い自励
発振動作が実現される。その結果、半導体レーザ素子の
動作特性における低雑音化が達成される。また、活性層
のうちでストライプ部の外部に相当する領域への光のし
みだしの度合の低減、或いは活性層の厚さの低減が達成
されるので、光学特性の悪化や信頼性不良などの問題が
生じない。
【0034】さらに、電流ブロック機能体の内部に形成
された可飽和吸収層は、発振領域の中心部からは離れて
形成されているので、光吸収の増加を比較的小さく抑え
ることができる。その結果、発振開始電流や駆動電流の
増大という問題が生じない。
【0035】また、活性層のうちでストライプ部の外部
に相当する領域も可飽和吸収体として機能させ、その部
分の可飽和吸収作用も合わせて利用することにより、上
記課題の解決のための許容値の範囲を広げられる。
【0036】或いは、半導体基板の上にクラッド層及び
活性層を含む積層構造が形成され、さらにその上に形成
されたストライプ状のメサ領域の両側を電流ブロック機
能体で挟み込む構成になっている半導体レーザ素子にお
いて、電流ブロック機能体が可飽和吸収層を含み、さら
にストライプ状メサ領域の側面が可飽和吸収層によって
覆われている構造にすることによって、自励発振特性
(すなわち雑音特性)がさらに改善される。
【0037】また、電流ブロック機能体の可飽和吸収層
をp型にすると、n型のものよりも強い自励発振が得ら
れる。その理由は、可飽和吸収層の光吸収によって生成
されるキャリアの密度変化量に対するその可飽和吸収層
の光吸収特性の変化量がn型よりもp型の方が大きく、
それが自励発振のし易さや強さに関係してくるものと考
えられるからである。
【0038】更に加えて、このように可飽和吸収層をp
型にしたとき、その積層構造側にn型の半導体層を設け
るようにすると、このn型の半導体層が電流ブロック層
として機能するようになり、p型の半導体層を用いる場
合よりも、低電流動作をさせることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に、図面を用いて本発明の実
施形態を説明する。
【0040】(第1の実施の形態)図1に、本発明の第
1の実施形態における半導体レーザ素子100の断面構
造図を示す。
【0041】この半導体レーザ素子100では、n−G
aAs基板1の上に、n−GaAsバッファ層(厚さ
0.5μm)2、n−AlyGa1-yAs第1クラッド層
(y=0.5、厚さ1.5μm)3、ノンドープAlx
Ga1-xAs活性層(x=0.14、厚さ0.05μ
m)4、p−AlyGa1-yAs第2クラッド層(y=
0.5、厚さ0.25μm)5、ならびにp−GaAs
エッチストップ層(厚さ0.003μm)6が、順に積
層されている。エッチストップ層6の上には、p−Al
uGa1-uAsエッチストップ層(u=0.6、厚さ0.
02μm)8、可飽和吸収層としてのn−AlvGa1-v
As第1電流ブロック層(v=0.14、厚さ0.25
μm)9、n−AlwGa1-wAs第2電流ブロック層
(w=0.6、厚さ0.35μm)10、ならびにn−
GaAs保護層(厚さ0.01μm)11が、順に形成
されている。本実施形態では、可飽和吸収層として機能
する第1電流ブロック層9と、第2電流ブロック層10
とにより、電流ブロック機能体が構成される。
【0042】さらに、保護層11の表面からエッチスト
ップ層6の表面に達するストライプ状の溝、すなわちス
トライプ部7が形成されており、エッチストップ層8、
第1電流ブロック層9、第2電流ブロック層10、なら
びに保護層11は、いずれもこのストライプ部7で分断
されている。なお、ストライプ部7の最上部の幅は、約
2.5μmである。
【0043】さらに、ストライプ部7及び保護層11を
覆うように、p−AlzGa1-zAs第3クラッド層(z
=0.5、厚さ1.2μm)12及びp−GaAsキャ
ップ層(厚さ1.0μm)13が、順に積層されてい
る。さらに、キャップ層13の上にはp側電極14が形
成され、基板1の裏面にはn側電極15が形成されてい
る。
【0044】次に、半導体レーザ素子100の作製方法
を、図2(a)〜(c)の断面図を参照して説明する。
【0045】まず、図2(a)に示すように、n−Ga
As基板1の上にMOCVD法により、n−GaAsバ
ッファ層2、n−AlyGa1-yAs第1クラッド層3、
ノンドープAlGaAs活性層4、p−AlyGa1-y
s第2クラッド層5、p−GaAsエッチストップ層
6、p−AluGa1-uAsエッチストップ層8、n−A
vGa1-vAs第1電流ブロック層9、n−AlwGa
1-wAs第2電流ブロック層10、及びn−GaAs保
護層l1を、この順に連続的に成長させる。
【0046】次に、このウエハをMOCVD装置から取
り出して、図2(b)に示すように、フォトリソグラフ
ィ法や選択エッチング法等を用いて、保護層11の表面
からp−GaAsエッチストップ層6に達するストライ
プ部7を形成する。
【0047】その後に、このようにストライプ部7が形
成されたウエハを再びMOCVD装置に導入し、図2
(c)に示すように、ストライプ部7及び保護層11を
覆うように、p−AlzGa1-zAs第3クラッド層12
及びキャップ層13を成長させる。
【0048】次に、基板1の一部を裏面側から研磨など
により除去して、その厚さが約100μmとなるように
加工する。その後に、キャップ層13の上にp側電極1
4を形成し、基板1の裏面にはn側電極15を形成す
る。最後に、ウエハをチップに分割し、高出力用の端面
コーティングを行うことによって、半導体レーザ素子1
00が得られる。
【0049】以上に説明した本実施形態の半導体レーザ
素子100の製造方法では、最初に可飽和吸収体として
機能する第1電流ブロック層9及び活性層4を含む各層
を積層しておいて、その後にストライプ部7をエッチン
グによって形成する。そのため、製法が簡単で歩留まり
がよく、また製造コストも低い。
【0050】このようにして形成された半導体レーザ素
子100の電極14及び15の間に電圧を印加すると、
ストライプ部7を通じて活性層4に電流が注入されてレ
ーザ光の発振を開始する。本実施形態の半導体レーザ素
子100の場合、第2電流ブロック層10のAl組成は
0.6であり、活性層4のAl組成0.14に比べて十
分に大きい。したがって、この領域は活性層4で発生す
るレーザ光に対して非吸収であり、これにより、低電流
特性が実現される。典型的には、本実施形態に基づく半
導体レーザ素子100の発振開始電流は30mAであ
り、出力35mWを得るために必要な動作電流は70m
A程度である。
【0051】この半導体レーザ素子100に電流注入を
行うと、電流注入の幅はストライプ部7の幅によって制
限され、その大部分は、活性層4のうちでストライプ部
7の幅と同程度の幅の領域内に注入される。これに対し
て、ストライプ部7の内部への光閉じ込めは弱く設定さ
れているので、光は、ストライプ部7の内部の幅に比し
て広く拡がっており、結果的にストライプ部7の外部に
位置する活性層4が可飽和吸収体として作用する。さら
に、光は第1電流ブロック層9の内部にも部分的に拡が
り、これによって、この領域の第1電流ブロック層9も
可飽和吸収体として作用する。
【0052】図3は、自励発振特性の目安となるレーザ
光の可干渉性指数の光出力依存性の測定結果を示すグラ
フである。図3に示すように、光出力が1mW程度から
可干渉性指数は低下し始めて、光出力が2mWにおいて
可干渉性指数は非常に低い値を示す。この特性は、CD
プレーヤ等に用いられる低雑音低出力レーザの自励発振
特性と同等である。
【0053】図4は、本実施形態の半導体レーザ素子1
00の戻り光雑音特性の測定結果を示すグラフである。
具体的には、光路長が30mmで光出力が3mWである
場合に、戻り光量を0.001%〜10%の範囲で変化
させた場合に得られる相対雑音強度(RIN)の測定結
果である。図4に示すように、測定したすべての戻り光
量の範囲で、相対雑音強度として、−130dB/Hz
程度以下の低い値が得られている。
【0054】さらに図5は、本実施形態の半導体レーザ
素子100において、可飽和吸収体として作用する第1
電流ブロック層9の厚さ(dblock1)の変化に対するス
トライプ部7の内部及び外部の実効屈折率の差(△n)
の変化を示すグラフである。具体的には、第1電流ブロ
ック層9のAl組成比(Xblock1)を0.12、0.1
4及び0.16の3通りの値に設定して、それぞれにお
ける測定結果を示している。
【0055】図5に示されているように、第1電流ブロ
ック層9の厚さ(dblock1)が、ほぼ、 0.03μm≦dblock1≦0.13μm、及び 0.34μm≦dblock1≦0.42μm の範囲内にある場合には、ストライプ部7の内部の実効
屈折率がストライプ部7の外部の実効屈折率より小さく
なる(△nが0以下となる)アンチガイドモードとな
る。このようなアンチガイドモードでは、ストライプ部
7の内部に光を閉じ込めることが困難となり、レーザ発
振特性が不安定となる。
【0056】図面中で「アンチガイド」として示してい
る範囲は、Xblock1=0.14の場合のものである。こ
の範囲はXblock1の値に依存して変化するが、原則的に
は、図5に示す特性で△nが0以下となる範囲に相当す
る。
【0057】以下に説明する他の特性に関しては、アン
チガイドモード以外の場合について議論する。
【0058】図6は、本実施形態の半導体レーザ素子1
00において、可飽和吸収体として作用する第1電流ブ
ロック層9の厚さ(dblockl)の変化に対する可干渉性
指数の変化を示すグラフである。ただし、光出力は3m
Wである。具体的には、第1電流ブロック層9のAl組
成比(Xblock1)を0.12、0.14及び0.16の
3通りの値に設定して、それぞれにおける測定結果を示
している。
【0059】低雑音特性を実現するには可干渉性指数は
0.5以下である必要があるが、第1電流ブロック層9
のAl組成比Xblock1が増大すると、可干渉性指数は増
大する傾向にある。特に、Xblock1>0.16の場合に
は、アンチガイドモードに相当する領域以外で可干渉性
指数が0.5以下を満足する領域が、極めて少なくな
る。そこで、可干渉性指数特性の観点からは、第1電流
ブロック層9のAl組成比Xblock1は0.16以下に設
定することが望ましい。
【0060】次に、図7は、本実施形態の半導体レーザ
素子100において、第1電流ブロック層9の厚さ(d
blockl)の変化に対する動作電流(Iop)の変化を示す
グラフである。ただし、光出力は35mWである。具体
的には、第1電流ブロック層9のAl組成比
(Xblock1)を0.12、0.14及び0.16の3通
りの値に設定して、それぞれにおける測定結果を示して
いる。
【0061】図7に示されているように、第1電流ブロ
ック層9のAl組成比Xblock1が減少すると、動作電流
opは増大する傾向にある。特に、Xblock1<0.12
の場合には、動作電流Iopが110mA以上に増大す
る。そこで、動作電流特性の観点からは、第1電流ブロ
ック層9のAl組成比Xblock1は0.12以上に設定す
ることが望ましい。
【0062】以上の点より、図1に示す半導体レーザ素
子100に関する先に述べた説明では、活性層4及び可
飽和吸収層として機能する第1電流ブロック層9の禁制
帯幅を与えるそれぞれの層のAl組成比に関して、第1
電流ブロック層9のAl組成比(Xblock1)が活性層4
のAl組成比と等しい0.14と説明されているが、実
際には両者はお互いに略等しければよい。具体的には、
図6及び図7を参照して説明した上記の条件を満足する
ように、 0.12≦Xblock1≦0.16 の範囲内に設定することが望ましい。
【0063】なお、上記の第1電流ブロック層9のAl
組成比(Xblock1)の範囲は、AlxGa1-xAs活性層
4のAl組成比xが0.14である場合の値である。
【0064】より一般的には、活性層4の実効的な禁制
帯幅を与える活性層4のAl組成比xに対して、可飽和
吸収層として機能する第1電流ブロック層9の実効的な
禁制帯幅を与える第1電流ブロック層9のAl組成比X
block1が、 x−0.02≦Xblock1≦x+0.02 なる関係を満たすように設定すれば、上述したものと同
様の効果を得ることができる。例えば、活性層や可飽和
吸収層が量子井戸構造や超格子構造であって、それらの
層について個別の層としてのAl組成比が特定できない
場合であっても、発光特性や発振波長、或いは吸収特性
などの動作特性から決定される等価的なAlGaAsの
Al組成に対して上記の関係式が満足されれば、本発明
の効果を得ることができる。
【0065】さらに、図8は、本実施形態の半導体レー
ザ素子100において、第1電流ブロック層9の厚さ
(dblockl)の変化に対する出射レーザ光の水平方向放
射角の特性、すなわち出射レーザ光の遠視野像における
水平方向の半値幅(以下、「θ水平」と称する)の変化
を示すグラフである。具体的には、第1電流ブロック層
9のAl組成比(Xblock1)を0.12、0.14及び
0.16の3通りの値に設定して、それぞれにおける測
定結果を示している。
【0066】一般に、θ水平が9度未満になると、光学
特性に不良が生じる。図8より、θ水平が9度以上とな
る第1電流ブロック層9の厚さ(dblockl)は、ほぼ以
下の範囲になる。
【0067】0.14μm≦dblock1≦0.30μm、
及び 0.44μm≦dblock1≦0.58μm 以上に説明してきたように、第1電流ブロック層9の厚
さ(dblockl)は、図6〜図8を参照して説明した上記
条件を満足するように、上記の範囲内に設定することが
望ましい。
【0068】なお、本実施形態の半導体レーザ素子10
0はエッチストップ層6及び8を備えているが、これは
半導体レーザ素子の作製の再現性及び制御性を向上させ
るために挿入したものである。したがって、エッチスト
ップ層6及び8を有しない場合においても、以上に説明
したものと同様の効果を得ることができる。
【0069】(第2の実施の形態)図9に、本発明の第
2の実施形態における半導体レーザ素子200の断面構
造図を示す。
【0070】この半導体レーザ素子200は、n−Ga
As基板21の上に、n−GaAsバッファ層(厚さ
0.5μm)22、n−AlyGa1-yAs第1クラッド
層(y=0.5、厚さ1.5μm)23、多重量子井戸
活性層24、p−AlyGa1-yAs第2クラッド層(厚
さ0.30μm)25、p−GaAsエッチストップ層
(厚さ0.003μm)26が、順に積層されている。
さらに、エッチストップ層26の上には、p−Alz
1-zAs第3クラッド層(z=y、厚さ1.2μm)
27及びp−GaAsコンタクト層(厚さ0.5μm)
28からなるストライプ状のメサ領域29が形成されて
いる。メサ領域29の幅は、約2.5μmである。
【0071】さらにこのメサ領域29の両側のエッチス
トップ層26の上には、n型の電流ブロック層30、p
−AlwGa1-wAs光閉じ込め層(w=0.7、厚さ
0.43μm)31、及びp−GaAs保護層32が、
順に積層されている。このうち電流ブロック層30は、
n−AlvGa1-vAs(v=0.5、厚さ1nm)とn
−GaAs(厚さ2.5nm)とからなる超格子構造と
なっており、その平均のAl組成は0.13であり、全
体の厚さは0.27μmである。この電流ブロック層3
0は、発振したレーザ光に対する可飽和吸収層として機
能する。本実施形態では、可飽和吸収層として機能する
電流ブロック層30で電流ブロック機能体が構成され
る。
【0072】ストライプ状のメサ領域29および保護層
32の上には、p−GaAsキャップ層(厚さ1μm)
33が積層されている。さらに、キャップ層33の上に
はp側電極34が形成されており、基板21の裏面には
n側電極35が形成されている。
【0073】多重量子井戸活性層24は、Al0.3Ga
0.7Asガイド層(厚さ200オングストローム)と、
計5層のAl0.1Ga0.9Asウエル層(厚さ100オン
グストローム)、ならびに計4層のAl0.3Ga0.7As
バリア層(厚さ80オングストローム)が、交互に積層
されて構成されている。
【0074】この構成では、可飽和吸収体として機能す
る電流ブロック層30によってストライプ状のメサ領域
29の側面が覆われているので、自励発振特性(雑音特
性)がさらに改善される。
【0075】次に、半導体レーザ素子200の作製方法
を、図10(a)〜(c)の断面図を参照して説明す
る。
【0076】まず、図10(a)に示すように、n−G
aAs基板21の上にMOCVD法により、n−GaA
sバッファ層22、n−AlyGa1-yAs第1クラッド
層23、多重量子活性層24、p−AlyGa1-yAs第
2クラッド層25、p−GaAsエッチストップ層2
6、p−AlzGa1-zAs第3クラッド層27、及びp
−GaAsコンタクト層28を、この順に連続的に成長
させる。
【0077】次に、このウエハをMOCVD装置から取
り出して、プラズマCVD法などにより、コンタクト層
28の上にSiN膜(厚さ0.3μm)を形成する。次
に、フォトリソグラフィ法や選択エッチング法等を用い
て、SiN膜の表面からエッチストップ層26の上に存
在する第3クラッド層27を除去して、図10(b)に
示すようなストライプ状のメサ領域29を形成する。た
だし、図10(b)では、メサ領域29の上のSiN膜
は省略している。
【0078】その後に、このようにストライプ状のメサ
領域29が形成されたウエハを再びMOCVD装置に導
入し、図10(c)に示すように、メサ領域29の両側
に超格子構造を有して可飽和吸収層として機能する電流
ブロック層30、ならびにp−AlwGa1-wAs光閉じ
込め層31及びp−GaAs保護層32を成長する。こ
のとき、SiN膜の上にも電流ブロック層30、光閉じ
込め層31及び保護層32が積層されるが、これらの各
膜30〜32の成長後にウエハをMOCVD装置から一
旦取り出し、これらの各膜30〜32ならびにSiN膜
を除去する。その後に、あらためてウエハをMOCVD
装置に導入して、MOCVD法によりキャップ層33を
形成する。
【0079】次に、基板21の一部を裏面から研磨など
により除去して、その厚さが約100μmとなるように
加工する。その後に、キャップ層33の上にp側電極3
4を形成し、基板21の裏面にはn側電極35を形成す
る。最後に、ウエハをチップに分割し、高出力用の端面
コーティングを行うことによって、半導体レーザ素子2
00が得られる。
【0080】以上のような製造方法では、エッチストッ
プ層26とクラッド層27との間の界面は形成初期の状
態がそのまま維持されるので、界面の乱れがない。この
結果、動作電流の低減が実現される。
【0081】以上のようにして形成される本実施形態の
半導体レーザ素子200では、典型的には、発振開始電
流が27mAであり、35mWの出力を得るために必要
な動作電流は60mAである。また、可干渉性指数は、
第1の実施の形態における半導体レーザ素子100と同
様に十分に低い値が得られ、相対雑音強度も十分に低い
値が得られる。
【0082】以上のように本実施形態では、可飽和吸収
層となる電流ブロック層を超格子構造とすることによ
り、通常のAlGaAs混晶の可飽和吸収層に比べて可
飽和吸収特性が急峻となる。この結果、より低いレベル
の出力に至るまで強い自励発振特性が得られて、その結
果、それによる低雑音特性が実現される。
【0083】(第3の実施の形態)本実施形態は、上述
した第1、第2の実施の形態においては、共に、p型の
エッチストップ層(8または26)の上にn型電流ブロ
ック層からなる電流ブロック機能体を設ける構成として
いるのに対し、n型電流ブロック層のエッチストップ層
側の層をp型とし、このp型の層に接する側のエッチス
トップ層をn型にした場合である。
【0084】このような構成とした場合には、エッチス
トップ層側のp型の層は、電流ブロック層としての機能
はなくなり、可飽和吸収層としての機能が主たる機能と
なる。また、このp型の層に接する側のエッチストップ
層をn型にすることにより、この層が電流ブロック層と
しての機能を有するようになる。
【0085】図11に、本発明の第3の実施形態におけ
る半導体レーザ素子300の断面構造図を示す。
【0086】この半導体レーザ素子300では、n−G
aAs基板101の上に、n−GaAsバッファ層(厚
さ0.5μm)102、n−AlyGa1-yAs第1クラ
ッド層(y=0.5、厚さ1.5μm)103、ノンド
ープAlxGa1-xAs活性層(x=0.14、厚さ0.
05μm)104、p−AlyGa1-yAs第2クラッド
層(y=0.5、厚さ0.25μm)105、ならびに
p−GaAsエッチストップ層(厚さ0.003μm)
106が、順に積層されている。エッチストップ層10
6の上には、n−AluGa1-uAsエッチストップ層
(u=0.6、厚さ0.07μm)108、p−Alv
Ga1-vAs可飽和吸収層(v=0.14、厚さ0.2
5μm)109、n−AlwGa1-wAs電流ブロック層
(w=0.6、厚さ0.35μm)110、ならびにn
−GaAs保護層(厚さ0.01μm)111が、順に
形成されている。
【0087】さらに、保護層111の表面からエッチス
トップ層106の表面に達するストライプ状の溝、すな
わちストライプ部107が形成されており、エッチスト
ップ層108、可飽和吸収層109、電流ブロック層1
10、ならびに保護層111は、いずれもこのストライ
プ部107で分断されている。なお、ストライプ部10
7の最上部の幅は、約2.5μmである。
【0088】さらに、ストライプ部107及び保護層1
11を覆うように、p−AlzGa1-zAs第3クラッド
層(z=0.5、厚さ1.2μm)112及びp−Ga
Asキャップ層(厚さ2.0μm)113が、順に積層
されている。さらに、キャップ層113の上にはp側電
極114が形成され、基板101の裏面にはn側電極1
15が形成されている。
【0089】このように構成された本実施形態の半導体
レーザ素子においては、電流ブロック機能体の可飽和吸
収層109をp型にしている。その理由は、前述したよ
うに、n型のものよりも強い自励発振が得られるからで
ある。このように可飽和吸収層109をp型にしたと
き、その下側のエッチストップ層108をn型ではなく
p型にしておくと、キャップ層113からストライプ部
107の第3クラッド層112への電流は、可飽和吸収
層109内で横方向に拡がるため、非常に大きな電流拡
がりを生じ、発振開始電流や動作電流の増大を生じてし
まう。そこで、本実施形態のように、エッチストップ層
108をn型にすることにより、その電流拡がりを低減
でき、つまりこのn型のエッチストップ層108が電流
ブロック層として機能するようになり、p型のエッチス
トップ層とする場合よりも、低電流動作をさせることが
可能となる。
【0090】したがって、本実施形態では、エッチスト
ップ層108と、可飽和吸収層109と、電流ブロック
層110とにより電流ブロック機能体が構成される。な
お、可飽和吸収層109内への電流拡がりに対する電流
ブロックを主たる機能とするエッチストップ層108に
ついては、その機能を良好とするためには、エッチスト
ップ層108の厚さを、光学的特性や自励発振特性等に
問題を生じない範囲内で厚くするのが望ましい。
【0091】また、本実施形態では、エッチストップ層
108をn型の単層としたが、本発明はこれに限らず、
電流ブロックを主たる機能とするn型層とエッチストッ
プを主たる機能とするp型層との2層の構成とする等、
種々の構成とすることが可能である。
【0092】この半導体レーザ素子300は、上述した
第1の実施の形態にかかる半導体レーザ素子100に対
応するものであるが、本実施形態は第2の実施の形態に
かかる半導体レーザ素子200にも同様にして対応させ
ることができる。具体的には、半導体レーザ素子200
におけるn型の第1電流ブロック層30をp型の可飽和
吸収層にすればよい。あるいは、n型の第1電流ブロッ
ク層30をp型の可飽和吸収層にし、可飽和吸収層とp
型のエッチストップ層26との間にn型のAltGa1-t
As電流拡がり防止層(t=0.6、厚み0.05μ
m)を設ける構成にすればよい。
【0093】なお、以上の第1、第2及び第3の実施の
形態の説明では、簡便のために、AlGaAs系の半導
体レーザ素子についてのみ説明している。しかし、本発
明は、InGaAIP系など、AlGaAs系以外の材
料系から構成された半導体レーザ素子に対しても適用可
能である。
【0094】また、本発明の適用は高出力半導体レーザ
素子に限られるわけではなく、低出力レーザ素子におい
ても、その自励発振特性の改善のために適用可能であ
る。
【0095】さらに、半導体レーザ素子の製造工程で使
用される膜の成長方法としては、以上の説明で言及した
MOCVD法以外に、MBE(分子線エピタキシー)
法、LPE(液相成長)法、MO−MBE法、或いはA
LE(原子エピタキシー)法などの適用が可能である。
【0096】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
低雑音特性に優れて強い自励発振特性を有し、かつ光学
特性の悪化、信頼性不良、或いは動作電流の増大などの
素子特性における問題が生じない、高出力の半導体レー
ザ素子が実現される。
【0097】具体的には、ある従来の半導体レーザ素子
(図12を参照して説明する半導体レーザ素子50)で
は、発振開始電流は50mAであり、35mWの出力を
得るために必要な動作電流は120mA程度である。一
方、他の従来の半導体レーザ素子(図13を参照して説
明する半導体レーザ素子70)では、発振開始電流は5
0mAであり、35mWの出力を得るために必要な動作
電流は90mA程度である。これに対して、第1の実施
形態に係わる半導体レーザ素子100の発振開始電流は
典型的には30mAであり、出力35mWを得るために
必要な動作電流は典型的には70mA程度である。ま
た、第2の実施形態に係わる半導体レーザ素子200の
発振開始電流は典型的には27mAであり、出力35m
Wを得るために必要な動作電流は典型的には60mA程
度である。
【0098】これらの値を比較すれば明らかなように、
本発明の各実施形態に係わる半導体レーザ素子は、従来
技術による半導体レーザ素子に比べて飛躍的に改善され
た動作特性を呈する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における半導体レーザ
素子の断面構造図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1の半導体レーザ素子の
製造工程を示す断面図である。
【図3】図1の半導体レーザ素子における可干渉性指数
特性を示すグラフである。
【図4】図1の半導体レーザ素子における戻り光雑音特
性を示すグラフである。
【図5】図1の半導体レーザ素子における第1電流ブロ
ック層の厚さと実効屈折率差△nとの関係を示すグラフ
である。
【図6】図1の半導体レーザ素子における第1電流ブロ
ック層の厚さと可干渉性指数との関係を示すグラフであ
る。
【図7】図1の半導体レーザ素子における第1電流ブロ
ック層の厚さと動作電流との関係を示すグラフである。
【図8】図1の半導体レーザ素子における第1電流ブロ
ック層の厚さと水平方向放射角との関係を示すグラフで
ある。
【図9】本発明の第2の実施形態における半導体レーザ
素子の断面構造図である。
【図10】(a)〜(c)は、図9の半導体レーザ素子
の製造工程を示す断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における半導体レー
ザ素子の断面構造図である。
【図12】従来の半導体レーザ素子の断面構造図であ
る。
【図13】他の従来の半導体レーザ素子の断面構造図で
ある。
【符号の説明】
50、70、100、200、300 半導体レーザ素
子 1、21、101 基板 2、22、102 バッファ層 3、23、103 第1クラッド層 4、24、104 活性層 5、25、105 第2クラッド層 6、8、26、106、108 エッチストップ層 7、107 ストライプ部 9 第1電流ブロック層(可飽和吸収層) 30 電流ブロック層(可飽和吸収層) 10 第2電流ブロック層 109 可飽和吸収層 110 電流ブロック層 11、32、111 保護層 12、27、112 第3クラッド層 13、33、113 キャップ層 14、15、34、35、114、115 電極 28 コンタクト層 29 メサ領域 31 光閉じ込め層 51、71 基板 52、72 バッファ層 53、73 第1クラッド層 54、74 活性層 55、75 第2クラッド層 56、80 電流ブロック層 57 ストライプ部 58、77 第3クラッド層 59、81 キャップ層 60、61、82、83 電極 76 可飽和吸収層 78 コンタクト層 79 メサ領域

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導電型の半導体基板と、 該半導体基板の上に形成され、第1の導電型の第1クラ
    ッド層と活性層と第2の導電型の第2クラッド層とを少
    なくとも含む積層構造と、 該積層構造の上にストライプ状領域を有して形成されて
    いる電流ブロック機能体と、 該ストライプ部及び該電流ブロック機能体を埋めるよう
    に形成されている第2の導電型の第3クラッド層とを含
    む半導体レーザ素子であって、 該電流ブロック機能体は、該活性層の禁制帯幅と略等し
    い禁制帯幅を有する可飽和吸収層を少なくとも含んでい
    る半導体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 第1の導電型の半導体基板と、 該半導体基板の上に形成され、第1の導電型の第1クラ
    ッド層と活性層と第2の導電型の第2クラッド層とを少
    なくとも含む積層構造と、 該積層構造の上に形成され、第2の導電型の第3クラッ
    ド層と第2の導電型のコンタクト層とを少なくとも含む
    ストライプ状のメサ領域と、 該積層構造の上であって該ストライプ状メサ領域の両側
    に形成されている電流ブロック機能体とを含む半導体レ
    ーザ素子であって、 該電流ブロック機能体は、該活性層の禁制帯幅と略等し
    い禁制帯幅を有する可飽和吸収層を少なくとも含み、該
    可飽和吸収層は該ストライプ状メサ領域の側面を覆って
    いる半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記電流ブロック機能体が、積層構造側
    に設けたn型の半導体層を有し、該n型の半導体層の前
    記基板とは反対側に前記可飽和吸収層が配されると共に
    p型に形成されている構成を一部に有している請求項1
    または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 前記電流ブロック機能体のうちで前記可
    飽和吸収層以外の部分の禁制帯幅が前記第1及び第2ク
    ラッド層の禁制帯幅よりも大きく、電流注入によって前
    記活性層で発生するレーザ光に対する吸収作用がない請
    求項1、2または3に記載の半導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 前記活性層の実効的な禁制帯幅を与える
    Al組成比xと、前記可飽和吸収層の実効的な禁制帯幅
    を与えるAl組成比yとが、 x−0.02≦y≦x+0.02 なる関係を満たす請求項1、2または3に記載の半導体
    レーザ素子。
  6. 【請求項6】 前記活性層のうちで前記ストライプ状領
    域の外部に相当する領域が、さらに可飽和吸収体として
    機能する請求項1、2または3に記載の半導体レーザ素
    子。
  7. 【請求項7】 第1の導電型の半導体基板の上に、第1
    の導電型の第1クラッド層と活性層と第2の導電型の第
    2クラッド層とを少なくとも含む積層構造を成長させる
    工程と、 該積層構造の上に、該活性層の禁制帯幅と略等しい禁制
    帯幅を有する可飽和吸収層を少なくとも含んでなる電流
    ブロック機能体を成長させる工程と、 該電流ブロック機能体にストライプ状領域をエッチング
    によって形成する工程と、 該ストライプ部及び該電流ブロック機能体を覆う第2の
    導電型の第3クラッド層を成長させる工程とを包含する
    半導体レーザ素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 第1の導電型の半導体基板の上に、第1
    の導電型の第1クラッド層と活性層と第2の導電型の第
    2クラッド層とを少なくとも含む積層構造を成長させる
    工程と、 該積層構造の上に、第2の導電型の第3クラッド層と第
    2の導電型のコンタクト層とを順に成長させる工程と、 該第3クラッド層及び該コンタクト層をエッチングして
    ストライプ状メサ領域を形成する工程と、 該積層構造の上であって該ストライプ状メサ領域の両側
    に、該活性層の禁制帯幅と略等しい禁制帯幅を有する可
    飽和吸収層を少なくとも含んでなる電流ブロック機能体
    を、該可飽和吸収層が該ストライプ状メサ領域の側面を
    覆うように成長させる工程とを包含する半導体レーザ素
    子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記電流ブロック機能体を成長させる工
    程において、n型の半導体層を形成した後に、p型の可
    飽和吸収層を形成する工程を含む請求項7または8に記
    載の半導体レーザ素子の製造方法。
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