JPH09269023A - 電子制御クラッチの発進制御装置 - Google Patents

電子制御クラッチの発進制御装置

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JPH09269023A
JPH09269023A JP8104218A JP10421896A JPH09269023A JP H09269023 A JPH09269023 A JP H09269023A JP 8104218 A JP8104218 A JP 8104218A JP 10421896 A JP10421896 A JP 10421896A JP H09269023 A JPH09269023 A JP H09269023A
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JP
Japan
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clutch
rotation speed
engine
control
target
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Application number
JP8104218A
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English (en)
Inventor
Yoshinobu Yamashita
佳宣 山下
Tatsuji Mori
達治 森
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Publication date
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】本発明は、いかなる走行状態においても、発進
制御に入場した場合に速やかにクラッチの接続を実現す
るとともに、エンジン発生トルクのクラッチ滑りによる
ロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料消費量
の増加等の不都合を確実に防止し得ることを目的として
いる。 【解決手段】このため、電子制御クラッチの発進制御装
置において、クラッチからのクラッチ出力回転速度がエ
ンジン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力
回転速度よりも大なる場合にはエンジン要求負荷量に応
じて設定される目標クラッチ入力回転速度の代わりにク
ラッチ出力回転速度に応じて設定される目標クラッチ入
力回転速度を使用する機能を制御手段に付加して設けて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無段変速機の発
進制御装置に係り、特にいかなる走行状態においても、
発進制御に入場した場合に速やかにクラッチの接続を実
現するとともに、エンジン発生トルクのクラッチ滑りに
よるロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料消
費量の増加等の不都合を確実に防止し得る無段変速機の
発進制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両においては、エンジンの特性がその
ままの状態では不向きなので、エンジンと駆動輪間の動
力伝達系に変速機を設けている。また、この変速機に
は、エンジンからの駆動力を断続するように電子的にク
ラッチトルク容量が調整可能なクラッチが備えられてい
る。
【0003】このように、電子的にクラッチトルク容量
が調整可能なクラッチの制御装置として、例えば、特開
平3−125032号公報に開示されている。この公報
に記載のものは、クラッチとして油圧クラッチを無段変
速機に設け、目標クラッチ圧とフィードフォワード量と
のずれにより、スロットル開度毎の補正係数を求め、以
後のフィードフォワード量の大きさを補正する、いわゆ
る学習制御を行うものである。これにより、クラッチの
発進制御の中・後半の特性を改善し、エンジンやクラッ
チの個体差や経時変化、動作環境による影響を吸収する
ことを目的としている。また、この学習制御では、クラ
ッチの発進制御のスピードループ制御において、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定された目標エンジン回転速度
に実際のエンジン回転速度が一致するように学習値を更
新している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の無段
変速機の発進制御装置においては、電子的なトルク容量
の調整の可能なクラッチの発進制御として、様々なもの
がある。
【0005】例えば、SCVTの発進制御装置は、フィ
ードフォワード制御部とスピードループ制御部とから構
成されており、フィードフォワード制御部は、エンジン
要求負荷量からエンジン発生トルクを推定し、予めクラ
ッチのトルク容量を設定するものである。
【0006】また、スピードループ制御部は、エンジン
要求負荷量からクラッチ入力回転速度の目標値である目
標クラッチ入力回転速度を設定し、実際のクラッチ入力
回転速度が目標クラッチ入力回転速度に一致するように
クラッチのトルク容量を調整するものである。
【0007】なお、SCVTのように変速部の後にクラ
ッチを配置した変速機の場合、変速比に対する配慮を行
うことで、エンジン回転速度を目標クラッチ入力回転速
度とすることが可能である。
【0008】そして、上述のSCVTの場合、停車状態
からの発進時には不具合は発生しないものである。
【0009】しかし、走行中の発進時には、ショックの
発生やクラッチ接続が実現できない場合がある等の不具
合が発生することがある。
【0010】この不具合を解析すると、クラッチ出力回
転速度がクラッチ入力回転速度である目標クラッチ入力
回転速度よりも大き過ぎる状態で発生することが検出さ
れた。
【0011】つまり、従来の目標クラッチ入力回転速度
の設定方策においては、クラッチ出力回転速度に関係な
く、目標クラッチ入力回転速度が設定されていたため、
クラッチ入力回転速度であるエンジン回転速度(NE)
が目標クラッチ入力回転速度に一致すると、クラッチの
容量を調整しなくなってしまい、クラッチ接続が実現で
きない(図13参照)。
【0012】この結果、クラッチ滑り状態が続き、この
クラッチ滑りによってエンジン発生トルクにロスが生
じ、エンジン発生トルクのロスによってドライバビリテ
ィの劣化や燃料消費量が増加する等の不都合がある。
【0013】また、クラッチ出力回転速度が目標クラッ
チ入力回転速度よりも大き過ぎる状態においては、フィ
ードフォワード量も適正な値に設定することができず、
走行中の発進時のショックの発生やクラッチ接続が実現
できない場合がある等の不具合及びドライバビリティの
劣化や燃料消費量が増加する等の不都合を助長するとい
う不都合がある。
【0014】更に、従来、スピードループ制御部で用い
られるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NES
PCF)は、図10により設定される。
【0015】つまり、図10に示す如く、制御手段のフ
ィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)
設定部430Aにおいては、スロットル開度センサから
のスロットル開度(THR)を入力し、このスロットル
開度(THR)から図4のマップによってクラッチ制御
の目標エンジン回転速度(NESPC)を設定(50
2)し、設定したクラッチ制御の目標エンジン回転速度
(NESPC)にフィルタ処理(506)を施し、フィ
ルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)を
設定する。
【0016】また、前記制御手段のフィードフォワード
制御部430Bにおいては、スロットル開度(THR)
を入力して図12によってエンジン発生トルク(TRQ
E)を推定(508)し、エンジン発生トルク(TRQ
E)を図6の変換用マップによってフィードフォワード
量(PCLUN)に変換(512)する。
【0017】更に、制御手段のスピードループ制御部4
30Cにおいては、フィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)設定部430Aのフィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)を入力すると
ともに、エンジン回転速度(NE)を入力し、フィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)をエン
ジン回転速度(NE)と計算部(514)で計算し、こ
の計算して得た値を上限値aと下限値bとによる上下限
処理(516)し、上下限処理(516)して得た値に
比例積分制御(PI制御)(図7参照)を行う(51
8)。
【0018】この比例積分制御(518)においては、
(NE−NESPCF)の値にスピードループ制御ゲイ
ン(KASC)による比例制御(P制御)を行い、比例
制御された値に積分ゲイン(Ki)/複素変数(S)の
積分制御(I制御)を行い、この積分制御で得られた値
と比例制御で得られた値とを計算部で計算してスピード
ループ量が得られる。
【0019】上述の前記制御手段のフィードフォワード
制御部430Bにおけるフィードフォワード量とスピー
ドループ制御部430Cにおけるスピードループ量と
は、計算部(520)で計算され、上限値aと下限値b
とによる上下限処理(522)し、クラッチ操作量(U
c)を算出する。
【0020】しかし、従来のものにおいては、図13に
示す如く、クラッチ接続が実現されないあるいはショッ
クが発生する等の不都合がある。
【0021】これは、クラッチ制御のスピードループ制
御とフィードフォワード制御とにクラッチ出力回転速度
(NI)を反映させていないために発生するものであ
る。
【0022】詳述すると、 NESPCF≧NI の場合、クラッチを経て、伝動されるエンジン発生トル
クによってクラッチ出力回転速度(NI)が徐々に増加
され、クラッチ接続条件(図8の処理(214)参照)
が成立するために円滑な発進が実現できる。
【0023】一方、 NESPCF<NI の場合、発進操作直後にエンジン回転速度(NE)の吹
き上がりが発生した際には、クラッチ接続条件(図8の
処理(214)参照)が成立すると判断してしまい、発
進制御から脱出することがある。このとき、クラッチの
トルク容量を急増させるためにショックが発生する。
【0024】また、発進制御のスピードループ制御にお
いて、エンジン回転速度(NE)がフィルタ処理後の目
標エンジン回転速度(NESPCF)に一致すると、ク
ラッチのトルク容量を調整しなくなってしまい、特に発
進操作時のエンジン発生トルクが低い場合には、エンジ
ン回転速度(NE)とフィルタ処理後の目標エンジン回
転速度(NESPCF)とが略一致したままで、クラッ
チ接続条件(図8の処理(214)参照)が成立しない
場合が多々ある。
【0025】更に、図10のフィードフォワード制御部
でフィードフォワード量を演算する場合に、用いられる
エンジン発生トルクの推定値は、図12の推定用マップ
によって設定されるが、図12は図5のフィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)にのみ対応し
た値である。
【0026】そして、スピードループ制御部は、エンジ
ン回転速度(NE)がフィルタ処理後の目標エンジン回
転速度(NESPCF)よりも大きいほど、クラッチの
トルク容量を大きくし、 NESPCF<NI の場合には、エンジン回転速度(NE)側よりもクラッ
チ出力回転速度(NI)側のエネルギが大きいため、ク
ラッチのトルク容量を増加させるほど、エンジン回転速
度(NE)はクラッチ出力回転速度(NI)に近づき、
フィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPC
F)から外れてしまう。
【0027】よって、この時のフィードフォワード量は
実際のエンジン発生トルクと大きく異なった値になって
しまい、円滑な発進制御の実現が困難であるという不都
合があるものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、車両に搭載されたエンジ
ンに変速機を連結して設け、この変速機には電子的にク
ラッチトルク容量が調整可能なクラッチを設け、このク
ラッチの発進制御の際に目標クラッチ入力回転速度に実
際のクラッチ入力回転速度が一致するようにスピードル
ープ量を設定するスピードループ制御を行うとともに、
前記目標クラッチ入力回転速度をエンジン要求負荷量に
応じて設定する制御手段を有する無段変速機の発進制御
装置において、前記クラッチからのクラッチ出力回転速
度がエンジン要求負荷量に応じて設定される前記目標ク
ラッチ入力回転速度よりも大なる場合にはエンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度の
代わりにクラッチ出力回転速度に応じて設定される目標
クラッチ入力回転速度を使用する機能を前記制御手段に
付加して設けたことを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】この発明は、クラッチからのクラ
ッチ出力回転速度がエンジン要求負荷量に応じて設定さ
れる目標クラッチ入力回転速度よりも大なる場合には、
制御手段によってエンジン要求負荷量に応じて設定され
る目標クラッチ入力回転速度の代わりに、クラッチ出力
回転速度に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度
を使用し、いかなる走行状態においても、発進制御に入
場した場合に速やかにクラッチの接続を実現するととも
に、エンジン発生トルクのクラッチ滑りによるロスに伴
う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料消費量の増加等
の不都合を確実に防止している。
【0030】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を説明
する。
【0031】図1〜図9はこの発明の実施例を示すもの
である。図2において、2は車両(図示せず)に搭載さ
れたエンジン、4はエンジン2の発進制御装置である。
【0032】前記エンジン2には、図示しない変速部を
有する無段変速機(「連続可変変速機」とも言う:CV
T)6が連設される。この無段変速機6は、駆動プーリ
8と、被動プーリ10と、この駆動プーリ8と被動プー
リ10とに巻掛けられたベルト12とを有している。
【0033】前記駆動プーリ8は、駆動軸14と、この
駆動軸14に一体的に設けられた駆動側固定プーリ部片
16と、該駆動軸14に軸方向移動可能で且つ回転不可
能に設けられた駆動側可動プーリ部片18とを有してい
る。
【0034】また、前記被動プーリ10は、前記駆動軸
14と略平行に配設された被動軸20と、この被動軸2
0に一体的に設けられた被動側固定プーリ部片22と、
該被動軸20に軸方向移動可能で且つ回転不可能に設け
られた被動側可動プーリ部片24とを有している。
【0035】更に、前記エンジン2のクランク軸26と
無段変速機6の駆動軸14間には、接続・解放可能な電
磁パウダ式のクラッチ28が設けられている。
【0036】また、エンジン2には、図2に示す如く、
CVT用コントローラである制御手段30が設けられ、
この制御手段30には、出力側に、クラッチ28を接続
・解放動作させるためのクラッチ装置(図示せず)や、
変速部の変速比を調整するための変速比調整装置(図示
せず)等が連絡している。
【0037】また、前記制御手段30には、図2に示す
如く、入力側に、スロットル開度THRを検出するスロ
ットル開度センサ32と、図示しないスロットル弁の全
閉状態を検出するアイドルスイッチ34と、クランク軸
26の回転をエンジン回転速度Neとして検出するエン
ジン回転速度センサ36と、無段変速機6の入力側回転
速度を検出する第1検出手段、つまり無段変速機6の駆
動軸14の回転を変速部入力回転速度Niとして検出す
る変速部入力回転速度センサ38と、出力側回転速度を
検出する第2検出手段、つまり無段変速機6の被動軸2
0の回転を車速Nvとして検出する車速センサ40と、
加速度を検出する図示しない加速度センサと、その他の
センサ(図示せず)とが夫々連絡している。
【0038】前記スロットル開度センサ32以外にも、
負圧センサやアクセルペダルスイッチ等を使用すること
ができる。
【0039】更に詳述すると、前記エンジン2の制御装
置4の電子制御ユニットである制御手段30の入力側に
は、図2に示す如く、アイドルスイッチ34、図示しな
いエアコンのエアコンスイッチ42、セレクタレバー4
4のシフトスイッチ46、スロットル開度センサ32、
アクセルペダル48のアクセル操作量ACを検出するア
クセル操作量センサ50、エンジン回転速度センサ3
6、変速部入力回転速度センサ38、車速センサ40が
夫々接続されている。
【0040】そして、前記制御手段30は、電磁クラッ
チからなるクラッチ28側にクラッチ制御信号を出力す
るとともに、油圧制御回路52に変速比制御信号とライ
ン圧制御信号とを出力している。
【0041】前記クラッチ28と無段変速機6間には、
前後進切換装置54を配設し、車両の前進あるいは後進
(後退)の切り換えを行う。
【0042】前記無段変速機6からの変速後の駆動力
は、減速ギヤ群56、差動ギヤ58を介してタイヤ60
に伝達される。
【0043】前記制御手段30は、運転者の運転操作や
エンジン2の運転状態や車両の走行状態によって例えば
ニュートラルモード(NEU)とホールドモード(HL
D)とノーマルスタートモード(NST)とスペシャル
スタートモード(SST)とドライブモード(DRV)
とからなる各種制御モードを選択して、選択した各種制
御モードによってクラッチ28及び無段変速機6を制御
するものである。
【0044】また、制御手段30には、図3に示す如
く、フィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)設定部30Aとフィードフォワード制御部30B
とスピードループ制御部30Cとが設けられている。
【0045】そして、前記無段変速機6の発進制御装置
4は、図示しない車両に搭載されたエンジン2に無段変
速機6を連結して設け、この無段変速機6には電子的に
クラッチトルク容量が調整可能なクラッチ28を設け、
このクラッチ28の発進制御の際に目標クラッチ入力回
転速度、つまりフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)に実際のクラッチ入力回転速度、例え
ばクラッチ入力回転速度と同一のエンジン回転速度(N
E)が一致するようにスピードループ量を設定するスピ
ードループ制御を行うとともに、前記目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)をエンジン要求負荷量に応じて設定す
る制御手段30を有している。
【0046】また、前記クラッチ28からのクラッチ出
力回転速度である変速部入力回転速度(NI)がエンジ
ン要求負荷量に応じて設定される前記目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)よりも大なる場合には、エンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度で
あるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)の代わりに、クラッチ出力回転速度である変速部
入力回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ
入力回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)を使用する機能を前記制御手段3
0に付加して設ける構成とする。
【0047】詳述すれば、前記制御手段30は、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転
速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(N
ESPCF)よりも所定量以上に大なる場合に、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転
速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(N
ESPCF)の代わりにクラッチ出力回転速度である変
速部入力回転速度(NI)に応じて設定される目標クラ
ッチ入力回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン
回転速度(NESPCF)を使用する機能を有する。
【0048】また、前記制御手段30は、クラッチの発
進制御の際に、エンジン要求負荷量に応じて設定される
目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ処理後の目標
エンジン回転速度(NESPCF)によるフィードフォ
ワード制御を行うとともに、エンジン要求負荷量に応じ
て設定される目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)よりも
大なる場合に、クラッチ出力回転速度である変速部入力
回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)によってフィードフォワード量を設定
する機能を有する。
【0049】そして、この発明の実施例においては、発
進操作時のエンジン発生トルクが低い場合に、エンジン
回転速度(NE)とフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)とが略一致したままで、クラッチ
接続条件(図8の処理(214)参照)が成立しない場
合が多々あるという従来の不都合を解消することを目的
としている。
【0050】つまり、クラッチ出力回転速度である変速
部入力回転速度(NI)が低い場合には、従来のものと
同様の方策によってフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)を設定し、クラッチ出力回転速度
がである変速部入力回転速度(NI)が高い場合には、
この変速部入力回転速度(NI)に準じてフィルタ処理
後の目標エンジン回転速度(NESPCF)を設定する
ものである。
【0051】一方、クラッチ出力回転速度がである変速
部入力回転速度(NI)が高い場合には、この変速部入
力回転速度(NI)に準じてフィルタ処理後の目標エン
ジン回転速度(NESPCF)を設定するが、フィード
フォワード量が実際のエンジン発生トルクに対して大き
く異なる場合には、円滑な発進制御の実現が困難となる
ものであり、このような不具合を解消するために、エン
ジン発生トルクの推定、すなわち図5によってスロット
ル開度(THR)とフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)とからエンジン発生トルク(TR
QE)を推定する。
【0052】そして、フィードフォワード量は、上述し
た方策によって変化するフィルタ処理後の目標エンジン
回転速度(NESPCF)に応じて適正な値に演算され
るものである。
【0053】次に、この実施例の作用を説明する。
【0054】図3に示す如く、制御手段30のフィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)設定部
30Aにおいては、スロットル開度センサ32からのス
ロットル開度(THR)を入力し、このスロットル開度
(THR)から図4のマップによってクラッチ制御の目
標エンジン回転速度(NESPC)を設定(102)
し、このクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NES
PC)と変速部入力回転速度(NI)+定数(α)とを
比較(104)し、 NESPC≧NI+α の場合にクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NES
PC)を使用し、 NESPC<NI+α の場合には変速部入力回転速度(NI)+定数(β)を
使用する。
【0055】そして、比較(104)によって使用され
る値にフィルタ処理(106)を施し、フィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)を設定する。
【0056】また、前記制御手段30のフィードフォワ
ード制御部30Bにおいては、スロットル開度(TH
R)とフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NES
PCF)設定部30Aのフィルタ処理後の目標エンジン
回転速度(NESPCF)とを入力して図5によってエ
ンジン発生トルク(TRQE)を推定(108)し、エ
ンジン発生トルク(TRQE)に正負の差がないため、
推定した後に絶対値処理(110)を行い、絶対値処理
(110)後の値を図6の変換用マップによってフィー
ドフォワード量(PCLUN)に変換(112)する。
【0057】更に、制御手段30のスピードループ制御
部30Cにおいては、エンジン回転速度(NE)がフィ
ルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)に
一致するように比例積分制御(PI制御)を行ってスピ
ードループ量を求めるものであり、フィルタ処理後の目
標エンジン回転速度(NESPCF)設定部30Aのフ
ィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)
を入力するとともに、エンジン回転速度(NE)を入力
し、フィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)をエンジン回転速度(NE)と計算部(114)
で計算し、この計算して得た値を上限値aと下限値bと
による上下限処理(116)し、上下限処理(116)
して得た値に比例積分制御(PI制御)を行う(11
8)。
【0058】この比例積分制御(118)においては、
図7に示す如く、(NE−NESPCF)の値にスピー
ドループ制御ゲイン(KASC)による比例制御(P制
御)を行い(118A)、比例制御された値に積分ゲイ
ン(Ki)/複素変数(S)の積分制御(I制御)を行
い(118B)、この積分制御で得られた値と比例制御
で得られた値とを計算部(118C)で計算してスピー
ドループ量が得られる。
【0059】上述の前記制御手段30のフィードフォワ
ード制御部30Bにおけるフィードフォワード量とスピ
ードループ制御部30Cにおけるスピードループ量と
は、計算部(120)で計算され、上限値aと下限値b
とによる上下限処理(122)し、クラッチ操作量(U
c)を算出する。つまり、最終的なクラッチ操作量(U
c)は、フィードフォワード量とスピードループ量とに
より設定される。
【0060】前記制御手段30の発進制御の入力脱出条
件は、図8に示すフローチャートに基づいて判断され
る。
【0061】制御手段30において、発進制御の入力脱
出条件用のプログラムが開始すると(202)、シフト
位置がパーキング位置(P)あるいはニュートラル位置
(N)にあるか否かの判断(204)を行い、この判断
(204)がNO、つまりシフト位置がパーキング位置
(P)あるいはニュートラル位置(N)以外の位置にあ
る場合には、DDTスイッチがON状態にあるか否かの
判断(206)に移行し、判断(204)がYES、つ
まりシフト位置がパーキング位置(P)あるいはニュー
トラル位置(N)にある場合には、その他の制御(20
8)に移行させ、プログラムを終了(216)させる。
【0062】上述のDDTスイッチがON状態にあるか
否かの判断(206)において、判断(206)がNO
の場合には、その他の制御(208)に移行させ、プロ
グラムを終了(216)させるとともに、判断(20
6)がYESの場合には、車速に相当する変速部出力回
転速度(NV)と変速部出力回転速度用トリガ(NVT
R)との比較判断(210)を行う。
【0063】そして、比較判断(210)において、 NV<NVTR の場合には、その他の制御(208)に移行させ、プロ
グラムを終了(216)させるとともに、 NV≧NVTR の場合には、エンジン回転速度(NE)と変速部入力回
転速度(NI)との差を絶対値処理した後に、値が略0
であるか否かを判断(212)する。
【0064】この判断(212)がYESの場合には、
その他の制御(208)に移行させ、プログラムを終了
(216)させるとともに、判断(212)がNOの場
合には、発進制御(214)に移行させ、プログラムを
終了(216)させる。
【0065】また、前記制御手段30の発進時のクラッ
チ制御は、図9に示すフローチャートに基づいて行われ
る。
【0066】制御手段30において、発進時のクラッチ
制御用のプログラムが開始すると(302)、図4によ
ってクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NESP
C)を設定(304)し、クラッチ制御の目標エンジン
回転速度(NESPC)と変速部入力回転速度(NI)
+定数(α)との比較判断(306)を行う。
【0067】そして、比較判断(306)において、 NESPC<NI+α の場合には、変速部入力回転速度(NI)+定数(β)
をクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NESPC)
とし(308)、 NESPC≧NI+α(定数) の場合には、クラッチ制御の目標エンジン回転速度(N
ESPC)をそのまま使用する。
【0068】求められたクラッチ制御の目標エンジン回
転速度(NESPC)にフィルタ処理を施し、フィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)を算出
する(310)。
【0069】また、スロットル開度(THR)とフィル
タ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)とに
よって図5からエンジン発生トルク(TRQE)を推定
(312)し、その他の発進時のクラッチ制御を行い
(314)、プログラムを終了(316)させる。
【0070】これにより、いかなる走行状態において
も、発進制御に入場した場合には、速やかにクラッチの
接続を実現することができ、円滑な運転性を確保し得
る。
【0071】また、エンジン発生トルクのクラッチ滑り
によるロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料
消費量の増加等の不都合を確実に防止し得るものであ
る。
【0072】更に、前記制御手段30の制御用プログラ
ムの小変のみで対処し得ることにより、構成が複雑化す
る惧れが全くなく、製作が容易で、コストを低廉に維持
し得て、経済的に有利である。
【0073】更にまた、前記発進制御装置4の制御手段
30を、あらゆる方式の変速機に適応させることが可能
であることにより、汎用性が大となって実用上有利であ
る。
【0074】また、前記制御手段30に、エンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度で
あるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)よりも所定量以上に大なる場合に、エンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度で
あるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)の代わりにクラッチ出力回転速度である変速部入
力回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ入
力回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速
度(NESPCF)を使用する機能を付加して設けたこ
とにより、いかなる走行状態においても、発進制御に入
場した場合には、速やかにクラッチの接続を実現するこ
とができ、円滑な運転性を確保し得るとともに、エンジ
ン発生トルクのクラッチ滑りによるロスに伴う動力性能
の劣化や運転性の劣化、燃料消費量の増加等の不都合を
確実に防止し得る。
【0075】更に、前記制御手段30に、クラッチの発
進制御の際に、エンジン要求負荷量に応じて設定される
目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ処理後の目標
エンジン回転速度(NESPCF)によるフィードフォ
ワード制御を行うとともに、エンジン要求負荷量に応じ
て設定される目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)よりも
大なる場合に、クラッチ出力回転速度である変速部入力
回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)によってフィードフォワード量を設定
する機能を付加して設けたことにより、クラッチ制御の
フィードフォワード制御にクラッチ出力回転速度を反映
させることができ、クラッチの接続不可や接続時のショ
ックの発生等の不都合を回避し得るものである。
【0076】
【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、車両に搭載されたエンジンに変速機を連
結して設け、変速機に電子的にクラッチトルク容量が調
整可能なクラッチを設け、クラッチの発進制御の際に目
標クラッチ入力回転速度に実際のクラッチ入力回転速度
が一致するようにスピードループ量を設定するスピード
ループ制御を行うとともに、目標クラッチ入力回転速度
をエンジン要求負荷量に応じて設定する制御手段を有す
る無段変速機の発進制御装置において、クラッチからの
クラッチ出力回転速度がエンジン要求負荷量に応じて設
定される目標クラッチ入力回転速度よりも大なる場合に
はエンジン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ
入力回転速度の代わりにクラッチ出力回転速度に応じて
設定される目標クラッチ入力回転速度を使用する機能を
制御手段に付加して設けたので、いかなる走行状態にお
いても、発進制御に入場した場合には、速やかにクラッ
チの接続を実現することができ、円滑な運転性を確保し
得る。また、エンジン発生トルクのクラッチ滑りによる
ロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料消費量
の増加等の不都合を確実に防止し得るものである。更
に、前記制御手段の制御用プログラムの小変のみで対処
し得ることにより、構成が複雑化する惧れが全くなく、
製作が容易で、コストを低廉に維持し得て、経済的に有
利である。更にまた、前記発進制御装置の制御手段を、
あらゆる方式の変速機に適応させることが可能であるこ
とにより、汎用性が大となって実用上有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す無段変速機の発進制御
装置の発進制御状況のタイムチャートである。
【図2】無段変速機の構成図である。
【図3】発進時のクラッチ制御のブロック図である。
【図4】クラッチ制御の目標エンジン回転速度(クラッ
チ入力回転速度)NESPCの設定用マップである。
【図5】エンジン発生トルクの推定用マップである。
【図6】トルク/フィードフォワード量の変換用マップ
である。
【図7】PI制御のブロック図である。
【図8】発進制御の入力脱出条件用フローチャートであ
る。
【図9】発進時のクラッチ制御のフローチャートであ
る。
【図10】この発明の従来技術を示す発進時のクラッチ
制御のブロック図である。
【図11】従来の発進時のクラッチ制御のフローチャー
トである。
【図12】従来のエンジン発生トルクの推定用マップで
ある。
【図13】従来の無段変速機の発進制御装置の発進制御
状況のタイムチャートである。
【符号の説明】
2 エンジン 4 発進制御装置 6 無段変速機 8 駆動プーリ 10 被動プーリ 12 ベルト 26 クランク軸 28 クラッチ 30 制御手段 32 スロットル開度センサ 34 アイドルスイッチ 36 エンジン回転速度センサ 38 変速部入力回転速度センサ 40 車速センサ 50 アクセル操作量センサ 52 油圧制御回路 54 前後進切換装置 56 減速ギヤ群
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年6月13日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電子制御クラッチの発進制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子制御クラッ
チの発進制御装置に係り、特にいかなる走行状態におい
ても、発進制御に入場した場合に速やかにクラッチの接
続を実現するとともに、エンジン発生トルクのクラッチ
滑りによるロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、
燃料消費量の増加等の不都合を確実に防止し得る電子制
御クラッチの発進制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両においては、エンジンの特性がその
ままの状態では不向きなので、エンジンと駆動輪間の動
力伝達系に変速機を設けている。また、この変速機に
は、エンジンからの駆動力を断続するように電子的にク
ラッチトルク容量が調整可能なクラッチが備えられてい
る。
【0003】このように、電子的にクラッチトルク容量
が調整可能なクラッチの制御装置として、例えば、特開
平3−125032号公報に開示されている。この公報
に記載のものは、クラッチとして油圧クラッチを電子制
御クラッチに設け、目標クラッチ圧とフィードフォワー
ド量とのずれにより、スロットル開度毎の補正係数を求
め、以後のフィードフォワード量の大きさを補正する、
いわゆる学習制御を行うものである。これにより、クラ
ッチの発進制御の中・後半の特性を改善し、エンジンや
クラッチの個体差や経時変化、動作環境による影響を吸
収することを目的としている。また、この学習制御で
は、クラッチの発進制御のスピードループ制御におい
て、エンジン要求負荷量に応じて設定された目標エンジ
ン回転速度に実際のエンジン回転速度が一致するように
学習値を更新している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の電子
制御クラッチの発進制御装置においては、電子的なトル
ク容量の調整の可能なクラッチの発進制御として、様々
なものがある。
【0005】例えば、SCVTの発進制御装置は、フィ
ードフォワード制御部とスピードループ制御部とから構
成されており、フィードフォワード制御部は、エンジン
要求負荷量からエンジン発生トルクを推定し、予めクラ
ッチのトルク容量を設定するものである。
【0006】また、スピードループ制御部は、エンジン
要求負荷量からクラッチ入力回転速度の目標値である目
標クラッチ入力回転速度を設定し、実際のクラッチ入力
回転速度が目標クラッチ入力回転速度に一致するように
クラッチのトルク容量を調整するものである。
【0007】なお、SCVTのように変速部の後にクラ
ッチを配置した変速機の場合、変速比に対する配慮を行
うことで、エンジン回転速度を目標クラッチ入力回転速
度とすることが可能である。
【0008】そして、上述のSCVTの場合、停車状態
からの発進時には不具合は発生しないものである。
【0009】しかし、走行中の発進時には、ショックの
発生やクラッチ接続が実現できない場合がある等の不具
合が発生することがある。
【0010】この不具合を解析すると、クラッチ出力回
転速度がクラッチ入力回転速度である目標クラッチ入力
回転速度よりも大き過ぎる状態で発生することが検出さ
れた。
【0011】つまり、従来の目標クラッチ入力回転速度
の設定方策においては、クラッチ出力回転速度に関係な
く、目標クラッチ入力回転速度が設定されていたため、
クラッチ入力回転速度であるエンジン回転速度(NE)
が目標クラッチ入力回転速度に一致すると、クラッチの
容量を調整しなくなってしまい、クラッチ接続が実現で
きない(図13参照)。
【0012】この結果、クラッチ滑り状態が続き、この
クラッチ滑りによってエンジン発生トルクにロスが生
じ、エンジン発生トルクのロスによってドライバビリテ
ィの劣化や燃料消費量が増加する等の不都合がある。
【0013】また、クラッチ出力回転速度が目標クラッ
チ入力回転速度よりも大き過ぎる状態においては、フィ
ードフォワード量も適正な値に設定することができず、
走行中の発進時のショックの発生やクラッチ接続が実現
できない場合がある等の不具合及びドライバビリティの
劣化や燃料消費量が増加する等の不都合を助長するとい
う不都合がある。
【0014】更に、従来、スピードループ制御部で用い
られるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NES
PCF)は、図10により設定される。
【0015】つまり、図10に示す如く、制御手段のフ
ィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)
設定部430Aにおいては、スロットル開度センサから
のスロットル開度(THR)を入力し、このスロットル
開度(THR)から図4のマップによってクラッチ制御
の目標エンジン回転速度(NESPC)を設定(50
2)し、設定したクラッチ制御の目標エンジン回転速度
(NESPC)にフィルタ処理(506)を施し、フィ
ルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)を
設定する。
【0016】また、前記制御手段のフィードフォワード
制御部430Bにおいては、スロットル開度(THR)
を入力して図12によってエンジン発生トルク(TRQ
E)を推定(508)し、エンジン発生トルク(TRQ
E)を図6の変換用マップによってフィードフォワード
量(PCLUN)に変換(512)する。
【0017】更に、制御手段のスピードループ制御部4
30Cにおいては、フィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)設定部430Aのフィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)を入力すると
ともに、エンジン回転速度(NE)を入力し、フィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)をエン
ジン回転速度(NE)と計算部(514)で計算し、こ
の計算して得た値を上限値aと下限値bとによる上下限
処理(516)し、上下限処理(516)して得た値に
比例積分制御(PI制御)(図7参照)を行う(51
8)。
【0018】この比例積分制御(518)においては、
(NE−NESPCF)の値にスピードループ制御ゲイ
ン(KASC)による比例制御(P制御)を行い、比例
制御された値に積分ゲイン(Ki)/複素変数(S)の
積分制御(I制御)を行い、この積分制御で得られた値
と比例制御で得られた値とを計算部で計算してスピード
ループ量が得られる。
【0019】上述の前記制御手段のフィードフォワード
制御部430Bにおけるフィードフォワード量とスピー
ドループ制御部430Cにおけるスピードループ量と
は、計算部(520)で計算され、上限値aと下限値b
とによる上下限処理(522)し、クラッチ操作量(U
c)を算出する。
【0020】しかし、従来のものにおいては、図13に
示す如く、クラッチ接続が実現されないあるいはショッ
クが発生する等の不都合がある。
【0021】これは、クラッチ制御のスピードループ制
御とフィードフォワード制御とにクラッチ出力回転速度
(NI)を反映させていないために発生するものであ
る。
【0022】詳述すると、 NESPCF≧NI の場合、クラッチを経て、伝動されるエンジン発生トル
クによってクラッチ出力回転速度(NI)が徐々に増加
され、クラッチ接続条件(図8の処理(214)参照)
が成立するために円滑な発進が実現できる。
【0023】一方、 NESPCF<NI の場合、発進操作直後にエンジン回転速度(NE)の吹
き上がりが発生した際には、クラッチ接続条件(図8の
処理(212)参照)が成立すると判断してしまい、発
進制御から脱出することがある。このとき、クラッチの
トルク容量を急増させるためにショックが発生する。
【0024】また、発進制御のスピードループ制御にお
いて、エンジン回転速度(NE)がフィルタ処理後の目
標エンジン回転速度(NESPCF)に一致すると、ク
ラッチのトルク容量を調整しなくなってしまい、特に発
進操作時のエンジン発生トルクが低い場合には、エンジ
ン回転速度(NE)とフィルタ処理後の目標エンジン回
転速度(NESPCF)とが略一致したままで、クラッ
チ接続条件(図8の処理(212)参照)が成立しない
場合が多々ある。
【0025】更に、図10のフィードフォワード制御部
でフィードフォワード量を演算する場合に、用いられる
エンジン発生トルクの推定値は、図12の推定用マップ
によって設定されるが、図12は図5のフィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)にのみ対応し
た値である。
【0026】そして、スピードループ制御部は、エンジ
ン回転速度(NE)がフィルタ処理後の目標エンジン回
転速度(NESPCF)よりも大きいほど、クラッチの
トルク容量を大きくし、 NESPCF<NI の場合には、エンジン回転速度(NE)側よりもクラッ
チ出力回転速度(NI)側のエネルギが大きいため、ク
ラッチのトルク容量を増加させるほど、エンジン回転速
度(NE)はクラッチ出力回転速度(NI)に近づき、
フィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPC
F)から外れてしまう。
【0027】よって、この時のフィードフォワード量は
実際のエンジン発生トルクと大きく異なった値になって
しまい、円滑な発進制御の実現が困難であるという不都
合があるものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去するために、車両に搭載されたエンジ
ンに変速機を連結して設け、この変速機には電子的にク
ラッチトルク容量が調整可能なクラッチを設け、このク
ラッチの発進制御の際に目標クラッチ入力回転速度に実
際のクラッチ入力回転速度が一致するようにスピードル
ープ量を設定するスピードループ制御を行うとともに、
前記目標クラッチ入力回転速度をエンジン要求負荷量に
応じて設定する制御手段を有する電子制御クラッチの発
進制御装置において、前記クラッチからのクラッチ出力
回転速度がエンジン要求負荷量に応じて設定される前記
目標クラッチ入力回転速度よりも大なる場合にはエンジ
ン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転
速度の代わりにクラッチ出力回転速度に応じて設定され
る目標クラッチ入力回転速度を使用する機能を前記制御
手段に付加して設けたことを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】この発明は、クラッチからのクラ
ッチ出力回転速度がエンジン要求負荷量に応じて設定さ
れる目標クラッチ入力回転速度よりも大なる場合には、
制御手段によってエンジン要求負荷量に応じて設定され
る目標クラッチ入力回転速度の代わりに、クラッチ出力
回転速度に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度
を使用し、いかなる走行状態においても、発進制御に入
場した場合に速やかにクラッチの接続を実現するととも
に、エンジン発生トルクのクラッチ滑りによるロスに伴
う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料消費量の増加等
の不都合を確実に防止している。
【0030】
【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を説明
する。
【0031】図1〜図9はこの発明の実施例を示すもの
である。図2において、2は車両(図示せず)に搭載さ
れたエンジン、4はエンジン2の発進制御装置である。
【0032】前記エンジン2には、図示しない変速部を
有する無段変速機(「連続可変変速機」とも言う:CV
T)6が連設される。この無段変速機6は、駆動プーリ
8と、被動プーリ10と、この駆動プーリ8と被動プー
リ10とに巻掛けられたベルト12とを有している。
【0033】前記駆動プーリ8は、駆動軸14と、この
駆動軸14に一体的に設けられた駆動側固定プーリ部片
16と、該駆動軸14に軸方向移動可能で且つ回転不可
能に設けられた駆動側可動プーリ部片18とを有してい
る。
【0034】また、前記被動プーリ10は、前記駆動軸
14と略平行に配設された被動軸20と、この被動軸2
0に一体的に設けられた被動側固定プーリ部片22と、
該被動軸20に軸方向移動可能で且つ回転不可能に設け
られた被動側可動プーリ部片24とを有している。
【0035】更に、前記エンジン2のクランク軸26と
無段変速機6の駆動軸14間には、接続・解放可能な電
磁パウダ式のクラッチ28が設けられている。
【0036】また、エンジン2には、図2に示す如く、
CVT用コントローラである制御手段30が設けられ、
この制御手段30には、出力側に、クラッチ28を接続
・解放動作させるためのクラッチ装置(図示せず)や、
変速部の変速比を調整するための変速比調整装置(図示
せず)等が連絡している。
【0037】また、前記制御手段30には、図2に示す
如く、入力側に、スロットル開度THRを検出するスロ
ットル開度センサ32と、運転手がアクセルペダル48
を操作した状態を検出してオンになるDDTスイッチ3
4と、クランク軸26の回転をエンジン回転速度Neと
して検出するエンジン回転速度センサ36と、無段変速
機6の入力側回転速度を検出する第1検出手段、つまり
無段変速機6の駆動軸14の回転を変速部入力回転速度
Niとして検出する変速部入力回転速度センサ38と、
出力側回転速度を検出する第2検出手段、つまり無段変
速機6の被動軸20の回転を車速Nvとして検出する車
速センサ40と、加速度を検出する図示しない加速度セ
ンサと、その他のセンサ(図示せず)とが夫々連絡して
いる。
【0038】前記スロットル開度センサ32以外にも、
負圧センサやアクセルペダルスイッチ等を使用すること
ができる。
【0039】更に詳述すると、前記エンジン2の制御装
置4の電子制御ユニットである制御手段30の入力側に
は、図2に示す如く、DDTスイッチ34、図示しない
エアコンのエアコンスイッチ42、セレクタレバー44
のシフトスイッチ46、スロットル開度センサ32、ア
クセルペダル48のアクセル操作量ACを検出するアク
セル操作量センサ50、エンジン回転速度センサ36、
変速部入力回転速度センサ38、車速センサ40が夫々
接続されている。
【0040】そして、前記制御手段30は、電磁クラッ
チからなるクラッチ28側にクラッチ制御信号を出力す
るとともに、油圧制御回路52に変速比制御信号とライ
ン圧制御信号とを出力している。
【0041】前記クラッチ28と無段変速機6間には、
前後進切換装置54を配設し、車両の前進あるいは後進
(後退)の切り換えを行う。
【0042】前記無段変速機6からの変速後の駆動力
は、減速ギヤ群56、差動ギヤ58を介してタイヤ60
に伝達される。
【0043】前記制御手段30は、運転者の運転操作や
エンジン2の運転状態や車両の走行状態によって例えば
ニュートラルモード(NEU)とホールドモード(HL
D)とノーマルスタートモード(NST)とスペシャル
スタートモード(SST)とドライブモード(DRV)
とからなる各種制御モードを選択して、選択した各種制
御モードによってクラッチ28及び無段変速機6を制御
するものである。
【0044】また、制御手段30には、図3に示す如
く、フィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)設定部30Aとフィードフォワード制御部30B
とスピードループ制御部30Cとが設けられている。
【0045】そして、前記無段変速機6の発進制御装置
4は、図示しない車両に搭載されたエンジン2に無段変
速機6を連結して設け、この無段変速機6には電子的に
クラッチトルク容量が調整可能なクラッチ28を設け、
このクラッチ28の発進制御の際に目標クラッチ入力回
転速度、つまりフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)に実際のクラッチ入力回転速度、例え
ばクラッチ入力回転速度と同一のエンジン回転速度(N
E)が一致するようにスピードループ量を設定するスピ
ードループ制御を行うとともに、前記目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)をエンジン要求負荷量に応じて設定す
る制御手段30を有している。
【0046】また、前記クラッチ28からのクラッチ出
力回転速度である変速部入力回転速度(NI)がエンジ
ン要求負荷量に応じて設定される前記目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)よりも大なる場合には、エンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度で
あるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)の代わりに、クラッチ出力回転速度である変速部
入力回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ
入力回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)を使用する機能を前記制御手段3
0に付加して設ける構成とする。
【0047】詳述すれば、前記制御手段30は、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転
速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(N
ESPCF)よりも所定量以上に大なる場合に、エンジ
ン要求負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転
速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(N
ESPCF)の代わりにクラッチ出力回転速度である変
速部入力回転速度(NI)に応じて設定される目標クラ
ッチ入力回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン
回転速度(NESPCF)を使用する機能を有する。
【0048】また、前記制御手段30は、クラッチの発
進制御の際に、エンジン要求負荷量に応じて設定される
目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ処理後の目標
エンジン回転速度(NESPCF)によるフィードフォ
ワード制御を行うとともに、エンジン要求負荷量に応じ
て設定される目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)よりも
大なる場合に、クラッチ出力回転速度である変速部入力
回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)によってフィードフォワード量を設定
する機能を有する。
【0049】そして、この発明の実施例においては、発
進操作時のエンジン発生トルクが低い場合に、エンジン
回転速度(NE)とフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)とが略一致したままで、クラッチ
接続条件(図8の処理(212)参照)が成立しない場
合が多々あるという従来の不都合を解消することを目的
としている。
【0050】つまり、クラッチ出力回転速度である変速
部入力回転速度(NI)が低い場合には、従来のものと
同様の方策によってフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)を設定し、クラッチ出力回転速度
である変速部入力回転速度(NI)が高い場合には、こ
の変速部入力回転速度(NI)に準じてフィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)を設定するも
のである。
【0051】一方、クラッチ出力回転速度がである変速
部入力回転速度(NI)が高い場合には、この変速部入
力回転速度(NI)に準じてフィルタ処理後の目標エン
ジン回転速度(NESPCF)を設定するが、フィード
フォワード量が実際のエンジン発生トルクに対して大き
く異なる場合には、円滑な発進制御の実現が困難となる
ものであり、このような不具合を解消するために、エン
ジン発生トルクの推定、すなわち図5によってスロット
ル開度(THR)とフィルタ処理後の目標エンジン回転
速度(NESPCF)とからエンジン発生トルク(TR
QE)を推定する。
【0052】そして、フィードフォワード量は、上述し
た方策によって変化するフィルタ処理後の目標エンジン
回転速度(NESPCF)に応じて適正な値に演算され
るものである。
【0053】次に、この実施例の作用を説明する。
【0054】図3に示す如く、制御手段30のフィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)設定部
30Aにおいては、スロットル開度センサ32からのス
ロットル開度(THR)を入力し、このスロットル開度
(THR)から図4のマップによってクラッチ制御の目
標エンジン回転速度(NESPC)を設定(102)
し、このクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NES
PC)と変速部入力回転速度(NI)+定数(α)とを
比較(104)し、 NESPC≧NI+α の場合にクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NES
PC)を使用し、 NESPC<NI+α の場合には変速部入力回転速度(NI)+定数(β)を
使用する。
【0055】そして、比較(104)によって使用され
る値にフィルタ処理(106)を施し、フィルタ処理後
の目標エンジン回転速度(NESPCF)を設定する。
【0056】また、前記制御手段30のフィードフォワ
ード制御部30Bにおいては、スロットル開度(TH
R)とフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NES
PCF)設定部30Aのフィルタ処理後の目標エンジン
回転速度(NESPCF)とを入力して図5によってエ
ンジン発生トルク(TRQE)を推定(108)し、エ
ンジン発生トルク(TRQE)に正負の差がないため、
推定した後に絶対値処理(110)を行い、絶対値処理
(110)後の値を図6の変換用マップによってフィー
ドフォワード量(PCLUN)に変換(112)する。
【0057】更に、制御手段30のスピードループ制御
部30Cにおいては、エンジン回転速度(NE)がフィ
ルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)に
一致するように比例積分制御(PI制御)を行ってスピ
ードループ量を求めるものであり、フィルタ処理後の目
標エンジン回転速度(NESPCF)設定部30Aのフ
ィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)
を入力するとともに、エンジン回転速度(NE)を入力
し、フィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)をエンジン回転速度(NE)と計算部(114)
で計算し、この計算して得た値を上限値aと下限値bと
による上下限処理(116)し、上下限処理(116)
して得た値に比例積分制御(PI制御)を行う(11
8)。
【0058】この比例積分制御(118)においては、
図7に示す如く、(NE−NESPCF)の値にスピー
ドループ制御ゲイン(KASC)による比例制御(P制
御)を行い(118A)、比例制御された値に積分ゲイ
ン(Ki)/複素変数(S)の積分制御(I制御)を行
い(118B)、この積分制御で得られた値と比例制御
で得られた値とを計算部(118C)で計算してスピー
ドループ量が得られる。
【0059】上述の前記制御手段30のフィードフォワ
ード制御部30Bにおけるフィードフォワード量とスピ
ードループ制御部30Cにおけるスピードループ量と
は、計算部(120)で計算され、上限値aと下限値b
とによる上下限処理(122)し、クラッチ操作量(U
c)を算出する。つまり、最終的なクラッチ操作量(U
c)は、フィードフォワード量とスピードループ量とに
より設定される。
【0060】前記制御手段30の発進制御の入力脱出条
件は、図8に示すフローチャートに基づいて判断され
る。
【0061】制御手段30において、発進制御の入力脱
出条件用のプログラムが開始すると(202)、シフト
位置がパーキング位置(P)あるいはニュートラル位置
(N)にあるか否かの判断(204)を行い、この判断
(204)がNO、つまりシフト位置がパーキング位置
(P)あるいはニュートラル位置(N)以外の位置にあ
る場合には、DDTスイッチがON状態にあるか否かの
判断(206)に移行し、判断(204)がYES、つ
まりシフト位置がパーキング位置(P)あるいはニュー
トラル位置(N)にある場合には、その他の制御(20
8)に移行させ、プログラムを終了(216)させる。
【0062】上述のDDTスイッチがON状態にあるか
否かの判断(206)において、判断(206)がNO
の場合には、その他の制御(208)に移行させ、プロ
グラムを終了(216)させるとともに、判断(20
6)がYESの場合には、車速に相当する変速部出力回
転速度(NV)と変速部出力回転速度用トリガ(NVT
R)との比較判断(210)を行う。
【0063】そして、比較判断(210)において、 NV<NVTR の場合には、その他の制御(208)に移行させ、プロ
グラムを終了(216)させるとともに、 NV≧NVTR の場合には、エンジン回転速度(NE)と変速部入力回
転速度(NI)との差を絶対値処理した後に、値が略0
であるか否かを判断(212)する。
【0064】この判断(212)がYESの場合には、
その他の制御(208)に移行させ、プログラムを終了
(216)させるとともに、判断(212)がNOの場
合には、発進制御(214)に移行させ、プログラムを
終了(216)させる。
【0065】また、前記制御手段30の発進時のクラッ
チ制御は、図9に示すフローチャートに基づいて行われ
る。
【0066】制御手段30において、発進時のクラッチ
制御用のプログラムが開始すると(302)、図4によ
ってクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NESP
C)を設定(304)し、クラッチ制御の目標エンジン
回転速度(NESPC)と変速部入力回転速度(NI)
+定数(α)との比較判断(306)を行う。
【0067】そして、比較判断(306)において、 NESPC<NI+α の場合には、変速部入力回転速度(NI)+定数(β)
をクラッチ制御の目標エンジン回転速度(NESPC)
とし(308)、 NESPC≧NI+α(定数) の場合には、クラッチ制御の目標エンジン回転速度(N
ESPC)をそのまま使用する。
【0068】求められたクラッチ制御の目標エンジン回
転速度(NESPC)にフィルタ処理を施し、フィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)を算出
する(310)。
【0069】また、スロットル開度(THR)とフィル
タ処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)とに
よって図5からエンジン発生トルク(TRQE)を推定
(312)し、その他の発進時のクラッチ制御を行い
(314)、プログラムを終了(316)させる。
【0070】これにより、いかなる走行状態において
も、発進制御に入場した場合には、速やかにクラッチの
接続を実現することができ、円滑な運転性を確保し得
る。
【0071】また、エンジン発生トルクのクラッチ滑り
によるロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料
消費量の増加等の不都合を確実に防止し得るものであ
る。
【0072】更に、前記制御手段30の制御用プログラ
ムの小変のみで対処し得ることにより、構成が複雑化す
る惧れが全くなく、製作が容易で、コストを低廉に維持
し得て、経済的に有利である。
【0073】更にまた、前記発進制御装置4の制御手段
30を、あらゆる方式の変速機に適応させることが可能
であることにより、汎用性が大となって実用上有利であ
る。
【0074】また、前記制御手段30に、エンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度で
あるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)よりも所定量以上に大なる場合に、エンジン要求
負荷量に応じて設定される目標クラッチ入力回転速度で
あるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度(NESP
CF)の代わりにクラッチ出力回転速度である変速部入
力回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ入
力回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速
度(NESPCF)を使用する機能を付加して設けたこ
とにより、いかなる走行状態においても、発進制御に入
場した場合には、速やかにクラッチの接続を実現するこ
とができ、円滑な運転性を確保し得るとともに、エンジ
ン発生トルクのクラッチ滑りによるロスに伴う動力性能
の劣化や運転性の劣化、燃料消費量の増加等の不都合を
確実に防止し得る。
【0075】更に、前記制御手段30に、クラッチの発
進制御の際に、エンジン要求負荷量に応じて設定される
目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ処理後の目標
エンジン回転速度(NESPCF)によるフィードフォ
ワード制御を行うとともに、エンジン要求負荷量に応じ
て設定される目標クラッチ入力回転速度であるフィルタ
処理後の目標エンジン回転速度(NESPCF)よりも
大なる場合に、クラッチ出力回転速度である変速部入力
回転速度(NI)に応じて設定される目標クラッチ入力
回転速度であるフィルタ処理後の目標エンジン回転速度
(NESPCF)によってフィードフォワード量を設定
する機能を付加して設けたことにより、クラッチ制御の
フィードフォワード制御にクラッチ出力回転速度を反映
させることができ、クラッチの接続不可や接続時のショ
ックの発生等の不都合を回避し得るものである。
【0076】
【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、車両に搭載されたエンジンに変速機を連
結して設け、変速機に電子的にクラッチトルク容量が調
整可能なクラッチを設け、クラッチの発進制御の際に目
標クラッチ入力回転速度に実際のクラッチ入力回転速度
が一致するようにスピードループ量を設定するスピード
ループ制御を行うとともに、目標クラッチ入力回転速度
をエンジン要求負荷量に応じて設定する制御手段を有す
る電子制御クラッチの発進制御装置において、クラッチ
からのクラッチ出力回転速度がエンジン要求負荷量に応
じて設定される目標クラッチ入力回転速度よりも大なる
場合にはエンジン要求負荷量に応じて設定される目標ク
ラッチ入力回転速度の代わりにクラッチ出力回転速度に
応じて設定される目標クラッチ入力回転速度を使用する
機能を制御手段に付加して設けたので、いかなる走行状
態においても、発進制御に入場した場合には、速やかに
クラッチの接続を実現することができ、円滑な運転性を
確保し得る。また、エンジン発生トルクのクラッチ滑り
によるロスに伴う動力性能の劣化や運転性の劣化、燃料
消費量の増加等の不都合を確実に防止し得るものであ
る。更に、前記制御手段の制御用プログラムの小変のみ
で対処し得ることにより、構成が複雑化する惧れが全く
なく、製作が容易で、コストを低廉に維持し得て、経済
的に有利である。更にまた、前記発進制御装置の制御手
段を、あらゆる方式の変速機に適応させることが可能で
あることにより、汎用性が大となって実用上有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す電子制御クラッチの発
進制御装置の発進制御状況のタイムチャートである。
【図2】電子制御クラッチの構成図である。
【図3】発進時のクラッチ制御のブロック図である。
【図4】クラッチ制御の目標エンジン回転速度(クラッ
チ入力回転速度)NESPCの設定用マップである。
【図5】エンジン発生トルクの推定用マップである。
【図6】トルク/フィードフォワード量の変換用マップ
である。
【図7】PI制御のブロック図である。
【図8】発進制御の入力脱出条件用フローチャートであ
る。
【図9】発進時のクラッチ制御のフローチャートであ
る。
【図10】この発明の従来技術を示す発進時のクラッチ
制御のブロック図である。
【図11】従来の発進時のクラッチ制御のフローチャー
トである。
【図12】従来のエンジン発生トルクの推定用マップで
ある。
【図13】従来の電子制御クラッチの発進制御装置の発
進制御状況のタイムチャートである。
【符号の説明】 2 エンジン 4 発進制御装置 6 無段変速機 8 駆動プーリ 10 被動プーリ 12 ベルト 26 クランク軸 28 クラッチ 30 制御手段 32 スロットル開度センサ 34 アイドルスイッチ 36 エンジン回転速度センサ 38 変速部入力回転速度センサ 40 車速センサ 50 アクセル操作量センサ 52 油圧制御回路 54 前後進切換装置 56 減速ギヤ群
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載されたエンジンに変速機を連
    結して設け、この変速機には電子的にクラッチトルク容
    量が調整可能なクラッチを設け、このクラッチの発進制
    御の際に目標クラッチ入力回転速度に実際のクラッチ入
    力回転速度が一致するようにスピードループ量を設定す
    るスピードループ制御を行うとともに、前記目標クラッ
    チ入力回転速度をエンジン要求負荷量に応じて設定する
    制御手段を有する無段変速機の発進制御装置において、
    前記クラッチからのクラッチ出力回転速度がエンジン要
    求負荷量に応じて設定される前記目標クラッチ入力回転
    速度よりも大なる場合にはエンジン要求負荷量に応じて
    設定される目標クラッチ入力回転速度の代わりにクラッ
    チ出力回転速度に応じて設定される目標クラッチ入力回
    転速度を使用する機能を前記制御手段に付加して設けた
    ことを特徴とする無段変速機の発進制御装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、エンジン要求負荷量に
    応じて設定される目標クラッチ入力回転速度よりも所定
    量以上に大なる場合にはエンジン要求負荷量に応じて設
    定される目標クラッチ入力回転速度の代わりにクラッチ
    出力回転速度に応じて設定される目標クラッチ入力回転
    速度を使用する機能を付加して設けた制御手段である特
    許請求の範囲の請求項1に記載の無段変速機の発進制御
    装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、クラッチの発進制御の
    際に、エンジン要求負荷量に応じて設定される目標クラ
    ッチ入力回転速度によるフィードフォワード制御を行う
    とともに、エンジン要求負荷量に応じて設定される目標
    クラッチ入力回転速度よりも大なる場合にはクラッチ出
    力回転速度に応じて設定される目標クラッチ入力回転速
    度によってフィードフォワード量を設定する機能を付加
    して設けた制御手段である特許請求の範囲の請求項1に
    記載の無段変速機の発進制御装置。
JP8104218A 1996-03-29 1996-03-29 電子制御クラッチの発進制御装置 Pending JPH09269023A (ja)

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JP8104218A JPH09269023A (ja) 1996-03-29 1996-03-29 電子制御クラッチの発進制御装置

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000035448A (ko) * 1998-11-13 2000-06-26 존 씨. 메티유 차량의 발진 자동 마스터 클러치 제어 방법
KR20180030304A (ko) * 2016-09-12 2018-03-22 현대자동차주식회사 차량의 발진 제어방법

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