JPH09262618A - 形鋼の圧延における誘導装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被圧延材のフリーサイズに対応可能で、ウェ
ブ中心の偏りを減少させる誘導装置とする。 【解決手段】 上下左右に独立に移動可能なブロック１
内に被圧延材１０のフランジ端面を拘束するフランジガ
イドローラー２を昇降機構４により上下移動可能に設
け、被圧延材のフィレット部を拘束するフィレットガイ
ド３をブロックに連設し、さらに延伸駆動機構５により
前後進可能に設け、フィレットガイド３の一端を圧延ロ
ール案内ガイド２１の入口端まで延ばすようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、形鋼の圧延におけ
る誘導装置、特にフランジを有する形鋼を圧延する際の
誘導装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】フランジを有する形鋼、例えばＨ形鋼は
一般にユニバーサル圧延機で圧延して製造するが、この
圧延の際に図１１に示すようにＨ形鋼１０のウェブ１１
中心の偏りが発生しやすい。これは、ユニバーサル圧延
機においてウエブ１１のパスラインに対する咬込位置が
不適正なことが主たる発生原因で、ウエブ中心の偏りの
発生は一般に不可避とされている。ウエブ中心の偏り量
Ｓは次式で定義される。 Ｓ＝｜ａ−ｂ｜／２ 但し、ａ、ｂ：フランジ端とウエブ面の間の距離 このウエブ中心の偏りは、Ｈ形鋼の寸法精度の代表的な
欠陥となっており、これに対する要求は近時ますます厳
しくなっている。

【０００３】このような要求に応えるべく、例えば特公
平６−５３２８９号公報では、ユニバーサル圧延機の入
側および／または出側に配設されるガイドが、テーパー
付きのフランジガイドローラーとウェブガイドを有する
一対のブロックからなる構成を示している。そしてこの
ブロックは左右、上下方向に移動可能となっている。こ
のようなガイドによって被圧延材のフランジとウェブを
拘束しつつ誘導するようにしているが、被圧延材のフラ
ンジ幅が変わると、フランジガイドローラーのみの拘束
となるため、ウェブ中心の偏りの制御に十分な効果を発
揮することができないものと考えられる。また、特開平
６−２１８４１３号公報ではフランジガイドローラーと
ウェブガイドローラーを個々に設置した構成を示してい
るが、ウェブガイドローラーがミル至近にまで寄らず、
ミルセンターとガイド間の距離が大きくなるため、ウェ
ブ中心の偏りの制御の効果が減少するなどの問題点があ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点を解決するためになされたもので、被圧延材のフリー
サイズに対応可能で、ウェブ中心の偏り量の低減に特に
効果のある形鋼の圧延における誘導装置を提供すること
を目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る誘導装置
は、フランジを有する形鋼を圧延するユニバーサル圧延
機の入側および／または出側に設置され、被圧延材のフ
ランジおよびウェブを拘束しつつ該被圧延材の通過を誘
導する誘導装置において、上下および左右方向に移動可
能なブロックと、被圧延材のフランジ端面を押圧し、か
つ、前記ブロック内に上下移動可能に取り付けられた複
数のフランジガイドローラーと、被圧延材のフィレット
部を押圧し、かつ、一端が前記ユニバーサル圧延機のミ
ルセンター至近まで延びるように前記ブロックに設けら
れたフィレットガイドとを備えたものである。

【０００６】上記の構成により、被圧延材のフランジ端
面を複数のフランジガイドローラーにより上下から挟
み、またフィレット部をブロックに設けられたフィレッ
トガイドにより上下から挟んでそれぞれフランジ端およ
びフィレット部を拘束しつつ被圧延材をユニバーサル圧
延機に誘導する。また、これらのフランジガイドローラ
ーおよびフィレットガイドを設けた各々のブロックは上
下および左右方向に独立に移動可能であり、かつ、フラ
ンジガイドローラーもそのブロック内で上下方向に移動
可能であるので、被圧延材のフリーサイズに対応可能と
なり、フランジ幅が変わった場合でもフランジガイドロ
ーラーとフィレットガイドの両者で拘束することがで
き、ウェブ中心の偏りを減少させることができる。

【０００７】さらに、フィレットガイドの一端をユニバ
ーサル圧延機の圧延ロール案内ガイドの入口端まで延ば
すことにより、被圧延材を正確にパスライン上に誘導す
ることができるため、ウェブ中心の偏りを減少させるこ
とができる。

【０００８】また、フィレットガイドをブロックに摺動
自在に取り付け、フィレットガイドを前後進させる延進
駆動機構を設けることにより、被圧延材に対する拘束能
力が大きくなるため、ウェブ中心の偏りを一層減少させ
ることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】 実施の形態１．図１は本発明の実施の形態１に係る誘導
装置の正面図、図２は側面図である。この例は、フラン
ジガイドローラーをテーパーローラーとしたものであ
る。図１、図２において、１は上下、左右に設置された
ブロックで、各ブロック１内には被圧延材１０のフラン
ジ１２の端面を拘束する非駆動の複数のフランジガイド
ローラー２が上下方向に移動可能に設けられている。１
つのブロック１内におけるフランジガイドローラー２の
昇降機構は図３に示されている。３は被圧延材のフィレ
ット部１３を拘束するフィレットガイドで、ブロック１
の内側の壁体に一体に連設される。このフィレットガイ
ド３の出口端３１（被圧延材の導入側と反対側の端部）
は、図４に示すように圧延ロール２０への案内ガイド２
１の入口端まで延ばされる。また、ブロック１はそれぞ
れ、例えばネジ機構による上下移動機構、左右移動機構
によって上下および左右方向に独立に移動可能になって
いる。

【００１０】図３に示すフランジガイドローラー２の昇
降機構４は、複数のフランジガイドローラー２を軸支し
ブロック１内に昇降自在に設けられたチャンネル状のロ
ーラー保持部材４１と、ローラー保持部材４１をネジ軸
４２により上下移動させる駆動装置４３から構成されて
いる。このローラー保持部材スライダー４１は、突起４
４とこの突起４４が係合する溝４５、または図示しない
ガイドピンと穴により上下方向に案内するようになって
いる。

【００１１】上記のように構成された形鋼の誘導装置
は、ユニバーサル圧延機の入側および／または出側に設
置される。したがって、例えばＨ形鋼をユニバーサル圧
延機で粗圧延、仕上圧延していく際、粗圧延機、仕上圧
延機に設置された本誘導装置がフランジガイドローラー
２およびフィレットガイド３により、被圧延材１０のフ
ランジ１２端面およびフィレット部１３を上下から挟ん
で拘束しつつ、被圧延材１０をミルセンター上に正確に
誘導するため、ウェブ中心の偏り量が極めて少なく、寸
法精度の良いＨ形鋼を圧延することができる。すなわ
ち、フランジガイドローラー２の上下左右の間隔および
フィレットガイド３の上下左右の間隔は、それぞれ個々
に駆動されるブロック１の上下移動機構、左右移動機構
（共に図示せず）、フランジガイドローラー２の昇降機
構４によって、あらかじめ各圧延工程において必要とさ
れるウェブ内法高さ、フランジ幅、ウェブ厚さに適合す
るように設定することができるので、被圧延材１０をパ
スライン上に正確に誘導することができる。したがっ
て、フランジ幅が変わった場合でも、フランジガイドロ
ーラー２を昇降手段４によって独自に移動調整可能なの
で、フランジガイドローラー２とフィレットガイド３の
両者で被圧延材を拘束しつつ誘導することができる。

【００１２】実施の形態２．図５は本発明の実施の形態
２に係る誘導装置の正面図、図６は側面図である。この
例は、フランジガイドローラー２をフラットローラーに
した以外は実施の形態１と全く同じである。この例に示
すように、フラットなフランジガイドローラー２を使用
した場合でも、同様にフランジガイドローラー２とフィ
レットガイド３の両者で被圧延材を拘束することができ
るので、ウェブ中心の偏り量が極めて少なく、寸法精度
の良いＨ形鋼を圧延することができる。

【００１３】実施の形態３．図７は本発明の実施の形態
３に係る誘導装置の側面図で、フィレットガイド３の延
伸駆動機構の一例を示すものであり、（ａ）はフィレッ
トガイドの前進時の状態、（ｂ）は退避時の状態を示し
ている。この例はシリンダによる延伸駆動機構５を示す
ものであり、実施の形態１、２ではフィレットガイド３
がブロック１に固定されていたが、この実施の形態３で
はフィレットガイド３をブロック１に摺動自在に係合さ
せ（例えば、アリとアリ溝のガイド機構などで係合させ
る）、シリンダ装置６により前後進させる。すなわち、
被圧延材を当該圧延機に誘導するときには、あらかじめ
図７（ｂ）のようにフィレットガイド３を退避させてお
き、被圧延材の進行につれてフィレットガイド３を前進
させ、最終的にフィレットガイド３の出口端３１が圧延
機ハウジング２２の中に入るようにしてミルセンター至
近まで誘導する。この誘導中、被圧延材をフランジガイ
ドローラー２とフィレットガイド３の両者で拘束する点
は上記の実施の形態１、２と同じである。したがって、
比較的長い距離にわたって被圧延材を拘束し、かつミル
センター至近まで誘導することができるので、被圧延材
の寸法精度が一層向上する。

【００１４】実施の形態４．図８は本発明の実施の形態
４に係る誘導装置の側面図で、フィレットガイド３の延
伸駆動機構がラック７とピニオン８からなる構成を示し
たものである。その他は実施の形態３と同様であり、同
様の作用効果がある。

【００１５】以上の延伸駆動機構によるフィレットガイ
ド３は、図９に示すようにこの誘導装置を使用しない場
合、あるいは一般形鋼の圧延時の場合、（ｃ）に示すご
とく上下のフィレットガイド３の間隔を広げておけばよ
い。（ａ）の前進時の状態から（ｂ）の退避時の状態に
した後、（ｃ）のように間隔を広げる。

【００１６】図１０は本発明の効果を示す寸法精度の分
布図である。これは、Ｈ形鋼の寸法サイズがＨ４００×
２００、Ｈ６００×２００、Ｈ９００×３００のものに
ついて、この圧延誘導装置の不使用時と使用時の試験デ
ータを整理したものであり、どのサイズのＨ形鋼につい
ても、ウェブ中心の偏り量は、圧延誘導装置を使用した
ほうが平均値、偏差値共に格段に減少している。

【００１７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、フランジ
ガイドローラーとフィレットガイドにより被圧延材のフ
ランジ端面およびフィレット部を拘束しながらユニバー
サル圧延機に正確に誘導することができるため、ウェブ
中心の偏りを減少させる効果がある。また、各ブロック
は個々に上下左右に移動可能であり、かつ、フランジガ
イドローラーがブロック内で上下移動可能であるため、
被圧延材のフリーサイズに対応可能である。さらに、フ
ィレット部を拘束するフィレットガイドをユニバーサル
圧延機内の圧延ロール案内ガイドまで延伸する機構を設
けているので、一層ウェブ中心の偏りを減少させること
が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態１に係る誘導装置の正面図
である。

【図２】図１の側面図である。

【図３】フランジガイドローラーの昇降機構の正面図で
ある。

【図４】誘導装置の圧延機装着状態を示す図である。

【図５】本発明の実施の形態２に係る誘導装置の正面図
である。

【図６】図４の側面図である。

【図７】本発明の実施の形態３に係る誘導装置の側面図
である。

【図８】本発明の実施の形態４に係る誘導装置の側面図
である。

【図９】延伸駆動機構を使用しない場合の説明図であ
る。

【図１０】誘導装置の使用時と不使用時のＨ形鋼の試験
結果を示す寸法精度の分布図である。

【図１１】Ｈ形鋼のウェブ中心の偏りを示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１ ブロック ２ フランジガイドローラー ３ フィレットガイド ４ フランジガイドローラーの昇降機構 ５ フィレットガイドの延伸駆動機構 １０ 被圧延材 ２０ 圧延ロール ２１ 案内ガイド ２２ 圧延機ハウジング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 素久 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フランジを有する形鋼を圧延するユニバ
   ーサル圧延機の入側および／または出側に設置され、被
   圧延材のフランジおよびウェブを拘束しつつ該被圧延材
   の通過を誘導する誘導装置において、 上下および左右方向に移動可能なブロックと、 被圧延材のフランジ端面を押圧し、かつ、前記ブロック
   内に上下移動可能に取り付けられた複数のフランジガイ
   ドローラーと、 被圧延材のフィレット部を押圧し、かつ、一端が前記ユ
   ニバーサル圧延機のミルセンター至近まで延びるように
   前記ブロックに設けられたフィレットガイドとを備えた
   ことを特徴とする形鋼の圧延における誘導装置。
2. 【請求項２】 前記フィレットガイドの一端は前記ユニ
   バーサル圧延機の圧延ロール案内ガイドの入口端まで延
   びていることを特徴とする請求項１記載の形鋼の圧延に
   おける誘導装置。
3. 【請求項３】 前記フィレットガイドは前記ブロックに
   摺動自在に取り付けられ、該フィレットガイドを前後進
   させる延進駆動機構を備えたことを特徴とする請求項１
   または請求項２記載の形鋼の圧延における誘導装置。