JPH09257862A - 巻線絶縁診断装置 - Google Patents

巻線絶縁診断装置

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JPH09257862A
JPH09257862A JP8064709A JP6470996A JPH09257862A JP H09257862 A JPH09257862 A JP H09257862A JP 8064709 A JP8064709 A JP 8064709A JP 6470996 A JP6470996 A JP 6470996A JP H09257862 A JPH09257862 A JP H09257862A
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JP
Japan
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winding
current
voltage
waveform
insulation
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JP8064709A
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English (en)
Inventor
Yuji Mizutani
雄二 水谷
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)
  • Testing Relating To Insulation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ターン絶縁が完全に短絡している状態の巻線
の異常、並びに、ターン絶縁に付いた傷によりコロナ開
始電圧が基準値よりも低い巻線の異常を検出する。 【解決手段】 本発明の巻線絶縁診断装置は、3相巻線
のうちの診断対象の1相の巻線にパルス電圧を印加する
パルス電源33と、他の2相の巻線の端子とアースとを
接続する2本の接続線37、38を挿通させる貫通孔3
9aを有する電流検出器39とを備え、2本の接続線3
7、38に流れる電流の向きが同時刻で打ち消し合うよ
うにそれら接続線37、38を電流検出器39の貫通孔
39aに挿入し、そして、電流検出器39により検出し
た電流の波形に基づいて巻線のターン絶縁の異常を判断
するように構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転電機や静止誘
導機器に搭載された巻線の絶縁状態を診断する巻線絶縁
診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】巻線の絶縁状態を診断する場合、一般的
には、対地絶縁に高電圧を加える耐圧試験を行ったり、
メガー試験器により対地絶縁に直流電圧を加えて流れる
電流を測定する試験を行ったりしている。しかし、これ
らの試験は、対地絶縁に過電圧を加えて絶縁破壊の有無
や漏れ電流の大きさから対地絶縁の状態を診断するもの
であり、巻線のターン絶縁の状態を診断することはでき
ない。
【0003】巻線のターン絶縁の状態を診断する方法と
しては、ターン絶縁に過電圧を加えて試験する方法が知
られており、これを実現した試験装置としてレヤー試験
器が市販されている。このレヤー試験器により三相誘導
電動機の巻線のターン絶縁状態を診断する構成を、図1
0に示す。この図10に示すように、パルス電源1から
導出された2本の電源線2、3は、切換スイッチ4、5
の各共通接点a、bに接続されている。これら切換スイ
ッチ4、5は、それぞれ3個の切換接点Ua、Va、W
a、Ub、Vb、Wbを有している。そして、三相誘導
電動機の三相(U、V、W)の巻線6、7、8は、Y接
続されている。
【0004】この場合、切換スイッチ4、5の切換接点
Ua、UbはU相の巻線6の反中性点側の端子に接続さ
れ、切換スイッチ4、5の切換接点Va、VbはV相の
巻線7の反中性点側の端子に接続され、切換スイッチ
4、5の切換接点Wa、WbはW相の巻線8の反中性点
側の端子に接続されている。また、オシロスコープ9か
ら導出された2本の検出線10、11は、切換スイッチ
4、5の各共通接点a、bに接続されている。
【0005】上記構成の場合、パルス電源1は、コンデ
ンサに充電した直流電圧をサイリスタにより100Hz
〜5kHz程度の周期でスイッチングすることにより、
繰り返しパルス電圧を生成する機能を有している。この
パルス電圧の波形は、立上がり時間(波頭長)が0.1
μs〜5μs程度であり、波尾長が5μs〜40μs程
度である。
【0006】そして、上記装置により巻線6、7、8を
診断する場合、まず切換スイッチ4の接点(a−Ua)
間をオンすると共に、切換スイッチ5の接点(b−V
b)間をオンする第1の回路状態にする。続いて、パル
ス電源1をオンしてパルス電圧を巻線6及び7に印加す
る。これにより、オシロスコープ9のディスプレイに図
11に示すような電圧波形が表示されるようになる。
尚、この波形は、巻線の電気的特性である静電容量やイ
ンダクタンスや抵抗により決まる。
【0007】次に、切換スイッチ4の接点(a−Va)
間をオンすると共に、切換スイッチ5の接点(b−W
b)間をオンする第2の回路状態にして、パルス電源1
からパルス電圧を巻線7及び8に印加する。これによ
り、オシロスコープ9に図11に示す電圧波形とほぼ同
様な電圧波形が表示されるようになる。そして、上述し
た切換スイッチ4、5の切換動作を1秒間に50〜60
回程度繰り返すと、オシロスコープ9には、第1の回路
状態のときの電圧波形と第2の回路状態のときの電圧波
形が重なって表示されるようになる(図12参照)。こ
こで、表示された電圧波形の重なり具合と巻線のターン
絶縁状態との間に関係があるため、検査者は上記電圧波
形の重なり具合に基づいてターン絶縁の異常を診断する
ことができる。尚、電圧波形の重なり具合と巻線のター
ン絶縁状態との具体的関係については後述する。
【0008】上記レヤー試験器によれば、巻線のターン
絶縁及び対地絶縁の状態を診断することができる。ま
た、上記レヤー試験器による診断(試験)の場合、巻線
にパルス電圧を印加する構成であるため、巻線に電圧を
印加している時間は商用電源の1/1000ぐらいの短
い時間となり、絶縁試験を行っても巻線の絶縁物が劣化
し難いという長所がある。更に、上記レヤー試験器によ
れば、巻線の結線間違いや、ターン数の間違いも検出で
きるので、巻線の製造ラインの検査にも使用されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】さて、巻線のターン絶
縁の状態は、大きく分けると次の3種類の分類すること
ができる。即ち、第1の状態は、健全(正常)状態であ
る。第2の状態は、レヤー試験により一部のターン絶縁
同士が全路破壊してしまう状態、または、ターン絶縁が
既に短絡している状態である。第3の状態は、絶縁物の
一部が劣化或いは損傷を受けていることから劣化或いは
傷部分近傍の空気の一部が絶縁破壊し、部分放電(コロ
ナ)が発生する状態である。この第3の状態を一般的に
「コロナ放電が発生している」或いは「コロナの発生」
という。また、巻線に印加する電圧を低い電圧から徐々
に昇圧させていき、ターン絶縁にコロナが発生したとき
の電圧をコロナ開始電圧(以下、CSVと称す)とい
う。
【0010】次に、上述したレヤー試験器により実際に
巻線のターン絶縁状態を診断した結果を説明する。ここ
で、診断対象の巻線(三相巻線)として、3種類の巻線
A、B、Cを用意した。巻線Aは、各相のターン絶縁が
全く健全な巻線である。巻線Bは、U相の5ターン目と
10ターン目の絶縁が完全に短絡している状態の巻線で
あり、通常は不良品である。巻線Cは、ターン絶縁は短
絡していないが、ターン絶縁に付いた傷(欠陥部分)に
よりコロナ開始電圧が基準値よりも低い巻線である。
尚、上記巻線Cは、製造時の絶縁紙のずれや絶縁紙の挿
入忘れ等によって製造されてしまうことがある。
【0011】まず、健全な巻線Aを上述したレヤー試験
器により試験したときの電圧波形を図12に示す。この
図12からわかるように、健全な巻線Aにおいても、U
−V間の電圧波形とV−W間の電圧波形は完全に一致す
ることはなく、ほぼ同じ波形であるが少しずれる。この
ように少しずれる理由は、同じ形に制作した巻線であっ
ても、静電容量やインダクタンス等の電気定数が製品毎
に若干ばらついているためであると考えられる。
【0012】次に、巻線Bを上述したレヤー試験器によ
り試験したときの電圧波形を図13に示す。この図13
からわかるように、U−V間の電圧波形とV−W間の電
圧波形は大きくことなる。これは、ターン絶縁の短絡に
より巻線のインダクタンスが大きく変化したためであ
る。従って、上記図13のように電圧波形が異なってい
ることを観測した場合、診断対象の巻線のターン絶縁が
短絡していると判断することができる。
【0013】一方、巻線Cを上述したレヤー試験器によ
り試験したときの電圧波形を図14に示す。この図14
は、健全な巻線Aの電圧波形を示す図12とほぼ同じで
あり、違いを判別することができない。即ち、上記レヤ
ー試験器による試験では、巻線Cの異常を判断すること
ができない。これは、ターン絶縁の欠陥部分でコロナが
発生しているにもかかわらず、コロナによる電流を検出
することができないためである。ここで、コロナによる
電流を検出するために、巻線に印加するパルス電圧を絶
縁破壊する直前まで上昇させることにより、大きなコロ
ナを発生させると、図15に示すように、コロナ電流の
波形Pを観測できるようになる。しかし、このような高
い電圧を巻線に印加すると、印加時間の短いパルス電圧
であっても、巻線の絶縁物がコロナによって劣化してし
まうという問題が発生する。このため、実際には、レヤ
ー試験器では巻線Cのターン絶縁の異常を検出すること
ができなかった。
【0014】そこで、本発明の目的は、ターン絶縁が完
全に短絡している状態の巻線の異常、並びに、ターン絶
縁は短絡していないが、ターン絶縁に付いた傷(欠陥部
分)によりコロナ開始電圧が基準値よりも低い巻線の異
常を検出することができる巻線絶縁診断装置を提供する
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の巻線絶縁診断装
置は、3相巻線のうちの診断対象の1相の巻線にパルス
電圧を印加するパルス電源と、他の2相の巻線の端子と
アースとを接続する2本の接続線を挿通させる貫通孔を
有し、これら2本の接続線に流れる電流を検出する高周
波電流検出手段とを備え、前記2本の接続線を前記高周
波電流検出手段の貫通孔に挿入するに際して、前記2本
の接続線に流れる電流の向きが同時刻で打ち消し合うよ
うに挿入する構成とし、前記高周波電流検出手段により
検出した電流の波形に基づいて前記巻線のターン絶縁を
診断するように構成したところに特徴を有する。
【0016】上記構成によれば、2本の接続線を高周波
電流検出手段の貫通孔に挿入するに際して、2本の接続
線に流れる電流の向きが同時刻で打ち消し合うように挿
入する構成としたので、高周波電流検出手段により検出
される電流の大きさが小さくなる。このため、高周波電
流検出手段により検出される電流の波形を高感度機能を
用いて観測することが可能となり、電流検出精度を高く
することができる。そして、ターン絶縁が完全に短絡し
ている状態の巻線を診断する場合に、高周波電流検出手
段により検出した電流の波形は、健全な巻線の場合に検
出された電流の波形に比べて周波数が大きくなるから、
ターン絶縁が完全に短絡している状態の巻線の異常を検
出することができる。また、ターン絶縁は短絡していな
いが、ターン絶縁に付いた傷によりコロナ開始電圧が基
準値よりも低い巻線を診断する場合に、高周波電流検出
手段により検出した電流の波形は、健全な巻線の場合に
検出された電流の波形に対して立上がり時間とパルス幅
が短いパルスが重畳するような波形となるから、上記コ
ロナが発生するようなターン絶縁状態の巻線の異常を検
出することができる。しかも、この構成の場合、巻線に
高い電圧を印加する必要がないから、巻線の絶縁物がコ
ロナによって劣化することがない。
【0017】また、上記構成の場合、パルス電源は、パ
ルス電圧を低電圧から設定電圧ずつ昇圧する機能を有し
ていることが好ましい。更に、高周波電流検出手段によ
り検出した電流の波形を観測する高速記録可能なデジタ
ルオシロスコープを備えると共に、このデジタルオシロ
スコープから出力される電流波形の観測データを入力す
るパーソナルコンピュータを備え、そして、パーソナル
コンピュータによって電流波形の観測データをデータ処
理することにより巻線のターン絶縁を診断するように構
成することが好ましい。
【0018】更にまた、検査対象の巻線に印加するパル
ス電圧をデジタルオシロスコープの第1チャンネルに電
圧プローブを介して供給すると共に、高周波電流検出手
段から出力される電流検出信号をデジタルオシロスコー
プの第2チャンネルに供給して、パルス電圧に同期させ
て電流検出信号を観測する構成とし、そして、パーソナ
ルコンピュータは、健全な巻線に規定電圧よりも低い電
圧のパルス電圧を印加した状態で高周波電流検出手段に
より検出した電流の波形をデジタルオシロスコープによ
り観測した電流波形を基準波形として記憶し、この後、
診断対象の巻線に印加するパルス電圧を前記低い電圧か
ら設定電圧ずつ上昇させた状態で高周波電流検出手段に
より検出した電流の波形をデジタルオシロスコープによ
り観測した観測電流波形と、前記基準波形に印加したパ
ルス電圧の電圧上昇比率を乗じて得られた計算電流波形
とを比較し、所定以上の相違がある場合に巻線がターン
絶縁不良であると診断するように構成することが良い構
成である。
【0019】また、3相巻線の中性点を外した状態で、
巻線のターン絶縁を診断することも好ましい。一方、高
周波電流検出手段により検出した電流の波形を高速フー
リエ変換する高速フーリエ変換手段と、この高速フーリ
エ変換手段により変換された周波数成分に基づいて巻線
のターン絶縁を診断する診断手段とを備えるように構成
することも好ましい。
【0020】更に、診断手段は、健全な巻線に規定電圧
よりも低い電圧のパルス電圧を印加した状態で高周波電
流検出手段により検出した電流を高速フーリエ変換手段
により変換し、この変換した周波数成分を基準周波数成
分として記憶し、この後、診断対象の巻線に規定電圧に
上昇させたパルス電圧を印加した状態で高周波電流検出
手段により検出した電流を前記高速フーリエ変換手段に
より変換し、この変換した周波数成分と基準周波数成分
とを比較し、両者の周波数領域の相違に基づいて巻線の
ターン絶縁を診断するように構成することもより一層好
ましい。
【0021】また、単相または3相巻線のうちの診断対
象の1相の巻線にパルス電圧を印加するパルス電源と、
診断対象の巻線を構成する複数の部分巻線を接続する接
続線に流れる電流を検出する高周波電流検出手段とを備
え、高周波電流検出手段により検出した電流の波形に基
づいて巻線のターン絶縁を診断するように構成すること
も良い。
【0022】更にまた、高周波電流検出手段として、高
周波変流器または高周波電流プローブを用いることが好
ましい。この場合、高周波変流器または高周波電流プロ
ーブの検出部は、NiFe/SiO2 、CoZrNb/
SiO2 或いはCoFe/SiO2 の磁性薄膜から構成
することが一層好ましい構成である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施例につ
いて図1ないし図6を参照しながら説明する。この第1
の実施例においては、運転電圧400Vrms の低圧三相
誘導電動機(4P−2.2kw)の固定子巻線を診断す
るようにしている。まず、上記三相誘導電動機の固定子
を示す図2において、固定子21の固定子鉄心22に
は、多数のスロット溝23が形成されている。また、固
定子21の巻線24は、マグネットワイヤを巻回して構
成されており、固定子鉄心22のスロット溝23内にス
ロット絶縁紙25を介して挿入されている。尚、スロッ
ト絶縁紙25は対地絶縁物である。
【0024】そして、巻線24をスロット溝23内に挿
入した後は、スロット溝23内に楔26を挿入嵌合して
巻線24を固定している。また、巻線24のコイルエン
ド部27における異相間には、絶縁紙28が挿入されて
いる。更に、巻線24のコイルエンド部27は、繊維紐
29により縛り固定されている。そして、このように固
定子鉄心22に巻装された巻線24にはワニス処理が施
されるようになっている。このような構成の巻線24の
ターン絶縁は、高圧三相誘導電動機の固定子巻線に比べ
て、外力により傷付き易い傾向がある。尚、この場合の
外力は、製造時や使用中の点検時に作用する機械的外
力、或いは、苛酷な運転時に発生する振動や機械的応力
等である。
【0025】次に、本実施例の巻線絶縁診断装置につい
て、図1を参照して説明する。この図1に示すように、
巻線24は三相(U、V、W)の巻線30、31、32
を例えばY接続して構成されている。そして、パルス電
源33から導出された2本の電源線34、35のうちの
一方の電源線34は、U相の巻線30の反中性点側の端
子30aに接続されている。上記他方の電源線35は、
アースされている。上記パルス電源33は、直流電源回
路、コンデンサ、抵抗、サイリスタ及び制御回路(いず
れも図示しない)から構成されており、パルス幅が10
μs程度で且つ繰り返し周波数が1kHz程度の繰り返
しパルス電圧を発生する機能を有している。
【0026】また、パルス電源33は、設定された低電
圧値のパルス電圧から設定された設定電圧(例えば50
Vpeak)ずつ設定時間毎に昇圧させていく機能を有して
いる。尚、これら設定低電圧値、設定電圧、設定時間等
を予め設定する操作、並びに、パルス電圧を発生開始さ
せる操作及びパルス電圧の発生を終了させる操作は、パ
ルス電源33に設けられた操作パネルの各種の操作スイ
ッチを操作することにより、実行できるように構成され
ている。また、パルス電源33に対する上記した各操作
は、外部の機器である例えばパーソナルコンピュータ
(以下、パソコンと称す)36から制御信号をパルス電
源33に与えることにより、実行できるように構成され
ている。
【0027】一方、V相の巻線31及びW相の巻線32
の各反中性点側の端子31a及び32aは、接続線37
及び38を介してアースされている。これら接続線37
及び38は、高周波電流検出手段である電流検出器39
の貫通孔39a内に挿通されている。この場合、2本の
接続線37、38に流れる電流の向きが同時刻で打ち消
し合うように、即ち、逆位相(逆方向)となるように上
記2本の接続線37、38を貫通孔39a内に挿入させ
る構成となっている。上記電流検出器39としては、高
周波変流器であるパルス用電流変流器(例えば3dB減
衰周波数40MHz)、或いは、高周波電流プローブ
(例えば3dB減衰周波数120MHz)を使用してお
り、高い周波数まで減衰量が少ない状態で電流を電圧に
変換できる機能を備えた検出器である。
【0028】そして、上記パルス用電流変流器または高
周波電流プローブの検出部である磁心(鉄心)は、Ni
Fe/SiO2 、CoZrNb/SiO2 或いはCoF
e/SiO2 の磁性薄膜から構成することが好ましい。
これらの材質は、数GHz帯まで比透磁率が安定してい
る物質であるから、より一層高い周波数の電流まで正確
に検出できると共に、電流検出器39自体の構成を小形
化することも可能となる。
【0029】また、上記電流検出器39から出力される
電流検出信号は、デジタルオシロスコープ40の第2チ
ャンネルに与えられるように構成されている。そして、
電圧プローブ41(例えば100倍)によりU相の巻線
30の端子30aとアースとの間の電圧を検出し、この
電圧検出信号を上記デジタルオシロスコープ40の第1
チャンネルに与えるように構成されている。上記デジタ
ルオシロスコープ40は、例えば2チャンネル同時に、
400MSでサンプリングする機能を有している。そし
てこの場合、デジタルオシロスコープ40は、第1チャ
ンネル側の信号を内部トリガモードにすることにより、
巻線に印加するパルス電圧波形に同期させた形で電流検
出器39により検出した電流の波形(電流検出信号の波
形)を観測することができるように構成されている。
【0030】そして、上記デジタルオシロスコープ40
には、ディスプレイ40aが設けられており、このディ
スプレイ40aに上記観測した電流波形が表示されるよ
うになっている。また、デジタルオシロスコープ40
は、上記観測した電流波形のデジタルデータである観測
データをGP−IBインターフェース(IEEE−48
8規格)を介して外部の機器であるパソコン36へ送信
することが可能なように構成されている。そして、この
パソコン36は、デジタルオシロスコープ40から与え
られた電流波形の観測データをデータ処理すると共に、
外部記憶装置である例えばハードディスク42に記憶さ
せて保存できるように構成されている。
【0031】次に、上記構成の巻線診断装置により巻線
を診断する場合の動作について、図3ないし図6も参照
して説明する。この場合、前記「発明が解決しようとす
る課題」の欄で説明した3種類の巻線A、B、Cを診断
する場合の動作について説明する。尚、これら巻線A、
B、Cの規定電圧(規定の試験電圧)は1600Vpeak
(Vpeakは波高値)であるとする。この規定電圧の具体
値は、巻線の規格・種類毎に予め設定されている。
【0032】まず、健全な巻線Aを巻線診断装置に図1
に示すように接続する。そして、パルス電源33を、規
定電圧1600Vpeakの1/2の電圧である800Vpe
ak(この電圧を基準電圧と称す)のパルス電圧を発生す
るように設定してから電圧発生開始操作を行う。これに
より、約800Vpeakのパルス電圧が巻線Aの3相のう
ちのU相の巻線30に印加されるようになる。この印加
電圧の波形をデジタルオシロスコープ40により観測す
ると、図3(a)に示すような電圧波形を観測すること
ができる。尚、図3(a)において、縦軸の1目盛りは
200Vを示している。
【0033】そして、上記したパルス電圧の印加状態
で、電流検出器39により検出した電流の波形を、デジ
タルオシロスコープ40により観測すると、図3(b)
に示すような電流波形となり、この電流波形がデジタル
オシロスコープ40のディスプレイ40aに表示される
と共に、上記電流波形の観測データがパソコン36へ送
られるように構成されている。尚、図3(b)におい
て、縦軸の1目盛りは10mAである。
【0034】この場合、電流検出器39により検出した
電流は、V相の巻線31を流れる電流iV とW相の巻線
32を流れる電流iW とが相殺(減算)した電流であ
る。ここで、上記電流iV 及びiW は、U相の巻線30
を流れる電流iU が図1に示すように分かれた電流であ
る。また、このように相殺した電流となる理由は、電流
検出器39の貫通孔39aに2本の接続線37、38を
挿入するに際して、2本の接続線37、38に流れる電
流の向きが同時刻で打ち消し合うように挿入しているた
めである。即ち、電流検出器39の貫通孔39aに挿入
されている2本の接続線37、38に流れる電流の向き
が逆であるため、2つの電流iV 、iW により発生する
磁束が打ち消し合い、検出される電流値が相殺(減算)
されるのでる。
【0035】ここで、三相の巻線30、31、32は同
じ形状(寸法)に作られているため、上記2つの電流i
V 、iW はほぼ等しい電流となり、検出される電流値は
ほぼ零となるはずである。しかし、実際には、各巻線3
0、31、32の電気定数が微妙に相違すると共に、結
線している回路のインピーダンスが異なることから、検
出電流は零になることはなく、図3(b)に示すような
電流波形となる。この電流波形は、印加されたパルス電
圧の波形(図3(a)参照)に同期している。以下、こ
の電流波形、即ち、上記基準電圧を印加したときに電流
検出器39により検出される電流波形を基準波形と呼
ぶ。また、パソコン36は、デジタルオシロスコープ4
0から送られた基準波形のデータをハードディスク42
内に記憶するように構成されている。尚、この記憶され
た基準波形データには検索タグが付されており、必要な
ときにいつでも検索して取り出せるように構成されてい
る。
【0036】次に、巻線のターン絶縁状態を診断するた
めに、巻線に印加するパルス電圧を800Vpeakから5
0Vpeakずつ上昇させる。具体的には、まず、パルス電
源33のパルス電圧を850Vpeakにする。そして、こ
の印加状態で、電流検出器39により検出した電流の波
形を、デジタルオシロスコープ40により観測する。続
いて、デジタルオシロスコープ40により観測した電流
波形データをパソコン36へ送る。
【0037】この後、パソコン36は、ハードディスク
42内に記憶された基準波形データを読出すと共に、次
式で倍率Rを算出する。
【0038】 R=1+(印加電圧−基準電圧)/基準電圧 =1+(850−800)/800 =1.0625 そして、パソコン36は、上記計算した倍率Rを上記読
出した基準波形データに乗ずる。続いて、パソコン36
は、この乗算した波形データと、デジタルオシロスコー
プ40から送られた観測電流波形データとを比較する。
この場合、観測電流波形データの値が、乗算した波形デ
ータの例えば3%以内の値であれば、実用上差障りな
い、即ち、ターン絶縁状態が正常であると判断する。
尚、上記3%という判断値は、巻線の種類に応じて変え
たり、製造ばらつきが大きいタイプの巻線では大きくし
たりする必要がある。
【0039】さて、上記比較処理において、比較結果が
3%以内(正常)であると判断された場合には、パルス
電源33のパルス電圧を更に50Vpeak上昇させて90
0Vpeakにする。そして、上述した電流波形の観測、倍
率Rの算出並びに波形データの比較を繰り返すように構
成されている。以下、比較結果が3%以内(正常)であ
れば、パルス電圧を50Vpeakずつ上昇させて規定電圧
である1600Vpeakまで上昇させて、上述した各処理
を繰り返し行うように構成されている。尚、巻線が健全
な巻線Aであれば、パルス電圧を規定電圧である160
0Vpeakまで上昇させても、比較結果が3%以内(正
常)となり、ターン絶縁状態が正常であることを確認す
ることができる。
【0040】次に、巻線Bを上記巻線診断装置により診
断する場合について説明する。この場合、巻線Aと同様
にして、巻線Bを巻線診断装置に図1に示すように接続
する。そして、パルス電源33を、規定電圧1600V
peakの1/2の電圧である800Vpeakのパルス電圧を
発生するように設定してから電圧発生開始操作を行う。
これにより、約800Vpeakのパルス電圧が巻線Bの3
相のうちのU相の巻線30に印加されるようになる。こ
の印加状態で、印加電圧の波形をデジタルオシロスコー
プ40により観測すると、図4(a)に示すような電圧
波形を観測することができる。また、上記印加状態で、
電流検出器39により検出した電流の波形を、デジタル
オシロスコープ40により観測すると、図4(b)に示
すような電流波形を観測することができる。
【0041】そして、この電流波形の波形データは、パ
ソコン36へ送られるようになっている。続いて、パソ
コン36は、ハードディスク42内に記憶されている基
準波形データ(健全な巻線Aの電流波形のデータであ
り、図3(b)参照)を読出すと共に、この基準波形デ
ータと上記デジタルオシロスコープ40から送られた観
測電流波形データ(図4(b)参照)とを比較する。
【0042】この場合、観測した電流波形は、基準波形
と周期及び電流レベルが異なることから、ターン絶縁が
異常であると判断することができる。ちなみに、巻線B
は、U相の5ターン目と10ターン目の絶縁が完全に短
絡している状態の巻線であるから、上記短絡部分でアー
ク放電が発生し、このために電流波形が図4(b)のよ
うになるのである。
【0043】具体的には、パソコン36は、上記比較を
実行して観測した電流波形と基準波形とが周期及び電流
レベルが異なることを検出すると、巻線のターン絶縁が
異常であることを報知して、例えばパソコン36のディ
スプレイに上記「巻線のターン絶縁が異常である(アー
ク放電が発生している)」というメッセージを表示し
て、診断を終了する(パルス電源33に制御信号を与え
て電圧印加を停止させる)ように構成されている。尚、
診断を行っている操作者は、デジタルオシロスコープ4
0のディスプレイ40aに表示された観測電流波形を視
認することにより、基準波形と周期及び電流レベルが異
なることを認識し、ターン絶縁が異常であると判断する
ことができる。
【0044】ところで、実際の巻線では、ターンが完全
に短絡していることは少なく、ターン絶縁の加工傷がほ
んのわずか離れた状態で存在していることが多い。この
ような巻線を上記巻線診断装置により診断すると、規定
電圧1600Vpeakの1/2の電圧を印加した状態で
は、アーク放電が発生せず、正常であることが多い。こ
のような場合には、巻線に印加するパルス電圧を800
Vpeakから50Vpeakずつ上昇させながら、前述した電
流波形データの比較を行う。すると、ある程度上昇した
電圧で、ターン絶縁の傷部分でアーク放電が発生するよ
うになり、電流検出器39により検出した電流の波形が
図4(b)のようになる。
【0045】これにより、パソコン36は、デジタルオ
シロスコープ40により観測した電流波形と基準波形と
が周期及び電流レベルが異なることを検出するようにな
り、巻線のターン絶縁が異常であることを判断する。そ
して、パソコン36は、そのディスプレイに上記「巻線
のターン絶縁が異常である」というメッセージを表示し
て、診断を終了する。
【0046】この場合、診断を行っている操作者は、あ
る程度上昇した電圧(即ち、ターン絶縁の傷部分でアー
ク放電が発生した電圧)で、デジタルオシロスコープ4
0のディスプレイ40aに表示された観測電流波形が図
4(b)のようになり、これを視認することにより、タ
ーン絶縁が異常であると判断することができる。尚、実
際には、アーク放電が発生したり、発生が止まったりす
ることがあるため、電流波形は図4(b)に示す状態と
図3(b)に示す状態(正常状態)とを交互に繰り返す
こともあり、このような場合も、巻線のターン絶縁が異
常であると判断(診断)することができる。
【0047】次に、巻線Cを上記巻線診断装置により診
断する場合について説明する。この場合、巻線A、Bと
同様にして、巻線Cを巻線診断装置に図1に示すように
接続する。そして、パルス電源33を、規定電圧160
0Vpeakの1/2の電圧である800Vpeakのパルス電
圧を発生するように設定してから電圧発生開始操作を行
う。これにより、約800Vpeakのパルス電圧が巻線C
の3相のうちのU相の巻線30に印加されるようにな
る。この印加状態で、電流検出器39により検出した電
流の波形を、デジタルオシロスコープ40により観測す
ると共に、この電流波形の波形データをパソコン36へ
送る。
【0048】続いて、パソコン36は、ハードディスク
42内に記憶されている基準波形データ(健全な巻線A
の電流波形のデータであり、図3(b)参照)を読出す
と共に、この基準波形データと上記デジタルオシロスコ
ープ40から送られた観測電流波形データとを比較す
る。この場合、巻線Cは、800Vpeak程度の低い電圧
を印加した状態では、異常は発生しないため、両波形デ
ータの相違は3%以内となる。そこで、巻線Cに印加す
るパルス電圧を800Vpeakから50Vpeakずつ上昇さ
せながら、前述した電流波形データの比較を行う。
【0049】すると、ある程度上昇した電圧で、例えば
1100Vpeakのパルス電圧を印加した状態で、デジタ
ルオシロスコープ40により図5(b)に示すような電
流波形を観測するようになる。この電流波形は、基準波
形に印加電圧に対応する倍率Rを乗じた電流波形とほぼ
同じ波形であるが、印加した電圧の最大値に達する付近
の位相に、立上がり時間とパルス幅が短いパルスが重畳
した電流波形である。この重畳しているパルスは、ター
ン絶縁に付いた傷(欠陥部分)にコロナ放電が発生する
ことに起因して流れる電流に対応するパルスである。従
って、上記パルスが電流波形に重畳していることを検出
することにより、コロナ放電が発生したこと、即ち、巻
線Cのターン絶縁が異常であることを検出することがで
きる。
【0050】具体的には、パソコン36は、上記比較を
実行して観測した電流波形に、基準波形に印加電圧に対
応する倍率Rを乗じた電流波形に存在しないパルスが含
まれていることを検出すると、巻線のターン絶縁が異常
であることを報知する。この場合、パソコン36は、例
えばそのディスプレイに上記「巻線のターン絶縁が異常
である(コロナ放電が発生している)」というメッセー
ジを表示して、診断を終了する(パルス電源33に制御
信号を与えて電圧印加を停止させる)ように構成されて
いる。尚、診断を行っている操作者は、デジタルオシロ
スコープ40のディスプレイ40aに表示された観測電
流波形を視認することにより、上記重畳パルスに基づい
てターン絶縁が異常であること(即ち、コロナが発生し
たこと)を判断することができる。
【0051】尚、ここで、巻線Bの異常の場合に観測さ
れる電流波形(図4(b)参照)と、巻線Cの異常の場
合に観測される電流波形(図5(b)参照)とが相違す
る理由を以下説明する。巻線Bの場合は、ターン絶縁の
傷と傷が隣接(近接)しているために、コロナ放電から
アーク放電に直ぐに移行して大きな電流が流れるように
なる。これに対して、巻線Cの場合は、ターン絶縁の傷
と傷が隣接していないことから、コロナ放電が発生して
も、アーク放電が発生することはないため、大きな電流
が流れないためである。
【0052】さて、ここまでは、U相の巻線30を診断
する場合について説明したが、U相に規定電圧(160
0Vpeak)まで印加しても異常を検出しなかった(正常
であった)場合には、V相の巻線31、W相の巻線32
を順次同様にして診断する。具体的には、図6に示すよ
うに、パルス電源33の一方の電源線34と、三相の巻
線30、31、32の反中性点側の各端子との間に切換
スイッチ43を設けると共に、電流検出器39に挿通さ
せた接続線37、38の反アース側の各端子と、三相の
巻線30、31、32の反中性点側の各端子との間に切
換スイッチ44を設ける。
【0053】この場合、切換スイッチ43の共通接点c
に電源線34を接続し、切換スイッチ43の3個の切換
接点U、V、Wに巻線30、31、32の反中性点側の
各端子30a、31a、32aを接続している。そし
て、切換スイッチ44の第1の共通接点c1に接続線3
7を接続し、第2の共通接点c2に接続線38を接続
し、切換スイッチ44の3個の切換接点u、v、wに巻
線30、31、32の反中性点側の各端子30a、31
a、32aを接続している。尚、上記切換スイッチ4
3、44は、IGBT、FET、サイリスタ等の半導体
素子及びこれら素子をオンオフ駆動制御する制御回路か
ら構成されている。そして、各切換スイッチ43、44
は、パソコン36と接続され、該パソコン36により切
換制御可能に構成されていると共に、操作パネルを備
え、この操作パネルに設けられた操作スイッチにより手
動で切換制御できるようにも構成されている。
【0054】上記構成の場合、U相の巻線30を診断す
る場合は、切換スイッチ43の接点(c−U)間をオン
し、切換スイッチ44の接点(c1−v)間及び接点
(c2−w)間をオンした回路状態(図1の回路状態と
同じ)で前述した診断制御を実行する。そして、V相の
巻線31を診断する場合は、切換スイッチ43の接点
(c−V)間をオンし、切換スイッチ44の接点(c1
−u)間及び接点(c2−w)間をオンした回路状態で
前述した診断制御を実行する。また、W相の巻線32を
診断する場合は、切換スイッチ43の接点(c−W)間
をオンし、切換スイッチ44の接点(c1−u)間及び
接点(c2−v)間をオンした回路状態で前述した診断
制御を実行する。
【0055】尚、上述した三相巻線30、31、32の
診断制御は、パソコン36により自動的に実行するよう
にしても良いし、また、操作者(診断者)が手動により
デジタルオシロスコープ40のディスプレイ40aを視
認しながら実行するようにしても良い。
【0056】このような構成の本実施例によれば、2本
の接続線37、38を電流検出器39の貫通孔に挿入す
るに際して、2本の接続線に流れる電流の向きが同時刻
で打ち消し合うように挿入する構成としたので、電流検
出器39及びデジタルオシロスコープ40の高感度機能
を用いて電流を検出することができ、電流検出精度を高
くすることができる。そして、ターン絶縁が完全に短絡
している状態の巻線Bを診断する場合、電流検出器39
により検出した電流の波形は、健全な巻線Aの場合に検
出された電流の波形(基準波形)に比べて周波数が大き
くなるから、ターン絶縁が完全に短絡している状態の巻
線Bの異常を検出することができる。
【0057】また、ターン絶縁は短絡していないが、タ
ーン絶縁に付いた傷によりコロナ開始電圧が基準値より
も低い巻線Cを診断する場合、電流検出器39により検
出した電流の波形は、健全な巻線Aの場合に検出された
電流の波形(基準波形)に対して立上がり時間とパルス
幅が短いパルスが重畳するような波形となるから、上記
コロナが発生するようなターン絶縁状態の巻線の異常を
検出することができる。しかも、この場合、巻線に高い
電圧を印加する必要がないから、巻線の絶縁物がコロナ
によって劣化することがない。
【0058】また、上記実施例の場合、パルス電源33
にパルス電圧を低電圧(例えば規定電圧の1/2の電
圧)から設定電圧50Vpeakずつ昇圧する機能を持たせ
たから、巻線のターン絶縁を診断する場合に、巻線に印
加する電圧を極力低くした状態で。ターン絶縁の異常を
検出することができる。これにより、ターン絶縁が診断
時の電圧印加により劣化することを極力防止することが
できる。
【0059】更に、上記実施例では、電流検出器39に
より検出した電流の波形を観測する高速記録可能なデジ
タルオシロスコープ40を備えると共に、このデジタル
オシロスコープ40を制御すると共にデジタルオシロス
コープ40から出力される電流波形の観測データを入力
するパソコン36を備え、そして、パソコン36によっ
て観測データをデータ処理することにより巻線のターン
絶縁を診断するように構成した。これにより、巻線のタ
ーン絶縁の診断を自動的に行うことができ、診断が大幅
に簡単になる。これは、巻線(電動機や発電機や変圧器
等)の据付現場において、巻線の診断を行う場合、診断
作業が容易になる。
【0060】また、上記実施例では、検査対象の巻線に
印加するパルス電圧をデジタルオシロスコープ40の第
1チャンネルに電圧プローブ41を介して供給すると共
に、電流検出器39から出力される電流検出信号をデジ
タルオシロスコープ40の第2チャンネルに供給して、
パルス電圧に同期させて電流検出信号を観測する構成と
し、そして、パソコン36は、健全な巻線(コロナ放電
が発生しない巻線)に低い電圧のパルス電圧を印加した
状態で高周波電流検出手段により検出した電流の波形を
デジタルオシロスコープにより観測した電流波形を基準
波形として記憶し、この後、診断対象の巻線に印加する
パルス電圧を低い電圧から設定電圧ずつ上昇させた状態
で高周波電流検出手段により検出した電流の波形をデジ
タルオシロスコープにより観測した観測電流波形と、前
記基準波形に印加したパルス電圧の電圧上昇比率を乗じ
て得られた計算電流波形とを比較し、所定以上の相違が
ある場合に巻線がターン絶縁不良であると診断するよう
に構成した。これにより、ターン絶縁不良を自動的に診
断することができる。
【0061】更に、上記実施例では、電流検出器39と
して、高周波変流器または高周波電流プローブを用いた
ので、高周波の電流を正確に検出することができる。特
に、高周波変流器または高周波電流プローブの検出部
を、NiFe/SiO2 、CoZrNb/SiO2 或い
はCoFe/SiO2 の磁性薄膜から構成すると、一層
高い周波数の高周波電流まで正確に検出することができ
る。
【0062】尚、上記実施例では、巻線を診断する場合
に、巻線に印加するパルス電圧を規定電圧の1/2から
50Vpeakずつ上昇させる構成としたが、巻線を製造す
る工場のラインで巻線を検査する場合には、最初から巻
線に規定電圧を(1600Vpeak)を印加して、1回で
ターン絶縁異常があるか否かを検出するように構成して
も良い。この構成の具体的一例として、図7に示す第2
の実施例がある。図7は、パソコン36で実行するプロ
グラムの制御内容を概略的に示すフローチャートであ
る。尚、第2の実施例のハードウエア構成は、第1の実
施例のハードウエア構成と同じである。
【0063】以下、第2の実施例による検査動作につい
て図7に従って説明する。まず、健全な巻線を巻線診断
装置に接続すると共に、パソコン36のキーボードによ
り、パルス電源33の印加開始電圧として基準電圧値
(具体的には、規定電圧の1/2の電圧)を入力する
(ステップS1)。続いて、デジタルオシロスコープ4
0をパルス電源33からのパルス電圧と同期して測定
(観測)可能な状態に設定する(ステップS2)。そし
て、パルス電源33を駆動開始させ、基準電圧のパルス
電圧を発生させて巻線に印加する(ステップS3)。
【0064】この後、デジタルオシロスコープ40を駆
動させて電流検出器39により検出した電流を観測さ
せ、観測データ、即ち、基準電流波形(基準波形)をパ
ソコン36に入力させる(ステップS4)。続いて、パ
ソコン36は基準波形をハードディスク42内に記憶さ
せる(ステップS5)。次に、検査対象の巻線を巻線診
断装置に接続すると共に、パルス電源33の印加開始電
圧として規定電圧(規定の試験電圧)を設定し、パルス
電源33から該規定電圧のパルス電圧を発生させ巻線に
印加する(ステップS6)。
【0065】続いて、デジタルオシロスコープ40を駆
動させて電流検出器39により検出した電流を観測さ
せ、観測データ、即ち、観測電流波形をパソコン36に
入力させる(ステップS7)。そして、パソコン36
は、倍率Rを算出すると共に(ステップS8)、この算
出した倍率Rを基準波形に乗じて推定試験波形を演算す
る(ステップS9)。続いて、パソコン36は、観測電
流波形(測定波形)と推定試験波形とを比較し、「違
い」を求める(ステップS10)。
【0066】次に、上記求めた「違い」が3%以内であ
るか否かを判断する(ステップS11)。ここで、「違
い」が3%以内であれば、ステップS11にて「YE
S」へ進み、パソコン36のディスプレイに正常を表示
すると共に、外部に設けられた正常ランプを点灯し(ス
テップS12)、検査を終了する。一方、「違い」が3
%を越えておれば、コロナが発生していると判断するこ
とができるから、ステップS11にて「NO」へ進み、
パソコン36のディスプレイに異常を表示すると共に、
外部に設けられた異常ランプを点灯し(ステップS1
3)、検査を終了する。従って、上記第2の実施例にお
いても、巻線のターン絶縁状態の異常の有無を速やかに
検査することができる。
【0067】尚、上記第2の実施例では、健全な巻線を
用いて、基準波形を求めるように構成したが、これに限
られるものではない。例えば、診断対象の巻線が前記巻
線Bの異常がないことがわかっている場合には、診断対
象の巻線を用いて、基準波形を求めるように構成しても
良い。このように構成した場合には、最初から診断対象
の巻線を巻線診断装置に接続しておくことができ、前記
ステップS6において診断対象の巻線を接続する作業を
不要にし得る。尚、第1の実施例においても、診断対象
の巻線が前記巻線Bの異常がないことがわかっている場
合には、診断対象の巻線を用いて、基準波形を求めるよ
うに構成しても良い。
【0068】ここで、上記検査方法により巻線に発生す
るコロナ放電を検出できる理由を説明する。即ち、巻線
に発生するコロナ放電の周波数は、数GHzという非常
に高い周波数から数十kHz程度のラジオ周波数までの
周波数のものが含まれていることがわかっている。そし
て、巻線の固体絶縁の間にできた空間で放電(気中放
電)する場合のコロナ放電の周波数は、数GHzから数
百MHzという非常に高い周波数である。この場合、低
い周波数が存在するとしたら、測定回路定数や長い測定
ケーブルが接続されたときのように、非常に大きな静電
容量やインダクタンスのために高周波成分が減衰すると
きである。参考として、油入り変圧器において発生する
放電は、沿面放電が多く、数kHzから数百Hz程度の
周波数のこともあり、ケーブル自身に存在する放電では
数kHz以下になることもある。
【0069】これに対して、上記第2の実施例のような
巻線のライン検査では、ケーブル等がなく、しかも、気
中放電であることから、コロナ放電の周波数は高くな
る。このため、検出電流の高い周波数成分の有無を調べ
ることにより、コロナが発生しているか否かを判断する
ことができるのである。
【0070】図8は本発明の第3の実施例を示すもので
あり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第
1の実施例と同一部分には同一符号を付している。上記
第3の実施例では、3相巻線30、31、32の中性点
を外した状態で、巻線30、31、32のターン絶縁を
診断するように構成している。これ以外の構成は、第1
の実施例の構成と同じである。上記構成の場合、中性点
を外しても巻線30、31、32にパルス電流(高周波
電流)が流れるから、電流検出器39により巻線に流れ
る電流を検出することができ、従って、巻線のターン絶
縁の異常を検出することができる。特に、第3の実施例
の場合、巻線の異相間絶縁の状態も診断することができ
る。
【0071】また、上記各実施例では、電流検出器39
により検出した電流の波形をデジタルオシロスコープ4
0により観測する構成としたが、これに限られるもので
はなく、例えば電流の波形を高速フーリエ変換する高速
フーリエ変換手段(FFT装置)を備え、この高速フー
リエ変換手段により変換された周波数成分に基づいて巻
線のターン絶縁を診断する診断手段を備えるように構成
しても良い。
【0072】具体的には、健全な巻線に予め決められた
試験電圧のパルス電圧を印加し、電流検出器39により
検出した電流の波形を高速フーリエ変換手段により高速
フーリエ変換し、この高速フーリエ変換された周波数の
成分,即ち、基準周波数成分を外部記憶装置に記憶して
おく。次に、診断対象の巻線に上記試験電圧のパルス電
圧を印加し、電流検出器39により検出した電流の波形
を高速フーリエ変換手段により高速フーリエ変換し、こ
の高速フーリエ変換された周波数の成分と、上記基準周
波数成分とを比較する。そして、両者の周波数領域の相
違、具体的には、高い周波数成分の有無に基づいて巻線
のターン絶縁の異常を判断することができる。この構成
の場合、巻線に印加するパルス電圧を規定電圧(予め決
められた試験電圧)よりも低い電圧から設定電圧ずつス
テップアップするように構成しても良い。
【0073】尚、上記構成では、健全な巻線を用いて、
基準周波数成分を求めるように構成したが、これに限ら
れるものではなく、例えば診断対象の巻線が前記巻線B
の異常がないことがわかっている場合には、診断対象の
巻線を用いて基準周波数成分を求めるように構成しても
良い。
【0074】図9は本発明の第4の実施例を示すもので
あり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第
1の実施例と同一部分には同一符号を付している。上記
第4の実施例では、3相巻線のうちの診断対象のU相の
巻線30が複数の部分巻線45a〜45dを直列に接続
して構成されている場合に、これら部分巻線45a〜4
5dのうちの反中性点側の端子30aから1つ目の部分
巻線45aと2つ目の部分巻線45bとを接続するシリ
ーズ接続線46を流れる電流を電流検出器39により検
出するように構成している。この場合、シリーズ接続線
46を電流検出器39の貫通孔39a内に挿通させるよ
うにしている。
【0075】そして、上記構成において例えばU相の巻
線30を診断する場合、第1の実施例とほぼ同様にし
て、パルス電圧をU相の巻線30に印加し、この印加状
態でシリーズ接続線46に流れる電流を電流検出器39
により検出し、この検出電流の波形をデジタルオシロス
コープ40により観測し、この観測した電流波形をパソ
コン36に送り、このパソコン36において上記電流波
形のデータに基づいてU相の巻線30のターン絶縁を診
断するように構成されている。
【0076】具体的には、まず健全な巻線Aを巻線診断
装置に図9に示すように接続する。そして、パルス電源
33を、規定電圧1600Vpeakの1/2の電圧である
800Vpeakのパルス電圧を発生するように設定してか
ら電圧発生開始操作を行う。これにより、約800Vpe
akのパルス電圧が巻線AのU相の巻線30に印加される
ようになる。この印加状態で、電流検出器39により検
出した電流の波形を、デジタルオシロスコープ40によ
り観測すると共に、この電流波形の波形データ、即ち、
基準波形データをパソコン36へ送る。続いて、パソコ
ン36は、上記基準波形データ(健全な巻線Aの電流波
形のデータ)をハードディスク42内に記憶する。
【0077】次に、診断対象の巻線を巻線診断装置に接
続する。そして、パルス電源33を、規定電圧1600
Vpeakの1/2の電圧である800Vpeakのパルス電圧
を発生するように設定してから電圧発生開始操作を行
う。これにより、約800Vpeakのパルス電圧が巻線の
U相の巻線30に印加されるようになる。この印加状態
で、電流検出器39により検出した電流の波形を、デジ
タルオシロスコープ40により観測し、この電流波形の
波形データをパソコン36へ送る。続いて、パソコン3
6は、ハードディスク42内に記憶されている基準波形
データを読出すと共に、この基準波形データと上記デジ
タルオシロスコープ40から送られた観測電流波形デー
タとを比較する。そして、両データの相違に基づいて巻
線のターン絶縁状態の異常の有無を判断するように構成
されている。尚、この場合の判断基準等は第1の実施例
の判断基準とほぼ同じである。
【0078】ここで、異常がない場合には、巻線に印加
するパルス電圧を800Vpeakから50Vpeakずつ上昇
させながら、前述した電流波形データの比較を行い、こ
の比較に基づいて巻線のターン絶縁状態の異常を判断す
るようにしている。これにより、巻線のターン絶縁状態
の異常の有無及び種類等を確実に判断することができ
る。尚、U相の巻線30が正常であった場合には、この
U相の巻線30の診断方法とほぼ同様にしてV相の巻線
31及びW相の巻線32を順次診断するように構成され
ている。また、上述した以外の第4の実施例の構成は、
第1の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、
第4の実施例においても、第1の実施例とほぼ同様な作
用効果を得ることができる。
【0079】ところで、コロナ放電により発生して電流
波形の中に重畳するパルスは、巻線のインダクタンスに
より減衰したり、巻線が持つ対地静電容量のために接地
電流として電流検出器39を通らずに流れたりすること
がある。このため、電流検出器39をコロナの発生する
位置にできる限り近付けて設置すると、上記パルスの検
出精度が高くなる。従って、電流検出器39を設置する
位置は、1つ目の部分巻線45aと2つ目の部分巻線4
5bとの間のシリーズ接続線46に限られるものではな
く、U相巻線30の端子30aに連続する端子線や、2
つ目の部分巻線45bと3つ目の部分巻線45cとの間
のシリーズ接続線や、他のシリーズ接続線であっても良
い。
【0080】尚、U相巻線30の端子30aに高電圧を
印加した場合、電圧はU相巻線30内で均等に分圧する
のではなく、端子30aに近い1つ目の部分巻線45a
に最大約80%程度の電圧が印加するようになっている
ため、該1つ目の部分巻線45aのターン絶縁が電圧的
には最も厳しくなる。このため、上記1つ目の部分巻線
45aの近傍に電流検出器39を配置することが最も好
ましい構成である。
【0081】また、上記第4の実施例では、電流検出器
39を1個配設する構成としたが、これに限られるもの
ではなく、複数個の電流検出器39を配設する構成とし
ても良い。この構成の場合、複数個の電流検出器39か
らの電流検出信号に基づいてコロナに起因するパルスの
減衰度合いや波形の変化を認識することができ、ひいて
は、コロナの発生位置を特定することも可能となる。更
に、上記各実施例では、三相の巻線をY接続する構成に
適用したが、これに代えて、三相の巻線をΔ接続する構
成に適用しても良い。
【0082】
【発明の効果】本発明は、以上の説明から明らかなよう
に、診断対象の1相の巻線にパルス電圧を印加するパル
ス電源と、他の2相の巻線の端子とアースとを接続する
2本の接続線を挿通させる貫通孔を有しこれら2本の接
続線に流れる電流を検出する高周波電流検出手段とを備
え、2本の接続線を高周波電流検出手段の貫通孔に挿入
するに際して、2本の接続線に流れる電流の向きが同時
刻で打ち消し合うように挿入する構成とし、そして、高
周波電流検出手段により検出した電流の波形に基づいて
巻線のターン絶縁状態の異常を診断するように構成した
ので、ターン絶縁が完全に短絡している状態の巻線の異
常、並びに、ターン絶縁は短絡していないが、ターン絶
縁に付いた傷(欠陥部分)によりコロナ開始電圧が基準
値よりも低い巻線の異常を検出することができるという
優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す電気回路図
【図2】固定子の部分斜視図
【図3】(a)は巻線に発生する電圧の波形を示す図、
(b)は電流検出器により検出された電流の波形を示す
【図4】図3相当図
【図5】図3相当図
【図6】電気回路図
【図7】本発明の第2の実施例を示すフローチャート
【図8】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図9】本発明の第4の実施例を示す図1相当図
【図10】従来構成を示す図1相当図
【図11】巻線に発生する電圧の波形を示す図
【図12】図11相当図
【図13】図11相当図
【図14】図11相当図
【図15】図11相当図
【符号の説明】 21は固定子、24は巻線、27はコイルエンド部、3
0、31、32は巻線、30a、31a、32aは端
子、33はパルス電源、34、35は電源線、36はパ
ーソナルコンピュータ、37、38は接続線、39は電
流検出器(高周波電流検出手段)、39aは貫通孔、4
0はデジタルオシロスコープ、40aはディスプレイ、
41は電圧プローブ、42はハードディスク、43、4
4は切換スイッチ、45a〜45dは部分巻線、46は
シリーズ接続線を示す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3相巻線のうちの診断対象の1相の巻線
    にパルス電圧を印加するパルス電源と、 他の2相の巻線の端子とアースとを接続する2本の接続
    線を挿通させる貫通孔を有し、これら2本の接続線に流
    れる電流を検出する高周波電流検出手段とを備え、 前記2本の接続線を前記高周波電流検出手段の貫通孔に
    挿入するに際して、前記2本の接続線に流れる電流の向
    きが同時刻で打ち消し合うように挿入する構成とし、 前記高周波電流検出手段により検出した電流の波形に基
    づいて前記巻線のターン絶縁を診断するように構成した
    ことを特徴とする巻線絶縁診断装置。
  2. 【請求項2】 前記パルス電源は、パルス電圧を低電圧
    から設定電圧ずつ昇圧する機能を有していることを特徴
    とする請求項1記載の巻線絶縁診断装置。
  3. 【請求項3】 前記高周波電流検出手段により検出した
    電流の波形を観測する高速記録可能なデジタルオシロス
    コープを備えると共に、 このデジタルオシロスコープから出力される電流波形の
    観測データを入力するパーソナルコンピュータを備え、 前記パーソナルコンピュータによって前記電流波形のデ
    ータをデータ処理することにより前記巻線のターン絶縁
    を診断するように構成したことを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の巻線絶縁診断装置。
  4. 【請求項4】 前記検査対象の巻線に印加するパルス電
    圧を前記デジタルオシロスコープの第1チャンネルに電
    圧プローブを介して供給すると共に、前記高周波電流検
    出手段から出力される電流検出信号を前記デジタルオシ
    ロスコープの第2チャンネルに供給して、前記パルス電
    圧に同期させて前記電流検出信号を観測する構成とし、 そして、前記パーソナルコンピュータは、健全な巻線に
    規定電圧よりも低い電圧のパルス電圧を印加した状態で
    前記高周波電流検出手段により検出した電流の波形を前
    記デジタルオシロスコープにより観測した電流波形を基
    準波形として記憶し、この後、診断対象の巻線に印加す
    るパルス電圧を前記低い電圧から設定電圧ずつ上昇させ
    た状態で前記高周波電流検出手段により検出した電流の
    波形を前記デジタルオシロスコープにより観測した観測
    電流波形と、前記基準波形に印加したパルス電圧の電圧
    上昇比率を乗じて得られた計算電流波形とを比較し、所
    定以上の相違がある場合に前記巻線がターン絶縁不良で
    あると診断するように構成されていることを特徴とする
    請求項3記載の巻線絶縁診断装置。
  5. 【請求項5】 前記3相巻線の中性点を外した状態で、
    前記巻線のターン絶縁を診断することを特徴とする請求
    項1記載の巻線絶縁診断装置。
  6. 【請求項6】 前記高周波電流検出手段により検出した
    電流の波形を高速フーリエ変換する高速フーリエ変換手
    段と、 前記高速フーリエ変換手段により変換された周波数成分
    に基づいて前記巻線のターン絶縁を診断する診断手段と
    を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の巻線
    絶縁診断装置。
  7. 【請求項7】 前記診断手段は、健全な巻線に規定電圧
    よりも低い電圧のパルス電圧を印加した状態で前記高周
    波電流検出手段により検出した電流を前記高速フーリエ
    変換手段により変換し、この変換した周波数成分を基準
    周波数成分として記憶し、この後、診断対象の巻線に規
    定電圧に上昇させたパルス電圧を印加した状態で前記高
    周波電流検出手段により検出した電流を前記高速フーリ
    エ変換手段により変換し、この変換した周波数成分と前
    記基準周波数成分とを比較し、両者の周波数領域の相違
    に基づいて前記巻線のターン絶縁を診断するように構成
    されていることを特徴とする請求項6記載の巻線絶縁診
    断装置。
  8. 【請求項8】 単相または3相巻線のうちの診断対象の
    1相の巻線にパルス電圧を印加するパルス電源と、 前記診断対象の巻線を構成する複数の部分巻線を接続す
    る接続線に流れる電流を検出する高周波電流検出手段と
    を備え、 前記高周波電流検出手段により検出した電流の波形に基
    づいて前記巻線のターン絶縁を診断するように構成した
    ことを特徴とする巻線絶縁診断装置。
  9. 【請求項9】 前記高周波電流検出手段として、高周波
    変流器または高周波電流プローブを用いることを特徴と
    する請求項1ないし8のいずれかに記載の記載の巻線絶
    縁診断装置。
  10. 【請求項10】 前記高周波変流器または前記高周波電
    流プローブの検出部は、NiFe/SiO2 、CoZr
    Nb/SiO2 或いはCoFe/SiO2 の磁性薄膜か
    ら構成されていることを特徴とする請求項9記載の記載
    の巻線絶縁診断装置。
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