JPH09252786A - プロトン−atpアーゼ遺伝子 - Google Patents
プロトン−atpアーゼ遺伝子Info
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- JPH09252786A JPH09252786A JP8124124A JP12412496A JPH09252786A JP H09252786 A JPH09252786 A JP H09252786A JP 8124124 A JP8124124 A JP 8124124A JP 12412496 A JP12412496 A JP 12412496A JP H09252786 A JPH09252786 A JP H09252786A
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- atpase
- proton
- cell membrane
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 イデユコゴメ(Cyanidium caldarium)
からmRNAを分離し、これをcDNAに変換し、細胞
膜プロトン−ATPアーゼをコードするcDNAを得
る。 【効果】 本酵素の大量生産が可能となり、また、本遺
伝子の導入により耐酸性の形質転換植物の作出が可能と
なる。
からmRNAを分離し、これをcDNAに変換し、細胞
膜プロトン−ATPアーゼをコードするcDNAを得
る。 【効果】 本酵素の大量生産が可能となり、また、本遺
伝子の導入により耐酸性の形質転換植物の作出が可能と
なる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、好酸性の紅藻イデ
ユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼをコードする
遺伝子に関する。更に詳細には、本発明は、イデユコゴ
メが強酸性環境下でも生育できる主要なしくみの一つで
あるプロトンポンプの本体である細胞膜プロトン−AT
PアーゼをコードするcDNA及び、該酵素に関するも
のである。
ユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼをコードする
遺伝子に関する。更に詳細には、本発明は、イデユコゴ
メが強酸性環境下でも生育できる主要なしくみの一つで
あるプロトンポンプの本体である細胞膜プロトン−AT
PアーゼをコードするcDNA及び、該酵素に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】酸性温泉に生息する紅藻イデユコゴメ
(Cyanidium caldarium)は、pH2で最もよく増殖
し、pH0でも生育できる単細胞(直径2〜5μm、球
状)の真核藻である。イデユコゴメが極限酸性環境下で
も生育できる主要なしくみの一つは、強力なプロトンポ
ンプによって細胞内に流入してきたプロトン(H+)を
細胞外にくみだし、細胞内を常に中性pHに維持するこ
とができることである。
(Cyanidium caldarium)は、pH2で最もよく増殖
し、pH0でも生育できる単細胞(直径2〜5μm、球
状)の真核藻である。イデユコゴメが極限酸性環境下で
も生育できる主要なしくみの一つは、強力なプロトンポ
ンプによって細胞内に流入してきたプロトン(H+)を
細胞外にくみだし、細胞内を常に中性pHに維持するこ
とができることである。
【0003】プロトンポンプの本体は、細胞膜に存在す
るプロトン−ATPアーゼ(H+輸送性ATPアーゼ:
Proton−Translocating ATPa
se)である。真核細胞のプロトン−ATPアーゼは、
細胞膜に存在するP−ATPase、ミトコンドリアや
クロロプラストの内膜などに存在するF−ATPas
e、液泡やリソソームなどの膜に存在するV−ATPa
se、の3種類に分類される。イデユコゴメのプロトン
−ATPアーゼは、P−ATPaseに分類され、AT
Pを消費して、プロトン(H+)の能動輸送を行う蛋白
質であるが、その詳細な性質は明らかではない。P−A
TPaseは、膜貫通部分と親水性の頭から成り、その
サブユニットの分子量は約100,000である。
るプロトン−ATPアーゼ(H+輸送性ATPアーゼ:
Proton−Translocating ATPa
se)である。真核細胞のプロトン−ATPアーゼは、
細胞膜に存在するP−ATPase、ミトコンドリアや
クロロプラストの内膜などに存在するF−ATPas
e、液泡やリソソームなどの膜に存在するV−ATPa
se、の3種類に分類される。イデユコゴメのプロトン
−ATPアーゼは、P−ATPaseに分類され、AT
Pを消費して、プロトン(H+)の能動輸送を行う蛋白
質であるが、その詳細な性質は明らかではない。P−A
TPaseは、膜貫通部分と親水性の頭から成り、その
サブユニットの分子量は約100,000である。
【0004】しかしながら、イデユコゴメのプロトン−
ATPアーゼについては、そのアミノ酸配列も明らかに
されていないし、それをコードする遺伝子のクローニン
グに成功した例も報告されていない。
ATPアーゼについては、そのアミノ酸配列も明らかに
されていないし、それをコードする遺伝子のクローニン
グに成功した例も報告されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】プロトンポンプである
プロトン−ATPアーゼの生理作用を研究するために
は、本酵素の大量生産が必要であり、そのためにはプロ
トン−ATPアーゼ遺伝子のクローニングが必要であ
る。また、プロトン−ATPアーゼ遺伝子の導入によっ
て耐酸性の形質転換植物の作出が可能である。そして更
に、消化性潰瘍に有効なプロトンポンプインヒビターの
開発も可能である。
プロトン−ATPアーゼの生理作用を研究するために
は、本酵素の大量生産が必要であり、そのためにはプロ
トン−ATPアーゼ遺伝子のクローニングが必要であ
る。また、プロトン−ATPアーゼ遺伝子の導入によっ
て耐酸性の形質転換植物の作出が可能である。そして更
に、消化性潰瘍に有効なプロトンポンプインヒビターの
開発も可能である。
【0006】このような有用性に鑑み、本発明は、プロ
トン−ATPアーゼをコードする遺伝子のクローニング
及び同酵素の構造解明を目的としてなされたものであ
る。
トン−ATPアーゼをコードする遺伝子のクローニング
及び同酵素の構造解明を目的としてなされたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、本発明者らは各方
面から検討した結果、既知の細胞膜プロトン−ATPア
ーゼのアミノ酸配列における共通配列をもとにして作製
したDNAプローブを用いて、イデユコゴメのプロトン
−ATPアーゼをコードするcDNAをクローン化する
ことに成功した。そして更に、cDNAのヌクレオチド
配列を解析することによって、イデユコゴメのプロトン
−ATPアーゼのアミノ酸配列を明らかにするのに成功
し、ついに本発明の完成に至った。以下、本発明につい
て詳述する。
成するためになされたものであって、本発明者らは各方
面から検討した結果、既知の細胞膜プロトン−ATPア
ーゼのアミノ酸配列における共通配列をもとにして作製
したDNAプローブを用いて、イデユコゴメのプロトン
−ATPアーゼをコードするcDNAをクローン化する
ことに成功した。そして更に、cDNAのヌクレオチド
配列を解析することによって、イデユコゴメのプロトン
−ATPアーゼのアミノ酸配列を明らかにするのに成功
し、ついに本発明の完成に至った。以下、本発明につい
て詳述する。
【0008】本発明にしたがって好酸性の紅藻イデユコ
ゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼをコードするcD
NAのクローニングを行うには、常法にしたがってイデ
ユコゴメのmRNAを抽出した後、このmRNAからリ
バーストランスクリプターゼ反応によりcDNAを合成
し、このcDNAをλファージベクターに組み込み、c
DNAライブラリーを作成する。
ゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼをコードするcD
NAのクローニングを行うには、常法にしたがってイデ
ユコゴメのmRNAを抽出した後、このmRNAからリ
バーストランスクリプターゼ反応によりcDNAを合成
し、このcDNAをλファージベクターに組み込み、c
DNAライブラリーを作成する。
【0009】一方、既知の細胞膜プロトン−ATPアー
ゼのアミノ酸配列における共通配列をもとにし、イデユ
コゴメのmRNAを鋳型にしてPCRを行い、DNAプ
ローブを作成しておく。このDNAプローブを用いて、
cDNAライブラリーのスクリーニングを行う。
ゼのアミノ酸配列における共通配列をもとにし、イデユ
コゴメのmRNAを鋳型にしてPCRを行い、DNAプ
ローブを作成しておく。このDNAプローブを用いて、
cDNAライブラリーのスクリーニングを行う。
【0010】ポジティブクローンの内の1つのλファー
ジDNAをPCRによって増幅し、これをプラスミドベ
クターにサブクローニングし、組換えプラスミドpBI
AA−1を得る。大腸菌JM109にトランスフォーム
し、得られた形質転換体をEscherichia c
oli JM109/pBIAA−1と命名し、これを
工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−
5455として国際寄託した。
ジDNAをPCRによって増幅し、これをプラスミドベ
クターにサブクローニングし、組換えプラスミドpBI
AA−1を得る。大腸菌JM109にトランスフォーム
し、得られた形質転換体をEscherichia c
oli JM109/pBIAA−1と命名し、これを
工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−
5455として国際寄託した。
【0011】組換えプラスミドpBIAA−1を各種制
限酵素で切断して、cDNAの制限酵素地図を作成し、
デレーションミュータントを作成し、cDNAのヌクレ
オチド配列を分析し、イデユコゴメのプロトン−ATP
アーゼのアミノ酸配列を決定する。
限酵素で切断して、cDNAの制限酵素地図を作成し、
デレーションミュータントを作成し、cDNAのヌクレ
オチド配列を分析し、イデユコゴメのプロトン−ATP
アーゼのアミノ酸配列を決定する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明にしたがって、好酸性の紅
藻イデユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼをコー
ドするcDNAをクローニングするには、図1の手順で
行う。すなわち、具体的には次のようにして行えばよ
い。
藻イデユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼをコー
ドするcDNAをクローニングするには、図1の手順で
行う。すなわち、具体的には次のようにして行えばよ
い。
【0013】(1)イデユコゴメの細胞膜プロトン−A
TPアーゼをコードするcDNAの部分断片のクローニ
ング (2)cDNAプローブの作製 (3)イデユコゴメのcDNAライブラリーのスクリー
ニング (4)ポジティブクローンのcDNAのクローニング (5)cDNAの制限酵素地図の作製及びサブクローニ
ング (6)cDNAのヌクレオチド配列の決定
TPアーゼをコードするcDNAの部分断片のクローニ
ング (2)cDNAプローブの作製 (3)イデユコゴメのcDNAライブラリーのスクリー
ニング (4)ポジティブクローンのcDNAのクローニング (5)cDNAの制限酵素地図の作製及びサブクローニ
ング (6)cDNAのヌクレオチド配列の決定
【0014】このようにしてイデユコゴメの細胞膜プロ
トン−ATPアーゼをコードするcDNAの全塩基配列
を決定し、配列表の配列番号1に示した。また本発明に
は、本酵素のアミノ酸配列が変化しないようにcDNA
の塩基配列の一部を塩基の置換、削除、挿入、及び/又
は、転移を行うことによって得られるcDNAも包含さ
れ、また、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列
を有する同酵素も包含される。
トン−ATPアーゼをコードするcDNAの全塩基配列
を決定し、配列表の配列番号1に示した。また本発明に
は、本酵素のアミノ酸配列が変化しないようにcDNA
の塩基配列の一部を塩基の置換、削除、挿入、及び/又
は、転移を行うことによって得られるcDNAも包含さ
れ、また、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列
を有する同酵素も包含される。
【0015】以下、本発明の実施例について述べる。
【0016】
【実施例1】 (1)イデユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼを
コードするcDNAの部分断片のクローニング ●既知の細胞膜プロトン−ATPアーゼのアミノ酸配列
をアライメントすることにより共通配列(図2)を見い
だした。 ●この配列をコードするオリゴヌクレオチド(図3)を
合成した。 ●図3の合成DNAをプライマーとして用い、常法に従
って調製したイデユコゴメのmRNAを鋳型にしてPC
Rを行った。 ●PCR産物をベクターpBluescript II
KS(+)のEcoRI部位へ連結し、E.coli
JM109を形質転換した。 ●PCR産物が連結された組換えプラスミドpBATP
−17を形質転換体から回収した。 ●pBATP−17を鋳型として、DNAシークエンス
を行った結果、連結されたPCR産物は、既知の細胞膜
プロトン−ATPアーゼと相同性があるアミノ酸配列を
コードしていることがわかった(図4)。
コードするcDNAの部分断片のクローニング ●既知の細胞膜プロトン−ATPアーゼのアミノ酸配列
をアライメントすることにより共通配列(図2)を見い
だした。 ●この配列をコードするオリゴヌクレオチド(図3)を
合成した。 ●図3の合成DNAをプライマーとして用い、常法に従
って調製したイデユコゴメのmRNAを鋳型にしてPC
Rを行った。 ●PCR産物をベクターpBluescript II
KS(+)のEcoRI部位へ連結し、E.coli
JM109を形質転換した。 ●PCR産物が連結された組換えプラスミドpBATP
−17を形質転換体から回収した。 ●pBATP−17を鋳型として、DNAシークエンス
を行った結果、連結されたPCR産物は、既知の細胞膜
プロトン−ATPアーゼと相同性があるアミノ酸配列を
コードしていることがわかった(図4)。
【0017】(2)cDNAプローブの作製 ●pBATP−17をEcoRIで処理してcDNA断
片を切り出し、GlassMaxTMDNA Isola
tion Spin Cartridge Syste
m(ライフテックオリエンタル社製)を用いてcDNA
断片を精製した。 ●Random Primers DNA Label
ing System(ライフテックオリエンタル社
製)を用いて、精製cDNA断片を32Pでラベルし、c
DNAプローブを作製した。
片を切り出し、GlassMaxTMDNA Isola
tion Spin Cartridge Syste
m(ライフテックオリエンタル社製)を用いてcDNA
断片を精製した。 ●Random Primers DNA Label
ing System(ライフテックオリエンタル社
製)を用いて、精製cDNA断片を32Pでラベルし、c
DNAプローブを作製した。
【0018】(3)イデユコゴメのcDNAライブラリ
ーのスクリーニング ●イデユコゴメのmRNAから、SUPERSCRIP
TTM LambdaSystem(ライフテックオリエ
ンタル社製)を用いてλgt22AcDNAライブラリ
ーを作製した。 ●既知の方法に従い、cDNAプローブによるプラーク
ハイブリダイゼーションによって、cDNAライブラリ
ーをスクリーニングした。 (i)イデユコゴメcDNAライブラリーをプレーティ
ング細胞(E.coli Y1090)に感染させ、1
50mmプレートにプラークを形成させる。 (ii)1つのプレートから2枚のポジティブチャージド
ナイロンメンブレン(Hybond−N+,Amers
ham社製)にプラークをレプリカして、レプリカフィ
ルターを作製する。 (iii)レプリカフィルターを次の順で処理する。 a)1.5M NaCl,0.5M NaOHの溶液に
7分間浸す。 b)1.5M NaCl,0.5M Tris−HCl
(pH8.0)の溶液に5分間、2回浸す。 c)0.2M Tris−HCl(pH7.5),2×
SSC[20×SSC:175.3g/L NaCl,
88.2g/L sodium citrate, p
H7.0]の溶液に30秒間浸す。 d)ろ紙で水分を除く。 e)UVを5分間照射し、DNAを固定化させる。 (iv)処理されたレプリカフィルターを、6×SSPE
[20×SSPE:175.3g/L NaCl,2
7.6g/L NaH2PO4・H2O,7.4g/L
EDTA,pH7.4]、5×Denhardt溶液
[50×Denhardt溶液:10g/L Fico
ll(Type400;Pharmacia社製)、1
0g/L poly−vinylpyrrolidon
e,10g/L bovine serum albu
min(Fraction−V;Sigma社製)],
10% dextran sulfate,0.5%
(w/v)SDS,100μg/mL変性サケ***DN
A断片から成るプレハイブリダイゼーション溶液に浸
し、42℃で2時間プレハイブリダイゼーションを行
う。 (v)フィルターを、cDNAプローブを加えたプレハ
イブリダイゼーション溶液に浸し、42℃で一晩ハイブ
リダイゼーションを行う。 (vi)フィルターを次の順で処理する。 a)2×SSC溶液で3回洗浄する。 b)2×SSC,0.1%SDSの溶液で、50℃で1
5分間、2回洗浄する。 c)ろ紙で水分を除く。 (vii)オートラジオグラフィを行い、X線フィルムを
現像する。 (viii)X線フィルム上のシグナルとプラークを対応さ
せ、ポジティブクローンを決定する。 (ix)ポジティブクローンのプラークを切取り、SM溶
液[5.8g/L NaCl,2.0g/L MgSO
4・7H2O,50mM Tris−HCl(pH7.
5),0.01%(w/v)gelatin]を1mL
とクロロホルムを20μL加え、ボルテックスして、フ
ァージ溶液を調製する。 (x)上記ファージ溶液を適当に希釈して、プラークを
形成させる。 (xi)以後、(ii)から(viii)の操作を行って、プラ
ークの純化を行う。 ●約100,000個のプラークをスクリーニングした
結果、10個のポジティブクローンが得られた。
ーのスクリーニング ●イデユコゴメのmRNAから、SUPERSCRIP
TTM LambdaSystem(ライフテックオリエ
ンタル社製)を用いてλgt22AcDNAライブラリ
ーを作製した。 ●既知の方法に従い、cDNAプローブによるプラーク
ハイブリダイゼーションによって、cDNAライブラリ
ーをスクリーニングした。 (i)イデユコゴメcDNAライブラリーをプレーティ
ング細胞(E.coli Y1090)に感染させ、1
50mmプレートにプラークを形成させる。 (ii)1つのプレートから2枚のポジティブチャージド
ナイロンメンブレン(Hybond−N+,Amers
ham社製)にプラークをレプリカして、レプリカフィ
ルターを作製する。 (iii)レプリカフィルターを次の順で処理する。 a)1.5M NaCl,0.5M NaOHの溶液に
7分間浸す。 b)1.5M NaCl,0.5M Tris−HCl
(pH8.0)の溶液に5分間、2回浸す。 c)0.2M Tris−HCl(pH7.5),2×
SSC[20×SSC:175.3g/L NaCl,
88.2g/L sodium citrate, p
H7.0]の溶液に30秒間浸す。 d)ろ紙で水分を除く。 e)UVを5分間照射し、DNAを固定化させる。 (iv)処理されたレプリカフィルターを、6×SSPE
[20×SSPE:175.3g/L NaCl,2
7.6g/L NaH2PO4・H2O,7.4g/L
EDTA,pH7.4]、5×Denhardt溶液
[50×Denhardt溶液:10g/L Fico
ll(Type400;Pharmacia社製)、1
0g/L poly−vinylpyrrolidon
e,10g/L bovine serum albu
min(Fraction−V;Sigma社製)],
10% dextran sulfate,0.5%
(w/v)SDS,100μg/mL変性サケ***DN
A断片から成るプレハイブリダイゼーション溶液に浸
し、42℃で2時間プレハイブリダイゼーションを行
う。 (v)フィルターを、cDNAプローブを加えたプレハ
イブリダイゼーション溶液に浸し、42℃で一晩ハイブ
リダイゼーションを行う。 (vi)フィルターを次の順で処理する。 a)2×SSC溶液で3回洗浄する。 b)2×SSC,0.1%SDSの溶液で、50℃で1
5分間、2回洗浄する。 c)ろ紙で水分を除く。 (vii)オートラジオグラフィを行い、X線フィルムを
現像する。 (viii)X線フィルム上のシグナルとプラークを対応さ
せ、ポジティブクローンを決定する。 (ix)ポジティブクローンのプラークを切取り、SM溶
液[5.8g/L NaCl,2.0g/L MgSO
4・7H2O,50mM Tris−HCl(pH7.
5),0.01%(w/v)gelatin]を1mL
とクロロホルムを20μL加え、ボルテックスして、フ
ァージ溶液を調製する。 (x)上記ファージ溶液を適当に希釈して、プラークを
形成させる。 (xi)以後、(ii)から(viii)の操作を行って、プラ
ークの純化を行う。 ●約100,000個のプラークをスクリーニングした
結果、10個のポジティブクローンが得られた。
【0019】(4)ポジティブクローンのcDNAのク
ローニング ●10個のポジティブクローンの内1つのλgt22A
ファージDNAを鋳型にして、λgt11 Forwa
rd Primerとλgt11 Reverse P
rimer(ライフテックオリエンタル社製)を用いて
PCRを行い、ポジティブクローンのcDNAを増幅し
た。 ●増幅したDNAをdG tailし、pBluesc
ript II SK(-)(STRATAGENE社
製)のPstI部位にdC tailしたものにアニー
リングさせて、組換えプラスミドpBIAA−1を得
た。それによって大腸菌を形質転換して、形質転換体E
scherichia coli JM109/pBI
AA−1(FERM BP−5455)を得た。
ローニング ●10個のポジティブクローンの内1つのλgt22A
ファージDNAを鋳型にして、λgt11 Forwa
rd Primerとλgt11 Reverse P
rimer(ライフテックオリエンタル社製)を用いて
PCRを行い、ポジティブクローンのcDNAを増幅し
た。 ●増幅したDNAをdG tailし、pBluesc
ript II SK(-)(STRATAGENE社
製)のPstI部位にdC tailしたものにアニー
リングさせて、組換えプラスミドpBIAA−1を得
た。それによって大腸菌を形質転換して、形質転換体E
scherichia coli JM109/pBI
AA−1(FERM BP−5455)を得た。
【0020】(5)cDNAの制限酵素地図の作製およ
びサブクローニング ●pBIAA−1を各種制限酵素で切断して、cDNA
の制限酵素地図を作製した(図5)。 ●pBIAA−1中のcDNAを制限酵素で処理し、ベ
クターpBluescript II SK(+)へサブ
クローニングした。 ●また、Kilo−Sequence用Deletio
n Kit(宝酒造社製)を用いて、デレーションミュ
ータントの作製を行った。
びサブクローニング ●pBIAA−1を各種制限酵素で切断して、cDNA
の制限酵素地図を作製した(図5)。 ●pBIAA−1中のcDNAを制限酵素で処理し、ベ
クターpBluescript II SK(+)へサブ
クローニングした。 ●また、Kilo−Sequence用Deletio
n Kit(宝酒造社製)を用いて、デレーションミュ
ータントの作製を行った。
【0021】(6)cDNAのヌクレオチド配列の決定 ●図5に従って、cDNAのヌクレオチド配列を分析し
た。 ●ClaIからNotIまでのcDNAの長さは345
1bpで、955のアミノ酸をコードしていた(図6〜
図8)。 ●ヌクレオチド配列から推定されたアミノ酸配列は、ト
マト細胞膜プロトン−ATPアーゼのアミノ酸配列と5
7.2%の相同性があった(図9〜図10)。また、分
子量は約105,000と計算された。これらのことか
ら、クローン化されたcDNAはイデユコゴメの細胞膜
プロトン−ATPアーゼをコードするcDNAであると
結論された。
た。 ●ClaIからNotIまでのcDNAの長さは345
1bpで、955のアミノ酸をコードしていた(図6〜
図8)。 ●ヌクレオチド配列から推定されたアミノ酸配列は、ト
マト細胞膜プロトン−ATPアーゼのアミノ酸配列と5
7.2%の相同性があった(図9〜図10)。また、分
子量は約105,000と計算された。これらのことか
ら、クローン化されたcDNAはイデユコゴメの細胞膜
プロトン−ATPアーゼをコードするcDNAであると
結論された。
【0022】
【発明の効果】本発明によって、イデユコゴメのプロト
ン−ATPアーゼcDNAのクローニングがはじめて可
能となり、その塩基配列が明らかにされ、また同酵素の
アミノ酸配列も明らかにされ、その結果、更に次のよう
な効果が奏される。
ン−ATPアーゼcDNAのクローニングがはじめて可
能となり、その塩基配列が明らかにされ、また同酵素の
アミノ酸配列も明らかにされ、その結果、更に次のよう
な効果が奏される。
【0023】(1)プロトン−ATPアーゼの大量生産 クローン化されたイデユコゴメのプロトン−ATPアー
ゼcDNAを大腸菌、酵母、バキュロウイルスなどに導
入し、本蛋白質の大量生産系を確立することにより、プ
ロトン−ATPアーゼの調製が容易となる。
ゼcDNAを大腸菌、酵母、バキュロウイルスなどに導
入し、本蛋白質の大量生産系を確立することにより、プ
ロトン−ATPアーゼの調製が容易となる。
【0024】(2)耐酸機構の解明 イデユコゴメのプロトン−ATPアーゼcDNAのクロ
ーン化および組換えプロトン−ATPアーゼの調製によ
って、イデユコゴメの耐酸機構の鍵を握るプロトン−A
TPアーゼの生化学的性質、高次構造、機能調節などを
明らかにすることができ、耐酸機構の解明につながる。
ーン化および組換えプロトン−ATPアーゼの調製によ
って、イデユコゴメの耐酸機構の鍵を握るプロトン−A
TPアーゼの生化学的性質、高次構造、機能調節などを
明らかにすることができ、耐酸機構の解明につながる。
【0025】(3)プロトン−ATPアーゼ遺伝子の導
入による耐酸性の形質転換植物の作出プロトン−ATP
アーゼ遺伝子を、酸性pHでは生育できない微生物、藻
類、植物に導入することにより、耐酸性を付与すること
ができる。藻類や植物など光合成生物(独立栄養生物)
を酸性条件下でも生育できるように改変することができ
れば、たとえば、酸性雨によって被害を受けた湖沼や森
林の再生、新たな生態系の構築に有用である。
入による耐酸性の形質転換植物の作出プロトン−ATP
アーゼ遺伝子を、酸性pHでは生育できない微生物、藻
類、植物に導入することにより、耐酸性を付与すること
ができる。藻類や植物など光合成生物(独立栄養生物)
を酸性条件下でも生育できるように改変することができ
れば、たとえば、酸性雨によって被害を受けた湖沼や森
林の再生、新たな生態系の構築に有用である。
【0026】(4)プロトンポンプインヒビターの開発 プロトンインヒビターには、消化性潰瘍の治癒効果があ
ることが知られている。イデユコゴメのプロトン−AT
Pアーゼは新しいプロトンポンプインヒビター(消化性
潰瘍の治療薬)の開発が可能となる。
ることが知られている。イデユコゴメのプロトン−AT
Pアーゼは新しいプロトンポンプインヒビター(消化性
潰瘍の治療薬)の開発が可能となる。
【0027】
【配列表】本発明に係るイデユコゴメの細胞膜プロトン
−ATPアーゼをコードするcDNAの塩基配列及び同
酵素のアミノ酸配列を、下記表1、表2、表3、表4に
示す。
−ATPアーゼをコードするcDNAの塩基配列及び同
酵素のアミノ酸配列を、下記表1、表2、表3、表4に
示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【図1】イデユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼ
のクローニング方法を示す。
のクローニング方法を示す。
【図2】各種の細胞膜プロトン−ATPアーゼのアミノ
酸配列を示す。
酸配列を示す。
【図3】センス及びアンチセンスプライマーを示す。
【図4】PCR産物と他の細胞膜プロトン−ATPアー
ゼのアミノ酸配列の比較を示す。
ゼのアミノ酸配列の比較を示す。
【図5】cDNAの制限酵素地図を示す。
【図6】イデユコゴメの細胞膜プロトン−ATPアーゼ
cDNAの塩基配列とそれにコードされているアミノ酸
配列からなる配列を示す。
cDNAの塩基配列とそれにコードされているアミノ酸
配列からなる配列を示す。
【図7】同配列の続きの配列を示す。
【図8】同配列の続きの配列を示す。
【図9】イデユコゴメとトマトの細胞膜プロトン−AT
Pアーゼのアミノ酸配列の比較を示す。
Pアーゼのアミノ酸配列の比較を示す。
【図10】同配列の続きの比較を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/21 C12R 1:19)
Claims (6)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1に示す細胞膜プロト
ン−ATPアーゼのアミノ酸配列をコードする遺伝子の
cDNA。 - 【請求項2】 細胞膜プロトン−ATPアーゼが紅藻イ
デユコゴメ(Cyanidium caldarium)由来であることを
特徴とする請求項1に記載のcDNA。 - 【請求項3】 該細胞膜プロトン−ATPアーゼのアミ
ノ酸配列が変化しないように請求項1又は2のcDNA
の塩基配列の一部を塩基の置換、削除、挿入、及び/又
は、転移を行うことによって得られるcDNA。 - 【請求項4】 請求項1又は2に記載のcDNAを含ん
だ組換えプラスミド。 - 【請求項5】 請求項4に記載の組換えプラスミドを大
腸菌に移入することによって得られた形質転換体。 - 【請求項6】 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列
で示される細胞膜プロトン−ATPアーゼ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8124124A JPH09252786A (ja) | 1996-03-25 | 1996-03-25 | プロトン−atpアーゼ遺伝子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8124124A JPH09252786A (ja) | 1996-03-25 | 1996-03-25 | プロトン−atpアーゼ遺伝子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09252786A true JPH09252786A (ja) | 1997-09-30 |
Family
ID=14877527
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8124124A Pending JPH09252786A (ja) | 1996-03-25 | 1996-03-25 | プロトン−atpアーゼ遺伝子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09252786A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011052621A1 (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-05 | 学校法人立教学院 | シアニジウム類由来のプロトンatpアーゼ遺伝子を用いた耐性植物体の作出方法及び該遺伝子の用途 |
-
1996
- 1996-03-25 JP JP8124124A patent/JPH09252786A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011052621A1 (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-05 | 学校法人立教学院 | シアニジウム類由来のプロトンatpアーゼ遺伝子を用いた耐性植物体の作出方法及び該遺伝子の用途 |
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