JPH09249959A - オーステナイト系金属に対する浸炭処理方法およびそれによって得られたオーステナイト系金属製品 - Google Patents

オーステナイト系金属に対する浸炭処理方法およびそれによって得られたオーステナイト系金属製品

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JPH09249959A
JPH09249959A JP206997A JP206997A JPH09249959A JP H09249959 A JPH09249959 A JP H09249959A JP 206997 A JP206997 A JP 206997A JP 206997 A JP206997 A JP 206997A JP H09249959 A JPH09249959 A JP H09249959A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】母材強度を劣化させず、しかも母材以上の耐食
性を備えた硬質表面層を形成させるオーステナイト系金
属に対する浸炭処理を可能にする。 【解決手段】浸炭処理に先立って、フッ素系ガス雰囲気
下でオーステナイト系金属を加熱状態で保持し、つい
で、浸炭処理の際の温度を680℃以下の温度に設定し
て浸炭するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーステナイト系
金属に対して浸炭処理を施し、その表面を硬質化する浸
炭処理方法およびそれによって得られたオーステナイト
系金属製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系金属、とくにオーステ
ナイト系ステンレスは、高耐蝕性および高装飾性を有す
るため、最も広く使用されている。例えば、ボルト,ナ
ット,ねじ,ワッシャ,ピン等のファスナー類は、上記
特性に鑑み、オーステナイト系ステンレス材料によって
構成されている。また、食品機械や化学プラント,原子
力分野等の高耐蝕性を要求される分野の機械,設備にお
いては、各種のシャフト類,インペラー,金型,ばね,
チェーン,バルブ部品等,多様な機械部品にステンレス
製品が適用されている。しかしながら、上記のようなオ
ーステナイト系ステンレス製品は、それ自体の材料強度
は、一般の炭素鋼材と異なり、その多くは、最終形状に
仕上げるまでの中間加工工程での強化によって高められ
る。例えば、プレス加工,押し出し成形加工,パンチン
グ加工等によってオーステナイト系ステンレス自体の結
晶構造を緻密化させ、材料強度を向上させることが行わ
れている。このような中間加工工程での材料強度の強化
の程度は、ボルト,ナット等の形状に対する制約や、押
し出し成形加工等における金型コスト等の制約があるこ
とから、おのずと限界が生ずる。したがって、ボルト,
ナット,ねじ等のファスナー類やポンプシャフト,ベア
リング,ばねのような部品に、特別に表面剛性や焼付防
止機能を要求される時には、硬質クロムメッキやNi
−P等の湿式メッキを施したり、物理蒸着(phys
ical vaper depositin,PVD)
等の皮膜コーティングを施したり、窒化のような浸透
硬化処理を施すこと等が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
湿式メッキや、PVD等のような皮膜コーティングにつ
いては、オーステナイト系ステンレス製品の表面に形成
された皮膜の剥離等が生じ、製品寿命が短かくなるとい
う問題を生じる。
【0004】また、窒化のような浸透硬化処理のうち、
窒化処理は、オーステナイト系ステンレス材料の表面か
ら内部に窒素原子を浸透させて、その表面層を硬質窒化
層に形成するという方法である。この方法では、オース
テナイト系ステンレス製品の表面硬度は向上するもの
の、肝心の耐蝕性の低下が生ずるという大きな問題があ
る。そのうえ、ステンレス製品の表面粗度が悪くなった
り、表面が膨れたり、また、磁性を帯びたりするという
難点もある。上記のように、窒化によって耐蝕性の低下
が生ずるのは、窒化硬化層中において、オーステナイト
系ステンレス材料自体が有している含有クロム原子(こ
のクロム原子によって耐蝕性の向上が実現される)が、
窒化により、CrN,Cr2 Nというクロム窒化物とな
って消費され、固溶クロム量が低下することによるもの
と考えられる。また、上記のような窒化物の生成によっ
て、表面が膨れたり、表面粗度が悪くなる等の問題も生
ずる。
【0005】上記浸透硬化処理の他の方法としては、浸
炭法が存在する。しかし、従来の浸炭法は、オーステナ
イト系ステンレス製品の表面を炭素分を含有するガスと
接触させ、表面層中に炭素原子を浸透させ、硬質な浸炭
層を形成するというものである。このような浸炭法にお
いては、炭素原子の浸透性と固溶限度を考慮し、一般に
鉄のA1 変態点である700℃以上の温度で浸炭処理が
行われるが、鉄の再結晶温度をはるかに超えた温度(鉄
の再結晶温度は略450℃)に長時間保持されることと
なり、オーステナイト系ステンレス材料自体の有する強
度が著しく低下するという大きな欠点がある。このよう
な浸炭法は、上記のように、浸炭によって材料自体の強
度がかなり低下するという欠点があることから、元来が
それほど大きな材料硬度を有していないオーステナイト
系ステンレス製品については、その適用が考慮されてい
ない。また、先に述べたように、ボルト,ナット,ねじ
等のファスナー類に対する強度の向上は、上記のように
プレス,押し出し,パンチング等によって行われてい
て、材料全体の強度向上を実現させることによって行わ
れていることから、浸炭法によって表面硬度のみを向上
させるという技術の適用は考慮されていないのが実情で
ある。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、オーステナイト系金属自体の強度を低下させず
に、表面硬度を大幅に向上させ、しかも、オーステナイ
ト系金属自体の優れた耐蝕性が損なわれず、さらに、場
合によっては母材以上の耐蝕性を備えた硬質表面層を形
成することのできるオーステナイト系金属に対する浸炭
処理方法およびそれによって得られたオーステナイト系
金属製品の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、浸炭処理に先立って、フッ素系ガス雰囲
気下でオーステナイト系金属を加熱状態で保持し、つい
で浸炭処理の際の温度を680℃以下の温度に設定して
浸炭処理するオーステナイト系金属に対する浸炭処理方
法を第1の要旨とし、その浸炭処理方法によって得られ
た、表面から10〜70μmの深さの表面層が炭素原子
の侵入によって硬化して浸炭硬化層に形成され、この浸
炭硬化層の硬度がマイクロビッカース硬度で700〜1
050(Hv)に形成され、上記浸炭硬化層が、クロム
炭化物粒子が存在しないオーステナイト相から形成され
ているオーステナイト系金属製品を第2の要旨とする。
【0008】本発明者らは、オーステナイト系金属に対
する表面硬度を向上させるため、一連の研究を重ねる過
程で、浸炭処理に際し、フッ素系ガスで前処理すると、
オーステナイト系ステンレス等のオーステナイト系金属
に対し、鋼のA1 変態点以下の温度での浸炭処理が可能
になるのではないかと着想し、これに基づき一連の研究
を重ねた。この研究の過程で、前記の着想のように、浸
炭処理に先立ち、または、浸炭処理と同時に、フッ素系
ガスで処理すると、従来、不可能視されていた浸炭処理
が可能になるのであり、特に、その浸炭処理の温度も従
来のような700℃以上の温度ではなく680℃以下の
温度、好適には400〜500℃にすると、より効果的
な浸炭が実現できることを見いだした。そして、このよ
うにすることにより、オーステナイト系ステンレス製品
等のオーステナイト系金属製品の表面から10〜70μ
mの深さの表面層が浸炭層に形成され、この浸炭層の硬
度が、マイクロビッカース硬度で520〜1180H
v、好適には、700〜1050Hvに形成され、しか
も、その浸炭層中にクロム炭化物粒子が析出しなくなる
ことを見いだし、本発明に到達した。このようにして得
られた浸炭処理品は、表面層が硬質になっており、しか
もオーステナイト系金属自体の有する耐蝕性は殆ど損な
われていないばかりか、場合によっては、母材以上の高
度の耐蝕性の要求に応えることもできる。また、表面が
膨れたり、表面粗度が悪くなる等の難点もない。
【0009】上記クロム炭化物粒子は、通常、粒径が
0.1〜5μmのものをいうが、これより微細なクロム
炭化物は、上記浸炭層中に含有されていたとしても表面
硬度の向上等の効果の実現には、支障がない。また、上
記浸炭硬化層中の最大炭素濃度を、1.2〜2.6重量
%にした場合には、表面硬度の向上効果が一層大きくな
るうえ、浸炭硬化層が母材以上の耐食性を発揮するよう
になる。また、オーステナイト系金属製品を構成するオ
ーステナイト系ステンレス材料等のオーステナイト系金
属の材質が、ニッケルを10重量%以上または、モリブ
デンを1.5〜6重量%含有する安定形オーステナイト
系ステンレスである場合には、浸炭による耐蝕性が最も
良好になるという効果が得られるようになる。
【0010】また、本発明において、クロム炭化物粒子
が存在しないオーステナイト相とは、炭素原子が母材格
子中に侵入固溶してクロム炭化物を形成せず、母材同様
のオーステナイト相から形成されていることをいう。具
体的には、金属材料の結晶構造解析に普遍的に使用され
るX線回折計(X−Ray Diffract met
er)によって、Cr236 ,Cr7 3 ,Cr3 2
等の結晶質の炭化物が確認できないオーステナイト相を
いう。すなわち、オーステナイト系ステンレスの基相で
あるオーステナイト相(γ−相)は、その結晶構造が面
心立方格子で格子定数がa=3.59Åであることか
ら、X線回折により特定の回折ピークが得られる。これ
に対し、Cr236 は、同じ面心立方格子であっても、
格子定数がa=10.6Åであり、Cr7 3 は、三方
晶で格子定数がa=14.0Å,c=4.53Åであ
り、Cr3 2 は、斜方晶で格子定数がa=5.53
Å,b=2.821Å,c=11.49Åである。この
ため、これらのクロム炭化物は、上記オーステナイト相
とは、結晶構造や格子定数が異なり、上記オーステナイ
ト相で得られる回折ピークとは異なる回折ピークを生じ
る。したがって、浸炭硬化層にクロム炭化物が存在する
と、X線回折によってオーステナイト相単相の場合には
見られないクロム炭化物のピークが現出することにな
る。一方、本発明における浸炭硬化層は、クロム炭化物
が存在せず、炭素原子が侵入固溶して母相のオーステナ
イト相の格子が等方に歪み膨張したオーステナイト相と
なっていることから、X線回折によってもクロム炭化物
のピークが現れない。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて詳しく説明する。
【0012】本発明は、オーステナイト系金属に対し
て、フッ素ガスを用い前処理したのち、浸炭処理を施
す。
【0013】上記オーステナイト系金属としては、オー
ステナイト系ステンレス、例えば鉄分を50重量%(以
下「wt%」と略す)以上含有し、クロム分を10wt
%以上含有するオーステナイト系ステンレス等が挙げら
れる。具体的には、SUS316、SUS304等の1
8−8系ステンレス材や、クロムを23wt%、ニッケ
ルを13wt%含有するオーステナイト系ステンレスで
あるSUS310や309、さらに、クロム含有量が2
3wt%、モリブデンを2wt%含むオーステナイト−
フェライト2相系ステンレス材、モリブデンを1.5〜
6wt%含む安定型オーステナイト系ステンレス等が挙
げられる。さらに、耐熱鋼であるインコロイ(Ni含量
30〜45wt%,Cr10含量wt%以上,残Fe
等)も含まれる。また、上記オーステナイト系金属に
は、ニッケル分45wt%以上、クロム20wt%、鉄
30wt%、その他モリブデン等を含むニッケル基合金
も含まれる。このように、本発明においてオーステナイ
ト系金属とは、常温で実質的(実質的とは、60wt%
以上がオーステナイト相を有することをいう)に、オー
ステナイト相を呈する全ての金属を意味し、従って、ニ
ッケルをオーステナイト安定化元素であるマンガンで置
換したような、Fe−Cr−Mn系金属も含まれる。本
発明では、これらを母材という。
【0014】このようなオーステナイト系金属材料から
形成されるオーステナイト系金属のうち、特に、オース
テナイト系ステンレス材は、ボルト,ナット,ねじ,ワ
ッシャー,ピン等のようなファスナー類等に多く使用さ
れている。本発明において、オーステナイト系ステンレ
ス製品等のオーステナイト系金属製品とは、上記のよう
なファスナー類を含む他、チェーン類,時計のケース,
紡績用の杼(スピンドル)の先端,微細な歯車,ナイフ
等の他、幅広い産業分野で使用されるステンレス材料か
らなる機械部品を含むものとする。
【0015】つぎに、上記のようなオーステナイト系金
属に対し、浸炭処理に先立って、フッ素系ガス雰囲気下
でフッ化処理が行われる。なお、このフッ化処理は、浸
炭処理と同時に行ってもよい。このフッ化処理には、フ
ッ素系ガスが用いられる。上記フッ素系ガスとしては、
NF3 ,BF3 ,CF4 ,HF,SF6 ,C2 6 ,W
6 ,CHF3 ,SiF4 ,ClF3 等からなるフッ素
化合物ガスが挙げられ、これらは、単独でもしくは2種
以上併せて使用される。また、これらのガス以外に、分
子内にフッ素(F)を含む他のフッ素系ガスも上記フッ
素系ガスとして用いることができる。また、このような
フッ素化合物ガスを熱分解装置で熱分解させて生成させ
たF2 ガスや、あらかじめ作られたF2 ガスも上記フッ
素系ガスとして用いることができる。このようなフッ素
化合物ガスとF2 ガスとは、場合によって混合使用され
る。そして、上記フッ素化合物ガス,F2 ガス等のフッ
素系ガスは、それのみで用いることもできるが、通常は
2 ガス等の不活性ガスで希釈されて使用される。この
ような希釈されたガスにおけるフッ素系ガス自身の濃度
は、容量基準で、例えば、10000〜100000p
pmであり、好ましくは20000〜70000pp
m、より好ましくは、30000〜50000ppmで
ある。このフッ素系ガスとして最も実用性を備えている
のはNF3 である。上記NF3 は、常温でガス状であ
り、化学的安定性が高く、取扱いが容易である。このよ
うなNF3 ガスは、通常、上記N2 ガスと組み合わせ
て、上記の濃度範囲内で用いられる。
【0016】上記フッ化処理についてより詳しく述べる
と、本発明では、まず、炉内にバージン(未処理)のオ
ーステナイト系金属を入れ、上記濃度のフッ素系ガス雰
囲気下に、加熱状態で保持し、フッ化処理する。この場
合、加熱保持は、オーステナイト系金属自体を、例え
ば、250〜600℃、好適には、280〜450℃の
温度に保持することによって行われる。上記フッ素系ガ
ス雰囲気中での上記オーステナイト系金属の保持時間
は、通常は、10数分〜数十分に設定される。オーステ
ナイト系金属をこのようなフッ素系ガス雰囲気下で処理
することにより、オーステナイト系金属の表面に形成さ
れた、Cr2 3 を含む不働態皮膜がフッ化膜に変化す
る。このフッ化膜は、上記不働態皮膜に比べ、浸炭に用
いる炭素原子の浸透を容易にすると予想され、オーステ
ナイト系金属の表面は、上記フッ化処理によって「C」
原子の浸透の容易な表面状態になるものと推測される。
【0017】つぎに、上記のようなフッ素処理を行った
後、浸炭処理を行う。浸炭処理は上記オーステナイト系
金属自体を680℃以下の温度、好適には600℃以下
の温度、より好適には400〜500℃の温度に加熱
し、CO+H2 混合ガスからなる浸炭用ガス、または、
RX〔RXの成分は、CO:23容量%(以下「vol
%」と略す)+CO2 :1vol%+H2 :31vol
%+H2 O:1vol%+残部N2 〕+CO2 混合ガス
からなる浸炭用ガス等を用い、炉内を浸炭用ガス雰囲気
にして行われる。このように、本発明では、浸炭処理を
オーステナイト系金属の芯部の軟化・溶体化を生起させ
ない低温で行うのであり、これが最大の特徴である。こ
の場合、上記CO+H2 混合ガスの比率は、COが2〜
10vol%、H2 が30〜40vol%が好ましく、
RX+CO2 混合ガスの比率は、RXが80〜90vo
l%、CO2 が3〜7vol%の割合が好ましい。ま
た、浸炭に用いるガスは、CO+CO2 +H2 混合ガス
も用いられる。この場合、それぞれの比率は、COが3
2〜43vol%、CO2 が2〜3vol%、H2 が5
5〜65vol%の割合が好適である。
【0018】このように処理することにより、オーステ
ナイト系金属の表面に「炭素」の拡散浸透層が深く均一
に形成される。この浸透層は、基相であるγ−相中に、
多量のCが溶解して格子歪を起こした形態となってお
り、母材に比べて著しく硬度の向上を実現し、しかも耐
蝕性も母材と同程度以上を保持している。例えば、代表
的なオーステナイト系ステンレスであるSUS316板
片をサンプルとし、これを炉内に入れ、NF3 +N
2 (NF3 10vol%、N2 90vol%)のフッ素
系ガス雰囲気下において、300℃で40分間フッ化処
理し、ついで、上記フッ素系ガスを炉から排出したの
ち、浸炭用ガスであるCO+CO2 +H2 混合ガス(C
O:32vol%+CO2 :3vol%+H2 :65v
ol%)を炉内に導入し、450℃で16時間保持し、
浸炭処理した。その結果、SUS316板材の表面に、
表面硬度Hv=880(芯部230〜240)、深さ2
0μmの硬化層が形成された。この硬化サンプルをJI
S 2371の塩水噴霧試験に供したところ、480時
間を越えても全く発錆しなかった。また、上記硬化層
は、ステンレス組織の耐腐食試験に用いられるビルラ試
薬(酸性ピクリン酸アルコール溶液)でもエッチングさ
れず、王水によってかろうじてエッチングされた。ま
た、上記硬化サンプルは、表面粗度もほとんど悪化せ
ず、膨れによる寸法変化ならびに磁性も生じていなかっ
た。そして、本発明者らは、オーステナイト系金属片の
種類、浸炭処理温度等を種々に組み合わせてさらに研究
を重ねた結果、浸炭処理温度が680℃を越えると、オ
ーステナイト系金属の芯部の軟化が生じやすくなるこ
と、硬化層の耐蝕性が大幅に低下することを突き止め
た。耐蝕性の見地からいえば、特に浸炭処理温度は60
0℃以下、好適には500℃以下に設定すると好結果が
もたらされる。より好ましい浸炭処理温度は、先に述べ
たように、400〜500℃である。また、本発明者ら
の研究の結果、オーステナイト系金属の中でも、ニッケ
ルを多量に含む安定型オーステナイト系ステンレス、も
しくは、モリブデンを1.5〜6重量%含有する安定型
オーステナイト系ステンレスであれば、特に耐蝕性が良
好になり、さらに、最も代表的なステンレスであるSU
S304系材料よりなる製品では、冷間加工度の低い材
料ほど耐蝕性が良好となる点も確認された。
【0019】上記のようなフッ化処理および浸炭処理
は、例えば、図1に示すような金属製のマッフル炉で行
われる。すなわち、このマッフル炉内において、まずフ
ッ化処理をし、ついで浸炭処理を行う。図1において、
1がマッフル炉、2はその外殻、3がヒータ、4は内容
器、5はガス導入管、6は排気管、7はモーター、8は
ファン、11は金網製のかご、13は真空ポンプ、14
は排ガス処理装置、15,16はボンベ、17は流量
計、18はバルブである。この炉1内に、例えばオース
テナイト系ステンレス製品10を入れ、ボンベ16を流
路に接続しNF3 等のフッ素系ガスを炉1内に導入して
加熱しながらフッ化処理をし、ついで排気管6からその
ガスを真空ポンプ13の作用で引き出し排ガス処理装置
14内で無毒化して外部に放出する。つぎに、ボンベ1
5を流路に接続し炉1内に先に述べた浸炭用ガスを導入
して浸炭処理を行い、その後、排気管6、排ガス処理装
置14を経由してガスを外部に排出する。この一連の作
業によりフッ化処理と浸炭処理がなされる。
【0020】本発明では、上記浸炭処理を行ったのちの
製品に対し、酸洗処理を行うこともできる。酸洗処理に
用いる処理液としては、特に限定されるものではなく、
フッ酸,硝酸,塩酸,硫酸等各種のものが用いられる。
これらは、単独で用いてもよいが、例えば、硝酸+フッ
酸,硝酸+塩酸,硫酸+硝酸等の混合液として用いるこ
ともできる。また、これらは常温で用いることもできる
が、高温溶液として用いてもよい。さらに、硝酸,硫酸
等の電解溶液を使用した電解処理を行ってもよい。
【0021】このように、本発明の浸炭処理によれば、
処理品は、オーステナイト系金属自体の高耐蝕性を保持
するのであるが、これは、つぎのような理由によると考
えられる。すなわち、本発明においては、浸炭に先立っ
て、フッ化処理を施すことによって、浸炭処理の際の温
度を680℃以下の低温で行うことが可能となるのであ
るが、このような低温による浸炭処理によって、オース
テナイト系金属内に存在する固溶クロム成分(これが耐
蝕性を発揮する)がCr7 3 やCr236 等の炭化物
として析出しにくくなって、その析出量が低くなり、そ
れによってオーステナイト系金属内に残存する固溶クロ
ム成分が多くなるからと考えられる。これは、SUS3
16材をNF3 :10vol%+N2 :90vol%の
フッ素系ガス雰囲気下300℃で40分フッ化処理した
のち、CO:32vol%+CO 2 :3vol%+
2 :65vol%の浸炭用ガス雰囲気下において60
0℃で4時間浸炭処理したもの(X線回折チャートを図
3に示す)、450℃で16時間浸炭処理したもの(図
2に示すX線回折チャートB)の硬化層のX線回折結果
を、未処理品(図2に示すX線回折チャートA)のそれ
と対照することによってあきらかである。すなわち、図
3に示す600℃での浸炭処理品においては、Cr23
6 のピークがシャープで高い。これは、上記クロム炭化
物が比較的多く析出し、オーステナイト系金属内に残存
する固溶クロム成分が少なくなっていることを意味す
る。これに対して450℃で浸炭処理したもの(図2に
示すB)においては、Cr236 のピークがほとんど認
められないことから、上記炭化物の析出量が著しく少な
く、したがって、オーステナイト系金属内に残存する固
溶クロム成分が多く、耐蝕性が高いものとみられる。
【0022】また、浸炭処理品の硬度の向上は、炭素原
子の浸透によるγ−格子歪み発生に起因することが考え
られる。これは、450℃での浸炭処理品(図2に示す
B)の、X線回折におけるγ−相のピーク位置、および
480℃で浸炭処理後酸洗品(図2に示すX線回折チャ
ートC)のγ−相のピーク位置が、SUS316未処理
品のγ−相のピーク位置よりも低角度側(左側)にシフ
トしていることから、浸炭処理品(図2に示すB,C)
にはγ−格子歪が生じていることが明らかである。な
お、上記X線回折は、RINT1500装置を用い、5
0kV,200mA,Cuターゲット,条件下に行っ
た。
【0023】また、480℃で16時間浸炭処理したも
の(a),450℃で浸炭処理後酸洗したもの(b)、
および600℃で浸炭処理したもの(c)の、浸炭硬化
層中の炭素濃度のEPMA分析結果を図7〜図9に示
す。本発明における代表的な温度範囲である480℃で
浸炭処理したもの(a)〔図7〕および450℃で処理
したもの(b)〔図8〕では、最大炭素濃度は、1.8
〜2.0wt%にも達している。これに対し、600℃
で処理したもの(c)〔図9〕においては、最大炭素濃
度が1.03wt%と低い(最表面のピークは付着物を
感知したものである)。このように、本発明では、浸炭
硬化層の炭素濃度が非常に高いことがもうひとつの特徴
であり、高硬度の浸炭硬化層が形成される一因となって
いる。なお、本発明において形成される浸炭硬化層にお
いて、炭素濃度が最大になるところは、図7〜図9のE
PMA分析結果からも明らかなように最表面である。こ
の表面の最大炭素濃度は、浸炭処理の際の雰囲気ガスの
カーボンポテンシャルによって変化するが、本発明で好
適に実施される温度領域である400〜500℃での処
理によって形成される浸炭硬化層では、最大炭素濃度が
1.2〜2.6wt%の範囲の値をとることが判明して
いる。
【0024】本発明においては、浸炭処理の温度が高く
なり、特に450℃を越えると、たとえわずかでもCr
236 等の炭化物が硬化層の表面に析出するという現象
が生じる。しかし、このような場合でも、その浸炭処理
品をHF−HNO3 ,HCl−HNO3 等の強酸に浸漬
すると、上記析出物が除去され、母材と同等以上の耐蝕
性と、ビッカース硬度Hv=850以上の高い表面硬度
とを保持することができる。図2におけるCは、図2に
おいてAで示すSUS316板材を480℃で浸炭処理
をした後、濃度5vol%HF−15vol%HNO3
の強酸に20分間浸漬した処理品のX線回折チャートで
あり、上記炭化物は全く観察されていない。このように
して、浸炭処理されたオーステナイト系金属、たとえば
オーステナイト系ステンレス製品は、その表面に形成さ
れた浸炭硬化層の表面が浸炭によって黒色になっている
とともに、場合によって、その浸炭硬化層の最表面層が
鉄系内部酸化層になっている。すなわち、このような表
面の内部酸化層は、浸炭の際の雰囲気中に、場合によっ
て、多少酸素原子が存在しており、この酸素原子の存在
により形成されるものである。このような内部酸化層の
除去は、先に述べたように、HF−HNO3 ,HCl−
HNO3 等の強酸に浸漬して、上記析出物を除去するこ
とにより行うことができ、それによって、母材と同等以
上の耐蝕性と、ビッカース硬度Hv=850以上の高い
表面硬度とを保持することができる。そして、上記処理
によって、内部酸化層が除去されたオーステナイト系ス
テンレス製品は、浸炭処理を施す前の光輝状態を示すよ
うになる。これについてより詳しく述べると、浸炭処理
後に、その処理品の表面をよく観察すると、最表層にお
いて、表面から深さ2〜3μmに暗色を呈する層が存在
し、これが鉄の内部酸化層であることがX線回折によっ
て確かめられた。これは、つぎのように考えられる。す
なわち、400〜500℃の範囲でのCOを含む雰囲気
下では、浸炭(2CO→CO2 +C)と同時にFeの酸
化(4CO2 +3Fe→4CO+Fe3 4 )が共存す
る領域であり、このために上記内部酸化層が形成された
ものと考えられる。このような鉄の内部酸化層は、70
0℃以上の温度で処理する従来の浸炭処理法ではみられ
ないものである。480℃で12時間浸炭処理を行った
SUS316L(C含量0.02wt%,Cr含量1
7.5wt%,Ni含量12.0wt%,Mo=2.0
wt%)系ソケットボルト,ならびにワッシャの例でさ
らに述べると、硬化層深さは30μm、表面硬度はマイ
クロビッカースでHv=910を示した。つぎに、黒色
の、これら浸炭処理品を50℃に加熱した5wt%HF
−25wt%HNO3 溶液に20分間浸漬した後、ソフ
トブラストをかけたところ、ほぼ浸炭処理を施す前の光
輝状態の外観を持つソケットボルトならびにワッシャが
得られた。これをJIS 2371の塩水噴霧試験に供
したところ、2000時間を過ぎても全く発錆しなかっ
た。また、JIS 0578の塩化第二鉄を用いた孔食
試験の結果もほとんど未処理SUS316材と同等であ
った。さらに、480℃で浸炭処理した硬化品の耐蝕性
については、塩水噴霧試験では母材と同等であったが、
有機,無機の耐酸試験並びに生理食塩水に対する溶出試
験では、母材素材以上の耐蝕性が確認された。この理由
については、現状では明らかではないが、表層部に形成
されたC濃化層に由来した、障壁バンドが形成され、金
属イオンの拡散が阻止されているのも一因と見られる。
【0025】なお、上記浸炭硬化層に関してであるが、
500℃以下の低温領域においては、オーステナイト組
織下でのCの拡散速度が相当遅いため、最も硬化層が厚
くなるSUS316L系の場合でも、処理温度490
℃、処理時間12時間で37μmの浸炭硬化層ができる
が、さらに12時間浸炭時間を追加しても、全浸炭硬化
層は、49μmにしかならない。70μmを越える硬化
層深さを得るためには、70時間以上を要することにな
る。おそらく、このような長時間処理は経済性を失うで
あろう。できるだけ深い硬化層を要求されるドリルタッ
ピングの場合でも、40μmの硬化層で2.3tのSP
CC(冷延鋼板)が充分ドリリング可能であり、経済性
を失わない処理時間の範囲で、有用な浸炭硬化層を得る
ことができる。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明は、浸炭処理に先
立って、または、浸炭処理と同時に、フッ素系ガス雰囲
気下でオーステナイト系金属を加熱状態で保持するた
め、浸炭処理の際の温度を680℃以下の低温にするこ
とができる。したがって、オーステナイト系金属自身の
有する耐蝕性、高加工性等を全く損なうことなく、高い
表面硬度を実現することが可能となる。しかも、場合に
よっては、母材以上の高い耐蝕性も得ることができる。
そして、本発明では、浸炭処理によって上記のような表
面硬度を向上させることから、オーステナイト系金属表
面の表面粗度の悪化現象や、膨れに基づく寸法精度の低
下ならびに、オーステナイト系金属自体が磁性を帯びる
等の不都合を全く生じない。
【0027】このようにして得られたオーステナイト系
ステンレス製品等のオーステナイト系金属製品は、オー
ステナイト系金属製品の表面から10〜70μmの深さ
の表面層が、炭素原子の侵入によって硬化して浸炭硬化
層に形成され、この浸炭硬化層の硬度がマイクロビッカ
ース硬度で、520〜1180(Hv)、好適には、7
00〜1050(Hv)に形成されている。しかも、上
記浸炭硬化層中に、クロム炭化物粒子が析出していない
ため、得られる製品は、まったく耐蝕性が劣化しない。
しかも、浸炭硬化層中の最大炭素濃度が1.2〜2.6
重量%である場合には、最表層部のC濃化バンドの形成
により、母材以上の耐蝕性を発揮する。しかも、高い表
面硬度を備えている。そのため、オーステナイト系金属
製品のうち、オーステナイト系ステンレスからなる、ボ
ルト,ナット,ねじ等のファスナー類から、一般産業分
野において使用される、機械部品、すなわち、各種のシ
ャフト類やインペラー,ベアリング,ばね類,バルブ部
品等,多様なステンレス製機械部品に有用である。
【0028】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0029】
【実施例1および比較例1】実施例として、SUS31
6(Cr含量18wt%,Ni含量12wt%,Mo含
量2.5wt%,残部Fe)およびSUS304(Cr
含量18wt%,Ni含量8.5wt%,残部Fe)の
2.5mm厚板片をそれぞれ準備した。また、ニッケル
基材料であるNCF601(Ni含量60wt%,Cr
含量23wt%,Fe含量14wt%)の1mm厚板片
を準備した。比較例として、フェライト系ステンレスで
あるSUS430(C含量0.06wt%,Cr含量1
7.5wt%,残部Fe)および、マルテンサイト系ス
テンレスであるSUS420J 2 (C含量0.32wt
%,Cr含量13wt%,残部Fe)の2.5mm厚板
片をそれぞれ準備した。
【0030】つぎに、これらの材料を、それぞれ図1に
示すマッフル炉1内に入れ、炉1内を充分に真空パージ
した後、300℃に昇温させた。そして、その状態でフ
ッ素系ガス(NF3 :10vol%+N2 :90vol
%)を入れ、炉1内を大気圧と同圧にし、その状態で1
0分間フッ化処理した。つぎに、上記フッ素系ガスを炉
1から排出した後、炉1内を450℃まで加熱し、その
温度を保持した状態で、浸炭用ガス(CO:10vol
%+CO2 :2vol%+H2 :10vol%+残部N
2 )を導入し、16時間保持して浸炭処理した。
【0031】得られたサンプルは、実施例品(SUS3
16,SUS304,NCF601)については、表面
が黒色となっていた。比較例品については、このような
黒色表面化は生じていなかった。つぎに、実施例品につ
いて、上記黒色表面層をこすり落とし、表面硬度,浸炭
硬化層の深さを求めた。なお、比較例品も対照用として
同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】上記表1の結果からあきらかなように、実
施例品は、いずれも浸炭処理により表面硬度が著しく向
上しており、浸炭硬化層も形成されているのに対し、比
較例品ではそのような現象が全くみられないことがわか
る。なお、これら実施例のSUS316,SUS30
4,NCF601の断面の顕微鏡写真を図4,図5,図
6に示す。これらは、光学顕微鏡を用い、倍率600倍
で撮影したものである。これらの図において、図の下側
から生地層,浸炭硬化層,樹脂層(真黒の部分)を示し
ている。なお、上記樹脂層は、試料を樹脂中に埋め込ん
だ状態における埋め込み樹脂からなる層のことである。
【0034】つぎに、上記実施例品について、それぞれ
エメリーペーパーによって研磨光沢をだし、JIS 2
371の塩水噴霧試験(SST)および15wt%HN
3の50℃溶液に浸漬して再度別種の耐蝕性試験を行
うとともに、透磁率も測定した。その結果を、SUS3
16,SUS304,NCF601の未処理品、ならび
にそれらの材料を窒化した窒化品と併せて表2に示し
た。
【0035】
【表2】
【0036】なお、上記SUS316,SUS304,
NCF601において、比較例となる窒化品の製作は、
つぎのようにして行った。すなわち、上記実施例で用い
たのと同様の炉を用い、同様の条件で同様のフッ素系ガ
スを用い40分間フッ化処理した。つぎに、上記フッ素
系ガスを炉内から排出したのち、窒化ガス(NH3 :5
0vol%+N2 :25vol%+H2 :25vol
%)を導入し、炉内を580℃に昇温させ、その状態で
3時間保持して窒化処理した。
【0037】上記表2の結果より、実施例品は、窒化品
よりもSST発錆までの時間が長く、また15wt%H
NO3 浸漬でも変化がなく、窒化品よりも著しく耐蝕性
に優れていることがわかる。また、窒化品が磁性を帯び
ているに対し、実施例品は、磁性を全く帯びないことが
わかる。さらに、実施例品は窒化品に比べてほとんどふ
くれが生じていず、寸法精度が高いこともわかる。
【0038】
【実施例2】SUS316(Cr含量17wt%,Ni
含量13wt%,Mo含量3wt%,残部Fe)線材よ
り圧造成形したM6ボルトと、非磁性ステンレス(Cr
含量17.8wt%,Ni含量11.5wt%,Mn含
量1.4wt%,N含量0.5wt%,残部Fe)線材
より圧造成形したタッピングねじ(直径4mm)ならび
に、実施例1で使用したSUS316板材,SUS30
4板材をサンプルとし、図1に示す炉内に入れ、400
℃に加熱、実施例1と同様にしてフッ化処理した。つぎ
に、浸炭用ガスとの混合ガス(CO:50vol%+H
2 :10vol%+残部N2 )を炉内に導入し、その状
態で32時間保持し、処理した。この場合には、フッ化
処理と浸炭処理とが略同時に行われている。そして、得
られたサンプルをエアブラストにかけ、表面の黒色層
(1〜2μm厚)を除去して表面高度を測定したとこ
ろ、SUS316からなるM6ボルトの硬度はHv=8
20,非磁性タッピングねじの硬度はHv=860,S
US316板材の硬度はHv=780,SUS304板
材の硬度はHv=830で,硬化層の深さは、それぞれ
18μm,19μm,20μm,21μmであった。
【0039】つぎに、上記のようにして得られた実施例
品を15wt%HNO3 の60%溶液に30分浸漬し、
付着鉄分を完全に除去したのち、前記SST試験にか
け、耐蝕性を試験した。その結果、SUS316のボル
ト,非磁性ステンレスねじ,SUS316板材の3者は
480時間を越えても全く発錆しなかった。また、30
4板材については、71時間経過後、かすかに赤く発錆
した。これらの結果から、耐蝕性も前記の実施例と、ほ
ぼ同様に優れた結果が得られることがわかる。
【0040】
【実施例3】実施例1で用いたSUS316板材,SU
S304板材およびNCF601板材を実施例1と同様
の炉に入れ、400℃に昇温し、実施例1で用いたと同
様のフッ素系ガスを導入し、実施例1と同様にしてフッ
化処理した後、各材料を480℃に昇温させ、その状態
で浸炭用ガス(吸熱型発生ガス:RX:30vol%+
CO2 :2.5vol%+N2 :65vol%からなる
混合ガス)を導入した。そして、その状態で12時間保
持した後、取り出した。得られた実施例品の表面には、
実施例1と同様、黒色スケールが付着していた。そこ
で、この黒色スケールを除去するため、強酸浸漬処理を
行った。すなわち、上記強酸(HNO3 :15vol%
+HF:3vol%の混合溶液)の50℃溶液に10分
浸漬したのち、エアブラストに軽くかけた。その結果、
黒色スケールが除去され、未処理品(フッ化処理,浸炭
処理のなされていないもの)と同様の表面外観となっ
た。他方、上記のような強酸浸漬処理を施さず、単にフ
ッ化処理した後、浸炭処理を施した実施例品と上記強酸
浸漬処理を行ったものとを対比し、表面硬度,硬化層の
深さ,およびSST発錆試験を行った。その結果は、表
3のとおりである。
【0041】
【表3】
【0042】上記のように、強酸浸漬処理を施すと、そ
れを施さないものに比べて、耐蝕性が大幅に向上するこ
とがわかる。
【0043】なお、316板材の強酸浸漬処理品につい
て、X線回折処理を行った結果は、図2のCと同様であ
り、図2のCではCr炭化物は全く同定されていない。
また、生地γ−相格子に炭素を多量に含んだことによる
格子歪みの発生によって、γ−相のピーク位置が未処理
材のそれよりかなり低角度側にシフトしており、このこ
とは、大きな格子歪みが発生し、硬化の起源となってい
ることの証となっている。
【0044】
【実施例4】実施例1で用いたSUS316の板材を実
施例1と同様にしてフッ化処理をしたのち、600℃に
昇温させた。つぎに、浸炭用ガス(N2 50vol%+
RX50vol%)を導入し、4時間保持した後、取り
出した。
【0045】この実施例品は、表面硬度Hv=900、
硬化層の深さ35μmであった。つぎに、表面をよく研
磨した後、SST発錆試験に供した。発錆までの時間
は、4時間であり、窒化品に比べ、SST発錆試験の結
果は良好ではあるが、ステンレスの耐蝕性としては不充
分と考えられる。この実施例品のX線回折結果は、図3
と同様であり、Cr炭化物,Mo炭化物のシャープな回
折線が多く認められた。
【0046】
【実施例5】実施例2で用いたSUS316板材からな
るボルトおよび非磁性ステンレスからなるタッピングね
じを用い、実施例3と同様にフッ素系ガスと浸炭用ガス
の混合ガスを用い、フッ化処理と浸炭処理とを同時に行
った。この場合、温度は510℃であり、保持時間は8
時間に変えた。このようにして得られたねじ類の頭部の
表面硬度は、それぞれHv=920とHv=980であ
り、硬化層深さは、それぞれ26μm,28μmであっ
た。
【0047】つぎに、実施例3と同様にして強酸浸漬処
理を施したのち、表面硬度を測定した結果、表面硬度
は、それぞれHv=580,Hv=520と大幅に低下
した。
【0048】この原因は、実施例3の場合よりも浸炭温
度が30℃高くなったことから、表面層側にクロム炭化
物が多く析出し、そのため、耐蝕性劣化部が大きくな
り、その部分が強酸によって浸食除去されたことから、
表面硬度の低下現象が生じたためと予測される。
【0049】
【実施例6】溶体化処理(固溶化処理)を施したもの
と、同程度の芯部硬度(Hv=150〜160)を有す
る複数個のSUS316(Cr含量17.5wt%,N
i含量11wt%,Mo含量2wt%)板片およびSU
S304(C含量0.06wt%,Cr含量17.5w
t%,Ni含量8wt%,残部Fe)板片ならびにSU
S316線材から圧造成形したM6ボルトをそれぞれ複
数個準備した。これら複数個準備したうちの、数個の板
片およびボルトをそれぞれ図1に示す実験炉に入れ、3
20℃に加熱し、その状態でフッ素系ガス(NF3 :1
0vol%+N2:90vol%)を吹込みフッ化処理
した後、同炉から取り出しフッ化サンプルとした。
【0050】つぎに、残りの非フッ化サンプルと、上記
のようにしてフッ化処理されたフッ化サンプルとを一緒
にして再び図1に示す実験炉に入れ460℃に昇温さ
せ、その温度を保持した状態で浸炭用ガス(CO:20
vol%+H2 :75vol%+CO2 :1vol%)
を吹込み12時間保持して浸炭処理した。
【0051】上記のように処理されたサンプルのうち、
フッ化サンプル(実施例品)についてはそれぞれ表面が
黒色を呈していた。これに対しフッ化処理をしていない
非フッ化サンプル(比較例品)に付いては殆ど処理前の
外観,金属光沢を保っていた。つぎに、上記実施例品に
付いて表面硬度を調べたところ、それぞれHv=920
〜1050の表面硬度を示した。また、実施例品の硬化
層の深さはそれぞれ20μm〜25μmであった。他
方、フッ化処理を行わなかった比較例品に付いては、全
く表面硬度の向上は見られなかった。
【0052】
【比較例2】実施例6で用いたSUS316線材を、圧
造成形したM6ボルトを対象とした。このボルトは、そ
の頭部ならびにネジ山部が、それぞれ上記圧造成形によ
り硬度がHv=350〜390に達している。このボル
トをジョブショップ(熱処理受託加工メーカー)におけ
る通常のオールケース型浸炭炉に入れ920℃で60分
の浸炭処理を施した。
【0053】その結果、浸炭処理されたボルトの表面硬
度はHv=580〜620となり硬化層の深さは250
μmとなっていた。しかしながら、ボルトの頭部および
ねじ山部の硬度はHv=230〜250と著しく低下し
ていた。そして、このような浸炭処理のなされたボルト
を塩水噴霧試験に供したところ、6時間で全面に赤錆が
発生した。
【0054】
【実施例7】SUS316L材およびSUS310材
(C含量0.06wt%,Cr含量25wt%,Ni含
量20.5wt%)ならびにXM7材(C含量0.01
wt%,Cr含量18.5wt%,Ni含量9.0wt
%,Cu含量2.5wt%)より圧造したM4ソケット
ボルトならびにSUS304材より成形したM6ボルト
を準備し、いずれも頭部の表面硬度を測定した。SUS
316L製ボルト;Hv=340、SUS310製ボル
ト;Hv=350、XM7製ボルト;Hv=320、S
US304製ボルト;Hv=400であった。つぎに、
これらを図1に示す炉にて350℃に加熱した時点で、
2 +5vol%NF3 混合ガスを15分間導入した
後、N2 ガスのみに切り換え、480℃に昇温した。つ
ぎに、H2 :20vol%+CO:10vol%+CO
2 :1vol%+残部N2 の浸炭性ガスを導入し、その
雰囲気中で15時間保持して取り出した。全サンプルが
黒色を呈していたが、洗浄後、表面硬度と炭化硬化層深
さを測定したところ、SUS316では、表面硬度Hv
=880,硬化層深さ38μm、SUS310では、表
面硬度Hv=920,硬化層深さ30μm、XM7で
は、表面硬度Hv=890,硬化層深さ33μm、SU
S304では、表面硬度Hv=1080,硬化層深さ2
0μmであった。ついで、炭化硬化層の断面を王水で腐
食して顕微鏡観察を行ったところ、SUS304ボルト
は硬化層,未硬化部共に黒色を呈しているのに対し、S
US316およびSUS310からなるボルトは、炭化
硬化層が白色を帯びて明るくなっており、XM7からな
るボルトはややこの二者に比べて暗色を呈していた。
【0055】つぎに、これらのサンプルの全てを、50
℃の5wt%HF−20wt%HNO3 溶液に10分間
浸漬して取り出した。強酸浸漬後の炭化硬化層の状態
は、つぎのとおりであった。SUS316では、表面硬
度Hv=860,硬化層深さ=35μm、SUS310
では、表面硬度Hv=880,硬化層深さ=28μm、
XM7では、表面硬度Hv=650,硬化層深さ=25
μm、SUS304では、表面硬度Hv=450,硬化
層深さ=5μmであった。また、SUS316,SUS
310,XM7の酸浸漬品をJIS 2371の塩水噴
霧試験に供したが、いずれも2000時間を越えても発
錆しなかった。
【0056】
【実施例8】実施例1で使用したSUS316ソケット
ボルトを実施例1で示したと同一のフッ化処理を施した
後、510℃において、H2 :20vol%+CO:1
0vol%+CO2 :1vol%+残部N2 の浸炭性ガ
スで12時間保持して取り出した。頭部の表面硬度はH
v=1020、浸炭硬化層の深さは、45μmであっ
た。つぎに50℃の5wt%HF−28wt%HNO3
溶液に10時間浸漬して取り出し、硬化層状態を調べた
ところ、表面硬度Hv=650で、硬化層は、20μm
と、浸漬前に比べて減少しており、HF−HNO3 溶液
によって、エッチングされていることがわかった。
【0057】
【実施例9】Cu分を2wt%含んだSUS316L線
材から、4ミリ径のドリルタッピングねじ(首下長25
mm)を圧造成形した。これを、実施例1と同様の方法
で、浸炭処理条件のみを、490℃,処理時間16時間
として浸炭処理を施した。その後、処理品を55℃の3
wt%HF−15wt%HNO3 溶液に15時間浸漬
し、さらにショットブラストをかけた。ショットブラス
ト後のものの浸炭硬化層を測定したところ、表面硬度H
v=890,硬化層深さ42μmであった。つぎに、
2.3tのSPCCを準備し、ハンドドライバーで、ド
リリングテストをしたところ、鉄系浸炭品とほぼ同等の
ドリリング性能が得られた。
【0058】
【実施例10】実施例1で使用した316Lソケットボ
ルトと、310ボルトを実施例1と同様な方法でフッ化
処理し、つぎに、430℃まで上昇し、また実施例1と
全く同様の浸炭性ガスを用いて24時間保持し、取り出
した。この時の表面硬度は、316材でHv=720、
310材でHv=780、硬化層厚さは、それぞれ21
μm,16μmであった。
【0059】
【実施例11】SUS316(Cr含量17wt%,N
i含量13.5wt%,Mo含量2.5wt%,C含量
0.07wt%,残部Fe)の圧延板片(2.5t×1
5×15)およびSUS316L(Cr含量17wt
%,Ni含量14wt%,Mo含量2.5wt%,C含
量0.035wt%,残部Fe)の引き抜き線材より加
工したポンプシャフトを複数個準備した。これらの材料
の芯部硬度は、板片でHv=220〜230,シャフト
材でHv=360〜370であった。これらの材料のそ
れぞれの一部を実施例7に示した処理法で浸炭処理を行
い、ついで、55℃の4%HF−15%HNO3 溶液に
20分浸漬して取り出した。その後表面をダイヤモンド
ペーストで研磨仕上げを行った。また、比較例として、
未処理のSUS316の圧延板片およびSUS316L
のシャフト材を同様にダイヤモンドペーストで研磨仕上
げを行い、供試材とした。これらの供試材について、5
0%硫酸,5%塩酸,40%酢酸による耐酸試験を行
い、時間・平方メートル当たりの溶出量を測定した。そ
の結果を下記の表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】上記表4の結果からわかるとおり、上記実
施例11の浸炭処理を行ったSUS316の圧延板片お
よびSUS316Lのシャフト材では、未処理材(すな
わち母材)よりも良好な耐酸性を示した。
【0062】
【実施例12】一般市販のSUS304(Cr含量1
8.5wt%,Ni含量8.5wt%,C含量0.08
wt%,残部Fe)板材の軟質品(母材硬度Hv=17
0〜180)と、SUS316(Cr含量17wt%,
Ni含量13.5wt%,Mo含量2.5wt%,C含
量0.06wt%,残部Fe)板材(母材硬度Hv=2
10〜230)より、それぞれ、2t×10×10のサ
ンプルを複数個準備した。これらの一部を、図1に示す
処理炉において440℃に昇温し、10%NF3 +90
%N2 ガスを25分吹き込んだ。ついで、H2 32vo
l%+CO20vol%+CO2 1vol%+残部N2
の浸炭性ガスを導入し、8時間保持して取り出した。つ
ぎに、55℃の4%HF−15%HNO3 溶液に20分
浸漬し、表面層状況を調査したところ、SUS304板
材で、硬化層深さが8μm,表面硬度がHv=380で
あった。SUS316板材で、硬化層深さが12μm,
表面硬度がHv=550であった。これら浸炭処理品と
未処理品を実施例11と同様に、ダイヤモンドペースト
で研磨仕上げを行ったのち、65℃の15%HNO3
液でパッシベーション処理を施して供試サンプルとし
た。つぎに、生理食塩水(0.9%NaCl,37℃)
を準備し、各サンプルを1週間浸漬して金属イオンの溶
出状況を原子吸光分析により調査した。その結果を下記
の表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】上記表5の結果から明らかなように、未処
理品は、浸炭処理品に比べFeイオンおよびNiイオン
の溶出が多いことがわかる。すなわち、本発明の浸炭処
理により、未処理品(すなわち母材)よりも耐蝕性が向
上することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浸炭処理に用いる炉の構成図である。
【図2】SUS316未処理品,SUS316板材の浸
炭処理を450℃で行った処理品およびUS316板材
の浸炭処理を480℃で行った後、強酸浸漬処理を行っ
た処理品のX線回折チャートである。
【図3】SUS316板材の浸炭処理を600℃で行っ
た処理品のX線回折図である。
【図4】SUS316板材の浸炭を450℃で行った処
理品の断面の顕微鏡写真図である。
【図5】SUS304板材の浸炭を450℃で行った処
理品の断面の顕微鏡写真図である。
【図6】NCF601板材の浸炭を450℃で行った処
理品の断面の顕微鏡写真図である。
【図7】SUS316板材の浸炭処理を480℃で行っ
た処理品のEPMA分析結果である。
【図8】SUS316板材の浸炭処理を450℃で行っ
た処理品のEPMA分析結果である。
【図9】SUS316板材の浸炭処理を600℃で行っ
た処理品のEPMA分析結果である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年1月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸炭処理に先立って、フッ素系ガス雰囲
    気下でオーステナイト系金属を加熱状態で保持し、つい
    で浸炭処理の際の温度を680℃以下の温度に設定して
    浸炭処理することを特徴とするオーステナイト系金属に
    対する浸炭処理方法。
  2. 【請求項2】 浸炭処理の際の温度が、400〜500
    ℃に設定されている請求項1記載のオーステナイト系金
    属に対する浸炭処理方法。
  3. 【請求項3】 フッ素系ガス雰囲気下における上記加熱
    が、オーステナイト系金属を250〜450℃の温度範
    囲にして行われる請求項1または2記載のオーステナイ
    ト系金属に対する浸炭処理方法。
  4. 【請求項4】 浸炭処理ののち、酸洗処理を行う請求項
    1〜3のいずれか一項に記載のオーステナイト系金属に
    対する浸炭処理方法。
  5. 【請求項5】 オーステナイト系金属が、オーステナイ
    ト系ステンレスである請求項1〜4のいずれか一項に記
    載のオーステナイト系金属に対する浸炭処理方法。
  6. 【請求項6】 オーステナイト系金属が、ニッケルを3
    2重量%以上含有するNi基合金である請求項1〜5の
    いずれか一項に記載のオーステナイト系金属に対する浸
    炭処理方法。
  7. 【請求項7】 表面から10〜70μmの深さの表面層
    が炭素原子の侵入によって硬化して浸炭硬化層に形成さ
    れ、この浸炭硬化層の硬度がマイクロビッカース硬度で
    700〜1050(Hv)に形成され、上記浸炭硬化層
    が、クロム炭化物粒子が存在しないオーステナイト相か
    ら形成されていることを特徴とするオーステナイト系金
    属製品。
  8. 【請求項8】 オーステナイト系金属がオーステナイト
    系ステンレスである請求項7に記載のオーステナイト系
    金属製品。
  9. 【請求項9】 硬質表面層をもつオーステナイト系ステ
    ンレス製品の材料が、モリブデンを1.5〜6重量%含
    有する安定形オーステナイト系ステンレスである請求項
    8記載のオーステナイト系金属製品。
  10. 【請求項10】 浸炭硬化層中の最大炭素濃度が1.2
    〜2.6重量%である請求項7〜9のいずれか一項に記
    載のオーステナイト系金属製品。
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