JPH09246067A - シート巻線変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異物の混入防止や除去が容易になり、微小ギ
ャップをなくして信頼性が高く、機器の縮小化が可能な
シート巻線変圧器を提供する。 【解決手段】 シート巻線変圧器の低圧巻線の高圧巻線
側の上端部と高圧巻線の内側の上端部および外側の上端
部に配設された各静電シールド５の上部に、断面が三角
形状のプラスチックスポンジ製のリング６を配設して巻
線部を締め付けることにより、巻線絶縁部９と静電シー
ルド５の間に異物の混入するのを防止するとともに、微
小ギャップをなくし、また異物の除去が容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シート巻線変圧器
に係り、特に、シート巻線変圧器の静電シールド部の構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、シート巻線変圧器は、金属シート
の両端部に絶縁物製のフィラー（金属シートと同一の厚
さ、または同一の厚さに重ねた絶縁物）を配置し、この
金属シートと絶縁シートとを重ねて巻回したシート巻の
低圧巻線と高圧巻線を鉄心脚に巻装し、低圧巻線の高圧
巻線側の上下端部と高圧巻線の内側の上下端部および外
側の上下端部に、それぞれ静電シールドを配設して金属
シート端部の電界を緩和している。

【０００３】図３は従来のシート巻線変圧器の構造を示
す要部断面図で、図３に示すように、鉄心脚１１の外側
の絶縁筒１２に、金属シート１３の両端部に絶縁物製の
フィラー１４を配置し、この金属シート１３と絶縁シー
ト１５とを重ねて巻回して外側に絶縁筒１６を巻き付け
たシート巻の低圧巻線１７が形成されている。この低圧
巻線１７の外側には、絶縁筒１８に、金属シート１９の
両端部に絶縁物製のフィラー２０を配置し、この金属シ
ート１９と絶縁シート２１とを重ねて巻回して外側に絶
縁筒２２を巻き付けた高圧巻線２３が形成されている。

【０００４】低圧巻線１７の高圧巻線側の上下端部にそ
れぞれ静電シールド２４および２５が配設されている。
高圧巻線２３の内側の上下端部にそれぞれ静電シールド
２６および２７が配設され、高圧巻線２３の外側の上下
端部にそれぞれ静電シールド２８および２９が配設され
て、金属シート端部の電界を緩和している。

【０００５】図４は従来のシート巻線変圧器の巻線の構
造の詳細を示す要部断面図で、高圧巻線２３の内側の上
部を示している。図４に示すように、絶縁筒１８に、金
属シート１９の両端部に絶縁物製のフィラー２０を配置
し、この金属シート１９と絶縁シート２１とを重ねて巻
回して高圧巻線２３が形成されている。高圧巻線２３の
内側の上端部には静電シールド２６が配設されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたシ
ート巻線変圧器の巻線の静電シールド部分の構造では、
静電シールドの曲率部とフィラーの間に微小の空隙が形
成される。

【０００７】そこで、鉄心のヨーク積み作業やリード線
の結線作業中に、金属性の微小切粉がこの空隙に入る可
能性が考えられる。通常、これらの作業後には掃除機等
によりこのような切粉は取り除かれるが、この空隙に混
入した異物は取りにくい。

【０００８】絶縁シート２１およびフィラー２０からな
る巻線絶縁物と高電圧部である静電シールド２６の間に
金属性異物３０があると、変圧器の試験や運転中にコロ
ナ放電や絶縁破壊を発生する危険性がある、という問題
点を有していた。

【０００９】本発明は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたもので、異物の混入防止や除去
が容易になり、微小ギャップをなくし、機器の縮小化が
可能なシート巻線変圧器を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明において、上記の
課題を解決するための手段は、低圧巻線の高圧巻線側の
上端部と高圧巻線の内側の上端部および外側の上端部に
配設された各静電シールドの上部に、断面が三角形状の
プラスチックスポンジ製のリングを配設して、巻線のフ
ィラーと絶縁シートからなる巻線絶縁部と静電シールド
の間の空隙を埋めるようにしたものである。

【００１１】このように低圧巻線の高圧巻線側の上端部
と高圧巻線の内側の上端部および外側の上端部に配設さ
れた各静電シールドの上部に、断面が三角形状のプラス
チックスポンジ製のリングを配設することにより、異物
の混入防止や除去が容易になり、微小ギャップをなく
し、機器の縮小化を可能にしたものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態に基づいて説明する。

【００１３】図１は本発明のシート巻線変圧器の実施の
形態の圧縮前の状態を示す要部断面図で、図１に示すよ
うに、金属シート１の両端部に絶縁物製のフィラー２を
配置してこの金属シート１と絶縁シート３とを重ねて巻
回したシート巻きの巻線４の内側または外側の上端部に
配設された静電シールド５の上部に、それぞれ断面が三
角形状のプラスチックスポンジ製のリング６（帯状のも
のを巻き付けて両端を接着してリング状に形成しても良
い）と、その上にプラスチック製（リング６と同一の材
質のものでも良いし、一体のものでも良い）の押さえリ
ング７を配設して、巻線部を締め付ける。８は巻線４の
絶縁筒である。

【００１４】なお、巻線の構造は、図３に示す従来の構
造とほぼ同じで、絶縁筒に、金属シートの両端部に絶縁
物製のフィラーを配置し、この金属シートと絶縁シート
とを重ねて巻回して外側に絶縁筒が配設されたシート巻
の低圧巻線が形成され、この低圧巻線の外側の絶縁筒
に、金属シートの両端部に絶縁物製のフィラーを配置
し、この金属シートと絶縁シートを重ねて巻回して外側
に絶縁筒が配設された高圧巻線が形成されている。そし
て、低圧巻線の高圧巻線側の上下端部にそれぞれ静電シ
ールドが配設されている。

【００１５】また、高圧巻線の内側の上下端部にそれぞ
れ静電シールドが配設され、高圧巻線の外側の上下端部
にそれぞれ静電シールドが配設されて金属シート端部の
電界を緩和している。このように、巻線上部の静電シー
ルドの上部に断面が三角形状のプラスチックスポンジ製
のリング６とプラスチック製の円板状の押さえリング７
を配置するものである。

【００１６】図２は本発明のシート巻線変圧器の実施の
形態の圧縮後の状態を示す要部断面図で、巻線４を締め
付けるために上部より加圧（支持）すると、図２に示す
ように、プラスチックスポンジ製のリング６は圧縮さ
れ、巻線４のフィラー２と絶縁シート３で形成される巻
線絶縁部９と静電シールド５との間の隙間がリング６に
よって埋められるので微小ギャップが無くなり、異物１
０の混入を防止できる。また、仮に異物１０がリング
６、または押さえリング７の上に落ちても、掃除機等に
より除去が容易でき、絶縁の信頼性が向上し機器の小形
化が可能になる。

【００１７】ここで、図１および図２は高圧巻線の内側
の上端部の場合を示しているが、低圧巻線の高圧巻線側
の上端部の場合や高圧巻線の外側の上端部の場合も、ほ
ぼ同様な構造である。

【００１８】

【発明の効果】本発明のシート巻線変圧器は、低圧巻線
の高圧巻線側の上端部と高圧巻線の内側の上端部および
外側の上端部に配設された各静電シールドの上部に、断
面が三角形状のプラスチックスポンジ製のリングを配設
して構成されているので、次に記載する効果を奏する。

【００１９】（１）仮に作業中に異物が生じてもリング
の表面に落下するのみで、掃除機等により容易に異物を
除去できる。

【００２０】（２）最も電圧が高く、電界も大きい静電
シールド表面の異物混入が阻止できることにより、機器
としての信頼性が向上する。

【００２１】（３）さらに、リング材に低誘電率材質の
ものを使用することで、絶縁強度の弱点であった微小ガ
スギャップを無くすことができ、機器の縮小化が可能と
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のシート巻線変圧器の実施の形態の圧縮
前の状態を示す要部断面図。

【図２】本発明のシート巻線変圧器の実施の形態の圧縮
後の状態を示す要部断面図。

【図３】従来のシート巻線変圧器の構造を示す要部断面
図。

【図４】従来のシート巻線変圧器の構造の詳細を示す要
部断面図。

【符号の説明】

１…金属シート ２…フィラー ３…絶縁シート ４…巻線 ５…静電シールド ６…リング ７…押さえリング ８…絶縁筒 ９…巻線絶縁部 １０…異物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属シートの両端部に絶縁物製のフィラ
   ーを配置し、この金属シートと絶縁シートとを重ねて巻
   回したシート巻の低圧巻線と高圧巻線を鉄心脚に巻装
   し、低圧巻線の高圧巻線側の上下端部と高圧巻線の内側
   の上下端部および外側の上下端部に、それぞれ静電シー
   ルドを配設してなるシート巻線変圧器において、前記低
   圧巻線の高圧巻線側の上端部と高圧巻線の内側の上端部
   および外側の上端部に配設された各静電シールドの上部
   に、断面が三角形状のプラスチックスポンジ製のリング
   を配設して巻線部を締め付けたことを特徴とするシート
   巻線変圧器。