JPH09241301A - 寸法安定性の高いセルロース成形体及びその製造法 - Google Patents

寸法安定性の高いセルロース成形体及びその製造法

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JPH09241301A
JPH09241301A JP5194596A JP5194596A JPH09241301A JP H09241301 A JPH09241301 A JP H09241301A JP 5194596 A JP5194596 A JP 5194596A JP 5194596 A JP5194596 A JP 5194596A JP H09241301 A JPH09241301 A JP H09241301A
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cellulose
solution
dispersion
water
temperature
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Tomoko Hongo
智子 本郷
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性の優れたセルロース成形体。 【解決手段】 測定周波数11Hzにおける動的粘弾性測
定によるtanδ−温度(T)吸収曲線において該吸収
曲線の温度範囲175Kから240Kの間に現れるβ分
散ピークの最大値となる温度Tmaxβが200K以上
でかつ、β1 分散とβ2 分散の吸収強度の比が1.05
以上であり糸径方向または膜厚方向の水に対する膨潤の
異方性が1.6以下であるセルロース成形体。この成形
体は、セルロースのジメチルアセトアミド/LiCl溶
液からセルロースを炭化水素類の有機溶媒中で凝固させ
る方法又は成形体をセルロースの銅アンモニア溶液から
セルロースを2.0〜20.0重量%のアンモニア塩化
合物の水溶液若しくは5.0〜2.5重量%NH3
1.0〜9.0重量%NaOH水溶液で凝固させる方法
を含む成形法によって調製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寸法安定性の優れ
たセルロース成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースは繊維、膜、粒子等、様々な
成形体として製造され、その用途分野は多岐にわたって
いる。繊維としては衣類用、膜としては、中空糸状にし
て人工透析、ウイルス除去用途の医療用に粒子としては
医薬品の錠剤等の賦形剤として用いられる。
【0003】セルロースを素材とする成形体は、水に浸
漬すると膨潤し、寸法変化及び構造変化を起こすことが
わかっている。実際には衣料用のセルロース繊維の場合
は、洗濯時の膨潤やその後の乾燥時の収縮による衣料製
品の形態変化が問題となる。その結果、商品展開の可能
な分野が限られているのが現状である。例えば、裏地で
は収縮を抑制するために樹脂加工が不可欠である。ま
た、殆どすべてのアウターやインナーセルロース繊維衣
料製品は、形態変化を顕著に起こし、水による洗濯はで
きず、ドライクリーニングが必須となる。
【0004】膜の場合は、例えばセルロース中空糸透析
膜をモジュールにして透析用途に用いる場合、水浸漬後
の膜厚部の膨潤のために接着部の中空糸の破損、血液流
の滞留による残血や、分離性能の低下という問題があ
る。セルロース中空糸膜は、セルロースの銅アンモニア
溶液を用い円環状の吐出口を有する中空糸製造用ノズル
を用いて押し出し、中空部に非凝固性の溶媒たとえばパ
ークロルエチレンを導入し、外部を5から15重量%濃
度のNaOH水溶液で凝固させ調製する方法(特開昭4
9−134920号公報)が一般的である。セルロース
の銅アンモニア溶液を用いて、非水系凝固剤を用いた中
空糸膜の製造方法としては、5〜10wt%銅安セルロー
ス溶液を10〜70重量%アセトン水溶液を用いて凝固
させる方法(特開昭58−76305号公報)が公知で
ある。一方、再生セルロース繊維は、ビスコース原液
か、セルロースの銅アンモニア溶液を用いて、酸水溶
液、水−酸水溶液凝固を行って工業的にできた。最近、
工業的に衣料用セルロース繊維をN−メチルモルホリン
(NMMO)等の第3級アミンN−オキシド系の溶媒を
セルロースの溶解液として用い、水を用いて凝固させる
セルロース繊維の製造方法が知られている(特開昭54
−43393号公報)。これらの方法によりセルロース
成形体は、いずれにしても、径方向または膜厚方向の水
による寸法変化(以下、膨潤異方性という)が1.6以
上と大きく、改善の余地が大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セルロース
成形体の水浸漬時の構造変化が抑制され、寸法変化の少
ないセルロース成形体及びその製造方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等のセルロース
成形体の構造解析による知見によれば、セルロース成形
体の膨潤異方性(寸法安定性)がセルロースフィルムが
その微細構造の特にOH基が垂直方向に出ている(10
1)面の配向度が高いときに、膨潤異方性が大きくな
り、低いと膨潤異方性が小さくなること、そして更にこ
の現象がセルロースフィルムの非晶領域の構造に係わる
動的粘弾性測定によるtanδ−温度(T)曲線に現れ
るβ分散ピークによって表わされる特定領域の構造とよ
く相関することが判明した。
【0007】本発明者等はこの知見に基いて、tanδ
−温度(T)吸収曲線で現われるβ分散ピークによって
表わされる特定の領域の微細構造を有するセルロース成
形体を選択的に設計することによって、寸法安定性が顕
著に優れるフィルム、繊維等のセルロース成形体を創造
できることを見出した。すなわち本発明は、測定周波数
10Hzにおける動的粘弾性測定によるtanδ−温度
(T)吸収曲線において、該吸収曲線の温度範囲175
Kから240Kの間に現れるβ分散ピークの最大値とな
る温度Tmaxβが200K以上であり、かつ、高温側
に出現するβ1 分散とより低温側に出現するβ2 分散に
おいてtanδの強度比(tanδβ1 /tanδ
β2 )が1.05以上であり、水膨潤時の寸法変化率が
1.6以下であることを特徴とするセルロース成形体で
ある。
【0008】ここにβ1 分散およびβ2 分散とはセルロ
ース成形体の非晶領域のセルロース分子鎖のモビリティ
を表す構造物性パラメーターであって、tanδ−温度
(T)吸収曲線の高温側に現れるβ1 分散に比べて、低
温側に現れるβ2 分散のより小さいセルロース成形体で
は水に対する寸法変化がより小さいセルロース成形体が
得られ、特にβ1 分散強度β2 分散強度比が1.05以
上のとき成形体がフィルム、繊維等形態の如何を問わず
その径方向または膜厚方向の寸法変化率が1.6以下と
小さいセルロース成形体を得ることができる。そして、
この優れて良好な寸法安定性は、フィルム形態で測定さ
れるセルロースの101面の配向度のデータ(0.09
以下)と良好な相関がみとめられた。
【0009】本発明において、寸法変化率は、水膨潤状
態のセルロース成形体(水分含有率10重量%)の寸法
に対する乾燥状態のセルロース成形体(水分含有率10
重量%)における寸法と定義する。寸法変化率が1.6
以下の成形体は、例えば衣料用の繊維にあっては、洗濯
後の乾燥収縮が3%以下といった合繊並みの小さい洗濯
収縮を示すものが得られる。
【0010】本発明でいうtanδ−温度(T)曲線
は、以下に定義する方法、条件で測定されたものであ
る。 〔動的粘弾性測定によるtanδ−温度(T)曲線の解
析〕動的粘弾性測定装置(セイコー電子社製;DMS2
00粘弾性スペクトロメーター)を用い、ドライ窒素気
流下で、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hz、水含
有量10重量%に調整したセルロース成形体を試料と
し、試料長2cmにて測定し、tanδ−温度(T)吸収
曲線を得た。β分散ピークの同定は、以下の様に行う。
温度範囲175Kから240Kにおいてピーク最大値と
なる温度Tmaxβを読みとる。さらに温度範囲207
Kから240Kにおいてβ1 分散吸収ピーク値(tan
δ)を、温度範囲175Kから207Kにおいてβ2
散吸収ピーク値(tanδ)を読みとる。
【0011】例えば、比較例1におけるβ1 分散吸収の
ように明確な山型のピークとして検出されない場合は、
変極点前後の曲線から引いた2つの接線の交点に相当す
る温度位置を吸収ピークとみなす。高温側に出現するβ
1 分散と低温側に出現するβ2 分散においては、それぞ
れセルロース成形体の微細構造の特に非晶域における主
鎖の局所的な回転運動示し、β1 分散は疎水的な領域、
β2 分散は親水的な領域の運動を反映している。
【0012】図1はセルロースフィルムのtanδ−温
度曲線(T)を示す。このtanδ−温度(T)吸収曲
線においてβ分散ピークは、実施例1のβ1 及びβ2
散がそれぞれ223°K及び183°Kに観察されるこ
とが理解できよう。本発明のセルロース成形体は、衣料
用、産業用途に用いられる繊維、透析に用いられる中空
糸、様々な用途に用いられるフィルム類であることがで
きる。
【0013】本発明のセルロース成形体は、任意のセル
ロースを約2〜約10%含むセルロース溶液をドープと
して用い、前記に例示した形態の成形体の成形手段を適
用して成形することができる。本発明の成形体は、非水
系若しくは水系の溶媒によるセルロース溶液又はセルロ
ースの化学反応による溶液、例えば銅アンモニア溶液を
ドープとして用いる紡糸、成膜プロセスを適用するに際
し、吐出又は流延したセルロースの特に凝固過程で、炭
化水素類の有機溶媒を使用するか(製法I)、若しくは
ドープ中の水の拡散を抑制させる凝固系を用いてセルロ
ースを凝固、再生させ(製法II)その後水洗により残余
溶媒成分を除去し乾燥することによって調製される。セ
ルロース成形体の調製プロセスが紡糸による繊維の製造
プロセス、押出製膜、流延式等のプロセスでは、前記の
凝固、再生過程は汎用のプロセスで行われているように
製品の所望物性に応じたドラフトあるいは延伸が同時的
に適用される。
【0014】使用されるセルロースドープとの組合せで
凝固剤、凝固系組成は異なるが、製法Iにあってはドー
プは非水系溶媒によるセルロース溶液例えばセルロース
ジメチルアセトアミドとLiClとの混合物の溶液を用
い、凝固剤はトルエン、ベンゼン等の炭化水素類である
有機溶媒を例示することができる。凝固には例えばジメ
チルアセトアミド(DMAC)と相溶性のある炭化水素
のDMAC:炭化水素=5:95〜100:0の非水性
溶液を用いる。セルロースドープが銅アンモニア溶液の
場合、10〜70重量%アセトン水溶液を用いて凝固さ
せて作成する膜や、ドープがNMMO/水溶液である場
合、水で凝固させて作成した繊維については、実施例に
示した様に寸法変化率が1.6より大きく、凝固剤が水
を含んでいる場合、寸法安定化を実現するためには充分
ではない。凝固剤組成はジメチルアセトアミド等の非水
系溶媒と相溶性のある有機溶媒を5〜100重量%に混
合したものを用いることが望ましい。凝固温度は、凝固
剤の沸点以下とし、その蒸発の抑制下に凝固剤ドープを
接触させることが望ましい。凝固時間は、ドープ組成と
凝固剤との組み合わせによって、充分凝固が起こるまで
の時間を選ばなければならない。ドープは水を含まない
非水系溶媒を用いる方が好ましく、塩化リチウムを含む
ジメチルアセトアミドの非水系セルロース溶液をドープ
として用いる場合、特に優れた寸法安定性を示す成形体
を得ることができる。
【0015】製法IIは、セルロースドープが銅アンモニ
ア溶液である場合、好適な方法である。ドープが接触さ
せられる凝固液は、アンモニア塩化合物((NH4)2
4, (NH4)2 CO3 , NH4 Clの単独)、NH3
/NaOH水溶液を用いる方法や両方法を同時に利用す
る方法等がある。凝固時の温度範囲は、アンモニア化合
物が溶解でき、かつ温度コントロールが容易である範囲
内であればよい。例えば0から60°の温度範囲であ
る。アンモニア化合物を凝固剤として用いる場合、濃度
は2重量%以上20重量%以下であることが望ましい。
2重量%以下では、凝固力が弱く成形体として成形でき
ない。20重量%以上であれば、膜厚方向の寸法変化率
が2.0と大きくなる。この濃度範囲の場合、凝固、再
生後の水分率は60重量%以上と充分に高く、水を充分
凝固液中に残存させたまま、脱銅、脱アンモニアさせた
結果、寸法安定性の高い成形体が得られた。さらに、N
3/NaOH水溶液を凝固剤として用いる場合、1重
量%から15重量%好ましくは1〜9重量%の範囲内に
あるNaOH水溶液に5.0〜25重量%のアンモニア
を添加したものを用いることができる。5.0重量%以
下ではアンモニアの効果が発揮されず、膜厚方向の寸法
変化率が2.0と大きい。25重量%以上であれば凝固
力が弱く成形体を形成できない。この濃度範囲の場合、
凝固、再生後の水分率は60重量%以上と充分に高く、
水を充分凝固体中に残存させたまま、脱銅、脱アンモニ
アさせた結果、寸法安定性の高い成形体が得られた。い
ずれの場合も希硫酸で再生処理を行う。
【0016】セルロースの銅アンモニア溶液を液体凝固
剤と接触させないでセルロースドープ中のアンモニアの
20重量%を蒸散させた後、2重量%硫酸水溶液で再生
処理して、本発明のフィルム等のセルロース成形体を得
ることもできる。このような方法を用いるとき凝固体中
に残存する水の量を60重量%以上に維持して再生する
と、寸法変化が1.6以下の成形体を得ることができ
る。
【0017】
【実施例】次に実施例、比較例を挙げ本発明を更に具体
的に説明する。実施例及び比較例で用いる物性の測定方
法は、以下の通りである。 (1)セルロース成形体の寸法変化率の測定 (イ)断面方向寸法変化率の測定 水分率約10重量%にある乾燥状態のセルロース成形体
を2cmカットし、20℃の水に30分以上浸漬し、膨潤
平衡状態に到達させた。膨潤状態のセルロース成形体表
面に付着している水を濾紙でふきとり、水浸漬前後での
セルロース成形体の膜厚または繊維直径を膜厚計(ハン
デイマノメーター;Mitsutoyo社製)を用いて
測定した。フィルムの膜厚部、繊維の直径の寸法変化率
の計算は、以下の式で行った。
【0018】 膜厚(又は繊維直径)の寸法変化率=Ltw/LtD 但し、乾燥時膜厚さ(又は繊維直径)はLtD(μm)、
湿潤時膜厚さ(又は繊維直径)は、Ltw(μm)で表わ
す。 (ロ)長手方向寸法変化率の測定 水分率約10重量%にある乾燥状態のセルロース成形体
を2cm長にカットし20℃の水に30分以上浸漬し、膨
潤平衡状態に到達させた。膨潤状態のセルロース成形体
表面に付着している水を濾紙でふきとり、水浸漬前後で
のセルロース成形体のフィルム平面の長さ又は繊維軸方
向の長さの測定は物差しを用いて行った。フィルム平面
の長さ又は繊維軸方向の寸法変化率の計算は以下の式で
行う。
【0019】フィルム平面長さ(又は繊維軸方向の長
さ)の寸法変化率=L1W/L1D 但し、乾燥時フィルム平面長さ(又は繊維軸方向の長
さ)はL1D(cm)、湿潤時フィルム平面長さ(又は繊維
軸方向の長さ)はL1W(cm)で表す。 (2)フィルム断面の配向度の測定 水分率約10重量%にある乾燥状態のセルロースフィル
ムを2cm×2mmにカットした。広角X線回折装置(マッ
クサイエンス社製)を用いて、フィルム表面に対し平行
方向と垂直方向にX線を照射し、得られた回折像から、
回折強度曲線を求める。X線を照射の平行方向と垂直方
向の2θ=12°の強度と2θ=20°の強度から、断
面方向の面配向性を算出した。
【0020】
【数1】
【0021】(3)動的粘弾性値の測定 動的粘弾性測定によるtanδ−温度(T)吸収曲線を
動的粘弾性測定装置(セイコー電子社製;DMS200
粘弾性スペクトロメーター)を用い、ドライ窒素気流下
で、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hz、水含有量
10重量%に調製したセルロース成形体を試料とし試料
長2cmにて測定した。tanδ−温度(T)吸収曲線を
得た。β分散ピークの同定は、以下の様に行う。温度範
囲175Kから240Kにおいてピーク最大値となる温
度Tmaxβを読みとる。さらに温度範囲207Kから
240Kにおいて、β1 分散吸収ピーク値(tanδ)
を、温度範囲175Kから207Kにおいてβ2 分散吸
収ピーク値(tanδ)を読みとる。
【0022】例えば、比較例1におけるβ1 分散吸収の
ように明確な山型のピークとして検出されない場合は、
変極点前後の曲線から引いた2つの接線の交点に相当す
る温度位置なら吸収ピークとみなす。β1 分散、β2
散吸収のピーク強度であるtanδ値を読みとり、各分
散ピークに対応してtanδβ2 とtanδβ1 の比を
下記式により算出した。
【0023】β分散のtanδ吸収の強度比=tanδ
β1 /tanδβ2 〔実施例1〕8重量%LiClを添加したDMAC溶液
に3重量%濃度になるようにセルロースリンターを溶解
したセルロース溶液を20cm×20cmのガラス板上に5
00μmの厚さに流延した。それを20℃の50重量%
トルエン溶液中に浸漬して凝固させた。さらに、メタノ
ールで洗浄後、アセトンでメタノールを置換し、濾紙に
はさんで、室温で乾燥フィルムを得た。それを再び水に
浸漬して水膨潤膜とした。乾燥状態と水膨潤状態の平膜
の膜厚部の寸法を測定して寸法変化率を求めた。試料の
構造因子を動的粘弾性測定装置を用いtanδ−温度
(T)吸収曲線決定し解析した。測定及び解析結果を比
較例1〜8の測定、解析結果と対照して表1に示す。 〔比較例1〕銅アンモニア溶液中に8重量%になるよう
にセルロースリンターを溶解したセルロース溶液をガラ
ス板上に厚さ250μmに流延した。その後40℃の温
水中に浸漬し、1分間放置後、20℃の2重量%の硫酸
水溶液中に10分間浸漬して再生し、その後水洗した。
水洗後の平膜をアセトンで水分を置換し、濾紙にはさん
で、20℃で乾燥させた。実施例1に準じ測定した。 〔比較例2〕銅アンモニア溶液中に8重量%になるよう
にセルロースリンターを溶解したセルロース溶液をガラ
ス板上に厚さ250μmに流延した。それを20℃の1
0重量%H2 SO4 水溶液中に1分間浸漬して凝固させ
た。その後、比較例1と同様の方法で乾燥フィルムを得
た。 〔比較例3〕銅アンモニア溶液中に8重量%になるよう
にセルロースリンターを溶解したセルロース溶液をガラ
ス板上に厚さ250μmに流延した。それを30重量%
アセトン水溶液で30分間凝固後、以下比較例1と同様
の方法で乾燥フィルムを得た。 〔比較例4〕セルロース繊維として、セルロース/Na
OH水溶液をノズル0.05mmφ×33ホールで吐出
し、濃度20重量%、温度−7℃の硫酸で凝固させ、延
伸倍率1.25倍、紡糸速度100m/min で巻き取っ
た糸を120℃で無緊張乾燥させセルロース繊維(75
デニール33フィラメント)を得た。 〔比較例5、6、7、8〕キュプラレーヨン(75デニ
ール45フィラメント)(旭化成工業社製)(比較例
5)、ビスコースレーヨン(75デニール33フィラメ
ト)(旭化成工業社製)(比較例6)、NMMO系溶媒
の有機溶剤紡糸繊維(商品名;テンセル(1.5デニー
ル、スフ)(コートルズ社製)(比較例7)、ポリノジ
ックレーヨン(2.5デニール、スフ)(富士紡社製)
(比較例8)でも同様に水に対する寸法変化率測定およ
び、動的粘弾性測定を行った。結果は表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】〔実施例2〕銅アンモニア溶液中に8重量
%になるようにセルロースリンターを溶解したセルロー
ス溶液をガラス板上に厚さ250μmに流延した。20
℃の5重量%の硫酸アンモニウム水溶液で1分間凝固
後、比較例1と同様の方法で乾燥膜を作成した。実施例
2、3及び比較例9の膜寸法変化率及び動的粘弾性測定
結果を表2にまとめて示す。 〔実施例3〕銅アンモニア溶液中に8重量%になるよう
にセルロースリンターを溶解したセルロース溶液をガラ
ス板上に厚さ250μmに流延した。20℃の10重量
%の硫酸アンモニウム水溶液で1分間凝固後、比較例1
と同様の方法で乾燥フィルムを作成した。 〔比較例9〕銅アンモニア溶液中に8重量%になるよう
にセルロースリンターを溶解したセルロース溶液をガラ
ス板上に厚さ250μmに流延した。20℃の20重量
%の硫酸アンモニウム水溶液で1分間凝固後、比較例1
と同様の方法で乾燥フィルムを作成した。
【0026】
【表2】
【0027】〔実施例4〕銅アンモニア溶液中に8重量
%になるようにセルロースリンターを溶解したセルロー
ス溶液をガラス板上に厚さ250μmに流延した。20
℃の10重量%アモニア/10重量%アンモニアNaO
H水溶液で1分間凝固後、比較例1と同様の方法で乾燥
フィルムを作成した。実施例4及び比較例10のフィル
ムの物性、寸法変化率を表3にまとめて示す。 〔比較例10〕銅アンモニア溶液中に8重量%になるよ
うにセルロースリンターを溶解したセルロース溶液をガ
ラス板上に厚さ250μmに流延した。20℃の10重
量%NaOH水溶液で1分間凝固後、比較例1と同様の
方法で乾燥フィルムを作成した。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】本発明セルロース成形体および製造方法
は、水に対して寸法安定性に優れたセルロース成形体を
提供することができる。衣料分野では、水洗い洗濯、乾
燥後の収縮やしわが少なくなる。医療分野では、人工腎
臓用、ウイルス除去用等の濾過用途に使用する場合、モ
ジュール成形後のセルロース成形体の破損の減少、残
血、日詰まりによる性能低下が少なくなるという利点が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のセルロース成形体のtanδ
−温度(T)吸収曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01D 5/06 D01D 5/06 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定周波数10Hzにおける動的粘弾性に
    よるtanδ−温度(T)吸収曲線において、該吸収曲
    線の温度範囲175Kから240Kの間に現れるβ分散
    ピークの最大値となる温度Tmaxβが200K以上で
    あり、かつβ 1 分散とβ2 分散の吸収強度の比が1.0
    5以上であり、糸径方向または、膜厚方向の水に対する
    膨潤の異方性が1.6以下であることを特徴とする寸法
    安定性に優れたセルロース成形体。
  2. 【請求項2】 ジメチルアセトアミド(DMAC)とL
    iClとの混合溶媒に溶解されたセルロース溶液を流延
    又は吐出し、DMACと相溶性のある炭化水素:DMA
    C=5:95〜100:0の排水性溶液と接触させて凝
    固した後、再生することを特徴とするセルロース成形体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 銅アンモニア溶液に溶解されたセルロー
    ス溶液を流延または吐出し、2〜20重量%のアンモニ
    ア塩化合物水溶液又は5〜25重量%のNH 3 と1〜9
    重量%のNaOHを含む水溶液と接触させて凝固した
    後、再生することを特徴とするセルロース成形体の製造
    方法。
JP5194596A 1996-03-08 1996-03-08 寸法安定性の高いセルロース成形体及びその製造法 Withdrawn JPH09241301A (ja)

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