JPH09234873A - インクジェットヘッドの製造方法及びそのヘッドを用いたインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットヘッドの製造方法及びそのヘッドを用いたインクジェットプリンタ

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JPH09234873A
JPH09234873A JP4360296A JP4360296A JPH09234873A JP H09234873 A JPH09234873 A JP H09234873A JP 4360296 A JP4360296 A JP 4360296A JP 4360296 A JP4360296 A JP 4360296A JP H09234873 A JPH09234873 A JP H09234873A
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concentration
etching
potassium hydroxide
diaphragm
substrate
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JP4360296A
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Katsuharu Arakawa
克治 荒川
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Seiko Epson Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si基板を異方性エッチングして形成するイ
ンクジェットヘッドにおいて、振動板の厚み精度を向上
させて、吐出の安定性を増すことにより、安定した高品
質の印字を可能とする。 【解決手段】 ボロンドープ層46が形成され、酸化膜
42がパターニングされているSi基板41を35w%
水酸化カリウム水溶液で、ボロンドープ層46に達する
直前までエッチングし、次いで5w%水酸化カリウム水
溶液でエッチングを継続してエッチングストップさせ
る。さらにエッチングを継続し、所定の振動板厚みにな
るまでエッチングする。この方法により、エッチングス
トップに至るまでのエッチング面81の面荒れを抑え、
エッチングストップ面82からの追加エッチングによっ
て面荒れが低下する、という効果により、エッチング面
83の面荒れがさらに低下し、振動板5の厚み精度を2
±0.025ミクロンにできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録を必要とする
時にのみインク液滴を吐出し、記録紙面に付着させるイ
ンクジェットヘッド記録装置の主要部であるインクジェ
ットヘッドの製造方法およびその製造方法により得られ
たインクジェットヘッドを有するインクジェットプリン
タに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録時の騒
音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、イ
ンクの自由度が高く安価な普通紙を使用できることなど
多くの利点を有する。この中でも記録が必要な時にのみ
インク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマン
ド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としな
いため、現在主流となってきている。
【0003】このインク・オン・デマンド方式のインク
ジェットヘッド記録装置には、インクを吐出させる方法
として、駆動手段に静電気力を利用したインクジェット
ヘッド記録装置があり(特開平6−71882号公
報)、この方式は小型高密度・高印字品質及び長寿命で
あるという利点を有している。
【0004】この静電気力を駆動源とするインクジェッ
トヘッドにおいては、振動板の機械的変形特性はインク
吐出特性に大きく影響し、振動板の厚みを高精度に制御
する必要がある。従来、振動板をSi基板をエッチング
して形成する場合、エッチング時間を管理して振動板の
厚みを管理する方法が取られてきた。しかし、インクジ
ェットヘッドの小型高性能化が進むにしたがって、振動
板は薄膜化し、更に厚み精度が要求されるようになる
と、エッチング時間管理だけでは困難となってきた。そ
こで、特開平6−71882号公報20頁15行又は特
開昭53−63880号公報10頁46行にもあるよう
なエッチストップ技術を用い、p型不純物層のエッチン
グ速度が遅いことを利用し、p型不純物層のみをエッチ
ングにより残留せしめて、振動板となる薄膜を形成する
方法が取られるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
インクジェットヘッドの振動板の製造方法では、p型不
純物層でのエッチングレートが低下した時点での振動板
の板厚ムラが大きく、2ミクロンの振動板厚みに対し
て、1ミクロンの厚みムラが発生していた。したがっ
て、振動板の剛性が振動板内で一定とならないため、吐
出性能が安定しないという課題があった。
【0006】そこで、本発明は上記した様な課題を解決
するためのもので、その目的とするところは、振動板の
厚み精度を向上させ、安定したインク吐出性能で優れた
印字品質のインクジェットヘッドの製造方法を提供する
ところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドの製造方法は、インク液滴を吐出する単一または
複数のノズル孔と、ノズル孔の各々に連結する吐出室
と、吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、
振動板に変形を生じさせる駆動手段とを備え、駆動手段
が振動板を静電気力により変形させる電極からなり、振
動板が高濃度p型不純物層からなるSi基板であるイン
クジェットヘッドの製造方法において、前記Si基板の
高濃度p型不純物層が形成された面の反対面から低濃度
水酸化カリウム水溶液でエッチングし、高濃度p型不純
物層を残留せしめて振動板を形成し、残留せしめた振動
板を低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングすること
を特徴とする。
【0008】また、前記インクジェットヘッドの製造方
法において、Si基板の高濃度p型不純物層が形成され
た面の反対面の、高濃度p型不純物層の近傍までのSi
基板のエッチングを高濃度水酸化カリウム水溶液で行
い、高濃度p型不純物層の近傍から高濃度p型不純物層
までのエッチングを低濃度水酸化カリウム水溶液で行
い、高濃度p型不純物層を残留させて振動板を形成する
ことを特徴とし、さらに、前記した高濃度水酸化カリウ
ム及び低濃度水酸化カリウムを使用して形成した振動板
を、低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングすること
を特徴とする。
【0009】また、前記した低濃度水酸化カリウム水溶
液の濃度が、0.5〜10w%(重量%、以下本明細書
では同様)であることを特徴とし、あるいは、高濃度水
酸化カリウム水溶液の濃度が、30〜55w%であるこ
とを特徴とする。
【0010】また、前記高濃度p型不純物層が高濃度ボ
ロンドープ層であることを特徴とする。
【0011】さらに、前述の製造方法により得られたイ
ンクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタで
あることを特徴とする。
【0012】
【作用】Si基板を異方性エッチングすることによって
作製されるインクジェットヘッドにおいて、高濃度p型
不純物層でのエッチングレートが極度に低下する現象を
利用し、高濃度p型不純物層をエッチングにより薄膜と
して残留させることによって、板厚精度の高い振動板を
高濃度p型不純物層で形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な例を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0014】(実施例1)図1は、本発明の第1の実施
例におけるインクジェットヘッドの分解斜視図で、一部
断面図で示してある。本実施例はインク液滴を基板の面
部に設けたノズル孔から吐出させるフェイスインクジェ
ットタイプの例を示すものである。図2は組み立てられ
た全体装置の側面の断面図、図3は図2のA−A´線矢
視図である。本実施例のインクジェットヘッドは、下記
に詳記する構造を持つ3枚の基板1・2・3を重ねて接
合した積層構造となっている。
【0015】中間の第1の基板1は、Si基板であり、
底壁を振動板5とする吐出室6を構成することになる凹
部7と、凹部7の後部に設けられたオリフィス8を構成
することになるインク流入口のための細溝9と、各々の
吐出室6にインクを供給するための共通のインクキャビ
ティ10を構成することになる凹部11を有する。第1
の基板1の全面に、熱酸化により酸化膜12を0.1ミ
クロン形成して絶縁膜としている。これは、インクジェ
ット駆動時の絶縁破壊、ショートを防止するためであ
る。
【0016】第1の基板1の下面に接合される第2の基
板2は、ホウケイ酸ガラスを使用し、この基板2に電極
13を装着するための凹部14を0.3ミクロンエッチ
ングすることにより、振動板5とこれに対向して配置さ
れる電極13との対向間隔、すなわちギャップGを形成
している。この凹部14はその内部に電極13、リード
部15及び端子部16を装着できるように電極部形状に
類似したやや大きめの形状にパターン形成している。電
極13は凹部14内にITOを0.1ミクロンスパッタ
し、ITOパターンを形成することで作製する。したが
って、本実施例における第1の基板1と第2の基板2を
陽極接合した後のギャップGは0.2ミクロンとなって
いる。
【0017】また、第1の基板1の上面に接合される第
3の基板3には、厚さ100ミクロンのSi基板を用
い、基板3の面部に、吐出室6用の凹部7と連通するよ
うにそれぞれノズル孔17を設け、またインクキャビテ
ィ10用の凹部11と連通するようにインク供給口18
を設ける。
【0018】上記のように構成されたインクジェットヘ
ッドの動作を説明する。電極13に発信回路19により
0Vから35Vのパルス電位を印加し、電極13の表面
がプラスに帯電すると、対応する振動板5の下面はマイ
ナス電位に帯電する。したがって、振動板5は静電気の
吸引作用により下方へたわむ。次に、電極13をOFF
にすると、振動板5は復元する。そのため、吐出室6内
の圧力が急激に上昇し、ノズル孔17よりインク液滴2
0を記録紙21に向けて吐出する。次に、振動板5が再
び下方へたわむことにより、インクがインクキャビティ
10よりオリフィス8を通じて吐出室6内に補給され
る。なお、基板1と発信回路19との接続は、ドライエ
ッチングにより基板1の一部に開けた酸化膜12の窓
(図示せず)において行う。
【0019】本実施例のインクジェットヘッドにおける
振動板5は、高濃度p型不純物層でであって、高濃度p
型不純物層は所望の振動板厚と同じだけの厚さを有して
いる。なお、高濃度p型不純物層を形成する不純物とし
ては、ボロン・ガリウム・アルミニウム等があるが、半
導体分野においてはp型不純物層を形成する不純物とし
ボロンが一般的であり、本実施例においてもボロンを不
純物とした。したがって、高濃度p型不純物層を高濃度
ボロンドープ層とした場合について以降説明する。アル
カリによるSiエッチングにおけるエッチングレート
は、ドーパントがボロンの場合、高濃度(約5×1019
cm-3以上)の領域において、エッチングレートが非常
に小さくなる(図6)。本実施例では、このことを利用
し、振動板形成領域を高濃度ボロンドープ層とし、アリ
カリ異方性エッチングにより、吐出室、インクキャビテ
ィを形成する際に、ボロンドープ層が露出した時点でエ
ッチングレートが極端に小さくなる、いわゆるエッチス
トップ技術により、振動板5を所望の板厚に作製するも
のである。
【0020】本実施例におけるインクジェットヘッドの
第1の基板1の製造方法を、図4の第1の基板の拡散工
程図において、B23 を不純物拡散源として、2ミク
ロンの振動板5を形成する場合について詳細に説明す
る。
【0021】先ず、(110)を面方位とするSi基板
の両面を鏡面研磨し、180ミクロンの厚みの基板41
を作製する(図4(a))。Si基板41を、熱酸化炉
にセットし、酸素及び水蒸気雰囲気中で摂氏1100
度、4時間で熱酸化処理を施し、基板41表面に酸化膜
42を1.2ミクロン成膜する(図4(b))。次い
で、ボロンドープ層を形成する面43の酸化膜42を剥
離するため、基板41のボロンドープ層を形成する面4
3の反対側の面44にレジストをコート、レジストを保
護膜としてボロンドープ層を形成する面43の酸化膜4
2をフッ酸水溶液にてエッチング除去し、レジストを剥
離する(図4(c))。拡散源となるB23 を有機溶
剤中に3.15w%を分散した拡散剤45を、酸化膜4
2を除去した面43に2000rpm,1分間の条件で
スピンコーティングし、クリーンオーブン中で摂氏14
0度の温度で30分間ベークする(図4(d))。この
とき拡散剤の厚みは1.2ミクロンとなる。
【0022】拡散剤45をコーティングした基板41を
熱酸化炉にセットし、酸素雰囲気中、摂氏600度の条
件で加熱し、拡散剤45中の有機バインダーを酸化除去
しB23 を焼成する。引き続き炉内を窒素雰囲気に
し、温度を摂氏1100度に上昇させ、そのまま温度を
12時間保持し、ボロンをSi基板中に拡散させ、ボロ
ンドープ層46を形成する。この時、B23 と基板表
面ボロンドープ層の界面にボロン化合物47が形成され
ている(図4(e))。
【0023】ボロンドープ層46を形成した面の反対側
44にレジストをコートし、拡散剤45をフッ酸水溶液
によりエッチング除去する(図4(f))。基板表面に
現れたボロン化合物47は耐エッチング性が高く、ウェ
ットエッチングによる除去が不可能なため、次のような
手段をとる。まず、基板41のレジストを剥離した後、
基板41を酸化炉にセットし、酸素及び水蒸気雰囲気、
摂氏600度の条件でボロン化合物47を1時間酸化
し、フッ酸水溶液によるエッチングが可能なB23
SiO2 に化学変化させる。なお、酸化の温度が低いた
め、拡散が進行することはなく、ボロン化合物47を酸
化せずドライエッチングで除去することも可能である。
拡散面のボロン化合物47を酸化してB23 +SiO
2 に化学変化させた状態でさらに熱酸化して、ボロンド
ープ層側に1.2ミクロンの酸化膜48を形成する(図
4(g))。続けて、酸化膜側44に吐出室6、インク
キャビティ10を作り込むためのレジストパターニング
を施し、フッ酸水溶液でエッチングし酸化膜42をパタ
ーニングする。そして前記基板41のレジストを剥離す
る(図4(h))。
【0024】以上が、高濃度ボロンドープ層の形成を塗
布法で実施した場合であり、他に高濃度のドープ層を形
成する手段として、ボロン拡散板をSi基板に対向させ
て熱拡散を行う方法がある。
【0025】Si基板のエッチング工程を経た後、基板
41に残留する酸化膜42をフッ酸水溶液を用いエッチ
ング除去した後、基板41の表面に熱酸化によって酸化
膜12を0.1ミクロン成膜し、第1の基板1が作製さ
れる。
【0026】本発明の第1の実施例であるエッチング工
程を、濃度が5w%の水酸化カリウム水溶液であるエッ
チング液において行う場合について、図5の第1の基板
のエッチング工程図において説明する。酸化膜42をパ
ターニングした基板41(図5(a))を10w%の濃
度の水酸化カリウム水溶液に浸し、Siエッチングを行
う。酸化膜42をパターニングした側のSiが露出して
いる部分51から基板41がエッチングされて行き、ボ
ロンドープ層46に達した時、エッチングが停止してボ
ロンドープ層46が残留せしめ、ボロンドープ層46が
振動板5となる(図5(b))。しかし、ボロンドープ
層46に達するまでに発生するエッチング面52の面荒
れは10ミクロンであるため、ボロンドープ層46での
エッチングレートの低下によるエッチングストップによ
って、前記の面荒れが低減されても、エッチングストッ
プ時(図5(c))の振動板5表面のエッチング面53
の面荒れは1ミクロンである。したがって、振動板5は
エッチング面53の面荒れにより1ミクロンの板厚ムラ
を有することになる。ここで、エッチングストップと
は、エッチングにエッチング面から発生する気泡が停止
した状態と定義し、実際のエッチングにおいて気泡の発
生の停止をもってエッチングストップと判断する。
【0027】前記エッチングストップの状態(図5
(c))からさらにエッチングを継続し、振動板5を所
定の厚みになるようにエッチング量を制御する(図5
(d))。エッチングが進むにつれてボロンドープ層4
6のボロン濃度も拡散面表面に向かって高くなり、エッ
チングレートもボロン濃度の増加に応じて低下するた
め、エッチング面54の面荒れが小さくなっていく。な
お、追加エッチングのエッチング量を予測して、拡散条
件を調整しボロンドープ層46の厚みを確保することは
言うまでもない。
【0028】前記エッチングストップした状態からの追
加エッチングによって、振動板5の厚み精度を2±0.
3ミクロン以下にすることができ、インクジェットヘッ
ドのインク吐出性能を安定化することができた。
【0029】(実施例2)本発明の第2の実施例である
エッチング工程を、濃度が35w%濃度の水酸化カリウ
ム水溶液、及び5w%濃度の水酸化カリウム水溶液であ
るエッチング液において行う場合について、図7の第1
の基板のエッチング工程図において説明する。
【0030】前記第1の実施例で説明した方法でボロン
ドープ層46を形成し、酸化膜42をパターニングした
Si基板41(図7(a))を形成する。ただし、拡散
時間は8時間に変更する。次に、Si基板41を35w
%水酸化カリウム水溶液でエッチングし、エッチングを
ボロンドープ層46に達する直前(残り10ミクロン程
度)まで行う(図7(b))。前記35w%水酸化カリ
ウム水溶液でのエッチングでは、エッチング面71の面
荒れが1ミクロン以下に抑えられる。次にエッチング液
を5w%水酸化カリウム水溶液に変え、エッチングを継
続してエッチングストップさせる(図7(c))。本例
の場合、ボロンドープ層46に達するまでのエッチング
面の面荒れが、5w%水酸化カリウム水溶液単独でエッ
チングしてきた時に比べ10分の1以下に抑えられるた
め、エッチングストップ時のエッチング面72の面荒れ
は0.1ミクロン以下になる。以上の2種類のエッチン
グ液を使用してエッチングを行うことで、振動板5の厚
み精度を2±0.05ミクロンにすることができ、吐出
安定性の優れたインクジェットヘッドを提供できた。
【0031】(実施例3)本発明の第3の実施例である
エッチング工程を、35w%濃度の水酸化カリウム水溶
液、5w%濃度の水酸化カリウム水溶液をエッチング液
において行い、かつエッチングストップした状態から追
加エッチングする場合について、図8の第1の基板のエ
ッチング工程図において説明する。
【0032】前記第1の実施例で説明したように、ボロ
ンドープ層46が形成され、酸化膜42をパターニング
されているSi基板41(図8(a))を35w%水酸
化カリウム水溶液で、エッチングがボロンドープ層46
に達する直前(残り10ミクロン程度)まで行い(図8
(b))、5w%水酸化カリウム水溶液で、エッチング
を継続してエッチングストップさせる(図8(c))。
さらに、エッチングストップ状態からのエッチングを継
続し、所定の振動板厚みになるまでエッチングする(図
8(d))。前記のエッチング方法により、エッチング
ストップに至るまでのエッチング面81の面荒れを抑え
たこと、エッチングストップ面82からの追加エッチン
グによって面荒れが低下すること、という2つの効果に
より、エッチング面83の面荒れがさらに低下し、振動
板厚み精度を2±0.025ミクロンにすることができ
た。そして、振動板厚み精度をさらに向上させたことに
より、インクジェットヘッドの吐出の安定性がさらに増
した。
【0033】(実施例4)本発明の第4の実施例である
低濃度水酸化カリウム水溶液の濃度について、エッチン
グ液濃度とエッチングストップ選択比(ボロンドープさ
れたSiのエッチングレートに対するドープされていな
いSiのエッチングレートの比)の関係を示した図9に
おいて説明する。
【0034】水酸化カリウム水溶液の低濃度エッチング
液の濃度選定のポイントは、いかにエッチングストップ
選択比を大きく取るかと言うことである。すなわち、エ
ッチングストップによって、エッチングストップに至る
までに発生する面荒れ、及びSi基板厚みのばらつきを
どれだけ吸収できかを意味し、エッチングストップ選択
比は高いことが望ましい。ボロンドープ層46に至るま
でのエッチング面の面荒れが低濃度エッチング液におい
て10ミクロン程度であることを考慮すると、振動板厚
み精度を最悪でも±0.3ミクロン以内に抑えるため、
選択比は16以上必要となる。すなわち、選択比16以
上を確保するためには、図9より水酸化カリウム水溶液
の濃度は、10w%以下で良いことが解る。一方、水酸
化カリウム水溶液は濃度が極端に低くなると、Siに対
するエッチング能力が不安定になり易く、0.5w%よ
り低い濃度では実用的ではない。したがって、インクジ
ェットヘッド製造方法における振動板形成においてエッ
チングストップを目的とした低濃度水酸化カリウム水溶
液の最適な濃度は0.5〜10w%であり、前記低濃度
水酸化カリウムによって該振動板の面荒れを抑制できた
ことにより、印字品質の安定したインクジェットヘッド
を提供できた。。
【0035】(実施例5)本発明の第5の実施例である
高濃度水酸化カリウム水溶液の濃度について、エッチン
グ量と面荒れの関係を示した図10において説明する。
【0036】高濃度水酸化カリウム水溶液をエッチング
液として使用する大きな目的は、ボロンドープ層46に
達する直前までエッチング面の面荒れを抑えることであ
り、濃度の選定に当たっては、エッチングによって発生
する面荒れのみに着目すれば良い。図10により、低濃
度のエッチング液でのエッチング面荒れはボロンドープ
層46に達する直前170ミクロンエッチングした状態
においては、10ミクロン程度発生することが解る。低
濃度水酸化カリウム水溶液において発生する10ミクロ
ンの面荒れに対し、30w%以上のエッチング液では3
ミクロン以下に面荒れが抑えられため、低濃度水酸化カ
リウムでエッチングストップまでエッチングしたときの
面荒れは最大で0.2ミクロンまで抑えられる。よっ
て、振動板の面荒れを低減するためには、水酸化カリウ
ム水溶液の濃度を高めれば良いことが解るが、水酸化カ
リウム水溶液の調整可能な最高濃度は55w%である。
したがって、印字性能が優れたインクジェットヘッドを
実現するために必要される厚み精度を有する振動板を形
成するためには、初期エッチング工程において使用され
る高濃度の水酸化カリウム水溶液の最適濃度は30〜5
5w%でなければならない。
【0037】
【発明の効果】インクジェットヘッドの振動板形成にお
いて、低濃度水酸化カリウム水溶液のみでエッチングし
たときにエッチングストップ時に残存する振動板エッチ
ング面の面荒れを、エッチングストップ状態からさらに
追加エッチングすることによって改善できたことによ
り、振動板の厚み精度が向上し、インク吐出性能が安定
したインクジェットヘッドを提供できた。また、高濃度
水酸化カリウム水溶液を用いたエッチング面荒れを抑え
た初期エッチング、継続する低濃度水酸化カリウム水溶
液によるエッチングストップによって振動板の面荒れを
改善できたことにより、振動板の厚み精度の向上が可能
となり、印字品質の優れたインクジェットヘッドが得ら
れた。
【0038】さらに、高濃度水酸化カリウム水溶液によ
る初期エッチング、低濃度水酸化カリウム水溶液による
エッチングストップを行って振動板を形成し、継続して
低濃度水酸化カリウム水溶液で振動板をさらに追加エッ
チングを行うことよって、振動板の面荒れを低く抑える
ことができるようなったことにより、振動板の厚み精度
をさらに高めることが可能となり、印字品質がより優れ
たインクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタ
を提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの構造を分解して示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例におけるインクジェットヘ
ッドの断面側面図である。
【図3】図2のA−A´線矢視図である。
【図4】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの第1の基板の製造工程を構成する拡散の工程図
である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるインクジェット
ヘッドの第1の基板の製造工程を構成するエッチングの
工程図である。
【図6】本発明の第1の実施例におけるボロン濃度とエ
ッチングレートの関係図である。
【図7】本発明の第2の実施例におけるインクジェット
ヘッドの第1の基板の製造工程を構成するエッチングの
工程図である。
【図8】本発明の第2の実施例におけるインクジェット
ヘッドの第1の基板の製造工程を構成するエッチングの
工程図である。
【図9】本発明の第4の実施例における水酸化カリウム
濃度と選択比の関係図である。
【図10】本発明の第5の実施例におけるエッチング量
と面荒れの関係図である。
【符号の説明】
1 第1の基板 2 第2の基板 3 第3の基板 5 振動板 6 吐出室 7 凹部 8 オリフィス 9 細溝 10 インクキャビティ 11 凹部 12 酸化膜 13 電極 14 凹部 15 リード部 16 端子部 17 ノズル孔 18 インク供給口 19 発信回路 20 インク液滴 21 記録紙 41 基板 42 酸化膜 43 ボロンドープ層を形成する面 44 反対側の面 45 拡散剤 46 ボロンドープ層 47 ボロン化合物 48 酸化膜 51 露出部分 52,53 エッチング面 54 エッチング面 71,72 エッチング面 81,83 エッチング面 82 エッチングストップ面 G ギャップ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク液滴を吐出する単一または複数の
    ノズル孔と、該ノズル孔の各々に連結する吐出室と、該
    吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、該振
    動板に変形を生じさせる駆動手段とを備え、該駆動手段
    が該振動板を静電気力により変形させる電極からなり、
    該振動板が高濃度p型不純物層からなるSi基板である
    インクジェットヘッドの製造方法において、前記Si基
    板の高濃度p型不純物層が形成された面の反対面から低
    濃度水酸化カリウム水溶液でエッチングし、該高濃度p
    型不純物層を残留せしめて振動板を形成し、残留せしめ
    た該振動板を該低濃度水酸化カリウム水溶液でエッチン
    グすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 インク液滴を吐出する単一または複数の
    ノズル孔と、該ノズル孔の各々に連結する吐出室と、該
    吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板と、該振
    動板に変形を生じさせる駆動手段とを備え、該駆動手段
    が該振動板を静電気力により変形させる電極からなり、
    該振動板が高濃度p型不純物層からなるSi基板である
    インクジェットヘッドの製造方法において、前記Si基
    板の高濃度p型不純物層が形成された面の反対面の、該
    高濃度p型不純物層の近傍までのSi基板のエッチング
    を高濃度水酸化カリウム水溶液で行い、前記高濃度p型
    不純物層の近傍から該高濃度p型不純物層までのエッチ
    ングを低濃度水酸化カリウム水溶液で行い、前記高濃度
    p型不純物層を残留させて振動板を形成することを特徴
    とするインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記高濃度水酸化カリウム及び低濃度水
    酸化カリウムを使用して形成した振動板を、低濃度水酸
    化カリウム水溶液でエッチングすることを特徴とする請
    求項2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記低濃度水酸化カリウム水溶液の濃度
    が、0.5〜10w%であることを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれか記載のインクジェットヘッドの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記高濃度水酸化カリウム水溶液の濃度
    が、30〜55w%であることを特徴とする請求項2ま
    たは3記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 高濃度p型不純物層が高濃度ボロンドー
    プ層であることを特徴とする請求項1ないし2記載のイ
    ンクジェットヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか記載の製造
    方法により得られたインクジェットヘッドを有するイン
    クジェットプリンタ。
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