JPH09228917A - エアアシスト電磁式燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 微粒化された燃料フォームの最適化を図ると
共に製造コストが安価で小型化可能のエアアシスト電磁
式燃料噴射弁を提供する。 【解決手段】 アウターキャップ１３には、円錐凹部１
３Ａと、その先端１３Ｂから先端１３Ｃ向けて開口する
開放孔１３Ｄと、同部の後端１３Ｅから後端１３Ｆに向
けて開口する挿入孔１３Ｇと、後端１３Ｅから後端１３
Ｆ側の外周１３Ｈに向けて開口するスリット溝１３Ｊを
備える。更に円錐凹部には、同部の傾斜に沿い、その先
端が開放孔に連なり、後端がスリット溝に連なる傾斜溝
１３Ｋを穿設する。インナープレート１２は、バルブシ
ート９に嵌合し、円錐筒部１２Ｄをバルブシートの先端
９Ｆより突出させる。アウターキャップをインナープレ
ートに嵌合し、円錐筒部と傾斜溝を含むアウターキャッ
プ円錐凹部とにより空気溝２０を形成する。空気溝は先
端が開放孔に連なり、後端がスリット溝に連なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の内燃機関用
の燃料噴射装置に用いられる電磁式燃料噴射弁に関し、
そのうち特に電磁式燃料噴射弁の噴孔より噴射される燃
料に向けて空気を吹きつけ、燃料の微粒化を図ったエア
アシスト電磁式燃料噴射弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】エアアシスト電磁式燃料噴射弁の従来の
第１技術は実開平５−４７４２５号公報に示される。こ
れは、バルブシートの外周にインナーキャップが配置さ
れ、さらにインナーキャップの外周にアウターキャップ
が配置され、アウターキャップに空気導入用のスロット
とこのスロットに連なる空気通過用溝を設けたものであ
る。

【０００３】又、エアアシスト電磁式燃料噴射弁の従来
の第２技術は実開昭５４−１６９６２０号公報に示され
る。これは、バルブシートの外周及びバルブシートの先
端部に有底カップ状のキャップを嵌合配置したもので、
このキャップの側壁に取入孔を穿設し、キャップの内底
部に噴出孔を穿設し、この取入孔と噴出孔とを、側壁に
沿って垂直方向に穿設される溝と、内底部に沿って水平
方向に穿設される溝とによって連絡したものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の第１技術による
と、バルブシートの噴孔より噴出される燃料に対して、
比較的離れた位置において斜め方向から空気を吹きつけ
ることができるので、燃料の良好な微粒化を達成できる
とともに噴出される燃料フォームを適正な楕円形状とす
ることができ、吸気弁及び吸気管に向けて良好に燃料を
供給できる。然しながら、インナーキャップは、その先
端部に厚肉部を有すること及びインナーキャップの外周
面に複数条の回転止め用溝を設ける必要があること、か
らインナーキャップの形状は複雑となり、インナーキャ
ップの製造コストが高価となり、更にはその肉厚を均一
に薄くすることができないものでバルブシートの外径部
分が大径化して好ましいものでない。

【０００５】一方、従来の第２技術によると、空気を供
給する溝は、バルブシートと単一のキャップによって形
成されることから燃料噴射弁の製造コストを低減するこ
とはできる。然しながら、バルブシートの噴孔より噴出
される燃料に対して空気は溝を介して直角方向より吹き
つけられる。これは、バルブシートの噴孔がバルブシー
トの底部に直交して垂直方向に穿設され、キャップの噴
出孔に開口する溝がバルブシートの底部に沿って水平方
向に形成されるからである。以上によると、バルブシー
トの噴孔から噴出される燃料の噴出方向に対して直角方
向から空気が吹きつけられ、且つその空気の吹きつけ位
置が噴孔の出口直後の部分において行なわれる、ことか
ら燃料フォームはおおきく広がり、吸気弁に向けて燃料
を効果的に指向して供給できない、あるいは吸気管の内
壁への燃料付着が多くなる、ことにより機関性能へ悪影
響を及ぼす。例えば付着燃料の応答遅れによる機関加速
運転時における混合気の希薄化現象、あるいは機関減速
運転時における混合気の過濃化現象である。

【０００６】本発明は、かかる不具合に鑑みなされたも
ので、噴孔から噴出されて機関に向かう燃料の、燃料フ
ォームを最適に制御でき、且つ製造コストが安価で且つ
小型化されるエアアシスト電磁式燃料噴射弁を提供する
ことを主目的とする。

【０００７】

【課題を解決する為の手段】本発明になるエアアシスト
電磁式燃料噴射弁は、前記目的達成の為に、ハウジング
内に配置された電磁コイルへの通電によって可動コアが
駆動され、可動コアと一体的に移動する弁部によりハウ
ジングの先端部に配置されたバルブシートの弁座孔を開
閉制御し、弁座孔の下流側にある噴孔より燃料を噴射す
る電磁式燃料噴射弁において、インナープレートは、薄
肉筒状に形成され、バルブシートの外径部に当接される
筒部と、筒部の先端から更に先端側に向かって突出し、
先端に向かうにつれてその直径が漸次減少する円錐筒部
と、により形成され、アウターキャップは、インナープ
レートの円錐筒部に当接する円錐凹部と、円錐凹部の先
端からアウターキャップの先端に向かって開口する開放
孔と、円錐凹部の後端からアウターキャップの後端に向
かって開口する挿入孔と、円錐凹部の後端側からアウタ
ーキャップの後端側の外周に向かって開口するスリット
溝と、を備えるとともに円錐凹部には、円錐凹部の傾斜
に略沿い、その先端が開放孔に連なり、後端がスリット
溝に連なる傾斜溝を穿設し、前記インナープレートの筒
部をバルブシートの外径部に嵌合することにより円錐筒
部をバルブシートの先端より更に先端側に向けて突出し
て配置し、一方、前記アウターキャップをインナープレ
ートに嵌合することにより、インナープレートの円錐筒
部とアウターキャップの傾斜溝を含む円錐凹部とによ
り、先端が開放孔に連なり後端がスリット溝に連なる空
気溝を形成したことを第１の特徴とする。

【０００８】又、本発明は、ハウジング内に配置された
電磁コイルへの通電によって可動コアが駆動され、可動
コアと一体的に移動する弁部によりハウジングの先端部
に配置されたバルブシートの弁座孔を開閉制御し、弁座
孔の下流側にある噴孔より燃料を噴射する電磁式燃料噴
射弁において、バルブシートには、先端から後端側に向
けて外周直径が漸次増加する円錐突部を設け、インナー
プレートは、薄肉筒状に形成され、バルブシートの外径
部に当接される筒部と、筒部の先端から更に先端側に向
かって突出し、先端に向かうにつれてその直径が漸次減
少する円錐筒部と、により形成され、アウターキャップ
は、インナープレートの円錐筒部に当接する円錐凹部
と、円錐凹部の先端からアウターキャップの先端に向か
って開口する開放孔と、円錐凹部の後端からアウターキ
ャップの後端に向かって開口する挿入孔と、円錐凹部の
後端側からアウターキャップの後端側の外周に向かって
開口するスリット溝と、を備えるとともに円錐凹部に
は、円錐凹部の傾斜に略沿い、その先端が開放孔１３Ｄ
に連なり、後端がスリット溝に連なる傾斜溝を穿設し、
前記インナープレートの筒部をバルブシートの外径部に
嵌合するとにより円錐筒部の後端側をバルブシートの円
錐突部に嵌合するとともに円錐筒部をバルブシートの先
端より更に先端側に向けて突出して配置し、一方、前記
アウターキャップをインナープレートに嵌合することに
より、インナープレートの円錐筒部とアウターキャップ
の傾斜溝を含む円錐凹部とにより、先端が開放孔に連な
り後端がスリット溝に連なる空気溝を形成したことを第
２の特徴とする。

【０００９】又、本発明は、前記第１及び第２の特徴に
加え、空気溝の溝長手方向軸線と弁体の長手方向軸線と
の交差角度を４０度以下としたことを第３の特徴とす
る。

【００１０】又、本発明は、前記第１及び第２の特徴に
加え、アウターキャップの先端に、更に先端側に向けて
複数の位置決めボスを突起して形成したことを第４の特
徴とする。

【００１１】

【作用】第１の特徴によると、空気溝は、インナープレ
ートの円錐筒部とアウターキャップの傾斜溝を含む円錐
凹部によって形成される。又、バルブシートの噴孔から
噴出される燃料に対し、噴孔より比較的に離れた位置に
おいて斜め方向から空気が吹きつけられるので、噴出さ
れる燃料フォームを適正な楕円形状とすることができ、
機関性能を向上できる。

【００１２】第２の特徴によると、バルブシートの円錐
突部にインナープレートの円錐筒部の後端側が嵌合配置
されたので、インナープレートの先端位置を変えること
なく、長手溝方向の長い空気溝を形成することができ、
空気溝内を流れる空気の流れ方向を空気溝に沿ってより
一層整流して燃料に吹きつけることができる。

【００１３】又、第３の特徴によると、噴孔より噴出さ
れる燃料に対するアシストエアの突入角度を４０度以下
としたことにより、燃料フォームの楕円比率を略１．９
以下とすることができ、これによって吸気弁に対する良
好な燃料の指向性が得られるとともに吸気管壁への燃料
付着が抑止され、追従性の秀れた良好な機関性能を得る
ことができる。

【００１４】又、第４の特徴によると、アウターキャッ
プの位置決めボスに対して、エアアシスト電磁式燃料噴
射弁に設けた位置決め部を一定位置状態に配置して形成
できる。これによると、エアアシスト電磁式燃料噴射弁
に対して、常に一定位置に空気溝を形成することがで
き、エアアシスト電磁式燃料噴射弁の位置決め部が吸気
管の一定位置に取着されると、バルブシートの噴孔から
噴出される燃料フォームを常に機関（吸気管）の定めら
れた一定位置に向けて供給できる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明になるエアアシスト電磁式燃料
噴射弁の一実施例を図により説明する。図１はエアアシ
スト電磁式燃料噴射弁の縦断面図、図２は図１のＸ−Ｘ
線におけるエアアシスト電磁式燃料噴射弁の縦断面図、
図３は、図１のＹ−Ｙ線における拡大横断面図、図４
は、図１の拡大下部平面図、である。尚、説明を容易に
する為に先端とは、図において下方をいい、後端とは図
において上方をいう。１は後端Ｂ側に底部１Ａを有し、
先端１Ｂが開口する磁性材料によって有底筒状に形成さ
れたハウジングであり、底部１Ａの中心から固定コアと
しての第１筒部１Ｃが先端Ａ側に向かって突出するとと
もに底部１Ａの中心から流路部材としての第２筒部１Ｄ
が後端Ｂ側に向かって突出する。第２筒部１Ｄの後端１
Ｅから第１筒部１Ｃの先端１Ｆに向けて流路１Ｇが貫通
して穿設される。第１筒部１Ｃ内の流路１Ｇにはインナ
ーカラー２が挿入配置され、第２筒部１Ｄ内の流路１Ｇ
には、ストレーナ３が配置される。流路１Ｇにあっては
先端Ａ側にインナーカラー２が配置され、後端Ｂ側にス
トレーナ３が配置される。

【００１６】４は、絶縁材料によって形成されたコイル
ボビンであり、その周囲に電磁コイル５が巻回され、そ
の後端の鍔部より後端Ｂ側に向かってコイル５に接続さ
れたターミナル６が突出する。７は磁性材料によって形
成され、磁極片をなすドーナツ状のセットカラーであ
る。８は、後述する弁体の小径部に挿入されるバルブス
トッパーであり、外周から中心に向かって前記小径部の
直径よりやや大径を有する長溝８Ａが穿設される。

【００１７】９は円筒状をなすバルブシートであり、そ
の内方の先端側には、弁座孔９Ａが形成されるとともに
弁座孔９Ａより更に先端Ａ側に向けて噴孔９Ｂが形成さ
れ、この噴孔９Ｂは先端９Ｆに開口する拡大孔に開口す
る。一方、弁座孔９Ａよりバルブシート９の後端９Ｃに
向けてガイド孔９Ｄが形成される。これら、ガイド孔９
Ｄ、弁座孔９Ａ、噴孔９Ｂ及び拡大孔は、同心に形成さ
れる。尚、バルブシート９の後端９Ｃ部分の外周は拡大
された鍔部をなす。

【００１８】１０はバルブシート９内に移動自在に配置
される弁体である。弁体１０は以下よりなる。弁体１０
は、弁座孔９Ａを開閉する弁部１０Ａと、弁部１０Ａか
ら先端Ａ側に向かって突出して噴孔９Ｂ内に挿入され、
噴孔９Ｂとともに計量間隙を形成するピントル部１０Ｂ
と、弁部１０Ａより後端Ｂ側にあって、ガイド孔９Ｄの
横断面と同一形状をなすとともに外周に複数の切欠き面
が形成され、ガイド孔９Ｄ内に摺動自在に配置されるガ
イド部１０Ｃと、ガイド部１０Ｃより後端Ｂ側に形成さ
れる係止鍔部１０Ｄと、更に後端に形成される嵌合突部
１０Ｅと、嵌合突部１０Ｅと係止鍔部１０Ｄとの間に形
成される小径部１０Ｆと、より形成される。

【００１９】そして、前記弁体１０の後端に形成される
嵌合突部１０Ｅには、円柱状をなす可動コア１１が一体
的に嵌合配置される。

【００２０】１２は、バルブシート９の外径部９Ｅに当
接して配置される薄肉筒状のインナープレートであり、
以下よりなる。１２Ａはバルブシート９の外径部９Ｅに
当接するよう凹設された筒部であり、この筒部１２Ａの
先端１２Ｂからインナープレート１２の先端１２Ｃに向
かってその直径Ａが漸次減少する円錐筒部１２Ｄが形成
される。

【００２１】１３は、インナープレート１２の筒部１２
Ａ及び円錐筒部１２Ｄの外周に当接して配置されるアウ
ターキャップである。アウターキャップ１３には、イン
ナープレート１２の円錐筒部１２Ｄに当接する円錐凹部
１３Ａと、円錐凹部１３Ａの先端１３Ｂからアウターキ
ャップ１３の先端１３Ｃに向かって開口する開放孔１３
Ｄと、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅからアウターキャッ
プ１３の後端１３Ｆに向かって開口する挿入孔１３Ｇと
が形成される。又、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅ側から
アウターキャップ１３の後端１３Ｆ側の外周１３Ｈに向
かって縦長のスリット溝１３Ｊが穿設される。このスリ
ット溝１３Ｊは、アウターキャップ１３の後端１３Ｆ側
の外周１３Ｈと、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅ及び挿入
孔１３Ｇに開口する。

【００２２】更に円錐凹部１３Ａには、その後端１３Ｅ
から先端１３Ｂに向けて、円錐凹部１３Ａの傾斜に略沿
った傾斜溝１３Ｋに穿設される。この傾斜溝１３Ｋは、
その先端が開放孔１３Ｄに連なって開口し、後端がスリ
ット溝１３Ｊに連なって開口する。前記スリット溝１３
Ｊと、傾斜溝１３Ｋとは、アウターキャップ１３の長手
方向軸線をはさんで対向して２個穿設される。このスリ
ット溝１３Ｊ及び傾斜溝１３Ｋは、図１によく示され
る。

【００２３】そしてエアアシスト電磁式燃料噴射弁は以
下の如く組みつけられる。ハウジング１の先端１Ｂの開
口から底部１Ａに向けてコイルボビン４を挿入配置し、
このときターミナル６は、底部１Ａに穿設せる孔を介し
て後端Ｂ側に突出する。次いで、コイルボビン４の先端
にセットカラー７を配置する。一方、バルブシート９の
ガイド孔９Ｄ内には弁体１０のガイド部１０Ｃが摺動自
在に配置され可動コア１１と係止鍔部１０Ｄとの間の小
径部１０Ｆに向けてバルブストッパー８の長溝８Ａが挿
入配置される。このように弁体１０を備えたバルブシー
ト９がセットカラー７の先端上に配置される。このとき
可動コア１１の後端とインナーカラー２の先端との間に
は、スプリング１４が縮設される。又、可動コア１１の
後端は第１筒部１Ｃの先端１Ｆに対向して配置され、係
止鍔部１０Ｄの後端は、バルブストッパー８の先端に対
向して配置される。

【００２４】そして、バルブシート９の外径部９Ｅにイ
ンナープレート１２を嵌合配置する。以上によると、バ
ルブシート９の外径部９Ｅにインナープレート１２の筒
部１２Ａが嵌合配置され、インナープレート１２の円錐
筒部１２Ｄはバルブシート９の先端９Ｆより更に先端Ａ
側に向かって突出して配置される。すなわち、インナー
プレート１２の円錐筒部１２Ｄの先端１２Ｃは、バルブ
シート９の先端９Ｆより更に先端Ａ側に突出して配置さ
れる。

【００２５】次いで、インナープレート１２の外周にア
ウターキャップ１３を嵌合配置する。以上によると、ハ
ウジング１内の中間部に設けた係止段部１Ｊ上に、セッ
トカラー７、バルブストッパー８、バルブシート９、イ
ンナープレート１２、アウターキャップ１３が積層され
て配置されたもので、かかる状態においてハウジング１
の先端１Ｂをアウターキャップ１３上に向けて内方へカ
シメることによってその組みつけが完了する。尚、電磁
コイル５への非通電時において、可動コア１１の後端と
第１筒部１Ｃの先端１Ｆとの間、及び係止鍔部１０Ｄの
後端とバルブストッパー８の先端との間には微少なる間
隙（作動ストロークに相当する）が存在するが図示され
ていない。

【００２６】以上によってエアアシスト電磁式燃料噴射
弁が形成されるが、本発明にあっては、インナープレー
ト１２とアウターキャップ１３とによって形成される空
気溝に特徴を有する。以下に詳述する。インナープレー
ト１２の外周にアウターキャップ１３が嵌合配置される
ことによると、アウターキャップ１３の挿入孔１３Ｇが
インナープレート１２の筒部１２Ａに当接して配置さ
れ、アウターキャップ１３の円錐凹部１３Ａがインナー
プレート１２の円錐筒部１２Ｄに当接して配置される。
以上によると、アウターキャップ１３の円錐凹部１３Ａ
に沿って穿設された傾斜溝１３Ｋの円錐凹部１３Ａ側へ
の開口はインナープレート１２の円錐筒部１２Ｄによっ
て閉塞され、円錐凹部１３Ａの傾斜に略沿った傾斜する
空気溝２０が形成される。そして、この空気溝２０の先
端は、アウターキャップ１３の先端１３Ｃに開口する開
放孔１３Ｄ内に連なって開口し、一方その後端はスリッ
ト溝１３Ｊに連なって開口する。尚、挿入孔１３Ｇに開
口するスリット溝１３Ｊはインナープレート１２の筒部
１２Ａによって閉塞される。この空気溝２０は図１によ
く示される。

【００２７】次にその作用について説明する。電磁コイ
ル５に通電されると、可動コア１１はスプリング１４の
バネ力に抗して第１筒部１Ｃの先端１Ｆに向けて吸引さ
れ、弁体１０の係止鍔部１０Ｄの後端がバルブストッパ
ー８の先端に当接する迄移動し、これによって弁体１０
の弁部１０Ａがバルブシート９の弁座孔９Ａを開放す
る。これによると、流路１Ｇ内へ図示せぬ燃料ポンプに
よって給送される燃料は、可動コア１１、小径部１０
Ｆ、係止鍔部１０Ｄ、ガイド部１０Ｃの外周を通って弁
座孔９Ａに達する。弁座孔９Ａに流入する燃料は、ピン
トル部１０Ｂと噴孔９Ｂによって形成される燃料間隙に
よって計量され、噴孔９Ｂからアウターキャップ１３の
開放孔１３Ｄ内へ噴出される。

【００２８】一方、前記燃料の噴出に合わせ、アウター
キャップ１３のスリット溝１３Ｊには、空気が供給され
る。この空気は、スリット溝１３Ｊから空気溝２０内を
流下し、空気溝２０の先端からアウターキャップ１３の
開放孔１３Ｄ内へ流出する。

【００２９】以上によると、噴孔９Ｂからアウターキャ
ップ１３の開放孔１３Ｄ内へ噴出される燃料に対し、空
気溝２０を介して空気を斜め方向から供給し、燃料に対
して定められた斜め方向位置であって且つ噴孔９Ｂから
比較的に離れた位置において空気を衝突させたので、燃
料を効果的に微粒化できるとともに適正な燃料フォーム
とすることができる。

【００３０】そして本発明にあっては、特にバルブシー
ト９の外周に配置したインナープレート１２を、筒部１
２Ａと円錐筒部１２Ｄとよりなる薄肉筒状とし、円錐筒
部１２Ｄと、アウターキャップ１３の円錐凹部１３Ａに
穿設した傾斜溝１３Ｋとによって円錐凹部１３Ａの傾斜
に略沿った斜め方向の空気溝２０を形成したので、イン
ナープレート１２は肉厚部分を有することなく単なる薄
肉の筒形状を成せばよいもので、インナープレート１２
の製造は、パイプ材の絞り、プレス加工、射出成形、等
極めて簡単にして安価にできるものである。又、インナ
ープレート１２を薄くできたことは、アウターキャップ
１３を嵌合配置したことによっても外径方向が大径化す
ることがなく、コンパクトなエアアシスト電磁式燃料噴
射弁を提供できる。

【００３１】ここで、一般的に実用に供される機関、１
気筒当りの気筒容積１００〜７００cm3 であって吸気弁
を２個有するものにおいて、電磁式燃料噴射弁から噴出
される燃料フォーム角度Ｅは、機関の吸気弁に対し燃料
が効果的に指向すること、及び吸気管の内壁にできるだ
け燃料が付着しないこと、を考慮して１０度〜３０度と
なるよう設定される。（燃料フォーム角度Ｅは図５に示
される）

【００３２】一方、電磁式燃料噴射弁から噴出される燃
料に対して空気を供給して衝突させるエアアシスト電磁
式燃料噴射弁において、燃料に対して空気が衝突するこ
とによって、燃料と空気との衝突点において、燃料フォ
ームは楕円形状となる。（楕円形状は図６に示される）
そして、前述した如く燃料の吸気弁に対する指向性及び
吸気管の内壁への非付着性を考慮した際、燃料と空気と
の衝突点Ｐにおける効果的な燃料フォームの楕円形状
は、空気が衝突する方向Ｆとそれに直交する方向Ｇにお
ける燃料フォームの楕円比率（ｄＧ／ｄＦ）は、テスト
の結果１．９以下とすることが好ましいことが判明し
た。

【００３３】そして、本発明のエアアシスト電磁式燃料
噴射弁において、燃料と空気との衝突点Ｐにおける燃料
フォームの楕円比率（ｄＧ／ｄＦ）は、空気溝２０（傾
斜溝１３Ｋである）の溝長手方向軸線Ｌ−Ｌと、弁体１
０の長手方向軸線Ｘ−Ｘとの交差角Ｊ、いいかえると、
弁体１０の長手方向軸線Ｘ−Ｘに対する空気溝２０の溝
長手方向軸線Ｌ−Ｌの突入角度Ｊによって変化するもの
で、本発明におけるエアアシスト電磁式燃料噴射弁にお
いて、アシストエアの突入角度Ｊと燃料フォームの楕円
比率（ｄＧ／ｄＦ）との関係が図７に示される。

【００３４】図７によれば、効果的な燃料フォームの楕
円比率（ｄＧ／ｄＦ）であるところの１．９以下を得る
にはアシストエアの突入角度Ｊを４０度以下に設定しな
ければならないことが理解される。

【００３５】すなわち、前記アシストエアの突入角度Ｊ
を４０度以下に設定する為には、空気溝２０の溝長手方
向軸線Ｌ−Ｌと弁体１０の長手方向軸線Ｘ−Ｘとの交差
角度Ｊを４０度以下にすることによって達成されるもの
で、これによって吸気弁に対して燃料を良好に指向させ
ることができ、更には吸気管の内壁に対して燃料が付着
することが抑止され、良好な機関運転性能を得ることが
できる。

【００３６】又、本発明によれば、アウターキャップ１
３の先端１３Ｃ上に、更に先端Ａに向けて複数（本実施
例においては２個）の位置決めボス１３Ｌを突起して設
けた。そして、アウターキャップ１３、インナープレー
ト１２を含む他の構成部品がエアアシスト電磁式燃料噴
射弁内に装着されて固定された状態において、アウター
キャップ１３の位置決めボス１３Ｌを基準にして、ター
ミナル６の外周を含むハウジング１の中間部外周をアウ
トモールドしてカプラー３０を形成し、このカプラー３
０には図示されぬ位置決め部が一体形成される。（この
位置決め部は図示されていない）以上によると、カプラ
ー３０の位置決め部とアウターキャップ１３の位置決め
ボス１３Ｌとは一定の位置状態に配置されることにな
る。

【００３７】そして、このエアアシスト電磁式燃料噴射
弁は、カプラー３０の位置決め部を基準にして予め定め
られた機関（例えば吸気管、燃料分配管）の一定位置に
装着されるもので、これによると、空気溝２０を含むア
ウターキャップ１３もまた機関の一定位置に配置される
ことになる。従ってアウターキャップ１３に形成される
空気溝２０から加えられる空気によって形成される楕円
形状をなす燃料フォームは、機関の定められた位置及び
方向に対して正確に供給される。

【００３８】図８、図９によって、本発明の第２の実施
例について説明する。図８はエアアシスト電磁式燃料噴
射弁の縦断面図、図９は図８のＸ−Ｘにおける縦断面
図、である。尚、第１の実施例と同一構造部分は同一符
号を使用して説明を省略する。バルブシート９の外径部
９Ｅには、その先端９Ｆから後端９Ｃ側に向けて、その
外周直径Ｂが漸次減少する円錐突部９Ｇが形成される。
一方、インナープレート１２は第１の実施例と同様に薄
肉筒状に形成され、筒状１２Ａと円錐筒部１２Ｄとより
構成されるが、円錐筒部１２Ｄはバルブシート９の円錐
突部９Ｇに当接されるとともにバルブシート９の先端９
Ｆより先端Ａ側に突出する円錐面形状をなす。このイン
ナープレート１２の長手方向の高さＨは、第１の実施例
におけるインナープレート１２の長手方向の高さと同一
に形成されるもので、これによると、インナープレート
１２の円錐筒部１２Ｄが、バルブシート９の円錐突部９
Ｇに当接されて配置されるので、インナープレート１２
の円錐筒部１２Ｄの円錐方向の長さＮは第１の実施例に
おける円錐筒部１２Ｄの円錐方向の長さより長く形成さ
れる。いいかえると、インナープレート１２の先端１２
Ｃを基準にして後端Ｂ側に向かう円錐筒部１２Ｄの長さ
Ｎは第１の実施例に比較して長く形成されることにな
る。

【００３９】そして、インナープレート１２の外周に当
接して配置されるアウターキャツプ１３には、第１の実
施例と同様に、インナープレート１２の円錐筒部１２Ｄ
に当接する円錐凹部１３Ａ、開放孔１３Ｄ、挿入孔１３
Ｇ、スリット溝１３Ｊ、円錐凹部１３Ａに凹設される傾
斜溝１３Ｋが形成され、アウターキャップ１３の円錐凹
部１３Ａがインナープレート１２の円錐突部９Ｇに当接
して配置されることにより空気溝２０が形成される。

【００４０】以上によると、インナープレート１２の円
錐筒部１２Ｄの円錐方向の長さＮを、バルブシート９に
設けた円錐突部９Ｇの長さ分に相当して長くすることが
できるもので、これによって空気溝２０を通過する空気
の流れをより効果的に整流し、正確に空気溝２０に沿っ
た空気流れを噴孔９Ｂより噴出される燃料に加えること
ができる。従って、燃料と空気との衝突点Ｐにおける燃
料フォームを一層正確にして均一な楕円形状とすること
ができ、吸気弁に対する燃料の指向性の向上と、吸気管
に対する燃料付着の低減と、をより効果的に達成するこ
とができる。

【００４１】尚、この第２の実施例において、空気溝の
溝長手方向軸線Ｌ−Ｌと弁体の長手方向軸線Ｘ−Ｘとの
交差角度Ｊを４０度以下とすると、第１の実施例と同様
の効果を奏することができる。

【００４２】又、この第２の実施例において、アウター
キャップの先端に、更に先端Ａ側に向けて複数の位置決
めボスを突起して形成すると、第１の実施例と同様の効
果を奏することができる。尚、図中第１の実施例と同一
構造部分は同一符号を使用した。

【００４３】図１０には第２の実施例が示される。第１
の実施例とは、以下が異なる。５０は弁体であり、その
先端にはバルブシート９の弁座孔９Ａを開閉する弁部５
０Ａを有する。弁座孔９Ａよりバルブシート９の先端９
Ｆに向けて噴孔９Ｐが開孔して穿設されるもので、弁体
５０の弁部５０Ａより先端側には噴孔９Ｐ内に挿入され
るピントル部を有しない。噴孔９Ｐは計量孔としての役
目をなすものでない。そして、バルブシート９の先端９
Ｆには、平板状の計量プレート５１が溶接等によって固
定的に配置されるもので、この計量プレート５１の中心
には１個又は複数の計量孔５１Ａが貫通して穿設され
る。従って、弁体５０の弁部５０Ａがバルブシート９の
弁座孔９Ａを開放すると、燃料は噴孔９Ｐから計量孔５
１Ａを介して噴出されるもので、燃料の計量は、計量孔
５１Ａによって行なわれる。そして、計量孔５１Ａから
噴出される燃料に対し、インナープレート１２の円錐筒
部１２Ｄと、アウターキャップ１３の円錐凹部１３Ａに
穿設された傾斜溝１３Ｋによって形成される空気溝２０
を介して斜め方向から空気が吹きつけられる。本実施例
によれば、計量孔５１Ａが穿設された計量プレート方式
のものにあっても容易に実施することが可能なことが理
解される。尚、第１の実施例と同一構造部分は同一符号
を使用した。

【００４４】

【発明の効果】以上の如く、本発明になるエアアシスト
電磁式燃料噴射弁は、バルブシートの外周に当接して配
置したインナープレートの円錐筒部とインナープレート
の外周に当接して配置したアウターキャップの円錐凹部
に凹設した傾斜溝とにより、弁体の長手方向軸線に対し
て交差する空気溝を形成し、この空気溝を介して燃料に
斜め方向から空気を加えたので、燃料の微粒化を達成で
きるとともに吸気弁に対する燃料の指向性の向上と、吸
気管の内壁への燃料付着が抑止され、そのうち特に空気
溝がバルブシートの外周に嵌合配置される薄肉筒状のイ
ンナープレートと、それに嵌合配置されるアウターキャ
ップとによって構成されるのでインナープレートの製造
を極めて安価にして簡単に行なえるものでエアアシスト
電磁式燃料噴射弁の製造コストを低減できたものであ
る。又、インナープレートは薄肉形状でよいもので、こ
れによると外径方向を小径化できて、コンパクトなエア
アシスト電磁式燃料噴射弁を提供できる。

【００４５】又、コンパクトに、その先端から後端側に
向けて外周直径が漸次増加する円錐突部を設け、インナ
ープレートに形成する円錐筒部の後端側の一部をバルブ
シートの円錐突部に嵌合して配置したことによると、イ
ンナープレートの長手方向の高さを増すことなく、イン
ナープレートの円錐筒部の円錐方向の長さを長くでき
る。これによると、より一層正確にして且つ均一な燃料
フォームの楕円形状を得ることができる。

【００４６】空気溝の長手方向軸線と弁体の長手方向軸
線との交差角度を４０度以下に形成したことによると、
噴孔から噴出される燃料と空気溝から加えられる空気と
の衝突点における燃料フォームの楕円比率を１．９以下
とすることができたもので、特に吸気弁を２個備えた機
関における吸気弁に対する燃料の指向性を向上できると
ともに吸気管の内壁への燃料の付着性を改善でき、機関
の運転性の向上を達成できた。

【００４７】又、アウターキャップの先端に位置決めボ
スを形成したことによると、エアアシスト電磁式燃料噴
射弁の基準位置に対して、アウターキャップによって形
成される空気溝を一定位置に形成することができ、エア
アシスト電磁式燃料噴射弁の基準位置に応じて機関の一
定位置に取着されると、エアアシスト電磁式燃料噴射弁
より噴出される楕円形状をなす燃料フォームは予め定め
られた位置に対して正確に燃料を供給できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になるエアアシスト電磁式燃料噴射弁の
一実施例を示す縦断面図。

【図２】図１のＸ−Ｘ線におけるエアアシスト電磁式燃
料噴射弁の要部縦断面図。

【図３】図１のＹ−Ｙ線における拡大横断面図。

【図４】図１の拡大下部平面図。

【図５】噴孔より噴出される燃料と空気溝から加えられ
る空気との流れを示す説明図。

【図６】燃料と空気との衝突点における燃料フォーム。

【図７】燃料フォームの楕円比率とアシストエアの突入
角度との関係を示す線図。

【図８】本発明になるエアアシスト電磁式燃料噴射弁の
第２の実施例を示す縦断面図。

【図９】図８のＸ−Ｘにおける要部縦断面図。

【図１０】本発明になるエアアシスト電磁式燃料噴射弁
の第３の実施例を示す縦断面図。

【符号の説明】

９ バルブシート ９Ｃ バルブシートの後端 ９Ｅ バルブシートの外径部 ９Ｆ バルブシートの先端 ９Ｇ 円錐突部 １０ 弁体 １２ インナープレート １２Ａ 筒部 １２Ｃ インナープレートの先端 １２Ｄ 円錐筒部 １３ アウターキャップ １３Ａ 円錐凹部 １３Ｂ 円錐凹部の先端 １３Ｃ アウターキャップの先端 １３Ｄ 開放孔 １３Ｅ 円錐凹部の後端 １３Ｆ アウターキャップの後端 １３Ｇ 挿入孔 １３Ｊ スリット溝 １３Ｋ 傾斜溝 ２０ 空気溝

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング内に配置された電磁コイルへ
   の通電によって可動コアが駆動され、可動コアと一体的
   に移動する弁部によりハウジングの先端部に配置された
   バルブシートの弁座孔を開閉制御し、弁座孔の下流側に
   ある噴孔より燃料を噴射する電磁式燃料噴射弁におい
   て、インナープレート１２は、薄肉筒状に形成され、バ
   ルブシート９の外径部９Ｅに当接される筒部１２Ａと、
   筒部１２Ａの先端から更に先端Ａ側に向かって突出し、
   先端１２Ｃに向かうにつれてその直径Ａが漸次減少する
   円錐筒部１２Ｄと、により形成され、アウターキャップ
   １３は、インナープレート１２の円錐筒部１２Ｄに当接
   する円錐凹部１３Ａと、円錐凹部１３Ａの先端１３Ｂか
   らアウターキャップ１３の先端１３Ｃに向かって開口す
   る開放孔１３Ｄと、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅからア
   ウターキャップ１３の後端１３Ｆに向かって開口する挿
   入孔１３Ｇと、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅ側からアウ
   ターキャップ１３の後端１３Ｆ側の外周１３Ｈに向かっ
   て開口するスリット溝１３Ｊと、を備えるとともに円錐
   凹部１３Ａには、円錐凹部１３Ａの傾斜に略沿い、その
   先端が開放孔１３Ｄに連なり、後端がスリット溝１３Ｊ
   に連なる傾斜溝１３Ｋを穿設し、前記インナープレート
   の筒部１２Ａをバルブシート９の外径部９Ｅに嵌合する
   ことにより円錐筒部１２Ｄをバルブシート９の先端９Ｆ
   より更に先端Ａ側に向けて突出して配置し、一方、前記
   アウターキャップ１３をインナープレート１２に嵌合す
   ることにより、インナープレート１２の円錐筒部１２Ｄ
   とアウターキャップ１３の傾斜溝１３Ｋを含む円錐凹部
   １３Ａとにより、先端が開放孔１３Ｄに連なり後端がス
   リット溝１３Ｊに連なる空気溝２０を形成したことを特
   徴とするエアアシスト電磁式燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 ハウジング内に配置された電磁コイルへ
   の通電によって可動コアが駆動され、可動コアと一体的
   に移動する弁部によりハウジングの先端部に配置された
   バルブシートの弁座孔を開閉制御し、弁座孔の下流側に
   ある噴孔より燃料を噴射する電磁式燃料噴射弁におい
   て、バルブシート９には、先端９Ｆから後端９Ｃ側に向
   けて外周直径Ｂが漸次増加する円錐突部９Ｇを設け、イ
   ンナープレート１２は、薄肉筒状に形成され、バルブシ
   ート９の外径部９Ｅに当接される筒部１２Ａと、筒部１
   ２Ａの先端から更に先端Ａ側に向かって突出し、先端１
   ２Ｃに向かうにつれてその直径Ａが漸次減少する円錐筒
   部１２Ｄと、により形成され、アウターキャップ１３
   は、インナープレート１２の円錐筒部１２Ｄに当接する
   円錐凹部１３Ａと、円錐凹部１３Ａの先端１３Ｂからア
   ウターキャップ１３の先端１３Ｃに向かって開口する開
   放孔１３Ｄと、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅからアウタ
   ーキャップ１３の後端１３Ｆに向かって開口する挿入孔
   １３Ｇと、円錐凹部１３Ａの後端１３Ｅ側からアウター
   キャップ１３の後端１３Ｆ側の外周１３Ｈに向かって開
   口するスリット溝１３Ｊと、を備えるとともに円錐凹部
   １３Ａには、円錐凹部１３Ａの傾斜に略沿い、その先端
   が開放孔１３Ｄに連なり、後端がスリット溝１３Ｊに連
   なる傾斜溝１３Ｋを穿設し、前記インナープレートの筒
   部１２Ａをバルブシート９の外径部９Ｅに嵌合するとと
   もに円錐筒部１２Ｄの後端１２Ｂ側をバルブシート９の
   円錐突部９Ｇに嵌合することにより円錐筒部１２Ｄをバ
   ルブシート９の先端９Ｆより更に先端Ａ側に向けて突出
   して配置し、一方、前記アウターキャップ１３をインナ
   ープレート１２に嵌合することにより、インナープレー
   ト１２の円錐筒部１２Ｄとアウターキャップ１３の傾斜
   溝１３Ｋを含む円錐凹部１３Ａとにより、先端が開放孔
   １３Ｄに連なり後端がスリット溝１３Ｊに連なる空気溝
   ２０を形成したことを特徴とするエアアシスト電磁式燃
   料噴射弁。
3. 【請求項３】 前記、空気溝２０の溝長手方向軸線Ｌ−
   Ｌと弁体１０の長手方向軸線Ｘ−Ｘとの交差角度Ｊを４
   ０度以下としたことを特徴とする請求項１及び請求項２
   記載のエアアシスト電磁式燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 前記アウターキャップの先端１３Ｃに、
   更に先端Ａ側に向けて複数の位置決めボス１３Ｌを突起
   して形成したことを特徴とする請求項１及び請求項２記
   載のエアアシスト電磁式燃料噴射弁。