JPH09227933A - ステンレス鋼の熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

ステンレス鋼の熱処理方法および熱処理装置

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JPH09227933A
JPH09227933A JP6185896A JP6185896A JPH09227933A JP H09227933 A JPH09227933 A JP H09227933A JP 6185896 A JP6185896 A JP 6185896A JP 6185896 A JP6185896 A JP 6185896A JP H09227933 A JPH09227933 A JP H09227933A
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JP
Japan
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stainless steel
scale
heat treatment
heating
peeling
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JP6185896A
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English (en)
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Takeshi Yamamura
武 山村
Takeo Nihei
武男 二瓶
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DAIDO STAINLESS KK
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DAIDO STAINLESS KK
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間加工工程の処理速度に対応できるととも
に、熱処理後においても冷間加工後と同程度の光沢が得
られるステンレス鋼の熱処理方法および熱処理装置を提
供する。 【解決手段】 冷間加工されたステンレス線材Sに、ス
ケール剥離剤を付着させてから大気雰囲気中で誘導加熱
や通電加熱により短時間加熱し、ついでその加熱された
ステンレス線材Sを冷却液により急冷して、スケールを
剥離・除去することにより光沢肌とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はステンレス鋼の熱処
理方法および熱処理装置に関する。さらに詳しくは、加
熱によりステンレス鋼表面に生成するスケールが容易に
除去される熱処理方法および熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼の冷間加工後には、その冷
間加工によりステンレス鋼内に生じた残留応力を除去す
るために熱処理の一種である焼鈍がなされている。従
来、この焼鈍は、ステンレス鋼表面の光沢を失わさせる
酸化被膜を形成させないために、還元性雰囲気下で輻射
熱により加熱する方式によりなされている。
【0003】しかしながら、この輻射熱による加熱は加
熱効率が低く、そのためこの加熱工程における処理速度
はせいぜい毎分数十メートルである。しかるに、冷間加
工における伸線速度は毎分数百メートルであるため、冷
間加工工程から焼鈍工程に連続的に移行させることはで
きないという問題がある。また、そのため生産性の低下
を招来しているという問題もある。
【0004】しかして、かる状況下で前記冷間加工工程
から生産されてくる線材を、処理量を減少させることな
く処理しようとすれば、多数の線材を並べて焼鈍処理を
することとなり、広い作業面積が必要になるという別の
問題を生ずる。
【0005】さらに、焼鈍の際に酸化被膜が形成された
場合、その除去はソーダ洗浄によりなされているため
に、装置が大型化するとともに、排水処理が煩雑かつ高
コストであるという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の課題に鑑みなされたものであって、焼鈍などの熱処
理の際に、ステンレス鋼表面に形成されるスケールを容
易に剥離・除去されるようにすることにより焼鈍などの
熱処理を簡素化できるステンレス鋼の熱処理方法および
熱処理装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等はかかる従来
技術の課題につき鋭意研究した結果、冷間加工されたス
テンレス線材表面に有機酸を主成分とする液を付着させ
てから、大気雰囲気中で誘導加熱や通電加熱によりごく
短時間加熱し、ついでその加熱された線材をただちに冷
却液で液冷すると、線材の表面に形成された酸化被膜が
ほとんど除去され、ステンレス鋼の光沢が回復されるこ
とを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされた
ものである。
【0008】すなわち、本発明のステンレス鋼の熱処理
方法は、ステンレス鋼を加熱により生成されるスケール
が剥離しやすくなるようにして加熱すること、例えば、
ステンレス鋼にスケール剥離促進剤を付着させて加熱す
ることを特徴とする。
【0009】本発明のステンレス鋼の熱処理方法におい
ては、前記加熱が大気雰囲気または酸化性雰囲気におい
てなされるのが好ましく、また加熱されたステンレス鋼
の組成を大気雰囲気または酸化性雰囲気中において調整
するのが好ましい。
【0010】また、本発明のステンレス鋼の熱処理方法
においては、ステンレス鋼表面のスケールはステンレス
鋼を冷却して剥離・除去される。
【0011】さらに、本発明のステンレス鋼の熱処理方
法においては、スケールが剥離・除去されて得られた光
沢肌の変色防止が図られてなるのが好ましい。
【0012】本発明のステンレス鋼の熱処理方法は、具
体的には、ステンレス鋼にスケール剥離促進剤を付着さ
せる手順と、前記スケール剥離促進剤が付着したステン
レス鋼を大気雰囲気または酸化性雰囲気で加熱する加熱
手順と、前記ステンレス鋼の加熱により生成されたスケ
ールをステンレス鋼を冷却して剥離・除去するスケール
剥離手順とを含んでなることを特徴とする。
【0013】ここで、本発明のステンレス鋼の熱処理方
法においては、加熱されたステンレス鋼を大気雰囲気ま
たは酸化性雰囲気中を通過させてその組成を調整する組
成調整手順および/またはスケール剥離手順後において
も残存しているスケールを強制的に除去する残存スケー
ル除去手順が付加されてなるのが好ましく、また前記酸
化性雰囲気が酸素供給による酸素リッチ雰囲気とされて
いるのが好ましく、さらに前記スケール剥離促進剤が酸
を含有し、また前記冷却が酸を含有する冷却液によりな
されるのが好ましい。
【0014】そして、前記熱処理が、例えばステンレス
鋼の冷間加工に引き続いて連続的になされる。
【0015】一方、本発明のステンレス鋼の熱処理装置
は、スケール剥離剤付着手段と、加熱手段と、組成調整
手段と、スケール剥離手段とを備えるステンレス鋼の熱
処理装置であって、前記スケール剥離剤付着手段により
ステンレス鋼にスケール剥離剤が付着させられ、前記加
熱手段によりステンレス鋼が大気雰囲気中または酸素リ
ッチ雰囲気中で加熱され、前記スケール剥離手段により
加熱されたステンレス鋼が冷却されてスケールが剥離・
除去されることを特徴とする。
【0016】本発明のステンレス鋼の熱処理装置におい
ては、前記組成調整手段が酸素供給機構を有してなるの
が好ましく、また前記熱処理装置が、さらに残存スケー
ル除去手段を備え、この残存スケール除去手段によりス
テンレス鋼表面に残存するスケールが除去されるのが好
ましい。
【0017】また、本発明のステンレス鋼の熱処理装置
においては、スケールが剥離・除去されて得られた光沢
肌が変色するのを防止する変色防止手段が付加されてな
るのが好ましい。
【0018】ここで、前記変色防止手段は、例えば洗浄
機構と乾燥機構とを備え、前記洗浄機構により少なくと
もステンレス鋼に付着している冷却液が洗浄・除去さ
れ、前記乾燥機構により冷却液が洗浄・除去されたステ
ンレス鋼の乾燥がなされるものとされる。
【0019】
【作用】冷間加工によりステンレス鋼に生じた残留応力
は加熱工程において除去され、またステンレス鋼表面に
は、例えば剥離促進剤が塗布されているので、加熱によ
りステンレス鋼表面に生成したスケールは、冷却液によ
り急冷されることによりステンレス鋼表面から容易に剥
離・除去される。それにより、ステンレス鋼表面は光沢
肌となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて説明するが、本発明はかかる実施の形態のみに限定
されるものではない。
【0021】この発明の実施の形態は、引き抜き加工さ
れたステンレス線材の熱処理に関するものであって、こ
の熱処理は、ステンレス線材表面にスケール剥離促進
剤を付着させる手順(スケール剥離促進剤付着手順)、
スケール剥離促進剤が付着したステンレス線材を大気
雰囲気または酸化性雰囲気で加熱する手順(加熱手
順)、加熱されたステンレス線材を大気雰囲気中また
は酸化性雰囲気中を通過させて組成を調整する手順(組
成調整手順)、大気雰囲気中または酸化性雰囲気中を
通過した加熱ステンレス線材を冷却液と接触させてスケ
ールを剥離・除去させる手順(スケール剥離手順)、
スケールが剥離・除去されたステンレス線材を洗浄する
手順(洗浄手順)、洗浄されたステンレス線材を乾燥
する手順(乾燥手順)を主要手順としている。そして、
これらの手順はステンレス線材の引き抜き加工に引き続
いて連続的になされてもよい。
【0022】以下、これらの手順について逐次説明す
る。
【0023】(1)スケール剥離促進剤付着手順 この手順は、伸線装置により伸線されたステンレス線材
に、加熱の際にステンレス線材表面に生成するスケール
を剥離・除去しやすい組成、例えば鱗状組成とするため
に設けられているものである。このスケール剥離促進剤
のステンレス線材への付着は、例えば、スケール剥離促
進剤をステンレス線材へ吹き付けることによりなされ
る。あるいは、ステンレス線材をスケール剥離促進剤に
浸漬することによりなされる。
【0024】また、スケールを前記状態とするスケール
剥離促進剤としては、例えば酸を含有する薬液が用いら
れる。酸を含有する薬液の中でも、酢酸やクエン酸など
の有機酸を主成分とする酸が、排水処理が容易である点
から望ましい。その具体例としては、酢酸:20vol%,
クエン酸:10vol%,塩酸:3vol%の混合溶液があげら
れる。なお、前記割合は、ステンレス鋼の種類および線
材のサイズに応じて適宜調整される。
【0025】(2)加熱手順 この手順は、伸線加工によりステンレス線材に生じた残
留応力を除去するために設けられているものである。そ
のため、この加熱は、例えば通電加熱あるいは誘導加熱
により加熱温度を、例えばオーステナイト系ステンレス
線材にあっては1100〜1200℃程度としてなされ
る。そして、この加熱時間は、前記スケール剥離促進剤
による効果が発揮できる時間とされる。より具体的に
は、この加熱時間は、100秒を超えない範囲で、後述
する酸素濃度を考慮して、ステンレス鋼の種類および線
材のサイズに応じて適宜調整される。なお、加熱時間
が、例えば150秒を超えた場合には、生成されるスケ
ールの厚さが厚くなりすぎ、後の液冷手順においてスケ
ールの剥離・除去が容易でなくなり、あるいは最悪の場
合には、剥離・除去がなされなくなるので好ましくな
い。
【0026】また、この加熱は、前記スケール剥離促進
剤の効果を発揮させるために、大気雰囲気においてなさ
れる。ここで、前記スケール剥離促進剤の効果を促進さ
せる場合には、加熱は酸化性雰囲気においてなされる。
この酸化性雰囲気の形成は、例えば加熱領域に酸素を吹
き込むことによりなされる。なお、この酸化性雰囲気の
酸素濃度は、加熱時間、ステンレス鋼の種類および線材
のサイズに応じて適宜調整される。
【0027】(3)組成調整手順 この手順は、加熱されたステンレス線材を大気雰囲気中
あるいは酸化性雰囲気中を通過させることにより加熱手
順におけるスケールの組成変化時間の不足を補充するた
めに設けられているものである。そのため、加熱手順に
おいてスケールが所望組成に変化している場合には、こ
の組成調整手順は設けられるには及ばない。また、この
組成調整時間は、加熱手順におけるスケールの組成変化
の程度、および組成調整領域の酸素濃度を考慮して適宜
調整される。
【0028】(4)スケール剥離手順 この手順は、加熱されたステンレス線材を冷却液により
急冷し、スケールをステンレス線材の表面から剥離・除
去して、光沢肌とするために設けられているものであ
る。この冷却液としては、例えば、工業用水、酸を含有
する冷却液などが用いられる。その中でも、酸を含有す
る冷却液が、スケールと反応して水素ガスを発生させ、
その水素ガスによる膨潤作用によりスケールの剥離・除
去効果が大きいところから好ましい。さらに、その酸を
含有する冷却液の中でも、酢酸、クエン酸などの有機酸
を主成分とする冷却液が、廃液処理が容易である点から
好ましい。そして、この手順おけるスケールの剥離は、
例えばステンレス線材に冷却液を吹き付けたり、あるい
はステンレス線材を冷却液に浸漬することによりなされ
る。
【0029】しかして、このスケール剥離手順で、ステ
ンレス線材の表面に生成したスケールの大部分は剥離・
除去され、ステンレス線材表面に光沢肌が得られる。な
お、スケールが部分的に残存した場合は、高圧ジェット
水流や気流を吹き付けたり、あるいはブラッシングした
りして残存スケールの除去がなされる。そして、それに
よりステンレス線材表面が完全な光沢肌とされる。
【0030】なお、このスケール剥離手順では、使用す
る冷却液のコストを低減する観点から、スケールを剥離
させた後の昇温した液を冷却装置により冷却後、再使用
するのが好ましい。この再使用は、冷却液として酸を含
有するものが用いられた場合に特に有用である。
【0031】(5)洗浄手順 この手順は、スケール剥離手順においてステンレス線材
表面に付着した冷却液などの作用により、ステンレス線
材表面が変色するのを防ぐために設けられているもので
ある。この洗浄は、例えば工業用水の吹き付け、あるい
は蒸気噴霧によりなされる。
【0032】(6)乾燥手順 この手順は、洗浄によりステンレス線材表面に付着した
水分を除去するために設けられているものである。この
乾燥は、例えばエアーブローによりなされる。
【0033】なお、この洗浄手順および乾燥手順によ
り、ステンレス線材の変色が確実に防止される。
【0034】図1は、かかる熱処理手順を実行するため
に構成されたステンレス線材の熱処理装置の一例のブロ
ック図である。そして、この熱処理装置1は、伸線装置
2のステンレス線材Sの出口に臨ませて設けられてい
る。
【0035】この熱処理装置1は、図1に示すようにス
ケール剥離剤付着手段11と、加熱手段12と、組成調
整手段13と、スケール剥離手段14と、洗浄手段15
と、乾燥手段16とを主要構成要素とするとともに、こ
れらの手段11,…,16がこの順でシリーズに配設さ
れてなるものである。なお、これら各手段11,…,1
6は、図示しない制御装置により制御されている。
【0036】スケール剥離剤付着手段11は、例えばス
ケール剥離剤吹き付け装置11Aとされ、この吹き付け
装置11Aによりスケール剥離剤が吹き付けられている
中をステンレス線材Sが通過させられることによりステ
ンレス線材S表面にスケール剥離剤が付着する。この吹
き付け装置11Aは、具体的には図2に示すように、ス
ケール剥離剤貯蔵タンク111と、ヘッダ112と、ス
プレー装置113と、スケール剥離剤貯蔵タンク111
からスケール剥離剤を昇圧してヘッダ112に供給する
供給ポンプ114と、スプレー装置113からステンレ
ス線材Sに吹き付けされたスケール剥離剤を回収する回
収容器115と、これら各装置や機器111,…,11
5を接続している配管116とから構成されている。
【0037】加熱手段12は、例えば大気開放とされて
いる通電加熱装置や誘導加熱装置とされる。そして、こ
の加熱手段12により前述したようにステンレス線材S
は、伸線加工により生じた内部応力が除去される温度ま
で昇温される。また、この際に生成されるスケールは、
スケール剥離剤や大気中の酸素の影響により剥離・除去
しやすい組成のものとなる。なお、通電加熱装置や誘導
加熱装置は、従来よりこの種の加熱に用いられている通
電加熱装置や誘導加熱装置と同様とされているので、そ
の図示説明は省略する。なお、加熱手段12はこれらに
限定されるものではなく、例えばレーザ加熱装置とする
こともできる。
【0038】組成調整手段13は、例えば大気が一定方
向に流動させらている筒状体13A(図3参照)とさ
れ、そしてこの筒状体13Aの内部をステンレス線材S
が通過するようにされている。この筒状体13Aのサイ
ズおよび大気の流動速度は、ステンレス線材Sの種類、
サイズおよび移動速度に応じて適宜選定される。
【0039】スケール剥離手段14は、例えば冷却液吹
き付け装置14Aとされ、この吹き付け装置14Aによ
り冷却液が吹き付けられている中をステンレス線材Sが
通過させられることにより、ステンレス線材Sが冷却さ
れ、それによりステンレス線材S表面に形成されたスケ
ールが剥離・除去される。この吹き付け装置14Aは、
具体的には図4に示すように、冷却液貯蔵タンク141
と、ヘッダ142と、スプレー装置143と、冷却液貯
蔵タンク141から冷却液を昇圧してヘッダ142に供
給する供給ポンプ144と、スプレー装置143からス
テンレス線材Sに吹き付けされた冷却液を回収する回収
容器145と、回収された昇温した冷却液を冷却する冷
却器146と、回収された冷却液を冷却器146を通し
て冷却液貯蔵タンク141に回収する回収ポンプ147
と、これら各装置や機器141,…,147を接続して
いる配管148とから構成されている。
【0040】洗浄手段15は、例えば蒸気噴霧装置15
Aとされ、そして、この蒸気噴霧装置15Aにより噴霧
された蒸気中をステンレス線材Sが通過させられること
により、ステンレス線材S表面に付着している冷却液な
どが除去される。この蒸気噴霧装置15Aは、具体的に
は図5に示すように、蒸気供給管151と、噴霧ノズル
152と、ステンレス線材Sを洗浄後のドレンを回収す
るドレン回収容器153とから構成されている。
【0041】乾燥手段16は、例えばエアーブロー装置
16Aとされ、そしてこのエアーブロー装置16Aによ
り噴霧されているエアー中をステンレス線材Sが通過さ
せられることにより、ステンレス線材S表面に付着して
いる水分が除去される。このエアーブロー装置16A
は、具体的には図6に示すように、コンプレッサー16
1と、エアーブローノズル162と、ハウジング163
と、これらを接続しているダクト164とから構成され
ている。
【0042】なお、図1に示す熱処理装置1において
は、前記洗浄手段15および乾燥手段16により変色防
止手段が構成されている。
【0043】図7に示す熱処理装置1Aは、図1に示す
熱処理装置1の一部を改変したものであって、加熱手段
12および組成調整手段13のそれぞれに酸素供給機構
17,17を付加してなるものである。この酸素供給機
構17は、具体的には図8に示すように、酸素貯蔵タン
ク171と、流量制御弁172と、酸素供給配管173
と、酸素濃度検出装置174とから構成されている。こ
の酸素供給機構17も、図示しない制御装置により制御
されている。このように、この熱処理装置1Aにおいて
は、酸素濃度が高められているので、スケール剥離剤の
作用が促進され、そのため加熱時間が、図1に示す熱処
理装置1による場合に比較して短時間でよくなる。
【0044】図9に示す熱処理装置1Bは、図7に示す
熱処理装置1Aの一部を改変したものであって、スケー
ル剥離手段14の下流側に残存スケール除去手段18を
配設してなるものである。この残存スケール除去手段1
8は、例えば除去媒体吹き付け装置18Aとされ、この
除去媒体吹き付け装置18Aにより除去媒体が吹き付け
られている中をステンレス線材Sが通過させられること
により、ステンレス線材S表面に残存しているスケール
が除去される。この除去媒体吹き付け装置18Aは、具
体的には図10に示すように、除去媒体貯蔵タンク18
1と、ヘッダ182と、スプレー装置183と、除去媒
体貯蔵タンク181から除去媒体を昇圧してヘッダ18
2に供給する供給ポンプ184と、スプレー装置183
からステンレス線材Sに吹き付けされた除去媒体を回収
する回収容器185と、これら各装置や機器181,
…,185を接続している配管186とから構成されて
いる。かかる構成とすることにより、残存スケールが確
実に除去され、完全な光沢肌とすることができる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて、
より具体的に説明する。
【0046】実施例1および比較例1 線経が2.4mmのステンレス線材(材質:SUS30
4)に、スケール剥離促進剤(チップトン(株)製、K
S100(商品名)の30%水溶液)を付着させ、大気
雰囲気において1150℃にて90秒間加熱を行った。
しかるのち、冷却液(チップトン(株)製、KS100
(商品名)の30%水溶液)を吹き付けた。その結果、
加熱の際に生成したスケールが、剥離・除去されてステ
ンレス線材表面に良好な光沢肌が得られた(実施例
1)。
【0047】比較のためにステンレス線材にスケール剥
離促進剤を付着させなかった他は実施例1と同様に処理
を行った。しかしながら、加熱の際にステンレス線材表
面に生成したスケールは剥離・除去されず、そのため光
沢肌は得られなかった(比較例1)。
【0048】実施例2〜3 線経が2.4mmのステンレス線材(材質:SUS30
4)に、スケール剥離促進剤(チップトン(株)製、K
S100(商品名)の30%水溶液)を付着させた後、
通電加熱装置によりO2濃度70%雰囲気において、線
速度40m/分として通電加熱を1150℃にて1.0
〜1.5秒間行った。しかるのち、そのステンレス線材
を冷却液(チップトン(株)製、KS100(商品名)
の30%水溶液)に浸漬させた。その結果、加熱の際に
ステンレス線材表面に生成したスケールが剥離・除去さ
れ、良好な光沢肌が得られた(実施例2)。
【0049】線経が2.4mmのステンレス線材(材
質:SUS304)に、スケール剥離促進剤(チップト
ン(株)製、KS100(商品名)の30%水溶液)を
付着させた後、通電加熱装置により大気雰囲気におい
て、線速度40m/分として通電加熱を1150℃にて
1.0〜1.5秒間行った。しかるのち、冷却液(チッ
プトン(株)製、KS100(商品名)の30%水溶
液)を吹き付けた。その結果、加熱の際にステンレス線
材表面に生成したスケールが剥離・除去され、一部斑模
様は認められたものの一応光沢肌が得られた(実施例
3)。
【0050】以上、本発明を実施の形態および実施例に
基づいて説明してきたが、本発明かかかる実施の形態お
よび実施例のみに限定されるものではなく、種々改変が
可能である。例えば、本実施の形態では冷間加工装置は
伸線装置とされたが、押出し成型装置、ロール圧延装置
などとすることもできる。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
冷間加工装置の加工速度に合わせて焼鈍がなし得るとと
もに、焼鈍されたステンレス鋼の光沢を冷間加工後のも
のと同程度に回復させることができるので、生産性の向
上が図られるという優れた効果が得られる。また、熱処
理装置を冷間加工装置と巻き取り装置との間に設置する
とともにソーダ洗浄を行っていないので、ラインを簡素
化できるという優れた効果も得られる。さらに、ソーダ
洗浄を行っていないので、排水処理も簡素化されかつ低
コストになるという優れた効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理方法に用いられる熱処理装置の
一例のブロック図である。
【図2】スケール剥離剤吹き付け装置の一例のブロック
図である。
【図3】筒状体からなる組成調整手段の説明図である。
【図4】冷却液吹き付け装置の一例のブロック図であ
る。
【図5】蒸気噴霧装置の一例のブロック図である。
【図6】エアーブロー装置の一例のブロック図である。
【図7】本発明の熱処理方法に用いられる熱処理装置の
他の例のブロック図である。
【図8】酸素供給機構の一例のブロック図である。
【図9】本発明の熱処理方法に用いられる熱処理装置の
さらに他の例のブロック図である。
【図10】除去媒体吹き付け装置の一例のブロック図で
ある。
【符号の説明】
1 熱処理装置 11 スケール剥離剤付着手段 12 加熱手段 13 組成調整手段 14 スケール剥離手段 14A 冷却液吹き付け装置 15 洗浄手段 16 乾燥手段 17 酸素供給機構 18 残存スケール除去手段 2 伸線装置 3 巻取装置 S ステンレス線材

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼を加熱により生成されるス
    ケールが剥離しやすくなるようにして加熱することを特
    徴とするステンレス鋼の熱処理方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱が大気雰囲気または酸化性雰囲
    気においてなされることを特徴とする請求項1記載のス
    テンレス鋼の熱処理方法。
  3. 【請求項3】 加熱されたステンレス鋼の組成を大気雰
    囲気または酸化性雰囲気中において調整することを特徴
    とする請求項1記載のステンレス鋼の熱処理方法。
  4. 【請求項4】 ステンレス鋼表面のスケールをステンレ
    ス鋼を冷却して剥離・除去することを特徴とする請求項
    1記載のステンレス鋼の熱処理方法。
  5. 【請求項5】 スケールが剥離・除去されて得られた光
    沢肌の変色防止が図られてなることを特徴とする請求項
    4記載のステンレス鋼の熱処理方法。
  6. 【請求項6】 ステンレス鋼にスケール剥離促進剤を付
    着させる手順と、 前記スケール剥離促進剤が付着したステンレス鋼を大気
    雰囲気または酸化性雰囲気で加熱する加熱手順と、 前記ステンレス鋼の加熱により生成されたスケールをス
    テンレス鋼を冷却して剥離・除去するスケール剥離手順
    とを含んでなることを特徴とするステンレス鋼の熱処理
    方法。
  7. 【請求項7】 加熱されたステンレス鋼を大気雰囲気ま
    たは酸化性雰囲気中を通過させてその組成を調整する組
    成調整手順および/またはスケール剥離手順後において
    も残存しているスケールを強制的に除去する残存スケー
    ル除去手順が付加されてなることを特徴とする請求項6
    記載のステンレス鋼の熱処理方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化性雰囲気が酸素供給による酸素
    リッチ雰囲気とされていることを特徴とする請求項2ま
    たは6記載のステンレス鋼の熱処理方法。
  9. 【請求項9】 前記スケール剥離促進剤が酸を含有する
    ことを特徴とする請求項6記載のステンレス鋼の熱処理
    方法。
  10. 【請求項10】 前記冷却が酸を含有する冷却液により
    なされることを特徴とする請求項4または6記載のステ
    ンレス鋼の熱処理方法。
  11. 【請求項11】 前記熱処理がステンレス鋼の冷間加工
    に引き続いて連続的になされることを特徴とする請求項
    1ないし10のいずれか一つに記載のステンレス鋼の熱
    処理方法。
  12. 【請求項12】 スケール剥離剤付着手段と、加熱手段
    と、組成調整手段と、スケール剥離手段とを備えるステ
    ンレス鋼の熱処理装置であって、 前記スケール剥離剤付着手段によりステンレス鋼にスケ
    ール剥離剤が付着させられ、 前記加熱手段によりステンレス鋼が大気雰囲気中または
    酸素リッチ雰囲気中で加熱され、 前記スケール剥離手段により加熱されたステンレス鋼が
    冷却されてスケールが剥離・除去されることを特徴とす
    るステンレス鋼の熱処理装置。
  13. 【請求項13】 前記組成調整手段が酸素供給機構を有
    してなることを特徴とする請求項12記載のステンレス
    鋼の熱処理装置。
  14. 【請求項14】 前記熱処理装置が、さらに残存スケー
    ル除去手段を備え、該残存スケール除去手段によりステ
    ンレス鋼表面に残存するスケールが除去されることを特
    徴とする請求項12記載のステンレス鋼の熱処理装置。
  15. 【請求項15】 スケールが剥離・除去されて得られた
    光沢肌が変色するのを防止する変色防止手段が付加され
    てなることを特徴とする請求項12記載のステンレス鋼
    の熱処理装置。
  16. 【請求項16】 前記変色防止手段が洗浄機構と乾燥機
    構とを備え、 前記洗浄機構により少なくともステンレス鋼に付着して
    いる冷却液が洗浄・除去され、 前記乾燥機構により冷却液が洗浄・除去されたステンレ
    ス鋼の乾燥がなされることを特徴とする請求項15記載
    のステンレス鋼の熱処理装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100389155B1 (ko) * 1999-11-16 2003-06-25 최오영 Pvc 피복 융착 철선의 제조방법
KR20030082705A (ko) * 2002-04-18 2003-10-23 희성금속 주식회사 인동납재의 제조방법
JP2013134022A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 水蒸気酸化スケールの除去方法

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