JPH09218505A - 感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法 - Google Patents

感光性平版印刷版原版および平版印刷版の製造方法

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JPH09218505A
JPH09218505A JP2708196A JP2708196A JPH09218505A JP H09218505 A JPH09218505 A JP H09218505A JP 2708196 A JP2708196 A JP 2708196A JP 2708196 A JP2708196 A JP 2708196A JP H09218505 A JPH09218505 A JP H09218505A
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JP
Japan
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hydrophilic
groups
water
photosensitive
acrylate
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Pending
Application number
JP2708196A
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English (en)
Inventor
Masanao Isono
正直 磯野
Kenichi Tabata
憲一 田畑
Norimasa Ikeda
憲正 池田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インキ反撥性に優れた感光性平版印刷版原版を
得る。 【解決手段】本発明は、基板上に感光性の親水性膨潤層
をそなえ、該親水性膨潤層が親水性のエチレン性不飽和
化合物を含有することを特徴とする感光性平版印刷版に
関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性平版印刷版原
版に関するものであり、不感脂化処理を行なうことなく
高いインキ反撥性を有し、湿し水として純水を使用でき
る新規な感光性平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷とは、画線部と非画線部とを基
本的にほぼ同一平面に存在させ、画線部をインキ受容
性、非画線部をインキ反撥性として、インキの付着性の
差異を利用して、画線部のみにインキを着肉させた後、
紙等の被印刷体にインキを転写して印刷する方式を意味
する。またこのような平版印刷には通常、PS版が用い
られる。
【0003】ここで言うPS版とは、下記のものを意味
する。
【0004】すなわち、米澤輝彦著「PS版概論」
(株)印刷学会出版部(1993)p18〜p81に記
載されているように、親水化処理されたアルミニウム基
板上に親油性の感光性樹脂層を塗布し、フォトリソグラ
フィの技術により画線部は感光層が残存し、一方非画線
部は上記したアルミ基板表面が露出し、該表面に湿し水
層を形成してインキ反撥し、画像形成する水ありPS版
と、湿し水層の代わりにシリコーンゴム層をインキ反撥
層として用いる水なしPS版、いわゆる水なし平版であ
る。
【0005】ここで言う水なし平版とは、非画線部がシ
リコ−ンゴム、含フッ素化合物などの通常平版印刷で用
いられる油性インキに対してインキ反撥性を有する物質
からなり、湿し水を用いずにインキ着肉性の画線部との
間で画像形成し、印刷可能な印刷版を意味する。
【0006】前者の水ありPS版は実用上優れた印刷版
で、支持体に通常アルミニウムが用いられ、該アルミニ
ウム表面は保水性を有するとともに印刷中に親油性の感
光性樹脂層が該表面から剥離脱落しないように感光層と
の接着性に優れている必要があった。そのため、該アル
ミニウム表面は通常砂目立てされ、さらに必要に応じて
この砂目立てされた表面を陽極酸化するなどの処理が施
され、保水性の向上と該感光性樹脂層に対する接着性の
補強が計られてきた。また、該感光性樹脂層の保存安定
性を得るために該アルミニウム表面はフッ化ジルコニウ
ム、ケイ酸ナトリウムなどの化学処理が一般的に施され
ている。
【0007】このように水ありPS版は製造工程が複雑
であり、その簡易化が望まれていたが、該版の優れた印
刷特性(耐刷性、画像再現性など)から広く使用されて
いる。
【0008】上記問題を解決すべく、アルミニウム基板
と同等もしくはそれ以上の印刷特性有し、しかも材料コ
ストが安くかつ簡易な製造工程によるアルミニウム基板
とは異なる新規な平版材料の提案がある。例えば、特公
昭56−2938号公報においては、アルミニウム基板
に代えて親水性高分子材料からなるインキ反撥層を塗設
した支持体を用い、該支持体上に感光層を形成する方法
が提案されている。しかしながら、該方法は、ポリ塩化
ビニル、ポリウレタン、ポリビニルアルコールのアルデ
ヒド縮合物の耐水性層上に親水性層として尿素樹脂が単
純塗布されているものであるため、該層はインキ反撥性
が不十分であるうえ、感光性樹脂層との密着性にも劣る
ものであり、耐刷性が不十分なものであった。また、特
開昭57−179852号公報においては、支持体上に
親水性ラジカル重合化合物を塗設し、活性光線の照射に
よって該支持体表面を親水化処理し、感光性樹脂層を塗
設する方法が提案されている。しかしながら、該方法に
よって形成された親水性表面層も剛直でインキ反撥性は
不十分であり、耐刷性にも乏しいものであった。
【0009】またこれらの水ありPS版の現像に際して
は、感光層を溶解してアルミ基板表面を露出させる方式
であるため、感光層成分が現像液中に溶解させることが
必須で、該現像液は短期間に大幅に組成変動が起こり疲
労してしまうため、大量の現像廃液が発生する。
【0010】そのため、該現像液は頻繁にメンテナンス
し交換する必要があった。また発生した現像廃液の処理
には多大な労力と費用が必要であった。
【0011】また、水ありPS版の簡便な形態として、
紙などの支持体上に、トナーなどの画像受理層を有しP
PCを用いて画像形成し、非画像部をエッチ液などで不
感脂化処理して該画像受理層をインキ反撥層に変換させ
て使用する直描型平版印刷原版が広く実用に供されてい
る。具体的には、耐水性支持体上に水溶性バインダポリ
マ、無機顔料、耐水化剤等からなる画像受理層を設けた
ものが一般的で、USP2532865号公報、特公昭
40−23581号公報、特開昭48−9802号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭60−2
309号公報、特開昭57−1791号公報、特開昭5
7−15998号公報、特開昭57−96900号公
報、特開昭57−205196号公報、特開昭63−1
66590号公報、特開昭63−166591号公報、
特開昭63−317388号公報、特開平1−1144
88号公報、特開平4−367868号公報などが挙げ
られる。これらの直描型平版印刷原版は、インキ反撥層
に変換させる画像受理層として、PVA、澱粉、ヒドロ
キシエチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体などのような不感脂化処理す
る以前から親水性を示す水溶性バインダポリマおよびア
クリル系樹脂エマルジョン等の水分散性ポリマ、シリ
カ、炭酸カルシウム等のような無機顔料およびメラミン
・ホルムアルデヒド樹脂縮合物のような耐水化剤で構成
されているものが提案されている。また特開昭63−2
56493号公報などでは、不感脂化処理により加水分
解されて親水性基が発生する疎水性ポリマを主成分とし
て用いる直描型平版印刷原版が提案されている。
【0012】このような直描型平版印刷原版は、いずれ
も画像受理層をインキ反撥層に変換するために、不感脂
化処理が必須であり、該処理なしではインキ反撥性を殆
ど示さない性質のものであった。
【0013】すなわち、実用レベルのインキ反撥性を得
るためには、不感脂化処理および、親水性バインダポリ
マを大量に使用する必要があるが、耐水性に劣る傾向に
あり印刷耐久性が低下する。また親水性を高めるとトナ
ーなどの画像との接着性が低下する傾向にあるなどの問
題点があった。一方、印刷耐久性を向上するために耐水
化剤の添加量を多くしたり疎水性ポリマを添加したりし
て耐水性を増大させると、親水性が低下し、インキ反撥
性が大幅に低下してしまう問題点があった。
【0014】また、ユニオンカーバイド社が開発した親
水性/疎水性変換反応を利用した現像、ラッカー盛りお
よび不感脂化処理が一切不要な、いわゆる露光のみの一
工程版の技術が、特公昭42−131号公報、特公昭4
2−5365号公報、特公昭42−14328号公報、
特公昭42−20127号公報、USP3231377
号公報、USP3231381号公報、USP3231
382号公報などによって開示されている。該版はポリ
エチレンオキサイドとフェノール樹脂の会合体を感光剤
とともに塗設したものであるが、非画線部が剛直で柔軟
性に劣りインキ反撥性が不十分であり、また非画線部と
画線部との間でのインキ反撥/インキ着肉差が小さく、
実用性に乏しいものであった。
【0015】さらに、水ありPS版は印刷に際して湿し
水の量を常時コントロールする必要があり、適性な湿し
水量を制御するには相当の技術や経験が必要とされてき
た。また、湿し水に必須成分として添加されるIPA
(イソプロパノール)が近年、労働衛生環境や廃水処理
の立場から使用が厳しく規制される方向にあり、その対
策が急務となっている。
【0016】一方、後者の湿し水の代わりにシリコーン
ゴム層をインキ反撥層とする水なしPS版の場合、特公
昭54−26923号公報、特公昭57−3060号公
報、特公昭56−12862号公報、特公昭56−23
150号公報、特公昭56−30856号公報、特公昭
60−60051号公報、特公昭61−54220号公
報、特公昭61−54222号公報、特公昭61−54
223号公報、特公昭61−616号公報、特公昭63
−23544号公報、特公平2−25498号公報、特
公平3−56622号公報、特公平4−28098号公
報、特公平5−1934号公報、特開平2−63050
号公報、特開平2−63051号公報などに示されてい
るように湿し水を用いずに印刷できるため、前者の水あ
りPS版で必要な湿し水のコントロール作業がいっさい
必要なく、印刷作業が極めて簡便となることから、近年
急速に普及しつつある実用性の高い版材であるが、イン
キ反撥性層として力学的強度が弱いシリコーンゴム層を
用いるため、耐久性の不足が指摘され、耐久性に優れた
インキ反撥性材料の必要性が強く求められている。また
現像に際しては該シリコーンゴム層をブラシ擦りによっ
て機械的に剥離除去する必要があるため、剥離除去され
たシリコーンゴムかすを含んだ現像廃液が大量に発生す
る。そのため、ブラシの使用寿命が短く頻繁にブラシを
交換する必要がありまた、該シリコーンゴムかすを捕集
廃棄するなどのメンテナンス処置が必要であった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、これら
従来の水ありPS版の平版印刷の湿し水のコントロール
幅の拡大ならびに従来不可能とされてきた湿し水からの
IPAレス化を可能とし、また直描型平版印刷原版のよ
うにPPC方式で画像形成し不感脂化処理するなどの複
雑な製版工程を有することなく、更にシリコーンゴム層
をインキ反撥層とする水なし平版の欠点である耐久性の
不足を解消できる上、従来のPS版で必須であった現像
メンテナンスを必要とせず、また製造工程が簡便な理想
的な平版材料の開発を鋭意検討した結果、親水性膨潤層
をインキ反撥層とし、該親水性膨潤層に親水性のエチレ
ン性不飽和化合物を感光成分として含ませることによっ
て実現できることを見出した。
【0018】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、以下
の構成を有する。
【0019】(1) 基板上に少なくとも感光性の親水
性膨潤層を備えた感光性平版印刷版原版であって、該親
水性膨潤層が親水性のエチレン性不飽和化合物を含有す
ることを特徴とする感光性平版印刷版原版。
【0020】(2) 感光性の親水性膨潤層が水性エマ
ルジョンから主として構成された疎水性ポリマ相を含有
することを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版
原版。
【0021】(3) 前記(1)記載の感光性平版印刷
版原版の版表面に活性光線を照射し、非画線部に対応し
た部分の親水性膨潤層内の親水性のエチレン性不飽和化
合物を光硬化させ、その後、画線部に対応した部分の親
水性膨潤層内の親水性のエチレン性不飽和化合物を除去
することを特徴とする平版印刷版の製造方法。
【0022】(4) 非画線部に対応した部分の親水性
膨潤層内の親水性のエチレン性不飽和化合物の除去を、
版全面を水洗処理することによって行なうことを特徴と
する前記(3)記載の平版印刷版の製造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の感光性平版印刷版原版の
親水性膨潤層について説明する。
【0024】本発明の親水性膨潤層は感光性であり、感
光性化合物として親水性のエチレン性不飽和化合物を含
有することを特徴とする。
【0025】本発明の親水性のエチレン性不飽和化合物
について説明する。
【0026】本発明の親水性のエチレン性不飽和化合物
とは20℃において、水に対する溶解度が8重量%以上
の光重合可能なモノマまたはオリゴマを意味する。
【0027】本発明に好ましく用いられる親水性のエチ
レン性不飽和化合物としては、少なくとも1つのビニル
基を有する親水性ビニルモノマで、アミノ基、カルボキ
シル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基、リン酸基
などの官能基を有するモノマおよびポリアルキレンオキ
サイド基などを有するモノマが挙げられる。
【0028】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ter
t−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチ
ルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0029】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イ
タコン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、
マレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルな
ど)、シトラコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル
酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げ
られる。
【0030】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、アク
リロイルオキシアルキルスルフォン酸(例えばアクリロ
イルオキシメチルスルフォン酸、アクリロイルオキシプ
ロピルスルフォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフ
ォン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルフォ
ン酸(例えばメタクリロイルオキシメチルスルフォン
酸、メタクリロイルオキシメチルスルフォン酸、メタク
リロイルオキシプロピルスルフォン酸、メタクリロイル
オキシブチルスルフォン酸など)、アクリルアミドアル
キルスルフォン酸(例えば2−アクリルアミド−2−メ
チルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルブタンスルフォン酸など)、メタクリルアミドア
ルキルスルフォン酸(例えば2−メタクリルアミド−2
−メチルエタンスルフォン酸、2−メタクリルアミド−
2−メチルプロパンスルフォン酸、2−メタクリルアミ
ド−2−メチルブタンスルフォン酸など)が挙げられ
る。
【0031】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0032】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0033】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0034】ポリアルキレンオキサイド基を有するモノ
マとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ートなど(以下の説明で(メタ)□□□□とあるのは、
□□□□またはメタ□□□□を略したものである。)が
挙げられる。
【0035】ポリアルキレンオキサイド基を有するモノ
マの具体例としては、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコール#400
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#2
00ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
#400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ール#600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコール#1000ジ(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール#200(メタ)アクリレー
ト、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)
アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#10
00(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0036】その他リン酸エステル系(メタ)アクリレ
ートとして、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チル)アシッドフォスフェートなども挙げられる。
【0037】これらの親水性のエチレン性不飽和化合物
は、単独または2種以上を適宜混合して使用することが
可能である。
【0038】これらの本発明に好ましく用いられる親水
性のエチレン性不飽和化合物は親水性膨潤層を形成する
際に該組成物に添加し、該層内に存在させる方法、また
は親水性膨潤層を形成した後、該化合物を該層上に必要
に応じて親水性膨潤層に容易に浸透する適当な溶剤で希
釈して塗布し、該層内に含浸させる方法などを用いて添
加される。
【0039】比較的高分子量のオリゴマなどを用いる場
合には、前者の親水性膨潤層形成時に同時添加する方法
が有利に行なわれ、比較的低分子量のモノマ、オリゴマ
などを用いる場合には、後者の含浸方法が有利である。
【0040】本発明の感光性平版印刷版原版に用いられ
る親水性膨潤層は、親水性ポリマを主成分とする相およ
び/または疎水性ポリマを主成分とする相を有すること
が好ましい。
【0041】本発明の親水性膨潤層に用いられる親水性
ポリマについて説明する。
【0042】本発明の親水性膨潤層には、公知の親水性
ポリマが用いられる。ここで言う親水性ポリマとは、水
に対して実質的に不溶でかつ水膨潤性を示す、公知の水
溶性ポリマ(水に完全溶解するものを意味する)、疑似
水溶性ポリマ(両親媒性を意味し、マクロには水に溶解
するがミクロには非溶解部分を含むものを意味する)、
水膨潤性ポリマ(水に膨潤するが溶解しないものを意味
する)を意味する。すなわち、通常の使用条件下で水を
吸着または吸収するポリマを意味し、水に溶けるか或い
は水に膨潤するポリマを意味する。
【0043】公知の親水性ポリマとしては、以下の例を
挙げることができる。
【0044】(A)天然高分子類 デンプン−アクリロニトリル系グラフト重合体加水分解
物、デンプン−アクリル酸系グラフト重合体、デンプン
−スチレンスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−
ビニルスルフォン酸系グラフト重合体、デンプン−アク
リルアミド系グラフト重合体、カルボキシル化メチルセ
ルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサント
ゲン酸セルロース、セルロース−アクリロニトリル系グ
ラフト重合体、セルロース−スチレンスルフォン酸系グ
ラフト重合体、カルボキシメチルセルロース系架橋体、
ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン、ミルクカゼイ
ン、酸カゼイン、レンネットカゼイン、アンモニアカゼ
イン、カリ化カゼイン、ホウ砂カゼイン、グルー、ゼラ
チン、グルテン、大豆蛋白、アルギン酸塩、アルギン酸
アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリ
ウムアラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガム、グ
アールガム、ロカストビーンガム、アイリッシュモス、
大豆レシチン、ペクチン酸、澱粉、カルボキシル化澱
粉、寒天、デキストリン、マンナンなど。
【0045】(B)合成高分子類 ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリ
(エチレンオキサイド-co-プロピレンオキサイド)、水
性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート系ポリマ、ポリ(ビニルメチル
エーテル-co-無水マレイン酸)、無水マレイン酸系共重
合体、ビニルピロリドン系共重合体、ポリエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート系架橋重合体
など。
【0046】なお、上記の親水性ポリマは発明の効果を
損わない範囲で、柔軟性を付与したり、親水性を制御す
る目的から置換基が異なるモノマや共重合成分を、1種
または2種以上を適宜混合して用いることが可能であ
る。
【0047】次に本発明の親水性膨潤層に用いられる疎
水性ポリマについて説明する。
【0048】本発明に用いられる疎水性ポリマとしては
水性エマルジョンから主として構成されたものが好まし
く用いられる。
【0049】本発明に言う水性エマルジョンとは、微細
なポリマ粒子と必要に応じて該粒子を包囲する保護層か
らなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマ懸濁水溶液
を意味する。
【0050】すなわち、基本的に分散質としてのポリマ
粒子と必要に応じて形成される保護層からなるエマルジ
ョン粒子と分散媒としての希釈水溶液から構成される自
己乳化または強制乳化水溶液を意味する。本発明に用い
られる水性エマルジョンの具体例としては、ビニルポリ
マ系ラテックス、共役ジエンポリマ系ラテックスおよび
水性または水分散ポリウレタン樹脂、シリコーンエマル
ジョンなどが挙げられる。
【0051】ビニルポリマ系ラテックスとしては、アク
リル系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系などが挙げら
れる。共役ジエンポリマ系ラテックスとしては、スチレ
ン/ブタジエン系(以下、SB系と略す)、アクリロニ
トリル/ブタジエン系(以下、NB系と略す)、メタク
リル酸メチル/ブタジエン系(以下、MB系と略す)、
クロロプレン系などが挙げられる。
【0052】アクリル系ラテックスとしては、アクリル
酸エステルおよびメタクリル酸エステルを必須成分とし
た共重合体が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレン
などの少なくとも1種以上を共重合したものが挙げられ
る。
【0053】酢酸ビニル系ラテックスとしては、酢酸ビ
ニル単独またはアクリル酸エステル、高級酢酸ビニルエ
ステル、エチレンなどとの共重合体が挙げられる。
【0054】塩化ビニリデン系ラテックスとしては、塩
化ビニリデンとアクリル酸メチル、アクリル酸オクチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリロニトリ
ル、塩化ビニルなどとの共重合体が挙げられる。
【0055】SB系ラテックスとしては、スチレンおよ
びブタジエンを必須成分として、メタクリル酸メチル、
高級アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリル
アミド、ヒドロキシエチルアクリレート、不飽和カルボ
ン酸(イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸など)との共重合体が挙げられる。
【0056】水性または水分散ポリウレタン樹脂として
は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオー
ル、ポリ(エステル/エーテル)ポリオールとポリイソ
シアネートからなる疎水性のポリウレタン樹脂を界面活
性剤を用いて強制的に乳化させた強制乳化型、樹脂自身
に親水性基または、親水性セグメントを付与し、自己分
散性にして乳化させた自己乳化型が挙げられ、両者にお
いて非反応性のものおよびブロック剤でイソシアネート
基などの反応基をブロックした反応性のものが挙げられ
る。
【0057】シリコーンエマルジョンとしては、シリコ
ーンオイルに乳化剤、添加剤、有機溶剤などとともに水
と混合し、ホモジナイザ、ホモミキサ、コロイドミル、
サンドグラインダなどを用いてせん断力を与え、乳化さ
せたものが挙げられる。具体的には下記(1)〜(3)
の方法が挙げられる。
【0058】(1)agent−in−water法 乳化剤などを水相に予め溶解し、この水相にシリコーン
オイルを添加する方法。
【0059】(2)agent−in−oil法 乳化剤などをシリコーンオイルを主成分とする油相に溶
解し、この油相に水相を添加する方法。
【0060】(3)転相法 乳化剤などを油相に溶解し、この油相に少量ずつ水相を
添加し、まずW/Oエマルジョンを調整したのち、さら
に水相を加えてO/Wエマルジョンに転相させる方法。
【0061】これらのシリコーンエマルジョンの原材料
となるシリコーンオイルの中でも、親水性ポリマや他の
疎水性ポリマとの間での架橋反応を有効に行う観点か
ら、反応性官能基を有するシリコーンオイルが好ましく
用いられる。
【0062】すなわち、メチルハイドロジェンシリコー
ンオイル、シラノール基含有シリコーンオイル、アルコ
キシ基含有シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオ
イル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール
変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイ
ル、メルカプト変性シリコーンオイルなどが挙げられ
る。
【0063】またシリコーンオイルの他にも上記した公
知のシリコーンゴム、シリコーンレジン、シリコーンパ
ウダーなどもエマルジョンを作成する際に任意に混合す
ることができる。
【0064】これらの水性エマルジョンの中でも本発明
に特に好ましく用いられる疎水性ポリマとしてはSB
系、NB系、MB系、クロロプレン系などの共役ジエン
系化合物を含有するラテックスが挙げられる。
【0065】ここで言う共役ジエン系ゴムとしては、
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン
(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、2−クロル−1,3−ブタジエン(クロロプレン)
など1,3−位に炭素−炭素二重結合を有する非置換ま
たは置換1,3−ブタジエン骨格を有する化合物を意味
し、これらを必須成分とする単独またはブロック共重合
ゴム(ポリマ)が挙げられる。
【0066】ブロック共重合ゴムとしては、1,3−ブ
タジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレ
ン)などの1,3−ジエンと、常温でガラス状重合体を
与えるスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
などのモノビニル置換芳香族化合物とのブロック共重合
体が挙げられる。
【0067】このような共重合ゴムとしては、種々の公
知のタイプが例示できるが、A−B−Aタイプのブロッ
ク共重合ゴム(ここでAはモノビニル置換芳香族化合物
からなり、好ましくはガラス転移点が70℃以上で、重
合度が10〜2500である重合体セグメントを意味
し、Bは1,3−ジエンを意味し、好ましくは数平均分
子量が500〜25000である非晶性重合体セグメン
トを意味する)などを好ましく挙げることができる。ま
た該ブロック共重合ゴムの水素添加物も同様である。
【0068】本発明に用いられる単独および共重合ゴム
の具体例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン
(天然ゴムを含む)、ポリクロロプレン、スチレン−ブ
タジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体
(例えばブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート
共重合体、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート
共重合体)、メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソ
プレン共重合体、ビニルピリジン−ブタジエン共重合
体、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−クロロプレン共重合体、スチレン−イソプレ
ン共重合体などが挙げられる。
【0069】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスは、公知の方法で作製され、例えば必
須成分として共役ジエン系化合物を含むビニルモノマ組
成物に対して0.1〜20重量%の乳化重合分散剤(界
面活性剤など)と2〜50重量%の水を含む水性媒体中
で脱気窒素置換し、乳化させ、必要に応じて通常の乳化
重合に用いられる添加剤(分子量調整剤、酸化防止剤な
ど)を加えたのち、乳化重合用開始剤(例えば過酸化水
素、過硫酸カリウムなど)を添加し、常法に従って乳化
重合させることによって得ることができる。
【0070】原料ビニルモノマ組成物中、共役ジエン系
化合物以外に用いられるビニルモノマとしては特に限定
されないが、主として下記のI群:疎水性モノマ、II
群:親水性モノマ、III 群:架橋性モノマの3つの群に
分類できる。
【0071】I群:疎水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する疎水性ビニルモノマ(ここで言う疎水性と
は20℃において、水に対する溶解度が8重量%以下の
ものを意味する)で、アクリル酸エステル類、メタクリ
ル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレ
フィン類などが挙げられる。
【0072】アクリル酸エステル類の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピ
ルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブ
チルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2
−クロロエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、フェニルアクリレート、2−メトキシエ
チルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレートな
どが挙げられる。
【0073】メタクリル酸エステル類の具体例として
は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレー
ト、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレ
ート、sec−ブチルメタクリレート、アミルメタクリ
レート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタ
クリレート、ベンジルメタクリレート、アセトアセトキ
シエチルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレー
ト、オクチルメタクリレート、フルフリルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニル
メタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリ
レート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エト
キシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0074】ビニルエステル類の具体例としては、ビニ
ルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテー
ト、ビニルメトキシアセテート、ビニルアセトアセテー
ト、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香
酸ビニルなどが挙げられる。
【0075】スチレン類の具体例としては、スチレン、
α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフル
オルメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メト
キシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ト
リクロルスチレン、ブロムスチレンなどが挙げられる。
【0076】オレフィン類の具体例としては、プロピレ
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデンなどを挙げることができ
る。
【0077】その他アクリロニトリル、無水マレイン酸
なども挙げられる。
【0078】II群:親水性モノマとしては、1つのビニ
ル基を有する親水性ビニルモノマで、(ここで言う親水
性とは、水に対する溶解度が大きく単独での水系乳化重
合が不可能なモノマを意味する)アミノ基、カルボキシ
ル基、スルフォン酸基、アミド基、水酸基などの官能基
を有するモノマが挙げられる。
【0079】アミノ基を有するモノマの具体例として
は、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルアクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ter
t−ブチルアミノエチルアクリレート、tert−ブチ
ルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0080】カルボキシル基を有するモノマの具体例と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレ
イン酸、クロトン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、イ
タコン酸モノアルキル(例えばイタコン酸モノメチル、
イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチルなど)、
マレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチルな
ど)、シトラコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル
酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げ
られる。
【0081】スルフォン基を有するモノマの具体例とし
ては、スチレンスルフォン酸、ビニルベンジルスルフォ
ン酸、ビニルスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、アク
リロイルオキシアルキルスルフォン酸(例えばアクリロ
イルオキシメチルスルフォン酸、アクリロイルオキシプ
ロピルスルフォン酸、アクリロイルオキシブチルスルフ
ォン酸など)、メタクリロイルオキシアルキルスルフォ
ン酸(例えばメタクリロイルオキシメチルスルフォン
酸、メタクリロイルオキシメチルスルフォン酸、メタク
リロイルオキシプロピルスルフォン酸、メタクリロイル
オキシブチルスルフォン酸など)、アクリルアミドアル
キルスルフォン酸(例えば2−アクリルアミド−2−メ
チルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルブタンスルフォン酸など)、メタクリルアミドア
ルキルスルフォン酸(例えば2−メタクリルアミド−2
−メチルエタンスルフォン酸,2−メタクリルアミド−
2−メチルプロパンスルフォン酸、2−メタクリルアミ
ド−2−メチルブタンスルフォン酸など)が挙げられ
る。
【0082】アミド基を有するモノマの具体例として
は、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、プロピル
アクリルアミドなどが挙げられる。
【0083】水酸基を有するモノマの具体例としては、
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート、多価アルコールのアリールエーテルなど
が挙げられる。
【0084】その他にN−アクリロイルピペリジン、ビ
ニルピリジン、ビニルピロピドなども挙げられる。
【0085】III 群:架橋性モノマとしては、反応性架
橋基(グリシジル基、ヒドロキシメチルアミド基、アル
コキシメチルアミド基、アシロキシメチルアミド基、イ
ソシアネート基など)を有するモノマ類および2つ以上
のビニル基を有する多官能性モノマが挙げられる。
【0086】グリシジル基を有するモノマの具体例とし
ては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレ
ート、p−ビニル安息香酸グリシジル、グリシジルクロ
トネート、ジグリシジルイタコネート、ジグリシジルマ
レエート、ジグリシジルメチレンマロネート、グリシジ
ルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシ
ジル−α−クロルアクリレートなどが挙げられる。
【0087】ヒドロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、ヒドロキシメチルアクリルアミド、
ヒドロキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0088】アルコキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、メトキシメチルアクリルアミド、メ
トキシメチルメタクリルアミド、エトキシメチルアクリ
ルアミド、エトキシメチルメタクリルアミド、ブトキシ
メチルアクリルアミド、ブトキシメチルメタクリルアミ
ド、ヘキシルオキシメチルメタクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0089】アシロキシメチルアミド基を有するモノマ
の具体例としては、アセトキシメチルアクリルアミド、
アセトキシメチルメタクリルアミド、プロピオニルオキ
シメチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0090】イソシアネート基を有するモノマの具体例
としては、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
トなどが挙げられる。
【0091】多官能モノマの具体例としては、ジビニル
ベンゼン、ポリエチレングリコールジアクリレート(エ
チレン数n=1〜23)、ポリエチレングリコールジメ
タクリレート(エチレン数n=1〜23)、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレートなどが挙げられる。
【0092】本発明に好ましく用いられるラテックスを
作製する際の適当なモノマの組合わせとしては、必須成
分である共役ジエン系化合物に加えて (1)少なくとも1種以上のI群モノマの共重合体 (2)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマとの共重合体 (3)少なくとも1種以上のI群モノマおよび少なくと
も1種以上のII群モノマおよび少なくとも1種以上のII
I 群モノマとの共重合体 (4)少なくとも1種以上のI群モノマおよびIII 群モ
ノマの共重合体 などの組合わせが挙げられるが、本発明はこれらの組合
わせに限定されない。
【0093】本発明に好ましく用いられる共役ジエンポ
リマ系ラテックスの具体例としては、JSR0561
(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0589(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム
(株)製)、JSR0602(SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0700(ブタジエン
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR21
08(SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、JSR0650(ビニルピリジン−SB共重合ラ
テックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0652
(ビニルピリジン−SB共重合ラテックス:日本合成ゴ
ム(株)製)、JSR0545(カルボキシ変性SB共
重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR05
48(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合成
ゴム(株)製)、JSR0596(カルボキシ変性SB
共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0
597(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本合
成ゴム(株)製)、JSR0598(カルボキシ変性S
B共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JSR
0619(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日本
合成ゴム(株)製)、JSR0624(カルボキシ変性
SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、JS
R0640(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:日
本合成ゴム(株)製)、JSR0693(カルボキシ変
性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、J
SR0696(カルボキシ変性SB共重合ラテックス:
日本合成ゴム(株)製)、JSR0854(カルボキシ
変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)製)、
JSR0863(カルボキシ変性SB共重合ラテック
ス:日本合成ゴム(株)製)、JSR0898(カルボ
キシ変性SB共重合ラテックス:日本合成ゴム(株)
製)、ラックスター4940B(カルボキシ変性NB共
重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラ
ックスター68−073S(カルボキシ変性NB共重合
ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラック
スターDN−704(カルボキシ変性NB共重合ラテッ
クス:大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター
DN−702(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:
大日本インキ化学工業(株)製)、ラックスター68−
074(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本
インキ化学工業(株)製)、ラックスターDN−703
(カルボキシ変性NB共重合ラテックス:大日本インキ
化学工業(株)製)、ラックスターDM−801(カル
ボキシ変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工
業(株)製)、ラックスターDM−401(カルボキシ
変性MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業
(株)製)、ラックスター4950C(カルボキシ変性
MB共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)
製)、ラックスターDM−806(カルボキシ変性MB
共重合ラテックス:大日本インキ化学工業(株)製)な
どが挙げられる。
【0094】これらの共役ジエンポリマ系ラテックスは
単独または2種以上を適宜混合して使用することが可能
である。
【0095】本発明の親水性膨潤層は、必要に応じて架
橋または疑似架橋し、水に不溶化せしめることによって
基板上に積層形成される。
【0096】架橋には上記に説明した親水性ポリマおよ
び/または疎水性ポリマが有する反応性官能基を用いて
架橋反応することが好ましい。
【0097】架橋反応は、共有結合性の架橋であって
も、イオン結合性の架橋であってもよい。
【0098】架橋反応に用いられる化合物としては、架
橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げられ、ポリエ
ポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリ(メ
タ)アクリル化合物、ポリメルカプト化合物、ポリアル
コキシシリル化合物、多価金属塩化合物、ポリアミン化
合物、アルデヒド化合物、ポリビニル化合物、ヒドラジ
ンなどが挙げられ、該架橋反応は公知の触媒を添加し、
反応を促進することが行なわれる。
【0099】また本発明の疎水性ポリマとして好ましく
用いられる水性エマルジョンを作製する際に、共重合成
分として、カルボキシル基、水酸基、メチロールアミド
基、エポキシ基、アルボニル基、アミノ基などの反応性
官能基を存在させて自己架橋させる方法および、架橋剤
として上記の多官能性化合物を用いて架橋構造を形成さ
せる方法が挙げられる。
【0100】架橋性を有する公知の多官能性化合物の具
体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【0101】(1)昇華硫黄、硫化水素を酸化して生成
させる副生硫黄、硫化水素を湿式で酸化して生成するコ
ロイド硫黄など。また、加熱すると分解して硫黄を発生
するジチオモルフォリン、チオプラストテトラメチルチ
ウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフ
ィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなど
のチウラム系化合物、ピペリジンペンタメチレンチオカ
ルバメート、ピペコリンピペコリルジチオカルバメー
ト、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチ
オカルバメート系化合物、イソプロピルキサントゲン酸
ナトリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテ
ート化合物、チオウレア、チオカルバニリドなどのチオ
ウレア化合物、ジフェニルグアニジンなどのチアゾール
の亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム
塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、メルカプトベンゾ
チアゾールのシクロヘキシルアミン塩などのチアゾール
系化合物など。
【0102】(2)ブチルアルデヒド−モノブチルアミ
ン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘプタ
アルデヒド−アニリン反応物、塩エチル−ホルムアルデ
ヒド−アンモニア反応物などのアルデヒドアミン系化合
物、酸化亜鉛、テルリウム、セレニウム、炭酸ジルコニ
ウムアンモニアや、ベンゾイルパーオキシド、ジクミル
パーオキシドなどの有機過酸化物など。
【0103】さらに架橋促進剤としては、炭酸亜鉛、ス
テアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜
鉛、ジブチルアンモニウムオレエート、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールな
どが挙げられる。
【0104】(3)ポリエポキシ化合物、尿素樹脂、ポ
リアミン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、酸無
水物など。
【0105】ポリエポキシ化合物の具体例としては、グ
リセリンジポリリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルな
どが挙げられる。
【0106】ポリアミンの具体例としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、
ポリアミドアミンなどが挙げられる。
【0107】(4)ポリイソシアネート化合物など。
【0108】ポリイソシアネート化合物の例としては、
トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンイソシアネート、液状ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキシルジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレ
ンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシア
ネート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネ
ート、ポリプロピレングリコール/トリレンジイソシア
ネート付加反応物が挙げられる。
【0109】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することが可能である。分散媒としては主と
して水が用いられるが、必要に応じて公知の有機溶剤を
添加することが可能である。有機溶剤の添加方法として
は重合溶媒として添加する方法、および乳化重合後エマ
ルジョン溶液に混合溶媒として添加する方法が可能であ
る。
【0110】本発明に用いられる親水性膨潤層厚さは、
0.1〜100g/m2 で用いることが可能であるが、
インキ反撥性および形態保持性の観点から、好ましくは
0.3〜10g/m2 である。該厚みが0.3g/m2
未満になると、インキ反撥性が極端に低下する傾向にあ
り、また塗工時にピンホ−ルなどの欠陥が生じ易くな
る。また10g/m2 以上は水膨潤時の形態保持性が劣
化する傾向にあり経済的にも不利である。
【0111】次に本発明の保護層について説明する。
【0112】本発明の感光性平版印刷版原版の親水性膨
潤層の表面には、該親水性膨潤層を保護する目的で適当
な保護層をコーティングにより該親水性膨潤層上に形成
したり、保護フィルムをラミネートすることが行なわれ
る。また、該保護層中には感光層を曝光(露光光源以外
の光で、本来非照射部分に光が照射されることを意味す
る)から保護する目的で、光退色性物質を含有せしめる
こともできる。本発明においては、親水性膨潤層が水洗
などによって抽出除去が可能な親油性のエチレン性不飽
和化合物を含有するので、他物質との接触による該原版
表面からの転移を防ぎ、また露光による該化合物の光硬
化を促進する上から保護層を形成することが好ましい。
【0113】保護フィルムの具体例としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタ
レート、セロファンなどが挙げられる。また、これらの
保護フィルムは画像露光時の焼枠における真空密着性を
改良するために、凹凸加工を施したり、表面をマット処
理したり、シリカ粒子などを含むプラスチック層を上記
保護フィルムの表面に塗布積層することも好ましく行な
われる。
【0114】次に本発明の感光性平版印刷版原版を用い
た平版印刷版の製造方法について説明する。
【0115】本発明の感光性平版印刷版原版は、ポジテ
ィブワーキング用の製版工程を経て刷版となる。すなわ
ち、基板上に形成された親水性膨潤層内に存在する親水
性のエチレン性不飽和化合物は、ポジ原画フィルムおよ
び親水性膨潤層の上層に位置する保護フィルムを通して
露光される。
【0116】本発明の感光性平版印刷版原版は露光後、
該保護フィルムを剥離し、版表面を水洗するのみで基本
的に製版が終了する。水洗工程に用いる水には特殊な添
加物が一切必要なく、水道水など用いてを版表面を水洗
するのみでよい。
【0117】また、水洗の効率を高める上から、スプレ
ー、シャワー、浸漬、ブラッシング、ラビングなど公知
の自動現像機で用いられるリンス液供給および現像促進
手段を用いることは自由である。また、供給する水温は
制限されない。
【0118】また水洗処理したのち、抽出除去された親
水性のエチレン性不飽和化合物の残留物を版面から完全
に除去する目的から油性溶剤で洗浄することが好まし
い。
【0119】油性溶剤の具体例としては、パラフィン系
炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、シクロパラフィ
ン系炭化水素および芳香族炭化水素が単一または混合さ
れた形で用いられる。これらの炭化水素系溶媒の代表的
なものとしては、石油の分留品およびその改質品などが
挙げられる。
【0120】露光部においては該エチレン性不飽和化合
物が光架橋し、親水性膨潤層内に固定される。露光部分
は、該親水性膨潤層が水と接触した際、光架橋された親
水性のエチレン性不飽和化合物が親水性膨潤層の水膨潤
性を増加し、水膨張によってゴム弾性を増加するため、
インキ反撥性の非画線部となる。一方、未露光部の親水
性膨潤層内に存在する親水性のエチレン性不飽和化合物
は、該親水性膨潤層が水と接触した際、親水性膨潤層が
水膨潤する際に該層から容易に抽出除去され、水膨潤性
を減じ、インキ着肉するのに適した画線部となる。
【0121】上記のように本発明の感光性平版印刷版原
版は、感光性化合物の親水性のエチレン性不飽和化合物
の光反応によって、親水性膨潤層に親水性相および疎水
性相からなる相分離構造を形成しゴム弾性や水膨潤性を
増加させることによって親水性の非画線部を形成するこ
とによって画像形成するものである。
【0122】本発明の製版露光工程で用いられる光源と
しては、例えば高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノ
ン灯、メタルハライド灯、蛍光灯などが挙げられる。
【0123】本発明に用いられる感光性平版印刷版原版
の基板としては、通常の平版印刷機に取り付けられるた
わみ性と印刷時に加わる荷重に耐えうるものである必要
がある以外には一切制限を受けない。
【0124】代表的なものとしては、アルミ、銅、鉄、
などの金属板、ポリエステルフィルムやポリプロピレン
フィルムなどのプラスチックフィルムあるいはコート
紙、ゴムシートなどが挙げられる。また、該基板は上記
の素材が複合されたものであってもよい。
【0125】また、該基板表面は検版性向上や接着性向
上の目的から、電気化学的処理や酸塩基処理、コロナ放
電処理など各種に表面処理を施すことも可能である。
【0126】またこれらの基板上には接着性向上やハレ
ーション防止の目的からコーティングなどを施してプラ
イマー層を形成し、基板とすることも可能である。
【0127】次に本発明の感光性平版印刷版原版から作
製された刷版を用いた印刷方法について説明する。
【0128】本発明の平版印刷には公知の平版印刷機が
用いられる。すなわち、オフセットおよび直刷り方式の
枚葉および輪転印刷機などが用いられる。
【0129】本発明の感光性平版印刷版原版を画像形成
したのち、これらの平版印刷機の版胴に装着し、該版面
には接触するインキ着けローラーからインキが供給され
る。該版面上の親水性膨潤層を有する非画線部分は湿し
水供給装置から供給される湿し水によって膨潤し、イン
キを反撥する。一方、画線部分はインキを受容し、オフ
セットブランケット胴表面または被印刷体表面にインキ
を供給して印刷画像を形成する。
【0130】本発明の感光性平版印刷版原版から得られ
た刷版で印刷する際に使用される湿し水は、水ありPS
版で使用されるエッチ液を用いることはもちろん可能で
あるが、添加物を一切含有しない飲料用水道水などを使
用することも可能である。
【0131】以下に、実施例により本発明をさらに詳し
く説明する。
【0132】
【実施例】
実施例 1 厚さ0.2mmのアルミ板(住友軽金属(株)製)に、下
記組成物を塗布したのち、150℃×60分間熱処理し
て2g/m2 の厚みを有する親水性膨潤層を塗設した。
【0133】 <親水性膨潤層組成(重量部)> (1)テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル 3重量部 (2)水性ラテックス「DS203」 95重量部 [カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合ラテックス:大日本インキ 化学工業(株)製] (3)2−アミノプロピルトリメトキシシラン 2重量部 (4)精製水 900重量部 上記の様にして塗設した親水性膨潤層上に、下記に示し
た組成の感光性組成物を塗布し、100℃×3分間熱処
理して感光性組成物0.5g/m2 を親水性膨潤層中に
含浸させた。
【0134】その後厚さ12ミクロンの片面マット化二
軸延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていない
面が該親水性膨潤層と接するようにしてカレンダーロー
ラーを用いてラミネートし、ポジ型の平版印刷用原版を
得た。
【0135】得られた平版印刷版は、高圧水銀灯「ジェ
ットライト3303kW :オーク製作所(株)製」を用
い、PCW(PLATE CONTOROL WEDGE :KALLE社
製)を貼込んだポジフィルムを通して90秒間密着露光
(3.6mW/cm2 )した。次いで 版全面を水道水でリンス
し、未露光部の感光性組成物を洗浄して刷版とした。
【0136】 (1)ポリエチレングリコール#400ジアクリレート 20重量部 (2)ミヒラー氏ケトン 2重量部 (3)2,4−ジエチルチオキサントン 2重量部 (4)エチルセロソルブ 76重量部 得られた刷版は、枚葉オフセット印刷機「スプリント2
5:小森コーポレーション(株)製」に装着したのち、
湿し水として市販の精製水を供給しながら上質紙(62.5
kg/菊)を用いて印刷した。インキ反撥性およびインキ
着肉性は印刷物を目視観察することにより評価した。
【0137】その結果、非画線部に対応した部分の親水
性膨潤層は高いインキ反撥性を示し、画線部は十分にイ
ンキ着肉した。
【0138】また約1000枚の印刷を行なった時点
で、刷版にインキ汚れは発生せず、十分にコントラスト
を有する明瞭な印刷物が得られた。
【0139】実施例 2〜5、比較例1、2 実施例1の親水性膨潤層組成および感光性組成物を下記
の表1に変更した以外は同様にして、平版印刷版原版を
作製し、同様に製版工程を経て刷版とした。
【0140】評価結果を表2に示す。
【0141】
【表1】
【表2】 実施例6 実施例1に用いた平版印刷版と通常のPS版(FPQ;
富士写真フィルム(株)製)を露光、現像処理して刷版
としたものを、同じ版胴に装着し、湿し水として市販の
精製水を供給しながら実施例1と同様にして印刷を行っ
た。
【0142】湿し水の供給量を標準条件から増量した場
合、PS版を用いた部分では、画線部のインキ濃度が極
端に低下し、いわゆる「水負け」によるインキの着肉不
良が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用
いた部分では、着肉不良の程度が軽微であった。
【0143】また、湿し水の供給量を標準条件から減量
した場合、PS版を用いた部分では、全面にインキ汚れ
が発生した。一方、実施例1に用いた平版印刷版を用い
た部分では、良好な印刷物が得られた。なお、湿し水の
供給量は印刷機のダイヤル目盛り値にて相対的に比較し
た。結果を表3に示す。
【0144】
【表3】
【0145】
【発明の効果】本発明の感光性平版印刷版原版は、感光
成分として親水性のエチレン性不飽和化合物を用いるた
め、非画線部のインキ反撥性に優れ、版表面を水洗する
のみで基本的に製版できる。
【0146】該原版から得られた平版印刷版は、従来の
PS版でインキ反撥性を発現するために必要な基板への
特殊な表面処理を行なうことなく、高いインキ反撥性を
発現する。また、わずかな湿し水の給水量で効率良くイ
ンキを反撥することができ、湿し水のコントロール幅が
拡大される。さらに、湿し水に通常添加されるイソプロ
パノールなどの溶剤を用いることなく、印刷が可能とな
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも感光性の親水性膨潤
    層を備えた感光性平版印刷版原版であって、該親水性膨
    潤層が親水性のエチレン性不飽和化合物を含有すること
    を特徴とする感光性平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 感光性の親水性膨潤層が水性エマルジョ
    ンから主として構成された疎水性ポリマ相を含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載の感光性平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の感光性平版印刷版原版の
    版表面に活性光線を照射し、非画線部に対応した部分の
    親水性膨潤層内の親水性のエチレン性不飽和化合物を光
    硬化させ、その後、画線部に対応した部分の親水性膨潤
    層内の親水性のエチレン性不飽和化合物を除去すること
    を特徴とする平版印刷版の製造方法。
  4. 【請求項4】 画線部に対応した部分の親水性膨潤層内
    の親水性のエチレン性不飽和化合物の除去を、版全面を
    水洗処理することによって行なうことを特徴とする請求
    項3記載の平版印刷版の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109843596A (zh) * 2017-03-31 2019-06-04 富士胶片株式会社 平版印刷版原版及其制造方法、平版印刷版原版层叠体以及平版印刷方法

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