JPH09216778A - エレベータのワイヤロープ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エレベータかごと釣合錘との間に複数のワイ
ヤロープを渡すにも拘わらず、ワイヤロープの張力の調
整を簡単かつ短時間に行うことができるエレベータのワ
イヤロープ装置を提供する。 【解決手段】 ダムウェータＤＷのワイヤロープ装置１
２は、エレベータかご１１に両端を固定される１本のワ
イヤロープ１８と、釣合錘１３に取り付けられてワイヤ
ロープ１８が折り返し支持されるワイヤロープ支持機構
１９とを備える。ワイヤロープ支持機構１９の吊り車を
介してワイヤロープ１８を折り返し、エレベータかご１
１および釣合錘１３間に複数回ワイヤロープ１８を渡
す。吊り車の回転によって自動的にワイヤロープの張力
を調整することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、釣合錘を有し、こ
の釣合錘とエレベータかごとを複数のワイヤロープで吊
り下げ支持するエレベータに関する。

【０００２】

【従来の技術】積載重量に応じて釣合錘をバランスさせ
つつ昇降路内をエレベータかごを昇降させるエレベータ
は一般に知られている。この種のエレベータ、特に、荷
物運搬専用のダムウェータでは、複数、例えば、２本の
ワイヤロープを用いてエレベータかごと釣合錘とが互い
に連結される。ワイヤロープは、昇降路の天井面裏に設
置された巻き上げ機の綱車に巻き掛けられる。巻き上げ
機が作動すると、綱車の回転に応じてワイヤロープはエ
レベータの昇降方向に変位する。この変位によってエレ
ベータかごは昇降する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一般に、複数のワイヤ
ロープを有するエレベータでは、エレベータかごや釣合
錘の重量に起因して時が経つにつれてワイヤロープが伸
びることから、ワイヤロープごとに張力が変化する。し
たがって、随時、複数のワイヤロープの張力をバランス
させる作業が必要とされる。

【０００４】上述した従来のダムウェータでは、釣合錘
の錘枠を貫通する各ワイヤロープの先端にダブルナット
を締め付けて、錘枠に対するダブルナットのロープ抜け
防止作用を通じてワイヤロープが釣合錘の錘枠に固定さ
れる。したがって、張力の調整時には、昇降路に降りた
保守員がダブルナットの締め直しを行っている。

【０００５】しかしながら、このような作業方法では、
２つのダブルナットの締め直しを個々に行わなければな
らず、２本のワイヤロープの張力をバランスさせづら
い。しかも、張力がバランスするまで繰り返し締め直し
作業を行わなければならない。

【０００６】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
で、エレベータかごと釣合錘との間に複数のワイヤロー
プを渡すにも拘わらず、ワイヤロープの張力の調整を簡
単かつ短時間に行うことができるエレベータのワイヤロ
ープ装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第１発明によれば、エレベータかごおよび釣合錘の
いずれかに２つの端部を固定される少なくとも１本のワ
イヤロープと、エレベータかごおよび釣合錘の少なくと
も一方に取り付けられてワイヤロープが巻き掛けられる
吊り車とを備え、ワイヤロープを折り返してエレベータ
かごおよび釣合錘間に複数回ワイヤロープを渡すことを
特徴とするエレベータのワイヤロープ装置が提供され
る。

【０００８】かかる構成によれば、ワイヤロープを折り
返し支持する吊り車の動きによって、エレベータかごお
よび釣合錘間に渡される各ワイヤロープの張力は簡単に
バランスされる。

【０００９】また、第２発明によれば、第１発明に係る
エレベータのワイヤロープ装置において、前記吊り車を
支持する支持体と、この支持体に前記ワイヤロープを締
め付け固定する締め付け手段とを備えることを特徴とす
る。

【００１０】かかる構成によれば、ワイヤロープを支持
体に固定することによって、バランスされたワイヤロー
プの位置を固定することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ本発
明の好適な実施形態を説明する。

【００１２】図１は、本発明に係るエレベータのワイヤ
ロープ装置が適用されたエレベータ装置すなわちダムウ
ェータを示す。このダムウェータＤＷは、昇降路１０を
上下方向に昇降するエレベータかご１１を備える。エレ
ベータかご１１には、後述するワイヤロープ装置１２を
介して釣合錘１３が連結される。昇降路１０の天井裏に
形成された機械室１４には、綱車１５を有する巻き上げ
機１６が設置され、釣合錘１３とエレベータかご１１と
は、ワイヤロープ装置１２によってその綱車１５に吊り
下げ支持される。エレベータかご１１は、綱車１５の回
転を通じて、釣合錘１３と重量バランスをとりながら巻
き上げ機１６によって電動駆動される。こういったダム
ウェータＤＷは、一般に、簡易かつ小型で人員が乗るこ
とはできず、レストランの配膳運搬等に利用されてい
る。

【００１３】ワイヤロープ装置１２は、止め金具１７を
用いてエレベータかご１１に両端を固定される１本のワ
イヤロープ１８を備える。ワイヤロープ１８の中間部
は、釣合錘１３に取り付けられたワイヤロープ支持機構
１９によって釣合錘１３に連結される。

【００１４】図２および図３から明らかなように、ワイ
ヤロープ支持機構１９は、ワイヤロープ１８が巻き掛け
られる吊り車２０と、この吊り車２０を回転自在に支持
する支持体２１とを備える。ワイヤロープ１８は吊り車
２０によって折り返され、その結果、ワイヤロープ１８
はエレベータかご１１と釣合錘１３との間を複数回渡さ
れることとなる。本実施形態では、２本のワイヤロープ
１８がエレベータかご１１と釣合錘１３とを吊り下げ支
持する効果を有する。

【００１５】支持体２１は、吊り車２０の回転軸が固定
されて吊り車２０を前後上下から囲う吊り車枠２２と、
この吊り車枠２２を上下方向に貫通する互いに平行な一
対の通しボルト２３とを備える。吊り車枠２２は、一対
の止めナット２４を用いて上下方向から挟みつけられて
各通しボルト２３に位置決め固定される。通しボルト２
３の下端は、釣合錘１３の錘枠の上枠部を貫通してダブ
ルナット２５によって抜け止めされる。こうして支持体
２１は、釣合錘１３の錘枠に連結される。

【００１６】折り返されたワイヤロープ１８は、図２に
示すように、締め付け手段としての一対のロープクリッ
プ２６によって各通しボルト２３に締め付け固定され
る。

【００１７】次に本実施形態の作用を説明する。ダムウ
ェータの設置にあたっては、まず、ワイヤロープ１８の
一端を止め金具１７を用いて固定的にエレベータかご１
１に取り付ける。ワイヤロープ１８を巻き上げ機１６の
綱車１５および吊り車２０に順次巻き掛ける。吊り車２
０によって折り返されたワイヤロープ１８を再び綱車１
５に巻き掛ける。止め金具１７を用いて、綱車１５から
下方に延びるワイヤロープ１８の他端をエレベータかご
１１に固定的に取り付ける。これによって、１本のワイ
ヤロープ１８を用いているにも拘わらず、２本掛けと同
等の効果を得ることができる。

【００１８】折り返されたワイヤロープ１８を用いて吊
り下げ支持されたエレベータかご１１と釣合錘１３との
間では、両者の重量が作用することによって、吊り車２
０の回転を通じて、両者の重量によって往方向のワイヤ
ロープ１８と復方向のワイヤロープ１８との張力が自動
的にバランス（均等に）される。このバランスを確認し
た上で、図４に示すように、ロープクリップ２６を用い
てワイヤロープ１８を通しボルト２３に締め付け固定す
る。その結果、ワイヤロープ１８の張力がバランスされ
たままワイヤロープ１８の移動は阻止され、エレベータ
かご１１の揺れが防止される。

【００１９】張力の再調整時には、ロープクリップ２６
を緩めて、ワイヤロープ１８の張力を調整し、調整後に
再びロープクリップ２６を固く締め付ければよい。その
結果、従来のものに比べ、ワイヤロープ１８の張力の調
整を簡単かつ短時間に行うことができる。本実施形態で
は、ワイヤロープ支持機構１９を釣合錘１３側に設けた
ので、特に、昇降路１０の釣合錘１３側天井面に空間の
余裕がある場合に適している。

【００２０】図５は、前述の実施形態とは異なり、ワイ
ヤロープ支持機構１９をエレベータかご１１側に設けた
ダムウェータを示す。先述の実施形態と同様な構成につ
いては同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略す
る。

【００２１】この実施形態は、特に、昇降路１０のエレ
ベータかご１１側天井面に空間の余裕がある場合に適し
ている。ワイヤロープ１８の調整時には、昇降路１０の
エレベータかご１１停止用出入口において、戸開き状態
でロープクリップ２６の緩めおよび締め付けを簡単に行
うことができる。

【００２２】前述の実施形態では、１つの吊り車２０を
用いてワイヤロープ１８を折り返していたが、図６に示
すように、水平方向に並列された２つの吊り車３０を用
いてもよい。吊り車３０を回転自在に支持する支持体３
１は、複数のボルト３２を介してエレベータかご１１に
固定される。こうして２つの吊り車３０でエレベータか
ご１１を支持すれば、エレベータかご１１を一層安定し
て支持することができる。２つの吊り車３０の間で、張
力調整後、ロープクリップ３３によってワイヤロープ１
８を支持体３１に締め付け固定することができるので、
ロープクリップの使用個数を減少させることもできる。

【００２３】また、釣合錘１３の錘枠とダブルナット２
５との間にスペーサを挿入して、そのスペーサの挿入お
よび離脱によって各ワイヤロープ１８の張力を補助的に
調整することができるようにしてもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、エレベー
タかごと釣合錘との間に複数のワイヤロープを渡すにも
拘わらず、ワイヤロープの張力の調整を簡単かつ短時間
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るワイヤロープ装置が適用された
ダムウェータの全体構成図である。

【図２】 ワイヤロープ支持機構の拡大断面図である。

【図３】 図２の３−３線に沿った断面図である。

【図４】 ワイヤロープの固定方法を示す図である。

【図５】 ワイヤロープ支持機構をエレベータかご側に
取り付け場合のダムウェータの概略構成図である。

【図６】 ２つの吊り車を用いたワイヤロープ支持機構
の全体構成図である。

【符号の説明】

１１ エレベータかご、１３ 釣合錘、１８ ワイヤロ
ープ、２０ 吊り車、２１ 支持体、２６ 締め付け手
段としてのロープクリップ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータかごおよび釣合錘のいずれか
   に２つの端部を固定される少なくとも１本のワイヤロー
   プと、エレベータかごおよび釣合錘の少なくとも一方に
   取り付けられてワイヤロープが巻き掛けられる吊り車と
   を備え、ワイヤロープを折り返してエレベータかごおよ
   び釣合錘間に複数回ワイヤロープを渡すことを特徴とす
   るエレベータのワイヤロープ装置。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のエレベータのワイヤロ
   ープ装置において、前記吊り車を支持する支持体と、こ
   の支持体に前記ワイヤロープを締め付け固定する締め付
   け手段とを備えることを特徴とするエレベータのワイヤ
   ロープ装置。