JPH09208387A - ダイヤモンド合成方法 - Google Patents

ダイヤモンド合成方法

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JPH09208387A
JPH09208387A JP2125996A JP2125996A JPH09208387A JP H09208387 A JPH09208387 A JP H09208387A JP 2125996 A JP2125996 A JP 2125996A JP 2125996 A JP2125996 A JP 2125996A JP H09208387 A JPH09208387 A JP H09208387A
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JP
Japan
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diamond
substrate
single crystal
nuclei
film
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JP2125996A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Kurihara
和明 栗原
Tsukasa Itani
司 井谷
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積の単結晶ダイヤモンドを気相により合
成するダイヤモンド合成方法を提供する。 【解決手段】 気相合成方法により単結晶基板上にダイ
ヤモンド膜をエピタキシャル成長するダイヤモンド合成
方法において、単結晶基板10上に発生するダイヤモン
ドの核18の方位方向が、単結晶基板10の方位方向と
ほぼ一致するように、単結晶基板10の面内の特定の方
位方向に電流を流しながらダイヤモンドを合成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンドの合
成方法に係り、特に気相においてダイヤモンドをヘテロ
エピタキシャル成長するダイヤモンド合成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、ビッカース硬度が10
000と、地球上で最も硬い材料であり、ヤング率も高
く、耐磨耗性・化学的安定性にも優れている。また、熱
伝導率も2000W/mKと銅の4倍も高く、絶縁性に
優れ、誘電率も低い。更に、赤外域から紫外域までの広
い波長範囲で透明で、しかも不純物のドーピングにより
半導体にもなる。
【0003】このような優れた性質のため、ダイヤモン
ドは工具材料等として必要不可欠な存在であるばかりで
なく、耐磨耗性コーティング、スピーカの振動板、光学
部品の透明コーティング、半導体素子のパッシベーショ
ン膜、ヒートシンク、回路基板、耐環境素子、青色発光
素子、高速高出力素子等、きわめて広い分野での応用が
期待されている。
【0004】このようなダイヤモンドの応用技術分野に
おいて、大面積の単結晶ダイヤモンドを合成することは
重要であり、種々の研究が成されている。従来、ダイヤ
モンドの気相合成方法では、下地基板としてダイヤモン
ドや立方晶のBN(窒化硼素)を用いることにより、ダ
イヤモンド膜のエピタキシャル成長が実現されていた。
【0005】また、最近では、シリコン基板の表面に網
目構造をもつSiC(シリコンカーバイド)層を形成
し、その上層にダイヤモンドを合成することにより、ヘ
テロエピタキシャル成長に近い、配向性の高いダイヤモ
ンド膜の合成が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のダイヤモンド合成方法では、大面積の単結晶ダイヤ
モンド膜を得ることは困難であった。また、網目構造を
もつSiC層上にダイヤモンドを合成するダイヤモンド
合成方法では、膜の配向性は高いものの、核の面方位ば
らつきを小さくできなかった。
【0007】本発明の目的は、大面積の単結晶ダイヤモ
ンドを気相により合成するダイヤモンド合成方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、気相合成方
法により単結晶基板上にダイヤモンド膜をエピタキシャ
ル成長するダイヤモンド合成方法において、前記単結晶
基板上に発生するダイヤモンドの核の方位方向が、前記
単結晶基板の方位方向とほぼ一致するように、前記単結
晶基板の面内の特定の方位方向に電流を流しながらダイ
ヤモンドを合成することを特徴とするダイヤモンド合成
方法によって達成される。このようにしてダイヤモンド
を合成することにより、単結晶基板上にダイヤモンド膜
をエピタキシャル成長することができる。
【0009】また、単に特定の方位方向に電流を流すこ
とによってダイヤモンド膜のエピタキシャル成長ができ
るので、大面積の単結晶ダイヤモンドを容易に合成する
ことができる。また、上記のダイヤモンド合成方法にお
いて、前記単結晶基板は、シリコン基板、又はβ−Si
C基板であることが望ましい。
【0010】また、上記のダイヤモンド合成方法におい
て、前記単結晶基板は、Ni、Cu、又はこれらを主成
分とする合金よりなる基板であることが望ましい。ま
た、上記のダイヤモンド合成方法において、前記単結晶
基板の面方位が(100)である場合には、前記特定の
方位方向を[100]方向、又は[110]方向とする
ことが望ましい。
【0011】また、上記のダイヤモンド合成方法におい
て、前記単結晶基板の面方位が(110)である場合に
は、前記特定の方位方向を[100]方向、[111]
方向、又は[110]方向とすることが望ましい。ま
た、上記のダイヤモンド合成方法において、前記単結晶
基板の面方位が(111)である場合には、前記特定の
方位方向を[110]方向、又は[112]方向とする
ことが望ましい。
【0012】また、上記のダイヤモンド合成方法におい
て、前記核を発生する成膜初期過程においてのみ電流を
流すことが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本願発明の一実施形態によるダイ
ヤモンド合成方法を図1を用いて説明する。図1は本実
施形態によるダイヤモンド合成方法の原理を説明する模
式図である。本願発明によるダイヤモンド合成方法は、
本願発明者が見いだした新たな現象によるものである。
【0014】すなわち、本願発明者は、シリコン基板の
特定の方位方向に沿って電流を流しながらダイヤモンド
合成を行うことにより、シリコン基板上に発生するダイ
ヤモンドの核の方位方向がシリコン基板面内の方位方向
に沿って成長することを新たに見いだした。さらに、シ
リコン基板の面方位に配向するようにダイヤモンドの合
成条件を設定することにより、シリコン基板上にダイヤ
モンド膜をエピタキシャル成長できることを新たに見い
だした。
【0015】上記の現象を、図1の模式図を例に説明す
る。ダイヤモンド膜の合成に先立って、(100)シリ
コン基板10上に、例えば、シリコン基板10の面内
[010]方向に延在する2つの電極12、14を形成
しておく。これら電極12、14間に定電流電源16を
接続すると、電流は、シリコン基板10の[100]方
向に沿って流れることになる。
【0016】このような基板を用い、電極12、14間
に電流を流しながらシリコン基板10上にダイヤモンド
合成を行うと、合成されたダイヤモンドの核18は、核
18の[100]方向がシリコン基板10面内の[10
0]方向に沿って成長する。すなわち、シリコン基板1
0上に、シリコン基板10と同じ面方位を有する核18
を形成することができる。
【0017】この後、ダイヤモンドの面方位が[10
0]配向となるように合成条件を設定すれば、合成され
たダイヤモンドは核18の面方位に沿って成長し、シリ
コン基板10上にダイヤモンド膜のエピタキシャル成長
をすることができる。なお、シリコン基板10に流す電
流は、成長の初期過程において核18の方位成長を助長
するためであるため、核18の形成後は電流を流す必要
はない。
【0018】このように、ダイヤモンドの合成過程にお
いて、少なくとも核18が形成される初期過程でシリコ
ン基板10の特定の方位方向に電流を流すことにより、
シリコン基板10の面方位に沿ってダイヤモンドを成長
することができる。基板に電流を流しながらダイヤモン
ドの合成を行うことにより下地結晶方位に沿ってダイヤ
モンドの核が形成されるのは、基板表面に電流が流れる
ことにより基板表面に吸着された前駆体(プレカーサ:
precursor)の拡散や表面反応に方向性が現れるためと
考えられる。
【0019】このような現象を他の面方位や材料につい
て調査した結果、ダイヤモンドの核の方位成長がみられ
るのは、(100)シリコン基板の[100]方向に電
流を流した場合のみではないことが判った。例えば、
(110)シリコン基板、(111)シリコン基板を用
いた場合にも、電流を流すことにより核の方位成長がみ
られた。
【0020】また、電流を流す方向を[110]、[1
11]、又は[112]とすることによっても、下地の
基板と同じ面方位を有するダイヤモンドの核を形成する
ことができた。なお、(100)シリコン基板を用いた
場合には[100]方向に電流を流したときに、(11
0)シリコン基板を用いた場合には[111]方向に電
流を流したときに、(111)シリコン基板を用いた場
合には[110]方向に電流を流したときに最も配向性
が高いダイヤモンド膜を合成することができた。但し、
これらのうち、(100)基板を用いた場合が最も配向
性に優れていた。
【0021】また、下地基板として立方晶のβ−SiC
基板を用いた場合にも核の方位成長がみられ、ダイヤモ
ンドをヘテロエピタキシャル成長することができた。さ
らに、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、又はこれらを主
成分とするFCC(面心立方:Face-Centered Cubic)
構造の合金を下地基板として用いた場合にも、ダイヤモ
ンドの核の面方位整合がみられた。
【0022】このような合金としては、例えば、Niに
Fe(鉄)やCr(クロム)を添加した合金、CuにA
u(金)やAg(銀)を添加した合金を適用することが
できる。これら金属を添加することにより合金の格子定
数をダイヤモンドの格子定数に近づけることができるの
で、エピタキシャル成長を行ううえで望ましいからであ
る。
【0023】このように、本実施形態によれば、単結晶
基板の特定の方位方向に電流を流した状態でダイヤモン
ドの核を形成することにより、その特定方向に沿ってダ
イヤモンドの核を形成することができる。また、この核
に沿ってダイヤモンド膜を成長することにより、ダイヤ
モンド膜のエピタキシャル成長を行うことができる。
【0024】なお、本願発明においては、単結晶基板の
特定の方位方向に電流を流しながら核形成を行うことが
重要であり、いかなる気相合成方法を用いても差し支え
ない。例えば、DCプラズマジェットCVD法を用いた
場合であっても、マイクロ波プラズマCVD法を用いた
場合であっても、ダイヤモンド膜をエピタキシャル成長
することができる。
【0025】
【実施例】以下に、本願発明によるダイヤモンド合成方
法の実施例を説明する。 [実施例1]比抵抗が約1×103[Ω・cm]の(1
00)シリコン基板を[100]方向に切断し、20×
20×0.5mmの基板を得た。このように形成した基
板の両端に20×2mmのタングステン製電極をスパッ
タ法により形成した。
【0026】次いで、この基板をDCプラズマジェット
CVD装置内に載置し、基板に形成した両電極間に定電
流電源を接続した。ここで、本実施例に用いたDCプラ
ズマジェットCVD装置について図2を用いて説明す
る。成膜を行うチャンバ20には、基板を載置する基板
ホルダ22と、プラズマを発生するプラズマトーチ24
が設けられている。また、チャンバ20には、チャンバ
20内を減圧し、又は不要のガスを排気する排気系26
が接続されている。
【0027】プラズマトーチ24には、プラズマを発生
させるための電源28と、原料ガスを導入するためのガ
ス導入配管30が接続されている。ダイヤモンドを成膜
するSi基板10は、石英ガラス32を介して基板ホル
ダ22上に固定されており、電極12、14間には定電
流電源34が接続されている。
【0028】DCプラズマジェットCVD法は、プラズ
マトーチ24により発生したプラズマを噴射させてプラ
ズマジェットを形成し、基板10上において薄膜を形成
するものである。プラズマジェットを用いることにより
プラズマ温度を増加させ、反応を促進させる方法であ
る。このようにしてDCプラズマジェットCVD装置内
に基板10を載置した後、以下の手順によりダイヤモン
ド膜の合成を行った。
【0029】チャンバ20内を真空排気した後、定電流
電源34より10mAの電流を供給し、Si基板10の
面内[100]方向に電流を流した。次いで、ガス供給
配管30よりガスを導入してプラズマを発生させ、10
分間ダイヤモンド合成を行った。これによりダイヤモン
ドの核を形成した。このときの合成条件は、アルゴン流
量を20リットル/min、水素流量を20リットル/
min、メタン流量を1.0リットル/min、放電出
力を5kW、圧力を50Torr、基板温度を900℃
とした。
【0030】続いて、基板10への通電を中止し、引き
続き、同じ条件で50分間のダイヤモンド合成を行っ
た。このようにして合成したダイヤモンド膜を偏光光学
顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electro
n Microscope)により観察し、X線回折、LEED(低
速電子線回折:Low Energy Electron Diffraction)に
より結晶性の評価を行った。
【0031】その結果、合成したダイヤモンド膜は膜厚
が約30μmの平滑な膜であった。また、X線回折では
ダイヤモンドの(400)回折線のみが検出され、LE
EDではシリコン基板の結晶方向と同じ結晶方位の単結
晶ダイヤモンドの回折パターンが検出された。 [実施例2]比抵抗が約1×103[Ω・cm]の(1
00)シリコン基板を[110]方向に切断し、20×
20×0.5mmの基板を得た。このように形成した基
板の両端に20×2mmのタングステン製電極をスパッ
タ法により形成した。
【0032】次いで、この基板を、図2に示すDCプラ
ズマジェットCVD装置内に載置し、基板に形成した両
電極間に定電流電源34を接続した。チャンバ20内を
真空排気した後、定電流電源34より10mAの電流を
供給し、基板10の面内[110]方向に電流を流し
た。続いて、ガス供給配管30よりガスを導入してプラ
ズマを発生させ、10分間ダイヤモンド合成を行った。
これによりダイヤモンドの核を形成した。このときの合
成条件は、アルゴン流量を20リットル/min、水素
流量を20リットル/min、メタン流量を1.0リッ
トル/min、放電出力を5kW、圧力を50Tor
r、基板温度を800℃とした。
【0033】この後、基板10への通電を中止し、引き
続き、同じ合成条件で50分間のダイヤモンド合成を行
った。このようにして合成したダイヤモンド膜を偏光光
学顕微鏡、SEMにより観察し、X線回折、LEEDに
より結晶性の評価を行った。その結果、合成したダイヤ
モンド膜は膜厚が約30μmの平滑な膜であった。ま
た、X線回折ではダイヤモンドの(400)回折線のみ
が検出され、LEEDではシリコン基板の結晶方向と同
じ結晶方位の単結晶ダイヤモンドの回折パターンが検出
された。 [実施例3]比抵抗が約1×103[Ω・cm]の(1
10)シリコン基板を[110]方向に切断し、20×
20×0.5mmの基板を得た。このように形成した基
板の両端に20×2mmのタングステン製電極をスパッ
タ法により形成した。
【0034】次いで、この基板を、図2に示すDCプラ
ズマジェットCVD装置内に載置し、基板に形成した両
電極間に定電流電源34を接続した。チャンバ20内を
真空排気した後、定電流電源34より4mAの電流を供
給し、基板10の面内[110]方向に電流を流した。
続いて、ガス供給配管30よりガスを導入してプラズマ
を発生させ、10分間ダイヤモンド合成を行った。これ
によりダイヤモンドの核を形成した。このときの合成条
件は、アルゴン流量を20リットル/min、水素流量
を20リットル/min、メタン流量を0.6リットル
/min、放電出力を5kW、圧力を50Torr、基
板温度を800℃とした。
【0035】この後、基板10への通電を中止し、引き
続き、同じ合成条件で50分間のダイヤモンド合成を行
った。このようにして合成したダイヤモンド膜を偏光光
学顕微鏡により観察し、X線回折、LEEDにより結晶
性の評価を行った。その結果、合成したダイヤモンド膜
は膜厚が約25μmの平滑な膜であった。また、X線回
折ではダイヤモンドの(220)の強い回折線が検出さ
れたが、(111)の回折線も僅かではあるが検出され
た。LEEDではシリコン基板の結晶方向と同じ結晶方
位の単結晶ダイヤモンドの回折パターンが検出された。 [実施例4]比抵抗が約1×10-3[Ω・cm]の(1
00)SiC基板を[100]方向に切断し、20×2
0×0.5mmの基板を得た。このように形成した基板
の両端に20×2mmのタングステン製電極をスパッタ
法により形成した。
【0036】次いで、この基板を、図2に示すDCプラ
ズマジェットCVD装置内に載置し、基板に形成した両
電極間に定電流電源34を接続した。チャンバ20内を
真空排気した後、定電流電源34より10mAの電流を
供給し、基板10の面内[100]方向に電流を流し
た。続いて、ガス供給配管30よりガスを導入してプラ
ズマを発生させ、10分間ダイヤモンド合成を行った。
これによりダイヤモンドの核を形成した。このときの合
成条件は、アルゴン流量を20リットル/min、水素
流量を20リットル/min、メタン流量を1.0リッ
トル/min、放電出力を5kW、圧力を50Tor
r、基板温度を800℃とした。
【0037】この後、基板10への通電を中止し、引き
続き、同じ合成条件で50分間のダイヤモンド合成を行
った。このようにして合成したダイヤモンド膜を偏光光
学顕微鏡により観察し、X線回折、LEEDにより結晶
性の評価を行った。その結果、合成したダイヤモンド膜
は膜厚が約30μmの平滑な膜であった。また、X線回
折ではダイヤモンドの(400)回折線のみが検出さ
れ、LEEDではSiC基板の結晶方向と同じ結晶方位
の単結晶ダイヤモンドの回折パターンが検出された。 [実施例5]比抵抗が約1×103[Ω・cm]の(1
00)シリコン基板を[100]方向に切断し、10×
10×0.5mmの基板を得た。このように形成した基
板の両端に10×1mmのTi(チタン)製電極をスパ
ッタ法により形成した。
【0038】次いで、この基板をマイクロ波プラズマC
VD装置内に載置し、基板に形成した両電極間に定電流
電源を接続した。ここで、本実施例に用いたマイクロ波
プラズマCVD装置について図3を用いて説明する。成
膜を行うガラス管40には、マイクロ波発振器42より
出力されたマイクロ波をガラス管内に伝えてプラズマを
発生させるための導波管44が設けられている。ガラス
管40の一方からは原料ガスが導入されるようになって
おり、他方には排気系46が接続されている。
【0039】ダイヤモンドを成膜する基板10は、ガラ
ス管40内に載置されており、電極12、14間には定
電流電源34が接続されている。このようにしてマイク
ロ波プラズマCVD装置内に基板10を載置した後、以
下の手順によりダイヤモンド膜の合成を行った。ガラス
管40内を真空排気した後、定電流電源34より2mA
の電流を供給し、基板10の面内[100]方向に電流
を流した。
【0040】次いで、ガラス管40内にガスを導入して
プラズマを発生させ、1時間のダイヤモンド合成を行っ
た。これによりダイヤモンドの核を形成した。このとき
の合成条件は、水素流量を100sccm、CO流量を
10sccm、放電出力を500W、圧力を50Tor
r、基板温度を900℃とした。続いて、基板10への
通電を中止し、引き続き、同じ条件で5時間のダイヤモ
ンド合成を行った。
【0041】このようにして合成したダイヤモンド膜を
偏光光学顕微鏡、SEMにより観察し、X線回折、LE
EDにより結晶性の評価を行った。その結果、合成した
ダイヤモンド膜は膜厚が約10μmの平滑な膜であっ
た。また、X線回折ではダイヤモンドの(400)回折
線のみが検出され、LEEDではシリコン基板の結晶方
向と同じ結晶方位の単結晶ダイヤモンドの回折パターン
が検出された。 [実施例6]比抵抗が約1×103[Ω・cm]の(1
00)シリコン基板を[100]方向に切断し、10×
10×0.5mmの基板を得た。その表面に、スパッタ
法により膜厚約2μmのNi(100)膜をヘテロエピ
タキシャル成長した。
【0042】次いで、この基板を、図3に示すマイクロ
波プラズマCVD装置内に載置し、基板の両端に定電流
電源34を接続した。ガラス管40内を真空排気した
後、定電流電源34より2mAの電流を供給し、基板1
0上に形成したNi膜の面内[100]方向に電流を流
した。続いて、ガラス管40内にガスを導入してプラズ
マを発生させ、1時間ダイヤモンド合成を行った。これ
によりダイヤモンドの核を形成した。このときの合成条
件は、水素流量を100sccm、CO流量を10sc
cm、放電出力を500W、圧力を50Torr、基板
温度を800℃とした。
【0043】この後、Ni膜への通電を中止し、引き続
き、同じ合成条件で5時間のダイヤモンド合成を行っ
た。このようにして合成したダイヤモンド膜を偏光光学
顕微鏡、SEMにより観察し、X線回折、LEEDによ
り結晶性の評価を行った。その結果、合成したダイヤモ
ンド膜は膜厚が約6μmの平滑な膜であった。また、X
線回折ではダイヤモンドの(400)回折線のみが検出
された。LEEDでは明確な回折パターンは得られなか
ったが、結晶ダイヤモンドに相当するブロードなパター
ンがみられた。膜の配向性は、シリコン基板やSiC基
板を用いた場合と比較して劣っていた。 [実施例7]単結晶Cu基板を[100]方向に切断
し、10×10×2mmの基板を得た。
【0044】次いで、この基板を、図3に示すマイクロ
波プラズマCVD装置内に載置し、基板の両端に定電流
電源34を接続した。ガラス管40内を真空排気した
後、定電流電源34より10mAの電流を供給し、Cu
基板10の面内[100]方向に電流を流した。続い
て、ガラス管40内にガスを導入してプラズマを発生さ
せ、1時間ダイヤモンド合成を行った。これによりダイ
ヤモンドの核を形成した。このときの合成条件は、水素
流量を100sccm、CO流量を10sccm、放電
出力を500W、圧力を50Torr、基板温度を80
0℃とした。
【0045】この後、Cu基板10への通電を中止し、
引き続き、同じ合成条件で5時間のダイヤモンド合成を
行った。このようにして合成したダイヤモンド膜を偏光
光学顕微鏡、SEMにより観察し、X線回折、LEED
により結晶性の評価を行った。その結果、合成したダイ
ヤモンド膜は膜厚が約6μmの平滑な膜であった。ま
た、X線回折ではダイヤモンドの(400)回折線のみ
が検出された。LEEDではCu基板10の結晶方向と
同じ結晶方位の単結晶ダイヤモンドの回折パターンが検
出されたが、パターンはシャープではなかった。膜の配
向性は実施例6の場合よりは優れていたが、シリコン基
板やSiC基板を用いた場合と比較して劣っていた。
【0046】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、気相合成
方法により単結晶基板上にダイヤモンド膜をエピタキシ
ャル成長するダイヤモンド合成方法において、前記単結
晶基板上に発生するダイヤモンドの核の方位方向が、単
結晶基板の方位方向とほぼ一致するように、単結晶基板
の面内の特定の方位方向に電流を流しながらダイヤモン
ドを合成するので、単結晶基板上にダイヤモンド膜をエ
ピタキシャル成長することができる。
【0047】また、単に特定の方位方向に電流を流すこ
とによってダイヤモンド膜のエピタキシャル成長ができ
るので、大面積の単結晶ダイヤモンドを容易に合成する
ことができる。また、上記のダイヤモンド合成方法にお
いて、単結晶基板としてシリコン基板、又はβ−SiC
基板を用いれば、ダイヤモンド膜をエピタキシャル成長
することができる。
【0048】また、上記のダイヤモンド合成方法におい
て、単結晶基板としてNi、Cu、又はこれらを主成分
とする合金よりなる基板を用いれば、ダイヤモンド膜を
エピタキシャル成長することができる。また、上記のダ
イヤモンド合成方法において、単結晶基板の面方位が
(100)である場合に、特定の方位方向を[100]
方向、又は[110]方向とすれば、配向性に優れたダ
イヤモンド膜をエピタキシャル成長することができる。
【0049】また、上記のダイヤモンド合成方法におい
て、単結晶基板の面方位が(110)である場合に、特
定の方位方向を[100]方向、[111]方向、又は
[110]方向とすれば、配向性に優れたダイヤモンド
膜をエピタキシャル成長することができる。また、上記
のダイヤモンド合成方法において、単結晶基板の面方位
が(111)である場合に、特定の方位方向を[11
0]方向、又は[112]方向とすれば、配向性に優れ
たダイヤモンド膜をエピタキシャル成長することができ
る。
【0050】また、上記のダイヤモンド合成方法におい
て、核を発生する成膜初期過程においてのみ電流を流せ
ば、単結晶基板上にダイヤモンド膜をエピタキシャル成
長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるダイヤモンド合成方
法の原理を説明する模式図である。
【図2】本発明の一実施形態によるダイヤモンド合成方
法に用いたDCプラズマジェットCVD装置の概略を説
明する図である。
【図3】本発明の一実施形態によるダイヤモンド合成方
法に用いたマイクロ波プラズマCVD装置の概略を説明
する図である。
【符号の説明】
10…基板 12…電極 14…電極 16…定電流電源 18…核 20…チャンバ 22…基板ホルダ 24…プラズマトーチ 26…排気系 28…電源 30…ガス導入配管 32…石英ガラス 34…定電流電源 40…ガラス管 42…マイクロ波発振器 44…導波管 46…排気系

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相合成方法により単結晶基板上にダイ
    ヤモンド膜をエピタキシャル成長するダイヤモンド合成
    方法において、 前記単結晶基板上に発生するダイヤモンドの核の方位方
    向が、前記単結晶基板の方位方向とほぼ一致するよう
    に、前記単結晶基板の面内の特定の方位方向に電流を流
    しながらダイヤモンドを合成することを特徴とするダイ
    ヤモンド合成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のダイヤモンド合成方法に
    おいて、 前記単結晶基板は、シリコン基板、又はβ−SiC基板
    であることを特徴とするダイヤモンド合成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のダイヤモンド合成方法に
    おいて、 前記単結晶基板は、Ni、Cu、又はこれらを主成分と
    する合金よりなる基板であることを特徴とするダイヤモ
    ンド合成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のダイ
    ヤモンド合成方法において、 前記単結晶基板の面方位が(100)である場合には、
    前記特定の方位方向を[100]方向、又は[110]
    方向とすることを特徴とするダイヤモンド合成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のダイ
    ヤモンド合成方法において、 前記単結晶基板の面方位が(110)である場合には、
    前記特定の方位方向を[100]方向、[111]方
    向、又は[110]方向とすることを特徴とするダイヤ
    モンド合成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3のいずれかに記載のダイ
    ヤモンド合成方法において、 前記単結晶基板の面方位が(111)である場合には、
    前記特定の方位方向を[110]方向、又は[112]
    方向とすることを特徴とするダイヤモンド合成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のダイ
    ヤモンド合成方法において、 前記核を発生する成膜初期過程においてのみ電流を流す
    ことを特徴とするダイヤモンド合成方法。
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