JPH09206892A - 薄板連続鋳造装置のサイド堰 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】使用後にサイド堰のベース部材から、セラミッ
クス板を容易に、しかもベース部材表面を平滑にしたま
ま剥がすことを可能として、中間補修を容易に実施でき
るサイド堰を提供する。 【解決手段】本発明は、軸を平行かつ水平に配置した一
対の冷却ドラムの両端面にサイド堰を押し付けて鋳型を
形成した双ドラム式薄板連続鋳造装置のサイド堰で、ケ
ースに収容された不定形耐火物と、不定形耐火物に植設
されたベス部材と、ベース部材に冷却ドラムの端面と摺
動するように植設されたセラミックス板とから成るサイ
ド堰において、ベース部材とセラミックス板との間に離
形材を挿入する。また、セラミックス板の側面と離形材
との間に隙間が存在する場合には、その隙間にキャスタ
ブルを埋設し、その際には、ベース部材とセラミックス
板の熱膨張率差に応じて、埋設するキャスタブルの材質
を選定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は双ドラム式薄板連続
鋳造装置のサイド堰に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、溶鋼等の溶融金属から最終形状に
近い数mm程度の厚みをもつ薄板を直接的に製造する方法
が注目されている。この連続鋳造方法によれば、従来の
ような多段階にわたる熱延工程を必要とせず、また最終
形状に至る圧延も軽度なものでよいため、工程及び設備
の簡略化が図られる。

【０００３】このような連続鋳造方法の一つとして、ツ
インドラム法（一対の冷却ドラムにより連続鋳造する方
法）がある（特開昭６０−１３７５６２号公報）。図４
は、このツインドラム法の概略を説明するための斜視図
である。この方式においては、この図で示すように、互
に逆方向に回転する一対の冷却ドラム１ａ，１ｂを水平
に配置し、冷却ドラム１ａ，１ｂ及びサイド堰２ａ，２
ｂにより区画された凹部に湯溜まり部３を形成する。溶
融金属は、タンディッシュ等の容器から注湯ノズルを介
してこの湯溜まり部３に注湯される。湯溜まり部３に収
容された溶融金属４は、冷却ドラム１ａ，１ｂと接する
部分が冷却されて凝固し、凝固シェルを形成する。

【０００４】この凝固シェルは、冷却ドラム１ａ，１ｂ
の回転に随伴して、一対の冷却ドラム１ａ，１ｂが互に
最も接近した位置、いわゆるドラムギャップ部６までそ
の厚みを増しながら移動し、それぞれの冷却ドラム１
ａ，１ｂの表面で形成された凝固シェルは、ここで互に
圧着されて目的とする金属薄帯５となる。なお、１５は
冷却ドラム端面、１６は摺動面である。

【０００５】実開昭６３−９０５４８号公報及びその明
細書に見られるように、かかる薄板連続鋳造装置におい
ては、前記サイド堰２ａ，２ｂは一般に、サイド堰ケー
スに収容された断熱材、この断熱材に植設されたベース
部材、及びこのベース部材の冷却ドラムに対応する面に
植設されたセラミックス板により構成されている。

【０００６】鋳造時には、サイド堰を冷却ドラム端面に
押し付け、セラミックス板を冷却ドラム摺動面で摩耗さ
せることにより冷却ドラム端面とサイド堰との間の隙間
をなくして溶鋼もれを防止している。また、特開昭６１
−２６６１６０号公報が示すように、サイド堰には一般
に振動が与えられており、セラミックス板の摩耗は助長
される。

【０００７】従って、薄板連続鋳造装置による薄板の連
続鋳造量は、冷却ドラム端面での摺動によるサイド堰セ
ラミックス板の摩耗速度によって決まり、セラミックス
板の摩耗が一定量に到達するとサイド堰全体の交換とな
る。しかしながら、鋳造コスト低減のためには摩耗損耗
するセラミックス板のみを交換し、その他の部位は再使
用する中間補修方法を実現することが望まれている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ベース
部材とセラミックス板とは通常接着剤で接着しているた
め、ベース部材からセラミックス板を剥がすのは容易で
なく、また剥がした際にベース部材の接着面が欠損した
り、ベース部材表面に付着残存した接着剤を除去しなけ
ればならない等、中間補修に対する負担が大きい状況に
ある。本発明はこのような問題点を解決し、中間補修を
容易に実施できるサイド堰を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、軸を平行かつ
水平に配置した一対の冷却ドラムの両端面にサイド堰を
押し付けて鋳型を形成した双ドラム式薄板連続鋳造装置
のサイド堰であって、サイド堰ケースに収容された断熱
材の不定形耐火物と、該不定形耐火物に植設されたベー
ス部材と、該ベース部材に前記冷却ドラムの端面と摺動
するように植設されたセラミックス板とから成るサイド
堰において、前記ベース部材とセラミックス板との間の
全面あるいは一部に対して離形材を挿入したことを特徴
とする。

【００１０】また、セラミックス板の側面と離形材との
間に隙間が存在する場合には、その隙間にキャスタブル
を埋設し、その際には、ベース部材とセラミックス板の
熱膨張率差に応じて、セラミックス板の熱膨張を吸収
し、かつ圧縮力によりセラミックス板を拘束可能なよう
に、埋設するキャスタブルの材質を選定する。

【００１１】本発明のサイド堰では、ベース部材とセラ
ミックス板の間に離形材を挿入した状態でセラミックス
板を離形材に接着するため、連続鋳造終了後にベース部
材からセラミックス板を容易に剥がすことができるとと
もに、セラミックス板を剥がした後もベース部材表面を
平滑に保ことができる。従って、中間補修を容易に繰り
返して実施することが可能となる。

【００１２】また、セラミックス板の側面と離形材との
間に一定の隙間を設け、そこにベース部材とセラミック
ス板の熱膨張率差に応じて選定した適当な材質のキャス
タブルを埋設することにより、キャスタブルがセラミッ
クス板の熱膨張を吸収すると共に、圧縮力によりセラミ
ックス板を拘束するようにすれば、熱応力によりセラミ
ックス板が割れたり、使用中にセラミックス板が滑って
動くのを防ぐことができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下本発明を、図面を参照しなが
ら説明する。図３はサイド堰の構造の一例を示す正面図
である。すなわち、サイド堰２ａの外側はサイド堰ケー
ス７で覆われ、冷却ドラム１ｂの端面１５に接する面
は、断熱材８、ベース部材９、その上に植設されたセラ
ミックス板１０で構成されている。このうち、セラミッ
クス板１０は、冷却ドラム摺動面１６と摺動する面、す
なわち摩耗面２０に沿って植設されている。

【００１４】図１は本発明のサイド堰の構造の一例を示
す断面図である。すなわち、ベース部材９の上に離形材
１１を設けた後、セラミックス板１０を接着剤１２によ
り接着して固定している。なお、離形材１１は、必ずし
も図１のように全面に設けなくてもよい。また、フィル
ム状の離形材１１の数ヶ所に穴を開けて、接着剤１２の
一部が直接ベース部材９に接触するようにしてもよい。
ただし、中間補修時にはベース部材９の表面が平滑であ
ることが要求され、もしベース部材９の上に付着したま
まの接着剤１２が残っていると接着剤の除去作業が必要
となり、作業コストが高くなることから、接着剤１２の
ベース部材９との接触面積はできるだけ小さい方が好ま
しい。

【００１５】図２は本発明のサイド堰の構造の他の例を
示す断面図である。この場合には、セラミックス板１０
の側面１３と離形剤１１との間に一定の隙間を設け、そ
こにキャスタブル１４を埋設することで、予熱時及び鋳
造時にセラミックス板１０の熱膨張を吸収しつつセラミ
ックス板１０を拘束できるようにしている。その際に使
用するキャスタブル１４の材質は、このような熱膨張の
吸収とセラミックス板１０の拘束が得られるように、使
用温度でのベース部材９とセラミックス板１０の熱膨張
率差に応じて選定する必要がある。

【００１６】

【実施例】次に、前記したような薄板連続鋳造装置及び
図１にその構造の詳細を示したサイド堰を用いて、「鋳
造→中間補修→再鋳造」の作業を実施した結果について
詳細に述べる。

【００１７】用いた水冷ドラムの材質はＳＵＳ３０４、
サイド堰のベース部材は高アルミナ煉瓦、セラミックス
板の材質はＢＮ：５０％、ＡｌＮ：５０％、離形剤は油
紙とし、サイド堰の水冷ドラム摺動面への押しつけ面圧
は３kg/cm²、水冷ドラム摺動面に対するセラミック部材
の摺動速度は６０ｍ／minとした。まず、サイド堰を予
熱したところ、離形材使用によるセラミックス板の剥落
や変質異常は見られず、良好な昇温状況であった。予熱
が完了した時点でＳＵＳ３０４鋼の鋳造を開始し、湯漏
れ等の操業トラブルもなく順調に鋳造できた。

【００１８】５００トン鋳造した段階でセラミックス板
の摩耗量が摩耗限界値に達したため、鋳造を中止した。
サイド堰がほぼ常温近くまで冷却されたときに、ベース
部材からセラミックス板をノミによって剥がしたとこ
ろ、炭化した離形材がベース部材と接着剤の付着したセ
ラミックス板とを明確に分離しており、容易かつ短時間
にしてセラミックス板全てをベース部材から剥がすこと
ができた。また、ベース部材上に残った離形材もハケで
除去でき、従ってその表面平滑度も良好であった。

【００１９】このサイド堰に改めて新しいセラミックス
板を油紙を介してベース部材上に接着し、再度鋳造試験
を行った。予熱時、鋳造時ともにトラブルなく使用する
ことができた。なお、鋳造を２回行ったときのサイド堰
コストは合計で、従来の６５％に低減できた。

【００２０】続いて、離形材としてビニールフィルム
を、キャスタブルとして溶融シリカ質のものを用いて、
図２に詳細を示すようなサイド堰を、上記と同様の条件
にて使用した。その結果、予熱時、鋳造中ともトラブル
はなく、中間補修、再鋳造も問題なく実施することがで
きた。なお、離形材については、油紙、ビニールフィル
ム、グリス等をベース部材の上に載置したり塗布したり
する方法が良好であるが、ベース部材の表面にビニール
コーティングする方法でもよい効果を発揮する。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のサイド堰
を用いれば、一度使用した後にベース部材からセラック
ス板を容易に剥がすことが可能となり、かつベース部材
表面を平滑に保てるため、容易に且つ迅速にサイド堰の
中間補修ができて、大幅な鋳造コスト低減を達成するこ
とが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】は本発明のサイド堰構造の一例を示す断面説明
図。

【図２】は本発明のサイド堰構造の他の例を示す断面説
明図。

【図３】は双ドラム連続鋳造法に用いられるサイド堰の
概略を示す正面図。

【図４】は双ドラム法の概略を示す斜視図。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ：冷却ドラム、 ２ａ，２ｂ：サイド堰、
３：湯溜まり部、 ４：溶融金属、 ５：金属薄帯、
６：ドラムギャップ部、 ７：サイド堰ケース、 ８：
断熱剤、 ９：ベース部材、 １０：セラミックス板、
１１：離形材、 １２：接着材、 １３：セラミック
ス板側面、 １４：キャスタブル、 １５：冷却ドラム
端面、 １６：冷却ドラム摺動面、 ２０：セラミック
ス板摩耗面。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸を平行かつ水平に配置した一対の冷却ド
   ラムの両端面にサイド堰を押し付けて鋳型を形成した双
   ドラム式薄板連続鋳造装置のサイド堰であって、サイド
   堰ケースに収容された不定形耐火物と、該不定形耐火物
   に植設されたベース部材と、該ベース部材に前記冷却ド
   ラムの端面と摺動するように植設されたセラミックス板
   とから成るサイド堰において、前記ベース部材とセラミ
   ックス板との間の全面あるいは一部に対して離形材を挿
   入したことを特徴とする薄板連続鋳造装置のサイド堰。
2. 【請求項２】セラミックス板の側面と離形材との間に存
   在する隙間にキャスタブルを埋設したことを特徴とする
   請求項１記載の薄板連続鋳造装置のサイド堰。
3. 【請求項３】ベース部材とセラミックス板の熱膨張率差
   に応じて選定した、セラミックス板の熱膨張を吸収し、
   かつ圧縮力によりセラミックス板を拘束可能な材質のキ
   ャスタブルを埋設したことを特徴とする請求項２記載の
   薄板連続鋳造装置のサイド堰。