JPH09200957A - 交直変換器の制御装置 - Google Patents

交直変換器の制御装置

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JPH09200957A
JPH09200957A JP8027367A JP2736796A JPH09200957A JP H09200957 A JPH09200957 A JP H09200957A JP 8027367 A JP8027367 A JP 8027367A JP 2736796 A JP2736796 A JP 2736796A JP H09200957 A JPH09200957 A JP H09200957A
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JP8027367A
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Hirokazu Suzuki
木 宏 和 鈴
Kenichi Suzuki
木 健 一 鈴
Koji Sakamoto
本 幸 治 坂
Midori Otsuki
槻 みどり 大
Masahiro Tsumenaga
長 正 宏 爪
Noriko Kawakami
上 紀 子 川
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Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Original Assignee
Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の変換器が直流送電線に接続された直流
送電システムが、長時間にわたって定格値とは異なる直
流電圧で運転される事態を防止すること。 【解決手段】 交流電力から直流電力への変換を行う交
直変換器が直流側で複数台接続される直流送電システム
における交直変換器の制御装置において、変換器が融通
する有効電力の設定値と検出値の差に応じて変換器の直
流電圧設定値を補正する第1の補正手段(19)と、変
換器が融通する有効電力の検出値と設定値の差に応じて
直流電圧設定値の補正に比べ遅い応答で有効電力の設定
値を補正する第2の補正手段(17)と、補正された直
流電圧設定値と直流電圧検出値の差が零に近づくように
交直変換器(3A)を制御する制御手段(7,20,1
0)とを備えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力系統におい
て、非同期連系システムや周波数変換システムに適用さ
れる直流送電システムにおける交直変換器の制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】異なる交流電力系統間で電力を融通する
ために各電力系統端に交直変換器を配置し、それらの交
直変換器の直流端子相互間を直流送電線を介して接続し
た直流送電システムが用いられる。図30はそのような
直流送電システムとその制御装置を示すものである。
【0003】図30は電圧型自励式変換器を使用した2
端子直流送電システムの構成例を示すものである。背後
に交流系統のつながった第1の交流母線1Aに変換器用
変圧器2Aを介して自励式変換器3Aが接続されてい
る。変換器3Aは、各アームがGTO(ゲートターンオ
フ)サイリスタとそれに逆並列接続されたダイオードと
からなる、6相または12相のブリッジ回路として構成
されている。変圧器2Aの出力相数は変換器3Aの相数
に応じて決定される。変換器3Aの直流端子側にはコン
デンサ4Aが分路に接続され、その先に直流送電線50
を介して、自励式変換器3Aと同じ構成の自励式変換器
3Bが接続されている。変換器3Bの直流端子側にはコ
ンデンサ4Bが接続され、交流端子側は変換器用変圧器
2Bを介して第2の交流母線1Bに接続されている。
【0004】2端子直流送電システムの場合、潮流方向
に応じて変換器3Aおよび3Bのうちの一方(給電側)
が順変換器として運転され、他方(受電側)が逆変換器
として運転される。なお、制御装置および検出装置につ
いては、変換器3Aも変換器3Bも同じ構成のものが使
用できるので、図30では変換器3Aについてのみ示し
ている。
【0005】変換器3A側において、直流電圧検出器5
Aにより直流送電線50の電圧すなわち直流電圧Edを
検出し、また交流母線1Aと変圧器2Aとの間に配置さ
れた変流器51により検出された交流電流(三相)Ia
と、交流母線1Aに接続された計器用変圧器52により
検出された系統電圧(三相)Eaとに基づいて、有効電
力検出器6により変換器3Aの有効電力Paを検出し、
無効電力検出器8により無効電力Qaを検出する。直流
電圧Edは直流電圧設定値Edrefと突き合わされ、その
結果として得られる直流電圧偏差(=Edref−Ed)が
直流電圧/有効電力制御回路7の第1の入力端に入力さ
れる。制御回路7の第2の入力端には、有効電力Paと
有効電力設定値Pref との突き合わせの結果として得ら
れる有効電力偏差(=Pref −Pa)が入力される。ま
た、無効電力Qaと無効電力設定値Qref との突き合わ
せの結果として得られる無効電力偏差(=Qref −Q
a)が無効電力制御回路9に入力される。直流電圧/有
効電力制御回路7および無効電力制御回路9はそれぞれ
の入力偏差をゼロにするための制御信号を出力する。制
御回路7の出力値および制御回路9の出力値は交流電流
制御回路10に対してそれぞれ交流電流の有効電力成分
の設定値Idrefおよび無効電力成分の設定値Iqrefとし
て与えられる。また、交流電流Iaが三相/二相変換回
路11により有効電力成分Idと無効電力成分Iqに分
離され交流電流制御回路10に与えられる。交流電流制
御回路10は、交流電流Iaの有効電力成分Idおよび
無効電力成分検出値Iqをそれぞれ直流電圧/有効電力
制御回路7の出力である交流電流の有効電力成分の設定
値Idref、および無効電力制御回路9の出力である交流
電流の無効電力成分の設定値Iqrefに等しくするような
PWM制御信号のための位相角φと制御率Cmを演算し
PWM制御回路12に与える。一方、系統電圧Eaに基
づいて位相検出回路13により交流母線1の電圧位相θ
を検出してPWM制御回路12に与える。PWM制御回
路12は、信号θ、φ、およびCmに基づいて、PWM
制御のための搬送波信号および三相正弦波のPWM制御
信号をつくり、2つの信号の突き合わせによってオンパ
ルスおよびオフパルスの発生タイミングを決定する。そ
の出力信号に基づいてパルス発生回路14が変換器3B
の各アームに対するオンパルスおよびオフパルスを発生
し変換器3Bに与える。変換器3Bは、このパルスによ
って各アームのGTOサイリスタがオン/オフを行うこ
とにより所望の運転を行う。
【0006】こうした制御装置を使用することにより、
直流送電システムにおいて、有効電力設定値Pref どお
りの電力を順変換器運転の変換器3A側から逆変換器運
転の変換器3B側へと融通し、また、各変換器で無効電
力設定値Qref どおりの無効電力を出力する運転が行な
われる。ここで、無効電力は、各変換器で独自の設定値
を持ちそれぞれ独立に制御されるが、有効電力は両変換
器で共通の値に制御される。具体的な制御では、片方の
変換器で有効電力を直接制御し、もう片方の変換器で直
流電圧が一定になるように制御することにより、直流電
圧を一定に保ちながら順変換器側から逆変換器側へと設
定値どおりの有効電力を融通する。
【0007】このような制御を実現するために、直流電
圧/有効電力制御回路7として従来提案されている回路
構成を図31に示す。この制御方式の詳細については、
たとえば、電気学会論文誌B、112巻1号19〜26
ページ(平成4年発行)所収の論文:常盤幸生ほか著
「自励式変換器を適用したHVDCシステムにおける端
子制御と協調制御」に開示されているところである。図
31に示す直流電圧/有効電力制御回路7Zでは、直流
電圧検出値Edと直流電圧設定値Edrefの偏差を直流電
圧制御器15に与え、有効電力検出値Paと有効電力設
定値Pref の偏差を有効電力制御器16に与え、それぞ
れの偏差をゼロにするような制御値を出力する。さらに
有効電力制御器16の出力値を直流電圧制御器15の出
力に対する最小リミット値として使用する。ここで順変
換器側(変換器3A)では直流電圧設定値Edrefとして
直流電圧定格値を与え、逆変換器側(変換器3B)では
定格値より10%程度小さな値を与えることにより、逆
変換器側では直流電圧制御器15の出力が最小リミット
値にかかった状態となり、最小リミット値として与えら
れている有効電力制御器16の出力が最終的な出力Idr
efとなる。順変換器側では直流電圧制御器15の出力が
そのまま最終的な出力Idrefとなる。この構成の直流電
圧/有効電力制御回路7Zを使用することにより、順変
換器側で直流電圧を定格値どおりに制御し、逆変換器側
で必要な融通電力を制御することができる。
【0008】図30の送電システムは直流送電線50に
2台の変換器が接続された2端子直流送電システムであ
るが、直流送電線50に3台以上の変換器が接続され互
いに有効電力の融通を行う、いわゆる多端子直流送電シ
ステムにおいても上記と同様の制御を行うことができ
る。その場合、各変換器に与える直流電圧設定値Edref
を互いの直流電圧制御が干渉しないようそれぞれ10%
程度の差を持たせた値とすることにより、1箇所の変換
器で直流電圧を制御し、残りの変換器はそれぞれ必要な
有効電力を交流系統との間で融通するよう制御される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来の変
換器の制御装置では、通常時は直流電圧が定格値となる
ような制御が行われるが、直流電圧制御を行っていた変
換器の有効電力値がそのリミット値を超えた場合、ある
いは通常時に直流電圧制御を行っていた変換器が停止し
た場合には、定格値とは異なる値の直流電圧設定値が与
えられている変換器が直流電圧制御運転を行う。そのた
め、直流電圧が定格値より10%程度低下したり上昇し
たりした状態で運転が継続される。直流送電システムで
は、主回路機器も制御装置も、直流電圧は定格値で運転
することを前提にして設計されるため、長時間にわたっ
て定格値から大きく外れる直流電圧値で運転が行われる
と、過電圧あるいは過電流による機器のストレスが増大
したり、制御特性が悪くなったりするという問題が生じ
る。これを防止するためには、他の変換器と相互に運転
状態を監視するための伝送手段が必要になる。
【0010】また、多端子直流送電システムの場合、何
箇所かの変換器が系統事故や故障で停止した場合でも残
りの健全な変換器の間で電力融通を行って運転を継続す
ることができる。その場合、停止した変換器の電力変化
分を直流電圧制御モードの変換器が負担するため、直流
電圧制御モードで運転する変換器の有効電力が急激に大
きく変化するおそれがあり、その変換器の接続された交
流系統の短絡容量が小さい場合や重潮流の場合などに
は、交流系統に大きな動揺を与えかねないという問題が
生じる。
【0011】本発明の目的は、複数の変換器が直流送電
線に接続された直流送電システムが、長時間にわたって
定格値とは異なる直流電圧で運転される事態を防止し、
また、複数の変換器のうち何台かが交流系統事故や故障
により停止した場合や、有効電力の運転値が変化した場
合に、健全な変換器の有効電力運転値が急激に変化し
て、変換器が接続された交流系統に大きな動揺を与える
という事態を防止することのできる変換器の制御装置を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
交直変換器の制御装置は、長時間にわたって直流電圧が
定格値とは異なる値で運転するのを防止するために、変
換器が融通する有効電力の設定値と検出値の差に応じて
変換器の直流電圧設定値を補正する第1の補正手段と、
変換器が融通する有効電力の検出値と設定値の差に応じ
て直流電圧設定値の補正に比べ遅い応答で有効電力の設
定値を補正する第2の補正手段と、補正された直流電圧
設定値と直流電圧検出値の差が零に近づくように交直変
換器を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】本発明の請求項2に係る交直変換器の制御
装置は、長時間にわたって直流電圧が定格値とは異なる
値で運転するのを防止するために、変換器が融通する有
効電力の設定値と検出値の差に応じて変換器の直流電圧
設定値を補正する第1の補正手段と、補正する前の直流
電圧設定値と直流電圧検出値の差に応じて直流電圧設定
値の補正に比べ遅い応答で有効電力の設定値を補正する
第2の補正手段と、補正された直流電圧設定値と直流電
圧検出値の差が零に近づくように交直変換器を制御する
制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】本発明の請求項3に係る交直変換器の制御
装置は、長時間にわたって直流電圧が定格値と異なる値
で運転するのを防止するために、変換器の直流電圧設定
値と直流電圧検出値の差に応じて変換器が融通する有効
電力の設定値を補正する第1の補正手段と、変換器が融
通する有効電力の検出値と補正する前の有効電力設定値
の差に応じて直流電圧設定値の補正に比べ遅い応答で有
効電力の設定値を補正する第2の補正手段と、補正され
た有効電力設定値と有効電力検出値の差が零に近づくよ
うに交直変換器を制御する制御手段とを備えたことを特
徴とする。
【0015】本発明の請求項4に係る交直変換器の制御
装置は、長時間にわたって直流電圧が定格値とは異なる
値で運転するのを防止するために、変換器の直流電圧設
定値と直流電圧検出値の差に応じて変換器が融通する有
効電力の設定値を補正する第1の補正手段と、直流電圧
設定値と直流電圧検出値の差に応じて有効電力設定値の
補正に比べ遅い応答で有効電力の設定値を補正する第2
の補正手段と、補正された有効電力設定値と有効電力検
出値の差が零に近づくように交直変換器を制御する制御
手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】本発明の請求項5に係る交直変換器の制御
装置は、直流送電システムを構成する複数の交直変換器
のうち何台かが事故による停止などのため有効電力の運
転点を変更した場合に、それ以外の交直変換器の有効電
力が急激に変化して交直変換器の接続された交流系統へ
大きな動揺を与えるのを防止するために、変換器が融通
する有効電力の設定値と検出値の差に所定係数を乗算し
た値で変換器の直流電圧設定値を補正する補正手段と、
変換器と交流系統の間に接続された遮断器の状態信号を
監視し、遮断器が一定時間以上継続して開放状態にある
ことを条件に所定係数をより大きな値に切換える切換手
段と、補正された直流電圧設定値と直流電圧検出値の差
が零に近づくように交直変換器を制御する制御手段とを
備えたことを特徴とする。
【0017】本発明の請求項6に係る交直変換器の制御
装置は、直流送電システムを構成する複数の交直変換器
のうち何台かが事故による停止などのため有効電力の運
転点を変更した場合に、それ以外の交直変換器の有効電
力が急激に変化して交直変換器の接続された交流系統へ
大きな動揺を与えるのを防止するために、変換器の直流
電圧設定値と直流電圧検出値の差に比例係数を乗算した
値で変換器が融通する有効電力の設定値を補正する第1
の補正手段と、変換器と交流系統の間に接続された遮断
器の状態信号を監視し、遮断器が一定時間以上継続して
開放状態にあることを条件に所定係数をより小さな値に
切換える切換手段と、補正された有効電力の設定値と検
出値の差が零に近づくように交直変換器を制御する制御
手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】本発明の請求項7に係る交直変換器の制御
装置は、直流送電システムを構成する複数の交直変換器
のうち何台かが事故による停止などのため有効電力の運
転点を変更した場合に、それ以外の交直変換器の有効電
力が急激に変化して交直変換器の接続された交流系統へ
大きな動揺を与えるのを防止するために、変換器が融通
する有効電力の設定値と検出値の差に所定係数を乗算し
た値で変換器の直流電圧設定値を補正する補正手段と、
変換器が接続された交流系統の電力潮流の大きさを監視
し、電力潮流の大きさが予め設定された範囲を一定時間
以上継続して越えたことを条件に、所定係数をより大き
な値に切換える切換手段と、補正された直流電圧設定値
と直流電圧検出値の差が零に近づくように交直変換器を
制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】本発明の請求項8に係る交直変換器の制御
装置は、直流送電システムを構成する複数の交直変換器
のうち何台かが事故による停止などのため有効電力の運
転点を変更した場合に、それ以外の交直変換器の有効電
力が急激に変化して交直変換器の接続された交流系統へ
大きな動揺を与えるのを防止するために、変換器の直流
電圧設定値と直流電圧検出値の差に所定係数を乗算した
値で変換器の融通する有効電力の設定値を補正する補正
手段と、変換器が接続された交流系統の電力潮流の大き
さを監視し、電力潮流の大きさが予め設定された範囲を
一定時間以上継続して越えたことを条件に、所定係数を
より小さな値に切換える切換手段と、補正された有効電
力設定値と有効電力検出値の差が零に近づくように変換
器を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】本発明の請求項9に係る交直変換器の制御
装置は、直流送電システムを構成する複数の交直変換器
のうち何台かが事故による停止などのため有効電力の運
転点を変更した場合に、それ以外の交直変換器の有効電
力が急激に変化して交直変換器の接続された交流系統へ
大きな動揺を与えるのを防止するために、変換器が融通
する有効電力の設定値と検出値の差に所定係数を乗算し
た値で変換器の直流電圧設定値を補正する補正手段と、
所定係数を所定の条件により切換える切換手段と、有効
電力設定値と有効電力検出値の差の絶対値、または補正
される前の直流電圧設定値と直流電圧検出値の絶対値、
または所定係数を乗算した値の絶対値が予め設定された
一定値を越えているとき、切換手段が切換動作を行わな
いようにインターロックするインターロック手段と、補
正された直流電圧設定値と直流電圧検出値の差が零に近
づくように変換器を制御する制御手段とを備えたことを
特徴とする。
【0021】本発明の請求項10に係る交直変換器の制
御装置は、直流送電システムを構成する複数の交直変換
器のうち何台かが事故による停止などのため有効電力の
運転点を変更した場合に、それ以外の交直変換器の有効
電力が急激に変化して交直変換器の接続された交流系統
へ大きな動揺を与えるのを防止するために、直流電圧設
定値と直流電圧検出値の差に所定係数を乗算した値で変
換器が融通する有効電力の設定値を補正する補正手段
と、所定係数を所定の条件により切換える切換手段と、
直流電圧設定値と直流電圧検出値の差の絶対値、または
補正される前の有効電力設定値と有効電力検出値の絶対
値、または所定係数を乗算した値の絶対値が予め設定さ
れた一定値を越えているとき、切換手段が切換動作を行
わないようにインターロックするインターロック手段
と、補正された有効電力設定値と有効電力検出値の差が
零に近づくように変換器を制御する制御手段とを備えた
ことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
(請求項1の実施の形態の構成)本発明の請求項1に係
る交直変換器の制御装置の第1の実施の形態を以下に説
明する。図1は、本発明の請求項1に係る交直変換器の
制御装置の第1の実施の形態の要部を示すものであっ
て、図30に示す交直変換器の制御装置における直流電
圧/有効電圧制御回路7の内部構成に相当する直流電圧
/有効電圧制御回路7Aを示す制御ブロック図である。
【0023】図1の制御回路7Aにおいては、有効電力
設定値Pref に1次遅れ回路17の出力を負の符号で加
算した値Prefxを最終的な有効電力設定値として使用
し、この有効電力設定値Prefxと有効電力検出値Paの
差分を一定の係数kを持つ係数器18に入力し、係数器
18の出力を加算器19、および1秒程度の比較的大き
な時定数を持つ1次遅れ回路17に入力する。なお1次
遅れ回路17は直流電圧設定値の補正と有効電力設定値
の補正とが干渉するのを防止するために、ここでは有効
電力設定値の補正系に設けられている。加算器19では
直流電圧設定値Edrefに係数器18の出力を加算して、
補正された直流電圧設定値Edrefx を出力する。この直
流電圧設定値Edrefx と直流電圧検出値Edの突き合わ
せを行って、その差分を例えば比例積分(PI)回路な
どとして構成された直流電圧制御器20に入力する。直
流電圧制御器20では、直流電圧検出値Edを補正され
た直流電圧設定値Edrefx に等しくするような制御値
を、交流電流の有効電力成分の設定値Idrefとして出力
する。
【0024】(請求項1の実施の形態の作用)図1の制
御回路7Aを有する制御装置を用いた場合、有効電力検
出値Paが設定値Pref に等しければ、係数器18およ
び1次遅れ回路17の出力は零となり、有効電力および
直流電圧の最終的な設定値Prefx、Edrefx はそれぞれ
補正する前の設定値Pref 、Edrefと等しくなる。これ
により、有効電力が当初与えられた設定値Pref どおり
の値で、かつ直流電圧も当初与えられた設定値Edrefと
等しい値になるように、直流電圧制御器20による制御
が行われる。
【0025】これに対し有効電力Paが設定値Pref よ
り大きくなれば、係数器18の出力が負の値となるた
め、直流電圧は過渡的に設定値Edrefよりも低下し、逆
に有効電力Paが設定値Pref よりも小さくなれば、係
数器18の出力が正の値となるため、直流電圧は過渡的
に設定値Edrefよりも増加する。その後、1次遅れ回路
17の出力が有効電力設定値Pref に加えられることに
より、1次遅れ回路17の時定数に応じた比較的緩慢な
速度で有効電力の補正された設定値Pref が検出値Pa
に近付き、それにつれて係数器18の出力が零に近付
き、直流電圧も設定値Edrefに近付く。この有効電力と
直流電圧の特性を、図2を参照して説明する。
【0026】図2は、変換器A、変換器B、変換器Cと
いう3台の変換器から成る多端子直流送電システムにお
ける各変換器の有効電力と直流電圧の関係を示す特性図
である。3台の変換器A,B,Cには、それぞれ直流電
圧設定値Edrefとして定格電圧値(1pu)が共通に与え
られているものとする。また、有効電力設定値として、
変換器AにはPrefa=0.5pu、変換器BにはPrefb=
0.0pu、変換器CにはPrefc=−0.5puという値が
与えられている。有効電力が増えるにつれ直流電圧が下
がるので、特性は右下がりの直線となる。この直線の傾
きは、各変換器でそれぞれ任意の値を選ぶことができ、
それは図1の係数器18の係数kにより決まる。ここ
で、設定値どおりの運転を行えば直流システム全体とし
て有効電力の和が零となり平衡するので、定常的には各
変換器は運転点X、Y、Zで設定値どおりの運転を行
う。この状態から変換器Aが停止すると、変換器Bおよ
び変換器Cは有効電力の合計が零となるよう有効電力が
正方向へ変化し、図2の点Y1、Z1 へ運転点が移行す
る。この点では直流電圧が2台の変換器で等しく設定値
Edrefより低下しており、かつ有効電力の和が零とな
る。さらに、有効電力設定値が運転値と等しくなるよう
補正されるため各変換器の右下がりの直線自体が上方へ
移行し、図2における一点鎖線で示すような動作特性が
得られ、最終的には点Y2 およびZ2 に示すように、2
台の変換器の有効電力の和が零で、かつ直流電圧が当初
与えられた設定値Edref=1puという、新しい運転点が
得られ平衡する。
【0027】以上の動作を図1の制御ブロック図を用い
て説明する。ある変換器に着目し、定常状態から、直流
送電システムを構成する他の変換器で有効電力が低下す
ると、全体の有効電力の平衡を保つために、着目してい
る変換器の有効電力Paが増加する。これにより係数器
18の出力が負の値になり、それが加算器19を介して
加算されるため、直流電圧設定値Edrefx が低下する。
この値が最終的な直流電圧設定値として使用されるた
め、直流電圧Edは当初の値より低下した値になるよう
直流電圧制御器20により制御される。一方、係数器1
8の出力は1次遅れ回路17を介して負の符号で有効電
力設定値Pref に加算されるため、最終的な有効電力設
定値Prefxは次第に大きな値となる。このPrefxの変化
の速度は1次遅れ回路17の時定数により決まる。有効
電流設定値Prefxが次第に大きくなり有効電力検出値P
aに近付くにつれ係数器18の出力が零に近付き、これ
により直流電圧設定値Edrefx も当初の設定値Edrefに
近付く。最終的には有効電力設定値Prefxが検出値Pa
と等しくなり、直流電圧設定値Edrefx が当初の設定値
Edrefと等しくなる。
【0028】上記とは逆に、直流送電システムを構成す
る他の変換器で有効電力が増加すると、全体の有効電力
の平衡を保つため、着目している変換器の有効電力Pa
が減少する。これにより係数器18の出力が正の値にな
り、直流電圧設定値Edrefxが大きくなって直流電圧は
当初の値より高くなるよう制御される。その後、1次遅
れ回路17を介して有効電力設定値に負の値が徐々に加
算されて有効電力設定値Prefxが検出値Paに近付き、
これにより直流電圧設定値Edrefx も当初の設定値Edr
efに近付く。最終的には有効電力設定値Prefxが検出値
Paと等しくなり、直流電圧設定値Edrefx が当初の設
定値Edrefと等しくなる。
【0029】(請求項1の実施の形態の効果)以上の結
果から、図1の実施の形態の制御回路7Aを有する制御
装置を備えることにより、任意の変換器の有効電力運転
値が事故などで変化した場合、残りの変換器で変化分の
有効電力を分担して全体として有効電力の和が零となる
ような点で平衡し、かつ、新しい運転点を得るために当
初与えられた設定値とは異なる直流電圧で運転する。
【0030】その後、有効電力設定値を、平衡した運転
点に合わせて補正することにより、直流電圧の値を当初
の設定値どおりの値に戻すよう動作する。
【0031】これにより、変換器間の伝送手段の必要な
しに、常時、直流送電システムの有効電力の平衡を保ち
ながら運転し、かつ、長時間にわたって直流電圧が設定
値と異なる値になるという事態を防止することができ
る。
【0032】(請求項1の他の実施の形態)図1に示す
請求項1に係る制御装置の第1の実施の形態では係数器
18の出力を1次遅れ回路17を介して有効電力設定値
Pref に負の符号で加算する構成としているが、図3に
示す請求項1の第2の実施の形態による直流電圧/有効
電力制御回路7Bのように、係数器18の入力信号すな
わち有効電力設定値Pref と有効電力検出値Paの差分
を、係数器18を通すことなく直接に、1次遅れ回路1
7を介して有効電力設定値Pref に負の符号で加算する
構成としても図1の実施の形態と同様の効果を得ること
ができる。
【0033】また図1に示す請求項1に係る制御装置の
第1の実施の形態では係数器18の出力を直流電圧設定
値Edrefに加算して設定値の補正を行う構成としている
が、図4に示す請求項1の第3の実施の形態による直流
電圧/有効電力制御回路7Cのように、直流電圧設定値
Edrefと直流電圧検出値Edの差分をとり、その差分に
対して係数器18の出力信号を加算器19により加算し
て補正を行う構成としても、図1の実施の形態と同様の
効果を得ることができる。
【0034】また、第1の実施の形態、第2の実施の形
態、第3の実施の形態では、直流電圧設定値の補正と有
効電力設定値の補正とが干渉するのを防止するため、有
効電力設定値の補正は比較的大きな時定数をもつ1次遅
れ回路17を介して行っているが、1次遅れ回路の代り
に、不感帯回路、または積分回路、比例積分回路を設け
る構成にしても同様の効果が得られる。さらに、不感帯
回路や1次遅れ回路、積分回路、比例積分回路を任意に
縦続接続した回路を使用しても同様の効果を得ることが
できる。
【0035】また、以上の実施の形態は、複数の電圧型
自励式変換器により構成された直流送電システムを前提
として説明したが、他励式変換器を使用した直流送電シ
ステム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直流送
電システム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が
混在した直流送電システムにおいても、直流電圧と有効
電力の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことによ
り、同様の効果を得ることができる。
【0036】(請求項2の実施の形態の構成)本発明の
請求項2に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説
明する。図5は、本発明の請求項2に係る制御装置の第
1の実施の形態の要部を示す構成図であって、図30に
示す制御装置における直流電圧/有効電力制御回路7の
内部構成に相当する直流電圧/有効電力制御回路7Dを
示す制御ブロック図である。
【0037】図5の制御回路7Dにおいては、有効電力
設定値Pref に1次遅れ回路17の出力を加算した値P
refxを最終的な有効電力設定値として使用し、有効電力
検出値Paと有効電力設定値Prefxの差分を一定の係数
kを有する係数器18に入力し、係数器18の出力を加
算器19に入力する。加算器19では直流電圧設定値E
drefに係数器18の出力を加算して、補正された直流電
圧設定値Edrefx を出力する。この直流電圧設定値Edr
efx と直流電圧検出値Edの突き合わせを行って、その
差分を例えば比例積分回路などで構成される直流電圧制
御器20に入力する。直流電圧制御器20は、直流電圧
検出値Edが補正された直流電圧設定値Edrefx に等し
くなるような値を、交流電流の有効電力成分の設定値I
drefとして出力する。一方、加算器21により補正する
前の直流電圧設定値Edrefと直流電圧Edの差分を演算
し、その差分を1秒程度の比較的大きな時定数を持つ1
次遅れ回路17に入力する。
【0038】(請求項2の実施の形態の作用)図5の構
成の制御回路7Dを用いた場合、有効電力検出値Paが
設定値Prefに等しければ、係数器18および1次遅れ
回路17の出力は零となり、有効電力および直流電圧の
最終的な設定値Prefx、Edrefx はそれぞれ補正する前
の設定値Pref 、Edrefと等しい値となる。これによ
り、有効電力が当初与えられた設定値Pref どおりの値
で、かつ直流電圧も当初与えられた設定値Edrefどおり
の値になるよう、直流電圧制御器20により制御が行わ
れる。
【0039】この状態から、例えば直流送電システムを
構成する他の変換器で有効電力が低下すると、全体の有
効電力の平衡を保つために、着目している変換器の有効
電力が増加する。これにより係数器18の出力が負の値
になり、加算器19に加算されるため、直流電圧設定値
Edrefx が低下する。この値が最終的な直流電圧設定値
として使用されるため、直流電圧Edは当初の値よりも
低下した値になるよう直流電圧制御器20により制御さ
れる。一方、加算器21により演算された補正する前の
直流電圧設定値Edrefと直流電圧検出値Edの差分は直
流電圧が低下するため正の値となり、それが1次遅れ回
路17を介して有効電力設定値Pref に加算されるた
め、最終的な有効電力設定値Prefxは次第に大きな値と
なる。この設定値Prefxの変化の速度は1次遅れ回路1
7の時定数により決まる。有効電力設定値Prefxが次第
に大きくなり有効電力検出値Paに近付くにつれ係数器
18の出力が零に近付き、これにより直流電圧設定値E
drefx も当初の設定値Edrefに近付く。最終的には有効
電力設定値Prefxが検出値Paと等しくなり、直流電圧
設定値Edrefx が当初の設定値Edrefと等しくなる。
【0040】上記とは逆に、直流送電システムを構成す
る他の変換器で有効電力が増加すると、全体の有効電力
の平衡を保つために当該変換器の有効電力が減少する。
これにより係数器18の出力が正の値になり、直流電圧
設定値Edrefx が上昇して直流電圧は当初の値よりも大
きな値になるよう制御される。その後、1次遅れ回路1
7を介して有効電力設定値に負の値が徐々に加算されて
有効電力設定値Prefxが低下して検出値Paに近付き、
これにより直流電圧設定値Edrefx も当初の設定値Edr
efに近付く。最終的には有効電力設定値Prefxが検出値
Paと等しくなり、直流電圧設定値Edrefx が当初の設
定値Edrefと等しくなる。以上の動作は、図2により説
明した請求項1の動作特性と同様である。
【0041】(請求項2の実施の形態の効果)以上の結
果から、図5の実施の形態の制御回路を備えることによ
り、任意の変換器の有効電力運転値が事故などで変化し
た場合、残りの変換器で変化分の有効電力を分担して全
体として有効電力の和が零となるような点で平衡し、か
つ、新しい運転点を得るために当初与えられた設定値は
異なる直流電圧で運転する。その後、有効電力設定値を
平衡した運転点に合わせて補正することにより、直流電
圧の値を当初の設定値どおりの値に戻すよう動作する。
【0042】これにより、変換器間の伝送手段の必要な
しに、常時、直流送電システムの有効電力の平衡を保ち
ながら運転し、かつ、長時間にわたって直流電圧が設定
値と異なる値になるという事態を防止することができ
る。
【0043】(請求項2の他の実施の形態)図5に示す
請求項2に係る第1の実施の形態では、係数器18の出
力を直流電圧設定値Edrefに加算して設定値の補正を行
う構成としているが、図6に示す請求項2の第2の実施
の形態による直流電圧/有効電力制御回路7Eのよう
に、直流電圧設定値Edrefと直流電圧検出値Edの差分
をとり、その差分に対して係数器18の出力信号を加算
することにより設定値の補正を行い、かつその直流電圧
設定値Edrefと直流電圧検出値Edの差分を1次遅れ回
路17の入力とする構成としても第1の実施の形態と同
様の効果を得ることができる。
【0044】また、第1の実施の形態および第2の実施
の形態では、直流電圧設定値の補正と有効電力設定値の
補正が相互に干渉するのを防止するため、有効電力設定
値の補正回路に大きな時定数をもつ1次遅れ回路17を
介在させているが、1次遅れ回路の代りに、不感帯回
路、または積分回路、または比例積分回路を設ける構成
にしても同様の効果が得られる。さらに、不感帯回路、
1次遅れ回路、積分回路、比例積分回路を任意に縦続接
続した回路を使用しても同様の効果を得ることができ
る。
【0045】また、以上の実施の形態は、複数の電圧型
自励式変換器により構成された直流送電システムを前提
にして説明したが、他励式変換器を使用した直流送電シ
ステム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直流送
電システム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が
混在した直流送電システムにおいても、直流電圧と有効
電力の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことによ
り、同様の効果を得ることができる。
【0046】(請求項3の実施の形態の構成)本発明の
請求項3に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説
明する。図7は、本発明の請求項3に係る制御装置の第
1の実施の形態の要部を示す構成図である。図7に示す
直流電圧/有効電力制御回路7Fでは、直流電圧設定値
Edrefと直流電圧検出値Edの差分を一定の係数1/k
を有する係数器18Aに入力し、係数器18Aの出力を
加算器19に入力する。また有効電力設定値Pref に対
して1次遅れ回路17の出力値を加算し、補正された有
効電力設定値Prefxを得る。加算器19では有効電力設
定値Prefxに係数器18の出力を加算して、その出力を
加算した値Prefyを最終的な有効電力設定値として使用
する。有効電力検出値Paと有効電力設定値Prefyの差
分を例えば比例積分回路などで構成される有効電力制御
器22に入力する。有効電力制御器22は、有効電力検
出値Paを補正された有効電力設定値Prefyに等しくす
るような値を出力する。その出力が交流電流の有効電力
成分の設定値Idrefとして用いられる。一方、有効電力
の検出値Paと設定値Prefyの差分が、1秒程度の比較
的大きな時定数もつ1次遅れ回路17に入力される。
【0047】(請求項3の実施の形態の作用)図7の構
成の制御回路7Fにおいては、直流電圧検出値Edが設
定値Edrefに等しければ、係数器18および1次遅れ回
路17の出力は零となり、有効電力および直流電圧の最
終的な設定値Prefy、Edrefx はそれぞれ補正する前の
設定値Pref 、Edrefと等しい値となる。これにより、
有効電力が当初与えられた設定値どおりの値で、かつ直
流電圧も当初与えられた設定値Edrefどおりの値になる
よう有効電力制御器22による制御が行われる。
【0048】この状態から、例えば直流送電システムを
構成する他の変換器で有効電力が低下すると、直流回路
へ供給される有効電力が不足するため直流電圧が低下す
る。これにより係数器18の出力が正の値になって加算
器19に加算されるため、有効電力設定値Prefyが増加
する。この値が最終的な有効電力設定値として使用され
るため、直流電力Paは当初の値より増加した値になる
よう、有効電力制御器22により制御される。一方、加
算器21により有効電力検出値Paと設定値Prefxの差
が演算され、その出力は1次遅れ回路17を介して有効
電力設定値Pref に加算され新たな設定値Prefxを得る
ため、有効電力設定値Prefxは次第に大きな値となる。
この設定値Prefxの変化の速度は1次遅れ回路17の時
定数により決まる。有効電力設定値Prefxが次第に大き
くなり有効電力検出値Paに近付くにつれ係数器18の
出力がゼロに近付き、直流電圧が設定値Edrefに近付
く。最終的には有効電力設定値Prefyが検出値Paと等
しくなり、直流電圧が設定値Edrefと等しくなる。
【0049】上記とは逆に、直流送電システムを構成す
る他の変換器で有効電力が増加すると、直流回路への有
効電力の供給が過剰となり直流電圧が上昇する。これに
より係数器18の出力が負の値になり、有効電力設定値
Prefyが低下して有効電力は当初の値よりも小さな値に
なるよう制御される。その後、1次遅れ回路17を介し
て有効電力設定値に負の値が徐々に加算されるため、有
効電力設定値Prefyが低下して検出値Paに近付き、直
流電圧が設定値Edrefに近付く。最終的には有効電力設
定値Prefxが検出値Paと等しくなり、直流電圧が設定
値Edrefと等しくなる。以上の動作は、図2により説明
した請求項1の動作特性と同じである。
【0050】(請求項3の実施の形態の効果)以上の結
果から、図7の実施の形態の制御回路7Fを備えること
により、任意の変換器の有効電力運転値が事故などで変
化した場合、残りの変換器で変化分の有効電力を分担し
て全体として有効電力の和がゼロとなるような点で平衡
し、かつ、新しい運転点を得るために当初与えられた設
定値とは異なる直流電圧で運転する。その後、有効電力
設定値を平衡した運転点に合わせて補正することによ
り、直流電圧の値を当初の設定どおりの値に戻すよう動
作する。
【0051】これにより、変換器間の伝送手段の必要な
しに、常時、直流送電システムの有効電力の平衡を保ち
ながら運転し、かつ、長時間にわたって直流電圧が設定
値と異なる値になるという事態を防止することができ
る。
【0052】(請求項3の他の実施の形態)図7に示す
実施の形態では、係数器18の出力を有効電力設定値P
refxに加算して設定値の補正を行う構成としているが、
図8に示す請求項3の第2の実施の形態による直流電圧
/有効電力制御回路7Gのように、有効電力設定値Pre
fxと有効電力検出値Paの差分をとり、その差分に対し
て係数器18の出力を加算することにより補正を行い、
かつその有効電力設定値Prefxと有効電力検出値Paの
差分を1次遅れ回路17の入力として、1次遅れ回路1
7の出力を負の符号で有効電力設定値Pref に加えて、
補正された有効電力設定値Prefxを得る構成としても、
第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】また、第1の実施の形態、第2の実施の形
態では、有効電力設定値の2段階の補正が干渉するのを
防止するため、設定値Pref を補正してPrefxを得る段
階では、有効電力設定値の補正は大きな時定数をもつ1
次遅れ回路17を介して行っているが、1次遅れ回路の
代りに、不感帯回路、あるいは積分回路、あるいは比例
積分回路を設ける構成にしても同様の効果が得られる。
さらに、不感帯回路、1次遅れ回路、積分回路、比例積
分回路などを任意に縦続接続した回路を使用しても同様
の効果を得ることができる。
【0054】また、以上の実施の形態は、複数の電圧型
自励式変換器により構成された直流送電システムを前提
として説明したが、他励式変換器を使用した直流送電シ
ステム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直流送
電システム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が
混在した直流送電システムにおいても、直流電圧有効電
力の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことによ
り、同様の効果を得ることができる。
【0055】(請求項4の実施の形態の構成)本発明の
請求項4に係る制御装置の第1の実施の形態を説明す
る。図9は、本発明の請求項4に係る制御装置の第1の
実施の形態の要部を示す構成図である。図9の制御回路
における直流電圧/有効電力制御回路7Hにおいては、
直流電圧設定値Edrefと直流電圧検出値Edの差分(=
Edref−Ed)を一定の係数1/kを持つ係数器18A
に入力し、係数器18Aの出力を加算器19、および1
秒程度の比較的大きな時定数をもつ1次遅れ回路17に
入力する。また有効電力設定値Pref に対して1次遅れ
回路17の出力値を加算し、その和として得られる補正
された有効電力設定値Prefxを得る。加算器19は有効
電力設定値Prefxに、さらに係数器18Aの出力を加算
し、その和に相当する値Prefyを最終的な有効電力設定
値として得る。有効電力設定値Prefyと有効電力検出値
Paの差分(=Prefy−Pa)を例えば比例積分回路な
どで構成された有効電力制御器(APR)22に入力す
る。有効電力制御器22は、有効電力検出値Paが補正
された有効電力設定値Prefyに等しくなるような値を出
力する。この出力は、交流電流Iaの有効電力成分の設
定値Idrefとして使用される。
【0056】(請求項4の実施の形態の作用)図9の構
成の制御装置を用いた場合、直流電圧検出値Edが設定
値Edrefに等しければ、係数器18A、1次遅れ回路1
7の出力は零となり、有効電力および直流電圧の最終的
な設定値Prefy、Edrefx はそれぞれ補正前の設定値P
ref 、Edrefと等しい値となる。これにより、有効電力
Paが当初与えられた有効電力設定値Pref どおりの値
で、かつ直流電圧Edも当初与えられた設定値Edrefど
おりの値になるよう、有効電力制御器22による制御が
行われる。
【0057】この状態から、例えば、直流送電システム
を構成する他の変換器で有効電力が低下すると、直流回
路へ供給される有効電力が不足するため直流電圧が低下
する。これにより係数器18Aの出力が正の値になり、
加算器19に正の符号で加算されるため、有効電力設定
値Prefyが増加する。この値が最終的な有効電力設定値
として使用されるため、直流電力Paは当初の値より増
加した値になるよう有効電力制御器22により制御され
る。一方、係数器18Aの出力は1次遅れ回路17を介
して有効電力設定値Pref に加算され、新たな設定値P
refxを得るため、有効電力設定値Prefxは次第に大きな
値となる。このPrefxの変化の速度は1次遅れ回路17
の時定数により決まる。有効電力設定値Prefxが次第に
大きくなって有効電力検出値Paに近付くにつれ、係数
器18Aの出力が零に近付き、直流電圧Edが設定値E
drefに近付く。最終的には有効点力設定値Prefyが検出
値Paと等しくなり、直流電圧Edが直流電圧設定値E
drefと等しくなる。
【0058】逆に、直流送電システムを構成する他の変
換器で有効電力が増加すると、直流回路への有効電力の
供給が過剰となり直流電圧Edが上昇する。これにより
係数器18Aの出力か負の値になり、有効電力設定値P
refyが低下して有効電力は当初の値より小さな値になる
ように制御される。その後、1次遅れ回路17を介して
有効電力設定値に負の値が徐々に加算されて有効電力設
定値Prefxが低下して検出値Paに近付き、直流電圧E
aが設定値Edrefに近付く。最終的には有効電力設定値
Prefxが検出値Paと等しくなり、直流電圧が設定値E
drefと等しくなる。以上の動作は、図2を参照して説明
した請求項1の動作特性と同様である。
【0059】(請求項4の実施の形態の効果)以上の結
果から、図9の実施の形態の制御回路7Hを備えること
により、任意の変換器の有効電力運転値が事故などで変
化した場合、残りの変換器で変化分の有効電力を分担し
て全体として有効電力の和が零となるような点で平衡
し、かつ新しい運転点を得るために当初与えられた設定
値とは異なる直流電圧で運転する。その後、有効電力設
定値を平衡した運転点に合わせて補正することにより、
直流電圧の値を当初の設定値どおりの値に戻すよう動作
する。
【0060】これにより、変換器間の伝送手段の必要な
しに、常時、直流送電システムの有効電力の平衡を保ち
ながら運転し、かつ長時間にわたって直流電圧が設定値
と異なる値になるという事態を防止することができる。
【0061】(請求項4の他の実施の形態)図9に示す
請求項4に係る制御装置の第1の実施の形態では、係数
器18Aの出力を1次遅れ回路17を介して有効電力設
定値Pref に加算しているが、その代わりに請求項4の
第2の実施の形態として、図10の制御回路7Iに示す
ように係数器18Aの入力すなわち直流電圧設定値Edr
efと直流電圧検出値Edの差分(=Edref−Ed)を1
次遅れ回路17を介して有効電力設定値Pref に加算し
ても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができ
る。
【0062】また図9に示す請求項4に係る制御装置の
第1の実施の形態では、係数器18Aの出力を有効電力
設定値Prefxに加算して最終的な有効電力設定値Prefy
を得る構成としているが、請求項4の第3の実施の形態
として図11に制御回路7Jとして示すように有効電力
設定値Prefxと有効電力検出値Paの差分(=Prefx−
Pa)をとり、その差分に対して係数器18の出力を加
算して補正を行う構成としても第1の実施の形態と同様
の効果を得ることができる。
【0063】また上述の第1の実施の形態、第2の実施
の形態、および第3の実施の形態では、有効電力設定値
の2段階の補正が干渉するのを防止するため、設定値P
refを補正してPrefxを得る段階では、有効電力設定値
の補正は大きな時定数をもつ1次遅れ回路17を介して
行っているが、1次遅れ回路の代わりに、不感帯回路あ
るいは積分回路、比例積分回路などを設ける構成にして
も同様の効果が得られる。さらに、不感帯回路、1次遅
れ回路、積分回路、比例積分回路などを任意に縦続接続
した回路を使用しても同様の効果が得られる。
【0064】また、以上の実施の形態は、複数の電圧型
自励式変換器により構成された直流送電システムを前提
として説明したが、他励式変換器を使用した直流送電シ
ステム、あるいは電流自励式変換器を使用した直流送電
システム、またはこれらの変換器のうちの2種類以上が
混在した直流送電システムにおいても、直流電圧と有効
電圧の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことによ
り、同様の効果を得ることができる。
【0065】(請求項5の実施の構成)本発明の請求項
5に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説明す
る。図12は、請求項5に係る制御装置の、第1の実施
の形態による制御回路7Kを示すものである。図12の
制御回路7Kでは、有効電力設定値Pref と有効電力検
出値Paの差分(=Pref −Pa)をそれぞれ異なる係
数k1 ,k2 を持つ係数器181および係数器182に
入力し、係数器181と係数器182の出力をスイッチ
回路23の入力端子aとbに入力する。ここで係数
1 ,k2 は正の一定値で、0<k1 <k2 とする。
【0066】一方、変換器が接続された交流系統に設置
された遮断器の接点信号を監視し、遮断器が投入状態の
とき“1”信号、開放状態のとき“0”信号となる遮断
器状態信号24をオフディレイ回路25およびオンディ
レイ回路26を介してスイッチ回路23に対しスイッチ
切換指令信号27として与える。スイッチ回路23では
スイッチ切換指令信号27が“1”のとき端子aに切換
わり、“0”のとき端子bに切換わるよう動作する。こ
れによりスイッチ回路23は係数器181または係数器
182のいずれかの出力を選択的に出力し加算器19に
与える。加算器19では、直流電圧設定値Edrefに対し
スイッチ回路23の出力を加算し、補正された直流電圧
設定値Edrefx を算出する。この直流電圧設定値Edref
x と直流電圧検出値Edを突き合わせ、例えば、比例積
分回路などで構成された直流電圧制御器20に入力す
る。直流電圧制御器20では、直流電圧検出値Edが補
正された直流電圧設定値Edrefx に等しくなるような値
を出力する。その出力は、交流電流の有効電力成分の設
定値Idrefとして使用される。
【0067】(請求項5の実施の形態の作用)図12の
構成による制御回路7Kを用いた場合、有効電力検出値
Paが設定値Pref に等しければ、係数器181および
係数器182の出力は零となるのでスイッチ回路23の
出力はスイッチ切換指令信号27の状態に関係なく零と
なる。これにより、有効電力が当初与えられた設定値P
ref どおりの値で、かつ直流電圧も当初与えられた設定
値Edrefどおりの値になるよう、直流電圧制御器20に
より制御が行われる。
【0068】これに対し有効電力Paが設定値Pref よ
り大きくなると、係数器181および係数器182の出
力はそれぞれ負の値となるが、係数器181および18
2のk1 ,k2 の値が異なり、係数器181,182の
出力もそれに応じて異なる値となる。例えばk1 =0.
01、k2 =0.1であれば、係数器181の出力は係
数器182の出力の10倍になる。この出力が加算器1
9により直流電圧設定値Edrefに加えられて最終的な直
流電圧設定値Edrefx が得られる。したがって、監視対
象の遮断器が開放されていて遮断器状態信号24が
“0”であれば、スイッチ回路23で、端子bすなわち
係数器182の出力が選択されるので、遮断器が投入さ
れていて遮断器状態信号24が“1”の場合に比べて直
流電圧設定値Edrefx の変化が小さくなる。
【0069】この制御を行う変換器が複数台、直流回路
で接続されている直流送電システムにおいて、例えば1
箇所の変換器が事故などで停止した場合、事前にその変
換器が運転していた有効電力分を残りの変換器が分担し
て新しい平衡運転点を得るが、その分担の割合は、各変
換器の係数器181または係数器182の係数により決
まる。この原理を、図2に示す有効電力と直流電圧の特
性図を用いて説明する。
【0070】図2は、変換器A、変換器B、変換器Cと
いう3台の変換器から成る多端子直流送電システムの各
変換器の直流電圧Ed(縦軸)と有効電力P(横軸)の
関係を示しており、3台の変換器には、それぞれ共通の
直流電圧設定値Edrefが与えられている。有効電力が増
えるにつれ直流電圧は下がるので、特性線は右下がりの
直線になる。この直線の傾きは係数器の係数kにより決
まり、係数kが大きければ有効電力の変化ΔPに対する
直流電圧の変化ΔEdが大きくなるので、上下の傾きが
大きくなる。すなわち、 ΔP×k=ΔEd …(1) の関係がある。ここで、直流電圧の変化ΔEdは直流回
路全体で共通なので、直流システム全体で必要な有効電
力の運転点変更分が決まった場合、(1)式から、係数
kの小さい変換器はΔPが大きくなり、係数kの大きい
変換器はΔPが小さくなる。
【0071】例えば、図2のシステムにおいて、初期の
定常運転点が、変換器AではPAO=0.5pu、変換器B
ではPBO=0pu、変換器CではPCO=−0.5puであ
り、その状態から変換器Aが停止した場合を考える。変
換器Bと変換器Cの電力変化分をそれぞれΔPB 、ΔP
C とすると、新しい定常運転点では、変換器Bと変換器
Cの有効電力の和が零、すなわち PB =−PC かつPB =PBO+ΔPB 、PC =PCO+ΔPC …(2) であり、また変換器Bと変換器Cの係数をそれぞれ
B 、kC とすると、(1)式でΔEdは変換器Bと変
換器Cで共通なので、 ΔPB ×kB =ΔPC ×kC =ΔEd …(3) である。
【0072】(2)式と(3)式から、変換器Aが停止
した場合の変換器B、変換器Cの有効電力変化分ΔPB
,ΔPC は、 ΔPB =−(PBO+PCO)kC /(kB +kC )、 ΔPC =−(PBO+PCO)kB /(kB +kC ) …(4) である。たとえば、kB =kC =100であれば、ΔP
B =0.25pu、ΔPC=0.25puとなり、変換器A
が事前に運転していた0.5puの有効電力を変換器Bと
変換器Cが同量ずつ分担する。またkB =0.01、k
C =0.1とすれば、ΔPB =0.455pu、ΔPC =
0.045puとなり、変換器Bが変化分のほとんどを負
担して、変換器Cの電力変動は小さくなる。以上のよう
に、図12の係数器181,182の係数k1 ,k2
大きいほど、当該変換器の有効電力は変化しにくい特性
となる。
【0073】(請求項5の実施の形態の効果)ここで、
この制御装置7Kを適用した変換器が、図13に示すよ
うな交流系統に接続されている場合を考える。すなわち
変換器1が変換器用変圧器2を介して交流母線3に接続
されており、変換器1の直流回路側は他の複数の変換器
(図示せず)に接続されているものとする。交流母線3
は2回線送電線281,282と、その送電線を開閉す
るための遮断器291,292,293,294を介し
て他の交流母線30に接続されている。交流母線30は
背後の系統インピーダンス31を介して無限大母線32
に接続されている。遮断器291,292,293,2
94がすべて投入状態である場合に比べいずれかの遮断
器が開放状態にあると送電線が1回線運転状態となるた
め交流母線3からみた系統のインピーダンスが大きくな
り、系統を流れる有効電力や無効電力の変化による交流
電圧の変化や周波数の変化が大きくなる。したがって、
いずれかの遮断器が開放された状態のときは、変換器1
の有効電力出力や無効電力出力の変化はなるべく小さく
する必要がある。
【0074】ここで、請求項5の第1の実施の形態とし
て、遮断器291,292,293,294の接点信号
を監視し、それぞれ投入状態にあるときを“1”、開放
状態のときを“0”とし、各信号のAND条件をとった
値を、図12における制御ブロック図における遮断器状
態信号24として使用することにより、送電線281,
282が1回線運転状態で変換器母線3からみた系統イ
ンピーダンスが大きくなっている場合には、大きな係数
2 をもつ係数器182の出力が選択されることによ
り、変換器1の有効電力を変動しにくい運転特性とする
ことができる。また、送電線281,282が2回線の
運用中に、落雷などの事故が発生し、それを除去するた
めに一時的に遮断器291〜294を開放する場合があ
るが、それは短時間であり、そのような場合にはスイッ
チ回路23の切換が必要ないと考えられる。これに対し
ては、オフディレイ回路25、オンディレイ回路26の
遅れ時間を、一時的な遮断器開放時間よりも大きな値と
することにより、必要以上の切換を行わないようにする
ことができる。
【0075】以上のように、図12に示す請求項5の第
1の実施の形態の制御回路7Kを備えることにより、任
意の変換器の有効電力運転値が事故などで変化した場
合、残りの変換器で変化分の有効電力を分担して有効電
力の和が零となるような点で平衡し、かつ、変換器が接
続された交流系統の送電線用遮断器が開放状態で、系統
インピーダンスが大きくなっており交流電圧や周波数が
有効電力の変化により変動しやすい状態になっている場
合、当該変換器が分担する有効電力の変化分を小さくし
て交流系統へ与える動揺を小さくするよう制御すること
ができる。
【0076】(請求項5の他の実施の形態)図12に示
す請求項5に係る制御装置の第1の実施の形態では、2
台の係数器181,182の出力のうち一方をスイッチ
回路23により選択して出力する構成としているが、第
2の実施の形態として、係数器18は1台として、遮断
器状態信号24をオフディレイ回路25およびオンディ
レイ回路26を介して係数器18に直接与え、その信号
により係数器18の内部で係数を切換える構成としても
同様の効果を得ることができる。
【0077】図12に示す請求項5に係る制御装置の第
1の実施の形態では、スイッチ回路23の出力により直
流電圧設定値Edrefを補正する構成としているが、第3
の実施の形態として、図14の制御回路7Lに示すよう
に、直流電圧設定値Edrefと直流電圧検出値Edの差分
(=Edref−Ed)をとり、その差分に対してスイッチ
回路23の出力を加算する構成としても同様の効果を得
ることができる。
【0078】また、請求項5に係る制御装置の第1の実
施の形態では、図13に示すような交流系統に接続され
た変換器1の制御装置の場合において、図12に示す制
御回路7Kの遮断器状態信号24として、遮断器29
1,292,293,294の接点信号のAND条件を
使用するが、遮断器が接続される交流系統の構成に応じ
て、送電線用遮断器の接点信号を使用する代わりに、変
圧器用遮断器、あるいは発電機用遮断器の接点信号を使
用する構成も可能である。すなわち、変換器1が図15
に示すように、遮断器を介して並列接続される2台の電
力用変圧器331,332を介して背後の無限大母線3
2に接続されている場合には、第4の実施の形態とし
て、各変圧器の両端に介挿接続された遮断器341,3
42,343,344の接点信号を監視し、それらのA
ND信号を図12の制御回路7Kの遮断器状態信号24
として使用する。これにより、変換器が2台の変圧器3
31,332のうち一方のみで系統に接続されている場
合には、大きな係数を使うよう動作することにより、当
該変換器が分担する有効電力の変化分を小さくすること
ができ、交流系統へ与える動揺を小さくすることができ
る。
【0079】変換器1の近傍に、図16に示すように、
母線3と30との間で送電線が交流母線301により送
電線351と送電線352に分離され、交流母線301
に遮断器36および変圧器37を介して発電機38が設
置されている場合には、第5の実施の形態として遮断器
36の接点信号を監視し、その信号を図12の制御回路
7Kの遮断器状態信号24として使用する。これによ
り、発電機38が系統に投入されていない場合には、大
きな係数を使うよう動作することになり、それにより当
該変換器が分担する有効電力の変化分を小さくし、交流
系統へ与える動揺を小さくし、第1の実施の形態と同様
の効果を得ることができる。
【0080】また、第1ないし第5の実施の形態におい
ては、説明を簡単にするため、送電線2回線、または電
力用変圧器2台、または発電機1台の場合について説明
したが、これらの系統要素の数が多い場合には、遮断器
の接点信号のANDをとったり直接使用したりする代わ
りに、第6の実施の形態として、投入状態の遮断器の台
数が一定数以上となった場合に、大きな係数を使うよう
にスイッチ回路を動作させることにより、当該変換器が
分担する有効電気力の変化分を小さくすることができ、
上記と同様に交流系統へ与える動揺を小さくし、第1の
実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0081】また、以上の実施の形態は、複数の電圧型
自励式変換器により構成された直流送電システムについ
て説明したが、他励式変換器を使用した直流送電システ
ム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直流送電シ
ステム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が混在
した直流送電システムにおいても、直流電圧と有効電力
の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことにより、
同様の効果を得ることができる。
【0082】(請求項6の実施の形態の構成)本発明の
請求項6に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説
明する。図17は、本発明の請求項5に係る制御装置の
第1の実施の形態による制御回路7Mを示すものであ
る。図17の制御回路7Mでは、直流電圧設定値Edref
と直流電圧検出値Edの差分(=Edref−Ed)を異な
る一定係数1/k1 ,1/k2 を持つ係数器18Bおよ
び係数器18Cに入力する。係数器18Bと係数器18
Cの出力はスイッチ回路23の入力端子aとbに入力す
る。ここで係数1/k1 ,1/k2 は正の値で、k1
2 すなわち1/k1 >1/k2 とする。
【0083】一方、変換器の接続された交流系統に設置
された遮断器の接点信号を監視し、遮断器が投入状態の
とき“1”信号、開放状態のとき“0”信号となる遮断
器状態信号24をオフディレイ回路25およびオンディ
レイ回路26を介してスイッチ回路23に対しスイッチ
切換指令信号27として与える。スイッチ回路23では
スイッチ切換指令信号27が“1”のとき端子a側に接
続され、“0”のとき端子b側に接続されるよう動作す
ることにより、係数器18Bまたは係数器18Cのいず
れかの出力を選択的に出力し加算器19に与える。加算
器19では、有効電力設定値Pref に対しスイッチ回路
23の出力を加算し、補正された有効電力設定値Prefx
を算出する。この有効電力設定値Pref と有効電力検出
値Paを突き合わせて、例えば、比例積分回路などで構
成された有効電力制御器22に入力する。有効電力制御
器22は、有効電力検出値Paが補正された有効電力設
定値Pref に等しくなるような値を出力する。その出力
は、交流電流の有効電力成分の設定値Idrefとして使用
される。
【0084】(請求項6の実施の形態の作用)図17の
制御回路7Mを用いた場合、直流電圧検出値Edが設定
値Edrefに等しければ、係数器18Bおよび係数器18
Cの出力は零となるので、スイッチ回路23の出力はス
イッチ切換指令信号27の状態に関係なく零となる。こ
れにより、有効電力が当初与えられた設定値Pref どお
りの値で、かつ直流電圧も当初与えられた設定値Edref
どおりの値になるよう有効電力制御器22により制御が
行われる。
【0085】これに対し直流電圧Edが設定値Edrefよ
り大きくなると、係数器18Bおよび係数器18Cの出
力はそれぞれ負の値となるが、値1/k1 と1/k2
値が異なるため、係数器の出力も1/k1 ないし1/k
2 の値に応じて異なる値になる。例えば1/k1 =10
0、1/k2 =10であれば、係数器18Bの出力は係
数器18Cの出力の10倍になる。この出力が加算器1
9により有効電力設定値Pref に加えられて最終的な有
効電力設定値Prefxが得られるため、監視している遮断
器が開放されていて遮断器状態信号24が“0”であれ
ば、スイッチ回路23で、端子bすなわち係数器18C
の出力が選択されるので、遮断器が投入されていて遮断
器状態信号24が“1”の場合に比べて有効電力設定値
Pref の変化が小さくなる。
【0086】この制御を行う変換器が複数台、直流回路
で接続されている直流送電システムにおいて、例えば1
箇所の変換器が事故などで停止した場合、事前にその変
換器が運転していた有効電力分を残りの変換器が分担し
て新しい平衡運転点を得るが、その分担の割合は、各変
換器の係数器18Bまたは係数器18Cの係数により決
まる。この原理を、図2に示す有効電力と直流電圧の特
性図を用いて説明する。図2は、変換器A、変換器B、
および変換器Cという3台の変換器から成る多端子直流
送電システムにおける各変換器の直流電圧Edと有効電
力Pの関係を示しており、3台の変換器には、それぞれ
共通の直流電圧設定値Edrefが与えられている。有効電
力Pが増えるにつれ直流電圧Edは下がるので特性線は
右下がりの直線になるが、その傾きは係数器18B,1
8Cの設定係数により決まり、係数1/kが大きければ
直流電圧の変化ΔEdに対する有効電力の変化ΔPが大
きくなるので、上下の傾きが小さくなる。すなわち、 ΔEd×1/k=ΔP …(5) の関係がある。ここで、直流電圧の変化ΔEdは直流回
路全体で共通なので、直流システム全体で必要な有効電
力の運転点変更分が決まった場合、(5)式より、係数
1/kの小さい変換器はΔPが小さくなり、係数1/k
の大きい変換器はΔPが大きくなる。
【0087】例えば、図2のシステムにおいて、初期の
定常運転点が、変換器AはPAO=0.5pu、変換器Bは
PBO=0pu、変換器CはPCO=−0.5puであり、その
状態から変換器Aが停止した場合を考える。変換器Bと
変換器Cの電力変化分をそれぞれΔPB 、ΔPC とする
と、新しい定常運転点では、変換器Bと変換器Cの有効
電力の和が零、すなわち PB =−PC かつPB =PBO+ΔPB 、PC =PCO+ΔPC …(6) であり、また変換器Bと変換器Cの係数をそれぞれ1/
B 、1/kC とすると、(5)式でΔEdは変換器B
と変換器Cで共通なので、 ΔPB ×kB =ΔPC ×kC =ΔEd …(7) である。(6)式と(7)式より、変換器Aが停止した
場合の変換器B、変換器Cの有効電力変化分は、 ΔPB =−(PBO+PCO)kC /(kB +kC )、 ΔPC =−(PBO+PCO)kB /(kB +kC ) …(8) である。たとえば、1/kB =1/kC =100であれ
ば、ΔPB =0.25pu、ΔPC =0.25puとなり、
変換器Aが事前に運転していた0.5puの有効電力を変
換器Bと変換器Cが同量ずつ分担する。また1/kB
100、1/kC=10とすれば、ΔPB =0.455p
u、ΔPC =0.045puとなり、変換器Bが変化分の
ほとんどを負担して、変換器Cの電力変動は小さくな
る。
【0088】以上のように、図17の係数器18B,1
8Cの係数1/k1 、1/k2 が小さいほど、当該変換
器の有効電力は変化しにくい特性となる。
【0089】(請求項6の実施の形態の効果)ここで、
この制御装置を適用した変換器が、図13のような交流
系統に接続されている場合を考える。交直変換器1が変
換器用変圧器2を介して交流母線3に接続されており、
変換器1の直流回路側は他の複数の変換器に接続されて
いる。交流母線3は2回線の送電線281,282と、
その送電線を開閉するための遮断器291,292,2
93,294を介して他の交流母線30に接続され、交
流母線30は背後の系統インピーダンス31を介して無
限大母線32に接続されている。遮断器291,29
2,293,294がすべて投入状態である場合に比
べ、いずれかの遮断器が開放状態にあると送電線が1回
線運転状態となるため交流母線3からみた系統のインピ
ーダンスが大きくなり、系統を流れる有効電力や無効電
力の変化による交流電圧の変化や周波数の変化が大きく
なる。したがって、いずれかの遮断器が開放された状態
のときは、変換器1の有効電力出力や無効電力出力の変
化はなるべく小さくする必要がある。
【0090】ここで、請求項6の第1の実施の形態とし
て、遮断器291,292,293,294の接点信号
を監視し、それぞれが投入状態にあるとき“1”、開放
状態にあるとき“0”とし、各信号のAND条件をとっ
た値を、図17の制御ブロック図における遮断器状態信
号24として使用することにより、送電線281,28
2が1回線運転状態で変換器母線3からみた系統インピ
ーダンスが大きくなっている場合には、小さな係数1/
2 をもつ係数器182の出力が選択されることによ
り、変換器1の有効電力を変動しにくい運転特性とする
ことができる。また、送電線281,282が2回線運
用をしているときに落雷事故などが発生し、それを除去
するために一時的に遮断器291〜294を開放する場
合があるが、それは短時間であり、そのような場合には
スイッチ回路23の切換が必要ないことが考えられる。
これに対しては、オフディレイ回路25、オンディレイ
回路26の遅れ時間を、一時的に遮断器開放時間よりも
大きな値とすることにより、必要以上の切換を行わない
ようにすることができる。
【0091】以上のように、図17に示す請求項6の第
1の実施の形態の制御回路7Mを備えることにより、任
意の変換器の有効電力運転値が事故などで変化した場
合、残りの変換器で変化分の有効電力を分担して有効電
力の和が零となるような点で平衡し、かつ、変換器が接
続された交流系統の送電線用遮断器が開放状態で、系統
インピーダンスが大きくなっており交流電圧や周波数が
有効電力の変化により変動しやすい状態になっている場
合には、当該変換器が分担する有効電力の変化分を小さ
くして交流系統へ与える動揺を小さくするよう制御する
ことができる。
【0092】(請求項6の他の実施の形態)図17に示
す請求項6に係る第1の実施の形態では、2台の係数器
18B,18Cの出力のうち一方をスイッチ回路23に
より選択して出力する構成としているが、第2の実施の
形態として、係数器は1台として、遮断器状態信号24
をオフディレイ回路25、オンディレイ回路26を介し
て1つの係数器18に直接与え、その信号により係数器
18の内部で係数を切換える構成としても同様の効果を
得ることができる。
【0093】また、図17に示す請求項6に係る第1の
実施の形態では、スイッチ回路23の出力により直流電
圧設定値Pref を補正する構成としているが、第3の実
施の形態として、図18の制御回路7Nに示すように、
有効電力設定値Pref と有効電力検出値Paの差分をと
り、その差分に対してスイッチ回路23の出力を加算す
る構成としても同様の効果を得ることができる。
【0094】また、請求項6に係る第1の実施の形態で
は、図13に示すような交流系統に接続された変換器1
の制御装置の場合において、図17の制御回路7Mの遮
断器状態信号24として、遮断器291,292,29
3,294の接点信号のAND条件を使用するが、遮断
器が接続される交流系統の構成に応じて、送電線用遮断
器の接点信号を使用する代わりに、変圧器用遮断器ある
いは発電機用遮断器の接点信号を使用する構成も可能で
ある。すなわち、変換器1が図15に示すように、2台
の並列接続の変圧器331,332を介して背後の交流
系統に接続されている場合には、第4の実施の形態とし
て変圧器用の遮断器341,342,343,344の
接点信号を監視し、それらのAND信号を図17の制御
回路7Mの遮断器状態信号24として使用する。これに
より、変換器が2台の変圧器331,332のうち一方
のみで系統に接続されている場合には、大きな係数を使
うよう動作することにより、当該変換器が分担する有効
電力の変化分を小さくすることができ、交流系統へ与え
る動揺を小さくすることができる。また、変換器1の近
傍に、図16に示すように、発電機38が遮断器36を
介して設置されている場合には、第5の実施の形態とし
て遮断器36の接点信号を監視し、その信号を図17の
制御回路7Mの遮断器状態信号24として使用する。こ
れにより、発電機38が系統に投入されていない場合に
は、大きな係数を使うよう動作することにより、当該変
換器が分担する有効電力の変化分を小さくすることがで
き、交流系統へ与える動揺を小さくし、第1の実施の形
態と同様の効果を得ることができる。
【0095】また、第1から第5の実施の形態において
は、説明を簡単にするため、送電線2回線、または電力
用変圧器2台、または発電機1台の場合について説明し
たが、これらの系統要素の数が多い場合には、遮断器の
接点信号のANDをとったり直接使用したりするかわり
に、第6の実施の形態として、投入状態の遮断器の台数
が一定数以上となった場合に、大きな係数を使うようス
イッチ回路を動作させることにより、当該変換器が分担
する有効電力の変化分を小さくすることができ、交流系
統へ与える動揺を小さくすることができ、第1の実施の
形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】また、以上の実施の形態は、複数の電圧型
自励式変換器により構成された直流送電システムについ
て説明したが、他励式変換器を使用した直流送電システ
ム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直流送電シ
ステム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が混在
した直流送電システムにおいても、直流電圧と有効電力
の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことにより、
同様の効果を得ることができる。
【0097】(請求項7の実施の形態の構成)本発明の
請求項7に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説
明する。図19は、請求項7に係る制御装置の第1の実
施の形態による制御回路7Oを示すものである。図19
の制御回路7Oでは、有効電力設定値Pref と有効電力
検出値Paの差分をそれぞれ異なる一定の係数k1 ,k
2 を持つ係数器181および係数器182に入力し、係
数器181と係数器182の出力をスイッチ回路23の
入力端子aとbに入力する。ここで、係数k1 ,k
2 は、0<k1 <k2とする。
【0098】一方、変換器の接続された交流系統の任意
の点の有効電力潮流P* を監視し、その潮流検出値P*
をレベル検出器391,392に入力する。レベル検出
器391では入力が予め与えられた固定値P* max より
大きくなった場合に“1”を出力し、レベル検出器39
2では入力が予め与えられた固定値P* min より小さく
なった場合に“1”を出力する。レベル検出器391と
392の出力信号をOR回路40に与え、OR回路40
の出力をオンディレイ回路26、オフディレイ回路25
を介してスイッチ切換指令信号27としてスイッチ回路
23に与える。スイッチ回路23ではスイッチ切換指令
信号27が“0”のとき端子a、“1”のとき端子bと
なるよう切換動作することにより、係数器181または
係数器182のいずれかの出力を選択して出力し、加算
器19に与える。加算器19では、直流電圧設定値Edr
efに対しスイッチ回路23の出力を加算し、補正された
直流電圧設定値Edrefx 算出する。この直流電圧設定値
Edrefx と直流電圧検出値Edをつきあわせて、例えば
比例積分回路などで構成された直流電圧制御器20に入
力する。直流電圧制御器20は、直流電圧検出値Edが
補正された直流電圧設定値Edrefx に等しくなるような
値を出力する。その出力は、交流電流の有効電力成分の
設定値Idrefとして使用される。
【0099】(請求項7の実施の形態の作用)図19の
制御回路7Oを用いた場合、有効電力検出値Paが設定
値Pref に等しければ、係数器181,182の出力は
零となるのでスイッチ回路23の出力はスイッチ切換指
令信号27の状態に関係なく零となる。これにより、直
流電圧が当初与えられた設定値Edrefどおりの値で、か
つ有効電力も当初与えられた設定値Pref どおりの値に
なるよう、直流電圧制御器20による制御動作が行われ
る。
【0100】これに対し有効電力Paが設定値Pref よ
り大きくなると、係数器181および係数器182の出
力はそれぞれ負の値となるが、係数k1 とk2 の値が異
なるため、係数器181,182の出力もk1 とk2
値に応じて異なる値となる。例えば、例えばk1 =0.
01、k2 =0.1であれば、係数器182の出力は係
数器181の出力の10倍になる。この出力が加算器1
9により直流電圧設定値Edrefに加えられて最終的な直
流電圧設定値Edrefx が得られるため、電力潮流検出値
* がレベル検出器391または392の設定レベルを
越えると、スイッチ切換指令信号27が“1”となり、
スイッチ回路23で端子b、すなわち係数器182の出
力が選択されるので、スイッチ切換指令信号27が
“0”の場合に比べて直流電圧設定値Edrefx の変化が
大きくなる。
【0101】この制御を行う変換器が複数台、直流回路
で接続されている直流送電システムで、例えば1か所の
変換器が事故などで停止した場合、事前にその変換器が
運転していた有効電力分を残りの変換器が分担して新し
い平衡運転点を得るが、その分担の割合は各変換器の係
数器181または係数器182の係数により決まる。こ
の原理については、請求項5の実施の形態の説明におい
て、図2に示す有効電力と直流電圧の特性図を用いて説
明したものと同様であり、ここでは詳細を省略するが、
図19における係数器181,182の係数k1 ,k2
が大きいほど、当該変換器の有効電力は変化しにくい特
性となる。
【0102】ここで、図19に示す請求項7の第1の実
施の形態の制御回路7Oを用いると、変換器が接続され
た交流系統の電力潮流P* がレベル検出器391,39
2に予め設定されているレベル値を越えた場合にはスイ
ッチ切換信号27が“1”となり、大きな係数k2 をも
つ係数器182の出力が選択されるので、有効電力は変
化しにくくなる。また、オフディレイ回路25、オンデ
ィレイ回路26を設けることにより、電力潮流P* の一
時的な変化の場合に頻繁にスイッチ回路23が切換わる
ことがないように制御される。
【0103】(請求項7の実施の形態の効果)一般的な
交流系統を考えた場合、長距離の送電線により大電力を
送電しようとする場合などに、同期安定度や電圧安定度
の問題が発生する。すなわち、図20に示すように2台
の同期機411,412が送電線インピーダンスjXを
介して接続されている場合、電流潮流Pの限界Pmax
は、同期機411が電圧V1 、位相θ1 であるとし、同
期機412が電圧V2 、位相θ1 であるとすれば、 Pmax =(V1・V2)/X …(9) であり、インピーダンスjXが大きい、すなわち長距離
送電の場合ほど潮流限界Pmax の値は小さくなる。また
この限界点における2台の同期機の電圧位相差は90°
であり、90°を越えると同期関係を維持することがで
きなくなり脱調となる。この限界に近い点で常時運転し
ていると、系統事故や同期機の出力変動など、なんらか
の外乱が加わった場合に電力動揺が大きくなり、場合に
よっては電圧位相差が過渡的に90°を越えて脱調する
虞がある。また、例えば同期機の容量が小さく電圧維持
力が小さい場合など、この限界点に近い場合には、電力
潮流の変化に対する電圧の変動が大きくなり、場合によ
っては電圧が崩壊するという電圧安定度の問題も生じ
る。以上の交流系統の現象について、ここでは説明を簡
単にするため、最も単純な2台の同期機の場合について
説明したが、実際の電力系統で考えた場合、図20の各
同期機が、それぞれ複数の発電機や負荷などを含む、ひ
とかたまりの系統であると考えても同様の問題が生じ
る。
【0104】したがって、図19の制御回路7Oのレベ
ル検出器391,392のレベル値として、変換器が接
続された交流系統の同期安定度あるいは電圧安定度が問
題になる電力潮流レベルを設定しておくと、そのレベル
を越えた場合には、直流回路に接続された他の変換器で
電力変化があっても、当該変換器の電力変化を小さく
し、接続された交流系統に与える外乱を小さくすること
ができる。
【0105】以上のように、図19に示す請求項7の第
1の実施の形態の制御回路7Oを備えることにより、任
意の変換器の有効電力運転値が事故などで変化した場
合、残りの変換器で変化分の有効電力を分担して有効電
力の和が零となるような点で平衡し、かつ、変換器が接
続された交流系統の有効電力潮流が一定の範囲を越え
て、電力動揺が大きくなりやすい状態で交流電圧が変動
しやすい状態になっている場合には、当該変換器が分担
する有効電力の変化分を小さくして交流系統へ与える動
揺を小さくするように制御することができる。
【0106】(請求項7の他の実施の形態)図19に示
す請求項7の第1の実施の形態に係る制御回路7Oで
は、2台の係数器181,182の出力のうち一方をス
イッチ回路23により選択して出力する構成としている
が、第2の実施の形態として、係数器は1台として、ス
イッチ切換指令信号27をその係数器18に直接与え、
その信号により係数器18の内部で係数を切換える構成
としても同様の効果を得ることができる。
【0107】また、図19に示す請求項7の第1の実施
の形態に係る制御回路7Oでは、スイッチ回路23の出
力により直流電圧設定値Edrefを補正する構成としてい
るが、第3の実施の形態として、図21の制御回路7P
に示すように直流電圧設定値Edrefと直流電圧検出値E
dの差分をとり、その差分に対してスイッチ回路23の
出力を加算する構成としても同様の効果を得ることがで
きる。
【0108】また、図19に示す請求項7に係る制御回
路7Oでは、検出した電流潮流P*が過渡的に変化した
とき、スイッチ切換指令信号27で短時間で“1”と
“0”を繰りかえすのを避けるため、オフディレイ回路
25やオンディレイ回路26を設けているが、その代わ
りに、レベル検出器391,392にヒステリシス特性
を持たせても、上記と同様に不必要にスイッチが切換わ
るという事態を防止することができる。すなわち、例え
ばレベル検出器391には、P* max1>P* max2の関係
をもつ2種類のレベル値P* max1,P* max2が設定され
ており、レベル検出器391の出力は、潮流検出値P*
が大きな方のレベル値P* max1を越えたときに“0”か
ら“1”へと変化し、また、潮流検出値P* が小さな方
のレベル値P* max2より小さくなれば“1”から“0”
へと戻る。レベル検出器392についても同様に、P*
min1<P* min2の関係をもつ2種類のレベル値P* min1
およびP* min2が設定されており、レベル検出器392
の出力は、潮流検出値P* が小さな方のレベル値P* mi
n1より小さくなったときに“0”から“1”へと変化
し、また潮流検出値P* が大きな方のレベル値P* min2
より大きくなれば“1”から“0”へと戻る。さらに、
オフディレイ回路、オンディレイ回路を設け、かつ、レ
ベル検出器にヒステリシス特性を持たせても同様の動作
を行うことができる。
【0109】以上の実施の形態においては、複数の電圧
型自励式変換器により構成された直流送電システムにつ
いて説明したが、他励式変換器を使用した直流送電シス
テム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直流送電
システム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が混
在した直流送電システムにおいても、直流電圧と有効電
力の制御を同様の制御ブロックを用いて行うことによ
り、同様の効果を得ることができる。
【0110】(請求項8の実施の形態の構成)本発明の
請求項8に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説
明する。図22は、本発明の請求項8に係る制御装置の
第1の実施の形態による制御回路7Qを示すものであ
る。図22の制御回路7Qでは、直流電圧設定値Edref
と直流電圧検出値Edの差分をそれぞれ異なる一定の係
数1/k1 ,1/k2 を持つ係数器18B,18Cに入
力する。係数器18Bと係数器18Cの出力をスイッチ
回路23の入力端子aとbに入力する。ここで係数1/
1 ,1/k2 は正の値で、k1 <k2 、すなわち1/
1 >1/k2 とする。
【0111】一方、変換器の接続された交流系統の任意
の点の有効電力潮流P* を監視し、その潮流検出値P*
をレベル検出器391,392に入力する。レベル検出
器391では入力が予め与えられた固定値P* max より
大きくなった場合に“1”を出力し、レベル検出器39
2では入力が予め与えられた固定値P* min より小さく
なった場合に“1”を出力する。レベル検出器391と
392の出力信号をOR回路40に与える。OR回路4
0の出力をオンディレイ回路26およびオフディレイ回
路25を介してスイッチ切換指令信号27としてスイッ
チ回路23に与える。スイッチ回路23ではスイッチ切
換指令信号27が“0”のとき端子a、“1”のとき端
子bとなるよう切換動作することにより、係数器18B
または係数器18Cのいずれかの出力を選択的に出力し
加算器19に与える。加算器19は、直流電圧設定値E
drefに対しスイッチ回路23の出力を加算し、補正され
た有効電力設定値Prefxを算出する。この有効電力設定
値Prefxと有効電力検出値Paを突き合わせて、例え
ば、比例積分回路等で構成された有効電力制御器22に
入力する。有効電力制御器22は、有効電力検出値Pa
が補正された有効電力設定値Prefxに等しくなるような
値を出力する。その出力は、交流電流の有効電力成分の
設定値Idrefとして使用される。
【0112】(請求項8の実施の形態の作用)図22の
制御回路7Qを用いた場合、直流電圧検出値Edが設定
値Edrefに等しければ、係数器18Bおよび係数器18
Cの出力は零となるのでスイッチ回路23の出力はスイ
ッチ切換指令信号27の状態に関係なく零となる。これ
により、有効電力が当初与えられた設定値Pref どおり
の値で、かつ直流電圧も当初与えられた設定値Edrefど
おりの値になるように有効電力制御器22により制御が
行われる。
【0113】これに対し直流電圧Edが設定値Edrefよ
り大きくなると、係数器18Bおよび係数器18Cの出
力はそれぞれ負の値となるが、係数1/k1 と1/k2
の値が異なるため、係数器18B,18Cの出力も1/
1 と1/k2 の値に応じて異なる値となる。例えば、
例えば1/k1 =100、1/k2 =10であれば、係
数器18Bの出力は係数器18Cの出力の10倍にな
る。この出力が加算器19により有効電力設定値Pref
に加えられて最終的な有効電力設定値Prefxが得られる
ため、電力潮流検出値P* がレベル検出器391または
392の設定レベルを越えるとスイッチ切換指令信号2
7が“1”となり、スイッチ回路23で端子bすなわち
係数器18Cの出力が選択されるので、“0”の場合に
比べて有効電力設定値Prefxの変化が小さくなる。
【0114】この制御を行う変換器が複数台、直流回路
で接続されている直流送電システムにおいて、例えば1
箇所の変換器が事故などで停止した場合、事前にその変
換器が運転していた有効電力分を残りの変換器が分担し
て新しい平衡運転点を得るが、その分担の割合は、各変
換器の係数器18Bまたは係数器18Cの係数により決
まる。この原理については、請求項6の実施の形態の説
明において、図2に示す有効電力Pと直流電圧Edの特
性図を用いて説明したものと同様であり、ここでは詳細
を省略するが、図22の回路の係数器18B,18Cの
係数1/k1 と1/k2 が小さいほど、当該変換器の有
効電力は変化しにくい特性となる。
【0115】ここで、図22に示す請求項8の第1の実
施の形態による制御回路7Qを用いると、変換器が接続
された交流系統の電力潮流P* がレベル検出器391,
392に予め設定されているレベル値を越えた場合には
スイッチ切換信号27が“1”となり大きな係数1/k
2 をもつ係数器182の出力が選択されるので、有効電
力は変化しにくくなる。また、オフディレイ回路25お
よびオンディレイ回路26を設けることにより、電力潮
流P* の一時的な変化の場合に、頻繁にスイッチ回路2
3が切換わることがないよう制御することができる。
【0116】(請求項8の実施の形態の効果)一般的な
交流系統を考えた場合、請求項7の実施の形態につい
て、図20および(9)式を用いて説明したように、電
力潮流が大きな値になると、事故や電力変化に対して安
定度が悪くなり、電力動揺が発生したり、交流電圧低下
が発生したりする虞があるので、系統へ与える外乱をな
るべく小さくするよう注意する必要がある。
【0117】したがって、図22に示す請求項8の実施
の形態による制御回路7Qにおいて、レベル検出器39
1,392のレベル値として、変換器が接続された交流
系統の同期安定度あるいは電圧安定度が問題になる電力
レベルを設定しておくと、そのレベルを越えた場合に、
直流回路に接続された他の変換器で電力変化があって
も、当該変換器の電力変化を小さくし、接続された交流
系統に与える外乱を小さくすることができる。以上のよ
うに、図22に示す請求項8の第1の実施の形態の制御
回路7Qを備えることにより、任意の変換器の有効電力
運転値が事故などで変化した場合、残りの変換器で変化
分の有効電力を分担して有効電力の和が零となるような
点で平衡し、かつ変換器が接続された交流系統の有効電
力潮流が一定の範囲を越えて電力動揺が大きくなりやす
く、したがって交流電圧が変動しやすい状態になってい
る場合に、当該変換器が分担する有効電力の変化分を小
さくして交流系統へ与える動揺を小さくするよう制御す
ることができる。 (請求項8の他の実施の形態)図22に示す請求項8に
係る制御装置の第1の実施の形態では、2台の係数器1
8B,18Cの出力のうち一方をスイッチ回路23によ
り選択して出力する構成としているが、第2の実施の形
態として、係数器は1台として、スイッチ切換指令信号
27を係数器18に直接与え、その信号により係数器1
8の内部で係数を切換える構成としても同様の効果が得
られる。また、図22に示す制御回路7Qでは、スイッ
チ回路23の出力により有効電力設定値Pref を補正す
る構成としているが、第3の実施の形態として、図23
の制御回路7Rに示すように有効電力設定値Pref と有
効電力検出器Paの差分をとり、その差分に対してスイ
ッチ回路23の出力を加算する構成としても同様の効果
を得ることができる。また、図22に示す制御回路7Q
では、検出した電流潮流P* が過渡的に変化したとき、
スイッチ切換指令信号27で短時間で“1”と“0”を
繰りかえすのを避けるため、オフディレイ回路25やオ
ンディレイ回路26を設けているが、その代わりに、レ
ベル検出器391,392にヒステリシス特性を持たせ
ても、上記と同様に不必要にスイッチが切換わる事態を
防止することができる。すなわち、例えばレベル検出器
391では、P* max1>P* max2の関係をもつ2種類の
レベル値P* max1,P* max2が設定されており、レベル
検出器391の出力は、潮流検出値P* が大きな方のレ
ベル値P* max1を越えたときに“0”から“1”へと変
化し、また潮流検出値P* が小さな方のレベル値P* ma
x2より小さくなれば“1”から“0”に戻る。レベル検
出器392についても同様に、P* min1<P* min2の関
係をもつ2種類のレベル値P* min1,P* min2が設定さ
れており、レベル検出器392の出力は、潮流検出値P
* が小さな方のレベル値P* min1より小さくなったとき
に“0”から“1”へと変化し、また潮流検出値P*
大きな方のレベル値P* min2より大きくなれば“1”か
ら“0”へ戻る。さらに、オフディレイ回路、オンディ
レイ回路を設け、かつレベル検出器にヒステリシス特性
を持たせても同様の動作を行うことができる。以上の実
施の形態は、複数の電圧型自励式変換器により構成され
た直流送電システムについて説明したが、他励式変換器
を使用した直流送電システム、あるいは電流型自励式変
換器を使用した直流送電システム、またはこれらの変換
器のうち2種類以上が混在した直流送電システムにおい
ても、直流電圧と有効電力の制御を同様の制御ブロック
を用いて行うことにより、同様の効果を得ることができ
る。 (請求項9の実施の形態の構成)本発明の請求項9に係
る制御装置の第1の実施の形態を以下に説明する。図2
4は、本発明の請求項9に係る制御回路7Sを示すもの
である。図24の制御回路7Sでは、有効電力設定値P
ref と有効電力検出値Paの差分をそれぞれ異なる一定
の係数k1 ,k2 を持つ係数器181および係数器18
2に入力し、係数器181と係数器182の出力をスイ
ッチ回路23の入力端子aとbに入力する。他方、有効
電力設定値Pref と有効電力検出値Paの差分を絶対値
演算回路42に入力し、差分の絶対値を出力してレベル
検出器43に与える。レベル検出器43は予め設定され
た一定のレベル値と入力値を比較して、入力値の方が大
きい場合“1”信号を出力する。この出力信号は、保持
回路45に対して保持指令信号44として与えられる。
一方、スイッチ回路23に対するスイッチ切換信号27
が保持回路45の入力信号として与えられる。保持回路
45は、保持指令信号44が“1”の場合は入力信号で
あるスイッチ切換信号27が変化しても、事前の値を保
持するよう動作する。保持回路45の出力が最終的なス
イッチ切換指令信号としてスイッチ回路23に与えられ
る。スイッチ回路23は保持回路45の出力であるスイ
ッチ切換指令信号が“0”のとき端子a、“1”のとき
端子bとなるよう動作することにより、係数器181ま
たは係数器182のいずれかの出力を選択して出力し、
それを加算器19に与える。加算器19は、直流電圧設
定値Edrefに対しスイッチ回路23の出力を加算し、補
正された直流電圧設定値Edrefx を算出する。この直流
電圧設定値Edrefx と直流電圧検出値Edを突き合わせ
て、その差分を例えば比例積分回路などで構成された直
流電圧制御器20に入力する。直流電圧制御器20は、
直流電圧検出値Edが補正された直流電圧設定値Edref
x に等しくなるような値を出力する。その出力は、交流
電流の有効電力成分の設定値Idrefとして使用される。
また、本実施の形態に入力されるスイッチ切換信号27
は任意の信号であり、例えば、図12で説明した請求項
5におけるスイッチ切換信号27、あいるは図19で説
明した請求項7におけるスイッチ切換信号27などを使
用することができる。 (請求項9の実施の形態の作用)図24の制御回路7S
を用いた場合、有効電力検出値Paが設定値Pref に等
ければ、係数器181および係数器182の出力は零と
なるので、スイッチ回路23の出力はスイッチ切換指令
信号27の状態に関係なく零とする。これにより、直流
電圧が与えられた設定値Edrefどおりの値で、かつ有効
電力も当初与えられた設定値Pref どおりの値になるよ
うに直流電圧制御器20により制御が行われる。これに
対し有効電力Paが設定値Pref より大きくなると、係
数器181および係数器182の出力はそれぞれ負の値
となるが、係数k1 とk2 の値が異なるため、係数器の
出力もk1 ,k2 の値に比例して異なる値となる。例え
ばk1 =0.01、k2 =0.1であれば、係数器18
2の出力は係数器181の出力器181の出力の10倍
になる。この出力の値が加算器19により直流電圧設定
値Edrefに加えられて最終的な直流電圧設定値Edrefx
が得られるため、スイッチ回路23がどちらの端子信号
を選択しているかによって、最終的な直流電圧設定値E
drefx が変化する。したがって、有効電力の設定値Pre
f と有効電力検出値Paの差が大きい状態で、スイッチ
回路23の切換が行われると、直流電圧Edrefx が大き
く変化し、それにより直流電圧の運転値も大きく変化す
る。さらに、(3)式で分かるように直流電圧Edrefx
が大きく変化し、それにより直流電圧の運転値も大きく
変化する。さらに、(3)式で分かるように直流電圧の
変化分ΔEdが大きくなると、有効電力の変化分ΔPも
大きくなる。図24に示す請求項9の第1の実施の形態
(制御回路7S)では、有効電力の設定値Pref と検出
値Paの差が大きく、レベル検出器44のレベル値を越
えると、レベル検出器44の出力が“1”となり、それ
により保持回路45がロックされて、保持回路45の入
力信号27が“1”から“0”、あるいは“0”から
“1”に変化しても、出力は事前の値が保持されて、ス
イッチ回路23の切換は行われない。有効電力の設定値
Pref と検出値Paの差が小さい場合には、レベル検出
器44の出力が“0”になるので、保持回路45では入
力信号27がそのまま出力されてスイッチ回路23に切
換信号として与えられるので、スイッチ切換指令信号2
7による指令どおりにスイッチ回路23の切換が行われ
る。 (請求項9の実施の形態の効果)以上のように、図24
に示す請求項9の第1の実施の形態の制御回路7Sを備
えることにより、任意の変換器の有効電力運転値が事故
などで変化した場合、残りの変換器で変化分の有効電力
を分担して有効電力の和が零となるような点で平衡し、
かつ、変換器が接続された交流系統の条件などによって
有効電力と直流電圧の特性を切換える機能をもち、さら
に、この特性を切換えることによる大幅な有効電力や直
流電圧の変動を防止することができる。 (請求項9の他の実施の形態)図24に示す請求項9に
係る制御装置の第1の実施の形態である制御回路7Sで
は、スイッチ回路23の出力により直流電圧設定値Edr
efを補正する構成としているが、第2の実施の形態とし
て直流電圧設定値Edrefと直流電圧設定値Edの差分を
とり、その差分に対してスイッチ回路23の出力を加算
する構成としても同様の効果が得られる。また、図24
に示す制御回路7Sでは、有効電力の設定値Paと設定
値Prefの差分の絶対値をレベル検出器43に入力し
て、切換が可能かどうかの判断を行っているが、その代
わりに、第3の実施の形態として、図25の制御回路7
Tに示すように、補正する前の直流電圧設定値Edrefと
直流電圧検出値Edの差分をとり、その絶対値をレベル
検出器43に入力して、切換が可能かどうかの判断を行
っても同様の効果を得ることができる。また、図24に
示す制御回路7Sでは、有効電力の検出値Paと設定値
Prefの差分の絶対値をレベル検出器43に入力して、
切換が可能かどうかの判断を行っているが、その代わり
に、第4の実施の形態として、図26の制御回路7Uに
示すように、係数器181あるいは係数器182の出力
信号の絶対値をレベル検出器43に入力して、切換が可
能かどうかの判断を行っても同様の効果を得ることがで
きる。また、以上の実施の形態は、複数の電圧型自励式
変換器により構成された直流送電システムについて説明
したが、他励式変換器を使用した直流送電システム、あ
るいは電流型自励式変換器を使用した直流送電システ
ム、またはこれらの変換器のうち2種類以上が混在した
直流送電システムにおいても、直流電圧と有効電力の制
御を同様の制御ブロックを用いて行うことにより、同様
の効果を得ることができる。 (請求項10の実施の形態の構成)本発明の請求項10
に係る制御装置の第1の実施の形態を以下に説明する。
図27は、本発明の請求項10に係る制御装置の第1の
実施の形態による制御回路7Vを示すものである。図2
7の制御回路では、直流電圧設定値Edrefと直流電圧検
出値Edの差分をそれぞれ異なる一定の係数1/k1
1/k2 を持つ係数器18Bおよび係数器18Cに入力
し、係数器18Bと係数器18Cの出力をスイッチ回路
23の入力端子aとbに入力する。一方、直流電圧設定
値Edrefと直流電圧検出値Edの差分(=Edref−E
d)を絶対値演算回路42に入力し、差分の絶対値を出
力してレベル検出器43に与える。レベル検出器43は
予め設定された一定のレベル値と入力値を比較して、入
力値の方が大きい場合に“1”を出力する。この出力信
号44は、保持回路45に対して保持指令信号として与
えられる。一方、スイッチ回路23に対するスイッチ切
換信号27が保持回路45の入力信号として与えられ
る。保持回路45は保持指令信号44が“1”の場合は
入力信号であるスイッチ切換信号27が変化しても、事
前の出値力を保持するよう動作する。保持回路45の出
力が最終的なスイッチ切換指令信号としてスイッチ回路
23に与えられる。スイッチ回路23は保持回路45の
出力であるスイッチ切換指令信号が“0”のときは端子
a、“1”のときは端子bとなるよう動作することによ
り、係数器18Bまたは係数器18Cのいずれかの出力
を選択的に出力し加算器19に与える。加算器19は、
有効電力設定値Pref に対しスイッチ回路23の出力を
加算し、補正された有効電力設定値Prefxを算出する。
この有効電力設定値Prefxは検出値Paと突き合わさ
れ、その差分が例えば比例積分回路などで構成された有
効電力制御器22に入力される。有効電力制御器22
は、有効電力検出値Paが補正された有効電力設定値P
refxに等しくなるような値を出力する。その出力は、交
流電流の有効電力成分の設定値Idrefとして使用され
る。また、本実施の形態に入力されるスイッチ切換信号
27は任意の信号であり、例えば、図17で説明した請
求項6におけるスイッチ切換信号27、あるいは図22
で説明した請求項8におけるスイッチ切換信号27など
を使用することができる。 (請求項10の実施の形態の作用)図27の制御回路7
Vを用いた場合、直流電圧検出値Edが設定値Edrefに
等しければ、係数器18Bおよび係数器18Cの出力は
零となるのでスイッチ回路23の出力はスイッチ切換指
令信号27の状態に関係なく零となる。これにより、有
効電力が当初与えられた設定値Pref どおりの値で、か
つ直流電圧も当初与えられた設定値Edrefどおりの値に
なるよう、有効電力制御器22により制御が行われる。
これに対し直流電圧Edが設定値Edrefより大きくなる
と、係数器18Bおよび係数器18Cの出力はそれぞれ
負の値となるが、係数1/k1 と1/k2 の値が異なる
ため、係数器の出力も1/k1 ,1/k2 の値に応じて
異なる値となる。例えば,1/k1 =100、1/k2
=10であれば、係数器18Bの出力は係数器18Cの
出力の10倍になる。この出力が加算器19により有効
電力設定値Pref に加えられて最終的な有効電力設定値
Prefxが得られる。このため、スイッチ回路23がどち
らの端子信号を選択しているかによって、最終的な有効
電力設定値Prefxが変化する。したがって、直流電圧の
設定値Edrefと直流電圧検出値Edの差が大きい状態
で、スイッチ回路23の切換が行われると、有効電力設
定値Prefxが大きく変化し、それにより直流電圧の運転
値も大きく変化する。さらに、(7)式で分かるように
有効電力の変化分ΔPが大きくなると、直流電圧の変化
分ΔEdも大きくなる。ここで図27に示す制御回路7
Vでは、直流電圧の設定値Edrefと検出値Edの差が大
きく、レベル検出器44に予め設定されているレベル値
を越えると、レベル検出器44の出力が“1”となり、
それにより保持回路45がロックされて、保持回路45
の入力信号27が“1”から“0”、あるいは“0”か
ら“1”に変化しても、出力は事前の値が保持されて、
スイッチ回路23の切換は行われない。直流電圧の設定
値Edrefと検出値Edの差が小さい場合には、レベル検
出器44の出力が“0”となるので、保持回路45では
入力信号27がそのまま出力されてスイッチ回路23に
切換信号として与えられるので、スイッチ切換指令信号
27による指令どおりにスイッチ回路23の切換が行わ
れる。 (請求項10の実施の形態の効果)以上のように、図2
7に示す請求項10の第1の実施の形態の制御回路7V
を備えることにより、任意の変換器の有効電力運転値が
事故などで変化した場合、残りの変換器で変化分の有効
電力を分担して有効電力の和が零となるような点で平衡
し、かつ、変換器が接続された交流系統の条件などによ
って有効電力と直流電圧の特性を切換える機能をもち、
さらに、この特性を切換えることによる大幅な有効電力
や直流電圧の変動を防止することができる。 (請求項10の他の実施の形態)図27に示す制御回路
7Vでは、スイッチ回路23の出力により有効電力設定
値Pref を補正する構成としているが、第2の実施の形
態として、有効電力設定値Pref と有効電力設定値Pa
の差分をとり、その差分に対してスイッチ回路23の出
力を加算する構成としても同様の効果を得ることができ
る。また、図27に示す制御回路7Vでは、直流電圧の
検出値Edと設定値Edrefの差分の絶対値をレベル検出
器43に入力して、切換が可能かどうかの判断を行って
いるが、その代わりに、第3の実施の形態として、図2
8の制御回路7Wに示すように、補正する前の有効電力
設定値Pref と有効電力検出値Paの差分をとり、その
絶対値をレベル検出器43に入力して、切換が可能かど
うかの判断を行っても同様の効果を得ることができる。
また、図27に示す制御回路7Vでは、直流電圧の検出
値Edと設定値Edrefの差分の絶対値をレベル検出器4
3に入力して、切換が可能かどうかの判断を行っている
が、その代わりに、第4の実施の形態として、図29の
制御回路7Xに示すように、係数器181あるいは係数
器182の出力信号の絶対値をレベル検出器43に入力
して、切換が可能かどうかの判断を行っても同様の効果
を得ることができる。また、以上の実施の形態は、複数
の電圧型自励式変換器により構成された直流送電システ
ムについて説明したが、他励式変換器を使用した直流送
電システム、あるいは電流型自励式変換器を使用した直
流送電システム、またはこれらの変換器のうち2種類以
上が混在した直流送電システムにおいても、直流電圧と
有効電力の制御を同様の制御ブロックを用いて行うこと
により、同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】本発明の請求項1の制御装置によれば、
有効電力の変化によって直流電圧設定値を補正すること
により、変換器の有効電力運転値と直流電圧の関係を示
す特性に傾きをもたせ、それによって、直流送電システ
ムを構成する複数の変換器のうち何台かが事故による停
止や運転点の変更を行った場合も、残りの健全な変換器
間で有効電力の平衡を保ちながら運転することができ、
さらに、直流電圧設定値に対する補正よりも遅い応答
で、有効電力の検出値と設定値に比例した値を有効電力
設定値に加えることにより、前述の傾きをもった有効電
力と直流電圧の特性のため当初与えられた設定値とは異
なる点で運転されている直流電圧の値を、伝送手段を必
要とせずに、当初与えられたとおりの値に調整すること
ができる。本発明の請求項2の制御装置によれば、有効
電力の変化によって直流電圧設定値を補正することによ
り、変換器の有効電力運転値と直流電圧の関係を示す特
性に傾きをもたせ、それによって、直流送電システムを
構成する複数の変換器のうち何台かが事故による停止や
運転点の変更を行った場合も、残りの健全な変換器間で
有効電力の平衡を保ちながら運転することができ、さら
に、直流電圧設定値に対する補正よりも遅い応答で、補
正する前の直流電圧の設定値と直流電圧検出値に比例し
た値を有効電力設定値に加えることにより、前述の傾き
をもった有効電力と直流電圧の特性のため当初与えられ
た設定値とは異なる点で運転されている直流電圧の値
を、伝送手段を必要とせずに、当初与えられたとおりの
値に調整することができる。本発明の請求項3の制御装
置によれば、直流電圧の変化によって有効電力設定値を
補正することにより、変換器の有効電力運転値と直流電
圧の関係を示す特性に傾きをもたせ、それによって、直
流送電システムを構成する複数の変換器のうち何台かが
事故による停止や運転点の変更を行った場合も、残りの
健全な変換器間で有効電力の平衡を保ちながら運転する
ことができ、さらに、前述の有効電力設定値に対する補
正よりも遅い応答で、有効電力の検出値と補正する前の
設定値に比例した値を有用電力検出値に加えることによ
り、前述の傾きをもった有効電力と直流電圧の特性のた
め当初与えられた設定値とは異なる点で運転されている
直流電圧の値を、伝送手段を必要とせずに、当初与えら
れたとおりの値に調整することができる。本発明の請求
項4の制御装置によれば、直流電圧の変化によって有効
電力設定値を補正することにより、変換器の有効電力運
転値と直流電圧の関係を示す特性に傾きをもたせ、それ
によって、直流送電システムを構成する複数の変換器の
うち何台かが事故による停止や運転点の変更を行った場
合も、残りの健全な変換器間で有効電力の平衡を保ちな
がら運転することができ、さらに、前述の有効電力設定
値に対する補正よりも遅い応答で、直流電圧の設定値と
直流電圧の検出値に比例した値を有用電力検出値に加え
ることにより、前述の傾きをもった有効電力と直流電圧
の特性のため当初与えられた設定値とは異なる点で運転
されている直流電圧の値を、伝送手段を必要とせずに、
当初与えられたとおりの値に調整することができる。本
発明の請求項5の制御装置によれば、有効電力の変化に
よって直流電圧設定値を補正することにより、変換器の
有効電力運転値と直流電圧の関係を示す特性に傾きをも
たせ、それによって、直流送電システムを構成する複数
の変換器のうち何台かが事故による停止や運転点の変更
を行った場合も、残りの健全な変換器間で有効電力の平
衡を保ちながら運転することができ、さらに、変換器が
接続された交流系統で、送電線開閉用の変圧器開閉用あ
るいは発電機投入用などの遮断器が開放状態で系統の短
絡容量が小さくなっている場合には、前述の有効電力の
変化に対する直流電圧の補正の割合を、通常よりも大き
な値に切換えることにより、変換器の有効電力を通常よ
りも変化しにくく、交流系統へ与える動揺を小さくする
ことができる。本発明の請求項6の制御装置によれば、
直流電圧の変化によって有効電力設定値を補正すること
により、変換器の有効電力運転値と直流電圧の関係を示
す特性に傾きをもたせ、それによって、直流送電システ
ムを構成する複数の変換器のうち何台かが事故による停
止や運転点の変更を行った場合も、残りの健全な変換器
間で有効電力の平衡を保ちながら運転することができ、
さらに、変換器が接続された交流系統で、送電線開閉用
の変圧器開閉用あるいは発電機投入用などの遮断器が開
放状態で系統の短絡容量が小さくなっている場合には、
前述の直流電圧の変化に対する有効電力の補正の割合
を、通常よりも小さな値に切換えることにより、変換器
の有効電力を通常よりも変化しにくくし、交流系統へ与
える動揺を小さくすることができる。本発明の請求項7
の制御装置によれば、有効電力の変化によって直流電圧
設定値を補正することにより、変換器の有効電力運転値
と直流電圧の関係を示す特性に傾きをもたせ、それによ
って、直流送電システムを構成する複数の変換器のうち
何台かが事故による停止や運転点の変更を行った場合
も、残りの健全な変換器間で有効電力の平衡を保ちなが
ら運転することができ、さらに、変換器が接続された交
流系統で、電力潮流が大きくなり一定値を越えた場合に
は、前述の有効電力の変化に対する直流電圧の補正の割
合を、通称よりも大きな値に切換えることにより、変換
器の有効電圧を通常よりも変化しにくくし、交流系統へ
与える動揺を小さくすることができる。本発明の請求項
8の制御装置によれば、直流電圧の変化によって有効電
力設定値を補正することにより、変換器の有効電力運転
値と直流電圧の関係を示す特性に傾きをもたせ、それに
よって、直流送電システムを構成する複数の変換器のう
ち何台かが事故による停止や運転点の変更を行った場合
も、残りの健全な変換器間で有効電力の平衡を保ちなが
ら運転することができ、さらに、変換器が接続された交
流系統で、電力潮流が大きくなり一定値を越えた場合に
は、前述の直流電圧の変化に対する有効電力の補正の割
合を、通称よりも小さな値に切換えることにより、変換
器の有効電圧を通常よりも変化しにくくし、交流系統へ
与える動揺を小さくすることができる。本発明の請求項
9の制御装置によれば、有効電力の変化によって直流電
圧設定値を補正することにより、変換器の有効電力運転
値と直流電圧の関係を示す特性に傾きをもたせ、それに
よって、直流送電システムを構成する複数の変換器のう
ち何台かが事故による停止や運転点の変更を行った場合
も、残りの健全な変換器間で有効電力の平衡を保ちなが
ら運転することができ、また、スイッチ回路とそれに対
する切換信号をロックする回路を設けることにより、任
意の条件によって、前述の有効電力の変化に対する直流
電圧の補正の割合を替えることができ、さらに、その切
換の際に直流電圧や有効電力が大きく変化するのを防止
して交流系統へ与える動揺を小さくすることができる。
本発明の請求項10の制御装置によれば、直流電圧の変
化によって有効電力設定値を補正することにより、変換
器の有効電力運転値と直流電圧の関係を示す特性に傾き
をもたせ、それによって、直流送電システムを構成する
複数の変換器のうち何台かが事故による停止や運転点の
変更を行った場合も、残りの健全な変換器間で有効電力
の平衡を保ちながら運転することができ、また、スイッ
チ回路とそれに対する切換信号をロックする回路を設け
ることにより、任意の条件によって、前述の直流電力の
補正の割合を切換えることができ、さらに、その切換の
際に直流電圧や有効電力が大きく変化するのを防止して
交流系統へ与える動揺を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の第1の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図2】本発明の請求項1〜10の制御装置を3端子の
直流送電システムに適用した場合の、各端子の有効電力
と直流電圧の関係を示す動作特性図。
【図3】本発明の請求項1の第2の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図4】本発明の請求項1の第3の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図5】本発明の請求項2の第1の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図6】本発明の請求項2の第2の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図7】本発明の請求項3の第1の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図8】本発明の請求項3の第2の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図9】本発明の請求項4の第1の実施の形態における
直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロ
ック図。
【図10】本発明の請求項4の第2の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図11】本発明の請求項4の第3の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図12】本発明の請求項5の第1の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図13】本発明の請求項5および請求項6の第1の実
施の形態を適用した交直変換器が接続された交流系統の
構成を示す単線結線図。
【図14】本発明の請求項5の第3の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図15】本発明の請求項5および請求項6の第4の実
施の形態を適用した交直変換器が接続された交流系統の
構成を示す単線結線図。
【図16】本発明の請求項5および請求項6の第5の実
施の形態を適用した交直変換器が接続された交流系統の
構成を示す単線結線図。
【図17】本発明の請求項6の第1の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図18】本発明の請求項6の第2の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図19】本発明の請求項7の第1の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図20】本発明の請求項7および請求項8の実施の形
態の説明に係る、一般に電力系統における系統インピー
ダンスと交流電圧と電力潮流の関係を説明するための単
線結線図。
【図21】本発明の請求項7の第3の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図22】本発明の請求項8の第1の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図23】本発明の請求項8の第2の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図24】本発明の請求項9の第1の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図25】本発明の請求項9の第3の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図26】本発明の請求項9の第4の実施の形態におけ
る直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブ
ロック図。
【図27】本発明の請求項10の第1の実施の形態にお
ける直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御
ブロック図。
【図28】本発明の請求項10の第3の実施の形態にお
ける直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御
ブロック図。
【図29】本発明の請求項10の第4の実施の形態にお
ける直流電圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御
ブロック図。
【図30】交直変換器を用いた公知の直流送電システム
の主回路および制御装置のブロック図。
【図31】交直変換器の制御装置の中の、従来の直流電
圧/有効電力制御回路の内部構成を示す制御ブロック
図。
【符号の説明】
1A,1B 交流母線 2A,2B 変換器用変圧器 3A,3B 交直変換器 4A,4B 直流コンデンサ 5 直流電圧検出器 6 有効電力検出器 7,7A〜7X 直流電圧/有効電力制御回路 8 無効電力検出器 9 無効電力制御回路 10 交流電流制御回路 11 三相/二相変換回路 12 PWM制御回路 13 位相検出回路 14 パルス発生装置 15 直流電圧制御器 16 有効電力制御器 17 1次遅れ回路 18,18A〜18C,181,182 係数器 19 加算器 20 直流電圧制御器 21 加算器 22 有効電力制御器 23 スイッチ回路 24 遮断器状態信号 25 オフディレイ回路 26 オンディレイ回路 27 スイッチ切り替え指令信号 281,282 交流送電線 291,292,293,294 遮断器 30,301 交流母線 31 系統インピーダンス 32 無限大母線 331,332 電力用変圧器 341,342,343,344 遮断器 351,352 送電線 36 遮断器 37 発電機用変圧器 38 発電機 391,392 レベル検出器 40 OR回路 411,412 同期機 42 絶対値演算回路 43 レベル検出器 44 保持指令信号 45 保持回路 50 送電線 51 変流器 52 計器用変圧器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂 本 幸 治 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 大 槻 みどり 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 爪 長 正 宏 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 川 上 紀 子 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、変換器が融通す
    る有効電力の設定値と検出値の差に応じて前記変換器の
    直流電圧設定値を補正する第1の補正手段と、変換器が
    融通する有効電力の検出値と設定値の差に応じて前記直
    流電圧設定値の補正に比べ遅い応答で有効電力の設定値
    を補正する第2の補正手段と、補正された直流電圧設定
    値と直流電圧検出値の差が零に近づくように前記交直変
    換器を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする交
    直変換器の制御装置。
  2. 【請求項2】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、変換器が融通す
    る有効電力の設定値と検出値の差に応じて前記変換器の
    直流電圧設定値を補正する第1の補正手段と、補正する
    前の直流電圧設定値と直流電圧検出値の差に応じて前記
    直流電圧設定値の補正に比べ遅い応答で有効電力の設定
    値を補正する第2の補正手段と、補正された直流電圧設
    定値と直流電圧検出値の差が零に近づくように前記交直
    変換器を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする
    交直変換器の制御装置。
  3. 【請求項3】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、変換器の直流電
    圧設定値と直流電圧検出値の差に応じて前記変換器が融
    通する有効電力の設定値を補正する第1の補正手段と、
    変換器が融通する有効電力の検出値と補正する前の有効
    電力設定値の差に応じて前記直流電圧設定値の補正に比
    べ遅い応答で有効電力の設定値を補正する第2の補正手
    段と、補正された有効電力設定値と有効電力検出値の差
    が零に近づくように前記交直変換器を制御する制御手段
    とを備えたことを特徴とする交直変換器の制御装置。
  4. 【請求項4】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、変換器の直流電
    圧設定値と直流電圧検出値の差に応じて前記変換器が融
    通する有効電力の設定値を補正する第1の補正手段と、
    直流電圧設定値と直流電圧検出値の差に応じて前記有効
    電力設定値の補正に比べ遅い応答で有効電力の設定値を
    補正する第2の補正手段と、補正された有効電力設定値
    と有効電力検出値の差が零に近づくように前記交直変換
    器を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする交直
    変換器の制御装置。
  5. 【請求項5】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、変換器が融通す
    る有効電力の設定値と検出値の差に所定係数を乗算した
    値で前記変換器の直流電圧設定値を補正する補正手段
    と、前記変換器と交流系統の間に接続された遮断器の状
    態信号を監視し、遮断器が一定時間以上継続して開放状
    態にあることを条件に前記所定係数をより大きな値に切
    換える切換手段と、補正された直流電圧設定値と直流電
    圧検出値の差が零に近づくように前記交直変換器を制御
    する制御手段とを備えたことを特徴とする交直変換器の
    制御装置。
  6. 【請求項6】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、変換器の直流電
    圧設定値と直流電圧検出値の差に比例係数を乗算した値
    で前記変換器が融通する有効電力の設定値を補正する第
    1の補正手段と、前記変換器と交流系統の間に接続され
    た遮断器の状態信号を監視し、遮断器が一定時間以上継
    続して開放状態にあることを条件に前記所定係数をより
    小さな値に切換える切換手段と、補正された有効電力の
    設定値と検出値の差が零に近づくように前記交直変換器
    を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする交直変
    換器の制御装置。
  7. 【請求項7】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、前記変換器が融
    通する有効電力の設定値と検出値の差に所定係数を乗算
    した値で前記変換器の直流電圧設定値を補正する補正手
    段と、変換器が接続された交流系統の電力潮流の大きさ
    を監視し、電力潮流の大きさが予め設定された範囲を一
    定時間以上継続して越えたことを条件に、前記所定係数
    をより大きな値に切換える切換手段と、補正された直流
    電圧設定値と直流電圧検出値の差が零に近づくように前
    記交直変換器を制御する制御手段とを備えたことを特徴
    とする交直変換器の制御装置。
  8. 【請求項8】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、前記変換器の直
    流電圧設定値と直流電圧検出値の差に所定係数を乗算し
    た値で前記変換器の融通する有効電力の設定値を補正す
    る補正手段と、変換器が接続された交流系統の電力潮流
    の大きさを監視し、電力潮流の大きさが予め設定された
    範囲を一定時間以上継続して越えたことを条件に、前記
    所定係数をより小さな値に切換える切換手段と、補正さ
    れた有効電力設定値と有効電力検出値の差が零に近づく
    ように前記変換器を制御する制御手段とを備えたことを
    特徴とする交直変換器の制御装置。
  9. 【請求項9】交流電力から直流電力への変換を行う交直
    変換器が直流側で複数台接続される直流送電システムに
    おける交直変換器の制御装置において、前記変換器が融
    通する有効電力の設定値と検出値の差に所定係数を乗算
    した値で前記変換器の直流電圧設定値を補正する補正手
    段と、前記所定係数を所定の条件により切換える切換手
    段と、有効電力設定値と有効電力検出値の差の絶対値、
    または補正される前の直流電圧設定値と直流電圧検出値
    の絶対値、または前記所定係数を乗算した値の絶対値が
    予め設定された一定値を越えているとき、前記切換手段
    が切換動作を行わないようにインターロックするインタ
    ーロック手段と、補正された直流電圧設定値と直流電圧
    検出値の差が零に近づくように前記変換器を制御する制
    御手段とを備えたことを特徴とする交直変換器の制御装
    置。
  10. 【請求項10】交流電力から直流電力への変換を行う交
    直変換器が直流側で複数台接続される直流送電システム
    における交直変換器の制御装置において、直流電圧設定
    値と直流電圧検出値の差に所定係数を乗算した値で前記
    変換器が融通する有効電力の設定値を補正する補正手段
    と、前記所定係数を所定の条件により切換える切換手段
    と、直流電圧設定値と直流電圧検出値の差の絶対値、ま
    たは補正される前の有効電力設定値と有効電力検出値の
    絶対値、または前記所定係数を乗算した値の絶対値が予
    め設定された一定値を越えているとき、前記切換手段が
    切換動作を行わないようにインターロックするインター
    ロック手段と、補正された有効電力設定値と有効電力検
    出値の差が零に近づくように前記変換器を制御する制御
    手段とを備えたことを特徴とする交直変換器の制御装
    置。
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