JPH09191115A - 太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール

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JPH09191115A
JPH09191115A JP8018282A JP1828296A JPH09191115A JP H09191115 A JPH09191115 A JP H09191115A JP 8018282 A JP8018282 A JP 8018282A JP 1828296 A JP1828296 A JP 1828296A JP H09191115 A JPH09191115 A JP H09191115A
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JP
Japan
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solar cell
cell module
module according
coating material
film
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Pending
Application number
JP8018282A
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English (en)
Inventor
Ayako Komori
綾子 小森
Takahiro Mori
隆弘 森
Hidenori Shiozuka
秀則 塩塚
Ichiro Kataoka
一郎 片岡
Satoshi Yamada
聡 山田
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP8018282A priority Critical patent/JPH09191115A/ja
Publication of JPH09191115A publication Critical patent/JPH09191115A/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面の直接反射光が少なく、表面フィルムに
しわが入りにくく、長期屋外使用に際しても、汚れが付
着しにくく、落ちやすい信頼性の高い太陽電池モジュー
ルを提供する。 【構成】 光起電力素子101の光入射側に繊維状無機
化合物を含浸した透明有機高分子樹脂102を設け、そ
の表面に、任意に選択された隣接する3つの凹凸のピッ
チ(凹部の頂点あるいは凸部の頂点同士の距離)をそれ
ぞれXn、Xn+1およびXn+2とした場合、20μm<|
n−Xn+2|<500μmであり、かつXn+2/Xn
0.9またはXn+2/Xn>1.1であるような凹凸を設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改善された太陽電池モ
ジュール、詳しくは、光起電力素子の光入射側表面が、
透明有機高分子樹脂層とそれに接してその外側の最表面
に透明な表面保護フィルム層の少なくとも2層以上の被
覆材により被覆された太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する意識の高まり
が、世界的に広がりを見せている。中でも、CO2排出
に伴う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻で、クリ
ーンなエネルギーへの希求はますます強まってきてい
る。こうした情況のもとで太陽電池は、その安全性と扱
いやすさから、クリーンなエネルギー源として期待され
ていいる。ところで、太陽電池には様々な形態がある。
代表的なものとしては、結晶シリコン太陽電池、多結晶
シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、銅
インジウムセレナイド太陽電池、化合物半導体太陽電池
などがある。これらの中で、薄膜結晶シリコン太陽電
池、化合物半導体太陽電池及びアモルファスシリコン太
陽電池は比較的低コストで大面積化が可能なため、各方
面で活発に研究開発が進められている。
【0003】これらの太陽電池の中でも、導体金属基板
上にシリコンを堆積し、その上に透明導電層を形成した
アモルファスシリコン太陽電池を代表とする薄膜太陽電
池は、軽量でかつ耐衝撃性、フレキシブル性に富んでい
るので、将来のモジュール形態として有望視されてい
る。ただ、ガラス基板上にシリコンを堆積する場合と異
なり、光入射側表面を透明な被覆材で覆い、太陽電池を
保護する必要があるため、表面被覆材には以下のような
事項が要求される。すなわち、太陽電池発電に利用され
る可視光線の光領域に対し良好な透明性を持つこと(透
明性)、外部からの引っ掻き、衝撃などの応力から内部
の光起電力素子を保護すること(耐スクラッチ性)、屋
外設置環境において、光起電力素子を保護すると同時
に、その被覆材自身も劣化が少ないこと(耐候性)、そ
して、被覆材自身が燃えにくいこと(難燃性)が要求さ
れる。
【0004】このような条件を満たす表面被覆材とし
て、一般には、最表面被覆材にガラスやアクリル樹脂フ
ィルム、四フッ化エチレン−エチレン共重合体フィル
ム、ポリフッ化ビニルフィルムなどのフッ素樹脂フィル
ムやフッ素樹脂塗料などを用いた透明なフッ化物重合体
薄膜が用いられている。そして、その内側には充填材と
して、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの種々の透明
有機高分子樹脂が用いられている。前記充填材として
は、安価であるため内部の光起電力素子を保護するため
に大量に用いることができ、耐熱性、耐候性に優れた透
明有機高分子樹脂として知られているEVAを用いるこ
とが多い。しかし、最表面被覆材としてガラスを用いた
場合、ガラスは重く、柔軟性がなく、高コストであるた
め、特にアモルファスシリコン太陽電池においてはその
特徴である、軽量、可とう性、低コストといった利点を
いかせない。そのため、アモルファスシリコン太陽電池
では、最表面被覆材として、透明なフッ化物重合体薄膜
が用いられることが多い。フッ化物重合体薄膜は耐候性
・撥水性に富んでおり、樹脂の劣化による黄変・白濁あ
るいは表面の汚れによる光透過率の減少に起因する太陽
電池モジュールの変換効率の低下を少なくすることがで
き、さらに柔軟性をもった太陽電池モジュールとするこ
とができる。
【0005】このように、最表面被覆材として、樹脂フ
ィルムを用いた従来の太陽電池モジュールは、その表面
は平滑である。該太陽電池モジュールにおいては、その
平滑な表面に平行に近い角度で入射する光は臨界角を越
えると全反射されてしまい、太陽電池の光起電力素子に
まで光が入光しなくなるため、十分な起電力を発生させ
ることはできなくなる。さらに、該太陽電池モジュール
を住宅の屋根、ビルの屋上や壁面などに設置するような
場合、角度によっては前記反射光が他の住宅や地上に届
くために、そこにいる人々が眩しくて不快に感じるとい
った問題が起こる。また、最表面をフィルムで被覆する
場合、フィルムにしわが入りやすいという問題点があ
る。例えば、被覆材形成工程においてフィルムを有機樹
脂に貼りつけるためにはラミネーターによる真空加熱圧
着という方法が一般的に用いられているが、圧着時にフ
ィルムが弛んでいたりするとしわが入る。また、初期外
観が良好であっても、長期の屋外暴露を経ると被覆材の
熱膨張・熱収縮の繰り返しによって表面フィルムにしわ
が発生することがある。さらには、表面が平滑であると
小さなしわでも目立ってしまい、外観不良になりやす
い。
【0006】以上のような欠点を解決する手段として、
太陽電池モジュールの表面に凹凸を設けることが行われ
ている。通常、アルミニウムメッシュ、ステンレスメッ
シュのような金属メッシュあるいは織布などが用いられ
ることが多く、その形状は規則正しい格子状の模様にさ
れる。特開昭60−88481号公報には表面保護層の
表面粗さRmaxが0.3〜100umである太陽電池
モジュールについて開示されている。該公報には、当該
太陽電池モジュールにおいては、表面粗さを上記値にし
ていることから、早朝や夕方などのように光量が少なく
て入射角が大きい状態でそれを使用しても起電力不足が
生じないという効果があるとされている。図7は、この
ような太陽電池モジュールの被覆構成を示す従来例であ
る。図7において、703はフッ化物重合体薄膜層、7
02は透明有機高分子樹脂、701は光起電力素子、7
04は絶縁フィルムである。より具体的には、フッ化物
重合体薄膜層703はETFE(エチレン−テトラフル
オロエチレン共重合体)フィルム、PVF(ポリフッ化
ビニル)フィルムなどのフッ素樹脂フィルムであり、透
明有機高分子樹脂602はEVA(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体)、ブチラール樹脂などである。絶縁フィル
ム704は、7ナイロンフィルム、PET(ポリエステ
ル)フィルム、アルミラミネートテドラーフィルムなど
の有機樹脂フィルムである。
【0007】ところが、上述したように最表面被覆材と
して樹脂フィルムを使用した太陽電池モジュールには、
ガラスを使用した太陽電池モジュールと比較して屋外使
用中に表面に汚れが付着・堆積しやすいという問題があ
る。これにより、表面被覆材の透明度が低下し、光起電
力素子に到達する入射光は低下する、すなわち、光起電
力の低下がおこる。さらに、住宅の屋根、壁など住宅建
材の一部として使用する場合には、外観上も好ましくな
い。また、通常雨、雪、風などの自然環境により、太陽
電池モジュール表面に付着・堆積した汚れはある程度除
去されるものの、このような自然浄化による汚れの落ち
る程度もガラスと比べ樹脂フィルム層の方が劣る。この
ように、最表面被覆材に樹脂フィルムを使用した太陽電
池モジュールは、汚れが付着・堆積しやすく、さらに落
ちにくいという問題がある。そして、特に表面に規則正
しい格子状の凹凸を設けた従来の太陽電池モジュールで
は、その程度は著しく、起電力の低下も大きいという問
題がある。上述したように、特開昭60−88481号
公報には表面保護層の表面粗さRmaxが0.3〜10
0umである太陽電池モジュールが開示されており、該
太陽電池モジュールは、早朝や夕方などのように光量が
少なくて入射角が大きい状態で使用しても起電力不足が
生じないという効果がある旨記載されている。しかしな
がら、該公報には、電気卓上計算機などの機器で使用さ
れる太陽電池モジュールについてのみ述べられているに
すぎなく、屋外で電力用途として使用されるような太陽
電池モジュールについては全く触れられていない。すな
わち、屋外での電力用途で特に問題となる上述した欠
点、すなわち表面被覆層の汚れの付着の程度、汚れの落
ちる程度などについては一切述べられていない。また、
表面の凹凸のピッチについては示唆すらもない。前記公
報に記載の技術事項からでは、凹凸のピッチが極端に大
きい場合は平滑に近くなり反射光による周辺への影響、
表面フィルムのしわなどの問題を解決することはできな
い。また、該ピッチが極端に狭い場合には、非常に汚れ
が落ちにくい。さらに、該公報にはピッチの規則性につ
いては触れるとこすら全くない。規則性をもった凹凸で
ある場合、太陽電池製造時のしわなどの欠陥が目立ち、
歩留が悪くなる。こうしたことから、表面被覆材として
フィルムと封止用樹脂を用いた電力用途の太陽電池モジ
ュールに関する上述した問題点を解決する表面被覆材の
形状については知られていないのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の太陽電池モジュールにおける上述した問題を解決し、
長期の屋外使用にあっても信頼性の高い改善された太陽
電池モジュールを提供することにある。本発明の他の目
的は、表面の直接反射光が少なく、表面フィルムにしわ
が入りにくく、長期屋外使用に際しても、汚れが付着し
にくく、落ちやすい、信頼性の高い太陽電池モジュール
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究開発を重ねた。その結果、以下
のようにすることにより上記目的が達成できることが判
明した。すなわち、光起電力素子の光入射側表面が、透
明有機高分子樹脂層とそれに接してその外側の最表面に
透明な表面保護フィルム層の少なくとも2層以上の被覆
材により被覆される太陽電池モジュールにおいて、前記
被覆材表面に凹凸を設け、そのうち任意に選択された隣
接する3つの凹凸のピッチ(凹部の頂点あるいは凸部の
頂点同士の距離)をそれぞれXn、Xn+1およびXn+2
した場合、20μm<|Xn−Xn+2|<500μmであ
り、かつXn+2/Xn<0.9またはXn+2/Xn>1.1
とする。
【0010】
【作用】上述した構成を基本とする太陽電池モジュール
は以下に述べるような態様を包含し、顕著な効果を奏す
る。 (1)表面直接反射光が少なくなり、十分な起電力を得
られると共に、生産時において最表面樹脂フィルムへの
しわが残らず、また、光起電力素子の半導体膜厚むらに
よる色むらを目立たなくするため、生産歩留が向上す
る。また、屋外で使用する際に、表面被覆材への汚れの
付着も目立たず、住宅の屋根、壁などに建築材として組
み込まれているような場合には特に美観に優れた太陽電
池モジュールとなる。すなわち、凹凸のピッチが不規則
であることにより、しわなどの外観の欠陥を吸収し目立
たなくすることができる。同時に汚れが付着したとして
も、外観上は目立たない太陽電池モジュールとすること
ができる。 (2)凹凸のピッチを50μm乃至500μmとするこ
とにより、表面被覆材への汚れの付着の程度が軽減さ
れ、同時に使用中の表面のしわの発生も防止できる。す
なわち、凹凸のピッチを50μm以上とすることにより
汚れの程度を軽減できると共に、500μm以下とする
ことにより屋外使用中に表面にしわがおきてくる現象も
防止できる。 (3)任意に選択された隣接する3つの凹凸の高さ(隣
接する凹部凸部の高低差)をYn、Yn+1およびYn+2
した場合、10μm<|Yn−Yn+2|<200μmであ
り、かつYn/Yn+2<0.9またはYn/Yn+2>1.1
とすることにより、上記(1)に述べた効果を高め、表
面被覆材のしわ、汚れの付着をさらに目立たなくするこ
とができる。すなわち、凹凸の高さも規則性を持たなく
することにより、外観上の欠陥をさらに吸収できるた
め、美観に優れた太陽電池モジュールとすることができ
る。 (4)凹凸の高さを10μm乃至300μmとすること
により、上記(2)に述べた効果を高め汚れの付着の軽
減と使用中のしわの発生の防止を両立することができ
る。
【0011】(5)凹凸が長さ50μm乃至200mm
の線の重なりにより形成されていることにより、付着し
た汚れを自然浄化により取り除くことができる。すなわ
ち、格子状の凹凸でないため、雨などの自然環境により
汚れが流れやすい。 (6)凹凸を形成している線径が0.1mm乃至3mm
とすることにより、汚れが凹凸にたまりにくく、たとえ
付着したとしても取り除くことが容易である。すなわ
ち、線により形成されている凹凸の溝が細すぎないこと
は、その部分に汚れが堆積しにくく、また取り除かれや
すい。 (7)前記透明樹脂フィルム層をフッ化物重合体で構成
することにより、耐候性に優れた被覆となる。すなわ
ち、充填材の透明有機高分子樹脂と相まって、フッ化物
重合体の有する耐候性が期待できる。 (8)前記フッ化物重合体を四フッ化エチレン−エチレ
ン共重合体にすることによって、四フッ化エチレン−エ
チレン共重合体が有する耐候性・透明性・機械的強度を
生かした被覆材が達成される。 (9)前記透明樹脂フィルム層のASTM D−882
試験法における引っ張り破断伸びが縦方最表面透明樹脂
フィルム層の光起電力素子側のぬれ指数が35dyne
以上とすることにより、接着力の優れた長期信頼性の高
い被覆材となる。すなわち、樹脂フィルムと透明有機高
分子樹脂を適正化し、初期における樹脂フィルムと透明
有機高分子樹脂との接着力を向上することはもちろん、
長期屋外暴露後の接着力においても高い信頼性のもてる
被覆材となる。
【0012】(10)ASTM D−882試験法にお
ける引っ張り破断伸びが縦方向及び横方向ともに200
%乃至800%とすることにより、クラックのない最表
面被覆材となるため、外部からの水の浸入を防ぎ、外部
との電気絶縁性を確保できる。さらに局部延伸処理され
ることで、表面フィルムが局部的に結晶化し、これによ
り透湿性が低下し、あるいは内部の添加剤などの揮発が
防止され耐湿性および耐候性が向上する。 (11)前記透明有機高分子樹脂をエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)とすることにより、従来からの太
陽電池モジュールの被覆材として、最も用いられている
樹脂であり、現在の被覆材構成を大きく変更することな
しに上述した効果を得ることができる。 (12)前記透明有機高分子樹脂がカップリング剤処理
されていることにより、最表面透明樹脂フィルム、光起
電力素子基板および繊維状無機化合物との接着力を向上
し、被覆材としての高い信頼性を確保できる。 (13)前記透明有機高分子中に、繊維状無機化合物を
含浸させることにより、少量の透明有機高分子樹脂によ
り、高い耐スクラッチ性を確保できる。すなわち、繊維
状無機化合物により、補強することにより極少量の透明
有機高分子樹脂によって、外部からの引っ掻きなどに対
して高い耐性を持つ被覆材とすることができる。 (14)繊維状無機化合物がカップリング剤処理されて
いることにより、透明有機高分子樹脂との接着力をさら
に向上し、繊維状無機化合物の浮き出しを防ぐことがで
きる。
【0013】
【実施態様例】本発明を以下の実施態様例により説明す
る。本発明の太陽電池モジュールの一例を図1(A)の
平面図および図1(B)の断面図に示す。図1(A)お
よび図1(B)において、101は光起電力素子、10
2は繊維状無機化合物を含浸した透明有機高分子化合
物、103は最表面に位置する透明な樹脂フィルム、1
04は裏面の充填材、105は裏面絶縁フィルムであ
る。外部からの光は、最表面のフィルム103から入射
し、光起電力素子101に到達し、生じた起電力は出力
端子(不図示)より外部に取り出される。106は、表
面被覆材に設けた凹凸を示す。本発明における代表的な
光起電力素子101は、導電性基体上に光変換部材とし
ての半導体光活性層と透明導電層が形成されたものであ
る。その一例としての概略構成図を図2に示す。図2に
おいて201は導電性基体、202は裏面反射層、20
3は半導体光活性層、204は透明導電層、205は集
電電極、206は出力端子である。
【0014】導電性基体201は光起電力素子の基体に
なると同時に、下部電極の役割も果たす。材料として
は、シリコン、タンタル、モリブデン、タングステン、
ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、カーボンシー
ト、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フィルム
やセラミックスなどがある。上記導電性基体201上に
は裏面反射層202として、金属層、あるいは金属酸化
物層、あるいは金属層と金属酸化物層を形成してもよ
い。金属層には、例えば、Ti,Cr,Mo,W,A
l,Ag,Niなどが用いられ、金属酸化物層には、例
えば、ZnO,TiO2,SnO2などが用いられる。上
記金属層および金属酸化物層の形成方法としては、抵抗
加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法など
がある。
【0015】半導体光活性層203は光電変換を行う部
分で、具体的な材料としては、pn接合型多結晶シリコ
ン、pin接合型アモルファスシリコン、あるいはCu
InSe2,CuInS2,GaAs,CdS/Cu
2S,CdS/CdTe,CdS/InP,CdTe/
Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げられ
る。これらの半導体光活性層は公知の方法で形成でき
る。すなわち、多結晶シリコンの場合は溶融シリコンの
シート化か非晶質シリコンの熱処理、アモルファスシリ
コンの場合はシランガスなどを原料とするプラズマCV
D、化合物半導体の場合はイオンプレーティング、イオ
ンビームデポジション、真空蒸着法、スパッタ法、電析
法などの方法で形成できる。
【0016】透明導電層204は太陽電池の上部電極の
役目を果たしている。用いる材料としては、例えば、I
23,SnO2,In23−SnO2(ITO),Zn
O,TiO2,Cd2SnO4,高濃度不純物ドープした
結晶性半導体層などがある。形成方法としては抵抗加熱
蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、不純物拡散
法などがある。
【0017】透明導電層の上には電流を効率よく集電す
るために、格子状の集電電極205(グリッド)を設け
てもよい。集電電極205の具体的な材料としては、例
えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Ni,C
u,Sn、あるいは銀ペーストをはじめとする導電性ペ
ーストなどが挙げられる。集電電極205の形成方法と
しては、マスクパターンを用いたスパッタリング、抵抗
加熱、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要
な部分をエッチングで取り除きパターニングする方法、
光CVDにより直接グリッド電極パターンを形成する方
法、グリッド電極パターンのネガパターンのマスクを形
成した後にメッキする方法、導電性ペーストを印刷する
方法などがある。導電性ペーストは、通常微粉末状の
銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダーポリ
マーに分散させたものが用いられる。バインダーポリマ
ーとしては、例えば、ポリエステル、エポキシ、アクリ
ル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウレタ
ン、フェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0018】起電力を取り出すための出力端子206は
導電性基体と集電電極に取り付ける。導電性基体へは銅
タブなどの金属体をスポット溶接や半田207で接合す
る方法がとられ、集電電極へは金属体を導電性ペースト
や半田207によって電気的に接続する方法がとられ
る。なお集電電極205に取り付ける際、出力端子が導
電性金属基板や半導体層と接触して短絡するのを防ぐた
めに絶縁体208を設けることが望ましい。上述したよ
うにして形成される光起電力素子は、所望する電圧ある
いは電流に応じて直列か並列に接続される。直列の場合
は前記出力端子のプラス側とマイナス側を、並列の場合
は同極性どうしを接続する。また、これとは別に絶縁化
した基板上に光起電力素子を集積化して所望の電圧ある
いは電流を得ることもできる。なお、出力端子や素子の
接続に用いる金属部材の材質としては、高導電性、半田
付け性、コストなどを考慮して、銅、銀、半田、ニッケ
ル、亜鉛、錫の中から選択することが望ましい。
【0019】本発明において用いられる最表面樹脂フィ
ルム103、及び表面充填材として用いられる、繊維状
無機化合物を含浸した透明有機高分子樹脂102につい
て以下に説明する。表面充填材102として用いられて
いる透明有機高分子樹脂は、光起電力素子の凹凸を樹脂
で被覆し、素子を温度変化、湿度、衝撃などの過酷な外
部環境から守りかつ表面フィルムと素子との接着を確保
するために必要である。したがって、耐候性、接着性、
充填性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性が要求される。これ
らの要求を満たす樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共
重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合
体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(EEA)、ブチラール樹脂などのポリオレフィン系樹
脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
なかでも、EVAは太陽電池用途としてバランスのとれ
た物性を有しており、好んで用いられる。ただ、そのま
までは熱変形温度が低いために容易に高温使用下で変形
やクリープを呈するので、架橋して耐熱性を高めておく
ことが望ましい。EVAの場合は有機過酸化物で架橋す
るのが一般的である。有機過酸化物による架橋は有機過
酸化物から発生する遊離ラジカルが樹脂中の水素やハロ
ゲン原子を引き抜いてC−C結合を形成することによっ
て行われる。有機過酸化物の活性化方法には、熱分解、
レドックス分解およびイオン分解が知られている。一般
には熱分解法が好んで行われている。前記有機過酸化物
としては、ヒドロペルオキシド系、ジアルキル(アリ
ル)ペルオキシド系、ジアシルペルオキシド系、ペルオ
キシケタール系、ペルオキシエステル系、ペルオキシカ
ルボネート系およびケトンペルオキシド系のものが挙げ
られる。
【0020】ヒドロペルオキシド系の具体例としては、
t−ブチルペルオキシド;1,1,3,3−テトラメチ
ルブチルペルオキシド;p−メンタンヒドロペルオキシ
ド;クメンヒドロペルオキシド;p−サイメンヒドロペ
ルオキシド;ジイソプロピルベンゼンペルオキシド;
2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジヒドロペルオキシ
ド;シクロヘキサンペルオキシド;3,3,5−トリメ
チルヘキサノンペルオキシドなどである。ジアルキル
(アリル)ペルオキシド系の具体例としては、ジ−t−
ブチルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;t−ブチ
ルクミルペルオキシドなどである。
【0021】ジアシルペルオキシド系の具体例として
は、ジアセチルペルオキシド;ジプロピオニルペルオキ
シド;ジイソブチリルペルオキシド;ジオクタノイルペ
ルオキシド;ジデカノイルペルオキシド;ジラウロイル
ペリオキシド;ビス(3,3,5−トリメチルヘキサノ
イル)ペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド;m−ト
ルイルペルオキシド;p−クロロベンゾイルペルオキシ
ド;2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド;ペルオ
キシこはく酸などである。
【0022】ペルオキシケタール系の具体例としては、
2,2−ジ−t−ブチルペルオキシブタン;1,1−ジ
−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン;1,1−ジ−
(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルペルオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;1,3−
ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;
2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルペルオキシヘ
キサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベ
ンゾイル)ヘキシン−3;n−ブチル−4,4−ビス
(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどである。
【0023】ペルオキシエステル系の具体例としては、
t−ブチルペルオキシアセテート;t−ブチルペルオキ
シイソブチレート;t−ブチルペルオキシピバレート;
t−ブチルペルオキシネオデカノエート;t−ブチルペ
ルオキシ3,3,5−トリメチルヘサノエート;t−ブ
チルペルオキシ2−エチルヘキサノエート;(1,1,
3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)2−エチルヘ
キサノエート;t−ブチルペルオキシラウレート;t−
ブチルペルオキシベンゾエート;ジ(t−ブチルペルオ
キシ)アジペート;2,5−ジメチル2,5−ジ(ペル
オキシ2−エチルヘキサノイル)ヘキサン;ジ(t−ブ
チルペルオキシ)イソフタレート;t−ブチルペルオキ
シマレート;アセチルシクロヘキシルスルフォニルペル
オキシドなどである。
【0024】ペルオキシカルボナート系の具体例として
は、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート;
ジ−n−プロピルペルオキシジカルボナート;ジ−se
c−ブチルペルオキシジカルボナート;ジ(イソプロピ
ルペルオキシ)ジカルボナート;ジ(2−エチルヘキシ
ルペルオキシ)ジカルボナート;ジ(2−エトキシエチ
ルペルオキシ)ジカルボナート;ジ(メトキシイドプロ
ピルペルオキシ)カルボナート;ジ(3−メトキシブチ
ルペルオキシ)ジカルボナート;ビス−(4−t−ブチ
ルシクロヘキシルペルオキシ)ジカルボナートなどであ
る。ケトンペルオキシド系の具体例としては、アセチル
アセトンペルオキシド;メチルエチルケトンペルオキシ
ド;メチルイソブチルケトンペルオキシド;ケトンペル
オキシドなどである。その他の構造ではビニルトリス
(t−ブチルペルオキシ)シランなども使用できる。
【0025】該有機過酸化物の添加量は充填材樹脂10
0重量部に対して0.5乃至5重量部である。該有機過
酸化物を充填材に併用し、加圧加熱しながら架橋および
熱圧着を行うことが可能である。加熱温度ならびに時間
は各々の有機過酸化物の熱分解温度特性で決定すること
ができる。一般には熱分解が90%より好ましくは95
%以上進行する温度と時間をもって加熱加圧を終了す
る。前記架橋反応を効率よく行うためには、架橋助剤と
呼ばれるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用
いることが望ましい。一般には充填材樹脂100重量部
に対して1乃至5重量部の添加量である。
【0026】本発明に用いられる充填材の材料は耐候性
において優れたものであるが、更なる耐候性の改良、あ
るいは、充填材下層の保護のために、紫外線吸収剤を併
用することもできる。紫外線吸収剤としては、公知のも
のを用いることができるが、太陽電池モジュールの使用
環境を考慮して低揮発性の紫外線吸収剤を用いることが
好ましい。紫外線吸収剤の他に光安定化剤も同時に添加
すれば、光に対してより安全な充填材となる。そうした
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系のも
のが挙げられる。
【0027】サリチル酸系の具体例としては、フェニル
サリシレート;p−tert−ブチルフェニルサリシレ
ート;p−オクチルフェニルサリシレートなどである。
ベンゾフェノン系の具体例としては、2,4−ジヒドロ
キシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾ
フェノン;2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾ
フェノン;2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン;2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメ
トキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシ
−5−スルホベンゾフェノン;ビス(2−メトキシ−4
−ヒドロキシ−5−ベンゾフェノン)メタンなどであ
る。
【0028】ベンゾトリアゾール系の具体例としては、
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキシ−5′−te
rt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ・tert−ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロ
キシ−3′−tert−ブチル−5−メチルフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロ
キシ−3′,5′−ジ・tert−ブチルフェニル)−
5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキ
シ−3′,5′−ジ・tert−アミルルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール;2−{2′−ヒドロキシ−3′−
(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミド
メチル)−5′−メチルフェニル}ベンゾトリアゾー
ル;2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テ
トラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)フェノール}などである。
【0029】シアノアクリレート系の具体例としては、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニ
ルアクリレート;エチル−2−シアノ−3,3′−ジフ
ェニルアクリレートなどである。これらの紫外線吸収剤
は1種またはそれ以上使用することができる。該紫外線
吸収剤以外に耐候性を付与する方法としてはヒンダード
アミン系光安定化剤を使用することができる。ヒンダー
ドアミン系光安定化剤は紫外線吸収剤のようには紫外線
を吸収しないが、紫外線吸収剤を併用することによって
著しい相乗効果を示す。その添加量は樹脂100重量部
に対して0.1〜0.3重量部程度が一般的である。も
ちろんヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機
能するものはあるが、着色している場合が多く本発明の
充填材には望ましくない。
【0030】前記ヒンダードアミン系光安定化剤の具体
例としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシ
エチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン重縮合物;ポリ[{6−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン}
{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イ
ミノ}];N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチ
レンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミ
ノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物;ビ
ス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
セバレート;2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロ
キシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)など
である。
【0031】さらに、耐熱性・熱加工性改善のために酸
化防止剤を添加することも可能である。その添加量は樹
脂100重量部に対して0.1〜1重量部が適正であ
る。該酸化防止剤としてはモノフェノール系、ビスフェ
ノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系のも
のが使用できる。モノフェノール系の具体例としては、
2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール;ブチ
ル化ヒドロキシアニゾール;2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−エチルフェノールなどである。
【0032】ビスフェノール系の具体例としては、2,
2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−
ブチルフェノール);2,2′−メチレン−ビス−(4
−エチル−6−tert−ブチルフェノール);4,
4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチル
フェノール);4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メ
チル−6−tert−ブチルフェノール);3,9−ビ
ス{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ}エチル}2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ}5,5ウンデカンなどである。
【0033】高分子フェノール系の具体例としては、
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−
5−tert−ブチルフェニル)ブタン;1,3,5−
トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テト
ラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert
−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネー
ト}メタン;ビス(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ
−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッ
ド}グルコールエステル;1,3,5−トリス(3′,
5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジ
ル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5
H)トリオン;トリフェノール(ビタミンE)などであ
る。
【0034】硫黄系の具体例としては、ジラウリルチオ
ジプロピオネート;ジミリスチルチオジプロピオネー
ト;ジステアリルチオプロピオネートなどである。燐酸
系の具体例としては、トリフェニルホスファイト;ジフ
ェニルイソデシルホスファイト;フェニルジイソデシル
ホスファィト;4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メ
チル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシ
ル)ホスファイト;サイクリックネオペンタンテトライ
ルビス(オクタデシルホスファイト);トリス(モノお
よびあるいはジフェニルホスファイト;ジイソデシルペ
ンタエリスリトールジフォスファイト;9,10−ジヒ
ドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10
−オキサイド;10−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9
−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキ
サイド;10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−
オキサ−10−ホスファフェナンスレン;サイクリック
ネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイト;サイクリックネオペン
タンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフ
ェニル)ホスファィト;2,2−メチレンビス(4,6
−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトな
どである。
【0035】さらに、より厳しい環境下で太陽電池モジ
ュールの使用が想定される場合には充填材と光起電力素
子あるいは表面フィルムとの密着力を向上することが好
ましい。シランカップリング剤や有機チタネート化合物
を充填材に添加することで前記密着力を改善することが
可能である。それらの添加量は、充填材樹脂100重量
部に対して0.1乃至3重量部が好ましく、0.25乃
至1重量部がより好ましい。さらに、含浸している繊維
状無機化合物と透明有機高分子化合物の密着力を向上さ
せるためにもシランカップリング剤や有機チタネート化
合物を透明有機高分子中に添加することは効果がある。
【0036】そうしたシランカップリング剤の具体例と
しては、ビニルトリクロルシラン;ビニルトリス(βメ
トキシエトキシ)シラン;ビニルトリエトキシシラン;
ビニルトリメトキシシラン;γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロ
ヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン;N−β(アミノエ
チル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;N−
フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−クロロ
プロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0037】光起電力素子に到達する光量の減少をなる
べく抑えるために、表面充填材は透明でなくてはなら
ず、具体的には光透過率が400nm以上800nm以
下の可視光波長領域において80%以上であることが望
ましく、90%以上であることがより望ましい。また、
大気からの光の入射を容易にするために、25℃におけ
る屈折率が1.1から2.0であることが好ましく、
1.1から1.6であることがより好ましい。
【0038】以下に、表面充填材中に含浸されている繊
維状無機化合物について以下に述べる。まず、透明有機
高分子樹脂中に繊維状無機化合物を含浸させる理由とし
ては、以下のようなことが挙げられる。太陽電池モジュ
ール、特に住宅の屋根、壁に設置される太陽電池モジュ
ールには難燃性が求められている。ところが、透明有機
高分子樹脂の量が多いと非常に燃えやすい表面被覆材と
なり、またその量が少ないと外部からの衝撃から内部の
光起電力素子を保護することができなくなる。そこで、
少ない樹脂で光起電力素子を外部環境から十分に保護す
るために、表面被覆材として繊維状無機化合物を含浸し
た透明高分子樹脂を使用する。そうした繊維状無機化合
物としては、具体的にはガラス繊維不織布、ガラス繊維
織布、ガラスフィラーなどが挙げられる。特に、ガラス
繊維不織布を用いることが好ましい。ガラス繊維織布
は、コストが高く、含浸もされにくい。ガラスフィラー
を用いることは、耐スクラッチ性があまり向上しないた
め、より少量の透明有機高分子樹脂で光起電力素子を被
覆することが難しい。また、長期使用に関して、十分な
密着力を確保するために透明有機高分子樹脂に使用した
ものと同様に、シランカップリング剤や有機チタネート
化合物で繊維状無機化合物を処理しておくことが望まし
い。
【0039】本発明で用いられる表面樹脂フィルム10
3については、太陽電池モジュールの最表層に位置する
ため耐候性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽
電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保す
るための性能が必要である。本発明に用いられる樹脂フ
ィルムとしてはフッ素樹脂、アクリル樹脂などがある。
なかでもフッ素樹脂は、耐候性、耐汚染性に優れている
ため好ましい。そうしたフッ素樹脂としては、ポリフッ
化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、四フッ化エ
チレン−エチレン共重合体などが挙げられる。耐候性の
観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐
候性および機械的強度の両立と透明性では四フッ化エチ
レン−エチレン共重合体が優れている。
【0040】前記充填材との接着性の改良のために、コ
ロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、UV照射、電子
線照射、火炎処理などの表面処理を表面フィルムに行う
ことが望ましい。具体的には、光起電力素子側の、ぬれ
指数が40dyne乃至45dyneであることが好ま
しい。ぬれ指数が40dyne以下であると、樹脂フィ
ルムと充填材との接着力が十分ではないため、充填材と
樹脂フィルムの剥離がおこる。また、樹脂フィルムとし
て、四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂フィルム
を用いる場合、ぬれ指数45dyne以上にすることは
難しい。さらに、樹脂フィルムは、延伸処理されたフィ
ルムはクラックを生じるため、延伸処理されていないフ
ィルムのほうが望ましい。具体的には、ASTM D−
882試験法における、引っ張り破断伸びが縦方向、横
方向ともに200%乃至800%であることが好まし
い。また、表面に樹脂フィルムを用いたような太陽電池
モジュールには、表面に凹凸106が形成されている。
この目的は、生産時のしわなどの外観の欠陥を吸収し、
外観上美観に優れた太陽電池モジュールとすること、屋
外使用中に被覆材の熱膨張・熱収縮の繰り返しにより発
生するしわを抑制・吸収することである。ただし、平滑
な表面を持つ、最表面を樹脂フィルム層で被覆した太陽
電池モジュールでさえ、ガラスで被覆した太陽電池モジ
ュールと比較すると、汚れが付着・堆積しやすく、光起
電力を低下させる。さらに、表面に凹凸を設けること
は、凹凸間の溝に汚れが堆積しやすくすることになり、
いっそう深刻な問題となる。
【0041】そこで、この凹凸の形状としては、任意に
選択された隣接する3つの凹凸のピッチをそれぞれ
n、Xn+1およびXn+2とした場合、20μm<|Xn
n+2|<500μmであり、かつXn+2/Xn<0.9
またはXn+2/Xn>1.1であることが好ましい。この
場合、ピッチとは隣接する凹部の頂点あるいは凸部の頂
点同士の距離を示すものとする。0.9<Xn+2/Xn
1.1であると、すなわち凹凸のピッチが規則正しく並
んでいることとなり、生産時に表面樹脂フィルムのしわ
が目立つ。また、光起電力素子の半導体膜膜厚の色むら
などがあった場合にも、それを吸収することは難しい。
したがって、この両者により生産の歩留は低下する。ま
た凹凸のピッチは50μm乃至500μmが望ましい。
表面に付着した汚れは凹凸により形成された溝に多く堆
積される。すなわち、50μm以下であると溝が数多く
存在することとなり汚れが堆積しやすくなる。また50
0μm以上であると、表面が平滑な太陽電池モジュール
と同様に、生産時のしわなどの外観上の欠陥を吸収でき
ないだけでなく、屋外での使用において被覆材の熱膨張
・熱収縮が繰り返されたとしても、表面に形成された凹
凸が膨張・収縮の際に発生する表面フィルムにかかる応
力を緩和してしわの発生を抑制することができるという
凹凸の効果を持たなくなる。
【0042】次に、凹凸の高さは、任意に選択された隣
接する3つの凹凸の高さをYn、Yn+1およびYn+2とし
た場合、10μm<|Yn−Yn+2|<200μmであ
り、かつYn/Yn+2<0.9またはYn/Yn+2>1.1
であるが望ましい。ここで、凹凸の高さとは、左側の凹
部の頂点とその隣接する右側の凸部の頂点の距離であ
る。0.9<Yn/Yn+2<1.1である場合、すなわち
規則正しく同じ大きさの凹凸が並んでいる場合、同じ反
射角度を持つので、一定方向から太陽電池モジュールを
観察した場合、表面の汚れの堆積が非常に目立ちやす
い。さらに、凹凸の高さは、10μm乃至300μmで
あることが好ましい。凹凸の高さが10μm以下である
と、平滑な表面に近くなり、しわとりや外観上の欠陥を
吸収する効果はなくなり、300μm以上であると、表
面樹脂フィルムが伸ばされすぎるために、凹部の底部に
亀裂を生ずることがある。
【0043】このような凹凸により形成される溝の長さ
は50μm以上であることが好ましく、より好ましくは
太陽電池モジュールの表面を端部から端部へ横切ること
である。溝の長さが50μm以下であると、堆積した汚
れが凹部分に堆積したまま、自然環境により取り除かれ
ることがない。太陽電池モジュールの表面を端部から端
部へ横切るような凹凸を設けた場合、その溝を伝って雨
などの水により堆積した汚れが流れ落ちることが可能と
なる。この汚れの流れ方には、溝の径にも非常に関係が
深い。すなわち、凹凸を形成している溝の径が、0.1
mm乃至3mmであることが望ましい。0.1mm以下
であると、堆積した汚れが流れ落ちにくく、3mm以上
であると、溝すなわち凹部の面積が広くなることにな
り、耐スクラッチ性が低下する。これは、凹部の表面充
填材の厚みは、凸部と比較して薄いため、外部からの衝
撃にも弱いからである。上述した所望の凹凸を、表面被
覆材に形成する方法としては、被覆形成工程中に設けら
れてもよいし、被覆形成後プレスなどの方法によって設
けられてもよい。また、凹凸のを付けるための材料とし
ては、チョップドストランドマット、コンティニアスス
トランドマットなどのガラス不織布、アルミニウムやス
テンレス板にあらかじめ模様を彫りつけておいたもの、
有機繊維の不織布などが挙げられる。
【0044】絶縁フィルム105は、光起電力素子10
1の導電性金属基板と外部との電気的絶縁を保つために
必要である。材料としては、導電性金属基板と十分な電
気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、
熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好まし
い。好適に用いられるフィルムとしては、ナイロン、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが挙げら
れる。裏面の充填材104は光起電力素子101と裏面
の絶縁フィルム105との接着を図るためのものであ
る。材料としては、導電性基板と十分な接着性を確保で
き、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられ
る、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適に用いら
れる材料としては、EVA、ポリビニルブチラールなど
のホットメルト材、両面テープ、柔軟性を有するエポキ
シ接着剤が挙げられる。また、表面の充填材102とし
て使用されている透明高分子樹脂と同じ材料であること
も多い。裏面の被覆フィルムの外側には、太陽電池モジ
ュールの機械的強度を増すために、あるいは、温度変化
による歪、ソリを防止するために、補強板を張り付けて
もよい。例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラ
ス繊維強化プラスチック)板が好ましい。
【0045】以上述べた光起電力素子、充填材、表面樹
脂フィルム、裏面被覆材を用いて太陽電池モジュールを
得るには、例えば次のような方法が採用できる。光起電
力素子受光面を被覆するには、シート状に成型した透明
高分子樹脂303を作製し、これを素子の表裏に加熱圧
着する方法が一般的である。太陽電池モジュールの作製
時の積層構成は、図3に示されるような構成である。す
なわち、光起電力素子301、繊維状無機化合物30
2、透明有機高分子樹脂303、表面樹脂フィルム30
4、裏面充填材305、絶縁フィルム306が図の順、
あるいは逆の順で積層し、加熱圧着されている。この際
に、最表面被覆材の外側に凹凸を付けるための治具30
7において、加熱圧着中に凹凸を形成してもよく、前記
工程終了後に行ってもよい。補強板を設ける場合は、接
着剤を介して絶縁フィルムに重ねて圧着すればよく、こ
れは前記工程と同時行っても、工程後に行っても構わな
い。なお、圧着時の加熱温度および加熱時間は架橋反応
が十分に進行する温度・時間をもって決定する。
【0046】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0047】
【実施例1】
【光起電力素子の作製】図2に示す構成のアモルファス
シリコン(a−Si)太陽電池(光起電力素子)を以下
のようにして作製した。洗浄したステンレス基板201
上に、スパッタ法で裏面反射層202としてAl層(膜
厚5000Å)とZnO層(膜厚5000Å)を順次形
成した。ついで、プラズマCVD法により、SiH4
PH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を、SiH4
とH2の混合ガスからi型a−Si層を、SiH4とBF
3とH2の混合ガスからp型微結晶μC−Si層を形成
し、n層膜厚150Å/i層膜厚4000Å/p層膜厚
100Å/n層膜厚100Å/i層膜厚800Å/p層
膜厚100Åの層構成のタンデム型a−Si光電変換半
導体層203を形成した。次に、透明導電層204とし
て、In23薄膜(膜厚700Å)を、O2雰囲気下で
Inを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。さ
らに、集電用のグリッド電極205を銀ペーストのスク
リーン印刷により形成した。ついで、マイナス側端子2
06aとして銅タブをステンレス基板に半田207を用
いて取り付け、プラス側端子206bとしては錫箔のテ
ープを半田207にて集電電極205に取り付けた。か
くして複数の光起電力素子を得た。
【0048】
【セルブロックの作製】上記で得た複数の光起電力素子
を直列に接続して図4に示す構成の太陽電池セルブロッ
クを作製した。すなわち、該光起電力素子を並べた後、
隣り合う素子の一方の素子のプラス側端子408と他方
の素子のマイナス側端子409とを銅タブ407で半田
を用いて接続した。これにより3個の素子を直列化した
太陽電池セルブロックを得た。この際、一番端の素子の
出力端子に接続した銅タブは裏面に回して後に述べる裏
面被覆層の穴から出力を取り出せるようにした。
【0049】
【モジュール化】上記で得たセルブロックの受光面側
に、EVAシート503(スプリングボーンラボラトリ
ーズ社製、商品名:PHOTOCAP A9918P*
/200rms/936、厚さ460μm)とガラス繊
維不織布(本州製紙社製、商品名:グラスパー GMC
−00−080(B)、目付量80g/m2、厚さ40
0μm、結着剤アクリル樹脂4.0wt.%含有)50
2および無延伸のETFEフィルム504(デュポン社
製、商品名:無延伸Tefzelフィルム、厚さ50ミ
クロン、片面コロナ放電処理品)、裏面被覆材としての
絶縁フィルム505(デュポン社製、商品名:ダーテッ
ク、厚さ75μm)、接着剤としての表面被覆材に使用
したものと同じEVAシート503、補強板としての黒
色に塗装したガルバリウム鋼板506(亜鉛メッキ鋼
板、厚さ0.27mm)を、ETFEフィルム504/
EVA503/ガラス繊維不織布502/セルブロック
501/EVA503/絶縁フィルム505/EVA5
03/補強板506をETFEフィルム504が上にな
るように順に重ね、さらに最表面被覆材の上に、はみ出
したEVAのための離型用テフロンフィルム507(デ
ュポン社製、商品名:テフロンPFAフィルム、厚さ5
0μm)を介して凹凸を付けるためのシート508(富
士ガラスファイバー社製、商品名:チョップドストラン
ドマットMC450D、坪量450g/m2)を配置し
た。この積層物を1重真空排気ラミネート装置を用いて
加圧脱気しながら、あらかじめ150℃雰囲気にしてお
いたオーブンの中に100分投入し、150℃で30分
加熱することにより太陽電池モジュールを得た。なお、
ここで用いたEVAシートは太陽電池の封止材として広
く用いられているものであり、EVA樹脂(酢酸ビニル
含有率33%)100重量部に対して架橋剤1.5重量
部、紫外線吸収剤0.3重量部、光安定化剤0.1重量
部、酸化防止剤0.2重量部、シランカップリング剤
1.0重量部を配合したものである。出力端子はあらか
じめ光起電力素子裏面にまわしておき、ラミネート後、
ガルバリウム鋼板に予め開けておいた端子取り出し口か
ら出力が取り出せるようにした。かくして太陽電池モジ
ュールを得た。
【0050】
【実施例2】実施例1において凹凸を形成するためのシ
ートを、コンティニアスストランドマット(旭硝子ファ
イバー社製、M8608、450g/m2)とした以外
は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製し
た。
【0051】
【実施例3】実施例1において、凹凸を形成するための
シートを、全ての凹凸が太陽電池モジュールの端部から
端部を横断するような模様をあらかじめプレート表面に
彫ったアルミプレート(モジュールの溝に当たる凸部が
幅250μm、高さ50μm)(図8参照)を用い、被
覆材を積層する順序を反対にした(最表面樹脂フィルム
が最も下側)以外は実施例1と同様にして、太陽電池モ
ジュールを作製した。なお、図8に示したアルミプレー
トは、凹凸を形成するためのシートであり、実施例1に
おけるシートとは異なり半永久的に使用できるという利
点がある。このような、アルミプレートによる太陽電池
モジュール表面に形成される凹凸は、実施例1における
シートを使用して形成したものと同様のものが形成でき
る。
【0052】
【実施例4】実施例1においてETFEフィルムをアク
リル樹脂フィルム(三菱レーヨン社製、商品名:アクリ
プレン、厚さ50μm)に変えた以外は実施例1と同様
にして太陽電池モジュールを作製した。
【0053】
【実施例5】実施例1において、ETFEフィルムの両
側にコロナ放電処理を行った(ぬれ指数40dyne)
以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製
した。
【0054】
【比較例1】実施例1において凹凸を形成するためのシ
ートを16×16メッシュのステンレスメッシュ(線径
0.25mm)に変えた以外は実施例1と同様にして太
陽電池モジュールを作製した。
【0055】
【比較例2】実施例1において凹凸を形成するためのシ
ートを、40×40メッシュのステンレスメッシュ(線
径0.15mm)に変えた以外は実施例1と同様にして
太陽電池モジュールを作製した。
【0056】
【比較例3】実施例1において凹凸を形成するためのシ
ートを、表面に網目状のエンボス加工が施された有機繊
維不織布(旭化成社製、商品名:エルタス、品番E05
030)を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池
モジュールを作製した。
【0057】
【比較例4】実施例1において凹凸を形成するためのシ
ートを用いず、表面を平滑にした以外は実施例1と同様
にして太陽電池モジュールを作製した。
【0058】
【比較例5】実施例3において表面樹脂フィルムを延伸
ETFEフィルム厚み38μmに変えた以外は実施例3
と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0059】
【評価】上記実施例1乃至5および上記比較例1乃至5
で得られた太陽電池モジュールのそれぞれについて下記
の項目の評価を行った。得られた評価結果を表1にまと
めて示す。
【0060】(1)初期外観 太陽電池モジュールの初期外観を、表面のしわ、破れ
(クラック)の存在の有無そして半導体膜の色むらの目
立ちを目視により観察した。評価結果は、以下の評価基
準で表1に示す。すなわち、○:外観上の欠陥が全くな
い場合、△:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつか
えない場合、×:しわ・破れ・色むらが著しく外観上の
欠陥が非常に大きい場合。
【0061】(2)屋外暴露試験 太陽電池モジュールを屋外(京都府相楽郡木津町木津川
台キャノン(株)エコロジー研究所内屋外暴露上)に設
置し、12か月後そして24か月後に評価を行った。測
定日は、屋外暴露中12か月目および24か月目に、以
下の二日間の測定日を設けた。すなわち、晴天(雨の
降らなかった日)が連続一週間以上続いた日のうちの一
日、そして前記の測定日後で、一日降雨した翌日。
評価は下述する外観、汚れおよび回復について行った。 外観:測定日に外観表面被覆材にしわ・表面フィル
ムの破れ(クラック)などの欠陥が発生していないかを
目視により観察した。外観上の目視による観察結果につ
いては、非常に良好:○、多少の欠陥はあるが実用上さ
しつかえない場合:△、著しい外観上の欠陥が見受けら
れた場合:×の基準で表1に示した。 汚れ:測定日に表面フィルムの汚れ方はどうかを目
視および全光線透過率の測定を行い、初期の全光線透過
率の低下を(500nm)を汚れ率とした。評価結果
は、全光線透過率の低下について、○:7%未満、△:
7%以上15%未満、×:15%以上の基準で表1に示
した。 回復:測定日に表面フィルムの汚れ方はどうかを全
光線透過率で測定し、(測定日)−(測定した測定
値)=回復率(500nm)とした。評価結果は、回復
率が、○:0.5%以上、△:0.2%以上0.5%未
満、×:0.2%以下の基準で表1に示した。
【0062】(3)耐スクラッチ性 図6に示すような方法で金属部材上のモジュール表面の
最も凹凸の激しいと思われる部分を加重2ポンド、5ポ
ンドで引っ掻き、引っ掻き後の表面被覆材が外部との絶
縁性を保つことができるかどうかを評価した。判定は、
モジュールを伝導度3000Ω・cmの電解質溶液に浸
して、素子と溶液との間に2200ボルトの電圧を印加
したときの漏れ電流が50μAを越えた場合を不合格と
した。評価結果は、5ポンド合格:○、2ポンド合格:
△、2ポンド不合格:×の基準で表1に示した。
【0063】(4)温湿度サイクル試験 太陽電池モジュールを、−40℃/0.5時間:85℃
/85%(相対湿度)/4時間の温湿度サイクル試験を
20回繰り返した後、太陽電池モジュールの外観を目視
で観察した。結果は、○:外観上の変化が全くない場
合、△:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえな
い場合、×:脱気不良、モジュールの湾曲、しわなど外
観上の欠陥が非常に大きい場合の基準で表1に示した。
【0064】表1から明らかなように実施例の太陽電池
モジュールは、いずれも実用上十分な初期外観、耐スク
ラッチ性が得られた。また、12か月および24か月の
屋外暴露後も表面被覆材にしわや表面フィルムへのクラ
ックなどの破れも生じることはなく、良好であった。ま
た、汚れの堆積のしかたにおいても、特にひどいものは
なく、外観上は全く目立たないものであった。全光線透
過率の低下も15%以上と著しく低下するものはなく、
さらに降雨後には表面に設けられた溝にそって汚れも除
去され、回復している。実使用に当たっても、太陽電池
モジュールの効率を低下することはない信頼性の高いモ
ジュールを作製できる。温湿度サイクル試験後の外観
も、全く問題なく良好なものであった。
【0065】一方、表面の凹凸を形成するためのシート
として16×18メッシュのアルミニウムメッシュを用
いた比較例1では、深く、規則正しい格子状の凹凸とな
るため初期外観で半導体膜の色むらが目立つ。また、屋
外暴露後、表面に付着した汚れが凹部に堆積しやすく、
降雨による回復も見られなかったため、外観上もかなり
の汚れが観察された。また、凹部が深いため耐スクラッ
チ性においても十分な結果は得られなかった。さらに、
温湿度サイクル試験後には、凹部の底で表面フィルムと
充填材が剥離する不良が発生した。また、表面の凹凸を
形成するためのシートとして40×40メッシュのアル
ミニウムメッシュを用いた比較例2では、比較例1と比
べると汚れの除去はされやすいものの、逆に屋外暴露中
の表面被覆材の膨張・収縮によるしわの発生を抑制する
ことが難しく若干の不良が見られた。また、初期外観に
おいても生産時のしわを吸収することが難しく若干の不
良が見られた。しかし、これらは実用上は差し支えない
程度のものである。
【0066】表面の凹凸を形成するためのシートとして
網目状のエンボス加工がされた有機不織布を用いた比較
例3では、凹凸の高さがメッシュにより形成されたもの
よりも低くなるため汚れの程度は若干軽減されるが、2
4か月後にはやはり汚れの堆積はひどくなった。また、
凹凸が浅いことによる弊害として、外観上も指紋などが
付着しやすく目立ちやすくなったこと、規則正しく凹凸
が形成されているため、半導体膜の色むらが目立ちやす
いといったことがあげられる。また、表面が平滑な太陽
電池モジュールとした比較例4では、生産時のしわが発
生しやすく歩留が低下した。また、屋外暴露および温湿
度サイクル試験において表面にしわが発生した。表面樹
脂フィルムとして、延伸されたETFEフィルムを使用
した比較例5では、凹部の底に亀裂が生じ、底の部分で
樹脂フィルムと充填材が剥離してきた。汚れに対して
も、表面フィルムに延伸ETFEを使用しているため、
無延伸のものよりも硬いフィルムとなり暴露中の傷がつ
きやすく汚れが堆積しやすい。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、光起電力素子の光入射
側表面が、透明有機高分子樹脂層とそれに接してその外
側の最表面に透明な表面保護フィルム層の少なくとも2
層以上の被覆材により被覆される太陽電池モジュールに
おいて、前記被覆材表面に凹凸を設け、そのうち任意に
選択された隣接する3つの凹凸のピッチ(凹部の頂点あ
るいは凸部の頂点同士の距離)をそれぞれXn、Xn+1
よびXn+2とした場合、20μm<|Xn−Xn+2|<5
00μmであり、かつXn+2/Xn<0.9またはXn+2
/Xn>1.1とすることにより、表面の直接反射光が
少なく、表面フィルムにしわが入りにくく、長期屋外使
用に際しても、汚れが付着しにくく、落ちやすい、信頼
性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの平面図・断面図
である。
【図2】図1の太陽電池モジュールで使用する、光起電
力素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明における太陽電池モジュール生産時の積
層図である。
【図4】本発明における直列化したモジュールの断面図
である。
【図5】本発明における太陽電池モジュールの概略断面
図である。
【図6】耐スクラッチ試験を表わす模式図である。
【図7】従来の太陽電池モジュールの一例を示す概略断
面図である。
【図8】本発明における凹凸を形成するためにあらかじ
め凹凸をつけたアルミプレート。
【符号の説明】
101,301,401,501,701 光起電力素
子 102 繊維状無機化合物を含浸した透明有機高分子樹
脂 103,304,504,703 表面樹脂フィルム 104 裏面充填材 105,505,704 絶縁フィルム 106 表面被覆材の凹凸 201 導電性基板 202 裏面反射層 203 半導体光活性層 204 透明導電層 205,405a 集電電極(プラス側) 405b 集電電極(マイナス側) 206a 出力端子(プラス側端子) 206b 出力端子(マイナス側端子) 207,408 半田 208,407 絶縁テープ 302,502 繊維状無機化合物 303,503,702 透明有機高分子樹脂 306 銅タブ 506 補強板 507 離型用フィルム 508 表面の凹凸を形成するためのシート 601 太陽電池モジュール表面 602 刃 801 アルミプレート 802 モジュールの溝にあたるアルミプレートの凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山田 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光起電力素子の光入射側表面が、透明有
    機高分子樹脂層とそれに接してその外側の最表面に透明
    な表面保護フィルム層の少なくとも2層以上の被覆材に
    より被覆された太陽電池モジュールにおいて、前記被覆
    材表面に複数の凹凸を有し、それらの凹凸が、任意に選
    択された隣接する3つの凹凸のピッチ(凹部の頂点ある
    いは凸部の頂点同士の距離)をそれぞれXn、Xn+1およ
    びXn+2とした場合、20μm<|Xn−Xn+2|<50
    0μmであり、かつXn+2/Xn<0.9またはXn+2
    n>1.1であることを特徴とする太陽電池モジュー
    ル。
  2. 【請求項2】 前記被覆材表面に設けられた凹凸のピッ
    チが、50μm乃至500μmであることを特徴とする
    請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 前記被覆材表面に設けられた凹凸のう
    ち、任意に選択された隣接する3つの凹凸の高さ(隣接
    する凹部凸部の高低差)をYn、Yn+1およびYn+2とし
    た場合、10μm<|Yn−Yn+2|<200μmであ
    り、かつYn/Yn+2<0.9またはYn/Yn+2>1.1
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽
    電池モジュール。
  4. 【請求項4】 前記被覆材表面に設けられた凹凸の高さ
    が、10μm乃至300μmであることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  5. 【請求項5】 前記凹凸が、凹凸により形成されている
    溝の長さが50mm以上の線の重なりにより形成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の太陽電池モジュール。
  6. 【請求項6】 前記凹凸により形成されている溝が、太
    陽電池モジュール表面の端部から端部まで横切っている
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の太
    陽電池モジュール。
  7. 【請求項7】 前記凹凸を形成している線径が0.1m
    m乃至3mmであることを特徴とする請求項1乃至6の
    いずれかに記載の太陽電池モジュール。
  8. 【請求項8】 前記透明な保護フィルム層がフッ化物重
    合体からなることを特徴とする請求項1乃至7記載の太
    陽電池モジュール。
  9. 【請求項9】 前記フッ化物重合体が四フッ化エチレン
    −エチレン共重合体であることを特徴とする請求項8に
    記載の太陽電池モジュール。
  10. 【請求項10】 前記四フッ化エチレン−エチレン共重
    合体からなるフィルム層の光起電力素子側の、ぬれ指数
    が40dyne乃至45dyneであることを特徴とす
    る請求項9に記載の太陽電池モジュール。
  11. 【請求項11】 前記透明な保護フィルム層のASTM
    D−882試験法における引っ張り破断伸びが縦方
    向、横方向ともに200%乃至800%であることを特
    徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の太陽電池
    モジュール。
  12. 【請求項12】 前記透明有機高分子樹脂層が、熱可塑
    性ポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項
    1乃至11のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  13. 【請求項13】 前記熱可塑性ポリオレフィン樹脂がエ
    チレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であることを特
    徴とする請求項12に記載の太陽電池モジュール。
  14. 【請求項14】 前記透明有機高分子樹脂層がカップリ
    ング剤処理されていることを特徴とする請求項1乃至1
    3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  15. 【請求項15】 前記透明有機高分子樹脂層が、繊維状
    無機化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至1
    4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  16. 【請求項16】 前記繊維状無機化合物がカップリング
    剤処理されていることを特徴とする請求項15に記載の
    太陽電池モジュール。
  17. 【請求項17】 前記繊維状無機化合物がガラス繊維不
    織布であることを特徴とする請求項15または16に記
    載の太陽電池モジュール。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007329240A (ja) * 2006-06-07 2007-12-20 Bridgestone Corp 太陽電池モジュール
WO2010033600A2 (en) * 2008-09-16 2010-03-25 United Solar Ovonic Llc Photovoltaic device having a protective layer and methods for manufacturing that device
JP2010141111A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Sharp Corp 太陽電池装置、その製造方法、並びに電子機器

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