JPH09190183A - 電子楽器の楽音制御装置 - Google Patents

電子楽器の楽音制御装置

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JPH09190183A
JPH09190183A JP7256286A JP25628695A JPH09190183A JP H09190183 A JPH09190183 A JP H09190183A JP 7256286 A JP7256286 A JP 7256286A JP 25628695 A JP25628695 A JP 25628695A JP H09190183 A JPH09190183 A JP H09190183A
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JP
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tone
tone color
musical
sound
dual mode
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JP7256286A
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English (en)
Inventor
Shinji Asakawa
信二 浅川
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Roland Corp
Original Assignee
Roland Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明はデュアル・モードを有する電子楽器の
楽音制御装置に関し、デュアル・モードにおける発音チ
ャンネルの使用数を削減して同時発音できる楽音数を増
やす、各音色の特徴を明確にして互いにマスキングしな
いようにする、などによりデュアル・モードにおける音
楽表現を豊かにすることを目的とする。 【解決手段】デュアル・モードを有する電子楽器の楽音
制御装置であって、デュアル・モードの設定時に、該デ
ュアル・モードで設定された複数の音色のうちの少なく
とも1音色については、該音色の楽音が複数の発音チャ
ンネルを使用して発音されるものであれば、その使用す
る発音チャンネル数を減らすように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はデュアル・モードを
有する電子楽器の楽音制御装置に関する。近年の電子楽
器は複数の発音チャンネル(楽音生成チャンネルとも称
する)を用いて複数の楽音を同時発音できるようになっ
ている。このような電子楽器では鍵のノートオンに応じ
て発音中でない発音チャンネルを選択しその発音チャン
ネルを使用してノートオンに対応する楽音の発音を行わ
せる。この場合、楽音を発音させるにあたり1つの鍵の
ノートオンに対応して1つあるいは複数の発音チャンネ
ルを使用するが、総発音チャンネル数は一定であるた
め、1つの鍵のノートオンに対応して使用する発音チャ
ンネルを多くした場合には発音できる鍵の数が減る、す
なわち同時発音できる楽音数が減る。したがって、かか
る電子楽器では同時発音できる楽音数を多くできること
が必要とされる。
【0002】
【従来の技術】電子楽器にはデュアル・モードを備えた
ものがある。このデュアル・モードは鍵盤モードの1つ
であり、鍵盤の1つの鍵のノートオンに対して複数の音
色、例えばピアノとストリングスを同時に発音するモー
ドである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このデュアル・モード
では、同時発音する各音色にそれぞれ発音チャンネルを
割り当てて各音色の楽音を生成するので、その生成に使
用する発音チャンネルの数が通常モードに比べて増大す
る。
【0004】特に発音する楽音が1楽音あたり複数の発
音チャンネルを使用するものであるときは尚更である。
このような場合としては、1楽音の生成を複数の構成音
(例えばエンベロープのアタック部分の音と持続部分の
音など)で行うような場合、あるいは楽音がステレオ・
サンプリング仕様の場合などが考えられる。
【0005】ステレオ・サンプリングは、広がり感を再
現できるようにステレオで音のサンプリングを行うもの
で、楽音を合成する際に左チャンネルの音と右チャンネ
ルの音とに発音チャンネルを2チャンネル使用する。従
ってモノラル・サンプリング仕様に比べてステレオ・サ
ンプリング仕様では左右別々の発音チャンネルを用いね
ばらないため、多くの発音チャンネルを必要とする。
【0006】また、通常、デュアル・モードを有する電
子楽器では、同モードで設定される複数の音色(普通に
は2音色)間の音量のバランスをとるために音量バラン
ス操作子を備えており、この音量バランス操作子によっ
て、例えば一方の音色を大音量、他方の音色を小音量に
バランス設定したり、あるいは両者の音量を拮抗させた
りしている。このようなデュアル・モードの場合、小音
量側の音色あるいは拮抗している音色の音量は、単音色
のみを発音する場合(すなわちデュアル・モードでない
時)に比べて小さくなるが、そのような音量の小さい楽
音はもともと聴き取りにくいものであるから、楽音を多
数の発音チャンネルを用いて高品質に生成することは無
駄であるといえる。しかし従来のデュアル・モードでは
このような場合にも各楽音に単音色時と同様の発音チャ
ンネルを割り当てており、発音チャンネルの使用の効率
が悪い。
【0007】このように従来のデュアル・モードで楽音
生成を行う場合には、同時発音できる音色の楽音数が見
かけ上少なくなるという問題点がある。
【0008】また、デュアル・モードにおいて上記音量
バランス操作子で音量バランスを設定した場合、従来の
手法ではノートオンされたキーについて音色の異なる楽
音を単に同時発音するだけであるので、音量バランスの
設定の仕方によっては片方の音色の特徴が他方の音色に
マスキングされてしまうこともある。例えば、デュアル
・モードでピアノとストリングスを選択した場合、ピア
ノの音がストリングスの音より小さいときにはストリン
グスの音にマスクされて特徴が出にくくなる。反対にス
トリングスの音がピアノの音より小さいときにはピアノ
の音が終わった時にその背景にストリングスの音が小さ
くても残っていることが好ましいが、ストリングスの音
が小音量であるとピアノの音にマスクされたままピアノ
の音と共に終了してしまい、ストリングスの特徴が出に
くくなる。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、デュアル・モードにおける発音チャンネルの
使用数を削減して同時発音できる楽音数を増やすことに
より、またデュアル・モードにおける各音色の特徴を明
確にして互いにマスキング等されないようにすることに
より、デュアル・モードにおける音楽表現を豊かにする
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明においては、デュアル・モードを有する電
子楽器の楽音制御装置であって、デュアル・モードの設
定時に、該デュアル・モードで設定された複数の音色の
うちの少なくとも1音色については、該音色の楽音が複
数の発音チャンネルを使用して発音されるものであれ
ば、その使用する発音チャンネル数を減らすように構成
した電子楽器の楽音制御装置が提供される。
【0011】かかる楽音制御装置によれば、デュアル・
モード時に使用する発音チャンネル数を削減できるの
で、デュアル・モードでも同時発音できる楽音数を従来
に比べて増加することができる。
【0012】またデュアル・モードを有する電子楽器の
楽音制御装置であって、デュアル・モードで設定された
複数の音色の間の音量バランスを設定する音量バランス
手段を備え、デュアル・モードの設定時に、該デュアル
・モードで設定された複数の音色のうちの少なくとも1
音色については、該音色の楽音が複数の発音チャンネル
を使用して発音されるものであれば、該音量バランス手
段で設定された音量バランスに従ってその使用する発音
チャンネル数を減らすように構成した電子楽器の楽音制
御装置が提供される。
【0013】この楽音制御装置においては、上記発音チ
ャンネル数を減らす音色は、他の音色に対して相対的に
小音量に上記音量バランス手段で音量バランスが設定さ
れたときに、その使用する発音チャンネル数を減らすよ
うに構成できる。このようにすると、音質を判定し難く
なる小音量の音色に対して多数の発音チャンネルを使用
することを防止し、一方、音質が明確に分かる大音量側
の音色には十分の数の発音チャンネルを割り当てて音質
のよい楽音を発音することができる。
【0014】また上記音量バランス手段で設定された音
量バランスが上記デュアル・モードで設定された複数の
音色間で互いに拮抗しているときには、該複数の音色の
うち発音に複数の発音チャンネルを使用する音色につい
ては、その使用する発音チャンネル数を減らすように構
成できる。これにより、デュアル・モード時に使用する
発音チャンネル数を削減できるので、デュアル・モード
でも同時発音できる楽音数を従来に比べて増加すること
ができる。
【0015】また上記複数の発音チャンネルを使用して
発音する音色がステレオ・サンプリング仕様の音色であ
る場合、該ステレオ・サンプリング仕様の音色をモノラ
ル・サンプリング仕様の音色にして発音するように構成
できる。このモノラル・サンプリング仕様の音色の発音
は上記ステレオ・サンプリング仕様の音色の左右チャン
ネルのうちの一方の波形データを1つの発音チャンネル
を用いて発音するように構成できる。これにより、デュ
アル・モード時に使用する発音チャンネル数を削減でき
るので、デュアル・モードでも同時発音できる楽音数を
従来に比べて増加することができる。
【0016】また上記モノラル・サンプリング仕様の音
色は、発音する楽音の音高を指定する情報に従って該楽
音の音像の定位位置が変化するように構成できる。これ
によりモノラル・サンプリングであっても発音する楽音
の音高に従って音像の定位位置が変化するので広がり感
を得ることができる。
【0017】また、前述の課題を解決するために、本発
明においては、デュアル・モードを有する電子楽器の楽
音制御装置であって、デュアル・モードで設定された複
数の音色の間の音量バランスを設定する音量バランス手
段を備え、デュアル・モードの設定時には、該音量バラ
ンス手段で設定された音量バランスに従って該複数の音
色の特性をそれぞれ変えるように構成した電子楽器の楽
音制御装置が提供される。
【0018】上記音量バランス手段で設定された音量バ
ランスが他の音色に対して相対的に小音量の音色につい
ては、該音色が減衰音系であれば、その音色のラウドネ
スの補正を行って発音するように構成できる。
【0019】また上記音量バランス手段で設定された音
量バランスが他の音色に対して相対的に小音量の音色に
ついては、該音色が持続音系であれば、その音色のエン
ベロープのリリース部分を長くする補正を行って発音す
るように構成できる。
【0020】また上記音量バランス手段で設定された音
量バランスが上記デュアル・モードで設定された複数の
音色間で互いに拮抗しているときには、該複数の音色の
うちの減衰音系の音色は打撃音を強調した音色に、また
持続音系の音色は打撃音を緩くした音色に補正して発音
するように構成できる。
【0021】このようにデュアル・モードで設定される
各音色の特性(エンベロープやフィルタ係数など)を音
量バランス手段で設定された音量バランスに従って変え
ることにより、音色の特性を一層明確にし、音量バラン
スの設定状態によって1の音色が他の音色にマスキング
される問題点を解消できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。図2は本発明の一実施例としての電
子楽器の楽音制御装置を示す図である。この実施例装置
はデュアル・モードを備え、またステレオ・サンプリン
グ仕様の音色を発音できる電子楽器に用いられる。
【0023】図2において、音色指定操作子1は生成す
る楽音の音色指定を行うための操作子であって、図3に
示されるように複数の音色ボタンからなる。各音色ボタ
ンはそれぞれ異なる音色に対応する。音色ボタンを一つ
だけ押すと一つの鍵のキーオンに対して単音色が指定さ
れる。二つ押すとデュアル・モードとなって一つの鍵の
キーオンに対して二つの音色が指定される。この音色指
定操作子11は操作を受けると、指定された音色を音色
データ供給部12に伝える。
【0024】音色データ供給部12は音色指定操作子1
1で音色が一つ指定されたら、音色データ記憶部15か
ら単音色用音色データを読み出し、また複数の音色が指
定されたらデュアル用音色データを読み出して発音制御
部13に供給する。音色データ記憶部15は各音色の音
色データ(音色パラメータとも称する)を記憶するもの
であり、音色データは各音色について単音色用の音色デ
ータとデュアル用の音色データがある。
【0025】図1にはこの音色データの詳細が示され
る。この例では、音色パラメータ名として単音色用音色
データの〔ピアノ〕と〔ストリングス〕と、デュアル・
モード時のデュアル用音色データの〔ピアノ’〕または
〔ストリングス’〕を例示している。他の音色について
も同様であるが、図1では省略されている。
【0026】単音色用音色データは、波形データとして
2チャンネル分の波形指定情報に左チャンネルと右チャ
ンネルの指定がされる(図示の例ではピアノ1(L)と
ピアノ1(R)、およびストリングス(L)とストリン
グス(R))。それぞれのチャンネルのPAN(音像定
位)は左チャンネルと右チャンネルに固定される。使用
する発音チャンネル数はピアノとストリングス共に左右
チャンネル用の波形データの楽音生成に必要な2チャン
ネルとなる。
【0027】デュアル用音色データは左右2チャンネル
分の波形指定情報として左右チャンネルのうちの左チャ
ンネル(図示の例ではピアノ1(L)とストリングス
(L))のみの指定がされる。この左チャンネルのPA
N(音像定位)は鍵盤のキーオンの鍵位置に応じて音像
の定位位置が変わるキー・フォローが指定されている。
このキー・フォローにおいては、例えば鍵が指定する音
高が低い場合には左寄りの音像定位、鍵が指定する音高
が高い場合には右寄りの音像定位などとする。使用する
発音チャンネル数はピアノとストリングス共に左チャン
ネル用の波形データの楽音生成に必要な1チャンネルと
なる。このように音像定位にキー・フォローをかけるこ
とによりステレオ・サンプリング仕様で再生を行わない
場合でも広がり感を得ることができる。
【0028】発音制御部13は、1つの鍵のノートオン
情報が入力されると、その一つの鍵のノートオンに対し
て音色データ供給部12から音色データの供給を受けた
音色分の楽音を発生するように発音部14を制御する。
発音部14は複数の発音チャンネルを有しており、発音
制御部13から指定された発音チャンネル数で、指定さ
れた音色の楽音の波形データを波形データ記憶部16か
ら読み出し指定された音色の楽音の生成を行い、指定さ
れた音像定位となるよう左チャンネル、右チャンネルの
音量バランスを制御して出力する。波形データ記憶部1
6はステレオ・サンプリングを行った波形データ、すな
わち左右のチャンネルの波形データを各音色について記
憶している。
【0029】この実施例装置の動作を以下に説明する。
まず音色指定操作子11によって単音色かデュアル・モ
ードかを指定する。デュアル・モードはこの音色指定操
作子11によって単に二つの音色が指定されたという状
態に反応して設定され、このデュアル・モードではそれ
ぞれの音色の楽音生成に使用する発音チャンネル数を少
なくする。
【0030】図4は音色ボタンと一つのノートオンに対
して作成される楽音との関係を示している。すなわち、
ピアノ用の音色ボタンPFだけを押すと単音色指定とな
って〔ピアノ〕の楽音が作成され、ストリングス用の音
色ボタンSTRだけを押すと単音色指定となって〔スト
リングス〕の楽音が作成され、ピアノ用の音色ボタンP
Fと他の音色の音色ボタン???を押すとデュアル・モ
ード指定となって〔ピアノ〕と他の音色〔???〕の楽
音が作成され、ストリングス用の音色ボタンSTRと他
の音色の音色ボタン???を押すとデュアル・モード指
定となって〔ストリングス〕と他の音色〔???〕の楽
音が作成される。
【0031】図5には音色データ供給部12における音
色パラメータの選択処理手順が示される。音色指定操作
子11中のいずれかの音色ボタンが押されると(ステッ
プS1)、他の音色ボタンが既に押されているかを判定
する(ステップS2)。他の音色ボタンが既に押されて
いればデュアル・モードであるので、その押された音色
ボタンについてそれぞれ音色データ記憶部15からデュ
アル用の音色パラメータを読み出し、音色1、音色2の
音色パラメータとしてそれぞれ発音制御部13に指定す
る(ステップS3)。このデュアル用のパラメータは図
1に示す如く発音チャンネル数が単音色時よりも少ない
ものとなる。一方、他の音色ボタンが押されていなけれ
ば(ステップS2)、押された音色ボタンに対応する音
色の単音色指定となり、その音色について音色データ記
憶部15から単音色用の音色パラメータを読み出して音
色1の音色パラメータとして発音制御部13に指定し、
音色2については指定しない(ステップS4)。
【0032】図6には発音制御部13における発音処理
手順が示される。鍵盤のノートオンを検知すると、ノー
トオンされた鍵について、音色1のパラメータの指定に
従い、発音部14に対して単数(デュアル・モード時)
あるいは複数(単音色時)の発音中でない発音チャンネ
ルを選択してこの発音チャンネルを制御して楽音を発生
させる(ステップS12)。ついで音色2のパラメータ
が指定されているかを判定し(ステップS13)、指定
されていれば、音色2のパラメータの指定に従い、発音
部14に対して単数あるいは複数の発音中でない発音チ
ャンネルを選択してこの発音チャンネルを制御して楽音
を発生させる(ステップS14)。ステップS13の判
断で単音色指定の場合にはこの音色2のパラメータは指
定されていないので、処理を終了する。
【0033】なお、図示しないが、鍵盤のノートオフを
検知した場合には発音制御部13はノートオフされた鍵
に対応して発音中の発音チャンネルを制御して発音を停
止させる。
【0034】このように単音色時には複数の発音チャン
ネルを使用してステレオ・サンプリング仕様の楽音が発
音され、デュアル・モード時には1音色あたり1つの発
音チャンネルを使用してモノラル・サンプリング仕様の
楽音が発音される。デュアル・モード時には1音色あた
りに使用する発音チャンネル数が従来と比べて減るの
で、全体として同時発音できる楽音数を増やすことがで
きる。
【0035】上述の実施例は所謂V−SWモード、ある
いはV−MIXモードで波形データを切り替える方式に
も適用できる。
【0036】V−SWモードは鍵を押す強さ(ベロシテ
ィ)に応じて波形データを切り替えて出力する方式であ
り、その概要が図8に示される。図8中、横軸はベロシ
ティ、縦軸は音量の出力レベルである。ベロシティの中
間位置に切替え位置が設定されており、ベロシティが切
替え位置より下側では波形データ1を用いて特性Iに従
って楽音が生成されて出力され、切替え位置より上側で
は波形データ2に切り替えられて波形データ2を用いて
特性IIに従って楽音が生成されて出力される。
【0037】V−MIXモードは鍵を押す強さ(ベロシ
ティ)に応じて波形データを混合して出力する方式であ
り、その概要が図9に示される。図9中、横軸はベロシ
ティ、縦軸は音量の出力レベルである。ベロシティの全
域にわたり波形データ1を用いて特性Iに従って楽音が
生成されるとともに、ベロシティの中間から上側では波
形データ2を用いて特性IIに従って生成された楽音が、
上述の波形データ1による特性Iの楽音に重ね合わされ
て出力される。この波形データ2の楽音は例えばモノラ
ルの打撃音などである。
【0038】図7には音色ピアノとストリングスについ
てこのV−SWモードとV−MIXモードを用いた場合
の、単音色時とデュアル・モード時の発音チャンネル数
が示される。図中、〔ピアノ〕と〔ストリングス〕は単
音色、〔ピアノ’〕と〔ストリングス’〕はデュアル・
モード時の音色である。
【0039】単音色時の〔ピアノ〕は、鍵盤のノートナ
ンバーが小さいすなわち音高が低い方の領域ではV−S
Wモードでステレオ・サンプリングが使用されるため使
用発音チャンネル数は「2」、ノートナンバーが大きい
すなわち音高が高い方の領域(ダンパーがきかなくなる
鍵領域)ではV−MIXモードでステレオ・サンプリン
グが使用されてV−MIXモードではステレオ・サンプ
リングの特性Iの2発音チャンネルに更に特性II(打撃
音)の発音チャンネルが1つ追加されるから使用発音チ
ャンネル数は「3」である。一方、デュアル・モード時
の〔ピアノ’〕は鍵盤のノートナンバーが小さいすなわ
ち音高が低い方の領域ではV−SWモードで片チャンネ
ル(モノラル)の波形データが使用されるため発音チャ
ンネル数は「1」、ノートナンバーが大きいすなわち音
高が高い方の領域ではV−MIXモードで片チャンネル
の波形データが使用されてV−MIXモードでは片チャ
ンネル用の1発音チャンネルに更に特性II(打撃音)の
発音チャンネルが1つ追加されるから使用発音チャンネ
ル数は「2」である。
【0040】同様に、単音色時の〔ストリングス〕は、
鍵盤のノートナンバーの全域にわたりV−SWモードで
ステレオ・サンプリングが使用されるため使用発音チャ
ンネル数は「2」、一方、デュアル・モード時の〔スト
リングス’〕も鍵盤の全域にわたりV−SWモードで片
チャンネル(モノラル)の波形データが使用されるため
発音チャンネル数は「1」である。
【0041】図10には本発明の他の実施例が示され
る。この実施例はデュアル・モードで二つの音色が指定
されたときにそれらの音色間の音量バランスを設定する
音量バランス操作子17を備えており、この音量バラン
ス操作子17で設定された音量バランスに基づいて使用
する発音チャンネル数や音色の特性を変化させるように
なっている。
【0042】音量バランス操作子17は図11に示され
るように、スライド式の操作子からなり、二つの音色
1、2が指定された時にその音量のバランスを出力す
る。すなわち、ツマミ17aを左側に寄せれば音色1の
音量が大、音色2の音量が小になり、反対に右側に寄せ
れば音色1の音量が小、音色2の音量が大になる。この
実施例では、音色ボタンを1個だけ押したときは音量バ
ランス操作子17は機能しないか若しくは他のバランス
調整の用途(例えば手弾きの音量と自動演奏の音量の調
整)に用いる。音色ボタンを二つ押したときは音量バラ
ンス操作子17の設定に従って二つの音色が発音され
る。
【0043】なお、2つの音色ボタンのうち図11にお
いて左側に配置されている音色ボタンに対応する音色が
音色1、右側に配置されている音色ボタンに対応する音
色が音色2とされる。
【0044】また、この音量バランス操作子17のツマ
ミ17aの設定位置によって、図14に示されるように
領域が分けられる。すなわち、仮に音色1をピアノ、音
色2をストリングスとした場合、ピアノとストリングス
の音量が拮抗している領域をC、ピアノの方が相対的に
音量が小の領域をB、ストリングスの方が相対的に音量
が小の領域をAとする。
【0045】音色データ記憶部15はこの音量バランス
操作子17の設定位置に応じて音色パラメータを記憶す
る。図12にはこの音色パラメータの詳細が例示され
る。音色パラメータ名〔ピアノ〕と〔ストリングス〕は
単音色の音色データであり、前述の図1と同じ内容であ
る。〔ピアノChar〕と〔ストリングスChar〕はデュアル
・モードにおける領域C(拮抗時)の音色データ、〔ピ
アノLaud〕はデュアル・モードにおける領域Bの音色デ
ータ、〔ストリングスLaud〕はデュアル・モードモード
における領域Aの音色データである。デュアル・モード
時における波形データ、PAN、発音チャンネル数は前
述の図1のものと同じであるが、本実施例の音色パラメ
ータはさらにフィルタ係数とエンベロープ情報および音
量バランス情報を有しており、〔ピアノChar〕では単音
色時に比べてエンベロープのアタックを強めるよう指示
する情報が加えられ、〔ピアノLaud〕では単音色時に比
べて楽音の周波数特性の低域と高域の成分を増加するよ
うフィルタ係数を変える指示情報が加えられ、〔ストリ
ングスChar〕では単音色時に比べてエンベロープのアタ
ックを緩めるよう指示する情報が加えられ、〔ストリン
グスLaud〕では単音色時に比べてエンベロープのリリー
スを長くするよう指示する情報が加えられている。
【0046】なお、以上では各音量バランスにおけるフ
ィルタ係数およびエンベロープ情報の補正についてピア
ノおよびストリングスの音色に関してのみ説明したが、
これ以外の音色に関しても同様に補正を行う。この時、
ピアノの音色と同様にエンベロープが鍵のノートオン直
後に比較的鋭く立ち上がりその後の時間経過に伴って徐
々に減衰するハープシコード、ビブラホン、ギター等の
いわゆる減衰音系の音色に関しては上記したピアノ音色
と同様の補正を行い、ストリングスの音色と同様にエン
ベロープが鍵のノートオン直後に比較的緩やかに立ち上
がりその後の時間経過にかかわらずあまり変化しない木
管楽器、金管楽器等のいわゆる持続音系の音色に関して
は上記したストリングス音色と同様の補正を行うとよ
い。
【0047】すなわち、この音色データ記憶部15の音
色パラメータは、デュアル・モードにおいて小音量の音
色データは音色の特徴に応じてエンベロープとフィルタ
係数を小音量用に補正され、音量が拮抗している音色デ
ータは音色の特徴を強調すべくエンベロープとフィルタ
係数が中音量用に補正されている。
【0048】音色データ供給部12はデュアル・モード
が指定されたら、音量バランス操作子17によって設定
された音量が小音量である音色については小音量用の音
色データ〔???Laud〕を、音量が拮抗している音色に
ついては中音量用の音色データ〔???Char〕を、また
音量が大音量である音色については単音色用の音色デー
タ〔???〕をそれぞれ音色データ記憶部15から読み
出して発音制御部13に供給する。
【0049】この実施例装置の動作を以下に説明する。
まず前述同様に音色指定操作子11によって単音色がデ
ュアル・モードかを指定する。図13は音色ボタンと音
量バランス操作子17の設定状態と一つのノートオンに
対して作成される楽音との関係を示している。すなわ
ち、ピアノ用の音色ボタンPFだけを押すと単音色指定
となって〔ピアノ〕の楽音が作成され、ストリングス用
の音色ボタンSTRだけを押すと単音色指定となって
〔ストリングス〕の楽音が作成される。ピアノ用の音色
ボタンPFと他の音色の音色ボタン???を押してデュ
アル・モード指定となったときに、音量バランス操作子
17の設定がピアノ側が音量大であると〔ピアノ〕と他
の音色〔???Laud〕の楽音が作成され、ピアノと他の
音色の音量が拮抗していると〔ピアノChar〕と他の音色
〔???Char〕の楽音が作成され、他の音色側が音量大
であると〔ピアノLaud〕と他の音色〔???〕の楽音が
作成される。同様に、ストリングス用の音色ボタンST
Rと他の音色の音色ボタン???を押してデュアル・モ
ード指定となったときに、音量バランス操作子17の設
定がストリングス側が音量大であると〔ストリングス〕
と他の音色〔???Laud〕の楽音が作成され、ストリン
グスと他の音色の音量が拮抗していると〔ストリングス
Char〕と他の音色〔???Char〕の楽音が作成され、他
の音色側が音量大であると〔ストリングスLaud〕と他の
音色〔???〕の楽音が作成される。
【0050】図15には音色データ供給部12における
音色パラメータの選択処理手順が示される。音色指定操
作子11中のいずれかの音色ボタンが押されると(ステ
ップS21)、他の音色ボタンが既に押されているかを
判定する(ステップS22)。他の音色ボタンが既に押
されていればデュアル・モードであるので、さらに音量
バランス操作子17の状態をみて音量バランスが拮抗し
ているかを判定する(ステップS23)。
【0051】拮抗していれば、音色データ記憶部15か
ら押された音色ボタンについてそれぞれ拮抗用の音色
〔???Char〕の音色パラメータを読み出し、左側の音
色ボタンの音色パラメータを音色1の、右側の音色ボタ
ンの音色パラメータを音色2の音色パラメータとしてそ
れぞれ発音制御部13に指定する(ステップS3)。こ
の拮抗時のパラメータでは、減衰音は打撃音を強調した
音色、逆に持続音は打撃音を緩くした音色になるように
して、各音色の個性の補正を行う。例えば図12では減
衰音系の〔ピアノChar〕ではエンベロープのアタックを
強め、持続音系の〔ストリングスChar〕ではアタックを
緩めている。これにより各音色の特徴を互いに消し合わ
ないようにしている。またこの拮抗時における使用発音
チャンネルの数は図12の例では各音色とも「1」とな
り、発音チャンネルの削減を図っている。
【0052】音量バランスが拮抗していない場合(ステ
ップS23)、さらに音量バランスが何れの音色側に傾
いているかを判定する(ステップS25)。音色1側に
傾いて音色1が大音量、音色2が小音量となっている場
合、音色データ記憶部15から左側の音色ボタンの単音
色用の音色パラメータおよび右側の音色ボタンの小音量
用の音色パラメータを読み出し、それぞれ音色1、音色
2の音色パラメータとして発音制御部13に指定する
(ステップS27)。反対に音色2側に傾いて音色1が
小音量、音色2が大音量となっている場合、音色データ
記憶部15から左側の音色ボタンの小音量用の音色パラ
メータおよび右側の音色ボタンの単音色用の音色パラメ
ータを読み出し、それぞれ音色1、音色2の音色パラメ
ータとして発音制御部13に指定する(ステップS2
6)。
【0053】上記のようにすることで、例えば図12の
例では、ピアノとストリングスの音量バランスがある程
度以上ピアノ寄りに設定されたときは、その度合いに応
じて小音量側のストリングスのリリースを長くした音色
が指定され、よってピアノによりストリングスがマスキ
ングされることを防止できる。また大音量のピアノにつ
いては単音色指定と同じになるから発音チャンネル数は
削減されないので高品質の楽音を発生できる。この時に
使用する発音チャンネルの合計数は、ピアノが単音色用
の2チャンネル、ストリングスがモノラル用の1チャン
ネルの合計3チャンネルとなり、デュアル・モードで用
いる合計としての発音チャンネル数は従来より削減でき
る。
【0054】同様に、例えばピアノとストリングスの音
量バランスがある程度以上ストリングス寄りに設定され
たときは、その度合いに応じて小音量側のピアノのラウ
ドネスの補正(低高域成分を上げる)を行ってピアノの
音を強調するように音色が指定され、よってストリング
スによりピアノがマスキングされることを防止できる。
また大音量のストリングスについては単音色指定と同じ
になるから発音チャンネル数は削減されないので高品質
の楽音を発生できる。この時に使用する発音チャンネル
の合計数は、ストリングスが単音色用の2チャンネル、
ピアノがモノラル用の1チャンネルの合計3チャンネル
となり、デュアル・モードで用いる合計としての発音チ
ャンネル数は従来より削減できる。
【0055】図16には発音制御部13における発音処
理手順が示される。この手順は図6に示したものと基本
的な動作は同じであり、相違点として、音色2のパラメ
ータが指定されていると判断されたときには(ステップ
S13)、音量バランス操作子17に設定状態に従って
音色1と音色2の音量バランスを設定する処理が追加さ
れている(ステップS15)。
【0056】なお、鍵盤のノートオフを検知した場合に
は、発音制御部13はノートオフされた鍵に対応して発
音中の発音チャンネルを制御して発音を停止させる。ま
た、音量バランス操作子17が操作された場合には、新
たに設定された音量バランスに応じて音色1および音色
2の音量バランスを制御するとともに、これらの音色の
新たに設定された音量バランスに対応する音色パラメー
タを発音制御部13に指定する。
【0057】以上に説明した実施例では、ステレオ・サ
ンプリング仕様の音色を用いたために発音チャンネル数
が増大する場合について本発明を説明したが、本発明は
これに限られるものではなく、例えば一つの音色の楽音
を2以上の構成音に分けてそれぞれに発音チャンネルを
割り当て発音する場合などにも本発明を適用でき、この
場合には音質に与える影響のより小さい構成音の発音チ
ャンネルの使用をデュアル・モードでは削減するように
する。
【0058】また後者の実施例における音量バランスが
大音量の音色の場合について示したように、ステレオ・
サンプリング仕様の場合でもデュアル・モードで設定さ
れた両音色の発音チャンネル数を削減する必要はなく、
デュアル・モードにおいて片方の音色についてのみ発音
チャンネル数を削減するものであってもよい。
【0059】また上述の実施例では、音色データとして
ステレオ・サンプリング仕様のものとモノラル・サンプ
リング仕様のものを予めテーブルの形式で保持しておく
ようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、
所定の規則に従ってステレオ・サンプリング仕様を実時
間処理でモノラル・サンプリング仕様に変換するもので
あってもよい。
【0060】また、上記実施例では、波形データとして
ステレオ・サンプリング仕様のもののみを記憶し、モノ
ラル・サンプリング仕様時にはステレオ・サンプリング
仕様の2チャンネルの波形データのうち左チャンネルの
ものを仕様するようにしたが、ステレオ・サンプリング
仕様の波形データに加えてモノラル・サンプリング仕様
の波形データを記憶し、モノラル・サンプリング仕様時
にはモノラル・サンプリング仕様の波形データを使用す
るようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、デュアル・モードにおける発音チャンネルの使用数
を削減して同時発音できる楽音数を増やすことができ、
音楽表現が一層豊かになる。また、デュアル・モードに
おいても各音色の特徴を一明確に出すことができ、各音
色が互いにマスキング等することを防止できるから、音
楽表現が豊かになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にけおる音色パラメータの内容
を示す図である。
【図2】本発明の一実施例としての電子楽器の楽音制御
装置を示すブロック図である。
【図3】実施例における音色ボタンの外観を示す図であ
る。
【図4】実施例における音色ボタンと一つのノートオン
について作成される楽音の関係を示す図である。
【図5】実施例における音色パラメータの選択処理手順
を示すフローチャートである。
【図6】実施例における発音処理手順を示すフローチャ
ートである。
【図7】V−SWモードとV−MIXモードの発音チャ
ンネル数を説明する図である。
【図8】V−SWモードの概要を説明する図である。
【図9】V−MIXモードの概要を説明する図である。
【図10】本発明の他の実施例としての電子楽器の楽音
制御装置を示すブロック図である。
【図11】他の実施例における音色ボタンと音量バラン
ス操作子の外観を示す図である。
【図12】他の実施例における音色パラメータの内容を
示す図である。
【図13】他の実施例における音色ボタンと音量バラン
スと一つのノートオンについて作成される楽音の関係を
示す図である。
【図14】他の実施例における音量バランス操作子の設
定領域を説明する図である。
【図15】他の実施例における音色パラメータの選択処
理手順を示すフローチャートである。
【図16】他の実施例における発音処理手順を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
11 音色指定操作子 12 音色データ供給部 13 発音制御部 14 発音部 15 音色データ記憶部 16 波形データ記憶部 17 音量バランス操作子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年12月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はデュアル・モードを
有する電子楽器の楽音制御装置に関する。近年の電子楽
器は複数の発音チャンネル(楽音生成チャンネルとも称
する)を用いて複数の楽音を同時発音できるようになっ
ている。このような電子楽器では鍵のノートオンに応じ
て発音中でない発音チャンネルを選択しその発音チャン
ネルを使用してノートオンに対応する楽音の発音を行わ
せる。この場合、楽音を発音させるにあたり1つの鍵の
ノートオンに対応して1つあるいは複数の発音チャンネ
ルを使用するが、総発音チャンネル数は一定であるた
め、1つの鍵のノートオンに対応して使用する発音チャ
ンネルを多くした場合には発音できる鍵の数が減る、す
なわち同時発音できる楽音数が減る。したがって、かか
る電子楽器では同時発音できる楽音数を多くできること
が必要とされる。
【0002】
【従来の技術】電子楽器にはデュアル・モードを備えた
ものがある。このデュアル・モードは鍵盤モードの1つ
であり、鍵盤の1つの鍵のノートオンに対して複数の音
色、例えばピアノとストリングスを同時に発音するモー
ドである。
【0003】このデュアル・モードでは、同時発音する
各音色にそれぞれ発音チャンネルを割り当てて各音色の
楽音を生成するので、その生成に使用する発音チャンネ
ルの数が通常モードに比べて増大する。
【0004】特に発音する楽音が1楽音あたり複数の発
音チャンネルを使用するものであるときは尚更である。
このような場合としては、1楽音の生成を複数の構成音
(例えばエンベロープのアタック部分の音と持続部分の
音など)で行うような場合、あるいは楽音がステレオ・
サンプリング仕様の場合などが考えられる。
【0005】ステレオ・サンプリングは、広がり感を再
現できるようにステレオで音のサンプリングを行うもの
で、楽音を合成する際に左チャンネルの音と右チャンネ
ルの音とに発音チャンネルを2チャンネル使用する。従
ってモノラル・サンプリング仕様に比べてステレオ・サ
ンプリング仕様では左右別々の発音チャンネルを用いね
ばらないため、多くの発音チャンネルを必要とする。
【0006】また、通常、デュアル・モードを有する電
子楽器では、同モードで設定される複数の音色(普通に
は2音色)間の音量のバランスをとるために音量バラン
ス操作子を備えており、この音量バランス操作子によっ
て、例えば一方の音色を大音量、他方の音色を小音量に
バランス設定したり、あるいは両者の音量を拮抗させた
りしている。このようなデュアル・モードの場合、小音
量側の音色あるいは拮抗している音色の音量は、単音色
のみを発音する場合(すなわちデュアル・モードでない
時)に比べて小さくなるが、そのような音量の小さい楽
音はもともと聴き取りにくいものであるから、楽音を多
数の発音チャンネルを用いて高品質に生成することは無
駄であるといえる。しかし従来のデュアル・モードでは
このような場合にも各楽音に単音色時と同様の発音チャ
ンネルを割り当てており、発音チャンネルの使用の効率
が悪い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】デュアル・モードにお
いて上記音量バランス操作子で音量バランスを設定した
場合、従来の手法ではノートオンされたキーについて音
色の異なる楽音を単に同時発音するだけであるので、音
量バランスの設定の仕方によっては片方の音色の特徴が
他方の音色にマスキングされてしまうこともある。例え
ば、デュアル・モードでピアノとストリングスを選択し
た場合、ピアノの音がストリングスの音より小さいとき
にはストリングスの音にマスクされて特徴が出にくくな
る。反対にストリングスの音がピアノの音より小さいと
きにはピアノの音が終わった時にその背景にストリング
スの音が小さくても残っていることが好ましいが、スト
リングスの音が小音量であるとピアノの音にマスクされ
たままピアノの音と共に終了してしまい、ストリングス
の特徴が出にくくなる。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、デュアル・モードにおける各音色の特徴を明
確にして互いにマスキング等されないようにすることに
より、デュアル・モードにおける音楽表現を豊かにする
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明においては、デュアル・モードを有する電
子楽器の楽音制御装置であって、デュアル・モードで設
定された複数の音色の間の音量バランスを設定する音量
バランス手段を備え、デュアル・モードの設定時には、
該音量バランス手段で設定された音量バランスに従って
該複数の音色の特性をそれぞれ変えるように構成した電
子楽器の楽音制御装置が提供される。
【0010】上記音量バランス手段で設定された音量バ
ランスが他の音色に対して相対的に小音量の音色につい
ては、該音色が減衰音系であれば、その音色のラウドネ
スの補正を行って発音するように構成できる。
【0011】また上記音量バランス手段で設定された音
量バランスが他の音色に対して相対的に小音量の音色に
ついては、該音色が持続音系であれば、その音色のエン
ベロープのリリース部分を長くする補正を行って発音す
るように構成できる。
【0012】また上記音量バランス手段で設定された音
量バランスが上記デュアル・モードで設定された複数の
音色間で互いに拮抗しているときには、該複数の音色の
うちの減衰音系の音色は打撃音を強調した音色に、また
持続音系の音色は打撃音を緩くした音色に補正して発音
するように構成できる。
【0013】このようにデュアル・モードで設定される
各音色の特性(エンベロープやフィルタ係数など)を音
量バランス手段で設定された音量バランスに従って変え
ることにより、音色の特性を一層明確にし、音量バラン
スの設定状態によって1の音色が他の音色にマスキング
される問題点を解消できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。図2は本発明の一実施例としての電
子楽器の楽音制御装置を示す図である。この実施例装置
はデュアル・モードを備え、またステレオ・サンプリン
グ仕様の音色を発音できる電子楽器に用いられる。
【0015】図2において、音色指定操作子1は生成す
る楽音の音色指定を行うための操作子であって、図3に
示されるように複数の音色ボタンからなる。各音色ボタ
ンはそれぞれ異なる音色に対応する。音色ボタンを一つ
だけ押すと一つの鍵のキーオンに対して単音色が指定さ
れる。二つ押すとデュアル・モードとなって一つの鍵の
キーオンに対して二つの音色が指定される。この音色指
定操作子11は操作を受けると、指定された音色を音色
データ供給部12に伝える。
【0016】音色データ供給部12は音色指定操作子1
1で音色が一つ指定されたら、音色データ記憶部15か
ら単音色用音色データを読み出し、また複数の音色が指
定されたらデュアル用音色データを読み出して発音制御
部13に供給する。音色データ記憶部15は各音色の音
色データ(音色パラメータとも称する)を記憶するもの
であり、音色データは各音色について単音色用の音色デ
ータとデュアル用の音色データがある。
【0017】図1にはこの音色データの詳細が示され
る。この例では、音色パラメータ名として単音色用音色
データの〔ピアノ〕と〔ストリングス〕と、デュアル・
モード時のデュアル用音色データの〔ピアノ’〕または
〔ストリングス’〕を例示している。他の音色について
も同様であるが、図1では省略されている。
【0018】単音色用音色データは、波形データとして
2チャンネル分の波形指定情報に左チャンネルと右チャ
ンネルの指定がされる(図示の例ではピアノ1(L)と
ピアノ1(R)、およびストリングス(L)とストリン
グス(R))。それぞれのチャンネルのPAN(音像定
位)は左チャンネルと右チャンネルに固定される。使用
する発音チャンネル数はピアノとストリングス共に左右
チャンネル用の波形データの楽音生成に必要な2チャン
ネルとなる。
【0019】デュアル用音色データは左右2チャンネル
分の波形指定情報として左右チャンネルのうちの左チャ
ンネル(図示の例ではピアノ1(L)とストリングス
(L))のみの指定がされる。この左チャンネルのPA
N(音像定位)は鍵盤のキーオンの鍵位置に応じて音像
の定位位置が変わるキー・フォローが指定されている。
このキー・フォローにおいては、例えば鍵が指定する音
高が低い場合には左寄りの音像定位、鍵が指定する音高
が高い場合には右寄りの音像定位などとする。使用する
発音チャンネル数はピアノとストリングス共に左チャン
ネル用の波形データの楽音生成に必要な1チャンネルと
なる。このように音像定位にキー・フォローをかけるこ
とによりステレオ・サンプリング仕様で再生を行わない
場合でも広がり感を得ることができる。
【0020】発音制御部13は、1つの鍵のノートオン
情報が入力されると、その一つの鍵のノートオンに対し
て音色データ供給部12から音色データの供給を受けた
音色分の楽音を発生するように発音部14を制御する。
発音部14は複数の発音チャンネルを有しており、発音
制御部13から指定された発音チャンネル数で、指定さ
れた音色の楽音の波形データを波形データ記憶部16か
ら読み出し指定された音色の楽音の生成を行い、指定さ
れた音像定位となるよう左チャンネル、右チャンネルの
音量バランスを制御して出力する。波形データ記憶部1
6はステレオ・サンプリングを行った波形データ、すな
わち左右のチャンネルの波形データを各音色について記
憶している。
【0021】この実施例装置の動作を以下に説明する。
まず音色指定操作子11によって単音色かデュアル・モ
ードかを指定する。デュアル・モードはこの音色指定操
作子11によって単に二つの音色が指定されたという状
態に反応して設定され、このデュアル・モードではそれ
ぞれの音色の楽音生成に使用する発音チャンネル数を少
なくする。
【0022】図4は音色ボタンと一つのノートオンに対
して作成される楽音との関係を示している。すなわち、
ピアノ用の音色ボタンPFだけを押すと単音色指定とな
って〔ピアノ〕の楽音が作成され、ストリングス用の音
色ボタンSTRだけを押すと単音色指定となって〔スト
リングス〕の楽音が作成され、ピアノ用の音色ボタンP
Fと他の音色の音色ボタン???を押すとデュアル・モ
ード指定となって〔ピアノ〕と他の音色〔???〕の楽
音が作成され、ストリングス用の音色ボタンSTRと他
の音色の音色ボタン???を押すとデュアル・モード指
定となって〔ストリングス〕と他の音色〔???〕の楽
音が作成される。
【0023】図5には音色データ供給部12における音
色パラメータの選択処理手順が示される。音色指定操作
子11中のいずれかの音色ボタンが押されると(ステッ
プS1)、他の音色ボタンが既に押されているかを判定
する(ステップS2)。他の音色ボタンが既に押されて
いればデュアル・モードであるので、その押された音色
ボタンについてそれぞれ音色データ記憶部15からデュ
アル用の音色パラメータを読み出し、音色1、音色2の
音色パラメータとしてそれぞれ発音制御部13に指定す
る(ステップS3)。このデュアル用のパラメータは図
1に示す如く発音チャンネル数が単音色時よりも少ない
ものとなる。一方、他の音色ボタンが押されていなけれ
ば(ステップS2)、押された音色ボタンに対応する音
色の単音色指定となり、その音色について音色データ記
憶部15から単音色用の音色パラメータを読み出して音
色1の音色パラメータとして発音制御部13に指定し、
音色2については指定しない(ステップS4)。
【0024】図6には発音制御部13における発音処理
手順が示される。鍵盤のノートオンを検知すると、ノー
トオンされた鍵について、音色1のパラメータの指定に
従い、発音部14に対して単数(デュアル・モード時)
あるいは複数(単音色時)の発音中でない発音チャンネ
ルを選択してこの発音チャンネルを制御して楽音を発生
させる(ステップS12)。ついで音色2のパラメータ
が指定されているかを判定し(ステップS13)、指定
されていれば、音色2のパラメータの指定に従い、発音
部14に対して単数あるいは複数の発音中でない発音チ
ャンネルを選択してこの発音チャンネルを制御して楽音
を発生させる(ステップS14)。ステップS13の判
断で単音色指定の場合にはこの音色2のパラメータは指
定されていないので、処理を終了する。
【0025】なお、図示しないが、鍵盤のノートオフを
検知した場合には発音制御部13はノートオフされた鍵
に対応して発音中の発音チャンネルを制御して発音を停
止させる。
【0026】このように単音色時には複数の発音チャン
ネルを使用してステレオ・サンプリング仕様の楽音が発
音され、デュアル・モード時には1音色あたり1つの発
音チャンネルを使用してモノラル・サンプリング仕様の
楽音が発音される。デュアル・モード時には1音色あた
りに使用する発音チャンネル数が従来と比べて減るの
で、全体として同時発音できる楽音数を増やすことがで
きる。
【0027】上述の実施例は所謂V−SWモード、ある
いはV−MIXモードで波形データを切り替える方式に
も適用できる。
【0028】V−SWモードは鍵を押す強さ(ベロシテ
ィ)に応じて波形データを切り替えて出力する方式であ
り、その概要が図8に示される。図8中、横軸はベロシ
ティ、縦軸は音量の出力レベルである。ベロシティの中
間位置に切替え位置が設定されており、ベロシティが切
替え位置より下側では波形データ1を用いて特性Iに従
って楽音が生成されて出力され、切替え位置より上側で
は波形データ2に切り替えられて波形データ2を用いて
特性IIに従って楽音が生成されて出力される。
【0029】V−MIXモードは鍵を押す強さ(ベロシ
ティ)に応じて波形データを混合して出力する方式であ
り、その概要が図9に示される。図9中、横軸はベロシ
ティ、縦軸は音量の出力レベルである。ベロシティの全
域にわたり波形データ1を用いて特性Iに従って楽音が
生成されるとともに、ベロシティの中間から上側では波
形データ2を用いて特性IIに従って生成された楽音が、
上述の波形データ1による特性Iの楽音に重ね合わされ
て出力される。この波形データ2の楽音は例えばモノラ
ルの打撃音などである。
【0030】図7には音色ピアノとストリングスについ
てこのV−SWモードとV−MIXモードを用いた場合
の、単音色時とデュアル・モード時の発音チャンネル数
が示される。図中、〔ピアノ〕と〔ストリングス〕は単
音色、〔ピアノ’〕と〔ストリングス’〕はデュアル・
モード時の音色である。
【0031】単音色時の〔ピアノ〕は、鍵盤のノートナ
ンバーが小さいすなわち音高が低い方の領域ではV−S
Wモードでステレオ・サンプリングが使用されるため使
用発音チャンネル数は「2」、ノートナンバーが大きい
すなわち音高が高い方の領域(ダンパーがきかなくなる
鍵領域)ではV−MIXモードでステレオ・サンプリン
グが使用されてV−MIXモードではステレオ・サンプ
リングの特性Iの2発音チャンネルに更に特性II(打撃
音)の発音チャンネルが1つ追加されるから使用発音チ
ャンネル数は「3」である。一方、デュアル・モード時
の〔ピアノ’〕は鍵盤のノートナンバーが小さいすなわ
ち音高が低い方の領域ではV−SWモードで片チャンネ
ル(モノラル)の波形データが使用されるため発音チャ
ンネル数は「1」、ノートナンバーが大きいすなわち音
高が高い方の領域ではV−MIXモードで片チャンネル
の波形データが使用されてV−MIXモードでは片チャ
ンネル用の1発音チャンネルに更に特性II(打撃音)の
発音チャンネルが1つ追加されるから使用発音チャンネ
ル数は「2」である。
【0032】同様に、単音色時の〔ストリングス〕は、
鍵盤のノートナンバーの全域にわたりV−SWモードで
ステレオ・サンプリングが使用されるため使用発音チャ
ンネル数は「2」、一方、デュアル・モード時の〔スト
リングス’〕も鍵盤の全域にわたりV−SWモードで片
チャンネル(モノラル)の波形データが使用されるため
発音チャンネル数は「1」である。
【0033】図10には本発明の他の実施例が示され
る。この実施例はデュアル・モードで二つの音色が指定
されたときにそれらの音色間の音量バランスを設定する
音量バランス操作子17を備えており、この音量バラン
ス操作子17で設定された音量バランスに基づいて使用
する発音チャンネル数や音色の特性を変化させるように
なっている。
【0034】音量バランス操作子17は図11に示され
るように、スライド式の操作子からなり、二つの音色
1、2が指定された時にその音量のバランスを出力す
る。すなわち、ツマミ17aを左側に寄せれば音色1の
音量が大、音色2の音量が小になり、反対に右側に寄せ
れば音色1の音量が小、音色2の音量が大になる。この
実施例では、音色ボタンを1個だけ押したときは音量バ
ランス操作子17は機能しないか若しくは他のバランス
調整の用途(例えば手弾きの音量と自動演奏の音量の調
整)に用いる。音色ボタンを二つ押したときは音量バラ
ンス操作子17の設定に従って二つの音色が発音され
る。
【0035】なお、2つの音色ボタンのうち図11にお
いて左側に配置されている音色ボタンに対応する音色が
音色1、右側に配置されている音色ボタンに対応する音
色が音色2とされる。
【0036】また、この音量バランス操作子17のツマ
ミ17aの設定位置によって、図14に示されるように
領域が分けられる。すなわち、仮に音色1をピアノ、音
色2をストリングスとした場合、ピアノとストリングス
の音量が拮抗している領域をC、ピアノの方が相対的に
音量が小の領域をB、ストリングスの方が相対的に音量
が小の領域をAとする。
【0037】音色データ記憶部15はこの音量バランス
操作子17の設定位置に応じて音色パラメータを記憶す
る。図12にはこの音色パラメータの詳細が例示され
る。音色パラメータ名〔ピアノ〕と〔ストリングス〕は
単音色の音色データであり、前述の図1と同じ内容であ
る。〔ピアノChar〕と〔ストリングスChar〕はデュアル
・モードにおける領域C(拮抗時)の音色データ、〔ピ
アノLaud〕はデュアル・モードにおける領域Bの音色デ
ータ、〔ストリングスLaud〕はデュアル・モードモード
における領域Aの音色データである。デュアル・モード
時における波形データ、PAN、発音チャンネル数は前
述の図1のものと同じであるが、本実施例の音色パラメ
ータはさらにフィルタ係数とエンベロープ情報および音
量バランス情報を有しており、〔ピアノChar〕では単音
色時に比べてエンベロープのアタックを強めるよう指示
する情報が加えられ、〔ピアノLaud〕では単音色時に比
べて楽音の周波数特性の低域と高域の成分を増加するよ
うフィルタ係数を変える指示情報が加えられ、〔ストリ
ングスChar〕では単音色時に比べてエンベロープのアタ
ックを緩めるよう指示する情報が加えられ、〔ストリン
グスLaud〕では単音色時に比べてエンベロープのリリー
スを長くするよう指示する情報が加えられている。
【0038】なお、以上では各音量バランスにおけるフ
ィルタ係数およびエンベロープ情報の補正についてピア
ノおよびストリングスの音色に関してのみ説明したが、
これ以外の音色に関しても同様に補正を行う。この時、
ピアノの音色と同様にエンベロープが鍵のノートオン直
後に比較的鋭く立ち上がりその後の時間経過に伴って徐
々に減衰するハープシコード、ビブラホン、ギター等の
いわゆる減衰音系の音色に関しては上記したピアノ音色
と同様の補正を行い、ストリングスの音色と同様にエン
ベロープが鍵のノートオン直後に比較的緩やかに立ち上
がりその後の時間経過にかかわらずあまり変化しない木
管楽器、金管楽器等のいわゆる持続音系の音色に関して
は上記したストリングス音色と同様の補正を行うとよ
い。
【0039】すなわち、この音色データ記憶部15の音
色パラメータは、デュアル・モードにおいて小音量の音
色データは音色の特徴に応じてエンベロープとフィルタ
係数を小音量用に補正され、音量が拮抗している音色デ
ータは音色の特徴を強調すべくエンベロープとフィルタ
係数が中音量用に補正されている。
【0040】音色データ供給部12はデュアル・モード
が指定されたら、音量バランス操作子17によって設定
された音量が小音量である音色については小音量用の音
色データ〔???Laud〕を、音量が拮抗している音色に
ついては中音量用の音色データ〔???Char〕を、また
音量が大音量である音色については単音色用の音色デー
タ〔???〕をそれぞれ音色データ記憶部15から読み
出して発音制御部13に供給する。
【0041】この実施例装置の動作を以下に説明する。
まず前述同様に音色指定操作子11によって単音色がデ
ュアル・モードかを指定する。図13は音色ボタンと音
量バランス操作子17の設定状態と一つのノートオンに
対して作成される楽音との関係を示している。すなわ
ち、ピアノ用の音色ボタンPFだけを押すと単音色指定
となって〔ピアノ〕の楽音が作成され、ストリングス用
の音色ボタンSTRだけを押すと単音色指定となって
〔ストリングス〕の楽音が作成される。ピアノ用の音色
ボタンPFと他の音色の音色ボタン???を押してデュ
アル・モード指定となったときに、音量バランス操作子
17の設定がピアノ側が音量大であると〔ピアノ〕と他
の音色〔???Laud〕の楽音が作成され、ピアノと他の
音色の音量が拮抗していると〔ピアノChar〕と他の音色
〔???Char〕の楽音が作成され、他の音色側が音量大
であると〔ピアノLaud〕と他の音色〔???〕の楽音が
作成される。同様に、ストリングス用の音色ボタンST
Rと他の音色の音色ボタン???を押してデュアル・モ
ード指定となったときに、音量バランス操作子17の設
定がストリングス側が音量大であると〔ストリングス〕
と他の音色〔???Laud〕の楽音が作成され、ストリン
グスと他の音色の音量が拮抗していると〔ストリングス
Char〕と他の音色〔???Char〕の楽音が作成され、他
の音色側が音量大であると〔ストリングスLaud〕と他の
音色〔???〕の楽音が作成される。
【0042】図15には音色データ供給部12における
音色パラメータの選択処理手順が示される。音色指定操
作子11中のいずれかの音色ボタンが押されると(ステ
ップS21)、他の音色ボタンが既に押されているかを
判定する(ステップS22)。他の音色ボタンが既に押
されていればデュアル・モードであるので、さらに音量
バランス操作子17の状態をみて音量バランスが拮抗し
ているかを判定する(ステップS23)。
【0043】拮抗していれば、音色データ記憶部15か
ら押された音色ボタンについてそれぞれ拮抗用の音色
〔???Char〕の音色パラメータを読み出し、左側の音
色ボタンの音色パラメータを音色1の、右側の音色ボタ
ンの音色パラメータを音色2の音色パラメータとしてそ
れぞれ発音制御部13に指定する(ステップS3)。こ
の拮抗時のパラメータでは、減衰音は打撃音を強調した
音色、逆に持続音は打撃音を緩くした音色になるように
して、各音色の個性の補正を行う。例えば図12では減
衰音系の〔ピアノChar〕ではエンベロープのアタックを
強め、持続音系の〔ストリングスChar〕ではアタックを
緩めている。これにより各音色の特徴を互いに消し合わ
ないようにしている。またこの拮抗時における使用発音
チャンネルの数は図12の例では各音色とも「1」とな
り、発音チャンネルの削減を図っている。
【0044】音量バランスが拮抗していない場合(ステ
ップS23)、さらに音量バランスが何れの音色側に傾
いているかを判定する(ステップS25)。音色1側に
傾いて音色1が大音量、音色2が小音量となっている場
合、音色データ記憶部15から左側の音色ボタンの単音
色用の音色パラメータおよび右側の音色ボタンの小音量
用の音色パラメータを読み出し、それぞれ音色1、音色
2の音色パラメータとして発音制御部13に指定する
(ステップS27)。反対に音色2側に傾いて音色1が
小音量、音色2が大音量となっている場合、音色データ
記憶部15から左側の音色ボタンの小音量用の音色パラ
メータおよび右側の音色ボタンの単音色用の音色パラメ
ータを読み出し、それぞれ音色1、音色2の音色パラメ
ータとして発音制御部13に指定する(ステップS2
6)。
【0045】上記のようにすることで、例えば図12の
例では、ピアノとストリングスの音量バランスがある程
度以上ピアノ寄りに設定されたときは、その度合いに応
じて小音量側のストリングスのリリースを長くした音色
が指定され、よってピアノによりストリングスがマスキ
ングされることを防止できる。また大音量のピアノにつ
いては単音色指定と同じになるから発音チャンネル数は
削減されないので高品質の楽音を発生できる。この時に
使用する発音チャンネルの合計数は、ピアノが単音色用
の2チャンネル、ストリングスがモノラル用の1チャン
ネルの合計3チャンネルとなり、デュアル・モードで用
いる合計としての発音チャンネル数は従来より削減でき
る。
【0046】同様に、例えばピアノとストリングスの音
量バランスがある程度以上ストリングス寄りに設定され
たときは、その度合いに応じて小音量側のピアノのラウ
ドネスの補正(低高域成分を上げる)を行ってピアノの
音を強調するように音色が指定され、よってストリング
スによりピアノがマスキングされることを防止できる。
また大音量のストリングスについては単音色指定と同じ
になるから発音チャンネル数は削減されないので高品質
の楽音を発生できる。この時に使用する発音チャンネル
の合計数は、ストリングスが単音色用の2チャンネル、
ピアノがモノラル用の1チャンネルの合計3チャンネル
となり、デュアル・モードで用いる合計としての発音チ
ャンネル数は従来より削減できる。
【0047】図16には発音制御部13における発音処
理手順が示される。この手順は図6に示したものと基本
的な動作は同じであり、相違点として、音色2のパラメ
ータが指定されていると判断されたときには(ステップ
S13)、音量バランス操作子17に設定状態に従って
音色1と音色2の音量バランスを設定する処理が追加さ
れている(ステップS15)。
【0048】なお、鍵盤のノートオフを検知した場合に
は、発音制御部13はノートオフされた鍵に対応して発
音中の発音チャンネルを制御して発音を停止させる。ま
た、音量バランス操作子17が操作された場合には、新
たに設定された音量バランスに応じて音色1および音色
2の音量バランスを制御するとともに、これらの音色の
新たに設定された音量バランスに対応する音色パラメー
タを発音制御部13に指定する。
【0049】以上に説明した実施例では、ステレオ・サ
ンプリング仕様の音色を用いたために発音チャンネル数
が増大する場合について本発明を説明したが、本発明は
これに限られるものではなく、例えば一つの音色の楽音
を2以上の構成音に分けてそれぞれに発音チャンネルを
割り当て発音する場合などにも本発明を適用でき、この
場合には音質に与える影響のより小さい構成音の発音チ
ャンネルの使用をデュアル・モードでは削減するように
する。
【0050】また後者の実施例における音量バランスが
大音量の音色の場合について示したように、ステレオ・
サンプリング仕様の場合でもデュアル・モードで設定さ
れた両音色の発音チャンネル数を削減する必要はなく、
デュアル・モードにおいて片方の音色についてのみ発音
チャンネル数を削減するものであってもよい。
【0051】また上述の実施例では、音色データとして
ステレオ・サンプリング仕様のものとモノラル・サンプ
リング仕様のものを予めテーブルの形式で保持しておく
ようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、
所定の規則に従ってステレオ・サンプリング仕様を実時
間処理でモノラル・サンプリング仕様に変換するもので
あってもよい。
【0052】また、上記実施例では、波形データとして
ステレオ・サンプリング仕様のもののみを記憶し、モノ
ラル・サンプリング仕様時にはステレオ・サンプリング
仕様の2チャンネルの波形データのうち左チャンネルの
ものを仕様するようにしたが、ステレオ・サンプリング
仕様の波形データに加えてモノラル・サンプリング仕様
の波形データを記憶し、モノラル・サンプリング仕様時
にはモノラル・サンプリング仕様の波形データを使用す
るようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、デュアル・モードにおいても各音色の特徴を一層明
確に出すことができ、各音色が互いにマスキング等する
ことを防止できるから、音楽表現が豊かになる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】デュアル・モードを有する電子楽器の楽音
    制御装置であって、デュアル・モードの設定時に、該デ
    ュアル・モードで設定された複数の音色のうちの少なく
    とも1音色については、該音色の楽音が複数の発音チャ
    ンネルを使用して発音されるものであれば、その使用す
    る発音チャンネル数を減らすように構成した電子楽器の
    楽音制御装置。
  2. 【請求項2】デュアル・モードを有する電子楽器の楽音
    制御装置であって、デュアル・モードで設定された複数
    の音色の間の音量バランスを設定する音量バランス手段
    を備え、デュアル・モードの設定時に、該デュアル・モ
    ードで設定された複数の音色のうちの少なくとも1音色
    については、該音色の楽音が複数の発音チャンネルを使
    用して発音されるものであれば、該音量バランス手段で
    設定された音量バランスに従ってその使用する発音チャ
    ンネル数を減らすように構成した電子楽器の楽音制御装
    置。
  3. 【請求項3】上記発音チャンネル数を減らす音色は、他
    の音色に対して相対的に小音量に上記音量バランス手段
    で音量バランスが設定されたときに、その使用する発音
    チャンネル数を減らすように構成した請求項2記載の電
    子楽器の楽音制御装置。
  4. 【請求項4】上記音量バランス手段で設定された音量バ
    ランスが上記デュアル・モードで設定された複数の音色
    間で互いに拮抗しているときには、該複数の音色のうち
    発音に複数の発音チャンネルを使用する音色について
    は、その使用する発音チャンネル数を減らすように構成
    した請求項3または4記載の電子楽器の楽音制御装置。
  5. 【請求項5】上記複数の発音チャンネルを使用して発音
    する音色がステレオ・サンプリング仕様の音色である場
    合、該ステレオ・サンプリング仕様の音色をモノラル・
    サンプリング仕様の音色にして発音するように構成した
    請求項1〜4のいずれかに記載の電子楽器の楽音制御装
    置。
  6. 【請求項6】上記モノラル・サンプリング仕様の音色の
    発音は上記ステレオ・サンプリング仕様の音色の左右チ
    ャンネルのうちの一方の波形データを1つの発音チャン
    ネルを用いて発音するように構成した請求項5記載の電
    子楽器の楽音制御装置。
  7. 【請求項7】上記モノラル・サンプリング仕様の音色
    は、発音する楽音の音高を指定する情報に従って該楽音
    の音像の定位位置が変化するようにした請求項5記載の
    電子楽器の楽音制御装置。
  8. 【請求項8】デュアル・モードを有する電子楽器の楽音
    制御装置であって、デュアル・モードで設定された複数
    の音色の間の音量バランスを設定する音量バランス手段
    を備え、デュアル・モードの設定時には、該音量バラン
    ス手段で設定された音量バランスに従って該複数の音色
    の特性をそれぞれ変えるように構成した電子楽器の楽音
    制御装置。
  9. 【請求項9】上記音量バランス手段で設定された音量バ
    ランスが他の音色に対して相対的に小音量の音色につい
    ては、該音色が減衰音系であれば、その音色の周波数特
    性の補正を行って発音するように構成した請求項8記載
    の電子楽器の楽音制御装置。
  10. 【請求項10】上記音量バランス手段で設定された音量
    バランスが他の音色に対して相対的に小音量の音色につ
    いては、該音色が持続音系であれば、その音色のエンベ
    ロープのリリース部分を長くする補正を行って発音する
    ように構成した請求項8記載の電子楽器の楽音制御装
    置。
  11. 【請求項11】上記音量バランス手段で設定された音量
    バランスが上記デュアル・モードで設定された複数の音
    色間で互いに拮抗しているときには、該複数の音色のう
    ちの減衰音系の音色は打撃音を強調した音色に、また持
    続音系の音色は打撃音を緩くした音色に補正して発音す
    るように構成した請求項8記載の電子楽器の楽音制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010157861A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Canon Inc オーディオ制御方法及び制御装置
DE112006002057B4 (de) 2005-08-02 2018-08-23 Kawai Musical Instrument Mfg. Co., Ltd. Vorrichtung zum Umschalten zwischen Klangausgängen, Verfahren zum Umschalten zwischen Klangausgängen sowie Computerprogramm zum Umschalten zwischen Klangausgängen

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DE112006002057B4 (de) 2005-08-02 2018-08-23 Kawai Musical Instrument Mfg. Co., Ltd. Vorrichtung zum Umschalten zwischen Klangausgängen, Verfahren zum Umschalten zwischen Klangausgängen sowie Computerprogramm zum Umschalten zwischen Klangausgängen
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