JPH09183163A - ポリオレフィン系樹脂構造体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂構造体の製造方法

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JPH09183163A
JPH09183163A JP10096A JP10096A JPH09183163A JP H09183163 A JPH09183163 A JP H09183163A JP 10096 A JP10096 A JP 10096A JP 10096 A JP10096 A JP 10096A JP H09183163 A JPH09183163 A JP H09183163A
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JP
Japan
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sheet
polyolefin
resin
producing
based resin
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Application number
JP10096A
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English (en)
Inventor
Morio Ozawa
盛男 小澤
Gen Nagai
玄 永井
Isao Yuya
勲 油谷
Shigehiko Suzuki
成彦 鈴木
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系樹脂製の基体とポリオレフ
ィン系樹脂製の表面シートとからなるポリオレフィン系
樹脂構造体を、効率よく、しかもコスト的に有利に製造
する方法を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂製基体と片面にエ
ンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系樹脂
製表面シートとが積層一体化されたポリオレフィン系樹
脂構造体を製造する方法であって、溶融ポリオレフィン
系樹脂をシート状にカレンダー成形し、エンボス加工に
より片面に凹凸を付した後切断して予備成形し、射出成
形金型に該シートの凹凸面と反対の面が射出充填される
樹脂と接するような向きで装着し、該金型のキャビティ
内に基体用溶融ポリオレフィン系樹脂を射出充填してシ
ートと基体とを一体成形する工程を含む、前記構造体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リサイクル性、外
観、機能性等に優れたポリオレフィン系樹脂構造体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球規模で資源問題、環境問題が
議論されており、環境の問題は生産の場でもまず第一に
考えなければならないものとなってきた。そのため、
“環境にやさしい製品”が求められていることから、再
生処理、即ちリサイクルしやすい材料を使用することも
重要課題の一つである。
【0003】ところで、石油、鉱石等の資源を加工して
工業製品とするプラスチック製品は、加工がしやすく、
安価で、耐久性に優れていることから利用範囲が広い。
このプラスチック製品についてもリサイクルしやすい材
料を用いることが社会的要請であることから、プラスチ
ックの中でも易リサイクル性のポリプロピレン等のポリ
オレフィン系樹脂を用いることが望まれている。
【0004】また、ポリオレフィン系樹脂は、水素原子
と炭素原子とのモル比が2:1と水素原子の割合が高い
ため、比重が軽く(ポリプロピレン:0.91、ポリエチレ
ン:0.93)、特にポリプロピレン樹脂はプラスチックの
中で一番軽いという利点を有する。更に、ポリオレフィ
ン系樹脂は、耐磨耗性、耐水性、耐薬品性、耐電気的特
性等に優れており、しかも軽比重であることから単位体
積当たりの価格が低いという利点も有する。
【0005】しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は成
形収縮率が高いため、寸法精度が安定せず、反り、ヒケ
等が出やすく、また、二次加工処理(塗装、印刷、接着
等)の接着性が悪く、成形表面に光沢性はあるが、擦傷
性に弱く、傷がつきやすいという欠点がある。
【0006】特に、ポリオレフィン系樹脂の廃材を再生
処理して得られたリサイクル樹脂材料を用いた成形品に
は、石目や、ヒケ、ウェルドライン等が出て外観が悪く
なることからそのまま家庭電化製品に用いることはでき
ない。外観を良くするために表面を塗装するという方法
も考えられるが、一般的に塗装は有機溶剤を使用してス
プレー方式で行うことから環境汚染につながり、また、
乾燥のために多くのスペースや時間を要することから経
済性も悪い。また、塗装等で表面を修復しようとしても
ヒケやウェルドラインをカバーすることは困難であり、
割れやすくなったり脆くなる等の不都合がある。
【0007】これらの問題を解決するために、ポリオレ
フィン系樹脂基体上に、片面にエンボス加工により凹凸
が付されており、必要に応じて着色されたポリオレフィ
ン系樹脂表面シートを積層一体化することが考えられ
る。
【0008】例えば、特開昭59-39535号公報には、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合体、プロピ
レン共重合体等の樹脂製の基材シートと、メタリック層
と、クリヤシートとからなる積層シートを予め成形して
おいて、この積層シートを射出成形用金型に装着して基
体用樹脂を該金型内に射出充填することにより基体と積
層シートを一体成形することにより得られる構造体が開
示されている。この積層シートは、メタリック感を与え
るためのものであり、射出成形用金型として、積層シー
トの装着面に凹凸が施されたものを用いて射出成形時に
積層シート表面にエンボス加工を施している。しかしな
がら、このように金型を用いてエンボス加工を施す場
合、金型の製造費用が高く、コスト的に不利である。
【0009】また、特開昭62-212114 号公報には、PV
C、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS等の樹脂製
のシートであって表面にエンボス加工及び/又は印刷が
施されたシートを予備成形しておいて、このシートを射
出成形用金型に装着して基体用樹脂を該金型内に射出充
填することにより基体とシートを一体成形することによ
り得られる構造体が開示されている。このシートは表面
装飾のためのものであり、シートを予備成形する前にエ
ンボス加工を施して表面に凹凸を付している。しかしな
がら、この凹凸が付されたシートをそのまま射出成形に
用いるとその凹凸が熱変形するため、この方法において
は射出成形前に凹凸面に離型剤を塗布して凹部を埋めて
変形を防止し、射出成形後にその離型剤を除去してい
る。そのため、余分な工程が含まれることから効率が悪
く、また、離型剤を使用することから経済性に劣る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、ポリオレフィン系樹脂製の基体とポリオレフィ
ン系樹脂製の表面シートとからなるポリオレフィン系樹
脂構造体を、効率よく、しかもコスト的に有利に製造す
る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成し
た。本発明は、ポリオレフィン系樹脂製の基体と、片面
にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系
樹脂製の表面シートとが積層一体化されたポリオレフィ
ン系樹脂構造体を製造する方法であって、表面シート用
の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレンダー成形によ
りシート状に成形する工程(A-1) 、及びエンボスロール
を用いてエンボス加工することによりシートの片面に凹
凸を付する工程(A-2)を含む、表面シートの製造工程(A)
、並びに前記工程(A) で得られた表面シートを切断す
る工程(B-1) 、切断された表面シートを予備成形する工
程(B-2) 、及び予備成形された表面シートを、該シート
の凹凸面と反対の面が射出充填される樹脂と接するよう
な向きで射出成形金型に装着し、次いで該金型のキャビ
ティ内に基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出
充填して表面シートと基体とを一体成形する工程(B-3)
を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを特徴とす
る、ポリオレフィン系樹脂構造体の製造方法を提供す
る。また、本発明は、ポリオレフィン系樹脂製の基体
と、片面にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレ
フィン系樹脂製の表面シートとが積層一体化されたポリ
オレフィン系樹脂構造体を製造する方法であって、表面
シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレンダー
成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエンボ
スロールを用いてエンボス加工することによりシートの
片面に凹凸を付する工程(A-2)を含む、表面シートの製
造工程(A) 、並びに前記工程(A) で得られた表面シート
を切断する工程(B-1) 、切断された表面シートを、排気
孔が設けられた射出成形金型に該シートの凹凸面と反対
の面が射出充填される樹脂と接するような向きで装着し
た後、真空排気することにより前記表面シートを予備成
形し、次いで、該金型のキャビティ内に基体用の溶融し
たポリオレフィン系樹脂を射出充填して表面シートと基
体とを一体成形する工程(B-4)を含む、構造体の製造工
程(B)を含むことを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂
構造体の製造方法を提供する。以下、本発明をより具体
的に説明する。
【0012】表面シート 本発明の表面シートの材料であるポリオレフィン系樹脂
とは、エチレン;プロピレン;4-メチル-1-ペンテン、1
-ブテン等の炭素原子数4〜10のα−オレフィン等のオ
レフィンを重合することにより得られる重合体をいう。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン
ブロック共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体
等が例示される。これらのポリオレフィン系樹脂として
は、バージン材及びリサイクル材のいずれも使用可能で
ある。
【0013】これらのポリオレフィン系樹脂には、一般
的に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、例えば、
安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止
剤、界面活性剤、充填材、着色剤等が目的に応じて任意
に配合されていてもよいが、添加剤の配合にあたっては
本発明の目的、効果を阻害しないように、添加剤の種
類、配合量等を考慮する必要がある。また、樹脂に耐熱
効果のある充填材を配合することにより、得られるシー
トの耐熱性を向上させることができるので、エンボス加
工の精度が高まるとともに、厚さの小さいシートであっ
ても後述する射出成形時のシートの破損及び凹凸の変形
を防止することができる。そのような耐熱効果のある充
填材としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、マ
イカ、タルク等の微粒子材料が挙げられ、充填材の配合
量は、ベース材料(ポリオレフィン系樹脂及びその他の
任意の添加剤を含む原料)に対して5〜10重量%が好ま
しい。また、環境への影響を除外すればアルミ片、ガラ
ス繊維等の鉱物質、石綿、ガラス繊維物質、カーボンブ
ラック等の材料でもよい。
【0014】表面シートは、片面にエンボス加工により
シボ模様等の凹凸が付与されたものである。表面シート
の厚さは、通常、 100〜1000μmであり、好ましくは 1
00〜300 μmである。シートが厚すぎると、フィルムの
抗張力が高くなりすぎて、その分軟化し難く成形が困難
になり、また、基体樹脂との密着性も低下する。シート
が薄すぎると、フィルムの抗張力が低くなりすぎて、後
述する射出成形において射出充填される基体用樹脂の剪
断応力に耐えきれず破れてしまう場合があり、射出成形
の最適条件の範囲が狭くなり成形が困難になる。
【0015】表面シートは、透明シートであってもよ
い。透明シートとする場合、透明度や外観品質を向上さ
せるために原料樹脂としてバージン材を用いるのが好ま
しい。また、透明シートである場合には、エンボス加工
による凹凸が付されていない面に印刷が施されているの
が好ましい。そのような印刷が施された透明シートを基
体に積層することによって、印刷面で基体を隠すことが
より容易になり、また、より外観の優れたものとなる。
しかも、シートの印刷面が基体と接するようにシートが
基体に積層されるので印刷面が保護される。
【0016】更に、表面シートとして、片面にエンボス
加工による凹凸が付され、凹凸が付されていない面に印
刷が施された透明シートを用いる場合には、該透明シー
トを、色彩を備えたポリオレフィン系樹脂製のベースシ
ートの上に積層した積層シートとして用いるのが好まし
い。透明シートをベースシート上に積層したシートとす
ることにより、後述する基体との一体成形を行うための
射出成形時に透明シートの印刷面がベースシートにより
保護されて射出充填された樹脂による障害を受けること
がない。また、このような積層シートを用いることによ
って、基体の隠蔽性をより高めることができ、また、基
体の色彩を変更することなくベースシートの色彩のみを
変更することにより所望の色彩にすることが可能であ
り、コストを低減することができる。また、積層シート
を用いる場合、透明シートの厚さは、通常、30〜100 μ
m、好ましくは50〜150 μmであり、ベースシートの厚
さは、通常、30〜970 μm、好ましくは50〜150 μmで
ある。また、透明シートは、上述のように原料樹脂とし
てバージン材を用いるのが好ましいが、ベースシートは
リサイクル材及びバージン材のいずれでもよい。また、
ベースシートは原料樹脂に顔料等の着色剤を配合するこ
とにより着色するが、原料樹脂としてリサイクル材を用
いる場合には、リサイクル材の色よりも濃い色の着色剤
を用いる。
【0017】表面シートの製造工程(A) 工程(A-1) まず、原料樹脂に必要に応じて各種添加剤を配合し、混
合した後、溶融してシート状に圧延成形する。かかる成
形は、均一な面を作成するという点でカレンダー成形に
より行う。カレンダー成形は、2本以上の加熱したロー
ル間で圧延して連続的にシート状に成形する方法であ
り、用いるカレンダーのロール数やロール配列は特に制
限されない。また、カレンダー成形条件も、従来の一般
的なポリオレフィン系樹脂のカレンダー成形の条件で行
うことができ、例えば、ロール温度は、用いる樹脂の種
類によって異なるが、ポリプロピレンの場合は、通常、
180〜195 ℃である。また、得られるシートの幅は、通
常、1000〜1200mmである。
【0018】工程(A-2) 次いで、上記の圧延成形で得られたシートをエンボス加
工することにより、片面に凹凸を付する。エンボス加工
は、適当な温度に加熱されたシートにエンボスロールで
圧力を加えて表面にシボ模様等の凹凸の浮き彫り模様を
付けるものであり、シートの加熱温度は、シートの軟化
温度以上であればよく、通常、 180〜195 ℃である。ま
た、凹凸深さは、適宜設定することができ、細かくした
い場合(例えば、砂目調等)には凹凸深さは小さくな
り、粗くしたい場合には凹凸深さは大きくなる。特に、
シートの凹凸が付されていない面に印刷を施す場合に
は、凹凸と印刷との相乗効果で深み(立体感)を出すこ
とを考慮すると凹凸深さは中程度がよく、表面の傷付き
易さを防ぐという観点からは、40〜50μmが好ましい。
【0019】シートに、例えば石目模様等の印刷加工を
施す場合、シートにエンボス加工を施す前に、凹凸を付
与しない面に施す。印刷方法としては、幅が広く、長尺
のシートを印刷することが可能であり、多色印刷が可能
で、生産性がよいという点でグラビア印刷が好適であ
る。グラビア印刷は、凹版印刷の一種で、印刷シリンダ
ー(版面)のくぼみにインクを満たし、山の部分の過剰
のインクをドクターナイフで掻き取り、シートを印刷シ
リンダーと圧銅との間を通してくぼみに残ったインクを
シートに付着させる方法である。多色印刷する場合に
は、ドラム形グラビア印刷機を用いることも可能であ
る。更に、必要に応じて、オフセット印刷、シルクスク
リーン印刷等により文字を印刷してもよい。
【0020】また、表面シートとして、上記のような透
明シートを、ベースシートの上に積層した積層シートを
用いる場合、透明シートとベースシートとはロール加工
等で熱圧着することにより積層一体化することができ
る。この場合、透明シートの印刷を施した面がベースシ
ートに接するように積層一体化する。熱圧着する際の透
明シートとベースシートの接着面の温度は、原料樹脂に
より異なるが、ポリプロピレン樹脂を用いる場合、通
常、 150〜160 ℃とする。また、透明シートの凹凸を付
した面の温度は、凹凸が変形しないような温度であれば
よく、通常、 160℃以下になるようにする。
【0021】構造体の製造工程(B) 上記のようにして片面に凹凸が付され、必要に応じて印
刷が施された表面シートを、凹凸が付されていない面が
ポリオレフィン系樹脂基体に接するように積層一体化す
ることにより構造体が得られる。以下、この構造体の製
造方法を述べる。
【0022】工程(B-1) 表面シートは、まず、構造体を適用したい部材の表面の
形状および大きさに合わせて、シートの熱膨張係数等の
物性を考慮した上で適正な形状、大きさに切断する。シ
ートを適正な大きさに裁断しないと、基体と一体成形し
た場合に皺、めくれ等が発生して表面の仕上がり状態が
悪くなる。
【0023】工程(B-2) 工程(B-2) で得られた切断シートを予備成形する。予備
成形は、真空成形又は160℃以下の熱加工により行う。
例えば、真空成形で予備成形する場合は、ポリオレフィ
ン系樹脂が軟化する程度の温度、例えば、ポリプロピレ
ン樹脂の場合には 100〜120 ℃程度に保たれた真空成形
金型の平面部に表面シートの凹凸が付されていない面が
接するように配置し、次いで真空排気することにより、
表面シートを前記平面部と対向する成形品を型取った金
型に該シートの凹凸面が接するように引き付けて成形す
る。この際、成形品を型取った金型の温度は通常 160℃
以下、好ましくは50〜80℃程度として凹凸の変形が起こ
らないようにする。また、真空度は、通常、 0.7〜0.97
mmHg程度とし、排気時間は、薄いシートの場合、通常、
5〜10秒程度とする。
【0024】また、熱加工で予備成形する場合は、温度
160℃以下、好ましくは50〜80℃程度の凹金型に、表面
シートの凹凸面が金型面に接するように置いて、該表面
シートの凹凸が付されていない面側から温度 100〜120
℃程度の凸金型でプレス加工することにより行う。
【0025】工程(B-3) 予備成形シートを、該シートの凹凸が付されていない面
が射出充填される基体用樹脂と接するような向きで、射
出成形金型に装着する。また、シートが装着される金型
の温度は用いた樹脂の種類により異なるが、凹凸が変形
しないような温度、具体的には、好ましくは 160℃以
下、更に好ましくは50〜80℃である。また、基体用樹脂
が接する方の金型の温度は、原料樹脂としてポリプロピ
レンを用いた場合には、通常、 100〜120 ℃である。
【0026】続いて、シートが装着された金型のキャビ
ティに基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充
填し、その熱エネルギーと圧力によりシートと溶融樹脂
を接合一体化することにより構造体が製造される。ここ
で、充填される樹脂はポリオレフィン系樹脂であり、上
記した表面シートの樹脂と同様のものがいずれも使用で
きる。また、これらの樹脂に対して一般の熱可塑性樹脂
に添加される公知の添加剤を配合してもよく、添加剤と
しては、例えば、前記表面シートにおける添加剤として
例示したもの等が挙げられる。更に、構造体に耐熱性を
持たせたい場合には、前記表面シートにおいて例示した
ような耐熱性充填材を配合するのが好ましい。溶融した
基体用樹脂を射出充填する際の条件は、ポリオレフィン
系樹脂の射出成形条件として一般に用いられている条件
がそのまま使用することができる。具体的には、樹脂温
度は、ポリプロピレンの場合、通常、 180〜200 ℃であ
る。また、射出圧は、成形機の大きさによって異なり、
通常、 170トンクラスの成形機においては2100kg/cm2
程度である。射出速度は、通常、 120〜190cm 3 /秒で
ある。更に、射出成形機のシリンダー内の温度は、原料
樹脂としてポリプロピレンを用いた場合には、通常、 1
50〜180 ℃である。
【0027】工程(B-4) また、上記工程(B-2) 及び(B-3) の代わりに前記工程(B
-1) で得られた切断シートを排気孔が設けられた射出成
形金型に、前記シートの凹凸が付されていない面が射出
充填される樹脂と接するような向きで装着した後、真空
排気することにより前記シートを該金型内で予備成形
し、次いで、該金型中に基体用の溶融したポリオレフィ
ン系樹脂を射出充填して前記シートと基体とを一体成形
することにより構造体を製造することができる。この方
法においては、シートが装着される側の金型には排気孔
が設けられており、更に金型キャビティ内から空気を排
気する真空機構が設けられた射出成形金型を用いる。真
空成形の条件及び射出成形の条件は、それぞれ上記工程
(B-2) 及び(B-3) と同様である。
【0028】また、上記工程(B-3) 又は工程(B-4) にお
いて、得られる構造体の表面の外観性向上や、表面シー
トのめくれ、皺等の発生を防止するには、ゲートを表面
シートとは反対の基体側、即ち構造体の基体表面に設け
るダイレクトゲートが好ましい。また、ゲートとして
は、ピンゲート等いずれのものでも使用可能である。し
かしながらピンゲートを採用した場合、シリンダーから
射出される樹脂が表面シートの一点に集中してぶつかる
ため、キャビティ内に流入する樹脂の圧力をその一点で
受け止めることになり、その部分が溶解してシート厚が
不均一になったり、印刷面、凹凸面が損傷したりするな
ど、表面シートに悪影響を及ぼす場合がある。その対策
として、ゲートの断面積を大きくしたり、ゲートの数を
増やしたりする方法が挙げられる。但し、断面形状が円
形のゲートの場合に断面積を大きくすると成形後のゲー
トの切断が困難になり、また、ゲート数を増やすとそれ
だけ成形後に切断するゲートの数が増えるので、いずれ
も成形後のゲート処理の工数が増えるという不都合もあ
る。そこで、ゲートとしてその先端部がスプルー側から
キャビティ側に向かって連続的に広がっており、且つ該
先端部の断面形状が図8に示したような横長矩形状、楕
円形状等の細長い形状であるものを使用するのが好まし
い。断面形状を細長い形状のものにすることにより、ゲ
ートの幅を小さくしたままで断面積を大きくすることが
できるので、成形後のゲートの切断が容易であり、ゲー
ト処理工数を低減することができ生産効率に優れる。ゲ
ート切断を容易にするためには、ゲートの短手方向の最
大幅wは、通常、2〜3mm程度とするのが好ましい。ま
た、ゲートとしてその先端部がスプルー側からキャビテ
ィ側に向かって連続的に広がっており、且つ該先端部の
断面形状が図9に示したような十字形であるものを使用
することによってもゲート断面積を大きくすることがで
きるが、断面形状が細長い形状のものと比較するとゲー
トが若干切断し難くなる。
【0029】このようにして、ポリオレフィン系樹脂構
造体が得られる。本発明の製造方法によれば、表面シー
トのエンボス加工を射出成形の前に予め施すことから、
射出成形金型として凹凸が付されたものを用いる必要が
ない。したがって、構造体の形状、大きさ等に合わせた
射出成形金型それぞれについて凹凸を付す必要ないので
効率的であり、金型の製造コストも低減することができ
る。
【0030】本発明の製造方法により得られる構造体
は、凹凸が付された表面シートが積層されていることか
ら、リサイクル樹脂製の基体のヒケやウェルドライン等
をカバーすることができ、外観も優れたものとなる。そ
の上、基体はシートでラミネートされることから、基体
に用いる樹脂はどのような色であってもよい。更に、シ
ートの色、模様等を変更することにより容易に構造体自
体の表面装飾を変更することができるので、一つの射出
成形金型で多様なデザインのものを製造することがで
き、効率が良い。また、シートと基体の材料は同じポリ
オレフィン系樹脂であることから、軽量化、低コスト化
を図ることができる上、積層一体化する際に接着剤を必
要とせず、また、リサイクルも容易になるという効果を
も奏する。更に、シートはエンボス加工されていること
から、表面の硬度が高く、傷が付き難く、白化防止に有
効である。更に、シートでヒケやウェルドをカバーで
き、色付けしたい場合もシートを印刷加工すればよいの
で、有機溶剤を用いたスプレー式の塗装をする必要がな
く、環境を汚染することがなく、コスト的にも有利であ
る。
【0031】このような構造体は、例えば、家庭電化製
品、OA機器、車両機器等のプラスチックが使用されて
いる製品に適用することができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を図1〜図7を参
照しながらより詳細に説明する。但し、本発明はこれに
限定されるものではない。 〔実施例1〕図1は、本実施例で製造した構造体1の構
造を示した側面図である。本実施例に係る構造体1は、
ポリプロピレン樹脂(以下、PP樹脂という。)を材料
とする基体10と、片面にエンボス加工により凹凸が付
されたエンボス加工面24を備えたPP樹脂を材料とす
る表面シート20とからなり、前記表面シート20の凹
凸加工面24の裏面が前記基体10と接するように前記
表面シート20と前記基体10とが積層一体化されてい
る。表面シート20は、エンボス加工面24を備えた透
光性を有する透明シート26と、基体10と積層一体化
したベースシート28とからなり、透明シート26は凹
凸加工面24の裏面に印刷が施された印刷面32を備
え、印刷面32を介して透明シート26とベースシート
28とが積層一体化されている。そして、本実施例で
は、透明シート26の厚さを125μm、ベースシート
28の厚さを145μmとして、表面シート20全体の
厚さを270μmに設定している。また、本実施例で
は、基体の厚さを3mm前後に設定しているが、適用した
い部材に応じて適宜設定することができる。
【0033】本実施例の構造体1の製造方法を図2を元
に、図3〜図4を参照して詳細に説明する。先ず、図2
において、このPP樹脂構造体の製造方法は、表面シー
ト20を作成するシート製造工程1000と、表面シー
ト20と基体10とを一体成形して構造体を作成する構
造体の製造工程2000とから構成される。また、得ら
れた各構造体を組み立てる製品組立工程3000により
所望の製品が得られる。そして、本PP樹脂構造体を使
用した製品は、市場に流通して廃棄された場合、再生可
能な物性を備えたものは製品回収して粉砕工程4000
の後、前記シート製造工程1000または構造体の製造
工程2000に供給されてリサイクルされる。一方、例
えば、複数回のリサイクルを行った等によりPP樹脂構
造体としての物性を備えていないものについては焼却工
程4500において焼却処分されるかまたは埋め立て処
分される。
【0034】本実施例では、構造体1の製造にあたり、
シート製造工程1000において、先ず、PP樹脂溶解
工程1100で溶解したPP樹脂を、次のシート作成工
程1200でカレンダ成形してシートを作成する。本実
施例では表面シート20を積層シートとしているので、
このシート作成工程1200では、透明シート26を作
成する透明シート作成工程1210と、ベースシートを
作成するベースシート作成工程1220を行う。また、
シート作成工程1200では、溶解したPP樹脂をカレ
ンダー成形機、例えば、ロール直径610mm(12イン
チ)、ロール数4本、ロール配列逆L形、ロール温度1
90度のカレンダ成形機にてシート状に圧延成形する。
ここで、透明シート26は、透明度や外観品質を向上さ
せるためにPP樹脂の透明なバージン材を使用して厚さ
125μmのシート状に作成している。また、ベースシ
ート28は、PP樹脂のバージン材またはリサイクル材
に顔料を充填して厚さ145μmのシート状に作成す
る。なお、リサイクル材をベースシート28に利用する
場合は、リサイクル材の色より濃い顔料を充填するよう
にする。次に、得られた透明シート26は、シートの印
刷加工工程1300において、透明シート26の片面に
グラビア印刷により石目模様を印刷し、次に、シートの
エンボス加工工程1400において、透明シート26の
印刷されていない面にロール温度160℃のエンボスロ
ールにて凹凸模様を施すようにする。本実施例では、凹
凸模様を均一なしぼ模様としている。
【0035】次に、積層一体化工程1500において、
凹凸模様と印刷が施された透明シート26と、ベースシ
ート28を、ベースシート28と印刷面32が接するよ
うにロール加工等で熱圧着する。ここで、PP樹脂は1
60℃前後で変形が起こるので、熱圧着の際は接着面を
150℃から160℃に設定し、エンボス加工面24側
を160℃より低く設定することにより、エンボス加工
面24に変形を起こすことなく両シートを接着させる。
次に、前記表面シート20を使用した構造体の製造工程
2000を詳細に説明する。先ず、表面シート20は、
シートの切断工程2100において、構造体の大きさや
熱膨張係数等を考慮して成形品の大きさに切断し、次
に、シートの成形工程2200において、射出成形の事
前の予備成形を施す。この予備成形は、真空成形法また
は160度以下の熱加工で行う。真空成形法で行う場
合、PP樹脂が軟化する程度の温度、例えば、100〜
120℃に保たれた真空成形金型の平面部に、ベースシ
ート28側が接するように表面シート20を配置し、次
いで真空排気することにより、表面シート20を前記平
面部と対向する、表面カバー137を型取った金型に該
シートの透明シート26側が接するように引き付けて成
形する。この際、表面カバー137を型取った金型の温
度を50〜80℃程度にすることで凹凸に変形が起こら
ないようにする。また、熱加工で予備成形する場合に
は、温度50〜80℃程度の凹金型に、透明シート26
側が金型面に接するように置いて、ベースシート28側
から温度100〜120℃程度の凸金型でプレス加工す
ることにより行う。
【0036】次に、予備成形された表面シート20を、
シートの金型への装着工程2300において、ベースシ
ート28側が次に射出充填される樹脂と接するような向
きで金型に装着し、基体用樹脂の金型への射出工程24
00において、表面シート20と基体10が積層一体化
した構造体となるように基体10となるPP樹脂を射出
成形する。この基体用樹脂の金型への射出工程2400
を図3及び図4に基づいて詳細に説明する。
【0037】図3は、射出成形金型の概略を示した断面
図であり、図4は射出成形金型のゲート付近の概略を示
した中央断面斜視図である。図において、射出成形用の
金型は、表面シート20が装着される金型Aと、ゲート
50を備えた金型Bとから構成され、溶解した基体用樹
脂がシリンダ52からゲート50を介して金型キャビテ
ィ内に供給される。この射出成形では、表面シート20
が接する金型Aの温度を160℃以下の温度、例えば5
0℃から80℃に設定し、基体側の金型Bの温度を10
0℃から120℃、シリンダの温度を150℃から18
0℃に設定し、金型Aに前記表面シート20を装着し
て、前記シリンダ52から図4に示すような、先端部5
1がスプルー側からキャビティ側に向かって連続的に広
がった、即ち扇形に広がっており、且つ該先端部の断面
形状が略横長矩形状のゲート50を介して、樹脂を50
0kg/cm2 から1000kg/cm2 の射出圧力で射出して
一体成形する。
【0038】ここで、本実施例では表面シート20の厚
さを薄く設定しているので、小さな円形の穴の両側に細
いスリットが形成された、断面形状が略横長矩形状のゲ
ート50を採用している。円状のピンゲート60(図4
において、上記のようなゲート50と隣接して図示)を
用いた場合、シリンダー52から供給される基体用樹脂
は矢印Y2に従って細いピンゲート60を介してベース
シート28の狭い範囲Q2にぶつかり周囲に広がってキ
ャビティ内に流入される。このため、表面シート20が
厚いものについては問題とはならないが、本実施例のよ
うに薄い表面シート20については、流入される基体用
樹脂の圧力を直接受け止めるベースシート28の範囲が
範囲Q2と狭くなるので、射出圧力によっては、範囲Q
2のベースシート28の部分の損傷、例えば、溶解して
他の部分よりベースシート28が薄くなり、透明シート
26の裏面の印刷面32やエンボス加工面24に影響を
及ぼすことが考えられる。これらの対策としては、射出
圧力を落としたりベースシート28を厚くしたりする等
のことが考えられるが、射出圧力を小さくすると流入に
時間がかかってウェルドの発生の原因となり、また、ベ
ースシート28を厚くすると、結果として表面シート2
0の厚さを増すこととなる。更に、ピンゲート60の直
径を大きくしたり、数を増やしたりすることも可能であ
るが、ゲートの除去工数を増やすこととなり、効率が悪
い。
【0039】一方、上記のようなゲート50によれば、
シリンダーから供給される基体用樹脂は矢印Y1に従っ
てゲート内壁に沿って扇形に徐々に広がってベースシー
トの広い範囲Q1にぶつかり周囲に広がってスムーズに
乱流を起こすことなくキャビティ内に流入される。この
ため、前記従来例に比べて、流入される基体用樹脂の圧
力を直接受け止めるベースシート28の範囲Q1が広く
なるので、射出圧力の影響を広いQ1で受け止めること
となり表面シート20への影響を軽減することができ
る。更に、基体10に残るゲート50の残り物は薄い板
状となるので除去が容易である。
【0040】このように、本実施例によれば、透明シー
ト26は、エンボス加工面24が低い温度の金型と接す
るので、凹凸模様に変形を起こすことが少なく、また、
印刷面32はベースシート28に保護されて射出された
樹脂による障害を受けることがなく、更に、ベースシー
ト28の樹脂基体側が溶けて基体20と一体成形され
る。加えて、ゲート50のような先端部がスプルー側か
らキャビティ側に向かって連続的に広がっており、且つ
該先端部の断面形状が細長い形状のゲートを採用するこ
とにより、簡単な金型変更でベースシート28の障害を
軽減することができ、結果として、表面シート20の薄
型化を図ることができる。なお、本実施例では、携帯用
のワープロに用いる表面シート20を薄くした表面カバ
ー137を成形するために、上記のようなゲート50を
採用したが、表面シートの厚さを大きくしたり、あるい
は、他の大型の成形品については従来のピンゲート60
や他のゲートを使用してもよい。
【0041】そして、構造体完成工程2500の最後に
ゲート部50aやバリ等を除去して構造体1を完成す
る。
【0042】〔実施例2〕図5は、本実施例で製造した
構造体2の構造を示した側面図である。本実施例に係る
構造体2は、PP樹脂を材料とする基体10と、片面に
エンボス加工により凹凸が付されたエンボス加工面24
を備えたPP樹脂を材料とする透光性を有する表面シー
ト72とからなり、該表面シート72は凹凸加工面24
の裏面に印刷が施された印刷面32を備え、同印刷面3
2と前記基体10と接するように前記シート20と前記
基体10が積層一体化した構造体としている。表面シー
ト72は、厚さ100μmから1000μm程度の厚さ
とし、基体の厚さは適宜設定する。また、表面シート7
2は、曲面や大きな折り曲げが必要な場合は、厚さを例
えば100μmから300μm程度に設定して表面シー
ト72の予備加工時のしわを軽減するようにする。ま
た、平坦な面に積層され、奥行感をより強調した模様を
得る場合は厚いシートを採用するとよい。
【0043】また、上記のような一層式の表面シート7
2を使用する場合は、耐熱効果のある充填材を原料樹脂
に配合することにより、射出成形時のシートに対する熱
影響を少なくするようにするとよい。このようにすれ
ば、エンボス加工の精度を高めることができるととも
に、シートの厚さを小さくすることができる。充填材料
として、耐熱効果のある、例えば、炭酸カルシウム、カ
オリン、マイカ、タルク等の微粒子材料をベース材料に
対して5重量%から10重量%配合することにより、リ
サイクルや環境性を損わず行うことができる。また、環
境への影響を除外すればアルミ片、ガラス繊維等の鉱物
質、石綿、ガラス繊維物質、カーボンブラック等の材料
でもよい。
【0044】図6は、前記構造体72を備えた製品の製
造工程を示したものである。この製造工程では、前記図
2で示した製造工程における表面シート製造工程が相違
する。本実施例における表面シート製造工程1000a
では、ポリオレフィン系樹脂溶解工程1100で溶解し
たPP樹脂をカレンダ成形によるシート作成工程120
0aで透明なシート72のみ作成し、シートの印刷加工
工程1300、シートのエンボス加工工程1400を経
て表面シートを完成する。したがって、この表面シート
72の製造工程では、図2の表面シート20に比べて2
工程少なくすることができる。なお、他の製造工程は図
2と同様につき省略する。また、図7は、表面シート製
造工程を図6で示す工程と同様な工程とし、構造体の製
造工程が図2および図6の構造体の製造工程2000と
相違する。この構造体の製造工程2000aでは、シー
ト切断工程2100で製品の大きさに対応して切断した
シート72を、図2および図6で示すシートの成形工程
2200を省略して直接シートを金型に装着させるシー
トの金型への装着工程2300工程を行う。ここで用い
る金型は、排気孔が設けられており、更に金型キャビテ
ィ内から空気を排気する真空機構が設けられた射出成形
金型である。そして、シートの真空成形工程2250に
おいて、真空排気することによりシートを金型に密着さ
せて成形することにより射出成形金型内で予備加工す
る。その後、基体用樹脂の金型への射出工程2400、
構造体完成工程2500を経て構造体の製造工程200
0aを終了する。この製造工程によれば、図2および図
6で示す工程に比べて2工程減らすことができる。この
製造工程は、成形品を大量に成形する場合に適してい
る。尚、図2のシート製造工程1000と図7で示す構
造体の製造工程2000aとを組み合わせてもよい。ま
た、図1および図5で示した構造体は、表面シートを透
明シートとしているが、表面にエンボス加工による凹凸
加工面を備えれば、傷が付き難く、環境やリサイクル性
等に優れた構造体を得ることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂
製の基体とポリオレフィン系樹脂製の表面シートとから
なるポリオレフィン系樹脂構造体を、効率よく、しかも
コスト的に有利に製造することができるので生産性が向
上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】構造体1の構造を示す側面図である。
【図2】本発明の構造体の製造工程の一例を示す図であ
る。
【図3】射出成形金型の概略を示した断面図である。
【図4】射出成形金型のゲート付近の概略を示した中央
断面斜視図である。
【図5】構造体2の構造を示す側面図である。
【図6】本発明の構造体の製造工程の一例を示す図であ
る。
【図7】本発明の構造体の製造工程の一例を示す図であ
る。
【図8】射出成形金型のゲートの断面形状を示す図であ
る。
【図9】射出成形金型のゲートの断面形状を示す図であ
る。
【符号の説明】
10…基体、20…表面シート、24…凹凸加工面、2
6…透明シート、28…ベースシート、32…印刷面、
50…ゲート、60…ゲート、72…表面シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 63/02 9446−4F B29C 63/02 // B29K 23:00 105:32 503:04 B29L 9:00 (72)発明者 鈴木 成彦 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株 式会社日立製作所電化機器事業部内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂製の基体と、片面
    にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系
    樹脂製の表面シートとが積層一体化されたポリオレフィ
    ン系樹脂構造体を製造する方法であって、 表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレン
    ダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエ
    ンボスロールを用いてエンボス加工することによりシー
    トの片面に凹凸を付する工程(A-2)を含む、表面シート
    の製造工程(A) 、並びに前記工程(A) で得られた表面シ
    ートを切断する工程(B-1) 、 切断された表面シートを予備成形する工程(B-2) 、及び
    予備成形された表面シートを、該シートの凹凸面と反対
    の面が射出充填される樹脂と接するような向きで射出成
    形金型に装着し、次いで該金型のキャビティ内に基体用
    の溶融したポリオレフィン系樹脂を射出充填して表面シ
    ートと基体とを一体成形する工程(B-3)を含む、構造体
    の製造工程(B)を含むことを特徴とする、ポリオレフィ
    ン系樹脂構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記工程(B-3) において、表面シートの
    凹凸面が接触する金型の温度が 160℃以下であることを
    特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂構
    造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記工程(A-1) において、表面シート用
    のポリオレフィン系樹脂に耐熱性充填材を配合すること
    を特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂
    構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記工程(B-3) において、溶融したポリ
    オレフィン系樹脂を導入するためのゲートが表面シート
    とは反対の基体側にあって、該ゲートの先端部はスプル
    ー側からキャビティ側に向かって連続的に広がってお
    り、且つ該先端部の断面形状は細長い形状であることを
    特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ
    オレフィン系樹脂構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(B-3) において、溶融したポリ
    オレフィン系樹脂を導入するためのゲートが表面シート
    とは反対の基体側にあって、該ゲートの先端部はスプル
    ー側からキャビティ側に向かって連続的に広がってお
    り、且つ該先端部の断面形状は十字形であることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレ
    フィン系樹脂構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂製の基体と、片面
    にエンボス加工による凹凸が付されたポリオレフィン系
    樹脂製の表面シートとが積層一体化されたポリオレフィ
    ン系樹脂構造体を製造する方法であって、 表面シート用の溶融したポリオレフィン系樹脂をカレン
    ダー成形によりシート状に成形する工程(A-1) 、及びエ
    ンボスロールを用いてエンボス加工することによりシー
    トの片面に凹凸を付する工程(A-2)を含む、表面シート
    の製造工程(A) 、並びに前記工程(A) で得られた表面シ
    ートを切断する工程(B-1) 、 切断された表面シートを、排気孔が設けられた射出成形
    金型に該シートの凹凸面と反対の面が射出充填される樹
    脂と接するような向きで装着した後、真空排気すること
    により前記表面シートを予備成形し、次いで、該金型の
    キャビティ内に基体用の溶融したポリオレフィン系樹脂
    を射出充填して表面シートと基体とを一体成形する工程
    (B-4)を含む、構造体の製造工程(B)を含むことを特徴と
    する、ポリオレフィン系樹脂構造体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記工程(B-4) において、表面シートの
    凹凸面が接触する金型の温度が 160℃以下であることを
    特徴とする、請求項6に記載のポリオレフィン系樹脂構
    造体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記工程(A-1) において、表面シート用
    のポリオレフィン系樹脂に耐熱性充填材を配合すること
    を特徴とする、請求項6に記載のポリオレフィン系樹脂
    構造体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記工程(B-4) において、溶融したポリ
    オレフィン系樹脂を導入するためのゲートが表面シート
    とは反対の基体側にあって、該ゲートの先端部はスプル
    ー側からキャビティ側に向かって連続的に広がってお
    り、且つ該先端部の断面形状は細長い形状であることを
    特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載のポリ
    オレフィン系樹脂構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程(B-4) において、溶融したポ
    リオレフィン系樹脂を導入するためのゲートが表面シー
    トとは反対の基体側にあって、該ゲートの先端部はスプ
    ルー側からキャビティ側に向かって連続的に広がってお
    り、且つ該先端部の断面形状は十字形であることを特徴
    とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載のポリオレ
    フィン系樹脂構造体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記表面シートが透明であり、その凹
    凸面と反対の面に印刷が施されている、請求項1〜10
    のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂構造体の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 工程(A-1) と工程(A-2) との間に、シ
    ートの片面に印刷加工を行うことにより印刷を施す工程
    を含むことを特徴とする、請求項11に記載のポリオレ
    フィン系樹脂構造体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記表面シートが、片面にエンボス加
    工により凹凸が付され、凹凸面と反対の面に印刷が施さ
    れた透明シートを、色彩を備えたベースシートの上に積
    層した積層シートである、請求項11又は12に記載の
    ポリオレフィン系樹脂構造体の製造方法。
  14. 【請求項14】 工程(A-1) と工程(A-2) との間にシー
    トの片面に印刷加工を行うことにより印刷を施す工程を
    含み、工程(A-2) の後に透明シートとベースシートとの
    積層一体化工程を含む、請求項13に記載のポリオレフ
    ィン系樹脂構造体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001070305A1 (fr) * 2000-03-22 2001-09-27 Kawasumi Laboratories, Inc. Tube a usage medical, son procede de fabrication et dispositif a cet effet, et instrument medical
WO2008001455A1 (fr) * 2006-06-30 2008-01-03 Shin-Etsu Polymer Co., Ltd. Article moulé en résine auquel on a inséré un film et son procédé de production
JP2009291990A (ja) * 2008-06-03 2009-12-17 Suzuki Motor Corp 成形用金型構造及び成形方法

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