JPH09169603A - 土壌くん蒸剤 - Google Patents

土壌くん蒸剤

Info

Publication number
JPH09169603A
JPH09169603A JP1633696A JP1633696A JPH09169603A JP H09169603 A JPH09169603 A JP H09169603A JP 1633696 A JP1633696 A JP 1633696A JP 1633696 A JP1633696 A JP 1633696A JP H09169603 A JPH09169603 A JP H09169603A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soil
fumigant
soil fumigant
ribbon
chloropicrin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1633696A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Iwamori
暁 岩森
Shohei Nozaki
正平 野崎
Masao Imai
正雄 今井
Kanemitsu Miyama
兼光 深山
Masaru Arai
優 荒井
Hitoshi Shimotori
均 下鳥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP1633696A priority Critical patent/JPH09169603A/ja
Publication of JPH09169603A publication Critical patent/JPH09169603A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 常温で液体の土壌殺菌及び/または殺虫
剤を、水溶性及び/または生分解性フィルムでスティッ
ク状に密封、包装してなる土壌くん蒸剤であって、該常
温で液体の土壌殺菌及び/または殺虫剤が、それを吸収
しうる吸収剤を添加して固形化されていることを特徴と
する土壌くん蒸剤およびその施用方法。 【効果】 本発明にかかる土壌くん蒸剤は全て土壌施用
前においてはその毒性、揮散性、刺激性が抑えられ、施
用後においては速やかに土壌くん蒸剤の有効成分が土壌
中に放出される。また、本発明は、専用の機械を用いな
くても、くん蒸作業を行う作業者の作業効率を著しく向
上させた製剤の形態、並びに効果的な施用方法を提供す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌用くん蒸剤を
土壌に施用する際の作業性を向上させた農薬の形態、並
びにその効果的な施用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】常温で液体である土壌くん蒸剤、例えば
クロルピクリン、1,3−ジクロルプロペン、ジクロル
ジイソプロピルエーテル、メチルイソチオシアネートは
液体のまま施用する場合、土壌潅注機のタンクに充填し
て使用され、潅注機の先端ノズルから土壌中に放出され
る。この場合、くん蒸剤の毒性、揮散性、刺激性の為に
作業者の健康に悪影響を及ぼすことが懸念される。近
年、こうした薬害を防止する目的で、これら土壌くん蒸
剤を固形化し、施用操作を容易にする試みがなされてい
る。例えば、クロルピクリンにジベンジリデンソルビト
ール及びゲル化調製剤とを有機溶媒中で混合、ゲル化さ
せ、ガス不透過性フィルムによって真空包装する方法
(特開昭62−192301号公報)、或いは、液体ク
ロルピクリンを多孔性粒状体に吸収させ、水溶性高分子
で被覆する方法が開示されている(特開平01−172
302号公報)。この様な方法で作製した製剤はそれぞ
れに長短を有しているが、特に土壌中でのくん蒸剤有効
成分の放出性に劣っていた。また、これら製剤の施用方
法は、作業者が土壌中に穴を開け一つ一つ錠剤を入れて
土で埋めるか、または専用の施用機により錠剤を打ち込
んで行くかの方法であり、前者は作業効率の低さ、後者
は別途、専用機器を購入しなければならないという問題
があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決した、即ち作業者が製剤を施用している時はくん
蒸剤の有効成分が漏れることなく、かつ土壌中に施用し
た後はくん蒸剤の有効成分が速やかに均一に土壌中に放
出される土壌くん蒸用製剤を提供するものである。更に
本発明は、くん蒸の作業効率を著しく向上させるよう考
案された形態の土壌くん蒸用製剤、並びに施用方法を提
供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決すべく検討、研究を重ねた結果、本発明に至っ
た。すなわち、本発明は、(1) 常温で液体の土壌殺
菌及び/または殺虫剤を、水溶性及び/または生分解性
フィルムでスティック状に密封、包装してなる土壌くん
蒸剤であって、該常温で液体の土壌殺菌及び/または殺
虫剤が、それを吸収しうる吸収剤を添加して固形化され
ていることを特徴とする土壌くん蒸剤であり、また、
(2) スティック状に密封、包装された土壌くん蒸剤
が、複数個連続体として包装されたリボン状形態を有す
る(1)記載の土壌くん蒸剤であり、また、(3) リ
ボン状形態を有する土壌くん蒸剤が、折り畳まれた状態
である(2)記載の土壌くん蒸剤であり、また、(4)
リボン状形態を有する土壌くん蒸剤が、ロール状にま
るめられた状態である(2)記載の土壌くん蒸剤であ
り、また、(5) リボン状形態を有する土壌くん蒸剤
を、短軸方向に複数個連結させネット状形態とした
(2)〜(4)のいずれかに記載の土壌くん蒸剤であ
り、また、(6) 土壌殺菌及び/または殺虫剤が、ク
ロルピクリン、1,3−ジクロルプロペン、ジクロルジ
イソプロピルエーテル、メチルイソチオシアネートの中
の1種または2種以上を組み合わせたものである(1)
〜(5)のいずれかに記載の土壌くん蒸剤であり、ま
た、(7) 常温で液体の土壌殺菌及び/または殺虫剤
の包装材たる、水溶性及び/または生分解性フィルムが
ポリビニルアルコール(PVA)である(1)〜(6)
のいずれかに記載の土壌くん蒸剤であり、また、(8)
吸収剤が水溶性及び/または生分解性有機物である
(1)〜(7)のいずれかに記載の土壌くん蒸剤であ
り、また、(9) 水溶性及び/または生分解性有機物
が、澱粉及び/または澱粉の分解物である(8)記載の
土壌くん蒸剤であり、また、(10) 吸収剤が天然土
石類である(1)〜(7)のいずれかに記載の土壌くん
蒸剤であり、また、(11) 天然土石類が焼結けいそ
う土である(10)記載の土壌くん蒸剤であるり、ま
た、(12) 超微粒子状シリカを混合してチクソトロ
ピー性を有する固形状とした(1)〜(11)のいずれ
かに記載の土壌くん蒸剤であり、また、(13) 土壌
表面に静置されるか土壌中の適度な深さに埋設して施用
される(1)〜(12)のいずれかに記載の土壌くん蒸
剤であり、また、(14) さらにその静置または埋設
した土壌表面がプラスチック被覆材で覆われる(13)
記載の土壌くん蒸剤であり、また、(15) リボン状
形態を有する土壌くん蒸剤を連続包装機にかけて製造す
ることを特徴とする(2)〜(12)のいずれかに記載
の土壌くん蒸剤の製造方法に関するものであり、また、
(16) (2)〜(12)のいずれかに記載のリボン
状形態を有する土壌くん蒸剤を、土壌表面に静置するこ
とを特徴とする土壌病害虫防除及び除草方法であり、ま
た、(17) (2)〜(12)のいずれかに記載のリ
ボン状形態を有する土壌くん蒸剤を、土壌中の適度な深
さに埋設することを特徴とする土壌病害虫防除及び除草
方法であり、また、(18) リボン状形態を有する土
壌くん蒸剤を土壌表面に静置または土壌中に埋設した
後、土壌表面をプラスチックフィルム被覆材で覆うこと
を特徴とする(16)または(17)記載の土壌病害虫
防除及び除草方法であり、また、(19) クロルピク
リンを有効成分とする除草剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、土壌くん蒸剤を水溶性
及び/または生分解性フィルムでスティック状に密封、
包装する、といった方法をとることにより、くん蒸剤有
効成分が水溶性及び/または生分解性フィルムを介して
空気と接する面積が広くなり、土壌空隙中でのくん蒸剤
有効成分の放出性の向上が実現できるのである。
【0006】本発明でいうスティック状土壌くん蒸剤と
は、土壌殺菌及び/または殺虫剤を水溶性及び/または
生分解性フィルムで作製した細長いスティック状の袋、
或いは容器中に封入したもので、袋、或いは容器の接着
部分を除き、土壌くん蒸剤の有効成分がスティック状の
袋或いは容器内全面に広がり得るものを言う。一部に片
寄っているものは土壌くん蒸剤の有効成分が、好ましく
はガスバリア性を有する水溶性及び/または生分解性フ
ィルムを介して土壌と接する面積が少なくなり、有効成
分の放出速度、土壌中でのくん蒸剤有効成分濃度の均一
性が保てなくなることから好ましくない。
【0007】本発明にいうスティック状のより好ましい
形態としては、土壌くん蒸剤を包装、封入した状態にお
ける厚みが、主面の面積に対し充分薄いようなものであ
る。なお、長手方向の長さが充分あるヒモ状又は円柱状
の場合、断面は円形でも偏平形でもよい。
【0008】スティック状土壌くん蒸剤の場合、土壌殺
菌及び/または殺虫剤を、直接に水溶性及び/または生
分解性フィルムで包装してもできるが、このままでは製
剤の保存時における重量減少といった経時的安定性の
面、並びに運搬時及び施用時における安全性の面で大き
な問題が残る。
【0009】そこで、スティック状土壌くん蒸剤の場
合、土壌殺菌及び/または殺虫剤を吸収させ固形化する
吸収剤が必要となるが、ここで用いる吸収剤の性質とし
ては、吸収能が高く、かつ施用後は速やかに有効成分が
放出され、かつ土壌中での残留性が少なく、かつ製剤の
保存安定性に優れ、かつ環境に優しい担体でなければな
らない。特開平6−345605号公報に開示されてい
るモミガラ、ピーナッツガラ、トウモロコシ芯破砕物な
どは環境面で問題があり好ましくない一方、ホワイトカ
ーボン等の含水シリカを混合した土壌くん蒸剤では保存
安定性の面で問題が残る。
【0010】本発明で用いることのできる吸収剤は、前
記した性質を有する水溶性有機物及び/または生分解性
有機物、好ましくは澱粉及び/または澱粉の分解物を中
心とした多糖類、或いは天然土石類、好ましくは焼結け
いそう土などが挙げられる。以下に吸収剤として用いる
水溶性有機物及び/または生分解性有機物について、更
に詳しく説明する。
【0011】すでに、土壌くん蒸剤がクロルピクリンで
ある場合に、これを水の存在下に環状デキストリンを担
体としてこれと接触させることにより、該クロルピクリ
ンを環状デキストリンへ包接させ、その揮発性を抑えた
製剤が開示されているが(特開昭50−89306号公
報)、この方法では包接されるクロルピクリンの量が少
ないため製剤の有効濃度が充分に上がらず、実用的では
ない。更に、クロルピクリンを担体に包接させる場合、
担体にクロルピクリンを吸着させるのに時間がかかるう
え、このような方法で製剤を作成した場合、担体に吸着
させたクロルピクリンが今度は逆に土壌中では容易に脱
着しないため、土壌中に揮散、放出されるのにも時間を
要し、製剤の速効性の面でも問題がある。
【0012】また、液体クロルピクリンを多孔性粒状体
に吸収させ、水溶性高分子で被覆する方法が開示されて
いるが(特開平01−172302号公報)、この方法
だと、クロルピクリンの吸着にかなりの時間を要するこ
とに加え、吸収、ろ過、吸水性有機物によるコーティン
グ、乾燥といった複雑で長い製剤化工程であるといった
欠点も有している。更に、吸水性有機物として生体にと
って無毒とはいえないジルコニウム化合物を用いている
ため、野外で使用するには、必ずしも環境に優しい製剤
であるとは言えない。更にまた、2〜10mm程度の大
きな多孔性粒状体に吸収させているため、特開昭50−
89306号公報に記載された製剤と同様、クロルピク
リンが土壌中に揮散、放出されるのにも時間を要し、製
剤の速効性の問題がある。
【0013】従って、本発明に用いる吸収剤としては、
製剤としての有効成分含量を高くすることができて、製
造コストを低くおさえ、製造工程が簡略で、クロルピク
リン等の製剤の散布時における揮散性、刺激性、催涙性
を効果的に抑えられ、かつ、いったん製剤が土壌に散布
されると、今度は速やかにクロルピクリン等が土壌中に
放出される、自然環境の保護の面でも有効なクロルピク
リン等の製剤になり得るものが好ましい。
【0014】吸収剤で吸収させるということは、通常の
包接とは異なり、混合後、直ちに密封、包装できる形態
のものであり、このようなクロルピクリン等の製剤は散
布されると製剤の有効成分が土壌中で速やかに揮散、放
出され、クロルピクリン等の残留性の少ない速効性のも
のである。
【0015】本発明においては、このようなクロルピク
リン等の土壌殺菌及び/または殺虫剤と混合させる吸収
剤には、何れの水溶性及び/または生分解性有機物を用
いうる。なお、クロルピクリン等の吸収量の少ない吸収
剤を用いた場合、製剤の有効成分が少なくなる為、製剤
の形状が大きくなり、製剤化コストが上昇してしまった
り、或いは製剤の運搬コストも高くなる等といった理由
で工業的に用いるのには適していないので、製剤の有効
成分含量は特に定められた値があるわけではないが、上
記理由で実用化の観点から50%以上のものが好まし
い。
【0016】そこで、クロルピクリン吸収量が高く、ク
ロルピクリンの残留性の少ない水溶性及び/または生分
解性有機物を鋭意検討したところ、澱粉や澱粉の分解物
が一般的に使用できることを見出した。なかでも一部の
澱粉、デキストリンは吸収量が高く、残留性も少ないこ
とがわかった。即ち、馬鈴薯澱粉は吸収量が低く、上記
の理由で製剤として用いるのにはそれほど好ましくはな
い一方、とうもろこし澱粉、可溶性澱粉は吸収量が高く
クロルピクリン無臭化、無刺激化製剤の工業的製法に特
に適していることを見いだした。
【0017】同様に、澱粉分解物であるデキストリンに
於いても環状デキストリンはクロルピクリン吸収量が少
なく、残留性が低くないため、無臭化、無刺激化製剤に
用いるにはあまり好ましくない一方、α−グルコースが
直鎖状に連なったデキストリンはクロルピクリン吸収量
が高く、かつ土壌中での残留性も少なく、クロルピクリ
ン無臭化、無刺激化製剤の工業的製法に適していること
がわかった。
【0018】ここで言うα−グルコースが直鎖状に連な
ったデキストリンは特に限定されるものではないが、好
ましくはDE値が2〜40程度がよい。分解度の大きな
デキストリン、例えば単糖(α−グルコース)、二糖に
まで分解されてしまうとクロルピクリン吸収量が低くな
り、好ましくない。
【0019】また、吸収剤として用いる澱粉、或いはデ
キストリンは、クロルピクリン等の液体が、見掛け上残
存しない程度の量比でできるだけ吸収剤の量を少なくし
たものが工業的に製造する上で好ましい。この最適な混
合量比はクロルピクリン等と混合させる澱粉、或いはデ
キストリンの種類によって異なる。例えば、とうもろこ
し澱粉を用いた場合、クロルピクリン6重量部に対しと
うもろこし澱粉5重量部程度の比で混合するのが好まし
い。
【0020】このような水溶性有機物及び/または生分
解性有機物で吸収させ、水溶性及び/または生分解性フ
ィルムでスティック状に密封、包装したクロルピクリン
等の製剤は土壌散布後の速やかな有効成分の放出性を有
する一方、製造後の経時的保存安定性にも優れている。
例えば、クロルピクリンを澱粉或いはデキストリンに吸
収させ、PVA(ポリビニルアルコール)フィルムでス
ティック状に密封、包装した製剤は、3年間室温に放置
しても重量減少は殆ど認められない。即ち、本クロルピ
クリン等の製剤は、土壌中での放出性と保存安定性とい
った相反する性質をも兼ね備えた優れた製剤である。
【0021】更に、超微粒子状シリカを混合させ、チク
ソトロピー性を持たせる事により、流動物として扱える
ので、後記する自動充填包装機が適用でき、製剤を連続
生産させる上で有効である。この場合、特に前記した吸
収剤を添加することが製剤の安定性の上で好ましい。
【0022】超微粒子状シリカを添加する場合は上述の
多糖類を添加し吸収させるよりも更に添加量を削減で
き、製剤の総重量をより低く押さえることができるとい
った利点を有する。超微粒子状シリカの場合、添加量は
農薬有効成分に対し4〜15wt%程度が好ましい。こ
の様な製剤は、例えば液体に超微粒子状シリカを添加し
てチクソトロピー性を有するものとしてPVAフィルム
等の包装材(袋)に入れ、吸収剤を添加して製造するこ
とができる。
【0023】また、本発明のスティック状土壌くん蒸剤
は、上記スティック状のユニットを複数個連続してリボ
ン状に包装し、またそれを折り畳んだり、ロール状にま
るめられたものとすることが好ましい。特に、折り畳ん
だり、ロール状にまるめられた(巻き取られた)クロル
ピクリン等の土壌くん蒸剤は、このように折り畳んだ
り、ロール状として全体を一つのパッケージとした場合
は、最外殻のみ大気にふれるのであり、ロールの内部に
おける大部分は互いに密着し大気からきわめて効果的に
遮断されることになり、PVAフィルム等の包装材料を
通して該パッケージからの土壌くん蒸剤有効成分の漏れ
を実質的に完全に抑えた、ガスバリア性にきわめて優れ
た製剤の形態なのである。これが、ロール状等とした場
合の一つの大きな効果である。
【0024】従来、耕地に多数の***をあけ、そこに1
個ずつ製剤を埋めていったのに対し、本発明のスティッ
ク状土壌くん蒸剤が複数個連続して包装されたリボン状
製剤、更にそれが折り畳まれたもの、或いはロール状に
まるめられたものは、圃場に適当な深さの溝を掘りそれ
に沿ってリボン状製剤を延ばしていけば良いので、専用
の施用機も必要とせず、作業効率を著しく向上させるの
である。
【0025】特開平6−345605号公報では、加工
時の経済性の観点から円筒、球形、角袋状の形状の包装
体や、これら包装体をテープ上の一定間隔に取り付ける
旨の簡単な記載がされている。このように、個々の包装
体をまず形成し、これをテープ上に取り付けるのは、具
体的な開示はないが、接着等の手段で取り付けた場合
は、その取り付ける工程が必要になる。また、テープと
して用いるフィルム、或いはシートも余分に使用せねば
ならず、工業的生産を考えるとコスト増につながり、好
ましくない。更に、包装体を一つずつ加熱溶融させて接
着させた場合は、手間がかかり工業的な生産が難しく、
また、包装体をラミネートして接着させる方法ではラミ
ネート時に包装体が破壊され、中のくん蒸剤が漏れてく
る危険性がある。
【0026】本発明のリボン状土壌くん蒸剤とは、この
ように別の包装体をテープに接着等の手段で取り付ける
ものではなく、フィルム自体が全体としてリボン状であ
ると共に、該リボンの一定間隔ごとに該リボンを構成す
るフィルム自体が包装体の部分を形成しているもの、好
ましくは原反たるフィルム(又はシート)から自動充填
連続包装機を用いて複数個連続して包装体を形成(およ
び該個々の包装体への土壌くん蒸剤の充填)されたもの
を言う。
【0027】本発明のスティック状土壌くん蒸剤の一例
の平面図を図1に示す。土壌殺菌及び/または殺虫剤2
を水溶性及び/または生分解性フィルム1で密封、包装
している。この様なスティック状土壌くん蒸剤の断面図
の一例のモデルを図6、7に示す。すなわち、薬剤を包
装、封入した状態における厚みが主面(平面図(又は底
面図)において表示されている面)に比較して充分薄い
ものである。なお、図6、図7はモデル図であり、厚み
と平面(主面)との割合は厳密に表現されているもので
はない。また、形状(角度)やなだらかさ(R)も任意
に変更可能であることは当業者も理解できるところであ
ろう。
【0028】スティック状の袋或いは容器について特に
大きさの制限はないが、施用しやすさ、高いくん蒸効率
の面で長さ3〜20cm、幅1〜10cmで、長軸a/
短軸bの長さの比が2〜20程度が好ましく、また、製
剤としての厚みは0.3〜3.0cm程度が好ましい。
【0029】また、スティック状の袋或いは容器の形に
ついても特に制限はないが、平面の形が、正方形または
長方形のもの、円または楕円形のもの、三角形、六角形
などの多角形のもの、瓶形のもの等が挙げられる。図1
の他に、スティック状土壌くん蒸剤の形態の一例を図8
〜10に示す。図8は八角形のスティック状土壌くん蒸
剤、図9は三角形のスティック状土壌くん蒸剤、図10
は瓶型の土壌くん蒸剤を示す。いずれにせよ、このよう
に薬剤封入時の厚みは主面に対して充分薄いものである
ことが好ましい。
【0030】スティック状の袋或いは容器を形成するフ
ィルムの厚みについては、その材質によっても異なる
が、あまり厚いと土壌に施用した場合の放出性が妨げら
れるし、薄いと製剤の保存時或いは施用時にくん蒸剤有
効成分が漏れてしまう。従って、通常は12.5〜20
0μm程度が特に好ましい。
【0031】また、本発明で用いられる水溶性及び/ま
たは生分解性フィルムとしては、ガスバリア性を有する
ことが好ましい。そのガスバリア性については、酸素ガ
ス透過率が4000cc/atm・m2 ・24hr以下
のものであれば、例えばクロルピクリン等の刺激臭はほ
とんど感じられないことを本発明者らは見出した。更に
好ましくはポリビニールアルコール(PVA)フィルム
など酸素ガス透過率が10cc/atm・m2 ・24h
r程度以下のものであればクロルピクリンの刺激臭は完
全に抑えられる。
【0032】用いられるフィルムとしては、PVAフィ
ルム(ハイセロンC、日合フィルム株式会社製)、変性
PVA、プルランフィルム(株式会社林原商事製)、キ
チン、キトサンや、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉やその誘導
体、或いはゼラチン等があげられる。ガスバリア性が余
り良くない場合は、フィルムの厚みを厚くする、或いは
多重に包装するなどすることによってガスバリア性を上
げることも可能である。多重にする場合、2種以上の異
なるフィルムを用いても良いことは言うまでもない。ま
た、包装材は包装物質、即ち土壌くん蒸剤やその吸収担
体と反応しないものを用いることが好ましい。フィルム
の強度と高いガスバリア性を得るために、紙、不織布、
繊維等に前述のフィルムを張り合わせたり、前述のフィ
ルム形成物質に塗布或いは含浸等の処理をするとなお好
ましい。このうち、土壌殺菌及び/または殺虫剤との反
応性、包装機械にかけた場合の袋化或いは容器化し易さ
の面で特にPVAフィルム、或いはPVAフィルムに水
溶性の紙、不織布を接着したものが好ましい。
【0033】土壌殺菌及び/または殺虫剤としては、常
温では液体であるが土壌中ではガス化し易いものであれ
ば本発明が好適に適用され、例えば、クロルピクリン、
1,3−ジクロルプロペン、ジクロルジイソプロピルエ
ーテル、メチルイソチオシアネート等が挙げられるが、
これらに限られるわけではない。これらは、1種または
2種以上を組み合わせて、同一スティック中に封入して
も良い。
【0034】更に、スティック状土壌くん蒸剤のユニッ
トの重量は、くん蒸効率、施用時の作業性から1〜20
g程度がよいが、くん蒸剤の種類によって変わることは
言うまでもない。
【0035】本発明のリボン状の土壌くん蒸剤の工業的
製造に用いる包装機の種類は特に限定されるものではな
いが、通常液体である土壌くん蒸剤と、水溶性及び/ま
たは生分解性有機物、或いは天然土石類などの粉末状吸
収剤を自動定量できるシステムを備えた自動充填包装機
が工業的製造方法として好まれる。
【0036】例えば、土壌くん蒸剤、吸収剤等をそれぞ
れ別々に連続して製造される包装袋内にパッケージング
しても良いし、例えば、オーガー等の自動充填装置に土
壌くん蒸剤、吸収剤等を添加し、撹拌しながら連続的に
製造される包装袋にパッケージングして製造してもよ
い。その場合、固形状の土壌くん蒸剤がチクソトロピー
性を有することは、これを流動物として扱えて自動充填
を可能ならしめるので、きわめて好都合である。また、
製剤の貯蔵安定性の面で、個々のスティック状製剤の中
には空気の気泡が入っていない方が好ましい。
【0037】図2に本発明のリボン状土壌くん蒸剤の一
例を示す。連結させる方向は縦でも横でもあるいは両方
向でも構わないが、余り横方向が長いと(幅があると)
施用し難いし、くん蒸効率の面でも好ましくは縦方向で
ある。連結させる数も施用する圃場の面積によって異な
るが、通常は30〜1000個程度である。
【0038】また、図11に本発明のネット状(千鳥格
子状)土壌くん蒸剤の一例を示す。リボン状土壌くん蒸
剤を短軸方向に複数個連結させたものであるが、連結さ
せる事により、施用作業の効率が更に向上する。
【0039】また、リボン状土壌くん蒸剤はそのままで
用いても良いが、大量に施用する場合、その作業効率、
或いは運搬・保存性の面で、折り畳まれた状態か、ロー
ル状にまるめられたもの即ち巻き取られたものがよい。
図3に本発明のリボン状土壌くん蒸剤の折り畳まれた状
態を、また、図4に本発明のロール状土壌くん蒸剤の一
例を示した。
【0040】折り畳む方法或いは、ロール状に巻き取る
方法は、手作業により行っても良いが、工業的な製造方
法としては専用の自動折り畳み機により折り畳むか、或
いは自動巻き取り機によってロール状に巻き取った方が
好ましい。
【0041】折り畳まれた状態のリボン状土壌くん蒸
剤、或いはロール状土壌くん蒸剤の施用方法としては、
土壌くん蒸剤の種類によっても異なるが、その施用例の
一部を図5に示す。耕起砕土した畑地表面に溝4を作
り、溝底部にリボン状土壌くん蒸剤5を置き、覆土し、
土壌中に埋設する。または、耕起砕土した畑地表面にそ
のままリボン状土壌くん蒸剤を静置する。更に、覆土し
た土壌表面或いはリボン状土壌くん蒸剤を置いた土壌表
面を、農業用塩化ビニル或いはポリエチレン等のプラス
チックフィルム等のプラスチック被覆材で被覆しても良
い。
【0042】例えばクロルピクリンのリボン状土壌くん
蒸剤の場合、耕起砕土した畑地表面に深さ10〜15c
m程度の溝を掘り、リボン状土壌くん蒸剤を直線状に延
ばしながら埋めるか、畑地表面にそのままリボン状土壌
くん蒸剤を直線状に延ばし設置し、プラスチックフィル
ムで被覆する。
【0043】なお、上記のように本発明の密封、包装さ
れた土壌くん蒸剤を施用することにより、病害虫の防除
効果だけでなく、意外なことに除草効果もあることを本
発明者らは見い出したのである。更に詳細に検討を行っ
たところ、除草剤として使用する場合は、上記のごとく
必ずしも密封、包装されたクロルピクリン製剤ばかりで
なくとも、メヒシバ、アオビユ、エノコロクサ、オナモ
ミ、シロザ、イヌタデ等の強害雑草に対する防除効果を
有することが分かった。
【0044】クロルピクリンからなる除草剤を用いた除
草方法は次のとおりである。即ち、クロルピクリンを澱
粉に吸収させただけのもの、或いは密封されていない硝
子容器にクロルピクリン原液を入れたものを、上述の強
害雑草の種子をはん種した土壌の表面に静置して、農業
用塩化ビニル或いはポリエチレン等の被覆材で土壌表面
を被覆した場合においても、上述の強害雑草は全く発芽
しなかった。しかしながら、クロルピクリン原液を土壌
中に潅注するだけでは土壌中に液体有効成分が拡散し、
少なからぬ量が土壌に吸着されて、本来の強害雑草防除
効果は余り認められなかった。
【0045】さて、本発明の土壌くん蒸剤を用いる方法
は、液体の土壌くん蒸剤を土壌に注入する従来の方法に
比べて数々の利点がある。土壌くん蒸剤として広く用い
られているクロルピクリンを例にとって説明する。液体
のクロルピクリンでは専用の土壌潅注機を用いて30c
m間隔で一つ一つ潅注しなければならないのに対して、
本発明のリボン状土壌くん蒸剤では土壌表面に置くだ
け、或いは土壌中に直線状に埋設するだけであり、作業
効率が大幅に改善される。効果の点ではいずれでもよい
が、作業効率の点からは前者が、また、クロルピクリン
ガスの放出性(放出速度が速い)やガスの浸透性(土壌
深くまで殺菌できる)点で後者が好ましい。
【0046】また液体のクロルピクリンでは強い刺激
性、催涙性があり、作業自体が苦痛を伴い、更には安全
衛生上も問題が多いのに対してリボン状土壌くん蒸剤で
は殆ど刺激性がなく、極めて安全に施用できる。更に液
体のクロルピクリンでは土壌に施用すると同時に少なか
らぬ部分が土壌粒子に吸着されて土壌中に於いて有効成
分であるガスの拡散が抑制されるのに対してリボン状土
壌くん蒸剤では液体のクロルピクリンが固体の吸収剤に
担持されていることから土壌に施用しても土壌粒子に吸
着されることなく、ガス化して、土壌間隙中を拡散する
ことができるため、同じ薬剤量でより広い面積の病害虫
の防除効果及び除草効果を上げることができる。
【0047】以下、殺菌剤及び/または殺虫剤の例とし
てクロルピクリンを、水溶性及び/または生分解性フィ
ルムとしてポリビニルアルコール(PVA)フィルムを
例に挙げて具体的に説明する。クロルピクリンは融点−
64℃、沸点112℃、比重1.651、の水にほとん
ど溶解しない無色透明の液体である。クロルピクリンの
みをそのままPVAフィルムで密封、包装し、スティッ
ク状製剤を作製しても良いが、製剤の安定性の面でクロ
ルピクリンにクロルピクリン吸収能の高い吸収剤、例え
ば、澱粉、或いはその加水分解物を添加し混ぜ固形化さ
せた後、直ちにその生成混合物をPVAフィルムで密
封、包装して、スティック状製剤を作製する。
【0048】クロルピクリン無臭化、無刺激化製剤に用
いられる澱粉、或いはその加水分解物(吸収剤)は、ク
ロルピクリンの液体が、見掛け上残存しない程度の量比
でできるだけ担体の量を少なくしたものが工業的に製造
する上で好ましい。この最適な混合量比はクロルピクリ
ンと混合させる澱粉、或いはその加水分解物の種類によ
って異なる。例えば、とうもろこし澱粉を用いた場合、
クロルピクリン6重量部に対しとうもろこし澱粉5重量
部程度の比で混合するのが好ましい。
【0049】澱粉等水溶性及び/または生分解性有機物
を使用することは施用に際して環境にやさしいことはも
ちろん、製剤の安定性の面で好ましい。すなわち、従来
のごとく単にクロルピクリンを強固に吸着、吸蔵する無
機担体に吸収させた場合は、実際に土壌中に施用した場
合、クロルピクリンが担体から放出されず、所望の効果
を奏しない。本発明はかかる澱粉等水溶性/水分解性の
クロルピクリン吸収能の高い吸収剤を使用することによ
り、保存、輸送時は安定に保持される一方、土壌に施用
された場合は、澱粉等が分解しクロルピクリンが容易に
土壌中で放出されるという作用効果を奏するのである。
【0050】スティック状クロルピクリン製剤を自動充
填包装機により連続包装し、リボン状クロルピクリン製
剤を作製する場合について例を挙げて説明する。尚、連
続包装し、リボン状土壌くん蒸剤を製造する方法はこの
他にも多々有り、本発明のリボン状土壌くん蒸剤が、こ
の方法によってのみ製造されるわけではないことは、言
うまでもない。
【0051】PVAフィルム原反を自動充填包装機によ
り三方加熱溶融シールしたPVA袋を連続生産すると同
時に、クロルピクリンと、とうもろこし澱粉を別々の計
量充填機により三方シールしたPVA袋に袋入し、袋入
した口を加熱溶融シールして連続的に生産する。また、
クロルピクリンととうもろこし澱粉を混合し、チクソト
ロピー性を付与してから計量充填機により充填してもよ
い。
【0052】連続的に生産されたリボン状クロルピクリ
ン製剤は、専用の折り畳み機によって折り畳まれるか或
いは、専用の自動巻き取り機によってロール状に巻き取
られる。
【0053】この様なロール状或いはリボン状クロルピ
クリン製剤の構成単位であるスティック状クロルピクリ
ン製剤に関しては、特に重量の制限はないが、施用作業
の容易性、有効性などから、スティック状クロルピクリ
ン製剤1個当たり20〜1g、好ましくは10〜2g、
より好ましくは5g程度のクロルピクリンを含んだ製剤
が好ましい。
【0054】また、スティック状クロルピクリン製剤1
個の大きさは特に制限を受けるものではないが、5g程
度のクロルピクリンを含んだ場合、例えば縦10cm、
横4cm程度の大きさになる。
【0055】こうしてできたロール状、リボン状、或い
はスティック状クロルピクリン製剤を長期間保存させて
おくためには、これを更にガスバリア性が高く、耐湿性
のシートやフィルムで被覆、もしくは密封、包装してお
くのが好ましい。このようなフィルムとしては、例え
ば、酸素ガス透過率が20cc/atm・m2 ・24h
r以下であるゼクロンフィルム(三井東圧化学株式会社
製)等が好まれる。
【0056】この様にして製造された製剤は土壌中の水
分によってPVAフィルムが分解され、フィルム中のク
ロルピクリンが放出されることによって土壌のくん蒸が
なされる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。 〔実施例1〕とうもろこし澱粉500重量部を粉末用計
量充填機に秤取り、クロルピクリン600重量部を液体
用計量充填機に秤取り、入れた。10cm×300mの
ロール状PVAフィルム(厚さ40μm、以下同じ)の
所望の箇所を自動充填包装機により加熱溶融させ、三方
シールされたPVA袋を自動的に連続生産させる。PV
A袋の大きさは、内寸で長さ10cm、幅4cmで30
袋/分の速度で連続生産させた。PVAフィルムを三方
シールした後、粉末用計量充填機にてとうもろこし澱粉
5重量部加え、続いて液体用計量充填機にてクロルピク
リン6重量部を加え、添加した口を加熱溶融させて閉じ
る。こうして製造されたスティック状クロルピクリン製
剤1個の大きさは長さ12cm、幅5cm,厚み0.7
cmであった。これを連続的に行い、リボン状クロルピ
クリン製剤を作製した。
【0058】また、連続的に生産されたリボン状クロル
ピクリン製剤は、専用の自動巻き取り機によってロール
状に巻き取り、ロール状クロルピクリン製剤を作製し
た。本製剤からはクロルピクリンの刺激臭が認められな
かった。本製剤を更にガスバリア性の高いフィルムであ
るゼクロンフィルム(三井東圧化学株式会社製)により
包装、密封することで、室温で1年間、放置しても外観
上の変化は認められず、安定であった。
【0059】〔実施例2〕イソライト(焼結けいそう
土:イソライト工業社製)100重量部を粉末用計量充
填機に秤取り、メチルイソチオシアネート600重量部
を液体用計量充填機に秤取り、入れた。10cm×30
0mのロール状PVAフィルムを自動充填包装機により
加熱溶融させ、三方シールされたPVA袋を自動で連続
生産させる。PVA袋の大きさは、内寸で長さ10c
m、幅4cmで30袋/分の速度で連続生産させた。P
VAフィルムを三方シールした後、粉末用計量充填機に
てイソライト1重量部加え、続いて液体用計量充填機に
てメチルイソチオシアネート6重量部を加え、添加した
口を加熱溶融させて閉じる。こうして製造されたスティ
ック状メチルイソチオシアネート製剤1個の大きさは長
さ12cm、幅5cm,厚み0.5cmであった。
【0060】これを連続的に行い、リボン状メチルイソ
シアネート製剤を作製した。連続的に生産されたリボン
状メチルイソチオシアネート製剤は、専用の自動折り畳
み機によって折り畳んだ。本製剤からはメチルイソチオ
シアネートの臭気はほとんど認められなかった。本製剤
を更にガスバリア性の高いフィルムであるゼクロンフィ
ルム(三井東圧化学株式会社製)により包装、密封する
ことで、室温で1年間、放置しても外観上の変化は認め
られず、安定であった。
【0061】〔実施例3〕とうもろこし澱粉100部を
粉末用計量充填機に秤取り、超微粒子状無水シリカとし
てアエロジル[銘柄300:日本アエロジル(株)製]
30重量部と1,3−ジクロルプロペン600重量部を
混合撹拌してチクソトロピー性を有する固形状とし、液
体用計量充填機に秤取り、入れた。10cm×300m
のロール状PVAフィルムを自動充填包装機により加熱
溶融させ、三方シールされたPVA袋を自動で連続生産
させる。PVA袋の大きさは、内寸で長さ10cm、幅
4cmで30袋/分の速度で連続生産させた。PVAフ
ィルムを三方シールした後、粉末用計量充填機にてとう
もろこし澱粉1重量部加え、続いて液体用計量充填機に
てチクソトロピー性を有する固形状1,3−ジクロルプ
ロペン6重量部を流動化させて加え、添加した口を加熱
溶融させて閉じる。こうして製造されたスティック状
1,3−ジクロルプロペン製剤1個の大きさは長さ12
cm、幅5cm、厚み0.2cmであった。これを連続
的に行い、リボン状1,3−ジクロルプロペン製剤を作
製した。
【0062】また、連続的に生産されたリボン状1,3
−ジクロルプロペン製剤は、専用の自動巻き取り機によ
ってロール状に巻き取り、ロール状1,3−ジクロルプ
ロペン製剤を作製した。本製剤からは1,3−ジクロル
プロペンの臭気は認められなかった。本製剤を更にガス
バリア性の高いフィルムであるゼクロンフィルム(三井
東圧化学株式会社製)により包装、密封することで、室
温で1年間、放置しても外観上の変化は認められず、安
定であった。
【0063】〔実施例4〕デキストリン澱粉80部を粉
末用計量充填機に秤取り、超微粒子状無水シリカとして
アエロジル[銘柄300:日本アエロジル(株)製]2
5重量部とジクロルジイソプロピルエーテル500重量
部を混合撹拌して、チクソトロピー性を付与し、液体用
計量充填機に秤取り、入れた。10cm×300mのロ
ール状PVAフィルムを自動充填包装機により加熱溶融
させ、三方シールされたPVA袋を自動で連続生産させ
る。PVA袋の大きさは、内寸で長さ10cm、幅4c
mで30袋/分の速度で連続生産させた。PVAフィル
ムを三方シールした後、粉末用計量充填機にてデキスト
リン0.8重量部加え、続いて液体用計量充填機にてチ
クソトロピー性を有するジクロルジイソプロピルエーテ
ル5重量部を加え、添加した口を加熱溶融させて閉じ
る。こうして製造されたスティック状ジクロルジイソプ
ロピルエーテル製剤1個の大きさは長さ12cm、幅5
cm、厚み0.3cmであった。これを連続的に行い、
リボン状ジクロルジイソプロピルエーテル製剤を作製し
た。
【0064】また、連続的に生産されたリボン状ジクロ
ルジイソプロピルエーテル製剤は、専用の自動巻き取り
機によってロール状に巻き取り、ロール状ジクロルジイ
ソプロピルエーテル製剤を作製した。本製剤からはジク
ロルジイソプロピルエーテルの臭気は認められなかっ
た。本製剤を更にガスバリア性の高いフィルムであるゼ
クロンフィルム(三井東圧化学株式会社製)により包
装、密封することで、室温で1年間、放置しても外観上
の変化は認められず、安定であった。
【0065】また、実施例1〜4の土壌くん蒸剤を用い
て、土壌表面から15cmの深さの溝を掘り、これら製
剤を入れ土壌をその上からかぶせ後、24時間経過した
ときに土壌を掘り起こしてこれら土壌くん蒸剤の形態変
化を調べたところ、表面のPVAフィルムが溶解し、中
の土壌くん蒸剤有効成分が土壌中に放出されていた。 〔比較例1〕特開昭62−192301号公報の実施例
1に基き、クロルピクリンの固形化剤を作製した。 即ち、 クロルピクリン 70部 キシレン 10部 クロロプレンゴム 1部 ジエチレングリコールジエチルエーテル 3部 苛性カリ−アルコール溶液 0.3部 老化防止剤 0.04部 25%ジベンジリデンソルビトール N−メチルピロリドン溶液 16部 からなる組成のクロルピクリン固形化剤を作製し、花弁
状珪酸マグネシウム粉末をスプレーし、PVAフィルム
で真空包装を行った。本製剤に於いても、クロルピクリ
ンの臭気は全く感じられなかった。
【0066】〔試験例1〕圃場においてトラクターにて
深度20cmで起耕砕土し、幅120cm、長さ600
cmを試験区とした。実施例1に準じて作成したリボン
状土壌くん蒸剤(リボン製剤1個当たり液体のクロルピ
クリン換算2.5ml入り)を土壌表面、或いは土壌表
面下15cmに長さ500cmにわたって設置した。対
照として市販のクロルピクリンとクロルピクリン錠剤
(南海化学株式会社製)を用いた。液体クロルピクリン
は専用の潅注機で土壌表面下15cmに30cm間隔
で、1穴当たり5mlずつ、長さ500cmにわたって
潅注した。クロルピクリン錠剤は土壌表面下15cmに
20cm間隔で長さ500cmにわたって一つ一つ埋め
込んだ。更に薬剤処理地点から所定の水平距離にコムギ
種子上で予め培養したトマト萎ちょう病(Fusarium oxy
sporum f.sp. lycopersici)を深さ10cmに埋設し、
また土壌表面にはメヒシバ、アオビユの種子をはん種し
た。処理後、土壌表面を厚さ0.02mmのポリエチレ
ンフィルムで被覆した。また、薬剤処理地点から水平2
0cm、深さ10cmの地点の空気を経時的にサンプリ
ングし、クロルピクリンガス濃度を高速液体クロマトグ
ラフィーにて測定した。処理14日後にポリエチレンフ
ィルム被覆をはずし、埋設したコムギ種子を掘り起こ
し、中に含まれたトマト萎ちょう病菌の死滅程度をシャ
ーレ上にて判別した。また、メヒシバ、アオビユの発芽
程度を観察した。その結果を表1〜4に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】なお、40μmと80μmの2種類の厚さ
のPVAフィルムを用いて、機械包装性を検討した。8
0μmのPVAフィルムの方が、40μmのPVAフィ
ルムに比較して、ヒートシール性が良く、よりマイルド
な条件で密封性の高い包装体を、生産性よく形成できる
ことがわかった。
【0072】
【発明の効果】本発明にかかる土壌くん蒸剤は全て土壌
施用前においてはその毒性、揮散性、刺激性が抑えら
れ、施用後においては速やかに土壌くん蒸剤の有効成分
が土壌中に放出される。また、本発明は、専用の機械を
用いなくても、くん蒸作業を行う作業者の作業効率を著
しく向上させた製剤の形態、並びに効果的な施用方法を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スティック状土壌くん蒸剤の一例を示した平面
【図2】リボン状土壌くん蒸剤の一例を示した平面図
【図3】折り畳まれた状態のリボン状土壌くん蒸剤の一
例を示した断面図
【図4】ロール状土壌くん蒸剤の一例を示した平面図
【図5】リボン状土壌くん蒸剤の一施用例を示した模式
【図6】スティック状土壌くん蒸剤の一例を示した断面
【図7】スティック状土壌くん蒸剤の一例を示した断面
【図8】スティック状土壌くん蒸剤の一例を示した平面
【図9】スティック状土壌くん蒸剤の一例を示した平面
【図10】スティック状土壌くん蒸剤の一例を示した平
面図
【図11】ネット状土壌くん蒸剤の一例を示した平面図
【符号の説明】
1 水溶性及び/または生分解性フィルム 2 土壌殺菌及び/または殺虫剤 3 耕地の山部 4 耕地の溝部 5 リボン状土壌くん蒸剤 a スティック状土壌くん蒸剤の長軸方向の長さ b スティック状土壌くん蒸剤の短軸方向の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 37/18 A01N 37/18 A 47/40 47/40 Z (72)発明者 深山 兼光 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 荒井 優 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 下鳥 均 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温で液体の土壌殺菌及び/または殺虫
    剤を、水溶性及び/または生分解性フィルムでスティッ
    ク状に密封、包装してなる土壌くん蒸剤であって、該常
    温で液体の土壌殺菌及び/または殺虫剤が、それを吸収
    しうる吸収剤を添加して固形化されていることを特徴と
    する土壌くん蒸剤。
  2. 【請求項2】 スティック状に密封、包装された土壌く
    ん蒸剤が、複数個連続体として包装されたリボン状形態
    を有する請求項1記載の土壌くん蒸剤。
  3. 【請求項3】 リボン状形態を有する土壌くん蒸剤が、
    折り畳まれた状態である請求項2記載の土壌くん蒸剤。
  4. 【請求項4】 リボン状形態を有する土壌くん蒸剤が、
    ロール状にまるめられた状態である請求項2記載の土壌
    くん蒸剤。
  5. 【請求項5】 リボン状形態を有する土壌くん蒸剤を、
    短軸方向に複数個連結させネット状形態とした請求項2
    〜4のいずれかに記載の土壌くん蒸剤。
  6. 【請求項6】 土壌殺菌及び/または殺虫剤が、クロル
    ピクリン、1,3−ジクロルプロペン、ジクロルジイソ
    プロピルエーテル、メチルイソチオシアネートの中の1
    種または2種以上を組み合わせたものである請求項1〜
    5のいずれかに記載の土壌くん蒸剤。
  7. 【請求項7】 常温で液体の土壌殺菌及び/または殺虫
    剤の包装材たる、水溶性及び/または生分解性フィルム
    がポリビニルアルコール(PVA)である請求項1〜6
    のいずれかに記載の土壌くん蒸剤。
  8. 【請求項8】 吸収剤が水溶性及び/または生分解性有
    機物である請求項1〜7のいずれかに記載の土壌くん蒸
    剤。
  9. 【請求項9】 水溶性及び/または生分解性有機物が、
    澱粉及び/または澱粉の分解物である請求項8記載の土
    壌くん蒸剤。
  10. 【請求項10】 吸収剤が天然土石類である請求項1〜
    7のいずれかに記載の土壌くん蒸剤。
  11. 【請求項11】 天然土石類が焼結けいそう土である請
    求項10記載の土壌くん蒸剤。
  12. 【請求項12】 超微粒子状シリカを混合してチクソト
    ロピー性を有する固形状とした請求項1〜11のいずれ
    かに記載の土壌くん蒸剤。
  13. 【請求項13】 土壌表面に静置されるか土壌中の適度
    な深さに埋設して施用される請求項1〜12のいずれか
    に記載の土壌くん蒸剤。
  14. 【請求項14】 さらにその静置または埋設した土壌表
    面がプラスチック被覆材で覆われる請求項13記載の土
    壌くん蒸剤。
  15. 【請求項15】 リボン状形態を有する土壌くん蒸剤を
    連続包装機にかけて製造することを特徴とする請求項2
    〜12のいずれかに記載の土壌くん蒸剤の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項2〜12のいずれかに記載のリ
    ボン状形態を有する土壌くん蒸剤を、土壌表面に静置す
    ることを特徴とする土壌病害虫防除及び除草方法。
  17. 【請求項17】 請求項2〜12のいずれかに記載のリ
    ボン状形態を有する土壌くん蒸剤を、土壌中の適度な深
    さに埋設することを特徴とする土壌病害虫防除及び除草
    方法。
  18. 【請求項18】 リボン状形態を有する土壌くん蒸剤を
    土壌表面に静置または土壌中に埋設した後、土壌表面を
    プラスチック被覆材で覆うことを特徴とする請求項16
    または17記載の土壌病害虫防除及び除草方法。
  19. 【請求項19】 クロルピクリンを有効成分とする除草
    剤。
JP1633696A 1995-02-07 1996-02-01 土壌くん蒸剤 Pending JPH09169603A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1633696A JPH09169603A (ja) 1995-02-07 1996-02-01 土壌くん蒸剤

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-19095 1995-02-07
JP1909595 1995-02-07
JP15624195 1995-06-22
JP7-156241 1995-06-22
JP7-271411 1995-10-19
JP27141195 1995-10-19
JP1633696A JPH09169603A (ja) 1995-02-07 1996-02-01 土壌くん蒸剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09169603A true JPH09169603A (ja) 1997-06-30

Family

ID=27456558

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1633696A Pending JPH09169603A (ja) 1995-02-07 1996-02-01 土壌くん蒸剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09169603A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014177412A (ja) * 2013-03-13 2014-09-25 Daiso Co Ltd 土壌燻蒸剤含有組成物
CN111202059A (zh) * 2020-02-24 2020-05-29 青岛农业大学 一种液体熏蒸剂与性诱剂用的缓释载体及制作与使用方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014177412A (ja) * 2013-03-13 2014-09-25 Daiso Co Ltd 土壌燻蒸剤含有組成物
CN111202059A (zh) * 2020-02-24 2020-05-29 青岛农业大学 一种液体熏蒸剂与性诱剂用的缓释载体及制作与使用方法
CN111202059B (zh) * 2020-02-24 2024-05-10 青岛农业大学 一种液体熏蒸剂与性诱剂用的缓释载体及制作与使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100351151C (zh) 水溶性包装
JP2543433B2 (ja) 全身性作用物質を植物に投与するための装置
US5846904A (en) Soil fumigant preparations
WO1998057541A1 (en) Delivery device for agricultural pesticides
JP2005519125A (ja) 植物保存システム
JP3675850B2 (ja) 農業組成物用包装系
TW436261B (en) Jumbo formulation comprising pesticides and the process thereof
CN101971835A (zh) 土壤颗粒熏蒸剂
JPH09169603A (ja) 土壌くん蒸剤
JP3558383B2 (ja) 無臭化製剤
JPS6061504A (ja) 農薬製剤組成物
JP5161147B2 (ja) 酵素付着カプセル化農薬、および土壌くん蒸方法
BRPI1107058A2 (pt) mÉtodo para romper a uniço de tuta absoluta
ES2364859T3 (es) Composición pesticida que comprende carboxilatos de tetrafluorobencil ciclopropano.
JPH09168361A (ja) リボン状農薬の施用機
JPH07324002A (ja) 農薬包装体
KR20060082880A (ko) 토양 훈증제 함유 고형물
JP2009062395A (ja) 土壌燻蒸方法
JPS6213465Y2 (ja)
JPS6141560Y2 (ja)
JPH0859405A (ja) 土壌燻蒸方法
JPS6141558Y2 (ja)
JPH09169604A (ja) 除草剤及び除草方法
JPS6141557Y2 (ja)
JPH06345605A (ja) 農薬製剤包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040831

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041228