JPH09158093A - 嵩高紙及びその製造方法 - Google Patents

嵩高紙及びその製造方法

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JPH09158093A
JPH09158093A JP32766995A JP32766995A JPH09158093A JP H09158093 A JPH09158093 A JP H09158093A JP 32766995 A JP32766995 A JP 32766995A JP 32766995 A JP32766995 A JP 32766995A JP H09158093 A JPH09158093 A JP H09158093A
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JP
Japan
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fiber
paper
belt
layer forming
bulky
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JP32766995A
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English (en)
Inventor
Hidesuke Kakiuchi
秀介 垣内
Kazuhiro Inaba
一浩 稲葉
Keima Takabayashi
圭馬 高林
Hiroyuki Akai
弘幸 赤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風合いが良く、嵩高性を有し且つ優れた吸収
性を発現し得る嵩高紙の提供。 【解決手段】 本発明の嵩高紙1は、繊維長10mm以
下の繊維を含み、繊維高堆積領域と繊維低堆積領域とか
ら構成され、上記繊維高堆積領域には、上記嵩高紙の平
面方向に対して0°以上15°未満の角度を有する繊維
が10%以上存在すると共に、15゜以上90°未満の
角度を有する繊維が10%以上存在し、上記繊維高堆積
領域においては、上記嵩高紙の平面方向に対して最大角
をもつ繊維と最小角をもつ繊維との角度差が40°以上
であり、上記繊維高堆積領域は、上記嵩高紙の任意の位
置における1cm2 の正方形中に5〜60個存在するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術】本発明は、嵩高紙に関し、詳しく
は、ペーパータオル、ティッシュ、掃除用紙製品及び衛
生材料等の吸収性基材等に好ましく用いられる嵩高紙に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0003】従来の抄紙プロセスにおいて、紙層形成ベ
ルト上に繊維懸濁液を供給し、水の吸引排水により該紙
層形成ベルト上にパルプを堆積させて紙を製造すると、
紙中の繊維は図12に示すようにその長さ方向が紙の平
面方向に対してほぼ平行、即ち角度として0°に近い状
態乃至15°以下で存在していることが、電子顕微鏡写
真等で観察される。むろん、極一部の繊維においては、
著しく大きな角度、例えば40°以上の角度を有してい
ることもあるが、ほとんどの繊維は紙の平面方向に対し
てほぼ平行な状態乃至15°以下で存在している。従っ
て、このような紙におけるは繊維間空隙は小さいもので
ある。
【0004】このように、ほとんどの繊維が紙の平面方
向に対してほぼ平行に堆積されている場合や、また、紙
の平面方向に平行ではなくともほとんどの繊維が同じよ
うな角度でもって堆積されている場合には、十分な繊維
間空隙を得ることは困難なので、嵩高い紙や吸収性の高
い紙とはなり難い。そこで、従来の抄紙プロセスを用い
て、より大きな繊維間空隙を得る方法として、1)高濃
度のアルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム)でセルロ
ース繊維を膨潤させ、繊維断面積を増大させたマーセル
化繊維を用いる方法や、2)N─メチロール基等を含有
する架橋樹脂でセルロース繊維を架橋して調製された、
ねじれた形状を有する架橋繊維を用いる方法等がある。
これらの方法によれば、事実ある程度繊維間空隙を増大
させることができるが、未処理のセルロース繊維に比較
して高コストであり、さらに液を吸収した状態で若干の
圧力がかかると、繊維間空隙が容易に破壊されやすいと
いう欠点を有している。
【0005】そこで、製造プロセスの点から繊維間空隙
が増大した紙、即ち嵩高紙を製造する試みがなされてい
る。例えば、米国特許第3,322,617号明細書
は、紙層形成用ベルトとして、より大きな開口部を有す
るベルトと細かな開口部を有する汎用性ワイヤーとを重
ね合わせて構成したものを用いたり、あるいは細かな開
口部を有する汎用性ワイヤー上にその開口部を覆いかく
すように皿状の突起を配設したものを用いて、高坪量領
域と低坪量領域とを具備し凹凸形状を有する、織物様風
合いの紙の製造方法を開示している。
【0006】上記明細書においては、50〜100メッ
シュ/インチの細かな開口部を有する汎用性ワイヤーを
用い、その上に重ねられる粗いベルトとして、2〜4メ
ッシュ/インチの非常に大きな開口部を有するベルトを
用いることが好適であると記載されている。また、単位
面積あたりの開口部面積比率は、細かな開口部を有する
汎用性ワイヤーの開口部面積に対するより大きな開口部
を有するベルトの開口部面積比率で少なくとも50倍以
上であり、好適には600倍以上であると記載されてい
る。しかし、より大きな開口部を有するベルトの開口部
面積が上述のように大きい場合、高坪量領域に位置する
繊維のほとんどは、ベルトの平面方向、つまり紙の平面
方向に対して0°に近い角度、即ち紙の平面方向とほぼ
平行な状態で堆積されることとなるから、繊維間空隙の
増大は図れず、嵩高紙を得ることはできない。一方、細
かな開口部を有する汎用性ワイヤー上に皿状の突起を配
設したものでは、繊維が紙の平面方向に対してランダム
な角度をもって堆積する紙は得られない。
【0007】また、米国特許第5,098,519号明
細書にも、細かいメッシュ層と粗いメッシュ層との2層
重ねの紙層形成ベルトを用いて、高坪量領域と低坪量領
域とを具備し凹凸形状を有する嵩高紙の製造法を開示し
ている。該明細書は、粗いメッシュ層の開口部の最大寸
法がセルロース系木材繊維の平均繊維長よりも短いこと
を規定している。従って、該開口部内には、繊維の一部
分の領域のみが堆積されることとなる。また、上記明細
書は、隣り合う開口部間を一本の繊維長の長い繊維が連
絡すること規定している。従って、高坪量領域に存在す
る繊維は、紙の平面方向に対してランダムな角度をもっ
て堆積することはない。
【0008】また、特表平6−508664号公報に
は、細かいメッシュ層からなる紙層形成ベルトに0〜
1.3mmの高さを有する突起物を設けて、繊維を堆積
させる際の排出路を選択的に閉塞することにより、連続
的な網目状に構成される高坪量領域並びにそれに囲まれ
た中坪量領域及び低坪量領域の3つの領域より成るシー
トを開示している。このシートにおいては、高坪量領域
を形成する繊維は、通常の細かいメッシュ層によって繊
維が堆積される場合と同様に、シートの平面方向に対し
てほぼ平行な角度で堆積することになり、ランダムな角
度をもって堆積することはない。
【0009】従って、本発明の目的は、風合いが良く、
嵩高性を有し且つ優れた吸収性を発現し得る嵩高紙を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、でるだけ多くの繊維間空隙を形成するために
は、堆積する繊維の繊維長方向の角度をできるだけラン
ダムにすることが効果的であることを知見し更に検討を
推し進めたところ、特定の繊維高堆積領域と特定の繊維
低堆積領域とを有し、該繊維高堆積領域に存在する繊維
が紙の平面方向となす角度を特定の範囲とすることによ
り、上記目的が達成され得ることを知見した。
【0011】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、繊維長10mm以下の繊維を含み、繊維高堆積
領域と繊維低堆積領域とから構成される嵩高紙であっ
て、上記繊維高堆積領域には、上記嵩高紙の平面方向に
対して0°以上15°未満の角度を有する繊維が10%
以上存在すると共に、15゜以上90°未満の角度を有
する繊維が10%以上存在し、上記繊維高堆積領域にお
いては、上記嵩高紙の平面方向に対して最大角をもつ繊
維と最小角をもつ繊維との角度差が40°以上であり、
上記繊維高堆積領域は、上記嵩高紙の任意の位置におけ
る1cm2 の正方形中に5〜60個存在することを特徴
とする嵩高紙を提供することにより上記目的を達成した
ものである。
【0012】また、本発明は、上記嵩高紙の好ましい製
造方法として、繊維懸濁液を紙層形成ベルト上に供給
し、該紙層形成ベルト上に繊維を堆積させて繊維構造物
を形成する工程を含む嵩高紙の製造方法において、上記
繊維懸濁液として、繊維長が10mm以下の繊維を含有
する繊維懸濁液を用いると共に、上記紙層形成ベルトと
して、排水可能な材料にて構成され、深さ0.3mm以
上のくぼみ部を有する紙層形成ベルトを用いることを特
徴とする嵩高紙の製造方法を提供するものである。
【0013】本明細書において、「繊維高堆積領域」及
び「繊維低堆積領域」とは、下記のように定義される。
即ち、図1に示す嵩高紙1において、紙層形成ベルトと
相対する嵩高紙の断面輪郭における変曲点T1 とT2
を結ぶ直線T1 2 に対して、各変曲点T1 、T2 を通
る垂直な直線S1 及びS2 を描き、同様の手順で、直線
3 4 並びに直線S3 及びS4 を描いた時、直線S1
とS2 との間及び直線S3 とS4 との間に存在する領域
を繊維高堆積領域と定義し、直線S2 とS3 との間に存
在する領域を繊維低堆積領域と定義する。従って、上記
繊維高堆積領域及び上記繊維低堆積領域は、各々絶対的
な坪量によって規定されるものではなく、あくまでも両
者の相対的な関係によって規定されるものである。な
お、簡略のため、以下の説明においては、「繊維高堆積
領域」を「高堆積領域」といい、「繊維低堆積領域」を
「低堆積領域」という。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の嵩高紙の好ましい
一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。ここで、
図1は本発明の嵩高紙の好ましい一実施形態の厚さ方向
の断面を示す模式図である。
【0015】図1に示す本実施形態の嵩高紙1は、高堆
積領域2と低堆積領域3とを有している。該高堆積領域
2と該低堆積領域3とは、嵩高紙1の平面方向Pに関し
て交互に存在している。そして、該高堆積領域2は、嵩
高紙1の任意の位置における1cm2 の正方形中に5〜
60個存在している。
【0016】上記高堆積領域2には、嵩高紙1の平面方
向に対して0°以上15°未満の角度を有する繊維が、
繊維の本数を基準として10%以上存在すると共に、1
5゜以上90°未満の角度を有する繊維が、繊維の本数
を基準として10%以上存在しており、好ましくは30
゜以上90°未満の角度を有する繊維が、繊維の本数を
基準として10%以上存在している。即ち、上記高堆積
領域2においては、繊維が嵩高紙1の平面方向に対して
ある角度をもってランダムに堆積されている。上記高堆
積領域2を構成する繊維が嵩高紙1の平面方向に対して
ある角度をもってランダムに堆積されていることによ
り、上記高堆積領域2に多数の繊維間空隙が形成され、
嵩高になると共に、該繊維間空隙による毛管力が発現し
て液体の吸収性が高まる。なお、上記高堆積領域2にお
ける繊維の角度は、図2に示すように、嵩高紙1の平面
方向Pに対してなす角度θとして定義され、嵩高紙1の
厚さ方向の断面の電子顕微鏡像を撮影した写真から測定
することができる。なお、1本の繊維が曲った状態で嵩
高紙1中に存在し、平面方向Pに対してある部分が角度
θ1 、ある部分が角度θ2 を有し、θ1 <θ2 である場
合、この繊維は角度θ 2 を有する繊維として1本に数
え、角度θ1 を有する繊維としては1本に数えない様式
で測定する。
【0017】また、より大きな繊維間空隙を形成すると
いう観点から、嵩高紙1の上記高堆積領域2において
は、嵩高紙1の平面方向に対して最大角をもつ繊維と最
小角をもつ繊維との角度差が40゜以上であり、好まし
くは50゜以上であり、更に好ましくは60゜以上であ
る。
【0018】一方、上記低堆積領域3は、図1に示すよ
うに、上記高堆積領域2間に存在し、好ましくは嵩高紙
1の平面方向に対して15°以下の角度を有する繊維
が、繊維の本数を基準として30%以上存在し、更に好
ましくは、50%以上存在している。即ち、上記低堆積
領域3においては、繊維が嵩高紙1の平面方向に対して
ほぼ平行ないし小角度でもって堆積されていることが好
ましい。また、上記低堆積領域3は、嵩高紙1の任意の
位置における1cm2 の正方形中に5〜60個存在して
いることが好ましい。
【0019】図1に示す実施形態の嵩高紙1における上
記低堆積領域3に対する上記高堆積領域2の坪量比率
(後者/前者)は1.3〜10であることが好ましく、
1.5〜8であることが更に好ましく、2.5〜5であ
ることが一層好ましい。上記坪量比率が1.3に満たな
いと嵩高紙1の十分な低密度化を図ることができない場
合があり、10を超えると嵩高紙1の強度(引張強度
等)が不十分となる場合があるので上記範囲内とするこ
とが好ましい。
【0020】嵩高紙1全体の坪量は、上記高堆積領域2
と上記低堆積領域3とを含めた平均の坪量が10〜10
0g/m2 であることが好ましく、10〜70g/m2
であることが更に好ましく、15g/m2 〜50g/m
2 であることが一層好ましい。平均の坪量が10g/m
2 に満たないと好ましい繊維間空隙を得るための繊維量
が十分でない場合があり、100g/m2 を超えると繊
維量の増大に起因して低密度化が困難となる場合がある
ので上記範囲内とすることが好ましい。
【0021】本実施形態の嵩高紙1では、図1に示すよ
うに、上記高堆積領域2における厚みと上記低堆積領域
3における厚みとが異なることが好ましく、更に好まし
くは嵩高紙1に3g/cm2 の加重をかけた条件のもと
で、上記高堆積領域2の厚みが上記低堆積領域3の厚み
の1.5倍以上、特に2〜5倍である。上記高堆積領域
2の厚みが上記低堆積領域3の厚みの1.5倍以上であ
れば上記高堆積領域2の十分な低密度化を図ることが容
易となるので好ましい。
【0022】図1に示す実施形態の嵩高紙1は、繊維長
10mm以下、好ましくは0.5〜5mmの短繊維を主
体とする。かかる短繊維として好ましく用いられるもの
としては、例えば針葉樹や広葉樹の化学パルプ、半化学
パルプ及び機械パルプ等の木材パルプ、これら木材パル
プを化学処理したマーセル化パルプ及び架橋パルプ、麻
や綿等の非木材系繊維並びにレーヨン繊維等の再生繊維
のようなセルロース系繊維;並びにポリエチレン繊維、
ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド
繊維のような合成繊維等が挙げられるが、これらに制限
されるものではない。これらの繊維のうち、製品のコス
ト、シート強度、抄紙適性等の観点から、木材パルプ、
非木材ハルプ、レーヨン繊維等のセルロース系繊維を用
いることが好ましい。とりわけ、製品コストの観点か
ら、木材パルプが一層好ましい。これらの短繊維は、嵩
高紙1を構成する繊維全体に対して50〜100重量%
用いられることが好ましく、70〜100重量%用いら
れることが更に好ましい。
【0023】本発明の嵩高紙をペーパータオルやティッ
シュ等の吸収性基材や洗浄剤等を含浸して用いる掃除用
シートとして用いる場合には、繊維全体に対して上記セ
ルロース系繊維を50〜100重量%含有させることが
好ましい。また、これに加えて、湿潤強度を発現させる
ためにポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂等の
湿潤紙力増強剤を添加することも好ましい。かかる湿潤
紙力増強剤は、嵩高紙全量に対して一般に0.2〜2.
0重量%添加されることが好ましい。また、より高い湿
潤強度を発現させるために、上述のポリアミドアミン・
エピクロルヒドリン樹脂にカルボキシメチルセルロース
等のアニオン系ポリマーや両性ポリアクリルアミド等の
両性ポリマーを適量混合した湿潤紙力増強剤を用いるこ
とも好ましい。
【0024】また、本発明の嵩高紙をペーパータオルや
ティッシュ等の吸収性基材として用いる場合の強度をア
ップさせたり、本発明の嵩高紙を2プライエンボス加工
したものの厚み感を維持するためには、繊維全体に対し
て上記セルロース系繊維を70〜97重量%含有させ、
熱可塑性繊維を3〜30重量%含有させることが好まし
い。かかる熱可塑性繊維としては、平均融点160℃以
下の熱接着成分を含有する繊維、即ち高温度(例えば1
00℃以上)の熱処理で繊維表面の一部が溶融する繊維
が好ましく用いられる。そのような繊維としては、例え
ば、低融点ポリエステル系共重合繊維、ポリエチレン繊
維、エチレンビニルアルコール繊維又はポリビニルアル
コール繊維等の低融点タイプの繊維を鞘成分とし高融点
タイプの繊維を芯成分とした芯鞘状繊維や、サイドバイ
サイド型繊維のうちの片方の成分が上記低融点タイプの
繊維であるもの等が挙げられる。
【0025】次に、図1に示す実施形態の嵩高紙1を製
造するための好ましい方法を図面を参照して説明する。
ここで、図3は図1に示す実施形態の嵩高紙1を製造す
るために好ましく用いられる装置の一例を示す模式図で
ある。
【0026】図3に示す装置は、原料供給部4、紙層形
成部5、乾燥部6及び巻取部7からなる。上記原料供給
部4は、抄紙原料供給ヘッド8からなり、所定濃度に調
製された繊維懸濁液が上記紙層形成部5に供給されるよ
うになされている。上記紙層形成部5は、大きな開口部
を有する目の粗い紙層形成用第1ベルト9、及び細かな
開口部を有する汎用性の紙層形成用第2ベルト10を具
備している。そして、上記第2ベルト10は、上記第1
ベルト9の下方に重ね合わされて用いられている。即
ち、図3に示す装置においては、上記第1ベルト9及び
上記第2ベルト10が組み合わせて用いられることによ
り一つの紙層形成ベルトを構成している。また、上記紙
層形成部5は、上記第2ベルト10に隣接して設けられ
る吸引ボックス11を具備している。上記乾燥部6は、
スルー・エアー・ドライヤー(TAD)12からなる。
該スルー・エアー・ドライヤー12内においては、図3
中矢印で示すように上方から下方に向けて所定温度の熱
風が循環している。また、上記巻取部7は、製造された
嵩高紙1を巻き取るためのワインダー13からなる。
【0027】図3に示す装置を用いた嵩高紙の製造方法
について説明すると、まず上記抄紙原料供給ヘッド8か
ら上記繊維懸濁液を上記第1ベルト9と上記第2ベルト
10との重ね合わせ部に供給し、上記第1ベルト及び上
記第2ベルト上に繊維を堆積させる。なお、上記繊維懸
濁液の濃度に特に制限は無く、抄紙プロセスを安定に行
い得る範囲の中から適宜選択することができる。次い
で、上記第1ベルト9及び上記第2ベルト10上に堆積
した繊維中に含まれている水分を吸引装置としての上記
吸引ボックス11により脱水して繊維構造物を形成す
る。脱水後、上記第2ベルト10は、上記第1ベルト9
から分離し、上記抄紙原料供給ヘッド8へと戻る。一
方、上記繊維構造物14は上記第1ベルト9上に保持さ
れた状態で、乾燥工程としての上記スルー・エアー・ド
ライヤー12内に導入され、乾燥される。この際、通常
の抄紙プロセスで一般に行われている圧密化工程は行わ
れない。この理由は、得られる嵩高紙の嵩高性が損なわ
れないようにするためである。上記スルー・エアー・ド
ライヤー12内には120〜200℃の熱風が循環して
おり、上記第1ベルト9上に保持された上記繊維構造物
14を、熱風中を通過させることによって乾燥させる。
乾燥の結果、嵩高紙1が得られ、かかる嵩高紙1は、上
記ワインダー13によって巻き取られる。
【0028】本発明の嵩高紙が高堆積領域と低堆積領域
とを有し、かつ高堆積領域における繊維の堆積状態を上
述の如くするためには、上記繊維懸濁液として繊維長が
10mm以下(好ましくは0.5〜5mm)の繊維を含
有するものを用いると共に、上記紙層形成部5において
用いられる紙層形成ベルトとして特定の構造を有するも
のを用いる。かかる紙層形成ベルトとしては、排水可能
な材料にて構成され、深さ0.3mm以上のくぼみ部を
有する紙層形成ベルトが用いられる。ここで、紙層形成
ベルトにおける「くぼみ部」とは、紙層形成ベルト上に
繊維懸濁液が供給された際に優先的に繊維の供給・堆積
がなされる部分をいう。
【0029】図3に示す装置においては、紙層形成ベル
トとして、上述の通り、大きな開口部を有する目の粗い
紙層形成用第1ベルト9、及び細かな開口部を有する汎
用性の紙層形成用第2ベルト10を組み合わせて用るこ
とにより、排水可能な材料にて構成され、深さ0.3m
m以上のくぼみ部を有する紙層形成ベルトとなしてい
る。即ち、図4(a)及び(b)に示すように、上記第
1ベルト9(目の粗いベルト)が有する開口部31の深
さDを0.3mm以上とし、且つ上記第2ベルト10
(目の細かいベルト)の開口部を繊維長10mm以下の
繊維が堆積し得る程度となすことによって、上記第1ベ
ルト9の開口部31が上記くぼみ部として作用して、本
発明の嵩高紙を好適に製造することができる。なお、図
4(b)において、MDはベルトの流れ方向を示す。
【0030】上記第1ベルト9及び上記第2ベルト10
が組み合わせて用いられる紙層形成ベルト〔図4(a)
及び(b)に示すベルト〕における繊維の堆積の様子を
図5を参照して説明すると、上記第1ベルト9と上記第
2ベルト10との組み合わせからなる紙層形成ベルト上
に繊維が供給される場合、図5に示すように、上記第1
ベルト9を構成する線状材15によって形成される多数
の正方形の開口部31(閉じられた開口部形状よりなる
くぼみ部)には、より多くの繊維16が供給されやす
く、その結果、該開口部31が高堆積領域となる。この
開口部31の深さは0.3mm以上であり、上記くぼみ
部として作用する。一方、線状材15上には繊維16が
堆積しにくく、その結果、線状材15上は低堆積領域と
なる。また、堆積される繊維16の繊維長(10mm以
下、好ましくは0.5〜5mm)と上記開口部31の深
さ(0.3mm以上)との相対的な関係から、図5に示
すように、繊維16は上記第1ベルト16の開口部31
(即ち、高堆積領域となる部分)において、紙層形成ベ
ルトの平面方向、即ち得られる嵩高紙の平面方向に対し
て種々の角度(小さな角度や大きな角度)でもって堆積
する。一方、繊維16は上記第1ベルト16の線状材1
5上(即ち、低堆積領域となる部分)においては、単純
に堆積するのみなので、通常の抄紙プロセスの場合と同
様に、紙層形成ベルトの平面方向、即ち得られる嵩高紙
の平面方向に対してほぼ平行に堆積される。ただし、繊
維16の繊維長が線状材15の直径を大きく上回る場合
は、繊維16の一部が開口部31にも堆積することにな
るので、嵩高紙1の平面方向に対して大きな角度をもつ
こともある。
【0031】上述の通り、上記紙層形成ベルトにおける
くぼみ部(開口部)の深さは0.3mm以上であること
が重要であり、好ましくは0.5mm以上の深さ、更に
好ましくは、0.7mm以上の深さを有する紙層形成ベ
ルトが用いられる。
【0032】上記紙層形成ベルトにおけるくぼみ部(開
口部)の深さの上限については、得られる嵩高紙におけ
る坪量とのバランスが関係するので一概にはいえない
が、通常ペータータオルやティッシュ等の吸収性基材の
坪量として採用される20〜40g/m2 の範囲では、
2.5mm以下の深さが好ましい。深さが2.5mmを
超える場合には、一旦紙層形成ベルト上に形成された繊
維構造物を他の搬送ベルトに転移させる際に、該繊維構
造物が紙層形成ベルトからはがれにくくなる場合があっ
たり、また、紙層形成ベルト上に保持された繊維構造物
をスルー・エアー・ドライヤーで乾燥させた後に、該繊
維構造物が紙層形成ベルトからはがれにくくなる場合が
ある。
【0033】上記第1ベルト9及び上記第2ベルト10
が組み合わせて用いられる紙層形成ベルト〔図4(a)
及び(b)に示すベルト〕によって製造された嵩高紙に
おいては、低堆積領域が連続しているために強度低下を
招きやすい場合がある。そのような場合には、上記第1
ベルト9を構成する線状材15として断面が扁平である
ものを用いると得られる嵩高紙の強度が向上するので好
ましい。
【0034】また、図3に示す装置においては、上記紙
層形成部5における紙層形成ベルトとして、図4(a)
及び(b)に示すベルトに代えて、図6(a)及び
(b)に示すベルトを用いることもできる。なお、図6
(b)において、MDはベルトの流れ方向を示す。
【0035】図6(a)及び(b)に示すベルト17
は、多数の溝状の開口部形状よりなるくぼみ部18を有
する排水可能な朱子織りのベルトである。該くぼみ部1
8の深さは、上述の通り0.3mm以上である。該くぼ
み部18は溝状であるから、紙層形成部5において吸引
ボックス11による吸引がなされても繊維の抜け落ちは
起こらない。従って、この朱子織りのベルト17は、上
述した第1ベルト9及び第2ベルト10とは異なり、単
独で紙層形成に用いることができる。
【0036】上記朱子織りのベルト17を用いて紙層形
成した場合には、上記くぼみ部18により多くの繊維が
供給されやすく、その結果、該くぼみ部18が高堆積領
域となる。一方、上記朱子織りのベルト17を構成する
線状材15上には繊維が堆積しにくく、その結果、線状
材15上は低堆積領域となる。また、上述の第1ベルト
9及び第2ベルト10を組み合わせて用いた場合の繊維
の堆積状態と同様に、上記朱子織りのベルト17を用い
た場合にも、繊維は上記くぼみ部18(即ち、高堆積領
域となる部分)においてベルト17の平面方向、即ち得
られる嵩高紙の平面方向に対して種々の角度(小さな角
度や大きな角度)でもって堆積する。一方、繊維はベル
ト17の線状材15上(即ち、低堆積領域となる部分)
において、単純に堆積するのみなので、通常の抄紙プロ
セスの場合と同様に、ベルト17の平面方向、即ち得ら
れる嵩高紙の平面方向に対してほぼ平行に堆積される。
ただし、繊維16の繊維長が、線状材15の直径を大き
く上回る場合は、繊維16の一部が開口部31にも堆積
することになるので嵩高紙1の平面方向に対して大きな
角度をもつこともある。
【0037】その他、上記朱子織りのベルト17に関し
て特に詳述しなかった点については、上記第1ベルト9
及び第2ベルト10の組み合わせに関して詳述した説明
が適宜適用される。
【0038】紙層形成ベルトのくぼみ部の平面形状は、
特に限定されず繊維長10mm以下(好ましくは0.5
〜5mm)の繊維を含有する繊維懸濁液が上記くぼみ部
に流れこんだ際に、該くぼみ部内に繊維が十分堆積でき
る形状及び面積を有していれば良い。例えば、平織りの
ベルトを用いる場合、14メッシュ/インチ、即ち開口
面積1.72mm2 (1.31mm×1.31mm)程
度までは、開口部内(即ち、くぼみ部内)に繊維が堆積
し得るので、脱水の際に繊維が紙層形成ベルトから抜け
落ちて繊維の歩留りを大きく低下させるという問題はな
い。従って、この場合には、平織りのベルトを単独で用
いて紙層形成を行うことができる。しかし、平織りのベ
ルトで12メッシュ/インチ、即ち開口面積が2.16
mm2 (1.47mm×1.47mm)より大きくなる
場合は、開口部を通じて繊維が脱落するおそれがあるの
で、図4(a)及び(b)に示した如く、第1ベルト9
に加えて細かい開口面積を有する汎用性の紙層形成ベル
ト(即ち、第2ベルト10)を併用することが好まし
い。また、該第2ベルト10を併用する場合でも、第1
ベルトとしての平織りのベルトが6メッシュ/インチ、
即ち開口面積が15.0mm 2 (3.88mm×3.8
8mm)より大きくなると、第1ベルト9の開口部に堆
積する繊維の多くは、形成される嵩高紙の平面方向に対
して平行に堆積されるようになるので好ましくない。以
上のことを、総合的に勘案すると、平織りの紙層形成ベ
ルトを採用する場合(この場合には、閉じられた開口部
形状よりなるくぼみ部が形成される)には、開口面積が
1.00mm2 (1mm×1mm)から9.00mm2
(3.0mm×3.0mm)の範囲のものが好ましく使
用され、より好ましくは、2.00mm2 (1.41m
m×1.41mm)から6.25mm2 (2.5mm×
2.5mm)の範囲であり、更に好ましくは、3.00
mm2 (1.73mm×1.73mm)から4.00m
2 (2.0mm×2.0mm)の範囲である。
【0039】上記紙層形成ベルトの織り方は、平織りや
朱子織りに限られず綾織、杉綾織、変則朱子織等種々の
ものが使用できる。また、開口部形状も正方形に限らず
種々の開口形状をもったくぼみ部が使用でき、例えば図
6(a)及び(b)に示すような細長い溝状の開口部形
状よりなるくぼみ部を有するベルトも使用することがで
きる。細長い溝状の開口部形状よりなるくぼみ部の場
合、溝の幅としては0.5mm〜3mm程度が好まし
く、より好ましくは、0.5mm〜2.0mmである。
【0040】紙層形成ベルト中には、任意の位置におけ
る1cm2 の正方形中に5〜60個のくぼみ部(開口
部)が形成されている。1cm2 当たりのくぼみ部の数
(開口部数)が5個未満であると、くぼみ部に堆積する
繊維の多くが、形成される嵩高紙の平面方向に対して、
平行に堆積されるようになるので好ましくない。一方、
1cm2 当たりのくぼみ部の数が60個を超えると、多
くの繊維が隣り合うくぼみ部間を連絡するようになり、
くぼみ部に堆積する繊維は、大きな角度は有するもの
の、互いに平行な角度でもって紙層を形成するようにな
るため、大きな繊維空隙を得ることができないので好ま
しくない。
【0041】上記紙層形成ベルト〔図4(a)及び
(b)で示されるような2層重ねの紙層形成ベルトの場
合には、上に重ねられる第1ベルト9のみ〕を構成する
線状材は、抄紙安定性の面から撥水性であることが好ま
しい。更に好ましくは、上記紙層形成ベルトが、水に対
する接触角が100°以上であるところの撥水性の線状
材より構成された紙層形成ベルトであることが好まし
い。例えば、テフロン樹脂等で表面処理された線状材よ
り構成された紙層形成ベルト等が挙げられる。このよう
な紙層形成ベルトを用いることにより、一旦紙層形成ベ
ルト上に形成された繊維構造物を他の搬送ベルトに転移
させる際に、又は紙層形成ベルト上に保持された繊維構
造物をスルー・アエー・ドライヤーで乾燥させた後に、
該繊維構造物の紙層形成ベルトからのはがれをさらに良
好にする効果があり、高速抄紙により適したものとな
る。また、紙層形成ベルトに剥離剤をスプレー添加する
ことによってもはがれ性を改善することができる。この
場合、用いられる剥離剤としては、ポリオレフィン系、
高級脂肪酸系、及び鉱物油系等のものが挙げられる。
【0042】さらに、上記紙層形成ベルトを構成する線
状材の形状として、断面が扁平なものを用いると、低堆
積領域に堆積する繊維量が増大し、繊維結合点数が増え
るため、嵩高紙の強度をより良好なものにできるので好
ましい。そのような線状材としては、例えば、断面が楕
円形状及び矩形状のものや、断面が真円の線状材を複数
本撚り合わせて扁平ないしそれに近い形状としたもの等
が挙げられる。これらの線状材は、その断面の扁平方向
が、紙層形成ベルトの平面方向と平行になるように編ま
れる。断面が扁平な線状材として、例えば楕円形状の線
状材を用いる場合には、短軸長に対する長軸長の比は、
1.5〜8程度が好ましく、より好ましくは2〜5であ
る。
【0043】次に、図7〜図10に示す装置を用いた嵩
高紙の製造方法について説明する。ここで図7〜図10
は図1に示す実施形態の嵩高紙1を製造するために好ま
しく用いられる装置の別の例を示す模式図である。な
お、図7〜図10において、図3と同じ部材については
同じ符号を付してあり、それらの部材については特に詳
述しないが、図3に関して詳述した説明が適宜適用され
る。
【0044】図7に示す装置が、図3に示す装置と異な
る点は、乾燥部6を通過して得られた嵩高紙1が、ヤン
キータッチベルト19に転送され、次いでヤンキードラ
イヤー20で最終乾燥され、更にクレーピングドクター
21にてクレープ加工が施される点である。この工程に
より、得られる嵩高紙1の風合いが一層向上するので好
ましい。
【0045】図7に示す装置を用いる場合、乾燥部6、
即ちスルー・エアー・ドライヤー12による繊維構造物
14の乾燥率は70〜95%に制御されることが好まし
い。スルー・エアー・ドライヤー12による繊維構造物
14の乾燥率が高い場合には、ヤンキードライヤー20
への紙の付着性を増すために、半乾燥された嵩高紙1が
ヤンキードライヤー20へ転送される前に、スプレーノ
ズル22によって嵩高紙1へ直接接着剤を噴霧してもよ
い。また、これに代えて、ヤンキードライヤー20の表
面に直接接着剤を噴霧してもよい。更に、再度水を噴霧
してもよい。ここで好ましく用いられる接着剤として
は、例えばニカワ、デンプン、カルボキシメチルセルロ
ース及びポリビニルアルコール等の水溶性高分子材料が
挙げられる。
【0046】なお、図7に示す装置においては、紙層形
成部5における紙層形成ベルトとして、図4(a)及び
(b)に示す第1ベルト9及び第2ベルト10の組み合
わせを用いているが、これに代えて、図6(a)及び
(b)に示す0.3mm以上の深さを有し且つ繊維が堆
積可能なくぼみ部を有する紙層形成ベルトを用いてもよ
い。また、図7に示す装置においても、図3に示す装置
と同様に、繊維構造物14は圧密化工程なしに乾燥され
る。
【0047】図8に示す装置は、図7に示す装置とほぼ
同様になされており、異なる点は、円網式の抄紙機を具
備している点である。該丸網の紙層形成ベルトとして
は、図4(a)及び(b)に示す第1ベルト9及び第2
ベルト10の組み合わせを用いている。なお、図8に示
す装置においても、図3に示す装置と同様に、繊維構造
物14は圧密化工程なしに乾燥される。
【0048】図9に示す装置は、図7に示す装置とほぼ
同様になされており、異なる点は、ツインヤワイヤータ
イプの抄紙機を具備している点である。本装置における
紙層形成ベルト17としては、図6(a)及び(b)に
示す排水可能な材料にて構成され、深さ0.3mm以上
のくぼみ部を有する紙層形成ベルトを用いている。な
お、図9に示す装置においても、図3に示す装置と同様
に、繊維構造物14は圧密化工程なしに乾燥される。な
お、図9中、23は第2吸引ボックスであり、24は搬
送ピックアップベルトである。
【0049】図10に示す装置においては、紙層形成部
5において用いられる紙層形成ベルトとして、図6
(a)及び(b)に示すような一枚の朱子織りのベルト
17を用いている。この一枚のベルト17により、高堆
積領域と低堆積領域とを有し、かつ高堆積領域に位置す
る繊維がランダムな繊維配向で構成されている繊維構造
物14が形成される。この繊維構造物14は、吸引ボッ
クス11で脱水された後、第2吸引ボックス23の吸引
力により搬送ピックアップベルト24に転送されて、乾
燥部6へ運搬される。なお、かかる乾燥部6の詳細は後
述する。乾燥部6によって乾燥されて得られた嵩高紙1
は、第3吸引ボックス25の吸引力により第2搬送及び
第3搬送ピックアップベルト26及び27に転送され
る。その後は、図7に示す装置と同様の工程を経てワイ
ンダー13に巻き取られる。
【0050】図10に示す装置における上記乾燥部6に
ついて説明すると、該乾燥部6は、ドラム状スルー・エ
アー・ドライヤー29を具備している。このドラム状ス
ルー・エアー・ドライヤー29においては、ドラムの外
側から内側に向かって熱風が通過するようになされてい
る(図10中、矢印で示す)。そして、搬送ピックアッ
プベルト24上に保持された繊維構造物14は、ドラム
状スルー・エアー・ドライヤー29内に配設されている
乾燥部吸引ボックス28の吸引力により、ドラムの表面
に転送され、熱風中を通過することによって乾燥され
る。
【0051】ドラム状スルー・エアー・ドライヤー29
のドラムには、図10に示すように、ドラムベルト30
が巻かれている。該ドラムベルト30としては、通常、
熱風の通過に支障のない程度の開口部を有するものが用
いられる。特に好ましく用いられるドラムベルト30と
しては、0.5〜3mm(特に、1.0〜2.5mm)
の厚みを有し且つ開口部の面積が1.00〜15.0m
2 (特に、2.00〜10.0mm2 )である網目状
ベルトが挙げられる。
【0052】上記網目状ベルトを有するドラム状スルー
・エアー・ドライヤー29による繊維構造物14の乾燥
過程について説明すると、繊維構造物14が上記網目状
ベルト上に転送されると、図10に示すようにドラムの
外側から内側に向かって通過する熱風によって該繊維構
造物14が乾燥される直前に、吸引ボックス28の吸引
力(つまり、該網目状ベルトの面のうち該繊維構造物1
4が保持されていない面側からの吸引力)によって、該
繊維構造物14は、該網目状ベルトの開口部にくい込む
状態となる。上記繊維構造物14のうち開口部にくい込
んだ部分は上記吸引力により乾燥されると共に低密度化
が促進される。一方、上記繊維構造物14のうち網目状
ベルト3を構成する線状材上に存在する部分は圧縮領域
となり高密度化が促進されると共に乾燥される。かかる
圧縮領域(高密度領域)は、本発明の嵩高紙における低
堆積領域に起因する引張強度の低下傾向を抑制すること
ができるので好ましい。特に、網目状ベルトを用いる場
合には、圧縮されて高密度化が促進される領域も連続し
た網目状パターンとなるため、得られる嵩高紙の引張強
度が一層向上するので好ましい。
【0053】上記網目状ベルトとしては、例えば図4
(a)及び(b)に示す平織りベルトと同様のものを用
いることができるが、これに限られず、その他、円形、
四角形及び多角形等の閉塞した開口部を有する網目状ベ
ルトを用いることができる。また、上記網目状ベルト
は、プラスチック製の糸を織ったものでも良いが、金属
製の糸(ワイヤー)を織ったものでも良く、或いは金属
プレートを特定パターンに打ち抜いて作製したものでも
良い。
【0054】なお、図10に示す装置においては、紙層
形成部5における紙層形成ベルトとして、図6(a)及
び(b)に示す排水可能な材料にて構成され、深さ0.
3mm以上のくぼみ部を有する紙層形成ベルトを用いて
いるが、これに代えて、図4(a)及び(b)に示す第
1ベルト9及び第2ベルト10の組み合わせからなる紙
層形成ベルトを用いてもよい。また、図10に示す装置
においても、図3に示す装置と同様に、繊維構造物14
は圧密化工程なしに乾燥される。
【0055】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、もちろん本発明はこれによって限定される
ものではない。
【0056】〔実施例1〕カナディアン・スタンダード
・フリーネス(CSF)680mlに叩解された針葉樹
晒クラフトパルプ(NBKP、重量平均繊維長2.35
mm)を濃度1重量%に分散したパルプスラリーに、湿
潤紙力増強剤としてのカイメンWS−570(DICハ
ーキュレス社製)を0.625%(対パルプ重量%)、
乾燥紙力増強剤及びカイメンの歩留り向上剤としてのカ
ルボキシメチルセルロース(WS−A、第一工業製薬社
製)を0.25%(対パルプ重量%)添加して抄紙原料
とした。
【0057】上記抄紙原料を用い、図3に示す装置によ
って嵩高紙を製造した。なお、図3における第1ベルト
9として、縦11メッシュ/インチ×横10メッシュ/
インチ、開口部寸法縦1.41mm×横1.64mm、
開口部面積2.31mm2 、厚み(即ち、くぼみ部の深
さ)1.7mmのポリエステル製平織りワイヤーを使用
した。また、第2ベルト10として、縦90メッシュ/
インチ×横85メッシュ/インチ、開口部寸法0.12
8mm×0.132mm、開口部面積0.0168mm
2 、厚み0.43mmのポリエステル製1,4サテン織
りワイヤーを使用した。
【0058】図3に示す装置の抄紙原料供給ヘッド8よ
り抄紙原料を紙層形成ベルト(第1ベルト9と第2ベル
ト10との組み合わせ)上へ供給し、吸引ボックス11
で吸引脱水することにより繊維構造物14を形成した。
第1ベルト9と第2ベルト10とが分離した後、上記繊
維構造物14が保持された第1ベルト9をスルー・エア
ー・ドライヤー12へ導入し、上記繊維構造物14を1
50℃の熱風にて乾燥して坪量25g/m2 の嵩高紙1
を得た。この嵩高紙は1cm2 の正方形中に高堆積領域
が16個存在していた。なお、抄速は10m/minで
あった。
【0059】なお、スルー・エアー・ドライヤー12に
より乾燥された嵩高紙の紙層形成ベルト(第1ベルト9
と第2ベルト10との組み合わせ)からのはがれ性を良
好にするために、脂肪酸系の剥離剤OC−50E(日新
化学社製)を濃度0.1重量%に調製して、紙層形成ベ
ルトの繊維堆積面にスプレーした。
【0060】かくして得られた嵩高紙について、その構
造の指標となる各繊維の角度を以下の方法にて測定し
た。その結果を表1に示す。
【0061】<嵩高紙断面の各繊維の角度測定>得られ
た嵩高紙を任意の場所で鋭利なカミソリにより15mm
(流れ方向、MD)×3mm(幅方向、CD)の大きさ
に裁断し、断面部を上方に向けて直立に電子顕微鏡用基
台に固定した。E−1030型イオンスパッターにより
上記断面部を白金蒸着した後、日立S−4000型走査
電子顕微鏡にて100倍の倍率で嵩高紙断面の写真を撮
影した。撮影した写真をもとに嵩高紙の平面方向に対し
て各々の繊維またはその一部がどのような角度で存在す
るかを分度器を用いて測定した。15°毎に、即ち0°
以上15°未満、15°以上30°未満、30°以上4
5°未満、45°以上60°未満、60°以上75°未
満、75°以上90°以下の6つの角度領域のそれぞれ
における繊維存在比率を算出した。また、嵩高紙の平面
方向に対して最大角を有する繊維と最小角を有する繊維
との角度差を測定した。
【0062】なお、本実施例においては、高堆積領域の
断面についてのみ測定を行い、後述する比較例としての
単一坪量品については任意の断面について測定を行っ
た。
【0063】また、得られた嵩高紙の嵩高性及び吸収性
を調べるために、平均乾燥厚み(3g/cm2 加重下、
23g/cm2 加重下)、平均湿潤厚み(3g/cm2
加重下、23g/cm2 加重下)、低堆積領域と高堆積
領域の厚みと坪量、乾燥引張強度(MD、CD)、湿潤
引張強度(MD、CD)、単位面積あたりの飽和吸水
量、吸水速度を以下の方法にて測定した。その結果を表
1に示す。
【0064】<平均乾燥厚み>オザキ製作所社製の厚み
計(R5−C)を用いて、5×5cmの底面を有する7
5gのアクリル板を一枚の嵩高紙の上に置いて3g/c
2 加重下の乾燥平均厚みを測定した。また、上記アク
リル板の上に更に500gのおもりを載せて23g/c
2 加重下の平均乾燥厚みを測定した。 <平均湿潤厚み>嵩高紙を7cm×7cmに裁断して大
量の水に5秒間浸した後、10秒間水を切ってから平均
乾燥厚みの場合と同様にして平均湿潤厚みを測定した。 <高堆積領域及び低堆積領域の坪量>電子顕微鏡写真の
断面写真より、高堆積領域及び低堆積領域に分けて、各
領域中におけるパルプの総面積を画像解析装置〔日本ア
ビオニクス社製 Avio TV IMAGE PROCESSOR(TVIP-410
0)〕を用いて測定し、各領域中のパルプの総面積比率と
嵩高紙の平均坪量とから算出した。 <低堆積領域と高堆積領域の厚み>電子顕微鏡写真によ
る断面写真より測定した。 <乾燥引張強度>嵩高紙を幅25mm、長さ100mm
の短冊状に裁断した後、速やかに万能圧縮引張試験機
(オリエンティック社製、RTM−25)を用いて、引
張速度300mm/min、試験片つかみ間隔50mm
の条件で破断時の強度を測定した。なお、MDは抄紙機
の流れ方向の強度を示し、CDはそれに直交する方向の
強度を示す。 <湿潤引張強度>嵩高紙を幅25mm、長さ100mm
の短冊状に裁断し、大量の水に5秒間浸した後、10秒
間水を切ってから、乾燥引張強度と同様の方法で破断時
の強度を測定した。 <飽和吸水量>嵩高紙を7cm×7cmに裁断して大量
の水に20秒間浸した後、30秒間水を切ってから、嵩
高紙に吸収された水の重量(g/49cm2 )を天秤に
て測定した。 <吸水速度>嵩高紙を幅25mm、長さ150mmの短
冊状に裁断した後、長さ方向を鉛直にして固定し、下端
から15mmまでを水に浸す。浸してから1分後に水が
何mm吸い上げられたかを測定した。
【0065】〔実施例2〕実施例1で用いた装置(図3
に示す装置)における紙層形成ベルトとして、図6
(a)及び(b)に示す溝状のくぼみ部18を有するベ
ルト〔1,4−1,2のパターンで織られた朱子織のベ
ルトくぼみ部の深さ0.7mm〕を使用する以外は実施
例1と同様の操作で坪量25g/m2 の嵩高紙を製造し
た。なお、このベルトはポリエステル製で、縦21メッ
シュ/インチ×横15メッシュ/インチであり、溝状の
くぼみ部のおおよその開口寸法は縦6.0mm×横0.
7mmおよび縦2.6mm×横0.7mmの2種類であ
り、おおよその開口面積は、4.2mm2 と1.8mm
2 であり、厚みは2.7mmである。この嵩高紙は1c
2 の正方形中に高堆積領域が20個存在していた。得
られた嵩高紙について実施例1と同様の測定を行った。
その結果を表1に示す。
【0066】〔実施例3〕実施例1と同様の抄紙原料を
用い、図10に示す装置によって嵩高紙を製造した。紙
層形成ベルトとして、縦11メッシュ/インチ×横10
メッシュ/インチであり、開孔部寸法が縦2.45mm
×横2.10mmであり、開口部面積が5.15mm2
であり、厚み(即ち、くぼみ部の深さ)が0.58mm
であるテフロン処理された偏平ガラス織布のからみ織り
ワイヤーを、実施例1で使用した目の細かいワイヤーの
外周に重ねて縫いつけたものを使用した。なお、上記テ
フロン処理された偏平ガラス織布のからみ織りワイヤー
を構成するガラス繊維は長軸が0.75mmであり、短
軸が0.4mmである。また、搬送ピックアップベルト
24は通常の抄紙工程で使用される比較的細かい開口部
を有するものであり、縦91メッシュ/インチ×横56
メッシュ/インチの1,3−サテン織りワイヤーを使用
した。また、ヤンキータッチベルト19、第2搬送ピッ
クアップベルト26及び第3搬送ピックアップベルト2
7も、通常の抄紙工程で使用される比較的細かい開口部
を有するものであり、縦42メッシュ/インチ×横31
メッシュ/インチの1,3−サテン織りワイヤーを使用
した。また、ドラム状スルー・エアー・ドライヤー29
には、繊維構造物14に連続した網目状の高密度領域を
付与するために、網目状ベルトを配設した。該網目状ベ
ルトとしては、縦12メッシュ/インチ×横12メッシ
ュ/インチであり、開口部寸法が縦1.40mm×横
1.40mmであり、開口部面積が1.96mm 2 、厚
みが1.60mmである平織りワイヤーを使用した。こ
のドラム状スルー・エアー・ドライヤー29における熱
風温度は160℃とした。また、半乾燥状態の嵩高紙の
ヤンキードライヤー20への接着性を良好にすべく、濃
度2重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)溶
液をスプレーノズル22より嵩高紙に直接スプレーし
た。なお、ヤンキードライヤー20での乾燥温度120
℃とした。以上の条件にて、抄速150m/minでク
レープ率12%、坪量25g/m 2 の嵩高紙を得た。こ
の嵩高紙は1cm2 の正方形中に高堆積領域が16個存
在していた。得られた嵩高紙について実施例1と同様の
測定を行った。その結果を表1に示す。
【0067】〔実施例4〕カナディアン・スタンダード
・フリーネス(CSF)680mlに叩解された針葉樹
晒クラフトパルプ(NBKP、重量平均繊維長2.35
mm)95重量%と熱融着性共重合ポリエステル(TJ
04CN、1.5デニール×5mm、帝人製)5重量%
とからなる混合繊維を濃度1重量%に分散したパルプス
ラリーに実施例1と同様の薬剤を添加して調製した抄紙
原料を用いる以外は実施例3と同様の操作で坪量25g
/m2 の嵩高紙を製造した。この嵩高紙は1cm2 の正
方形中に高堆積領域が16個存在していた。このように
して得られた嵩高紙について実施例1と同様の測定を行
った。その結果を表1に示す。
【0068】〔実施例5〕実施例3における網目状ベル
トとして、図11(a)及び(b)に示すくぼみ部を有
するベルト〔1,4−1,2のパターンで織られた特殊
朱子織のベルト、くぼみ部の長さ0.7mm〕を用いる
以外は実施例3と同様の操作により坪量25g/m2
嵩高紙を製造した。なお、このベルトはポリエステル製
で、縦38メッシュ/インチ×横15メッシュ/インチ
であり、くぼみ部のおおよその開口面積は、3.38m
2 (縦12.6mm×横1.3mm)で、厚さは2.
3mmであった。この嵩高紙は1cm2 の正方形中に高
堆積領域が15個存在していた。このようにして得られ
た嵩高紙について実施例1と同様の測定を行った。その
結果を表1に示す。
【0069】〔比較例1〕実施例1における紙層形成ベ
ルトとして、同実施例で用いた第2ベルト〔縦90メッ
シュ/インチ×横85メッシュ/インチ、開口部寸法
0.128mm×0.132mm、開口部面積0.01
68mm2 、厚み0.43mmのポリエステル製1,4
−サテン織りワイヤー〕のみを用いる以外は実施例1と
同様の操作により坪量25g/m2 の紙を製造した。こ
の紙は高堆積領域及び低堆積領域を有さず、単一の坪量
を有するものであった。このようにして得られた紙につ
いて実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に
示す。
【0070】〔比較例2〕カナディアン・スタンダード
・フリーネス(CSF)680mlに叩解された針葉樹
晒クラフトパルプ(NBKP、重量平均繊維長2.35
mm)50重量%と、ナイアガラビーターで10分間叩
解を行ったCSF=720mlのマーセル化針葉樹晒ク
ラフトパルプ(ポロセニア、レオニア製、繊維長2.1
3mm)50重量%とからなる混合繊維を濃度1重量%
に分散したパルプスラリーに実施例1と同様の薬剤を添
加して調製した抄紙原料を用いる以外は比較例1と同様
の操作により坪量25g/m2 の紙を製造した。この紙
は高堆積領域及び低堆積領域を有さず、単一の坪量を有
するものであった。このようにして得られた紙について
実施例1と同様の測定を行った。その結果を表1に示
す。
【0071】〔比較例3〕実施例1と同様の抄紙原料を
用い、図10に示す装置によって嵩高紙を製造する際
に、紙層形成ベルトとして比較例1で用いた紙層形成ベ
ルトを用いる以外は実施例3と同様の操作により坪量2
5g/m2 の紙を製造した。この紙は高堆積領域及び低
堆積領域を有さず、単一の坪量を有するものであった。
このようにして得られた紙について実施例1と同様の測
定を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の嵩高紙(実施例1〜5)においては、乾燥時及び湿
潤時ともに嵩高性が発現しており、飽和吸収量にも優れ
ている。これに対して、通常の抄紙プロセスに用いられ
る紙層形成ベルトのみを用いて製造された比較例1〜3
の紙においては、紙を構成する繊維は紙の平面方向に対
して小角度をなして存在しているものがほとんどあり、
高堆積領域及び低堆積領域は存在せず、嵩高性及び飽和
吸収量ともに本発明の嵩高紙(実施例1〜5)には及ば
なかった。
【0074】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
嵩高紙における高堆積領域に該嵩高紙の平面方向に対し
て0°以上15°未満の角度を有する繊維を10%以上
存在させると共に、15゜以上90°未満の角度を有す
る繊維を10%以上存在させ、該嵩高紙の平面方向に対
して最大角をもつ繊維と最小角をもつ繊維との角度差を
40°以上となし、更に上記高堆積領域を上記嵩高紙の
任意の位置における1cm2 の正方形中に5〜60個存
在させることにより、その内部に多くの繊維間空隙が形
成され、風合いの良い嵩高性を有し且つ優れた吸収性を
発現し得る嵩高紙が得られる。また、嵩高紙を製造する
際の乾燥工程において、乾燥すべき繊維構造物が保持さ
れた網目状ベルトを、該網目状ベルトの面のうち該繊維
構造物が保持されていない面側から吸引して、該繊維構
造物に網目状の圧縮領域を付与すると共に、該繊維構造
物が保持された該網目状ベルトを熱風中に通過させ該繊
維構造物を乾燥させることにより、圧縮された高密度領
域が連続した網目状パターンとなり、得られる嵩高紙の
引張強度が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嵩高紙の好ましい一実施形態の厚さ方
向の断面を示す模式図である。
【図2】図1に示す嵩高紙の繊維高堆積領域を拡大して
示す模式図である。
【図3】図1に示す実施形態の嵩高紙を製造するために
好ましく用いられる装置の一例を示す模式図である。
【図4】図4(a)は、第1ベルトと第2ベルトとが重
ね合わされた紙層形成ベルトを示す平面図であり、図4
(b)は、図4(a)におけるA−A線断面図である。
【図5】第1ベルト及び第2ベルトが組み合わせて用い
られる紙層形成ベルトにおける繊維の堆積の様子を示す
模式図である。
【図6】図6(a)は、紙層形成ベルトとして用いられ
る溝状のくぼみ部を有する朱子織りのベルトを示す平面
図であり、図6(b)は、図6(a)におけるA−A線
断面図である。
【図7】図1に示す実施形態の嵩高紙を製造するために
好ましく用いられる装置の別の例を示す模式図である。
【図8】図1に示す実施形態の嵩高紙を製造するために
好ましく用いられる装置の別の例を示す模式図である。
【図9】図1に示す実施形態の嵩高紙を製造するために
好ましく用いられる装置の別の例を示す模式図である。
【図10】図1に示す実施形態の嵩高紙を製造するため
に好ましく用いられる装置の他の例を示す模式図であ
る。
【図11】図11(a)は、紙層形成ベルトとして用い
られる溝状のくぼみ部を有する特殊朱子織りのベルトを
示す平面図〔図6(a)相当図〕であり、図11(b)
は、図11(a)におけるA−A線断面図〔図6(b)
相当図〕である。
【図12】従来の抄紙プロセスにより製造された紙の厚
さ方向の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1 嵩高紙 2 繊維高堆積領域 3 繊維低堆積領域 4 原料供給部 5 紙層形成部 6 乾燥部 7 巻取部 8 抄紙原料供給ヘッド 9 第1ベルト 10 第2ベルト 11 吸引ボックス 12 スルー・エアー・ドライヤー 14 繊維構造物 15 線状材 16 繊維 17 杉綾織りのベルト 18 くぼみ部 29 ドラム状スルー・エアー・ドライヤー 30 ドラムベルト 31 開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤井 弘幸 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維長10mm以下の繊維を含み、繊維
    高堆積領域と繊維低堆積領域とから構成される嵩高紙で
    あって、 上記繊維高堆積領域には、上記嵩高紙の平面方向に対し
    て0°以上15°未満の角度を有する繊維が10%以上
    存在すると共に、15゜以上90°未満の角度を有する
    繊維が10%以上存在し、 上記繊維高堆積領域においては、上記嵩高紙の平面方向
    に対して最大角をもつ繊維と最小角をもつ繊維との角度
    差が40°以上であり、 上記繊維高堆積領域は、上記嵩高紙の任意の位置におけ
    る1cm2 の正方形中に5〜60個存在することを特徴
    とする嵩高紙。
  2. 【請求項2】 上記繊維高堆積領域には、30゜以上
    90°未満の角度を有する繊維が10%以上存在し、 上記繊維高堆積領域は、上記嵩高紙の任意の位置におけ
    る1cm2 の正方形中に5〜30個存在する、請求項1
    記載の嵩高紙。
  3. 【請求項3】 上記繊維高堆積領域と上記繊維低堆積領
    域とを含めた平均の坪量が10g/m2 〜100g/m
    2 であり、上記繊維低堆積領域に対する上記繊維高堆積
    領域の坪量比率が1.3〜10である、請求項1又は2
    記載の嵩高紙。
  4. 【請求項4】 上記繊維高堆積領域の厚みが上記繊維低
    堆積領域の厚みの1.5倍以上であることを特徴とする
    第1〜第3項の何れかに記載の嵩高紙。
  5. 【請求項5】 セルロース系繊維を50〜100重量%
    含有し、湿潤紙力増強剤が添加されてなる、請求項1〜
    4の何れかに記載の嵩高紙。
  6. 【請求項6】 セルロース系繊維を70〜97重量%含
    有し熱可塑性繊維を3〜30重量%含有する、請求項1
    〜4の何れかに記載の嵩高紙。
  7. 【請求項7】 繊維懸濁液を紙層形成ベルト上に供給
    し、該紙層形成ベルト上に繊維を堆積させて繊維構造物
    を形成する工程を含む嵩高紙の製造方法において、 上記繊維懸濁液として、繊維長が10mm以下の繊維を
    含有する繊維懸濁液を用いると共に、 上記紙層形成ベルトとして、排水可能な材料にて構成さ
    れ、深さ0.3mm以上のくぼみ部を有する紙層形成ベ
    ルトを用いることを特徴とする嵩高紙の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記くぼみ部が、開口部面積1.00m
    2 〜9.00mm 2 の閉じられた開口部形状よりなる
    か、又は溝の幅が0.5mm〜3mmの溝状の開口部形
    状よりなり、且つ上記くぼみ部が上記紙層形成ベルト中
    に5個/cm 2 〜60個/cm2 形成されている、請求
    項7記載の嵩高紙の製造法。
  9. 【請求項9】 上記紙層形成ベルトが、水に対する接触
    角が100°以上であるところの撥水性の線状材より構
    成された紙層形成ベルトである、請求項7又は8記載の
    嵩高紙の製造法。
  10. 【請求項10】 上記紙層形成ベルト上に繊維が堆積さ
    れた状態で、吸引装置による適度な脱水を行い、該紙層
    形成ベルト上に繊維構造物を形成した後、該繊維構造物
    を、該紙層形成ベルト上に保持した状態で圧密化工程を
    行わずに乾燥させる、請求項7〜9の何れかに記載の嵩
    高紙の製造法。
  11. 【請求項11】 上記紙層形成ベルト上に保持された上
    記繊維構造物を、熱風中を通過させることにより乾燥さ
    せる、請求項7〜10の何れかに記載の嵩高紙の製造
    法。
  12. 【請求項12】 上記紙層形成ベルト上に保持された上
    記繊維構造物を、圧密化工程なしに、0.7〜3mmの
    厚みを有し且つ開口部面積が1.00mm2〜15.0
    mm2 であるところの網目状ベルト上に転送し、該網目
    状ベルト上に該繊維構造物を保持した状態で熱風中を通
    過させ該繊維構造物を乾燥させる、請求項7〜11の何
    れかに記載の嵩高紙の製造法。
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