JPH09157302A - 高重合度アセチルセルロースの製造法 - Google Patents

高重合度アセチルセルロースの製造法

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JPH09157302A
JPH09157302A JP32037895A JP32037895A JPH09157302A JP H09157302 A JPH09157302 A JP H09157302A JP 32037895 A JP32037895 A JP 32037895A JP 32037895 A JP32037895 A JP 32037895A JP H09157302 A JPH09157302 A JP H09157302A
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cellulose
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acetyl
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Application number
JP32037895A
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English (en)
Inventor
Mari Tabuchi
眞理 田渕
Otohiko Watabe
乙比古 渡部
Yasushi Morinaga
康 森永
Fumitaka Horii
文敬 堀井
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Bio Polymer Research Co Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合度が高いアセチルセルロースを、延いて
は機械的強度に優れたアセチルセルロースの成形物を提
供すること。 【解決手段】 固体状態のセルロースをピリジン中で無
水酢酸により溶解法でアセチル化することで高重合度の
アセチルセルロースを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高重合度アセチル
セルロースの製造方法、更に詳しくは、固体状態のセル
ロースを前処理することなく直ちにピリジン中での無水
酢酸により溶解法でアセチル化反応に付することで高重
合度のアセチルセルロースを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースのアセチル化によるアセチル
セルロースの合成法には、種々の方法が知られている。
例えば、アセチル化されるべきセルロースについては、
これをクロラール、ジメチルホルムアミド(DMF)な
どの溶媒に溶解した状態でアセチル化する方法、酢酸で
浸漬処理(前処理)し、酢酸で膨潤した状態でアセチル
化する方法、このような溶解若しくは膨潤を行なうこと
なく、そのままの固体状態でアセチル化する方法等があ
る。アセチル化剤については、塩化アセチルを使用し
て、アセチル化する方法、無水酢酸を使用してアセチル
化する方法等が知られている。触媒については、硫酸や
酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの酢酸のアルカリ金
属塩等の触媒を使用してアセチル化する方法及び触媒を
使用しないでアセチル化する方法がある。溶媒について
は、酢酸、塩化メチレンなどの溶媒を使用してアセチル
化する方法及び無溶媒でアセチル化する方法等が知られ
ている。
【0003】特に、被アセチル化物として固体状態のセ
ルロースを採用した場合の、そのアセチル化反応の間に
おける挙動に着目した場合、アセチルセルロースの合成
法は次のように3大別される。(a)固体セルロース
(出発原料)を前処理段階で溶解し、アセチル化本反応
をセルロースの溶液状態で行なう(溶解法によるアセチ
ル化(その1))、(b)同じく固体セルロースを出発
原料とするが、これを可溶化処理などの前処理に付する
ことなく、直ちに溶媒を使用するアセチル化(本)反応
に付するもので、この場合、アセチル化反応の進行に伴
い、セルロースは溶解して行く(溶解法によるアセチル
化(その2))、及び(c)同じく固体セルロースを出
発原料とするが、固体のまま(例えば、無水酢酸及びピ
リジンからなる)液相又は気相状態のアセチル化剤によ
るアセチル化(本)反応に付するもので、この場合、ア
セチル化はセルロースの表面で進行する(繊維状酢化
法)。
【0004】以下の説明から明らかなように、本発明の
高重合度アセチルセルロースの製造法は、前記(b)の
カテゴリーに属する。
【0005】そして、アセチルセルロースは、周知の如
く、繊維、フィルムなどの各種成形材料、たばこ用フィ
ルター、各種複合分離膜(血液透析膜、限外濾過膜、逆
浸透膜など)、吸音材などの建材、塗料、等多岐にわた
り利用されている。
【0006】しかしながら、機械的強度の増大などによ
り、これらの用途に対するセルロースの特性、性能を更
に一段と向上させることの期待されるところが極めて大
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の従来技術の
背景下に、本発明の目的は、重合度の高いアセチルセル
ロース延いては、機械的強度に優れたアセチルセルロー
スの成型物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前項記載の
目的を達成すべく鋭意研究の結果、セルロースのアセチ
ル化法における、先に説明したような種々の要素を巧み
に組合せてアセチル化を行なうことで上記目的の達成し
得ることを見出し、このような知見に基づいて本発明を
完成した。因みに、本発明によるような諸要素の組合せ
は新規である。
【0009】すなわち、本発明は、固体状態のセルロー
スを前処理に付することなく直ちにピリジン中で無水酢
酸により溶解法でアセチル化することで高重合度のアセ
チルセルロースを製造する方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明の方法によりアセチル化されるべき
セルロースには特別の制限はなく、綿リンター、木材パ
ルプなどから得られる植物系セルロースはもちろんのこ
と、アセトバクター属などに属する微生物の産生するバ
クテリアセルロースも包含される。さらに、再生セルロ
ースや一部に官能基が導入されたセルロースも包含され
る。これらのセルロースの中では、一般にバクテリアセ
ルロースが機械的強度の大きいアセチル化物を与えるの
で好ましい(後出実施例参照)。
【0012】本発明でアセチルセルロースを製造するた
めの原料となるセルロースとしては、なるべく高重合度
のもの、例えば、ホヤ、バロニアなど由来のセルロース
を使用した方が、出来たアセチルセルロースが高重合度
になるので好適である。また、本発明のバクテリアセル
ロースの内、高重合度のバクテリアセルロースの方が、
好適なアセチルセルロース製造用の原料となる。
【0013】高重合度のバクテリアセルロースは、高重
合度のバクテリアセルロースを生成することのできるセ
ルロース生産菌株によって製造されうる。
【0014】セルロース生産菌の中でも、通気撹拌培養
することによって、ポリスチレン換算の重量平均重合度
が1.6×104 以上、好ましくは1.7×104 以上
である高重合度のバクテリアセルロースを製造するか、
又は静置培養することによって、ポリスチレン換算の重
量平均重合度が2.0×104 以上である高重合度のバ
クテリアセルロースを製造する菌株が好ましい。
【0015】本発明で使用し得る高重合度のバクテリア
セルロースの生産菌のうち、BPR3001Aは、平成
7年6月12日付で通商産業省工業技術院生命工学工業
技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され、受託番
号FERM P−14982を付されている。
【0016】本発明におけるバクテリアセルロース等の
各種セルロースの重量平均重合度は、検出器としてRI
を内蔵したGPCシステム(Tosoh HLC−80
20)を用いて以下のようにして測定する。
【0017】各種セルロース試料を発煙硝酸−五酸化リ
ン溶液でW.J.Alexander,R.L.Mit
chell,Analytical chemistr
y21,12,1497−1500(1949)の方法
によりニトロ化する。
【0018】コントロールとして同時にニトロ化したコ
ットンリンターを用いる。
【0019】セルロースニトロ化物はTHF(和光純薬
1級)に0.05%濃度で溶かしたのち、1.0μm
ポアサイズのフィルターで濾過する。
【0020】GPCの溶離液にもTHFを用いる。
【0021】流速は0.5ml/min、圧力は10〜
13kg f/cm2 、サンプル注入量は100μlと
する。
【0022】カラムはTSKgel GMH−HR
(S)(7.5ID×300mm×2本)とガードカラ
ム(HHR(S))(Tosoh Co.,Ltd.)
を用い35℃で測定する。
【0023】分子量算出のためにスタンダードポリスチ
レン(Tosoh)を用いポリスチレン換算の相対分子
量を求める。
【0024】2×107 から2630の分子量のポリス
チレンを用い、溶出時間(t)と分子量の対数(log
M)について、3次式:(logM=At3 +Bt2
Ct+D)による近似を行いスタンダード曲線を作製す
る。
【0025】分子量はTosohのデータ処理専用機
(SC−8020)に内蔵されたプログラムにより重量
平均分子量を計算する。
【0026】これらの分子量の値からニトロ化後の置換
度を考慮して重量平均重合度を計算する。
【0027】本発明にいう固体状態のセルロースとは、
各種のセルロース源から適宜の方法で分離され、適当な
純度に精製されたセルロースの乾燥物をいう。
【0028】固体状態のセルロースをピリジン中で無水
酢酸により溶解法でアセチル化する反応条件には、固体
状態のセルロースがピリジン中で無水酢酸によりアセチ
ル化されて徐々に溶解する限りは、特別の制限はない。
例えば、固体状態のセルロース1重量部を3〜20重量
部の無水酢酸及び3〜40重量部のピリジンに加え、こ
の混合物を温度20〜30℃で4〜24時間保持するこ
とでアセチル化を行なうことができる。無水酢酸の使用
量が上記範囲より少ないとアセチル化反応が所望通り進
行せず、また多いと分解反応が生じて生成物の品質が低
下するので、いずれも好ましくない。また、ピリジンの
使用量が上記範囲より少ないとアセチル化反応が所望通
り進行せず、また多いとやはりアセチル化反応が所望通
り進行しないので、いずれも好ましくない。反応の進行
につれてセルロースは徐々に溶解し、溶存状態でアセチ
ル化反応を受ける(溶解法)。温度については、上記範
囲より低いとアセチル化反応が所望通り進行せず、また
高いと分解反応が生じて生成物の品質が低下するので、
いずれも好ましくない。そして、時間については上記範
囲より短いとアセチル化反応が進行せず、また長いと分
解反応が生じて生成物の重合度が低下するので、いずれ
も好ましくない。
【0029】アセチル化反応の打切りは従来法に準ずる
ことができ、すなわち、例えば反応混合物を大量の水中
に投下して反応を停止させる。
【0030】反応を停止させた反応混合物から目的のア
セチルセルロースを分離取得するにも特別の制限はな
く、従来法に準することができる。すなわち、例えば、
遠心分離、(吸引)濾過、濃縮などの一般的な固液分離
法を適宜採用して目的のアセチルセルロースを取得す
る。
【0031】このようにして取得したアセチルセルロー
スは、その製品として流通に置くことができる。
【0032】尚、本発明で述べた高重合度のアセチルセ
ルロースの製造技術は種々のセルロース誘導体の調製の
際にも応用でき、高重合度のセルロース誘導体が得られ
る。
【0033】セルロース誘導体としては、種々のセルロ
ースエーテル、セルロースエステル、不飽和セルロー
ス、無水セルロース、デオキシセルロース、酸化セルロ
ース、アルカリセルロース、セロハン、ビスコースレー
ヨン、セルロースグラフト共重合体、生物活性セルロー
ス誘導体をはじめとする以下の誘導体があげられる。硫
酸セルロース、リン酸セルロース、プロピオネート、ブ
チレート、バレレート、カプロエート、ヘプチレート、
カプリレート、ラウリート、ミリステート、パルミテー
ト、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセ
テートプロピオネート、アセテート/メタクルレート、
アセテート/マレート、プロピオネート/クロトネー
ト、アセテート/N,N−ジエチルアミノアセテート、
プロピオネート/モルホリノブチレート、不飽和カルボ
ン酸との混合エステル、アミノデオキシセルロース、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチ
ルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、エチルセ
ルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、シアノ
エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ジエチルア
ミノエチルセルロース、ヒドロキシプロピル/メチルセ
ルロースフタレート、ヒドロキシエチルヒドロキシプロ
ピルセルロース、セルロースカーバメイト、アミノデオ
キシセルロース、ハロデオキシセルロース、カチオン性
セルロースエーテル、カルボン酸含有酸化セルロース、
カルボキシル基含有酸化セルロース、2,4−ジクロロ
−6−(3′,6′,8′−トリスルホ−1′−ナフチ
ルアミノ)−シントリアジン含有ポリアクリル酸グラフ
トセルロース、エチルフェロセンセルロース、クロロノ
ニルアクリレート含有セルロース誘導体、β−ガラクト
シダーゼ固定p−アミノカルバニレートセルロース、テ
トラサイクリン結合セルロースジアゾベンゾエート、
2,2′−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェ
ノール)2Na塩含有誘導体、モルホリン/セルロース
エーテル錯体、エタノールアミン−セルロース誘導体、
フォスホラスセルロース、β−アミロース固定セルロー
ス誘導体、及びその他のセルロース誘導体((株)シー
エムシー「機能性セルロースの開発」p.50〜111
(1985)に記載)が含まれる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0035】実施例1(高重合度セルロース生産菌の静
置培養によるバクテリアセルロースの調製) BPR3001Aをグリセロールストックより培地10
0mlを仕込んだ750ml容のルーフラスコに1%濃
度で植菌し、28℃で3日間静置培養した。培養後ルー
フラスコをよく振って菌体をセルロース膜よりはがした
後、菌液3mlをCSL(コーンスチープリカー)−F
ru(フラクトース)培地27mlを入れたシャーレ
(直径90mm)に植菌し、28℃で10日間培養し
た。
【0036】培養終了後、得られたセルロース膜を流水
で洗浄後、約500mlの水中で80℃で20分間加熱
した。加熱後セルロース膜をさらに流水で洗浄し、その
後、約500mlの0.1規定NaOH中で80℃で2
0分間加熱することによりセルロース膜に含まれる菌体
を溶菌させた。溶菌後、セルロース膜を約500mlの
蒸留水中で80℃で20分間加熱することにより洗浄し
た。同様の洗浄を蒸留水を交換しつつ3〜5回行うこと
により精製バクテリアセルロースを得た。
【0037】この精製バクテリアセルロースの重量平均
重合度を既に述べた方法で測定した結果22500であ
った。
【0038】実施例2(高重合度セルロース生産菌の通
気撹拌培養によるバクテリアセルロースの調製) BPR3001AをグリセロールストックよりCSL−
Fru培地100mlを仕込んだ750ml容ルーフラ
スコに1%植菌し、28℃で3日間静置培養した。培養
後ルーフラスコをよく振って菌体をセルロース膜よりは
がした後、菌液12.5mlを112.5mlの培地を
含む500mlフラスコに植菌し、28℃で180rp
mの条件で3日間培養した。培養物をブレンダーにより
無菌的に離解し、その60mlを540mlのCSL−
Fru培地を仕込んだ容量1リットルのジャーファーメ
ンターに植菌し、pHをNH3 ガスおよび1規定H2
4 で4.9〜5.1に制御しながら、かつ溶存酸素量
(DO)が3.0%以上になるように回転数を自動制御
しながら、メイン培養を行った。
【0039】培養終了後、得られた培養液を酢酸緩衝液
で約5倍に希釈した後、遠心分離して沈殿物を回収し
た。沈殿を蒸留水で最初の培養液量の約8倍に希釈後、
80℃で20分間加熱し、加熱後遠心分離により沈殿物
を回収した。沈殿物を同じく8倍量の0.1規定NaO
Hに懸濁し、80℃で20分間加熱することにより溶菌
し、溶菌後遠心分離により沈殿物を回収した。この後、
さらに8倍量の蒸留水に沈殿を懸濁し80℃で20分間
加熱し、加熱後遠心分離して沈殿物を回収することによ
りセルロースの洗浄を行った。同様の洗浄を3回行うこ
とにより精製バクテリアセルロースを得た。
【0040】この精製バクテリアセルロースの重量平均
重合度をすでに述べた方法で測定した結果17400で
あった。
【0041】尚、以上の実施例で用いたCSL−Fru
の組成は下記第1表に示すとおりである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】実施例3 (a)実施例2で得られた精製バクテリアセルロース
は、有機溶媒のメタノール、アセトン及びヘキサンでこ
の順に溶媒置換して乾燥した(特開平6−233691
及びU.Geyer,Int.J.Biol.Macr
omol.,16,6(1994)参照)。この乾燥品
は、固体状態の(バクテリア)セルロースの一例であ
る。
【0046】この固体状態のバクテリアセルロースに2
0倍量(重量)の無水酢酸及び同量のピリジンを加え、
得られた混合物を温度を20〜30℃に保って12時間
保持することでアセチル化反応を行なった。その後、反
応混合物を大量の水中に投じてアセチルセルロースを得
た。これを中和後十分に水洗し、乾燥させた。乾燥後、
アセチルセルロースをアセトンに溶解し、その溶液を平
底ガラス容器に入れて風乾し、容器底面に生成したアセ
チルセルロース膜を回収した。
【0047】(b)溶媒置換により乾燥した固体状態の
バクテリアセルロースの代りに市販のコットンリンター
を使用した以外は、上記(a)におけると全く同様にし
てアセチルセルロース膜を回収した。
【0048】比較例1(従来法(酢酸法)との比較) (a)実施例3の(a)におけると同様にして得た溶媒
置換により乾燥した固体状態のバクテリアセルロースを
20倍量(重量)の氷酢酸を使用して3時間浸漬処理し
た後、吸引濾過により付着酢酸を除去した。
【0049】付着酢酸を除去した前処理後のバクテリア
セルロース100重量部を、20倍量(重量)の無水酢
酸及び同じく20倍量の氷酢酸並びに15重量部の濃硫
酸の混合物(アセチル化剤)に加え、温度を20〜30
℃に保って5時間保持するとセルロースが完全に溶けて
反応液が透明になったので、この時点を反応終了時とし
た。
【0050】バクテリアセルロースの3倍量(重量)の
水を加えて25℃で2日間熟成の後、反応混合物を大量
の水中に投じて反応を停止し、アセチルセルロースを得
た。これを中和後十分に水洗し、乾燥させた。乾燥後、
これをアセトンに溶解し、その溶液を平底のガラス容器
に入れて風乾し、容器底面に生成したアセチルセルロー
ス膜を回収した。
【0051】(b)溶媒置換により乾燥したバクテリア
セルロースの代りに市販のコットンリンターを使用した
以外は、上記(a)におけると全く同様にしてアセチル
セルロース膜を回収した。
【0052】検査例1(各種アセチルセルロース膜の機
械的強度検査) 実施例3及び比較例で得られたセルロース膜について、
重量平均重合度(DPw)及びヤング率を検査した。
【0053】本検査例において、DPwは次のようにし
て測定する。すなわち、検出器としてRI(示差屈折
計)を内蔵したGPC(サイズ排除クロマトグラフィ
ー)システム「Tosoh HLC−8020」を用い
て以下のようにして測定する。
【0054】アセチルセルロースはTHF(和光純薬
(株)製テトラヒドロフラン、試薬1級)に0.05%
濃度で溶かしたのち、1.0μmポアサイズのフィルタ
ーで濾過する。GPCの溶離液にもTHFを用いる。流
速は0.5ml/min、圧力は10〜13kgf/c
2 、そしてサンプル注入量は100μlとする。カラ
ムは「TSKgel GMH−HR(S)」(7.5I
D×300mm×2本)とガードカラム「HHR
(S)」(Tosoh Co,, Ltd.)を用いて3
5℃で測定する。
【0055】分子量算出のためにスタンダードポリスチ
レン「Tosoh」を用い、ポリスチレン換算の相対分
子量を求める。詳述すると、2×107 から2630の
分子量(M)のポリスチレンを用い、溶出時間(t)と
分子量の対数(logM)について、3次式:(log
M=At3 +Bt2 +Ct+D)による近似を行いスタ
ンダード曲線を作製する。分子量はTosohのデータ
処理専用コンピュータ「SC−8020」に内蔵された
プログラムにより重量平均分子量を計算する。
【0056】これらの分子量の値からアセチル化後の置
換度を考慮して重量平均重合度(以下、DPwまたは重
合度と略称する)を計算する。
【0057】尚、置換度はFT−IR分析において市販
アセチルセルロースを基準物質とし、アセチル基と水酸
基のピーク強度の比より求めた。FT−IRは「FTS
165」(バイオラッド社製)を用い、透過法により測
定した。
【0058】ヤング率は、以下のように測定する。すな
わち、調製したアセチルセルロース膜から5×30mm
の短冊状サンプルを切り出し、厚さと重量を測定後、セ
イコー電子工業(株)製の動的粘弾性測定装置「DMS
210」を用いて測定する。測定は、自動テンション測
定で、初期テンション250g/mm2 、変異量±20
μm、そして周波数10Hzの条件下で昇温測定を行な
い、引張貯蔵弾性率(ヤング率)及び内部損失を求め
る。ヤング率の温度分散パターン(温度範囲28〜40
℃)の最高値をヤング率の値として用いる。アセチルセ
ルロースの比重を1.36とし、上記ヤング率の測定値
を補正した値を計算し、真のヤング率とする。
【0059】検査結果を下記第2表に示す。
【0060】
【表4】
【0061】第2表より、本発明のアセチルセルロース
(実施例3で得られたもの)は、従来法によるアセチル
セルロース(比較例のもの)に比較して重合度(DP
w)が総じて高く、又作成したアセチルセルロース膜
も、本発明に係わるものが従来法によるものに比較して
機械的強度において優れていることが分る。
【0062】また、本発明によるものであっても、従来
の植物系セルロースにおけるよりもバクテリアセルロー
スにおいて、重合度及び機械的強度が顕著に優れている
ことが分る。これは、本発明のアセチルセルロース、特
にバクテリアセルロースから作ったアセチルセルロース
を各種複合分離膜等に利用した場合、膜厚を減少でき、
延いては物質透過性が著しく改善され得ることを意味す
る。
【0063】尚、本発明で得られたアセチルセルロース
の置換度はいずれも2.4であった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、重合度(DPw)の高
いアセチルセルロースが提供され、延いては機械的強度
に優れたアセチルセルロースの成型物が容易に提供され
得るところとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡部 乙比古 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 KSP R&DビジネスパークビルB− 1015 株式会社バイオポリマー・リサーチ 内 (72)発明者 森永 康 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 KSP R&DビジネスパークビルB− 1015 株式会社バイオポリマー・リサーチ 内 (72)発明者 堀井 文敬 京都府宇治市折居台4丁目1番地101

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体状態のセルロースを前処理に付する
    ことなく直ちにピリジン中で無水酢酸により溶解法でア
    セチル化することを特徴とする高重合度アセチルセルロ
    ースの製造法。
  2. 【請求項2】 セルロースがバクテリアセルロースであ
    ることを特徴とする請求項1記載の高重合度アセチルセ
    ルロースの製造法。
  3. 【請求項3】 バクテリアセルロースが通気撹拌培養で
    得られた、ポリスチレン換算の重量平均重合度が1.6
    ×104 以上であるバクテリアセルロースであることを
    特徴とする請求項2記載の高重合度アセチルセルロース
    の製造法。
  4. 【請求項4】 バクテリアセルロースが静置培養で得ら
    れた、ポリスチレン換算の重量平均重合度が2.0×1
    4 以上であるバクテリアセルロースであることを特徴
    とする請求項2記載の高重合度アセチルセルロースの製
    造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100448995B1 (ko) * 2001-09-19 2004-09-18 엘지전선 주식회사 셀룰로오스를 에스테르화 하는 방법
CN105970594A (zh) * 2016-05-11 2016-09-28 苏州大学 一种拒水棕榈纤维绒的制备方法

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