JPH09144765A - 溶融金属中で使用される転がり軸受 - Google Patents

溶融金属中で使用される転がり軸受

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JPH09144765A
JPH09144765A JP30481195A JP30481195A JPH09144765A JP H09144765 A JPH09144765 A JP H09144765A JP 30481195 A JP30481195 A JP 30481195A JP 30481195 A JP30481195 A JP 30481195A JP H09144765 A JPH09144765 A JP H09144765A
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test piece
film
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lubricating film
rolling
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JP30481195A
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English (en)
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Shin Niizeki
心 新関
Atsuhisa Yagawa
敦久 矢川
Toshihiro Mori
俊博 森
Masaya Tanda
賢哉 但田
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NSK Ltd
Nippon Steel Corp
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NSK Ltd
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】溶融金属中で使用される転がり軸受において、
耐摩耗性を著しく向上させる。 【構成】溶融金属中で使用される転がり軸受の保持器
を、黒鉛(C)、C/Cコンポジット、Ta、またはT
a−10%W合金で形成するとともに、内輪、外輪、お
よび転動体の少なくともいずれか一つの表面に、Taま
たは黒鉛からなる固体潤滑膜を形成する。 【効果】図8のグラフは、軸受試験体による溶融亜鉛中
での摩耗試験の結果を示す。固体潤滑膜の厚さが0.1
μm以上となると、内外輪の摩耗量が著しく小さくなる
ことが分かる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば連続溶融金属メ
ッキ浴中のロール支持装置に組み込まれる転がり軸受の
ように、溶融状態の亜鉛やアルミニウム等の溶融金属中
で使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、連続溶融亜鉛メッキ浴中のロ
ール支持装置に組み込まれるような溶融金属中で使用さ
れる転がり軸受としては、高い耐熱性と耐食性とが要求
されるために、形状が複雑である保持器以外はセラミッ
クスで作製されたものが使用され、保持器については、
その耐食性を向上させるために、例えば純タンタルまた
はタンタルに10重量%以下の範囲でタングステンを加
えた合金により作製することが提案されている(特開平
5−187445号公報参照)。
【0003】また、実開平7−19622号には、溶融
金属中における耐食性および耐摩耗性をさらに向上させ
るために、保持器を黒鉛または黒鉛を含む複合材料で作
製することが提案されている。このような転がり軸受で
は、転動体が保持器のポケット部を摩耗させることによ
って、保持器をなす前記材料が転動体に移転・付着(以
下、「移着」と称する。)し、転動体に移着された前記
材料が外輪・内輪の転がり接触部に移着することで潤滑
がなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記提案の転がり軸受
によれば、溶融金属中での十分な耐食性および耐摩耗性
を得ることができるが、保持器のポケット部や案内面、
および軌道輪の軌道面や転動体の表面における耐摩耗性
について、さらに高い性能を求める要求が出てきてい
る。
【0005】本発明は、このような要求に応えることの
できる転がり軸受、すなわち溶融金属中での耐摩耗性に
著しく優れた転がり軸受を提供することを課題とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の転がり軸受は、セラミックスで形成された
内輪、外輪、および複数個の転動体と、溶融金属に対す
る耐食性を有し、且つ接触によって転動体に移着して潤
滑作用を発揮する材料で形成された保持器と、を備えた
溶融金属中で使用される転がり軸受において、前記内
輪、外輪、および個々の転動体のうち少なくともいずれ
か一つが、溶融金属に対する耐食性を有する固体潤滑膜
を表面に有するものであることを特徴とするものであ
る。
【0007】前記固体潤滑膜の材質は、溶融金属に対す
る耐食性が高いものである必要があるため、対象となる
溶融金属の種類によっても異なるが、例えば、Si,T
i,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W,R
e,Os,Ir,Pt,Au等の金属や、B,C(黒
鉛)、前記金属を含む合金、前記元素のホウ化物、炭化
物、窒化物、酸化物、硫化物、あるいはこれら全ての複
合材料が挙げられる。この中で黒鉛またはTaが特に好
ましい。膜厚は0.1〜10μmが好ましい。
【0008】固体潤滑膜の形成方法としては、真空蒸
着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD、
イオン注入、焼付け、スプレー、凝着等が挙げられ、膜
形成材料の種類や被形成体の形状および大きさによって
適切な方法が選択される。前記保持器をなす材料として
は、純タンタル(Ta)またはタンタルに10重量%以
下の範囲でタングステン(W)を加えたTa−W合金
や、黒鉛または黒鉛を含む複合材料(例えばC/Cコン
ポジット等の炭素繊維強化黒鉛)であることが好まし
い。
【0009】本発明の転がり軸受によれば、内輪、外
輪、および個々の転動体のうち少なくともいずれか一つ
に形成された前記固体潤滑膜によって、転がり接触部が
潤滑されるため、溶融金属中での耐摩耗性が向上する。
また、保持器が、溶融金属に対する耐食性を有し、且つ
接触によって転動体に移着して潤滑作用を発揮する材料
で形成されているため、転動体が保持器のポケット部を
摩耗させることによって、保持器をなす前記材料が転動
体に移着し、転動体に移着された前記材料が外輪・内輪
の転がり接触部に移着することで潤滑がなされる。
【0010】このような移着による潤滑は転動体の回転
初期においては十分にはなされないが、本発明の転がり
軸受では、このような移着による潤滑が十分になされる
までの間、前記固体潤滑膜による潤滑がなされる。ま
た、移着による潤滑が開始された後は、移着による潤滑
と固体潤滑膜による潤滑の両方の作用によって、転がり
接触部の潤滑がさらに良好になる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
具体的な実施例に基づいて説明する。図1および2に示
す形状の軌道輪試験片1を二枚(内輪試験片1A,外輪
試験片1B)と、図3および4に示す形状の保持器試験
片2を一枚と、直径3/8インチのボール3を三個で一
組として、図5に示すような転がり軸受の摩耗試験用試
験体Sを作製した。図1は軌道輪試験片の正面図であ
り、図2は図1のA−A線断面図であり、図3は保持器
試験片の正面図であり、図4は図3のB−B線断面図で
ある。
【0012】軌道輪試験片1は、図1および2から分か
るように、厚さT1 =6mm直径D 1 =52mmの円板
の中心に直径D2 =10mmの穴11を開け、片面の周
辺部に円板と同心の環状の溝12を付けたものである。
この溝12は断面が円弧状に形成され、その曲率半径は
5.15mmであり、円板の面から最大0.8mm(=
2 )だけ凹んでいる。また、溝12の中心線の直径D
3 を38.5mmとした。
【0013】この軌道輪試験片1とボール3は窒化珪素
製であり、窒化珪素の粉末をArおよびN2 の雰囲気
下、2000℃で加圧焼結して得られた焼結体を機械加
工することにより各形状に形成してある。保持器試験片
2は、図3および4から分かるように、軌道輪試験片1
と同じ大きさの円板の中心に直径D4 =24mmの穴2
1を開け、円板面に直径D5 =9.8mmの円形のポケ
ット22を三個、各ポケット22の中心が同一円周上と
なるように等間隔で開けた形状のものである。そして、
ポケット22のピッチ円直径D6 は、軌道輪試験片1の
溝12の中心線の直径D3 と同じ38.5mmとした。
このような形状の保持器試験片2を、以下に示す黒鉛1
00%、C/Cコンポジット、Ta100%、Ta−1
0%W合金の四種類の材質で機械加工により形成した。
【0014】Ta:真空冶金(株)製 Ta−10%W合金:真空冶金(株)製 C/Cコンポジット:東洋炭素(株)製 CX−21 黒鉛:東洋炭素(株)製 IG−43 このような軌道輪試験片1、保持器試験片2、およびボ
ール3を多数用意し、一部の軌道輪試験片1およびボー
ル3に対しては、以下のようにして、凝着および焼付け
により表面に固体潤滑膜を形成した。 <凝着による方法>軌道輪試験片1については、図6に
示す装置を用いて凝着を行った。この装置は、基台31
の一端に支柱33を立設し、この支柱33で一端側が片
持ち状態に支持された負荷レバー34が、軌道輪試験片
1(1A,1B)の上部に届くように設置されている。
負荷レバー34の軌道輪試験片1側の先端には、チャッ
ク治具36で凝着膜形成材料Mが把持されており、反対
側の末端には水平を保持するためのバランサ35が取り
付けられている。
【0015】軌道輪試験片1は、回転軸39により回転
する円板状のホルダー42の上面に取り付けられてい
る。前記回転軸39は、プーリ40を介してモータ32
により回転するようになっている。そして、モータ32
の稼働により回転している軌道輪試験片1の上面(軌道
面)に対して、負荷レバー34のチャック治具36の上
部に加える重り37の負荷で、凝着膜形成材料Mを押し
当てることにより、軌道輪試験片1の軌道面に凝着膜が
形成される。
【0016】ボール3に対して凝着膜を形成する場合に
は、図7に示すように、図6の装置における軌道輪試験
片1に代えてこれと略同形状(円板状)の凝着膜形成材
料Nをホルダー42に固定し、チャック治具36に代え
て、先端面に円錐状の凹部37aを有するボール受け部
37を負荷レバーの先端部に固定した装置を用いた。な
お、ボール受け部37の円錐状の凹部37aは、ボール
受け部37の軸心線O(この軸心線は、凝着膜形成材料
Nの円板面に対して垂直に延びている)に対して、円錐
の中心軸O1 が傾斜するように形成されている。
【0017】したがって、ボール3をボール受け部37
と凝着膜形成材料Nとの間に挟持した状態でモータ32
を駆動することにより、ボール3は、回転する凝着膜形
成材料Nによって凝着膜形成材料Nの面に押しつけられ
ながら凹部37a内において回転するため、ボール3の
表面全体に凝着膜が形成される。凝着膜形成条件として
は、主軸回転速度を1800rpmとし、膜厚の調整
は、押しつけ荷重を20〜50Nの範囲で変化させ、さ
らに処理時間を変えることによって行う。また、凝着膜
の膜厚は、平板に処理条件(押しつけ荷重、主軸回転
数、処理時間)を同一にして形成した凝着膜について、
触針式形状測定器で成膜部と未処理部との高さの差を測
定し、その結果から換算して算出する。 <焼付けによる方法>黒鉛の場合を例にとって説明する
と、先ず、体積で同等の黒鉛粉末と水ガラス粉末とを所
定量だけ計り取り、これを有機溶剤に分散させることに
より焼付け用黒鉛溶液を準備する。
【0018】次に、転動体試験片(ボール3)について
は、それが転がるような適切な目の大きさの籠の中に転
動体試験片を入れ、この籠を動かすことにより試験片を
転がしながら焼付け用黒鉛溶液を所定時間噴霧する。焼
付け用黒鉛溶液が試験片の表面全体に付着した後噴霧を
止め、焼付け用黒鉛溶液の有機溶媒が揮発するまでさら
に試験片を転がす。軌道輪試験片1については、凝着膜
作製用の図6の装置のホルダー42に軌道輪試験片1を
取付け、これを500rpmの回転速度で回転させなが
ら、焼付け用黒鉛溶液を所定時間噴霧した後、有機溶媒
が揮発するまでさらに回転を続ける。
【0019】次に、有機溶媒を揮発させた後の転動体試
験片(ボール3)および軌道輪試験片1を、ガス置換炉
内に入れ、窒素ガス雰囲気下で480℃に3時間保持す
ることによって焼付け膜を形成する。なお、Ta膜を焼
付けによって形成する場合には、黒鉛の場合にバインダ
として用いる水ガラスが不要である以外は前記と同様の
手順で行う。
【0020】また、焼付け膜の膜厚の調整は、下記の
(1)式で定義される粉末濃度を3〜40%の範囲で変
え、噴霧時間を軌道輪試験片1の場合には1〜20se
c、ボール3の場合には1〜30secの範囲で変える
ことによって行う。 また、焼付け膜の膜厚は、一部をマスキングした試験片
に対して、実際に試験に供される試験片と同一条件によ
る焼付けを行い、焼付け膜が形成されている部分と形成
されていない部分との厚さの差を触針式形状測定器で測
定する。 <摩耗試験>図5に示すように、溝12面を内側にした
二枚の軌道輪試験片1A,1Bで、各ポケット22にボ
ール3を入れた状態の保持器試験片2を挟み、各ボール
3を各軌道輪試験片1A,1Bの溝12に収めることに
より、摩耗試験用の試験体Sを組み立てる。この状態で
試験体Sをるつぼ6の底部中心に配置し、回転軸7を上
側の軌道輪試験片(内輪試験片)1A上の中心に配置し
てアキシャル荷重をかけ、るつぼ6内に溶融亜鉛8を入
れ、回転軸7を回転させることにより軌道輪試験片1A
を回転させ、下記の条件により摩耗試験を行う。
【0021】〔試験条件〕 アキシャル荷重:440N 回転速度:300rpm るつぼ内温度:480℃ 総回転時間:144時間 試験後に試験体Sをるつぼ6から出して、軌道輪試験片
1(内輪試験片1A,外輪試験片1B)の軌道面および
ボール3の摩耗量を測定する。 〔実施例1〕No. 1〜6に示す各試験片の組み合わせで
転がり軸受試験体Sを作製し、各サンプルによる摩耗量
を比較する実験を行った。固体潤滑膜形成方法は、全て
凝着方法を選定し、保持器材料は全て黒鉛とした。No.
6は内外輪および転動体のいずれにも固体潤滑膜が形成
されていない比較例に相当する。
【0022】その結果を下記の表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】この表から分かるように、本発明の実施例
に相当するNo. 1〜5では、比較例のNo. 6と比較し
て、摩耗量を内外輪では1/2以下に、転動体では1/
4以下に抑えることができる。このような摩耗量低減効
果は、内外輪および転動体の何れか一つに固体潤滑膜が
形成されていれば得られるものであり、内外輪および転
動体の全てに形成されていればその効果はより一層高い
ものとなった。また、固体潤滑膜の材質が黒鉛であって
もTaであってもほぼ同等の効果が得られた。なお、固
体潤滑膜が焼付けにより形成されてもこれと同様の結果
が得られた。 〔実施例2〕保持器試験片2の材質を黒鉛(C)、C/
Cコンポジット、Ta、およびTa−10%Wの四種類
とし、軌道輪試験片(内輪試験片)1Aには固体潤滑膜
を形成せず、軌道輪試験片(外輪試験片)1Bおよびボ
ール3は、固体潤滑膜が形成されていないものと、軌道
面側に凝着による固体潤滑膜が様々な膜厚で形成されて
いるもの、軌道面側に焼付けによる固体潤滑膜が様々な
膜厚で形成されているものを用意し、各種組み合わせの
転がり軸受試験体Sを作製し、前述の方法で摩耗試験を
行った。これらの結果を図8〜11にグラフで示す。
【0025】図8は、外輪試験片1Bのみに固体潤滑膜
を有し、その形成方法が凝着である場合の転がり軸受試
験体Sについての、内外輪摩耗量(内輪試験片1Aの軌
道面の摩耗量と外輪試験片1Bの軌道面の摩耗量との平
均値)と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフであ
る。図9は、三個のボール3のみに固体潤滑膜を有し、
その形成方法が凝着である場合の転がり軸受試験体Sに
ついての、転動体摩耗量(各ボール3の平均値)と固体
潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフである。
【0026】図10は、外輪試験片1Bのみに固体潤滑
膜を有し、その形成方法が焼付けである場合の転がり軸
受試験体Sについての、内外輪摩耗量(内輪試験片1A
の軌道面の摩耗量と外輪試験片1Bの軌道面の摩耗量と
の平均値)と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフで
ある。図11は、三個のボール3のみに固体潤滑膜を有
し、その形成方法が焼付けである場合の転がり軸受試験
体Sについての、転動体摩耗量(各ボール3の平均値)
と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフである。
【0027】これらの結果から分かるように、いずれの
場合でも、固体潤滑膜の膜厚が0.1μm以上であると
摩耗量が著しく減少している、すなわち耐摩耗性が著し
く高くなっている。したがって、固体潤滑膜の膜厚は
0.1μm以上であることが好ましいが、10μmを超
えると、軸受の回転や内部すきまに好ましくない影響が
生じ、動トルクが大きくなるとともに振動も大きくなる
ため、10μm以下にする必要がある。すなわち、固体
潤滑膜の膜厚の好ましい範囲は0.1μm〜10μmで
ある。
【0028】ただし、固体潤滑膜を凝着により形成する
場合には、膜厚が大きくなると成膜が難しくなり、2.
0μmを超えると耐摩耗性を向上させる効果も飽和する
ため、この場合の固体潤滑膜の膜厚のより好ましい範囲
は0.1μm〜2μmである。また、固体潤滑膜を焼付
けにより形成する場合には、成膜のし易さを考慮すると
膜厚を1μm以上とすることがより好ましいため、この
場合の固体潤滑膜の膜厚のより好ましい範囲は1〜10
μmである。
【0029】また、図8と図10および図9と図11と
を比べてみると、固体潤滑膜の形成方法が凝着の場合と
焼付けの場合とでは、凝着の場合の方が焼き付けの場合
より耐摩耗性がやや良好な結果となっているが、これ
は、セラミックスに対する膜の密着性がより強固なため
と考えられる。しかしながら、固体潤滑膜が焼付けによ
って形成されていても、その膜厚が0.1μm以上であ
れば十分な耐摩耗性が得られる。
【0030】また、保持器の材質の違いよる耐摩耗性の
違いは、耐摩耗性の低い順から黒鉛(C)、C/Cコン
ポジット、Ta、およびTa−10%Wという結果であ
ったが、いずれの場合でも、固体潤滑膜の膜厚が0.1
μm以上であれば十分な耐摩耗性が得られることが分か
る。なお、前記実施例では、固体潤滑膜の形成方法とし
て凝着および焼付けを採用したが、真空蒸着、イオンプ
レーティング、スパッタリング、CVD、イオン注入、
スプレーによっても同様な効果が得られる。
【0031】また、前記実施例では、スラスト玉軸受用
の転がり軸受試験体Sを用いて摩耗試験を行ったが、本
発明の転がり軸受は、連続溶融金属メッキ浴中のロール
支持装置用をはじめとする各種ラジアル転がり軸受にも
(転動体が玉であっても各種形状のころであっても)適
用でき、同様の効果を得ることができる。なお、ラジア
ル転がり軸受の軌道輪の軌道面に凝着により固体潤滑膜
を形成する場合には、図6の装置に代えて、図12に示
す装置を用いる。この装置は、図6の装置と異なり、負
荷レバー34と回転軸39とが水平に配置され、負荷レ
バー34の先端に取り付けた膜形成材料Mの外周に軌道
輪Wが配置される。また、転動体がころの場合には、例
えば図7のボール受け部37に代えて、図13に示すこ
ろ30の形状に合わせた凹部を有するころ受け部38を
使用する。
【0032】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の転が
り軸受は、溶融金属中での耐摩耗性に著しく優れたもの
となるため、溶融金属中で使用される転がり軸受の寿命
を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において使用した摩耗試験用試験体を構
成する軌道輪試験片の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】実施例において使用した摩耗試験用試験体を構
成する保持器試験片の正面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】実施例における摩耗試験の概要を示す概要図で
ある。
【図6】実施例において、軌道輪試験片に固体潤滑膜を
凝着法で形成するための装置を示す概略図である。
【図7】実施例において、ボールに固体潤滑膜を凝着法
で形成するための装置のボール受け部を示す概略図であ
る。
【図8】外輪試験片のみに固体潤滑膜を有し、その形成
方法が凝着である場合の転がり軸受試験体についての、
内外輪摩耗量と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフ
である。
【図9】転動体のみに固体潤滑膜を有し、その形成方法
が凝着である場合の転がり軸受試験体についての、転動
体摩耗量と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフであ
る。
【図10】外輪試験片のみに固体潤滑膜を有し、その形
成方法が焼付けである場合の転がり軸受試験体について
の、内外輪摩耗量と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグ
ラフである。
【図11】転動体のみに固体潤滑膜を有し、その形成方
法が焼付けである場合の転がり軸受試験体についての、
転動体摩耗量と固体潤滑膜の厚さとの関係を示すグラフ
である。
【図12】ラジアル軸受である場合の、軌道輪に固体潤
滑膜を凝着法で形成するための装置を示す概略図であ
る。
【図13】ころに固体潤滑膜を凝着法で形成するための
装置のころ受け部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 軌道輪試験片 1A 内輪試験片 1B 外輪試験片 2 保持器試験片 3 ボール(転動体) 30 ころ(転動体) 8 溶融亜鉛(溶融金属) 9 保持器 S 転がり軸受の摩擦試験用試験体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 俊博 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 但田 賢哉 茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業 株式会社鹿島製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスで形成された内輪、外輪、
    および複数個の転動体と、溶融金属に対する耐食性を有
    し、且つ接触によって転動体に移着して潤滑作用を発揮
    する材料で形成された保持器と、を備えた溶融金属中で
    使用される転がり軸受において、 前記内輪、外輪、および個々の転動体のうち少なくとも
    いずれか一つが、溶融金属に対する耐食性を有する固体
    潤滑膜を表面に有するものであることを特徴とする転が
    り軸受。
JP30481195A 1995-11-22 1995-11-22 溶融金属中で使用される転がり軸受 Pending JPH09144765A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001214956A (ja) * 1999-12-20 2001-08-10 Van Doornes Transmissie Bv 連続可変トランスミッション用駆動ベルト、その連続バンド及びその連続バンドの製造方法

Cited By (2)

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JP2001214956A (ja) * 1999-12-20 2001-08-10 Van Doornes Transmissie Bv 連続可変トランスミッション用駆動ベルト、その連続バンド及びその連続バンドの製造方法
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