JPH09143751A - 表面性状に優れた熱間圧延鋼材の製造方法 - Google Patents

表面性状に優れた熱間圧延鋼材の製造方法

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JPH09143751A
JPH09143751A JP30436295A JP30436295A JPH09143751A JP H09143751 A JPH09143751 A JP H09143751A JP 30436295 A JP30436295 A JP 30436295A JP 30436295 A JP30436295 A JP 30436295A JP H09143751 A JPH09143751 A JP H09143751A
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steel
hot
rolled steel
sulfur
steel slab
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JP30436295A
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Norio Imai
規雄 今井
Nozomi Komatsubara
望 小松原
Kazutoshi Kunishige
和俊 国重
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Cu、Snなどがトランプエレメントとして残留す
る鋼片を原料として用いても、割れのない、表面性状に
優れた熱延鋼板などの熱間圧延鋼材を製造できる方法を
提供する。 【解決手段】トランプエレメントとして、重量%で、C
u:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%を含有する
鋼片、例えば、C:0.01〜0.20%、Si: 2.0%以下、M
n:0.05〜2.0 %、Ca: 0〜0.0100%、Zr: 0〜0.10
%、希土類元素: 0〜0.10%、Nb: 0〜0.10%、Ti: 0
〜0.10%、V: 0〜0.20%、Cr: 0〜1.0 %、Mo: 0〜
1.0 %、Cu: 0.01 〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05
%、残部:鉄および不可避不純物からなる鋼片に、硫黄
化合物を硫黄に換算して10〜1000 g/m2の付着量になる
ように付着させた後、加熱し、熱間圧延を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性状に優れた
熱間圧延鋼材の製造方法に関し、特に、自動車あるいは
産業機械の構造用部材として使用される、割れのない、
表面性状に優れた熱間圧延鋼板(以下、熱延鋼板とい
う)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、廃棄された自動車などをはじめと
する鉄スクラップが増加し、製鉄用の原料として見直し
されつつあり、将来、大量に使用されることが予想され
る。しかし、鉄スクラップ中には銅(Cu)、錫(Sn)な
どの通常の精錬法では除去することが困難なトランプエ
レメントが含まれるため、鉄スクラップを製鉄用原料と
して使用した場合、これらのトランプエレメントが鋼中
に残留する。このようなトランプエレメントが残留する
鋼は、熱間加工時に割れが生じ、熱間圧延を行うと表面
疵が発生するため、トランプエレメントが含まれる鉄ス
クラップを原料として表面性状に優れた熱延鋼板を製造
することはできなかった。
【0003】トランプエレメントに起因する表面疵の防
止方法として、例えば特開平 6−292949号公報には、Cu
含有鋼を鋳造する際に厚さ75mm以下の薄鋳片とし、1050
℃以上の温度にならないように加熱した後、粗圧延を省
略して熱間圧延する方法が開示されている。これは、Cu
の融点以下での圧延を行い、表面疵の発生を防止する方
法である。しかしながら、この方法では、薄鋳片とする
ために生産性の低下を招いたり、圧延前の加熱温度が低
いため、熱延鋼板の機械的性質の向上に必要な析出物の
大きさや量を任意に制御することができず、目標とする
材質が確保できない等の問題がある。
【0004】また、本発明者らは、先に、Cu、Sn等がト
ランプエレメントとして含まれる鋼にNiを添加し、熱間
圧延後 500℃以下で巻き取ることによって、延性、穴拡
げ性等の加工性が損なわれず、表面性状の良好な熱延鋼
板の製造方法を提案した(特願平 6−32116 号)。この
方法によれば、熱間圧延時における割れの発生を抑制
し、表面性状に優れた熱延鋼板を製造することができ
る。しかし、この方法ではNiの添加が必要で、製造コス
トが高くならざるを得ない。
【0005】そのため、鉄スクラップを製鉄用原料とし
て使用しても、熱間加工時に割れの発生のない、表面性
状に優れた熱間圧延鋼材の製造方法、特に、生産性の低
下や製造コストの増大を伴わずに熱間圧延時における割
れの発生を防止し、表面性状に優れた熱延鋼板を製造す
ることができる方法の開発が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来
技術における問題点を解決し、Cu、Snなどがトランプエ
レメントとして残留する鋼片を原料として用いても、割
れのない、表面性状に優れた熱間圧延鋼材を製造する方
法、特に、連続熱間圧延によって製造される比較的安価
な構造用材料として広く使用されている熱延鋼板を対象
として、生産性の低下や製造コストの増大を伴わずに表
面性状に優れた熱延鋼板を製造する方法を提供すること
を課題としてなされたものである。なお、前記の熱間圧
延鋼材とは、熱延鋼板を始めとして、継目無鋼管、棒鋼
・線材、形鋼等、熱間での加工(主として圧延)工程を
経て製造される鋼材をいう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決するために種々検討を重ねた結果、下記(1)
および(2)の知見を得た。
【0008】(1)Cu、Sn含有鋼における割れ発生機構 鋼中にCuが含まれる場合、熱間加工時に生じる割れによ
って熱延鋼板に表面疵、耳割れなどが発生し、表面性状
が劣化する。この熱間加工割れは、鋼片の加熱時にスケ
ールと鋼の界面に酸化されずに析出したCuが溶融状態で
母材の結晶粒界に浸入し、鋼表面が脆化することにより
発生する。
【0009】図1はCu含有鋼における熱間圧延時の割れ
の発生機構を模式的に示す図である。一般に、熱延製品
は、圧延素材としての鋼片を酸化性雰囲気の加熱炉に装
入して長時間にわたり加熱した後、熱間圧延を施すこと
により製造される。この加熱炉内での鋼片の加熱によっ
て、図1(a)に示すように、鋼片1の表面に地鉄側か
ら FeO、 Fe3O4およびFe2O3 で構成される厚さ 1mm以上
のスケール2が生成する。なお、このスケール2は、そ
の中に占めるFeO の量が90%以上の、 FeO主体のスケー
ルである。
【0010】上記の FeOを主体とする鉄スケールは、加
熱炉内での長時間にわたる加熱によって、Feがスケール
中を拡散し、選択的に酸化されることにより生成するも
ので、鋼中に含まれるCuは溶融状態でスケールと鋼の界
面(すなわち、地鉄表面)に濃化し、液体Cu3として析
出する。その後、熱間圧延による加工が加わると、図1
(b)に示すように、この溶融状態のCuが鋼の粒界4に
深く浸入し、鋼表面が脆化して、割れが発生する。
【0011】この割れの発生は、鋼中にSnが共存する場
合、更に助長される。調査の結果、Cu−Sn複合含有鋼で
は、選択酸化により生成した鉄スケールと鋼の界面に溶
融状態のCu−Sn合金(液体Cu−Sn合金)が析出してお
り、この合金の融点がCu単独の場合よりも更に低いため
に割れが助長されるものと考えられる。一方、Snのみを
含有する鋼では割れは生じない。この理由は明かではな
いが、Snのみが含まれる場合はSnの析出は観察されない
ので、SnもFeと同様に酸化され、スケールを形成してい
るものと考えられる。
【0012】以上の結果から、熱間圧延時の割れの発生
を防止するためには、鋼片を加熱する際に、鋼片表面で
のCuまたはCu−Sn合金の析出を抑制することが効果的で
あると考えられる。
【0013】(2)加熱前の鋼片の表面に予め硫黄
(S)の化合物を付着させることによって、Cuが硫化物
となり、鋼片表面でのCuまたはCu−Sn合金の析出が抑制
される。その結果、割れの発生を防止することができ
る。
【0014】図2は硫黄化合物によるCuまたはCu−Sn合
金の析出抑制機構を模式的に示す図である。硫黄化合物
を付着させた鋼片を加熱炉に装入すると、硫黄化合物
は、まず、連続鋳造した直後にすでに鋼片表面に生成し
ている厚さ 100〜 200μm 程度の薄いスケールと反応
し、図2(a)に示すように、主として FeSからなる低
融点の FeS−FeO 共晶体を形成する。この共晶体は半溶
融状態となっている。
【0015】加熱炉内での長時間にわたる加熱によっ
て、酸化が進行し、 FeO主体のスケールが形成される
が、 Fe が FeS−FeO 共晶体中を拡散して選択酸化され
るため、図2(b)に示すように、 FeS−FeO 共晶体は
スケールと鋼の界面(地鉄表面)に留まっている。Cuは
Feに比べてSとの親和性が極めて高いので、Feの選択酸
化による液体CuまたはCu−Sn合金の析出とCuの硫化反応
とが同時に起こって、Cu硫化物(Cu2S)が生成し、 FeS
−FeO 共晶体中に溶解する。そのため、CuまたはCu−Sn
合金の析出は起こらない(図2(c)参照)。
【0016】Cuの硫化反応により取り残されたSnが地鉄
表面に析出しない理由は明かではないが、前述したよう
に酸化物となるか、あるいは硫化物(SnS )となって F
eS−FeO 共晶体中に溶解するものと考えられる。
【0017】本発明は上記の知見に基づいてなされたも
ので、その要旨は、下記およびの熱間圧延鋼材の製
造方法にある。
【0018】 トランプエレメントとして、重量%
で、Cu:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%を含有
する鋼片に、硫黄化合物を硫黄に換算して10〜1000 g/
m2の付着量になるように付着させた後、加熱し、次いで
熱間圧延を行うことを特徴とする表面性状に優れた熱間
圧延鋼材の製造方法。
【0019】 鋼片が、重量%で、C:0.01〜0.20
%、Si: 2.0%以下、Mn:0.05〜2.0 %、Ca: 0〜0.01
00%、Zr: 0〜0.10%、希土類元素: 0〜0.10%、Nb:
0〜0.10%、Ti: 0〜0.10%、V: 0〜0.20%、Cr: 0
〜1.0 %およびMo: 0〜1.0 %を含有し、更に、トラン
プエレメントとして、Cu:0.01〜0.50%およびSn: 0.0
01〜0.05%を含有し、残部が鉄および不可避不純物から
なる鋼片である、上記に記載の表面性状に優れた熱間
圧延鋼材(熱延鋼板)の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。なお、ここでは熱延鋼板の製造方法について述
べるが、これ以外の、例えば、継目無鋼管用鋼片、条鋼
用鋼片等を用いて行う熱間圧延鋼材の製造についても基
本的な考え方において差異はない。また、合金元素の
「%」は「重量%」を意味する。
【0021】前記の発明は、トランプエレメントとし
て、Cu:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%を含有
する鋼片を圧延素材とする熱延鋼板の製造方法である。
CuおよびSnが上記の範囲内で含まれる鋼片を加熱した後
熱間圧延するに際し、鋼片に、予め硫黄化合物を硫黄に
換算して10〜1000 g/m2の付着量になるように付着させ
ておくことにより、割れのない、表面性状に優れた熱延
鋼板を製造することが可能となる。なお、「硫黄に換算
する」とは、付着量をその中に含まれる硫黄の量で表す
ことを意味する。これは、前述したように、硫黄化合物
がスケールと鋼の界面(地鉄表面)に低融点の FeS−Fe
O 共晶体を形成し、この界面におけるCuまたはCu−Sn合
金の析出ならびに結晶粒界への浸入を抑制する作用を有
していることによるものである。
【0022】硫黄付着量が10 g/m2より少ないと、Cu硫
化物の生成に必要な硫黄量が不足してCuまたはCu−Sn合
金が地鉄表面に残るため熱間加工性の低下を招く。一
方、付着量が1000 g/m2を超えると上記の FeS−FeO 共
晶体の形成によるCuまたはCu−Sn合金の析出抑制効果が
飽和し、経済的に不利を招くばかりでなく、熱延鋼板の
表面性状に悪影響を与える。
【0023】上記の硫黄化合物は、加熱炉内で温度の上
昇に伴い分解し、スケールと反応してFeS となり、スケ
ールと鋼の界面に FeO−FeS 層を形成するものであれば
よい。例えば、硫化鉄(FeS )はもちろんのこと、硫化
カルシウム(CaS )、硫酸カルシウム(CaSO4 )などの
硫黄化合物、あるいはこれらの硫黄化合物の2種類以上
が複合した化合物、または混合物等が挙げられる。さら
に、2種類以上の化合物(それらのうち少なくとも1種
類がSを含んでいればよい)が複合した、あるいは混合
されたものであって、加熱中に分解あるいは酸化して F
eO−FeS 層を形成するものであってもよい。このような
化合物の例としては、FeO とFeS が複合した化合物、あ
るいはFeO とFeS の混合物が挙げられる。
【0024】鋼片に予め硫黄を付着させるには、必ずし
も特別の方法は必要ではない。塗布、散布等の方法を適
宜用いて行えばよい。例えば、硫黄化合物をスラリー状
にして塗布してもよいし、水その他の液体に溶解または
懸濁させ、散布ないしは塗布してもよい。具体的には、
例えば、硫化鉄(FeS )を粉末にして水に懸濁させた分
散液をスプレーにより塗布する方法が挙げられる。用い
る硫黄化合物によっては、粉末の状態で散布し、鋼片の
表面に付着させることも可能である。
【0025】上記の硫黄化合物による処理を施した後の
加熱と、それに次ぐ熱間圧延については、特に限定はな
く、通常用いられている方法により行えばよい。
【0026】圧延素材である鋼片に含まれるトランプエ
レメントとしてのCuおよびSnの含有量を、上記のよう
に、Cuについては0.01〜0.50%、Snについては 0.001〜
0.05%と限定したのは、以下の理由によるものである。
すなわち、これらトランプエレメントの含有量が、Cuに
ついては0.50%、Snについては0.05%を超えると、上記
の発明で定める処理を行っても、熱間圧延後における
表面疵の発生を防止することができず、一方、これらの
元素の含有量が、Cuについて0.01%未満、Snについて
0.001%未満の場合は、通常の条件で熱間圧延を行って
も、割れの発生、すなわち加工性の劣化は許容限界内に
とどまるからである。
【0027】上記のように、の発明で圧延素材として
用いる鋼片は、製鉄用原料として鉄スクラップを使用し
た結果、トランプエレメントとしてCuおよびSnが残留し
た鋼片(Cu:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%)
であって、その他の成分については何の限定もない。す
なわち、熱延鋼板としての用途に応じて要求される性状
を付与すべく種々の合金元素が添加されたものが、圧延
素材として使用可能である。また、製造の過程で混入す
る不可避の不純物が含まれていてもよい。
【0028】前記の発明は、の発明において、圧延
素材である鋼片として、C:0.01〜0.20%、Si: 2.0%
以下、Mn:0.05〜2.0 %、Ca: 0〜0.0100%、Zr: 0〜
0.10%、希土類元素: 0〜0.10%、Nb: 0〜0.10%、T
i: 0〜0.10%、V: 0〜0.20%、Cr: 0〜1.0 %およ
びMo: 0〜1.0 %を含有し、更に、トランプエレメント
として、Cu:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%を
含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼片を用
いる方法である。
【0029】の発明により製造される熱延鋼板に含有
される各成分を上記のように限定する場合、その限定理
由は以下のとおりである。
【0030】C:Cは、鋼板の強度を高める好ましい成
分であるが、0.01%未満ではその効果が発揮されず、一
方、その含有量が0.20%を超えると加工性が低下する上
に、溶接性の劣化を招く。従って、Cの含有量は0.01〜
0.20%と定めた。
【0031】Si:Siは、固溶強化を通して鋼板の強度と
延性を向上させる好ましい成分である。
【0032】しかし、 2.0%を超えて含有させてもその
効果が飽和する上に、溶接性が劣化する。従って、Si含
有量は 2.0%以下と定めた。下限は特に限定しないが、
脱酸剤としても使用されるため、0.01%とするのが好ま
しい。
【0033】Mn:Mnは、鋼板の強度を向上させる好まし
い成分であり、更に、鋼中に不純物として存在するSを
MnSとして固定し、熱間圧延中に生じる割れを抑制する
作用も有している。しかし、その含有量が0.05%未満で
は、割れ抑制の効果が認められず、一方、 2.0%を超え
て含有させても加工性が低下する上に、溶接性の劣化を
招く。従って、Mnの含有量は0.05〜2.0 %と定めた。
【0034】Ca、Zr、および希土類元素:これらの成分
は何れも介在物の形状を調整して冷間加工性を改善する
作用を有するので、必要に応じて添加する。しかし、Ca
については0.0100%、Zrについては0.10%、および希土
類元素についてはその合計量で0.10%を超えて含有させ
ると、鋼中の介在物が多くなりすぎて加工性が劣化する
ので、それぞれの含有量を、Ca: 0〜0.0100%、Zr: 0
〜0.10%、および希土類元素: 0〜0.10%とした。
【0035】前記の冷間加工性を改善する作用を十分発
揮させるためには、Ca:0.0002〜0.01%、Zr:0.01〜0.
10%、および希土類元素: 0.002〜0.10%とするのが好
ましい。
【0036】Nb、TiおよびV:Nb、TiおよびVはフェラ
イト地に炭窒化物として析出して鋼板の強度を高める作
用を有するので、必要に応じて添加する。しかし、Nbお
よびTiについてはそれぞれ0.10%、Vについては0.20%
を超えて含有させてもその効果は飽和してしまうため経
済的でない。従って、それぞれの含有量を、Nb: 0〜0.
10%、Ti: 0〜0.10%、およびV: 0〜0.20%とした。
前記の作用を十分発揮させるためには、Nb: 0.005〜0.
10%、Ti: 0.005〜0.10%、およびV: 0.005〜0.20%
とするのが好ましい。
【0037】CrおよびMo:CrおよびMoは変態強化により
鋼板を高強度化する作用を有するので、必要に応じて添
加する。しかし、Cr、Moのいずれもその含有量が 1.0%
を超えるとその効果は飽和してしまうため経済的でな
い。従って、CrおよびMoの含有量は、いずれも 0〜1.0
%とした。前記の高強度化作用を十分発揮させるために
は、CrおよびMoのいずれについても、 0.01 〜1.0 %と
するのが好ましい。
【0038】CuおよびSnについては、前記の発明にお
けると同様の理由で、Cuについては0.01〜0.50%、Snに
ついては 0.001〜0.05%とした。
【0039】の発明により製造される熱延鋼板は、上
記の成分以外、残部が鉄(Fe)と脱酸材として添加する
酸可溶性アルミニウム(sol.Al)および不可避の不純物
からなる鋼板である。不純物としては、燐(P)および
硫黄(S)が重要である。これらの成分の含有量はいず
れも下記のように低い値に抑えるのが望ましい。
【0040】sol.Al:Alは鋼の脱酸剤として添加される
成分であるが、鋼の清浄度の観点からその含有量はsol.
Alとして0.30%以下とするのが望ましい。。
【0041】P:Pは溶接性に悪影響を及ぼす不純物元
素であり、所望の溶接性を確保するためにその含有量を
0.05%以下とするのが望ましい。なお、特にフェライト
を均一に分散させるためには、0.010 %以下にすること
が好ましい。
【0042】S:Sは硫化物系介在物を形成して加工性
を低下させる不純物元素である。従って、Sの含有量は
0.05%以下、特に優れた加工性を得るためには、 0.003
%以下にすることが好ましい。
【0043】上記の各成分を含有する鋼片を加熱した後
熱間圧延するに際して行う処理は、の発明の場合と同
じである。
【0044】上述したように、およびの発明(以
下、これらの発明を「本発明方法」という。すなわち、
本発明方法とは、またはの発明を意味する)は、そ
れぞれ上記の組成を有する鋼片に硫黄化合物を所定の付
着量になるように付着させた後、加熱し、次いで熱間圧
延する方法である。用いる鋼は、転炉、電気炉等により
溶製された鋼であればよく、鋼種も、リムド鋼、キャッ
プド鋼、セミキルド鋼またはキルド鋼のいずれでもよ
い。また、鋼片は、造塊−分塊圧延、連続鋳造のいずれ
の手段によって得られたものであってもよい。
【0045】本発明方法によれば、Cu、Snのトランプエ
レメントが含まれる鉄スクラップを使用しても、割れの
ない、表面性状に優れた熱延鋼板を製造することができ
る。
【0046】なお、本発明方法により製造される熱延鋼
板にさらに溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっきや、
電気めっきのような表面処理を施すことにより得られる
表面処理鋼板は、母材が、割れの生じにくい加工性に優
れた鋼板であるため、良好な加工性を有する。
【0047】
【実施例】表1に示す化学組成を有するスラブに、表2
に示す付着量(硫黄換算付着量)になるように硫化鉄
(FeS )の粉末を散布し、加熱炉に装入して1250℃で4
時間加熱し、次いで、粗圧延および仕上圧延を行い、 9
00℃で圧延を終了した。その後、制御冷却を行い、 500
℃で巻取って、板厚 2.3mmの熱延鋼板を製造した。鋼種
A〜Yは本発明方法で規定する条件を満足する鋼であ
り、鋼種Zはトランプエレメントを含有しない従来鋼、
αおよびβはトランプエレメントの含有量が本発明方法
で定める範囲を超える比較鋼である。
【0048】前記の板厚 2.3mmの鋼板から JIS5号引張
試験片を採取し、機械的性質を調査するとともに、鋼板
の表面性状を調査した。
【0049】表面性状の調査では、幅1m 、長さ1m の
板を圧延方向にランダムに10枚サンプリングし、各板に
ついて1m ×1m の範囲(面)を 100mm毎にます目に区
切って 100等分し、割れのあるます目の数を数えて1m2
当たりの個数を求め、10枚の結果を平均し、下記の基準
で表示した。
【0050】 ○印:割れ発生頻度が 0.3個/m2以下・・・表面性状良好 ×印: 〃 0.3個/m2超え・・・割れにより表面性状劣化 調査結果を表2に併せて示す。
【0051】この結果から明らかなように、試験 No.1
〜25の本発明例(鋼種A〜Y)では、試験 No.26の従来
例(鋼板Z)と同様に、熱間圧延による割れの発生がな
く加工性に優れ、良好な表面性状を有している。
【0052】これに対して、硫黄付着量が本発明方法で
定める範囲よりも少ない試験 No.27、トランプエレメン
トの濃度が本発明方法で定める範囲を超える試験 No.29
および30(鋼種αおよびβ)では、Cu−Sn合金の析出を
抑制することができず、熱間圧延で割れが発生し、表面
性状が劣化した。また、硫黄付着量が本発明方法で定め
る範囲を超える試験 No.28においても、表面性状の劣化
が認められた。
【0053】なお、上記実施例は熱延鋼板についての調
査結果であるが、鋼片として丸ビレットを用い、これに
FeS の粉末を散布する処理を行って製造した継目無鋼管
についても同様の効果が確認できた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明方法によれば、Cu、Snなどがトラ
ンプエレメントとして残留する鋼片を原料として用いて
も、割れがなく、表面性状に優れた熱延鋼板、継目無鋼
管、条鋼等の熱間圧延鋼材を製造することができる。例
えばこの方法により製造される熱延鋼板は表面性状に優
れるので、構造用部品、自動車部品などの産業機器部材
として好適であり、しかも、Niの添加が必要とされない
ので、コスト的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cu含有鋼における熱間圧延時の割れの発生機構
を模式的に示す図である。
【図2】Cu含有鋼における硫黄化合物によるCuの析出抑
制機構を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:鋼片 2:スケール 3:液体Cu 4:粒界
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/28 C22C 38/28 38/38 38/38

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トランプエレメントとして、重量%で、C
    u:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%を含有する
    鋼片に、硫黄化合物を硫黄に換算して10〜1000 g/m2
    付着量になるように付着させた後、加熱し、次いで熱間
    圧延を行うことを特徴とする表面性状に優れた熱間圧延
    鋼材の製造方法。
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.01〜0.20%、Si: 2.0%
    以下、Mn:0.05〜2.0 %、Ca: 0〜0.0100%、Zr: 0〜
    0.10%、希土類元素: 0〜0.10%、Nb: 0〜0.10%、T
    i: 0〜0.10%、V: 0〜0.20%、Cr: 0〜1.0 %およ
    びMo: 0〜1.0 %を含有し、更に、トランプエレメント
    として、Cu:0.01〜0.50%およびSn: 0.001〜0.05%を
    含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼片に、
    硫黄化合物を硫黄に換算して10〜1000g /m2の付着量に
    なるように付着させた後、加熱し、次いで熱間圧延を行
    うことを特徴とする表面性状に優れた熱延鋼板の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024117441A1 (ko) * 2022-12-01 2024-06-06 현대제철 주식회사 열연 강판, 차량용 부품 및 이를 제조하는 방법

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