JPH09140783A - 生体用インプラント部材、及びその製造方法 - Google Patents

生体用インプラント部材、及びその製造方法

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JPH09140783A
JPH09140783A JP7302973A JP30297395A JPH09140783A JP H09140783 A JPH09140783 A JP H09140783A JP 7302973 A JP7302973 A JP 7302973A JP 30297395 A JP30297395 A JP 30297395A JP H09140783 A JPH09140783 A JP H09140783A
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JP
Japan
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implant member
hydrochloric acid
sponge
porous structure
treatment
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JP7302973A
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Kunihiro Nishimura
訓弘 西村
Takao Kawai
隆夫 川井
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の生体用インプラント部材は、粗面構造
が2次元的で表層の薄い部分にしか凹凸がないものであ
るから、十分な投錨効果が発揮されないという問題があ
る。そこで、生体組織細胞の増殖促進に優れ、特に骨組
織に対してインプラント部材−骨結合部分における微小
投錨効果を十分に呈した生体用インプラント部材を提供
することを目的とする。 【解決手段】 チタン若しくはチタン基合金製の生体用
インプラント部材であって、該部材の少なくとも生体と
の接触部表面が、3次元的なスポンジ状の多孔質構造を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科や外科等の医
療分野において、人工歯根,各種人工関節や人工関節用
補助部材,人工骨,髄内釘,脊椎湾曲矯正ロッド,顎骨
内インプラント,固定用ワイヤー,プレートやネジ等の
骨折接合用部材,人工心臓の弁,動脈溜結紮クリップ等
の、主として人体に埋め込まれて使用されるチタンまた
はチタン基合金製の生体用インプラント部材に関するも
のである。また、該生体用インプラント部材の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チタンやチタン基合金(以下、これらを
Ti合金と称することがある)は、破壊靭性や耐食性が
良く、また生体との親和性に優れていることから、生体
用材料として注目されており、1960年代の終わり頃から
生体用インプラント部材に用いられ始めている。
【0003】インプラント部材としては、その表面に生
体組織が密着増殖し、生体との一体性によって強く支持
されていくことを意図しているが、開発当初のTi合金
製生体用インプラント部材は、表面が鏡面構造のもので
あった為、骨等との密着性が弱く、生体組織によるイン
プラント部材の支持が不十分であった(従来例)。
【0004】現在においては、Ti合金製生体用インプ
ラント部材と生体との親和性を一層改善向上させること
が望まれており、例えば、骨と生体用インプラント部材
の親和性改善については、繊維性組織を介する接合形態
であってもできる限り強固に接合できるといった性質を
有するものが望まれている。
【0005】そこで種々の改良が提案され、例えば骨組
織に対する密着性改善技術としては、例えばインプラン
ト部材表面を機械加工によって粗面化する方法(従来例
)や、インプラント部材表面へプラズマ溶射を行って
粗面化する方法(従来例)等が行われている。この様
な粗面となった表面では、骨細胞が粗面形態に沿って侵
入・増殖し、軟組織を介したインプラント部材−骨結合
部で、投錨作用を呈するから、部材の骨内支持を強固に
することができる。
【0006】しかし上記従来例は、機械加工の際に切
削用,研磨用等の金属製加工具に由来する異種金属や無
機物質がインプラント部材表面に転移し、これによって
生体組織を害するという問題がある。また上記従来例
は、加工工程が複雑で生産コストが高くなるといった問
題がある。
【0007】これらの欠点を解決したものとして、特開
平3-146679号には、フッ化水素酸水溶液を用いた化成処
理によって、表面に不定形の微細な凹みを設けたインプ
ラント部材が提案されている(従来例)。該インプラ
ント部材の製造方法は、まず部材表面をフッ化水素酸水
溶液に浸漬処理した後、フッ化水素酸水溶液と過酸化水
素液との混合液に浸漬処理するというものである。
【0008】他方、骨組織以外の生体に適用するインプ
ラント部材、例えば生体埋込式の医療器等の生体用イン
プラント部材においても、イオンビームを用いたイオン
エッチング技術によって、部材表面に直径2〜数百μm
の微細で規則的な起伏・穴を形成することが行われてお
り、部材表面における周辺組織の侵入成長促進を図って
いる(従来例)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の生体用インプラント部材は、粗面構造が2次元的で
表層の薄い部分にしか凹凸がないものであるから、投錨
効果が不十分であるという問題がある。また、従来例
においても従来例と同様に、加工工程が複雑で、生産
コストが高いという問題がある。
【0010】そこで本発明においては、以上の様な問題
に鑑み、生体組織細胞の増殖促進に優れ、特に骨組織に
対して、インプラント部材−骨結合部分における微小投
錨効果を十分に呈した生体用インプラント部材を提供す
ることを目的とする。また、該生体用インプラント部材
を製造するた為の、簡便で生産性が高く、且つ安価な方
法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る生体用イン
プラント部材は、チタン若しくはチタン基合金製の生体
用インプラント部材であって、該生体用インプラント部
材の少なくとも生体との接触部表面が、3次元的なスポ
ンジ状の多孔質構造を有することを要旨とする。更に、
前記多孔質構造が、0.1〜5μmの空孔が重なってつ
ながり合っているものであることが好ましい。
【0012】また本発明に係る生体用インプラント部材
の製造方法は、前記生体用インプラント部材の少なくと
も生体との接触部表面を、塩酸によって処理することを
要旨とする。加えて、前記塩酸に、弱酸或いは強酸を併
用して処理することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】従来より生体に対する適合性の向
上を図る為に、生体用インプラント部材表面の粗面化が
行われているが、本発明のインプラント部材は、粗面の
形態を一層良い形状としたものであり、前述の如く、表
面が3次元的なスポンジ状の多孔質構造である。即ち、
空孔が面方向のみならず深さ方向にもつながり合い、各
空孔が縦横に連通してスポンジ状を呈している。
【0014】この様な構造であると、細胞が増殖しやす
く、且つ細胞の出す偽足や細胞自身がインプラント部材
の多孔質構造と複雑に絡み合うこととなり、従来よりも
強い微小投錨効果が得られ、生体とインプラント部材が
一層強固に結合するのである。
【0015】即ち、本発明の生体用インプラント部材の
生体との接触表面は、3次元的なスポンジ状構造であ
り、新生組織細胞の一部がアンダーカット内に侵入形成
されるので、骨とインプラント部材との結合を強固にす
るのである。
【0016】一方、従来のインプラント部材は、表層の
みに単純な凹凸が形成されているものであるから、細胞
と部材が表面のみで噛み合う程度のものであり、上述の
様なアンダーカットによる係合はなく、結合力が比較的
不十分であったのである。前記空孔の好ましい大きさは
0.1〜5μmであり、この様な大きさとすることで、
細胞の接着足が空孔内に良好に侵入可能となる。
【0017】次に製造方法について説明する。Ti合金
は酸処理によって表面から侵食を受けるものであるが、
本発明者らは各種の酸の内、塩酸が、上記3次元的なス
ポンジ状の多孔質構造をTi合金製部材の表面に形成す
るのに最適であるということを見い出した。
【0018】従来例で用いられているフッ化水素酸等
の場合は、侵食作用が強く、当初の侵食によって形成し
た山部分を、次々と侵食していく為に、侵食が面方向に
広がり、結果的に2次元的凹凸を表層部に形成するに留
まるものと考えられる。
【0019】これに対し、塩酸の場合は、侵食作用が穏
やかである為、当初の侵食によって形成した山部分をあ
る程度残しつつ、谷部分の侵食が進行し、これによって
3次元的なスポンジ状構造を形成するものと考えられ
る。しかも、好適な大きさの空孔を形成することができ
る。
【0020】本発明に係る製造方法においては、塩酸の
濃度、処理時間、処理温度、若しくはこれに添加する弱
酸や強酸の濃度を調整することで、空孔の大きさや多孔
質構造部分の厚さをコントロールすることができる。
【0021】また本発明の製造方法は、塩酸による処理
であるから、上記従来例の様な異種金属いよる汚染の
心配がなく、またインプラント部材の表面に存在するチ
タン酸化膜を除去することもできる。尚、本製造方法に
用いる塩酸は水溶性であるから、これ自体は水洗により
容易に除去できる。
【0022】塩酸水溶液を用いた場合は、原材料からイ
ンプラント部材形状への加工工程中に受けた異種金属の
汚染も、該水溶液による洗浄効果によって除去すること
ができる。
【0023】塩酸による処理の具体的方法としては、
(1) 塩酸を主成分とする水溶液にインプラント部材を浸
漬する方法、(2) 塩酸を染み込ませたゲル状高分子の保
持体をインプラント部材表面に塗布し、一定時間保持し
た後、上記保持体ごと表面付着物を洗い流す方法、(3)
インプラント部材表面を塩酸蒸気に曝す方法が挙げられ
る。
【0024】尚、塩酸による処理は、インプラント部材
の少なくとも生体との接触部分に行えば良く、インプラ
ント部材全体に行う必要はない。本発明の製造方法は、
前述の様に塩酸を用いたものであるから、簡便であり、
生産性が良く、且つ安価である。
【0025】次に、製造方法における各種処理条件につ
いて述べる。まず塩酸水溶液を単独で使用して処理を施
す場合について述べる。図1〜3は各種温度における塩
酸濃度(M )と処理時間(min.)の関係を現すグラフで
あり、図1は25℃、図2は45℃、図3は60℃の処
理温度の場合を示す。図中、○は好適なスポンジ状の多
孔質構造を形成した場合、●は過剰侵食が生じた場合、
×は好適なスポンジ状構造の形成までに至っていない場
合を示し、グラフ中の点網で示した部分は本発明におけ
る好適条件範囲を現す。
【0026】図からも分かる様に、塩酸濃度が低い、ま
たは処理時間が短い、或いは処理温度が低い場合は、3
次元的なスポンジ状多孔質構造が未形成となり、逆に塩
酸濃度が高い、処理時間が長い、処理温度が高い場合
は、インプラント部材表面が過剰に侵食され、針状の凸
部を持つ2次元的な粗面となる。
【0027】図中、点網で示した範囲内の塩酸濃度,処
理時間,処理温度の組合わせの場合においては、3次元
的なスポンジ状多孔質構造が形成される。またこの範囲
内において濃度,温度,時間の条件の組合わせを適宜調
整することで、空孔の大きさや多孔質構造部分の深さを
調整することが可能である。
【0028】尚、より好ましい塩酸濃度としては1M 以
上であり、1M 未満の場合は処理時間を長くするか、反
応温度を著しく上げなければならず、コストが高くつく
為、実用的でない。
【0029】また、より好ましい処理時間は1分以上で
あり、1分未満では、非常に濃い塩酸を用い、また処理
温度を高くしなければならず、この場合には侵食作用が
強くなり過ぎて、好適なスポンジ状構造を形成する為の
条件調整が困難になる。
【0030】処理温度としては、例えば沸騰水溶液で処
理した場合は、上述と同様に、侵食作用が強くなり過ぎ
て好適なスポンジ状構造を形成する為の条件調整が困難
になるから、沸騰温度以下が望ましい。また、作業のし
易さから、室温から80℃の処理温度が好ましい。
【0031】次に、塩酸と、弱酸や強酸を併用する場合
について述べる。上述の様な条件を調整するだけでな
く、弱酸や強酸を併用することによっても、空孔の大き
さや多孔質構造部分の深さをコントロールすることがで
きる。
【0032】弱酸の例としては、酢酸やマレイン酸等の
有機酸が挙げられ、これらを添加することで、スポンジ
状構造の形成を遅延化し、また空孔の大きさを小さくす
ることができる。添加量としては20v/v %以下が好ま
しく、20v/v %を超えて添加した場合は侵食作用が弱
くなり過ぎ、スポンジ状構造を形成できなくなるからで
ある。
【0033】強酸の例としては、硝酸,フッ化水素,硫
酸等が挙げられ、これらを添加することで、スポンジ状
構造形成の時間短縮が図れ、また空孔の大きさを大きく
することができる。添加量としては20v/v %以下が好
ましく、20v/v %を超えて添加した場合は過剰侵食さ
れてスポンジ状構造が崩れるからである。
【0034】
【実施例】
<実験1>(前記処理方法(1) の例、及び骨芽細胞の増
殖向上効果について)10×10×1mm の大きさの純チタン
板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸留
水の順で洗浄した。次に、10M 塩酸水溶液に25℃で10分
間浸漬し、その後、蒸留水中で超音波洗浄を施し、乾燥
した(実施例1)。該実施例1の表面を走査電子顕微鏡
で観察した。
【0035】その結果、塩酸水溶液処理前のインプラン
ト部材では鏡面であったが、塩酸水溶液処理後のインプ
ラント部材(実施例1)の表面には、直径0.1 〜5 μm
の球状孔が縦横につながり合ったスポンジ状の多孔質構
造が観察された。
【0036】該実施例1で得られたインプラント部材の
表面に、骨芽細胞MC3T3-E1を接種し、5%CO2 雰囲気
の培養器内で、37℃,10日間の培養を行った。また比
較の為、研磨を行った後、塩酸水溶液処理を行っていな
いインプラント部材(比較例1)についても、同様に骨
芽細胞の培養を行った。
【0037】そして細胞の接種から3,6,10日目に
おける、実施例1,比較例1の表面に付着した骨芽細胞
の数を数えた。その結果を図4に示す。図4から明かな
様に、本実施例1のインプラント部材は、比較例1より
も骨芽細胞の増殖が良いことが分かる。
【0038】<実験2>(繊維芽細胞の増殖効果につい
て) 上記実施例1及び上記比較例1のインプラント部材表面
に、代表的な生体組織細胞である繊維芽細胞L929を接種
し、上記と同様に10日間培養を行った。細胞の接種か
ら3,6,10日目における、実施例1,比較例1の表
面に付着した細胞の数を数えた。その結果を図5に示
す。図5から明かな様に、本実施例1のインプラント部
材は、比較例1よりも細胞増殖が良いことが分かる。
【0039】以上の様に、実施例1の生体用インプラン
ト部材は、骨芽細胞の増殖に優れ、また骨組織以外の一
般的な細胞である生体組織細胞についても、その増殖に
優れている。
【0040】<実験3>(塩酸濃度の最低条件につい
て) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。その後1M 塩酸水溶液に60℃で60
分間浸漬し、蒸留水中で超音波洗浄を施し、乾燥した
(実施例2)。該実施例2の表面を走査電子顕微鏡で観
察した。
【0041】その結果、実施例2の表面には、直径0.1
〜1 μmの球状孔が縦横につながり合った3次元的なス
ポンジ状多孔質構造が観察された。尚、本実施例2の場
合は塩酸濃度が薄くマイルドな条件であるから、実施例
1に比べ孔径のばらつきが小さくなったものと考えられ
る。
【0042】本実験3においては、塩酸処理温度を比較
的高く且つ処理時間を比較的長く行っており、それ以上
の処理温度,時間はあまり実用的でないことから、塩酸
の濃度としては1M より薄いものは不適当であり、1M
以上であるのが好ましいことが分かる。
【0043】<実験4>(処理時間の最低条件につい
て) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。その後10M 塩酸水溶液に80℃で1
分間浸漬し、蒸留水中で超音波洗浄を施し、乾燥した
(実施例3)。該実施例3の表面を走査電子顕微鏡で観
察した。その結果、実施例3の表面には、直径0.3 〜5
μmの球状孔が縦横につながり合った3次元的なスポン
ジ状多孔質構造が観察された。
【0044】処理時間が短くても良い程に、濃い塩酸や
高い温度で処理した場合は、侵食作用が強すぎて良好な
スポンジ状構造を形成し難いものであるが、本実験4の
様に1分間の場合には良好なスポンジ状多孔質構造を形
成しているから、処理時間は1分以上が好ましいことが
分かる。
【0045】<実験5>(前記(2) の処理方法の例) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。その後10M 塩酸を染み込ませたゲ
ル状高分子を表面に塗布し、10分間,室温(25℃)で放
置した。放置後、蒸留水中で上記高分子と共に他の表面
付着物を洗い流し、乾燥した(実施例4)。該実施例4
の表面を走査電子顕微鏡で観察した。その結果、実施例
4の表面には直径0.1 〜5 μmの球状孔が縦横につなが
り合った3次元的なスポンジ状多孔質構造が観察され
た。以上のことから、前記(2) の方法によって、スポン
ジ状多孔質構造の表面を持つ生体用インプラント部材を
製造することができることが分かる。
【0046】<実験6>(前記(3) の処理方法の例) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。次に、塩酸蒸気下に10分間曝した
後、蒸留水中で洗浄し、乾燥した(実施例5)。該実施
例5の表面を走査電子顕微鏡で観察した。その結果、実
施例5の表面には、直径2〜5μmの球状孔が縦横につ
ながり合った3次元的なスポンジ状多孔質構造が観察さ
れた。以上のことから、前記(3) の方法によって、スポ
ンジ状多孔質構造の表面を持つ生体用インプラント部材
を製造することができることが分かる。
【0047】<実験7>(硫酸による処理の場合につい
て) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。次に、10M 硫酸溶液に25℃で30分
間浸漬し、その後蒸留水中で超音波洗浄を施し、乾燥し
た(比較例2)。該比較例2の表面を走査電子顕微鏡で
観察した。比較例2の表面は、ほとんど侵食を受けてお
らず、3次元的なスポンジ状構造は観察されなかった。
【0048】<実験8>(硝・フッ酸水溶液による処理
の場合について) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。次に、10vol %硝酸と5vol%フッ
化水素酸の混合液(硝・フッ酸水溶液)に、室温(25
℃)で30秒間浸漬し、その後蒸留水中で超音波洗浄を施
し、乾燥した(比較例3)。該比較例3の表面を走査電
子顕微鏡で観察した。比較例3の表面には、針状の凸部
を持った2次元的な凹凸が観察され、3次元的なスポン
ジ状構造は観察されなかった。
【0049】<実験9>(りん酸による処理の場合につ
いて) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。次に、10M りん酸水溶液に、室温
(25℃)で10分間浸漬し、その後蒸留水中で超音波洗浄
を施し、乾燥した(比較例4)。該比較例4の表面を走
査電子顕微鏡で観察した。比較例4の表面には、2次元
的な凹凸が観察されたが、3次元的なスポンジ状構造は
観察されなかった。
【0050】<実験10>(陽極酸化処理の場合につい
て) 上記実験例1と同様に、10×10×1mm の大きさの純チタ
ン板状片を、#400 SiCで湿式研磨し、アセトン、蒸
留水の順で洗浄した。次に、1vol%りん酸水溶液に、室
温で50V の電圧をかけつつ10分間浸漬し、その後蒸留水
中で超音波洗浄を施し、乾燥した(比較例5)。該比較
例5の表面を走査電子顕微鏡で観察した。比較例5の表
面には、大きく滑らかな凹凸は観察されたが、3次元的
なスポンジ状構造は観察されなかった。
【0051】以上の実施例1〜3及び比較例2〜5から
分かる様に、塩酸による処理の場合は良好な3次元的な
スポンジ状多孔質構造がインプラント部材表面に観察さ
れたが、他の酸若しくはアルカリなどによる処理の場合
は、良好な3次元的なスポンジ状多孔質構造は観察され
なかった。
【0052】
【発明の効果】本発明に係る生体用インプラント部材
は、該部材の生体との接触面(多孔質構造の面)におい
て、周辺の生体組織細胞の付着とその増殖促進に優れて
いる。従って生体用インプラント部材と生体との親和性
が極めて高く、特に骨組織に対しては、インプラント部
材−骨結合部分での微小投錨効果を十分に発揮し、骨組
織によるインプラント部材の強固な支持が期待できる。
また、本発明に係る生体用インプラント部材の製造方法
は、簡便で、生産性が良く、しかも安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理温度25℃における各塩酸濃度及び各処理
時間についての、多孔質構造形成の状況を現す図。
【図2】処理温度45℃における各塩酸濃度及び各処理
時間についての、多孔質構造形成の状況を現す図。
【図3】処理温度60℃における各塩酸濃度及び各処理
時間についての、多孔質構造形成の状況を現す図。
【図4】本発明の実施例1に係るインプラント部材と、
比較例1のインプラント部材について、表面に付着した
骨芽細胞数を表す図。
【図5】本発明の実施例1に係るインプラント部材と、
比較例1のインプラント部材について、表面に付着した
繊維芽細胞数を表す図。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン若しくはチタン基合金製の生体用
    インプラント部材において、該生体用インプラント部材
    の少なくとも生体との接触部表面が、3次元的なスポン
    ジ状の多孔質構造を有することを特徴とする生体用イン
    プラント部材。
  2. 【請求項2】 前記多孔質構造が、0.1〜5μmの空
    孔がつながり合っているものである請求項1に記載の生
    体用インプラント部材。
  3. 【請求項3】 生体用インプラント部材の少なくとも生
    体との接触部表面を、塩酸によって処理する請求項1ま
    たは2に記載の生体用インプラント部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塩酸に、弱酸或いは強酸を併用して
    処理する請求項3に記載の生体用インプラント部材の製
    造方法。
JP7302973A 1995-11-21 1995-11-21 生体用インプラント部材、及びその製造方法 Withdrawn JPH09140783A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7879367B2 (en) 1997-07-18 2011-02-01 Alfons Fischer Metallic implant which is degradable in vivo

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7879367B2 (en) 1997-07-18 2011-02-01 Alfons Fischer Metallic implant which is degradable in vivo

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