JPH09131004A - 電気機器用鉄心素板及び鉄心 - Google Patents

電気機器用鉄心素板及び鉄心

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JPH09131004A
JPH09131004A JP7282218A JP28221895A JPH09131004A JP H09131004 A JPH09131004 A JP H09131004A JP 7282218 A JP7282218 A JP 7282218A JP 28221895 A JP28221895 A JP 28221895A JP H09131004 A JPH09131004 A JP H09131004A
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fitting
press
iron core
convex portion
core element
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JP7282218A
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Noriyuki Suzuki
則幸 鈴木
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Asmo Co Ltd
Original Assignee
Asmo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 1種類の鉄心素板で鉄心を構成する。 【解決手段】 12個のティース5A,5B,5Cを等
角度間隔で備え、この角度間隔に等しい回転角度で回転
対称に形成される鉄心素板2の一側面には、3個毎のテ
ィース5Aの拡開部6Aにそれぞれ圧入嵌合用凸部7が
形成されている。鉄心素板2の各ティース5Bには、圧
入嵌合用凸部7を圧入嵌合させる第2の圧入嵌合用通孔
としての通孔8Aが同一円周上にそれぞれ形成されてい
る。又、鉄心素板2の各ティース5Cには、圧入嵌合用
凸部7を圧入嵌合させる第1の圧入嵌合用通孔としての
通孔8Bが同一円周上にそれぞれ形成されている。従っ
て、各圧入嵌合用凸部7に対して、第1の角度間隔θ1
で通孔8Bが設けられ、又、第2の角度間隔θ2で通孔
8Aが設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータ等の電
気機器の鉄心を形成する電気機器用鉄心素板及びその鉄
心素板からなる電気機器用鉄心に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、電動モータの電機子鉄心
は、珪素鋼等からなる板状の鉄心素板(コア素板)の積
層により形成されている。何故なら、鉄心の内部には、
磁束の変化により渦電流が発生する。この渦電流による
損失が大きくなると、発熱量が大きくなって効率が低下
し、又、温度上昇により整流子の摩耗が誘発される。そ
こで、鉄心を表面が酸化被膜で絶縁された板状の鉄心素
板で構成することにより、鉄心の内部において積層方向
に渦電流が流れないようにしている。このことにより、
渦電流損失を小さく抑制している。
【0003】このような電機子を製造するには、先ず、
必要数の鉄心素板を積層してかしめ一体化して鉄心を形
成する。そして、この鉄心に回転軸を嵌入して電機子鉄
心を形成している。例えば、実開昭62−107404
号公報の積層鉄心は、図15に示すように、鉄心素板1
00の一側面に複数の圧入嵌合用凸部101を備え、各
凸部101と同一円周上の異なる位置に各凸部101が
圧入嵌合される複数の通孔102を備えている。尚、図
15では、便宜上、圧入嵌合用凸部101を塗り潰して
図示している。そして、積層時に、一方の鉄心素板10
0の各凸部101を、他方の鉄心素板100の各通孔1
02に他側面側から圧入嵌合することにより各鉄心素板
100を結合するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の積層
鉄心100では、各鉄心素板100の凸部101が同一
方向に向くように積層されるため、最端部の鉄心素板1
00の凸部101が形成された鉄心から突出することに
なる。そこで、図16に示すように、鉄心103の最端
部には通孔104のみを備えた別の鉄心素板105を積
層することにより、鉄心から凸部101が突出しないよ
うにしている。
【0005】しかしながら、このような鉄心素板100
にて構成される鉄心103では、凸部101と通孔10
2の両方を備えた鉄心素板100と、通孔104のみを
備えた鉄心素板105の2種類の鉄心素板100,10
5が必要になる。従って、鉄心素板100,105のプ
レス用金型が2種類必要になり、設備費が高くなるた
め、鉄心素板100,105の製造原価が高くなる問題
がある。
【0006】又、各鉄心素板100間において、凸部1
01と通孔102との嵌合により、鉄心素板100同士
が導通するが、鉄心103では、各凸部101が積層方
向に配列するため、この凸部101及び通孔102によ
り渦電流が流れる閉ループが多数形成される。このた
め、渦電流損失が増大し、モータの出力効率を低下させ
ている問題がある。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その第1の目的は、1種類の鉄心
素板で鉄心を構成することができる電気機器用鉄心素
板、及び、その鉄心素板で構成される鉄心を提供するこ
とにある。
【0008】第2の目的は、第1の目的に加えて、渦電
流損失を低減することができる電気機器用鉄心素板、及
び、その鉄心素板で構成される鉄心を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、本体部から径方向に延び
る複数の磁路を等角度間隔で有し、その角度間隔に等し
い回転角度で回転対称に形成され、複数個積層されて電
気機器用鉄心を形成する電気機器用鉄心素板において、
その一側面には、圧入嵌合用凸部を備えるとともに、別
の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌合用凸部を圧入
嵌合可能に形成される第1の圧入嵌合用凹部、又は、第
1の圧入嵌合用通孔を、この圧入嵌合用凸部と同一円周
上の、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角度の自然数倍
の第1の角度間隔をなす位置に設け、その他側面には、
別の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌合用凸部を圧
入嵌合可能に形成される第2の圧入嵌合用凹部、又は、
第2の圧入嵌合用通孔を、圧入嵌合用凸部と同一円周上
の、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角度の自然数倍の
第2の角度間隔をなす位置に設けた。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、第2の圧入嵌合用凹部、又は、第2の
圧入嵌合用通孔は、圧入嵌合用凸部とは異なる位置に設
けた。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項2又は請
求項3に記載の発明において、圧入嵌合用凸部は1個だ
け設けた。請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項
3に記載の発明において、その一側面には、隙間嵌合用
凸部を備えるとともに、別の鉄心素板の一側面に形成さ
れる隙間嵌合用凸部を隙間嵌合可能に形成される第1の
隙間嵌合用凹部、又は、第1の隙間嵌合用通孔を、この
隙間嵌合用凸部と同一円周上の、隙間嵌合用凸部に対し
て前記第1の角度間隔をなす位置に設け、その他側面に
は、別の鉄心素板の一側面に形成される隙間嵌合用凸部
を隙間嵌合可能に形成される第2の隙間嵌合用凹部、又
は、第2の隙間嵌合用通孔を、隙間嵌合用凸部と同一円
周上の、隙間嵌合用凸部に対して前記第2の角度間隔を
なす位置に設けた。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求
項4の何れかに記載の発明において、圧入嵌合用凸部
は、前記磁路の先端部に形成した。請求項6に記載の発
明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の発明におい
て、圧入嵌合用凸部は、前記本体部に形成した。
【0013】請求項7に記載の発明は、本体部から径方
向に延びる複数の磁路を等角度間隔で有し、その角度間
隔に等しい回転角度で回転対称に形成され、複数個積層
されて電気機器用鉄心を形成し、その一側面には、圧入
嵌合用凸部を備えるとともに、別の鉄心素板の一側面に
形成される圧入嵌合用凸部を圧入嵌合可能に形成される
第1の圧入嵌合用凹部、又は、第1の圧入嵌合用通孔
を、この圧入嵌合用凸部と同一円周上の圧入嵌合用凸部
とは異なる位置に、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角
度の自然数倍の第1の角度間隔をなす位置に備え、その
他側面には、別の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌
合用凸部を圧入嵌合可能に形成される第2の圧入嵌合用
凹部、又は、第2の圧入嵌合用通孔を、圧入嵌合用凸部
と同一円周上の、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角度
の自然数倍の第2の角度間隔をなす位置に備えた鉄心素
板を用い、一方の鉄心素板の圧入嵌合用凸部が他方の鉄
心素板の第1の圧入嵌合用凹部、又は、第1の圧入嵌合
用通孔に互いに嵌合するように積層した一対の鉄心素板
の一方、又は、両方の鉄心素板の第2の圧入嵌合用凹
部、又、第2の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素板の圧入嵌
合用凸部を嵌合し、以下、同様にして積層された鉄心素
板の第2の圧入嵌合用凹部、又、第2の圧入嵌合用通孔
に別の鉄心素板の圧入嵌合用凸部を積層して構成した。
【0014】請求項8に記載の発明は、本体部から径方
向に延びる複数の磁路を等角度間隔で有し、その角度間
隔に等しい回転角度で回転対称に形成され、複数個積層
されて電気機器用鉄心を形成し、その一側面には、圧入
嵌合用凸部を備えるとともに、別の鉄心素板の一側面に
形成される圧入嵌合用凸部を圧入嵌合可能に形成される
第1の圧入嵌合用凹部、又は、第1の圧入嵌合用通孔
を、この圧入嵌合用凸部と同一円周上の圧入嵌合用凸部
とは異なる位置に、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角
度の自然数倍の第1の角度間隔をなす位置に設け、その
他側面には、別の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌
合用凸部を圧入嵌合可能に形成される第2の圧入嵌合用
凹部、又は、第2の圧入嵌合用通孔を、圧入嵌合用凸部
と同一円周上の、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角度
の自然数倍の第2の角度間隔をなし、かつ、圧入嵌合用
凸部とは異なる位置に備えた鉄心素板を用い、一方の鉄
心素板の圧入嵌合用凸部が他方の鉄心素板の第1の圧入
嵌合用凹部、又は、第1の圧入嵌合用通孔に互いに嵌合
するように積層した一対の鉄心素板の一方、又は、両方
の鉄心素板の第2の圧入嵌合用凹部、又、第2の圧入嵌
合用通孔に別の鉄心素板の圧入嵌合用凸部を嵌合し、以
下、同様にして積層された鉄心素板の第2の圧入嵌合用
凹部、又、第2の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素板の圧入
嵌合用凸部を積層して構成した。
【0015】従って、請求項1に記載の発明によれば、
鉄心素板は、本体部から径方向に延びる複数の磁路を等
角度間隔で有し、その角度間隔に等しい回転角度で回転
対称に形成される。さらに、第2の圧入嵌合用凹部、又
は、第2の圧入嵌合用通孔は、圧入嵌合用凸部と同一円
周上の、圧入嵌合用凸部に対して回転角度の自然数倍の
第2の角度間隔をなす位置に設けられる。その結果、鉄
心素板の一側面に設けられる圧入嵌合用凸部を、別の鉄
心素板の他側面に設けられる第2の圧入嵌合用凹部、又
は、第2の圧入嵌合用通孔に嵌合させると、両鉄心素板
はそれぞれの磁路が合致する状態で同一方向に結合され
る。
【0016】又、第1の圧入嵌合用凹部、又は、第1の
圧入嵌合用通孔は、この圧入嵌合用凸部と同一円周上の
圧入嵌合用凸部とは異なる位置に、圧入嵌合用凸部に対
して前記回転角度の自然数倍の第1の角度間隔をなす位
置に設けられている。その結果、鉄心素板の圧入嵌合用
凸部を、別の鉄心素板の第1の圧入嵌合用凹部、又は、
第1の圧入嵌合用通孔に嵌合させると、両鉄心素板はそ
れぞれの磁路が合致する状態で互いに反対方向に結合さ
れる。
【0017】そして、鉄心素板を積層して鉄心を形成す
る際に、一対の鉄心素板同士を各圧入嵌合用凸部が互い
に他方の鉄心素板の第1の圧入嵌合用凹部、又は、第1
の圧入嵌合用通孔に嵌合するように積層する。すると、
各鉄心素板のそれぞれの第2の圧入嵌合用凹部、又は、
第2の圧入嵌合用通孔が外側に配置されるため、両鉄心
素板の一方、又は両方の第2の圧入嵌合用凹部、又は、
第2の圧入嵌合用通孔に対して別の鉄心素板を順次同方
向に積層することができる。従って、1種類の鉄心素板
により積層された鉄心の両端に、鉄心素板の圧入嵌合用
凸部が突出しないように鉄心を形成することが可能にな
る。
【0018】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の作用に加えて、第2の圧入嵌合用凹部、
又は、第2の圧入嵌合用通孔を、圧入嵌合用凸部とは異
なる位置に設けたため、一方の鉄心素板の第2の圧入嵌
合用凹部、又は、第2の圧入嵌合用通孔に他方の鉄心素
板の圧入嵌合用凸部が嵌合するように積層すると、両方
の鉄心素板の各圧入嵌合用凸部が積層方向に重ならない
位置に配置される。その結果、一方の鉄心素板の第2の
圧入嵌合用凹部、又は、第2の圧入嵌合用通孔に他方の
鉄心素板の圧入嵌合用凸部を嵌合することにより、鉄心
素板間に導通部が形成されても、各鉄心素板間の導通部
が積層方向に直線状に配置されて積層方向に延びる導通
路が形成されることはない。そのため、各鉄心素板間の
導通路と各鉄心素板により鉄心内部に形成される閉ルー
プは、経路が複雑で長くなる。従って、閉ループに生じ
る渦電流が低減されるため、渦電流損失が低減する。
【0019】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、圧入嵌合用
凸部が1個であるため、それぞれの圧入嵌合用凸部が互
いに他方の鉄心素板の第1の圧入嵌合用凹部、又は、第
1の圧入嵌合用通孔に嵌合する一対の鉄心素板間におい
ては、両鉄心素板が2個の圧入嵌合用凸部にて結合され
る。又、一方の鉄心素板の圧入嵌合用凸部が他方の鉄心
素板の第2の圧入嵌合用凹部、又は、第2の圧入嵌合用
通孔に嵌合する両鉄心素板間においては、両鉄心素板が
1個の圧入嵌合用凸部にて結合される。従って、圧入嵌
合用凸部の嵌合により鉄心素板間に導通路が形成されて
も、導通路の数が最小であるため、コア内部に形成され
る閉ループの数が最小になる。従って、渦電流が著しく
抑制されるため、渦電流による発熱を著しく抑制するこ
とが可能になる。
【0020】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項3に記載の発明の作用に加えて、一側面に設け
られる隙間嵌合用凸部と同一円周上の、隙間嵌合用凸部
に対して第1の角度間隔をなす位置に第1の隙間嵌合用
凹部、又は、第1の隙間嵌合用通孔が形成される。その
ため、積層される両鉄心素板の各圧入嵌合用凸部が、互
いに他方の第1の圧入嵌合用凸部、又は、第1の圧入嵌
合用通孔に嵌合する両鉄心素板間においては、各コア素
板の隙間嵌合用凸部が、互いに他方の第1の隙間嵌合用
凹部、又は、第1の隙間嵌合用通孔に嵌合する。その結
果、両第1の圧入嵌合用凸部及び両隙間嵌合用凸部によ
り両鉄心素板同士が周方向に係合され、両鉄心素板の周
方向のずれが規制される。
【0021】又、他側面の隙間嵌合用凸部と同一円周上
の、隙間嵌合用凸部に対して第2の角度間隔をなす位置
に第2の隙間嵌合用凹部、又は、第2の隙間嵌合用通孔
が設けられる。そのため、積層される一方の鉄心素板の
圧入嵌合用凸部が他方の鉄心素板の第2の圧入嵌合用凹
部、又は、第2の圧入嵌合用通孔に嵌合する両鉄心素板
間においては、一方の鉄心素板の隙間嵌合用凸部が、他
方の鉄心素板の第2の隙間嵌合用凹部、又は、第2の隙
間嵌合用通孔に嵌合する。その結果、圧入嵌合用凸部及
び隙間嵌合用凸部により両鉄心素板同士が周方向に係合
され、両鉄心素板の周方向のずれが規制される。隙間嵌
合用凸部は、圧入でなく隙間嵌合により嵌合するため、
コア素板同士が導通することはない。従って、渦電流損
失を増大させることなく、コア素板同士の周方向のすれ
を確実に防止することが可能になる。
【0022】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項4の何れかに記載の発明の作用に加えて、圧入
嵌合用凸部が前記磁路の先端部に形成されるため、鉄心
素板の積層により各磁路の反りが矯正される。従って、
鉄心素板の積層により形成される鉄心において、積層さ
れた磁路の先端面を高い精度で形成することができる。
鉄心素板により回転子が形成される場合には、回転に伴
う先端面の振れを低減することが可能になる。
【0023】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項4の何れかに記載の発明の作用に加えて、圧入
嵌合用凸部が各磁路よりも磁束密度が小さくなる本体部
に形成される。そのため、積層された鉄心素板間に各圧
入嵌合用凸部により導通路が形成されても、その導通路
を流れる渦電流は小さくなる。従って、渦電流損失によ
る発熱を低減することが可能になる。
【0024】請求項7に記載の発明によれば、一対の鉄
心素板を一方の圧入嵌合用凸部が他方の第1の圧入嵌合
用凹部、又は、第1の圧入嵌合用通孔に互いに嵌合する
ように積層し、この両鉄心素板の一方、又は、両方の鉄
心素板の第2の圧入嵌合用凹部、又、第2の圧入嵌合用
通孔に別の鉄心素板の圧入嵌合用凸部を嵌合する。以
下、同様にして積層された鉄心素板の第2の圧入嵌合用
凹部、又、第2の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素板の圧入
嵌合用凸部を嵌合して鉄心を形成する。その結果、各圧
入嵌合用凸部が互いに対向するように積層される一対の
鉄心素板の一方、又は、両方にその圧入嵌合用凸部が形
成される鉄心の外側に向かないように鉄心素板を積層す
ることができる。従って、1種類の鉄心素板を使用し
て、積層により形成される鉄心の両端に、各端部を形成
する鉄心素板の嵌合用凸部を突出させない鉄心を形成す
ることが可能になる。
【0025】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載の発明の作用に加えて、第2の圧入嵌合用凹部、
又、第2の圧入嵌合用通孔が圧入嵌合用凸部と異なる位
置に設けられる鉄心素板の積層により形成されるため、
積層される鉄心素板同士ではその各圧入嵌合用凸部が積
層方向に重ならない位置に配置される。その結果、各鉄
心素板間において圧入嵌合用凸部により導通路が形成さ
れても、各鉄心素板間の導通路が積層方向に直線状に配
置されることはない。そのため、各鉄心素板間の導通路
と各鉄心素板により鉄心内部に形成される閉ループは、
経路が複雑で長くなる。従って、閉ループに生じる渦電
流が低減されるため、渦電流損失が低減する。
【0026】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施の形態〕以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図1〜図4に従って説明する。
【0027】図1は、電動モータの電機子を形成する電
機子鉄心(以下、鉄心という)1の分解斜視図である。
鉄心1は、珪素鋼等で形成される多数の板状の鉄心素板
2を積層することにより構成されている。各鉄心素板2
の表面には、絶縁のための酸化被膜が形成されている。
【0028】鉄心素板2は、図2(a),(b)に示す
ように、中心に軸孔3が形成される本体部としての中央
部4を有し、その中央部4には径方向に延びる12本の
磁路としてのティース5A,5B,5Cが等角度間隔
に、即ち、30°間隔に形成されている。各ティース5
A,5B,5Cは、その幅tが均等に形成され、ティー
ス5Aの先端には周方向に延びる拡開部6Aが、ティー
ス5Bの先端には同じく拡開部6Bが、ティース5Cの
先端には同じく拡開部6Cが形成されている。従って、
鉄心素板2は、ティース5A,5B,5Cの角度間隔に
等しい回転角度(即ち、30°)で回転対称に形成され
ている。
【0029】2個おきに配置された各ティース5Aの拡
開部6Aの一側面には、圧入嵌合用凸部7が同一円周上
にそれぞれ形成されている。尚、便宜上、図2(a)に
おいて、圧入嵌合用凸部7は、黒く塗り潰して図示して
いる。又、各ティース5Aの反時計方向側に配置される
各ティース5Bには、第2の圧入嵌合用通孔としての通
孔8Aが、前記各圧入嵌合用凸部7と同一円周上に形成
されている。さらに、各ティース5Bの反時計方向側に
配置される各ティース5Cには、第1の圧入嵌合用通孔
としての通孔8Bが、前記各圧入嵌合用凸部7と同一円
周上に形成されている。各通孔8A,8Bは、各圧入嵌
合用凸部7が圧入嵌合(かしめ)可能な形状に形成され
ている。
【0030】従って、鉄心素板2には、各圧入嵌合用凸
部7と同一円周上に、各圧入嵌合用凸部7に対して、前
記回転角度に等しい第1の角度間隔θ1(即ち、θ1=
30°)で、通孔8Bがそれぞれ形成されている。又、
鉄心素板2には、各圧入嵌合用凸部7と同一円周上に、
各圧入嵌合用凸部7に対して、前記回転角度に等しい第
2の角度間隔θ2(即ち、θ2=30°)で、通孔8A
がそれぞれ形成されている。
【0031】尚、各通孔8A,8Bは、図3に示すよう
に、ティース5B,5Cの幅をtとすると、各拡開部6
B,6Cにおいて、通孔8A,8Bと拡開部6B,6C
の基端部両側端との最短距離t1,t2がt/2以上の
大きさになるように形成することが好適である。又、各
通孔8A,8Bは、通孔8A,8Bと拡開部6B,6C
の外周端との最短距離t3が、通孔8A,8Bの直径D
のD/2以上の大きさになるように形成することが好適
である。
【0032】次に、以上のように構成された鉄心素板の
作用及び効果を箇条書きに記述する。 (1) 鉄心素板2を積層して鉄心1を形成するには、
図1に示すように、鉄心素板2を圧入嵌合用凸部7が上
向きになるように配置する。この最下段の鉄心素板(以
下、鉄心素板を区別して2a,2b,…と表記する)2
aに対して、次段の鉄心素板2bを、圧入嵌合用凸部7
を上向きにした状態で、時計方向に第2の角度間隔θ2
(=30°)だけ回動させる。すると、鉄心素板2bの
各通孔8Aに鉄心素板2aの各圧入嵌合用凸部7が相対
向するように配置される。従って、各通孔8Aに各圧入
嵌合用凸部7を圧入嵌合することにより、鉄心素板2a
と鉄心素板2bとを結合することが可能になる。
【0033】同様に、2段目の鉄心素板2bに対して、
3段目の鉄心素板2cを、その圧入嵌合用凸部7を上向
きにした状態で時計方向に30°回動させる。すると、
鉄心素板2cの各通孔8Aに鉄心素板2bの凸部7が相
対向するように配置される。従って、各通孔8Aに各圧
入嵌合用凸部7を圧入嵌合することにより、鉄心素板2
bに鉄心素板2cを結合することが可能になる。以下、
同様にして、鉄心素板2を順次時計方向に30°ずつ回
動させて配置することにより、積層する鉄心素板2同士
を結合することが可能になる。
【0034】鉄心1の最上段の鉄心素板2dを積層する
ときは、鉄心素板2dを圧入嵌合用凸部7が下向きにな
るように配置し、その下段となる鉄心素板2eの各第2
の通孔8Bに、鉄心素板2dの各圧入嵌合用凸部7を相
対向するように配置する。鉄心素板2eの各通孔8Bに
は、その下段の鉄心素板2fの各圧入嵌合用凸部7が嵌
合されていない。従って、各圧入嵌合用凸部7を各通孔
8Bに圧入嵌合することにより、鉄心素板2dを鉄心素
板2eに結合することが可能になる。
【0035】以上のように、鉄心素板2を積層してコア
1を形成する際には、鉄心素板2a,2b,2c…を互
いに30°ずつ回動させて配置しながら積層する。最上
段の鉄心素板2dを積層する際には、鉄心素板2dを裏
返して圧入嵌合用凸部7が下方に向くように配置し、そ
の下段の鉄心素板2eの各通孔8Bに各圧入嵌合用凸部
7を嵌合する。従って、1種類の鉄心素板2にて、その
両端に鉄心素板2の圧入嵌合用凸部7が突出しないコア
1を形成することができるため、鉄心素板2及び鉄心1
の製造原価を低減することができる。
【0036】(2) 鉄心1を形成する全ての鉄心素板
2を積層した後、積層された鉄心素板2全体を加圧して
各鉄心素板2の各圧入嵌合用凸部7をその上段の鉄心素
板2の相対向する各第1の通孔8Aに圧入嵌合させる。
又、最上段の鉄心素板2dの各圧入嵌合用凸部7をその
下段の鉄心素板2eの各通孔8Bに圧入嵌合させる。そ
の結果、隣接する鉄心素板2同士が結合して積層鉄心1
が形成される。このとき、各鉄心素板2の圧入嵌合用凸
部7の数が少ないため、鉄心素板2同士の結合を小さい
加圧力(かしめ力)で行うことができる。従って、鉄心
1の加圧かしめ装置を小形化することができる。この
後、積層されたコア1の軸孔に図示しない回転軸を嵌挿
して、電機子鉄心を形成する。
【0037】(3) 又、本実施の形態の鉄心素板2
は、各圧入嵌合用凸部7及び各通孔8A,8Bが各ティ
ース5A,5B,5Cの外周側端部に形成されている。
従って、各圧入嵌合用凸部7を各通孔8A,8Bに圧入
嵌合して鉄心素板2同士を結合することにより、鉄心素
板2同士が外周側で結合される。その結果、結合された
鉄心素板2の反りが防止されるため、形成される鉄心1
の外周端面の精度が向上する。従って、鉄心1を回転さ
せた際の外周端面の振れを防止することができる。
【0038】(4) 又、隣接する鉄心素板2同士が各
圧入嵌合用凸部7と各通孔8A,8Bとの圧入嵌合によ
り結合される際、各圧入嵌合用凸部7の外周面の酸化被
膜と、各通孔8A,8Bの内周面の酸化被膜が損傷して
部分的に絶縁が破れ、隣接する鉄心素板2同士がその部
分で導通する。もし、鉄心素板2を各鉄心素板2の各圧
入嵌合用凸部7が積層方向に一直線状に並ぶように形成
すると、隣接する鉄心素板2間毎に形成される導通部が
積層方向に直線状に配列されるため、積層方向に延びる
複数の導通路が形成される。そのため、形成される鉄心
1の内部には、各導通路と各鉄心素板2とにより経路の
短い閉ループが多数形成される。その結果、渦電流が流
れやすくなり、渦電流損失が大きくなる。しかし、本実
施の形態の鉄心1においては、結合される鉄心素板2同
士の圧入嵌合用凸部7と通孔8Aによる導通部の位置
は、各鉄心素板2間で周方向にずれるように配置されて
いる。即ち、図4に示すように、結合される各鉄心素板
2同士の導通部は、積層方向に連続するように配置され
ない。その結果、各導通部により導通される鉄心素板2
にて形成される閉ループは、導通部が積層方向に直線状
に形成された場合に形成される閉ループに対して経路が
複雑で長くなる。そのため、渦電流の発生が抑制され、
渦電流損失が低減される。従って、渦電流損失による発
熱量を小さくし、又、温度上昇による整流子の摩耗の誘
発を防止することがてきる。
【0039】(5) さらに、本実施の形態の鉄心素板
2では、各ティース5Bに形成される各通孔8Aが、各
拡開部6Bの両側端との最短距離t1,t2がt/2以
上になるように形成され、かつ、各拡開部6Bの外周端
との最短距離t3が通孔8Aの内径DのD/2以上にな
るように形成される。この場合には、各ティース5Bに
おいて、各第1の通孔8Aと拡開部6Bの両側端との
間、又、各通孔8Aと拡開部6Bの外周端との間の磁路
で磁気飽和が生じることはない。又、各ティース5Cの
拡開部6Cに形成される各通孔8Bも同様に形成されて
いるため、各ティース5Cの各通孔8Bと拡開部6Cの
両側端、又、各通孔8Bと拡開部6Cの外周端との間で
磁気飽和が生じることはない。従って、磁気飽和による
磁気変動を抑制することができる。
【0040】(6) 又、本実施の形態の鉄心1では、
同一形状の鉄心素板2を順に時計方向に30°ずつ回動
させた状態で積層することにより形成している。従っ
て、鉄心素板2単体の回転バランスが取れていなくて
も、積層により形成された鉄心1は全体として回転バラ
ンスが取れる。又、同じ理由で、鉄心素板2に反りによ
る端面の振れがあっても、鉄心1全体では振れを小さく
することができる。 〔第2の実施の形態〕次に、本発明を具体化した第2の
実施の形態を図5〜図7に従って説明する。尚、本実施
の形態は前記第1の実施の形態の鉄心素板2において、
圧入嵌合用凸部7及び通孔8が形成される位置を変更し
たことのみが第1の実施の形態と異なる。従って、第1
の実施の形態と同じ構成については、符号を同じにして
その説明を省略する。
【0041】図5(a),(b)に示すように、鉄心素
板2の中央部4の一側面には、2個おきに配置された各
ティース5Aに相対向する位置に、圧入嵌合用凸部7が
同一円周上にそれぞれ形成されている。又、中央部4に
は、各ティース5Bに相対向する位置に、第2の圧入嵌
合用通孔としての通孔8Aが、前記各圧入嵌合用凸部7
と同一円周上にそれぞれ形成されている。さらに、中央
部4の各ティース5Cに相対向する位置には、第1の圧
入嵌合用通孔としての通孔8Bが、各圧入嵌合用凸部7
と同一円周上に形成されている。尚、各通孔8A,8B
は、各圧入嵌合用凸部7が圧入嵌合可能な形状に形成さ
れている。
【0042】従って、鉄心素板2の中央部4には、各圧
入嵌合用凸部7と同一円周上に、各圧入嵌合用凸部7に
対して、前記回転角度に等しい第1の角度間隔θ1(即
ち、θ1=30°)で、通孔8Bがそれぞれ形成されて
いる。又、鉄心素板2には、各圧入嵌合用凸部7と同一
円周上に、各圧入嵌合用凸部7に対して、前記回転角度
に等しい第2の角度間隔θ2(即ち、θ2=30°)
で、通孔8Aがそれぞれ形成されている。
【0043】各通孔8A,8Bは、図6に示すように、
各ティース5B,5Cの幅をtとすると、通孔8A,8
Bとティース5B,5Cの基端部の両側端との最短距離
t4が、t/2以上の大きさになるように形成すること
が好適である。
【0044】次に、以上のように構成された鉄心素板の
作用及び効果を箇条書きに記述する。 (1) 本実施の形態の鉄心素板2も、第1の実施の形
態の鉄心素板2と同様に、下段の鉄心素板2に対して上
段の鉄心素板2を時計方向に第2の角度間隔θ2(=3
0°)ずつ回動させて配置しながら積層する。最上段の
鉄心素板2を積層する際には、その鉄心素板2を裏返し
て圧入嵌合用凸部7が下方に向くように配置し、その下
段となる鉄心素板2の各通孔8Bに各圧入嵌合用凸部7
を嵌合する。従って、1種類の鉄心素板2にて、その両
端に鉄心素板2の圧入嵌合用凸部7が突出しないコア1
を形成することができる。
【0045】(2) 積層された鉄心素板2を加圧して
結合させる際には、各鉄心素板2に設けられた圧入嵌合
用凸部7がティース5A,5B,5Cの数に対して少な
いため、小さい加圧力で結合することができる。従っ
て、加圧かしめ装置を小形化することができる。
【0046】(3) 結合される鉄心素板2同士の圧入
嵌合用凸部7と通孔8Aによる結合部の位置が隣接する
鉄心素板2間で周方向にずれるように配置している。即
ち、図7に示すように、結合される各鉄心素板2同士の
導通部の位置は、各鉄心素板2間で周方向にずれるよう
に配置されている。その結果、各導通部により導通され
る鉄心素板2にて形成される各閉ループは、導通部が積
層方向に直線状に配置された場合に形成される閉ループ
に対して経路が複雑で長くなる。そのため、渦電流が抑
制され、渦電流損失が低減される。従って、渦電流損失
による発熱量を抑制し、又、温度上昇による整流子の摩
耗の誘発を防止することができる。
【0047】(4) さらに、本実施の形態の鉄心素板
2は、各圧入嵌合用凸部7及び各通孔8A,8Bが中央
部4に形成されている。一般に、中央部4における磁束
密度は、各ティース5A,5B,5Cにおける磁束密度
よりも小さくなる。又、渦電流損失は、磁束密度の二乗
に比例する。その結果、各鉄心素板2の結合により、中
央部4において閉ループが形成されても、各ティース5
A,5B,5Cにおいて閉ループが形成される場合に比
較して発生する渦電流は小さくなるため、渦電流損失を
一層抑制することができる。
【0048】(5) 又、本実施の形態の鉄心素板2で
は、中央部4に形成される各通孔8A,8Bは、通孔8
A,8Bとティース5B,5Cの基端部の両側端との最
短距離t4,t5が、ティース5B,5Cの幅tのt/
2以上になるように形成される。この場合には、中央部
4における磁気飽和を防止することができるため、磁気
変動を抑制することができる。 〔第3の実施の形態〕次に、本発明を具体化した第3の
実施の形態を図8に従って説明する。尚、本実施の形態
の鉄心素板10は、第1及び第2の実施の形態の鉄心素
板2と同様に、電機子の電機子鉄心を形成する。
【0049】図8に示すように、鉄心素板10は、中央
に軸孔11が形成される本体部としての中央部12を備
え、その中央部12には周方向に延びる磁路としての3
本のティース13A,13B,13Cが等角度間隔に、
即ち、120°間隔に形成されている。各ティース13
A,13B,13Cの先端にはほぼ周方向に延びる拡開
部14が形成されている。従って、鉄心素板10は、テ
ィース13A,13B,13Cの角度間隔に等しい回転
角度(即ち、120°)で回転対称に形成されている。
【0050】中央部12の一側面において、ティース1
3Aに相対向する位置には、圧入嵌合用凸部15が形成
され、中心軸線に対して圧入嵌合用凸部15に相対向す
る位置には、隙間嵌合用凸部16が圧入嵌合用凸部15
と同一円周上に形成されている。隙間嵌合用凸部16
は、圧入嵌合用凸部15よりもやや小さい外径に形成さ
れている。
【0051】中央部12のティース13Bに相対向する
位置には第2の圧入嵌合用通孔としての通孔17が両凸
部15,16と同一円周上に形成され、中心軸線に対し
て通孔17に相対向する位置には、第2の隙間嵌合用通
孔としての通孔18が通孔17と同一円周上にそれぞれ
形成されている。中央部12のティース13Cに相対向
する位置には第1の圧入嵌合用通孔としての通孔19が
両凸部15,16と同一円周上に形成され、中心軸線に
対して通孔19に相対向する位置には、第1の隙間嵌合
用通孔としての通孔20が通孔19と同一円周上に形成
されている。各通孔17〜20は同一形状に形成されて
いる。圧入嵌合用凸部15は各通孔17,19に対して
圧入嵌合し、隙間嵌合用凸部16は各通孔18,20に
対して隙間嵌合する形状に形成されている。
【0052】従って、中央部12には、圧入嵌合用凸部
15と同一円周上に、圧入嵌合用凸部15に対して前記
回転角度に等しい第1の角度間隔θ3(即ち、θ3=1
20°)で通孔19が形成され、同じく前記回転角度に
等しい第2の角度間隔θ4(即ち、θ4=120°)で
通孔17が形成されている。又、中央部12には、隙間
嵌合用凸部16と同一円周上に、隙間嵌合用凸部16に
対して回転角度に等しい第1の角度間隔θ3(即ち、θ
3=120°)で、通孔20が形成され、同じく回転角
度に等しい第2の角度間隔θ4(即ち、θ4=120
°)で通孔18が形成されている。
【0053】次に、以上のように構成された鉄心素板の
作用及び効果を箇条書きに記述する。 (1) 鉄心素板10を積層して鉄心を形成するには、
鉄心素板10を時計方向に第2の角度間隔θ4(=12
0°)ずつ回動させて配置しながら積層する。下段の鉄
心素板10に対して上段の鉄心素板10を時計方向に1
20°回動すると、各ティース13A,13B,13C
は回動前の各ティース13C,13A,13Bの位置に
配置される。又、下段の鉄心素板10の圧入嵌合用凸部
15には上段の鉄心素板10の通孔17が相対向し、同
じく隙間嵌合用凸部16には上段の鉄心素板10の通孔
18が相対向する。従って、上下の鉄心素板10同士を
結合することが可能になる。同様にして、積層した鉄心
素板10の上に別の鉄心素板10を時計方向に120°
回動させた状態で配置すると、下段の鉄心素板10の圧
入嵌合用凸部15には上段の鉄心素板10の通孔17が
相対向し、同じく隙間嵌合用凸部16には通孔18が相
対向する。従って、鉄心素板10を順に120°ずつ時
計方向に回動させながら積層することができる。
【0054】形成する鉄心の最上段となる鉄心素板10
を積層する際は、この鉄心素板10の両凸部15,16
が下向きになるように配置する。そして、その圧入嵌合
用凸部15を下段となる鉄心素板10の通孔19に、そ
の隙間嵌合用凸部16を同じく通孔20に相対向する位
置に配置する。下段の鉄心素板10の通孔19,20に
は、さらにその下段の鉄心素板10の圧入嵌合用凸部1
5及び隙間嵌合用凸部16が嵌合されていない。その結
果、最上段の鉄心素板10の両凸部15,16が下向き
になるように積層することができる。従って、1種類の
鉄心素板10により、その両端に鉄心素板10の両凸部
15,16が突出しない鉄心を形成することができる。
【0055】(2) 鉄心素板10には、嵌合に大きな
加圧力を要する圧入嵌合用凸部15が1個だけ形成され
ている。又、隙間嵌合用凸部16を嵌合させるための加
圧力は不要となる。従って、積層した鉄心素板10を結
合するために要する加圧力を著しく小さくすることがで
きるため、加圧かしめ装置を小形化することができる。 (3) 又、鉄心素板10には、通孔17,19に圧入
嵌合する圧入嵌合用凸部15と、通孔18,20に隙間
嵌合する隙間嵌合用凸部16が1個ずつ形成されてい
る。その結果、圧入嵌合用凸部15により鉄心素板2同
士が積層方向に結合されるとともに、圧入嵌合用凸部1
5と隙間嵌合用凸部16により結合される鉄心素板10
同士が周方向に回動不能に係合される。
【0056】形成された鉄心には、各鉄心素板10の軸
孔11にて、回転軸を嵌挿するための軸孔が形成され
る。回転軸は、その表面に軸線方向に延びる4箇所の打
ち出し突条を備えている。この回転軸を軸孔に圧入して
打ち出し突条を各鉄心素板10に係合することにより、
鉄心が回転軸に対して周方向に滑らないように一体化し
て電機子を形成する。このとき、鉄心を形成する各鉄心
素板10の寸法ばらつきにより、軸孔11にて形成され
る軸孔の精度は低い。このような軸孔に回転軸を圧入す
ると、回転軸の各打ち出し突条が削られることより、鉄
心に対する係止作用が弱くなる問題がある。軸孔の精度
が非常に悪い場合、回転軸が曲がることもある。しか
し、本実施の形態の鉄心素板10によれば、1個の圧入
嵌合用凸部15にて各鉄心素板10を積層方向に結合
し、1個の隙間嵌合用凸部16にて各鉄心素板10同士
を周方向に係合している。隙間嵌合用凸部16は、圧入
嵌合と異なり、通孔18,20に対して若干の径方向へ
の移動が可能である。その結果、鉄心の軸孔に回転軸が
嵌挿されると、各鉄心素板10は圧入嵌合用凸部15を
中心として、各軸孔11が回転軸に無理なく嵌挿するよ
うにそれぞれ回動する。従って、各鉄心素板10の軸孔
11に対して無理なく回転軸を嵌挿することができるた
め、鉄心の軸孔に対して回転軸を無理なく嵌挿すること
ができる。このため、回転軸の打ち出し突条が削れるこ
とはなく、又、回転軸の曲がりを防止することができ
る。
【0057】(4) 又、隙間嵌合用凸部16が通孔1
8,20に隙間嵌合する場合は、同凸部16と通孔1
8,20の接触面が損傷しないため、鉄心素板同士がそ
の部分で導通しない。その結果、結合される鉄心素板1
0同士の導通路を圧入嵌合用凸部15の1箇所にするこ
とができるため、導通路と鉄心素板10により形成され
る閉ループを少なくすることができる。従って、渦電流
の発生を効果的に抑制して渦電流損失を著しく低減する
ことができる。
【0058】(5) さらに、圧入嵌合用凸部15及び
通孔17,19が、各ティース13A,13B,13C
よりも磁束密度の低い中央部12に形成している。その
結果、渦電流の発生が抑制されるため、渦電流損失を一
層低減することができる。 〔第4の実施の形態〕次に、本発明を具体化した第4の
実施の形態を図9に従って説明する。尚、本実施の形態
の鉄心素板30も、電機子の電機子鉄心を形成する。
【0059】図9に示すように、鉄心素板30は、中央
に軸孔31が形成される本体部としての中央部32を備
え、その中央部32には周方向に延びる磁路としての6
本のティース33A,33B,33C,33Dが等角度
間隔に、即ち、60°間隔に形成されている。各ティー
ス33A,33B,33C,33Dの先端には、ほぼ周
方向に延びる拡開部34A,34B,34C,34Dが
形成されている。従って鉄心素板30は、各ティース3
3A〜33Dの角度間隔に等しい回転角度(即ち、60
°)で回転対称に形成されている。
【0060】中央部32の一側面において、ティース3
3Aに相対向する位置には圧入嵌合用凸部35が形成さ
れている。拡開部34Aには圧入嵌合用凸部36が形成
されている。又、中央部32の、ティース33Bに相対
向する位置には第2の圧入嵌合用通孔としての通孔37
が圧入嵌合用凸部35と同一円周上に形成され、拡開部
34Bには同じく第2の圧入嵌合用通孔としての通孔3
8が圧入嵌合用凸部36と同一円周上に形成されてい
る。さらに、中央部32のティース33Cに相対向する
位置には第1の圧入嵌合用通孔としての通孔39が圧入
嵌合用凸部35と同一円周上に形成され、拡開部34C
には同じく第1の圧入嵌合用通孔としての通孔40が圧
入嵌合用凸部36と同一円周上に形成されている。
【0061】従って、中央部32には、圧入嵌合用凸部
35と同一円周上に、圧入嵌合用凸部35に対して前記
回転角度の2倍に等しい第1の角度間隔θ5(即ち、θ
5=120°)で通孔39が形成され、回転角度の2倍
に等しい第2の角度間隔θ6(即ち、θ6=120°)
で通孔37が形成されている。又、各拡開部33A〜3
3Cには、圧入嵌合用凸部36と同一円周上に、圧入嵌
合用凸部36に対して前記第1の角度間隔θ5(即ち、
θ5=120°)で通孔40が形成され、前記第2の角
度間隔θ6(即ち、θ6=120°)で通孔38が形成
されている。
【0062】次に、以上のように構成された鉄心素板の
作用及び効果を箇条書きに記述する。 (1) 鉄心素板30を積層して鉄心を形成するには、
鉄心素板30を時計方向に第2の角度間隔θ6(=12
0°)ずつ回動させて配置しながら積層する。下段の鉄
心素板30に対して上段の鉄心素板30を時計方向に1
20°回動すると、各ティース34A,34B,34
C,34Dは回動前の各ティース34C,34A,34
B,34Dの位置に配置される。又、下段の鉄心素板3
0の圧入嵌合用凸部35には上段の鉄心素板30の通孔
37が相対向し、圧入嵌合用凸部36には上段の鉄心素
板30の通孔38が相対向する。従って、上下の鉄心素
板30同士を結合することが可能になる。同様にして、
積層した鉄心素板30の上に別の鉄心素板30を時計方
向に120°回動させた状態で配置すると、下段の鉄心
素板30の圧入嵌合用凸部35が上段の鉄心素板30の
通孔37に相対向し、圧入嵌合用凸部36が同じく通孔
38に相対向する。従って、鉄心素板10を順に120
°ずつ時計方向に回動させながら積層することができ
る。
【0063】形成する鉄心の最上段となる鉄心素板30
を積層する際は、この鉄心素板30の両凸部35,36
が下向きになるように配置する。そして、圧入嵌合用凸
部35を下段となる鉄心素板30の通孔39に、隙間嵌
合用凸部36を同じく通孔40に相対向する位置に配置
する。下段の鉄心素板30の通孔39,40には、さら
にその下段の鉄心素板30の圧入嵌合用凸部35,36
が配置されていない。その結果、最上段の鉄心素板30
を両凸部35,36が下向きになるように結合すること
ができる。従って、1種類の鉄心素板30を使用して、
その両端に鉄心素板30の両凸部35,36が突出しな
い鉄心を形成することができる。
【0064】(2) 本実施の形態では、6本のティー
ス33A〜33Dを備えた鉄心素板30において、2個
の圧入嵌合用凸部35,36だけを設けた。その結果、
鉄心素板30同士を結合させるために必要な加圧力は小
さくすることができる。
【0065】(3) 又、圧入嵌合用凸部35が中央部
32に設けられるとともに、圧入嵌合用凸部36が拡開
部34Aに設けられる。その結果、磁束密度の小さい中
央部32に圧入嵌合用凸部35が設けられることによ
り、鉄心素板30間に形成される閉ループに流れる渦電
流が低減される。又、外周側の拡開部34Aに圧入嵌合
用凸部36が設けられることにより、積層時に鉄心素板
30の反りが矯正される。従って、積層された鉄心の端
面の振れを防止するとともに、渦電流損失による発熱、
整流子の摩耗の誘発等を防止することができる。
【0066】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、以下のように構成することもできる。 (1) 第1〜第4の各実施の形態において、圧入嵌合
用凸部7,15,16,35,36の数を変更してもよ
い。
【0067】(2) 2個の圧入嵌合用凸部、又は、1
個の圧入嵌合用凸部と1個の隙間嵌合用凸部を備える場
合の別例を示す。例えば、図10に示すように、ティー
ス50が奇数個である5個の鉄心素板51の場合、圧入
嵌合用凸部52と同一円周上に、圧入嵌合用凸部52に
対して回転角度72°(=360°/5)に等しい角度
間隔で第1又は第2の圧入嵌合用通孔53を形成する。
又、同様に、圧入嵌合用凸部54と同一円周上に、圧入
嵌合用凸部54に対して回転角度72°(=360°/
5)に等しい角度間隔で第1又は第2の通孔55を形成
する。この場合、ティース50が5個である鉄心素板5
1に実施することができる。
【0068】又、図11に示すように、ティース60が
偶数個の6個の鉄心素板61の場合、中央部62の回転
軸線に対して相対向する位置にそれぞれ圧入嵌合用凸部
63,64を設ける。圧入嵌合用凸部63,64と同一
円周上に、圧入嵌合用凸部63,64に対して回転角度
60°(=360°/6)に等しい角度間隔で第1又は
第2の圧入嵌合用通孔65を形成する。即ち、通孔65
は、両方の圧入嵌合用凸部63,64に対して第1又は
第2の圧入嵌合用通孔を構成する。この場合には、ティ
ース60の数が6個である鉄心素板61において、同一
円周上に圧入嵌合用凸部63,64を2個設けることが
できる。
【0069】同様に、図12に示すように、ティース7
0が偶数個の8個の鉄心素板71の場合、回転軸線に対
して相対向する位置に設けた圧入嵌合用凸部72,73
に対して、その同一円周上に圧入嵌合用凸部72,73
に対して回転角度45°(=360°/8)に等しい角
度間隔で第1又は第2の圧入嵌合用通孔74を形成す
る。この場合には、ティース70の数が8個である鉄心
素板71において、同一円周上に圧入嵌合用凸部72,
73を2個設けることができる。
【0070】(3) 第4の実施の形態において、図1
3に示すように、ティース80が偶数個の6個の鉄心素
板81において、圧入嵌合用凸部82を拡開部83に設
けるとともに、圧入嵌合用凸部84を中央部85の圧入
嵌合用凸部82が設けられるティース80と相対向する
位置に設けるようにしてもよい。この場合でも、鉄心素
板81の反りを矯正することにより、外周端面の振れを
低減することができるとともに、渦電流損失を低減する
ことにより発熱を低減することができる。
【0071】(4) 第2の実施の形態において、各圧
入嵌合用凸部7を中央部4の各ティース5A,5B,5
Cに相対向しない位置に設けてもよい。同様に、第3の
実施の形態において、圧入嵌合用凸部15及び隙間嵌合
用凸部16をティース13A,13B,13Cに相対向
しない位置に設けてもよい。又、第4の実施の形態にお
いて、圧入嵌合用凸部35をティース33A〜33Dに
相対向しない位置に設けてもよい。
【0072】(5) 第1の実施の形態において、通孔
8A,8Bに代えて鉄心素板2を貫通しない嵌合用穴を
形成し、この嵌合用穴に圧入嵌合用凸部7を嵌合するよ
うにしてもよい。但し、通孔8Aに代わる嵌合用穴は、
鉄心素板2の他側面に形成する。さらに、通孔と、穴と
を組み合わせて設けてもよい。同様に、第2の実施の形
態において、通孔8A,8Bに代えて嵌合用穴を設けて
もよい。
【0073】又、第3の実施の形態において、各通孔1
7〜20に代えて嵌合用穴を設けてもよい。この場合、
通孔17,18に代わる嵌合用穴は鉄心素板10の他側
面に形成する。同様に、第4の実施の形態において、各
通孔37〜40に代えて嵌合用穴としてもよい。この場
合、通孔37,38に代わる嵌合用穴は鉄心素板30の
他側面に形成する。
【0074】(6) 各実施の形態において、圧入嵌合
用凸部を打ち出し成形する際に、その裏側に圧入嵌合用
凸部を嵌合する第2の圧入嵌合用凹部を形成してもよ
い。従って、この場合、鉄心素板の積層により、各鉄心
素板の圧入嵌合用凸部が鉄心の内部で積層方向に直線状
に配置される。そして、鉄心の端部となる鉄心素板を積
層する際には、その鉄心素板の圧入嵌合用凸部を一側面
の第1の圧入嵌合用通孔又は第1の圧入嵌合用凹部に嵌
合する。同様に、隙間嵌合用凸部を打ち出し成形する際
に、その裏側に第2の隙間嵌合用凹部を形成してもよ
い。
【0075】又、圧入嵌合用凸部の裏側に第2の隙間嵌
合用凹部を形成したり、隙間嵌合用凸部の裏側に第2の
圧入嵌合用凹部を形成してもよい。 (7) 圧入嵌合用凸部と隙間嵌合用凸部とを同一形状
に形成し、嵌合用通孔をその内径が異なるものを2種類
形成して、内径の小さい方を圧入嵌合用通孔、内径の大
きな方を隙間嵌合用通孔としてもよい。同様に、内径が
異なる嵌合用凹部を形成し、内径が小さい方を圧入嵌合
用凹部とし、内径が大きな方を隙間嵌合用凹部としても
よい。
【0076】(8) 圧入嵌合用凸部を鉄心素板の厚さ
の半分以下に形成し、1個の圧入嵌合用通孔の両側から
圧入嵌合用凸部を嵌合するようにしてもよい。即ち、第
1の圧入嵌合用通孔及び第2の圧入嵌合用通孔を、同一
の通孔にて構成する。同様に、隙間嵌合用凸部を鉄心素
板の厚さの半分以下に形成し、1個の隙間嵌合用通孔の
両側から隙間嵌合用凸部を嵌合させてもよい。即ち、第
1の隙間嵌合用通孔及び第2の隙間嵌合用通孔を、同一
の通孔にて構成する。この場合には、鉄心素板に形成す
る通孔の数を削減することができる。
【0077】(9) 回転子側の電機子鉄心に限らず、
図14に示すように、固定子側の電機子鉄心90に実施
してもよい。この場合、圧入嵌合用凸部91及び通孔9
2を本体部としてのヨーク93に設けてもよく、又、磁
路としてのティース94の先端部に設けてもよい。
【0078】(10) 鉄心素板2a,2b,2c,
…,2f,2eを同方向に積層し、この最端部の鉄心素
板2eの第1の圧入嵌合用通孔8Bに対して、鉄心1の
最端部を構成する鉄心素板2dの圧入嵌合用凸部7を嵌
合させるように積層した。これを、この状態の鉄心素板
2dの第2の圧入嵌合用通孔8Aに対して、さらに別の
鉄心素板の圧入嵌合用凸部7を嵌合させ、以下、同様
に、複数の鉄心素板を同方向に積層して鉄心1を構成す
るようにしてもよい。即ち、この鉄心1では、互いに一
方の圧入嵌合用凸部7が他方の通孔8Bに嵌合する鉄心
素板2e及び2dの両側に、複数の鉄心素板2が積層さ
れることになる。この積層方法によっても、1種類の鉄
心素板2にて鉄心1を構成することができる。
【0079】(11) 各実施の形態の鉄心素板を同一
方向に積層し、圧入嵌合用凸部が外側に突出する側の鉄
心素板に、その圧入嵌合用凸部を嵌合する通孔、又は、
凹部だけを設けた従来の鉄心素板を積層して鉄心を形成
してもよい。
【0080】(12) 環状の鉄心素板の積層により形
成される回転界磁鉄心あるいは固定界磁鉄心に実施して
もよい。上記実施の形態から把握できる請求項以外の技
術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
【0081】(1) 請求項5に記載の鉄心素板におい
て、通孔8A(8B)と先端部の基端部両側端との最短
距離t1,t2を、少なくとも磁路5B(5C)の幅t
の半分以上の大きさとし、かつ、第1の圧入嵌合用通孔
8A(8B)、又は、第1の圧入嵌合用凹部と先端部6
B(6C)の先端側端部との最短距離t3を第1の圧入
嵌合用通孔8A(8B)、又は、第1の圧入嵌合用凹部
の直径Dの以上にする。このような構成によれば、第1
の圧入嵌合用通孔8A(8B)、又は、第1の圧入嵌合
用凹部の近傍における磁気飽和を防止することができる
ため、磁気変動を抑制することができる。
【0082】(2) 請求項6に記載の鉄心素板におい
て、第1の圧入嵌合用通孔8A(8B)、又は、第1の
圧入嵌合用凹部と磁路5B(5C)の基端部両側端との
最短距離t4,t5を、少なくとも磁路5B(5C)の
幅tの半分以上の大きさとする。このような構成によれ
ば、第1の圧入嵌合用通孔8A(8B)、又は、第1の
圧入嵌合用凹部の近傍における磁気飽和を防止すること
ができるため、磁気変動を抑制することができる。
【0083】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、1種類の鉄心素板により積層された鉄心
の両端に鉄心素板の圧入嵌合用凸部が突出しない鉄心を
形成することができる。従って、1種類の鉄心素板で鉄
心を構成することができるため、鉄心素板さらに鉄心の
製造原価を削減することができる。
【0084】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加えて、鉄心内部に形成される渦
電流の閉ループの経路を複雑で長くできるため、渦電流
損失を低減することができる。
【0085】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、鉄心素板の
積層により形成された鉄心において、各鉄心素板間の導
通路が1箇所になるため、その導通路に流れる渦電流が
著しく抑制される。従って、渦電流損失による発熱、温
度上昇による整流子の摩耗の誘発等を効果的に防止する
ことができる。
【0086】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項3に記載の発明の効果に加えて、圧入嵌合用凸
部に加えて鉄心素板間に導通路を形成しない隙間嵌合用
凸部を設けたため、渦電流損失を増加させることなく積
層される鉄心素板同士の周方向のずれを防止することが
できる。
【0087】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項4の何れかに記載の発明の効果に加えて、積層
により鉄心素板の磁路の反りを矯正することができるた
め、積層した鉄心の磁路の先端面の精度を向上すること
ができる。鉄心が回転子である場合には、回転に伴う先
端面の振れを低減することができる。
【0088】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜請求項4の何れかに記載の発明の効果に加えて、渦電
流を抑制することができるため、渦電流損失による発熱
を低減し、温度上昇による整流子の摩耗の誘発を起きに
くくすることができる。
【0089】請求項7に記載の発明によれば、鉄心を1
種類の鉄心素板にて形成することができる。請求項8に
記載の発明によれば、請求項7に記載の発明の効果に加
えて、鉄心内部に形成される渦電流の閉ループの経路を
複雑で長くできるため、渦電流損失を低減することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の鉄心を示す斜視図。
【図2】 (a)は鉄心素板の正面図、(b)は鉄心素
板の側面図。
【図3】 通孔の拡大図。
【図4】 鉄心の断面図。
【図5】 (a)は第2の実施の形態の鉄心素板の正面
図、(b)は同じく側面図。
【図6】 通孔の拡大図。
【図7】 鉄心の断面図。
【図8】 第3の実施の形態の鉄心素板の正面図。
【図9】 第4の実施の形態の鉄心素板の正面図。
【図10】 別例の鉄心素板の正面図。
【図11】 同じく鉄心素板の正面図。
【図12】 同じく鉄心素板の正面図。
【図13】 同じく鉄心素板の正面図。
【図14】 同じく固定子用鉄心素板の正面図。
【図15】 従来例の鉄心素板の正面図。
【図16】 同じく鉄心の正面図。
【符号の説明】
4…本体部としての中央部、5A,5B,5C…磁路と
してのティース、7…圧入嵌合用凸部、8A…第2の圧
入嵌合用通孔、8B…第1の圧入嵌合用通孔、12…本
体部としての中央部、13A,13B,13C…磁路と
してのティース、15…圧入嵌合用凸部、16…隙間嵌
合用凸部、17…第2の圧入嵌合用通孔、18…第2の
隙間嵌合用通孔、19…第1の圧入嵌合用通孔、20…
第1の隙間嵌合用通孔、32…本体部としての中央部、
33A〜33D…磁路としてのティース、35,36…
圧入嵌合用凸部、37,38…第2の圧入嵌合用通孔、
39,40…第1の圧入嵌合用通孔、θ1,θ3,θ5
…第1の角度間隔、θ2,θ4,θ6…第2の角度間
隔。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体部から径方向に延びる複数の磁路を
    等角度間隔で有し、その角度間隔に等しい回転角度で回
    転対称に形成され、複数個積層されて電気機器用鉄心を
    形成する電気機器用鉄心素板において、 その一側面には、圧入嵌合用凸部を備えるとともに、別
    の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌合用凸部を圧入
    嵌合可能に形成される第1の圧入嵌合用凹部、又は、第
    1の圧入嵌合用通孔を、この圧入嵌合用凸部と同一円周
    上の、圧入嵌合用凸部に対して前記回転角度の自然数倍
    の第1の角度間隔をなす位置に設け、 その他側面には、別の鉄心素板の一側面に形成される圧
    入嵌合用凸部を圧入嵌合可能に形成される第2の圧入嵌
    合用凹部、又は、第2の圧入嵌合用通孔を、圧入嵌合用
    凸部と同一円周上の、圧入嵌合用凸部に対して前記回転
    角度の自然数倍の第2の角度間隔をなす位置に設けた電
    気機器用鉄心素板。
  2. 【請求項2】 第2の圧入嵌合用凹部、又は、第2の圧
    入嵌合用通孔は、圧入嵌合用凸部とは異なる位置に設け
    た請求項1に記載の電気機器用鉄心素板。
  3. 【請求項3】 圧入嵌合用凸部は1個だけ設けた請求項
    1又は請求項2に記載の電気機器用鉄心素板。
  4. 【請求項4】 その一側面には、隙間嵌合用凸部を備え
    るとともに、別の鉄心素板の一側面に形成される隙間嵌
    合用凸部を隙間嵌合可能に形成される第1の隙間嵌合用
    凹部、又は、第1の隙間嵌合用通孔を、この隙間嵌合用
    凸部と同一円周上の、隙間嵌合用凸部に対して前記第1
    の角度間隔をなす位置に設け、 その他側面には、別の鉄心素板の一側面に形成される隙
    間嵌合用凸部を隙間嵌合可能に形成される第2の隙間嵌
    合用凹部、又は、第2の隙間嵌合用通孔を、隙間嵌合用
    凸部と同一円周上の、隙間嵌合用凸部に対して前記第2
    の角度間隔をなす位置に設けた請求項1〜請求項3に記
    載の電気機器用鉄心素板。
  5. 【請求項5】 圧入嵌合用凸部は、前記磁路の先端部に
    形成した請求項1〜請求項4の何れかに記載の電気機器
    用鉄心素板。
  6. 【請求項6】 圧入嵌合用凸部は、前記本体部に形成し
    た請求項1〜請求項4の何れかに記載の電気機器用鉄心
    素板。
  7. 【請求項7】 本体部から径方向に延びる複数の磁路を
    等角度間隔で有し、その角度間隔に等しい回転角度で回
    転対称に形成され、複数個積層されて電気機器用鉄心を
    形成し、その一側面には、圧入嵌合用凸部を備えるとと
    もに、別の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌合用凸
    部を圧入嵌合可能に形成される第1の圧入嵌合用凹部、
    又は、第1の圧入嵌合用通孔を、この圧入嵌合用凸部と
    同一円周上の圧入嵌合用凸部とは異なる位置に、圧入嵌
    合用凸部に対して前記回転角度の自然数倍の第1の角度
    間隔をなす位置に備え、その他側面には、別の鉄心素板
    の一側面に形成される圧入嵌合用凸部を圧入嵌合可能に
    形成される第2の圧入嵌合用凹部、又は、第2の圧入嵌
    合用通孔を、圧入嵌合用凸部と同一円周上の、圧入嵌合
    用凸部に対して前記回転角度の自然数倍の第2の角度間
    隔をなす位置に備えた鉄心素板を用い、 一方の鉄心素板の圧入嵌合用凸部が他方の鉄心素板の第
    1の圧入嵌合用凹部、又は、第1の圧入嵌合用通孔に互
    いに嵌合するように積層した一対の鉄心素板の一方、又
    は、両方の鉄心素板の第2の圧入嵌合用凹部、又、第2
    の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素板の圧入嵌合用凸部を嵌
    合し、以下、同様にして積層された鉄心素板の第2の圧
    入嵌合用凹部、又、第2の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素
    板の圧入嵌合用凸部を積層してなる電気機器用鉄心。
  8. 【請求項8】 本体部から径方向に延びる複数の磁路を
    等角度間隔で有し、その角度間隔に等しい回転角度で回
    転対称に形成され、複数個積層されて電気機器用鉄心を
    形成し、その一側面には、圧入嵌合用凸部を備えるとと
    もに、別の鉄心素板の一側面に形成される圧入嵌合用凸
    部を圧入嵌合可能に形成される第1の圧入嵌合用凹部、
    又は、第1の圧入嵌合用通孔を、この圧入嵌合用凸部と
    同一円周上の圧入嵌合用凸部とは異なる位置に、圧入嵌
    合用凸部に対して前記回転角度の自然数倍の第1の角度
    間隔をなす位置に設け、その他側面には、別の鉄心素板
    の一側面に形成される圧入嵌合用凸部を圧入嵌合可能に
    形成される第2の圧入嵌合用凹部、又は、第2の圧入嵌
    合用通孔を、圧入嵌合用凸部と同一円周上の、圧入嵌合
    用凸部に対して前記回転角度の自然数倍の第2の角度間
    隔をなし、かつ、圧入嵌合用凸部とは異なる位置に備え
    た鉄心素板を用い、 一方の鉄心素板の圧入嵌合用凸部が他方の鉄心素板の第
    1の圧入嵌合用凹部、又は、第1の圧入嵌合用通孔に互
    いに嵌合するように積層した一対の鉄心素板の一方、又
    は、両方の鉄心素板の第2の圧入嵌合用凹部、又、第2
    の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素板の圧入嵌合用凸部を嵌
    合し、以下、同様にして積層された鉄心素板の第2の圧
    入嵌合用凹部、又、第2の圧入嵌合用通孔に別の鉄心素
    板の圧入嵌合用凸部を積層してなる電気機器用鉄心。
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