JPH09129369A - 電界発光素子及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リードの引き回しを容易にして発光有効面積
を拡大し発光面を十分に活用し、商品性，デザイン性を
向上させることができ、また、密封性を向上させてＥＬ
素子の信頼性を向上させることができる電界発光素子を
提供する。 【解決手段】 背面電極と、絶縁層と、発光層と、透明
電極と、を積層形成した発光部11を設け、背面電極１及
び透明電極４とに接続された通電用のリード９，10と、
発光部11を上面及び下面から覆う封止フイルム12，13
と、下面または上面の封止フイルム12，13のどちらか一
方の封止フイルム12のリード９，10側の端部を他方の封
止フイルム13の端部より延長形成した延長部15を設け、
この延長部15を背面電極に接続されるリード９または透
明電極に接続されるリード10の少なくとも一方のリード
とともに他方の封止フイルム13側に折り返して他方の封
止フイルム13の外面にラミネートしてなる封止部16を設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電界発光素子（以
下、ＥＬ素子と言う）におけるリードの引き回し構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＥＬ現象を示す発光層を電極でサンドイ
ッチ状にはさんだＥＬ素子は、特開昭６２−５２８８４
号公報，実開昭６４−１０９９７号公報等に開示され、
図12及び図13にて示すように、アルミ箔等からなる反射
性を有する背面電極１上に、酸化イットリウムや窒化シ
リコン等からなる絶縁層２、マンガン等の発光中心を添
加した硫化亜鉛等の母体材料をシアノエチルセルロ−ズ
等のバインダ−中に混入してなる発光層３をスクリ−ン
印刷法等により順次積層形成している。一方、酸化錫や
酸化インジウム等の可視光線透過性の電極材料から成る
透明電極４及びこの透明電極４の外面周囲部に、銀ペー
スト等から成る集電帯５をポリエステルフィルム等から
なる透明シ−ト６の片面に蒸着あるいはスパッタリング
法等により形成し、透明電極４が発光層３と接するよう
に発光層３上に配設し、背面電極１と透明電極４につな
がる集電帯５とに接着テ−プ７，８を用いて一対のリ−
ド９，10を接続し、このリ−ド９，10を周囲方向へ引き
出した後、背面電極１から透明シ−ト６の積層体からな
る発光部11全体を接着剤付きの可視光線透過性の高分子
フィルム等からなる一対の封止フィルム12，13により上
面及び下面から包囲して熱圧着するラミネ−ト処理を行
うことにより、薄い平板状のＥＬ素子14が形成されてい
る。

【０００３】そして、リ−ド９，10を図示しない外部駆
動回路の電極部に接続して、所定の電圧を印加すると、
背面電極１と透明電極４との間の発光層３が面発光する
ものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来構
造にあっては、リード９，10を外部に引き出す箇所にお
いて、封止フイルム12，13による確実な密封性が要求さ
れ、このためには発光部11の存在しない封止部分を幅広
に形成する必要があるが、これによって非発光部分が大
きくなってしまいＥＬ素子14外形寸法に対して有効発光
面積を減少させるという問題があるとともに、リード
９，10を外部の駆動回路と接続するためのスペースを大
きく必要とするといった問題もあった。

【０００５】また、リード９，10を外部の駆動回路と接
続するためのスペースを小さくするためにリード９，10
をＥＬ素子14の下面つまり非発光側である背面電極１側
に折り返して引き回すことも考えられるが、リード９，
10は肉薄でかつ一般に繰り返し変形に対し弱い材質のも
ので形成されるため、リード９，10の引き回し配線時に
特にこの折り返し端部で破断するおそれがあった。

【０００６】本発明は、上述の問題点に鑑みなされたも
のであり、リードの引き回しを容易にして発光有効面積
を拡大し発光面を十分に活用し、商品性，デザイン性を
向上させることができ、また、密封性を向上させてＥＬ
素子の信頼性を向上させることができる電界発光素子を
提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、背面電極と、
絶縁層と、発光層と、透明電極と、を積層形成した発光
部と、前記背面電極及び前記透明電極とに接続された通
電用のリードと、前記発光部を上面及び下面から覆う封
止フイルムと、前記下面または上面の封止フイルムのど
ちらか一方の封止フイルムの前記リード側の端部を他方
の封止フイルムの端部より延長形成した延長部と、この
延長部を前記背面電極に接続されるリードまたは透明電
極に接続されるリードの少なくとも一方のリードととも
に他方の封止フイルム側に折り返して前記他方の封止フ
イルムの外面にラミネートしてなる封止部と、からなる
ものである。

【０００８】また、本発明は、前記透明電極側の封止フ
イルムを前記背面電極側の封止フイルムよりも前記リー
ドの接続される側において端部寸法を長く設定した延長
部を設けたものである。

【０００９】また、本発明は、背面電極と、絶縁層と、
発光層と、透明電極と、を積層して発光部を形成する積
層工程と、前記背面電極及び前記透明電極に通電用のリ
ードを接続するリード取付工程と、前記発光部を封止フ
イルムで上面及び下面から覆って熱圧着する第１のラミ
ネート工程と、前記封止フイルムの前記リード側の端部
を、前記背面電極に接続されるリードまたは透明電極に
接続されるリードの少なくとも一方のリードとともに折
曲げる折曲げ工程と、折曲げられた前記封止フイルムの
端部を他方の封止フイルムの外面に沿わせて密着させて
熱圧着する第２のラミネート工程と、を含む製造方法か
らなるものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明における電界発光素子は、
積層工程により背面電極、絶縁層、発光層、透明電極、
を積層して発光部を形成し、リード取付工程により前記
背面電極及び前記透明電極に通電用のリードを接続し、
第１のラミネート工程により前記発光部を封止フイルム
で上面及び下面から覆って熱圧着し、折曲げ工程により
前記封止フイルムの前記リード側の端部を、前記背面電
極に接続されるリードまたは透明電極に接続されるリー
ドの少なくとも一方のリードとともに折曲げ、第２のラ
ミネート工程により前記封止フイルムを前記封止フイル
ムの外面に沿わせて密着させて熱圧着して形成されるも
のであり、前記下面または上面の封止フイルムのどちら
か一方の封止フイルムの前記リード側の端部を他方の封
止フイルムの端部より延長形成した延長部を設け、この
延長部を前記背面電極に接続されるリードまたは透明電
極に接続されるリードの少なくとも一方のリードととも
に他方の封止フイルム側に折り返して前記他方の封止フ
イルムの外面にラミネートしてなる封止部を設けたの
で、強度的に弱いリードの折り返し端部は、リードとと
もに折曲げられた封止フイルムによって覆われ絶縁保護
される。

【００１１】また、本発明にあっては、透明電極側の封
止フイルムを背面電極側の封止フイルムよりもリードの
接続される側において端部寸法を長く設定した延長部を
設けており、この延長部を第１のラミネート工程後にリ
ードとともに背面電極側に折り返し、その後延長部をこ
の折り返し状態で背面電極側の封止フイルムの外面に沿
わせて密着させて第２のラミネート工程を行い熱圧着
し、封止部を形成し、封止部分を非発光側である背面電
極側に設けたので発光有効面積を拡大することができ
る。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を図１から図11に記載した実施
例に基づき説明するが、前記従来例と同一若しくは相当
個所には、同一符号を付してその詳細な説明を省く。

【００１３】図１〜図４は本発明の第１実施例を示すも
のであり、アルミ箔等からなる反射性を有する背面電極
１上に、酸化イットリウムや窒化シリコン等からなる絶
縁層２、マンガン等の発光中心を添加した硫化亜鉛等の
母体材料をシアノエチルセルロ−ズ等のバインダ−中に
混入してなる発光層３をスクリ−ン印刷法等により各々
20〜50μｍの厚さで順次積層形成している。一方、酸化
錫や酸化インジウム等の可視光線透過性の電極材料から
成る透明電極４及びこの透明電極４の外面周囲部に、銀
ペースト等から成る集電帯５をポリエステルフィルム等
からなる透明シ−ト６の片面に印刷，蒸着あるいはスパ
ッタリング法等により形成し、透明電極４が発光層３と
接するように発光層３上に配設し、従来例と同様の方法
で発光部11を形成している。

【００１４】また、背面電極１と、透明電極４につなが
る集電帯５とにそれぞれ一対のリ−ド９，10を例えば接
着テ−プ７，８を用いて接続している。集電体５は、発
光層３の発光体の発光がその面内でほぼ均一に行われる
べく設けられるものであり、リード10はこの集電体５を
介して透明電極４に電気的に接続される。

【００１５】そして、このリ−ド９，10を周囲方向へ引
き出した後、背面電極１から透明シ−ト６の積層体から
なる発光部11全体を接着剤付きの可視光線透過性の高分
子フィルム等からなる一対の封止フィルム12，13により
上面及び下面から包囲して封止フィルム12，13を熱圧着
することにより第１のラミネート工程が行われる。封止
フイルム12，13は、電気絶縁性の素材により形成されて
いる。

【００１６】そして、本発明にあっては、例えば、透明
電極４側の封止フイルム12を背面電極１側の封止フイル
ム13よりもリード９，10の接続される側において端部寸
法を長く設定した延長部15を設けており、この延長部15
を第１のラミネート工程後にリード９，10とともに背面
電極１側に折り返し、その後延長部15をこの折り返し状
態で背面電極１側の封止フイルム13の外面に沿わせて密
着させて熱圧着する第２のラミネート工程が行われ、封
止部16が形成されてＥＬ素子14が構成されるものであ
る。

【００１７】こうして、ＥＬ素子14は、図11に示すよう
に背面電極１に、絶縁層２と、発光層３と、透明電極４
と、を積層して発光部11を形成する積層工程（Ｓ１）
と、背面電極１及び透明電極４に通電用のリード９，10
を接続するリード取付工程（Ｓ２）と、発光層３を封止
フイルム12，13で上面及び下面から覆い熱圧着する第１
のラミネート工程（Ｓ３）と、封止フイルム12のリード
９，10側の端部を、背面電極１に接続されるリード９ま
たは透明電極４に接続されるリード10の少なくとも一方
のリードとともに折曲げ、リード９，10の折曲げ部を封
止フイルム12で被覆する折曲げ工程（Ｓ４）と、封止フ
イルム12を封止フイルム13の外面に沿わせて密着させて
熱圧着する第２のラミネート工程（Ｓ５）と、によって
ＥＬ素子14が製造されるものである。

【００１８】かかる構成により、ＥＬ素子14の給電部と
なるリード９，10は、封止フイルム12の延長部15と共に
背面電極１側に折曲げられて封止部16によって封止され
るので、リード９，10の引き回しを容易に行うことがで
き、非発光部である封止部分を背面電極側に設けること
により発光面を十分に活用することができ商品性，デザ
イン性が向上するとともに、封止部分を幅広に設けるこ
とができ、かつ折り返されて形成される密封部16によっ
て密封性を向上させることができる。

【００１９】また、強度的に弱いリード９，10の折り返
し端部は、リード９，10とともに折曲げられた封止フイ
ルム12の延長部15によって絶縁保護されるのでＥＬ素子
14の信頼性を向上させることができる。

【００２０】図５〜図７は、本発明の第２実施例を示す
ものであり、背面電極１に対向する封止フイルム13に対
して透明電極４に接続されるリード10が引き回される箇
所に載置部17を設け、この載置部17を除いて切り欠き形
成した露出部18を設けたものである。第１のラミネート
工程によって上下の封止フイルム12，13を熱圧着後、透
明電極４に接続されるリード10は、載置部17上に引き回
され、この封止フイルム13の一部である載置部17によっ
て背面電極１との電気絶縁が図れるものであり、背面電
極１側のリード９は、背面電極１の露出した露出部18に
接続された状態で、封止フイルム12の延長部15を透明電
極４に接続されるリード10とともに折曲げて封止フイル
ム13の外面に沿わせた状態で第２のラミネート工程を行
って封止部16が形成されるものである。

【００２１】この場合、透明電極４に接続されるリード
10の折曲げ端部が封止フイルム12の延長部15によって保
護される。

【００２２】図８〜図10は、本発明の第３実施例を示す
ものであり、１枚の封止フイルムｆを折曲げて上面側の
封止フイルム12と下面側の封止フイルム13として構成し
た封止フイルム12，13で発光部11を第１のラミネート工
程によって収納密封するものである。また、封止フイル
ム12の延長部15にリード９，10導出用の開口孔19を設け
たものであり、第１のラミネート工程によって上下の封
止フイルム12，13を熱圧着後、リード９，10を封止フイ
ルム12の延長部15と共に背面電極１側へ折曲げ、リード
９，10の先端を各開口孔19に通して外方に挿出し、封止
フイルム12の延長部15を封止フイルム13の外面に沿わせ
た状態で熱圧着して第２のラミネート工程を行うもので
ある。

【００２３】また、この場合、両方のリード９，10の折
曲げ端部が封止フイルム12の延長部15によって保護され
る。

【００２４】こうすることによって、上面側と下面側の
封止フイルム12，13の一体化を図ることができ、部品点
数を少なくすることができ、かつ密封性が向上するもの
である。また、延長部15の封止部16端部にはリード９，
10が存在しなくなるので、封止部16の封止フイルム13へ
の密着性が向上するものである。

【００２５】なお、前述の実施例では、少なくとも一方
のリードを透明電極側（発光側）の封止フイルム12を背
面電極１側（非発光側）の封止フイルム13側に折り畳ん
でラミネートして、リード９，10を背面電極側に設ける
例のみを示したが、設計仕様によっては、背面電極１側
（非発光側）の封止フイルム13を透明電極４側（発光
側）の封止フイルム12側に折り畳んでラミネートして、
リード９，10を透明電極側に設ける構成としてもよい。

【００２６】また、リード９，10引き出し部において収
納される発光部11の密封性を向上させるためには、前述
の延長部15を長くして封止部16の寸法を大きく設定すれ
ばよいものである。

【００２７】また、各実施例において、折り返されたリ
ード９，10及び延長部15すなわち封止部16を折曲げ端部
とは反対側の端部まで延長して構成することにより、設
計仕様によっては従来構造と同様な引き出し構造を得な
がら封止の密封性を向上させることも可能である。

【００２８】

【発明の効果】本発明は、背面電極と、絶縁層と、発光
層と、透明電極と、を積層形成した発光部と、前記背面
電極及び前記透明電極とに接続された通電用のリード
と、前記発光部を上面及び下面から覆う封止フイルム
と、前記下面または上面の封止フイルムのどちらか一方
の封止フイルムの前記リード側の端部を他方の封止フイ
ルムの端部より延長形成した延長部と、この延長部を前
記背面電極に接続されるリードまたは透明電極に接続さ
れるリードの少なくとも一方のリードとともに他方の封
止フイルム側に折り返して前記他方の封止フイルムの外
面にラミネートしてなる封止部と、からなるので、強度
的に弱いリードの折り返し端部は、リードとともに折曲
げられた封止フイルムによって覆われ絶縁保護され、ま
た、折り返されて形成された密封部により密封性が向上
し、ＥＬ素子の信頼性を向上させることができる。

【００２９】また、本発明は、前記透明電極側の封止フ
イルムを前記背面電極側の封止フイルムよりも前記リー
ドの接続される側において端部寸法を長く設定した延長
部を設けたので、リードの引き回しを容易に行うことが
でき、封止部分を非発光側である背面電極側に設けたの
で発光有効面積を拡大することができ、商品性，デザイ
ン性に優れた電界発光素子を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す断面図である。

【図２】本発明の第１実施例を示す平面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ’断面を示す図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ’断面を示す図である。

【図５】本発明の第２実施例を示す平面図である。

【図６】図５のＣ−Ｃ’断面を示す図である。

【図７】図５のＤ−Ｄ’断面を示す図である。

【図８】本発明の第３実施例を示す平面図である。

【図９】図８のＥ−Ｅ’断面を示す図である。

【図１０】図８のＦ−Ｆ’断面を示す図である。

【図１１】本発明の実施例における製造工程を示す図で
ある。

【図１２】従来例を示す断面図である。

【図１３】従来例を示す平面図である。

【符号の説明】 １ 背面電極 ２ 絶縁層 ３ 発光層 ４ 透明電極 ９，10 リード 11 発光部 12，13 封止フイルム 15 延長部 16 封止部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 背面電極と、絶縁層と、発光層と、透明
   電極と、を積層形成した発光部と、前記背面電極及び前
   記透明電極とに接続された通電用のリードと、前記発光
   部を上面及び下面から覆う封止フイルムと、前記下面ま
   たは上面の封止フイルムのどちらか一方の封止フイルム
   の前記リード側の端部を他方の封止フイルムの端部より
   延長形成した延長部と、この延長部を前記背面電極に接
   続されるリードまたは透明電極に接続されるリードの少
   なくとも一方のリードとともに他方の封止フイルム側に
   折り返して前記他方の封止フイルムの外面にラミネート
   してなる封止部と、からなることを特徴とする電界発光
   素子。
2. 【請求項２】 前記透明電極側の封止フイルムを前記背
   面電極側の封止フイルムよりも前記リードの接続される
   側において端部寸法を長く設定した延長部を設けたこと
   を特徴とする請求項１記載の電界発光素子。
3. 【請求項３】 背面電極と、絶縁層と、発光層と、透明
   電極と、を積層して発光部を形成する積層工程と、前記
   背面電極及び前記透明電極に通電用のリードを接続する
   リード取付工程と、前記発光部を封止フイルムで上面及
   び下面から覆って熱圧着する第１のラミネート工程と、
   前記封止フイルムの前記リード側の端部を、前記背面電
   極に接続されるリードまたは透明電極に接続されるリー
   ドの少なくとも一方のリードとともに折曲げる折曲げ工
   程と、折曲げられた前記封止フイルムの端部を他方の封
   止フイルムの外面に沿わせて密着させて熱圧着する第２
   のラミネート工程と、を含むことを特徴とする電界発光
   素子の製造方法。