JPH0912906A - 硬化性エマルジョン組成物の製造方法 - Google Patents

硬化性エマルジョン組成物の製造方法

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JPH0912906A
JPH0912906A JP18219895A JP18219895A JPH0912906A JP H0912906 A JPH0912906 A JP H0912906A JP 18219895 A JP18219895 A JP 18219895A JP 18219895 A JP18219895 A JP 18219895A JP H0912906 A JPH0912906 A JP H0912906A
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JP
Japan
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group
monomer
emulsion
aqueous
containing vinyl
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JP18219895A
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English (en)
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Takenao Hattori
武尚 服部
Mitsutaka Hasegawa
三高 長谷川
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加水分解性シリル基含有重合体からなり貯蔵
安定性に優れる水性エマルジョンであって、耐水性に優
れる塗膜を形成し得る水性エマルジョンの製造方法の提
供。 【構成】 下記工程〔1〕および工程〔2〕によって加
水分解性シリル基含有ビニル重合体からなる水性エマル
ジョンを製造し、これと酸性基含有ビニル重合体からな
る水性エマルジョンを混合することを特徴とする硬化性
エマルジョン組成物の製造方法。 工程〔1〕:ラジカル重合性界面活性剤およびpH緩衝
剤の存在下に、加水分解性シリル基を有するビニル単量
体、該単量体と共重合可能なビニル単量体および油溶性
ラジカル重合開始剤を水性媒体中に乳化分散させる工
程。 工程〔2〕:上記工程〔1〕で得られた水性乳化分散体
を、攪拌されている水性媒体中に連続的または間欠的に
供給し、該媒体中で前記単量体を重合させる工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解性シリル基を
有するビニル重合体からなる硬化性エマルジョン組成物
の製造方法に関するものであり、本発明によって得られ
るエマルジョン組成物は、塗料または接着剤などの用途
に好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】アルコキシシリル基に
代表される加水分解性シリル基を有する硬化性重合体
は、有機溶剤に溶解された溶剤型製品として、従来から
接着剤、シーリング材、塗料またはコーティング剤など
の用途に広く使用されている。しかしながら、これらの
用途分野においては、有機溶剤による環境汚染等の回避
のために、有機溶剤を使用しない水性型の材料が求めら
れており、加水分解性シリル基を有する硬化性重合体
(以下加水分解性シリル基含有重合体という)について
も、水性エマルジョン化の検討が行われている。
【0003】加水分解性シリル基含有重合体は、加水分
解しながら架橋するという性質を本来有しているため
に、安定な水性エマルジョンで得ることは容易ではな
く、水性エマルジョン化に関して様々な提案がなされて
いる。一例として安定な水性エマルジョンを得ることが
できても、硬化性に劣るものもあり、そのような場合に
は、硬化促進剤として有機スズ化合物を使用して硬化さ
せる方法が提案されている(特開平3−227312号
公報)。
【0004】しかしながら、加水分解性シリル基含有重
合体からなる水性エマルジョンと有機スズ化合物を混合
した組成物は保存安定性が悪く、混合後は常温でも短時
間しか使用できなかった。この点を改良する手段とし
て、界面活性剤で乳化された有機金属化合物を硬化促進
剤として添加する方法も提案されている(特開平6−2
28367号公報)。上記公報記載の方法によれば、加
水分解性シリル基含有重合体からなる水性エマルジョン
の常温における安定性はかなり改善されたが、高温では
やはり短期間しか使用できず、より保存安定性に優れる
ものが求められているのが現状である。本発明は、加水
分解性シリル基含有重合体からなる保存安定性に優れる
水性エマルジョンであって、優れた硬化塗膜を形成し得
る水性エマルジョンの製法の提供を目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明における第1発明は、下記
工程〔1〕および工程〔2〕によって加水分解性シリル
基含有ビニル重合体からなる水性エマルジョンを製造
し、これと酸性基含有ビニル重合体からなる水性エマル
ジョンを混合することを特徴とする硬化性エマルジョン
組成物の製造方法である。 工程〔1〕:一般式Z−(AO)n −Y(式中、Zはラ
ジカル重合性基を含む構成単位、AOはオキシアルキレ
ン基、n は2以上の整数、またYはイオン解離性基であ
る)で表されるラジカル重合性界面活性剤およびpH緩
衝剤の存在下に、加水分解性シリル基を有するビニル単
量体、該単量体と共重合可能なビニル単量体および油溶
性ラジカル重合開始剤を水性媒体中に乳化分散させる工
程。 工程〔2〕:上記工程〔1〕で得られた水性乳化分散体
を、攪拌されている水性媒体中に連続的または間欠的に
供給し、該媒体中で前記単量体を重合させる工程。さら
に、第2発明は、加水分解性シリル基含有ビニル重合体
と酸性基含有ビニル重合体の割合を、前者80〜60重
量%および後者20〜40重量%とする上記硬化性エマ
ルジョン組成物の製造方法である。
【0006】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。上記工程〔1〕においては、前記のとおり、加水分
解性シリル基を有するビニル単量体、該単量体と共重合
可能なビニル単量体および油溶性ラジカル重合開始剤を
水性媒体中に乳化分散させるが、その際乳化剤として、
前記一般式Z−(AO)n −Y(式中、Zはラジカル重
合性基を含む構成単位、AOはオキシアルキレン基、n
は2以上の整数、またYはイオン解離性基である)で表
されるイオン性のラジカル重合性界面活性剤を使用す
る。一般式Z−(AO)n −Yにおける好ましいZは、
芳香族炭化水素基、アルキル置換芳香族炭化水素基、高
級アルキル基または脂環式炭化水素基等の疎水性基にラ
ジカル重合性基が結合した構成単位であり、好ましいラ
ジカル重合性基としては、(メタ)アリル基、プロペニ
ル基またはブテニル基等が挙げられる。
【0007】また、本発明におけるラジカル重合性界面
活性剤の好ましいイオン性はアニオンであり、好ましい
Yの具体例としては、−SO3 Na、−SO3 NH4
−COONa、−COONH4 、−PO3 Na2 および
−PO3 (NH4)2 等が挙げられ、さらに好ましくは−
SO3 Naまたは−SO3 NH4 である。基(AO)n
におけるnとしては、300以下が好ましく、さらに好
ましくは5〜50である。nが5未満であると、加水分
解性シリル基の安定性が不足し易く、一方nが50を越
えると得られる硬化性エマルジョンから形成される塗膜
の物性が低下し易い。基(AO)n における単位A、す
なわちアルキレン基としては、エチレン基またはプロピ
レン基が好ましい。
【0008】ラジカル重合性界面活性剤の具体例として
は、下記化1、化2または化3等で表される化合物が挙
げられる。化1または化2中のRとしては、炭素数6〜
18の直鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。化3
中のR2 としては、炭素数8〜24のアルキル基が好ま
しく、R1 は水素原子またはメチル基である。また、化
1〜化3におけるYはイオン解離性基であり、その具体
例は、既述のとおりである。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】本発明におけるラジカル重合性界面活性剤
の好ましい使用量は、後記する加水分解性シリル基を有
するビニル単量体および共重合性単量体の合計量に対し
て、0.5〜10重量%である。ラジカル重合性界面活性
剤の量が、0.5重量%未満であると工程〔1〕において
形成させる水性乳化分散体が不安定になり易く、一方1
0重量%を越えると得られる重合体エマルジョン組成物
による塗膜の物性が損なわれ易い。
【0013】本発明においては、加水分解性シリル基の
加水分解を抑制するためにpH緩衝剤を使用する。pH
緩衝剤としては、工程〔1〕で得られる水性乳化分散体
における水性媒体のpHを6〜10に保持するために適
した緩衝剤が好ましく、具体的には、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、りん酸一ナトリウム、りん酸一
カリウム、りん酸二ナトリウム、りん酸三ナトリウム、
酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウムおよび蟻酸ナトリウ
ム等が挙げられ、さらに好ましくは、少量の添加でpH
を安定化させる炭酸水素ナトリウムである。pH緩衝剤
の好適な使用量は、水に対して0.01〜5重量%であ
る。なお、pH緩衝剤と共に、必要に応じてアンモニ
ア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、エタノール
アミン等の弱アルカリ化合物をpH調整剤に使用しても
よい。
【0014】本発明における加水分解性シリル基を有す
るビニル単量体(以下シリル系単量体という)として
は、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチ
ルジメトキシシランおよびγ−アクリロキシプロピルト
リエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有するラジ
カル重合性単量体が好ましい。
【0015】上記シリル系単量体と共重合可能なビニル
単量体(以下共重合性単量体という)としては、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸2ーエチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メ
タ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸2−メト
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、
(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)ア
クリル酸2−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2
−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2ーヒドロキ
シプロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキ
ル、グリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸
N,Nージエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸
エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレ
ン、αーメチルスチレンなどが挙げられる。好ましい共
重合性単量体は、炭素数が4〜8のアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸アルキル、炭素数が2〜3のアルキ
レン基を有する(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシアル
キル、(メタ)アクリル酸グリシジルおよびスチレンで
ある。
【0016】シリル系単量体および共重合性単量体の使
用割合は、それらの合計量を基準にして、シリル系単量
体0.5〜50重量%および共重合性単量体99.5〜50
重量%が好ましい。さらに好ましくは、シリル系単量体
1〜30重量%および共重合性単量体99〜70重量%
である。シリル系単量体の割合が、0.5重量%未満であ
ると、得られる加水分解性シリル基含有ビニル重合体を
一成分とする重合体エマルジョン組成物から形成される
皮膜の表面硬度が不足し易く、一方50重量%を越える
とエマルジョン組成物の安定性が低下する。
【0017】上記シリル系単量体および共重合性単量体
の重合に使用すべき重合開始剤は、油溶性重合開始剤で
あり、具体的には20℃の水に対する溶解度が10重量
%以下のものが好ましく、かかる重合開始剤としては、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−アゾビ
ス−1−シクロヘキサンカルボニトリルおよびジメチル
−2,2’−アゾビスイソプチレート等のアゾ系開始
剤、ならびにラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパー
オキシド、ジクミルパーオキシド、シクロヘキサノンパ
ーオキシド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネー
トおよびt−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸
化物が挙げられる。
【0018】重合開始剤の使用量は、用いる単量体の合
計量に対して、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5
重量%がより好ましい。上記重合開始剤は、シリル系単
量体および共重合性単量体からなる単量体混合液に溶解
した状態で、単量体と一緒に水性乳化させることが好ま
しい。上記単量体および重合開始剤を水性乳化させる方
法としては、単量体溶液100重量部当たり、前記ラジ
カル重合性界面活性剤およびpH緩衝剤を溶解してなる
水性媒体30〜150重量部の割合で混合し、得られる
混合液をホモミキサー、ホモジナイザーまたは超音波等
によって微細に乳化させる方法が好ましい。上記方法に
よって得られる水性乳化分散体における分散粒子の粒径
は、小さいほど好ましく、具体的には平均粒径で1μm
以下さらには0.5μm以下であることが好ましい。分散
粒子の粒径が1μmを越えると、得られる加水分解性シ
リル基含有重合体エマルジョン中に含まれる粗大粒子の
量が多くなる。
【0019】つぎに、工程〔2〕において、上記水性乳
化分散体(以下単量体エマルジョンという)を水性媒体
中で重合させて加水分解性シリル基含有ビニル重合体か
らなる水性エマルジョンを得る。重合に際しては、重合
容器に予め水性媒体を仕込んでおき、攪拌下に単量体エ
マルジョンを該水性媒体中に徐々に供給させる。単量体
エマルジョンの重合容器への好ましい供給方法は、滴下
ロートから徐々に滴下する方法である。上記重合におい
て重合容器に仕込んでおく水性媒体の量は、攪拌機によ
る攪拌が可能な量が下限量となるが、好ましくは、単量
体エマルジョン100重量部当たり、10〜50重量部
である。
【0020】重合容器に予め仕込む水性媒体には、乳化
剤が0.5〜5重量%の濃度で添加されていることが好ま
しく、乳化剤としては、前記した一般式Z−(AO)n
−Yで表されるラジカル重合性界面活性剤、ステアリン
酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナト
リウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシ
レンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホ
ンサンナトリウムおよびポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤
が好ましい。特に好ましくは、一般式Z−(AO)n
Yで表されるラジカル重合性界面活性剤である。重合温
度は、用いる重合開始剤によって異なるが、通常40〜
100℃が好ましく、さらに好ましくは70〜90℃で
ある。
【0021】上記重合により、平均粒径が0.1〜0.5μ
mの重合体粒子が安定に乳化分散した、加水分解性シリ
ル基含有ビニル重合体の水性エマルジョン(以下シリル
系エマルジョンという)が得られる。かくして得られる
水性エマルジョンは、従来公知の方法によって製造され
た加水分解性シリル基含有ビニル重合体の水性エマルジ
ョンと比較して、保存安定性に優れるという特徴があ
る。なお、上記単量体の水性乳化重合においては、単量
体エマルジョンの分散粒子中に油溶性重合開始剤が含ま
れており、重合は、水性媒体中に分散している各微細粒
子内で起こる。このような重合法は、一般的にはミクロ
懸濁重合法と言われているものであり、乳化剤が形成す
るミセル内で水溶性開始剤によって重合が起こる乳化重
合法とは区別されている。
【0022】つぎに、酸性基含有ビニル重合体からなる
水性エマルジョン(以下酸性基含有エマルジョンとい
う)について説明する。本発明においては、上記方法に
よって製造されるシリル系エマルジョンに、酸性基含有
エマルジョンを混合することにより、前者単独から形成
される塗膜に比較して、耐溶剤性および耐水性に極めて
優れる塗膜を形成し得るエマルジョン組成物が得られ
る。
【0023】本発明における酸性基含有ビニル重合体中
の酸性基としては、カルボキシル基またはリン酸基が好
ましく、酸性基含有ビニル重合体としては、かかる酸性
基を有するビニル単量体と他のビニル単量体を共重合し
て得られる重合体が好ましい。酸性基を有するビニル単
量体としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アク
リロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルフタル酸などのカルボキシル基含有単
量体;モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッド
ホスフェート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートなどのリン酸基含有単量体等
が挙げられ、好ましくは、カルボキシル基含有単量体で
ある。
【0024】上記酸性基含有ビニル単量体と共重合させ
るビニル単量体としては、既に加水分解性シリル基含有
重合体に関して述べた共重合性単量体と同様な単量体が
使用できる。さらにまた、ジビニルベンゼン、ジアリル
フタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよ
びテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートの
ような架橋性単量体を併用することが好ましい。
【0025】酸性基含有ビニル重合体における酸性基含
有単量体単位の好ましい割合は、全単量体単位の合計量
を基準にして、0.5〜20重量%である。酸性基含有単
量体単位の量が、0.5重量%未満であると重合体エマル
ジョン組成物から得られる塗膜の機械的強度が低く、一
方20重量%を越えると重合体エマルジョン組成物の安
定性が低下し易い。酸性基含有エマルジョンは、前記し
た単量体を公知の乳化重合法によって共重合させるか、
またはイソプロピルアルコールなどの親水性溶剤を用い
た溶液重合によって得た共重合体を有機アミンなどの塩
基性物質で中和し、次いで水中に乳化分散させることに
よっても得られる。前記のシリル系エマルジョンを得た
と同様なミクロ懸濁重合法を採用しても良い。
【0026】本発明においては、シリル系エマルジョン
と酸性基含有エマルジョンを、加水分解性シリル基含有
ビニル重合体80〜60重量%および酸性基含有ビニル
重合体20〜40重量%の割合となるように混合するこ
とが好ましい。加水分解性シリル基含有ビニル重合体と
して、加水分解性シリル基含有単量体単位を1〜30重
量%有する重合体を用い、かつ酸性基含有ビニル重合体
として、酸性基含有単量体単位を1〜10重量%有する
重合体を用いる場合に、上記重合体の混合割合は、特に
好ましい。酸性含有ビニル重合体の割合が、20重量%
未満であると硬化のための架橋反応が不十分になりやす
く、一方40重量%を越えると相対的に加水分解性シリ
ル基含有ビニル重合体の割合が低くなり、いずれの場合
にも得られる塗膜の機械的強度が低下する。
【0027】本発明の製法によって得られる硬化性エマ
ルジョン組成物は、エマルジョン中に別個に存在する加
水分解性シリル基含有ビニル重合体粒子と酸性基含有ビ
ニル重合体粒子とが、成膜する時に初めて接触し、シリ
ル基による硬化反応を酸性基が促進させる、という特徴
を有しており、そのため後記した実施例からも明らかな
とおり、温度60℃で2ケ月間放置されても安定なエマ
ルジョン状態を維持し、しかも優れた硬化性能を保持し
ている。これに対して、加水分解性シリル基と酸性基の
両方を有する重合体では、本発明によって奏されるよう
な優れた効果は得られない。すなわち、比較例3で具体
的に示したとおり、加水分解性シリル基と酸性基の両方
を有する重合体の水性エマルジョンは、貯蔵中に加水分
解しやすく、製造後しばらくしたものでは、良好な硬化
塗膜が得られない。
【0028】硬化性エマルジョン組成物を各種用途に使
用する際、必要により使用前に硬化触媒を配合しても良
く、また無機酸を加えてエマルジョンのpHを1〜5、
好ましくは3〜5程度に調整すると、一層機械的強度に
優れる皮膜を得ることができる。硬化触媒としては、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタルート、イソプロ
ピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等
の有機チタネート化合物、ジオクチル酸錫、ジブチル錫
ジラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫化合物お
よびパラトルエンスルフォン酸等が挙げられる。
【0029】本発明によって得られる硬化性エマルジョ
ン組成物は、被覆剤として特に好適であり、例えばガラ
ス、スレート、金属、木材、またはプラスチック等から
なる建材用の塗料、耐酸性雨用塗料、防汚性塗料、無機
建材用溌水剤、電気電子部品の防湿コーティング剤、磁
気テープのバックコート剤および繊維用の硬化仕上げ剤
・溌水剤等に用いることができる。
【0030】
【実施例】以下、参考例、実施例および比較例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例にお
ける成分配合の「部」は、全て「重量部」である。実施
例で使用された“アクアロン”〔第一工業製薬(株)
製〕は、一般式が化4で表されるラジカル重合性界面活
性剤であり、アクアロンHS05、HS10およびHS
20は、それぞれ化4におけるポリオキシエチレン基の
縮合度nが5、10または20の化合物である。また、
“アデカリアリープ”〔旭電化工業(株)製〕は、一般
式が化5で表されるラジカル重合性界面活性剤であり、
アデカリアリープSE−10Nは、化5におけるポリオ
キシエチレン基の縮合度nが10のものである。
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】<参考例1> (シリル系エマルジョンの製造) (1) 工程〔1〕;シリル系単量体、共重合性単量体、ラ
ジカル重合性界面活性剤、油溶性ラジカル重合開始剤、
pH緩衝剤および水性媒体を下記に示す配合量で混合
し、ホモミキサーで混合したのち、さらにホモジナイザ
ー〔ゴーリン社製〕で乳化分散処理を施し、pH8.5
の単量体エマルジョンを調製した。
【0034】 シリル系単量体: γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 12部 共重合性単量体: n−ブチルメタクリレート 45部 n−ブチルアクリレート 16部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 12部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部 ラジカル重合性界面活性剤: “アクアロンHS10” 0.3部 重合開始剤: 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1部 pH緩衝剤: 炭酸水素ナトリウム 0.3部 水性媒体: 脱イオン水 53部
【0035】(2) 工程〔1〕;攪拌機、滴下ロート、窒
素ガス導入管、温度計および冷却器を備えたフラスコ
に、以下の水性媒体を仕込み、窒素ガスを導入しつつ液
温を85℃に昇温した。 水性媒体:脱イオン水 87部 界面活性剤:アクアロンHS10 1部 フラスコ内の水性媒体を高速で攪拌しながら、前記単量
体エマルジョンを4時間かけて滴下した。滴下終了後、
2時間85℃に維持した後、室温まで冷却した。重合期
間中、フラスコ内壁に凝集物がわずかに付着した以外、
液分離またはブロッキングは起こらず、重合は安定に行
われた。上記重合により、固形分濃度が40重量%で、
重合体粒子の平均粒径が0.11μmで、エマルジョン
のpHが8.4のシリル系エマルジョン(1)を得た。
該エマルジョンにおけるグリッドの含有量(エマルジョ
ンを200メッシュのネットで濾過した時の未通過物)
は0.1重量%以下であった。
【0036】<参考例2〜5>参考例1と同様の方法
で、表1に示す単量体と界面活性剤等を用いて、シリル
系エマルジョン(2)〜(5)を製造した。
【0037】
【表1】
【0038】<参考例イ> (酸性基含有エマルジョンの製造)攪拌機、滴下ロー
ト、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えたフラ
スコに、脱イオン水82部と界面活性剤”アクアロンH
S10”1部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ液温を8
5℃に昇温し、下記組成からなる単量体エマルジョンを
連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後2時間85
℃に維持した後、室温まで冷却し固型分濃度が40%に
なるように脱イオン水を添加して調整し、重合体粒子の
平均粒子径が0.12μmで、pHが4.0の酸性基含
有エマルジョン(イ)を得た。 酸性単量体: メタクリル酸 5部 共重合単量体: n−ブチルメタクリレート 36部 n−ブチルアクリレート 30部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 ジビニルベンゼン 0.5部 界面活性剤: ”アクアロンHS10” 0.5部 重合開始剤: 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1部 水性媒体: 脱イオン水 57部
【0039】<参考例ロ〜ニ>参考例イと同様の方法
で、表2に示す単量体と界面活性剤を用いて、酸性基含
有エマルジョン(ロ)〜(ニ)を製造し、pHが7.0
で固型分濃度が40%になるように、アンモニア水と脱
イオン水を添加して調整した。
【0040】
【表2】
【0041】
【実施例1〜6】表3に示す割合で、参考例1〜5で得
られたシリル系エマルジョンと参考例イ〜ニ得られた酸
性基含有エマルジョンを混合することにより、硬化性エ
マルジョン組成物を得た。得られた硬化性エマルジョン
組成物について、以下の方法により、エマルジョンとし
ての安定性および塗膜物性を評価した。その結果は表3
に併記した。なお、塗膜の耐水性については、各実施例
とも良好であった。
【0042】塗膜の耐溶剤性;硬化性エマルジョン組
成物を剥離紙に塗布して、常温10日間放置乾燥するこ
とにより0.5mm程度の塗膜を作製した。得られた乾
燥塗膜を常温のアセトンに24時間浸漬し、その皮膜の
膨潤率(線膨張率)と、ゲル分率(アセトンに浸漬した
後の乾燥塗膜重量÷浸漬前の塗膜重量)を測定した。 塗膜の耐水性;上記で作製した乾燥塗膜を常温の水
に7日間浸漬し、その後の塗膜の透明度を目視によって
評価した。 エマルジョンの安定性;硬化性エマルジョン組成物を
密封容器に入れて、2ケ月間60℃に保持した後、シリ
ル基が加水分解して生成するメタノールまたはエタノー
ル量の定量分析を行い、シリル基の加水分解率を求め
た。
【0043】
【表3】
【0044】
【比較例1】参考例1で得られたシリル系エマルジョン
そのものについて、実施例におけるエマルジョン組成物
と同様に、各種物性の評価を行った。その結果は、つぎ
のとおりであった。 塗膜耐溶剤性 −−− 膨潤率140%,ゲル分率86
%。 塗膜の耐水性 −−− 不良。 エマルジョンの加水分解率 −−− 2%。
【0045】
【比較例2】参考例1で得られたシリル系エマルジョン
100部に、下記ジブチルスズジラウレートの乳化液を
10部添加し、室温で1時間撹拌したエマルジョンにつ
いて、安定性及び塗膜の物性を評価した。 ジブチルスズジラウレートの乳化液:ジブチルスズジラ
ウレート10部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル2部および脱イオン水88部をホモミキサーで混
合乳化して、ジブチルスズジラウレート10重量%含有
乳化液を得た。評価結果は、つぎのとおりであった。 塗膜耐溶剤性 −−− 膨潤率107%,ゲル分率99
%。 塗膜の耐水性 −−− 良好。 エマルジョンの加水分解率 −−− 81%。
【0046】
【比較例3】以下の単量体と界面活性剤を使用して、参
考例1と同様な方法により、加水分解性シリル基と酸性
基の両方を有する重合体からなる水性エマルジョンを製
造した。 単量体: n−ブチルメタクリレート 38部 n−ブチルアクリレート 20部 シクロヘキシルメタクリレート 10部 メチルメタクリレート 10部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部 メタクリル酸 5部 γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン 12部 界面活性剤: ”アクアロンHS−10” 1. 5部 得られた硬化性重合体エマルジョンは貯蔵安定性に劣
り、製造後室温で1週間経過したエマルジョンを用いて
得られた塗膜の物性は不良だった。
【0047】
【比較例4】界面活性剤をポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル硫酸ナトリウムに代えた以外は、参考例
1と同様の方法でシリル系エマルジョンを製造し、この
エマルジョン100重量部と、参考例ハによる酸性基含
有エマルジョン(ハ)50重量部を混合して、硬化性エ
マルジョン組成物を製造した。得られたエマルジョン組
成物の安定性及び塗膜の物性の評価結果は、以下のとお
りであった。 塗膜耐溶剤性 −−− 膨潤率110%,ゲル分率98
%。 塗膜の耐水性 −−− 不良。 エマルジョンの加水分解率 −−− 2%。
【0048】
【発明の効果】本発明によって得られる硬化性エマルジ
ョン組成物は、加水分解性シリル基を有する重合体の水
性エマルジョンであるにも拘らず、貯蔵安定性に優れて
おり、しかも基材に塗布された場合の硬化性に優れ、架
橋密度の高い硬化皮膜を形成する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程〔1〕および工程〔2〕によっ
    て加水分解性シリル基含有ビニル重合体からなる水性エ
    マルジョンを製造し、これと酸性基含有ビニル重合体か
    らなる水性エマルジョンを混合することを特徴とする硬
    化性エマルジョン組成物の製造方法。 工程〔1〕:一般式Z−(AO)n −Y(式中、Zはラ
    ジカル重合性基を含む構成単位、AOはオキシアルキレ
    ン基、n は2以上の整数、またYはイオン解離性基であ
    る)で表されるラジカル重合性界面活性剤およびpH緩
    衝剤の存在下に、加水分解性シリル基を有するビニル単
    量体、該単量体と共重合可能なビニル単量体および油溶
    性ラジカル重合開始剤を水性媒体中に乳化分散させる工
    程。 工程〔2〕:上記工程〔1〕で得られた水性乳化分散体
    を、攪拌下されている水性媒体中に連続的または間欠的
    に供給し、該媒体中で前記単量体を重合させる工程。
  2. 【請求項2】 加水分解性シリル基含有ビニル重合体と
    酸性基含有ビニル重合体の割合を、前者80〜60重量
    %および後者20〜40重量%とする請求項1記載の硬
    化性エマルジョン組成物の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009008245A1 (ja) * 2007-07-12 2009-01-15 Toagosei Co., Ltd. 硬化性樹脂組成物
JP2019157124A (ja) * 2018-03-06 2019-09-19 株式会社エフコンサルタント 水性被覆材
US10829505B2 (en) 2016-04-20 2020-11-10 Dow Silicones Corporation Lithium alkylsiliconate composition, coating, and method of making same

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