JPH09127303A - 反射防止性能を有する防曇性物品及びその製造方法 - Google Patents

反射防止性能を有する防曇性物品及びその製造方法

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JPH09127303A
JPH09127303A JP7281690A JP28169095A JPH09127303A JP H09127303 A JPH09127303 A JP H09127303A JP 7281690 A JP7281690 A JP 7281690A JP 28169095 A JP28169095 A JP 28169095A JP H09127303 A JPH09127303 A JP H09127303A
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  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】眼鏡レンズ・窓ガラスなどの物品に対し、その
表面硬度などの表面特性を低下させることなく、反射防
止性能、持続性、耐水ヤケ性、耐汚染性を合わせ持つ防
曇性能をもたせる。 【解決手段】物品に設けられた反射防止膜の最上層が細
孔・微細な凹凸を持つ充填率0.95以下の層で、その
細孔・微細な凹凸に親水性物質が存在し、最表面が撥水
性を有する無機物質と親水性物質で構成される光学物
品。 【効果】反射防止膜を有する光学物品表面に硬度と撥水
性を有する無機物質と防曇性能を有する親水性物質が存
在するため、耐摩耗性、耐水ヤケ性、耐汚染性を兼ね備
えた防曇性能を有する光学物品を得ることができる。さ
らに、反射防止膜の最上層の充填率を0.95以下にし
て細孔・微細な凹凸の占有体積を大きくして、親水性物
質を固定させたため、親水性物質の密度が高まり、防曇
性能も向上した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防曇性能を有する
メガネ・カメラ等のレンズ、窓ガラス、車のフロントガ
ラス、ヘルメットのシールド、水中メガネ、または浴室
内で使用する鏡等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】物品に防曇性能を付与する方法として、
従来から以下に述べる様な種々の方法がとられている。
【0003】合成樹脂基材自体に界面活性剤を練り込ん
だり、親水性の単量体を共重合して合成樹脂基材を形成
して防曇性能を付与する方法は、特開昭51−1078
41,特開昭55−102632,特公昭57−317
35,特開昭58−160325,特開昭60−141
727,特開昭61−114201,特開昭61−11
4202,特開昭62−2202,特開昭62−220
3などに開示されている。
【0004】物品に防曇性能を有するコーティングを施
す方法も良く知られ、特公昭45−18972,特公昭
50−1710,特開昭52−146791,特開昭5
3−39347,特開昭55−99930,特開昭55
−750,特開昭55−148283,特開昭57−1
19973,特公昭58−1688,特開昭59−15
473,特公昭62−28986,特開平1−2498
18,特開平2−18048,特開平2−17307
8,などに開示されている。
【0005】以上に示した方法は、基材自体、あるいは
厚いコーティング層に、親水性と吸水性を付与して防曇
性能を達成しようとするものである。
【0006】吸水性の悪いガラスなどの無機物質に、直
接防曇性能を付与する方法として、最表面を処理して親
水性または疎水性を持たせる方法が知られ、特開昭53
−56177,特公昭57−61294,特開平2−2
52638,特開平4−366140,特開平5−96
679,特開平5−155641,特開昭54−105
120,特開昭60−210641,特開昭62−57
484,特開平2−22341,などに開示されてい
る。
【0007】表面改質の方法としてのグラフト重合は、
特開平1−230644,特開平2−38431,特開
平4−225301に開示されている。
【0008】さらに、無機物質の細孔・凹凸と親水性物
質を組み合わせた特許及び表面の凹凸を利用した特許と
して、特開昭49−18910,特公昭52−1132
1,特開昭54−57516,特開昭61−9104
2,特公平1−58481,特開平3−194501が
挙げられる。
【0009】以上に示した方法も含め、物品に防曇性能
を付与するには、1)基材に吸水性を持たせる。2)基
材表面を親水性にする。3)基材表面を撥水性にする。
4)物品の表面温度を高くし、空気中の水分が表面で凝
結しない様にする。の4点の方法が過去から提案され、
色々な試みがなされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では次に述べる様な問題点を有していた。
【0011】樹脂基材自体や樹脂コーティング層に防曇
性能を付与する方法は、防曇性能としては十分な性能が
得られるが、親水性・吸水性を持つ樹脂は吸水すると柔
らかくなり、非常に傷がつき易いものとなっていた。こ
れでは眼鏡レンズなど耐摩耗性が要求される部分に使用
した場合、傷によって光学特性が劣化し、実用に耐えら
れない。さらに、空気中の汚れ、例えばタバコの煙など
も吸着し易く、光学物品が着色してしまうなどの欠点も
あった。
【0012】さらに、これらの方法の最大の欠点は、反
射防止膜などの光学的特性を向上する為の表面処理を最
表面に施すことができないことである。現在広く使用さ
れいて、性能の良い反射防止膜は、無機物質からなる反
射防止膜であり、酸化ケイ素などの無機物質表面に防曇
性能を持たせなければならない。
【0013】ガラス表面や無機物質表面に防曇性能を付
与する方法としては、一般に用いられている界面活性剤
を表面に塗布する方法があるが、持続性に問題があり、
水分によって界面活性剤が容易に脱落してしまう。
【0014】そのほかに、ガラス表面や無機物質表面に
親水性の物質を用いて極薄い薄膜を形成し、防曇性能を
達成する方法があるが、従来技術に従うとそれらの物質
と表面との結合が弱く、簡単にそれらの物質が脱落して
長期間防曇性能が維持できなかった。
【0015】逆に撥水性を付与する場合、従来示されて
いる技術では、表面の水に対する接触角が140゜前後
にしかならず十分な防曇性能が得られているとは言いが
たい。
【0016】以上に述べた課題を解決する為に、無機物
質表面をシランカップリング剤で処理した後、反応性界
面活性剤を反応させる方法も提案されているが、反応性
界面活性剤の構造によっては十分な防曇効果が得られな
かった。
【0017】反射防止性能と防曇性能を兼ね備えたもの
として、無機物と親水性物質の組み合わせも提案されて
いる。特に、特開平3−194501は、無機コート膜
の微細間隙と親水性物質を利用した防曇について記載さ
れているが、微細構造及び、反射防止膜の最上層に関し
ての詳細な記述がなかった。さらに、これら無機物質の
表面には、水ヤケが発生したり、汚れやすかった。
【0018】そこで、本発明は以上の様な問題点を解決
し、物品の反射防止特性などの光学特性、耐摩耗性、耐
水ヤケ、耐汚染性を低下させることなく、優れた防曇性
能、持続性、を有する物品を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
基材上に設けられた、無機物質からなる単層及び多層反
射防止膜の最上層が、細孔及び微細な凹凸のどちらか一
方を少なくとも有し、最上層の無機物質の充填率が0.
95以下であり、その細孔及び微細な凹凸に親水性物質
が存在して、最表面が無機物質と親水性物質からなり、
かつ、、無機物質表面の水の静止接触角が90゜以上で
あることを特徴とする。
【0020】請求項2記載の発明は、基材上に設けられ
た、無機物質からなる単層及び多層反射防止膜の最上層
を、ガス導入を行いながら真空蒸着によって形成した
後、親水性物質で最上層を処理し、最上層の細孔及び微
細な凹凸に親水性物質を固定し、かつ、撥水性を有する
物質で無機物質表面を処理することを特徴とする。
【0021】レンズ、ガラス、鏡等の光学部品には、透
過率の向上や反射率の低減を目的として、単層及び多層
の反射防止膜がしばしば設けられる。これらの反射防止
膜は真空蒸着法やスパッタ法で形成される。真空蒸着の
場合、形成された膜はバルクと比較して充填率が低く、
表面も凹凸のある表面である。一般の蒸着では高密度で
硬い膜を求めるため、充填率を上げる必要がある。従っ
て、蒸着前及び蒸着中の真空度は、高真空度で行うこと
が多い。
【0022】一方、本発明ではガスを導入しながら真空
蒸着によって反射防止膜を形成する。蒸着中にガスを導
入し、低真空にすることによって、膜の充填率をさらに
低くすることができる。導入ガスは、膜との反応を避け
るためAr等の不活性ガスが望ましい。このようにして
作成された膜は、ガスを導入しない場合の膜より、サイ
ズの大きな細孔及び微細な凹凸を多数持つ。ガス導入量
は、蒸着前の真空度で2×10-5hPa以上が望まし
い。ちなみに、二酸化珪素膜を例に取るとガス導入しな
いときの屈折率は、1.45、充填率は0.98程度で
あるが、Arガスを真空度が4×10-4hPaになるま
で導入して蒸着を行うと、屈折率1.36充填率0.7
8程度になる。十分な防曇性能を得るためには充填率が
0.95以下であることが大切である。
【0023】ガス導入を行う層は反射防止膜の最上層に
行う。単層の反射防止膜であれば、単層そのものに行
う。これら最上層は、反射防止膜の設計上、低屈折率層
が用いられる。低屈折率層にガス導入を行って、さらに
低屈折率になるのはかまわないが、高屈折率層にまでガ
ス導入を行って、高屈折率層の屈折率が低下すると、高
性能の反射防止特性が得られにくい。さらに、表面硬度
も得られなくなる。従って、本発明では、最上層の低屈
折率層に対してガス導入を行う。
【0024】基材が合成樹脂の場合、基材の変形を避け
るため高温で蒸着できない。そのため、反射防止膜の低
屈折率層には、低温でも硬い膜が得られる二酸化珪素が
良く用いられる。
【0025】本発明では、以上のようにガス導入して形
成した最上層の細孔及び微細な凹凸に親水性物質を固定
する。親水性物質としては、脂肪酸石鹸、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、第4アンモ
ニウム基を持つ陽イオン界面活性剤、長鎖アルキルアミ
ノ酸等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル等の非イオン界面活性剤、などの界面活
性剤、グルコシルエチルメタクリレート、メタクリル
酸、アクリル酸、2−ヒドロキシルエチルメタクリレー
ト、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N−ビニルピロリドン、N−(2−メタクロイルオ
キシエチル)−2−ピロリドン、グリセリルメタクリレ
ート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエ
チレングリコールアクリレート、等のヒドロキシルアル
キル(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミ
ド類、N−ビニルラクタム類、等の親水性モノマー及び
それらからなるポリマーを挙げることができる。
【0026】これらの親水性物質は単体、混合物どちら
で用いても良い。さらに、親水性物質であれば、これら
に限定される事はない。
【0027】親水性のモノマー及びビニル基、アクリル
基、メタクリル基、グリシジル基、アリル基、エポキシ
基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基
等の反応性末端基とスルホン基、水酸基、アンモニウム
クロライドなどの親水性部分を持つ反応性界面活性剤を
親水性物質として用いる場合、これらの物質を細孔及び
表面の凹凸に付着させた後、熱、紫外線等の電磁波、電
子線等の放射線などによって反応を促進し、強固に固定
させることができる。さらに、最上層が二酸化珪素の場
合、反応性を有する親水性物質と二酸化珪素双方との反
応基を持つシランカップリング剤を一緒に用いれば、膜
との密着性も向上し、防曇の持続性などの耐久性が向上
する。
【0028】親水性物質で、細孔や微細な凹凸からはみ
出して無機物質上で膜を形成している物や、反応に寄与
できなかった未反応モノマーを洗浄により洗い流すこと
により、処理前と反射防止特性等の外観が変わらない処
理を行うことができる。
【0029】本発明では、さらに表面に存在する無機物
質を、撥水性を有する物質で処理する。これは、親水性
物質を固定する前でも後でも良い。処理後の表面の接触
角が90゜以上であれば、十分な耐水ヤケ性、耐汚染性
が得られる。無機物質が二酸化珪素の場合、フッ素を含
むシランカップリング剤が有効である。シランカップリ
ング剤の例としては、ハロゲン化シラン、末端シラノー
ルを有するシラン化合物、アルコキシシラン、アミノシ
ラン、シラザン、珪素官能型シリルイソシアネート等が
挙げられるがこれらに限定されるものではない。これら
の物質は、単体で用いても良いし、混合物で用いても良
い。
【0030】処理は形成された蒸着膜に影響を与えない
低温で行うのが望ましい。処理方法は、処理液を浸漬法
やスピン法で塗布した後、加熱して反応させる方法や、
真空槽内あるいは、大気中でガスとして反応させる方法
をとることができる。反応方法については特に限定され
ない。
【0031】以上のように形成した最表面は、撥水性を
持つ無機物質と親水性物質が存在する表面となる。
【0032】防曇性の付与される物品はどんな物でも良
いが、特にレンズ・鏡・窓・ゴーグル・水中眼鏡などの
光学物品であれば用途上非常に有効である。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づき詳
細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0034】〔実施例1〕予め水酸化ナトリウム溶液
(0.1N)に浸漬し、よく水洗、乾燥したジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート製レンズに以下に示
すコーティング液をディッピング法で、膜厚が2.5μ
mになる様塗布し、130℃で2時間加熱硬化してハー
ドコート層を設けた。
【0035】(コーティング液の調整)攪拌装置を備え
た、反応容器中に、エタノール206g,エタノール分
散コロイダルシリカ396g(触媒化成工業株式会社製
“オスカル1232”固形分30%),γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランの部分加水分解物312
g,フローコントロール剤0.2g(日本ユニカー
(株)製“L−7604”)及び0.05N酢酸水溶液
86gを加え、室温で3時間攪拌をし、コーティング液
とした。
【0036】以上のようにして得られたコーティング済
みレンズを真空槽内にセットし、真空蒸着により、基板
温度50℃で、コーティング表面に反射防止処理を行っ
た。膜構成は、光学膜厚でレンズ側から、二酸化ケイ素
層がλ/4,酸化ジルコニウム層と二酸化ケイ素層の合
成膜厚が、λ/4,酸化ジルコニウム層がλ/4,最上
層の二酸化ケイ素層がλ/4とした。(λは520nm)
ここで、最上層の二酸化珪素層を形成する際に、アルゴ
ンガスを導入し、真空度を2×10−4hPaにした状
態で蒸着を行った。最上層の屈折率は、1.41、充填
率は、0.89であった。このように形成した反射防止
膜付きレンズを、次の手順で調整した防曇処理用反応液
で処理した。
【0037】アクリルアミド2g、アゾビスイソブチロ
ニトリル0.1g、界面活性剤0.01gを純水98g
に加え、均一な水溶液とし、コーテイング反応液とし
た。
【0038】このコーテイング反応液に、先に形成した
反射防止膜付きレンズを液温15℃で1分間浸漬した。
その後、湿度60%、温度25℃の雰囲気で、1cm/
分の速度でレンズを引き上げた。引き上げ後、窒素気流
中、高圧水銀灯を用いて、紫外線照射と50℃まで加熱
を行った。その後、トリクロロエチレンにより洗浄を行
った。洗浄後のレンズの外観、反射防止特性に、大きな
変化は見られなかった。
【0039】次に、上記のように作製したレンズを2−
(パーフルオロオクチル)エチルトリアミノシラン3g
をC614を主成分としたC512及びC716の混合溶
剤 (住友3M製FX3250)97gに溶解した液温
20℃の液に5分間浸漬し、浸漬後、相対湿度50%、
温度50℃雰囲気中に取り出し、10分間放置した。そ
の後、アセトンによりレンズを拭きあげた。
【0040】得られた物品の防曇性評価方法は“JIS
−S4030 眼鏡用くもり止め剤試験方法”の低温部
くもり止め性に従って1〜4級で評価した。(1級が一
番防曇性能が良く、4級が一番悪い。) さらに、防曇
性能の耐久性の評価として、反射防止膜表面を、布で1
kgの荷重をかけ、500回摩擦した後、防曇性の低下
の程度を上記防曇性評価方法で評価した。耐水ヤケ性の
試験は、水道水をレンズ表面にたらし乾燥させた後、布
で残留物を拭き取った。残留物が残ればC、完全に拭き
取れればA、一部残ればBと評価した。
【0041】評価結果は、表1に実施例と比較例をまと
めて示した。
【0042】上述のような構成によれば、表面に親水性
物質と撥水性を有する二酸化珪素が存在し、反射防止性
能と耐水ヤケ性、耐汚染性を有する耐久性のある防曇を
同時に実現することができる。
【0043】
【表1】
【0044】〔実施例2〕実施例1で作成した、コーテ
イング済みレンズに反射防止膜を形成した後、出力40
0WのアルゴンRFプラズマで処理を行いながら、真空
槽内に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを導入し、
気体の状態で反射防止表面と接触させ、表面に皮膜が形
成されない程度にプラズマ重合を行った。その後、真空
槽内にビス(パーフルオロプロピルメチル)ジアミノシ
ランを導入し、表面の二酸化珪素と反応させた。
【0045】得られたレンズは、実施例1と同様の評価
方法で評価した。結果は、表1に示した。
【0046】上述のような構成によれば、表面に親水性
物質と撥水性を持つ二酸化珪素が存在し、反射防止性能
と耐水ヤケ性、耐汚染性を持つ耐久性のある防曇を同時
に実現することができる。
【0047】〔実施例3〕防曇処理用反応液を、次の手
順で調整した。即ち、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト1g、N,N−ジメチルアクリルアミド、0.5g、
50%エタノール水溶液198g、アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)0.001g、ポリエチレン
グリコール系界面活性剤0.02gを加え、均一な水溶
液とし、コーテイング液とした。
【0048】この液に、実施例1で作製した反射防止膜
付きレンズを浸漬し、10cm/分で引き上げた後、6
0℃で1時間加熱した。その後、レンズを水洗し、アセ
トンで拭きあげた。
【0049】次に、上記のように作製したレンズをヘキ
サメチルジシラザン蒸気の充満した容器に釣り下げ、蒸
気にさらすことによって表面を処理した。処理後、アセ
トンにより拭きあげた。
【0050】得られたレンズは、実施例1と同様の評価
方法で評価した。結果は、表1に示した。
【0051】上述のような構成によれば、表面に親水性
物質と撥水性を持つ二酸化珪素が存在し、反射防止性能
と耐水ヤケ性、耐汚染性を持つ耐久性のある防曇を同時
に実現することができる。
【0052】〔比較例1〕実施例1で形成した反射防止
膜付きレンズで、2−(パーフルオロオクチル)エチル
トリアミノシランによる処理を行わないレンズを比較例
1とした。
【0053】〔比較例2〕実施例1で最上層の二酸化珪
素をアルゴンガス導入を行わずに形成し、ビス(パーフ
ルオロプロピルメチル)ジアミノシランで処理を行わな
いレンズを比較例2とした。
【0054】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、物品表面
は、撥水性を有する無機物質と親水性物質が存在する表
面となり、反射防止性能、耐摩耗性、耐水ヤケ性、耐汚
染性、防曇性を兼ね備えることができる。
【0055】請求項2記載の発明によれば、充填率の低
い膜に親水性物質を固定することが可能となり、親水性
物質の密度が高まり、さらに、表面に露出した無機物質
に撥水性を付与することができ、十分な防曇性能と反射
防止性能、耐摩耗性、耐水ヤケ性、耐汚染性を兼ね備え
ることができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に設けられた、無機物質からなる単
    層及び多層反射防止膜の最上層が、細孔及び微細な凹凸
    のどちらか一方を少なくとも有し、最上層の無機物質の
    充填率が0.95以下であり、その細孔及び微細な凹凸
    に親水性物質が存在して、最表面が無機物質と親水性物
    質からなり、かつ、無機物質表面の水の静止接触角が9
    0゜以上であることを特徴とする反射防止性能を有する
    防曇性物品。
  2. 【請求項2】基材上に設けられた、無機物質からなる単
    層及び多層反射防止膜の最上層を、ガス導入を行いなが
    ら真空蒸着によって形成した後、親水性物質で最上層を
    処理し、最上層の細孔及び微細な凹凸に親水性物質を固
    定し、かつ、撥水性を有する物質で無機物質表面を処理
    することを特徴とする反射防止性能を有する防曇性物品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】前記の基材が合成樹脂製レンズであること
    を特徴とする請求項1記載の反射防止性能を有する防曇
    性物品。
  4. 【請求項4】前記の最上層が二酸化珪素及び二酸化珪素
    を主成分とする物質であることを特徴とする請求項1記
    載の反射防止性能を有する防曇性物品。
  5. 【請求項5】前記の基材が合成樹脂製レンズであること
    を特徴とする請求項2記載の反射防止性能を有する防曇
    性物品の製造方法。
  6. 【請求項6】前記の最上層が二酸化珪素及び二酸化珪素
    を主成分とする物質であることを特徴とする請求項2記
    載の反射防止性能を有する防曇性物品の製造方法。
  7. 【請求項7】前記のガスが不活性ガスであることを特徴
    とする請求項2記載の反射防止性能を有する防曇性物品
    の製造方法。
  8. 【請求項8】前記の親水性物質が反応性を有する物質で
    あって、最上層を親水性物質で処理後、加熱及び電磁波
    ・放射線の照射によって反応を促進することを特徴とす
    る請求項2記載の反射防止性能を有する防曇性物品の製
    造方法。
  9. 【請求項9】前記の撥水性を有する物質が、フッ素を含
    むシラン化合物であることを特徴とする請求項2記載の
    反射防止性能を有する防曇性物品の製造方法。
JP28169095A 1995-10-30 1995-10-30 反射防止性能を有する防曇性物品及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3694882B2 (ja)

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