JPH09121069A - レーザ光発生装置、レーザビーコン装置及びレーザ画像表示装置 - Google Patents

レーザ光発生装置、レーザビーコン装置及びレーザ画像表示装置

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JPH09121069A
JPH09121069A JP8214493A JP21449396A JPH09121069A JP H09121069 A JPH09121069 A JP H09121069A JP 8214493 A JP8214493 A JP 8214493A JP 21449396 A JP21449396 A JP 21449396A JP H09121069 A JPH09121069 A JP H09121069A
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JP
Japan
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laser light
phase
laser
light source
wavelength
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JP8214493A
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English (en)
Inventor
Hiroki Kikuchi
啓記 菊池
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な構成を付加することで、レーザ光のス
ペクトル幅を広げ、可干渉性を適当な値まで落とすこと
が可能なレーザ光発生装置を提供する。 【解決手段】 第1のレーザ光源31及び第2のレーザ
光源32と、各光源からの光を単数又は複数の周波数成
分で位相変調する位相変調部34、35と、位相変調部
34、35で位相変調された光の波長に基づいて短波長
の光を得るための和周波発生部33を有している。第1
のレーザ光源31にて発生する基本波レーザ光は、位相
変調部34にて所定の変調振幅と変調周波数とに基づい
て位相変調されスペクトル幅が広げられた後、和周波発
生部33に入射する。和周波発生部33では、各光源か
らのレーザ光に基づいて和周波発生がなされ、短波長に
変換されるとともに、さらにスペクトル幅が広げられ
る。この結果、出射されるレーザ光の可干渉距離が短く
なり、スペックルノイズが除去される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い周波数確度を
示しつつ、適度に広いスペクトル幅が要求されるレーザ
光の光源となるレーザ光発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来において、レーザ光の単色性(狭ス
ペクトル帯域)を利用して、高出力レーザを様々な産業
分野に応用しようとする試みがなされている。特に、Q
スイッチ法にて縦シングルモードで発振するネオジム:
イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YA
G)を用いたレーザ光源(以下単にNd:YAGQスイ
ッチレーザという)にて発振されたレーザ光やこのレー
ザ光を波長変換して得られるレーザ光は、高いピーク強
度を示すため、様々な産業分野への応用が期待されてい
る。
【0003】このようなQスイッチレーザは、一般に縦
多モード発振するが、周波数成分における線幅(以下ス
ペクトル幅という)が広い場合、色収差等の問題が生じ
やすい。そこで、インジェクションシード技術等を使用
して、単一波長でレーザ光を発振させることがなされて
いる。ところが逆に、単一波長でレーザ光を発振させた
場合、発振スペクトル幅が狭くなりすぎて利用する際に
不都合が生じやすい。
【0004】単色性が高いすなわちスペクトル幅が狭い
レーザ光は、可干渉性が高く、レーザ光自身が散乱光等
伝搬距離の異なる迷光と干渉する際に互いに不規則な位
相関係で干渉することで生じる干渉パターンに基づいて
発生するノイズいわゆるスペックルノイズが発生しやす
い。これに対して、単色性の低いレーザ光は、可干渉性
が低いものの、スペクトル幅が広いため、色収差が生じ
やすい。
【0005】レーザ光は、例えばレーザビーコン(lase
r beacon)装置に応用されている。このレーザビーコン
装置は、オプティックス・アンド・フィジックス・ニュ
ースの1993年6月号の14頁〜19頁に掲載の「レ
ーザ・ビーコン・アダプティブ・オプティックス」("L
aser Beacon Adaptive Optics" , Optics & PhysicsNew
s, pp.14-19, June, 1993)に記載されているように、
天体観測、衛星間光通信等で使用する光学系の解像度を
向上させる手段として検討されている。
【0006】レーザビーコン装置は、空中にレーザ光源
を出射し、大気圏中のナトリウム原子を共鳴吸収により
発光させる。レーザビーコン装置は、ナトリウム原子が
発光した光を地上で検出することにより、大気の擾乱を
リアルタイムに検出し、さらにアダプティブ光学系を用
いて大気の擾乱を補正することにより、望遠鏡の解像度
を向上させる働きがある。
【0007】また、ナトリウム原子は波長589nm付
近のレーザ光を共鳴吸収し発光する。ナトリウム原子を
効率よく共鳴励起するには、周波数、周波数幅ともにナ
トリウム原子の吸収スペクトルに正確に一致した高出力
レーザ光源が必要である。
【0008】波長589nmの高出力光源として、図9
に示すように、インジェクションシードの技術を用いて
周波数狭窄化された波長1319nmの基本波レーザ光
を発振するNd:YAGQスイッチレーザから成る第1
のレーザ光源101と、同様に周波数狭窄化された波長
1064nmの基本波レーザ光を発振するNd:YAG
Qスイッチレーザから成る第2のレーザ光源102と、
波長1319nmの基本波レーザ光と波長1064nm
の基本波レーザ光を用いて、それらの和周波レーザ光を
発生させるためのLBO結晶103とを備えたものが提
案されている。
【0009】また、第1のレーザ光源101と、第2の
レーザ光源102とで行われているインジェクションシ
ードは、レーザ光を単一波長で発振させて、和周波発生
後のレーザ光の波長をナトリウム原子の吸収波長に正確
に一致させるためのものである。
【0010】また、ドップラー効果を受けたナトリウム
原子の吸収周波数幅は3GHz程度である。図9に示し
た高出力光源で得られる波長589nmのレーザ光は、
各光源にてインジェクションシードを行って周波数狭窄
化しているため、上記高出力光源にて得られるレーザ光
は高い周波数安定性を示す。各光源から発振される基本
波レーザ光のスペクトル幅は、トランスフォームリミテ
ッドパルスの線幅である25MHz程度まで狭められて
おり、ナトリウム原子の吸収周波数幅の1/120に過
ぎないために、このレーザ光とナトリウム原子との共鳴
効率が低い。
【0011】また、レーザ光は、例えばレーザ画像表示
装置に応用されている。
【0012】上記レーザ画像表示装置において、スペク
トル幅の狭いレーザ光を使用すると、上記可干渉性が高
いため、スペックルノイズが生じやすい。このようなス
ペックルノイズは、レーザ画像表示装置においては粒状
斑となり、その画質を大幅に悪化させる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで、レーザ光の応
用にあたっては、レーザ光のスペクトル幅を適切な値に
制御し、色収差とスペックルノイズ双方において問題を
発生させないことが課題となる。
【0014】レーザ光のスペクトル幅を広げる方法は、
これまでいくつか提案されてきた。例えば、レーザ光を
縦多モード発振させたり、あるいは最初から縦多モード
で発振するレーザ光を使用することが考えられる。この
場合は、スペクトル幅が広くなりすぎて色収差等の問題
が発生しやすいばかりではなく、レーザ光発生装置その
ものの構成を変える必要があり、発光効率の低下を招い
た。すなわち、スペクトル幅を所望の値まで適度に広げ
ることが困難であった。さらに、縦多モード発振させた
2種以上のレーザ光を和周波混合により波長変換したレ
ーザ光は、強度が不安定であった。
【0015】また、スペックルノイズを除去する方法と
しては、レーザ光投影系を改良することが検討されてい
る。例えば、特開平55−65940号公報において
は、スクリーンまたはレーザ光源を機械的に振動させる
レーザ画像表示装置が提案されている。しかし、スクリ
ーンサイズが大きい場合、実現が困難である。
【0016】このように、従来において、レーザ光のス
ペクトル幅を所望の値に制御してスペックルノイズを除
去することは、実現が困難である。
【0017】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたも
のであり、簡便な構成を付加することで、レーザ光のス
ペクトル幅を広げ、可干渉性を適切な値まで劣化させる
ことが可能なレーザ光発生装置を提供することを目的と
する。
【0018】また、本発明の他の目的は、上記レーザ光
発生装置を用いて成るレーザビーコン装置及びレーザ画
像表示装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレーザ光発
生装置は、上述の問題を解決するために、レーザ光源
と、上記レーザ光源が出射するレーザ光を単数又は複数
の周波数成分で位相変調する位相変調手段と、上記位相
変調手段で位相変調されたレーザ光の波長を他の波長に
変換する波長変換手段とを有することを特徴としてい
る。
【0020】上記レーザ光発生装置によれば、レーザ光
源にて発生する基本波レーザ光は、位相変調手段にて所
定の変調振幅と変調周波数とに基づいて位相変調されス
ペクトル幅が広げられた後、波長変換手段にて短波長の
レーザ光に変換されると同時に、さらにスペクトル幅が
広げられる。この結果、レーザ光の可干渉距離が短くな
り、スペックルノイズが抑制される。
【0021】また、複数の周波数で位相変調を行うこと
により、連続的なスペクトルを有するレーザ光を発生さ
せることができる。このようなレーザ光の可干渉性は充
分に小さく、さらにスペックルノイズの発生が抑制され
る。波長変換手段から出射されるレーザ光の可干渉性
は、位相変調手段で用いられる変調振幅と変調周波数と
で制御される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るレーザ光発生
装置の実施の形態の具体例について図面を参照しながら
説明する。
【0023】図1に、例えばレーザビーコン装置に用い
る589nmのレーザ光を発生させるレーザ光発生装置
を示す。
【0024】当該レーザ光発生装置は、基本波レーザ光
を発生する光源31、32と、光源31、32からの基
本波レーザ光を単数又は複数の周波数成分で位相変調す
る位相変調部34、35と、位相変調部34、35で位
相変調された光の波長を他の波長に変換する和周波発生
部33とを有するものである。
【0025】なお、上記位相変調部34、35は電気光
学素子を備えており、和周波発生部33は非線形光学結
晶素子を備えている。
【0026】図1によれば、第1のレーザ光源31から
出射される波長1319nmの基本波レーザ光は位相変
調部34に入射され位相変調を受ける。また、第2のレ
ーザ光源32から出射される波長1064nmの基本波
レーザ光は位相変調部35に入射され位相変調を受け
る。このとき、位相変調部34、35では波長変換前の
基本波レーザ光に単数あるいは複数の変調周波数で位相
変調がなされ、各基本波レーザ光のスペクトル幅が広げ
られた後、和周波発生部33にこの位相変調を受けた基
本波レーザ光が入射される。和周波発生部33では、波
長1319nm及び波長1064nmの基本波レーザ光
を用いて、和周波混合すなわち波長変換が行われ、この
波長変換後の波長589nmのレーザ光のスペクトル幅
は基本波レーザ光よりさらに広がる。このようにして、
位相変調及び波長変換を経て、この波長589nmのレ
ーザ光のスペクトル幅は十分に広げられるため、ナトリ
ウム原子の共鳴励起に用いた場合効率がよくなる。
【0027】先ず、電気光学素子における位相変調の原
理と、この位相変調によるパワースペクトルの変化につ
いて説明する。
【0028】図2のAに、基本波レーザ光の初期のパワ
ースペクトルを示す。
【0029】電気光学素子を備えた電気光学変調装置
に、周期関数φ(t)の信号電圧を印加すると、レーザ
光の電場E(t)は以下の(1)式に示すような位相変
調を受ける。なお、f0 は変調前のレーザ光の中心周波
数である。
【0030】
【数1】
【0031】ここで、Φ(t)は位相変調関数であり、
上記電気光学変調装置に印加する信号φ(t)に比例す
る。すなわち、(2)式に示すようになる。特に、Φ
(t)が、下記の(3)式に示すような振幅m、周波数
m の正弦波である場合、電場E(t)は、以下の
(4)式に示すように、ベッセル関数列Jk(m) を用
いて展開することができる。
【0032】
【数2】
【0033】このとき、上記パワースペクトルは、図2
のBに示すように、それぞれ強度Jk 2(m)、周波数
(f0 +kfm )のスペクトルの総和となる。ここで、
kは整数である。位相変調によって中心周波数f0 のス
ペクトル強度は減少し、変調前に比べて{J0(m)}2
倍となる。
【0034】また、複数の周波数での位相変調がなされ
る場合、位相変調関数Φ(t)は、以下の(5)式に示
すようになり、それぞれの周波数での位相変調は、周波
数に関しては相加的にまた、強度では相乗的に作用す
る。
【0035】
【数3】
【0036】例えば、変調振幅m1 及び変調周波数fm1
における位相変調により発生した強度Jk 2(m1 )と、
周波数(f0 +kfm1)とから成るスペクトルが、他の
変調周波数fm2における位相変調により、図2のCに示
すように、さらに強度Jk 2(m1 )Jk 2(m2 )と周波
数(f0 +kfm1+lfm2)とから成るスペクトルにス
リットし、多数のスペクトルの集合体となる。ここで、
k、lは整数である。
【0037】このように、複数例えば2回の位相変調を
それぞれ異なる変調周波数にて行うことで、初期のパワ
ースペクトルは多数のスペクトルに分離し、スペクトル
間隔が緻密になることがわかる。このときのスペクトル
間隔は、複数設定した変調周波数の内最も小さい変調周
波数以下となる。また、変調周波数同士の最小公倍数が
十分大きいとき、スペクトルの本数は略(2m1 +1)
×(2m2 +1)となる。
【0038】例えば、周波数fm1=350MHz、位相
変調振幅m1 が2ラジアンとなるような電圧振幅の高周
波電圧信号(位相変調関数Φ(t))で、1回目の位相
変調を行い、周波数fm2=350MHz、位相変調振幅
2 が2ラジアンとなるような電圧振幅の高周波電圧信
号で、2回目の位相変調を行うと、スペクトル間隔は1
00MHzになり、スペクトルの本数は(2×2+1)
×(2×2+1)=25本になる。
【0039】ここで、行われる位相変調は、基本波レー
ザ光のスペクトル線幅そのものが広がるわけではなく、
多数のスペクトルに分離してスペクトル全体の幅が広が
るだけである。以後、この分離した後のスペクトルの集
合体の包絡線の幅をもって、全体のスペクトル幅と定義
する。従って、全体のスペクトルの幅が広がることによ
り、コヒーレント長が短くなり、スペックルノイズが低
減される。
【0040】図1に戻り、第1のレーザ光源31は、波
長1319nmのレーザ光がインジェクションシードに
より周波数狭窄化されたNd:YAGQスイッチレーザ
である。また、第2のレーザ光源32は、波長1064
nmのレーザ光がインジェクションシードにより周波数
狭窄化されたNd:YAGQスイッチレーザである。
【0041】高周波信号発生部36、37は、位相変調
部34、35にて上述した位相変調関数Φ(t)を得る
ための周期関数φ(t)の信号電圧、例えば単数あるい
は複数の周波数成分から成る正弦波電圧信号を、高周波
信号として発生し、増幅器38、39に出力する。増幅
器38、39は、入力される高周波電圧を増幅し、位相
変調部34、35に出力する。
【0042】位相変調部34は、例えば電気光学結晶と
して複数の燐酸酸化チタンカリウム(KTiOPO4
KTP)結晶を用いて、図3に示すように構成されるも
のである。マウント42上に2つのKTP41a、41
bが設置され、各KTP41a、41bの電極の一方は
コネクタ43を介して増幅器38と接続しており、もう
一方の電極は接地されている。これにより、高周波信号
発生部36からの高周波電圧がKTP41a、41bの
電極に印加される。
【0043】また、位相変調部34は、入射される波長
1319nmの基本波レーザ光を、高周波信号発生部3
6からの正弦波電圧信号に基づいて得られる位相変調関
数にて位相変調し、波長1319nmの基本波レーザ光
の全体のスペクトル幅をΔf1 に広げる(Δf1 ≒2×
m1×m1 )。すなわち、このときの基本波レーザ光の
電界E1 (t)は、以下の(6)式に示される値にな
る。
【0044】
【数4】
【0045】また、同様に位相変調部35は、入射され
る波長1064nmの基本波レーザ光を、高周波信号発
生部37からの正弦波電圧信号に基づいて得られる位相
変調関数にて位相変調し、波長1064nmの基本波レ
ーザ光の全体のスペクトル幅をΔf2 に広げる(Δf2
≒2×fm2×m2 )。すなわち、このときの基本波レー
ザ光の電界E2 (t)は、以下の(7)式に示される値
になる。
【0046】
【数5】
【0047】また、和周波発生部33は、非線形光学結
晶素子である例えば酸化硼素リチウム(LiB35:L
BO)結晶を有して成るものであり、上記位相変調を受
けた波長1319nm及び波長1064nmの基本波レ
ーザ光を用いて、後述する和周波発生の原理に従い波長
589nmのレーザ光を発生し出射する。このとき、波
長589nmに波長変換されたレーザ光の全体のスペク
トル幅Δf3 は、波長変換前の各基本波レーザ光の全体
のスペクトル幅Δf1 、Δf2 の和と同程度となる。す
なわち、Δf3 =Δf1 +Δf2 となる。また、この波
長変換に用いられる各レーザ光の許容波長幅は十分広い
ため、この全体のスペクトル幅が広がることで、波長変
換効率は低下しない。この波長変換して得られたレーザ
光の電界E3 (t)は、以下の(8)式に示される値に
なる。
【0048】
【数6】
【0049】ここで、和周波発生の原理について説明す
る。非線形光学結晶中においては、外から加えられた電
場の大きさに比例しない非線形分極が発生する。この非
線形分極の内、2次の非線形感受率が0でない場合、周
波数ν1 、ν2 の2つの光が結晶に入射すると、周波数
がν3 である(但し、ν3 =ν1 +ν2 )非線形分極が
結晶中に誘起される。この分極により、周波数がν3
ある光が放出される。すなわち、波長がλ1 、λ2 のレ
ーザ光が入射するとき、非線形光学結晶から出射される
和周波発生した光の波長λ3 は、以下の(9)式の関係
を満たすことになる。
【0050】
【数7】
【0051】すなわち、波長1319nmのレーザ光と
波長1064nmのレーザ光とを非線形光学結晶に入射
させて和周波発生させて得られるレーザ光の波長は、1
/(1/1319+1/1064)=589nmとな
る。
【0052】また、単数の周波数成分の正弦波を位相変
調関数として位相変調を行う場合を考える。波長131
9nmの基本波レーザ光を、例えばfm1を350MHz
とし、m1 を2ラジアンとして位相変調するとき、Δf
1 は2×350MHz×2=1.4GHzになる。すな
わち、波長1319nmの基本波レーザ光の全体のスペ
クトル幅は1.4GHz程度に拡幅されたことになる。
【0053】また、波長1064の基本波レーザ光を、
例えばfm2を350MHzとし、m2 を2ラジアンとし
て位相変調するとき、Δf2 は2×350×2=1.4
GHzになる。すなわち、波長1064nmの基本波レ
ーザ光の全体のスペクトル幅も1.4GHz程度に拡幅
されたことになる。
【0054】さらに、和周波発生にて得られたレーザ光
の全体のスペクトル幅Δf3 は、Δf1 とΔf2 との和
であるため、1.4GHz+1.4GHz=2.8GH
z程度のスペクトル幅となり、ドップラー効果を受けた
ナトリウム原子の吸収線幅と略一致し、効率よくナトリ
ウム原子を励起することができる。
【0055】上記レーザ光発生装置では、波長変換前の
基本波レーザ光に対していそう変調を行った後に和周波
レーザ光を発生させることにより、各位相変調効果を相
加的に作用させている。波長変換前のレーザ光のスペク
トル幅は、波長変換後のレーザ光に所望のスペクトル幅
の半分でよい。
【0056】ところで、単数の変調周波数fm で位相変
調を行う場合、パワースペクトルは周波数間隔がfm
あるスペクトルの集合体となる。従って、2種類の波長
のレーザ光の両方に同程度の大きさの変調周波数を用い
て位相変調を行って和周波発生させて得られるレーザ光
のスペクトルの周波数間隔はfm 程度である。
【0057】ここで、上述した具体例の場合、スペクト
ル幅2.8GHzの中に、間隔350MHzで8本程度
のスペクトルがあるに過ぎない。一方、ナトリウム原子
を効率よく励起させるためには、スペクトル幅3GHz
程度の連続なスペクトルを発生させることが望ましい。
【0058】そこで、位相変調を行うことでこのような
スペクトルを得るためには、周波数間隔を小さくして多
数のスペクトルを発生させる必要がある。また、レーザ
光源から出射されるレーザ光のスペクトル幅が25MH
z程度であるため、周波数間隔を25MHz程度にする
と連続的なスペクトルが得られる。単一の変調周波数で
実現するには、変調周波数を25MHzまで小さくする
必要がある。スペクトル幅を2.8GHzにするには、
変調振幅を28程度として、各波長のレーザ光のスペク
トル幅を2×28×25MHz≒1.4GHzとし、さ
らに和周波発生過程を経て、スペクトル幅をさらに2倍
にすればよい。しかし、このような大きな値の変調振幅
を得ることは現実的に不可能である。
【0059】そこで、さらに低い変調周波数成分を用い
て複数の位相変調を行うことで、単一周波数成分による
位相変調にて得られるスペクトルより緻密な周波数間隔
のスペクトルを発生させることができる。
【0060】具体的には、2種類の波長の基本波レーザ
光のそれぞれに対して、変調周波数が350MHzで変
調振幅が2ラジアンであるような位相変調を施す。さら
に、この波長変換前の基本波レーザ光の一方あるいは両
方に対して、変調周波数が100MHzで変調振幅が2
ラジアンであるような位相変調を施し、周波数間隔が1
00MHzの緻密なスペクトルに分離する。また、さら
に、変調周波数が25MHzで変調振幅が2ラジアンで
あるような位相変調を施す。
【0061】以上の位相変調を施し、得られるレーザ光
のスペクトルは、周波数間隔25MHzの多数のスペク
トルの集合体となり、略連続的なスペクトルを実現でき
る。従って、複数の周波数を用いて位相変調することに
より、変調振幅を大きくせずに周波数間隔を小さくする
ことが可能となる。その結果、連続的なスペクトルを発
生させることが可能となり、例えばナトリウム原子の励
起効率を改善することができる。
【0062】また、この複数の周波数成分で位相変調を
行う方法としては、複数の電気光学結晶を直列に配置し
それぞれに異なる周波数の電圧を印加する方法と、1つ
の電気光学結晶に複数の周波数成分をもつ信号を印加す
る方法とがある。特に、前者の場合、後述するように、
個々の電気光学結晶に印加する周波数で電気的に共振す
る回路を配設することにより、位相変調部の駆動電圧を
下げることが可能である。また、後者の場合、電気光学
結晶の個数を減らすことができ低コストで実現できる。
【0063】上述のように、複数の周波数にて位相変調
を行うことは、後述するようにスペックルノイズの除去
においても有効な作用を示す。
【0064】また、電気光学結晶としては、KTPの他
に、近赤外光を透過する全ての電気光学結晶が使用可能
である。特に、KTPの誘導体であるMTiOXO4
(M=K,Rb,Tl,NH4 ,Cs、X=P,As)
は、大きな電気光学効果を示し、かつ比較的高出力レー
ザ光による損傷も発生しにくいので高出力のレーザには
有効である。
【0065】また、上記具体例において、波長1319
nmの基本波レーザ光と、波長1064nmの基本波レ
ーザ光とを合波して、1つの位相変調部にて同時に2本
の基本波レーザ光に位相変調を施すことも可能である。
それぞれの基本波レーザ光に施す位相変調の変調周波数
と変調振幅とはそれぞれ独立して設定することはできな
いが、適切な変調周波数と変調振幅とを選択することに
より、スペクトル幅を有効に広げることができる。
【0066】また、変調周波数と変調振幅とは、本具体
例以外の値を用いても本発明の効果を得ることができ
る。ドップラー効果を受けたナトリウム原子の吸収線幅
は3GHzとかなり広いが、周波数安定化された一般的
な個体Qスイッチレーザの周波数は数10MHzに過ぎ
ない。
【0067】レーザ光の周波数幅を3GHzまで拡げな
くても、500MHz程度まで拡げれば十分に共鳴励起
効率を改善することができる。スペクトルの形状は連続
的であることが望ましいが、それぞれのスペクトル強度
が全体のスペクトル強度の和の30%以下である4本以
上のスペクトルからなるレーザ光を用いても、十分な励
起効率の改善が可能である。
【0068】図4に、本発明に係るレーザ光発生装置を
レーザ画像表示装置に適用した具体的な構成を示す。
【0069】一般に画像表示装置は、赤、緑、青の3色
の光源を必要とする。そこで、上記レーザ画像表示装置
によれば、例えば波長1319nmのレーザ光を発生す
るNd:YAGQスイッチレーザを有する第1のレーザ
光源51と、波長1064nmのレーザ光を発生するN
d:YAGQスイッチレーザを有する第2のレーザ光源
52と、波長946nmのレーザ光を発生するNd:Y
AGQスイッチレーザを有する第3のレーザ光源53と
が光源として用いられている。第1のレーザ光源51か
ら出射される基本波レーザ光の第2高調波は赤色のレー
ザ光、第2のレーザ光源52から出射される基本波レー
ザ光の第2高調波は緑色のレーザ光、第3のレーザ光源
53から出射される基本波レーザ光の第2高調波は青色
のレーザ光である。
【0070】また、各レーザ光源からの出射された基本
波レーザ光は、位相変調部54にて単数または複数の周
波数にて位相変調を受け、第2高調波発生装置55にて
波長変換されて第2高調波になり、スペクトル幅が広げ
られる。すなわち、時間的可干渉性が低下する。さら
に、強度変調器56にて画像信号による変調を受けた
後、デコヒーラ57にて時間的可干渉性の低下が空間的
可干渉性の低下に変換され、レーザ光のスペックルノイ
ズが低減される。一般に、スペックルノイズを低減させ
るためにスクリーン511側を移動させるが、ここでは
その必要がない。
【0071】ここで、位相変調部54は、各レーザ光源
に対応してそれぞれ独立に設けられるとともに電気光学
結晶例えばKTPを有して成る部分であり、外部より印
加される所定の変調周波数と変調振幅とにより入射され
る基本波レーザ光に対して位相変調を施し、上述したよ
うにスペクトル幅を広げる。変調周波数と変調振幅とを
適切に選ぶことで任意の可干渉性の実現が可能になる。
【0072】第2高調波発生部55は、位相変調部54
と同様に各レーザ光源に対応してそれぞれ独立に設けら
れ、また、非線形光学結晶例えばLBO、BBO等を有
して成る部分であり、位相変調された基本波レーザ光を
第2高調波に変換するすなわち当該基本波レーザ光の波
長を1/2波長に変換する。例えば、位相変調により基
本波レーザ光のスペクトル幅を500MHzまで拡げる
と、波長変換後のレーザ光のスペクトル幅は基本波の2
倍、1GHzまで広がる。コヒーレント長は0.2m程
度となる。
【0073】デコヒーラ57は、各レーザ光源に対応し
てそれぞれ独立に設けられるもので、レーザ光を分割
し、この分割されたレーザ光にコヒーレント長以上の光
路長差を持たせた後再度合成するものである。
【0074】ポリゴンミラー58は、周囲に一連の平面
反射面を持った回転部材であり、後述のガルバノミラー
59と共にスクリーン511上で各レーザ光源からの光
を走査するための偏向光学系を構成する。各レーザ光源
に対応する3つのデコヒーラ57から出射され合波され
たレーザ光を反射させ、プロジェクションレンズ510
を介してガルバノミラー59に入射させる。
【0075】ガルバノミラー59は、ガルバノモータ5
12により回動駆動可能に支持されるものであり、ポリ
ゴンミラー58の回転動作に応じて順次送られるレーザ
光に対応して高速に回動し、入射したレーザ光をスクリ
ーン511上に反射し投影する。
【0076】スペックルノイズを低減するには、コヒー
レント長以上の光路長の差があるところでのレーザ光の
可干渉性が十分に小さくなる必要がある。このために
は、波長変換後のレーザ光のスペクトルは、無視できな
い強度を持つ最低4本以上のスペクトルから構成され、
かつそれぞれのスペクトル強度が全体の強度の30%以
下であることが望ましい。以下説明する。
【0077】位相変調により波長変換後のレーザ光のス
ペクトルが分離しても、そのスペクトルの本数が例えば
3本以下か、あるいはその内の1本のスペクトル強度が
全体の強度の30%以上と大きい場合、特定の周波数に
スペクトル強度が集中しているので、レーザ光は完全に
多モード化したとはいえず、干渉性が十分に小さくなら
ない。この場合、コヒーレント長の2倍程度の距離で再
び干渉性が強く現れる。これは、デコヒーラの設計上、
不利である。
【0078】それに対して、それぞれのスペクトル強度
が全体の強度の30%以下となりかつ4本以上のスペク
トルから構成される場合、レーザ光のスペクトルはバラ
ンスよく多くのスペクトルに分離するため、干渉性は効
果的に減少する。可干渉性が再び大きくなる距離は、コ
ヒーレント長に比べて遠ざかるため、デコヒーラの設計
上有利である。
【0079】図5の例を参照しながら説明する。図5
は、ある周波数の高周波電圧信号で縦単一モードレーザ
に位相変調した場合のレーザ光スペクトル及び可干渉曲
線を示している。位相変調振幅mは、1.2≦m≦2.
4まで変化させている。この例のように、単一周波数
で、比較的小さい変調振幅にて位相変調を行う場合、可
干渉性は、ある光路長差(コヒーレント長)で一旦ゼロ
になるものの、光路長差が長くなるにつれて再び大きく
なる。これは、個々のスペクトルの間隔が等しいため、
隣同士のスペクトルの干渉性が強く出現するためであ
る。
【0080】特に変調振幅が小さく、m=1.2〜1.
4の場合、コヒーレント長の2.5倍程度の光路長差で
干渉性が再び最大になる。すなわち、m=1.4の例で
は、コヒーレント長80cmに対して、光路長差200
cmで可干渉性が再び最大になっている。コヒーレント
長のわずか2.5倍程度の光路長差で、再び干渉性が最
大になるような光源では、デコヒーラを使用してスペッ
クルノイズを除去することは困難である。
【0081】一方、変調振幅がm=1.6以上の場合、
スペクトルは無視できない強度の4本以上のスペクトル
から構成され、それぞれのスペクトル強度は全体の強度
の30%以下となる。この例の場合、可干渉性が再び最
大になる光路長差は、コヒーレント長の3倍以上とな
る。図5のm=1.6の例では、コヒーレント長60c
m対して、光路長差200cmで可干渉性が再び最大に
なっている。コヒーレント長と比較して、干渉性が再び
最大になる光路長差が十分に長い場合は、デコヒーラを
最適に設計することにより、スペックルノイズを有効に
除去できる。コヒーレント長の3倍程度の光路長差で最
大になる場合は、必ずしも十分とはいえないが、それで
もスペックルノイズ除去の効果を実現させやすい。
【0082】また、位相変調された後、波長変換された
レーザ光の全体のスペクトル幅は500MHz以上であ
ることが望ましい。これは、デコヒーラの設計上、あま
りに長いコヒーレント長ではデコヒーラのサイズが大き
くなりすぎるからである。スペクトル幅が500MHz
以上なら、コヒーレント長は0.4m程度となり、実用
的なサイズでデコヒーラを設計できる。
【0083】さらに、複数の周波数で位相変調した場合
は、より大きな効果が得られる。単一の周波数で位相変
調した場合、コヒーレント長以上にて、再び干渉性が大
きくなる光路長差が必ず存在する。この様子を図6のA
に示す。これは、レーザの各スペクトル間の間隔が異な
るため、コヒーレント長以上の光路長差にて、再び干渉
性が大きくなることはない。この様子を図6のBに示
す。これは、スペックルノイズを除去する上で有利であ
る。
【0084】ここでは、本発明をレーザ画像表示装置に
適用した具体例を説明したが、当該レーザ光は、上述の
具体例に限定されることはなく種々の変更が可能であ
る。
【0085】例えば、光源としてQスイッチレーザを用
い、また、Qスイッチレーザの具体例として固体レーザ
素子であるNd:YAGを用いた例を挙げたが、例えば
赤色光源としてクリプトンガスレーザ等の気体レーザ
や、レーザダイオード等の半導体レーザを用いてもよ
い。
【0086】また、上記の例では波長変換過程を利用し
てさらにスペクトル幅を広げた例を挙げたが、波長変換
後の光源を直接位相変調することも可能である。波長変
換過程を持たないレーザ光源も、本発明の効果である低
可干渉性とスペックルノイズの低減が実現できる。
【0087】なお、赤色光源としてクリプトンガスレー
ザやレーザダイオードを用いて、かつ波長変換を行わな
い場合、これら光源からのレーザ光は近赤外のレーザ光
に比べて波長が短いため、位相変調時に低電圧で大きな
変調効果が得られる。
【0088】また、赤、緑、青の3色の光源からのレー
ザ光をそれぞれ独立に位相変調を行う例を挙げたが、3
本のレーザ光を合波してから1台の位相変調部で3色同
時に位相変調することが可能である。この場合、位相変
調後のレーザ光を色分離フィルタで分離してから波長変
換部である第2高調波発生装置に入射させる。
【0089】また、位相変調処理を行う際の変調振幅や
変調周波数を制御することで、スペクトル幅を制御する
ことが可能になるため、スペックルノイズと色収差の両
方が実用レベルに達したレーザ光を実現することが可能
になる。
【0090】以上、本発明をレーザビーコン装置及びレ
ーザ画像表示装置の光源に用いた具体例を示したが、他
の光学装置の光源としてもよい。
【0091】また、位相変調を行う基本波レーザ光の光
源として、縦単一モードで発振する光源を用いたが、縦
多モードのレーザ光源を用いてもよい。例えば、Nd:
YAGQスイッチレーザが周波数間隔400MHz程度
で多モード発振している場合、このレーザ光に400M
Hz以下の変調周波数(例えば100MHz)にて位相
変調を行い、レーザ光のパワースペクトルをできるだけ
連続なスペクトルに近づけることにより、可干渉性を十
分に小さくすることができる。
【0092】また、位相変調する基本波レーザ光の光源
としてQスイッチ発振するレーザ光源を用いたが、連続
発振するレーザ光源としてもよい。この場合、波長変換
後のレーザ光に位相変調を施す。これは、一般に非線形
光学結晶を含む共振器の共振周波数に基本波レーザ光の
周波数を一致させると、高い変換効率にて波長変換を行
うが、波長変換前にスペクトルを広げると、波長変換効
率が大きく低下するからである。
【0093】位相変調部の構成例として、図3に示した
ように、2つのKTPを長手方向に直列に配置した例を
挙げたが、図7に示すように、例えば長手方向が30m
mで他の辺は全て2mmであるKTP62を用いて、こ
のKTP62の一側面に電極63を形成し、KTP62
の電極63と隣合う一表面で電極63から距離s例えば
0.5mmだけ内側で、電極間距離がsとなるように溝
電極64を設け、電極63を接地し溝電極64を増幅器
38に接続させてもよい。この場合、位相変調するレー
ザ光を2つの電極の間に入射させる。このように構成す
ることで、高周波信号発生部36で発生させ、KTP6
2に入力する電圧を小さくすることができる。また、入
射させるレーザ光のビーム直径を十分小さくしても結晶
にレーザ損傷が生じない場合、図7に示したような位相
変調部は特に有効である。
【0094】また、KTPに入力する電圧を小さくする
例として、図8に示したように、2つのKTP62a、
62bを別々のマウント42a、42bにそれぞれ配置
するとともに長手方向に直列に配置し、例えばKTP6
2aのマウント42aとは反対の面に電極65を設け
て、この電極65と増幅器38aとの間にコイル63を
挿入接続して構成することが挙げられる。
【0095】一般に、電気光学結晶の電気容量をCxtal
とし、電気光学結晶上に配設された電極に一端が接続さ
れるコイルのインダクタンスをLとすると、以下の(1
0)式に示すように、当該コイルの他端に周波数fr
高周波信号が入力されると電気光学結晶とコイルとは電
気的な共振系を形成する。
【0096】
【数8】
【0097】そこで、個々の位相変調部には、第1の高
周波信号発生部36aあるいは第2の高周波信号発生部
36bより単一の周波数の信号を印加して、(10)式
に基づいて各周波数に応じて電気的に共振するようにコ
イルのインダクタンスを設定することで、略1/10程
度の電圧をKTP62a、62bに印加することによ
り、同等の大きさの変調振幅を得ることが可能である。
電気光学結晶としては、誘電損失が小さいすなわち電気
抵抗の大きい結晶である燐酸二水素カリウム(KH2
4)、燐酸二水素アンモニウム(NH42PO4 )、
β−硼酸バリウム(β−BaB24,β−BBO)、チ
タン酸砒酸ルビジウム(RbTiOAsO4)、チタン
酸砒酸セシウム(CsTiOAsO4 )、ニオブ酸リチ
ウム(LiNbO3 )、タンタル酸リチウム(LiTa
3 )等を用いるときに特に有効である。
【0098】また、高周波でかつ小さい変調振幅でスペ
クトル幅を広げるために400MHz以上のいわゆる高
周波数の信号にて位相変調を行う場合、マイクロ波導波
路の内部に電気光学結晶を配置するように位相変調部を
構成してもよい。この場合、電気光学結晶に電圧を印加
する際に上記マイクロ波導波路を共振させれば、印加電
圧が小さくて済む。
【0099】また、電気光学結晶を挟んで一対のミラー
を設けてもよく、この場合、結晶に入射したレーザ光に
結晶内を繰り返し進行させることで、位相変調が行われ
る作用距離を長くして必要な電圧を低減することができ
る。なお、このミラーは、外部に配設してもよいし、結
晶表面に高反射膜を被着形成しこの面の一部に低反射膜
を形成したものでもよい。また、入射角を調節すること
で生じる全反射現象を利用してもよい。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るレー
ザ光発生装置によれば、基本波レーザ光を位相変調する
際に変調周波数及び変調振幅を制御するための、簡単な
構成を光学装置の光源に付加することで、この光学装置
に要求される可干渉性を実現し、スペックルノイズを低
減することが可能になる。
【0101】また、複数の変調周波数にて位相変調を行
う場合、連続的なスペクトルを発生させ、スペックルノ
イズをさらに低減するとが可能になる。
【0102】また、波長変換する前に位相変調すると、
電気光学結晶に入射するレーザ光が近赤外領域の光であ
るため、電気光学結晶のレーザ損傷を抑えることが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ光発生装置をレーザビーコ
ン装置の光源として用いたときの具体的な構成を示す図
である。
【図2】上記レーザ光発生装置にてなされる位相変調を
説明する図である。
【図3】上記レーザ光発生装置における位相変調部の一
具体的な構成を示す図である。
【図4】上記レーザ光発生装置をレーザ画像表示装置の
光源として用いたときの具体的な構成を示す図である。
【図5】レーザ光スペクトル及び可干渉曲線を示すグラ
フである。
【図6】上記位相変調部にて位相変調されたレーザ光の
コヒーレント長以上での可干渉性を示すグラフである。
【図7】上記位相変調部の第二の具体例の構成例を示す
図である。
【図8】上記位相変調部の第三の具体例の構成例を示す
図である。
【図9】従来のレーザ光発生装置の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
31 第1のレーザ光源 32 第2のレーザ光源 33 和周波発生部 34、35 位相変調部 36、37 高周波信号発生部 36a 第1の高周波信号発生部 36b 第2の高周波信号発生部 41a、41b KTP 51 第1のレーザ光源 52 第2のレーザ光源 53 第3のレーザ光源 54 位相変調部 55 第2高調波発生装置 62 KTP 62a、62b KTP 64 溝電極 63、64 コイル

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光源と、 上記レーザ光源が出射するレーザ光を、単数又は複数の
    周波数成分で位相変調する位相変調手段と、 上記位相変調手段により位相変調されたレーザ光の波長
    を、他の波長に変換する波長変換手段とを有することを
    特徴とするレーザ光発生装置
  2. 【請求項2】 レーザ光源と、 単数又は複数の周波数成分を有する高周波電気信号を生
    成し出力する高周波信号生成手段と電気光学結晶を有
    し、上記高周波電気信号が印加されている上記電気光学
    結晶内に、上記レーザ光源が出射するレーザ光を透過さ
    せることにより、上記レーザ光の位相を変調する位相変
    調手段と、 非線形光学結晶を有し、上記非線形光学結晶内に、上記
    位相変調手段により位相変調されたレーザ光を透過させ
    ることにより、上記レーザ光の波長を変換する波長変換
    手段とを有することを特徴とするレーザ光発生装置
  3. 【請求項3】 上記レーザ光源は、固体レーザ素子を有
    するQスイッチレーザであることを特徴とする請求項2
    記載のレーザ光発生装置。
  4. 【請求項4】 上記レーザ光源は、連続発振するレーザ
    光源であることを特徴とする請求項2記載のレーザ光発
    生装置。
  5. 【請求項5】 上記レーザ光源は、縦単一モードにてレ
    ーザ光を発振するレーザ光源であることを特徴とする請
    求項2記載のレーザ光発生装置。
  6. 【請求項6】 上記レーザ光源は、2本ないし3本のス
    ペクトルからなる、縦多モードのレーザ光を発振するレ
    ーザ光源であることを特徴とする請求項2記載のレーザ
    光発生装置。
  7. 【請求項7】 上記電気光学結晶は、チタン酸燐酸カリ
    ウム、チタン酸燐酸カリウム誘導体、β−硼酸バリウ
    ム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、燐酸二水
    素カリウム、燐酸二水素アンモニウムの内の少なくとも
    1つから構成されていることを特徴とする請求項2記載
    のレーザ光発生装置。
  8. 【請求項8】 上記位相変調手段は、それぞれ異なる周
    波数で動作する複数の位相変調装置を直列に設置して構
    成されることを特徴とする請求項2記載のレーザ光発生
    装置。
  9. 【請求項9】 上記位相変調手段は、コイルと電気光学
    結晶とを有し、これらのコイル及び電気光学結晶が形成
    する共振系が、電気光学結晶に印加される駆動電圧を増
    幅する作用を有することを特徴とする請求項2記載のレ
    ーザ光発生装置。
  10. 【請求項10】 上記位相変調手段は、マイクロ波導波
    路と電気光学結晶を有し、マイクロ波導波路内に電気光
    学結晶を配することにより形成されるマイクロ波共振系
    が、電気光学結晶に印加される駆動電圧を増幅する作用
    を有することを特徴とする請求項2記載のレーザ光発生
    装置。
  11. 【請求項11】 上記位相変調手段は、入力される基本
    波レーザ光が電気光学結晶中を繰り返し複数回透過する
    構成としたことを特徴とする請求項2記載のレーザ光発
    生装置。
  12. 【請求項12】 上記位相変調手段は、電気光学結晶の
    表面に、変調されるレーザ光が透過する軸に沿って溝が
    形成され、上記溝の内部側面に一方の電極が形成される
    ことを特徴とする請求項2記載のレーザ光発生装置。
  13. 【請求項13】 上記非線形光学結晶は、チタン酸燐酸
    カリウム、チタン酸燐酸カリウム誘導体、β−硼酸バリ
    ウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、燐酸二
    水素カリウム、燐酸二水素アンモニウム、硼酸セシウム
    リチウムの内の少なくとも1つを備えて成ることを特徴
    とする請求項1記載のレーザ光発生装置。
  14. 【請求項14】 大気中の原子を共鳴励起することによ
    り作用するレーザビーコン装置において、 レーザ光源と、 上記レーザ光源が出射するレーザ光を単数又は複数の周
    波数成分で位相変調する位相変調手段と、 上記位相変調手段により位相変調されたレーザ光の波長
    を他の波長に変換する波長変換手段とを有して成るレー
    ザ光発生装置を有することを特徴とするレーザビーコン
    装置。
  15. 【請求項15】 可視レーザ光をスクリーン上で走査す
    るレーザ画像表示装置において、 レーザ光源と、 上記レーザ光源が出射するレーザ光を単数又は複数の周
    波数成分で位相変調する位相変調手段と、 上記位相変調手段により位相変調されたレーザ光の波長
    を他の波長に変換する波長変換手段とを有して成るレー
    ザ光発生装置を有することを特徴とするレーザ画像表示
    装置。
  16. 【請求項16】 大気中の原子を共鳴励起することによ
    り作用するレーザビーコン装置において、 レーザ光源と、 単数又は複数の周波数成分を有する高周波電気信号を生
    成し出力する高周波信号生成手段と電気光学結晶を有
    し、上記高周波電気信号が印加されている上記電気光学
    結晶内に、上記レーザ光源が出射するレーザ光を透過さ
    せることにより、上記レーザ光の位相を変調する位相変
    調手段と、 非線形光学結晶を有し、上記非線形光学結晶内に、上記
    位相変調手段により位相変調されたレーザ光を透過させ
    ることにより、上記レーザ光の波長を変換する波長変換
    手段とを有して成るレーザ光発生装置を有することを特
    徴とするレーザビーコン装置。
  17. 【請求項17】 可視レーザ光をスクリーン上で走査す
    るレーザ画像表示装置において、 レーザ光源と、 単数又は複数の周波数成分を有する高周波電気信号を生
    成し出力する高周波信号生成手段と電気光学結晶を有
    し、上記高周波電気信号が印加されている上記電気光学
    結晶内に、上記レーザ光源が出射するレーザ光を透過さ
    せることにより、上記レーザ光の位相を変調する位相変
    調手段と、 非線形光学結晶を有し、上記非線形光学結晶内に、上記
    位相変調手段により位相変調されたレーザ光を透過させ
    ることにより、上記レーザ光の波長を変換する波長変換
    手段とを有して成るレーザ光発生装置を有することを特
    徴とするレーザ画像表示装置。
  18. 【請求項18】 レーザ光源と、 単数又は複数の周波数成分を有する高周波電気信号を生
    成し出力する高周波信号生成手段と電気光学結晶を有
    し、上記高周波電気信号が印加されている上記電気光学
    結晶内に、上記レーザ光源が出射するレーザ光を透過さ
    せて上記レーザ光の位相を変調することにより、スペク
    トル線数が4本以下で、かつそれぞれのスペクトル強度
    が全スペクトル強度の強度の総和の30%以下であり、
    かつ全体のスペクトル幅が500MHz以上であるレー
    ザ光を生成する位相変調手段と、 上記位相変調手段により位相変調されたレーザ光の波長
    を、非線形光学結晶素子を用いて他の波長に変換する波
    長変換手段とを有することを特徴とするレーザ光発生装
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