JPH09111633A - メルトブロー不織布の製造方法 - Google Patents

メルトブロー不織布の製造方法

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JPH09111633A
JPH09111633A JP27028795A JP27028795A JPH09111633A JP H09111633 A JPH09111633 A JP H09111633A JP 27028795 A JP27028795 A JP 27028795A JP 27028795 A JP27028795 A JP 27028795A JP H09111633 A JPH09111633 A JP H09111633A
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JP
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nonwoven fabric
nozzle
melt
spray
surfactant
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JP27028795A
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English (en)
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Masaru Kadota
優 門田
Tomoji Miyoshi
智次 三好
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 親水化剤を不織布を構成する繊維に均一に、
効率よく含有させ、吸水性能に優れ、風合いが良好でク
リーンルーム用ワイパーや工業用ワイパーの拭き布とし
て好適に用いることができるメルトブロー不織布の製造
方法の提供。 【解決手段】 熱可塑性樹脂を溶融し、押出し紡糸機の
ノズル孔から押し出すと同時に、溶融樹脂を細化して極
細繊維を形成し、得られる繊維群を捕集支持体上に捕
集、集積して不織布とするメルトブロー不織布の製造方
法であって、前記ノズル孔より吐出された溶融樹脂が細
化、固着、捕集されてウェブ形成される間の紡糸線上の
糸条に向けて、細化と固着が完了し、捕集される間に界
面活性剤を含む水溶液を二流体スプレーノズルにより噴
霧し、糸条を急冷するとともに不織布に親水性を付与す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クリーンルーム用
ワイパー、工業用ワイパー等のワイパーに好適な不織布
を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メルトブロー不織布の製造工程は、熱可
塑性樹脂を溶融し、ノズルから押し出すと同時に、ノズ
ル近傍で高温、高速の空気で得られた溶融樹脂を細化
し、極細繊維を形成する紡糸工程と、極細繊維が未だ完
全に固化せず融着性を持った状態で、極細繊維を捕集支
持体上に集積し、不織布を形成する捕集工程とからな
る。メルトブロー不織布は、ノズルから噴射された溶融
樹脂が細化され、捕集面に達する間に適度に固化し、そ
の間に各構成繊維相互が部分的に融着するため、嵩高で
柔軟な風合いを有する。そのため、より一層嵩高で柔軟
なメルトブロー不織布を得るためには、噴射された溶融
樹脂が捕集面に到達するまでの間に極細繊維となるよう
に十分に細化し、かつ適度に固化できる程度の樹脂量を
吐出する必要があり、ノズル孔の単位当りの溶融樹脂の
吐出量は自ずと限られるものであった。
【0003】即ち、溶融樹脂の吐出量が多すぎると、捕
集工程へ到達するまでに十分に細化されず、得られる構
成繊維自体の剛度が高くなり、又十分に冷却されない繊
維が捕集面に到達するため構成繊維間の自己融着が強く
なりすぎ、風合いの硬いシートしか得られず、さらに冷
却不足の繊維が樹脂粒となって繊維表面に付着し易くな
り、ショット欠点の多いシートとなってしまう。そこ
で、溶融樹脂の吐出量を多くするため、紡糸工程から冷
却工程までの距離を大きくし、十分な冷却が得られるよ
うにした場合でも、紡糸線上での各繊維相互の融着が顕
著になりシート中に繊維が結束したロープ状の欠点が多
いシートとなってしまうとともに、捕集工程に到達する
際の糸条の速度が小さくなりすぎ、噴射された空気によ
って捕集工程に到達した繊維ウェブを上方から押さえる
力が不足するため、各構成繊維間に十分な自己接着を形
成させることが出来ず、強度の弱いシートしか得られな
いのである。
【0004】このようにして得られたメルトブロー不織
布は、構成繊維が極細繊維であることに由来して、フィ
ルター、マスク等に用いられたり、疎水性の熱可塑性樹
脂を原料として用いることにより水バリア性、即ち液体
を媒体とするバクテリアのバリア性を持ち、また各構成
繊維間が、繊維自身の自己融着により結合しているた
め、使用時のリントが発生しにくく、通気性も有するこ
とから手術着、包帯等の医療用基材として種々用いられ
てきた。また極細繊維で構成された不織布は構成繊維間
々隙が小さく、繊維間の毛細管現象による高い吸液性と
拭取り性が望めることから、メルトブロー不織布をその
ままで、或いは界面活性剤、殺菌剤等の各種処理剤で後
加工して、油吸着剤やワイパーの用途に好適に使用され
ている。
【0005】メルトブロー不織布は、前記の特性を利用
して、特に高い吸液性と発生リント量が少ないことが要
求されるクリーンルーム用ワイパーや工業用ワイパーに
多く用いられてきている。これらワイパーの用途にメル
トブロー不織布を使用しようとする場合、界面活性剤に
よる親水化処理が不可欠である。しかしながら、メルト
ブロー不織布は極細繊維で構成されるため不織布を形成
する繊維表面積が従来の織布、不織布と比較して格段に
大きく、また、不織布の保水率が高いため、均一にかつ
効率的に親水化処理を行うことが困難であった。従来か
ら織布、不織布等の基材を親水化する親水化処理方法と
しては、グラビア印刷法、スプレー法、泡塗工法、含浸
法等の方法が用いられてきた。しかしながら、これらの
方法をメルトブロー不織布の親水化に適用しようとする
場合、以下に示すような問題点があった。
【0006】例えば、グラビア印刷法により親水化処理
剤を塗布して親水化処理を行う場合、不織布表面への塗
布は可能であるが、グラビアロールのカップに保持でき
る界面活性剤を含む水溶液の量が全量メルトブロー不織
布の表面に移行せず、そのため界面活性剤が構成繊維表
面に十分に行き渡らず、その結果必要な親水性をメルト
ブロー不織布に付与することが困難であった。またスプ
レー法により親水化処理を行う場合、親水化処理後の乾
燥負荷を減らし、効率よく生産するために界面活性剤を
含む水溶液の濃度を高くし、少ないスプレー量で親水化
処理を行おうとすると、グラビア印刷法による場合と同
様、界面活性剤が構成繊維表面に十分に行き渡らず、必
要な親水性を得ることが出来ない。
【0007】一方、使用する界面活性剤の濃度を薄く
し、スプレー量を多くして塗布量を多くすれば、メルト
ブロー不織布全体に界面活性剤水溶液を行き渡らせるこ
とができ、十分な親水性を付与し易くなるが、多量の水
分がメルトブロー不織布に含有されるので、不織布の乾
燥に多大なエネルギーを必要とする。同様に泡塗工法に
より親水化処理を行う場合も、スプレー法を用いる場合
と同様に、メルトブロー不織布全体に界面活性剤を含む
水溶液を行き渡らせ、所望の親水性を付与するために
は、大量の界面活性剤を付与しなければならず、その結
果、親水化処理後の乾燥工程に多大なエネルギーが必要
となってしまう。含浸法により親水化処理を行う場合
は、メルトブロー不織布全体に均一に所定の親水性能を
付与することが出来るが、含浸後の絞り工程において余
分の含浸液をプレスで絞って除去する際に不織布が潰さ
れるため、得られる不織布の嵩高性が損なわれてしま
う。その上、含浸法によりメルトブロー不織布に付着さ
れる界面活性剤を含む水溶液の量は、スプレー法や泡塗
工法と同様に多いため、親水化処理後の不織布の乾燥に
多大なエネルギーを要することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、メルトブロー不織布に親水性を付与するた
め界面活性剤を効率よく含有させることについて鋭意研
究した結果、メルトブロー不織布の製造方法の紡糸工程
において溶融樹脂を高温、高速のエアーで細化し、繊維
同士を固着させながら冷却するということに着眼し、細
化、固着し、まだかなりの温度を有する繊維群に、界面
活性剤を含有する水溶液を二流体スプレーノズルにより
噴霧し、糸条を急冷させると、吐出量を多くして生産量
を高めながら、乾燥工程を経なくても親水化剤を不織布
に均一に含有させ、優れた柔軟性、吸水性及び吸油性を
不織布に付与させることができることを見出し本発明を
完成させるに至った。本発明の目的は、親水化剤を含有
する水溶液を紡糸線上の糸条に噴霧し、親水化剤を不織
布を構成する繊維に均一に、効率よく含有させ、吸水性
能に優れ、風合い良好でクリーンルーム用ワイパーや工
業用ワイパーのようなワイパーとして好適に用いること
のできるメルトブロー不織布を効率的に製造する方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
を溶融し、押出し紡糸機のノズル孔から押し出すと同時
に、溶融樹脂を細化して極細繊維を形成し、得られる繊
維群を捕集支持体上に捕集、集積して不織布とするメル
トブロー不織布の製造方法において、前記ノズル孔より
吐出された溶融樹脂が細化、固着、捕集されてウェブ形
成される間の紡糸線上の糸条に向けて、細化と固着が完
了し、捕集される間に界面活性剤を含む水溶液を二流体
スプレーノズルにより噴霧し、糸条を急冷するとともに
不織布に親水性を付与することを特徴とするメルトブロ
ー不織布の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、熱可塑性樹脂を押出
し紡糸機においてノズル孔から吐出して紡糸し、同時に
高温のエアーを高速度で吹き付け細化して極細繊維と
し、次いで繊維同士を融着により固着させ、得られる繊
維群の糸条を捕集支持体上に捕集する前に界面活性剤を
含む水溶液を繊維群に噴霧し、糸条が急冷される。本発
明で熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、エチレン−プロピレンコポリマー等のポリオレフ
ィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート等のポリエステル系熱可塑性
樹脂、ナイロン等のポリアミド系熱可塑性樹脂等を挙げ
ることができ、これらの中から選ばれて用いられる。中
でも得られる繊維の風合いが柔軟で、安価に入手できる
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、特に把持したときにぬ
めり間が感じられず、触感に優れるポリプロピレン樹脂
を用いることが好ましい。使用する樹脂のJIS K−
7210 条件14に記された方法で測定されたメルト
フローレートは、500g/10分以上であることが好
ましい。メルトフローレートが500g/10分未満で
は、押出し機のノズルからの溶融樹脂の吐出量を少なく
してメルトブロー不織布を製造することは可能である。
しかしながら不織布を高速度で生産しようとして、溶融
樹脂の吐出量を多くした場合、紡糸工程において繊維が
十分に細化されず、風合いの硬いシートしか得られな
い。
【0011】又、溶融樹脂の吐出量を多くしたままで紡
糸工程での細化を進めるために紡糸温度を高く設定し、
樹脂の流動性をあげる方法をとることが考えられるが、
紡糸温度を高くすると樹脂の熱分解が促進され、風合い
の良好なシートを効率よく安定して製造することが困難
になるため好ましくない。逆に使用する樹脂のメルトフ
ローレートは限りなく高くすれば良いというわけではな
く、メルトフローレートが高くなりすぎると樹脂の製造
と造粒が困難になるとともに、メルトブロー不織布の製
造時においても押出し機のノズル孔から溶融樹脂を均一
に吐出させるための条件が厳密になり、不織布を安定し
て製造し難くなるため好ましくない。このため、安定し
てメルトブロー不織布を製造できる樹脂のメルトフロー
レートの上限は1200g/10分程度である。押出し
紡糸機のノズル孔から溶融樹脂を吐出する際の紡糸温度
は、使用する樹脂の種類、メルトフローレート、使用す
る装置等により適宜選択して決められるが、例えばポリ
プロピレン樹脂を原料として用いる場合、240℃〜3
00℃の範囲が好ましい。この場合の紡糸温度が240
℃未満では、ノズルから吐出される溶融樹脂の流動性が
不足し、紡糸工程において繊維が十分に細化されず、得
られるメルトブロー不織布の風合いが硬いものとなって
しまう。逆に紡糸温度が300℃を越えると溶融樹脂の
分解が進みやすく、安定して紡糸し難くなるため好まし
くない。
【0012】ノズルから捕集面までの距離(以下捕集距
離という)は、溶融樹脂の吐出量、紡糸温度、得ようと
するメルトブロー不織布の密度により適宜選択できる。
即ち、溶融樹脂の吐出量を多くしたり、紡糸温度を高く
設定しようとする場合は、ノズルから噴射された繊維が
十分に細化し、適度に固化するために長い捕集距離を設
定し、又嵩高なメルトブロー不織布を得ようとする場合
も、ノズルから噴射された極細繊維とそれを搬送する熱
風の速度を適度に減少させるために、長い捕集距離が必
要となる。このように、所望の特性を得るために適度に
バランスさせた製造条件の設定が必要である。しかしな
がら、本発明においては、糸条の冷却効果の大部分は噴
射された界面活性剤の水溶液の液滴が糸条に到達し、蒸
発することにより得られ、不織布の風合いも、繊維表面
に吸着した界面活性剤の効果により非常に滑らかな不織
布が得られるため、各特性の組み合わせはそれほど厳密
である必要はない。
【0013】本発明では、得られるメルトブロー不織布
がワイパーとして必要な嵩高さが得られる条件を主体に
設定すれば良く、捕集距離は250〜500mmの範囲
が好ましい。捕集距離が250mm未満では、得られる
メルトブロー不織布は緻密なものとなり、嵩高性が不足
し、ワイパーとして使用する際に、吸液性が不充分とな
るため好ましくない。逆に捕集距離が500mmを越え
ると、紡糸線上での各繊維相互間の融着が顕著になり、
不織布中にロープ状の欠点が増加するとともに、捕集面
に達する際の糸条と糸条に随伴する熱風の速度が低下
し、得られるメルトブロー不織布の強度が弱いものとな
ってしまう。
【0014】本発明で用いられるスプレー装置を構成す
るスプレーノズルとしては、二流体スプレー、その他に
フルコーンスプレー、ホロコーンスプレー、フラットス
プレー等の一流体スプレーが挙げられるが、少量の水溶
液を糸条に均一に噴射でき、水溶液と同時に噴射される
圧縮空気によって効率よく糸条を冷却することが可能な
二流体スプレーを使用するのが好ましい。フルコーンス
プレー、ホロコーンスプレー、フラットスプレー等の一
流体スプレーは、1つのノズルから噴射される液量が多
くなりすぎ、得られるメルトブロー不織布が水浸しの状
態となり、捕集工程の後に乾燥工程が必要となる。更
に、多量の水溶液が紡糸線上に噴射されることとなるた
め、ノズルから吐出された糸条の流れ方向が乱され、得
られるメルトブロー不織布の目付プロファイルを悪化さ
せる原因となるため使用に適さない。
【0015】スプレー噴霧装置のスプレーノズルは、押
出し紡糸機のノズル面より100〜200mm下方の位
置に設置するのが好ましい。この位置がノズル面より1
00mm未満では、糸条が十分に細化、固着される前に
糸条を急冷してしまう結果となり、得られるメルトブロ
ー不織布の風合いが硬いものとなる。又、スプレー噴霧
装置のスプレーノズルより噴霧された水溶液が、押出し
機のノズル表面にも到達することになり、該ノズル孔の
温度を変動させるため、得られるメルトブロー不織布の
性質が安定しないものとなってしまう。逆に、スプレー
噴霧装置のスプレーノズルが押出し機のノズル面より2
00mmを越える位置に設置されると、糸条表面が冷却
し始めたところで冷却することとなるため、スプレー噴
霧による冷却を効率的に行うことができず、不織布の風
合いが硬いものとなる。
【0016】前記のスプレー噴霧装置のスプレーノズル
は、樹脂が押出し機のノズルから吐出、紡糸され、エア
ーで細化され、次いで固着され、捕集用の支持体上に到
達するまでの紡糸線の幅方向に平行に、紡糸線に対して
直角に、均一に噴霧できるように複数個設置されるが、
これは押出し機の大きさ、即ち紡糸幅、スプレーノズル
の種類、性能等により適宜決められる。スプレーノズル
の紡糸線からの距離は150〜300mmの範囲で設置
されるのが望ましい。紡糸線からの距離が150mm未
満では、スプレー噴霧装置のスプレーノズルから噴霧さ
れた圧縮空気が、紡糸線上を流れている糸条に強く接触
して干渉し、得られるメルトブロー不織布の目付プロフ
ァイルを悪化させるため好ましくない。逆に、紡糸線か
らの距離が300mmを越えて遠くなると、噴霧された
水溶液は紡糸線上の広範囲に噴霧されることとなり好ま
しくない。即ち、糸条の冷却を効率よく行うためには、
糸条の細化が十分に行われた直後に液体と空気を送り込
み糸条と接触させ急冷することが好ましいが、スプレー
ノズルの紡糸線からの距離が300mmを越えている場
合、ノズルから噴霧された水溶液が紡糸線上の広範囲に
わたって漫然と噴霧されるので、糸条を効率的に急冷さ
せることが困難になり、風合いの柔軟なメルトブロー不
織布を得ることができなくなるため好ましくない。ま
た、スプレー噴霧装置の設置場所は、ウェブの搬送方向
の反対側(上流側)に設置しても、ウェブの搬送方向側
(下流側)に設置してもよく、さらに上流側と下流側の
両方に設置することもできる。
【0017】スプレー噴霧装置を構成する二流体スプレ
ーから噴射される圧縮空気の圧力は、0.5〜2.0k
g/cm2の範囲が好ましい。圧縮空気圧が0.5kg
/cm2未満では、界面活性剤を含む水溶液を細かい粒
子の霧状にし難くなり、繊維表面に均一に界面活性剤を
付着させらられないので好ましくない。逆に、圧縮空気
圧が2.0kg/cm2を越えると、圧縮空気が紡糸線
上の糸条に強く接触して干渉し、得られるメルトブロー
不織布の目付プロファイルを悪化させるとともに、空気
によって冷却、固化中の極細繊維の相互間が融着し、ロ
ープ欠点を形成し易くなるため好ましくない。二流体ス
プレーノズルから噴霧される界面活性剤の水溶液の量
は、得ようとする親水性、押出し機のノズルから吐出さ
れる溶融樹脂量、必要とする冷却の程度等により適宜決
められ、得られるメルトブロー不織布が乾いた状態であ
り、かつ柔軟な風合いと優れた親水性が得られるように
調整することができる。
【0018】本発明で用いられる界面活性剤の種類は、
公知の様々なものを使用することができ、例えば、カル
ボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エス
テル塩等のアニオン系界面活性剤、第1級アミン塩、第
2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩
等のカチオン系界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性
剤、ベタイン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤、ポ
リエチレングリコール型非イオン界面活性剤、多価アル
コール型非イオン界面活性剤等の非イオン界面活性剤等
を挙げることができ、これらの中から適宜選択し、水に
溶解して界面活性剤を含む水溶液が得られる。以上に説
明したように、界面活性剤を含む水溶液をスプレー噴霧
装置により紡糸線上の繊維群の糸条に噴霧してメルトブ
ロー不織布に含有される界面活性剤の量は、不織布の重
量当り0.5〜3.0重量%の範囲で調整される。界面
活性剤の含有量が不織布重量当り0.5重量%未満で
は、メルトブロー不織布に十分な親水性を付与すること
が困難となり、ワイパーの用途には適さないものとな
る。逆に、界面活性剤の含有量が3.0重量%を越える
と、ワイパーとしての親水性は十分であるが、多量の液
体を拭き取った際に不織布から界面活性剤が脱離し易
く、拭き取り時に泡立ちが発生し易くなるため、ワイパ
ーとして使用するのに適さない。
【0019】本発明において、メルトブロー不織布の目
付は、ノズルからの溶融樹脂吐出量と捕集面の移動速度
(ライン速度)によって決定され、20〜200g/m
2の範囲である。不織布の目付が20g/m2未満では、
得られるワイパーの厚みが不足し、十分な吸液量が得ら
れないため好ましくない。また、不織布の目付が200
g/m2を越えると、得られるワイパーの厚みが大きく
なりすぎ、ワイパーとして取り扱い難くなるので好まし
くない。本発明にかかるメルトブロー不織布は、不織布
の表面強度、見栄え、取扱い易さを向上させるために、
公知の熱エンボス装置や超音波接着装置によるエンボス
加工を施しても良い。
【0020】本発明においてもっとも重要な点は、スプ
レー噴霧装置の二流体スプレーノズルを押出し機のノズ
ルと捕集面との間の紡糸線に向けて設置し、紡糸線と直
角方向に界面活性剤を含む水溶液を噴霧することによ
り、糸条を急冷するとともに不織布に親水性を付与する
点にある。この処理によりワンステップで吸水性に富ん
だワイパー用基材を得ることができ、しかもスプレー噴
霧装置のスプレーノズルから噴霧された水溶液は、押出
し機のノズルから樹脂が吐出、紡糸されて得られる繊維
群の糸条の熱により蒸発し、捕集用支持体上で捕集され
る際には乾燥しているため、特別な乾燥装置は不要であ
る。又、紡糸線上の糸条は、噴霧により界面活性剤を含
む水溶液及び水溶液とともに吹き付けられる圧縮空気
で、細化、固着された後に急冷されるので、押出し機の
ノズルより吐出される糸条の冷却不足という問題が解消
され、そのため押出し機における溶融樹脂の吐出量を高
く設定でき、生産効率が大幅に向上する。
【0021】更に、紡糸線上で個々の糸条に向けて界面
活性剤を含む水溶液が噴霧されるため、各々の繊維表面
にまんべんなく均一に界面活性剤が付着し、得られるメ
ルトブロー不織布の親水性が顕著に向上し、吸水性が高
いものとなる。又、公知のメルトブロー不織布の製造工
程では、繊維が捕集面に到達した後でも繊維表面にまだ
残留する熱溶融接着力により繊維相互が融着しながら不
織布が形成されるが、本発明では各繊維が捕集面上でウ
ェブ化される前に界面活性剤を含む水溶液と圧縮空気で
冷却処理されることにより、繊維群が捕集面上に到達し
た際の溶融接着力を弱くすることができ、結果的に繊維
同士の接着が適度に抑制されるため、得られるメルトブ
ロー不織布が非常に嵩高で柔軟なものとなる。以上説明
したように、本発明は、メルトブロー法による不織布の
製造方法において、口金より吐出された溶融樹脂が細
化、固着しながら繊維形成される紡糸線上に向けて直角
に、二流体スプレーノズルにより霧状にした界面活性剤
を含む水溶液を圧縮空気と一緒に噴射し、糸条を急冷す
るとともに、得られる不織布に優れた嵩高性と親水性を
付与することを特徴とするメルトブロー不織布の製造方
法に関するものであり、吸水性に優れ、風合いの良好な
メルトブロー不織布を高い生産性で効率よく生産するこ
とができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例において、%はすべて重
量%である。
【0023】実施例1 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が350
mmの押出し機を使用して紡糸温度260℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1mm間隔で設置されて
いる500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐出量
は、ノズル孔1個当り、1.0g/分であった。押出し
機のノズルから吐出された糸条は、直ちに高速で吹き付
けられる温度260℃の加熱空気で捕集面に向かって流
下させながら細化と固着を行い、前記ノズルから150
mm下方で、かつ紡糸線から200mm上流(不織布の
流れ方向と反対方法)に設置されたスプレー噴霧装置の
スプレーノズルにより界面活性剤を含む水溶液を紡糸線
(糸条の流れ)に対して直角に噴霧して前記水溶液と冷
たい圧縮空気で糸条を急冷し、速度12m/分で移動す
る捕集面上に集積し、目付75.8g/m2のメルトブ
ロー不織布を得た。
【0024】前記スプレー噴霧装置は、二流体スプレー
ノズルを幅方向に150mm間隔で4個配置されてお
り、スプレー噴霧装置により噴霧された界面活性剤を含
む水溶液は、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウムエステ
ル塩を主成分とするアニオン系界面活性剤(商品名:ネ
オコールSW−C、第一工業製薬製)を、水で濃度1%
に希釈して使用した。二流体スプレーに供給した圧縮空
気圧は1.0kg/cm 2で、界面活性剤を含む水溶液
の噴霧量は幅1m当り1100g/分となるようにし
た。界面活性剤の含有量は不織布重量当り1.1%であ
った。得られたメルトブロー不織布の目付、厚さ、密
度、引張強度、風合い、吸水速度、保水率、吸油速度、
保油率を下記の試験方法で試験し、その結果を表1に示
した。
【0025】試験方法 (1)目付 A4サイズの試料10枚の重量を測定し、1m2当りの
重量、gを算出した。 (2)厚さ JIS L 1906に準じて2KPa加重下での厚さ
(μm)を測定した。 (3)密度 目付を厚さで除してg/cm3で表示した。 (4)風合い モニター20人による官能評価により風合いを評価し
た。モニターは、不織布を手で把持し、シートの嵩高
さ、柔らかさ、シート表面の触感等の手触り感を判定し
て次の基準による0〜5点までの評価で表し、その合計
点数(100点満点)を風合い値として表した。 5点:シートの手触り感が非常に優れている 4点:シートの手触り感が優れている 3点:シートの手触り感がふつうである 2点:シートの手触り感がやや劣る 1点:シートの手触り感が劣る 0点:シートの手触り感が非常に劣る
【0026】(5)引張強度 JIS L 1906に準じ、試料幅50mmで測定
し、g/50mmで表示した。 (6)吸水速度 ( 純水0.5gを高さ10mmの高さから滴下し、シ
ート中に吸収されるまでの時間(秒)を測定し、吸水速
度とした。 (7)保水率 100mm×100mmに断裁した試料を、純水中に1
分間浸漬した後、純水中から取り出して空中にて1分間
水切りを行い、水切り後の全重量と水浸漬前の試料重量
から式(1)にて保水率(%)を求めた。 保水率(%)={(水切り後の全重量−水浸漬前の試料重量)÷水浸漬前の試料 重量}×100 ・・(1) (8)吸油速度 純水の代わりにサラダ油を用いる以外は、(6)吸水速
度の測定と同様にして測定した。 (9)保油率 純水の代わりにサラダ油を用いる以外は、(7)保水率
の測定と同様にして測定した。
【0027】実施例2 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が400
mmの押出し機を使用して紡糸温度280℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1mm間隔で設置されて
いる500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐出量
は、ノズル孔1個当り、1.5g/分であった。
【0028】押出し機のノズルから吐出された糸条は、
直ちに高速で吹き付けられる温度300℃の加熱空気で
捕集面に向かって流下させながら細化と固着を行い、前
記ノズルから200mm下方で、かつ紡糸線から120
mm上流及びノズルから200mm下方で、かつ紡糸線
から120mm下流(不織布の流れ方向)に設置された
左右一対のスプレー噴霧装置のスプレーノズルにより界
面活性剤を含む水溶液を紡糸線(糸条の流れ)に対して
直角に噴霧して前記水溶液と冷たい圧縮空気で糸条を表
面と裏面から同時に急冷し、速度9m/分で移動する捕
集面上に集積し、目付151.8g/m2のメルトブロ
ー不織布を得た。前記スプレー噴霧装置、噴霧条件及び
界面活性剤の種類は、実施例1で用いたものと同じであ
る。噴霧量は、下流と上流からそれぞれ1100g/分
であった。界面活性剤の含有量は不織布重量当り1.5
%であった。実施例1と同様にして得られた不織布の試
験を行い、結果を表1に示した。
【0029】実施例3 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが700g/10分のポリプロ
ピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー用ノ
ズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が400mm
の押出し機を使用して紡糸温度270℃にて溶融、紡糸
した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.3m
mのノズル孔が、幅方向に0.8mm間隔で設置されて
いる500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐出量
は、ノズル孔1個当り、1.0g/分であった。
【0030】押出し機のノズルから吐出された糸条は、
直ちに高速で吹き付けられる温度270℃の加熱空気で
捕集面に向かって流下させながら細化と固着を行い、前
記ノズルから120mm下方で、かつ紡糸線から180
mm上流(不織布の流れ方向と反対方法)に設置された
スプレー噴霧装置のスプレーノズルにより界面活性剤を
含む水溶液を紡糸線(糸条の流れ)に対して直角に噴霧
して前記水溶液と冷たい圧縮空気で糸条を急冷し、速度
25m/分で移動する捕集面上に集積し、目付44.5
g/m2のメルトブロー不織布を得た。前記スプレー噴
霧装置は、二流体スプレーノズルを幅方向に100mm
間隔で6個配置されており、スプレー噴霧装置により噴
霧された界面活性剤を含む水溶液は、ジアルキルスルホ
琥珀酸ナトリウムエステル塩を主成分とするアニオン系
界面活性剤(商品名:ペレックスOT−P、花王製)
を、水で濃度1.5%に希釈して使用した。二流体スプ
レーに供給した圧縮空気圧は1.5kg/cm2で、界
面活性剤を含む水溶液の噴霧量は幅1m当り1300g
/分となるようにした。界面活性剤の含有量は不織布重
量当り1.6%であった。実施例1と同様にして不織布
の試験を行い、結果を表1に示した。
【0031】実施例4 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が450
mmの押出し機を使用して紡糸温度280℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
3mmのノズル孔が、幅方向に0.8mm間隔で設置さ
れている500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐
出量は、ノズル孔1個当り、1.5g/分であった。押
出し機のノズルから吐出された糸条は、直ちに高速で吹
き付けられる温度280℃の加熱空気で捕集面に向かっ
て流下させながら細化と固着を行い、前記ノズルから1
50mm下方で、かつ紡糸線から200mm上流及びノ
ズルから150mm下方で、かつ紡糸線(糸条の流れ)
から200mm下流に設置された左右一対のスプレー噴
霧装置のスプレーノズルにより界面活性剤を含む水溶液
をそれぞれ紡糸線に対して直角に噴霧して前記水溶液と
冷たい圧縮空気で糸条を急冷し、速度18m/分で移動
する捕集面上に集積し、目付90.6g/m2のメルト
ブロー不織布を得た。
【0032】前記のスプレー噴霧装置は、二流体スプレ
ーノズルを幅方向に150mm間隔で4個配置されてお
り、スプレー噴霧装置により噴霧された界面活性剤を含
む水溶液は、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウムエステ
ル塩を主成分とするアニオン系界面活性剤(商品名:ペ
レックスOT−P、花王製)を、水で濃度2.0%に希
釈して使用した。二流体スプレーに供給した圧縮空気圧
は0.7kg/cm2で、界面活性剤を含む水溶液の噴
霧量は幅1m当り1300g/分となるようにした。界
面活性剤の含有量は不織布重量当り2.8%であった。
実施例1と同様にして得られた不織布を試験し、結果を
表1に示した。
【0033】実施例5 目付を79.6g/m2としたこと以外は、実施例1と
同様にして得られたメルトブロー不織布を、加熱された
一対のエンボスロールと平滑ロールとで構成される熱エ
ンボス装置に導入し、エンボス加工を施した。エンボス
ロールには、直径0.6mmの円形の突起が多数配列さ
れており、エンボスロール及び平滑ロールの表面温度は
ともに110℃であった。このエンボス加工により、メ
ルトブロー不織布に形成された熱接着部分の面積は、不
織布全体の面積の7.3面積%であった。実施例1と同
様にして得られた不織布を試験し、結果を表1に示し
た。
【0034】実施例6 目付を77.3g/m2としたこと以外は、実施例1と
同様にして得られたメルトブロー不織布を、1本のエン
ボスロールと、幅方向に配列された超音波発信ホーンと
で構成される超音波エンボス装置に導入し、エンボス加
工を施した。エンボスロールは、直径0.6mmの円形
の突起が多数配列されたものであった。このエンボス加
工により、メルトブロー不織布に形成された接着部分の
面積は、不織布全体の面積の7.3面積%であった。実
施例1と同様にして得られた不織布を試験し、結果を表
1に示した。
【0035】比較例1 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が400
mmの押出し機を使用して紡糸温度260℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1.0mm間隔で設置さ
れている500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐
出量は、ノズル孔1個当り、0.5g/分であった。押
出し機のノズルから吐出された糸条は、直ちに高速で吹
き付けられる温度260℃の加熱空気で捕集面に向かっ
て流下させながら細化と固着を行い、速度6m/分で移
動する捕集面上に集積し、目付71.5g/m2のメル
トブロー不織布を得た。この不織布に、ジアルキルスル
ホ琥珀酸ナトリウムエステル塩を主成分とするアニオン
系界面活性剤(商品名:ネオコールSW−C、第一工業
製薬製)を不織布重量当り1.0%となるように含浸法
により付着させた後乾燥し、メルトブロー不織布を得
た。実施例1と同様にして得られた不織布を試験し、結
果を表1に示した。
【0036】比較例2 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が400
mmの押出し機を使用して紡糸温度260℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1.0mm間隔で設置さ
れている500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐
出量は、ノズル孔1個当り、0.8g/分であった。押
出し機のノズルから吐出された糸条は、直ちに高速で吹
き付けられる温度260℃の加熱空気で捕集面に向かっ
て流下させながら細化と固着を行い、速度10m/分で
移動する捕集面上に集積し、目付75.5g/m2のメ
ルトブロー不織布を得た。この不織布に、ジアルキルス
ルホ琥珀酸ナトリウムエステル塩を主成分とするアニオ
ン系界面活性剤(商品名:ネオコールSW−C、第一工
業製薬製)を不織布重量当り0.1%となるように含浸
法により付着させ、余分の含浸量をプレスして絞って除
去した後、乾燥し、メルトブロー不織布を得た。実施例
1と同様にして得られた不織布を試験し、結果を表1に
示した。
【0037】比較例3 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が350
mmの押出し機を使用して紡糸温度260℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1mm間隔で設置されて
いる500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐出量
は、ノズル孔1個当り、1.0g/分であった。押出し
機のノズルから吐出された糸条は、直ちに高速で吹き付
けられる温度260℃の加熱空気で捕集面に向かって流
下させながら細化と固着を行い、前記ノズルから150
mm下方で、かつ紡糸線から200mm上流に設置され
たスプレー噴霧装置のスプレーノズルにより水のみを含
む水溶液を紡糸線に対して直角に噴霧して前記水溶液と
冷たい圧縮空気で糸条を急冷し、速度12m/分で移動
する捕集面上に集積し、目付79.5g/m2のメルト
ブロー不織布を得た。
【0038】前記スプレー噴霧装置は、二流体スプレー
ノズルを幅方向に150mm間隔で4個配置されてお
り、スプレー噴霧装置により噴霧された水のみを含む水
溶液は、圧縮空気圧1.0kg/cm2で、幅1m当り
1100g/分となるようにした。この不織布に、ジア
ルキルスルホ琥珀酸ナトリウムエステル塩を主成分とす
るアニオン系界面活性剤(商品名:ネオコールSW−
C、第一工業製薬製)を不織布重量当り5.0%となる
ように含浸法により付着させ、余分の含浸量をプレスし
て絞って除去した後、乾燥し、メルトブロー不織布を得
た。実施例1と同様にして得られた不織布を試験し、結
果を表1に示した。尚、得られた不織布を用いて拭き取
りを行ったところ泡立ちが見られた。
【0039】比較例4 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が350
mmの押出し機を使用して紡糸温度260℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1mm間隔で設置されて
いる500mm幅のものを使用した。溶融樹脂の吐出量
は、ノズル孔1個当り、1.0g/分であった。押出し
機のノズルから吐出された糸条は、直ちに高速で吹き付
けられる温度260℃の加熱空気で捕集面に向かって流
下させながら細化と固着を行い、前記ノズルから150
mm下方で、かつ紡糸線から200mm上流に設置され
たスプレー噴霧装置のスプレーノズルにより水のみを含
む水溶液を紡糸線に対して直角に噴霧して前記水溶液と
冷たい圧縮空気で糸条を急冷し、速度12m/分で移動
する捕集面上に集積し、目付77.2g/m2のメルト
ブロー不織布を得た。
【0040】前記スプレー噴霧装置は、二流体スプレー
ノズルを幅方向に150mm間隔で4個配置されてお
り、スプレー噴霧装置により噴霧された水のみを含む水
溶液は、圧縮空気圧1.0kg/cm2で、幅1m当り
1100g/分となるようにした。この不織布に、ジア
ルキルスルホ琥珀酸ナトリウムエステル塩を主成分とす
るアニオン系界面活性剤(商品名:ネオコールSW−
C、第一工業製薬製)を不織布重量当り1.5%となる
ようにグラビア塗布法により付着させた後乾燥し、メル
トブロー不織布を得た。使用したグラビアロールは、1
20メッシュで、カップの深さは60μmであった。実
施例1と同様にして得られた不織布を試験し、結果を表
1に示した。
【0041】比較例5 JIS K 7210 条件14に記載された方法で測定
したメルトフローレートが1,000g/10分のポリ
プロピレン樹脂を原料樹脂として、公知のメルトブロー
用ノズルを備え、ノズルから捕集面までの距離が350
mmの押出し機を使用して紡糸温度260℃にて溶融、
紡糸した。使用したメルトブロー用ノズルは、直径0.
4mmのノズル孔が、幅方向に1mm間隔で設置されて
いるものを使用した。溶融樹脂の吐出量は、ノズル孔1
個当り、1.0g/分であった。押出し機のノズルから
吐出された糸条は、直ちに高速で吹き付けられる温度2
60℃の加熱空気で捕集面に向かって流下させながら細
化と固着を行い、前記ノズルから150mm下方で、か
つ紡糸線から200mm上流に設置されたスプレー噴霧
装置のスプレーノズルにより水のみを含む水溶液を紡糸
線に対して直角に噴霧して前記水溶液と冷たい圧縮空気
で糸条を急冷し、速度12m/分で移動する捕集面上に
集積し、目付78.5g/m2のメルトブロー不織布を
得た。
【0042】前記スプレー噴霧装置は、二流体スプレー
ノズルを幅方向に150mm間隔で4個配置されてお
り、スプレー噴霧装置により噴霧された水のみを含む水
溶液は、圧縮空気圧1.0kg/cm2で、幅1m当り
1100g/分となるようにした。この不織布に、ジア
ルキルスルホ琥珀酸ナトリウムエステル塩を主成分とす
るアニオン系界面活性剤(商品名:ネオコールSW−
C、第一工業製薬製)を水で1.0%に希釈し、撹拌に
より発泡倍率20倍に調整して、親水化剤は不織布重量
当り1.0%となるように泡塗工法により付着させた後
乾燥し、メルトブロー不織布を得た。実施例1と同様に
して得られた不織布の試験を行い、結果を表1に示し
た。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなとおり、本発明によれ
ば、親水化剤を含む水溶液を添加後に不織布を乾燥する
必要がなく、しかも糸条の冷却が効果的にできるので公
知の方法(比較例1)と比較して樹脂の吐出量を高くす
ることができ(1.0g/分/孔以上)、生産量を高く
できる。その上、本発明の不織布は、密度が低く、風合
いに優れ、吸水速度、保水率、吸油速度及び吸油率にも
優れている。これに対し、公知の方法で吐出量を多くす
れば(比較例2)、糸条の冷却不足が生じ、風合いの劣
る不織布となる。樹脂を吐出後、水のみを含有する水溶
液を噴霧して糸条を冷却すると(比較例3、4及び5)
吐出量を高くすることができるが、親水化剤を含浸法で
後から不織布に含有させると、含浸後に余分の含浸液を
絞って除去するという絞り操作が行われるので、得られ
る不織布の密度が高くなり、風合いが劣る(比較例2と
3)。
【0045】その場合、親水化剤の含有量を低くする
と、相対的に絞りの程度が大きくなるので、得られる不
織布の風合いが著しく悪くなり、吸水性が顕著に劣り
(比較例2)、逆に、親水化剤の含有量が多いと、絞り
の程度は小さくてすむので、風合いは極端には悪くなら
ない(比較例3)が、逆に、親水化剤が多すぎるためそ
の不織布を使用しての拭き取り時に泡立ちが発生し、実
用に適さない。親水化剤の含有方法がグラビア印刷(比
較例4)や発泡工法(比較例5)のような塗布法による
場合、親水化剤を不織布の繊維全体に均一に付着させる
ことができず、吸水速度が劣るようになる。本発明は、
前記したように、親水化処理剤が含有されているメルト
ブロー不織布は、吐出量を多くして、しかも親水化処理
後の乾燥も行わないで製造する方法であり、このように
して生産速度を容易に向上させ、製造方法を簡略化でき
るという利点がある。
【0046】
【発明の効果】本発明は、押出し機の口金より噴射され
た溶融樹脂が細化、固化し繊維形成される紡糸線上に向
けて、二流体スプレーノズルにより界面活性剤を含む水
溶液を噴霧し、糸条を急冷することによって、吐出量を
多くして生産量を高め、それにより乾燥工程を使用せず
に、嵩高で柔軟性に優れ、しかも吸水性と吸油にも優
れ、クリーンルームワイパーや工業用ワイパーのような
ワイパー用途に好適なメルトブロー不織布の製造方法を
提供するという効果を奏する。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を溶融し、押出し紡糸機の
    ノズル孔から押し出すと同時に、溶融樹脂を細化して極
    細繊維を形成し、得られる繊維群を捕集支持体上に捕
    集、集積して不織布とするメルトブロー不織布の製造方
    法において、前記ノズル孔より吐出された溶融樹脂が細
    化、固着、捕集されてウェブ形成される間の紡糸線上の
    糸条に向けて、細化と固着が完了し、捕集される間に界
    面活性剤を含む水溶液を二流体スプレーノズルにより噴
    霧し、糸条を急冷するとともに不織布に親水性を付与す
    ることを特徴とするメルトブロー不織布の製造方法。
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